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1.はじめに 2.公的機関における標準化活動の整理
1.はじめに 平成12年10月に「建設情報標準化委員会」が設置され、当面標準化が急がれる4つのテ ーマについて、小委員会活動が開始されたところである。 本調査においては、公的な標準制定手順等の概要や、建設情報に関連する標準化動向を 整理し、その結果を受けて、建設情報標準化委員会およびJACIC標準部の位置付け を明確にし、その活動内容を検討することを目的とした。 2.公的機関における標準化活動の整理 (1) 代表的な国際標準化機関 世界の標準化組織は以下の3つの機関が代表的な公的機関であると考えられる。製造 業・サービス業に関係のある代表的な国際標準化機関としては、ISOの他にIEC(国 際電気標準会議)及びITU(国際電気通信連合)がある。それらの関係は図−1に 示すとおりであり、これに地域機関・国家機関がそれぞれ対応している。 ISO IEC ITU 表−1 ISO/IEC/ITUの役割分担 機関の性格 標準化対象分野 国際貿易の円滑化・促進のための 電気及び電子工学技術以外の産業 国際規格策定を目的。 分野(鉱工業、農業、建設等) 各国の代表的標準化機関から成る 電気及び電子工学技術分野 非政府間機構。 国際的電気通信網・サービスの確 電気通信及び無線通信分野 立及びその運営の調整を目的。 (標準化はその事業の一環) 政府間の国際機関。 (2) ISOにおける標準化手続き 1)ISOにおける6つの段階 ISOは正式名称を国際標準化機構といい、各国の代表的標準化機関から成る国際標準化 機関である。1995年に発効したWTO/TBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)で は、WTO加盟国が国家規格を制定する際には、ISOなどの国際規格を基礎とすること とされており、日本国内も当然この協定は適用されている。 ISO規格は通常以下に示す6つの段階を踏んで作成され、36ヶ月以内に国際規格の最終 案がまとめられることとなる。 [ NP ] → [ WD ] 新提案 WG原案 3ケ月 6ケ月 → [ CD ] 委員会原案 → [ DIS ] → [ FDIS ] → [ ISSUE ] IS原案 最終原案 9ケ月 18ケ月 発刊 2)ISO/TCと国内審議団体 ISO中央事務局への窓口としては、我が国のISO加盟機関であるJISCが位置付けられるが、 それぞれのTCに対しては、関係する分野の団体が国内審議団体となり、実質的な規 格審議を行っている。表−2には建設分野に係るTCと国内審議団体の対応を表し ている。 図−1 国際標準化機関の関連 表−2 建設分野に関連するTCと国内審議団体 TC 地位 幹事国 製図,製品の確定方法,関連文書 P スウェーデン (財)日本規格協会 (SC8)建築製図 P スウェーデン 建築・住宅国際機構 59 ビルディングコンストラクション P ノルウェー 建築・住宅国際機構 71 コンクリート,鉄筋コンクリート及び P 米 (社)日本コンクリート工学協会 P ベルギー (社)セメント協会 10 名 称 審議団体 プレストレストコンクリート 74 セメント及び石灰 石膏石灰学会 日本石灰協会 89 建築用木質パネル P 独 (社)日本建材産業協会 92 火災安全 P 英 建築・住宅国際機構 98 構造物の設計の基本 P ポーランド 建築・住宅国際機構 108 機械振動と衝撃 P 米 (社)日本機械学会 127 土工機械 P 米 (社)日本建設機械化協会 154 行政・商業・工業用書式及び記載項目 P スイス 日本情報処理開発協会 167 鉄鋼及びアルミニウム構造 P ノルウェー 日本鋼構造協会 182 土質基礎工学 P オランダ (社)地盤工学会 184 産業オートメーションシステム及びインテグレーション P フランス (財)製造科学技術センター (SC4)生産データ及び製造向け言語 P 米 (財)日本情報処理開発協会電子 商取引推進協議会 190 土壌の質 O オランダ (社)地盤工学会 195 建設用機械と装置 O ポーランド (社)日本建設機械化協会 205 建築環境設計 P 米 建築・住宅国際機構 211 地理情報 P ノルウェー 日本測量調査技術協議会 214 エレヴェーティングワークプラットフォーム P 米 (財)日本建設機械化協会 ※地位:我が国の参加地位を示す…P:積極的(Participation Member)参加 O:オブザーバ(Observer Member)参加 (3) JISにおける標準化活動の整理 JIS規格とは、日本工業規格の通称であり、工業標準化法(昭和24年6月制定)に基づ いて設置された「日本工業標準調査会」 (JISC)が認定する国家規格で、JISの制定 や改正などに関する審議をJISCが、事務局業務を経済産業省産業技術環境局基準認 証ユニットが受け持っている。規格化されたJIS規格は、JIS規格票として、(財) 日本規格協会から出版される。 JISC(日本工業標準調査会)は、JISの制定・改正・確認・廃止に関する審議やJISマー ク表示の対象となる品目の指定に関する審議などを行う機関であり、国際規格の審 議機関である国際標準化機構(ISO)や国際電気標準化会議(IEC)のメンバーとし て、閣議了解に基づき日本の代表として参加している。 IS O ( 国 際 標 準 化 機 構 ) IE C ( 国 際 電 気 標 準 化 会 議 ) 加 盟 メンバ ー J IS C ( 日 本 工 業 標 準 調 査 会 ) ○ J IS の 制 定 ・ 改 正 ・ 確 認 ・ 廃 止 に 関 す る 審 議 ○ J IS マ ー ク 表 示 の 対 象 と な る 品 目 の 指 定 に 関 す る 審 議 事務局 J IS 原 案 作 成 産 業 技 術 環 境 局 基 準 認 証 ユ ニ ット J IS 原 案 作 成 ○ J IS C の 事 務 局 業 務 J IS の 制 定 そ そ の 他 の 機 関 団 体 その の他 他の の機 機関 関・・・団 団体 体 J S A ( (財 )日 本 規 格 協 会 ) ○ ○ ○ ○ ○ ○ J IS 原 案 作成 ○ ○JJI ISS原 原案 案作 作成 成 J IS 規 格 票 の 発 行 J IS 原 案 作 成 J IS ハ ン ド ブ ッ ク の 出 版 月 刊 誌 (標 準 化 ジ ャ ー ナ ル )の 発 行 J IS マ ー ク の 認 定 図−2 JISCと基準認証ユニット、日本規格協会との関連 3.建設分野における標準化活動の整理 我が国の建設分野において標準化活動を行っている機関のうち、常設の標準化審議組織 やISOの国内審議団体としての役割を有し、かつ官民の情報交換に関連が深い取り 組みを行っている主要な4機関の活動内容や動向を調査して関係図を整理した。 (1) (社)日本建設機械化協会における標準化活動 日本建設機械化協会では、自らの団体標準を策定しながら、JIS作成・ISO作成にも貢献 しているのが特徴である。 日本建設機械化協会の団体規格(JCMAS)は、60∼70件程度ある。なお、JCMASで国際規 格になっているものは、JIS化するようにしており、それ以外を団体規格として取 り扱っている。制定されたJCMASの使用に関しては、資料のコピー代程度を徴収し ているのみである。