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CRAVITY紹介

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CRAVITY紹介
Clean room for analog-digital superconductivity
研究のポイント
● 低温超電導アナログ-デジタルデバイス開発を主目的とするクリーンルーム
● 超電導検出器、標準、SFQデジタル集積回路の微細加工プロセス
*
● 世界的ハブ拠点、プロセス装置を超電導以外にも公開、商用利用可能
概要
先端的な超電導アナログ計測デバイスとデジタルデバイス開発のためのプロセス機器と微細加工ノウハウを集約して
います。実用化段階の超電導デバイス製作に求められる、大規模化、プロセスの再現性、素子の高い歩留まりを実現
しています。産学官の研究者やエンジニアが、施設内の微細加工プロセス装置を利用することで、超電導エレクトロニ
クスビジネス創出にチャレンジすることを可能にします。
特徴
CRAVITYは、大学、研究開発法人、企業への公開と、超
電導アナログ-デジタルデバイスの安定供給をモットーとし
ています。デバイス作製に専従のテクニカルスタッフが常
駐し、各装置の運転、整備を継続的に行うことで、超電導
デバイス開発を支援します。施設内のデバイス作製用装
置はほぼすべて自動化されており、従来10日間以上掛か
っていたプロセスが、本施設では3日で完了します。最新
の超電導プロセス技術では、9層の多層配線超電導集積
回路の作製が可能となっています。検出器・標準といった
アナログ応用と、単一磁束量子(SFQ)を使ったデジタル応
用に対応します。
i線ステッパー:i12
Nb/Alジョセフソン接合作製装置
[In-situ分析器&オゾン酸化器付]
超電導デバイス
図1
・デジタル超電導デバイス
浮動小数点乗算器(図1)、回路配線の再構築が可能な高
速データ処理回路、高速低消費電力プロセッサ、超電導
検出器用信号処理回路
・アナログ超電導デバイス
電圧標準NbNチップ、電流比較器、信号増幅用超電導量
子干渉素子(SQUID)変調器(図2)、軟X線検出用Nb/Al 超
電動トンネル接合(STJ)アレイ検出器(図3)、質量分析用超
電動ストリップイオン検出器(SSID)、量子暗号通信用超電
導転移端(TES)検出器
問い合わせ先:[email protected]
図2
図3
*2014.4予定
Clean room for analog-digital superconductivity
クリーンルーム仕様
● ルーム1 (クラス100) : リソグラフィー室(90m2)
・ウェハー洗浄装置
・i線ステッパー
研究のポイント
・セミ/オートコーターデベロッパー
・有機洗浄装置
・計測装置(ゴミ検、顕微鏡等)
i線ステッパー:i12
有機洗浄装置 x 2
● ルーム2 (クラス10000): 成膜室(70m2)
・ジョセフソン接合作製装置(Nb/Al,NbN/TiN)
・ドライエッチング装置(RIE、アッシャー)
・計測装置(プロバー、段差計、応力評価装置等)
2
成膜室(100m )
● ルーム3 (クラス10000):
・TEOS-CVD装置(SiO2他)
・CMPプロセス装置群
セミオートデベロッパー
2
ユーティリティースペース(30m )
●
・ガス関係設備
・真空排気ユニット
・純水製造装置
・廃液タンク
オートコーター
デベロッパー
ウェハー洗浄装置
セミオートコーター
デベロッパー
オートコーター
デベロッパー
ウェハー
洗浄装置
ルーム1
光学顕微鏡
TEOS-CVD
有機洗浄装置B
有機洗浄装置A
i線ステッパー
計測装置
段差計
プロセス装置
Nb/Alジョセフソン
接合作製装置
[In-situ分析器&
オゾン酸化器付]
応力評価装置
ルーム2
Nb/Alジョセフソン
接合作製装置
[標準型]
オート
プローバー
ルーム3
NbNジョセフソン
RIE装置群 素子作製装置
CCP:4台
ICP:1台
CMPプロセス
装置群
Nb/Alジョセフソン接合作製装置
[In-situ分析器&オゾン酸化器付]
CCP-RIE装置(バッチ)
ICP-RIE装置(ロードロック)
CCP-RIE装置(ロードロック)
CCP-RIE装置(ロードロック)
CCP-RIE装置(ロードロック)
Nb/Alジョセフソン接合作製装置
[標準型]
NbNジョセフソン素子作製装置
TEOS-CVD装置
光学顕微鏡
応力評価装置
段差計
オートプローバー
Clean room for analog-digital superconductivity
研究のポイント
● 独自の平坦化技術により超電導(ニオブ)多層デバイス実現
● 徹底した工程管理により、数万JJ規模のデジタル回路が完全動作する信頼性
● デジタル回路だけでなく様々な超電導デバイスに展開、国内外研究機関に供給
超電導デジタル回路と関連デバイス
超電導デジタル回路用に長年開発されてきたNb/Alベースのプロセス技術をさらに高度化するとともに、デジタル回
路だけでなく様々な超電導デバイス作製に展開していきます。超電導デバイスを必要としている国内外の研究機関や
企業から技術相談を受付て、CRAVITYを活用することによって、超電導デバイスを作製し供給します。超電導のような
最先端デバイスの開発には、ユーザーとデバイス作製者の“摺合せ”によるデバイスの高度化が必須です。この活動を
通して超電導エレクトロニクスの発展に寄与していきます。
活動内容
超電導デジタル回路(単一磁束量子(SFQ)回路)のため
に開発した高品質多層Nbデバイス作製技術をベースに、
様々な超電導回路の作製を行っています。SFQ回路のさ
らなる低消費電力化、大規模化を目指した研究だけでなく、
超電導検出器読み出し用のSQUIDアレイなどのアナログ
回路にも応用範囲を広げています。多層積層技術を応用
した3次元回路など、ユーザーのアイデアを実現するため
に、デジタル回路で培ったプロセス技術を高めます。“実
用的な実際に動作する回路”をより短い期間で作製するこ
とに注力しています。
Junction
Active layer
including
JJ and R
M9
JC
JJ
BC
M8
SiO2
RES
M7
Main ground plane
M6
M5
M4
M3
M2
M1
Main GP
and CPL
C5
2nd PTL
layer
C3
1st PTL
layer
C2
C1
Si Substrate
図1.Nb 9層SFQデバイスの断面構造
日本の超電導ファブを目指して
産総研内部はもとより、国内外の13機関(平成25年度実
績)に、私たちの集積回路プロセスで作製した超電導デバ
イスを供給しています。CRAVITYから供給されたデバイス
を使って数多くの研究論文が発表され、実用化に結びつく
ような成果も生まれつつあります。CRAVITYの利用を前提
にした外部資金獲得や、それを目指した提案が多数行わ
れており、超電導デバイスファブとして機能しています。今
後、このような活動をさらに広げ、日本のみならず世界に
おける超電導デバイスの研究及び商業利用のハブとして
の役割を果たしていきます。
問い合わせ先:[email protected]
図2.作製した100万SQUIDデバイスのチップ写真
DC power
layer
Clean room for analog-digital superconductivity
研究のポイント
● 低温超電導体の超高感度、高速応答を生かした様々な検出器デバイスを開発
● X線やイオン用の大規模アレイ検出器、世界最速の光子数識別検出器を実現
● 先端計測分析機器へ搭載し、既存機器の限界を越える計測性能を実現
超電導検出器
超電導現象には、量子限界に迫る低ノイズ(高エネルギー分解能)に加えて、高速応答という2つの側面があります。
これらの2つの特徴を活かした超電導検出器は、先端計測分析機器や量子情報通信といった分野において、赤外線か
らγ線といった幅広いエネルギーの光子、イオンといった粒子に対して、既存技術の限界を上回る検出性能を示してい
ます。1K以下の極低温環境を、液体ヘリウムを使用することなく得られるようになり、超電導を使った極限検出性能を
身近で活用可能になってきました。
活動内容
・軟X線用Nb/Al 超電導トンネル接合(STJ)アレイ検出器
有感面積1-4mm2と高分解能10eV(@O-Ka:525eV)を達成
しました(図1)。 さらに、500kcpsの高光子計数率を活かし
て、放射光(KEK-PF)ビームラインにて、従来不可能だった
微量軽元素の蛍光収量X線吸収微細構造(XAFS)測定を
実現しました。超電導XAFS装置(SC-XAFS) による分析例
(SiC中の微量Nドーパント)を示します(図2)。
・質量分析用超電導ストリップイオン検出器(SSID)
超電導ナノストリップ構造を使うと、1 nsを上回る応答時
間で、イオンを100%の効率で検出できます。有感面積
1cm2を実現し(図3)、マトリックス支援レーザー脱離イオン
化(MALDI)やエレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析装
置に搭載し、二原子分子の価数弁別から、免疫グロブリン
といった巨大生体分子の高感度分析に対応します。
200mm
図1.軟X線用Nb/Al-STJアレイ検出器(< 2 keV対応)
図2.超電導蛍光収量X線吸収微細構造分析装置(SC-XAFS)とSiC中の
微量N ドーパントのXAFSスペクトル
・量子暗号通信用超電導転移端(TES)検出器
光 閉 じ 込 め 構 造 を 持 つ TES 検 出 器 に て 、 通 信 波 長 帯
(1550nm)の光子に対して、システム検出効率(98.4%)を実
現しました(図4)。量子暗号通信システムのための光子数
識別検出器として使用されています。
今後の展開
図3.質量分析用Nb SSID検出器とそれを搭載した質量分析装置
STJでは、3次元構造を有す検出器構造にて、1000ピク
セルを超える大規模アレイ素子や、10 keVまで対応する
ための開発を推進します。質量分析では、単一磁束量子
(SFQ)を使った時間-デジタル変換器により、超高質量分
解能を目指します。TESではアレイ化による量子暗号通信
の高スループット化を目指します。
問い合わせ先:[email protected]
図4.反射防止膜と反射膜でTESをサンドイッチした
量子暗号通信用の光子数識別超電導検出器
Clean room for analog-digital superconductivity
研究のポイント
● 半導体等、他の電子デバイスでは実現できない高精度性と低雑音性を実現
● 次世代国家標準用のキーデバイス開発
● 国家標準並みの標準電圧精度を公共施設や産業現場に導入可能
ジョセフソン電圧標準
科学技術から産業技術に関わるあらゆる分野で、計測と、その信頼性を保証する計量標準の重要性が認識されていま
す。私達は、超電導体を用いることにより、半導体や磁性体等の素材では実現不可能な高精度と低雑音を実現していま
す。超電導デバイスに加えて周辺システムを開発し、液体ヘリウムの供給を必要としない小型の計測機器として仕上げ
ています。電圧標準等の産業発展に不可欠な計量標準の整備に貢献します。
活動内容
窒化ニオブ(NbN)を超電導電極材料とする基準電圧発生チップ
を開発し、小型冷凍機で実現可能な絶対温度12 K以上での動
作を可能にしました。冷凍機と周辺回路を19インチ計測器ラック
に収納することにより、既存のツェナーダイオードより高精度で経
時変化が少ない二次直流電圧標準器を実現します。さらに、世
界数箇所の機関でのみ作製可能な直流10 V チップの安定供給
を目指しています。直流電圧以外に、量子交流電圧標準や熱雑
音精密温度計へ応用可能な任意波形発生器を研究しています。
今後の展開
図1. 産業現場に導入可能なラックマウント型二次直流電圧標準
・ ラックマウント型電圧標準
チップ: 研究開発品有償頒布制度による外部供給開始
システム:共同研究先の企業より販売予定(2014~)
・ 液体ヘリウムフリー10 V直流電圧標準
日、豪、インドネシアの標準研究機関に納入済
チップの作製歩留向上の技術を研究中
・ 任意波形発生チップ
発生電圧増大と高精度化に向け研究中
図2. (a) 一次直流電圧標準チップ (b) 任意波形発生器(量子交流電圧標準)
超電導検出器の多重読出回路
ミリ波からγ線まで幅広い電磁波を低雑音で検出できる超電
導検出器を、蛍光X線元素分析、γ線による核管理、X線・サブ
ミリ波天文観測、テラヘルツ受動分光イメージング等に応用する
ためには、多画素化に伴い増大する室温から極低温への流入
熱の低減が重要課題です。102-103規模の画素信号を、SN比を
低下させず2本の同軸線で読出せるマイクロ波帯の周波数多重
回路を研究しています。Nb-SQUIDとNbN共振器から成る回路を
考案し、低雑音動作に成功しました。
問い合わせ先:[email protected]
図3. 多重読出回路 (a) 構成 (b) チップ (c) マイクロ波透過特性
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