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Untitled - 愛知県立佐織特別支援学校

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Untitled - 愛知県立佐織特別支援学校
実践事例集の作成にあたって
本校では平成26・27年度と2年間に渡り、愛知県特別支援教育推進計画
(愛知・つながりプラン)推進事業「障害の特性に応じた指導に関する研究」に
取り組んで参りました。その中で特別支援学校のセンター的機能のさらなる充
実を図るために、発達障害児等、特別な支援を必要とする児童生徒への効果的な
指導・支援の在り方について研究を進めてきました。
研究を進める中で、特別な支援を必要とする児童生徒自身への対応はもちろ
ん、学級や学校全体の児童生徒への対応の重要性が見出されました。具体的には、
教科指導の配慮や工夫をし、分かる授業づくりを目指し、互いを認め合える学級
づくりに取り組んでいくことが大切であるということです。
そこで,このたび本校における研究の一環として、特別な配慮・支援を必要と
する児童生徒も含め、すべての児童生徒にとって分かりやすい授業づくり(授業
のユニバーサルデザイン化)、安心できる学級づくりの工夫を集約し、小・中学
校における特別支援教育のさらなる充実を図ることを目的に『分かりやすい授
業づくり、安心できる学級づくりの工夫』実践事例集を作成しました。
この実践事例集は、愛知県海部地区の小中学校の先生方が、これまで実践され
た、あるいはこれから実践しようとする取組の事例をまとめたものです。したが
って、すぐに使えるアイデアいっぱいの事例集となっています。この事例集は、
海部教育事務所及び海部地区の各市町村教育委員会、海部地区の小中学校の御
協力を得て作成することができました。この事例集が有効に活用され、各学校に
おける特別支援教育推進のための一助になれば幸いです。そして、すべての児童
生徒が、その能力を十分に発揮し、
「生きる力」を獲得し、自立した社会生活に
つながることを願っています。
愛知県立佐織特別支援学校
「分かりやすい授業づくり、安心できる学級づくりの工夫」
実践事例集~海部地区小中学校~
もくじ
実践事例集の作成にあたって
インデックス 1 小学校通常の学級
2 小学校特別支援学級
3 中学校通常の学級
4 中学校特別支援学級
幼 幼稚園
1
1
2
学級づくり
授業づくり
※ 項目をクリックすると、該当のページが
別ウインドウで開きます。
見通しをもって取り組むための支援・・・・・・・・・・・・・・・・5
インデックス
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
2
見通しをもって取り組むための支援(1)・・・・・・・・・・12
見通しをもって取り組むための支援(2)・・・・・・・・・・11
見通しをもって取り組むための支援(3)・・・・・・・・・・12
見通しをもって取り組むための支援(4)・・・・・・・・・・41
見通しをもって取り組むための支援(5)・・・・・・・・・・41
1時間の授業がひと目で分かる支援・・・・・・・・・・・・12
1日の授業の予定を把握し、見通しをもつための支援・・・・22
時間割の流れを分かりやすくするための支援・・・・・・・・11
学校(教室配置と関係の教職員)を知るための支援・・・・・11
1時間をスムーズに進めるための支援・・・・・・・・・・・21
1日の予定を理解し、計画的に行動するための支援・・・・・11
一人一人の行動が分かるようにするための支援・・・・・・・21
単元全体の見通しをもてるようにするための支援・・・・・・12
当番活動を分かりやすくするための支援・・・・・・・・・・11
授業中「今、何をすべき時間なのか」をはっきりさせるための
支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
見通しをもち、安心して取り組めるようにするための支援・・42
1日の生活に見通しをつけて行動するための支援・・・・・・41
一人一人が見通しをもって学習に取り組むための支援・・・・31
行事の不安解消と参加への意識高揚のための支援・・・・・・31
活動の手順を分かりやすくするための支援・・・・・・・・・幼2
課題の遂行を助ける支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
1 五感を活用して理解を深めるための支援・・・・・・・・・・12
2 10の分解・合成に取り組むための支援・・・・・・・・・・22
3 ノートに書き写すための支援・・・・・・・・・・・・・・・12
4
5
6
7
8
9
10
11
12
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14
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16
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20
21
22
23
24
25
26
27
28
3
1
2
3
4
5
6
7
8
9
4
学習のスタートや継続中の問題に注目するための支援・・・・12
授業を分かりやすくするための支援・・・・・・・・・・・・12
分かりやすさや興味・関心を高めるための支援・・・・・・・12
分かりやすいノートを作るための支援・・・・・・・・・・・12
短時間で集中し、授業に取り組めるようにするための支援・・12
児童全員が集中力を高めて授業に臨めるようにするための支援12
視覚的に理解して、作業を進めることができるようにするため
の支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
学習内容を理解しやすくするための支援・・・・・・・・・・12
道徳の授業において資料の内容を視覚的に理解するための支援12
授業の中での理解・発表を容易にするための支援・・・・・・12
一斉指導で分かる授業のための支援・・・・・・・・・・・・12
楽しく分かる授業のための支援・・・・・・・・・・・・・・12
ノートに視写をしやすくするための支援・・・・・・・・・・12
漢字の学習に集中して取り組むための支援・・・・・・・・・22
確かな読みの力を育成するための支援・・・・・・・・・・・12
自分で考えて行動できるようにするための支援・・・・・・・22
相手によく伝わる文章を書くための支援・・・・・・・・・・12
ユニバーサルデザインの視点を意識した支援・・・・・・・・12
ポイントを明確に理解するための支援・・・・・・・・・・・12
落ち着いて授業に臨み、取り組めるようにするための支援・・12
視覚からの情報を認識しやすくするための支援・・・・・・・12
今日の目標をしっかり立てて取り組むための支援・・・・・・32
時計の時刻と時刻の間の長さを求めるための支援・・・・・・22
自分の泳力に応じて練習を行うための支援・・・・・・・・・12
どこを見ればよいか誰にでも分かるようにするための支援・・12
ルールを分かりやすく伝える支援・・・・・・・・・・・・・・・・55
時間を守って行動できるようにするための支援・・・・・・・11
違いをイメージし、捉えやすくするための支援・・・・・・・11
整理整頓に取り組むための支援・・・・・・・・・・・・・・11
話をするとき、聞くときの支援・・・・・・・・・・・・・・12
話し方(発表・音読など)のための支援・・・・・・・・・・11
学び合い活動を進めるための支援・・・・・・・・・・・・・11
話を聞いたり発表したりするときの支援・・・・・・・・・・11
道徳での話し合い活動を活発にするための支援・・・・・・・12
正しい姿勢を意識するための支援・・・・・・・・・・・・・21
学習をしやすい環境への支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・65
1 教室環境の視覚的支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
2 活動や学習に主体的に取り組むための支援・・・・・・・・・11
3 授業に集中できるようにするための支援・・・・・・・・・・11
4 学校を過ごしやすくするための支援・・・・・・・・・・・・11
5 集中して授業に取り組めるようになるための支援・・・・・・31
5
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
6
1
2
3
4
5
コミュニケーション力や自尊心を高める支援・・・・・・・・・・・71
自尊心を高めるための支援・・・・・・・・・・・・・・・・11
人間関係を築くための支援・・・・・・・・・・・・・・・・11
誰もが安心して過ごせる教室をつくるための支援・・・・・・11
授業で分からないことを安心して聞き合えるようにするための
支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
意欲的に授業に参加できるようにするための支援(1)・・・・12
意欲的に授業に参加できるようにするための支援(2)・・・・12
安心して過ごせる学級のための支援・・・・・・・・・・・・11
自分の言動をコントロールする力を育てるための支援・・・・21
安心して学級で過ごせるようにするための支援・・・・・・・21
話すことが苦手な子が話し合いに参加できるようにするための
支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
落ち着いて楽しく過ごせる集団づくりのための支援・・・・・11
自尊感情・自己肯定感を育むための支援・・・・・・・・・・32
集団生活に自信をもてるようにするための支援・・・・・・・41
その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85
「できた」が実感できる支援・・・・・・・・・・・・・・・12
どの子も授業に参加できるよう「学び合い」を意識した授業指
導案の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
どの子も安心して活動できる学級づくりのための、授業におけ
る教員の工夫と支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
「楽しく、わかる、できる」授業のための支援・・・・・・・12
わかる授業のための20項目チェック表・・・・・・・・・・12
1
見通しをもって取り組むための支援
5
1
見通しをもって取り組むための支援(1)
授業の流れ(内容)や残り時間などが目で分かるよう提示する。
今授業の流れの中でどのあたりなのか、また、今は何をやっているのかが分かると、安心でき
る子、あとどれだけがんばればいいかが分かると安心できる子のために、目で確かめることがで
きるものを用意するといいです。
「学び時計」は、手作りで、ラミネートしておくと、他の授業でも使えます。「タイムタイマ
ー」は、市販のもので「あと何分、あとどれだけ」が色で分かるので、がんばる目安になり、根
気や学習意欲の持続に役に立ちます。
【学び時計】
【 タイムタイマー 】
6
2
見通しをもって取り組むための支援(2)
月予定・本日の予定・次の日の連絡は、背面黒板に書く
月予定・・・・パソコンで一か月の予定表を作り、背面黒板に掲示します。月予定を全てチ
ョークで書くと、黒板が文字でいっぱいになってしまいます。そのため、文字
は小さくなりますが、プリントアウトしたものを掲示し、黒板がすっきりと見
えるようにしています。
今日の予定・・毎朝、一日の予定を示します。時間割通りではない日も多いため、児童はこの
予定を見て、準備をしたり行動したりすることができます。
次の日の連絡・児童が連絡帳に書く内容を書きます。前の黒板に書くと、授業が始まるのと
同時に消さなければいけなくなりますが、後ろに書くと、書いた内容を一日残
しておくことができ、帰りの会などでもう一度持ち物等の確認をすることがで
きます。
← 背面黒板
↓月予定
↓今日の予定
7
↓次の日の
連絡
3 見通しをもって取り組むための支援(3)
授業のはじめに、本時のめあてと学習活動を提示する
授業のはじめに、本時のめあてを○
め として板書し、その次に本時で行う学習活動を、番号を
つけて板書しておきます。このことで、子どもたちは、1時間の学習内容や活動の手順が分かり、
見通しをもって学習に取り組むことができます。○
め や番号をつけることによって、より分かり
やすくしています。
学習活動については、発表内容やまとめが書けるように間を空けておきます。このことで、授
業の終わりには、学習の過程や内容を見通すことができ、授業の振り返りもしやすくなります。
下の写真は、2年生の生活科での授業の記録です。
8
4
見通しをもって取り組むための支援(4)
個々で時間割表を確認できるように掲示する
交流学級に授業を受けに行く生徒もたくさんいるので、生徒一人一人一日の時間割が違うこと
があります。そのため、生徒 5 人分の時間割を後ろのホワイトボードに貼って一日の行動をわか
りやすくし、安心して生活できるようにしています。前日に翌日の時間割を生徒が貼り替えるこ
とで、翌日の準備を忘れないような役割もあります。急な時間割変更も自分の手でカードを貼り
替えることでパニックにならず、納得して行動できるようにする効果もありました。
学校祭の練習が始まると、それぞれがまた様々なグループに分かれて、運動場、体育館、武道
場、音楽室、教室など 30 分ごとに移動するので、自分がどの場所で何をするのか分かるような
カードも利用しています。
9
5
見通しをもって取り組むための支援(5)
構造的で過ごしやすい教室環境
① 時間割表には、生徒が教科マグネットを貼り、持ち物など内容を ST で確認する。
また「いつも通り」は、「いもり」のマグネットで表し、生徒たちが楽しく一目でわかるよう
にしています。生徒は時間割マグネットや板書で時間割を確認し、連絡ノートに記入していま
す。担任がチェックすることで、忘れ物などの確認をしています。
② 時計を読むことがむずかしい生徒への合理的配慮として、時計の絵を黒板に掲示しています。
これによって時間を守ることを意識づけ、リーダーの生徒が学級全体に声をかけることができ
るようになりました。見てわかりやすく生徒がスムーズに理解できます。
③ 教室の背面には、年間の見通しがもてるように、毎月製作している学級新聞(壁新聞)を掲
示してあります。これによって何月にどんな活動をしたか振り返ることができ、時の経過がわ
かるとともに、学級新聞を製作して教室に貼ることが生徒にとって楽しみになっています。
③学級新聞で毎月の活動を振り返る。
②時間確
認の合理
的配慮と
して使っ
ている時
計。
① 時間割表と「いつもどおり」
=「いもり」マグネット
10
6
1時間の授業がひと目で分かる支援
道徳の時間におけるユニバーサルデザイン化
道徳の授業の導入では、教師の語りによる資料提示を行います。登場人物やキーワードを提示し
ながら語り、話し合いの際に考える手助けとなるように黒板にカード等を掲示します。展開の話し
合いでは、中心発問やそれに対する児童の意見を立場によって、整理して示します。さらに児童か
ら出た思いや意見の中で、共感できるものや新たに気づいたものを学級全体で共有できるようにし
ています。1時間の授業が終わったところで板書を見ると、1時間の授業の流れと児童の意見が分
かるように板書を工夫しています。また交流活動や体験活動を道徳の時間の導入や展開の後段の振
り返りの活動にいかせるように、廊下や教室に活動や体験の記録を常時掲示しています。
資料の中に出てくる登場人物
ごとに色分けをして提示するこ
とにより、それぞれの立場や考
えを視覚的にわかりやすく提示
している。
生活の中で見つけた良い所を
廊下に掲示して、道徳の時間の
自己の生活への振り返りの活動
にいかしている。
11
7
1日の授業の予定を把握し、
見通しをもつための支援
今日の学習の予定を掲示する
1日の授業の予定表をホワイトボードに作ります。予定表を作ることで、児童が1日の予定を
把握でき、授業にスムーズに入ることができ、学習への取り組みが意欲的になります。
予定表は、前日の帰りの会に児童と教師で一緒に作ります。児童が1週間の時間割から翌日の
授業や行事のカードを自分で貼り付けます。児童が自分で貼り付けることで、翌日の授業の意識
をもつことができます。授業カードの横の欄には、教師が授業の具体的な内容をペン書きします。
12
8 時間割の流れを分かりやすくするための支援
行事予定や活動の流れを掲示する
これはその日の時間割表です。
朝の会の「先生の話コーナー」で、授業の変更や行動の確認をし、表を作成します。これに
より、児童が一日の流れを理解し、見通しをもって学校生活を送ることができます。支援が必要
な児童だけでなく、学級全体が時間前行動できます。
また、今行っている項目の箇所にマグネットなどを貼り、予定がどこまで進んでいるのか見や
すくする工夫もできます。
13
9 学校(教室配置と関係の教職員)を知るための支援
教師の顔写真付きの教室配置図を見て、場所を確認する
各教室に関係のある教職員の顔写真(笑顔で写っているところがポイント)を掲載して、校舎の
教室配置図を作成します。この配置図は、たて 85 ㎝、横 130 ㎝の大きさで、一人一人の顔もよくわ
かり、職員室と保健室の間に相当する所に掲示してあります。ここは、渡り廊下(体育館や北館か
ら本館への移動、あるいは保護者が校舎への出入りでよく使う)との接続部にも近く、人が最もよ
く通る場所といえます。子どもたちは、自分の教室だけでなく、他の教室の位置も教職員の顔と結
びつけて覚えることができます。特に4月のころは、多くの子どもたちがこの掲示板を見ていまし
た。また、他学年の教職員に用事があったり、普段とは違う教室へ行く必要があったりしたときに
は、この掲示板で確認することができ、迷うことなく目的の教室へ行くことができていました。
また、授業参観等で学校を訪れる保護者にも、自分の子どもの教室の位置だけでなく、どんな教
職員がいるのかもわかりやすいということで好評です。
14
10 1 時間をスムーズに進めるための支援
各個人の授業の進め方を掲示する
各個人の 1 日の授業と 1 時間の授業の流れを理解して,見通しをもって学習に取り組めるよう
に 1 時間の構成を明記します。また、分割することにより、学習意欲が持続でき、1時間頑張っ
たご褒美としてコンピュータで漢字や、計算の復習ができます。
15
11 1日の予定を理解し、計画的に
行動するための支援
ホワイトボードに1日の予定を記入する
前面にホワイトボードを掲示し、一日の予定が分かりやすいように書き込んであります。また、
前日からの時間割変更なども矢印を使うなどして、変更点が伝わりやすいように気を付けていま
す。予定の書き込みは、係活動に「スケジュール係」を設けて子どもたちが行っています。
このように、
「次の授業は何か」がすぐに分かることで、休み時間に次時の準備をきちんと行
う意識が高まり、授業にスムーズに入っていくことができます。また、教室移動の際には、それ
についても記入をしておくことで、休み時間の過ごし方を考えることができるようになってきて
います。
「明日の連絡」は、前面黒板ではなく背面黒板に記入をしています。子どもたちが登校後すぐ
に、翌日の予定を連絡帳に書く習慣をつけることにも効果的であるように思います。また、登校
後に書き忘れてしまった場合でも、予定をそのまま残しておくことができ、いつでも確認ができ
ることも利点の一つです。持ち物の内容も具体的に書くことで、各授業でどんな持ち物が必要な
のかがすぐに分かるように心がけています。
16
12 一人一人の行動が分かるようにするための支援
1日の時間割表を個々に分け、色を分けて掲示する
1日をどんな流れで過ごすのかがすぐに分かるように、朝の時間に、全員の動きを担任が子ど
もたちと一緒に確認します。特別支援教室で学習する場合は青いシールを貼り、交流教室で学習
する場合は黄色のシールを貼って、視覚的に教室が分かる工夫がしてあります。
1週間の時間割は、個々の顔写真の下に時間割を貼り、色分けをしながら先を見通した学習が
できる工夫をしています。
1日の時間割表
1週間の時間割表
17
13 単元全体の見通しをもてるようにするための支援
主な活動を提示し、学習の流れをおおまかに示す
6年生の国語「やまなし」の学習において、学習がどのように進められていくか、おおまかな
流れをつかませるための支援になると考えました。
国語の物語や説明文ではCDで本文を聴いた後、学級全体で音読を行います。次に、新出漢字
に関わる語句や本文中で意味を明らかにしておきたい語句について、辞書を用いて調べる活動を
行っています。
下の写真は、上記の活動を行った後の「やまなしの五月の場面をイメージ画に表そう」という
学習の流れを板書で示したものです。
「読む」は学習範囲の「五月」を読む、
「調べる」はイメー
ジ画を描く上で大切と思われる語句をみんなで考えたり個人で調べたりする、
「考える」と「そう
ぞうする」はそれまでの活動を踏まえて細かな場面ごとのイメージをノートに文章化し、イメー
ジ画に近づけていくことを示しています。およそ2~3時間程度の活動を見通したものです。
18
14 当番活動を分かりやすくするための支援
給食や掃除などの仕事分担が見やすく
週によってかえることもできる
低学年、高学年それぞれにその日の活動分担が示されていて、自分の当番活動を確認することが
できます。また、責任をもってそれぞれの役割を果たすことができます。
19
15 授業中「今、何をすべき時間なのか」を
はっきりさせるための支援
クラス全体が今何をしている場面かを、カードで提示する
① 授業中の姿勢に関するカード
② 「聞く」
「話す」
「考える」
「書く」「読む」「待つ」など学習場面を提示するカード
③ 「グループ学習」
「ペア学習」
「一人学習」など、学習形態を示すカード
④ 教師の気持ちを伝えるカード
① 授業をスタートさせるとき、特に低学年で効果的なカードです。
② 授業中、何をすべき時間であるかを提示することで、他ごとをしている児童が学習に集中
しやすくなります。また、
「書く」
「待つ」を提示することで、ノート視写が終わったら、静
かに待つことができます。カードの提示により、私語を減らし、現在の学習に集中させる効
果があります。
③ 学習形態を提示することで、児童が同じ学習に向かうことができる効果があります。
④ 学習に集中している児童がいる中、雰囲気を乱す児童に対し、教師が「怒っている」など
の気持ちを表現するカードを指さすことで、声に出して叱ることが減ります。
①
②
③
④
20
16 見通しをもち、安心して取り組めるように
するための支援
学習内容の掲示や、
「できない・分からない」を減らす工夫
見通しをもち活動すると、この後何があるのか、いつ終わるのかが目に見えて分かるのでこの
掲示を活用しています。その結果、だらだらと課題を行うことが減り、時には最後に待っている
「ごほうび」のために意欲的に活動できることが増えてきました。
また、それ以外の授業中の工夫としては、学力の差があっても一緒に学習が行えるようにして
います。例えば、英語の授業では英単語にルビをふる、イラスト入りのフラッシュカードを利用
するなどして視覚的に理解しやすいようにしています。英単語だけを見て発音できない場合に
は、イラストを見せることで英語が出てくることが多くなりました。
本学級には聴覚過敏の生徒がいます。学校祭の合唱練習が始まると、逃げるように音が聞こえ
ない校舎の外へと飛び出してしまうことが度々ありました。もともと教室にはくつろぎスペース
はあったものの、なかなかそこに向かうことがありませんでした。そこで床にマットを敷き、そ
の生徒の好きなものや遊び道具などを置くと、外に飛び出すことがなくなり、くつろぎスペース
で一人で過ごしたり、今まで見られなかった友達と一緒にゲームをしたりする姿が見られるよう
になりました。
「学習内容の掲示」
「くつろぎスペース」
「学習内容の掲示」
「くつろぎスペース」
「英語のプリント」
「イラスト入りのフラッシュカード」
21
17 1日の生活に見通しをつけて行動するための支援
個人の時間割をもとに、今日と明日の活動を知る
今日と明日の時間割表から、1日の自分の活動場所や内容を知り、どのように動くと効率がよ
いか、(たとえば、技術と音楽が連続であったら、その2教科の用具をもって移動する、交流の
学級にいつ行くかを前もって知っておく)などを考えます。また、持ち物や学習の内容を記入し
ておき、連絡帳の記入やSTでの連絡の手助けとします。急な時間割や場所の変更、担任からの
伝言などにも活用しています。慣れてきて、自分で活動場所や持ち物を記入することもあります。
ペンの色を変えて、変更点をわかりやすく示したりしています。
22
18 一人一人が見通しをもって学習に
取り組むための支援
時間割表から今日の学習(活動)を掲示する。
学習環境を分かりやすく整理する。
1 週間の時間割を掲示します(資料1)
。背面黒板には今日の時間割と明日の時間割をカードを
使って掲示する(資料2)
。朝のSTで一人一人の 1 日の活動と担当教諭を確認しています。
曜日ごとで取り組む学習プリントをケースに入れ、自主的に取り組めるよう工夫しています。
(資料3)
資料1
資料2
資料3
23
19
行事の不安解消と参加への意識高揚の
ための支援
キャンプでの行動を図式化する
事前に模造紙を使って、キャンプの3日間を写真や絵を使って図式化し、どこへ何をし
に行くのかという、行事の目的や当日の行動をイメージしやすくします。
紫陽花学級(情緒・自閉)に所属するR男は、行事に出かけるたびに、自分が行事に参
加できるか不安を口にします。
「どんなところで寝るのか」「誰と寝るのか」「トイレは近くにあるのか」「寝るとき
は真っ暗か」ーどんな生徒も、多かれ少なかれ気になり、不安にもなることなのでしょ
うが、彼のように、人との関わりに不安を抱える生徒には、些細なことが気に掛かるよう
です。そんな不安を緩和するために、昨年度、事前に以下のようなものを作り、教室に掲
示しました。彼が何度も目にすることで、行事に対して安心感のようなものが、頭の中に
すり込まれていくようです。
今年は修学旅行に参加しました。成長を感じたのは、しおりを読むことからも当日の行
動が把握でき、楽しむことができたようです。さらに、旅行のまとめを仲間と模造紙にま
とめることができました。
24
20 活動の手順を分かりやすくするための支援
活動前に掲示したものを見せながら手順を説明する
例に出したものは、プール遊びの準備の仕方についての物ですが、様々な活動において決まっ
た手順のあるものは掲示をしてわかりやすくしています。掲示したものを指をさして見せながら
一つ一つ丁寧に説明します。子どもたちは説明されたことを忘れても掲示を見て思い出したり、
自分がどこまでできているか確認したりしています。字が読めなくても掲示を見ることで教師の
話を思い出す手立てとなることもあります。
25
2
課題の遂行を助ける支援
26
1
五感を活用して理解を深めるための支援
視覚だけでなく、触覚・嗅覚等も活用する
授業のユニバーサルデザイン化の要素の一つに視覚化がありますが、理科や家庭科などでは視
覚に加えて触覚・聴覚・嗅覚・味覚、すなわち「五感」を働かせる授業が有効だと考えています。
下の写真のうち、上段の2枚は、4年生理科の「動物のからだのつくりと運動」の単元で人体
模型を見たり触ったりして、骨や筋肉についての理解を深めている写真です。ICT機器を使っ
て骨格や筋肉の画像、あるいは動画を見たりして頭の中で基礎的な理解は進みましたが、この「実
物」に触れる授業は児童の理解をさらに深めることとなりました。また、下段の写真はホウセン
カの種を自分たちでまき、成長していく様子を観察・記録している様子です。実物のホウセンカ
の色・形・大きさという視覚的観察に加えて、葉や花のにおいという嗅覚的観察を加えることに
より、ホウセンカに対する児童の理解は一段と深まりました。この授業には特別支援学級在籍児
童が交流していますが、とても意欲的に観察を進めることができました。
「百聞は一見に如かず」
以上の効果が得られたと考えています。
27
2
10の分解・合成に取り組むための支援
表を使って算数学習の手助けをする
現在3年生の女子(A)が、算数と国語の授業で特別支援学級に通級しています。
国語は3年生の教科書を使い、音読・漢字練習・簡単な読み取り問題集などを学習してい
ます。新出漢字は定着が難しく、1年生の漢字ドリルを使って学習を進めています。
算数は1年生の教科書を使用し、
「くり上がりのあるたし算」
「くり下がりのあるひき算」の学
習をしています。その際、指を使って計算しています。すると、10の数より大きい計算(9+
5や13-7など)になると、お手上げになり計算が進まなくなります。
そこで、自分から「この計算は、おはじきかお金を使う」といい、具体物を自分から取りに行
きます。その際、9+5でしたら、
【おはじきを9個数えながら並べる→そのとなりに数えながら
5個並べる→14個並んだおはじきをていねいに数え答えを求める】という仕方です。
しばらくその仕方を見守ったあと、
【9はあと1で10→5から1をとって4→答え14】の
仕方を教えようとしたときのことです。9があといくつで10になるのか、即答できないことに
教師側が気づきました。
そして、下のような作業表をつくり提示したところ、とても喜んで取り組みました。左側の作
業表は、数字が固定されているもの、右側は自分で2つの数を自由に10にすることができるも
のを用意し、最初に左側の作業表を提示しました。上から順番に何の数字をおくといいのか、暗
記してしまったので、次に右側の作業表を提示し、やり方を説明しました。すると、休み時間な
ども友達と楽しそうに作業表を使って遊んでいる姿が見られるようになりました。計算途中であ
といくつで10になるかなどを答える時間が、少しずつ短くなっているように思えます。
28
3
ノートに書き写すための支援
マークやマグネットで板書に印をつける
児童が板書をノートに書き写すとき、途中でどこを書いているのか分からなくなってしまうた
め、時間がかかることがよくあります。また、書き写せないまま途中で投げ出してしまったりす
ることもあります。その場合、机間指導中に個別に付き添って指導することも大変です。そこで、
マグネットの印を目安にノートに書き写させます。その列が終わったら、次の列にマグネットを
動かし、児童に合図を送る。そうすることによって、個別支援を要する児童だけでなく、他の児
童も途中で投げ出さず最後まで書き写すことのできるようになります。
29
4
学習のスタートや継続中の問題に
注目するための支援
付箋の使用で学習場所に注目できるようにする
学習のスタートとゴールを付箋で示すと視写などがスムースにできます。
算数の練習問題で、自分が解いている問題をとばしてしまう児童には、一問解いたら付箋を貼
り替えるようにしたことで、全部の問題を解くことができるようになります。付箋の次の段階と
しては、解き終えた問題の番号にチェックを入れるようにします。次第に問題を順に取り組む習
慣が身についていきます。
30
5
授業を分かりやすくするための支援
視覚に訴える資料の提示の仕方の工夫
言葉だけでなく、図や絵にしたものを提示することで、内容が分かりやすくなり、また、より
興味をもって授業に参加することができます。
31
6 分かりやすさや興味・関心を高めるための支援
大型テレビと実物投影機の利用、電子黒板の利用等
ICT機器の活用
算数の図形の学習、分度器の使い方、定規での線の引き方などの学習、また、社会科の資料を
見ながらの学習では、言葉での説明だけでなく、目で確かめたり、実際の操作の仕方をまねてみ
たり、気になる部分を拡大したりすることが有効です。
32
7
分かりやすいノートを作るための支援
算数ノートの書き方の約束を決め、板書の工夫をする。
分かりやすいノートを作成するため、ノートの書き方の約束を決めました。日にちを書くとこ
ろ、ページ数や問題番号を書くところなどを細かく説明しました。また、間違えた問題は消して
直すのではなく、新しいところに解き直すことを徹底し、どこで自分がつまずいたのかはっきり
分るようにしました。
板書するときは、子どもたちがノートに書くときに困らないようマス目を意識して書いていま
す。
筆算の学習では、マス目を意識することが重要なので、マス目の貼付カードを作成し、児童が
ノートにすんなりと書き込めるように工夫しました。
教科書の練習問題に取り組むときは、児童の方眼ノートをコピーしたものに問題番号などを書
き込んで配付し、問題に取り組みやすくさせるとともに、見やすいノートの手本となるよう配慮
しました。
<マス目の貼付カード>
方眼マスを印刷してラミネ
ートし、ホワイトボード用
のペンで書きます。
33
8
短時間で集中し、授業に取り組めるように
するための支援
授業の中で、用具の準備の仕方や使い方をイラストで掲示する。
各教科の授業の中で、用具の準備や使い方を指導する際に、イラストを黒板に掲示し、視覚的
支援で短時間で伝わるようにします。
メリットとして、
① 学級全体に素早く説明ができる。
(図画工作・書写などの作業が多い授業では特に有効)
② 発達障がいで次の作業への切り替えが困難な児童に対して、
『イラストを掲示』という動作を
使うことで興味を引き、注目を促すことができる。
③ 言葉で説明する時間を省略することができ、活動が遅れてしまう児童への支援ができる。
④ 次の授業や、再度用具を使う際に掲示することで、確認用として使用できる。
が挙げられます。
デメリットとしては、いつまでも掲示すると、児童が自分で考えて活動しなくなる可能性が挙
げられるので、毎回いつでも掲示するのでなく、児童の様子や発達段階に合わせて活用していく
必要があると思います。
各教科の机の上の用意の仕方
書写の習字道具の用意の仕方
図画工作科の絵の具の用意の仕方・使い方
34
9 児童全員が集中力を高めて授業に臨めるように
するための支援
現時点の学習活動を知らせるカードの活用
ノートやワークシートに自分の考えや調べたことを書く時間と、自分の考えを発表したり話し
合ったりする時間の区別を子どもにつけさせ、集中して学習に取り組むことをねらいとしていま
す。それぞれの活動に応じてカードを黒板に貼り、活動のポイントを板書して使用します。自分
の考えを書く時間では、状況に応じてキッチンタイマーを使用することや、児童の机と机を少し
離すこともあります。児童が集中して取り組めるように、また、教員が机間指導をしやすいよう
に工夫をしています。
「矢印カード」は、学級全体で話し合うときに、どの話題について話しているか視覚的に分か
るように使用します。必ずしも板書した順に話し合いが進むとは限らないので、話題が戻ったと
きや調べたり考えたりする視点が複数あるときに使用すると効果が高いと思われます。
「めあて」カードは授業や単元の導入で使用し、赤で囲まれためあては、ノートにきちんと書
くきまりになっています。
「まとめ」は大事な言葉を赤で書いたり、皆で読んで暗記したりする
など学習の定着を図っています。状況に応じて、自分でまとめを書く時間を設けています。
35
10 視覚的に理解して、作業を進めることが
できるようにするための支援
コンパスの使い方をスライドショーで示し、円をかく
コンパスの使い方をパソコンのソフトを使って視覚的に示すようにしました。
① 教科書に掲載されているコンパスの使い方を参考にしながら、一つの作業に対して1つの
写真を撮る。②プレゼンテーション用ソフトを使って、写真1枚に対し1枚のスライドを作成す
る。③写真の下にどんな作業をするか入力する。④注意してほしいポイントには矢印や線を追加
する。
スライドに映った画面の通りに作業ができたら次の画面へ進み、つまずいた場合は前の画面へ
戻ります。児童が一人でコンパスを使うことができるまで、目の前の画面を見せながら作業を繰
り返します。本学級の児童は、この教材を用いながら何度もコンパスを使うことによって、「半
径○センチの円をかきましょう」と指示を出すと、何もヒントを与えずに円をかくことができる
ようになりました。
36
11 学習内容を理解しやすくするための支援
実物投影機等ICT機器の活用
一斉授業として授業を進めていく際、言葉や教科書による説明だけでは理解が難しい児
童も見受けられます。そういった場合、実物投影機を活用することで、実際に教師がやり
方や動作を見せながら説明することができ、理解の手助けになります。また、離れた席か
ら肉眼で見にくい場合、見せたい部分を拡大して提示できるので、分かりやすく、全員の
共通理解が容易になります。実物投影機は、比較的準備も容易にでき活用しやすいと考え
ます。
座席によっては画面やスクリーンが見にくくなる場所もあるので、どの位置からでも見
やすいように提示場所や説明者の立ち位置、明るさなど事前に確認をしておく必要があり
ます。
動作を見せながら説明できる。
見せたい写真を表示したり拡大したりして
説明できる。
37
12 道徳の授業において資料の内容を視覚的に
理解するための支援
教員の語りやイラスト・センテンスカードで資料を提示する
道徳の授業において、資料の内容を正しく理解することは重要なことです。
教員の語りの時、児童は資料を見るのではなく教師の語りに集中します。その際、教員が語り
をしながら資料の挿絵やセンテンスカードを掲示することによって児童の内容理解が深まりま
す。センテンスカードは色分けをしたり形を工夫したりすることによって、どの登場人物の行動
や発言なのかということや発言をした登場人物の感情が分かりやすくなります。また、話の流れ
が分かるよう黒板に挿絵とセンテンスカードを貼るようにします。
←教員が語りをしながら挿絵やセンテ
ンスカードを掲示していく。
←センテンスカードは形や色を
工夫する。
38
13 授業の中での理解・発表を容易にするための支援
各教科の授業の中で、積極的にICT教材・教具を活用する
本校では、各教室に1台ずつ、ハードディスクへの録画機能をもつ42インチ大画面液晶テレ
ビと、そのテレビ画面に情報を映し出せるように接続されたノートパソコンが設置されていま
す。そして、各教室のノートパソコンとつながるコンピューターサーバーには、各教科のデジタ
ル教科書がインストールされており、授業で手軽に使用できるように環境を整えています。
授業の目的に応じて、デジタル教科書に載っている画像や動画を提示したり、教育テレビの番
組やDVDを視聴させたりすることは、児童の理解を助けるのにとても役に立っています。
また、児童に自分の考えを発表させる際、発表する児童のノートを、実物投影機を使ってテレ
ビの大型ディスプレーに拡大して示し、他の児童に分かりやすく伝えることができるようにする
取り組みも行っています。
39
14
一斉指導で分かる授業のための支援
個人、または全員の理解を助ける工夫
計算が苦手な児童に数え棒を利用できるようにしたり、分かりにくいと思う児童にヒントにな
るカードやプリントを用意しておいたり、1 時間の授業に見通しをもたせるためにワークシート
を全員で使うようにしたりすると、全員参加の分かる授業につながります。
40
15 楽しく分かる授業のための支援
興味関心を高めるグッズや教材の工夫
子どもたちが思わずやってみたくなる、どうなっているのかと不思議に思う、そんなグッズや
教材を工夫することで、学習内容への興味関心を高め、意欲を持続させることにつながります。
また、積極的に参加しようという気持ちも高めることができます。
41
16
ノートに視写をしやすくするための支援
書く位置を示し、記述のストレスを減らす
教科書の問題や図、問題の番号が印刷されている市販のノートは、教科書や黒板を視写するこ
とに困難が伴う児童にとっては、負担の軽減になり、課題解決により多くの時間をかけることが
できます。
42
17 漢字の学習に集中して取り組むための支援
デジタル教科書の新出漢字をテレビ画面に映す
席にずっと座っていることや文字を書くことが大変苦手で、ひらがな、カタカナの中でも正し
く書くことができない文字が多々ある児童ですが、漢字に興味があり言葉を流ちょうに話すこと
はできますので、デジタル教科書の新出漢字をテレビ画面に映して読むようにしています。パソ
コンを操作することが好きなので、時々、自分でマウスを操作して漢字を映して読んでいます。
文字を書く練習が少しでもできるように読み仮名を書く工夫として、掲示用の熟語カードを作
り、読み仮名を書くスペースを広くすることで取り組みやすくなりました。
また、落ち着いた環境を整える工夫として、アコーディオンカーテンで教室を仕切って周りか
らの刺激を緩和するようにしています。
43
18 確かな読みの力を育成するための支援
見やすく、分かりやすい板書や掲示物の工夫
本校では、国語の文学的文章の読解指導について研究を進めています。文学的文章の「読
解の視点」への意識を定着させるために、
「読解の視点プリント」をノートの表紙裏に貼る
ようにし、常に参照できるようにしました。拡大した「読解の視点」を教室の前面に掲示
して、視点を確かめながら授業を展開できるようにしました。また、読解の視点プリント
には、書き込みに使う線の種類や記号など、1年生から6年生まで統一することにより、
学年が変わっても児童も教員も戸惑わないようにしています。
本文に沿って読み取っていく授業では、教科書の文章を拡大印刷したものを前面に掲示
しました。児童の発言により授業を展開する中で、
「読解の視点」である「時・場所・登場
人物・出来事」に線を引いたり、枠で囲んだりすることによりみんなで確認し合い、
「何を
学習したか」授業の流れが一目で分かるようにしました。
44
19 自分で考えて行動できるように
するための支援
特別支援学級児童の視覚に訴える工夫について
言葉では、なかなか指示が通じない児童に、写真を活用して、準備を行ったり名
前を覚えたりする支援を行っています。左上2つは1年生、右上は4年生が使用し
ています。名前カードは、ひらがなで読めるようになり、効果的でした。
左上の写真は、数字と数が一致しない児童
のために作った教材です。大好きなキャラク
ターを用い、一つ一つ数を数えながら入れて
いきます。うっかり、順番をとばしてしまう
児童も間違えず数えることができます。1年
生と2年生が使っています。
左下の写真は、朝の支度を言われないとで
きなかった児童が、シールを用いることによ
り自分で行えるようになった事例です。一つ
一つ済んだか確認でき、全部シールが貼れた
ら終わりという安心感があるので、進んで行
えるようになりました。
このように、視覚に訴える工夫を行うこと
で、分かりやすく意欲をもって行動できるよ
うになりました。特別支援学級のみならず、
普通学級でも十分取り入れ活用できると考
えています。
45
20 相手によく伝わる文章を書くための支援
スモールステップで段落ごとに書く内容の例を示す
4年生 国語「だれもが関わり合えるように」
調べたことを整理し発表する単元。
文章で表現することが苦手な児童のために、段落ごとに何を書くと相手に分かりやすい文章構
成になるのか例示します。自分が調べて整理したことをどのように発表原稿にしていくのか分か
りやすくなると同時に、児童がどの段落でつまずいているのか児童本人も教師も把握しやすくな
るので、指導しやすくなります。
作文が得意な児童には、例示したことを参考にして、自分で工夫してよいことを伝えると自分
の能力に応じた原稿を書くことができます。
46
21 ユニバーサルデザインの視点を意識した支援
視覚的にとらえる「ウェビング図」を活用した授業
今回は社会科の 11 時限完了の「貴族と政治のくらし」の7時限目の授業でした。ユニバーサ
ルデザイン(以下UDと表記)の視点を意識し、本時の学習内容をホワイトボードに掲示して児
童全体が把握できるようにしました。その後に、新たなUDの試みとして、ウェビング図を活用
し、大仏づくりに関わった人物に関連される事柄をまとめていきました。
「ウェビング図」では、一つの事柄に対して関連される言葉を多くの児童が発表することがで
きました。発表の仕方も「行基と関連して、~です」と何と関連された言葉なのか、理由をつけ
て発表することができていました。このウェビング図は自由度が広く発言は活発に行われ、意欲
的に参加する児童が多く見られました。また、ウェビング図があることで、人物をまとめる際に
役立ったという感想もありました。ウェビング図を活用することで、意欲的に参加する児童が増
え、まとめる際にも視覚的につながりを確認することができるので、UDの一つとして有効であ
るとわかりました。授業後の検討会ではウェビング図は社会科以外にも国語科の物語のまとめに
も活用できそうだという意見があり、今後も他教科で活用して、有効性を確かめていきたいと思
います。
【学習内容の提示】
【ウェビング図】
47
22 ポイントを明確に理解するための支援
板書のどの部分に着目すればよいかを視覚化する
黒板に書かれたり貼られたりする多くの情報のうち、どこに注目し何をするのかを明確にする
ためのカードです。
「見る」
「書く」
「考える」などのカードを作成しておきます。
下の写真①は、国語の授業で利用した例で、登場人物について考える発問で「考える」カード
を貼っています。
写真②は、学習のまとめで、どの部分を書くのかを説明するときに「書く」カードを貼って明
確にしています。
①
②
48
23 落ち着いて授業に臨み、
取り組めるようにするための支援
子どものノートに合わせた板書にし
見通しをもちやすく、見やすくする
基本的に授業のノートを、1時間に見開き2ページになるように計画し進めます。ノートの左
端1行分に縦罫線を引かせて、黒板にも子どものノートと同じように縦罫線を引いて板書を進め
ることによって、子どもたちが自分のノートにも教師の板書と同じように書く事ができます。日
付、ページ数、問題番号は縦罫線の左側に書き、
「めあて」や「まとめ」も毎時書きます。
「めあ
て」
「まとめ」は赤色チョークで枠囲いをし、大事なところなので子どもたちのノートに同じよ
うに赤色で枠囲いをさせ、重要だという意識をもてるようにします。
教師が説明時に使用した絵などは無理に写す必要がないことや、説明や留意することを自分で
追記してもよいことなども伝え、見やすく振り返りやすいノート作りができるようにします
49
24 視覚からの情報を認識しやすくするための支援
チョークの色分けの工夫
先天的に色覚異常を有している人は、男性20人につき1人存在すると言われています。 男女
半々の30~40人の学級では各クラスに1人いる計算となります。そのため、色チョークを適切に
使うことが重要となります。明度の低い黒板に明度の高い白、黄のチョークは認識しやすくなります。
しかし、一般的に重要語句等に利用される赤のチョークは特に文字にすると認識しにくくなります。
そのためなるべく白、黄のチョークを使い、白…通常の語句・文章、黄…重要語句等などに用いるよ
うにしています。さらに強調したいときに赤のチョークを用いることもありますが、なるべく文字を囲
ったり、下線を引くなどに利用し、色覚異常の児童にも影響が少ないよう配慮しています。
白・黄を用いた板書(上)と白・赤を用い た 板書
(下)
下の板書よりも上の板書の方が認識しやすい。
赤を用いるのであれば、文字を囲う、または下線程度
にすれば、色覚異常の子どもにも影響が少ない。
50
25 今日の目標をしっかり立てて取り組むための支援
時間割表とカルタカードを用いて、目標を明確にする
特別支援学級が2クラスあり、生徒によって時間割に違いがあるので、ホワイトボードに分け
て表示しています。このことで、生徒が次の時間の教科と場所を間違えないようになりました。
特に移動教室の場合は、色を変えるようにしています。本校の校訓「自主・自立」をうけ、自分
で記入し自立心を高めるようにしています。
また、『生活見直しカード』を使って、1日の個人目標を黒板に掲示することにしています。
このカードはカルタになっていて、ソーシャルスキルトレーニングで使用したものです。カルタ
遊びで一度読んでいるので、生徒も本日の目標を立てやすくなっています。
話し合いの学習では『5つのルール』を決めて気をつけるように声をかけています。集中して
話を聞けないことが多いので、
「うなずく」
「あいづちをうつ」ことに特に力を入れるようにして
います。帰りの ST では、気をつけたことについて振り返ることができます。
時間割表は移動教室など色を分
けて記入している。自分で記入す
るきまりである。
生活見直しカードはカルタ遊びができる。ま
た、簡単な目標なので、達成感が味わえる。
話し合う前に5つのルールの
中で特に気をつける点をマグ
ネットで示す。
51
26 時計の時刻と時刻の間の長さを求めるための支援
時計の外枠を操作しながら時間、時刻を求める。
時計の時刻を読めるようになったら、「何分ありますか」「○分前は何時何分ですか」「○分後
は何時何分ですか」を②のシートを使用し時刻を求めます。
・①のシートの上に②のシートを重ねると③や④のようになる。
・③は「3時の20分前は何時何分でしょうか。」という問題。長針のところに20をあわせ
て0の時間を読む。
・④は3時10分から○分後の時刻を求める問題。○分後の長針を見て時間を読む。
①
③
②
④
「幼児の学習素材館」の時計の読み方 練習教材より使用
52
27 自分の泳力に応じて練習を行うための支援
コース表示(距離と泳法)で練習コースを明確にする
距離と泳法などを記した表示板を作成し、スタート台の上に設置します。
練習する際、泳力の個人差を考慮する必要があります。練習開始時の口頭での全体説明だけで
は、コース分け(距離や泳法)の理解が不十分な生徒もおり、視覚的に補助することで理解が促
されます。また、距離や泳法を自分で選択して泳力や目的が同等の集団が自然に構成され、コー
ス内でスムーズに活動できるとともに、接触を回避することができます。
コース表示をして自分の能力に適したコースを選択させて練習することで、指導者は一斉指導
に終始せず、全体を見渡しながら個別指導することも可能となります。
53
28 どこを見ればよいか誰にでも分かるように
するための支援
黒板に、使用している教科書や資料集のページを板書する
口頭で、
「教科書の○○ページを開いて下さい。
」という指示だけでは、特別な支援を要する生
徒にとってはもちろん、集中力を欠く生徒にも伝わらない場合があります。そこで、教科書で開
いているページや資料集で使用しているページを常に板書にしておくようにし、聞き逃した生徒
がすぐに対応できるようにしています。
54
3
ルールを分かりやすく伝える支援
55
1 時間を守って行動できるようにするための支援
時計に「分」の数字を入れて、読みやすくします
1~2年の児童には、時間に合わせた行動ができるようにする場合に効果的です。
56
2 違いをイメージし、捉えやすくするための支援
声のダイヤルを、低・中・高学年の発達段階に合わせて掲示する
学習の中で、そのときの状況にふさわしい声の大きさを選び、その大きさの声を出すことは、
発表の基本となる大切なことです。声の大きさを表すときに「声のダイヤル」という言葉はよく
使われます。
本校では、「声のダイヤル」のレベルとその大きさを全校で統一していますが、掲示について
は、低・中・高学年の子どもの発達段階を考慮した掲示にしています。低学年は動物の大きさか
ら、高学年は図の面積から、大きさのレベルをイメージできるようにしています。ほんの小さな
工夫ですが、視覚化することで大きさの違いをイメージしやすくなります。
教員が、
「ライオンの大きさは4の大きさ」…のように、数字を共通の表し方として指導するこ
とによって、学年が上がっても、同じ尺度で声の大きさをとらえていくことができます。
57
3
整理整頓に取り組むための支援
学級の備品を自分で整理しよう
学級の備品を整理したくても、その方法がうまく児童に伝わっていなくては、担任の思ったよ
うな整理の仕方ができないと思います。そこで、まず整理の場所を分かるようにし、次に整理の
仕方が分かるように表記することにしました。
① 教室後ろのロッカーがたくさん空いているので、そこへ、何を入れるところか、目立つよう
に黄色のシールに表記したものを貼り付けました。
② 同じ名前の備品(例 本 とか ブロック)がある場合、見て区別できる基準を一緒に明記し
ました。
本……背の高い本
背が中ぐらいの本
ブロック……大きなブロック
背の低い本
小さなブロック
パズル ……パズル(今、やっている)
パズル(今、やっていない)
①
③
58
4
話をするとき、聞くときの支援
話し方や聞く態度を意識するための注意点を掲示する
「はなしかた あいうえお」
「ききかた あいうえお」を模造紙で作成します。
国語の授業をはじめとするあらゆる場面で、機会を見つけて活動前に提示し、全員で唱えてか
ら活動します。 活動後は、意識して取り組めたかどうかを自己評価します。
この取り組みを繰り返し、相手に伝わる声の大きさや話し方を身につけ、集中して相手の話を
聞く態度を育てることをねらいます。
お
わ
り
ま
で
え
が
お
で
う
な
ず
き
な
に が
し こ ら
っ に
か こ
り
き
こ
う
い
っ
し
ょ
う
け
ん
め
い
に
あ
い
て
を
み
て
き
き
か
た
「
あ
・
い
・
う
・
え
・
お
」
お
わ
り
ま
で
う
つ
む
か
な
い い
し き で
っ い
か き
り
は
な
そ
う
59
え
が
お
で
い
そ
が
ず
あ
い
て
に
ゆ
っ
く
り
き
こ
え
る
お
お
き
さ
で
は
な
し
か
た
「
あ
・
い
・
う
・
え
・
お
」
5
話し方(発表・音読など)のための支援
聞き手に対して伝えることを意識できるようにする
「発表」「音読」とは、自分の表現することを相手に伝える行為です。相手にとって 聞き
やすい声を使って発表することは、伝える技術の重要な一つです。子どもには声を届けるとい
う意識が必要です。本校では、「声のものさし」という掲示を使って、時と場に応じた声の大
きさを意識できるようにしています。また、大きさだけではなく、距離で捉える働きかけも行
っています。また、発表では、声のトーンを高くすることも意識できるようにしています。
子どもを意識させるために教員が教室内をよく動くことも大切です。ときには、廊下に出て、
子どもの発表の声を聞いています。音読では、初めにクラス全体に、声が小さいときには、教
員が手本となって同じところを再度音読すると声をかけておくと意識が違ってきます。この
ときにも、教室内を移動し、音読の声を聞いています。
60
6
学び合い活動を進めるための支援
「話す」「聞く」
「話し合う」ルールを掲示する
全学級の前面黒板上部に、
「おはなし名人」
「きき名人」「声のものさし」
「学びあい名人」が
掲示してあります。
「話す」
「聞く」
「話し合う」に関するルールを全校で統一しています。
「おはなし名人」
「きき名人」を通して、お互いを大切
にできる話し方や聴き方のルールを明確にし、折りに触
れて確認しています。なお、それぞれ、低・中・高学年
用があります。写真は低学年用です。
「声のものさし」で、それぞれの場面に合わせた声の大
きさで話ができるように意識できるようにしています。低
学年用・高学年用があります。写真は低学年用です。
どの学年でも「学びあい名人」の学習形態を取り入れてい
ます。話し合いの手順を具体的に掲示してあります。写真は
低学年用です。
・自分の考えをもちます。
↓
・自分の考えを隣の人に話し、隣の人の考えを聞きます。
↓
・4人程度の少人数グループで、自分の考えを話し、友達の考
えを聞きます。
↓
・全体の前で、自分の考えを話します。
61
7
話を聞いたり発表したりするときの支援
みんながここちよく生活するために、声のものさしを用いる
休み時間には友達と元気に話しているのに、授業中の発表のときには恥ずかしがって小さ
な声しか出せない子や、グループで相談するときに、つい声を出しすぎてしまう子が多く見
られました。そこで、目安となるような声のものさしを作り掲示しました。目で見て「今は
どんな大きさの声を出すといいのかな。」と意識することで、少しずつ場に応じた声の出し
方を身につけることができるようになってきました。
授業中だけでなく、会食中や清掃の時間にも意識していけるよう呼びかけています。
62
8 道徳での話し合い活動を活発にするための支援
話し合いのルールを明確にして示す
本校でのこれまでの言語活動の取組に合わせて、さらに「道徳の時間をこうしていこう」と、
以下の提案を児童に示しました。
・
発表では、自分の素直な気持ちをしゃべっていい。「こんなことを言ったらみんなから変
だなと思われるかな」ということでも、道徳の時間は言ってよい。
・ 他の人の意見を聞くことが大事である。発表をしている人の方を見て聞こう。その意見に
納得したり、共感したりしたときは、うなづきながら聞いてあげよう。発表している人もき
っと自信をもちながら話せるだろう。
・ 道徳はいろいろな友達のいろいろな感じ方を聞く時間である。意見は対立するものばかり
ではなく、同じような考えのものもあるだろう。その中でいろいろな感じ方を聞く時間であ
る。
ということを伝えました。
63
9
正しい姿勢を意識するための支援
姿勢を正す必要がある場面で“よいしせいカード”を用いる
生徒は授業中に落ち着いて取り組むことができず、姿勢が悪くなってしまうことがよくありま
す。そのようなときに、
「姿勢が悪いよ。
」とか「きちんと足をそろえて座りましょう。
」と言うの
ではなく、カードを見せて「この子のように座ろうね。
」と言葉かけをします。すると生徒はすぐ
に自分で正しい姿勢に直すことができます。直接的な耳からの注意や指導だけではなく、視覚的
にも正しい姿勢を意識することができるので、とても効果的だと思われます。姿勢を正すことで、
気持ちが引き締められ学習意欲の向上が期待できます。
様々な場面で単純なパターンを作っておき、どのように行動すべきかのヒントを与えるように
することが大切だと思い行っています。
64
4
学習をしやすい環境への支援
65
1
教室環境の視覚的支援
教室の用具に児童毎の固有のマークを貼る。
児童各自のかごを作り、分類して整理整頓する。
時間割表に、1日の学習内容を掲示する。
・ 教室の机や椅子、ロッカーには、児童の名前とともに固有のマークを貼っています。字が読
めなくても、誰の物か判別がつきやすくしてあります。
・ 提出物や用具の置き場を視覚的に理解できるようにすることで、児童がどこに何があるのか
を把握しやすくしています。児童の朝や帰りの行動がスムーズになり、整理整頓しやすいよ
うにしています。
・ 朝、児童は交流学級の担任に今日の交流の予定を聞きに行きま
す。それをもとにして、朝の会のときに、黒板に一日の自分の
時間割カードを貼ります。一日のスタートに、今日の流れを掲
示し視覚化することで、自分が次の時間にどこで何をするのか
がわかり、見通しをもって行動しやすいようにしています。時
間割カードは、交流学級の授業は朱書きになっており、児童が
交流学級へ行く時間がわかるようにしています。また、カード
の色は学年のカラーで縁取り、各自の能力に応じて平仮名や漢
字を使い分けています。
66
2
活動や学習に主体的に取り組むための支援
棚に無地のカーテン等をかけて中が見えないようにする。
名札の置き場所を決める。
黒板周りはできるだけ簡素化するとともに、教員の机上も整理整頓し、外部からの刺激を少な
くします。
名札の置き場所も、教室の側面に設置し、何をどこに片付けるのかを明確にします。
67
3
授業に集中できるようにするための支援
前面黒板や黒板周りをすっきりさせたり、棚やロッカーに
目隠しをしたりして、余分な情報や刺激を減らす。
目に入ってくるものが気になって集中できないなど、目からの情報をコントロールすることが
苦手な子のために、前面黒板に余分なことを書かず、黒板周りの掲示物も最小限にします。また、
棚やロッカーについても目隠しをしてすっきりさせるようにします。
68
4
学校を過ごしやすくするための支援
教室環境の統一
ア
ごみ箱の設置
全教室に校内で統一したごみ箱を設置しました。以前までは缶のごみ箱やプラスチックのごみ
箱など各教室で違った物を使用していました。ごみ箱のふたは手作りの物が多く、色も形も統一
されておらず、教室が変わるたびに、「どちらのごみ箱が燃えるごみなのか」などの混乱が起き
ていました。そういった混乱をなくすためにも、緑のふたが燃えるごみ、青のふたがビニールな
どのごみと、ふたで色分けされたごみ箱を設置しました。このごみ箱は特別教室も含め、全ての
教室に設置してあるため、児童は混乱せず、ごみの分別を徹底できるようになりました。
イ
置き傘の整理
置き傘を立てる入れ物を缶の入れ物から、格子状の傘立てに変更しました。格子の物に変更し
たことで、出席番号順に置くことができ、より整理しやすくなりました。これもごみ箱と同様に、
各学年で統一されたので、学校生活を通して、置き傘の整理整頓を意識できるようになりました。
【統一したごみ箱】
【格子状の傘立て】
69
5 集中して授業に取り組めるようになるための支援
前面黒板付近をすっきりさせる
前面黒板の付近には、授業に必要のないものを掲示したり、刺激になるものを置いたりしないよ
うにしています。前面の掲示板には、日課表、時間割表、係、委員会、決まりごとの掲示以外はで
きるだけしないようにしています。前のロッカーには扉がついています。通信や生徒作品は、背面
に掲示しています。
70
5
コミュニケーション力や
自尊心を高める支援
71
1
自尊心を高めるための支援
教員の対応とソーシャルスキルトレーニング
1
A児の実態とその対応
① 学習に飽きたり、少し難しくなると声を出して自分の方に教員の意識を向けようとする。
↓
〈評価〉
・不適切な行動には対応しない。
・机間指導の中で、できたところを認め、難しい部分にはヒントを出したり、ヒントカードを渡
したりして立ち去る。
② ノートを破る。
↓
〈アイメッセージ〉
・「私は、あなたがノートを破いたことが悲しい。
」とA児に伝える。
・A児と担任との教育相談を行い、教員と子どもとの関係をつくる。
2
相手の気持ちを考えることのできる学級づくり
・ソーシャルスキルトレーニング「ふわっと言葉・ちくっと言葉」
・ソーシャルスキルトレーニング「相手の気持ちを考えよう」
ソーシャルスキルトレーニング
ソーシャルスキルトレーニング
「ふわっと言葉・ちくっと言葉」
「相手の気持ちを考えよう」
(出典:聞く・話す・伝える 力をはぐくむ
クラスが変わる!
72
子どものソーシャルスキル
監修
岩澤一美)
2
人間関係を築くための支援
言われてうれしい言葉や友だちのいいところを掲示する
具体的に使っていきたい言葉を学級活動等で学習した後、友だちのいいところを紹介し合いま
す。
また、言葉遣いを意識することで、よりよい人間関係を築くことができます。
73
3 誰もが安心して過ごせる教室をつくるための支援
帰りの会で発表した「がんばったこと」を掲示する
毎日帰りの会で行われる「一日の中でがんばったこと」について、発表したことを色画用紙に
記入して掲示します。発表を行うのは、日直当番を行った児童です。4月から順に5月、6月、
7月と一学期を通して掲示します。このことによって、教室にいる誰もが自分のがんばったこと
について発表する機会をもつことができます。また、長期に渡り掲示していくことにより、誰も
が自分たちの発表したことをいつでも振り返ることができます。これらのことが、自分たちの学
級への所属感を高めることにつながり、安心して学校生活を送ることができるようになります。
74
4
授業で分からないことを安心して聞き合える
ようにするための支援
各教室に「学び合いのやくそく」を掲示し、
安心して聴きあえる学習集団づくりを進める
各教室に「わからない時は、はずかしがらずに聞きましょう。」
・
「聞かれた人は、ていねいに
説明してあげましょう。」・「むずかしい問題は、なかまといっしょに考えを出し合って挑戦しま
しょう。
」という『学び合いのやくそく』を掲示しています。授業中、約束をいつでも確認でき、
みんなが心がけて学習に取り組むことができます。それにより、誰もが分からない時に分らない
ままにしておくのではなく、仲間に分らないと尋ねることができます。
また、ペア学習やグループ学習など協力して学習する機会を多く設けています。その際も、こ
の約束を心がけることで、誰もが安心して、学習に取り組むことができます。
75
5 意欲的に授業に参加できるようにするための支援
(1)
机間指導で、授業中の声かけ、赤ペンの利用
授業中の机間指導で、声かけや赤ペンの花丸などで、頑張っていることを認めたり褒めたりす
ることで、意欲を高めたり、意欲を持続したりすることができます。また、自分の考えに自信を
もったり、安心したりすることができます。
【 花丸をつけて称賛する 】
【 「よい考えが書けたね」と認める 】
【 あと少し、がんばろうね】と励ます 】
76
6 意欲的に授業に参加できるようにするための支援
(2)
ペアやグループを組んでの活動、ゲームや遊び的な活動を授業の中に
設定する
ペアやグループを組んでの学習活動を設けたり、授業の始め、中、終わりのどこかで、全員参
加の楽しいゲーム的な活動を取り入れたりすることで、途中で学習が嫌になってくる子も気が紛
れ、意欲を持続することができます。
←【 みんなで学習ゲームを楽しむ】
【 友達とペアを組んで学習 】→
←【 同じ意見の子が集まる 】
77
7
安心して過ごせる学級のための支援
視覚支援の工夫
① 学級目標「みんななかよし にっこりんご~3つのりんごをそだてよう~」と関連して、そ
の日・その時間の目標と関連する絵を黒板に提示することで、活動のめあてを明確にします。
児童はりんごの絵に親しみをもちながら、
「今日はにっこりんごがいい!!」
「これは、おもい
やりんごもいると思う!」と積極的にめあてを考えることができました。
② 五感+心を使う場面を絵と言葉で黒板に明示する。
(国語、生活など)
国語科の「話す・聞く」
、生活科の「見たこと、聞いたこと、かいだこと、さわったこと、思
ったこと」など、活動の内容に応じて板書とともに提示しました。目や口などのインパクトに
児童は盛り上がっていましたが、板書で絵と文字の両方が使われていることで、より意識を高
めて活動できたと思います。
③ 人物などの気持ちを考える場面で、板書に併せて表情の絵を提示する。(国語、道徳など)
「うれしい」
「楽しい」
「おもしろい」など、表情としてはどれも「笑顔」になるものや、感情
の程度がうまく言葉にできない場面があったため、表情の絵を見て「このときは、どの顔?」
と児童が考えました。児童にとっては言葉にできなかった感情が答えやすくなり、また発言後
も黒板に貼った絵を見ながら自分の考えをまとめたり、深めたりすることができました。
①
➁
にっこりんご(黄) がんばりんご(赤)
笑顔・元気
努力・集中
➂
すっきりんご(緑) おもいやりんご(桃)
健康・安全
親切・協力
78
8
自分の言動をコントロールする力を
育てるための支援
「いいことみつけ」で仲間作り
自己肯定感を高めるため、仲間のいいところの発見を促す
担任や他の教員、支援員が、児童の行動で紹介したいことを付箋に書いて、掲示します。担任
は、交流学級の担任などの教員に、児童のよかった行動を聞きます。
月ごとに台紙と付箋の色を変えます。将来的には、児童同士で書けるようにします。
友達とけんかした
後自分たちで、お互い
にあやまって、仲直り
した。
5/25
児童名
by○○先生
79
9 安心して学級で過ごせるようにするための支援
授業のユニバーサルデザイン化
通常学級
学級の中で、話し合いがスムーズにできることは児童や教師にとって理想的な姿といえます。初めか
ら全体の前で意見を堂々と言える児童は多くありません。そこで、このような手法を使って意見の発表
しやすい学級づくりを目指しています。
題材「キャンプファイヤーのスタンツを成功させよう」
① 自分で考え、ワークシートに記入する。
② 生活グループで意見を発表し合い、全員の意見を大きな紙に書く。
③ 発表者を決めて順に発表する。
④ 大きな紙を黒板に貼り、全体で確認する。
グループで話し合いの経験を積むことで、発表に消極的な児童が参加しやすくなります。また、意見
の出し方を身近で見聞きすることで、発表のスキルを身につけやすくなります。
特別支援学級
一人一人の特徴と交流する学級・学年が違うので、朝の会で教室に集まった時に、視覚と聴覚に訴え
るようにしています。その日の時間割は黒板に一人ずつ書かれています。
連絡帳は一人一人にプリントを作成し、児童はそれをノートに書き写したり、書いた内容を読んだり
しています。
80
10 話すことが苦手な子が話し合いに
参加できるようにするための支援
シンキングツールを使って、話し合いに参加する。
通常の学級において人前で話をしたり、自分の意見を述べたりすることに苦手意識をもつ子は
多くいます。言語力育成のために、話し合い活動が行われますが、気を付けないと話し合いをす
ればするほど、話し好きな子ばかりの意見が通って、話し合いがつまらなくなってしまいます。
そこで、シンキングツールを使って話し合うことを勧めたいと思います。シンキングツールは、
用途に応じてさまざまな形がありますが、今回はXチャートを紹介します。まず、調べたことを
付箋紙に書き出します。その後、Xチャートを使って班で協力して4項目に付箋紙を貼り分けま
す。貼った後は、チャートを見て分かることを話し合って、代表者が発表します。これはあくま
でも一つの流れです。
ポイントは、付箋紙に書くことで、自分が調べたことや考えが相手に伝わることです。さらに
それをXチャートに分類して貼ることで、他の子の内容と比較しやすくなるところです。ここま
では無言でできます。たとえその後の話し合いに積極的に参加できなくても、自分の付箋が仲間
に評価されるため、意見を述べるのと同等の効果が生まれ、やりがいにつながると考えます。
調べたことを付箋紙に書き写す
付箋紙を分類して、Xチャートに貼る
Xチャートから分かることを話し合って、代表者が発表する
81
11 落ち着いて楽しく過ごせる集団づくり
のための支援
構成的エンカウンターの活用
ア
五色百人一首の実践
4年生が行っているこの実践では、百人一首を得意にすることを目的にしているのではな
く、負けることに慣れることを目的としています。5時限目の始めの5分間で机を向けあい、
2人で対戦する形式で行い、初段から名人とレベルを分けて行っています。以前はレクリエー
ション活動の勝敗についてこだわる児童が多く、もめることがありましたが、この実践を続け
たことで勝敗でのトラブルが少なくなりました。勝つこともあれば、負けることもある。その
体験を増やしてあげることで、勝敗だけにこだわらない心が育っています。
イ
サイコロトークを利用した話し合い活動の実践
1年生の国語科の授業の「たからものをおしえよう」では、グループに分かれて宝物を紹介
し合うという活動があります。その授業に向けて、班で話し合うことを目的にサイコロトーク
の実践を数回行いました。サイコロトークでは、サイコロを振って出た目の質問に答えていく
というものなので、1年生でも簡単に短い時間で行えます。このサイコロトークを行ったこと
で、班の友達に自分のことを恥ずかしがらずに伝えることができるようになってきました。
【百人一首の対戦表】
【サイコロトークの様子】
82
12 自尊感情・自己肯定感を育むための支援
エンカウンターを通して、ソーシャルスキルを身に付ける
月に2~3回ほど、各班4人程度の小グループを構成し、15分~20分かけてグループエン
カウンターを行います。そのエンカウンターを行う前には、4つのポイントを毎回確認し、それ
をエンカウンターの中で意識して取り組むようにしています。そのポイントは、「うなずいて聞
く」
「人の顔を見渡して話す」
「始めと終わりに挨拶する」
「指示を聞く」です。
最初は、楽しむだけで終わってしまう生徒もいましたが、繰り返して行っていくことで、ポイ
ントを意識できるようになり、ソーシャルスキルを身に付けようとする意欲が見られるようにな
ってきました。このようにポイントを意識する事で、話す側が安心して話すことができ、受け入
れられているという安心感をもてるようになると考えています。その体験から、自尊感情・自己
肯定感を育む事につなげていこうと考えています。
83
13 集団生活に自信をもてるようにするための支援
合同STで活動の場をもつ
特別支援学級は,その障害種別により,学級が分けられています。状況によっては1学級1名
ということもあります。そこで,STを合同で行い、複数の教員で支援を行うことにより、集団
の場で自信をもって行動できる力をつけたいと考えました。具体的には次のようにしました。
1 司会を輪番制とする。
2 今日の予定と一言メッセージを話す。この時、しっかりと話ができるように学級担任が支
援をする。
3 先生の話を聞く。他学級の先生から話を聞くことにより,広い視野をもつことができるよ
うにする。
本年度から始めたところ、以前に比べ自信をもって発言する姿が見られるようになりました。
生徒の様子をしっかりと観察して,適切に進めていきたいです。
84
6 その他
85
1
「できた」が実感できる支援
日々の生活・授業中における教師の話し方・関わり方
常時 ・ 指示は、具体的に短くする。
・ あいまいな指示はしない。
・ 話す前に質問をする時間を取ることを伝える。
・ あいさつや会話の中に、名前を入れて話す。
・
注意や指導は短くし、次につながる肯定的な指導を具体的にする。
授業中
・ 毎日3分間集中する時間を作り、達成できたという事実を実感できるようにする。
・
表情だけでは伝わらない場合や気持ちと言葉がつながっていない場合もあるため、
「〇〇ができたね」
「△△がわかったね」など分かっているであろう言葉を、あえて
言葉に出して個々に伝える。(ノート提出時・机間指導等)
・ うなずき、拍手などの行動から気持ちが伝わることを伝え、認められたことを感じ
られるようにする。
・
望ましくない行動に注目しすぎない。
(できている子に対して声かけをして認める・アイメッセージを送る)
・ 指導の対象となる本人のそばで全体に向けて指示をする。
・ 意図的な机間指導を行い、言葉かけやボディタッチなど個に応じた支援を行う。
(毎時間一回以上を心がける)
・ 肯定的な表現を使って、具体的に支援をする。
・ できないことがあった児童を集団から外れた子と捉えられないよう、ルールを守ろ
うとしている姿を認め、集団の一員であることとルールの大切さを全員で意識できる
ようにする。
86
2 どの子も授業に参加できるよう「学び合い」を
意識した授業指導案の作成
授業指導案に「学び合い」充実のための手立てを書く
学級のどの児童も授業に参加できるようにすることは、授業者として当たり前のことです。し
かし児童が、指示等がわからず、学習活動に参加できないと学習への意欲も低下し、ますます授
業に参加できなくなってしまいます。原因の一つとして、一斉授業での学級全体への指示や講義
形式では、うまく内容が理解できないことがあげられます。
児童相互の「学び合い」を授業の中に取り入れることで、授業中に指示等がわからなくて困っ
ている児童も、周りの児童に助けられながら、授業や学習を進めていくことができます。
そこで、授業指導案を立てる際、
「学び合い」充実のための手立てを書くことで、授業者が「学
び合い」を意識し、授業を行っていくことができます。
「
学
び
合
い
」
充
実
の
た
め
の
手
立
て
・
指
導
87
3
どの子も安心して活動できる学級づくりのための、
授業における教員の工夫と支援
1
理解するのに、少し時間がかかる児童への支援
2
45分の授業の中で、気持ちの切り替えができる機会の設定
3
よいことに注目して、すかさず誉める
4
興味・関心・意欲を喚起するきっかけ
1
理解力がやや乏しい児童は、活動内容を把握するのに時間がかかってしまうため、他の児童よ
り活動が遅れたり、その間に意欲も薄れたり、さらに活動に取り組む時間も短くなりがちです。
そこで、活動によっては、あえて教員がその児童とペアになり、みんなの前で活動内容を提示し
ます。それにより、その児童が張り切って活動する場面をつくることができると同時に、教員の
補助を受けながら、活動内容を習得することもできます。
2
小学校低学年は、45分間、集中力を持続することがなかなか難しいです。そこで、ちょっと
した呪文(例:かかとはペッタン、背中はピン、おなかと机はグー一つ)をみんなで唱えるとい
う、声を出す活動を意図的に取り入れます。こうすることで、気持ちを切り替えることができる
とともに、姿勢を正すこともできます。軽快なリズムをもつ語呂合わせ等、発達障害のある児童
の中には45分の授業の中に必ずそんな場面が設定してあることで、ずっと期待してそれを待つ
児童もいると思います。
3
教員がこうしてほしいと思った行動を誰かがした時をとらえて、すぐに誉めたり、認める言葉
を投げかけたりすることによって、よい行動が子どもたちに広がっていきます。その際、なるべ
く複数名の名前を挙げて誉めるとよいと思います。注意するよりも有効です。学級集団の雰囲気
もどんどんよくなります。すると、さらに誉めることができるという好循環を生み出すことがで
きます。
4
当たり前のことですが、話をするときには、なるべく児童になじみの深い、具体的で身近な例
を挙げて話します。児童にとって、うなずけることが多ければ多いほど、児童自身が授業に参加
しているという実感をもつことができます。
88
4
「楽しく、わかる、できる」授業のための支援
授業を焦点化(シンプル)・視覚化(ビジュアル)・共有化(シェア)する。
子どもたちが心地よく生活したり学習したりするために、安心できる、居心地のよい学級づくりが必要だと
考え、特別な教育的ニーズのある子どもだけでなく、全ての子どもにとって居心地のよい学習環境づくりに努
めています。また、どの子も「楽しく・わかる・できる」道徳の授業をめざし、ユニバーサルデザイン(UD)
の考えを取り入れ、授業を焦点化(シンプル)・視覚化(ビジュアル)・共有化(シェア)しています。
○ 焦点化:見通しをもって学習に参加することができるように、展開を工夫
価値に迫る話し合いを行うために、中心となる部分に絞って話し合う場面を設定
○ 視覚化:物語の内容を理解しやすいように、場面絵を効果的に掲示
活動が明確に理解できるように、切り込み発問を青、中心発問を赤で掲示
友達の意見を認め、自分の意見を発表することができるよう、板書に児童名を貼付
○ 共有化:ねらいとする価値を全員が理解できるように、ペアや少人数で話し合う場を設定
4年生『ないた赤おに』[内容項目2-(3) 信頼・友情]
〈ねらい 友達と互いに理解し、信頼し合うとともに、友達を思いやる気持ちを育てる〉
ねらう価値に相応しい山場(葛藤)を見つける
気
付
く
UDの視点からの授業づくり
2
と
ら
え
る
資料「ないた赤おに」の人物関係や場面
展開の状況をとらえる。
(1)「赤鬼」の気持ちを考えながら、範読
を聞く。
視覚化
(2)場面絵を見ながら、話の流れをつかむ。
3
資料『ないた赤鬼』を読んで話し合う。
(1)青鬼を殴っているときの赤鬼の気持ち
を考え、話し合う。
☆
場面絵を掲示
○場面絵を見ながら場面を把握していく
児童
視覚化
☆
☆
切り込み発問を青で掲示
場面の役割演技
「もっとぽかぽかとなぐるのさ」と言われた赤鬼は、どんなことを考えて
青鬼を殴ったでしょう。
(2)青鬼の残した手紙を読んで涙を流して
いる赤鬼の気持ちを考え、話し合う。
深
め
る
○
劇化を通して揺れる赤鬼の気持ちを
考える児童
☆ 中心となる部分に絞って
○ コの字型の中央で劇化
話し合う
焦点化
青鬼の残した手紙を読んで涙を流している赤鬼は、どんなことを考えて
いたでしょう。
視覚化
☆
☆
中心発問を赤で掲示
名前マグネットを貼付
共有化
☆
ペアや少人数で話し合う
基本形式のワークシート
自己を見つめる
中心発問について
89
○ 色を変えた発問掲示
○ 児童の考えにマグネットを貼付
み
つ
め
る
4
自分をみつめる
友だちのことを考えて何かしたこと(していること)はありますか。
○
あ
た
た
め
る
5
教師の説話を聞く
焦点化
見通しをもって参加できるように、展開を工夫
90
自分に問うつもりで言葉を発する
児童
全員参加で、楽しく分かる授業を行うための、指導者の工夫等をまとめた表
5
わかる授業のための20項目チェック表
91
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