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深淵∼リプレイノート 黒剣の魔道師アックス 29歳 海王の剣士

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深淵∼リプレイノート 黒剣の魔道師アックス 29歳 海王の剣士
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■深淵∼リプレイノート
●プレイヤーキャラ解説
キャラ作成にかかった時間は2時間弱。最初にテンプレートキャラを
選択してもらい、それをアレンジして作成。ブルクは初参加、フォレス
トは深淵プレイ2度目、アックスは3度目の参加となる。
能力値を決めてから運命を決定してもらった。深淵の熟練度の順番
で運命を決定してもらったのだが、最初の2人が人間ではない運命カ
ードを引いてしまったので、最後のブルクの運命を決めるのに難航し
てしまう。何度か引き直してもらってようやく決定。運命に関して、プレ
イヤーから特に注文がなかったため、マスターが昼休みの時間を見
計らって各キャラの運命とNPCとの関係や過去設定を即興で作成。
■黒剣の魔道師アックス
29歳
●主な特徴
◆大斧使い・軽装鎧
ていたPCを見てすぐにそれが人造人間だと分かり、風虎の眷属だと
見抜いた。いつか彼が街を救うキーになると感じた夫婦は、彼を自分
たちの子供のように扱い、町はずれで彼と共に2年間過ごし、彼に自
分たちの魔術技術のすべてを教え込む。
そして今から3年前、PCの存在を知った神父&公爵によって家に急
襲を受けた夫婦は、PCを守るため、自ら城に出向き、神父と公爵と対
決する。この戦いで夫婦は死亡する。
上記の戦いは、城の中で情報操作されていて、表向きには「公爵と
姫を殺そうとした反逆者」ということで街の中でも大きく広められてい
る。そのため、唯一逃げ出したPCの顔が、公爵に盾突く重犯罪人とし
て、街のあちこちに張り紙が出ている。よって、PCは街に入ってすぐ
に顔を隠さないと、兵士たちに捕らわれる事になる。
夢歩きでは、主にPCが両親に愛されていた事、および街を救うため
に必要な存在である事、さらに両親がPCを守るために公爵および神
父と戦って死んだ事をぼんやりと思い出させる形にする。
追加設定として、このPCを密かに「この街出身」とするが、当然PCに
はセッション開始時には秘密にしておく。NPCである街の住人・メルリ
ーと、仲良しだったという裏設定を加えるが、これはメルリーの片思い
である。
魔道の扱いがメインなのだが、大斧を使う事にも精通している。
◆<黒剣><戦車><通火>の魔術に精通
それぞれの魔術を高レベルで取得。おしりに黒いアザ、右目と左目
にそれぞれ別の刻印。
●運命
カッコ付きのものは、キャラ作成時に内容をPCに秘密にしておく。
◆40:過去を失った者
PCは3年より前の記憶を失っている。実はこのキャラは、5年ほど前
にこの町の地下に封印されている、魔族オイマークによって作成され
た人造生命体という設定にする。本来はオイマーク自体がその人造
生命にやどり、街を闊歩する予定だったのだが、PC自体の自我の反
乱により失敗。PCは自力で逃げ出すものの、地上で倒れる。オイマ
ークはPCのことに対して、「出来損ないの人形」という意識しか持って
いない。
夢歩きでは、下記の「親が罪人」と交互に夢に現れてくる感じで、自
分が製造される過程を、新しいものから古いものへ、さかのぼって出
てくる形にする。最後の戦闘の直前ぐらいに、自らの存在が「魔族に
よって作られた存在」だということに気付くぐらいのタイミングがベス
ト。
◆(9:親が罪人)
本来この運命は初めからPCに内容を話しておくものなのだが、前述
の運命「過去を失った者」との相乗効果で、PCには秘密にしておく。
5年前に創造されたPCは、すぐさま地上に逃げ出したものの、そこ
で意識を失う。そのPCを助けたのが30代の魔道師夫婦だった。彼ら
はその魔道の力故に子供を作る事が出来なくなっていて、街で倒れ
●縁故
◆(自 分 を生 み 出 したもの= 5点) 、(両親 =5
点)、愛馬トマホーク号=1点、魔法水晶2個=
2点
彼の場合、運命によって得られた10点分の縁故の内容は、セッショ
ン開始時にはPCに秘密にしておく。
■海王の剣士フォレスト 31歳
●主な特徴
◆海王の魔剣使い・重装鎧
PCは運命で「1:呪われた魔剣」を引いたため、海王の魔剣である
片手半剣を所有する。
◆<海王><通火>の魔術をそこそこ使える
片目に通火の刻印。片足に青色の剛毛。魔剣の相乗効果もあり、
海王の魔術に精通している。
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●運命
◆(66:魔族の血)
PCは海王の魔族、64:水の公爵フォーナイの血を受け継いだ眷属
である。かつて一度だけこの街に足を踏み入れたPCは、街の中央の
噴水広場にある人工的な泉に落ちてしまう。深さ30センチ程度のは
ずのその泉は、フォーナイの住処へとつながっていて、そこでフォー
ナイの下僕の「波紋の乙女」により、魔剣を渡され、「お前には大事な
使命があるので、いつか来る対決の時までその剣と共に旅立て」と言
われる。水の公爵フォーナイ自体は直接はPCの前には姿を現さず、
声だけが聞こえる。
セッション中にPCが水の中に落ちた場合、夢歩きが発生し、その水
中でフォーナイの住処とつながる可能性がある。そのときは案内役と
して「波紋の乙女」を出す事。
夢歩きでは、PCの存在がこの強力な魔族と何らかの関係がある事
をにおわせる形にする。また、この「魔族の血」のせいで、シナリオの
根本に大きな変化を加えないといけなくなる。初期設定では街に存在
する魔族は「小鳥の太守オイマーク」だけなわけだが、ここで「実はか
つてこのまちは水の公爵フォーナイの属国だった」という設定を加え、
以前からあった「地下道」の存在を、「地下道のそばにきれいな地下
水が流れる、水のきれいな街だった」に変更する。オイマークはフォー
ナイをやっかい払いして街を占拠し、地上に大規模な自分をあがめる
街を作成した、という裏設定にする。そのため、フォーナイはPCに、自
分の代わりにオイマークを倒して欲しいと思っているが、直接PCにそ
う頼みはせず、運命の流れで自然に対決するように持って行く。夢歩
きの内容もそれに準じ、「この街で何か大きなことをしなければいけな
いんだ」という方向性のものにする。
この運命の内容は、セッション開始時はPCには秘密にしておく。
◆1:呪われた魔剣
魔族、水の公爵フォーナイによって与えられた海王の魔剣。形は片
手半剣。相手にダメージを与えるたびに相手の生命力を自分の生命
力とする事が出来、魔術として霧や水を支配する事が出来る。
魔剣の能力値に関しては基本ルールそのままで使用。
魔族フォーナイが男性キャラ風、その従者波紋の乙女が女性キャラ
なので、魔剣は男性キャラ風にする。折り目正しい会話口調ではある
ものの、威厳を保ちつつ、PCを時々からかう。つねにPCの一歩後ろ
ですべてを見通しているような感じをPCに与えるように振る舞う。
●縁故
◆(魔族の血=5点)、海王の魔剣=5点、他の
PC へ各1点
魔族の血に縁故を割り振る時は、その対象が魔族だという事はPC
には秘密にしておく。
■騎兵ブルク
26歳
●主な特徴
◆騎兵・中槍使い・2重鎧
馬上による突撃戦闘を得意とする。盾も装備。鎧はもっとも重く高性
能な2重の騎士鎧。
◆魔術は野槌の護符のみ
プレイヤーが初プレイのため、テンプレート「騎兵」に準じて、あまり
魔法は覚えていない。
●運命
◆23:運命の出会い(異性)
フェイリア姫と運命でつながる事が決まっている。他のPCが非人間
で、なおかつ他のNPCとの接点をあまり持たないのに対して、このPC
の運命は非常に人間くさくなっている。
夢歩きでは彼女との楽しい思いが出てくるようにする。夢の中で出
会う姫は、もちろん自分が誰なのかは言わない。詳しくはシナリオ設
定の「フェイリア姫」の項目を参照。
◆74:骨肉の争い
PCには4歳年上の兄がいる。かつて2人は他の街で共に戦闘技術
を学んだ仲だったが、兄は弟の天性の能力をねたみ、やがて弟を憎
むようになる。「俺が一生懸命努力しても、この弟を超えられないの
か?」この疑いが常に兄の中にある。やがて互いに離れて旅だった
ふたりは、この街で出会う事となる。兄の名前はジェラオン。街の近
衛騎士団隊長まで出世していた(年齢を32歳から30歳に設定変
更)。
PCとこのジェラオンが顔を合わせると、ジェラオンはいきり立ってPC
に戦闘をしかける。能力値はPCとほぼ同等か、やや下に設定し、劣
る分は自分の部下の隠し矢などで補うようにする。
ジェラオンは、近衛騎士団隊長という地位をフルに発揮し、PCを追
いつめ、精神的にいたぶろうとする。また、初期設定通りに姫に対し
ても言い寄っているため、PCの運命「運命の出会い」に気が付くと、さ
らに逆上する。
夢歩きでは上記の「運命の出会い」に対して、邪魔するような形でジ
ェラオン=悪の化身が現れるようにする。
●縁故
◆異性の NPC =5点、敵対する近親=5点、愛
馬ウママル=3点、護符=1点
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■総合的なキャラノート
3人のキャラが完成し、運命も決定、裏設定も決まったのだが、すで
にこの時点で全員の運命がそれぞれ縁故5点を消費している事に気
が付く。つまり、全員が最低10点の縁故を運命に対して消費してい
るのだ。これはセッションに対して破壊的威力を持つ事を意味する。
とくにラストになれば全員の素性が分かるため、この縁故をフルに使
えばラスボスも楽に倒せるのではないかと、マスターは冷や汗を流す
がまぁたまにはこういうのも良いだろうと、気にせずにセッションを開
始する。
■シナリオ展開
●導入部
特に問題なく、夢歩きから始まり、姫が空中から光り輝いて落ちてく
るシーンを演出する。すでにこの時点でPCたちは、ヒロインに関する
運命を持つのがブルクだけだという事を知っているので、ブルクを主
人公に持ち上げるような雰囲気が出来上がってしまっている。
そして最初の戦闘。魔族1体なので楽に倒せる。
フェイリア姫が、「自分は城では必要とされない存在なのだ」というこ
とを、悲しげにPCに印象づけるようにマスターは演出する。
●街へ
街へ行く間にも夢歩きを行い、各PCに対して過去設定を掘り下げて
いく。
人物がじっと見つめている事に気が付く。
PCが入り口でどうするか迷っている間にメルリーが扉から出てきて
しまう事にして強引にシナリオを展開させる。メルリーは3年ぶりに会
うPCにビックリしつつもすぐにアックスを店の奥の倉庫まで引っ張って
いき、アックスがお尋ね者だと言う事と、両親が公爵に反逆して死ん
だ、と言う事を告げる。実際にはこの情報は間違っているのだが。
●包囲される宿
PCたちがこれからどうするか悩んでいる間に、導入で時間を使いす
ぎたマスターは、強引にシナリオを進めるために宿を歩兵に包囲させ
る。彼らは街の門番が姫を見つけたという報告を聞いて、ジェラオン
近衛騎士団隊長と共に宿に来たのだ。
PCたちは、包囲されている事に気が付いたものの、相手のねらいが
姫なのか、それともアックスなのかわからず、どうしたらいいか思案す
る。
ここですでに所定時間の5分の2を使い切っている事に気が付いた
マスターは、ここから先は内容を切りつめて進まなければいけないと
決意する。プレイヤーに考える隙を与えずに怒濤のようなイベント攻
勢をする事になる。
●神父登場
本当はここでジェラオンを登場させようとしたのだが、PCたちとメルリ
ーとの会話により、トレスコ教団の神父が怪しい存在だという印象を
与えられたようなので、先に神父を登場させる事にする。
神父はにこやかな笑顔でPCに接触し、いかにも偽善者面で「姫を城
まで護送する」旨を提案する。ここではPCに「腹に一物ある神父」とい
うイメージを植え付ける。
●街の入り口
PCたちはとりあえず姫の外見を隠して街に入ろうとするが、それは
すぐに入り口の兵士の厳重な詰問にあい、露見するかどうかの瀬戸
際に立たされる。ここで兵士が持っていた手配書をPCが見る事によ
って、PCの1人、アックスがお尋ね者にされている事に気が付き、アッ
クスはあわてて顔を隠す。
●街の中へ
何とか門番をやり過ごして街に入ったものの、あちこちにアックスの
お尋ね書きが張り出されている事に気が付く。あたふたしつつもとり
あえず宿でも決めようかと言う間にもいくつか夢歩きを実行させ、そ
れぞれの過去設定をかいま見せ、自分たちと街との繋がりをぼかし
ながら伝えていく。
●宿の中
一件の宿の前にたどり着く。そこはかつてアックスがお世話になった
娘、メルリーが生活する宿屋であるが、アックスはそのことに気が付
かない。後方ではイベント「見つめる目」が発生し、PCを謎のローブの
●ジェラオン登場
ジェラオンをどの時点で登場させるかによって、PCブルクの物語が
大きく展開するので、すぐに出す事にする。
神父がPCたちと長話している事に業を煮やしたジェラオンが、PCた
ちのいる宿屋の倉庫に乗り込んでくる。そこで自分の弟であるPCブ
ルクと顔を会わせたジェラオンは、PCたちに「姫をたぶらかした罪人」
というレッテルを強引に貼り、PCブルクに決闘を申し込む。
●ジェラオンとの決闘
場所を街の大路地に移し、騎乗による突撃形式で決闘する事に決
まる。幅の広い路地に互いに馬に乗り、離れて対峙する。周りでは部
下である兵士をメインに、一般の街人たちも観客として現れ、路地は
決闘を取り囲むように人であふれ始める。
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●深淵開門
ジェラオンは、自分がPCブルクと対峙して会話している間に、自分
の部下に対して、秘密裏に自分の剣に魔法をかけさせる。その行為
を見破ったPCアックスは、呪文を邪魔するべく、魔術「破邪の瞳」を使
って術者を秘密裏に攻撃する。
それによって呪文の詠唱を遮られたジェラオンの部下は、その地点
に深淵への門を開いてしまう。
すぐさま術者が深淵に取り込まれ、続いて周りの兵士たちも深淵に
引きずり込まれそうになる。
深淵は小さなブラックホールのようなものなので、周りのすべてのも
のが深淵に吸い込まれていき、辺りに大パニックが始まる。
●喧騒からの脱出
騒ぎに乗じて姫を奪い、その場からの脱出に成功したPCたちは、二
手に分かれて城へと向かう。姫とPCブルクはそのまま馬で城へ、PC
アックスと彼の馬の背中に乗せられたPCフォレストは、乗馬中にアッ
クスが夢歩きに没頭してしまったために、不注意で街の中央の噴水
の中に転げ落ちてしまう。
●海王との接触
深さ30センチほどだと思われた噴水の泉は、PCフォレストの夢歩き
の世界へとつながっていて、PCアックスと共に海王の住む海底へと
波紋の乙女の案内で沈んでいく。そこで声だけの存在である海王と
会合したPCたちは、海王から「かつてこの街は自分の支配下にあっ
たが、今は風虎の魔族「小鳥の太守オイマーク」に奪われている」こと
をそれとなく話す。海王自体はプライドが高いのでPCに「オイマークを
倒せ」と直接は言わないが、「ヤツを倒さないとおぼれさせるぞ」と暗
に脅迫させるイメージをPCに植え付ける。
この時点では、海王=水の公爵フォーナイ、だということはまだ知ら
れていない。PCフォレスト自身にも、自分がその海王の血を引くもの
だという事は知られていないので、ラストの戦闘で自らの出生の秘密
が分かるように、慎重に夢歩きを行っていく。
●城内へ
海王の計らいで城内の水飲み場からぬれながら登場したPC2人
は、PCブルク&姫と合流する。ここで姫の唯一の味方である老騎士
グリスレルと会い、また、姫のお付きの侍女たちの世話にもなり、姫
が城内ではみんなに慕われている、という事をPCに印象づける。
●謁見の間
フェイリア姫の父、ガローザ公爵(結局この名前は知られずじまいだ
ったが)と、その后と、謁見の間で顔を会わせる。初期設定では公爵
は「厳しい性格で怒りっぽい」ということになっていたのだが、それだ
けの事を演出している時間がないので、急遽「妻や神父におびえな
がら、娘への愛情も捨てきれなくて毎晩眠れない夜が続く気の弱い
父親」というキャラに変更する。外見は痩せて、目の下にクマができて
いると演出。その代わりに后の方を気を強くヒステリックにし、「裏で神
父とつるんでいる」感じをにおわせるようにする。
ここでPCブルクは、「姫を自分にください」と大胆発言。しかしマスタ
ーとしてはここで娘とくっつけるわけにはいかないので、「きのう神父
と話をし、神父なら娘の呪いをとけるというので、身柄は神父にすで
に渡した」という旨を話す。娘が欲しければ神父と話をするのだな、と
高飛車に后はPCブルクに話す。
PCたちは、謁見の間の奥のカーテンの隙間から、姫の弟のオリバ
ーがじっと成り行きを見ている事に気が付く。オリバーは心配そうに
姫の事を見、姫もまた悲しそうな瞳で弟を見ている事をPCに印象づ
け、さらにその弟が、后によって姉への接触を激しく禁じている風に
見せる。
謁見の間の外では、下級魔族がPCの行動を見張っている事に気が
付く。
●教会
急きょ姫と共に教会へ向かったPCたち。教会の入り口で、またもや
イベント「見つめる目」が発生。
教会内部でPCブルクが神父と接触∼会話。姫が自分にとっていか
に大事かを神父に言うが、神父曰く「地下にある祭壇で特殊な祈祷を
行えば、姫の刻印の呪いを解く事が出来る」と怪しげなことを言って
姫を奥へ連れて行こうとする。
ここでPCたちは一気に神父を襲うかどうか迷い始める。神父はまだ
裏の顔を暴露していないため、PCたちとしても教会で「正義面した神
父」に戦いを挑んで良いのかどうか意見が分かれる。
まとまりそうにないので、ここで下級魔族である「黒き鷹シャスター」
を、教会の窓ガラスを割って大量に突入させる。シーン的にはヒッチ
コックの映画「鳥」を思い浮かべさせる感じで、教会内の高い天井の
ほとんどを覆い尽くすほどの黒い魔物∼鷹が飛び交う。
この騒ぎに乗じて、小鳥の太守オイマーク自らが鷹の一体を乗っ取
ってPCブルクの眼前に姿を現す。圧倒的意志力でPCを屈しようとす
るものの抵抗判定に勝つPC。そこに追い打ちをかけるように、騒ぎに
乗じて「霞」の呪文で姿をかすませつつ背後から現れて槍の一撃をP
Cブルクに食らわせる近衛騎士団隊長ジェラオン。3つどもえの雰囲
気を見せる。
●教会陥没
そこに突如地震が起き、PCブルクとフェイリア姫、およびジェラオン
は陥没した教会の地下へと落ちてゆく。この地震は太守オイマークが
起こしたものであり、姫を地下の祭壇まで持って行くのが目的であ
る。
PCブルクを助けようとしたPCアックスとPCフォレストは、教会の入り
口から入ってきたメルリーにひき止められる。さらにそこにさきほどま
でPCを見張っていたローブを着た人物も現れ、自らの素顔をさらし、
「ここはいったん引いた方がいい」とPCを説得して、崩れ落ちる教会
からPCたちを離れさせる。
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●白き風の騎士団
物語も終盤に来て、ようやく「白き風の騎士団」が登場する。マスタ
ーの今回のマスタリングの不首尾のひとつとして、この騎士団の存在
が、今の今まで全くPCたちの耳に入っていなかった事がある。本来な
らメルリーがこの騎士団に所属しているため、彼女からPCにそれとな
く事前に説明しておかないといけないのだが、時間に追われてすっか
り忘れていたのだ。
半ばごまかすようにして、半ば強引に騎士団の存在をPCに認知さ
せる。ここでPCアックスに夢歩きをさせ、彼がこの街の出身だという
事を再度認識させる。それにより騎士団の中にPCアックスのことを知
っている人物を登場させ、PCアックスが騎士団の中で重要な存在だ
という事を位置づける。
●拷問室と祭壇と
一方、他のPCと分かれて教団に捕まったPCブルクは、実の兄ジェラ
オンの拷問を地下の牢屋で受ける。それと同じ時刻には、姫が祭壇
にまつられており、太守オイマークを復活させる儀式が行われている
事を夢歩きでPCブルクに知らせる。それとともに、姫が覚醒し、茶色
だった姫の剛毛を持つ刻印が白く光り輝く変貌を見せる。その姫の力
によって、強い絆で結ばれているPCブルクの拘束が解け、ブルクは
牢屋から脱出する。
●小鳥の太守オイマークの祭壇
フェイリア姫の存在が、太守オイマークを復活させるための生け贄
ではなく、逆にオイマークを封じ込めるために使わされたPCに対する
「守り手」だと知った神父は、自らの命をオイマークに捧げて、この魔
族を一時的に復活させる。
「小鳥の太守」というかわいらしい名前が付いているのでさんざんPC
にバカにされつつ、復活し、初期設定通りに周りの天井を陥没させ
て、この祭壇を中心に巨大なすり鉢状の地形になる街。オイマークは
小鳥の姿からグロテスクな巨大な(15メートルぐらいの)魔族へと変
貌する。
●最終戦闘
相手は中堅クラスの魔族のため、普通ならそこそこ苦戦するはずな
のだが、この戦闘の前、および戦闘の最中の最後の夢歩きで、PCア
ックスが「実はオイマークによって作られた人工的生命体」だというこ
とと、PCフォレストが「かつてこの街を支配していた水の公爵フォーナ
イの血を引くもの」だということが発覚し、PCたちはその縁故の持てる
力のすべてをこのラスボスに対して使う事が可能となる。それによっ
てPCたちの戦力はかなり高くなってしまうという、あらかじめ予想はし
ていたものマスターにとって不可避の事態に突入する。
PCが強すぎる状態を緩和するために、その場に残されたPCブルク
の兄、ジェラオンに魔族的力を与えて、魔族の化身に変貌させるもの
の、PCブルクによってあっけなくやられてしまう。思わずマスターは苦
笑い。しかしこの間のジェラオンに対するPCブルクの会話は必見に
値するほどなかなか良くできたものだったのでとりあえず満足する。
魔族「小鳥の大公オイマーク」は、当初の予想に反して、いや、当初
の予想通りわずか2ターンでそのHPおよび精神力の半分を持って行
かれる。もはや手持ちのカードを使い尽くしたオイマークは、そのまま
PCたちによって消滅させられてしまう。
実はこの戦闘中、マスターはカードの使い方が致命的に間違ってい
る事に気が付くのだが、途中からルールを改定して正規に戻すのは
面倒なので、適当にごまかしてそのまま進めてしまう。毎度の事なが
らいいかげんである。
●エンディング
無事オイマークと神父を倒したPCたちは、街の復興を見守りながら
最後の夢歩きを行い、それぞれのエンディングへと突入する。
◆アックスのエンディング
彼は作られた存在であり、その大本である太守オイマークを倒した
あと、自分の行く先を見つける旅に出ようとする。街にとどまってもら
いたい娘・メルリーは、彼に自分の精一杯のもてなしとして、彼の大
好物のビーフシチュー(という設定を今まで夢歩きの中で出させてい
た)をごちそうする。「かなりの腕になったけど、まだまだだな」とアック
ス。「俺は旅に出る。俺が帰ってくるまでにもっと腕を上げておけよ」と
メルリーに告げる。「あなたが帰ってくるまでに、街一番の料理人にな
ってあげるわ」と誓うメルリー。アックスはこうして新たなる旅に出るの
だった。
◆フォレストのエンディング
海王から受けた使命「オイマークを倒す」ことに成功したフォレスト
は、本来ならこれで魔剣ともお別れなのだが、魔剣は彼を気に入る。
「お前と一緒に旅をすると、もっと面白い事に出会えそうだ」と。海王
はフォレストが自由に行動する事を容認し、次の運命に出会うまでの
つかの間の時間をフォレストに与える事にする。
PCアックスとPCブルクが、それぞれ異性NPCとくっつく事が決定して
いたので、このままだとフォレストがかわいそうだという事に気が付い
たマスターは、ここで出番は少なかったものの、白き風の騎士団の隊
長である女騎士、シーネットを登場させる。
魔族としての能力を開花させたフォレストには、その独特の雰囲気
のため、近寄る街人もいなく、1人で街を去ろうとしていた。
そこへシーネットがそっと近づいてくる。「あなた、人間じゃないわよ
ね?」と聞いてくるシーネット。フォレストがうなずくと、「私も似たような
ものなの。良かったら一緒に行っても良いかしら?」といって彼女は右
肩をフォレストに見せる。シーネットの右肩は、フェイリア姫とまるで対
象になるような位置に、白く輝く剛毛が生えていたのである。
実は初期設定には載っていないものの、シーネットはフェイリア姫の
腹違いの姉である、という裏設定をマスターはあらかじめ考えていた
ので、ここにきてようやくその設定を出す事にする。
そして2人は、新たなる運命に出会うために、旅立つのであった。
- 6/6 -
◆ブルクのエンディング
魔族・オイマークが倒されたあと、消えるように魔族の力が抜けてい
って人間に戻った兄ジェラオンと和解したブルク。ジェラオンはブルク
に、「他人に勝つ前に自分に勝て」という叱咤を受けて自らの過ちに
気が付き、改心する。そして「もう二度と会う事はないだろう」と言い、
ジェラオンは自らを見つける旅に出るのだった。
最後は裏方に徹した他の2人のPCと違い、街を救った英雄として、
街の人たちに認知され、たたえられる事となった(なってしまった)ブ
ルクは、姫の父および弟との関係を改善し、姫との挙式を、街を挙げ
て開催する事となった。すべての人々に祝福されるブルク。隣には最
愛の妻・フェイリア。彼女と共に新しい生活を、新しい街をここに作り
上げる事となるのだ。
■シナリオ補足
◆メルリー注釈
アックスが昔世話になった女の子、と言う設定で出てきたメルリーだ
が、彼の夢歩きの中で「3年前までは料理がものすごくヘタだった」と
いう設定が即興で出来上がってしまったので、それを利用してうまくエ
ンディングにつなげてみた。
■総評
●ラスボス弱すぎ
一番の問題は「PCが強すぎた事」。能力知的には普通なんですが、
運命がすべて「ラスボスに集約する」ので、ラスボスで縁故ボーナス
+10点というとんでもない状況が発生。さらに魔剣装備なので武器
を折る事も出来ず、ラスボス戦は一方的に殴られていた気分でした。
●主役?
会話ではブルク主役、戦闘ではフォレスト主役、盛り上げ役&魔法
戦闘ではアックスが主役、といった感じだったかもしれません。僕はシ
ナリオを作る時&進める時、誰が主役という考えはなく、「全員が主
役」という気持ちでやっていますが、PCが自らその枠を作ってしまうの
は、まぁ、ちょっともったいないような気もします。
●総評
とまぁこんな感じでしたが、いかがでしたでしょうか。
僕のいつもの深淵セッションは、NPCとイベントをあちこちに配置し
て、PCの行動に応じて小出しにしていく、という進め方なのですけど、
今回はめずらしく、想像していた理想のストーリー展開になってしまい
ました。これはこれで満足度は高いものの、「PCの行動に意外性がな
い」という、ちょっと物足りない気分になるという矛盾した気持ちでし
た。
それでもPCブルクが端々で見せた説得のセリフ、アックスの魔術の
使い方、フォレストの剛胆な戦闘力は、演出する方としても非常に楽
しかったです。
grifter
電子署名者 : grifter
DN: CN = grifter, C = JP - 日本, O = はし
ばみ色の部屋, OU = 恵まれたい子らの
楽園
理由 : この文書の著者
場所 : http://blog.goo.ne.jp/grifia/
日付 : 2004.07.21 22:16:15 +09'00'
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