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「女子中高生理系進路選択支援事業」活動報告

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「女子中高生理系進路選択支援事業」活動報告
第5章
「女子中高生理系進路選択支援事業」活動報告
全国の大学において、理系部局における女性教員比率の低さが問題となっている。これは、特に工学部・理学部系
の部局において女子学生比率の低いこと、すなわち教員輩出のための人的資源の少なさに起因するところが大きい。
また、たとえ女子学生が理系部局に進学しても、学問分野でキャリアを継続するに当たって、身近にロールモデルが
いないため、具体的な将来像を描きにくいことも、女性教員の少なさの原因のひとつになっている。このように、理
系女子学生と女性教員の少なさが、互いに影響し合う悪循環が見られる。
この悪循環を断ち切るための方策として、名古屋大学では女子中高生を対象に、理系科目へ興味を深めてもらい、
理系進学を推進するためのイベントを開催した。本学は、本年度より実施された文部科学省「女子中高生理系進路選
択支援事業」に採択され、その一環として「めざせ女性科学者シリーズ 1 ∼ 4 」を開催した。このシリーズでは、女
子中学・高校生および保護者・教諭を対象とした公開講演会(2006年12月)を開催し、翌2007年 2 月には女子中学・
高校生対象の 3 つの公開授業(数学、化学、生物学)、中学・高校生の保護者・中学・高等学校教諭を対象とした理
系教員による個別相談会および合同懇談会を実施した。また,女子中学・高校生に広く女性研究者のロールモデルを
示すため、パンフレット「理系女性のワーキングスタイル」を作成し、公開授業の出席者や東海 3 県の中学・高等学
校を中心に配布し、女子中学・高校生の理系学部進学推進に努めた。イベントに参加した女子中高生からは、「理系
学部への進学を決めた」
、
「理系学部での勉強への興味が深まった」、「このようなイベントを今後も実施してほしい」
などの意見が寄せられ、女子の理系学部への進学推進において、一定の効果があったものと考えられる。
めざせ女性科学者 ―その 1 ―
森 郁恵 理学研究科教授 猿橋賞受賞記念講演会
「ミクロの世界に住む小さな生き物から動物行動の原理をさぐる」を開催
男女共同参画室では、大学院理学研究科教授である森郁恵氏の猿橋賞受賞記念講
演会を、12月20日(水)
、名古屋大学 IB 電子情報館東棟 2 階大講義室において、文
部科学省「めざせ女性科学者ー女子中高生理系進路選択支援事業」の一環として開
催した。森氏は、
「感覚と学習行動の遺伝学的研究」に長年携わり、小さな線虫を用
いて、記憶と学習の神経メカニズムを研究し、多数の優れた研究成果をあげてきた。
その成果により、森氏は優秀な女性科学者に与えられる猿橋賞を受賞され、さらに
自然科学分野で顕著な業績を挙げた研究者に授与される井上学術賞受賞も決定され
たところである。
線虫は、餌のある条件で培養してから餌の無い条件で温度勾配の場に移されると、
それまで餌のあった培養温度に集まる温度走性を示す。森氏は、このモデルを使い、動物の記憶・学習に結びつく神
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経回路を提唱し、さらに温度走性に関与するシグナル伝達経路や、神経回路機能の鍵となる分子を発見してきた。こ
れら一連の研究は、線虫の分野に留まらず、感覚や学習行動の分子神経遺伝学的な研究として国際的に非常に高く評
価されている。講演会には、
本学関係者に加え、
女子中高生及びその保護者が参加し、熱心に森氏の講演に聞き入った。
講演会後の森氏を囲んでの懇談会では、名古屋大学の女性科学者も多数加わり、女子中高生、学生・院生からの相
談を受けるなど、和やかな雰囲気ながらも熱心に研究や進路について語り合う姿が見られた。実際、参加者からは今
後の進路を決定するうえで大変参考になったとの声が聞かれ、また女性科学者ロールモデルを示すことができたとい
う意味でも、この講演会は彼女らにとって有意義な機会となった。
めざせ女性科学者 ―その 2 ―
「科学しようよ!」―女子中高生のための名古屋大学理系女性教員による公開科学講座
本学男女共同参画室では、本年度、文部科学省「女子中高生理系進路選択支援事業」の一環として「めざせ女性科
学者」シリーズを開催した。その第 2 弾として、おもに中学 3 年生∼高校 2 年生の女子生徒を対象とした、下記の公
開授業を、平成19年 2 月10日(土)13:30∼15:30に開催した。
公開授業 1 (数 学)
:
「数学の旅に出かけよう!」伊藤由佳理(多元数理科学研究科講師)
公開授業 2 (化 学)
:
「化学は暗記じゃない!∼化学で新しいモノをつくる∼」山本智代(工学研究科講師)
公開授業 3 (生物学)
:
「ホルモンが行動を変える?!」束村博子(生命農学研究科助教授)
これらの公開授業には、東海 3 県下の女子中高生とその保護者や中高教諭など総勢98名の参加があり、活気あふれ
る授業や実習が展開された。
また、同日の15:00∼16:00には、野依記念学術交流館において、めざせ女性科学者−その 3 −として、中高生の
教諭及び保護者との個人相談会を、また、続いて16:00∼17:00には、同交流館において公開授業を終えた女子中高
生も交えた合同懇談会を開催した。
個人相談会には、理系(理学研究科、工学研究科、生命農学研究科、多元数理科学研究科)の研究科長及び副研究
科長をはじめ、学内の教員が対応し、中高生の保護者及び教諭からの、今後の志望進路等の相談に応じた。
合同懇談会には、女子中高の教諭及び保護者の方の他、公開授業を終えた女子生徒も参加し、また、本学の男女研
究者、学部学生、大学院生も多数加わり、総勢約100名の参加者により、和やかな雰囲気のなかで懇談の場が持たれた。
参加した女子中高生からは「大学のことがよく分かったので参加して良かった。」「名大目指して頑張ります。」との
声も聞かれ、成功裏にすべてのイベントを終了した。それぞれの公開授業の様子や、懇談会の詳細について本報告書
に掲載した。
公開授業Ⅰ(数学)報告 『数学の旅に出かけよう!』
多元数理科学研究科 伊藤 由佳理
授業内容
2 月10日(土)理学部 1 号館309号教室にて、
参加者37名(中 2 : 2 名、中 3 : 2 名、高 1 :22名、高 2 : 2 名、保護者 6 名、教諭 3 名)
13:00∼ 準備開始(伊藤・中井・木村・小林)
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13:15∼ 受付開始(中井・木村・小林・浅井)
数学に関するポスター(多元の教員が NHK 文化センターで講義した数学史
などの資料)を掲示し、受付を終えた人に閲覧してもらった。
13:30∼ 講義(伊藤)と演習(中井 D・木村 D・小林 M)
受付で配布したテキストを用いて講義・演習をした。
*身近に存在する数学
*歴史上の数学者の紹介(数学者になるまでの話、数学的業績、女性数学
者の話、数学に関する賞の話、日本のフィールズ賞受賞者など)
*数学的なものの見方について(同値関係の例を考えてみよう)演習(TA)
*群論入門(幾何学的対称性を代数的にあらわす方法)に関する解説
15:15∼ 懇談(伊藤・中井・木村・小林・浅井 4 )
すぐには質問が出ない雰囲気だったので、まずはアルバイトの学生に自己
紹介をしてもらった。なぜ、いつ、数学科に行こうと思ったか、とか、こ
れからの進路について語ってくれた。すると、保護者や学生からたくさん
質問が出た。
*女性で得したこと、損したことは?(保護者)
*理系・文系を選択する際、どう考えたか?(高校生)
*研究者になるまでの過程について(中学生の保護者)
*理系の人と、文系の人の違いを感じるか?(高校生)
就職活動を終えたばかりの学生が、理系・文系よりもどういう人間かを問
われることの方が多かった体験談を話してくれた。自分のいま興味がある
こと・やりたいことをやればよい、というアドバイスに感激した高校生もいたようである。(参加者の感想文参照)
15:45∼15:50 計算用紙があまっていたので、感想を書いてもらった。
スタッフ&御協力頂いた方
公開授業講師:伊藤 由佳理(多元・講師)
公開授業アルバイト:中井和香子(多元 D3)
、木村杏子(多元 D1)、
小林五月(多元 M2)
、浅井揚子(数理 4 年)
公開授業へのポスター提供:木村芳文(多元・教授)、宇沢達(多元・教授)、
菅野浩明(多元・教授)、落合啓之(多元・教授)
公開授業の写真撮影:藤野有希(多元の卒業生)
、森田祥子(多元の卒業生)
合同懇談会出席(理学部)
:近藤孝男(理学・研究科長)
、福井康雄(理学・教授)
金銅誠之(多元・研究科長)、土屋昭博(多元・教授)
アルバイト学生&私の感想
◎大学の数学を中高生向けに話すということがとても興味深く、また、勉強になった。何より、資料がとてもキレイ
で読みやすかった。また、例や裏話が満載で、 1 つ 1 つの話に興味を持った。自分も、伊藤さんのいろいろな技を取
り入れて、これからステキな発表をしていきたい。
M2( 4 月から予備校講師)
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◎この公開授業を聞きに来るのは、数学に興味があって理系に進学したいと思ってい
る生徒ばかりだと思い込んでいたので、そうでなかったことに驚きました。しかし、
文理選択に悩んでいる生徒が多かったことは、本来の趣旨にあっていたと思います。
そして、理系に進んだ先に何があるのかを示せたのではないでしょうか。
文理選択は女子生徒だけでなく男子生徒も悩むことだと思うので、男子生徒にもこ
のような機会があるとよいと思います。男女関係無く自分の好きな道を選んでいって
欲しいと思います。
D1(研究者志望)
◎問題意識を持った生徒が多く、話していて感心しました。文系・理系というイメー
ジが先走りすぎて、自分のやりたいことを見失いがちな子がいたのが少し残念です。医学部の話を詳しく聞きたい子
がいたので、次回は医学部の方たちも一緒に参加できるとよいと思いました。
学部 4 年( 4 月から名大職員)
◎中高生のニーズが何なのか、よく分かっていなかった。彼女たちは、文系と理系をどちらにしようか、迷っている
ようだった。質問を聞いたり話をしたりすることで、初めてそれが分かった。
あまり数学という分野にとらわれず、どのように進路を選んで、例えばどういう理由で大学進学を決めたのかとか、
そういうことも話してもよかったのかもしれない。
人生の分岐点に立つとき、
伝記や、
現に活躍している人や、
身近な人の生き方を見て影響されていくものだと感じた。
D3( 4 月から中高一貫校の数学教諭)
◎当日までどんな授業になるか見当もつきませんでしたが、とても楽しい授業になりました。講義内容は、これまで
の女子学生エンカレッジセミナーや高校生向けの公開講座、SSH での講演をもとに準備しましたが、数学的な内容
よりも数学の考え方や、数学者の紹介をしました。中高生の講義を真剣に聞く眼差しや、演習問題を一生懸命考える
姿も新鮮でしたが、母娘で楽しく議論する姿も魅力的でした。質問を通じて中高生よりもその親たちが「男は理系、
女は文系」の考え方を強く持っていることが垣間見られました。しかし、私や女子学生たちの話を聴いたことで、理
系を身近に感じてもらえたような気がします。なお今回手伝ってくれた女子学生たちはみな、数理・多元のレディー
スランチ&女子学生セミナーの参加者であり、とても協力的で助かりました。更に多元の卒業生 2 名が当日会場に駆
けつけてくれて、写真をたくさん撮るなど手伝ってくれたことがとても嬉しかったです。
講師 伊藤 由佳理
参加者の感想
1 . 数学は好きで、究めてみたいとは思うので、大学で理数系に入れたらいいと思いました。まだ中学生で考える時
間はあるので、後悔しないような進路になるといいです。
2 . 数学的な視点と普段私が持っている視点の違いを少し感じました。数学は私も好きな教科のひとつなので、興味
があるけれど、将来のことも含め『孤独』というところに不安を感じました。
3 . 大学の数学に少し触れることができ、参加してよかったです。又、大学での数学や大学院での数学の厳しさなど
を知ることができ、もっといろいろなことを調べてから将来のことや進学先のことを決めなければいけないなと
思いました。厳しい現実を知った後でも、もっと数学のいろんなことが知りたいという気持ちが強いです!!私
は名古屋大学の理学部志望なので、これに参加したのですが、参加してとてもよかったです。今日はありがとう
ございました。
4 . 数学はやっぱり面白いと思った。話を聞いて。大学で習ったことと就職活動とは関係ないときいて、今自分が好
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きでもっと勉強したいと思うほうへ進めばいいと思えました。来て良かったと思います。
5 . いろんな用語がでてきて、ちょっと難しかったと思いました。仮定をとばして話を聞くのは難しいことだと思い
ました。
6 . 今までとは違う視点で数学と向き合うことができたかなと思います。女性に理系が少ないというのは差別したつ
もりではないです。スイマセン。
7 . 今日は数学好きの娘(高 2 、中 3 )の代わりに出席しました。私自身も数学大好きで寝食を忘れるほど没頭した
ころがなつかしいです。娘たちにもぜひ好きな数学を続けさせたいと思います。理系は女性が少なく親としてセ
クハラとかパワハラとか心配な点はいろいろありますが、すてきな先生や先輩方を見習ってがんばってほしいと
思います。ありがとうございました。
8 . 数学はやっぱり面白いと思った。
9 . 数学をいろいろな観点から見ることができて興味深かった。生活の中で身近なところで数学的な見方ができると
いうのは楽しかったです。
(保護者)
10. 数学者が 1 日何をしているのか、がよく見えてこなかったので、具体的な生活など、聞けばよかったと思いまし
た。なぜ女性研究者が少ないのかわかりません。
11. 大学での数学がどんなかんじなのか ほんの少しだけ分かった気がします。どちらにしても机上で考えることが
好きな人に向いているのかなあと思います。
男性女性に関係なく好きなことをとことんやってみるということが、
その先に何か見えてくるのかなあと思いました。今日はありがとうございました。
12. 私は最後の120度に動く正三角形の図形に似たようなものをやりました。その時やっていたことを忘れていまし
たが、ふとそのことを思い出しました。そして、どうしてだろうと思っていました。今日の授業を聞いて、ほん
の少しですが、分かったのでよかったです。今日学んだことは、今すぐには使えないかもしれないけど、後々で
思い出して、使っていきたいです。
13. 改めて数学のおもしろさを感じることができました。それに歴史上にいた数学者たちについて、とても興味をも
つことができました。私は今、臨床工学師になることを目指しているのですが、この夢に向けて、今日学んだこ
とを活かしてがんばりたいと思いました。
14. 私は今高校 1 年で、来年理系に行こうと思っています。数学が得意
ではないし、計算も遅いのですが、医学部へ行きたいので数学を頑
張ろうと思います。同値関係って始めはわからなかったのですが、
「家族」
「クラスの人」などの具体的な例をあてはめたら、「なるほ
ど!」と面白いなあと思いました。私たちの高校には理系クラスが
1 クラスしかなく、来年度の 2 年生の理系は約40人のうちたった 6
人が女の子です。数学が得意なわけじゃないけど、夢を叶えるため
に、理系クラスで頑張ろうと思います。文理選択など、貴重なお話
を聞かせていただきありがとうございました。
15. 数学の楽しみは分からないことがあるからこそだと思いました。私
は数学が苦手ですが、この講義を聞いて頑張ってみようと思いまし
た。これからもっと数学を考える時間を作ってみるつもりです。今
日はありがとうございました。
16. 私は将来研究者になりたいと思っていて、親に話をしたのですが、
研究者になってどうするの?とか就職は?と言われてしまって、ど
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うしようかなーと思ったのですが、今日就職先が書いてある紙を見たり、みなさんの話をきいて、他の職業をし
ていても自分の研究を続けている人もたくさんいることがわかり、やっぱり何か研究したいなあと思いました。
17. 一言で言うと、とてもわかりやすかったです。私は将来理系進学をしたいので今回参加しました。はじめは数字
がたくさんでてきてややこしい証明とかをする授業なのかなと思っていて少し不安だったんですが、イメージと
かなり違っていて驚きました。しかも本当に勝手なイメージなんですが、先生はすごく厳しい人だと想像してい
たので、そこも驚きました。逆にとても優しい先生だと感じました。これからも数学を頑張っていこうと思いま
す!!
18. 今まで数学はあまり好きではありませんでしたが、講義や学生の方々のお話を聞いて、少し数学が面白いと思い
ました。今やれることを精一杯やって、まだ自分のやりたいことは見つかっていないので、何かのきっかけで見
つけて、頑張っていきたいと思います。
19. お話すごくおもしろかったです。就職に理系と文系があまり関係ないということをきいて、少し驚きました。数
学の研究は、孤独で、評価されにくいということを聞いて、数学の難しさみたいなものを改めて感じさせられま
した。今日のお話を学校の数学などにいかし、これからも楽しく数学と向き合っていきたいです。
20. 今回の講座に参加したいと思ったのは、自分が理系に進学( 2 年生から)すると決めたからです。結局大学の数
学とはなんなのだろうか、という疑問もあったからかもしれません。私は正直、数学の全てを好きになることは
できませんが、いつもの学校の授業よりも少し難しい問題を解けたときの嬉しさは何度味わっても忘れることの
できないすばらしいものだと、今回の講座を受けて改めて思いました。
21. 今日の公開科学講座に参加して、数学は自分がやりたいと思わない限り、何も始まらないのだなあと感じました。
女性だからといってあまり区別されないことがわかって、これから先のことを広く考えられそうです。文系・理
系は就職の面であまり変わらないということが知れて良かったです。
22. 今日の公開授業をきいて、数学での自分の視野が広くなったように感じました。数学は今まで自分は複雑なもの
だなあと思っていたのですが、今回授業を聞いて、数学は意外とおもしろいんだなあと思いました。これから私
は理系に進むので、数学は重要な教科になると思います。その数学では、今日、授業できいたことを生かしてい
きたいと思います。
23. 二次曲線や群については最近少し勉強し始めたところだったので、
理解が深まってよかったです。今ある定理は、
多くの数学者が苦労して証明した結果だということもわかりました。本当に楽しい講義でした。ありがとうござ
いました。
24. 数学的に分けると、ドーナツとカップが同じ分類になるという事がとても意外でした。学校で教えられている定
理などを私達はただ覚えているだけで、根本から理解していないのもあるという事に気付かされました。数学者
達が長い時間をかけて証明したものなのだから、今後はちゃんと理解していきたいです。今日はありがとうござ
いました。
25. 普段なら聞けない変わった(?)数学の話をいろいろ聞くことができて、とても興味深かったです。前から、理
系の道に進めたらと思っていましたが、今日の講義や質問会を通じて、その気持ちが高まっていったのを感じま
した。数学らしくないなと一瞬思ったところでもその発想がとてもおもしろいものだったので驚きました。この
経験を将来役立てていけたらなと思います。今日は本当にありがとうございました。
26. すごく楽しかったです!自分の知らないことを知ることができ、新しい考え方をすることができました。質問に
も詳しく対応して下さり、理系と文系を決めるのにも参考になりました。これからしっかり考えて、今、自分が
楽しいと思えることを探して進んでいきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。(高 1 )
27. 数学を研究する人が、どんなふうに物を見て、どうやって、公式や定理を作っているのかが分かりました。私は
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今やっている高校の数学は本当に苦手で、でも中学の時は、図形の問題などは、クイズのようなかんじで聞いて
いたので、自分自身でも嫌いだとは思っていないので、今回の講座を聞いて、大学に入ってから好きになったと
いう方もいたので安心しました。
28. 今までの授業で習ってきたものと考え方が大分違ったので戸惑いましたが、面白かったです。先生や院生の方々
はとても数学が好きなようだったので、大学の数学は今のものよりもっと素敵なものなんだろうかと思いました♪
29. 私も先生と同じように建築の方に興味を持ってます。今日、この授業に参加させてもらったのは、単に他の所が
いっぱいだったからなんですけれども、来て良かったと思いました。数学は嫌いではないのですが、いや、むし
ろ好きな方なのですが、最近難しくて嫌になりかけてました。でも、ここに来て、先生方の話を聞いて、改めて
面白さがわかった気がします。デザインするのとかも好きなんですけど、これも数学と関わりがあって驚きまし
た。ありがとうございました。どこの学科かは未定ですが、もし名大に入学することができた日が来てくれた時
には、宜しくお願いします。応援してくださいね!
30. わかるまでは意味不明でも、一度わかると楽しいと思えるというのが、やっぱり数学は楽しいなと思った。
31. いろいろ変わった話が聞けてよかった。学生の人の話がよかった。自分も文系か理系か迷ったけど、自分のやり
たいことをすればよいと聞いて安心した。
32. 何故ドーナツとコップが同じ形になるのか興味を持ちました。今、学校で先生と友達と 3 人で相対性理論のゼミ
のようなものを自主的にやっていて、すごく楽しいです。その集まりで幾何学に興味を持ち、今日の講義で数学
を選びました。これからも数学の楽しさを発見していきたいです。
公開授業Ⅱ(化学)報告 『化学は暗記じゃない! 化学で新しいモノをつくる』
工学研究科 化学・生物工学専攻 山本 智代
1 .授業概要
・現在の研究の紹介(キラリティーの話、右手・左手、サリドマイド、医薬品の生理活性の違いなど。分子模型、グ
ローブ・軍手などを使って。
)
・身の周りの高分子材料について、実際に材料をまわしながら、その仕組みについて解説(光ファイバー、人工腎臓・
血管、モルフォチョウの羽(実物)とそれを真似た繊維・布、合成皮革、同じ原料からできている跳ねるボールと
跳ねないボール、等)
・工学部について、名大工学部の紹介、化学の役割について
・学生実験室にて、実際に高分子材料の合成を体験(温度応答性高分子ゲルの合成(ポリ N- イソプロピルアクリル
アミド)と温度に応答する様子の観察。高吸水性ゲルを使った吸水実験)
・研究室見学(工学研究科化学・生物工学専攻 応用化学分野 上垣外研究室(工学部 1 号館 9 階)。
2 .出席人数
・高校生22名 保護者 2 名 高校教員 4 名
・中学生 3 名 保護者 1 名
・小学生 1 名 保護者 1 名
・当日飛び入り参加の高校生 1 名
・計35名(生徒27名、保護者 4 名、教員 4 名)
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3 .授業詳細、様子など
・化学を身近に感じてもらうこと、また、内容の理解よりも「何だかわからないけれど面白い、不思議、もっと知り
たい」と思ってもらえるような授業を心がけた。
・実際に自分の手を動かして授業に参加してもらうため、高分子材料を順に回して触れてもらったり、分子模型を組
み立ててもらったりした。光ファイバーの一端を文字にあてるともう一端から字が読める不思議には、みな驚き、
見えた瞬間のびっくりする様子で光ファイバーが今、どこを回っているのかが教壇からもわかるくらい程であった。
また、青く輝き見る角度により色相が変化するモルフォチョウの羽(鱗粉)の構造を真似ることで、色素を使わな
くても同じような色や輝きを発する繊維(布)が作れること、鹿革の構造を真似ることで同じような手触りの布が
作れることなど、自然を真似ることで新しく面白い材料を作り出せることにも、興味を持ってもらえたようだった。
・ラップの材料、おむつの吸水材料、レンジで温められるお弁当箱など、身近に存在する材料を作り出せる化学の魅
力や、身近な材料を作り出すのに女性の感性を活かすことができること、決して化学、理系が女性に向かない分野
ではないと話したところ、出席者は皆、目を輝かせて聞いてくれた。
・実演の失敗などハプニングにも見舞われたが、何度も笑い声が起こる和やかなムードで、中高生も保護者も楽しん
で参加してくれたようだった。
・将来、 5 年後、10年後に、参加した生徒さん達が自分の仕事について笑顔で語れる日が来ることを期待して、講義
の部を終了した。
・温度応答性高分子を作る実験は、安全を考えて実験室に移動。より身近に感じてもらうために、TA により説明、
実演してもらった後、希望者を募り、白衣、安全メガネを着用し実験してもらった。全員に実験に参加してもらう
時間がなかったのが、少し残念だった。
・なかなか見る機会のない実際の研究室を見学してもらった。TA に引率してもらいながら、見たこともない有機合
成装置や分析装置に興味深く見入っていた。
4 .全体を通しての感想など
・参加してくれた生徒さん達、特に小学生の目の輝きに、私も TA も身が引き締まる思いだった。大学生と接して
いて感じるのとはまた違った、
「とにかく化学が好きだから、理科が好きだから」、という純粋で無垢な好奇心をひ
しひしと感じ、この目の輝きをいつまでも持ち続けて欲しいと強く思った。
・保護者や付添教諭の方々から、生徒さん達にとってとても良い経験になったこと、このような機会をもっと増やし
てもらいたいことなどの感想をいただいた。授業中に使った教材についての問い合わせも頂き、実験最中もメモを
取られるなど、付添の方々の熱意も感じられた。
・今回の企画には TA の女子大学院生も喜んで参加してくれた。お願いした以上の働きをし、自ら「こんなふうに
したら」と工夫して動いてくれた。TA として採用しなかった修論間近の M2の学生までもが「手伝いたい」と申
し出てくれた。参加した女子中高生はもちろん、TA にとっても「昔の自分、今の自分」について考えることので
きる貴重な経験になったようだった。感想は〈別紙〉へ。
・懇親会では、他の授業への参加者とも話をする機会を持つことができ、みな、この企画に参加できたことをとても
喜んでいた。中には、
「高分子を学びたくなったが、具体的にどんな大学が良いですか」との質問も頂いた。夏に
工学部の 1 系で開いている「夢化学21」という高校生が研究室で実験をするイベントへの問い合わせも頂いた。
・女子中高生の期待に添える授業であったかどうかわからないが、化学(科学)、理系への興味をより高めてもらえ
た実感もあった。懇親会へは研究科長クラスの参加もいただき、学内でも学外でも、理系女性を応援する意識を高
めることができたと思う。関わられた関係者の皆さんのご尽力に深く感謝しつつ、このような企画をまた設けて頂
けることを切に願う。
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〈参考資料〉
女子中高生理系進路選択支援事業公開授業に参加して
∼ 女子大学院生の感想(公開授業 Ⅱ より)∼
【女子大学院生 1 】
女子中高生の皆さんが、何かしら化学に興味を持ってくれていることがわかってうれしかったです。話してみて、
純粋に化学が好きなんだなぁって感じました。将来のこととかを考えて公開授業に来ている子もいて、しっかりと自
分の進む道を考えているのだなぁと感心しました。
授業や実験の感想を聞くと、おもしろかったとか、なんであんなことが起こるのか不思議だった、化学やってみた
い、など、うれしい言葉がたくさん返ってきました。実際に実験をみんなの前でやった身としては、本当にうれしか
ったです。あと、先生のご苦労が少しわかりました(笑)
ちゃんとした準備も整わないまま、みんなの前でしゃべってしまったし、実験もあやしい雲行きだったので、必死
でしたが、
私にとってもとても良い経験になりました。実験を見て目を輝かせている女子中高生たち(小学生の子も)
は、院生の私にとって新鮮でした。
大学生活については、ずーっとひたすら勉強してるのかと聞かれて答えに困ることもありましたが、せっかくの学
生生活だし、時間の余裕があるのは学生のうちだけだからと、いろんなことをやってみるといい、ということを伝え
ました。大学生っていうものが、あまり想像がつかない様子だったので、できる限りは雰囲気が伝わるように話しま
した。
【女子大学院生 2 】
お手伝いできて楽しかったです。
中高生に今の話を聞くと、ほとんどが理系コースに進学を決めた子だったのですが、どんどん数学や物理が難しく
なって付いていけるか不安だ、という言葉を聞きました。
工学部と聞くと、機械だったり電気系だったり硬いイメージを持っている気がしました。化学系や建築系もあるけ
れど、工学部とはあまり結びついていない感じがしました。またどんなところに就職するのかというのも想像がつか
ないようです。
【女子大学院生 3 】
○理系志望女子中高生を取り巻く現状についての情報
女子校の学生さんと話した時にそこまで理系、文系という意識はないのかなと感じました。
○理系志望女子中高生の心配や不安、あるいは期待
工学部と理学部の違いがよくわからないということ。また、理科の先生になりたいという学生さんもいました。工
学部では理科の先生になれないという情報を提供しました。が、とてもがっかりしていて申し訳ない気持ちになりま
した。
○保護者の心配や不安、あるいは期待
女の子が理系に進むと就職先がないのではないかと心配されていたお母様がいらっしゃいました。そんなことはな
く、学部によっては推薦があるというお話をしました。学生さんは社会環境学部の建築志望とのことでした。
○今回の企画について、お気づきの点、その他何でも。
TA として楽しく参加させていただきました。今回参加していた学生さんは理系に対して関心が高い子が多く、自
分の高校生の頃はこんなんではなかったなぁと思ったりもしました。
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予定していなかった懇親会に参加したいといってくれた子たちが多くでたのはケーキの力もあったかと思います。
じっくり話をすることができた懇親会に参加者が増えたのはとても良かったと思います。(講義中、そして前はなか
なかゆっくり話ができなかったので)
【女子大学院生 4 】
私自身、学校で習う科目のうちでは化学が好きで、この道へ来たけれど、理系の世界は、よくも悪くも教科書やテ
ストの成績だけが全てじゃないんだと、気づいたのはやっぱり実際に研究室に入ってから。
講義や懇親会に参加した子たちと話したとき、意外とおおきな希望や志を持って理系を目指している子を見つける
ことができました。理系大好きや、これからの道を迷っている子もいました。
彼女たちには、よっぽどお母さんが研究者だとか大学の先生だとかでないかぎり、実際にどんな世界かは見えてい
ないはず。でもなんかわかんないけど勉強するなら理科が好き、数学が好き、化学が好きという気持ちがちょっとで
もあるなら、きっとこれからの道を選択するには十分な理由になると改めて感じました。
私みたいに何も考えていない子ほど、実は簡単に理系を選ぶのかな。だって好きなんだもん、という具合に。好き
だけど、ちょっと怖い、どんな世界なのかな、といろいろ考えてしまう子たちにとって、ああいう場はとても大切な
んだろうと思います。今までにも、迷ってよくわからずに理系に進むことをあきらめてしまった人も多いのかもしれ
ない。取り除ける不安を取り除いていけば、きっともっと理系を志す人は増えるんだろう。もともとの脳のつくりに
おいて男女差はあるにしても。
私たちも、先輩として話をしてあげたり、逆に今の女子中高生の話を聞いたりして、個人的にも得るものが大きか
った一日でした。
公開授業 Ⅲ (生物学)報告 『ホルモンが行動を変える?!』
束村博子(生命農学研究科助教授)
公開授業 3 の「生物学」に関する公開授業は、おもに中学 3 年生∼高校 2 年生の女子生徒を対象とし、平成19年 2
月10日(土)13:30∼15:30に、講師が所属する生命農学研究科の学生実習室で開催された。
この公開授業には、
たくさんの方から事前申し込みがあったが、実習室の広さや、動物実験を行うための特殊性から、
どうしても人数を制限せざるを得なかった。当日は、22名の中高生徒と 5 名の高校教諭と保護者に参加があり、大変
熱気にあふれる公開授業を展開することができた。別紙(公開授業テキスト)を用い、講義よりも動物実験に重点を
おいて実習を進めた、まず、生徒の皆さんの印象に残ったのが、実際に自分の手で動物を取り扱うという体験のよう
であった。ただ授業を聞いたり、教科書を読んでいるだけでは得られない、感動や驚きを持って公開授業にのぞんで
くれたようである。また、動物実験は、私たちが日頃使っている薬や化粧品などの開発になくてはならないものであ
り、私たちの安全で健康な日常生活を送るために役に立っているという話が、とても印象深かったようある。女子中
高生の皆さんが、この「ホルモンと行動」に関する実習を、どのような思いで参加しくれたかについては、以下の感
想が物語っている。
―公開授業の感想―
こんなに本格的な実験をできると思っていなかったので、びっくりしました。
(ただ講義を受けさせていただくだけだと思っていたので。)動物を使う実験も初めてだったのでドキドキしました。
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大学に入ったら、もっといろいろな実験ができるかと思うと、ま
すます夢がふくらみました。今、私は高 2 なので、大学に入って
いろんな実験できるよう、しっかり勉強して名大農学部に入学し
たいとあらためて思いました。これからもこのような企画をして
欲しいです。オープンキャンパスでは、実際どんなことをやって
いるのかあまり実感できないので、こうやって公開授業をやって
いただけると、とてもよく分かって、目標もうまれました。これ
からの子たちのためにも、ぜひ公開授業をやっていただけるとい
いと思います。今日はありがとうございました。楽しかったです。
(高校 2 年)
昔ふぐを食べた人の話で、ふぐのいろいろな部分をいろんな人
が食べて死んでしまったこともあって、その過程でふぐが食べら
れるようになった話を聞いたことがありますが、今日のラットや、
マウスも死んでしまうことによってまた新しい命がはぐくまれる
ことの役に立つことは、悲しいことかもしれないけど、しかたの
ないことかもしれません。でもその死は決してむだになることな
く、私たちの生命の役に立っています。ホルモンも、一つ一つが
体の中にいっぱいあってそれがいろいろ作用し合っているのだけれど、そのホルモン一つでこうもいろいろな作用が
あることにはとても驚きました。またこういう機会があったらおもしろいと思います。今日は本当にありがとうござ
いました。
(高校 1 年)
初めてのことばかりで、最初はどうしようと思ってしまいましたが、本格的な実験ができてすごく楽しかったです。
今日の実験を通して、動物の体のしくみは考えられないほどすごく複雑で、その上になりたっているんだって感心し
てしまいました。実験中にマウスが死んでしまったのはとても残念で、動物実験するのはとても大変なんだと思いま
した。これからもっと勉強して、大学生になって色々な研究をしてみたいと思います。今日は本当にありがとうござ
いました。
(高校 2 年)
過日、 2 /10の個別相談・懇談会に参加させていただき、本当にありがとうございました。希望している放射線科
を、職業としてだけ見ていた私ですが、研究材料として、未来に向かうのも選択肢の一つと教えていただきました。
近寄り難いなぁと実は思っていた名古屋大学ですが、皆様が暖かい言葉を一杯くださって、びっくりしました。また、
今日からがんばります。おいしいケーキとサンドウィッチ、ごちそう様でした。重ねてありがとうございました。
(高
校 2 年)
今日は、貴重な体験をさせていただきありがとうございました。
簡単そうに見えるマウスへの注射も自分でやってみると結構難しいことがよく分かりました!!マウスは 2 つの注
射をしたせいでかかなり弱ってしまって、終わる時には、死んでしまっていたのでとてもかわいそうだと思いました。
でも死んだ分私達に何か大事なものを与えてくれたと思います。ラットの実験も結構面白かったです。雄のほうが中々
雌に仕掛けてくれないのが残念でした…でも仕掛けた時の反応は、すごく分かりやすいものでした。動物は、命に変
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えて私達にいろんなことを教えてくれるのでもっと生き物を大切にしなければいけないと改めて思いました!!また
今日のような貴重な体験をさせていただき本当に楽しかったです。またこのような機会があったら参加させていただ
きたいと思います。
(高校 2 年)
マウス、ラットを使った実験は大変わかりやすく、将来農学部に進学しようと思っている私にとってはすごくよい
体験になりました。生きた動物の命の大切さ、日頃からの感謝の意なども学ぶことができました。講演の後の相談会
では、ケーキも用意していただいてすごく美味しかったです。農学部の先生や理学部の学生方には大学のことなどい
ろいろなことを聞くことができ、進路を考える上でとても勉強になりました。これからも勉強をもっと頑張っていき
たいと思いました。楽しかったです。ありがとうございました。またこのような機会があれば参加したいと思います。
(高校 2 年)
「インスリンが血糖値を下げる」という、体の中での反応を、自分の目で確認できた事がとても嬉しかったです。
自分も含めた動物の体内、身の回りの自然で起きている現象を扱うところが生物学の好きなところです。もし、この
講座をうけていなかったら、私は動物実験に対して、マウスが可哀相という気持ちで生活し続けたかもしれません。
講座をうけて、飲み薬や洗顔料などを安心して使っていられるのはこのような実験があってこそなんだなぁ、と思い
ました。
もともと名古屋大学農学部志望で今回の講座に出席しました。
農学部方面に進む女子が回りにはまだ少ないけれど、
今回の講座をうけて、今日みたいに身近な現象を理解できる感動をもっと自分は味わいたい!!と強く思いました。
今回参加できたことを本当に嬉しく思います。
(高校 2 年)
私は大学に行ったことがなかったので、大学を知る良い機会にもなりました。私はホルモンについて、あまり理解
しておらず、学校の授業でも詳しく習っていなかったのでその働きや重要性を知ることができました。公開授業も一
度も参加したことがなかったので、堅苦しいイメージでした。でも、話だけではなく実験もあったので楽しみながら
学ぶことが出来ました。
マウスを使ったインスリンの働きの実験では、注射をするのが一番難しそうだと思っていたのですが、マウスを捕
まえるほうが難しかったです。尻尾を捕まえるのは簡単でしたが、注射を刺す時に背中の方から耳までを一気に掴む
方がなかなかうまく掴めなくて難しかったです。麻酔薬をマウスに注射し、尻尾から採血して、その後マウスがどん
どん弱っていくのを見て生命の大切さも学びました。周りにいる参加していた人も年が近くて女の子ばかりだったの
で、実験の時にとても喋りやすく友達にもなれました。
ラットを使ったエストロジェンの働きの実験では、まずエストロジェン=女性ホルモンということを学びました。
回数を数えるのも微妙なマウントがあり、続けてマウントやロードーシスをして少し数えにくかったです。あと、ラ
ットがものすごく臭かったです。
私は合同懇談会に参加しました。最初は堅苦しいイメージをもっていたのですが、大学の方々が気軽に楽しく話し
掛けてくれたので、私も気軽に質問ができました。現役大学生の方々の話は、進路を考える上でとても参考になりま
した。
私は今回の公開授業を通して、たくさんの事を楽しく学ぶことができました。
また、機会があればどんどん参加したいです。
最後になりますが講義をしてくださった束村博子先生どうもありがとうございました。
(高校 1 年)
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応募したときは、ただ話をうかがうだけで、まさかマウスにイ
ンスリンや麻酔を打ったり、こんなに本格的するとは思っていま
せんでした。勿論インスリンとエストロジェンが体にもたらす効
果もよく分かりましたが、それ以上に動物実験について考えさせ
られました。
今まで、生きている動物で実験したことが無かったからです。
人間で実験が出来ない分、動物が犠牲になっている。大変驚いた
のと同時に、そんな考えてみれば当たり前のことを、今更ながら
実感しました。そして、今まで以上に科学に興味を持ちました。
これからは、身近にあるものにもっと「生命」を感じることが多
くなると思います。この講座を聞けてよかったです。(高校 1 年)
私は理科が好きで、将来理科の先生になりたいと思っています。
特に生物が好きなので、今回の授業に参加しました。実際に生き
物を使っての実験は初めてだったのでマウスに注射したり、しっ
ぽを切ったりと、ちょっと怖いなと思いました。
とても印象に残っていることは、実験に使われたマウスはその
後処分されるということです。普段考えるのは実験のことだけで、
その実験に使われたマウスがその後どうなるかなど考えたことがありませんでした。自分たちが健康に生活できるの
は、このような小さな生き物の死があってのことだということをしっかり頭に入れて、今回の授業が無駄にならない
ようにしっかり学んでいきたいと思います。
(高校 2 年)
学校で少しホルモンについては習ったけれども、生物の時間(授業)で実験をするということは無かったのでホル
モンについてあまりよく知りませんでした。しかし、今回実際にマウスやラットを使って実際に自分の目で見て、手
で実験をしてみて前よりは少しは分かるようになったのではないかなあと思います。
注射は自分もされるのが嫌だから、マウスも嫌なんだろうなあと思い「早くうってしまおう」と思っていたのです
が実際やってみると不安などがあって、マウスに注射をさした後何をすればいいのかをすっかり抜けてしまいしばら
く放置してしまいマウスに負担をかけてしまいました。その後で採血をするときにそのマウスは死んでしまってわた
しが原因かもしれない、と反省しました。
化粧品や薬など、動物実験等の過程を通してわたし達の生活に届くという事を聞いて今までそんなことを気にして
なかったけれど、今回の実験を通して知ったのでこれからはちゃんと意識していけたらなあと思います。
(高校 1 年)
“女子中高生のための名古屋大学理系女性教員による公開科学講座”を受けさせていただきましてありがとうござ
いました。全て初めてのことばかりで、とても楽しかったです。マウスに触るのも、注射をするのも他では経験でき
ないもので本当に勉強になりました。授業でははじめて聞く用語などがたくさん出てきたけど、分かりやすい資料も
あって楽しく受けることが出来ました。少しの時間だったけど、農学部についての理解が深まり、より一層農学部へ
の思いが強くなりました。体験してみることで分かることはとても多いと思うので、来年からもずっとこの企画をし
て欲しいです。
(高校 1 年)
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めざせ女性科学者 ―その 3 ―
「応援しよう!理系女子中高生の未来の夢。
」
女子中高生を持つ保護者、中高教諭のみなさんと名古屋大学理系教員との懇談会( 2 月10日開催)実施報告
教育発達科学研究科 金井篤子
2 月10日に開催された「女子中高生を持つ保護者、中高教諭のみなさんと名古屋大学理系教員との懇談会」は学内
外合わせて100名ほどの参加者となり、盛況のうちに無事終了させて頂くことができた。名古屋大学としては初めて
の試みで、どのような展開になるか全く予想がつかなかったが、大学側参加者の熱意と学外参加者の意識の高さに助
けられ、個別相談、懇談会とも、和気藹々と有意義に進行し、以下に示すように、参加者の満足度は非常に高くなっ
た。また、理系志望の女子中高生を取り巻く環境について、実際に当事者自身がどのように考えているのか知る大変
よい機会となり、今後の活動の指針としていきたい。以下の概要を報告する。
1 .当日のスケジュールおよび開催場所
■日時:2007年 2 月10日(土)
15:00∼16:00 保護者、中高教諭の個別相談
16:00∼17:00 女子中高生との合同懇親会
(学内有志からのカンパによるケーキ、お茶、軽食付き)
■場所:名古屋大学野依記念学術交流館 1 階
2 .個別相談について
■概況:個別相談は、理学研究科、多元数理科学研究科、工学研究科、生命農学研究科の 4 つのブースを作り、各
研究科の活動内容等について、個別に相談を受け付けた。個別相談担当者は表 1 の通りであった。研究科長にもご参
加頂き、各研究科の取り組み意識を示すことができた。
個別相談参加者数は16組(親子で参加者もいたため)であったが、複数の研究科の話を聞く相談者もいたため、 1 時
間では足りないほどの盛況であった。
■相談内容:相談内容は表 2 の通りであった。女子中高生の質問は、学部選択時の一般的な質問が多かった。それ
に対して、保護者、教諭からは女子であることを意識したものが多かった。
表 1 個別相談参加教員一覧
近藤孝男 (理学研究科長)
吉田朋子 (工学研究科助教授)
福井康雄 (理学研究科教授)
安藤妙子 (工学研究科講師)
金銅誠之 (多元数理科学研究科長)
松田 幹 (生命農学研究科長)
土屋昭博 (多元数理科学研究科教授)
山内 章 (生命農学研究科副研究科長)
澤木宣彦 (工学研究科長)
加藤ジェーン (情報科学研究科助教授)
早川義一 (工学研究科副研究科長)
金井篤子 (教育発達科学研究科教授)
鈴置保雄 (工学研究科副研究科長)
田村哲樹 (法学研究科助教授)
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表 2 対象別相談内容
相談者
女子中高生
相談内容
工学部と理学部の違い
○○を勉強したいが、どの学科がよいか
好きな科目が役立つ学部・学科は何か
○○学部に適した人とは
○○学部を卒業するとどのような仕事に就くのか
保護者
○○学科を卒業した場合、どのような就職先があるか。
就職は男女で有利、不利はないか。
男子学生がマジョリティの中で女子学生はうまくやっていけるか。
指導教諭
○○学部の推薦入試の採点基準。
進路指導をする際、○○学科について、大学間の違いが分からず、困っている。
○○学科を卒業した場合、どのような就職先があるか。
就職は男女で有利、不利はないか。
男子学生がマジョリティの中で女子学生はうまくやっていけるか。
3 .保護者、中高教諭、女子中高生と名古屋大学教員との合同懇親会について
、
■概況:懇親会には個別相談を担当した教員の他に、公開授業を担当した、束村博子(生命農学研究科助教授)
伊藤由佳理(多元数理科学研究科講師)
、山本智代(工学研究科講師)の 3 名が加わり、また、公開授業に参加した
女子中高生も参加して、約100名ほどの参加者となり、盛況であった。ケーキなどを食べながら、自由に意見交換を
行った。
4 .全体を通して
■感想、意見など:相談者の感想、意見や相談の特徴を表 3 にまとめた。女子中高生は自分が理系であるという意
識は強かったが、大学の各学部で何が学べるのかとか、自分のやりたいことはどこへ行けばいいのかという知識に欠
けており、今回の個別相談ではそういった疑問を解消できたことに満足が高かった。保護者や教諭についても、直接
進路等の疑問を解消できたり、イメージできたことに満足が高かった。また、一部理系学部への偏見も解消されたと
思われた。 表 3 対象別感想、意見や相談の特徴
相談者
女子中高生
感想、意見、特徴
・理学部か工学部か迷っていたが、それぞれの特徴がよくわかってよかった。
・高校1年生は大学進学、希望学部・学科などはこれからという印象が強かった。
・社会でどのような仕事につきたいか、大学の学部・学科をどうするか、といったことは友達同
士であまり話題にならない、とのことであった。
・好きな(できる?)科目から、文系、理系についての意識はかなり明確であった。
保護者
・個別にいろいろな疑問に答えてもらって有意義だった。
・次の機会には子どもも是非参加させたい。
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指導教諭
・こういう機会をもっと持ってほしい。
・学校宛に広報されても、封筒を開けた人によってそのまま掲示されないこともある。
・女子に理系よりも文系を進める教諭や母親が多いのは確か。
■参加教員の感想:
「女子中高生からの質問は女子特有なものではなく、男女を問わず、中高生が一般に抱くもの
であったと思います。それに比べ、保護者からの質問は女子を強く意識したものでした。女子学生の理系、工学部へ
の進学増加には、まず保護者と指導教諭の偏見(?)を解くことでしょうか。」といった感想があった。
■今後の方向性:今回の企画が一定の成果をあげたことから、今後もこのような企画により、理系学部の情報を当
事者である女子中高生、および保護者や教諭に伝えていく努力が必要であると考えられる。こういった企画の場合、
いかに企画情報を対象当事者に伝えるかが難しいが、新聞広報、HP、学校を通じての広報など工夫する必要がある
と考えられ、今後の課題である。
めざせ女性科学者 ―その 4 ―
「理系女性のワーキングスタイル」作成
男女共同参画室では、女子中学・高校生に広く女性研究者のロールモデルを示すため、パンフレット「理系女性の
ワーキングスタイル」を作成し、公開授業の出席者、東海 3 県の中学・高等学校を中心に配布し、女子中学・高校生
の理系学部進学推進に努めた。また、希望があれば、中学・高校関連の方に追加で配布する旨を参画室 HP などで知
らせた。
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