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爪
⋮v
犬、猫の血小板機能に関する研究
E 敏広
日次
頁
緒言
・・
・
第l
章、犬における血小板凝集能に関する研究
序
第1
節犬糸状虫感染犬における 1
f
T
l小 級 凝 集 能
材料および方法
・ ・ ・・・・
l
・・・・ ・
.. . .•
5
・・・
ー・ . ..
7
7
. • . ..
1
0
・
6
供試犬
血小板の調製
1
[
[
[
1
1
、板凝集能
試薬の調製
結果
健常犬における血小板凝集能
mf陽 性 犬 に お け る 血 小 板 凝 集 能
• •.
1
1
1
1
1
2
・・・
mf陽 性 犬 に お け る ア セ チ J
レサリチ J
レ酸投写の影響
考察
1
0
・・・
• • .• .
15
1
5
結果
.. . .
1
6
考察
・
・ ・・
・
1
7
・ー . • .
2
0
第 2節 僧 1
1
1
自弁閉鎖不全症の犬における I
f
l
l小 板 凝 集 能 ー ・
材料および方法
被検動物
血小板凝集能
小括
第 2章 犬 の f
I
且小板減少1
1紫斑病(lTP)の病態生理
序
lTP症例の l
臨床病理学的検討
材料および方法
・
22
・
・ ・
2
3
・
・
・
,
第l
節
. • • ••
2
4
症例
J
充血小板抗体の測定
2
5
結果
臨床検査所見
抗血小板抗体
27
考察
第2
節
ITP症例による血小板凝集能
3
1
材料および方法
3
1
症例
止血i
疑回スクリーニング検査
血小板の調製
血小板凝集能の測定
I
T
P忠犬血清添加による皿小板凝集能への影響
結果
• ... •
3
3
臨床所見および止血凝固スクリーニング検査
ADP~こ対する凝集能
I
血清添加による凝集能への影響
. • . ••
3
5
. • . •.
3
9
第3
章獄伝染性腹膜炎の病態における血小板の関与・ ・
・
序
.• • ••
4
1
考察
小括
4
0
・・・・・
4
2
・. •
•
45
総括
.• • .
48
謝辞
・. • • •
5
1
.• .
. . •.
5
2
症例
考察
参考文献
図表
6
4
緒日
血小板の重要な機能の 1
つは止 j
J
!
l
における血小板l
回全の形成である 。
血管壁が損傷を受け、内皮細胞が剥離しjJ参原線維が露出すると J
f
l
1小
板がその部位に粘着・凝集して一 過性の血小板血栓がつくられる。
次いで、血小板血栓を ~I_J 心として内因性および外国性凝固機序が加
わり強固な混固血栓が形成される [
7,
4
8
]。このように血小板凝集は
止血機序の開始に重要な役割を果たしており、凝集能が低下すれば
1
.
9,
3
6
.
5
7
]
、反対に允進するとlI
l
栓症などの病態を
出血傾向を示し 1
引き起こしやすくなる [
3,
5,
2
9
]
0血管内 j
撲の損傷や循環の異常}こ伴う
f
J
l小板の凝集能を充進し血栓形成傾向を示すこと
血液の乱流などは l
がま1られている。これにより全身の血流の変化がさらにもたらされ
病態を 一層悪化させることになる 。
このような作用を有する血小板は様々な機能を有し、それぞれに
7
.
9,
11
.
1
7,
48
1。
ついて検査法やその意義について検討がなされている 1
この印小板機能は血小板が血管壁や傷害により露出したコラ ーゲン
n
小板同士が互いに凝集する凝集能、さら
などに粘着する粘着能、.If
、板から細胞質内の内容物を放出する肱出能に分けら
に凝集した向ノj
れる。これらの異常により 、様々な止血異常症や血栓形成傾向など
の病態が引き起こされると考えられている 。
l
I
!
V
J、板凝集は種々の凝集惹起物質により引き起こされる事が知ら
れている。とくにアデノシン二 リン酸 (ADP)によって志起きれる凝
P
I
I
b/
I
I
I
aに.uIl築中のフイブ
集は血小板の膜表而に存在する糖蛋白 G
リノーゲンなどが結合することにより互いに凝集することが明らか
にされている。ヒトでは先天的な CP!Ilコ I IIl a の欠損する血小板7n~力
症が古くから報告されており [
5
0,
5
7
1、犬でも問機な症例がいくつか
9.
"
1
8
]。 この疾患では ADPに対する凝集能を欠如す
報告されている 1
るのが特徴とされている 。
またヒトでは尿毒症 1
5
6
]ヤJ
]T疾患、骨髄持1
!
殖性疾患 [
3
6.
49,7
1
]や多
飢症 [
4
1
1などに付随した後天性の J
f
l
1小 板
発性骨髄腫などの異常室長白 l
2
]
が知られており、その発症メカニズムなどに │
剥し
機能異常症 [
l
.5
詳しく検討がなされている 。血小板凝集能の測定法は血小板が凝集
する際の j飢紫の透過度を測定する透過度法 1
3,
11,
17,2
9
]や、インピー
4
6,
60,
6
9
]などが検討されている。インピーダンス法では血
ダンス法]
[
l
lのまま測定できるという利点はあるものの、 そ
小板を分離せず全 1
の再現性に関しては問題があるとの意見もある。いっぽう透過度法
l
[
L
淡を分離する操作があり│時間的制約と遠心操作などに
は多血小板 J
よる血小板への影響を無視できないなどの問題点があるが、その再
現性に関 してはある程度満足でき広い範囲で実施されている。
2
また J
(
r
v
J、板はこれら止血凝固に凶与するばかりではなく、炎症細
胞としての側面も合わせ持つと言うことが注目されている。血管内
において血栓を形成し、血流を阻害するばかりではなく、活性化し
2
.
8
]、血管内皮細胞に
た胤小板から種々のメデイエーターを放出し [
作用して血管壁の透過性を充進させたり炎症細胞を遊走させること
により血管の傷害を引き起こすことも知られている。
3
.
1
2
[、肝疾患 [
6
9
[や、肥大型心
いっほう犬や猫ではフィラリア症 [
筋症[
2
9
1、猫伝染性腹膜炎[
5
1などで血小板凝集能が異常を示し、原
疾患の病態をより重篤な状態へと進展させると考えられている。し
かし病態を改善するために血小板機能を制御しようとする研究は数
Uiの血小板凝集能に関し詳細に検
少ない[
5
3
.
5
5
.
5
9
1。そこで今回丈、 1
討を加え原疾患の進展に及ぼす影響を評価するとともに 、正常から
逸脱した凝集能を正常化する事による意義について検討した。まず
第 l章では健常犬ドおける ADP、コラーゲン、エピネフリンに対す
別らかにして測定系を確立するとともに、犬糸状
る胤小板凝集能を l
M
i
t
r
a
lr
e
g
u
r
g
i
t
a
t
i
o
n
;MR)の犬にお
虫感染犬およぴ、僧帽弁閉鎖不全症 (
ける血小板凝集能を測定してその病態との関連を検討し、さらに正
常'から逸脱した凝集能を正常化する方法について考察した。
第 2章においては 、犬の特発性 j血小板減少性紫斑病 (
I
d
i
o
p
a
t
h
i
c
ThrombocytopenicPurpura;ITP)の│臨床症状や年齢および性別、品
3
種による発症傾向、抗血小板抗体の意義、予後に影響をうえる因子
などについて明確にし、さらに治療により血小板数が正常値に回復
l異常が持続する症例について血小板凝集能
したにも関わ らず、止[
l
I
の側面からその病態発生を検討した。
第3
章では全身性の免疫介在性の l
血管炎を主徴とする猫伝染性腹膜
F巳[
i
o
el
o
[
c
c
t
i
ousP巴r
i
t
o
oi
t
is
;F
I
P
)の狩lに対し血小板凝集能を抑制
炎(
するトロンボキサン合成酵素阻害斉J
Iを投与することにより予後に与
I
Pの血管炎の進展における血小板凝集
える影響について検討し、 F
の意義について考察した。
4
第 1章
犬における血小板凝集能に関する研究
5
序
つは止血における I
血小*
r
u
U
l栓の形成である o
血小板の重要な機能の l
、
l
l
l
l管壁が損傷を受け内皮細胞が剥離し膝原線維が露出すると、血ノl
板がその部位に粘着・凝集して 一過性の血小板血栓が作られる。次
いで血小板血栓を中心として内因性および外因性凝固機序が加わり
強固な凝固血栓が形成される。このように血小板凝集は止血機序の
開始に重要な役割を果たしており、凝集能が低下すれば出血傾向を
示し、反対に充進すると血栓症などの病態を引き起こしやすくなる。
このため血小板凝集能検査は│臨床上極めて重要で、ある。
人では先天的な血小板機能異常症 [50,51,57]、ある種の薬剤投与
[
1
0
1や他の原疾患にともなった血小板機能異常症 [
3
6,
41,
49,
52,
56,
7
1
)
が知られており、多くの研究がなされている。いっぽう、犬につい
1
1,
1
7
]およびえ糸状虫症 [
3.
12
)や肝疾患 [
6
9
)の症例につい
ても健常犬 [
ての血小板凝集能の検討がなされている。しかしながら、我が国で
は若干の症例についての報告があるに過ぎない。
そこで第 l章では健常犬における血小板凝集能を検討し、測定系を
確立するとともに犬糸状~症および僧 1[1問弁閉鎖不全症の犬における
血小板擬集能を検討しその病態における意義について考察した。
6
第1
節
犬糸状虫感染犬における血小板凝集能
犬糸状虫症は犬の大静脈から右心房、右心室および、1
t1i動脈にかけ
て寄生する犬糸状虫によって引き起こされる疾患で欝血性心不全の
病態を呈することが知られている c さらに虫体寄生の結身~)J~j動脈に
高率に血栓形成が認められることが報告されており [
3
8,
5
4,
55,
5
9
1、
血栓形成が本疾忠の病態をさらド悪化させることが考えられている。
巴
司u
xら[
3
1は犬糸状虫感染ノとの J
f
u小板凝集能が健常犬に比
また Boudr
較して充進していることを報告し、本疾患では山給が形成されやす
い状態になっていることを示している 。
そこで、一般臨床所見に異常の認められないミクロフイラリア陽
性犬の血小板凝集能を測定し健常犬のそれと比較検討し、また│場性
犬にアセチルサリチル酸を投与し血小板 ì~1:集fjE の推移を観察した。
材料および方法
1 供試犬
臨床的に健康で、 J
(
I
l
1
f
長検査において犬糸状虫のミクロフイラリア
(
m
f
)が陰性な雑種成犬 4
頭 (
t
,
j
!
'
2頭 、雌 2頭、体重 10-20旬、推定年
f
n
m
fが陽性の丈糸状虫寄生犬3頭(雌 l頭
、
齢1-5歳齢)および末梢 l
雌2
頭、体重 1
2-20kg、推定年齢 3-5歳柄引を用いた。なお m
r陽性
7
犬についても臨床的には特に症状はなく、一般血液検査において異
常は認められなかった。 {
j
h試犬はすべて同一犬舎内で l頭毎のケ」
,'で飼育した。さらにアセチ J
レサリ
ジ飼育とし、市販のドッグフー 1
レ酸 (
ASA)の血小板に対する凝集抑制効果を観察する目的で 2頭の
チl
m
f陽性犬に対して、 ASA (アスピリン ;保栄薬工)を 0.
5mg/l
沼で連
日経口投与を行った。
2.血小板の調製
供試犬の空腹時に安静状態下において頭静脈より採血した。あら
かじめ、 3.8%クエン酸ナトリウム 0.5mlを吸引したプラスティック
注射筒と 21ゲージの注射針を用いて 5ml
の目捕りまで採血した。
採血した血液は直ちに室温で 800rpm15分間遠沈し 、多血小板血柴
(
P
l
a
t
el
e
tr
i
c
hplasma:PRP)を探取した後、 さらに 3,
OOOrpmで 5分 間 遠
沈を行い乏J
J
f
l
小板If
T
l紫 (
P
l
a
t巴l
e
tpoorp
l乱sl
l
1a
:PPP)を得た。この PRP
および pppを用いて J
(
[
l小板凝集能を l
W定した。凝集能の視 IJ定は採血
後3
時間 以内に行った。
3
.血小板凝集能
血小 板の凝集は血小板離集能測定装置 (NBSHematr
aωr601;二
光バイオサイエンス(制)を用いて比濁透過法で測定した。
8
PRPIOOμlの入ったキュベットに凝集惹起物質を 1
1μl
添加して撹押
し、血小板が説集して透過度が桶大する過般に見られる透過度の変
l
fI判。に測定し、 10分間記録した。さらに、
化をうも電光度計を用いて言この結果をデータアナライザー (NBSデ ー タ ア ナ ラ イ ザ , 二 光 バ
イオサイエンス(株))を用いて解析し最大凝集率を求めた。
4.試薬の調製
凝集惹起物質としてアデノシン二リン酸 (ADP;ベーリンガー -マ
ンハイムジャパン附)、コラーゲン (
C
o
l
l
a
g
e
nReag
巴n
tHORM;馬の
mo
n-C
h
e
m
i
e
) 、エピネフリンを用いた。 ADPは
腿コラーゲン, Hor
C
精製水で溶解し、 200μM濃度のストック溶液とし、分注して 2
0"
に冷凍保存した。使用 l
時にストック溶液をさらに精製水で希釈して
終濃度 20、10、5、 25f
.
d
v
lになるよう調製した 。コラ ーゲンは SKF
Hormb
u
f
f
巴r
で希釈し、使用時に生理食塩液でさらに希釈し、終波
度1
0、5、2.
5、1μg/mlになるよう調製した。エピネフリンは蒸留水
m
lおよび(
)
.
Ol、 0
.
1、
で希釈し、終濃度が 100、 50、 25、 l2
.
5問 I
l問/口1
1
となるよう調製した。
9
結果
1.
健常犬における血小板凝集能(図 1)
ADP凝集:健常犬における血小板の ADP凝集は、 ADP201l
M で作
用させた時には J
f
l
L
小板は;速やかに凝集し、不可逆的な 2次凝集を示
した。いっぽう 10および3μMで刺激したときには、 l
次凝集から 2
次
J
疑集へと連続的に推移しその後一 部の例では解離が認められた。ま
た2
.
5μ
M で刺激したときには刺激後一過性に凝集を認めたが、その
後速やかに解離する 一次説集のみが観察された 。
コラーゲン凝集 :健常犬におけるコラーゲン凝集は、 2.
5pg/ml以
4
2度でコラーゲンを添加す ると [
(
1
1小板は形態変化を起こし透過
上の1
度が低下する。その後、数十秒から数分のラグタイムの後凝集が認
められた。このラグタイムは濃度が上昇するに伴い短縮し、この濃
度で起こる凝集には!杯縦が認められなか った 。 しかしながら、
1pgl
m
lのj
農度で、は形態変化は起こるものの縦集は認められなかった。
エビネフリン凝集:他'常犬の J
血小板にエピネフリンを1.00,
50,
25お
よび12.
5開 Im
lで作用させても単独では血小板の凝集は認められな
かった。いっぽう 0.0 1. 0.1 および 1 1~ gl 日11 の濃度のエピネフリンで血
小板をあらかじめ処理した後 1次凝集のみを示す j
農度の ADP2.
5μM
で刺激するとエピネフリンの濃度依存的に凝集能の冗進が認められ
た(図 2
) 。この事より健常犬の血小板はエビネフリン単独では凝
10
集を示さないがADP~船長を先進させる作用があるものと考えられた。
2.ミクロフ ィラリ ア陽性犬における血小板凝集
ADP凝集
mf陽性犬における ADP説集は ADP濃度 5 ~tM 以上ではす
べて不可逆的凝集を示した。いっぽう、 2
.
5μM では 1次凝集に続い
次凝集が認められ、私sn
.
犬に比較して凝集能の充進が認められ
て2
) 。また陽性犬、陰性犬の 2
.
5ドMの血小板凝集を比較する
た(図 3
と、すべての陽性犬は陰性犬に比較して凝集能の允進が認められた
(
図4
) 。さらに、最大i
凝集車、 3
分後凝集率においても陰性犬では
それぞれ 15%-27% および 0% であるのに刻し、陽性犬では 41%~
71%および 39%-67%であり、凝集能の明らかな克進が認められた
(
表1
) 。しかしながら m[陽性犬のコラ ーゲン凝集は健常犬と比較
して一定の傾向を示さなかった。
3 アセチルサリチル酸投与の影響
2頭
、
の mf
!
場性犬に対し ASAをO
.
5mg/kgで連日経口投与を行い、そ
の後の血小板凝集能を比較した。 2
.
5μMの ADPに対し投与前は明ら
かな凝集能の先進を認めたが、投与開始より 1頭は 5週間後に他の 1
頭は 8週間後に健常犬と同様な状態を示した(図 5) 0 ASA投与後
のコラ ーゲン凝集は投与前に比 i院して最大凝集率の低下およびラグ
1J
タイムの延長が認められた。
考察
犬の血小板凝集能の検査には透過度法 1
3,
1
1,
1
2
1やインピーダンス
i
法[
4
6,
6
0,
6
9
1を用いたものが報告されている。健常犬の血小板は ADP
やコラーゲンに対してよく凝集を示すが、アラキドン酸や、エピネ
7,
9,
1
1,
4
8
1が知られ
プリンに対しては凝集を示さない例が多いこと 1
(
I
L
小板は ADP
ている。今回の結果でも従来の報告と問機に健常犬の l
およびコラーゲンに対する凝集が認められた。また、 ADP20μM以
.
5μMでは一過性の凝
上の濃度では不可逆的凝集が認められたが、 2
集のみが認められた。しかし、 ADPに対する凝集反応の個体差も無
視できないため、今後年齢、性別、犬程等についての基礎的データ
の集積が必要で、ある。
1
(
1
小板のエピネフリンに対する反応はエピネフリン
また健常犬の J
単独では高濃度に添加しても凝集がみられなかったが、極めて微量
l
駈集能の J
刺虫作用が認められた。
なエピネフリンの処置によってゆ p
このことは犬の血小板においてもエピネプリンに対ーするレセプタ ー
が存在し、凝集能の先進に作用していることが明らかとなった。
いっぽう、 Boudreauxら[
3
1の報告と同様日l
J
I
場性犬では血小板の凝
集能が健常犬と比較して克進していることが確認された。 Schaubら
1
2
[
5
9
Jは犬糸状虫感染犬にみられる肺動脈の血管内皮における広範な
損傷に白血球および、血小板の付着が認められることを示している。
さらに、感染犬に対し血小板凝集抑制作用を有する ASAを325mgl
日で経口投与を行うと血管内皮の損傷および、l
U
l
小板の付着は未処置
円殖反応、の抑制が認められ
の犬に対して有意に少なく、血管内膜の i
たことを報告している。これらのことは犬糸状虫症で認められる肺
動脈の血栓形成に血小板凝集能の充進が関与していることを示唆し
己主の荘度と症状、幸写生成虫数や感染後の
ている。今後、凝集能の 7
時問、肺動脈病変の桂度などとの関連を検討するとともに 、凝
経過l
1
平
切j
する必要性があると忠われる。
集能尤進の機序を 9
これら病変のコントロー Jレを目的として、 ASA
の単独投与および
5
5,
5
9
]
0ASAは血小板のシ
他の薬剤との併用投与が試みられている [
クロオキシゲナーゼを間害し、トロンボキサン (Tx)A2の合成を抑制
疑集を抑制する。しかし、 ASAの投与量が多い
することで血小板の i
と血管内皮のシクロオキシゲナーゼも同時ド阻害され、凝集抑制効
2のi
量生をも著明に抑制すると
果を有するプロスタグランジン (PG)1
いわれている。したがって、 ASAについては最も適当な投与量をは
Iとの併用など卜分に検討しなけ
じめ投与方法および他の抗血小板斉J
5
3
[は健?吉犬に O.
5mg/kgl日2回投与を 7日
ればならない。 .Rackearら[
間連日投与を行うと血小板の凝集抑制が認められるが、 O
.
5
m
g
/
k
g
l
1
3
日1
@
1投与では有意な凝集抑制は認められなかったと報告している。
.
5
1
百g
/kgl日1回投与で 5ないし 8週
今回、 mf陽性犬に声。jして ASAを0
間連日投与したところ、克進していた血小板凝集 f
j
Eをある程度抑制
することが可能であった。しかし、犬糸状虫感染犬において、血小
板の説集能をどの程度に維持することが適当で、あるかは今後、頭数
を増やして検討する必要がある。
1
4
第 2節
僧帽弁閉鎖不全症 (MR)の犬における血小板凝集能
僧帽弁閉鎖不全症は成犬から老犬で見られる 一 般的な弁の変│
主に
基づく循環器疾患である 1
1
6,
6
4,
6
5
]。多くの慌忠動物では変性した弁
U
l
栓形成が起きやすくなることが容
尖により血流に乱流が起こり、 J
易に想像できる 。 また本疾患の末期には l青前性高窒素血症が認めら
れ、組織学的にも聞阪の微小血栓が観察されることより 、血小板の
機能異常が推測できるが、この疾患において 血小板機能を評価した
研究は見あたらない。そこで僧帽弁閉鎖不全症の犬において血小板
凝集能を測定しその臨床的意義に ついて検討した 。
材料および方法
1 被検動物
東京大学ベテリナ 1
)ーメディカ l
レセンタ ーに来│
民し MRと診断 した
犬 29例について血小板凝集能を測定した。ほとんどの症例は血管拡
張薬などの循環器薬を長期間にわたり投与を受けている。 また これ
らの例 を臨床症状からニュ ー ヨー ク心臓病学会 (NYHA)の心不全の
機能分類 1
15,
161
に基づき NYHA 1度から lV度 に 分 類 したところ 、
NYHAI
度は 2例
、 I
I度は 11例、1II度は 9例およひ守V度は 7例で、あった。
また臨床症状等により Jfrl 液*~査も行い高窒素血症の有無を鑑別 し た。
15
2.血小板凝集能
対象犬の頚静脈より空腹 n
寺に 3.8%クエン酸ナトリウムで抗凝固処
理して探.rtrLした。保J
U
lした血液を低迷遠心により PRPを分離し ADP
に対する凝集能を測定した [
6
6
]
0 叩 Pは 10、 5、 2
.
5およぴ、 1μMの 濃
度を用いたが、 10μMおよび 2
.
5f
山[に対する凝集パターンより以下
6
)。
に示す充進例、正常・例、やや低下例および低下例に労瀕した(区[
1
)2
.
5f
.
t
Mで l次凝集を示し、 1
0μMで、は不可逆j]{
J
凝集を示したもの
を正常例
2
)2
.
5μMで l次凝集から 2次凝集へ移行し不可逆的凝集を示したも
のを充進例
3
)1
0μMで一過性の可逆的凝集あるいは凝集後に解離の見られた
ものをやや低下例
4
)l
Of
.
lMで、もほとんど凝集の見られないものを低下例とした。
結果
測定した 2
9例のうち ADP2.
5μMで、不可逆的J
凝 集を示す凝集能の充
、 ADPIOμMで一過性の可逆的凝集を示すやや低下例が 6
進例は 8例
例
、 ADP10μMでもほとんどあ弘長が認め られない低下例が5倒、正常
例が10
例で、あった(表 2
)。
1
6
また NYHAの分類ごとでは I
度およぴI度の軽症例 1
3例では充進例
1
i
5
U
iJ~6例であった(表 3) 。いっほう
が4例、やや低下例が3倒、正常'
凹度およびIV度の重症例 16例では 4例が充進、 3例がやや低下およ
例が低下を示し、ほとんどの例が凝集能の異常を示していた。
び5
重症例の中で低下およびやや低下を示した 8例のうち 5例で BUNが
5
0
m
g
/
d
l以上の高窒素 J
I
T
l症を呈しており(表 2
) 、このうちの l例 で
t
l
l
症の改善か官、められなかったが、抗
は通常の輸首長療法では高窒素 J
血栓療法により改善させることが可能であった。
以上のように MRでは NYHAI度およびIl)支の軽症例であっても凝
集能の元進している例が多く認められた。また I
I
I度以上の例では 16
例中 12例で異常が存在し、充進よりも低下例が多く認められた。
考察
MRにおける ITIl小板凝集能の克進は血液の逆流、乱流が刺激となっ
て生じ 、 血小板凝集により対財:ì~ 血管に微小血栓を形成しやすくなる
と考えられている。特に腎臓に形成された微小血栓は高窒素血症の
1
手前性高室素血症が認められ、組織学
原因となる。 MRの末期では 2
的にも微小血栓が観察されることはこの結呆を支持しているものと
例は
考えられる。いっぽう凝集能の低下が認められた1]例のうち 5
l
7
高窒素lUI.症を伴っており、さらにその中の 4例は末期の病態であっ
伴(DJC)の際に後天性のストレー
た。ヒトでは播種性血管内凝固症候1
5
2
[、血小板凝集能が低下することが報告
ジプール病を引き起こし [
陣炎では DIC
されている。いっほう犬においても実験的に作成した j
が併発し、 J
血小板凝集 f
i
Eが低下.することが示されている [321
。これ
飢小板が活性化された後、凝集能の欠如
らは血栓形成の際に休内で j
但ノト板が血中に多く存在するためであると考えられている。
した疲弊l
今回の低下例においても血栓形成あるいは血栓準備状態のための同
様の可能性も考えられる。しかしいっぽうで、高室素血症の際には
血中の尿毒症物質により 1
(
[
1.小板凝集能が低下するととが報告されて
いる 1
9,48,56J
。このため高窒素血症の結果として凝集能の低下が起
きたものではないとは断定できない。しかしこれらの例の中で通常
の輸液療法や血管拡張剤 、強心利尿剤によっても高窒素血症が改善
Iの併用により高室素1II1.症が収減
されない場合であっても、抗凝固斉J
し一般状態の改善が見られる例が存在することは微小血栓の存在を
r
I
l
栓が高窒素血症の原因
強く支持するものである。このことは微小 1
であり 、凝集能の低下が高窒素血症の結果によるものでは説明でき
ないものと考えられた。
以上のように MRと診断し凝集能を測定した 29例のほとんどにお
いて循環器薬を長期間投与されているにも関わらず、約 65%におい
18
て血小板凝集能』こ異常が認められたことおよびNYHAのI
度およびI
I
j
支の症状の軽い症例であっても異常の認められる症例が存在するこ
とより、循環器薬で負荷を軽減しでも血小板凝集を刺激する血流の
是正が出来ない症例があることを示唆するものと思われた。さらに
NYHAのI
I
I度およびIV度の重痕例においては血管拡張薬などに加え
抗血小板薬や、抗凝固薬などの応用も考慮すべきであると考えられ
た。さらに MRにおいても血小板凝集能が充進し、腎)臓における微
小血栓を形成しやすくなることにより、腎前性高室棄血症を引き起
こす可能性が示唆された。
1
9
小括
以上のように犬における血小板凝集能の測定系を確立するととも
に
、
J
市動脈において高率に j
J
f
l
栓が形成される犬糸状虫症では、血小
進し、 J
i
l
1
1
士が形成されやすい状態にあることを明らか
板凝集能がプE
レサリチ jレ
にした。また、シクロオキシグナーゼを阻害するアセチ J
1
(
1
小板凝集能を正常化することが可能な
般の投与により、元進した 1
レサリ
ことを示した。このことは本症の病態の進展の予防にアセチ J
チJ
レ酸の投与が有効であることを裏付けるものであった。
さらに心臓の弁の変成に基づく僧 1帽弁閉鎖不全症の犬において血
小板凝集能を測定し、その約 65%の例で血小板凝集能が正常から逸
分類による1II度および
脱していることが明かとなった。また NYHA
I
V度の例ではほとんどのものが血小板凝集能に異常を認め、さらに
凝集能の低下している例が多く認められた。このことは血小板凝集
J
f
l
中に疲弊した血小板が
能が充進し、血栓が形成されたことにより j
多く存在したためと考えられた。これらの結果 MRの症例では循環
器薬で負荷を軽減しても血小板凝集を刺激する血流の是正ができな
い症例があることを示唆しており、 j
血管拡張薬などに加え抗血小板
薬や抗凝固薬の応用も考慮すべきであると考えられた。
以上のように犬における循環器疾患でJ.lIl小板凝集能の異常が病態
2
0
の進展に関与していることを明らかにし、逸脱した J
l
l
l小板凝集能を
是正することにより症状の改善が凡られることが示唆された 。
第 2章
犬の特発性血小板減少性紫斑病 (
I
T
P
)の病態生理
2
2
序
特発性血ノj、板。減少性紫斑病 (IdiopathicThrombocytopenicPurpura:
l
T
lなどを示
I
T
P
)は突然原因不明の血小板減少を招*し体表の点状山 l
す疾患で1
2
6
.
4
4,
6
8
1、その要因のーっとして自己の血小板に対する抗
体による破壊が挙げられている 1
1,
13
,
1
9
.
6
1
1。イヌの1TPにおける抗
と
のJ
i
1
l小板に患者の J
U
a
青を加えて間接的
血小板抗体に関しては健常 j
に凝集を見る凝集法 1
2
7
1
、抗体により傷害された血小板から放出さ
P
F
3
)を測定し間接的にこれを知る方法 1
3
3,
3
51
や
、
れたIIll.小板第 3因子 (
健常犬の骨髄塗抹における巨核球に対する間接蛍光抗体法 1
3
5
]、
ELISAを用いた方法 1
42.
47
1およぴフローサイトメトリーによる方法
1
4
0.
43
1などが用いられ、抗体の存在が証明されている。
今回、 ITPと診断した犬について年齢、性別、品種、臨床症状お
よび血液検査所見、予後などについて評価するとともに、間接凝集
法により血小板に対する自己抗体を測定しその抗体の意義について
検討 した。また治療により l
I
I
l
小板数が正常値にまで回復 したにも関
わらず紫斑や探l
U
1
1
去の止血遅延などの症状が見られる例について血
小板凝集能を測定し、止血l異常の発現機序について検討した。
2
3
第 1宣
告 ITP
症例の臨床病理学的様討
犬における ITPは通常、成犬において突然発症し、雄よりも雌の
ほうが約 2倍多いといわれている 1
2
6,'1
4,
681
。 また品種による偏りも
レやオールドイングリッシュシープドッグに多
多く米国ではプー ドJ
6
8
1。しかし我が国における本症の報告を見る
いという報告もある 1
レチーズ種が圧倒的に多く認められる 。 そこで東京大学ベテリ
とマ J
ナリーメデイカルセンターにて ITPと診断した症例について年齢、
性別、品種、臨床症状および血液検査所見、予後などについて検討
し、今までの諸外国の報告と比l
j
哀した。また、間接凝集法による抗
血小板抗体および抗グロプリン抗体を測定し 、その意義についても
4
食言すした。
材料および方法
1症 例
東京大学ベテリナリーメディカ J
レセンタ ー に来院し ITPと診断し
た犬の症例 1
9例について検討した。これらの症例の診療記録から年
齢、性別、品種、臨床症状、 血液検査所見、治療法、予後について
軒町 した
。 ITPの診断は以下の診断基準の 1および2を満た しており 、
3あるいは4のどちらかのみられたものとした 1
441
。
2
4
1)
.他に血小板の減少する原因を認めないこと 。
2
)血小板数が75,
000/
μl
以下に著しく減少しているもの。
3
)
.免疫抑制量のグ J
レココルチコイド療法あるいは免疫抑制療法に
て血小板数の増加を認めるもの 。
4
)抗血小板抗体が検出可能であったもの。
2.抗血小板抗体の測定
抗血小板抗体は以下に示す間嬢凝集法にて測定した 1
2
7
1。
健常犬から 3
.
8
%クエン酸 Naで抗凝固処理した血液を採取し、
800rpm]5
分間で遠沈し PRPを分離した 。 この PRPを生理食坂水で 3
回洗i
争し、 i
飢小板浮遊 i
l
1iを作成し]00 x1 0 3/ f.l I~こ調整した。患者の I血
清を 1
:
1から J:
128まで段階希釈し、 9
6穴マイクロプレ ート にて 50μl
ずつ分注し、さらに 50μl の血小板浮遊R~ を各ウエ 1レに添加し、 37 'C
で3
0分間併置した。反応後各ウエ jレ内の液を位相差顕微鏡一
日こて観
察し、 l
f
n
小板 が4個以上凝集しているものを陽性と判定し、 │
場性を
1
[
1
青希釈倍率が8
倍以上のものを陽性、
示す最大希釈倍率を求めた。 1
4
1
昔
'、 2
倍のものを擬陽性それ以下を陰性と判定した。
結果
1.臨床検査所見
2
5
年齢は 1蔵未満から 13歳までで平均 6
.
3土 3
.
2歳を示した(図 7
)。
↑
出U
I]では維が3例および雌が 1
6例で、明らかに雌に多く認められた。
また犬植ではマ J
レチーズが 1
4例を占め、アメリカでの l
庁 発犬種
[
4'
1
,
6
8
]にあげられているプード J
レは 3
例認められた(表 5
)。
臨床症状は紫斑および点状出血が最も多く
) 、 16例で認め
(
図8
られたほか、歯肉からの,
'
J
i瓜1
が2例、強l
J
英、前日見房の出血および吐
血が各 l
例、下 J
但が4例に認められた (
去4) 。 また元気消失は 10例、
食欲不振 12倒、貧血が同時に認められたものが8例であった。しか
しWiiliamsら1
6
8
]が約 30%と報告している必出血を示す症例は認めら
れなかった。
1
寺の血小板数は 1
6
.
4:
t1
4
.
5
血液学的検査では発症時もしくは初診1
!と著しい低下が認められ 10xl0S;ドl
以下の著しい低下を示し
xl03;μ
たものは7例存在した(表 5
) 。また Htは28土 13.4%であり、 25%以
下の貧血例は 8例で、あった。
lTP
症例の予後は適切な治療に反応するものでは比較的良好で、あ
るが、初期jの免疫抑制療法に反応の低い例では不良なものが多く認
3
μ
l
以下の著しい低下例では 1
められた。発症時の血小板数が 10xl0;
カ月生存率は 4
1
7
例と 1
O
x1
0
3
;μl
以上の例の 7
1
1
2例と大差は見られ
1
7
例と低下し長期生存率
なかったが、3カ月およびl年生存率では 2
の低い傾向が認められた(表 6
)
0
"ミっぽう血小板減少のみの場合
26
ハ
には 1カ月以上生存したものが9 1
例であったのに対し、血小板減
少と貧血が同時に存在する場合には予徒は著しく悪く 1カ月以上生
存したものは 2/8例のみであった。
2抗血小板抗体
1
9例のうち 1
3例について凝集法により抗血小板抗体の検出を行っ
たところ陽性が4
例
、 j
疑陽性が5
例、陰性が 4
例であった(表 7
) 。ま
たこのうちは例について同時に直接タームス試Z
設も行ったところ 4
例で陽性、 8例で陰性を示した。抗血小板抗体および直接ク」ムス
がどちらも陽性を示したものは 2例、抗血小板抗体が擬陽性で直接
クームスが陽性を示したものが l例認められた。また抗I
血小板抗体
および抗グロプリン抗体は必ずしも│臨床症状と一致せず抗体価が高
くても血小板減少や貧血がそれほど見られない例があるいっぽうで、
抗体が検出できない例で著しい血ノト板減少や貧血の認められる例も
存在した。
考察
I
T
Pは突然の血小板減少をきたし、皮)'
;
可 の点状山血や紫斑を主徴
4
4
1。その要因には抗 l
I
T
l
小板抗体による細胞傷害
とする疾患である 1
性やオプソニン効果などの免疫学的機序による血小板破壊の元進が
考えられている 1
6
1
1
0犬の ITPにおいても問機な機序が考えられてお
27
471
り、様々な方法一 [
2
7,
33,
35,
'
1
0,
42,
43,
による抗 I
l
r
[小板抗体の検出が
試みられている。
今岡 1
9例のlTPの症例について│臨床病瑚学的検討をしたところ、
2
6,
6
8
1とほぼ同隊に 6.
3
:
!
:3
.
2歳齢であり、おも
発症年齢は他の報告 1
歳齢未満の若齢犬においても発症が認めら
に成犬で認められるが 1
れた。いっぽう性別は他の報告では Dtl~ が全体の約 2/3 を占め、雄が
1
/3であるのに対し [
2
6,
6
8
1、今回の例では雌が 1
6
/
1
9
1
1I
Jと約 84%を占
め、雄は 3/l9例のみであった。また品種ではマルチーズが14119例
4
4,
6
8
1と圧倒的に異なる結月さであった。我
と73%を占め、他の報告[
レチーズ種が単純に多頭数飼育されているのみでは
が国においてマ J
の発症閣下を保有したl
1
!
l
1
体が繁殖に供されてしまった結
なく、lTP
来、このような品種や性別による侃りができてしまったものと考え
られた。
ITPの臨床症状は血小板減少に特徴的な皮 j
汚の紫既およぴ‘点状出
1
[, ~J 眼房の
血がほとんどの例で認められ、黒色使や歯肉からの出 1
出血1などを有するものも認められた。また約半数では元気低下ある
いは消失が認められた。また 8119例では貧血も伴っており、lTPと
IHAの両所見を合わせ持二ついわゆる Evans症候群の例は 4例で認めら
e
w
i
sら1
4
4
[はEvans
症候群は ITPのおよそ 20%で認められると
れた。 L
報告しており、今回の例とほぼ一致していた。
ITPの予後は約 70%で、初期治療に反応して止l
但異常の危険性の少な
い血小板数が 50~ 1
00x1
03/ドl
以上にまで回復するが、残りの 30%で
3
4,
44
1。さらに
は艶死あるいは安来死となることが報告されている [
回復した例でもポJ40%は再発するという難治性の疾患である。また
I
T
P単独よりも Evans症候群の方が予後は悪いとされている [
1
8
1。 今
回初期治療に反応し 1カ月生存した症例は 11/19
例で、約 60%
で、あった。
3
μl
以上と以下では差は
発症時あるいは初診時の血小板数が 10xl0/
i
l
三の生存率を比較すると血
認められなかった。しかし 3カ月および l
3
xl03/
μ
l以下の例では 2
/
7
仔1
1と低下し、 10xl0/
μl
以上の
小板数が1O
7
1
1
2例に比較し長期生有工率の低下する傾向が認められた。いつぽつ
貧血l
の有無を比較すると、貧血を伴う例では 2
/8
例と著しく予後が
1わない例では 9
/11例と初期治療に反応する例が多
悪いのに対し、宇"
く認められた。また Evans症候群と診断した 4例のうち 3例は 1カ月
以内に艶死した。
ITPの症例における抗出l
小板抗体の検出に関しては凝集法 [
2
7
]、
PF3放出試験1
3
3,
3
5
]や骨髄巨核球に対する蛍先抗体法 [
3
51
、EL
ISAを
4
2,
4
7
[およびフローサイトメトリ ーによる方法1
4
0,
43
1な
用いた方法 [
ewi
sら1
4
2
1はELISA
どが用いられ、抗体の存在が証明されている。 L
を用いた抗血小板抗体の測定において I
TPの犬では血小板表面に結
:
H (直接試験)では 94%が陽性を示 したが血清巾の
合した抗体の検 /
2
9
血小板結合抗体の検出 (
間援試験)では 34%のみが陽性を示したに
f
l
l小板抗体の
過ぎないと報告している。今回の間接凝集法による抗J
測定では 4例で│場性、 5例で擬陽性および 4例で陰性の結果を示し、
陽性の割合は約 30%とLewisらの│間接試験の結果とほぼ同様であっ
た
。 ITPの診断には除外診断が多く、抗血小板抗体が証明された場
合には診断的価値があるが陰性であった場合でも除外することが出
来ない。このため抗血小板抗体の検出にはより高感度の新たな検査
法の応用が必要となると考えられた。
以上のようにlTPは血小板減少により紫斑や点、状出血を示す疾患
で、成犬の雌に多く、マ jレチーズ離での発症が多いことが明らかと
なった。さらに血小板減少単独の場合には予後は比較的良いものの
貧血を伴う例では著しく悪いことが示唆された。今後さらに症例数
を加え治療法に対する反応性の比較などを検討する必要があるもの
と考えられた。
第 2節
ITP症例における血小板凝集能
ITPは突然 j
京国不明の卵小板減少を J
日米し体表の点状出血 lなどを
示す疾患で、その要因の ーっとして自己の血小板じ対する抗体によ
哀が挙げ られている 。本疾患の多くの例ではステロイド斉J
Iや 免
る破j
疫抑制斉J
Iなどで治療され I
1
I
1
小板数が増加するとともに止 J
f
l
1異常の症
状は見られなくなる [
2
7,
3.
1
1。 しかし c
l
'には治療により血小板数が治
加したにも関わらず皮惜の紫斑や採血後の│ヒ血異常などが持続する
場合がある。
今回 ITPと診断し治療により血小板数が正常備に回復した症例に
ついて血小板凝集能を測定し、止血異常の発現機序について検討し
,
c
吋
,~。
材料および方法
1.
症例
東京大学ベテリナリーメディカ J
レセンターにおいて ITPと診断し
3
ステロイド治療などにより血小板数が 200xl0
/μ
l以上で維持してい
例(表 8
) を用いた。症例は 1
歳齢から 1
0歳 齢 で 雄 3例と雌 2
る症例 5
倒、体重 3
.
2から 9
.
7
k
gで、ある。犬程はマ J
レチーズ 4例とミニチュアー
J
f
l
小板凝集能測定時の血小
プード jレが l例で、あった。いずれの例も I
3
1
板数は 207-371x103
/
f
.
l
iであり、検倉時まで、J
血小板凝集能に影響を
与えるとされる薬剤は 7日間以上休楽してから測定を行った。また
70'Cにて
このうちの 2例について同時に血清を分離し、検査時までー
保存した。
2.
止血凝固 スクリー ニンク 検査
止I
但i
疑囲スクリーニング検査として J
I
1
1
小板数に加えプロトロンピ
ン時間 (
P
T
)および活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT)を必要
に応じて測定した 。測定は市販の測定キットおよび自動血液凝固測
定装置を用いて指示審通りに実ー
施した 。 PTとAPTTはそれぞれ一検
体につき 3回ずつ計測しその平均値を秒数であらわした。
3 血小板の調整
あらかじめ、 3.
8%クエン酸ナトリウム 1容に対し血液 9容になるよ
T
Jいて被検動物の頚静脈より空
う準備したプラスティック注射筒を J
腹時に採血した。採取した j血液は直ちに室温で 800rpm15分間遠沈
し、多血小板I
但紫 (
P
l
a
t
e
l
e
tr
i
c
hpl
a
s
m
a:PRP
)を探取した後、さらに
3000rpm5分間違沈をおこない乏 l
j
I
L小板 r
f
l
1柴(
P
l
a
t
e
l
e
t[
lo
o
rp
l
a
s
m
l
l
f
l
V
J叶友銀集能を i
l
l
J
定した。
P
P
P
)を得た。この PRPおよび、PPPを用いて J
3
2
4 血小板凝集能の測定
血小板i
罪集能は血小板凝集能i
J
W定装置を月J
いて比濁透過法で測定
した [
6
6
[0 PRP135ドl
の入ったキコーベットに凝集惹起物質を 1
5μ
l添加l
して撹伴し、血小板が凝集して PRPの透過度が増大する過誼にみら
J
W定し記録した。さらにこの結果をデータアナ
れる変化を経 1寺的に t
ライザーを用いて解析し、最大凝集率を求めた。
凝集惹起物質にはアデノシン二リン酸 (
A
D
P
)を用いた。 ADPは精製
水で溶解し終濃度が 1
0、5、 2
.
5、lμMになるよう調整した。
5.I
T
P患犬血清添加による血小板凝集能への影響
ITPの症例の血清を斤l
いて健常犬の I
飢ノト板凝集に及ぼす影響を測
定した。健常犬から探 I
I
x.した PRPに対して患 jとの血清を1:10、1:50
および1:250に希釈して添加し 3
7
"
(で 30分間反応させた。反応、後
ADPI O ,ÅM ~こ対する血小板凝集能を血清未添加の対照と同時に測定
し、その凝集パターンおよび最大凝集率を比較した。また対照に対
する凝集比率を求め%で表した。
結果
1.臨床所見および止血凝固スクリーニング検査
Nol、3および4は血小板数が正常で‘あるにも関わらず採血後の止
3
3
血遅延および皮下出血(図 9
) 、突然現れる一過性の紫斑などの症
状が認められた。 PTおよびAPTTは測定した 3例についてほぽ健常
範聞 (PT:5 . 5~8 . 0sec 、 APTT:15- 2
5
s
e
c
) の値を示した。また間接
説集法による抗血小板抗体は測定した 4例のうち No4.のみが強陽性
)。
を示した以外は陰性であった(表8
2.ADP(こ対す る凝集能
凝集能を測定した 5
例のうち 4例で健常犬では二次凝集を認める濃
度である ADPI0μMを添加したときにも 一 過性の一次凝集しか認め
飢ノト板凝集能の低下を認めた(図 1
0
) 。またこのとき
ない明らかな I
の最大凝集率は 10-23%と対照の 67-89%に比較して明らかに低下
していた(表的。同棟にこの 4 例では ADP5 および 2 . 5 ~I M を添加し
たときの最大凝集率はそれぞ、れ 2-9%、0-9%であった。
3.ITP症例犬血清による血小板凝集能ヘ及ぼす影響
次に健常犬の血小板にlTP症例の血清を反応させたものでは症例 l
の血清では希釈倍率1:5
0および1:250で、症例 2では 1
:
1
0およぴ1
:
5
0
で最大凝集率の低下が認められた(匡1
1
1)
。
0および1:250が
いっぽう対照と比較した凝集比率では症例 1の1:5
5.7%であり、症例 2の ]
:
1
0、1:50および1:250
それぞれ93.4およぴ8
3
4
ではそれぞれ83.5 、 86.8 およぴ~100% を示し血清i制10 によって血小板
凝集能が抑制されることが示された(表 1
0
)。
考 察
ITPは血小板が突然減少し体表に紫斑および点状山血を示す原因
不明の疾患で、その要因のーっとして自己の血小板に対する抗体の
Iなど
関与が考えられている。本疾患ではステロイド剤や免疫抑制斉J
で治療すると血小板数が増加するとともに止血異常の症状は見られ
なくなるのが普通で、ある ]
2
7,
3
4
.
4
4
]。しかしながら血小板数が回復し
たにも関わらず採血後の止血遅延などが見られる症例がある。ヒト
の慢性lTPの患者においても同様な止血異常が認められ]1.13
.
1
9,
37ト
その原因の一つに血小板の機能異常が示されている。これらの患者
では I
白川、板機能に重要と考えられている牒糖蛋白のG
P
I
I
b
/I
l
Ia
]
l,7
0
]、
G
P
l
b
]
7
0
1、GPVおよびGPlaなど ]
1
9
1に対する抗体が認められるもの
f
[
l小板が活性化
もある。しかしいっぽうでは、抗血小板抗体により l
5
8
]もある。
し凝集や ATPの放出を引き起こすという報告]
犬のlTPにおける血小板機能に関する研究は少なく Krist巴nsenら
]
3
9
1はITP忠犬の血清および、IgG分画を健常犬の PRPと反応させた後
に凝集能を測定し最大凝集率の低下および凝集速度の低下を示して
いるが、出血の桂度とは関連が見られなかったことを報告している。
3
5
しかし、治療により血小板数が増加しているにもかかわらず止血異
常を示した忠犬について凝集能を検討した報告は見あたらない。いっ
ぽう抗血小板抗体に関しては凝集法、 PF3Ji支出試験や'百髄巨絞球に
対する蛍光抗体法、 ELISAを用いた方法およびフローサイトメトリー
による刀法などが用いられ抗体の存在が証明されている。しかし抗
e
w
i
sら[
4
5
]のITPの犬の症例の
体の認識する抗原に関する研究は、 L
うち何例かは J
m市中に GPIIbあるいは GPl
I
Taに反応する抗体を有す
1
'う報告のみである。しかし、その例について止血異常の症状
ると 1
の有無については検討されていない。
今回我々は治療により血小板数が正常値に回復したカ斗宋血後の止
血異常が認められる症例に遭遇し、その病態、を明らかにする目的で
1
[
r
1
小板機能について検討した。凝固スクリーニング検査では異常は
認められなかったが 5例のうち 4例において血小板の凝集能の低下を
O
.
3において凝集能の低下は
示した。しかし止血異常の認められた N
認められず、
L
c
血異常'の要因を確認することはできなかった。さら
にN
O
.
lと2の血清を用いて健常犬のj血小板に反応させることにより、
凝集能が抑制したことから、抗体などの液性因子により凝集が阻害
されていることが示唆された。血清仁[
Jに含まれる血小板凝集を限害
する因子は抗体の他にフイブリノーゲン-フィプリン分解産物
(
FD
P
)が挙げられる [
6
2
.
6
3[
0FDPはフイブリノーゲンと競合するこ
36
とにより I
O
l小板の凝集を阻害することが5;
1られている。また血小板
0mg/dl以上は必要で、あ
凝集を抑制するための FDPの量は終濃度で 1
り1
6
2
J、今回のように添加血清を 1
:
1
0、 1:
5
0および]:
2
5
0で反応させ
た場合には終濃度で 1
0mg/dl以上になることは現実的にはあり得な
いものと考えられた。 Kriδtensenら1
3
9
1は血清の割合が 1:
5になるよ
うに添加して測定しているが、健常犬の I
血清添加]では l
(
n小板凝集能
に変化は見られなかったことを報告している。このことより、血清
中に含まれる凝集を抑制する液性因子は FDP以外のものが推測され
る
。
しかし、間接凝集法による血清中の抗血小板抗体は凝集能の低下
が見られた 4例のうち 1
例 のみで陽性を示したが2例では陰性であっ
た
。 Lewisら1
4
21
はELISAを用いた抗血小板抗体の測定においてlTP
の犬では血小板表面に結合した抗体の検山(直接試験)では 94%が
f
nノト板結合抗体の検出(間接試験)では
陽性を示したが j血清中の J
34%のみが陽性を示したに過ぎないと報告している。間接凝集法で
は表面に結合した抗体がさらに凝集させなければならないため、よ
り高力価の抗体が必要となる。そのため抗体の検出感度はさらに低
いことが考えられる。このため間接凝集法で陰性を示した結果は抗
体を保持していないとは縦走できないものと忠われる。したがって
抗血/ト板抗体の検出にはさらに高感度の検査?去を応用する必要があ
37
ると思われた。
以上のように ITPの犬の血清中には I
l
l
l
小板凝集能を抑制する液性
因子が存在し、それにより二次性の血小板機能低下症が引き起こさ
れるものと考えられた。このことはヒトと同様、犬の ITPにおいて
血小板を破壊する抗体だけでなく血小板の機能を抑制する抗体の
もj
存在を示唆するものであり、今後免疫沈降法などにより抗体が認識
する抗原を特定し、血小板凝集能の低下と病態との関連を明確にす
る必要があると考えられた。またこのような止血異常の症例では、
血小板数が増加しでも抗体産生を抑制するような対策が必要である
ものと考えられた。
小括
以上のように血小板減少により紫斑や点状出血などの止血異常が
I
T
P
)のl
臨床病理学的検討をお
認められる特発性血小板減少性紫斑病 (
こない、成犬のマルチーズの雌に多発する疾患であり、約 30%の例
で抗血/川震抗体が陽性を示しこの疾患の発症への関与が示唆された。
また治療に対する反応性は血小板減少単独では比較的良いものの、
貧血を伴う例では予後が著しく悪いことが明らかになった。いっほ
う治療によって血小板数が正常値にまで回復したにも関わらず止J1Jl
異常の持続する例があることを明示し、その原因の一つに血小板凝
集能の低下が存在することを明らかにした。さらに血清中に血小板
凝集能を抑制する液性因子が存在することが示唆された。
第 3章
猫伝染性腹膜炎(
F
I
P
)の病態における血小板の関与
序
猫伝染性腹膜炎(F'e
l
i
n
eI
n
f
e
c
t
i
o
u
sP
e
r
i
t
o
n
i
t
i
s
;F
I
P
)はコロナウイル
U
l管炎を主徴とする慢性スの感染により引き起こされ、全身性の I
i
並行性の伝染性疾患である。本疾患に対してこれまでのところ有効
i
(t立しておらず、副腎皮質ステロイドや免疫抑 *
I
J斉iJなど
な治療法はT
併が得られる場合があるにすぎず、多くの
の投与により一時的な立j
J4,
3
1
1。
症例は 1週間から数週間以内に死の転帰をとることとなる [
したがってF'IPに対する有効な治療法の確立は世界中の│臨床医に待
ち望まれている。
FIP の発症機序は複雑であるが、発症~n'i の JJ則空浸出細胞から IL-l が
放出されることにより腹水中の I
しl活性が増加すること [
2
0
1
0J
血清
および日財1(~11 に lL-6活性の増加が見られること [22] などが報告され、
これらの異常がF
1
Pの病態に関与していることが明らかにされてい
2
1,
23,
2
8
]
。一方 FIPでは機種性血管内説固症候群 (DIC)が高率に併
る[
4,
6
7
]が示されている。さらに実験的に FIPウイ jレスを接
発すること 1
l
l
l
小板凝集能が克進すること [
5,
6
]が明らかにされ、
種した猫において l
血小板凝集能の充進が血管炎の病態の進行に関与していることが考
(
I
l
l
J
、板凝集能を抑制することにより FlPの病
えられている。そこで l
41
態を改善することの可能性について検討を行った。
T
h
r
o
l
l
l
b
o
x
a
n
e
;Tx)合成酵素阻害斉J
1は血小板の強力
トロンポキサン (
3
0
J、糸球体腎
な凝集惹起物質である TxA2の令成を抑制する薬剤で [
i
T
I
清蛋白搬度の増加などの効
炎の犬に対し尿巾蛋白量の低下およびl
果が認められている [
2
4,
2
5
1。今回 F
I
P慌患猫 2例に対し、この Tx合
成酵素阻害斉J
Iである j
Z酸オザグレ J
レを投与し経過観察を行いその効
果を評価した。
症例
症例 1 は 10 カ月齢、世m のベルシャ 3~îで腹部 j出満と食欲不振を主訴
に来院した。身体検査では日制tの貯閣と貧血が認められ、血液検査
)を伴う白 I
U
l
球増多症 (349001μ
1)
では著 しい好中球増多症 (233801μ1
が見られ、血小板数の減少将 Ox103/!
l
i)
と高蛋白血症 (
7.
8
g
/
d
l
)が認め
2
) 。また ALT,
AST,
ピ
リ J
レピン値の増加も見られた。
られた(図 1
血清蛋白の電気泳動では、ポリクローナ jレな高ガンマグロプリン血
.
3
6と低下していた。
症が認められ、 A/G比は 0
I
Pの抗体価は 1
:
1
6
0
0と陽性を示した 。また
血清学的検査では F
F
'e
LV抗原、抗FIV
抗体はともに陰性であった。腹部X線検査では、
3
) 。腹水の検査では色調は黄
腹水の著しい貯留が認められた(図 1
色で好中球およびマクロファージが多数認められた。以上のことよ
4
2
り、同 Pと診断した。
本例に対しプレドニゾロン ]mg/kgとTx合成酵素阻害剤(塩酸オ
mg/kgで l日2回併用投与した。投与一 2週間後には腹水
サ噂グレ Jレ)を 5
の貯留は認められず(図]4
) 、元気食欲も改善し体重も増加した。
2カ月後の腹部X紘像でも同様にJ
J
1
7
kは完全に消失していた (
l
z
I
1
5
)。
また血清蛋白は治療前に 7.
8
g
/
d
l、AiG比 0
.
3
6だったものが、 2
週後
.
8
1となり、ホ固リクローナルな高 y グロ
には TP7.0g/dl、 A/G上じは 0
6
) 。また 5週後では TPは
プリン血症は認められなくなった(図 1
7
.
4
g
/
d
l、A/G比0
.
9と2週後とほぼ同様であった。さらに白血球数は
I
Pの抗体制f
i
減少して正常化し、貧血の改善も見られた(表1]) 0 F
は5
週間後には 1
:
4
0
0、4カ月後には1:10
0まで低下していた。この症
例は 1年間投薬を続けたのち、休薬しその後 6カ月間は再発もなく元
気に生存した。
症例 2は7歳齢、去勢雄の日本和iで 2、 3目前からの腹部膨満を主訴
財ての貯慣が認められ、血液検査では白血
に来院した。身体検査で H
)と高蛋白血症 (
8.
8
g
/
d
l
)を示した(図 1
7
)。血
球数の増加1(231001μ1
清蛋白分画ではポリクロ ーナルな高 y グロプリン血症が認められ、
A/G比は 0
.
4
3と低値を示した。 FIPの抗体価は1:8
0
0と陽性を示し、
FeLV
抗原および抗F
I
V抗体はどちらも陰性で、あった。腹部の X線 検
4
3
査所見では著しい腹水の貯留が認められ(図 1
8
) 、腹水の性状は黄
4
g
/
d
lであった。また腹水の蛋自分画は
色で粘調性があり、 TPは6
血清とほとんど l
司ーのパターンを示した([~19) 。以上の結果F'lP
と確定診断し、プレドニゾロン 2
1
l
lg
/
k
gでl円1回および塩酸オザグ
01llg
/
k
gで1日2回の投与を行 った。 投与 1
2日目にはJ
!i水の貯留
レjレ1
週間後の腹部 X線検査では腹水は完全に
は認められなくなり、投与 3
消夫していた(医[
2
0
)。
I
i
I
l
i
占蛋自分画の推移では治療前は TPが 9
.
4g
/
d
l、 A/G比が0
.
4
3とポ
レな高 y グロプリン血症を示していたものが、 7週間後
リクロ」ナ l
が8
.
4
g
/
d
l、AlG比が0
.
7
6と改葬が見られ、約 6カ月後もこれ
こ
は TP
と同様な所見で、いずれも高 y グロプリン血症は認められなかった
(
図2
1
)。
また体重はH
財ての消失に伴って、 7
.
2
k
g
から 6
k
g校度にまで減少し、
週間で
この間元気食欲等の異常は認められなかった。 TPは治療後 2
週日で 0
.
76まで改善し
正常値まで減少し、いっほう A/G比は治療 6
た。白血球数の変動は治療前後では顕著で、はないが4週後から徐々
に減少を示した。
その後 8か月間は腹水の再貯留は認められず、F'I
Pの抗体価は
1
:
4
0
0から 1
:
6
4
0
0で変動した。しかし、 9か月 Hに上部気道炎に伴う
鼻汁中に出血を認めるようになったため、 J~~酸オザグレルの投与を
4
4
中止したところ、再度目財くは貯留し、 11か月目に艶死した。
考察
今回、自然発症した 2例の F
I
P
d
H
i~ニトロンボキサン合成酵素阻害楽
である塩酸オザグレルを投与したところ食欲ならびに元気の改善が
みられ、腹水の減少が認められた。また白血球数は減少し正常値に
復し、さらに高 y グロプリン血症の改善が認められた。このことは
JPの血管炎の進展を制御す
血小板凝集能を阻害したことにより、 F
ることが出来たためと考えられた。
F
J
Pは免疫介在性の I
血管炎を主徴とする疾患として考えられ、今ま
ではその治療法として免疫抑制量のステロイド剤や免疫抑制剤が考
慮されてきた [
1
4
.
3
1
1
0 しかしわずかの例で一時的に症状を寛解させ
る場合があるに過ぎず、致死的な疾患であるとの認識は広く受け入
れられてきた。
F
I
Pにおいては F
I
Pvirusがマクロファージ等に感染し [
2
1
.
2
3,
2
8
1、
L
1が産生され [
2
0
[、腹水中に高い活性
感染した腹腔浸出細胞から l
を認めるとともに、血清および月財仲の l
L
(
-j活性も高値を示すこと
[
2
2
1
が知られている。これらがF
IPに見られる特磁的な血管炎や高 y
グロプリン l
t
l
l症に関連することが示されている。いっぽう、ヒトで
L
lによって血管内皮細胞から血1
はマクロファージより産生された I
小板活性化因子 (
P
l
a
t
巴l
e
ta
c
t
i
v
a
t
i
n
g[
a
c
t
o
r
;PA
F
)が誘導されること 1
8
1
が知られている。 PAFにより活性化した血小板からはセロトニン、
ADP、ヒスタミンなどの生理活性物質が放出され、血管内皮の慣傷
血管傷害を進展させると考
や血管の透過性を克進させることにより l
2,
8
1
0
えられている 1
今回、 トロンボキサン合成酔素間害剤の投与により FIPの血管炎の
L
1
ま炎における I
L
l
進展が制御され症状を改善させたことは FIPのlU
レが阻害され炎症反応が抑制された
および血小板の活性化のサイク J
J
Pが単なるウイ jレス感染症や
結来と考えられた。またこのことは F
免疫介在性の血管炎のみで会く、サイトカイン関連性の血管炎の側
面も合わせ持つ疾患であり、このサイク jレを制御することが本疾患
の病態をコントロールするには重要なことを再認識する必要がある
ものと考えられた 。 また治療も抗ウイルス業や免疫抑 I~IJ斉1]などのみ
ではなく、血管炎の進展に関与する因子に対する療法が考えられる
べきものと思われた。
またトロンボキサン合成酵素 I
I
E
I害剤は血小板の譲集能を抑制する
ばかりではなく、微小血管の畿柿も阻害する 1
3
0
1ため血管炎によっ
て引き起こされた 1
f
f
t
流の阻害が改善したことも今回の症状の改善し
た理由のーっと考ーえられた 。
以上のことから今後多くの FIPの症例に対して本剤を応用し、投与
46
量、投与法および対象となる PIPの病態のステージなどについて更
なる検討を加えることにより、より有効な治療法になりうる可能性
があるものと考えらた。
総 括
以上のように本研究では第 1常において犬の血小板凝集能の測定系
の総立を試み各種濃度の ADP
、コラーグンに対する血小板凝集パター
ンを明示し、血小板凝集能を評価する基準を明椛にした。さらに犬
糸状虫症や僧帽弁閉鎖不全症では血小板凝集能が克進し、 1
I
T
l
栓が形
成されやすい状態になっていることを明らかにした。そのため腎臓
における微小血栓が腎障害の原因となり、高窒素血痕が引き起こさ
れる可能性が示された。またこれら疾患における血小板凝集能の充
進は抗血小板薬の投与によりコントロール可能なことが示唆された。
章では血小板減少により止 j但異常が認められる ITPの臨
次に、第 2
床病理学的検討を行い、成犬の雌のマルチーズ換に多く発症し、血
A
サ笈減少に貧 1
1
1
1
が伴う例では予後が著しく悪いことを明らかにした。
また lTPの症例の中には治療によって 1
f
n小板数が正常域まで回復し
たにも関わらず止胤異常'が持続する症例があることを明らかにし、
その原因のーっ として血小板凝集能の低下が存在することを明示し
f
f
l小板凝集能を抑制する液性因子
た。さらにこれら誌例の血清中に l
が存在することが示唆された。
第3章では全身性の血管炎を主徴とする F1Pにおいて血小板凝集能
を抑制するトロンポキサン令成酵素阻害剤である境酸オザグレルの
投与によって、血管炎の症状を改警することができた。このことは
血小板の凝集能を抑制し炎症の進展に関与するメディエーターの放
4
9
出を妨げることによ って血管炎が改普されたことを示しているもの
と考えられた。
このように、犬において血小板凝集能の測定系を確立するととも
に、犬、猫の循環器疾患、血液疾患および感染症において血小板機
能が正常から逸脱していることを明確にした。またこれら疾患の病
態の進展に血小板凝集能が関与することを示し、異常な血小板機能
を是正することにより病態の改善する可能性を確認した。
謝辞
稿を終えるに当たり本研究を遂行する上で甚大なるご指導、ご教
授をいただいた東京大学大学院農学生命科学研究科、獣医内科学教
室長谷川篤彦教崎、辻本元助教授ならびに東京理科大学生命科
学研究所
後飯塚
僚助教授、および多大なるご協力をいただいた
東京大学獣医内科学教室の室員の皆様、東京大学ベテリナ 1
)ーメディ
カjレセンター内科系診療科の皆緑に深謝致します。
5
1
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.
]
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a
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m
a
t
o
l
.1
t6
:101.106
7
1
.Zucker,S
.andMielke,C
.
H
. 1972. C
l
a
s
s
i
f
i
c
a
t
i
o
no
f
l
a
t
e
l
e
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ThrombocytosisBas巴donP
a
b
.C
l
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.
w
i
t
hHemorrhagicandThromboticC
o
m
p
l
i
c
a
t
i
o
n
s
.]
.L
Med.80:385.394
63
図表
6
4
表 1 健常犬およびミクロフィラリア陽性犬における
2.5μMADPに対する血小板凝集能
No
最大凝集率
3分後凝集率
15%
15%
22%
27%
0%
0%
0%
0%
41%
67%
71%
39%
64%
67%
mf陰性犬
2
3
4
mf陽性犬
5
6
7
a'li
-
N N←
;
v
a
N
-マ
62
105
86
←
t
ta
必i
t
s
-守 令le
i--i
'
一部解離
二次凝集
一部解離
二次凝集
二次凝集
一部解離
二次凝集
二次凝集
一部解離
二次凝集
二次凝集
二次凝集
一部解離
二次凝集
一次凝集
一部解離
一次;凝集
二次凝集
二次凝集
一部解離
一次凝集
一部解離
二次凝集
一次凝集
二次凝集
二次凝集
二次凝集
なし
一部解離
・・
7
砧
90
25
60
50
パ60
90
56
10
14
BUN(mg/dl)
ヴ っ
ιA
f
→→←←←→←→→→←
← →01→
N1
4NNNNNiN
←
I
l
-
ADP10μM
ADP10μM
最大凝集率(%) 凝集パターン
評価合
只U7'P07'au 門U
324412455
NYHA
機能分類
54
28963241146908306592270456
16
28
2 8 4 1 2 8 2 2 2 2 1 3 2 3 3 1 1 2 5 1 7 7 4 11
ー
lHHHHHHHHHHH川 川 川 川 川 川 川 川 川
wwwwwwN
1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2,
3 4,
567
8,
901234567089
41 4l t
唱
‘
tE1
41 1 11 ?- 内Jι つ乙 η4 勺 乙 門 ど のζqfι っιっζ
*↑↑.充進. N;正常, ↓;やや低下,↓↓;低下
一次凝集
二次凝集
一次凝集
二次凝集
一次 二次
一次凝集
一次凝集
二次凝集
一次凝集
解離せず
一次凝集
一次凝集
一次凝集
一次凝集
一次凝集
一次凝集
なし
一次凝集
一次凝集
一次凝集
なし
一次凝集
一次 二次
一次凝集
一次 二次
一次 二次
解離せず
なし
一次凝集
ADP2.
5uM
ADP2.
5μM
最大凝集率(
%) 凝集パターン
6 2 4 0 1 4 5 4 9 0 1 3 7 4 6 0 7 3 0 2 9 1 4 61 4 62 8
4 8 5 8 8 3 7 7 4 4 7 7 3 6 1 4 2 8 6 31 6 6 1 8 8 41 3
No
(MR)の 症 例 に お け る 血 小 板 凝 集 能
表2 僧帽弁閉鎖不全症
59843
2261
表 3 M R症例における血小板凝集能
NYHA分 類
血小板凝集能
正常
元進
やや低下
1o
r1
(n=13)
6(
1
)
4
3
1
1
1o
rI
V
(n=16)
4(
2
)
4(
4
)
3(
2
)
5(
3
)
合計
10(3)
8(
4
)
6(
2
)
5(
3
)
()
は高窒素血症を伴うもの
低下
。
表 4 ITP症例の臨床症状
臨床症状
紫斑・点、状出血
下血
歯肉出血
前眼房出血
採血後の止血遅延
吐血
鼻出血
貧血
食欲不振
元気消失
頭数(%)
Williamse.
ta
l
16(
8
4
)
44(
8
1
)
4(
2
1
)
2(
1
1
)
41(
7
6
)
1(5)
4(7)
3(
1
6
)
1(5)
17(
3
1
)
15(
2
8
)
8(
4
2
)
12(
6
3
)
10(53)
19(
3
5
)
No.
8
5
13
12345678
ζnJ4
1
内
十+++十一++ 十++
♀'oTOT T
。
90 12
111
6226754
3q3u42ζq31 2
つι
旦f
•
' A 斗 KJvqd
ND
ND
陰性
内
。
ナ
。
ナ
。 ナ
。
ォ
。
TO
下血
吐血
なし
なし
歯肉出血
陽性
ND
なし
擬陽性
凶
寸
なし
なし
前眼房出血
ND
n
u
u
A斗
,
、
, λuマ
qU4﹄ 多 、 A
擬陽性
陽性
なし
なし
陰性
ND
陰性
陽性
1
7日
4日
6日
3年
1
年+1
年+
2年+
4年+
予後
生存日数
1
年+
3日
1
5日
9年+
2年十
3日
55日
hl
•
••
+
ー
r
k
2.
8
1
1.
5
4
擬陽性
擬陽性
ND
陰性
陰性
陽性
陰性
陰性
陰性
陰性
妾クームス
Ht(
%
) 直j
内ノ
34567'89
1111111
M;月齢**+;生存中
♂♂♂♀♀♀♀♀
十
陽性
擬陽性
陰性
ND
陽性
ND
陰性
陰性
血小板数 抗血小板抗体
イ也の止血異常
μ
1
) (
(
x103/
間接凝集法)
U
-3 氏
﹄
4
.
2
+
紫斑 貧 血
、
,
4.
5
3.
3
4.
0
3
.
2
97
4.
8
2.
3
4
.
8
1
5
.
5
体重
(
kg)
斑
'
E斑
問問し削鵠血血血し
耐な問削下下下な
采出採
叩576
ミニチュアプードル
マルチース
マルチース
キャバリアキング
チャ ルズスパニエル
マルチーズ
9
マルチーズ
7
マルチーズ
パ0
マルチーズ
1
1M
ミニチュアプードル
6
マルチーズ
9
マルチース、
5
性別
凶寸
9
9M+
6
3
3
(
歳)
年齢
kuau、
JqunU 勺乙
、
r4
l
k
u
η
ζ
A t'
シェットランド
シーフ.ドッグ
マルチース
マルチス
マルチース
ミニチュアプードル
マルチーズ
マルチーズ
マルチース
種
﹁
斗
合
ロ
ロロ
表 5 ITP症例のプロフィール 、臨床検査所見および予後
011494953
q
u Dkdηdqu つ
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ι4
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白 日 日F
A Ru'P ︽
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u
n
J
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D 性 D性 D D性
N陽 N 楊 N N 陰
0510473
312 1312
0206
,っ
ι4
4
lnunノ﹄
一十++一十+
++一++十+
︾
T
表 6 ITP症例の予後
血小板減少のみ
(
n
=
1
1)
貧血を伴うもの
(
n
=
8
)
1カ月生存率
3カ月生存率
1年生存率
9
/
1
1
8
/
1
1
8
/
1
1
2
/
8
1
/
8
1
/
8
7
/
1
2
7
/
1
2
7
/
1
2
417
217
217
1
1
/
1
9
9
/
1
9
9
/
1
9
血小板数
>10x103/ド│
(
n
=
1
2
)
壬1
0x1
03/
μ
l
(
n
=
7
)
合計
表 7 ITP症例における自己抗体の検出
抗血小板抗体
(間接凝集法)
紫斑+
繁斑一
陽性
擬陽性
陰性
実施せず
4
5
4
6
。
3
4
。
4
2
9
3
6
6
3
4
直接クームス試験
貧血+
貧血一
4
2
2
3
抗血小板抗体
陽性
陽性
2
陰性
2
擬陽性
陰性
3
3
実施せず
K
、
1
ぞ
、
守
骨
今
4
見
、
個 実施
せず
5
*ND;実施せず
マルチーズ
2 マルチース・
3 マルチース・
4 ミニチュア
プードル
‘
5 マルチ ース
No. 品 種
6
3
3
10
4.
8
♀
♀
♂
♂
3
.
3
4
.
0
3
.
2
9
.
7
♂
年 齢 性 別 体 重(
k
g
)
なし
採血後の紫斑
突然の紫斑
(自然消失する)
なし
採血後の皮下出血
止血異常所見
230
340
207
375
404
5
.
9
ND*
6.
9
8
.
1
ND
25.
5
ND
2
1
.
1
18.
7
ND
十+
ND
血小板数
PT APTT 抗血小板抗体
間接凝集法)
(
x
1
03/
μ1
) (
s
e
c
) (
s
e
c
) (
表8
. 症例のプ ロフィール、臨床症状および止血凝固スクリー二ング検査
表 9 ITP症例における血小板凝集能
症例 No
2.5μM
63 お 90
円
正
4141
155
7f
円
U
A斗
二次凝集
二次凝集
二次凝集
371
R u q u A﹃
NO'
NO
NO
340
5ぃ
M
74 灯 92
275
一次凝集のみ
一次凝集のみ
二次凝集
一次凝集のみ
一次凝集のみ
10μM
ハ
nonO b
340
207
最大凝集率(%)
097
合未測定
凝集パターン
(AOP10μM)
32660
21611
12345
対照 1
対照 2
対照3
血小板数
(x103(
μ
1
)
表 10 ITP
症例犬血清の血小板凝集能
に及ぼす影響
ADP10μM添加時の最大凝集率(%)
No.
2
添加血清の希釈倍率
対照犬
1:
10
1:
5
0
1:
250
9
1
ND
85(
9
3.
4
)
78(
8
5.
7
)
9
1
76(
8
3
.
5
)
79(
8
6.
8
)
9
1(
1
0
0
)
()は対照に対する凝集比率(%)
(
x
I
OG/
μ
1
)
(%)
(
g
/
d
J
)
Hb
(
1μ
1
)
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N
e
u
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μ
1
)
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f
l
l
)
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t
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l
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(
g
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L
)
TP
キ
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2
0
1
9
6
.
6
34900
23380
80
7
.
8
0.
36
410
1
3
0
21
.2
0
.
9
6
.
7
0
29
9
.
9
17800
9080
120
7
.
0
0
.
8
1
363
87
9
.
2
1
34
1
1
.
8
16800
8740
534
7.
4
0
.
9
62
1
7
1
4.
4
1
.2
8.
4
0
.
7
6
1
8.
8
.
8
0
.
4
8
30
44
2
1.
4
1
.8
1
8
.
1
0
.
9
9
.
0
3
39
1
2
.
5
16700
7
.
0
7
31
9
.
8
23100
7weeks
1
0.
2
4
41
1
3
.
3
23100
B
e
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巴
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k
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W 巴巴k
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巴1
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1
U
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AST
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m
g
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d
l
)
A/G
RBC
PCV
B巴f
o
r
巴
Case2
Case1
表1
1 FIP症例における塩酸オザグレル治療後の血液学的推移
-~-~
~'--..__・\
図 1 健常犬における血小板凝集能
5
c
)エビネフリン凝集
10 m川
E
p
i濃度
100
r
_
_
_
_
_
_
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さ
60
様
緋
十
40
1
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一
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0.01μg/ml
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20
一
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g
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l
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5
10 (
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n.
)
図2 工ピネフリン添加による ADP凝集に及ぼす影響
100
80
ミ
史
60・ー
縦
十
桝 40
1
ま
20
0
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日0
2
叉
60
桜十
紙 40
録
5
10 min
図3 ミクロフィラリア陽性犬における
血小板の ADP凝集
60
5
Po
s・
m
f陽性犬 Ne
g.
:
m
f陰性犬
。
Neg
P
o
s
Po
s
P
o
s.
10 m
in
fロ ミ ミ
ADP2.5μM
図4 健常犬およびミクロフィラリア陽性犬に
おける 2
.5uMADP(こ対する血小板凝集
F
室
議40
さ~
80
100
60
80
猿
議40
~
、
o
100
。
投与前
10
投与後
ADP25μM
ADP凝集に及ぼすア スピリン投与の影響
図 5 ミク口フィラリア陽性犬における血小板の
5
ADP2.
5μM
10
目
1/
r
"
,
様
桝
ト
~'-
k
80
O
o
5
20.
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10 (min.
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5
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'
図 6 MR症例における ADPに対する血小板凝集能の評価
0
G
町込
Ml
I I低下例 NO.28
-----
II
低下何JN
I O.24
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九進例 NO.25
1
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5
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冗進例 NO.2
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一
一
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〆 沖 合町
正常例 NO.
7
o
i
│
100
図7 ITPの発症年齢および性別
圏
M剖e
3/19
~F抑制 16/19
Age 6.
3土 3.
2years
3
主
踏 2
。
喜
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2
3
4
5
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ye
a
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13
Williamse
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l
(
n=54,1984)
Age
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Male
Femal
e
7mon
1
h-14years
6.
25years
17/54 (31.5%)
37/54 (68.5%)
.a
l
Grindeme1
(n=48,1991)
Age
Male
Femal
e
7
.
0土 3.
7years
33%
67%
図8I
T
Pに認められた止血異常所見
a
:腹部に認められた点状出血
b
:内股部の紫斑
c
:前眼房の出血
図 9 採血後に認められた腹部の出血斑 (
No.
1)
戸
﹂ )OF
C一
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i
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6
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350
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9420
1050
1050
80
410
130
2.
4
1:1600
(
g
/
d
l
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μ
1)
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/
μ
1
)
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μ
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3
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μ
1
)
(
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)
(
I
U
)
(mg/dl)
(
%
)
(
x
1
06/
μ1
)
TP
Alb
α1-glob
α2-glob
s-glob
y-glob
A/G
7
.
8(
g
/
d
l
)
26.3 (
%
)
4
.
5 (
%
)
5
.
9 (
%
)
8
.
2 (
%
)
55.2 (
%
)
0.36
図 12 症例 1における初診時の血液検査所見
anti-FIPVAbt
i
t
e
r
RBC
Ht
Hb
WBC
Band
Seg
Lym
Mon
Eos
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a
t
e
l
e
t
ALT
AST
T
.
B
i
l
i
腹水は減少し 、腹腔内臓器の陰影カ昔、
明瞭となる
図 14 症 例 1における塩酸オザグレル投与 2週間後の腹部 X線 像
Case1A
f
t
e
r2weeks
腹水は完全に消失している
図 15 症例 1における塩酸オザグレル投与 2カ月後の腹部 X線像
Case1A
f
t
e
r2months
TP 7.
0g!
d
l
NG: 0.
8
1
A
f
t
e
r2weeks
TP 7.
4g
!
d
l
NG: 0
.
9
A
f
t
e
r5weeks
治療前に著明に認められたポリク口ーナルな高ガンマグロプリン血症は 2週間以後で
は認められなくなり 、A/G 比も正常化した
図 16 症例 1における塩酸オザグレル投与後の血清蛋自分画の推移
B
e
f
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r
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r
e
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t
1:800
anti-FIPVAbt
i
t
e
r
TP
Alb
α-glob
s
g
lob
y-glob
A/G
図 17 症 例 2における初診時の血液検査所見
(
x
1
06/
μ
1
)
(
%
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g
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μ
1
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(
g
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(mg/dl)
(mg/dl)
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U
)
(
I
U
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(mg/dl)
1
0
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2
4
1
13.
3
23100
9.
4
4
2
1.
1
.
8
30
43
0
.
9
RBC
Ht
Hb
WBC
TP
BUN
Cre
ALT
AST
T
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i
l
i
9.
4(
g
/
d
l
)
%
)
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%
)
4 (
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%
)
7
.
9 (
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%
)
43
0.
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腹水は消失し 、腹腔内臓器の陰影が明瞭に観察される
図 20 症例 2における塩酸オザグレル投与 3週間後の腹部 X線像
Case2 A
f
t
e
r3weeks
4g/
d
l
TP 8.
NG: 0.76
A
f
t
e
r7weeks
TP 8
.
6
g/
d
l
NG: 0.
72
¥
1
1
A
f
t
e
r16weeks
治療前に認められた高ガンマグロプリン血症を伴う高蛋白血症は治療後に正常化した
図2
1 症例 2における塩酸オザグレル投与後の血清蛋自分画の推移
TP 9.
4g/
d
l
N G:0.
43
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停車
宮司4
固有昔話
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