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(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 トランスジェニックウシのミルク
JP 3670003 B2 2005.7.13 (57)【 特 許 請 求 の 範 囲 】 【請求項1】 トランスジェニックウシのミルクにおいてラクトフェリンを産生する方法であって、該方 法は、以下の工程: トランスジーンを含むトランスジェニックウシを提供する工程であって、該トランスジー ンは、 少なくとも約30kbのヒトゲノムフラグメントに作動可能に連結されたウシαS1カゼ インプロモーターを含み、該フラグメントは、ヒトラクトフェリンタンパク質をコードし 、そして該ヒトラクトフェリン遺伝子、該ゲノムフラグメントの3’隣接配列の少なくと も約7kbを含み、 10 ここで、該トランスジェニックウシは、少なくとも1mg/mlの濃度で該トランスジェ ニックウシのミルク中に該タンパク質を分泌する、工程;ならびに 該トランスジェニックウシからミルクを収集する工程、 を包含する、方法。 【請求項2】 前記プロモーターは、ウシαS1カゼインプロモーターであり、そして6.2kbまたは 14.5kbのウシαS1カゼインフラグメント上に存在する、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記ミルクから前記タンパク質を精製する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法 。 20 (2) JP 3670003 B2 2005.7.13 【請求項4】 前記タンパク質を食品処方物中に取り込ませる工程をさらに包含する、請求項1に記載の 方法。 【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、トランスジェニックウシ種による組み換えポリペプチドの製造及び所望の表現 型を有するトランスジェニック非ヒト動物の製造方法に関する。 発明の背景 下等生物例えば、単細胞バクテリア、酵母及び糸状菌、及び高等細胞タイプ例えば哺乳動 物細胞中での異種遺伝子の発現に関する極めて多くの文献がある。また、トランスジェニ 10 ック動物の製造についての非常に多くの報告があり、それらの大部分は、トランスジェニ ッ ク マ ウ ス の 製 造 に 関 す る も の で あ る 。 例 え ば 、 米 国 特 許 第 4736866号 明 細 書 ( 活 性 化 さ れ た オ ン コ ジ ー ン を 含 む ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス ) ; Andres,A.ら 1987年 Proc.Natl.Aca d.Sci.USA 、 第 84巻 、 第 1229∼ 1303頁 ( 乳 漿 酸 タ ン パ ク 質 プ ロ モ ー タ ー 制 御 下 で の HA-RAS オ ン コ ジ ー ン ) ; Schoenberger,C.A.ら 、 1987年 、 Experientia、 第 43巻 、 第 644頁 、 及 び 1 988年 、 EMBO.J. 、 第 7 巻 、 第 169∼ 175頁 ( 乳 漿 酸 タ ン パ ク 質 プ ロ モ ー タ ー の 制 御 下 で の C − m y c オ ン コ ジ ー ン ) ; 及 び Muller,W.J.ら 、 1988年 、 Cell 、 第 54巻 、 第 105∼ 115頁 ( マウス乳ガンウィルスプロモーターの制御下でのC−mycオンコジーン)を参照。また 、 い く つ か の 研 究 室 で は 、 ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク ブ タ 種 ( Muller,K.F.ら 、 1989年 、 J.Endoc rin 、 第 120巻 、 第 481∼ 488頁 ( ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク ブ タ で の ヒ ト 又 は ウ シ 成 長 ホ ル モ ン 遺 20 伝 子 の 発 現 ) ; Vize,P.D.ら 、 1988年 、 J.Cell Sci. 、 第 90巻 、 第 295∼ 300頁 ( ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ッ ク ブ タ で の ブ タ 成 長 ホ ル モ ン 融 合 遺 伝 子 ) ; 及 び Ebert,K.ら 、 1988年 、 Mol.Endo crin. 、 第 2 巻 、 第 277∼ 283頁 ( ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク ブ タ で の M M L V − ラ ッ ト ソ マ ト ト ロ ピ ン 融 合 遺 伝 子 ) ) 、 ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク ヒ ツ ジ ( Nancarrowら 、 1987年 、 Theriogen ology 、 第 27巻 、 第 263頁 ( ウ シ 成 長 ホ ル モ ン 遺 伝 子 を 含 む ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク ヒ ツ ジ ) 、 Clark A.J.ら 、 1989年 、 Bio/Technology 、 第 7 巻 、 第 487∼ 482頁 及 び Simon,J.ら 、 1988年 、 Bio/Technology 、 第 6 巻 、 第 179∼ 183( ヒ ツ ジ 種 で の ヒ ト 因 子 IX及 び α − 1 抗 ト リ プ シ ン C O N A ) 及 び ウ サ ギ ( Hanover,S.V.ら 、 1987年 、 Deutche Tierarztliche Wochensc hrift 、 第 94巻 、 第 476∼ 478頁 ( 受 精 ウ サ ギ 卵 母 細 胞 中 へ の ウ テ ロ グ ロ ブ リ ン − プ ロ モ ー ター−CAT融合遺伝子の注入によるトランスジェニックウサギの製造)の製造を報告し 30 て い る 。 多 く の 報 告 は ま た ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク ウ シ の 製 造 を 示 唆 し て お り ( Wangerら 、 19 84年 、 Theriogenology 、 第 21巻 、 第 29∼ 44頁 ) 、 そ の 一 つ は マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン 技 術 ( Lohse,J.K.ら 1985年 、 Theriogenolony 、 第 23巻 、 第 205頁 ) の 進 歩 を 報 告 し て い る 。 しかしながら、トランスジェニック乳牛の製造の成功は、たとえあったとしても、ほとん どない。異種のタンパク質を製造できるトランスジェニック乳牛の実際の製造を明らかに 示している科学的な論文は現在、知られていない。ヒトβ−インターフェロンを発現する ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク 乳 牛 ウ シ が 、 カ ナ ダ で 製 造 さ れ た ( Van Brunt,J.、 1988年 、 Bio/Tech nology 、 第 6 巻 、 第 1149∼ 1155頁 ) 、 そ し て 、 肝 臓 及 び 血 液 中 で の ヒ ト α − フ ェ ト プ ロ テ イ ン の 一 時 的 発 現 が あ る 場 合 に 得 ら れ た ( Church,R.B.,1986年 、 Biotechnology News Wat ch ,第 6 巻 ( 15) 、 第 4 頁 ) と い う 記 述 に も か か わ ら ず に で あ る 。 あ る 文 献 は 、 ウ シ パ ピ 40 ローマウィルスがトランスジェニック乳牛中に明らかに組み込まれたが発現されなかった こ と を 報 告 し て い る ( Roschlauら 、 1988年 、 Arch.Tierz 、 ベ ル リ ン 、 第 31巻 、 第 3 ∼ 8 頁 ) 。 あ る 最 近 の 論 文 は 、 家 畜 の 遺 伝 工 学 を 要 約 し て い る ( Pursel,V.G.ら 、 1989年 、 Scien ce 、 第 244巻 、 第 1281∼ 1288頁 ) 。 多くの研究室が、乳腺での種々のタンパク質をエンコードするDNAの組織特異的発現又 はトランスジェニックマウス及びヒツジのミルク中での種々のタンパク質の製造を報告し て い る 。 例 え ば 、 Simmons,J.P.ら 、 1987年 、 Nature 、 第 328巻 、 第 530∼ 532頁 は 、 4 kbの 5 ′ 配 列 、 4.9kbの B L G 転 写 単 位 及 び 7.3kbの 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 を 含 む β − ラ ク ト グ ロ ブ リ ン ( B L G ) を エ ン コ ー ド す る 16.2kbの ゲ ノ ム フ ラ グ メ ン ト の 、 受 精 し た マ ウ ス 卵 へのマイクロインジェクションを報告している。これらの著者に従えば、ヒツジBLGは 50 (3) JP 3670003 B2 2005.7.13 、 乳 房 組 織 中 で 発 現 さ れ 、 そ し て ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス の ミ ル ク 中 に 約 3.0∼ 約 23mg/ mlの 範 囲 の 濃 度 に て B L G を 製 造 し た 。 し か し な が ら 、 ヒ ト 因 子 IX又 は ヒ ト α 1 − 抗 ト リ プシンをエンコードするcDNAが、BLG遺伝子の5′非翻訳領域中に挿入され、そし て 、 ヒ ツ ジ 中 へ マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン さ れ た ( Simmons,J.P.ら 、 1988年 、 Bio/Techon ology 、 第 6 巻 、 第 179∼ 183頁 ) 場 合 は 、 因 子 IX又 は α 1 − 抗 ト リ プ シ ン の 製 造 は 非 常 に 減 少 し て い る ( 因 子 IXは 25ng/ml及 び α 1 − 抗 ト リ プ シ ン は 10mg/ml、 Clark,A.J.ら 、 1989 年 、 Bio/Techonology 、 第 7 巻 、 第 487∼ 492頁 参 照 ) 。 伝 え ら れ る と こ ろ に よ る と 、 類 似 の ア プ ロ ー チ で 、 3.5kbの 5 ′ フ ラ ン キ ン グ D N A 及 び 3 .0kbの 3 ′ フ ラ ン キ ン グ D N A と と も に 無 傷 の 7.5kbの ラ ッ ト β − カ ゼ イ ン を 含 む 14kbの ゲ ノ ム ク ロ ー ン が 受 精 マ ウ ス 卵 母 細 胞 中 に マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン さ れ た 。 Leeら 、 198 10 8年 、 Nucl.Acids Res. 、 第 16巻 、 第 1027∼ 1041頁 。 こ の ケ ー ス で は 、 ま た 、 ト ラ ン ス ジ ェ ニックマウスの乳分泌乳腺中のラットβ−トランスジーンの発現レベルは、内在性マウス β − カ ゼ イ ン 遺 伝 子 の 0.01∼ 1 % の レ ベ ル に あ る と 報 告 さ れ た 。 伝えられるところによると、ヒトの組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)をエン コ ー ド す る c D N A が そ の 内 在 性 分 泌 配 列 と と も に 、 乳 漿 酸 タ ン パ ク 質 遺 伝 子 の 2.6kbの 5′配列の制御下で発現されると、ヒトt−PAは、トランスジェニックマウスミルク中 に 、 0.2∼ 約 0.4μ g/mlの レ ベ ル で 製 造 さ れ た 。 Gordon,K.ら 、 1987年 、 Bio/Techonology 、 第 5 巻 、 第 1183∼ 1187頁 。 伝 え ら れ る と こ ろ に よ る と 、 同 じ 又 は 類 似 の 構 築 物 を 用 い た そ れ に 続 く 実 験 に よ り 、 種 々 の マ ウ ス の 系 統 に お い て 、 ミ ル ク 1 ml当 た り 20ng未 満 か ら 50μ g/mlま で の 範 囲 で t − P A が 製 造 さ れ た 。 Pittius,C.W.ら 、 1986年 、 Proc.Natl.Acad.Sci 20 .U.S.A. 、 第 85巻 、 第 5874∼ 5878頁 。 1989年 10月 10日 発 行 の 米 国 特 許 第 4873316号 明 細 書 は 、 成 熟 t − P A 配 列 に 融 合 さ れ た カ ゼインシグナルペプチド及びいくつかのカゼインコドンを含むウシαS1カゼイン遺伝子 か ら の 9 kbの 5 ′ 配 列 の 使 用 を 開 示 し て い る 。 伝 え ら れ る と こ ろ に よ る と 、 こ の 構 築 物 に よ っ て 得 ら れ た ト ラ ン ス ジ ェ ニ ク マ ウ ス は 、 ミ ル ク 中 に 約 0.2∼ 0.5μ g/mlの t − P A 融 合 タンパク質を製造した。 更に、うわさによれば多くの特許出願が、トランスジェニックマウス及びヒツジのミルク 中 に お い て の 特 定 の タ ン パ ク 質 の 製 造 を 述 べ て い る 。 例 え ば 、 1988年 4 月 20日 発 行 の ヨ ー ロ ッ パ 特 許 公 開 第 0264166号 公 報 ( マ ウ ス で の 乳 房 組 織 特 異 的 発 現 の た め の 乳 漿 酸 プ ロ モ ー タ ー タ ン パ ク 質 の 制 御 下 で の 肝 炎 B 表 面 抗 原 及 び t − P A 遺 伝 子 ) ; 1988年 1 月 14日 発 30 行のPCT公開番号WO88/00239号公報(ヒツジでの乳漿タンパク質プロモータ ー の 制 御 下 で の 因 子 IXを エ ン コ ー ド す る ト ラ ン ス ジ ー ン の 組 織 特 異 的 発 現 ) ; 1988年 3 月 10日 発 行 の P C T 公 開 番 号 W O 8 8 / 0 1 6 4 8 号 公 報 ( イ ン タ ー ロ イ キ ン − 2 に 融 合 さ れたウシα−ラクトアルブミン遺伝子を含む組み換え発現系を取り込んでいる乳房分泌細 胞 を 有 す る ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス ) ; 1988年 、 8 月 24日 発 行 の ヨ ー ロ ッ パ 特 許 公 開 第 0279582号 公 報 ( ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス で の ラ ッ ト β − カ ゼ イ ン プ ロ モ ー タ ー の 制 御 下 で の ク ロ ラ ム フ ェ ニ コ ー ル ア セ チ ル ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ の 組 織 特 異 的 発 現 ) ; 1988年 、 12月 29日 発 行 の P C T 公 開 番 号 W O 8 8 / 1 0 1 1 8 号 公 報 ( t − P A に 融 合 さ れ た ウ シ αS1カゼインプロモーター及びシグナル配列をエンコードするトランスジーンを含むト ランスジェニックマウス及びヒツジ)を参照。 40 トランスジェニックの技術の状況を考えると、トランスジェニック哺乳動物、特にトラン スジェニックマウス以外のトランスジェニック哺乳動物の効率的な製造を可能にする方法 が必要であることが明らかである。 更に、このようなトランスジェニック哺乳動物のミルク中に、組み換えポリププチド、例 えばヒトミルクタンパク質及びヒト血清タンパク質を製造できるトランスジェニックウシ 種を製造するための方法が必要であることが明白である。 従 っ て 、 本 発 明 は 、 着 床 に 先 立 ち 受 精 卵 母 細 胞 の ト ラ ン ス ジ ェ ネ シ ス ( transgenesis) を 検出する方法を提供することが一つの目的である。 更に、本発明は、細胞内に維持されるか又は細胞外に分泌される組み換えポリペプチドを 製造できるトランスジェニックウシ種を提供することが一つの目的である。 50 (4) JP 3670003 B2 2005.7.13 また本発明は、このようなトランスジェニック動物のミルク中に、組み換えポリペプチド 例えば、ヒトミルクタンパク質及びヒト血清タンパク質を製造できるトランスジェニック ウシ種を提供することが一つの目的である。 更に、本発明は、このような組み換えポリペプチドを含むトランスジェニックウシ種から のミルクを提供することが一つの目的である。 更にまた、本発明は、このようなトランスジェニックミルクからの組み換えポリペプチド が補われた食品処方例えばヒトラクトフェリンが補われたヒト乳児用処方を提供すること が一つの目的である。 更に、本発明は、トランスジェニックウシ種のミルク中での組み換えポリペプチドの製造 を導くことができるトランスジーンを提供することが一つの目的である。 10 本明細書中で述べた文献は、本出願の出願日以前の開示のためにのみ提供されるものであ る。本明細書は、先に出願された出願に基づいた優先権によって、このような開示よりも 日付が先であるとする権利が発明者にはないということを認めるものであると解釈される ものではない。 発明の概要 上記目的に従って、本発明は、トランスジェニックウシ種のミルク中に組み換えポリペプ チドを製造するためのトランスジーンを含む。本発明はヒトの消費のために精製がほとん ど必要ないかいらないマトリックス(基質)を提供するので、1以上の組み換えポリペプ チドを含むこのようなトランスジェニックウシミルクの製造は望ましい。トランスジーン は、目的のウシ種の乳房分泌細胞中で機能する分泌シグナル配列をエンコードする分泌D 20 NA配列及び組み換えポリペプチドをエンコードする組み換えDNA配列を含む。これら の 配 列 は 、 分 泌 − 組 み 換 え D N A 配 列 を 形 成 す る た め に 、 操 作 可 能 に ( operably) 連 結 さ れる。ウシ種の乳房分泌細胞中で機能する少なくとも一つの発現調節配列は、分泌−組み 換えDNA配列に操作可能に連結されるる。このように構築されたトランスジーンは、ト ランスジーンを含むウシ種の乳房分泌細胞中での分泌−組み換えDNA配列の発現を導く ことができる。このような発現は、トランスジェニックウシ種の乳房分泌細胞からミルク 中へ分泌される組み換えポリペプチドの形の物を製造する。 更に、本発明は、このようなトランスジェニックウシ種を製造するための方法を含む。該 方法は、上記トランスジーンをウシ種の胚標的細胞中に導入し、それにより形成されたト ランスジェニック胚標的細胞を宿主のウシ親中へ移植し、そして、組み換えポリペプチド 30 をそのミルク中に製造できる少なくとも一つの雌の子孫を同定することを含む。 本発明はまた、トランスジェニックウシ種の乳分泌をする雌のミルク中に組み換えポリペ プチドを製造できる該トランスジェニックウシ種、このような組み換えポリペプチドを含 むこのようなトランスジェニックウシ種からのミルク、及び液体又は乾燥形態のトランス ジェニックミルクを含む食品処方、並びにこのようなトランスジェニックミルクからの1 以上の組み換えポリペプチドを補われた食品処方を含む。 前記に加え、本発明は、トランスジーン及び組み換えポリペプチドを製造できるトランス ジーンを含むトランスジェニックウシ種を含む。このようなトランスジーンは、ミルク分 泌のための前記のトランスジーンと類似であり、そして、特定の細胞又は組織タイプに対 して、組み換えポリペプチドをエンコードするDNAの発現、例えば、トランスジェニッ 40 クウシ種の肝臓でのヒト血清アルブミンの発現を目的とする発現調節配列を有することに よって特徴づけられる。組み換えポリペプチドがこのような、標的細胞又は組織から分泌 されるべき場合は、特定の標的細胞又は組織で機能する分泌シグナル配列をエンコードす る分泌DNA配列が、組み換えポリペプチドをエンコードする組み換えDNA配列へと操 作可能に連結される。例えば、ウシ肝臓からのウシ循環系へのヒト血清アルブミンの分泌 。 更に、本発明は、所望の表現型を有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物を製造するた めの方法を含む。該方法はまず、トランスジェニック非ヒト動物の細胞中に取り込まれた 場合に所望の表現型を与えることができるトランスジーンのメチル化を例えば、適当なバ ク テ リ ア 例 え ば E.coli MM 294を 上 記 ト ラ ン ス ジ ー ン を 含 む プ ラ ス ミ ド で 形 質 転 換 す る こ 50 (5) JP 3670003 B2 2005.7.13 とによって引き起こすことを含む。メチル化されたトランスジーンは、次いで、切り出さ れ、そして、非ヒト動物の受精卵母細胞中へ導入されて、ゲノム中への取り込みを可能に する。次いで、卵母細胞を培養して着床前胚を形成し、それによりそれぞれの受精卵母細 胞のゲノムを複製する。その後、少なくとも1つの細胞がそれぞれの着床前胚から取出さ れ、そして、その中に含まれているDNAを遊離するために処理される。次いで、遊離さ れたDNAのそれぞれを、メチル化されたトランスジーンを切断できるが、ゲノムDNA への組込み及びその複製後に形成されたメチル化されていない形態のトランスジーンは切 断できない、制限エンドヌクレアーゼで消化する。トランスジーンを組込んでいるそのよ うな着床前胚は、制限エンドヌクレアーゼによる切断に対して耐性であるDNAをトラン スジーンを含む領域に含む。DNAのPCR増幅後の消化物の電気泳動及びトランスジー 10 ンのための標識プローブとのハイブリダイゼーションによって検出されうる消化に対する この耐性は、成功したトランスジェネシスの同定を容易にする。 本発明はまた、同じ表現型を有するトランスジェニック子孫の集団を製造する方法を含む 。この方法は、早期トランスジェネシスを検出するための上記方法の特定の具体例を利用 する。この方法においては、メチル化されたトランスジーンは、着床前胚へと培養される 受精卵母細胞中に導入される。その後、それぞれの着床前胚を分割して、第1及び第2の 半胚を形成する。次いで第1の半胚のそれぞれは、上記の如くトランスジェネシスについ て分析される。少なくとも一つの第1の半胚において成功したトランスジェネシスが同定 された後に、組込まれたトランスジーンを含む第2の未処理の半胚は、それぞれが同じ表 現型を有する多数のクローントランスジェニック胚盤胞又は半胚盤胞を形成するためにク 20 ローン化される。その後、トランスジェニック胚は、同じ遺伝子型を有するトランスジェ ニック非ヒト哺乳動物の集団を製造するために1以上の宿主雌親中に移植される。 【図面の簡単な説明】 明細書に取り込まれそして一部をなす添付の図面は本発明の実施例を説明し、そして、詳 細な説明と一緒になって本発明の本質を説明するのに役立つ。図面において図1は、ヌク レ オ チ ド 1557∼ 1791及 び 2050か ら 2119の 間 の 配 列 が 公 知 の 配 列 ( Radoら 、 1987年 、 Blood 、 第 70巻 、 第 989∼ 993頁 ) に 対 応 す る こ と 以 外 は 本 明 細 書 中 に 記 し た ヒ ト 乳 房 cDNAラ イ ブ ラ リ ー 由 来 の ヒ ト ラ ク ト フ ェ リ ン ク ロ ー ン の DNA( 配 列 番 号 : 1 ) 及 び ア ミ ノ 酸 ( 配 列 番 号:2)配列を描いている。 図2は、5′及び3′の非翻訳配列並びに完全なヒトラクトフェリンシグナル配列を含む 30 ヒトラクトフェリンの完全なDNA(配列番号:3)及びアミノ酸(配列番号:4)配列 を描いている。 図3は、ウシαS1カゼイン遺伝子の5′−フランキング領域のクローンの制限地図であ る。 図4は、ウシαS1カゼイン遺伝子の3′−フランキング領域のクローンの制限地図であ る。 図 5 A 、 5 B 及 び 5 C は pSI3′ 5′ CAT及 び pSI5′ CATの 構 築 を 描 い て い る 。 図 6 は 、 pMH-1を 描 い て い る 。 図7Aから7Fは、ヒトラクトフェリンをエンコードする配列を含む発現ベクターの構築 を描いている。 40 図8は、ヒト血清アルブミンのゲノム、このゲノムDNA中に含まれるトランスジェニッ ク マ ウ ス を 作 成 す る の に 用 い た フ ラ グ メ ン ト 、 及 び 制 限 酵 素 BstE-IIと Nco-I又 は Nco-Iと H ind-IIIで の ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス か ら の ゲ ノ ム D N A の 消 化 後 に 得 ら れ る で あ ろ う フラグメントサイズの同定を描いている。 図9は、ヒトラクトフェリンをエンコードする本発明のトランスジーンの構築のための別 の経路を描いている。 図 1 0 は 、 プ ロ テ イ ン C を エ ン コ ー ド す る ト ラ ン ス ジ ー ン を 含 む プ ラ ス ミ ド pPCの 構 築 を 描いている。 図11は、本発明の好ましい実施例に用いたハイブリッド介在配列のためのDNA配列を 描いている。このハイブリッド配列は、ウシαS1カゼインの介在配列からの5′部分及 50 (6) JP 3670003 B2 2005.7.13 び IgG介 在 配 列 の 介 在 配 列 か ら の 3 ′ 部 分 を 含 む 。 5 ′ 及 び 3 ′ 部 分 の 連 結 は 、 示 さ れ て い る HindIII部 位 で あ る 。 図12Aは、ウシαS1カゼインプロモーター hLFcDNAトランスジーンの制限地 図である。 図12Bは、hLF cDNAプローブを用いた種々のウシ及びマウス組織から単離され たDNAのサザンブロット分析を示す。 図 1 3 は 、 h L G ゲ ノ ム ク ロ ー ン 13.1及 び 13.2の 制 限 地 図 を 描 い て い る 。 図 1 4 は 、 プ ラ ス ミ ド pUC19中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 さ れ た ゲ ノ ム h L F か ら の BamHIフ ラ グ メ ントを描いている。 図 1 5 A は 、 8 又 は 16kbの α S 1 カ ゼ イ ン プ ロ モ ー タ ー 、 ClaI-ApaI合 成 リ ン カ ー 及 び 9 k 10 b( す な わ ち 8.9kb) の ApaI-SalIゲ ノ ム h L F フ ラ グ メ ン ト を 含 む 8hLFgen9k又 は 16hLFgen 9k構 築 物 の 制 限 地 図 を 描 い て い る 。 図 1 5 B は 、 図 1 5 A に 示 さ れ た ClaI-ApaI合 成 配 列 の D N A 配 列 を 描 い て い る 。 図15Cは、1VS及び図15Aから図17に示されたゲノムhLF構築物のエキソン1 及びエキソン2の一部の構造を描いている。 図 1 6 は 、 ( 図 1 5 A に 示 さ れ た ) 8hLFgen9k又 は 16hLFgen9k構 造 物 か ら の NotI-SalIフ ラ グ メ ン ト と ゲ ノ ム hLFの 3′ ClaIフ ラ グ メ ン ト と の コ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン ( coinjection) を 描いている。 図 1 7 は 、 ( 図 1 5 A に 示 さ れ た ) 8hLFgen9k構 築 物 か ら の NotI-MluIフ ラ グ メ ン ト 、 図 1 3 に 描 か れ た ク ロ ー ン 13.2か ら の MluI-ClaIフ ラ グ メ ン ト 及 び ClaI-NotIリ ン カ ー を 連 結 す 20 る こ と に よ る ゲ ノ ム 8hLFト ラ ン ス ジ ー ン の 作 成 を 描 い て い る 。 図 1 7 は ま た 、 ClaI-NotI リンカーのDNA配列を描いている。 図 1 8 ∼ 2 0 は 、 β LG-hLFgen及 び β LG-hLFgen37構 築 物 の 作 成 を 描 い て い る 。 図 2 1 は 16,8h L Z 発 現 ベ ク タ ー の 設 計 を 描 い て い る 。 図 2 2 は 16,8h L Z 3 発 現 ベ ク タ ー の 設 計 を 描 い て い る 。 図 2 3 A ∼ 2 3 E は 、 プ ラ ス ミ ド p 16,8h L Z の 構 築 の た め 別 の 経 路 を 描 い て い る 。 図24は、ウシβLG及びヒツジβLGのDNA間の比較を描いている。上段の配列は、 ウシの配列を表している。 図 2 5 は 、 リ ン カ ー GP278/279を 示 し て い る 。 図 2 6 は 、 p 16,8A h l Z 3 発 現 ベ ク タ ー を 描 い て い る 。 30 図 2 7 は 、 16,A h L Z 3 発 現 ベ ク タ ー を 描 い て い る 。 発明の詳細な説明 本発明の“非ヒト哺乳動物”とは、“所望の表現型”を有する“トランスジェニック非ヒ ト哺乳動物”を製造できるすべての非ヒト哺乳動物を含む。このような哺乳動物は、非ヒ ト霊長類、ネズミ種、ウシ種、イヌ種等を含む。好ましい非ヒト動物は、ウシ、ブタ及び ヒツジ種を含み、特に好ましくはウシ種である。 トランスジェニック非ヒト哺乳動物のための所望の表現型は、雌のトランスジェニック非 ヒト哺乳動物のミルク中での組み換えポリペプチドの製造、病気の研究のための動物モデ ルの製造、病気(例えば、乳腺の病気例えば、乳腺炎)に高耐性の動物の製造及び血液、 尿或いは、他の適した体液又は動物の組織中での組み換えポリペプチドの製造を含むが、 40 これらには限定されない。好ましい実施例においては、組み換えヒトラクトフェリン、ヒ ト血清アルブミン及びヒトプロテインCを乳を分泌する雌のミルク中に、又は、ヒト血清 アルブミンをトランスジェニック動物の肝臓中に製造することができるトランスジェニッ クウシ種が開示されている。 本発明のトランスジェニック非ヒト哺乳動物は、“トランスジーン”を選択された動物の 胚標的細胞中へ導入することによって製造される。本発明の一面においては、トランスジ ーンは、トランスジェニック非ヒト動物の細胞のゲノム中に含まれたときに所望の表現型 を生み出すことができるDNA配列である。特定の実施例においては、トランスジーンは 、“組み換えポリペプチド”をエンコードする“組み換えDNA配列”を含む。このよう な場合では、トランスジーンは、組み換えポリペプチドを製造するために発現されうる。 50 (7) JP 3670003 B2 2005.7.13 本明細書中で用いている“組み換えポリペプチド”(又はこれをエンコードする組み換え DNA配列)は、“異種ポリペプチド”又は“同種ポリペプチド”のいずれかである。異 種ポリペプチドは、トランスジェニック動物によっては通常製造されないポリペプチドで ある。異種ポリペプチドの具体例は、ヒトミルクタンパク質例えばラクトフェリン、リゾ チーム、分泌免疫グロブリン、ラクトアルブミン、胆汁酸塩に刺激されたリパーゼ等;ヒ ト 血 清 タ ン パ ク 質 例 え ば ア ル ブ ミ ン 、 免 疫 グ ロ ブ リ ン 、 因 子 VIII、 因 子 IX、 プ ロ テ イ ン C 等及び、原核及び真核供給源からの工業酵素例えばプロテアーゼ、リパーゼ、キチナーゼ 、 及 び リ ギ ナ ー ゼ ( liginase) を 含 む 。 組 み 換 え D N A 配 列 は 、 組 み 換 え ポ リ ペ プ チ ド を エンコードするゲノム及びcDNA配列を含む。 異種ポリペプチドをエンコードする組み換えDNA配列が用いられる場合は、トランスジ 10 ーンはトランスジェネシスのために用いられる種のゲノム中にランダムな様式で取り込ま れ得る。実施例中に開示した如く、ヒトラクトフェリン、ヒト血清アルブミン及びヒトプ ロテインCをエンコードするトランスジーンは、αS1カゼイン発現調節配列の制御下で 、αS1カゼイン分泌シグナル配列と共同して、これらの異種ポリペプチドを製造し、そ して乳分泌トランスジェニック哺乳動物の乳腺からそのミルク中へ分泌するように設計さ れている。 本明細書中で用いている同種ポリペプチドは、特定のトランスジェニック種に対して内在 性であるところのポリペプチドである。ウシ種からの内在性ポリペプチドの具体例は、ウ シミルクタンパク質、例えばαS1、αS2、β−及びκ−カゼイン、β−ラクトグロブ リン、ラクトフェリン、リゾチーム、コレステロール加水分解酵素、血清タンパク質例え 20 ば血清アルブミン、及びタンパク質性ホルモン例えば成長ホルモンを含む。同種ポリペプ チドをエンコードする組み換えDNA配列が用いられる場合は、トランスジーンは好まし くは、トランスジェネシスのために用いられる種のゲノム中にランダヌな様式で組み込ま れる。このようなランダムな組み込みは、内在性ポリペプチドをエンコドするトランスジ ーンばかりでなく対応する内在性ゲノムDNA配列をも含むトランスジェニック動物をも たらす。従って、このようなトランスジェニック非ヒト哺乳動物は、内在性ポリペプチド をエンコードする遺伝子のコピー数の増加によって容易に特徴づけられる。更に、トラン スジーンは一般に内在性遺伝子とは異なった位置に配置される。 同種ポリペプチドをエンコードするDNAが発現された場合、例えば、ウシ種においては 、トランスジェニック動物は、それが通常見い出されるところの内在性組織又は液体のい 30 ずれか中での同種ポリペプチド量の増加及び/又は、通常同種ポリペプチドを含まないか 或いはそれを著しく低いレベルで製造するかのいずれかであるところの組織及び/又は体 液中でのそれの存在によって特徴づけられる。 こ の よ う に 例 え ば 、 ウ シ コ レ ス テ ロ ー ル 加 水 分 解 酵 素 は 、 通 常 授 乳 期 の お お よ そ 最 初 の 15 ∼ 20日 間 の 初 乳 中 に 存 在 す る 。 こ の 本 来 発 生 す る 内 在 性 ポ リ ペ プ チ ド は 、 子 ウ シ の 体 重 を 増加させる。しかしながら、例えば、乳房分泌細胞中でのその発現が、同種ポリペプチド が通常存在する授乳期間を越えて同種ポリペプチドの発現を容易にする発現調節配列例え ばウシカゼイン遺伝子から得られた発現調節配列の制御下に置かれた場合には、このタン パク質もまた同種ポリペプチドである。このように、本発明の一つの面に従って、コレス テロール加水分解酵素組み換えDNA(cDNA又はゲノムのいずれか)の発現がウシα 40 S1カゼイン発現調節配列の制御下に置かれることにより、トランスジェニックウシミル ク中でウシコレステロール加水分解酵素が発現され続ける。ゲノム組み換えDNAが用い られる場合は、それが適当なトランスジーンゲノムカセット(例えば、実施例15に記し たp−16kb、CS)中に挿入されうるために、構造遺伝子の5′及び3′末端におい てそれが適当な制限部位(例えば、ClaI及びSalI)を有するように設計される。 あるいは、cDNA由来のウシコレステロール加水分解酵素をエンコードする組み換えD N A は 、 プ ラ ス ミ ッ ド 例 え ば p 16,8H L F 3 ( ハ イ ブ リ ッ ド 介 在 配 列 を 含 む ) 又 は p 16,8 HLF4(同種αS1カゼイン介在配列を含む)中でヒトラクトフェリン配列と置き換え ることにより、ウシαS1カゼイン発現調節配列の制御下に置かれうる。これらの特定の プラスミッドが用いられる場合は、cDNAクローンは、それが組みかえDNAの末端に 50 (8) JP 3670003 B2 2005.7.13 おいて適当なClaI及びSalI制限部位を有するように設計される。 更なる実施例として、ウシラクトフェリンは通常乳牛ミルク中に、ほんの微量しか存在し ない。しかしながら、ウシラクトフェリンが例えばαS1カゼイン遺伝子から得られた他 の調節配列の制御下で発現された場合は、より多量のラクトフェリンがトランスジェニッ クウシ種のミルク中で得られる。他の実施例においては、同種ウシ成長ホルモンをエンコ ードするDNAを含むトランスジーンは、ウシゲノム中に取り込まれて、トランスジェニ ック動物に、非常に優れた成長特性を与える。他の例においては、同種ポリペプチドは、 例えば、通常、特定の種では細胞内に維持されるが、トランスジェニック種のミルク又は 他の細胞外区画例えば循環系中には分泌されるポリペプチドを含む。 それぞれの異種又は同種ポリペプチドは、特定のアミノ酸及び核酸配列によって特徴づけ 10 られる。しかしながら、このような配列は、それの自然発生する対立遺伝子変異及び組み 換え法により生み出される変異体を含むと理解されるべきであり、ここで、このような核 酸及びポリペプチド配列は、組み換えポリペプチド中に1以上のアミノ酸残基の置換、挿 入又は欠失を引き起こす、このような核酸中の1以上の核酸の置換、挿入及び/又は欠失 によって修飾されている。 トランスジーンのDNAの発現が、所望の表現型を生じるため、例えば組み換えポリペプ チドを製造するために必要な場合は、トランスジーンは、典型的には、以下に定義した組 み換え又は分泌−組み換えDNAにそれぞれ操作可能に連結された少なくとも一つの5′ 及び好ましくは更に3′の“発現調節配列”を含む。このような発現調節配列はまた、転 写を制御することに加えて、少なくともそれらがまた転写される程度に、RNAの安定性 20 及びプロセシングにも貢献する。 このような発現調節配列は、組み換え又は分泌−組み換えDNAの組織特異的又は細胞タ イプ特異的発現を生じるために選ばれる。組織又は細胞タイプが発現のために選ばれると すぐに、5′及び場合により3′発現調節配列が選ばれる。一般に、このような発現調節 配列は、選ばれた組織又は細胞タイプ中で主に発現される遺伝子由来である。他の組織及 び/又は細胞タイプ中の二次的発現は、このような組織又は細胞タイプ中でのトランスジ ーン中の組み換えDNAの発現がトランスジェニック動物に対して有害でなければ許容さ れるが、好ましくは、これらの発現調節配列が得られるところの遺伝子が、選ばれた組織 又は細胞タイプ中でのみ実質的に発現される。特に好ましい発現調節配列は、処理される べき動物種に対して内在性のものである。しかしながら、他の種からの発現調節配列例え 30 ばヒト遺伝子からのものもまた用いられ得る。特に好ましいヒト遺伝子からの発現調節配 列は、ヒトラクトフェリン(hLF)配列である。ある例においては、発現調節配列及び 組み換えDNA配列(ゲノム又はcDNAのいずれか)は、同種由来、例えばそれぞれウ シ種由来又はヒト供給源由来である。このようなケースでは、発現調節配列及び組み換え DNA配列は、互いに同種である。或いは、発現調節配列及び組み換えDNA配列(cD NA又はゲノムのいずれか)は、異なった種から得られる。(例えば発現調節配列はウシ 種由来で、そして組み換えDNA配列はヒト供給源由来である)。このようなケースでは 、発現調節及び組み換えDNA配列は、互いに異種である。以下に、内在性遺伝子由来の 発現調節配列を定義する。このような定義はまた、非内在性の異種遺伝子由来の発現調節 配列にも適用できる。 40 一般に、5′発現調節配列は、翻訳開始配列(5′非翻訳領域又は5′UTR)から上流 の内在性遺伝子の転写される部位、及びそれらから上流の、機能的プロモーターを含むフ ランキング配列を含む。本明細書中で用いられている、“機能的プロモーター”は、転写 を促進するためにRNAポリメラーゼを内在性遺伝子へ結合させる必須の転写されないD N A 配 列 を 含 む 。 こ の よ う な 配 列 は 、 典 型 的 に は 、 一 般 に 転 写 開 始 部 位 か ら 約 25∼ 30ヌ ク レオチドのところに配置されているTATA配列又はボックスを含む。TATAボックス はまたときどき、近位シグナルと言われる。多くの例においては、プロモーターは、近位 シグナル(TATAボックス)から上流に配置されており、転写を開始するのに必要な、 1以上の遠位シグナルを更に含む。このようなプロモーター配列は、一般に、転写開始部 位 か ら 上 流 に 位 置 す る 最 初 の 100∼ 200ヌ ク レ オ チ ド 中 に 含 ま れ る が 、 転 写 開 始 部 位 か ら 50 50 (9) JP 3670003 B2 2005.7.13 0∼ 600ヌ ク レ オ チ ド ま で 伸 び う る 。 こ の よ う な 配 列 は 、 本 技 術 分 野 の 当 業 者 に と っ て は 明 白であるか或いは標準法により容易に同定できる。このようなプロモーター配列は単独で 、又は5′非翻訳領域と組み合わせて、本明細書中で“近位5′発現調節配列”と言われ る。 このような近位5′発現調節配列に加えて、追加的な5′フランキング配列(本明細書中 で、“遠位5′発現調節配列”という)がまたトランスジーン中に含まれることが好まし い。このような遠位5′発現調節配列は、内在性遺伝子の発現を容易にする1以上のエン ハンサー及び/又は他の配列を含み、そしてその結果、遠位及び近位5′発現調節配列と 操作可能に連結された組み換え又は分泌−組み換えDNA配列の表現を容易にすると信じ られている。遠位5′発現調節配列の量は、発現調節配列が由来するところの内在性遺伝 10 子 に 依 存 す る 。 し か し な が ら 、 一 般 に こ の よ う な 配 列 は 、 約 1 kb、 更 に 好 ま し く は 16kbの 5 ′ フ ラ ン キ ン グ 領 域 及 び 最 も 好 ま し く は 約 30kbの 5 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 を 含 む 。 任 意 の 特定の内在性遺伝子からの用いられる遠位5′発現調節配列の最適量の決定は、最高の発 現を得るべく遠位5′発現調節配列の量を変化させることにより容易に決定される。一般 に、遠位5′発現調節配列は、隣接遺伝子中に伸びるほどは大きくないであろうし、そし て、トランスジーン発現のレベルに不都合に影響するDNA配列を含まないであろう。 更に、3′発現調節配列はまた組織又は細胞タイプ特異性の発現を補うために含まれるこ とが好ましい。このような3′発現調節配列は、適当な内在性遺伝子からの3′近位及び 3′遠位発現調節配列を含む。3′近位発現調節配列は、組み換えDNA配列中の翻訳停 止シグナルから下流に位置する転写されるが翻訳されないDNA(これはまた3′非翻訳 20 領域又は3′UTRと呼ばれる)を含む。このような配列は、一般に、(内在性遺伝子又 は他の供給源例えばSV40のいずれかからの)ポリアデニル化配列及びRNAの安定性 に影響しうる配列で終わる。一般に、3′URTは、3′調節配列が由来するところの遺 伝 子 中 の 翻 訳 停 止 シ グ ナ ル か ら 下 流 約 100∼ 500ヌ ク レ オ チ ド を 含 む 。 遠 位 3 ′ 発 現 調 節 配 列は、近位3′発現調節配列から下流のフランキングDNA配列を含む。これらの遠位配 列のいくつかは転写されるが、mRNAの一部を形成しない。一方この遠位3′発現調節 配列中の他の配列は全く転写されない。このような遠位3′発現調節配列は、発現を増強 するエンハンサー及び/又は他の配列を含むと信じられている。このような配列は、効率 的なポリアデニル化のために必要であり、そして、転写終結配列を含んでいると信じられ て い る 。 好 ま し く は 、 こ の よ う な 配 列 は 、 約 2 kb、 更 に 好 ま し く は 、 8 kb、 最 も 好 ま し く 30 は 、 約 15kbの 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 を 含 む 。 好ましい3′フランキング配列は、ヒトラクトフェリン(hLG)遺伝子の3′フランキ ン グ 配 列 で あ る 。 約 9 kbの h L F 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 を 含 む ト ラ ン ス ジ ー ン を 有 す る ト ランスジェニック動物は、この領域に配置されたエンハンサー又は他の増強配列のために 、 1 kb又 は そ れ 以 下 の h L F 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 を 含 む ト ラ ン ス ジ ー ン を 有 す る 動 物 に 比べて、ミルク中で増幅された組み換えポリペプチドの発現を示す。通常、ヒトラクトフ ェ リ ン 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 は 、 少 な く と も 長 さ が 1 kbか ら 長 さ が 約 9 kb又 は そ れ 以 上 で あ り 、 典 型 的 に は 3 ∼ 7 kb、 更 に 好 ま し く は 4 ∼ 5 kbで あ る 。 ま た 、 組 み 換 え ポ リ ペ プ チ ド の 乳 腺 発 現 を 増 強 す る 9 kbの 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 中 に 含 ま れ る 領 域 を 同 定 す る た め に 標準法(例えば、欠失分析)を用いることも可能であり、時には好ましい。これらのエン 40 ハンサー又は増強配列は、単離され、そして、種々の量の同種又は異種配列と組み合わせ て 用 い ら れ る こ と が で き る 。 典 型 的 に は 、 増 強 配 列 は 長 さ が 約 50塩 基 対 か ら 約 2 kb、 更 に 典 型 的 に は 約 100塩 基 対 か ら 約 500塩 基 対 の 範 囲 で あ り 得 る 。 しばしば、同一の遺伝子から由来する5′発現調節配列及び3′フランキング配列を有す るトランスジーンを用いることが望ましい。好ましい実施例においては、5′発現調節配 列及び3′フランキング配列は、ウシαS1−カゼイン遺伝子由来である。 他の実施例においては、ゲノム配列例えばヒトゲノムの単一クローン又は複数のクローン は、動物中に導入されて、5′発現調節配列のすべて或いは一部、コーディング配列、イ ントロン、及び3′非翻訳及びフランキング配列を含むヒト遺伝子の配列を有しするトラ ンスジーンを含むトランスジェニック動物を製造する。好ましい実施例においては、ヒト 50 (10) JP 3670003 B2 2005.7.13 ラクトフェリンゲノム配列は、そっくりそのまま用いられるが、種々の成分が他の乳腺特 異的遺伝子由来の成分により置換されうる。 5′及び3′発現調節配列の両方を用いるのが好ましいけれども、本発明のいくつかの実 施例においては、内在性3′調節配列が用いられていない。このようなケースでは、組み 換えDNA配列によってエンコードされるゲノムDNAと共に3′近位発現調節配列は、 ポリアデニル化を監督するために用いられる。更に、組み換えポリペプチドをエンコード するゲノムDNA由来の遠位3′調節配列は、また、好ましくは、内在性3′発現調節配 列のために前記したのと同じ量で用いられうる。このようなケースでは、トランスジーン によってエンコードされる組み換えポリペプチドは、ゲノムDNA又はcNDA由来の二 本鎖DNAのいずれかを含みうると理解されるべきである。5′発現調節配列と同様、3 10 ′発現調節配列の最適量は、組み換えポリペプチドの最大発現を得るために3′フランキ ング配列の量を変えることによって容易に決定され得る。一般に、遠位3′調節配列(こ れは、内在性遺伝子又は異種遺伝子由来である)は、それが由来するところに隣接遺伝子 までは延長せず、そしてトランスジーン発現のレベルに不都合に影響するいずれの配列も 排除しているであろう。 発現調節配列の例を表Iに表わす。 20 30 5′及び3′発現調節配列及び組み換えDNA(ゲノム又はcDNA由来のいずれか)に 加えて、本発明のトランスジーンはまた、好ましくは、転写されるが翻訳されないトラン スジーンの5′領域を分断する“組み換え介在配列”を含む。このような介在配列は、例 えばウシαS1カゼイン及びヒトラクトフェリン由来でありうる。本明細書で用いられる このような配列は、“相同組み換え介在配列”であり、そこでは、このような組み換え介 在配列中の5′及び3′RNAスプライスシグナルが内在性又は外来性遺伝子由来の介在 40 配列中に通常見い出される。しかしながら、組み換え介在配列はまた、“ハイブリッド介 在配列”を含みうる。このようなハイブリッド介在配列は、種々の供給源からの介在配列 由来の5′RNAスプライスシグナル及び3′RNAスプライスシグナルを含む。本発明 のある面においては、このようなハイブリッド介在配列は、少なくとも一つの“許容され うるRNAスプライス配列”を含む。本明細書中で用いている、許容されうるRNAスプ ライスシグナルは、細胞分化の間に再配列を受ける生殖細胞系DNAセグメントのレパー トリー中に含まれるイントロン由来のRNAスプライスシグナル配列、好ましくは、3′ RNAスプライスシグナルである。このような遺伝子レパートリーの具体例は、免疫グロ ブリン及びT−細胞抗原受容体並びに主要組織適合性複合体(MMC)遺伝子のレパート リー及びその他を含む免疫グロブリン超遺伝子ファミリーを含む。特に、好ましい許容さ 50 (11) JP 3670003 B2 2005.7.13 れうるスプライス配列は、免疫グロブリンレパートリー、好ましくは、IgGクラスの免 疫グロブリンレパートリー、更に好ましくは、Ig重鎖及び軽鎖、最も好ましくは重鎖の J−Cセグメント再配列と関連された3′スプライスシグナル配列から得られる。特に好 ま し い 許 容 さ れ う る ス プ ラ イ ス 配 列 は 、 図 1 1 中 の HindIII部 位 の 下 流 に 示 さ れ た 配 列 の 部分を含む。特に好ましいハイブリッド介在配列は、ウシαS1カゼイン由来の介在配列 の5′部分及びIgG重鎖介在配列の3′配列部分を含む図11に示された全配列を含む 。 許容されうるRNAスプライスシグナルを含むこのようなハイブリッド介在配列は、好ま しくは、組み換えDNAがcDNA配列に一致する場合に用いられる。実施例中に示され る如く、αS1カゼイン分泌シグナル配列に操作可能に連結されたヒトラクトフェリンc 10 D N A を 発 現 す る た め に 、 α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 由 来 の 16kbの 5 ′ 発 現 調 節 配 列 を α S 1 カ ゼ イ ン − I g G ハ イ ブ リ ッ ド 介 在 配 列 と 連 結 し て 用 い た 場 合 、 約 1330μ g/mlの h L F を トランスジェニックミルク中で製造するトランスジェニックマウスが得られた。組み換え ポリペプチドのこの量は、トランスジェニックマウスミルク中での種々のタンパク質の製 造 に 関 し て 従 来 報 告 さ れ た 量 、 す な わ ち 一 般 に は 10μ g/ml未 満 、 一 つ の 場 合 で は 約 50μ g/ mlを 、 は る か に 超 え て い る 。 そ れ は ま た 、 ハ イ ブ リ ッ ド 介 在 配 列 以 外 の 相 同 ウ シ 介 在 配 列 を 含 む 同 じ ト ラ ン ス ジ ー ン を 用 い た 場 合 に 製 造 さ れ た 最 大 量 で あ る 8 μ g/mlの h L F を も 超えている。 しかしながら、このようなハイブリッド介在配列は、cDNA配列を利用するトランスジ ーンに限定されない。それどころか、ハイブリッド介在配列はまた、組み換えポリペプチ 20 ドがゲノム配列によってエンコードされる場合に有用である。cDNA組み換えDNAに よって得られた結果及び、ゲノムDNA配列はcDNA由来の配列より高いレベルで発現 するという一般的予測に基づいて、ゲノム組み換えDNAと連結して用いられるこのよう なハイブリッド介在配列が、別のやり方でゲノム配列単独にて得られる発現レベルを超え て発現レベルを更に増強する。 前記に基づいて、好ましいトランスジーンは、多量の5′及び3′発現調節配列を含むこ とが明らかである。更に好ましくは、組み換えDNAは、数十∼数百キロベースの長さで ありうるゲノムクローン由来である。DNAをクローニングして操作する現在の技術に基 づ く と 、 ト ラ ン ス ジ ー ン の 構 築 及 び マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン は 、 事 実 上 、 約 50kb以 下 の 長さを有する線状化されたDNAに限定される。しかしながら、本発明のトランスジーン 30 、 特 に 、 約 50kbよ り 大 き い 長 さ を 有 す る ト ラ ン ス ジ ー ン は 、 所 望 の ト ラ ン ス ジ ー ン の 2 以 上のオーバーラップグラグメントを胚標的細胞中へ導入することによって容易に作られう る。このように導入された場合、オーバーラップフラグメントは、完全に再構築されたト ランスジーンの標的細胞のゲノム中への組み込みを引き起こす相同組み換えを受ける。一 般に、このようなオーバーラップトランスジーンフラグメントはオーバーラップする領域 に お い て 100% 相 同 性 を 有 す る の が 好 ま し い 。 し か し な が ら 、 効 率 的 な 相 同 組 み 換 え が 起 こるのであれば、より低い相同性も許容されうる。もし非相同性が相同配列部分間に存在 するのであれば、非相同性は、相同配列部の至る所に拡がるよりは分離した領域に配置さ れ る こ と が 好 ま し い 。 100% 相 同 性 が た っ た 14の 塩 基 対 程 度 と 少 な く て も 、 哺 乳 動 物 細 胞 中 で の 相 同 組 み 換 え に は 十 分 で あ る ( Rubnitz,J.と Subramani,S.,1984年 、 Mol.Cell Biol 40 .,第 4 巻 、 第 2253∼ 2258頁 ) が 、 よ り 長 い 相 同 配 列 部 分 が 好 ま し く 、 例 え ば そ れ ぞ れ の 相 同 配 列 部 分 が 500bp、 更 に 好 ま し く は 1000bp、 つ ぎ に 好 ま し く は 2000bp、 そ し て も っ と も 好 ま し く は 2000bp超 で あ る 。 実施例に示された如く、ヒト血清アルブミン遺伝子の3つのオーバーラップフラグメント が、ほぼ同じモル部で、マウス接合体の前核中にマイクロインジェクトされる。これらの フラグメントの成功した組み換え及びマウスゲノム中への取り込みは、サザンブロット法 による組み込まれたDNAの分析及び、RNA転写及びトランスジェニックマウスの血清 中でのヒト血清アルブミンの検出によって確認される。このように作られたトランスジー ン は 、 38kbの 単 位 長 を 有 す る が 、 よ り 長 い / 又 は よ り 多 数 の オ ー バ ー ラ ッ プ ト ラ ン ス ジ ー ンフラグメントを用いて形成されたトランスジーンの大きさの実質的な限界は未知である 50 (12) JP 3670003 B2 2005.7.13 。 特 に 、 こ の ア プ ロ ー チ に よ り 、 約 50∼ 1000kb、 更 に 好 ま し く は 50∼ 500kbの 長 さ を 有 す るトランスジーンが形成されうることが期待される。更に、オーバーラップフラグメント の相同組み換えを用いることは、別の方法では、前核中に取り込まれてトランスジェニッ ク動物を形成することをできないゲノムDNAを含む組み換えDNAを取り込んでいるト ランスジーンを含む、より大きいトランスジェニック動物、例えばトランスジェニックウ シ種の創造において有益であると期待される。このようなゲノムトランスーンは、トラン スジェニック乳牛において、組み換えcDNAをエンコードするトランスジーンによって 製造されるものに比べてより高い発現レベルを生じると期待される。 最終目的が組み換えポリペプチドを分泌させることである場合は、トランスジェニック動 物中の1以上の細胞タイプからの組み換えポリペプチドの分泌を導くために、機能的分泌 10 シグナルペプチドをエンコードする“分泌DNA配列”はまたトランスジーン中に操作可 能に連結される。一般に、分泌DNA配列は、トランスジェニック動物と同じ種の分泌さ れるタンパク質をエンコードする遺伝子由来である。このような分泌DNA配列は、乳房 分泌細胞中での発現及びそれからの分泌のために、好ましくは、組織特異的発現のために 標的とされた細胞タイプから分泌されるポリペプチド、例えば、分泌されるミルクタンパ ク質をエンコードする遺伝子由来である。しかしながら、分泌DNA配列は、このような 配列に限定されない。トランスジェニック動物の種の中の他の細胞タイプから分泌される タンパク質からの分泌DNA配列例えば、乳腺中以外に分泌されるタンパク質をエンコー ドする同種遺伝子の天然シグナル配列もまた用いられ得る。更に、トランスジェニック動 物以外の種からのシグナル分泌ペプチドをエンコードする“非相同分泌DNA配列”、例 20 えばヒトt−PA、ヒト血清アルブミン、ヒトラクトフェリン及びヒトラクトアルブミン 、及び例えば酵母、糸状菌及びバクテリアから分泌されるポリペプチドをエンコードする 微生物遺伝子からの分泌シグナルもまた用いられうる。一般に、分泌DNA配列は、機能 的に、組み換えポリペプチドの分泌を引き起こすことができるシグナルペプチドをエンコ ードする組み換えDNA配列に操作可能に連結された任意のDNA配列として、定義され 得る。 好ましい実施例の一つにおいて、ウシ種の乳房分泌細胞中で機能する分泌シグナル配列を エンコードする分泌DNA配列が、ウシ乳房分泌細胞からの組みかえポリペプチドの分泌 を引き起こすために用いられる。分泌DNA配列は、組み換えDNA配列に操作可能に連 結される。このような分泌DNA配列の具体例は、ウシαS1カゼイン、マウスラクトフ 30 ェリン及びヒトトランスフェリンのためのシグナル分泌配列をエンコードするDNA配列 を含む。好ましい分泌DNA配列は、ウシ種からのαS1カゼインの分泌配列をエンコー ドする配列である。この分泌DNA配列の使用は、実施例中に更に詳細に記してある。 組み換えDNA配列に分泌DNA配列を連結するという文脈での“操作可能に連結された ”とは、分泌DNA配列(分泌シグナルペプチド配列をエンコードするコドンを含む)が 共有結合的に組み換えDNA配列と連結され、得られた分泌−組み換えDNA配列が分泌 シグナル配列及び組みかえポリペプチドの5′から3′をエンコードすることを意味する 。従って、分泌配列及び組み換えDNA配列のためのリーディングクレームは、転写及び 第一次RNA転写物のプロセッシング後に形成されるmRNAの5′末端からオープンリ ーディングフレームが存在するように、共有結合的に組み合わされる。RNA中のこのオ 40 ープンリーディングフレームは、分泌シグナルペプチドをエンコードする5′配列部分及 び組み換えポリペプチドをエンコードする3′配列部分を含む。このように構築された場 合、分泌−組み換えDNA配列の発現下で製造された組み換えポリペプチドは、DNA配 列を発現する標的細胞から分泌され得る形である。シグナルペプチドは、組み換えポリペ プチドの細胞外の形を製造するために、分泌の間に、一般にインビボで除かれる。 本発明の好ましい実施例においては、分泌−組み換えDNA配列は、主に、トランスジェ ニックウシ種の乳房分泌細胞中で発現される。このような組織特異的発現は乳房特異的発 現調節DNA配列を上記分泌−組み換えDNA配列に操作可能に連結することによって得 られる。このような乳房特異的調節配列は、ウシ種の乳房分泌細胞中で優先的に発現され る様々なウシ遺伝子中に含まれる上記調節配列を含む。このような乳房特異的遺伝子は、 50 (13) JP 3670003 B2 2005.7.13 αS1カゼイン、αS2−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン、α−ラクトアルブミ ン及びβ−ラクトグロブリンを含む。好ましい発現調節配列は、実施例中に更に詳細に記 載された如く、αS1カゼイン由来である。 一般に、トランスジェニックウシミルク中に組み換えポリペプチドを分泌するために設計 された本発明のトランスジーンは、トランスジェニックマウス及びヒツジについて従来報 告されているそれよりも著しく高いレベルでこのような分泌を引き起こすことができる。 組み換えポリペプチドが、cDNAに相当するか又はcDNA由来の組み換えDNAによ っ て エ ン コ ー ド さ れ て い る 場 合 は 、 組 み 換 え ポ リ ペ プ チ ド の モ ル 濃 度 は 好 ま し く は 、 約 1. 0μ Mよ り 大 き く 、 更 に 好 ま し く は 、 約 100μ Mよ り 大 き く 、 そ し て 最 も 好 ま し く は 1 0 0 μ Mよ り 大 き い 。 ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク ミ ル ク 中 に 存 在 す る 組 み 換 え ポ リ ペ プ チ ド の レ ベ ル の 10 観 点 か ら 見 る と 、 組 み 換 え ポ リ ペ プ チ ド の 量 は 、 好 ま し く は 50μ g/mlよ り 大 き く 、 も っ と 好 ま し く は 約 500μ g/mlよ り 大 き く 、 最 も 好 ま し く は 約 約 1000μ g/ml( 1 mg/ml) よ り 大 き い。 本発明のトランスジーンがゲノムDNA由来の又はゲノムDNAに相当する(又はこのよ うなゲノム配列が実質的に含まれる、例えば、組み換えポリペプチドをエンコードするコ ド ン の 約 50% 超 、 更 に 好 ま し く は 約 75% 超 、 最 も 好 ま し く は 90% 超 が ゲ ノ ム 配 列 由 来 で あ る)組み換えDNAによってエンコードされる組み換えポリペプチドをエンコードする場 合は、ウシトランスジェニックミルク中のモル濃度及びタンパク質レベルはcDNAのそ れと同じか又はそれ以上である。一般に、このようなトランスジェニックミルク中の組み 換 え ポ リ ペ プ チ ド の モ ル 濃 度 は 、 好 ま し く は 約 50μ Mよ り 大 き く 、 更 に 好 ま し く は 約 150μ 20 Mよ り 大 き く 、 最 も 好 ま し く は 約 500μ Mよ り 大 き い 。 ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク ミ ル ク 中 の タ ン パ ク 質 の レ ベ ル か ら 見 る と 、 そ の レ ベ ル は 好 ま し く は 約 10mg/mlよ り 大 き く 、 更 に 好 ま し く は 約 2.5mg/mlよ り 大 き く 、 最 も 好 ま し く は 約 5 mg/mlよ り 大 き い 。 前述のウシトランスジェニックミルク中のモル濃度及びタンパク質レベルは、特定の組み 換えポリペプチドの分子量に依存して変化する。ウシトランスジェニックミルク中で組み 換えポリペプチドを製造することの特定の利点は、他の系例えば原核発現系において多量 に製造することが困難である、比較的大きな分子量のポリペプチドが製造され得るという ことである。本発明に従って、いずれの組み換えポリペプチドもウシトランスジェニック ミ ル ク 中 で 製 造 さ れ 得 る が 、 一 般 に は 、 こ の よ う な 組 み 換 え ポ リ ペ プ チ ド は 約 10,000ダ ル ト ン を 超 え る 分 子 量 を 有 す る の が 好 ま し い 。 し か し な が ら 、 15,000超 、 20,000超 そ し て 60 30 ,000超 ダ ル ト ン の 分 子 量 を 有 す る 他 の 組 み 換 え ポ リ ペ プ チ ド も 、 ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク ウ シ ミ ル ク 中 で 発 現 さ れ 得 る 。 例 え ば 、 17,000ダ ル ト ン の 分 子 量 を 有 す る ヒ ト リ ゾ チ ー ム 及 び 79,000ダ ル ト ン の 分 子 量 を 有 す る ラ ク ト フ ェ リ ン も 、 本 発 明 の 開 示 に 従 っ た ウ シ 種 の ト ラ ンスジェニックミルク中で容易に製造され得る。このように、本発明の組み換えポリペプ チドは、広い範囲の分子量を有する。 従って、高分子量の組み換えポリペプチドが製造される場合には前述の好ましい組み換え ポリペプチドのモル濃度は調節される。このような調節は、モル濃度を、製造されるタン パクの量に換算し、そして、組み変えタンパク質のレベルが、以下の好ましい濃度内にな るようにモル濃度を調節することによって成される。 トランスジェニックミルク中のポリペプチドの製造に関する従来の報告のほとんどは、ト 40 ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス を 含 む 。 し か し な が ら 、 マ ウ ス は 通 常 、 ミ ル ク 1 ml当 り 55∼ 80ミ リ グ ラ ム の タ ン パ ク 質 を 製 造 す る 。 一 方 、 乳 牛 は 通 常 、 ml当 た り 30∼ 34ミ リ グ ラ ム の タ ン パク質を製造する。非常に高いレベルでの組み変えポリペプチド製造は、内在性ミルクタ ンパク質の製造に不都合に影響し、及び/又は乳分泌腺に不都合に影響するので、組み換 え ポ リ ペ プ チ ド の 濃 度 は 、 通 常 の ウ シ ミ ル ク タ ン パ ク 質 濃 度 の 約 3 ∼ 50% ( す な わ ち 、 ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク ミ ル ク の ml当 た り 約 1 ∼ 17ミ リ グ ラ ム の 組 み 換 え ポ リ ペ プ チ ド ) 、 が 好 ま し く 、 更 に 好 ま し く は 、 ウ シ ミ ル ク 中 に 製 造 さ れ る タ ン パ ク 質 の 通 常 量 の 10∼ 20% ( す な わ ち 、 ml当 た り 3 ∼ 約 7 ミ リ グ ラ ム ) そ し て 最 も 好 ま し く は 10∼ 15% ( す な わ ち 、 ml当 たり約3∼5ミリグラム)である。このような好ましい範囲はまた、前記した、トランス ジェニックウシミルク中に製造されるタンパク質レベルの好ましい最大限度を与える。 50 (14) JP 3670003 B2 2005.7.13 本発明のトランスジーンを形成するための、上述した種々のDNA配列の連結は、本技術 分野の当業者に公知の又は本明細書中に記した標準法によって達成される。トランスジー ン又はトランスジーンをエンコードするオーバーラップ同種フラグメントが、記載のよう にして構築されると、トランスジェニック非ヒト動物を作るために用いられる。 トランスジーン又はオーバーラップトランスジーンフラグメントを胚標的細胞に導入する 方法は、非ヒト動物の受精卵母細胞の前核又はES細胞の核中へのトランスジーンのマイ クロインジェクションを含む。マウス種のためのこのような方法は、本技術分野の当業者 によく知られている。或いは、トランスジーンは、トランスジーンを含んだレトロウィル ス を 接 合 体 に 感 染 さ せ る こ と に よ り 動 物 中 に 導 入 さ れ う る 。 ( Jaenish,R.、 1976年 、 Proc .Acad.Sci.U.S.A .,第 73巻 、 第 1260∼ 1264頁 ) 。 好 ま し い 方 法 は 、 受 精 卵 母 細 胞 の マ イ ク 10 ロインジェクションである。好ましい実施例においては、受精卵母細胞は、最初に標準法 によりマイクロインジェクトされる。その後、それらを、“着床前胚”が得られるまで、 インビトロで培養する。 こ の よ う な 着 床 前 胚 は 好 ま し く は 、 約 16∼ 150の 細 胞 を 含 む 。 胚 の 16∼ 30細 胞 段 階 は 、 通 常 桑 実 胚 と 呼 ば れ る 。 32よ り 多 い 細 胞 を 含 む そ れ ら の 着 床 前 胚 は 通 常 、 胚 盤 胞 と 呼 ば れ る 。 一 般 に 、 そ れ ら は 、 典 型 的 に は 64細 胞 段 階 に お い て 、 細 胞 胚 腔 の 発 生 を 示 す こ と に よ り 特 徴 づ け ら れ る 。 受 精 卵 母 細 胞 を 着 床 前 段 階 ま で 培 養 す る 方 法 は 、 Gordonら 、 1984年 、 Me thods in Enzynology 、 第 101巻 、 第 414頁 、 Hoganら 、 1986年 、 Manipulation the Mouse E mbryo 、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、 Cold Spring Habor,N.Y.、 ( こ れ ら は マ ウ ス 胚 の た め の 方 法 ) 、 及 び Hammerら 、 1985年 、 Nature 、 第 315巻 、 第 680頁 、 ( こ れ は ウ 20 サ ギ 及 び ブ タ 胚 の た め の 方 法 ) 、 Gandolfiら 、 1987年 、 J.Reprod.Fert. 、 第 81巻 、 第 23∼ 28頁 、 Rexroadら 、 1988年 、 J.Anim.Sci. 、 第 66巻 、 第 947∼ 953頁 、 ( こ れ ら は ヒ ツ ジ 胚 の た め の 方 法 ) 、 及 び Eyestone,W.H.ら 、 1989年 、 J.Reprod.Fref. 、 第 85巻 、 第 715∼ 720頁 、 Camousら 、 1984年 、 J.Reprod.Fert.、 第 72巻 、 第 779∼ 785頁 及 び Heyman Y.ら 、 1987年 、 Theriogenology 、 第 27巻 、 第 5968頁 ( こ れ ら は 、 ウ シ 胚 の た め の 方 法 ) を 含 む 。 そ の 後 このような着床前胚は、標準法により適当な雌に移植され、トランスジーンが導入された 場合に、発生段階に依存してトランスジェニック動物又はキメラ動物の誕生を可能にする 。よく知られているように、真性生殖細胞系トランスジェニック動物を作るためにモザイ ク動物が生育されうる。 トランスジーンの取り込みの頻度はしばしば低いので、着床前胚中へのトランスジーンの 30 組み込みを検出することが非常に望ましい。本発明の一つの面において、胚の中でトラン スジェネシスが起こっており、そしてトランスジェニック動物を作成するためにトランス ジェニック胚の着床を可能にする胚を同定するための方法が提供される。この方法におい て、1以上の細胞が着床前胚から取り出される。等分割が用いられる場合には、胚は好ま し く は 、 桑 実 胚 段 階 ( 32細 胞 ) を 過 ぎ て 培 養 さ れ な い 。 着 床 前 胚 の 分 割 ( Williamsら 、 19 86年 、 Theriogenology 、 第 22巻 、 第 521∼ 531頁 に よ っ て レ ビ ー さ れ て い る ) は 、 2 つ の “ 半胚”(半桑実胚又は半胚盤胞)をもたらし、そのうちの一つは適当な雌への着床後に発 達することができ、子宮内で出産まで発生できる。着床前胚の等分割が好ましいけれども 、このような胚は通常、意図的に或いは意図的でなく、等しい細胞数である必要がない2 つの半胚に分割されうると理解されるべきである。要するに、要求されることの全ては、 40 以下に記載のように分析がなされていない胚の一つが、子宮内で出産までの間発達するの に十分な細胞数であるということである。特定の実施例においては、本明細書に記載の分 析がなされていない半胚は、もしトランスジェニックであることが示されればトランスジ ェニック非ヒト動物のクローン集団を作るために用いられる。 前着床胚の分割によって形成された半胚のいずれかの一つはトランスジーンが生物のゲノ ム中に組み込まれているかどうかを決定するために分析される。他の半胚のそれぞれは、 次に行う宿主であるその種の雌への着床のために維持される。胚発達のこの初期段階にお け る ト ラ ン ス ジ ー ン 検 出 の た め の 好 ま し い 方 法 は 、 制 限 エ ン ド ヌ ク レ ア ー ゼ Dpn I の 特 有 の性質との関連においてこれらの半胚を用いる。この酵素は、二本鎖DNA中の配列GA TCを、この配列中のそれぞれの鎖のアデニンがN−6でメチル化されているときにのみ 50 (15) JP 3670003 B2 2005.7.13 、認識する。この好ましい方法を用いる場合には、配列GATCを含むトランスジーンは マイクロインジェクションに先立って、適当なプラスミド上のトランスジーンを微生物、 例 え ば E.coli MM294の D A M + 株を通して移動する又は、damメチラーゼを用いてトラ ンスジーンを直接メチル化することによってメチル化される。次いで、メチル化されたト ランスジーン(好ましくは、外来性配列例えばプラスミドベクターなしに)は、受精卵母 細胞中へマイクロインジェクトされる(前核当り約10から500コピー、更に好ましく は前核当り50から100コピー)。このようにして得られた受精卵母細胞は、着床前段 階へとインビトロで培養される。この初期成長及び細胞分割段階の間に、ゲノムDNAが 複製される。従って受精卵母細胞のゲノム中に組み込まれたメチル化されたトランスジー ンのコピーは複製後に脱メチル化され、一方、複製後もそのまま存在している組み込まれ 10 て い な い ト ラ ン ス ジ ー ン は 、 メ チ ル 化 さ れ た ま ま で あ る ( Lacks,Sら 、 1977年 、 J.Mol.Bio l .、 第 114巻 、 第 153頁 ) 。 組 み 込 ま れ て い な い ト ラ ン ス ジ ー ン に 対 す る 組 み 込 ま れ た ト ラ ンスジーンのこの異なったメチル化の様式は、ゲノム中にトランスジーンを組み込んだ受 精卵母細胞の同定を可能にする。 組み込まれたトランスジーンを含む着床前胚の同定は、それぞれの半胚からのDNAを分 析することにより達成される。このような、DNAは、典型的には、半胚を溶解し、そし て Ninomiy,T.ら 、 1989年 、 Molecular Reproduction and Development 、 第 1 巻 、 第 242∼ 2 48の 記 載 の 如 く 、 処 理 し た 後 の こ の よ う な 遊 離 さ れ た D N A を 分 析 す る こ と に よ り 得 ら れ る 。 D N A 試 料 の そ れ ぞ れ は 、 Dpn I に よ っ て 処 理 さ れ る 。 そ の 後 、 ト ラ ン ス ジ ー ン の 全 て 、 或 い は 一 部 を 増 幅 す る た め に ポ リ メ ラ ー ゼ 連 鎖 反 応 ( P C R ) ( Saikiら 、 1985年 、 S 20 cience 、 第 230巻 、 第 1350∼ 1354頁 ) を 行 う 。 無 傷 の ト ラ ン ス ジ ー ン が 増 幅 さ れ る 場 合 に は、トランスジーンの対立する末端において、対立する2本の鎖にそれぞれ相補的な2つ の伸長プライマーが増幅のために用いられる。しかしながら、無傷なトランスジーンより 小さいものが増幅される場合には、このような伸長プライマーは、増幅される遺伝子製造 物 が ト ラ ン ス ジ ー ン 中 の Dpn I 部 位 に 及 ぶ よ う に 選 ば れ る 。 も し 、 Dpn I 切 断 が 起 こ っ て い なければ、PCR増幅は前もって決定された大きさを有する増幅された配列をもたらし、 一方切断されているトランスジーンのためのプライマー伸長は、指数関数的増幅を引き起 こ さ な い 。 一 般 に 、 半 胚 か ら の Dpn I/ P C R 増 幅 し た D N A は 、 電 気 泳 動 さ れ 、 引 き 続 いて、2つの伸長プライマーの間のトランスジーンの領域に相補的な標識プローブとハイ ブリダイゼーションされる。これは、増幅したDNA配列の大きさの決定を容易にし、も 30 しあれば、半胚(以下、“トランスジェニック半胚”と呼ぶ)がそれから得られるところ の着床前胚中にトランスジーンが組み込まれているか否かの指標を提供する。もし有して いれば、残りの非処理トランスジェニック半胚は、宿主親中に移植される。子宮内での発 達後、組み込まれたトランスジーンによって与えられる所望の表現型を有するトランスジ ェニック非ヒト動物は、子宮内で又は出産後に適当な方法により同定される。もちろん、 認識配列がメチル化されたDNA配列は切断できるが、メチル化されていない形は切断で きない他の制限エンドヌクレアーゼを、上記方法において用いることができる。 Dpn I を 用 い る 上 記 方 法 に お い て は 、 目 的 の ト ラ ン ス ジ ー ン 中 に 配 列 G A T C が 存 在 す る ことが必要である。そのような配列が存在しない場合には、その配列は特定部位の突然変 異 誘 発 ( kunkel,T.A.,1985年 、 Proc.Natl.Acad.Sci. 、 第 82巻 、 第 488頁 ) 又 は カ セ ッ ト 突 40 然 変 異 ( Well,J.A.ら 、 1985年 、 Gene 、 第 34巻 、 第 315頁 ) に よ っ て 、 ト ラ ン ス ジ ー ン 中 に 容易に導入される。但し、そのような突然変異は、トランスジーンによってエンコードさ れるアミノ酸配列を変えない(又はアミノ酸配列の重要でない変化を引き起こす)こと及 びそのように作られたいずれのコドンも目的のトランスジェニック非ヒト動物中で機能す ること。 着床前胚におけるトランスジェネシスを検出するための上記の方法は、トランスジェニッ ク動物を製造するために要求される妊娠数を著しく減少し、そして着床された胚がトラン スジェニック非ヒト動物を製造する可能性を大幅に増加させているので、トランスジェニ ック非ヒト動物を作るための、経済的で時間を節約した方法を提供する。このような方法 は、非常に低いか又は存在しないトランスジェネシスの頻度しか得られない動物、例えば 50 (16) JP 3670003 B2 2005.7.13 ウシ種にとって特に重要である。他の実施例においては、着床前胚のトランスジェネシス を検出するための上記の方法は、トランスジェニック胚のクローン集団を作るための胚ク ローニング工程と組み合わせられ、該トランスジェニック胚は、その後、同じ遺伝子型を 有するトランスジェニク非ヒト動物のクローン集団を製造するために宿主雌中へ着床され る。この点においては、同じ“遺伝子型”を有するトランスジェニック胚及び/又は非ヒ トトランスジェニック動物とは、個々の胚及び/又はトランスジェニック動物集団の間で ゲノムDNAが、実質的に同一であることを意味すると理解されるべきである。しかしな がら、有糸分裂の間に種々の体細胞突然変異が起り得、そして、1以上の細胞及び/又は 動物の遺伝子型に変異が生じ得るということが理解されるべきである。このように、同じ 遺伝子型を有する集団は、個々の又は副次集団変異を示し得る。 10 半胚はトランスジェニック半胚であると同定された後に、クローン化される。このような 胚クローニングは、いくつかの異なった方法により達成される。一つのクローニング方法 においては、トランスジェニック半胚は個々の卵母細胞を着床前段階まで培養するために 用いられるのと同じ又は類似の培地中で培養される。次いで、このようにして形成された “トランスジェニック胚”(好ましくは、トランスジェニック桑実胚)は、その後2つの トランスジェニック非ヒト動物のクローン集団を形成するために宿主雌中へ着床されると ころの“トランスジェニック半胚”へと分割される。或いは、得られた2つのトランスジ ェニック半胚は、再び、着床前段階まで培養され、分割され、そしてトランスジェニック 胚段階まで再培養されうる。この手順は、所望の数の同じ遺伝型を有するクローントラン スジェニック胚が得られるまでくり変えされる。次いで、このようなトランスジェニック 20 胚は、トランスジェンック非ヒト動物のクローン集団を製造するために宿主雌中へと着床 されうる。 好 ま し い ク ロ ー ニ ン グ 方 法 に お い て は 、 ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク 胚 は 、 Pratherら 、 1988年 、 B iol Reprod .第 37巻 、 第 59∼ 86頁 、 Robleら 、 1987年 、 J.Anim.Sci. 、 第 64巻 、 第 642∼ 6 6 4頁の方法に従って、核移入によりクローン化される。この方法に従って、トランスジェ ニック胚の核は、脱核した卵母細胞中へと移植され、その後、それらのそれぞれは胚盤胞 まで培養される。この時点で、トランスジェニック胚は、核移植によるクローニングのも う一つの過程に再び置くことができ、又は、同じ遺伝型をもったトランスジェニック子孫 を製造するために宿主親へ移入されることもできる。 初期トランスジェネシス検出のための上記方法に加えて、トランスジェネシスを検出する 30 ために他の方法を用いることができる。このような方法としては、組織の子宮内及び分娩 後分析を含む。子宮内分析は、いくつかの方法により行われる。一つにおいては、羊膜腔 の 経 膣 穿 刺 ガ 、 エ コ ス コ ー プ 案 内 下 で 行 わ れ る ( Bowagoら 、 1975年 、 Bet.Res.、 第 96巻 、 第 124∼ 127頁 、 Rumseyら 、 1974年 、 J.Anim.Sci. 、 第 39巻 、 第 386∼ 391頁 ) 。 こ の こ と は 、 妊 娠 約 35日 か ら 100日 の 間 に 約 15∼ 20ミ リ リ ッ ト ル の 羊 水 を 回 収 す る こ と を 含 む 。 こ の 羊 水 の 量 は 、 ml当 り に 、 尿 生 殖 管 、 皮 膚 及 び 発 達 し て い る 胚 の 恐 ら く 肺 由 来 の 約 1,000∼ 1 2,000の 細 胞 を 含 む 。 こ れ ら の 細 胞 の ほ と ん ど は 死 ん で い る 。 し か し な が ら 、 こ の よ う な 細胞は、成功したトランスジェネシスの指標としてトランスジーンのためのPDCR分析 に付されるゲノムDNAを含む。或いは、胎児細胞が、絨毛膜穿刺により回収され得る。 この方法はまた、経膣的に及びエコスコープの案内下で行なわれ得る。この方法において 40 は、宿主動物の胎盤、特に膣壁に固定された胎盤組織を穿刺するために針が用いられる。 こ の よ う な 試 料 採 取 は 、 ウ シ で は 妊 娠 60日 付 近 で 行 わ れ る 。 も し 必 要 な ら ば 、 絨 毛 膜 細 胞 を母親の組織から分離し、成功したトランスジェネシスの指標としてのトランスジーンの ためのPCR分析に付す。 また、トランスジェネシスは出産後に検出されることもできる。このな場合は、トランス ジーンの組み込みは、適当な組織生検例えば、推定されるトランスジェニック動物の耳又 は尾からの組織生検を行うことにより検出されうる。尾の約1∼2センチメートル又は耳 の 約 5 ∼ 10平 方 ミ リ メ ー ト ル を 取 り 、 引 き 続 き 、 Hoganら の 方 法 ( 1986年 、 Manipulating the Mouse Embryo 、 Cold Spring Harbor Sabratoy) に 従 っ て 、 ト ラ ン ス ジ ー ン の た め の プローブを用いてサザンブロッティングを行う。 50 (17) JP 3670003 B2 2005.7.13 トランスジェネシスはまた、他の組織から得られたDNAを用いたサザンブロット法を用 いることによって決定されうる。特に、組み変え雄牛からの精液はトランスジェニック動 物を同定するのに有用である。 トランスジェネシスはまた、組織、分泌液(例えば、唾液)又は他の体液中での組み換え ポリペプチドの発現を分析することによって検出され得る。乳牛ミルク中での組み換えポ リペプチドの発現が最終目標である場合は、発現レベルのために雄牛の唾液を分析するの が特に有用である。これは、いくつかの乳房特異的プロモーターが、低いレベルではある が 、 唾 液 腺 の 発 現 を も 引 き 起 こ す か ら で あ る 。 例 え ば 、 Archibaldら 、 1990年 、 Proc.Nat. Acad.Sci.U.S.A.、 第 872巻 、 第 5178∼ 5182頁 を 参 照 。 組み換えポリペプチドが発現され、そしてトランスジェニックウシ種のミルク中に分泌さ 10 れる実施例においては、そのようにして得られたトランスジェニックミルクは、そのまま 用いられるか又は組み換えポリペプチドを精製するために更に処理されるかのいずれかで ありうる。これは、ある程度、トランスジェニックミルク中に含まれる組み換えポリペプ チド及び該タンパク質の最終的な使用に依存する。ウシミルクの栄養価を増加させるため に組み換えポリペプチドがトランスジェニックミルク中に分泌される場合には、通常、更 なる精製は必要ない。このような状況の一つの例は、ヒトラクトフェリンが新生ヒト乳児 の腸管感染を制御しそして鉄吸収を改善するための補足としてウシ種のミルク中に製造さ れるところの好ましい実施例の一つを含む。他の状況では、特定の組み換えポリペプチド をその栄養価値ゆえに、部分的な精製が望まれうる。従って、例えば、トランスジェニッ ク ウ シ ミ ル ク 中 に 製 造 さ れ る ヒ ト ラ ク ト フ ェ リ ン は 、 ミ ル ク を 約 pH4 ∼ 5 に 酸 性 化 し て 、 20 カゼインを沈殿させることによって部分的に精製されうる。可溶分画(乳漿)は、部分的 に精製されたヒトラクトフェリンを含む。 ウシトランスジェニックミルク中に含まれる組み換えポリペプチドは、食品処方中に用い られうる。特に有用な食品処方は、栄養又は他の有用価値のいずれかを有するトランスジ ェニックウシミルクからの1以上の組み換えポリペプチドを含む乳児処方を含む。例えば 、本発明に従って作られたトランスジェニックウシミルクからのヒトラクトフェリンを含 む乳児処方は、新生児の下痢を制御することを助ける静菌効果を提供する。同様に、組み 換えポリペプチド例えばヒトカゼイン及びヒトリゾチームはまた、栄養価値を提供するた めに、トランスジェニックウシミルク中に作られうる。表2は、代表的な乳児処方の成分 を 説 明 し て い る 。 そ こ に 示 さ れ る ご と く 、 タ ン パ ク 質 含 有 量 は 、 処 方 100キ ロ カ ロ リ ー 当 た り 、 約 1.8∼ 4.5mgの 間 で 変 化 す る 。 す な わ ち 、 組 み 換 え ポ リ ペ プ チ ド を 含 む 全 タ ン パ ク 質は、少なくとも米国における規定(表2の処方はそれに基づく)に基づく値の間にある べきである。もちろん、組み換えポリペプチドを含む全タンパク質量は、前記の如く、特 定の処方を用いるところの地域の規定に依存して変化し得る。 30 (18) JP 3670003 B2 2005.7.13 10 20 30 40 乳児処方に加えて、他の食品処方もまた、トランスジェニックウシミルクからの組み換え 50 (19) JP 3670003 B2 2005.7.13 ポリペプチドによって補われうる。例えば、このような組み換えポリペプチドは、普通の ダイエット処方を補うために用いられうる。 組み換えポリペプチドを、製薬として用いようとする場合には、そのような適用と一致し た精製法が要求される。このような精製法は、精製されるべき特定の組み換えポリペプチ ドに依存し、そして一般的には、本技術分野の当業者に公知である。このような方法は、 典型的には、カゼイン分画及びそれに続く、組み換えポリペプチドを含む適当な分画のク ロマトグラフィーによる部分精製を含む。このようなクロマトグラフィーは、アフィニテ ィクロマトグラジー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラジー及びHPL Cを含む。 本発明の特定の実施例においては、トランスジーンは、トランスジェニックウシ種のミル 10 ク中にヒトラクトフェリンを製造するために提供される。ヒトラクトフェリン(HLF) は 、 2 つ に 第 2 鉄 イ オ ン を 結 合 す る 一 本 鎖 の 糖 タ ン パ ク 質 で あ る 。 外 分 泌 線 に よ っ て ( Ma sonら 、 1978年 、 J.Clin.Path. 第 31巻 、 第 316∼ 327頁 、 Tenovuoら 、 1986年 、 Infect.Imnun . 、 第 51巻 、 第 49∼ 53頁 ) 及 び 多 核 形 好 中 球 顆 粒 ( Masonら 、 1969年 、 J.Exp.Med. 第 130巻 、 第 643∼ 658頁 ) に よ っ て 分 泌 さ れ た こ の タ ン パ ク 質 は 、 広 い 種 類 の 細 菌 の 成 長 を 阻 害 す ることにより、宿主の非特異的防御系の一部として機能する。HLFは、培地中の利用可 能なイオンをキレートし、この必須金属が侵入した細菌に近づけないようにすることによ り 静 菌 効 果 を 示 す 。 ( Bullenら 、 1972年 、 Br.Med.J. 、 第 1 巻 、 第 69∼ 75頁 、 Griffithsら 、 1977年 、 Infect,Immun .、 第 15巻 、 第 396∼ 401頁 、 Spikら 、 1978年 、 Immunology 、 第 8 巻 、 第 663∼ 671頁 、 Stuartら 、 1984年 、 Into J.Biohem .、 第 16巻 、 第 1043∼ 1947頁 ) 。 も 20 しタンパク質が第2鉄イオンで飽和されると、この効果はブロックされる。いくつかの研 究 は 、 H L F が あ る 種 の 微 生 物 に 対 し て 直 接 の 細 菌 効 果 を 示 す と 示 唆 し て い る 。 ( Arnold ら 、 1980年 、 Infect.Immun .第 28巻 、 第 893∼ 898頁 ; Arnoldら 、 1977年 、 Science 、 第 197 巻 、 第 263∼ 265頁 ; Arnoldら 、 1981年 、 Infect.Immun .、 第 32巻 、 第 655∼ 660頁 ; Arnold ら 、 1982年 、 Infect.Immun .、 第 35巻 、 第 792∼ 797頁 ; Bortnerら 、 1986年 、 Infect.Immun .、 第 51巻 、 第 373∼ 377頁 ) 。 細 菌 効 果 は ま た 、 タ ン パ ク 質 の 鉄 飽 和 に よ っ て 、 阻 害 さ れ る。HLFの細菌効果の機構は、それがグラム陰性細菌の外膜にダメージを与えそして外 膜 の 透 過 性 を 変 え る と い う こ と が 示 さ れ て い る が 、 未 だ に 仮 説 が 立 て ら れ て い な い ( Elli sonら 、 1988年 、 Infect.Zmmun .、 第 56巻 、 第 2274∼ 2781頁 ) ラ ク ト フ ェ リ ン は 、 ヒ ト ミ ル ク 中 で 鉄 を 結 合 す る 主 な タ ン パ ク 質 で あ り ( 約 1.5∼ 1.7mg/m 30 lの 濃 度 で 存 在 す る ) 、 小 腸 に よ る 鉄 の 吸 収 に お い て 役 割 を 果 た し う る 。 母 乳 中 に 存 在 す るすべての鉄は、hLFに結合されていると考えられており、処方と比べて非常に高い効 率 で 取 り 込 ま れ る ( Hide,D.W.ら 、 1981年 、 Arch.Dis.Child .、 第 56巻 、 第 172頁 ) 。 h L Fに結合された鉄の高い取り込みは、空腸中の受容体のためで、そしてアカゲサルにおい て 受 容 体 の 存 在 を 示 唆 す る デ ー タ が 示 さ れ て い る ( Coxら 、 1979年 、 BBA 、 第 588巻 、 第 120 頁 ; Davidson.L.A.ら 、 1985年 、 Fed.Proc .、 第 18巻 、 第 901頁 ) 。 ま た 、 成 人 の ヒ ト の 小 腸 の 粘 膜 細 胞 上 の 特 定 の ラ ク ト フ ェ リ ン 受 容 体 を 示 す 証 拠 も あ る ( Coxら 、 1979年 、 Bioch em.Biophys.Acta. 、 第 588巻 、 第 120∼ 128頁 ) 。 遊 離 鉄 の レ ベ ル は 、 腸 微 生 物 叢 の 制 御 下 に 関 係 づ け ら れ て い る ( Mevissen-Verhageら 、 1985年 、 Eur.J.Clin.Microbiol. 、 第 4 巻 、 第 14頁 ) 。 母 乳 で 育 っ た 乳 児 は 、 添 加 さ れ た 鉄 を 含 む 及 び 含 ま な い 牛 の ミ ル ク で 育 っ た 40 乳児に比べて、相当に減少した腸内細菌を有し、そして便中に増加したビフィドバステリ ア及びクロストリジアの数を有することが示された。インビトロの研究において、ヒトミ ル ク は 、 E.coli .に 対 し て 特 定 の 阻 害 効 果 を 有 す る こ と が 示 さ れ て い る ( Brockら 、 1983年 、 Infect.and Immunit .、 第 40巻 、 第 453頁 ) 。 ヒ ト ミ ル ク は ま た 、 鉄 結 合 性 タ ン パ ク 質 、 主 に h L F の 高 含 量 の た め に 、 小 腸 に お い て E.coli .に 対 し て 特 定 の 阻 害 効 果 を 有 す る こ と が 示 さ れ て い る ( Bullenら 、 1972年 、 British Med.J .、 i 、 第 69頁 ) 。 このように、トランスジェニックウシ種のミルク中のヒトラクトフェリンの製造は、ヒト ラクトフェリンの供給原を提供する。このようなラクトフェリンは、処方目的のためにト ランスジェニックミルクから精製されうる。或いは、全トランスジェニックミルクが、好 ましくは低温殺菌後に溶液又は乾燥形態で用いられうる。更に、ヒトラクトフェリンの有 50 (20) JP 3670003 B2 2005.7.13 益な作用は、ヒトラクトフェリン又はヒトラクトフェリンを含むトランスジェニックミル クをヒトリゾチームと組み合わせることができるということである。ヒトリゾチームは、 トランスジェニックミルク中に1以上の組み換えポリペプチドを製造しうるトランスジェ ニック乳牛を製造するためにHLFトランスジーンと同時に第2のトランスジーンを導入 することによりトランスジェニック乳牛中に同時に製造されうる。或いは、トランスジー ンは、順次ウシ種中に導入されうる。このようなケースでは、トランスジーンの一つを含 んでいるトランスジェニックウシ種が得られる。その後、胚細胞、例えば卵がトランスジ ェニック雌から得られ、第2のポリペプチドをエンコードする第2のトランスジーンを取 込むために処理される。好ましくは、卵を受精させ、引き続いてそのようにして得られた 接合体の前核にマイクロインジェクションする。前記トランスジェニックウシミルク中の 10 2以上の組み換えポリペプチドの組み合わせは、前述のヒトラクトフェリン及びリゾチー ムの組み合わせに限定されないと理解されるべきである。このように本発明は、トランス ジェニックウシ種の製造を意図しており、このようなトランスジェニック動物によってト ランスジェニックミルク中に1以上の組み換えポリペプチドが含まれるところのトランス ジェニックミルクを意図している。 H L F の 完 全 ア ミ ノ 酸 配 列 が 決 定 さ れ て い る ( Metz-Boutigueら 、 1984年 、 Eur.J.Biochem .、 第 1451巻 、 第 659∼ 676頁 ) 。 H L F は 2 つ の ド メ イ ン を 含 み 、 そ れ ぞ れ が 一 つ の 鉄 結 合部位及び一つのN−結合グリコシル化部位を含む。これらのドメインは、互いに相同性 を示し、祖先遺伝子重複及び融合結果の徴候を示す。更に、HLFは、トランスフェリン フ ァ ミ リ ー の 他 の も の と 広 い 範 囲 で 相 同 で あ る ( Metz-Boutigue、 上 記 、 Pontecostら 、 19 20 87年 、 J.Biol.Chem .、 第 262巻 、 第 10134∼ 10139頁 ) 。 鉄 結 合 部 位 中 に 含 ま れ る ア ミ ノ 酸 の 配 置 は 、 x − 線 結 晶 学 に よ っ て 決 定 さ れ て い る ( Andersonら 、 1987年 、 Proc.Natl.Acad .Sci .、 第 84巻 、 第 1769∼ 1773頁 ) 。 好 中 球 H L F の 部 分 c D N A 配 列 が Radoら 、 1987年 、 Blood 、 第 70巻 、 第 989∼ 993頁 に よ っ て 発 表 さ れ て い る 。 c D N A か ら 推 定 さ れ た ア ミ ノ酸配列と、ヒトミルクからのラクトフェリンの直接の分析によって決定されたアミノ酸 配 列 と は 、 > 98% 一 致 し て い た 。 ヒ ト ラ ク ト フ ェ リ ン の 鉄 で 飽 和 し た 構 造 及 び 、 鉄 が 遊 離 し た 形 は 、 す で に 発 表 さ れ て い る ( Andersonら 、 1989年 、 J.Mol.Biol .、 第 209巻 、 第 713 ∼ 787頁 、 Andersonら 、 1990年 、 Nature、 第 784 787頁 ) 。 本 明 細 書 中 で 用 い る “ ヒ ト ラ ク ト フ ェ リ ン ” は 、 Metz-Boutigueら 、 1984年 、 Eur.J.Bioch em .、 第 1451巻 、 第 659∼ 676頁 の 記 載 及 び 図 2 に 示 さ れ た も の と 実 質 的 に 同 じ ア ミ ノ 酸 配 列を有するポリペプチドを含む。しかしながら、ヒトラクトフェリン配列の初期の部分配 列においては、発表された配列と本明細書中で得られた配列の間で多くの不一致が明らか になったということを述べておく。特に、以下の不一致が存在している(アミノ酸番号は 、図1の配列からのものであり、括弧内はDNAの位置である)。 30 (21) JP 3670003 B2 2005.7.13 10 従って、ヒトラクトフェリンはまた、本明細書中で示された配列の違いと発表されている 20 配列を組み合わせた図1に示された配列によって定義される。ヒトラクトフェリンという 言葉はまた、これらの配列のいずれかの対立変異又は1以上のアミノ酸残基の置換、挿入 又は欠失によって1以上のアミノ酸が修飾されている組み換えヒトラクトフェリンの変異 を含む。いくつかの場合には、ヒトラクトフェリンは、それに共有結合的に結合されてい る全ての又は部分的な分泌シグナル配列とともにミルク中に製造されうる。 本明細書中でいう“ヒトラクトフェリンDNA配列”とは、上記の定義されたヒトラクト フェリンをエンコードするDNA配列である。このようなヒトラクトフェリンDNA配列 は、ヒト乳腺cDNAライブラリーから得られうる又は、ヒトゲノム由来でありうる。本 明細書の実施例2は、ヒト乳腺cDNAライブラリー由来のヒトラクトフェリンのクロー ニング及びヌクレオチド配列を示している。このヒトラクトフェリンのDNA配列を図1 30 及 び 図 2 に 示 す 。 そ し て こ の ヒ ト ラ ク ト フ ェ リ ン の D N A 配 列 は Radoら 、 1987年 、 Blood 、 第 70巻 、 第 989∼ 993頁 に 示 さ れ た そ れ と 実 質 的 に 同 じ で あ る 。 h L F を エ ン コ ー ド す る 発現可能なトランスジーンを含むプラスミドの構築を、実施例中に記載した。これらのプ ラスミドの1つは、ウシ乳房分泌細胞中で組織特異的に発現するために設計されたトラン ス ジ ー ン を 含 む c G P 1 H L F ( こ れ は ま た 時 々 16,8H L F 3 と 言 わ れ る ) で あ る 。 本発明の第2の実施例においては、トランスジーンは、トランスジェニックウシ種のミル ク 中 で ヒ ト 血 清 ア ル ブ ミ ン を 製 造 す る た め に 提 供 さ れ る 。 ヒ ト 血 清 ア ル ブ ミ ン は 、 584ア ミ ノ 酸 残 基 を 含 む 血 清 タ ン パ ク 質 で あ る ( Minghettiら 、 1986年 、 J.Biol.Chem .、 第 261巻 、 第 6747頁 ) 。 そ れ は 、 ヒ ト 血 清 中 で 、 最 も 豊 富 な タ ン パ ク 質 で あ り 、 そ し て 2 つ の 重 要 な 生 理 的 機 能 を 果 た す 。 血 清 ア ル ブ ミ ン は 、 血 液 の モ ル 浸 透 圧 濃 度 の 約 80% を 担 っ て お り 40 、そして脂肪組織間で脂肪酸を移送する。 ヒト血清アルブミンは、主として、循環系の浸透圧を回復することによって血漿容量を増 やすために用いられる。最近、hSA分画由来の熱処理された血清が、大手術を受けるほ とんどの患者を含む、ショック及び外傷にあった者に注入される。HSAは、現在のとこ ろ 、 希 少 な 血 液 タ ン パ ク 質 、 例 え ば 因 子 VIII及 び IXを 得 る た め の 血 液 分 画 方 法 の 副 産 物 と してヒト血漿由来である。しかしながら、遺伝工学手段によってこのような因子を製造す るために最近開発された技術は、ヒト血清アルブミンの供給源をおびやかしている。 本 明 細 書 中 で 用 い る “ ヒ ト 血 清 ア ル ブ ミ ン ” は 、 Minghettiら ( 同 書 ) ; Lawnら 、 1981年 、 Nucl.Acids Res .、 第 9 巻 、 第 6103頁 に 記 載 さ れ た ア ミ ノ 酸 配 列 と 実 質 的 に 同 じ ア ミ ノ 酸配列を有するポリペプチドを含む。1以上のアミノ酸残基の置換、挿入又は欠失によっ 50 (22) JP 3670003 B2 2005.7.13 て修飾されている1以上のアミノ酸をその中に含む組み換えヒト血清アルブミン変異体を 含 む そ れ の 変 異 も ま た 含 ま れ る ( Minghettiら 、 1986年 、 J.Bio.Chem .、 第 261巻 、 第 6747 ∼ 6757頁 ) 。 い く つ か の 場 合 に は 、 ヒ ト 血 清 ア ル ブ ミ ン は 、 h S A の 分 泌 シ グ ナ ル 配 列 を エンードするDNAを含むトランスジーンを発現することによりミルク中で製造されうる 。或いは、ヒト血清アルブミンは、5′発現調節配列をエンコードするヒトゲノムDNA ,ヒト血清アルブミンの分泌シグナル及び構造遺伝子、及び3′発現調節配列を含む完全 な異種トランスジーンを利用してトランスジェニック動物の肝臓細胞中で製造され、そし て肝臓細胞から分泌されうる。実施例中に示されたように、この異種配列を含むトランス ジーンは、オーバーラップトランスジーンフラグメントのインビボでの相同組み換えによ って形成され、トランスジェニック動物でhSAを再構築する。このように形成されたト 10 ランスジェニック動物は、その循環系中にヒト血清アルブミンを製造した。 本明細書で用いる“ヒト血清アルブミンDNA配列”とは、上記で定義したヒト血清アル ブミンをエンコードするDNA配列である。このようなヒト血清アルブミンDNA配列は 、 Uranoら 、 1986年 、 J.Biol.Chem .、 第 261巻 、 第 3244∼ 3251頁 及 び Uranoら 、 1984年 、 Gen e 、 第 32巻 、 第 255∼ 261頁 、 及 び 本 明 細 書 の 実 施 例 中 に 記 載 さ れ た 、 λ H A L − H A I 、 λHAL−3W及び、λHAL−HI4から得られうる。 ヒ ト 血 清 ア ル ブ ミ ン D N A 配 列 は 、 本 明 細 書 の 実 施 例 10の 記 載 の よ う に し て ク ロ ー ン 化 さ れ 、 そ し て 引 き 続 き 、 プ ラ ス ミ ド の c G P 1 H L F ( こ れ は ま た p16,8H L F 4 と も 言 わ れる)中にエンコードされたヒトラクトフェリン遺伝子の構築のために操作される。この プ ラ ス ミ ド か ら 、 ウ シ の α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 の 16kbの 5 ′ 発 現 調 節 配 列 、 ヒ ト 血 清 ア ル 20 ブ ミ ン D N A 配 列 及 び α S ′ 1 カ ゼ イ ン ウ シ 遺 伝 子 の 約 8 kbの 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 領 域 を 含 むトランスジーンが得られる。このトランスジーンは、ウシ種からの受精卵母細胞へのマ イクロインジェクションのために用いられる。トランスジェネシスの初期検出の後、hS Aトランスジーンを含む胚盤胞は、宿主雌ウシ種中へ着床され、出産まで保持される。 以下実施例を示すが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるものではない。 実施例1:ウシαS1カゼイン配列に特異的なプローブの構築 A.染色体DNAの単離 胎 盤 組 織 は 、 と 場 よ り 得 た 。 周 囲 の 結 合 組 織 を 除 き 、 約 30グ ラ ム 毎 の 部 分 に し て 、 液 体 窒 素中ですばやく凍結した。染色体DNAは以下のようにして単離した: 30グ ラ ム の 組 織 を 、 300mMス ク ロ ー ス 、 60mM KCl、 15mM NaCl、 60mM Tris:HCl、 ( pH8.2) 30 、 0.5mMス ペ ル ミ ジ ン 、 0.15mMス ペ ル ミ ン 、 2 mM EDTA、 0.5mM EGTAを 含 む 緩 衝 液 1 の 35ml を 用 い て 、 ( 氷 上 で ) ホ モ ジ ナ イ ズ し た 。 1 % NP40を 含 む 氷 冷 し た 65mlの 緩 衝 液 1 を 加 え 、 混 合 物 を 、 氷 上 に て 5 分 間 保 温 し た 。 3000xgに て 5 分 間 遠 心 し た 後 、 ペ レ ッ ト を 1 % の NP40を 含 む 緩 衝 液 1 で さ っ と 洗 っ た 。 遠 心 工 程 を く り 返 し た 後 、 ペ レ ッ ト を 5 mlの 緩 衝 液 1 に 懸 濁 し た 。 5 mlの 0.5M EDTAを す ば や く 加 え た 。 最 終 容 量 は 15mlと な っ た 。 0.15mlの 1 0% SDS溶 液 を 加 え た 。 混 合 後 、 R N A s e 及 び T 1 を 最 終 濃 度 が そ れ ぞ れ 0.4mg/ml及 び 6 u/mlと な る よ う に 加 え た 。 37℃ で 3 時 間 保 温 後 、 プ ロ テ イ ナ ー ゼ K を 最 終 濃 度 が 0.1mg/ml と な る よ う に 加 え た 。 こ の 混 合 物 を 37℃ で 15時 間 保 温 し た 。 次 い で 、 混 合 物 を 注 意 し て フ ェ ノ ー ル で 抽 出 し た 。 水 相 を 分 離 し 、 1/30容 量 の 3 M NaOAc pH5.2及 び 等 容 量 の イ ソ プ ロ ピ ル ア ル コ ー ル を 加 え た 。 沈 殿 物 ( D N A ) を 、 70% エ タ ノ ー ル で さ っ と 洗 い 、 0.5mlの 1 40 0mM Tris.HCl pH8.0、 1 mM EDTAに て 4 ℃ で ゆ っ く り 溶 解 し た 。 B.αS1カゼイン遺伝子の5′フランキング領域からの配列の増幅 2 つ の D N A プ ラ イ マ ー を 、 Yu-Leeら 、 1986年 、 Nucl.Acids.Res .、 第 14巻 、 第 1883∼ 190 2頁 で 発 表 さ れ た 配 列 に 基 づ い て 合 成 し た 。 プ ラ イ マ ー 1 は 、 主 要 な 転 写 開 始 部 位 に 関 係 す る 位 置 -681に 位 置 さ れ て お り 、 以 下 の 配 列 : を有した。 プ ラ イ マ ー # 2 は 、 主 要 な 転 写 開 始 部 位 に 関 係 す る 位 置 +164に 位 置 さ れ て お り 、 以 下 の 配 50 (23) JP 3670003 B2 2005.7.13 列; を有した。このプライマーの最初の8ヌクレオチドは、ウシゲノムによってエンコードさ れ て い な い が 、 次 の ク ロ ー ニ ン グ 工 程 を 容 易 に す る た め の MindIII制 限 部 位 を 含 む 。 こ れ らのプライマーは、染色体DNAにアニールされ、そしてデオキシヌクレオチドの存在下 で 、 T A Q ポ リ メ タ ー ゼ に よ っ て 伸 長 さ れ た 。 3 分 後 に 、 混 合 液 を 92℃ に て 1 分 間 変 性 さ せ 、 50℃ に て 1.5分 間 再 ア ニ ー ル さ せ 、 そ し て 、 再 び 伸 長 温 度 ( 68℃ ) に て 2 分 間 保 温 し た 。 こ の サ イ ク ル を 30回 く り 返 し た 。 最 終 サ イ ク ル 後 に 、 期 待 さ れ る EcoRI部 位 が 存 在 す 10 る か ど う か を 確 か め る た め に D N A を 検 査 し た 。 フ ラ グ メ ン ト の 大 き さ 及 び EcoRI部 位 の 存 在 は 期 待 の と お り で あ っ た 。 次 い で 、 フ ラ グ メ ン ト を 、 オ ー バ ー ハ ン ギ ン グ ( overhang ing) 末 端 を 修 復 す る た め に ク レ ノ ウ 酵 素 で 処 理 し 、 フ ラ グ メ ン ト の 末 端 に ホ ス フ ェ ー ト 残基を結合させるためにキナーゼで処理し、キナーゼとクレノウ酵素を失活させるために 65℃ に て 10分 間 保 温 し 、 そ し て 最 後 に HindIIIで 消 化 し た 。 次 い で 、 こ の フ ラ グ メ ン ト を 、 SmaI 及 び HindIIIで 消 化 さ れ た pUC19( Yanisch-Peroonら 、 1985年 、 Gene 、 第 33巻 、 第 1 03∼ 109頁 ) 中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 し た 。 こ の フ ラ グ メ ン ト の 同 定 の 正 式 な 証 明 は 、 こ の サ ブ ク ロ ー ン の 部 分 を ( M13ベ ク タ ー 中 へ 再 ク ロ ー ニ ン グ し た 後 に ) 配 列 決 定 す る こ と に よ って得られた。決定された配列は、発表されている配列と同一であった。次いで、このプ ローブを、αS1−カゼイン遺伝子の5′フランキング領域に特異的なクローンを得るた 20 めに、ウシゲノムライブラリーをスクリーニングするために用いた。 C.αS1カゼイン遺伝子の3′フランキング領域からの配列の増幅 同 様 の ア プ ロ ー チ を 上 記 と 同 じ よ う に 行 な っ た 。 2 つ の プ ラ イ マ ー を 、 Stewartら 、 1984 年 、 Nucl.Acids Ros .、 第 12巻 、 第 3895∼ 3907頁 に よ っ て 発 表 さ れ て い る 配 列 に 基 づ い て 設 計 し た 。 5 ′ プ ラ イ マ ー は c D N A 配 列 の 位 置 713に て 開 始 さ れ る コ ー ド 配 列 の す ぐ 下 流に位置された。それは以下の配列 を有する。 30 他 の プ ラ イ マ ー は 、 c D N A 配 列 の 位 置 1070に 位 置 さ れ 、 以 下 の 配 列 : を有した。これらのプライマーは、染色体DNAにアニールされ、これらのプライマーの 間 の 領 域 は 、 上 記 の よ う に し て 増 幅 さ れ た 。 得 ら れ た フ ラ グ メ ン ト は 予 想 よ り 約 900bp長 か っ た 。 配 列 分 析 は 、 こ の 大 き さ の 介 在 配 列 は 、 c D N A の ヌ ク レ オ チ ド 737∼ 738の 間 に 存在することを示していた。増幅されたフラグメントは、在りうるオーバーハンギング末 端を修飾するためにクレノウポリメラーゼで処理され、そしてフラグメントの末端にホス フェート残基を結合させるためにキナーゼで処理された。次いで、フラグメントを、前も 40 っ て SmaI で 切 断 さ れ た pUC19中 に 連 結 し た 。 D.αS1カゼインフランキング配列のためのウシファージライブラリーのスクリーニン グ EMBL3 中 に 構 築 さ れ た ウ シ ゲ ノ ム ラ イ ブ ラ リ ー を 、 Dr.M.Groenen,( Agricultural Univer sity Wageningen、 オ ラ ン ダ ) か ら 得 、 以 下 の 方 法 に よ り ス ク リ ー ニ ン グ し た 。 バ イ テ リ オ フ ァ ー ジ 粒 子 力 価 は 、 Escherichis coli MB406許 容 さ れ る 宿 主 株 ( Strantagene Inc.) 上 で 決 定 し た 。 こ の こ と の た め に 、 フ ァ ー ジ ス ト ッ ク を 、 SM緩 衝 液 ( 50mM Tris.HCl.pH7. 5、 100mM NaCl、 10mM MgSO 4 、 0.01% ゼ ラ チ ン ) で 、 い く つ か に 希 釈 し 、 200μ lの MB406( O.D. 5 5 0 = 0.9) と 混 合 し た 。 37℃ 、 20分 間 の の ち に 、 3 mlの ト ッ プ ア ガ ロ ー ス ( Luria-Be rtani培 地 、 0.8% ア ガ ロ ー ス 、 10mM MgCl 2 ) を 加 え 、 そ し て こ れ を LBプ レ ー ト 上 に 塗 布 し 50 (24) JP 3670003 B2 2005.7.13 、 そ し て 37℃ で 一 晩 保 温 し た 。 次 い で 、 400μ lの MB406に フ ァ ー ジ ス ト ッ ク の 要 求 さ れ た 量 を 加 え る こ と に よ り 、 約 600,0 00フ ァ ー ジ を 塗 布 し た 。 そ れ に 続 く 塗 布 は 、 上 記 と 同 じ で あ る 。 次 の 工 程 は 、 ニ ト ロ セ ル ロースフィルターへのファージの移送であった。プレートを1時間4℃に置いた。ニトロ セルロースフィルター(S&S)を、トップアガロース層の上に置き、正確な位置をマー ク し た 。 フ ィ ル タ ー を 持 ち 上 げ た の ち 、 フ ィ ル タ ー を ( 1 ) 変 性 緩 衝 液 ( 1.5M NaCl、 0.5 M NaOH) 中 に て 30分 間 、 ( 2 ) 中 和 緩 衝 液 ( 1.5M NaCl、 0.5M Tris.HCl、 pH8.0) 中 に て 5 分 間 、 浸 し た 。 2 倍 の SSPE( 360mM NaCl、 20mM NaH 2 PO 4 、 2mM EDTA) で さ っ と 洗 っ た の ち 、 フ ィ ル タ ー を 、 80℃ に て 2 時 間 、 真 空 下 で 焼 い た 。 フ ィ ル タ ー の プ レ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン を 、 50% ホ ル ム ア ミ ド 、 5 倍 の デ ン ハ ー ト 溶 液 10 ( 0.1% フ ィ コ ー ル 、 0.1% ポ リ ビ ニ ル ピ ロ リ ド ン 、 0.1% ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン ) 、 5 倍 の S SPE、 0.1% SDS及 び 100μ g/mlの 変 性 サ ケ 精 子 D N A を 含 む 緩 衝 液 中 で 、 42℃ に て 2 時 間 行 っ た 。 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン は 、 同 じ 緩 衝 液 中 で 、 振 と う 水 浴 中 、 42℃ に て 一 晩 行 っ た 。前述したようにして作ったプローブを、ベーリンガーマンハイムのランダムプライムド 標識キットを用いて標識した。一晩のハイブリダイゼーションの後、フィルターを、2倍 の SSC、 0.1% SDSで 、 室 温 に て 3 回 洗 っ た 。 増 幅 ス ク リ ー ン ( デ ユ ポ ン ) を 用 い て 、 -70℃ で コ ダ ッ ク XARフ ィ ル ム を 一 晩 照 射 し た 。 陽 性 と 推 定 さ れ る も の を プ レ ー ト か ら 取 り 出 し 、 そ し て SM緩 衝 液 中 で 4 ℃ に て 一 晩 置 い た 。 こ れ ら を 上 記 の よ う に し て プ レ ー ト に 塗 布 し 、 D N A を プ レ ー ト 溶 菌 法 ( Maniatis,T.ら 、 1982年 、 Molecular Cloning:A Laboratory Manual .,Cold Spring Harbor,N.Y.) に 従 っ 20 て 、 単 離 し た 。 5 mlの SM緩 衝 液 を ト ッ プ ア ガ ロ ー ス 層 に 加 え た 。 2 時 間 の 穏 や か な 振 と う 後 、 緩 衝 液 を 除 き 、 4 ℃ に て 、 4000rpmで 10分 間 回 し た 。 上 清 を 、 減 菌 管 に 移 し 、 RNase及 び DNasI ( 共 に 最 終 濃 度 1 μ g/ml) を 加 え 、 こ れ を 37℃ で 30分 間 保 温 し た 。 等 容 量 の 20% ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル 、 2.5M NaCl溶 液 を 加 え 、 氷 上 に 1 時 間 置 い た 。 4 ℃ に て 、 4000r pmで 30分 間 遠 心 す る こ と に よ り 、 沈 殿 し た バ イ テ リ オ フ ァ ー ジ 粒 子 が 残 っ た 。 こ れ ら を 、 500mlSM緩 衝 液 に 懸 濁 し 、 SDS( 最 終 濃 度 0.1% ) 及 び EDTA( 最 終 濃 度 5 mM) を 加 え 、 こ れ を 68℃ で 15分 間 保 温 し た 。 タ ン パ ク 質 を フ ェ ノ ー ル 抽 出 及 び ク ロ ロ フ ォ ル ム 抽 出 の 各 工 程 で除いた。ファージDNAの沈殿操作は、等量のイソプロパノールを用いて行った。ファ ー ジ D N A を 1 回 、 70% エ タ ノ ー ル で 洗 い 、 50ml Tris.HCl、 pH7.5、 1 mM EDTA緩 衝 液 に 溶解した。 30 制限酵素分析、アガロースゲル電気泳動、ゲルからニトロセルロースフィルタへのDNA の 転 移 及 び サ ザ ン ブ ロ テ ィ ン グ は 、 す べ て 、 標 準 法 ( Maniatis、 1982年 、 Molecular CLon ig; A Laboratory Manual ) に 従 っ て 行 っ た 。 プ ロ ー ブ を 用 い た ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン (後述する)は、上記のスクリーニング条件と同じ方法に従って行った。 E.ウシS1カゼインの5′フランキング領域を含むクローンの単離 3つの推定クローンを上述のプローブ及び方法を用いて同定した。もう一つの一連のスク リーニングの後、純粋な組み換えバクテリオファージを分析した。クローン化されたDN A の SalI 、 EcoRI 及 び SalI /EcoRI ( 二 重 消 化 ) に よ る 消 化 及 び 前 述 の プ ロ ー ブ を 用 い たハイブリダイゼーションは、3つのすべてのクローンにおける挿入が同一であることを 示 し た 。 挿 入 は 、 18kb( SalI で 削 除 さ れ た 、 部 分 的 Sau3A フ ラ グ メ ン ト ) か ら な っ て い 40 た 。 ク ロ ー ン の 転 写 方 向 は 、 ( 1 ) 上 述 し た プ ロ ー ブ 1 及 び ( 2 ) プ ロ ー ブ 1 の NcoI -Ns iI フ ラ グ メ ン ト を 用 い た 上 述 し た 制 限 フ ラ グ メ ン ト の ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン に よ っ て 決 定 し た 。 こ れ は 、 転 写 開 始 の 上 流 約 16kbの 領 域 を 示 し た 。 転 写 開 始 か ら 下 流 は 、 他 の 1. 9kbpで あ っ た 。 後 者 の 領 域 の 部 分 の 配 列 決 定 は 、 ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 の エ キ ソ ン 2 及 び イ ン ト ロ ン 2 の 一 部 分 の 存 在 を 示 し た 。 領 域 -103∼ +300の 追 加 の 配 列 決 定 は 、 ク ロ ー ン の 同 一 性 を 確 認 し た 。 示 さ れ た 制 限 フ ラ グ メ ン ト の 臭 化 エ チ ジ ウ ム パ タ ー ン は ま た 、 EM BLベ ク タ ー 中 の ク ロ ー ン の 配 向 を 示 し た 。 引 き 続 く 、 以 下 の 制 限 酵 素 ( NcoI , PstI , Kpn I , BamHI , HindIII , BglII ) を 用 い た ク ロ ー ン の 分 析 に よ り 、 図 3 に 示 さ れ る ウ シ S 1 カ ゼイン遺伝しの5′フランキング領域の制限地図が得られた。 F.ウシS1カゼインの3′フランキング領域を含むクローンの単離 50 (25) JP 3670003 B2 2005.7.13 5′クローンを単離するために用いられた開始のファージの塗布からの重複したニトロセ ルロースフィルターを、先に述べたのと同じハイブリダイゼーション条件を用いて、3′ αS1カゼインプローブを用いスクリーニングした。8の陽性なクローンが、2回のスク リ ー ニ ン グ の 後 同 定 さ れ た 。 フ ァ ー ジ D N A を 記 載 の よ う に し て 調 製 し た 。 続 い て 、 Sal I 、 EcoRI 及 び SalI /EcoRI を 用 い て 制 限 消 化 し 、 そ し て 3 ′ α S 1 プ ロ ー ブ を 用 い て ハ イブリダイゼーションを行ったところ、8つのクローンのうちの7つに、同一の挿入が示 さ れ た 。 18.5kb EcoRI 挿 入 を 含 む 一 つ の ク ロ ー ン を 、 制 限 酵 素 BsteII 及 び BamHI を 用 い て更に分析した。そのクローンの制限地図を図4に示す。 実施例2:ヒトラクトフェリン遺伝子のクローニング A.材料 10 制 限 エ ン ド ヌ ク レ ア ー ゼ 、 T 4 リ ガ ー ゼ 及 び T 7 ポ リ ヌ ク レ オ チ ド キ ナ ー ゼ は 、 Beringer -Mannheim,New England Biolabs又 は 、 Bethesda Research Laboratoriesよ り 得 た 。 ラ ジ オ ア イ ソ ト ー プ は 、 Amershamよ り 購 入 し た 。 バ ク テ リ オ フ ァ ー ジ λ gt11中 の ヒ ト 乳 腺 c D N A ラ イ ブ ラ リ ー は 、 Clontech Inc.,Palo Alto,Calif.よ り 得 た 。 B.ヒトラクロフェリン遺伝子の単離 ヒ ト 乳 腺 ラ イ ブ ラ リ ー を 、 標 準 プ ラ ー ク ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 方 法 ( Maniatisら 、 1982 年 、 Molecular Cloning; A Laboratory Manual ) に よ っ て 、 3 つ の 合 成 オ リ ゴ マ ー を 用 い て ス ク リ ー ニ ン グ し た 。 オ リ ゴ マ ー の 2 つ は 、 Radoら ( 上 記 ) の c D N A 配 列 と ア ミ ノ 酸 位 置 435∼ 445及 び 682∼ 691に お い て 一 致 す る 30-マ -で あ っ た 。 第 3 の も の は 、 ヒ ト コ ド ン 偏 り に 基 づ い た 21-マ -の “ 最 良 の 予 測 ” プ ロ ー ブ で あ り 、 ア ミ ノ 酸 残 基 18か ら 24の 間 H L 20 Fのアミノ酸配列をコードした。それぞれは 30 プ ロ ー ブ を 放 射 線 標 識 し ( Crouseら 、 1983年 、 Methods Enzynol .、 第 101巻 、 第 78∼ 98頁 )、そして重複フィルターをスクリーニングするために用いた。フィルターを最後に厳格 に 2 倍 の SSC、 37℃ に て 洗 浄 し た 。 C.ヌクレオチド配列分析 D N A フ ラ グ メ ン ト を 、 低 融 点 ア ガ ロ ー ス を 用 い て 単 離 し ( Crouseら 、 上 記 ) そ し て 、 バ ク テ リ オ フ ァ ー ジ M13mp18又 は M13mp19( Messingら 、 1983年 、 Method Enzymol .、 第 101巻 、 第 20∼ 78頁 ) 中 へ サ ブ ク ロ ー ン 化 し た 。 配 列 は 、 シ ー ク エ ナ ー ゼ 酵 素 ( 修 飾 さ れ た T 7 D N A ポ リ メ ラ ー ゼ ) ( Taborら 、 1987年 、 Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 、 第 84巻 、 第 4767 ∼ 4711頁 ) を 用 い て 決 定 し た 。 全 て の 反 応 を 、 製 品 仕 様 書 ( US Biochemiclas) に 従 っ て 行 っ た 。 配 列 を 図 1 に 示 す 。 h L F 配 列 を 、 HindIII 及 び EcoRI ( フ ァ ー ジ 配 列 の 周 囲 に 40 存 在 ) を 用 い て 消 化 し 、 そ し て p U C 19の HindIII 及 び EcoRI 部 位 中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 し 、 p U S 1 19Lacto4.1を 形 成 し た 。 こ の ク ロ ー ン は 、 成 熟 し た 形 の h L F の 無 傷 な コ ー テ ィング配列を含むが、完全なシグナル配列を欠いている。 実施例3:ウシαS1カゼインCATベクターの構築 実施例1で得られたαS1カゼインフラグメントが、異種遺伝子を発現するために必要と されるプロモーター及び他の性質を有するか否かを決定するために、αS1カゼイン遺伝 子からの種々の量の5′及び3′フランキング領域を含む発現プラスミドを構築した。ク ロラムフェニコールアセチルトランスラーゼ遺伝子(CAT)をこれらのベクター構築物 中に異種遺伝子として用いた。CAT遺伝子は、通常哺乳類細胞中には存在せずかつ、発 現 可 能 遺 伝 子 を 含 む 細 胞 又 は 動 物 中 で 定 量 さ れ う る 検 出 容 易 な 酵 素 活 性 ( Gorman,C.N.ら 50 (26) JP 3670003 B2 2005.7.13 、 1983年 、 Mol.Cell.Biol .、 第 2 巻 、 第 1044∼ 1051参 照 ) を 与 え る の で 、 異 種 遺 伝 子 構 築 物の発現レベルを検出するために有用である。 A.DNA配列 681bpの α S 1 カ ゼ イ ン プ ロ モ ー タ ー + 最 初 の 非 コ ー デ ィ ン グ エ キ ソ ン + 約 150bpの 最 初 の 介在配列(IVS)を、PCR増幅により、実施例1の5′フランキングゲノムクローン か ら 、 NcoI − HindIIIフ ラ グ メ ン ト ( 約 830bp) と し て 単 離 し た 。 こ の フ ラ グ メ ン ト は 、 図5Aのフラグメント1と同定された。プライマー配列は 10 及び から成り、 そ れ ら は 、 Yu-Leeら 、 1986年 、 Nuc.Acids Res .第 14巻 、 第 1883∼ 1902頁 に よ り 発 表 さ れ た 配列から設計された。 α S 1 カ ゼ イ ン 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 の 約 1.6kb( フ ラ グ メ ン ト 2 、 図 5 A ) を 、 P C R 増幅により、実施例1のウシ3′フランキングゲノムクローンから単離した。この領域は 、αS1カゼイン遺伝子の3′非翻訳領域中の前述したスプライスを含んでいた。フラグ 20 メ ン ト 2 を p U C 19の S m a I 部 位 中 へ サ ブ ク ロ ー ン 化 し た 。 プ ラ イ マ ー 配 列 は 、 及び から成り、 そ れ ら は 、 Stewartら 、 1984年 、 Bucl.Acids.Res. 、 第 12巻 、 第 3895∼ 3907頁 ) に よ り 発 表 30 された配列から設計された。 免 疫 グ ロ ブ リ ン 遺 伝 子 ( Bothwellら 、 1981年 、 Cell 、 第 24巻 、 第 625∼ 637頁 ) の 3 ′ ス プ ライス部位を含むハイブリッドスプライスシグナルは、合成的に調製され、両端に位置す る 、 ユ ニ ー ク 制 限 部 位 と と も に p U C 18中 に 挿 入 さ れ 、 p M H -1 を 製 造 し た 。 こ の プ ラ ス ミ ド を 図 6 に 示 す 。 NcoI 及 び HindIII部 位 は ウ シ 5 ′ ゲ ノ ム ク ロ ー ン か ら の フ ラ グ メ ン ト 1 と の 連 結 が 、 機 能 的 な ハ ウ リ ッ ド ス プ ラ イ ス 配 列 を 生 じ る よ う に 設 計 さ れ た 。 図 11参 照。 ポ リ ア デ ニ ル 化 配 列 は 、 S V 40ウ ィ ル ス よ り 、 pRSVcat( Gorman,C.M.ら 、 1982年 、 Proc.N atl.Acad.Sci .、 第 79巻 、 第 6777∼ 6781頁 ) か ら 単 離 さ れ た BamHI -DraI フ ラ グ メ ン ト ( 図5A中のフラグメント3)として得られた。 40 細 菌 C A T コ ー テ ィ ン グ 配 列 を 、 PstI -BamHI フ ラ グ メ ン ト と し て pUC19中 へ サ ブ ク ロ ー ン化した。 B.pS13′5′CATの構築 α S 1 カ ゼ イ ン プ ロ モ ー タ ー の フ ラ グ メ ン ト 1 を 、 NcoI 及 び HindIII部 位 の 間 に て 、 pMH1( 図 6 ) 中 へ サ ブ ク ロ ー ン 化 し 、 pMHS15′ フ ラ ン ク を 形 成 し た 。 SV40ポ リ ア デ ニ ル 化 配 列 ( フ ラ グ メ ン ト 3 ) を 、 BamHI -DraI フ ラ グ メ ン ト と し て pUC19 中に、3′αS1カゼインフランキング配列(フラグメント2)に対して3′側のすぐの と こ ろ に サ ブ ク ロ ー ン 化 し 、 pUC193′ UTR/SV40を 形 成 し た 。 こ れ は 、 pMH-1中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 さ れ て pMHS13′ UTR( 図 5 B ) を 派 生 す る ( 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 及 び ポ リ ( A ) 配 列 を 含 む ) 連 続 的 EcoRI -SalI フ ラ グ メ ン ト の 除 去 を 可 能 と し 、 該 pMHS13′ UTRは 、 後 50 (27) JP 3670003 B2 2005.7.13 に ヒ ト ラ ク ト フ ェ リ ン を エ ン コ ー ド す る 配 列 を 含 む pMHSI 3′ UTRhlfを 構 築 す る た め に 用 いられる。 EcoRI -SalI 配 列 ( フ ラ グ メ ン ト 2 及 び 3 ) を 、 pMHS15′ フ ラ ン ク の EcoRI -SalI 部 位 中 へ サ ブ ク ロ ー ン 化 し 、 pS13′ 5′ フ ラ ン ク を 形 成 し た 。 ク レ ノ ウ を 用 い て BamHI 部 位 を ブ ラ ン ト 化 ( blunting) し た の ち 、 PstI -BamHI C A T フ ラ グ メ ン ト ( 図 5 B 中 の フ ラ グ メ ン ト 4 ) を 、 PstI 及 び SmaI 部 位 の 間 に て 、 pS13′ 5 ′ フ ラ ン ク ( 図 5 B ) 中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 し 、 pS13′ 5′ C A T を 形 成 し た 。 C . pS15′ C A T の 構 築 C A T フ ラ グ メ ン ト ( 図 5 B の フ ラ グ メ ン ト 4 、 PstI -BamHI ) 及 び SV40ポ リ ア デ ニ ル 化 フ ラ グ メ ン ト ( 図 5 A の フ ラ グ メ ン ト 3 、 BamHI -DraI ) を 、 pMHS15′ フ ラ ン ク の PstI 10 及 び SmaI 部 位 中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 し 、 pS15′ C A T ( 図 5 C ) を 形 成 し た 。 D.CAT生産の検定 こ れ ら の C A T プ ラ ス ミ ド の そ れ ぞ れ を 、 リ ン 酸 カ ル シ ウ ム 共 沈 降 法 ( Gorman,C.M.ら 、 1 983年 、 Science、 第 221巻 、 第 551頁 ; Graham,F.L.ら 、 1973年 、 Virology、 第 52巻 、 第 456 ∼ 467頁 ) に よ り ヒ ト 293S細 胞 ( Graham,F.L.ら 、 1977年 、 J.Gen.Virol .、 第 36巻 、 第 59∼ 72頁 ) 中 へ ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 。 ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン の 44時 間 後 に 細 胞 を 集 め 、 そ し て 細 胞 抽 出 物 を 、 C A T 活 性 に つ い て 検 定 し た ( Gorman,C.M.ら 、 1982年 、 Mol.Cell.Biol .、 第 2 巻 、 第 1011頁 ; de Crombrugghe,B.ら 、 1973年 、 Nature [London]、 第 241巻 、 第 237 頁 ∼ 251頁 、 Nordeen,S.K.ら 、 1987年 、 DNA 、 第 6 巻 、 第 173∼ 178頁 に よ っ て 改 良 さ れ た 方 法 ) 。 サ イ ト メ ガ ロ ウ ウ ィ ル ス イ ミ デ ィ エ イ ト ( Immediate) 初 期 プ ロ モ ー タ に よ っ て 促 20 進 さ れ た C A T を 発 現 す る 対 照 プ ラ ス ミ ド ( Boshart,M.ら 、 1985年 、 Cell 、 第 41巻 、 第 52 1頁 ) を 、 ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 効 率 を 検 定 す る た め に ヒ ト 293S細 胞 中 へ ト ラ ン ス フ ェ ク トした。 pS13′ 5′ C A T は 、 こ れ ら の 細 胞 中 で 対 照 プ ラ ス ミ ド の 約 30∼ 100分 の 1 の レ ベ ル で 発 現 されたが、バックグランドよりは著しく高かった。プライマー伸長分析は、転写が、予期 された領域中で主に開始しているということを示した。 pS15′ C A T が 、 293S細 胞 中 に ト ラ ン ス フ ェ ク ト さ れ た 場 合 も ま た 、 発 現 が 検 出 さ れ た 。 実 施 例 4 : ウ シ α S I カ ゼ イ ン / ヒ ト ラ ク ト フ ェ リ ン 発 現 コ ス ミ ド cGP1H L F A.DNA配列の構築 実 施 例 1 の 16kbウ シ α S 1 カ ゼ イ ン 5 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 を 、 SalI -BglIIフ ラ グ メ ン ト 30 と し て ウ シ ゲ ノ ム ラ イ ブ ラ イ ー ( フ ァ ー ジ GP1) か ら 単 離 し た 。 BglII部 位 は 、 α S 1 カ ゼ イン遺伝子の最初のイントロン及び第2のエキソンの結合部にある。 ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン シ グ ナ ル 配 列 ( Stewartら 、 1984年 、 Nucl.Acid.Res. 、 第 12巻 、 第 389 5頁 ) は 、 Cyclone Plus D N A シ ン セ サ イ ザ ー ( Millgen/Biosearch I ) 上 で 合 成 し た 合 成 D N A か ら 調 製 し 、 無 傷 の ス グ ナ ル 配 列 + 5 ′ 末 端 に 結 合 し た XhoI 及 び ClaI 部 位 、 及 び 3 ′ 末 端 に 結 合 し た NaeI 部 位 を 含 む ( フ ラ グ メ ン ト 8 、 図 7 B ) 。 EaeI を 用 い て の pUC119Lacto4.1の 切 断 は 、 成 熟 h L F の 最 初 の ア ミ ノ 酸 の た め の コ ド ン の場所において、正確にプラスミドを開環した。クレノウによる処理を、オーバーハンギ ン グ 5 ′ 末 端 を 満 た す た め に 用 い た 。 更 に AccI 及 び EcoRI を 用 い た 切 断 は 、 2 つ の フ ラ グ メ ン ト ( a ) 成 熟 h L F の 最 初 の 243bpを 含 む EaeI -AccI フ ラ グ メ ン ト ( フ ラ グ メ ン ト 40 5、図7C)及び(b)残りのコーディング配列の5つの末端コドン以外のすべてを含む 1815bpの 近 接 AccI -EcoRI フ ラ グ メ ン ト ( フ ラ グ メ ン ト 6 、 図 7 C ) を 与 え た 。 EcoRI 部 位 か ら 始 ま り 、 停 止 コ ド ン を 4 塩 基 超 え て 伸 び て い る h L F の 最 後 の 5 つ の コ ド ン を 含 む 合 成 リ ン カ ー を 調 製 し た 。 KpnI 部 位 を 3 ′ 末 端 に 加 え た ( 図 7 C 中 の フ ラ グ メ ント7)。 α S 1 カ ゼ イ ン の コ ー テ ィ ン グ 領 域 の す ぐ 下 流 か ら 始 ま る 配 列 及 び 5 ′ 末 端 か ら 約 350bp の と こ ろ に BstEII部 位 を 含 む 8.5kbの EcoRI 3′ フ ラ グ メ ン ト を 、 ウ シ ゲ ノ ム ラ イ ブ ラ イ ー か ら 単 離 し た ( 図 4 ) 。 こ の フ ラ グ メ ン ト を 、 EcoRI 部 に お い て pMH-1中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 し て pMH3′ E10を 形 成 し た ( 図 7 A ) 。 SalI 部 位 は 、 pMH3′ E10の 3′ EcoRI 部 位 に 隣 接 している。 50 (28) JP 3670003 B2 2005.7.13 B.cGP1HLFの構築 h L F 3 ′ リ ン カ ー ( フ ラ グ メ ン ト 7 、 図 7 C ) を 、 pMH3′ UTR( 図 7 A ) の EcoRI − Kpn I 部 位 中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 し て 、 pMH3′ UTRhLF2リ ン カ ー ( 図 7 A ) を 製 造 し た 。 次 い で 、 合 成 ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン シ グ ナ ル 配 列 ( フ ラ グ メ ン ト 8 ) を pMH3′ UTRhLF2リ ン カ ー の XhoI 及 び SmaI 部 位 中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 し て 、 pS13′ hLF1/2L( 図 7 B ) を 作 成 し た。 2 つ の h L F コ ー デ ィ ン グ フ ラ グ メ ン ト ( 図 7 C 中 の フ メ ン ト 5 及 び 6 ) を pS13′ hLF1/2 L( 図 7 B ) の NaeI 及 び EcoRI 部 位 中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 し て pS13′ UTRhLF( 図 7 C ) を 作 成した。 pMH3′ E10( 図 7 A ) か ら の 巨 大 な α S 1 カ ゼ イ ン 3 ′ U T R フ ラ グ メ ン ト を BstEII-Sal 10 I フ ラ グ メ ン ト と し て 単 離 し 、 そ し て pS13′ UTRhLFの 同 じ 部 位 中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 し て 、 phLF3′ 10kb( 図 7 D ) を 形 成 し た 。 コ ス ミ ド cGP1HLFを 3 系 連 結 ( 3-way ligation) ( 図 7 F ) か ら 調 製 し た : ( 1 ) フ ァ ー ジ G P 1 ( 実 施 例 1 、 図 3 ) か ら の 16kbの 5 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 を 2 つ の リ ン カ ー ア ダ プ タ ー を 結 合 す る こ と に よ っ て 修 飾 し た 。 5 ′ 末 端 の SalI 部 位 を 、 NotI -S a l I リ ン カ ー に 連 結 さ せ た 。 3 ′ 末 端 の BglII部 位 を BglII-XhoI リ ン カ ー に 連 結 さ せ た ; ( 2 ) 5 ′ 末 端 が α S 1 カ ゼ イ ン シ グ ナ ル 配 列 に よ り 及 び 3 ′ 末 端 が 約 8.5kbの α S 1 カ ゼイン3′フランキング配列により隣接されたhLFコーディング領域を、phLF3′ 10kbか ら XhoI -SalI フ ラ グ メ ン ト と し て 単 離 し た 。 5 ′ 末 端 の SalI 部 位 を SalI -NotI 20 リンカーに連結させた; ( 3 ) コ ス ミ ド pWE15( Stratagene,Inc.) は 、 NotI を 用 い て 直 線 状 と し た 。 (a)、(b)及び(c)からのフラグメントを互いに連結させ、市販のラムダパッケー ジ ン グ 抽 出 物 ( Stratagene,Inc.) を 用 い て 、 細 菌 中 へ ト ラ ン ス フ ェ ク ト し 、 cGP1HLFを 製 造した。 実施例5:ウシαS1カゼイン/hLF発現プラスミド A . pS13′ 5′ hLFの 構 築 pS13′ UTRhLFの HindIII-SalI フ ラ グ メ ン ト を 、 pMHS15′ フ ラ ン ク 中 の 同 じ 部 位 中 に サ ブ ク ロ ー ン 化 し て 、 pS13′ 5′ hLF( 図 7 E ) を 作 っ た 。 こ の プ ラ ス ミ ド は 、 681bpの ウ シ α カゼインプロモーター配列、αS1カゼイン/IgGハイブリットイントロン、αS1カ 30 ゼ イ ン シ グ ナ ル 配 列 、 h L F コ ー デ ィ ン グ 領 域 、 約 1.6kbの α S 1 カ ゼ イ ン 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 及 び S V 40後 期 領 域 ポ リ ア デ ニ ル 化 配 列 を 含 む 。 B . pS15′ hLF プ ラ ス ミ ド pS13′ 5′ hLF( 図 7 E ) を 、 α S 1 カ ゼ イ ン の 1.6kbの 3′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 に 隣 接 す る KpnI 及 び BamHI で 切 断 し た 。 比 較 的 大 き な ベ ク タ ー フ ラ グ メ ン ト を 精 製 し て 、 ク レ ノ ウ で ブ ラ ン ト 末 端 と し 、 そ し て 自 己 連 結 に よ り pS15′ hLFを 形 成 し た 。 C . hLFの ラ ジ オ イ ム ノ ア ッ セ イ ウシ又はマウスのタンパク質に交叉反応しない、ヒトラクトフェリンに対するモノクロー ナ ル 抗 体 の 腹 水 液 の 免 疫 グ ロ ブ リ ン に 富 ん だ 分 画 を 、 50% 硫 安 沈 殿 に よ り 調 製 し て 、 CNBr -活 性 化 セ フ ァ ロ ー ス 4 B に 結 合 さ せ た ( 1 g の セ フ ァ ロ ー ス に 対 し て タ ン パ ク 質 20mg) 40 。 セ フ ァ ロ ー ス ビ ー ズ を 10mM EDTA、 0.1% ( w/v) ポ リ ロ レ ン 及 び 0.02% ( w/v) NaN 3 を 含 む リ ン 酸 塩 緩 衝 塩 類 溶 液 ( PBS;10mMリ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 、 0.14M NaCl) 、 pH7.4に 懸 濁 し た ( 2mg/ml) 。 セ フ ァ ロ ー ス 懸 濁 液 ( 0.3ml) を 、 2 mlの ポ リ ス チ レ ン 管 中 に 試 料 ( 通 常 50 μ l) と 共 に 入 れ て 、 垂 直 方 向 ( head-over-head) 回 転 に よ っ て 室 温 に て 5 時 間 保 温 し た 。 次 い で 、 セ フ ァ ロ ー ス ビ ー ズ を 生 理 食 塩 水 で 洗 い ( 1.5mlで 5 回 ) 、 0.5mlの PBS、 0.1% ( w/v) の ト ゥ イ ー ン − 20と と も に 、 50μ l( 1kBq) の 125 I−標識アフィニティー精製し た ポ リ ク ロ ー ナ ル ウ サ ギ 抗 ヒ ト ラ ク ト フ ェ リ ン 抗 体 と い っ し ょ に し て 16時 間 室 温 に て 保 温 し た 。 そ の 後 、 セ フ ァ ロ ー ス を 再 び 生 理 食 塩 水 で 洗 い ( 1.5mlで 4 回 ) 、 結 合 さ れ た 放 射 能を測定した。結果は、加えた標識した抗体の結合%として表わした。試料中のラクトフ ェ リ ン の レ ベ ル は 、 標 準 と し て 精 製 し た ヒ ト ミ ル ク ラ ク ト フ ェ リ ン ( PBS,10mM EDTA,0.1 50 (29) JP 3670003 B2 2005.7.13 % ( w/v) ト ゥ イ ー ン 20で 一 連 の 希 釈 ) を 用 い て 、 ナ ノ モ ル で 表 わ し た 。 別々の機会における標準のくり返しの試験より、このRIAは非常に再現性がよく、変動 の 内 部 及 び 相 互 ( inter) 検 定 係 数 は 、 5 ∼ 10% の 範 囲 で あ っ た こ と が 示 さ れ た 。 0.1ナ ノ グラムと少ないヒトラクトフェリンもこのRIAにより容易に検出されうる。 D . 293S細 胞 中 で の 発 現 293S細 胞 に 、 上 述 の h L F プ ラ ス ミ ド を ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た ( ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 効 率 の た め の 対 照 と し て 1 μ gの C M V − C A T プ ラ ス ミ ド を コ ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た ) 。 ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン の 44時 間 後 に 、 培 地 を 細 胞 か ら 除 去 し 、 上 記 の よ う に し て h L F の 検 定 を し 、 R N A を Strykerら 、 1988年 、 EMBO J. 、 第 8 巻 、 第 2669の 記 載 の よ う に し て 単 離した。結果は以下のように要約される: 10 1.トランスフェクション効率は、2つのhLFプラスミドで同じであった; 2.hLFは細胞中で発現されて、培地中へ分泌された。いずれの場合でも、そのレベル 6 は 、 約 3 × 10 細 胞 を 用 い て 約 0.4μ g/ml培 地 で あ る ; 3.タンパク質は、用いた試料の関数として、結合された 125 1−抗ラクトフェリンの量 を測定する投与量−応答検定においてヒトミルク試料中でhLFと同じに挙動する。 4.タンパク質は、ウエスタンブロッティングによって判断すると、ヒトミルク中のもの と は ほ ぼ 同 じ 大 き さ ( 80kb) を 有 し て い る 。 5.細胞中で製造されるhLFRNAは、正しい大きさを有しており、そのレベルは、ノ ーザンブロッティングによて判断すると、いずれのプラスミドも類似であった。 これらのデータは、これらの2つの発現プラスミドがhLFを発現できるということを示 20 している。今までのところ用いたすべての標準によると、タンパク質は、ヒトミルク中に 存在するhLFと同じである。異種シグナル配列は、細胞から培地中へのタンパク質の分 泌を促進する機能を果たす。更にこれらのプラスミドに用いられたカゼイン調節配列は、 異種遺伝子の発現を促進できる。 実施例6:ウシ卵母細胞のインビトロ成熟、受精及び培養 未 成 熟 卵 母 細 胞 は 、 畜 殺 場 で 得 た 卵 巣 の 卵 炉 胞 を 吸 引 す る こ と に よ り 大 量 に 得 ら れ る ( 40 0∼ 500/day) 。 未 成 熟 卵 母 細 胞 が 受 精 を 受 け る 能 力 を も つ ま で 、 そ れ を あ る 期 間 イ ン ビ ト ロで培養する。“成熟化”するとすぐに、卵母細胞は、すでに成熟されているか又はイン ビトロで“受精能獲得した”精子によって受精される。次いで、受精卵母細胞の前核に、 ヒトラクトフェリンの発現及び分泌をエンコードするトランスジーンを注入する。次いで 30 、このインビトロの受精及びマイクロインジェクションにより得られた接合体は、調製さ れた又は卵管組織によって、“順化された”培地中で後期桑実胚又は胚盤胞段階まで培養 される(5∼6日)。次いで、胚盤胞は、残りの妊娠のために宿主ウシに非外科手術的に 移入されるか、又は本明細書中に記したトランスジーンの組み込みについて分析される。 インビトロ成熟(IVM) 卵巣を、地元の畜殺場でと殺の直後に得て、卵母細胞を回収する。或いは、卵母細胞は、 生きているウシより、外科手術、エンドスコープ又は、経膣超音波方法により得られる。 す べ て の 場 合 に お い て 、 卵 母 細 胞 は 、 卵 巣 の 卵 炉 胞 ( 直 径 2 ∼ 10mm) よ り 吸 収 さ れ る 。 洗 浄 後 、 卵 母 細 胞 を 、 10% 牛 胎 児 血 清 が 補 わ れ た M199か ら 成 る 成 熟 培 地 中 に 置 き 、 39℃ で 24 時 間 培 養 し た 。 Sirardら 、 1988年 、 Biol.Reprod.、 第 39巻 、 第 546∼ 552頁 。 40 インビトロ受精成熟(IVF) 成熟した卵母細胞を、新鮮な又は解凍された精子で受精させる。精子は、第一に“泳ぎの ぼ る ( swim-up) ” 分 離 方 法 ( Parrishら 、 1986年 、 Theriogenology 、 第 25巻 、 第 591∼ 600 頁)により、自動力に富んだ精子の集団を得ることによって、受精のために調製される。 次 い で 、 自 動 力 の あ る 精 子 を 、 精 子 の 受 精 能 獲 得 を 引 き 起 こ す ヘ パ リ ン を 補 な っ た 修 飾 Ty rode溶 液 ( Parrishら 、 1986年 、 上 記 ) か ら 成 る 受 精 培 地 に 加 え る ( Parrishら 、 1988年 、 Biol.Reprod .、 第 38巻 、 第 1171∼ 1180頁 ) 。 受 精 能 獲 得 は 、 受 精 に 必 須 の 最 終 の 精 子 成 熟 プ ロ セ ス の 一 部 を 成 す 。 精 子 及 び 卵 母 細 胞 を 18時 間 、 共 培 養 ( co-culture) す る 。 こ の I VF方法の有用な特徴は、(解凍した精子の場合でも)特定の精液のための最適な受精条 件 が 、 い っ た ん 最 適 に さ れ れ ば 、 安 定 し た 再 現 性 の あ る 結 果 が 得 ら れ る こ と で あ る 。 ( Pa 50 (30) JP 3670003 B2 2005.7.13 rrishら 、 1986年 、 上 記 ) 。 インビトロ培養(IVC) マ ウ ス 、 ウ サ ギ 又 は ヒ ト の 卵 の 発 生 を 支 持 す る 慣 用 の 培 養 系 は 、 8 ∼ 16細 胞 段 階 を 過 ぎ た ウシ胚の発達は支持しない。この問題は、卵管組織で前もって条件化された培地によって 克 服 さ れ た 。 卵 管 − 条 件 化 さ れ た 培 地 は 、 イ ン ビ ト ロ で 8 ∼ 16細 胞 段 階 を 過 ぎ た ウ シ 胚 を 胚 盤 胞 段 階 ま で 支 持 す る 。 ( Eyestoneと First、 1989年 、 J.Reprod.Fert .、 第 85巻 、 第 715 ∼ 720頁 ) 。 ウシ胚は、インビトロ培養に対して無反応であると証明された。このことは部分的に、8 ∼ 16細 胞 段 階 に お い て イ ン ビ ト ロ で の 分 割 に 対 す る “ ブ ロ ッ ク ” の 存 在 か ら 起 る 。 こ の ブ ロ ッ ク は 、 ウ サ ギ ( Bolandに よ る レ ビ ュ ー 、 1984年 、 Theriogenology 、 第 21巻 、 第 126∼ 1 10 37頁 ) 又 は ヒ ツ ジ ( Willadeen、 1982年 、 Mammalian Egg Transfer( E.Adams編 、 第 185∼ 2 10頁 ) ; Eyestoneら 、 1987年 、 Theriogenology 、 第 28巻 、 第 1 ∼ 7 頁 ) の 卵 管 中 で 胚 を 培 養することにより、軽減されうる。しかしながら、これらのインビボでの代わりの方法は 、理想より低いものであった。そこでは(1)それらは、大多数の宿主動物の維持を必要 とする。(2)それらは、移入のために卵管に接近するための外科手術及び胚を回収する ための第2の外科手術(又は犠牲)を必要とする。(3)すべての移入された胚は、ほと んど回収されない。そして(4)観察又は処理のための培養の間での胚への接近は全く不 可能である。インビトロ培養系が無いことは、ウシの発達のタイムテーブル及び個体発生 の基礎的情報の蓄積を妨げ、そして、非外科的胚移送及び冷凍保存技術と適合する段階( 例えば、後期胚盤胞段階)へと胚を培養する方法を複雑化することにより様々な操作技術 20 (例えば前核注入による遺伝子移送)の開発を阻止している。 胚 を 栄 養 膜 組 織 と 共 培 養 し た 場 合 に 216細 胞 ま で 分 割 さ れ る と い う こ と を Cowanら 、 ( 1984 年 、 J.Reprod.Fert .、 第 72巻 、 第 470∼ 485頁 ) が 論 証 す る ま で 、 ウ シ 胚 を イ ン ビ ト ロ で 8 ∼ 16細 胞 の “ ブ ロ ッ ク ” 過 ぎ ま で 培 養 す る と い う 試 み は 成 功 し な か っ た 。 共培養方法は、同種又は異種卵管が接合体から胚盤胞への発生を支持するという能力に基 づいて卵管組織にまで拡げられた。このように、卵管組織と共培養された又は卵管組織に よって順化された培地中で培養されたウシ胚は、インビトロで接合体から胚盤胞へと発生 し た ( Eyestoneと First、 1989年 、 J.Reprod.Fert .、 第 85巻 、 第 715∼ 720頁 ; Eyestone W. H.、 1989年 、 “ イ ン ビ ボ 及 び イ ン ビ ト ロ で の 初 期 ウ シ 胚 の 発 生 に 影 響 す る 因 子 ” 、 ph.D.T hesis,Wisconsin大 学 ) 。 胚 盤 胞 は 、 こ の 系 で 、 過 排 卵 及 び 人 工 授 精 の 後 、 又 は 未 成 熟 卵 30 母細胞のインビトロ成熟(IVM)及び授精(IVF)により製造された。この方法によ って製造された胚盤胞は、宿主動物に移入された後妊娠を引き起こし、子牛を生み出した 。得られた結果は以下の通りである: 40 そ れ 故 、 初 め の 毎 日 の 500卵 母 細 胞 の 収 集 か ら 、 約 55の 妊 娠 が 生 じ る と 期 待 さ れ る 。 卵管組織の共培養及び順化培地の調製 1.と殺後又は、卵管排除によってウシ卵管を得る。 2.無傷の卵管を穏やかにガラススライドでこすることにより管腔組織を集める。 3 . 10mlの 修 飾 チ ロ デ ス ( tyrodes) ヘ ペ ス 溶 液 ( Parrishら 、 1988年 、 Biol.Reprod .、 第 38巻 、 第 1171∼ 1180頁 ) で 組 織 を 5 回 洗 浄 す る 。 4 . 最 終 の 組 織 ペ レ ッ ト を 、 M 199( 10% 牛 胎 児 血 清 を 追 加 ) 中 に 、 組 織 1 容 量 : 培 地 50 容量の比で懸濁した。 5.組織懸濁液を胚共培養のために用いることができる。 50 (31) JP 3670003 B2 2005.7.13 6 . 或 い は 、 培 地 を 48時 間 順 化 し て 、 懸 濁 液 を 遠 心 し た の ち 、 上 清 を 胚 培 養 培 地 と し て 用 い る こ と が で き る 。 順 化 培 地 は 、 所 望 に よ り -70℃ で 保 存 さ れ う る 。 順 化 培 地 は 、 胚 培 養 の た め に そ の ま ま で 用 い ら れ る べ き で あ る ( 希 釈 な し で ) ( Eyestone、 1989年 、 同 書 ) 実施例7:ウシ卵前核中へのhLFトランスジーンのマイクロインジェクション hLF発現単位を含むDNAフラグメントを適当な制限酵素で消化することによりベクタ ーから切り出して、アガロースゲル上で分離した。フラグメントを電気溶出、フェノール 及 び ク ロ ロ ホ ル ム 抽 出 、 及 び エ タ ノ ー ル 沈 降 ( Maniatisら ) に よ り 精 製 し た 。 D N A フ ラ グ メ ン ト を 、 1 ∼ 2 μ g/mlの 濃 度 に て 、 10mMtris、 0.1mM EDTA、 pH7.2に 溶 解 し 、 そ し て その溶液で透析する。マイクロインジェクション針を透析したDNA溶液で満たす。 インビトロ授精前に、最大スピードで2分間、ボルテックスにかけるか、又は標準マイク 10 ロピペット中で、数回上下にピペッティングすることのいずれかにより卵丘細胞を卵から 除去する。前核を見えるようにするための遠心工程を加え、ウシ前核(引用例でいうマウ ス 前 核 と し て ) は 注 入 さ れ る ( Mogan,B.ら 、 1986年 、 マ ウ ス 胚 の 操 作 、 Cold Spring Harb or Laboratory) 。 注 入 は 、 受 精 の 18∼ 24時 間 後 に 行 っ た 。 時 間 は 、 精 液 の 供 給 源 と し て 用いた雄牛に依存して変化する。精液の異なる処理単位は、異なる時間において、核を可 視化させた。 インビトロで成熟されそして受精されたウシ卵母細胞をエッペンドルフチューブ中で、チ ロ デ ス ヘ ペ ス 溶 液 ( Parrish、 1987年 ) 1ml中 に て 、 14,500gで 8 分 間 回 し た ( Wallら 、 198 5年 、 Biol.Reprod .、 第 32巻 、 第 645∼ 651頁 ) 。 胚 を 、 パ ラ フ ィ ン オ イ ル で 覆 っ た 顕 微 鏡 スライド上の一滴のチロデスヘペス溶液の滴に移入した。液圧系を用いて、前核がともに 20 見れるようにして卵母細胞を卵ホルダーに固定した(干渉−コントラスト又は相−コント ラスト光学系を用いた。)必要であれば、卵母細胞をころがし、卵ホルダー上での位置を 変え、前核を見えるようにする。注入針を、前核の一つの同じはっきりした焦点の中へ持 っていく。次いで、針は、透明帯、細胞質体を通され、前核中へ進められる。DNA溶液 の、針の外への一定の流れ又はパルス流れ(スウィッチを用いる)のいずれかにより1∼ 3 p1の 少 量 が 、 前 核 中 に 注 入 さ れ る ( 20∼ 100D N A コ ピ ー を 含 む ) 。 或 い は 、 2 細 胞 段 階の胚を、記載の如く回し、両割球の核は、記載の如く、注入される。次いで、注入され た胚は、桑実胚又は胚盤胞段階へ発生させるために実施例6に記載の如く、共培養培地の 一滴へ移入される。 実施例8:hLFトランスジーンでのトランスジェネシスの初期検出 30 構築物をマイクロインジェクションした後、卵母細胞を培養した。それぞれの胚の適した 部 位 を 割 り 、 そ し て 溶 解 ( King,D.ら 、 1988年 、 Molecular Reproduction and Developmen t 、 第 1 巻 、 第 57∼ 62頁 ) 、 タ ン パ ク 質 の 加 水 分 解 ( Higuchi R.、 1989年 、 “ 増 幅 ( P C Rユーザーのためのフォーラム)、第2巻、第1∼3頁)及びDPNI消化を行った。P CRは、2つのプライマー(1つはαS1cDNA配列中、他はhLFcDNA配列中) の セ ッ ト を 用 い て 前 述 の よ う に し て ( Ninomiy,T.ら 、 1979年 、 Molecular Reprod.and Dev el. 、 第 1 巻 、 第 242∼ 248頁 ) を 行 っ た 。 例 え ば 、 P C R 中 で 、 前 進 プ ラ イ マ ー ( 30mer) αS1配列は、 40 そ し て 、 h L F 配 列 中 の 逆 行 プ ラ イ マ ー ( 30mer) は 、 ( 図 1 の 971∼ 1,000) 、 で あ り 、 990bpフ ラ グ メ ン ト が 作 ら れ る 。 こ の フ ラ グ メ ン ト は 、 前 進 プ ラ イ マ ー の 開 始 か ら 934bp離 れ た と こ ろ に 、 ア デ ノ シ ン − メ チ ル 化 の 欠 失 の た め に 今 の と こ ろ 不 活 性 な 、 DpN I部位を含む。 実施例9:ウシ種ミルク中でのhLFの製造 50 (32) JP 3670003 B2 2005.7.13 マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク ト さ れ た 卵 母 細 胞 か ら 発 生 し た ウ シ 桑 実 胚 を Donahue( Donahue,S.、 1 986年 、 Genetic Engineering of Animals ,J.Warren Evansら 編 、 Plenum) の 方 法 に 従 っ て 、割る。桑実胚の半分を胚盤胞へと発生させるために培養する。他の半分は、実施例8に 記載の如く、DNA分析に付す。この分析の結果が判った時には、培養に置かれた桑実胚 は、胚盤胞へと発生しているか又は脱核接合体への核移入の供給源となる。同期させた乳 牛 中 へ の 胚 盤 胞 の 移 入 は 、 Betteridgeの 方 法 ( Betteridge,K.J.、 1977年 ; 農 場 動 物 の 胚 移入、技術及び適応のレビュー)に従って行った。 hLFは、実施例5のRIAを用いて、乳分泌トランスジェニック子孫のミルク中に検出 された。 実 施 例 10: ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン / h S A 発 現 プ ラ ス ミ ド 10 完全なhSA遺伝子を含む3つのオーバーラップファージクローンをhSAの発現ベクタ ーの構築のために用いた。それらは、消化されたλHAL−HA1、λHAL−3W及び λ H A L − H 14で あ る 。 そ れ ら は 、 Uranoら 、 1986年 、 J.Biol Chem .、 第 261巻 、 第 3244∼ 3251頁 及 び Uranoら 、 1984年 、 Gene 、 第 32巻 、 第 255∼ 261頁 に 記 載 さ れ て い る 。 遺 伝 子 及 び 周 辺 領 域 の 配 列 は 、 Minghettiら 、 1986年 、 J.Biol.Chem .、 第 261巻 、 第 6747∼ 6757頁 に 発表されている。完全なhSA遺伝子を含む単一のファージは、以下のようにして構築さ れた: ク ロ ー ン H A − 1 を 、 BstEII及 び AhaIIで 切 断 す る 。 位 置 1784( 最 初 の エ キ ソ ン 中 で 、 A T G の す ぐ 下 流 ) か ら 3181に 及 び 約 1400bpの フ ラ グ メ ン ト を 単 離 し て 、 合 成 リ ン カ ー を 、 BstIIで 切 り 出 さ れ る 最 初 の 数 ア ミ ノ 酸 並 び に A T G 付 近 の 配 列 並 び に 少 し の 慣 用 の 制 限 20 部 位 を 含 む と こ ろ の 5 ′ 末 端 に て 、 BstII部 位 に 結 合 さ せ た 。 こ の フ ラ グ メ ン ト は フ ラ グ メント#1と呼ばれる。 ク ロ ー ン 3 W を AhaII 及 び SacI で 切 断 し て 、 位 置 3181か ら 16322ま で 及 ぶ 約 13.1kbの フ ラ グ メ ン ト を 単 離 し て 、 そ し て 、 合 成 リ ン カ ー を SacI 部 位 に 結 合 し て 、 フ ァ ー ジ EMBL3中 へ のクローニングを容易とした。このフラグメントはフラグメント#2と呼ばれる。 こ れ ら の 2 つ の フ ラ グ メ ン ト は 、 連 結 さ れ 、 フ ァ ー ジ EMBL3中 に ク ロ ー ン 化 さ れ る 。 正 し い フ ァ ー ジ の 同 定 後 に 、 ク ロ ー ン H − 14か ら 単 離 し た SacI ∼ SalI フ ラ グ メ ン ト ( 位 置 16 322か ら 約 21200に 及 ぶ ) か ら 、 BstEII部 位 ( そ こ に ユ ニ ー ク 制 限 部 位 が 導 入 さ れ て い る ) の す ぐ 上 流 か ら SacI 部 位 ま で 及 ぶ フ ラ グ メ ン ト を 単 離 し 、 そ し て 、 連 結 す る 。 次 い で 、 こ れ ら の 2 つ の フ ラ グ メ ン ト は 連 結 さ れ 、 EMBL4中 で ク ロ ー ン 化 さ れ る 。 30 ClaI ( BstEII部 位 の す ぐ 上 流 、 新 し く 導 入 さ れ た ) 及 び BamHI ( フ ァ ー ジ D N A 中 の Sal I 部 位 の す ぐ 下 流 ) で 切 断 後 に 、 約 2.5kbの 3′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 を 伴 な っ た 完 全 な h S A 遺伝子を含むフラグメントがこの新しいクローンから得られた。 hSAの 発 現 ベ ク タ ー を 構 築 の た め に 、 コ ス ミ ド cGpI HLFを 部 分 的 に 、 ClaI 及 び BamHI で 消 化 し た 。 こ れ は 、 シ グ ナ ル 配 列 、 h L F の コ ー デ ィ ン グ 配 列 、 α S 1 カ ゼ イ ン の 3′ -UTR 及びポリ(A)付加領域並びにカゼイン遺伝子の小領域3′が除去されている。 こ れ を 上 述 の hSAフ ラ グ メ ン ト と 連 結 し た 。 得 ら れ た コ ス ミ ド は cGPI HSAと 呼 ば れ る 。 こ の よ う に 形 成 さ れ た 発 現 ベ ク タ ー は 、 ( 1 ) α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 由 来 の 16kbの プ ロ モ ー タ ー 配 列 、 ( 2 ) と も に GPI中 に 存 在 す る こ の 遺 伝 子 の 最 初 の エ キ ソ ン 及 び 介 在 配 列 、 ( 3 ) hSA遺 伝 子 の シ グ ナ ル 配 列 ( 完 全 な ゲ ノ ム 遺 伝 子 は 該 遺 伝 子 の 下 流 2.5kbを 含 む hSA 40 を エ ン コ ー ド す る ) 及 び ( 4 ) α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 由 来 の 約 8 kbの 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列を含む。 このトランスジーンは、ウシ種のミルク中にhLFを製造するために用いた方法とほぼ同 じ方法でミルク中にhSAを製造するトランスジェニックウシ種を製造するために用いら れる。 実 施 例 11: ウ シ 種 の ミ ル ク か ら の H S A の 精 製 ミルクからの異種タンパク質の精製は、以下の事実により容易である。カゼイン沈降のあ とでは、これらのタンパク質のほとんどは、乳漿分画中に見られ、それは微生物又は細胞 に基づいた系で用いられる生産培地に比べて混入が少ない。 クロマトグラフィー法が、乳牛ミルクからのhSAの精製に好ましい。この方法は、エタ 50 (33) JP 3670003 B2 2005.7.13 ノール分画と比べて、良好な回収及び高アルブミン純度並びに低いアルブミンポリマーの 含 量 を も た ら す 。 ( Curling、 1980年 、 “ 血 清 タ ン パ ク 質 分 画 の 方 法 ” 、 Curling編 、 Acad emick Press London,UK,Curlingら 、 1982年 、 J.Parenteral Sci.Technol .、 第 36巻 、 第 59 頁 ; Berglotら と Martinacheら 、 1982年 、 Joint Meeting IHS-ISBT,Budapest) 。 h S A の 特異的な輸送の役割並びに脈管内の浸透圧の維持という主要な役割はまた、クロマトグラ フ ィ ー 精 製 の 後 も 良 好 に 保 存 さ れ う る ( Steinbrach、 1982年 、 Joint Meeting ISH-ISBT,B udapest ) 。 以下の工程をトランスジェニック乳牛のミルク中で製造されたhSAを回収するために用 いた: 1 . pH4.5で 及 び / 又 は キ モ シ ン を 加 え る こ と に よ る カ ゼ イ ン ( ミ ル ク タ ン パ ク 質 の 約 80 10 %)及び本質的に全てのミルク脂肪の沈降。乳漿分画はアルブミンを含む; 2.シバクロンブルー3GA−セファロースCL−6Bでのアルブミンのアフィニティク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( Harvey、 1980年 、 血 清 タ ン パ ク 質 分 画 の 方 法 、 既 に 引 用 ) : こ の 工 程 に よ り ア ル ブ ミ ン 以 外 の タ ン パ ク 質 が 除 か れ 、 そ し て 、 操 作 容 量 を 約 1/30に 減 少 で き る 。 ア ル ブ ミ ン は 、 0.15M NaCl及 び 20mMサ リ チ ル 酸 ナ ト リ ウ ム 、 pH7.5で こ の マ ト リ ッ ク ス よ り溶出される; 3 . セ フ ァ デ ッ ク ス G − 25で の 緩 衝 液 交 換 : 0.025M酢 酸 ナ ト リ ウ ム へ と 脱 塩 し て 、 pHを 5. 2に 調 節 し 、 続 い て 濾 過 し た ; 4 . DEAE-セ フ ァ ロ ー ス CL-6Bで の ア ニ オ ン 交 換 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 。 ア ル ブ ミ ン の 脱 着 は pH4.5; 20 5 . CM-セ フ ァ ロ ー ス CL-6Bで の カ チ オ ン 交 換 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 。 ア ル ブ ミ ン は 0.11M酢 酸 ナ ト リ ウ ム 、 pH5.5で 溶 出 し 、 限 外 濾 過 に よ り ア ル ブ ミ ン の 濃 度 を 6 % ( w/v) 溶 液 と す る;そして 6 . セ フ ァ ク リ ル S-200で の ゲ ル 濾 過 。 高 分 子 量 タ ン パ ク 質 の 分 画 ( 例 え ば 、 ア ル ブ ミ ン ポリマー、発熱物質)を捨てる。主要分画(アルブミンモノマー)を限外濾過により濃縮 して、処方した。 工 程 3 ∼ 6 は 、 血 漿 か ら の h S A の 精 製 の た め の 、 Curling他 に よ り 記 載 さ れ て い る 方 法 ( Curling、 1980年 、 既 に 引 用 ; Curlignら 、 1982年 、 既 に 引 用 ; 1982年 、 既 に 引 用 ) と 本 質 的 に は 同 一 で あ る 。 30 実 施 例 12: 相 同 組 み 換 え に よ っ て 作 ら れ た ヒ ト 血 清 ア ル ブ ミ ン ( h S A ) ト ラ ン ス ジ ー ン を含むトランスジェニックマウス 3つのオーバーラップゲノムhSAクローンを、トランスジェニックマウス中でhSA遺 伝 子 を 作 る た め に 用 い た 。 λ H A L − H A I 、 λ H A L − H 14及 び λ H A L − 3 W を 図 8 に 示 す 。 こ れ ら は 、 Uranoら 、 1984年 、 Gene 、 第 32巻 、 第 255∼ 261頁 、 及 び Uranoら 、 1986 年 、 J.Boil.Chem. 、 第 261巻 、 第 3244∼ 3251頁 に よ っ て 報 告 さ れ て い る 。 要 す れ ば 、 ゲ ノ ム ラ イ ブ ラ リ ー は 、 ヒ ト 繊 維 芽 細 胞 D N A の 部 分 的 EcoRI 消 化 か ら 構 築 さ れ た 。 ク ロ ー ン λ H A L − H 14及 び λ H A L − 3 W の た め に 、 こ の ラ イ ブ ラ リ ー を 、 3 倍 の S C C 及 び 10 倍 の デ ン ハ ー ト 溶 液 中 で プ レ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン し た 後 に 、 1M NaCl、 50mM Tris-HCl ( pH8.0) 、 10mM EDTA、 0.1% SDS、 100μ g/mlの 剪 断 さ れ た サ ケ 精 子 D N A 及 び 10倍 の デ 40 p ン ハ ー ト 溶 液 中 で 、 65℃ に て 一 晩 、 32 標 識 ヒ ト ア ル ブ ミ ン ゲ ノ ム ク ロ ー ン を 用 い て ハ イ ブリダイゼーションすることによりスクリーニングした。ハイブリダイゼーションに引き 続 き 、 フ ィ ル タ ー を 、 0.2倍 の S S C 及 び 0.1% S D S 中 で 65℃ に て 洗 浄 し た 。 λ H A L − H A 1 ク ロ ー ン の 単 離 は 、 λ H A L − 3 W の 5 ′ 末 端 か ら の 0.9kbBglII-EcoRI フ ラ グ メ ントを、ヒト繊維芽細胞ライブラリーをスクリーニングするために用いたこと以外は、同 じであった。 これら3つのhSAファージクローンは、全HSA遺伝子及びフランキング領域を複合し て含む3つのオーバーラップ直線状DNAフラグメントを作るために用いた。最も5′側 の フ ラ グ メ ン ト I は 、 λ H A L − H A I か ら 単 離 さ れ た EcoRI -EcoRI フ ラ グ メ ン ト で あ り 、 中 間 の フ ラ グ メ ン ト IIは 、 λ H A L − 3 W の AcyI ( =AhaII) -SacI フ ラ グ メ ン ト で 50 (34) JP 3670003 B2 2005.7.13 あ り 、 そ し て 最 も 3 ′ 側 の フ ラ グ メ ン ト IIIは 、 λ H A L − H 14の XhoI -SalI フ ラ グ メ ン ト で あ っ た 。 ( 図 7 ) 。 フ ラ グ メ ン ト を ク レ ノ ウ D N A ポ リ メ ラ ー ゼ 及 び dNTPで 処 理 し て オーバーハンギング付着末端を満たした。いくつかの実験においては、次いでブラント末 端フラグメントを細菌アルカリホスファターゼで処理して、それぞれのフラグメントから 5′ホスフェート残基を除いた。オーバーラップDNAフラグメントを次に濃縮して、発 表 さ れ て い る 方 法 ( Hoganら 、 1986年 、 “ マ ウ ス 胚 の 操 作 : A Laboratory Manual” 、 Cold Spring Harbor Laboratory) に 従 っ て 受 精 マ ウ ス 卵 の 雌 性 前 核 中 へ 共 注 入 し た 。 注 入 さ れ た 分 子 の 数 は 卵 細 胞 当 た り 約 25か ら 約 100の 間 を 変 化 し た が 、 個 々 の フ ラ グ メ ン ト の 比 は 、 約 1 : 1 : 1 で あ っ た 。 胚 を 、 Hoganら 、 ( 上 記 ) の 方 法 に 従 っ て 、 擬 妊 娠 雌 マ ウ ス の子宮中に着床させた。 10 3つのオーバーラップフラグメントの正しい相同組み換え及び新生トランスジーンのマウ スゲノム中への組み込みを検定するために、新生子からのゲノムDNAを以下の特定の消 化に付し、引き続き、HSAcDNAプローブを用いてサザンハイブリダイゼーションし た: BstEII: も し 正 し い 組 み 換 え が 起 っ て い れ ば 、 H S A 遺 伝 子 領 域 の 外 側 で 切 断 し 、 18kbの バンドが生じる; NcoI : も し 正 し い 組 み 換 え が 起 っ て い れ ば 、 オ ー バ ー ラ ッ プ 領 域 の 外 側 で 切 断 し 、 8.0及 び 9.3kbの バ ン ド を 生 じ る ; NcoI + HindIII: オ ー バ ー ラ ッ プ 領 域 の 外 側 の い く つ か の 位 置 で 切 断 し 、 無 傷 の フ ラ グ メ ントの存在を示す; 20 HincII: オ ー バ ー ラ ッ プ 領 域 中 で 切 断 し 、 こ れ ら の 領 域 中 の 正 し い 再 配 列 を 示 す い く つ か のバンドを生じる。 28の ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク 動 物 が 生 ま れ た 最 初 の 実 験 に お い て 、 22が 、 正 し く 組 み 換 え ら れ た す べ て の 3 つ の フ ラ グ メ ン ト を 持 っ て い た 。 そ れ ら 22の 動 物 の う ち の 20か ら 、 血 液 を 採 取 し て 、 ラ ジ オ イ ム ノ ア ッ セ イ を 用 い て h S A タ ン パ ク 質 の 存 在 を 検 定 し た 。 そ れ ら 20の 動 物 の う ち の 15が 、 0.5∼ 5 μ g/mlの レ ベ ル で h S A の 発 現 を 示 し た 。 組 み 換 え が 起 こ っ ていない又はトランスジェニックでない動物は発現を示さなかった。RNAブロットを用 いた場合、たった2つ(最も高いタンパク質レベルの2つ)がバンドを示した。我々は最 近、mRNAの存在のために富化されたRNA(例えばポリ(A)+RNA)のブロット を行っている。cDNAを合成するための逆転写酵素を用い、引き続きPCRを行うこと 30 により、RNAとタンパク質の存在間の完全な関係を観察した。しかしながら、この実験 では、我々は、RNAの大きさを決定することはできなかった。 実 施 例 13 hLFをエンコードするトランスジーンの別の構築 こ の 実 施 例 は 、 2 つ の h L F ト ラ ン ス ジ ー ン の 構 築 を 記 述 し 、 そ こ で は 第 一 の も の は 約 16 kbの α S 1 カ ゼ イ ン 5 ′ 発 現 調 節 配 列 ( p G P lhL F ( 16kb) 、 ま た p 16,8 H L F 4 と も 云 わ れ る ) を 含 み 、 第 二 の も の は 約 7.9kbの α S 1 カ ゼ イ ン 5 ′ 発 現 調 節 配 列 ( p G p l hL F ( 8 kb) 、 ま た p 8.8H L F 4 と も 云 わ れ る ) を 含 む 。 こ れ ら の 構 築 の 全 体 的 戦 略 を 図9に示す。 1.8kb E coR I − B glIIフ ラ グ メ ン ト ( 図 9 中 の フ ラ グ メ ン ト C ) が 、 フ ァ ー ジ ク ロ ー ン 40 G P 1 か ら 分 離 さ れ た 。 こ の フ ラ グ メ ン ト は 、 転 写 開 始 部 位 の − 100位 置 か ら 、 α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 の 第 二 エ キ ソ ン 中 ま で 続 く 。 B glII部 位 は 、 α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 の 第 一 イ ン ト ロ ン と 第 二 エ キ ソ ン の 結 合 点 に 在 る 。 B glII部 位 を 含 む 3 ′ 末 端 が 合 成 B glII− C la I リ ン カ ー に リ ゲ ー ト ( 連 結 ) さ れ 、 プ ラ ス ミ ド p U C 19中 に サ ブ ク ロ ー ン さ れ た 。 得 ら れたプラスミドは、pEBSと呼ばれる。 図 9 中 の フ ラ グ メ ン ト B は 、 E coR I フ ラ グ メ ン ト と し て 分 離 さ れ 、 p E B S の E coR I 部位中にクローンされた。フラグメントBは、αS1カゼイン遺伝子中の転写開始部位の − 7500位 置 か ら − 100位 置 の 配 列 を 含 む 。 こ の よ う に 形 成 さ れ た プ ラ ス ミ ド は p E B 3 S と 呼 ば れ 、 フ ラ グ メ ン ト B と C の 組 合 せ を 含 み 、 転 写 開 始 部 位 の − 7500位 置 か ら + 1400位 置 に 続 く 8.9kb E coR I − C laI フ ラ グ メ ン ト で あ る 。 C laI に よ る 完 全 消 化 及 び E coR 50 (35) JP 3670003 B2 2005.7.13 I に よ る 部 分 消 化 に よ り 得 ら れ た 、 p E B 3 か ら の 8.9kb E coR I − C laI フ ラ グ メ ン ト は 、 分 離 さ れ 、 そ し て E coR I − C laI 切 断 p K U N 2 ( N otI 制 限 部 位 を 含 む 、 p K U N ; Gene ( 1986) 46 ,第 269∼ 276頁 の 誘 導 体 ) 中 に サ ブ ク ロ ー ン さ れ て 、 p N E 3 B S を 形成した。 転 写 開 始 部 位 の − 16000位 置 か ら − 7500位 置 に 続 く 8.5kb C laI − E coR I フ ラ グ メ ン ト ( 図 9 中 の フ ラ グ メ ン ト A ) が 、 フ ァ ー ジ G P 1 か ら 分 離 さ れ た 。 こ れ は 次 に 、 p U C 19 中にサブクローンされて、pSEを形成した。合成オリゴヌクレオチドを用いて、ユニー ク N otI 部 位 が C laI 部 位 中 に 導 入 さ れ 、 こ れ に よ り そ れ を 破 壊 す る 。 得 ら れ た プ ラ ス ミ ドは、pNEと呼ばれる。 p N E か ら の イ ン サ ー ト ( 挿 入 ) が N otI − E coR I フ ラ グ メ ン ト と し て 分 離 さ れ 、 p N 10 E 3 B S か ら の E coR I − C laI イ ン サ ー ト と 共 に 、 ク ロ ー ニ ン グ ベ ク タ ー p K U N 2 中 に リ ゲ ー ト さ れ た 。 得 ら れ た プ ラ ス ミ ド p G P 1 ( Δ 2 ex) は 、 16kbの α S 1 カ ゼ イ ン プ ロ モ ー タ ー 、 及 び 第 二 エ キ ソ ン の 境 界 に お け る B glII部 位 へ の ジ ー ン の 5 ′ 末 端 を 含 む 。 ト ラ ン ス ジ ー ン を 含 む 出 来 上 っ た プ ラ ス ミ ド ( 16.8H L F 4 ) は 、 ク ロ ー ン p G P I ( Δ 2 ex) か ら の N otI − C laI フ ラ グ メ ン ト 及 び ク ロ ー ン p H L F 3 ′ 10kbか ら の X ho− N otI フ ラ グ メ ン ト を 用 い て ア セ ン ブ ル さ れ た 。 こ の ト ラ ン ス ジ ー ン の 構 築 は 、 上 記 と 同 じ である。 こ の プ ラ ス ミ ド へ の 小 さ な 修 飾 と し て 、 S alI に よ る 切 断 及 び N otI 部 位 を 含 む ( し か し S alI 部 位 を 含 ま な い ) リ ン カ ー の 挿 入 に よ っ て 、 こ の プ ラ ス ミ ド の S alI 部 位 を 取 除 い た 。 続 い て 、 下 記 の リ ン カ ー を 加 え る 位 置 と し て 、 K pnI 部 位 を 切 断 す る こ と に よ り S al 20 I部位をhLF配列の直下流に導入した。 事 実 上 、 h L F 配 列 は 今 や 、 2 つ の ユ ニ ー ク 制 限 部 位 ( C laI 及 び S alI ) に よ り 取 囲 ま れ 、 5 ′ 末 端 に C laI 部 位 及 び 3 ′ 末 端 に S alI 部 位 を 有 す る 任 意 の 組 み 換 え D N A 配 列 により置き換えられることができる。 も う 1 つ の ト ラ ン ス ジ ー ン が 構 築 さ れ た 。 そ れ は 、 約 8 kbの 5 ′ α S 1 カ ゼ イ ン 発 現 調 節 配 列 の み を 含 む こ と を 除 い て 、 上 記 と 同 じ で あ る 。 そ れ は 、 p N E 3 B S か ら N otI − C laI フ ラ グ メ ン ト を 取 り 、 こ れ を ク ロ ー ン p H L F 3 ′ 10kbか ら の X ho− N otI フ ラ グ メ 30 ント中に直接に融合することにより構築された。得られたプラスミドはpGPIhLF( 7 kb) と 呼 ば れ た ( p 8.8H L F 4 と も 云 わ れ る ) 。 プ ラ ス ミ ド 16,8 h L F 4 は 、 実 施 例 3 及 び 5 で 述 べ ら れ た ハ イ ブ リ ッ ド ス プ ラ イ ス シ グ ナ ル ( α S 1 カ ゼ イ ン − I g G ) を 含 む よ う に 修 飾 さ れ た 。 得 ら れ た プ ラ ス ミ ド は 、 16, 8hLF3と呼ばれ、5′−UTRにおける「天然」カゼインイントロンに対してハイブ リ ッ ド イ ン ト ロ ン の 存 在 を 除 い て 16,8 h L F 4 に 同 じ で あ る 。 hLFシグナル配列はまた、カゼインシグナル配列の代りに、本明細書で開示されるcD NA構築物のすべてにおいて用いられうる。これは、下記のようにして行うことができる 。 完 全 な h L F シ グ ナ ル 配 列 ( 図 2 参 照 ) に 加 え て 、 5 ′ 末 端 に お け る C laI 制 限 部 位 及 び 3 ′ 末 端 に お け る E agI 制 限 部 位 を 含 む 合 成 オ リ ゴ が 作 ら れ た 。 こ れ ら 制 限 部 位 は ま た 40 、 他 の プ ラ ス ミ ド ( た と え ば p 16,8 h L F 4 ) 中 の カ ゼ イ ン − シ グ ナ ル 配 列 と 隣 り 合 う 。 C laI 及 び S alI 部 位 に よ り 囲 ま れ た h L F − c D N A を 含 む フ ラ グ メ ン ト が 、 C laI 及 び S alI 部 位 を 含 む p G E M 7 ( Stratagene,Inc) 中 に ク ロ ー ン 化 さ れ た 。 得 ら れ た プ ラ ス ミ ド は 、 C laI 及 び E agI で 消 化 さ れ 、 h L F 配 列 を 含 む C laI − E agI フ ラ グ メ ン トを収容するためにベクターとして用いられた。ポジティブクローンから、それ自身の配 列 を 持 つ c C N A が C laI − S alI フ ラ グ メ ン ト と し て 切 出 さ れ 、 C laI − S alI 消 化 さ れ た p 16,8 h L F 4 に 挿 入 さ れ て 、 p 16,8 h L F 5 を 生 じ た 。 同 様 に 、 h L F − c D N A 及 び h L F シ グ ナ ル 配 列 を 含 む こ の C laI − S alI フ ラ グ メ ン ト は 、 任 意 の h L F c D NAベクターに挿入されうる。 実 施 例 14 50 (36) JP 3670003 B2 2005.7.13 トランスジェニックマウスのミルクにおける組み換えヒトラクトフェリン及びヒト血清ア ルブミンの産生 本明細書の実施例で同定されたトランスジーンのいくつかを用いて、トランスジェニック マウスを発生させた。用いられたトランスジーンは、表3及び4で同定されている。各々 の場合に、5′及び3′発現調節配列は、ウシαS1カゼイン遺伝子からであり、5′非 翻訳領域におけるRNAスプライスシグナルは、αS1カゼイン遺伝子からの同種である か、又はハイブリッドカゼイン−IgG介在配列であった。各々の場合における組み換え DNAは、cDNAクローンから導かれた。 26kbの 5 ′ α S 1 カ ゼ イ ン 発 現 調 節 配 列 を 含 む ト ラ ン ス ジ ー ン が 、 オ ー バ ー ラ ッ プ フ ラ グ メ ン ト の イ ン ビ ボ 相 同 組 み 換 え に よ り 発 生 さ れ た 。 短 く 云 え ば 、 約 14kbS alI イ ン サ ー ト を 含 む フ ァ ー ジ ク ロ ー ン が 同 定 さ れ た 。 こ の イ ン サ ー ト は 、 16,8 h L F 4 に 含 ま れ た 5 ′ カ ゼ イ ン 配 列 か ら 上 流 の 約 11.5kbの 配 列 、 及 び 約 2.5kbの オ ー バ ー ラ ッ プ 配 列 を 含 む 。 1 6,8 h L F 4 か ら の N otI イ ン サ ー ト 及 び S alI フ ァ ー ジ イ ン サ ー ト が コ イ ン ジ ェ ク ト さ れ て 、 26,8h L F 4 マ ウ ス が 作 ら れ た 。 10 (37) JP 3670003 B2 2005.7.13 10 20 30 40 (38) JP 3670003 B2 2005.7.13 10 20 30 40 表3及び4のデータは、ハイブリッドイントロン+異種スプライスアクセプター部位が、 有 意 な 数 の 場 合 ( 5 / 13) に お い て 発 現 レ ベ ル を 劇 的 に 増 大 す る こ と を 示 す 。 構 築 物 16,8 h L F 4 は 高 レ ベ ル で ( 16,8 h L F 3 と 同 じ 範 囲 で ) 発 現 さ れ る 。 し か し 、 ( マ ウ ス に お い て ) こ の こ と は 少 な い 数 の 場 合 に お い て の み 起 り 、 8 , 8 h L F 4 及 び 26 ,8 h L F 4 が 含 ま れ る 場 合 に 1 / 16で あ る 。 同 様 の 結 果 が 、 h S A c D N A を 用 い て 50 (39) JP 3670003 B2 2005.7.13 得られた。 短 く 云 え ば 、 1 6 , 8 h S A 4 ト ラ ン ス ジ ー ン は 、 p 16,8 h L F 4 を C laI 及 び S alI で消化してhLF cDNA配列を取除くことにより構築された。hSA cDNAは、 E coR I に よ り ク ロ ー ン か ら 切 出 さ れ た 。 C laI 合 成 リ ン カ ー が 5 ′ ( 上 流 ) 末 端 に 、 S alI リ ン カ ー が 3 ′ ( 下 流 ) 末 端 に 加 え ら れ た 。 C laI / S alI 消 化 さ れ た 16,8 h L F 4 ベ ク タ ー 中 へ の 挿 入 の 後 、 16,8 h S A 4 が 形 成 さ れ 、 こ れ か ら N otI イ ン サ ー ト が 切 出され、マイクロインジェクションのために用いられた。 16,8 h S A 4 構 築 物 は 、 9 つ の 系 統 を 与 え る 。 9 つ の 系 統 の 1 つ が 、 高 レ ベ ル 発 現 ( 100 μ g / ml) を 与 え た 。 一 方 、 9 つ の う ち の 残 り 8 つ は 、 低 レ ベ ル 発 現 ( 0.01∼ 0.05μ g / ml) を 与 え た 。 こ の こ と は 、 マ ウ ス 乳 腺 に お け る h L F 発 現 の レ ベ ル 及 び 頻 度 が 用 い ら れ 10 た 特 定 の c D N A に よ り 決 定 さ れ る の で な く 、 16,8 × 4 構 築 物 ( す な わ ち 、 異 種 I V S を 結 合 さ れ た α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 の 16kb5 ′ 及 び 8 kb3 ′ フ ラ ン キ ン グ 領 域 ) の 固 有 の 特徴であることを示している。 デ ー タ は ま た 、 0.7kbの 5 ′ α S 1 カ ゼ イ ン フ ラ ン キ ン グ 配 列 が 高 レ ベ ル 発 現 を 導 か な い こ と 、 及 び 8 ( 6.2) ,16( 14.5) 及 び 26kbが よ り 効 果 的 で あ る こ と を 示 し て い る 。 こ れ に 関 し て 、 8 kbは 、 16又 は 26kbの 5 ′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 よ り 少 し だ け よ り 効 果 的 で あ る 。 また、RNA分析は、cDNA構築物の発現が組織特異的かつ場所特異的(すなわち、発 現が乳を出す乳腺でのみ観察される)であること、転写物は正確に大きさを決められる( sized) こ と 、 及 び R N A レ ベ ル と 蛋 白 質 レ ベ ル が 相 関 す る こ と を 示 し た 。 実 施 例 15 20 hLFトランスジェニックウシの発生 ウ シ 系 に お け る ト ラ ン ス ジ ェ ネ シ ス は 、 実 施 例 13で 記 述 さ れ た p 16,8 h L F 4 ト ラ ン ス ジーンを用いて得られた。 卵母細胞成熟及び受精 ウ シ 卵 母 細 胞 は 、 と 殺 所 か ら 得 た 卵 巣 上 に 存 在 し た 卵 胞 の 吸 引 に よ り 集 め ら れ 、 30∼ 32℃ の 断 熱 コ ン テ ナ ー 中 に 移 さ れ た 。 卵 母 細 胞 は 、 卵 胞 液 と 共 に 、 2 ∼ 8 mm直 径 の 卵 胞 か ら 吸 引 さ れ 、 50mlの 円 錐 管 中 に プ ー ル さ れ た 。 卵 丘 − 卵 母 細 胞 コ ン プ レ ッ ク ス ( C O C ) は 、 沈 降 し て ペ レ ッ ト と な る こ と を 許 さ れ 、 そ の 後 、 上 清 を 捨 て 、 ペ レ ッ ト を 50mlの T L − He pes( Vander Shawsら ,1991,Theriogenology, 35 ,288頁 ( ア ブ ス ト ラ ク ト ) ) 中 で 洗 っ た 。 い く つ か の 無 傷 の 完 全 な 、 膨 脹 し て い な い 卵 丘 細 胞 層 を 含 む C O C を 15倍 の 解 剖 顕 微 鏡 下 30 で 選 択 し 、 分 離 し 、 10mlの T L − Hepes中 で 4 度 、 2 ∼ 3 mlの T C M 199+ 10% 胎 児 ウ シ 血 清 ( M 199) 中 で 1 度 、 そ し て パ ラ フ ィ ン オ イ ル ( 20C O C / 1 滴 ) で 洗 っ た 。 C O C を 、 39℃ の 空 気 中 で 、 5 % C O 2 の 加 湿 雰 囲 気 中 で 23時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 合 計 約 2500個 の 卵 母 細 胞 が 用 い ら れ た 。 平 均 し て 、 1週 間 当 り 2 回 の 吸 収 を 行 っ た 。 吸 引 さ れ た 卵 母 細 胞 の 収 量 は 、 日 に よ っ て 大 き く 変 り 、 平 均 し て 1 日 に 約 150で あ っ た 。 成 熟 及び受精は、細胞学的分析により分析された。成熟は、核膜の破壊、第一極体及び中期プ レートの出現として定義された。卵母細胞は、遺伝子的背景、現場での挙動及び子を産む ことの容易性の点で優れた特徴を持つ三頭の雄牛から得られた凍結解凍した精子によりイ ン ビ ト ロ で 受 精 さ れ た 。 精 子 受 精 能 獲 得 は 、 ヘ パ リ ン に よ り 促 進 さ れ た 。 Parrish,J.ら ( 1986) Theriogenology25:519-600。 個 々 の 雄 牛 か ら の 精 子 は 、 特 定 の 受 精 条 件 に 異 っ て 応 40 答するので、各ロットからの精子は正常受精の頻度を最大にし、多精子進入を最小にする ために要求される最適ヘパリン及び精子濃度を決定するために、予めテストされた。所与 の 雄 牛 の た め の 受 精 条 件 は 、 0.0,1.0及 び 10.0mgヘ パ リ ン / mlの ヘ パ リ ン 濃 度 、 及 び 1.0,2 6 .0及 び 4.0× 10 運 動 性 精 子 / mlで ス ク リ ー ン し た 後 に 選 択 さ れ た 。 凍 結 及 び 解 凍 後 に 生 き 残 る 精 子 の 割 合 は 雄 牛 ご と に 異 る ( 雄 牛 に つ い て 約 30∼ 60% が こ こ で 用 い ら れ た ) の で 、 精 子 調 製 物 は 、 ス イ ム ア ッ プ ( Swim-up) 法 ( Parrish,j.ら ,上 述 ) に よ り 、 生 き た 運 動 能 力のある精子に富むようにされた。あるいは精子は、パーコール勾配中で遠心分離された 。 運 動 能 力 あ る 部 分 の 分 離 後 に 、 精 子 は 血 球 計 で 計 算 さ れ 、 25倍 濃 縮 さ れ た 貯 蔵 物 を 得 る た め に 適 当 な 濃 度 に 希 釈 さ れ た 。 受 精 媒 体 は 、 2.0∼ 10.0mg/ mlヘ パ リ ン ( ブ タ 腸 粘 膜 か ら 、 177IU/ mg; シ グ マ 社 ) 及 び 、 も し 卵 丘 が 受 精 前 に 除 去 さ れ た な ら 、 1 mMの ハ イ ポ タ 50 (40) JP 3670003 B2 2005.7.13 ウ リ ン 、 10mMの ペ ニ シ ル ア ミ ン 、 20mMの エ ピ ネ フ リ ン 及 び 2 mMの メ タ 重 亜 硫 酸 ナ ト リ ウ ム を 捕 わ れ た T A L P 媒 体 ( Banister,Bethal Biol.Reprod. 28: 235-247) よ り 成 っ た 。 成 熟 し た C O C は 、 受 精 の た め の 膨 脹 し た 卵 丘 大 き さ ( mass) に 基 づ い て 選 択 さ れ 、 10mlの 受精媒体で1度洗われ、受精小滴に直接加えられるか、又は初めに、小さな孔の、炎で磨 いたピペットを通す穏やかなピペッティングによりその卵丘埋没材(インベストメント) 6 6 を 取 除 き 、 そ し て 次 に 小 滴 に 加 え ら れ た 。 最 後 に 、 精 子 細 胞 が 、 1 × 10 ∼ 2.0× 10 / ml の最終濃度に加えられた。 16∼ 24時 間 後 に 、 発 生 予 定 の 受 精 卵 ( 接 合 子 ) が 受 精 小 滴 か ら 取 出 さ れ た 。 こ の 時 点 で 、 各 実 験 に つ い て 20∼ 30個 の 受 精 卵 が 、 3 : 1 の メ タ ノ ー ル : 酢 酸 中 で 24時 間 固 定 さ れ 、 1 % ア セ ト オ ル セ イ ン ( 40% 酢 酸 中 ) で 染 色 さ れ 、 受 精 頻 度 ( 2 つ の 前 核 と 1 つ の 精 子 尾 を 10 持つサンプルのパーセント)を測定するために調べられた。精液の各バッチについて、上 記 し た よ う に 、 2 つ の 前 核 と 1 つ の 精 子 尾 の 存 在 に よ り 決 定 す る と き に 50∼ 70% の 正 常 受 精率を得るように、インビトロ受精条件(ヘパリン濃度及び精子数)を最適化した。スイ ムアップ法とパーコール勾配中の遠心分離の2つの方法のうち1つを、運動能力ある精子 の選択のために用いた。これら方法の間に、受精率の有意な差は記録されなかった。これ ら及び下記の工程の効率を表5に示す。次に、残りの卵母細胞をマイクロインジェクショ ンのために準備した。 20 30 40 50 (41) JP 3670003 B2 2005.7.13 マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン に 用 い ら れ た 26kbpの カ ゼ イ ン − h L F ト ラ ン ス ジ ー ン ( p 16,8 h L F 4 か ら ) は 、 N otI 消 化 に よ り 遊 離 さ れ 、 ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 及 び 電 気 溶 出 に よ り 精 製 さ れ た 。 最 終 の D N A 濃 度 は 2.5μ g / ml に 調 節 さ れ た 。 50個 の 卵 丘 − 完 全 な 受 精 し た 卵 母 細 胞 の バ ッ チ を 、 上 記 し た よ う に し て 、 又 は 10ml容 の 円 錐 管 中 の 2 mlT L − hepes媒 体 中 で 2 分 間 渦 巻 き さ せ る こ と に よ り 、 裸 に した。前核を可視化するために、卵丘のない卵母細胞を、エッペンドルフ遠心分離機で1 mlの T L − hepes媒 体 中 で 14,500g で 8 分 間 遠 心 分 離 し た 。 Wall,R.ら , Biol.Reprod.32:6 45- 651。 マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン は 、 Hogan B.ら ( 1985) マ ウ ス 胚 の 取 扱 い : 実 験 室 マ ニュアル、コールドスプリングハーバー ラボラトリー プレス,コールドスプリング ハーバー,ニューヨークに記載されるのと本質的に同様に行われた。 10 胚培養 胚は、卵管組織コンディション化(順化)媒体中で受精卵からコンパクト桑 実 胚 又 は 胚 盤 胞 段 階 ま で 培 養 さ れ た 。 Eyestoneら 、 ( 1991) J.Reprod.Fert.92 :59-64。 卵 管がと殺場で得られ、環境温度で輸送された。2∼4の卵管(1∼2頭の雌牛)から内腔 組織が、ガラススライドで無傷の(完全な)卵管の外側を穏やかにこすることにより収穫 さ れ た 。 押 出 さ れ た 物 質 を 10mlT A L P − Hepesで 5 度 洗 い 、 1 : 50の 組 織 : 媒 体 比 に M 1 99で 希 釈 し た 。 媒 体 を 、 卵 管 組 織 懸 濁 物 5 mlを 含 む 50mlT フ ラ ス コ 中 で コ ン デ ィ シ ョ ニ ン グした。コンディションされた媒体はしばしば、解凍後に蛋白質様沈澱物を含み、これは 遠心分離により除去された。小滴(複数)がパラフィンオイルで覆われ、受精卵を加える 前 に pHを 平 衡 化 さ せ る た め に 、 2 時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト さ れ た 。 受 精 卵 は 、 マ イ ク ロ イ ン ジ ェクション後2時間以内に、培養小滴中に置かれた。最初の卵割(>2細胞)は、精子を 20 加 え た 後 42時 間 ア セ ス さ れ た 。 媒 体 は 、 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン の 過 程 で 変 え ら れ な か っ た 。 正常発達の判断基準は、コンパクト桑実胚又は胚盤泡段落の達成より成った。 胚移入 同期化スケジュールは、卵母細胞がと殺場の卵巣から吸引されたのと同じ日 (すなわち成熟開始は第1日)に宿主が発情するように設定された。宿主ウシにおける発 情 は 、 9 日 ノ ル ジ ェ ス タ メ ッ ト ( Norgestamet) ( Intervert,Boxmeer,オ ラ ン ダ ) 処 置 ( 製造者に従い耳インプラントに投与された)、及びノルジェスタメット処置の第7日に与 え ら れ た ク ロ プ ロ ス タ ノ ー ル ( cloprostanol) 500μ g 投 与 に よ っ て 同 期 化 さ れ た 。 イ ン プラント除去の2∼3日内に発情が起った。発情の5∼7日後に、胚が宿主の若い雌牛に 非外科的に移入された(1∼2つの胚/子宮ホーン)。宿主は、9日齢の胚を受け、この 時点でそれらはコンパクト桑実胚又は初期胚盤胞段階に発達していた。これら胚は、宿主 30 の発情サイクルの段階に比べて発達が1日先行している。後の日における2つのマイクロ インジェクションの場合に、集められた卵母細胞の第一バッチと同期していた宿主の一群 が用いられた。発条開始の日に吸引された卵母細胞から発達した胚の移入は、1日後に得 られた卵母細胞からの胚よりも良い結果を与えた。マイクロインジェクトされた胚の幾分 遅れた発達の故に、宿主と胚の第一グループとの間に、より良い同期性があるように見え た 。 質 等 級 ( Linder及 び Wrightに 従 う 、 Theriogenology 20: 407-416) が ま あ ま あ 乃 至 不 良 ( fair to poor) で あ る と き 宿 主 は 2 つ の 胚 を 受 け 、 質 等 級 が 優 乃 至 良 ( excellent to good) で あ る と き 唯 一 つ の 胚 を 受 け た 。 2 つ の 胚 を 受 け た 夫 々 の 妊 娠 し た 宿 主 は 、 唯 一 つ の 胎 児 を 出 産 予 定 日 ま で 育 て た 。 全 体 と し て の 妊 娠 率 は 21% で あ っ た 。 こ れ は 、 イ ン ビ ボ で発達したマイクロインジェクションされない胚に関して他人により報告された率より著 40 し く 低 い ( Linderと Wright,上 述 、 及 び Massyら ( 1984) Theriogenology 21: 196-217) 。 ここで述べた実験において、インジェクションされない胚を用いる移入は行われなかった 。 妊 娠 は 、 妊 娠 の 45∼ 60日 に 直 腸 触 診 に よ り 決 定 さ れ た 。 合 計 21の 妊 娠 が 確 立 さ れ た ( 移 入 後 45∼ 460日 の 直 腸 触 診 に よ り 確 認 さ れ た ) 。 妊 娠 の 間 、 2 つ の 胎 児 が 失 わ れ た 。 1 つ の 宿 主 が 、 妊 娠 の 7.5ヶ 月 に 理 由 不 明 で 自 発 的 に 流 産 し た 。 出 産 の 予 定 日 の 3 週 後 に 宿 主 を 殺 し て 回 収 さ れ た 第 2 の 胎 児 は 、 シ ス ト ソ ー マ リ フ レ ク サ ム ( schistosoma reflexum) と呼ばれる異常胚発達を持つ完全に成長した死んだ子牛であった。2つの場合に、完全な 無 傷 の D N A を 分 析 の た め に 分 離 す る こ と が 出 来 な か っ た 。 19の 子 牛 が 正 常 妊 娠 後 に 生 ま れた。これら子牛の1つは分娩中に死に、第2の子牛はミルクの吸入事故に続く肺炎のた 50 (42) JP 3670003 B2 2005.7.13 め 出 産 24時 間 後 に 死 ん だ 。 10ヶ 月 の 妊 娠 後 に 体 重 70kgで 生 ま れ た 第 3 の 子 牛 は 、 3 週 齢 で 安楽死させられた。病理学的分析によると、この動物は、慢性的臍動脈炎の故に敗血症を 患っていた。3つの死んだ子牛から分析できた組織は、組込まれたヒトラクトフェリン( hLF)配列を含んでいなかった。従って、それらの死の原因は、トランスジーン組込み に 関 係 な い と 考 え ら れ る 。 残 る 16の 子 牛 は 優 れ て 健 康 で あ る 。 ト ラ ン ス ジ ー ン の 構 造 図 12A に 、 h L F c D N A の コ ー デ ィ ン グ 配 列 を 、 斜 線 を 付した箱により示す。翻訳開始及び停止コドンの位置が示されている。5′及び3′非翻 訳領域は、αS1カゼインエキソン(空の箱により示される)によりエンコードされる。 これらエキソンを中断する介在配列は、細線により示されている。発現単位は、ウシのS 1カゼイン遺伝子(太線により示される)から導かれたフランキング配列により囲まれて 10 い る 。 制 限 酵 素 部 位 の 位 置 は 、 下 記 の 記 号 に よ り 示 さ れ る : R , E coR I ; A , A sp718 ; N , N otI 。 N otI 部 位 は 、 ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 自 体 中 の 示 さ れ た 位 置 に 存 在 せ ず、合成リンカーにより導入された。黒い棒は、トランスジーンの存在を検出するために 用 い ら れ た プ ロ ー ブ の 位 置 を 示 す 。 E coR I 又 は A sp718で の 消 化 後 に 得 ら れ た フ ラ グ メ ン ト の サ イ ズ ( kbp) は 、 下 方 に 示 さ れ て い る 。 DNA分析 DNAは、すべての子牛からの胎盤、血液及び耳組織から分離された。 抽 出 さ れ た D N A の サ ザ ン ブ ロ ッ ト 分 析 を 図 12B に 示 す 。 1 レ ー ン 当 り 10μ g の D N A を 与 え た 。 フ ラ グ メ ン ト サ イ ズ メ ー カ ー は kbpで 示 さ れ ( ラ ム ダ D N A の H ind III消 化 ) 、 左 に 表 示 さ れ て い る 。 レ ー ン 1 は 、 E coR I 消 化 さ れ た ヒ ト D N A ( 血 液 か ら 分 離 さ れ た ) ; レ ー ン 2 は 、 血 液 か ら 分 離 さ れ た 子 牛 No.4 か ら の 、 E coR I 消 化 さ れ た D N A ; レ 20 ー ン 3 は 、 血 液 か ら 分 離 さ れ た 子 牛 No.4 か ら の A sp718消 化 さ れ た D N A ; レ ー ン 4 は 、 子 牛 No.4 か ら の E coR I 消 化 さ れ た 胎 盤 D N A ; レ ー ン 5 は 、 子 牛 No.4 か ら の A sp718 消 化 さ れ た 胎 盤 D N A ; レ ー ン 6 は 、 血 液 か ら 分 離 さ れ た 子 牛 No.15か ら の E coR I 消 化 さ れ た D N A ; レ ー ン 7 は 、 血 液 か ら 分 離 さ れ た 子 牛 No.15か ら の A sp718消 化 さ れ た D N A ; レ ー ン 8 は 、 耳 組 織 か ら 分 離 さ れ た 子 牛 No.15か ら の E coR I 消 化 さ れ た D N A ; レ ー ン 9 は 、 耳 組 織 か ら 分 離 さ れ た 子 牛 No.15か ら の A sp718消 化 さ れ た D N A ; レ ー ン 10は 、 子 牛 No.15か ら の E coR I 消 化 さ れ た 胎 盤 D N A ; レ ー ン 11は 、 子 牛 No.15か ら の A sp71 8消 化 さ れ た 胎 盤 D N A ; レ ー ン 12は 同 じ 構 築 物 を 宿 す ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス の 尾 か ら 分 離 さ れ た E coR I 消 化 さ れ た D N A で あ る 。 DNA抽出、サザンブロット分析及びハイブリダイゼーションは、標準手順に従って行わ 30 れた。サザンブロット実験で用いられたプローブは、図2のhLF cDNAの3′部分 を カ バ ー す る 758bpE coR V − E coR I フ ラ グ メ ン ト で あ っ た 。 プ ロ ー ブ と し て h L F c D N A を 用 い る サ ザ ン ブ ロ ッ ト 分 析 は 、 2 つ の 子 牛 ( No.4 と 15) の 組 織 に お い て ト ラ ン ス ジ ー ン 配 列 が 宿 主 ゲ ノ ム 中 に 組 込 ま れ て い た こ と を 示 し た 。 子 牛 No.15( 雌 ) は 、 ト ランスジーンの組込みについてモザイクであった。胎盤組織はポジティブであり、一方、 血液及び耳組織においてはhLF配列は検出されなかった。胎盤中のコピー数は1∼2で あ っ た 。 ト ラ ン ス ジ ー ン の 制 限 酵 素 マ ッ プ は 、 カ ゼ イ ン − h L F プ ラ ス ミ ド ( 図 12A ) の マップに基づいて及び多数の個々のトランスジェニックマウスにおいて得られたパターン (データを省略)に基づいて予測されるものと異っていた。明らかに、DNA構築物の一 部の削除を含む再配列が起っていた。この再配列事象が、トランスジーンがすべての組織 40 では検出され得なかった事実と関連あるかどうかは明らかではない。マウスにおいて、す べ て の 生 ま れ た ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク 動 物 の 30% 越 が モ ザ イ ク で あ る こ と が 示 さ れ た 。 子 牛 No.4 ( 雄 ) は 、 3 つ の す べ て の 組 織 に お い て 、 予 期 さ れ た も の と 同 じ で あ る 、 同 一 のハイブリダイゼーションパターンを示した。種々の酵素による制限消化は、無傷の完全 な コ ピ ー の 頭 尾 連 続 物 ( concatamer) が 取 込 ま れ 、 再 配 列 の 徴 候 は な い こ と を 示 し た 。 コ ピー数は、トランスジェニックバンドの強度を、ヒトDNAへのhLFプローブのハイブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン か ら 得 ら れ た バ ン ド と 比 較 す る こ と に よ り 推 定 さ れ た ( 図 12B ) 。 子 牛 No.4 に お い て 、 ト ラ ン ス ジ ー ン の 5 ∼ 10コ ピ ー が 、 調 べ ら れ た 3 つ の 総 て の 組 織 に お い て取込まれていた。 子 牛 No.4 に よ り 作 ら れ た 精 子 の 分 析 は 、 異 常 を 検 出 し な か っ た 。 次 に D N A が 精 子 か ら 50 (43) JP 3670003 B2 2005.7.13 分離され、hLFトランスジーンの存在について分析された。トランスジーンのコピー数 ( 2 ∼ 3 ) は 、 精 子 中 と 他 の 組 織 中 と で 同 じ で あ る こ と が 判 っ た 。 こ れ は 子 牛 No.4 が モ ザ イ ク で な く 、 彼 の 子 の 50% に ト ラ ン ス ジ ー ン を 渡 し う る こ と を 示 し て い る 。 実 施 例 16 ゲノム組み換えDNAのためのトランスジーン カセットの構築 ここまでに記述したプラスミドはすべて、ウシαS1カゼイン非翻訳領域(介在配列を含 め)から導かれた領域を含む。高い発現を許す非翻訳領域及び介在配列をすでに含むゲノ ム遺伝子が発現されるべきである場合に、αS1カゼイン遺伝子の翻訳開始部位を含むフ ラ ン キ ン グ 領 域 が 、 発 現 さ れ る べ き 遺 伝 子 の 非 翻 訳 領 域 に 操 作 可 能 に ( operably) 結 合 さ 10 れているところの発現カセットを用いることが好ましい。そのような発現カセットはp− 16kb,C S で あ り 、 下 記 の よ う に し て 構 築 さ れ た 。 プ ラ ス ミ ド p S 1 3 ′ 5 ′ h L F が 、PCR実験におけるテンプレートとして用いられた。このプラスミドは、αS1カゼイ ン 遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 配 列 の 680bpな ら び に そ の 初 め の エ キ ソ ン を 含 む 。 こ の プ ラ ス ミ ドの残部は、この実験において関連しない。上流プライマーは、プラスミド部分中のイン サ ー ト の 直 上 流 ( N otI 制 限 部 位 の 直 上 流 ) に 位 置 さ れ た 。 そ の 配 列 は 、 5 ′ − C G A CGT TGT AAA ACG ACGG−3′である。 下 流 プ ラ イ マ ー は 、 エ キ ソ ン 1 中 に 位 置 さ れ た 。 そ の 配 列 は 、 エ キ ソ ン の 初 め の 19bpと 正 確 に マ ッ チ し 、 ま た C laI 及 び S alI 部 位 を 含 む 17bpの 非 ハ イ ブ リ ッ ド 化 領 域 を 有 す る 。 それは、下記の配列を有する。 20 増 幅 さ れ た フ ラ グ メ ン ト は 、 N otI 及 び S alI に よ り 消 化 さ れ 、 p K U N 2 中 に リ ゲ ー ト さ れ た ( 実 施 例 13参 照 ) 。 従 っ て 、 得 ら れ た プ ラ ス ミ ド ( p − 680C S ) は 、 − 680∼ + 19 の 近 位 プ ロ モ ー タ ー フ ラ グ メ ン ト 、 及 び こ れ ら 19bpの 直 下 流 の 2 つ の 制 限 部 位 を 含 む 。 こ の プ ラ ス ミ ド は 、 N otI ( − 680の 直 上 流 ) 及 び N siI ( − 280で ) に よ り 消 化 さ れ 、 p 16,8 h L F 4 か ら 分 離 さ れ た 、 N otI 部 位 ( − 16kbの 直 上 流 ) か ら N siI ( − 280) ま で 続 く フ ラ グ メ ン ト ( 実 施 例 13) に リ ゲ ー ト す る た め に ベ ク タ ー と し て 用 い ら れ る 。 従 っ て 、 こ の プ ラ ス ミ ド ( p − 16kb,C S ) は 、 約 − 16,000∼ + 19の プ ロ モ ー タ ー フ ラ グ メ ン ト を含む。それは、ゲノム遺伝子自身のUTR及びポリ(A)シグナルを有するゲノム遺伝 子 を イ ン サ ー ト す る た め に 用 い ら れ う る 。 C laI − S alI フ ラ グ メ ン ト と し て の ゲ ノ ム 遺 30 伝 子 の 挿 入 後 に 、 α S 1 カ ゼ イ ン 3 ′ − フ ラ ン キ ン グ 領 域 は 、 S alI フ ラ グ メ ン ト と し て 挿入されうる。 実 施 例 17 プロテインCの産生のためのトランスジーンの構築 プ ロ テ イ ン C の ゲ ノ ム 配 列 は 、 文 献 に あ る 。 Fosterら ( 1985) 、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82,4673-4677。 し か し 、 こ の 配 列 は 、 Beckmanら ( 1985) Nucl.Acids Res. 13,5233-5247に より発表されたcDNA配列を介して同定された初めのエキソンを含まない。プロテイン C の 初 め の エ キ ソ ン は 、 Foster配 列 中 の − 1499乃 至 − 1448位 置 に 位 置 さ れ る 。 ウ シ 種 の ミ ル ク 中 に プ ロ テ イ ン C を 発 現 し 分 泌 す る た め の ト ラ ン ス ジ ー ン は 、 図 10に 示 さ れ る 。 こ の トランスジーンは下記のように構築された。 40 E M B L − 3 ( Clonotech) 中 の ヒ ト ゲ ノ ム ラ イ ブ ラ リ ー が 、 プ ロ テ イ ン C に 対 し て 特 異 的な配列によりプローブされる。完全なプロテインC遺伝子を含む精製されたファージD N A 調 製 物 が 分 離 さ れ る 。 フ ァ ー ジ は 、 D am表 現 型 を 持 つ E . coli 株 た と え ば 株 G M 113 から分離される。これは、メチルされていないクローン化されたDNAをもたらし、その ま ま で す べ て の C laI 制 限 部 位 が 切 断 さ れ う る 。 + 1333位 置 か ら 11483位 置 に 続 く C laI N heI フ ラ グ メ ン ト が 分 離 さ れ る 。 こ れ は フ ラ グメントIと呼ばれる。 p G E M 7 ( Stratogene,Inc.) が S phI 及 び S maI に よ り 消 化 さ れ る 。 中 間 の 領 域 は 、 プ ラ ス ミ ド p K U N ( Gene ( 1986) 46,269-276) の 対 応 す る 領 域 に よ り 置 き 換 え ら れ る 。 得られたプラスミドは、pGEN7Aと呼ばれ、問題の領域において下記の制限マップを 50 (44) JP 3670003 B2 2005.7.13 有する。 2 つ の プ ラ イ マ ー が 合 成 さ れ る 。 プ ラ イ マ ー G P 125は 、 下 記 の 配 列 を 有 す る 。 プ ラ イ マ ー G P 126は 下 記 の 配 列 を 有 す る 。 10 プ ラ イ マ ー G P 125は 、 エ キ ソ ン 0 ( プ ロ テ イ ン C 遺 伝 子 の 654∼ 675位 ) と の オ ー バ ー ラ ッ プ を 有 し 、 5 ′ 非 翻 訳 領 域 中 に C laI 部 位 を 導 入 す る 。 エ キ ソ ン 0 は 、 Fosterら に よ り 同 定 さ れ な か っ た エ キ ソ ン で あ る 。 プ ラ イ マ ー G P 126は 、 プ ロ テ イ ン C 遺 伝 子 中 の 1344 ∼ 1315の 領 域 と オ ー バ ー ラ ッ プ す る 。 こ の 領 域 は 、 C laI 部 位 を 含 む 。 654と 1344位 の 間 の 領 域 は 、 テ ン プ レ ー ト と し て ヒ ト D N A 又 は フ ァ ー ジ D N A を 用 い て 増 幅 さ れ る 。 そ の よ う に 増 幅 さ れ た 物 質 は 、 C laI で 消 化 さ れ 、 ベ ク タ ー p G E N 7 a 中 でクローンされて、pPCCCを形成する。このベクターは、damネガティブ株たとえ ば G M 113中 で 増 殖 さ れ 、 そ し て C laI で 部 分 的 に 切 断 さ れ ( 1340位 で C laI に よ り 1 度 20 切 断 さ れ た プ ラ ス ミ ド の み が 興 味 あ る ) 、 か つ X baI で 完 全 に 切 断 さ れ る 。 C laI N he Iフラグメント(フラグメントI)は、このベクター中にクローンされる。得られたプラ ス ミ ド は 、 p P C と 呼 ば れ る 。 そ の 構 造 を 図 10に 示 す 。 こ の プ ラ ス ミ ド か ら 、 プ ロ テ イ ン C ト ラ ン ス ジ ー ン が C laI − S alI フ ラ グ メ ン ト と し て 分 離 さ れ 、 p 16kb,C S ( 実 施 例 1 5参 照 ) 中 に リ ゲ ー ト さ れ て 、 ウ シ ミ ル ク 中 に プ ロ テ イ ン C を 発 現 で き る ト ラ ン ス ジ ー ン を 発 生 す る 。 こ の プ ラ ス ミ ド は 、 p 16kb,C S , P C と 呼 ば れ る 。 p 16kb,C S , P C 中 に 含 ま れ る ト ラ ン ス ジ ー ン は 、 N otI に よ り 切 出 さ れ 、 上 述 の よ う にトランスジェニックウシ種を発生させるために用いられる。そのようなトランスジェニ ック動物は、そのミルク中にプロテインCを作ることができる。 実 施 例 18 30 インビボ相同組み換えにより形成されたヒトラクトフェリントランスジーン:2つのオー バーラップするDNAフラグメントのマイクロインジェクション 全体のhLFゲノムクローンを得るために、プローブとして本明細書に記述されるhLF cDNAクローンを用いて、2つのヒトゲノムコスミドライブライーをスクリーンした 。 最 初 の 及 び 最 後 ( 第 17番 ) の h L F エ キ ソ ン に 対 し 特 異 的 な プ ラ イ マ ー と の ハ イ プ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 及 び D N A 配 列 決 定 に よ り 決 定 す る と 、 分 離 さ れ た 14の ク ロ ー ン の う ち 、 2 つ の ク ロ ー ン ( 13.1及 び 13.2と 呼 ば れ 、 一 つ は 各 ヒ ト コ ス ミ ド ラ イ ブ ラ リ ー か ら ) が 全 h LF遺伝子を含んでいた。これらhLFゲノムクローンのインサート大きさは、クローン 13.1に つ い て は 42kbp、 ク ロ ー ン 13.2に つ い て は 43kbpで あ っ た 。 ク ロ ー ン 13.1及 び 13.2は 夫 々 、 5kbp及 び 13kbpの 5′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 を 含 む 。 ク ロ ー ン 13.2の 3′ フ ラ ン キ ン グ 領 40 域 は 、 1 kbpと 3kbpの 間 で あ る 。 ク ロ ー ン 13.1は 、 7kbpの 追 加 的 3′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 を 含 む 。 構 造 的 h L F 遺 伝 子 ( = イ ン ト ロ ン + エ キ ソ ン ) の 大 き さ は 、 約 30kbで あ る 。 hLFクローンの同定は、いくつかのエキソン(最初及び最後を含め)を配列決定し、こ れ ら 配 列 及 び プ ロ モ ー タ ー 領 域 を 図 2に 示 さ れ る h L F c D N A 配 列 と 比 べ る こ と に よ り 確 認 さ れ た 。 加 え て 、 ク ロ ー ン は 、 ヒ ト 腎 臓 293細 胞 中 に 移 植 さ れ 、 h L F 発 現 が 検 出 された。これは、二つのクローンが機能しうることを示す。 制 限 マ ッ ピ ン グ 及 び サ ザ ン ブ ロ ッ ト に よ る 13.1及 び 13.2ク ロ ー ン ( 独 立 の ラ イ ブ ラ イ リ ー から導かれた)の比較は、対応する領域(すなわち構造的hLF遺伝子)において差を示 さなかった。サザンブロット実験は、hLF遺伝子がヒトゲノムにおいて単一コピー遺伝 子 で あ る こ と を 示 し た 。 図 13∼ 図 16は 、 α S 1 カ ゼ イ ン / ゲ ノ ム h L F ト ラ ン ス ジ ー ン を 50 (45) JP 3670003 B2 2005.7.13 発生させるための全体手順を示す。 構 造 的 h L F 遺 伝 子 中 の 最 も 5′ 側 の ApaI部 位 は 、 エ キ ソ ン I 中 、 h L F シ グ ナ ル 配 列 中 に 位 置 さ れ る 。 エ キ ソ ン I の す ぐ 5′ 側 の 400bp領 域 が 配 列 決 定 さ れ た 。 こ の 領 域 は 、 h L F 遺 伝 子 の 翻 訳 開 始 部 位 及 び TATA− ボ ッ ク ス を 含 む 。 こ の 領 域 は ま た 、 BamHI制 限 部 位 を 含む。 乳 腺 特 異 的 発 現 ベ ク タ ー を 構 築 す る た め に 、 8(6.2)kbp又 は 1 6 (14.5)kbpの α S 1 ウ シ カ ゼインプロモーター領域をゲノムhLFクローンに融合させることが必要であった。しか し 、 約 50又 は 60kb( カ ゼ イ ン 遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー か ら の 6.2又 は 14.5kb+ コ ス ミ ド ベ ク タ ー か ら の 8kbお よ び h L F ゲ ノ ム ク ロ ー ン か ら の 35∼ 40kb、 す な わ ち 約 50∼ 63kb) の そ の ような構築物の全サイズは、慣用のクローニングベクターの使用を困難にする。従って、 10 8kbp又 は 16kbpの α S 1 5′ カ ゼ イ ン プ ロ モ ー タ ー 及 び フ ラ ン キ ン グ 配 列 は 、 構 造 的 h L F 遺 伝 子 の 5′ 遺 伝 子 の 9kbの 5′ 領 域 に 融 合 さ れ 、 こ の フ ラ グ メ ン ト は 、 ClaI消 化 に よ り 得 ら れ た 一 般 的 (generic)h L F ク ロ ー ン 13.1の 3′ 配 列 の 約 33∼ 34kbpを 含 む オ ー バ ー ラ ッ プ す る h L F フ ラ グ メ ン ト と 共 に イ ン ジ ェ ク ト さ れ た 。 図 13及 び 16参 照 。 ク ロ ー ン 13.2か ら の BamHIフ ラ グ メ ン ト ( エ キ ソ ン I を 含 む ) は 、 プ ラ ス ミ ド pUC19中 へ サ ブ ク ロ ー ニ ン グ さ れ た ( 図 14) 。 こ の ク ロ ー ン か ら 、 ApaI( 部 分 的 消 化 ) 及 び SalI消 化 に よ り 8.9kbpの ApaI-SalIフ ラ グ メ ン ト が 分 離 さ れ た 。 こ の フ ラ グ メ ン ト は 、 h L F シ グ ナ ル 配 列 の 殆 ど 及 び hLF5′ UTRの 全 て を 欠 く 。 こ の 失 わ れ た 領 域 を 示 す 合 成 配 列 ( 図 15B ) は 、 5′ ApaI部 位 か ら h L F TATA− ボ ッ ク ス か ら の 下 流 領 域 中 へ 続 く 、 2 つ の 相 補 的 D N A ス ト ラ ン ド ( 68量 体 及 び 62量 体 ) を 合 成 す る こ と に よ り 得 ら れ た 。 こ れ ら プ ラ イ マ ー 20 を ア ニ ー リ ン グ し た 後 に 、 5′ ClaIオ ー バ ー ハ ン グ 及 び 3′ ApaIオ ー バ ー ハ ン グ を 有 す る D N A フ ラ グ メ ン ト が 発 生 さ れ た 。 ClaI-ApaIフ ラ グ メ ン ト の 引 続 く 配 列 決 定 は 、 そ れ が 図 1 5B に 示 す 配 列 ( こ れ は 天 然 の 配 列 と は 1 位 置 で 異 な る ) を 持 つ こ と を 示 し た 。 こ の 合 成 C laI-ApaIフ ラ グ メ ン ト 及 び 上 述 の 8.9kbp ApaI-SalIフ ラ グ メ ン ト は 、 p-16kbpCS及 び 類 似 の プ ラ ス ミ ド ( α S 1 カ ゼ イ ン プ ロ モ ー タ ー の 16kbpの 代 り に 8kbpを 含 む ) 中 に リ ゲ ー ト さ れ た 。 こ れ は 、 h L F ゲ ノ ム 遺 伝 子 の 5′ 部 (9kbp)に 融 合 さ れ た 16kbp又 は 8kbpの ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン プ ロ モ ー タ ー を 含 む 2 つ の プ ラ ス ミ ド を 与 え る 。 図 15A 参 照 。 こ れ ら フ ラ グ メ ン ト は 切 出 さ れ ( NotI-SalI) 、 そ し て h L F コ ス ミ ド ク ロ ー ン 13.1か ら の 3′ の 33∼ 34 kbpClaIフ ラ グ メ ン ト と 共 に イ ン ジ ェ ク ト さ れ た 。 コ イ ン ジ ェ ク ト さ れ た フ ラ グ メ ン ト は 5 .4kbpの オ ー バ ー ラ ッ プ を 持 っ た 。 30 8kbpの α S 1 カ ゼ イ ン プ ロ モ ー タ ー を 含 む 構 築 物 の コ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン の 後 に 、 8つ の 独 立したトランスジェニックマウスを、尾−DNAブロッティングにより同定した。相同的 組み換えが起ったがどうかを決定するために、染色体DNA(始祖及び子孫の尾から)を ApaIで 消 化 し 、 サ ザ ン ブ ロ ッ ト に よ り 分 析 し た 。 オ ー バ ー ラ ッ プ 中 に 位 置 さ れ た 2.7kbの C laI-MluIフ ラ グ メ ン ト ( 図 13又 は 17参 照 ) を プ ロ ー ブ と し て 用 い た 。 相 同 的 組 み 換 え が 起 っ た と き 、 7.5+0.3=7.8kbの バ ン ド が 発 生 さ れ 、 こ の プ ロ ー ブ で 検 出 さ れ る 。 こ の バ ン ド はまた、ヒト染色体DNA中にも存在し、それは分析において対照として用いられた。も し 相 同 的 組 み 換 え が 起 ら な か っ た な ら 、 プ ロ ー ブ は 、 組 込 み の 部 位 近 傍 の ApaI部 位 の 位 置 に依存して、種々のサイズのバンドを検出する。 診 断 的 な 7.8kbバ ン ド は 、 8つ の 全 て の ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス に お い て 検 出 さ れ た 。 こ れは各トランスジェニックマウスが組み換えられたフラグメントを含んだことを示す。こ ら ら 8つ の マ ウ ス 系 統 ( 始 祖 No.936,937,950,951,982,983,984及 び 985) に つ い て 、 乳 を 出 す 雌 か ら ミ ル ク を 集 め 、 h L F 蛋 白 質 発 現 に つ い て 評 価 し た 。 7つ の マ ウ ス 系 統 に つ い て のデータを下記に示す。 40 (46) JP 3670003 B2 2005.7.13 10 20 30 hLF発現の組織特異性は、多数の組織から全RNAを分離し、トランスジーン由来のm RNAの存在及びレベルを分析することにより決定された。この分析に基づくと、hLF mRNAは乳分泌する乳腺中でのみ起り、発現は組織及び段階特異的である。 R N A レ ベ ル は 、 系 950及 び 951で は 検 出 限 界 よ り 下 で あ っ た が 、 高 発 現 性 系 統 に お い て は 40 高く、ウシαS1カゼイン発現レベルと相関する。これは、ウシ乳分泌乳腺RNAと乳分 泌トランスジェニックマウスからの乳腺RNA両者のノーザンブロットにより決定された 。 ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン R N A の 5′ UTRに お い て 及 び ト ラ ン ス ジ ー ン R N A に お い て 正 確 に 同 じ 配 列 に ハ イ ブ リ ダ イ ズ す る 24bp合 成 オ リ ゴ マ ー を 、 プ ロ ー ブ と し て 用 い た 。 発 現 レ ベ ルは、トランスジーン−及びαS1RNAにハイブリダイズしたラベルされたプローブの 量 の 定 量 化 に よ り 直 接 に 比 べ ら れ た 。 ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン (20kD)と h L F (80kD)の 間 の サ イ ズ 差 に つ い て 較 正 が 行 わ れ た と き 、 m R N A と 蛋 白 質 の 比 は 、 ウ シ α S 1カ ゼ イ ン 及 び hLFについて同じ範囲にあった。このことは、トランスジーン由来のhLFの翻訳及び 分 泌 が 損 わ れ な い こ と を 示 す 。 h L F m R N A の 長 さ は 、 予 測 さ れ た よ う で あ り ( 約 2.5 kb) 、 し か し マ ウ ス 系 統 937に お い て は 少 し 小 さ い 強 度 の 、 よ り 長 い バ ン ド ( 3∼ 3.5kb) 50 (47) JP 3670003 B2 2005.7.13 も観察された。このバンドの発生は、相同組み換えプロセスに関係づけられるかも知れな い 。 こ の R N A が 、 真 に す ば ら し い (bona fine)h L F へ と 翻 訳 さ れ る か を 決 め る こ と が 残っている。 カゼインプロモーターは、他のミルク特異的プロモーターに比べて、高レベル発明を得る のに好都合でないことが示唆されていた。しかし、今般のデータは、これが正しくないこ とを示す。発現レベル及び発現する動物のパーセントの両者に関して、αS1カゼイン配 列を含むトランスジーンは、報告された他のいかなる乳腺特異的トランスジーンよりも良 好に挙動する。 上記データを、hLF cDNAを含む構築物で得られたデータと比べると、下記の観察 が 得 ら れ る 。 本 明 細 書 で 最 良 の c D N A 発 現 ベ ク タ ー (16,8hLF3)は 、 ゲ ノ ム h L F 構 築 物 10 に 比 べ て 常 に は る か に 低 い レ ベ ル で 発 現 す る 。 発 生 さ れ た 13の c D N A 系 統 の う ち 、 8つ が 非 常 に 低 い レ ベ ル ( 1 ∼ 5μ g/ml) で 発 現 し 、 5つ は 40∼ 200μ g/mlで 発 現 し た 。 ゲ ノ ム hLF(同じフランキング配列を含む)について観察されたレベルと比べて、これら比較 的低いレベル(cDNA発現については高いけれど)は、ゲノム配列が一貫してより高い 発現レベルを作ることを示す。 実 施 例 19 慣用のコスミドリゲーション法によるゲノムヒトラクトフェリントランスジーンの作成 hLFゲノムトランスジーンもまた、コスミド中の慣用のリゲーションにより作製された 。 第 一 の 構 成 物 8hLFgenは 、 コ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン に よ り 発 生 さ れ た ト ラ ン ス ジ ー ン と 類 似 で あ る が 、 し か し h L F ク ロ ー ン 13.2か ら の 3′ ClaIフ ラ グ メ ン ト を 含 む 。 こ の フ ラ グ メ 20 ン ト の サ イ ズ は 、 約 26∼ 27kbで あ る 。 第 2 の 構 築 物 16hLFgenは 8hLFgenと 同 じ で あ る が 、 しかしαS1カゼインプロモーター配列のより大きいストレッチを含む。 構成の詳細 図 15A に 書 か れ た 構 築 物 か ら の NotI-M1uIフ ラ グ メ ン ト ( 8hLFgen9kと 呼 ば れ る ) が 、 8hLF gen構 築 物 を 作 る た め に 用 い ら れ た 。 こ の NotI-M1uIフ ラ グ メ ン ト は 、 図 15B に 書 か れ た 合 成 ClaI-ApaIフ ラ グ メ ン ト を 含 む 。 こ の 合 成 配 列 は 、 hLF5′ -UTRの 24bpを 含 み 、 h L F シ グ ナ ル 配 列 の 殆 ど を エ ン コ ー ド す る ( 図 15C 参 照 ) 。 こ の NotI-M1uIは 、 図 17に 示 さ れ る よ う に 、 ク ロ ー ン 13.2か ら の 3′ M1uI-CalIフ ラ グ メ ン ト 及 び CalI-NotIリ ン カ ー と リ ゲ ー ト さ れ た 。 ク ロ ー ニ ン グ ベ ク タ ー は 、 NotIで 切 断 さ れ た コ ス ミ ド pWE15( こ れ か ら 、 内 部 C alI及 び SalI部 位 が 削 除 さ れ て い た ) で あ っ た 。 30 h L F 遺 伝 子 の 第 1の イ ン ト ロ ン は 、 シ グ ナ ル 配 列 中 の ApaI部 位 の 4bp下 流 に 位 置 さ れ る 。 そ の 結 果 、 19aaシ グ ナ ル 配 列 を エ ン コ ー ド す る D N A 配 列 は 部 分 的 に エ キ ソ ン 1 ( 43bp,1 4aa及 び 1 コ ド ン を 部 分 的 に エ ン コ ー ド す る ) 中 に 及 び エ キ ソ ン 2 ( 初 め の 14bp、 4 aa及 び1コドンを部分的にエンコードする)中に位置される。hLFイントロン1の正確な位 置は、DNA配列決定及びゲノム配列をhLF cDNA配列と比べることにより決定さ れ た 。 翻 訳 開 始 部 位 の 上 流 の 配 列 ( 355bp,hLF5′ UTR及 び 5′ フ ラ ン キ ン グ 領 域 を 含 む ) も また配列決定された。 hLF転写開始部位は、示されたゲノムhLF構築物中に含まれなかった。代りに、それ らは、ウシαS1カゼイン遺伝子転写開始部位を含む。hLF“キャプ”部位の正確な位 置は、決定されていないが、それはおそらく、真核遺伝子の極めて多数の場合と同じく、 40 “ TATA” ボ ッ ク ス の 約 30bp下 流 に あ る 。 加 え て 、 マ ウ ス LF遺 伝 子 に つ い て 転 写 開 始 部 位 が マ ッ プ さ れ て い る ( Shirsatら ( 1992) Gene110,229-234;Liuと Teng( 1991) J.of Boil.Ch em .32,21880-21885) 。 mLFと hLF5′ UTRの 間 の 相 同 性 に 基 づ い て 、 こ こ で の ゲ ノ ム hLF構 築 物は、hLF転写開始部位を含まないと結論される。 c D N A は 、 aa位 置 130に Thrコ ド ン (ACA)を 含 む ( 図 2 参 照 ) 。 ゲ ノ ム h L F ク ロ ー ン 13. 1及 び 13.2に お け る 対 応 す る 領 域 ( エ キ ソ ン 4、 及 び イ ン ト ロ ン 3と 4の 部 分 ) が 配 列 決 定 さ れ た 。 こ れ ら ク ロ ー ン は 、 配 列 ATAを 含 み 、 そ れ は イ ソ ロ イ シ ン を エ ン コ ー ド す る 。 c D N A は ま た 、 位 置 404に Cysコ ド ン (TGC)を 含 む ( 図 2 参 照 ) 。 h L F ク ロ ー ン 13.1及 び 13. 2に お い て 、 こ れ は GGCで あ り 、 グ リ シ ン を エ ン コ ー ド す る 。 8hLFgen9kの 代 り に 16hLFgen9kか ら の NotI-M1uIフ ラ グ メ ン ト を 用 い る こ と に よ り 、 16hLFg 50 (48) JP 3670003 B2 2005.7.13 enが 作 製 さ れ た 。 8hLFgen37の 構 築 図 15A に 書 い た 構 築 物 ( 8hLFgen9kと 呼 ば れ る ) か ら の 5′ NotI-M1uIフ ラ グ メ ン ト は 、 Cal I-NotIリ ン カ ー を 組 み 合 わ せ て 、 ク ロ ー ン 13.1か ら の 3′ M1uI-ClaIフ ラ グ メ ン ト に 連 結 さ れ た ( 図 17と 対 比 さ せ よ : 13.2の 代 り に 13.1と 読 み 替 え る ) 。 ク ロ ー ニ ン グ ベ ク タ ー は コ ス ミ ド pWE15で あ り 、 こ れ か ら 予 め 内 部 ClaI及 び SalI部 位 が 除 去 さ れ て 、 NotIで 切 断 さ れ た 。 マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン の 前 に 、 ベ ク タ ー 配 列 は NotI消 化 に よ り 除 去 さ れ た 。 す べ て の 構 築 物 は 、 NotIを 用 い て ベ ク タ ー か ら 切 断 さ れ 、 そ し て マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン さ れた。 発現データ 10 8hLFgenを 含 む 3 つ の マ ウ ス 及 び 16hLFgenを 含 む 5つ の マ ウ ス が 作 製 さ れ た 。 ミ ル ク 中 で の 予備的発現データは下記の通りである。 20 30 実 施 例 20 ウ シ β LG/ヒ ト ラ ク ト フ ェ リ ン ト ラ ン ス ジ ー ン ウ シ β LG-プ ロ モ ー タ ー (β -ラ ク ト グ ロ グ リ ン )が 、 h L F の 発 現 を エ ン コ ー ド す る ト ラ ン ス ジ ー ン を 構 築 す る た め に 用 い ら れ た 。 簡 単 に 言 え ば 、 ゲ ノ ム h L F 構 築 物 8hLFgen及 び 8 hLFgen37中 の α S 1 プ ロ モ ー タ ー が 、 ウ シ β LG-プ ロ モ ー タ ー で 置 き 代 え ら れ た 。 得 ら れ 40 た 構 築 物 は 、 β LG-hLFgen及 び β LG-hLFgen37と 呼 ば れ る 。 こ れ ら 構 築 の 全 体 的 戦 略 を 図 18 ∼ 20に 示 す 。 ウ シ β LG-プ ロ モ ー タ ー の 単 離 Silvaら (1990) Nucl.Acids.Res .18:3051に よ り 記 述 さ れ た シ ャ ロ ン 28フ ァ ー ジ ク ロ ー ン λ β LG-13が 、 Carl A.Batt博 士 か ら 得 ら れ た 。 こ の ク ロ ー ン は 、 β LG c D N A プ ロ ー ブ で スクリーンニングすることにより、ウシゲノムライブラリーから単離された。それは、構 造 β LG遺 伝 子 及 び 約 8kbの 5′ フ ラ ン キ ン グ 領 域 を 含 む 。 こ の ク ロ ー ン か ら 、 標 準 的 手 法 を 用 い て 4.3kb EcoRIフ ラ グ メ ン ト が 単 離 さ れ 、 プ ラ ス ミ ド pKUN5中 に サ ブ ク ロ ー ン さ れ た ( 図 18参 照 ) 。 こ の プ ラ ス ミ ド か ら 、 3.2kb NotI-SacIフ ラ グ メ ン ト が 単 離 さ れ た 。 NotI部 位 は 、 ク ロ ー 50 (49) JP 3670003 B2 2005.7.13 ニ ン グ ベ ク タ ー の ポ リ リ ン カ ー に 由 来 し た 。 SacI部 位 は 、 BLG転 写 開 始 部 位 の 15bp下 流 に あ る 。 PvuII部 位 は 、 翻 訳 開 始 部 位 の 5bp上 流 に あ る 。 SacI部 位 及 び PvuII部 位 の 間 の 領 域 ( こ れ ら 部 位 を 含 む ) を 表 わ す フ ラ グ メ ン ト は 、 図 18に 書 か れ た 30量 体 及 び 37量 体 D N A オリゴマーを合成し、アニーリングすることにより作製された。このフラグメントはまた 、 PvuII部 位 の 直 下 流 に 1 つ の ClaI及 び 1 つ の SalI部 位 を 含 む ( 図 18) 。 3.2kbNotI-SacI フ ラ グ メ ン ト 及 び 合 成 SacI-SalIフ ラ グ メ ン ト が 、 pKUNプ ラ ス ミ ド (pKUN1deltaC)( こ れ か ら 、 ClaIに よ る 切 断 及 び 続 く ク レ ノ ウ 酵 素 に よ る 切 断 ベ ク タ ー の 処 理 に よ り 内 部 ClaI部 位 が 予 め 除 去 さ れ て い た ) 中 に 連 結 さ れ た 。 こ の 連 結 化 は 、 プ ラ ス ミ ド pBLG3.2を も た ら し た。 翻 訳 開 始 部 位 の 直 上 流 の 734bp領 域 が 配 列 決 定 さ れ 、 ヒ ツ ジ BLGプ ロ モ ー タ ー の 発 表 さ れ て 10 い る 配 列 の 対 応 す る 領 域 と 比 べ ら れ た ( 図 24参 照 ) 。 全 体 的 相 同 性 は 91% で あ り 、 ヒ ツ ジ と ウ シ の BLG-プ ロ モ ー タ ー が 極 め て 似 て い る こ と を 示 す 。 β LG-hLF構 築 物 の 作 製 構 築 物 8hLFgen9k( 実 施 例 15A) か ら の 8.9ClaI-SalIフ ラ グ メ ン ト が 単 離 さ れ 、 pβ LG3.2中 に 、 こ の ベ ク タ ー を ClaI及 び SalIで 切 断 し た 後 に 、 ク ロ ー ン さ れ た 。 こ の 連 結 化 は 、 構 築 物 pβ LGhLFgen9kを も た ら し た ( 図 19) 。 こ の 構 築 物 か ら 、 9.4kbNotI-M1uIフ ラ グ メ ン ト が 単 離 さ れ 、 8hLFgenか ら 単 離 さ れ た 23∼ 24kbM1uI-NotIフ ラ グ メ ン ト と 共 に 、 NotI切 断 さ れ た pWE15コ ス ミ ド 中 に 連 結 さ れ 、 pβ LG-hLFgenを も た ら し た ( 図 19) 。 34kbNotIイ ン サ ー ト が 、 NotI消 化 に よ り こ の コ ス ミ ド か ら 単 離 さ れ 、 標 準 的 手 順 に 従 っ て マ イ ク ロ イ ン ジ ェクトされた。 20 pβ LG-hLFgen37の 作 製 の た め に 、 pβ LGhLFgen9kか ら の 9.4kbNotI-M1uIフ ラ グ メ ン ト が 、 N otI切 断 さ れ た pWE15コ ス ミ ド ベ ク タ ー 中 へ ClaI-NotIリ ン カ ー を 結 合 し て ク ロ ー ン 13.1か ら の 30kb3′ M1uI-ClaIフ ラ グ メ ン ト と 連 結 さ れ た 。 β LG-hLFgenイ ン サ ー ト が 、 標 準 的 手 順 に 従 っ て 単 離 さ れ 、 マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク ト さ れ た 。 発現データ β LG-hLFgen( 2 つ の 構 築 物 の 短 い 方 ) が イ ン ジ ェ ク ト さ れ 、 7つ の 独 立 し た マ ウ ス 系 統 が 作られた。ミルク中のhLF生成物の発現データは、下記の系統について入手できる。 30 40 実 施 例 21 50 (50) JP 3670003 B2 2005.7.13 構 造 遺 伝 子 及 び hLFプ ロ モ ー タ ー の 両 者 を 含 む ゲ ノ ム hLFフ ラ グ メ ン ト の 単 離 h L F は 通 常 、 ヒ ト ミ ル ク 中 に 比 較 的 高 い レ ベ ル ( 1 ∼ 2 mg/ml) で 発 現 さ れ る 。 h L F プロモーターがトランスジェニック動物のミルク中の高レベルhLF発現を促進できるか どうかを決定するために、それ自身のプロモーターの制御下の無傷のhLF遺伝子を標準 的手順によりマイクロイアンジェクトした。 構築の詳細 2つ の 重 要 な 点 が 、 構 築 ル ー ト を 決 定 し た 。 ゲ ノ ム h L F ク ロ ー ン を 含 む コ ス ミ ド ベ ク タ ー C2RB( 図 13) は 、 h L F イ ン サ ー ト を フ ラ ン ク す る ユ ニ ー ク 制 限 部 位 を 含 ま な い の で 、 無 傷 の イ ン サ ー ト を こ の コ ス ミ ド か ら 直 接 に 単 離 で き な か っ た 。 h L F ク ロ ー ン 13.1及 び 13.2中 に 存 在 す る 5′ 及 び 3′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 の す べ て を ト ラ ン ス ジ ー ン 中 に 含 め る こ と 10 が 望 ま れ た 。 ク ロ ー ン 13.2( 図 13) は 5′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 ( 13kb) の 殆 ど を 含 み 、 ク ロ ー ン 13.1は 3′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 ( 13.2よ り も 7kb多 い ) の 殆 ど を 含 む の で 、 13.2の 5′ 部 が 13.1の 3′ 部 と 結 合 さ れ た 。 コ ス ミ ド 13.2が 、 h L F イ ン サ ー ト の 5′ 領 域 の 0.5∼ 0.8kb上 流 の PvuI部 位 で 直 線 化 さ れ ( 図 20) 、 続 い て エ キ ソ ヌ ク レ ア ー ゼ Bal31で 処 理 さ れ 、 そ れ に よ り コ ス ミ ド の 約 1 kb及 び 5′ h L F 配 列 の 0.2∼ 0.5を 除 い た 。 続 い て 、 該 D N A を T4ポ リ メ ラ ー ゼ で 処 理 し て 、 ブ ラ ン ト 末 端 を 作 り 、 そ し て M1uIで 切 断 し た 。 約 19kb( 12.5kbの 5′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 +6. 2kbの h L F 遺 伝 子 ) ブ ラ ン ト 末 端 -M1uI切 断 プ ラ ス ミ ド ベ ク タ ー (pKUN6 deltaCla,SmaI-M 1uI)は 、 プ ラ ス ミ ド phLF5′ Mgene37を も た ら し た 。 こ の プ ラ ス ミ ド は 、 SmaI部 位 の 直 接 5 ′ 側 に NotI部 位 を 含 む 。 こ の プ ラ ス ミ ド か ら 、 19kbNotI-M1uIフ ラ グ メ ン ト が 単 離 さ れ 、 20 構 築 物 8hLFgen37か ら の 30kb M1uI-NotI3′ フ ラ グ メ ン ト と 共 に 、 NotI切 断 pWE15コ ス ミ ド 中 に 連 結 さ れ て 、 p5′ hLFgen37を も た ら し た ( 図 20) 。 49kbNotIイ ン サ ー ト は 、 標 準 的 手 順 に 従 っ て 、 単 離 さ れ 、 マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク ト さ れ た 。 構 築 物 p5′ hLFgen37に つ い て の 発 現 デ ー タ p5′ hLFgen37構 築 物 に 関 し て 8つ の 独 立 の 祖 先 マ ウ ス が 作 製 さ れ た 。 発 現 デ ー タ は 6つ の 系 統について入手できる。 30 40 実 施 例 22 乳 腺 特 異 的 hLZ発 現 カ セ ッ ト の 作 製 ヒ ト リ ゾ チ ー ム 遺 伝 子 の 構 造 及 び 配 列 が 記 載 さ れ て い る ( Petersら (1989) Eur.J.Biochem 1 82:507:516) 。 構 造 h L Z 遺 伝 子 は 、 4つ の エ キ ソ ン を 含 み 、 5.3kbの サ イ ズ を 持 つ 。 プ ロ ー ブ と し て 、 h L Z 遺 伝 子 の エ キ ソ ン 2 の 部 分 に 相 補 的 な 91量 体 合 成 D N A 配 列 を 用 50 (51) JP 3670003 B2 2005.7.13 いて、いくつかの独立のhLZクローンをヒトゲノムファージライブラリーから単離した 。 ク ロ ー ン λ 7.2.1は 、 8.7kbの 5′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 及 び 5.3kbの ゲ ノ ム h L Z 遺 伝 子 を 含 む 14kbの イ ン サ ー ト を 含 む 。 エ キ ソ ン 4は 、 部 分 的 に の み 含 ま れ る : ク ロ ー ン λ 7.2.1は 、 位 置 5333及 び 5350(Petersら 、 前 述 )に 従 っ て 、 番 号 付 け す る ) の Sau3A部 位 の 一 つ で 停 止 す る 。 位 置 5333/5350の 下 流 の 領 域 ( エ キ ソ ン 4配 列 の 532又 は 549bp) は 失 わ れ て い る 。 こ れ ら 配 列 は 非 コ ー テ ィ ン グ で あ り 、 h L Z 遺 伝 子 の 3′ UTRの 部 分 を 表 す 。 す べ て の h L Z コ ー デ ィ ン グ 配 列 は 、 λ 7.2.1中 に 存 在 す る 。 発 現 ベ ク タ ー 16,8hLZ 図 21に 示 す 発 現 ベ ク タ ー 16,8hLZの 設 計 は 下 記 の 通 り で あ る 。 h L Z 遺 伝 子 の 5′ フ ラ ン キ ン グ 領 域 ( プ ロ モ ー タ ー を 含 む ) が 除 か れ 、 実 施 例 16に 述 べ ら れ て い る プ ラ ス ミ ド p-16kb 10 CS中 に サ ブ ク ロ ー ニ ン グ す る こ と に よ り ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー で 置 き 代 え ら れ た 。 融 合 部 位 は 、 h L Z 遺 伝 子 の 5′ UTR(エ キ ソ ン 1 )中 に 位 置 さ れ 、 従 っ て 、 カ ゼ イ ン 5′ UTRの 23bpに 加 え て hLZ5′ UTRの 殆 ど が 存 在 す る 。 こ の 構 築 物 中 の す べ て の コ ー デ ィ ン グ 配 列 ( シ グ ナ ル 配 列 を 含 め ) は 、 h L Z ク ロ ー ン λ 7.2.1に 由 来 す る ( 図 23A) 。 ク ロ ー ン λ 7.2.1中 の h L Z 遺 伝 子 の 3′ UTRは 、 上 述 し た ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 の 3′ UTR+フ ラ ン キ ン グ 領 域 に 融 合 さ れ た 。 構 築 物 16,8hLZの 得 ら れ た 3′ UTRは 従 っ て 、 h L Z 遺 伝 子 か ら 部 分 的 に ( エ キ ソ ン 4、 bp4761か ら bp5333/5350に 続 く ) 、 及 び ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 か ら 部 分 的 に ( エ キ ソ ン 8の 一 部 及 び エ キ ソ ン 9の す べ て を 含 み ) 由 来 す る 。 3 ′ フ ラ ン キ ン グ 領 域 ( 8kb) は 、 ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 に 全 面 的 に 由 来 す る 。 16,8hLZの 構 築 の 詳 細 20 16,hLZ h L Z エ キ ソ ン 1 中 の AUGコ ド ン へ 直 接 5′ 側 の 6bpは 、 HincII部 位 を 成 す 。 Sa1Iフ ァ ー ジ ポ リ リ ン カ ー 部 位 は 、 λ 7.2.1イ ン サ ー ト の 直 接 3′ 側 に 位 置 さ れ る 。 こ れ ら 部 位 は 、 5.3k b HincII-Sa1Iイ ン サ ー ト を 単 離 す る た め に 用 い ら れ た ( 図 23) 。 +3(+1に お け る 転 写 開 始 部 位 に 対 し て ) か ら HincII部 位 に 続 く 配 列 は 、 図 23Aに 書 か れ て い る 31量 体 及 び 35量 体 を アニーリングすることにより合成された。得られた合成DNAフラグメントは、人工的な 5′ -KpnI-HincIIフ ラ グ メ ン ト を 有 し 、 5.3kb HincII-Sa1Iフ ラ グ メ ン ト は 、 KpnI-Sa1I切 断 pKUN-1プ ラ ス ミ ド 中 に サ ブ ク ロ ー ン さ れ た ( 図 23A) 。 得 た 9.3kbプ ラ ス ミ ド ( pKHLys3 ′ 5.3) か ら 、 5.3kb C1AI-Sa1Iフ ラ グ メ ン ト が 単 離 さ れ 、 ClaI-Sa1I切 断 p-0.7kbCSプ ラ ス ミ ド ( p-16CSの 等 価 物 だ が 、 よ り 小 さ い 5′ フ ラ ン キ ン グ 配 列 を 含 む ) 中 に サ ブ ク ロ ー ン 30 さ れ て 、 pKhLZ0.7を も た ら し た 。 3′ カ ゼ イ ン UTR及 び フ ラ ン キ ン グ 配 列 の 約 6.6kbを 含 む 8kbウ シ α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 EcoR Iフ ラ グ メ ン ト が 、 8kb5′ -HhoI-Sa1I-3′ フ ラ グ メ ン ト と し て 、 プ ラ ス ミ ド pke3′ E10( 上 述 ) か ら 単 離 さ れ た ( 図 23B) 。 こ の フ ラ グ メ ン ト は 、 pKhLZ0.7の Sa1I部 位 中 に サ ブ ク ロ ー ン さ れ て 、 p0.7,8hNLZを も た ら し た 。 こ の 後 、 p0.7,8hLZの Sa1I部 位 を 、 リ ン カ ー S1/S2 の 挿 入 に よ り NotI部 位 で 置 き 代 え て 、 プ ラ ス ミ ド p0.7、 8hLZNtを 得 た ( 図 23D) 。 こ の プ ラ ス ミ ド か ら 、 13.3kb C1AI-NotIフ ラ グ メ ン ト を 単 離 し 、 p-16CSか ら の 14.5kbNotI-C1AI フ ラ グ メ ン ト と 共 に 、 NotI切 断 pWE15コ ス ミ ド 中 へ と 連 結 し た ( 図 23E) 。 得 た 構 築 物 ( 図 23Eで 16,8hLZと 名 付 け た ) か ら 、 27.8kb NotIイ ン サ ー ト を 、 標 準 的 手 順 に 従 っ て 単 離 し 、精製し、ネズミ及びウシ受精卵中にマイクロインジェクトした。 40 発 現 ベ ク タ ー 16,8hLZ3 図 22に 示 す 発 現 ベ ク タ ー 16,8hLZ3の 設 計 は 下 記 の 通 り で あ る 。 上 述 の 発 現 ベ ク タ ー 16,8hL F3を 、 16,8hLZ3の 構 築 に 用 い た 。 ベ ク タ ー 16,8hLZ3は 、 ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン 遺 伝 子 プ ロ モ ーターのみでなく、ウシαS1遺伝子の完全な最初のエキソン及び最初のイントロンの一 部を含む。加えて、それは、免疫グロブリン遺伝子の最初のイントロン及びスプライスア ク セ プ タ ー 部 位 を 含 む 。 シ グ ナ ル 配 列 及 び 3′ UTRの 一 部 及 び 完 全 な 3′ フ ラ ン キ ン グ 領 域 がまた、ウシαS1カゼイン遺伝子に由来する。hLF cDNA及びαS1カゼインシ グ ナ ル 配 列 が 、 C1AI-Sa1I二 重 消 化 に よ り こ の ベ ク タ ー か ら 切 出 さ れ る 。 C1AI部 位 は 、 翻 訳 開 始 コ ド ン に 対 し 5bp5′ 側 に 位 置 さ れ る 。 5.3bp C1AI-Sa1I hLZフ ラ グ メ ン ト が 、 プ ラ ス ミ ド pKhLZ0.7か ら 単 離 さ れ 、 C1AI-Sa1I切 断 50 (52) JP 3670003 B2 2005.7.13 16,8hLF3ベ ク タ ー ( こ れ か ら h L F c D N A が C1AI-Sa1I二 重 消 化 に よ り 除 か れ て い た ) 中にサブクローンされた。 16,8hLZ発 現 カ セ ッ ト ベ ク タ ー 配 列 は 、 NotI消 化 に よ り 除 去 さ れ 、 続 い て 標 準 的 手 順 に よ り精製され、そしてマウス受精卵にマイクロインジェクトされた。 発現データ 構 築 物 16,8hLZ 構 築 物 16,8hLZに 関 し て 7つ の ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス が 発 生 さ れ た 。 発 現 デ ー タ は 、 6 つの独立マウス系統について入手できる(ミルクサンプルについて我々の標準的hLZ評 価法を用いて、乳分泌する子孫からのデータ)。 10 20 上 記 の デ ー タ は 、 16,8hLZが 比 較 的 高 レ ベ ル で 発 現 す る こ と を 示 す 。 ヒ ト ミ ル ク に お い て 、 h L Z レ ベ ル は 、 50μ g/ml( 最 大 ) の み で あ る 。 h L Z は 15kD蛋 白 質 で あ る か ら 、 0.26 mg/ml hLZの レ ベ ル は h L F の 約 1.3mg/mlに 相 当 す る ( h L F は 80kDで あ る ) 。 構 築 物 16,8hLZ3 コ バ レ ン ト 16,8hLZ3に つ い て 、 4つ の 独 立 の ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス が 発 生 さ れ た 。 下 記 の 発 現 の デ ー タ が マ ウ ス 系 統 905及 び 907か ら 入 手 で き る 。 30 こ の デ ー タ は 、 16,8hLZ3が 比 較 的 高 い レ ベ ル で 発 現 さ れ う る こ と を 示 す ( 0.36mg/mlが 約 1 .8mg/ml h L F に 相 当 す る ) 。 し か し 、 示 さ れ る よ う に 、 16,8hLZ3が 常 に 高 レ ベ ル で 発 現 す る 訳 で は な い 。 分 析 さ れ た マ ウ ス の 数 は 極 め て 少 い が 、 構 築 物 16,8hLAと 16,8hLZ3は 、 発 現 の 頻 度 及 び 発 現 レ ベ ル に 関 し て 、 多 か れ 少 な か れ 似 て い る よ う に 見 え る 。 し か し 、 16 ,8hLZに つ い て ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク な マ ウ ス の 他 の 7系 統 も 、 16,8hLF3構 築 物 を 含 む こ と に 留 意 し な け れ ば な ら な い ( 下 記 参 照 ) 。 こ れ ら 系 統 の ど れ も 、 0.36mg/mlの よ う な 高 レ ベ 40 ル で 発 現 し な か っ た 。 従 っ て 、 16,8hLZ3は 、 16,8hLZよ り も 効 率 的 な 構 築 物 で あ る よ う に 見える。これは、異種の(非相同的な)スプライス部位(これはhLF cDNA発現レ ベルを高めない)により起されうる。 実 施 例 23 ゲ ノ ム hLZ及 び hLZ cDNAを エ ン コ ー ド す る ト ラ ン ス ジ ー ン を 含 む ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス 16,8hLZF3及 び 16,8hLZの コ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン トランスジェニック動物のミルクにおいてhLFとhLZを同時に発現することの可能性 を 評 価 す る た め に 、 適 当 な 単 離 さ れ 精 製 さ れ た 16,8hLF3及 び 16,8hLZ構 築 物 を 、 マ ウ ス 受 精卵中にコインジェクトした。 50 (53) JP 3670003 B2 2005.7.13 2 つ の 構 築 物 に つ い て ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク な 7つ の 独 立 の マ ウ ス 系 統 が 発 生 さ れ た 。 各 系 統について入手できる発現データは下記の通りである。 10 結論 系 649の み ( 7分 の 1 ) が 、 比 較 的 高 い レ ベ ル で h L Z を 発 現 す る 。 系 統 649及 び 660( 7分 の 2) が 高 レ ベ ル で h L F を 発 現 す る 。 単一の構築物のインジェクションから得られたデータとの比較 20 16,8hLZに つ い て 16,8hLF3及 び 16,8hLZ発 現 カ セ ッ ト を コ イ ン ジ ェ ク ト さ れ た マ ウ ス 系 統 649の hLZ発 現 レ ベ ル は 、 16,8hLZの み を イ ン ジ ェ ク ト さ れ た 系 統 661の そ れ と 同 等 で あ る 。 多くの場合に、hLZの高レベル発現はコインジェクション後に得られない(7分の1で 高 発 現 ( 系 統 649) ; 7 分 の 2 ( 系 統 650と 660) で 中 程 度 の 低 発 現 ; 7 分 の 4 で 低 発 現 ) 。hLZトランスジーン単独のインジェクション後に、同様のデータが得られる(4分の 1 で 高 い 発 現 ( 系 統 661) ; 4 分 の 1 で 中 程 度 ; 4 分 の 2 で 低 発 現 ) 。 従 っ て 、 16,8hLZト ラ ン ス ジ ー ン の 挙 動 は 、 16,8hLF3ト ラ ン ス ジ ー ン の 存 在 に よ っ て 、 測 定 可 能 な 程 に 影 響 さ れない。 7 系 統 の ど れ も 系 統 905( 構 築 物 16,8hLZ3) ほ ど 高 い レ ベ ル で 発 現 せ ず 、 但 し 649の レ ベ ル 30 は同じ範囲にあることに留意されたい。 結 論 と し て 、 こ れ ら 構 築 物 は 比 較 的 高 レ ベ ル ( 0.2∼ 5mg/mL範 囲 ) で 発 現 さ れ る こ と が で き 、 得 ら れ た ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス の 約 20∼ 25% が こ れ ら 高 レ ベ ル で 発 現 す る ( 13分 の 3;7つ が コ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン +6つ が 単 独 イ ン ジ ェ ク シ ョ ン ) 。 ま た 、 16,8hLF3と の コ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン は 、 16,8hLZの 発 現 に 影 響 す る と は 見 え な い 。 16,8hLF3に つ い て 16,8hLF3の 単 独 イ ン ジ ェ ク シ ョ ン は 、 13の 独 立 の ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス 系 統 を も た ら した。これらは2群に分けることができる。 ( 1 ) 0.1∼ 5μ g/mlの レ ベ ル を 作 っ た 低 発 現 体 (13分 の 8)、 及 び ( 2 ) 40∼ 200μ g/mlの レ ベ ル を 作 っ た 高 発 現 体 (13分 の 5)。 40 コ イ ン ジ ェ ク ト さ れ た フ ラ グ メ ン ト を 持 つ マ ウ ス の う ち 、 7分 の 2 が 高 レ ベ ル で 発 現 す る 。 こ れ は 、 一 つ の フ ラ グ メ ン ト の イ ン ジ ェ ク シ ョ ン 後 に 観 察 さ れ た 高 レ ベ ル 発 現 の 頻 度 (5 /13)と 類 似 で あ る 。 し か し 、 16,8hLF3/16,8hLZマ ウ ス 系 統 (649と 660)は 、 先 に 観 察 さ れ た の よ り は る か に 高 レ ベ ル で hLFを 発 現 す る 。 こ れ は 、 h L Z 構 築 物 の 存 在 が 16,8hLF3構 築 物 の 発 現 を 刺 激 す る こ と を 示 す 。 系 統 649に お い て 、 高 hLFレ ベ ル は 、 高 hLZレ ベ ル を 伴 な う 。 系 統 660に つ い て 、 hLZレ ベ ル が 中 程 度 な の で 、 こ の こ と は あ ま り 明 瞭 で な い 。 し か し 、 下 記 で 示 す よ う に 、 R N A 分 析 に よ る と 、 系 統 660中 の 16,8hLZト ラ ン ス ジ ー ン は 、 h L Fトランスジーンと比べて少なくとも同程度に転写的に活性である。 mRNAレ ベ ル に お け る 発 現 分 析 か ら の 結 果 ウ シ 乳 分 泌 乳 腺 全 R N A 及 び 乳 分 泌 ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス ( ゲ ノ ム h L F 、 16,8hLF3 50 (54) JP 3670003 B2 2005.7.13 及 び 16、 8hLF3+16,8hLZに つ い て ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク な マ ウ ス を 含 め ) か ら の 乳 腺 全 R N A の 両 者 に 対 し て ノ ー ザ ン ブ ロ ッ ト 分 析 を 行 っ た 。 ウ シ α S 1 カ ゼ イ ン R N A の 5′ UTRに おいて及び全てのトランスジーン由来RNAにおいて正確に同じ配列にハイブリッドする 24bp合 成 オ リ ゴ マ ー が プ ロ ー ブ と し て 用 い ら れ た 。 発 現 レ ベ ル は 、 ト ラ ン ス ジ ー ン -及 び ウシαS1RNAにハイブリッドした標識されたプローブの量の定量化により直接に比較 された。 hLZ-mRNAと hLF− mRNAの 比 、 及 び hLZ-mRNAと ウ シ α S 1 m R N A の 比 は 、 h L Z 及 び h L F 蛋 白 質 レ ベ ル か ら 予 測 さ れ る よ り も は る か に 高 か っ た 。 た と え ば 、 系 統 649は 、 ∼ 0.2mg /mlの h L Z 、 及 び ∼ 1 − 2 mg/mlの h L F を 発 現 し た 。 蛋 白 質 サ イ ズ に つ い て 較 正 ( 因 子 5)した後、hLZ及びhLF mRNAレベルは同じ範囲にあって、hLFレベルがh 10 L Z R N A レ ベ ル よ り 約 2 倍 高 い と 予 測 さ れ る 。 し か し 、 系 統 649に お い て 、 h L Z m R N A レ ベ ル は は 、 h L F m R N A レ ベ ル よ り 20倍 高 か っ た 。 系 統 650,661,662及 び ウ シ 乳腺RNAの比較RNA分析は、これらデータを確認した。 従って、hLZ発現の転写的に極めて高いレベルは、本発明の発現系に基づくゲノムhL Z配列及びウシαS1カゼイン遺伝子を用いて得られると結論されうる。ゲノムhLZ構 築物は、hLF cDNA構築物よりもはるかに高いレベルで転写され、ゲノムhLF構 築物と同じ範囲で発現される。 様 々 の h L F 及 び h L Z ト ラ ン ス ジ ー ン の 挙 動 を 翻 訳 レ ベ ル で 比 較 す る た め に 、 20倍 較 正 が な さ れ ね ば な ら な い 。 0.25mg/mlで 発 現 す る h L Z ト ラ ン ス ジ ー ン の 転 写 活 性 は 、 5 mg/ mlの 蛋 白 質 レ ベ ル と 同 等 で あ り 、 50μ g/mlの レ ベ ル が 1 mg/mlに 等 し い 。 加 え て 、 マ ウ ス 20 系 統 649hLZ mRNAレ ベ ル は 、 ウ シ α S 1 m R N A レ ベ ル ( こ れ は 10倍 希 釈 さ れ て い た ) を 数 倍 超 え た 。 ウ シ α S カ ゼ イ ン は ∼ 12mg/mlで 発 現 さ れ ( そ し て h L Z と 類 似 の サ イ ズ で あ る ) か ら 、 こ れ ら hLZRNAレ ベ ル は 、 数 mg/mlの 発 現 レ ベ ル に 等 し い で あ ろ う 。 実 施 例 24 16,8A hLZの 作 製 構 築 物 16,8A hLZは 、 16,8 hLZ3の 誘 導 体 で あ る 。 16,8A hLZ3に お い て 、 hLZ5'UTR配 列 及 び hLZシ グ ナ ル 配 列 が 、 ウ シ α S1カ ゼ イ ン 遺 伝 子 か ら の 対 応 す る 配 列 で 置 き 代 え ら れ た 。 構 築 物 16.A hLZ3は 、 16,8A hLZ3の 誘 導 体 で あ る 。 16.A hLZ3に お い て 、 ウ シ α S1カ ゼ イ ン 遺 伝 子 3'UTR及 び フ ラ ン キ ン グ 配 列 は 、 hLZ3'UTR及 び 4.5kbの hLZ3''フ ラ ン キ ン グ 配 列 に よ り置き代えられた。 30 構成の詳細 ベ ク タ ー p07,8hLZ( 図 23B) が 、 ClaIお よ び Sa1Iで 消 化 さ れ た 。 4.7kbフ ラ グ メ ン ト ( 0.7k bの α S1カ ゼ イ ン 5'フ ラ ン キ ン グ 配 列 及 び プ ラ ス ミ ド ベ ク タ ー を 含 む ) が 単 離 さ れ 、 リ ン カ ー GP278/279に 連 結 さ れ た ( 図 25) 。 こ の DNA配 列 は 、 ウ シ α S1カ ゼ イ ン 5'UTRの 一 部 、 完 全 な ウ シ α S1カ ゼ イ ン シ グ ナ ル 配 列 及 び 25kbの hLZ配 列 ( 成 体 hLZの N 末 端 領 域 を エ ン コ ー ド す る ) を 含 む 。 連 結 化 生 成 物 は 単 離 さ れ 、 pKHLys3'5.3か ら の 5.3kb Ba1I-Sa1Iフ ラ グ メ ン ト ( 図 23Aに 書 か れ て い る ) に 連 結 さ れ た 。 得 ら れ た 構 築 物 は 、 p0.7AhLZΔ 3'で あ る 。 こ の 構 築 物 か ら 、 5.3kb ClaI- Sa1Iフ ラ グ メ ン ト が 単 離 さ れ 、 p16,8hLF3由 来 の C1aI-Sa1 Iベ ク タ ー ( 16,8hLZ3の 構 築 で も 用 い ら れ た ) 中 に 挿 入 さ れ た 。 得 ら れ た 構 築 物 は 、 p16,8 A hLZ3と 呼 ば れ る ( 図 26) 。 40 16,A hLZ3の 構 築 の た め 、 ベ ク タ ー p0.7AhLZΔ 3'が Xba1及 び Sa1Iで 消 化 さ れ 、 Xba1-NotI-S a1Iリ ン カ ー が 挿 入 さ れ た ( 図 27) 。 こ の ベ ク タ ー は 、 Xba1で 線 形 化 さ れ 。 λ HLYS1( Pete rsら に よ り 記 述 さ れ て い る 。 Eur.J.Ciochem.182,507-516,1989) か ら の 6.5kb Xba1フ ラ グ メ ン ト が 、 セ ン ス オ リ エ ン テ ー シ ョ ン に 挿 入 さ れ た 。 こ れ は 、 ベ ク タ ー p0.7AhLZを も た ら し た 。 こ の ベ ク タ ー か ら 、 9.8kb ClaI-NotI hLZフ ラ グ メ ン ト が 単 離 さ れ 、 16,8 hLZ3か ら の 14.5kb NotI-ClaIフ ラ グ メ ン ト と 共 に 、 NotI消 化 さ れ た pWE15コ ス ミ ド ベ ク タ ー 中 に 挿 入された。 両 場 合 に 、 プ ラ ス ミ ド 配 列 の な い ト ラ ン ス ジ ー ン が NotIフ ラ グ メ ン ト ( 16,8A hLZ3;27.8k b;AhLZ3;24.3kb) と し て 単 離 さ れ 、 精 製 さ れ 、 標 準 的 手 順 に 従 っ て 受 精 し た マ ウ ス 母 卵 細 胞中にマイクロインジェクトされた。 50 (55) JP 3670003 B2 2005.7.13 4 つ の 独 立 し た ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク 祖 先 マ ウ ス が 構 築 物 16,8A hLZ3を 有 し て 発 生 さ れ 、 6 つ の マ ウ ス が 構 築 物 16AhLZ3を 有 し て 発 生 さ れ た 。 予 備 的 な 発 現 デ ー タ は 下 記 の 通 り で あ る。 10 こ れ ら 結 果 か ら 、 構 築 物 16A hLZ3は 、 テ ス ト さ れ た 他 の hLZ構 築 物 の い ず れ よ り も は る か に高い発現を与えると結論される。 hLZ蛋 白 質 発 現 レ ベ ル の デ ー タ と 結 び 付 け た 予 備 的 な 定 量 的 ノ ー ザ ン ブ ロ ッ ト デ ー タ は 、 構 築 物 16,8hLZと 16,8hLZ3に つ い て 観 察 さ れ た よ う な RNAレ ベ ル と 蛋 白 質 レ ベ ル と の 差 違 が 構 築 物 16AhLZ3で は 起 き な い こ と を 示 す 。 実 施 例 25 子 牛 No.4で の 伝 達 実 験 20 牛 繁 殖 で 用 い ら れ る 通 常 の 手 順 を 用 い て 、 3 頭 の 若 雌 牛 が 過 剰 排 卵 さ れ た ( Diekman,S.J. ら ( 1989) Theriogenology31:473-487) 。 次 に 、 こ れ ら 動 物 を 、 実 施 例 15で 記 載 し た よ う に 子 牛 No.4か ら の 精 子 で 受 精 さ せ た 。 子 牛 No.4は 、 実 施 例 15で 記 載 し た よ う に ト ラ ン ス ジ ェニックであると判定された。受精は、2つの妊娠を結果した。 こ れ ら 2 頭 の 動 物 を 受 精 の 4 週 後 に 殺 し 、 胚 を 子 宮 か ら 回 収 し た 。 全 DNAを 、 Maniatisら ( 1982) に 記 載 さ れ た 手 順 に 従 っ て 、 こ れ ら 胚 か ら 分 離 し 、 EcoRIで 消 化 し 、 サ ザ ン ブ ロ ッ ト 法 で 分 析 し た 。 ブ ロ ッ ト は 、 hLF遺 伝 子 に 対 し 特 異 的 な プ ロ ー ブ に ハ イ ブ リ ッ ド 化 さ れ た ( 実 施 例 15と 同 じ プ ロ ト コ ー ル ) 。 回 収 さ れ た 12の 胚 の う ち 、 6 つ ( 50% ) が hLF特 異的バンドを示した。すべての場合に、バンドは、予期されたサイズ及び強度を有した。 これは下記を示している。 30 ( a ) 約 50% の 効 率 で の ト ラ ン ス ジ ー ン 伝 達 。 (b)コピー数は、祖先におけると同じ(∼3)である。 (c)伝達の間に、大きな再配置は起きなかった。 ウ シ Y 染 色 体 リ ピ ー ト に 対 し て 特 異 的 な プ ラ イ マ ー を 用 い る PCR分 析 に よ る と 、 6 つ の ト ランスジェニック胚のうち、5つが雄であり、1つが雌であった。これらデータは、トラ ンスジーンが雄にも雌にも伝達されることができ、Y染色体中に組込まれなかったことを 示す。 Y染色体特異的なプライマーの配列は、下記の通りである。 実 施 例 26 子ウシ唾液中での組み換え蛋白質の発現 hLFト ラ ン ス ジ ー ン ( 実 施 例 18で 記 載 ) 及 び hLZト ラ ン ス ジ ー ン ( 16,8 hLZ、 実 施 例 22で 記 載 ) で コ イ ン ジ ェ ク ト さ れ た 卵 母 細 胞 か ら 10の 動 物 が 生 ま れ た 。 サ ザ ン ブ ロ ッ ト で 判 定 す ると、これら動物のどれもトランスジェニックでなく、しかし、それらの4つ(すべての 雄 ) は 、 血 液 及 び 耳 か ら の 0.5μ g DNAで の PCR実 験 に よ る と 、 モ ザ イ ク で あ る と 判 定 さ れ た 。 こ れ ら PCR実 験 の た め の プ ラ イ マ ー は 、 hLF遺 伝 子 の エ キ ソ ン 8 中 に 位 置 さ れ た 。 プ ラ イマーの配列は、下記の通りである。 40 (56) JP 3670003 B2 2005.7.13 10頭 の 動 物 の す べ て が 、 唾 液 中 の hLF及 び hLZ発 現 に つ い て テ ス ト さ れ た 。 唾 液 腺 中 の 上 皮 細胞は、乳腺中の上皮細胞と構造的及び機能的に類似であり、いくつかの乳蛋白遺伝子は 唾液腺中でも発現されうる(乳腺におけるよりもはるかに低いレベルであるとはいえ)。 唾 液 の 約 2 mlを 動 物 の 口 か ら 集 め 、 実 施 例 5 に 記 載 さ れ る ラ ジ オ イ ム ノ ア ッ セ イ を 用 い て こ れ ら 試 料 中 の 蛋 白 質 の レ ベ ル を 決 定 し た 。 10頭 の 動 物 の う ち 、 3 頭 が 検 出 下 限 よ り 上 の hLF発 現 を 示 し た 。 3 頭 す べ て は 、 モ ザ イ ク で あ る と 判 定 さ れ た 4 頭 の 動 物 の 群 の 一 部 で あった。 10 発現レベルは下記の通りであった。 20 10頭 す べ て の 動 物 が 、 hLZ発 現 に つ い て も テ ス ト さ れ た 。 動 物 9772の み が 、 唾 液 中 の hLZ発 現 を 示 し た 。 検 出 さ れ た 量 は 、 2 ng/mlで あ っ た 。 実 施 例 15で 記 載 し た 実 験 で 生 ま れ た 21の 動 物 の う ち 、 1 つ の 動 物 ( 雄 ) が 、 hLFに 対 し て 免 疫 寛 容 で あ る 事 実 に 基 づ い て 、 モ ザ イ ク で あ る と 判 定 さ れ た 。 こ の 動 物 は 、 唾 液 中 で 10 0ng/mlの hLF発 現 を 示 し た 。 こ れ ら デ ー タ は 、 用 い ら れ た ト ラ ン ス ジ ー ン が ウ シ 中 で hLF( 及 び hLZ) を 発 現 で き る こ と を示す。 本発明の好ましい態様を記載したが、開示された実施態様に種々の変更を行いうること、 及びその様な変更は本発明の範囲内にあると意図されることが、当業者にとって明らかで あろう。 本明細書で述べられたすべての引用文献は、引用することにより本明細書に組込まれるも のである。 30 (57) 【図1A】 【図1B】 【図1C】 【図1D】 JP 3670003 B2 2005.7.13 (58) 【図1F】 【図1G】 【図2A】 【図2B】 JP 3670003 B2 2005.7.13 (59) 【図3】 【図4】 【図5A】 【図5B】 JP 3670003 B2 2005.7.13 (60) 【図5C】 【図6】 【図7A】 【図7B】 JP 3670003 B2 2005.7.13 (61) 【図7C】 【図7D】 【図7E】 【図7F】 JP 3670003 B2 2005.7.13 (62) 【図8A】 【図9】 【図8B】 【図10】 【図11】 【図12A】 【図13】 【図14】 JP 3670003 B2 2005.7.13 (63) 【図12B】 【図15B】 【図15C】 【図15A】 【図16】 【図17】 【図18】 JP 3670003 B2 2005.7.13 (64) 【図19】 【図20】 【図21】 【図23A】 【図22】 JP 3670003 B2 2005.7.13 (65) 【図23B】 【図23C】 【図23D】 【図23E】 【図24A】 JP 3670003 B2 2005.7.13 (66) 【図24B】 【図25】 【図27】 【図26】 JP 3670003 B2 2005.7.13 (67) JP 3670003 B2 2005.7.13 フロントページの続き 7 (51)Int.Cl. FI A61P 15/00 A61P 15/00 171 C07K 14/47 C07K 14/47 C07K 14/765 C07K 14/765 C12P 21/02 C12P 21/02 C (72)発明者 ハイネカー、ヘルベルト、エル. アメリカ合衆国、カリフォルニア州 94010、ヒルスボロウ、ロハンプトン ロード 501 (72)発明者 プラテンブルグ、ゲラルド オランダ国、2252 エックスアール ヴォールショテン ウィンガールデンラーン 56 (72)発明者 リー、サング、ヘ. オランダ国、2331 エイチエヌ レイデン フィエン デ ラ マルストラート 26 (72)発明者 ピーパー、フランク オランダ国、3555 ヴィエム ユトレヒト、シー.ヴァン マースジックストラート 13 審査官 田村 明照 (56)参考文献 欧州特許出願公開第00451823(EP,A1) 国際公開第91/008216(WO,A1) BIO/TECHNOLOGY, Vol.9, pp.844-847 (1991) Nature Biotechnology, Vol.20.No.5,pp.484-487 (2002) 7 (58)調査した分野(Int.Cl. ,DB名) C12N 15/00 BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed