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プレスリリース pdf, 434kb
Press Release
April 1, 2016
報道各位
「都市部の健康に関するグローバル・レポート」発表
都市部における人々の健康、
改善は見られるものの「健康格差」は顕著
貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、このたび WHO 神戸センターは国連人間居住計画(UN-Habitat)と共同で「都市部の健康
に関するグローバル・レポート:持続可能な開発のために、公平でより健康な都市を」を発表しま
した。
このレポートで約 100 カ国の都市部に住む人々の健康について分析したところ、世界の都市人口
の増加が進む一方で、特に富裕層と貧困層との間の健康格差が顕著であることが示されました。
例えば、91 カ国の都市部の世帯における水道水へのアクセスを検討した結果、わずか半数が水
道水へのアクセスを有し、上位 20%の最富裕グループは下位 20%の最貧困グループの 2.7 倍のア
クセスを有することが示されました。アフリカ諸国ではその差がおよそ 17 倍です。
また、都市部には現在、約 37 億人が暮らし、2030 年までにさらに 10 億人が都市に住むと予測
されています。その増加は低・中所得国にて著しく、増加人口の 90%を占めるとされています。
これらの状況を鑑みると、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)-世界中のすべての人々
が必要な時に基礎的な保健医療サービスを経済的負担に苦しむことなく受けられること-を 2030
年までに確実なものとする持続可能な開発目標(SDGs)の達成がいかに重要であることがわかりま
す。
改善は見られるものの「健康格差」は顕著
また、低・中所得国 79 カ国において都市部の 5 歳未満の子どもの平均死亡率について分析した
結果、下位 20%の最貧困グループでは上位 20%の最富裕グループの約 2 倍であることが示されま
した。また、分析対象となった 9 割の国において、都市部の貧困層では 5 歳未満の子どもの死亡率
削減というミレニアム開発目標(MDGs)が達成できませんでした。
このレポートは SDGs 達成のために各国が都市部における健康格差の問題とその決定要因に早急
に対応することの重要性を訴えています。また、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC) の
推進において成功を収めた各都市(広州市、ラゴス(ナイジェリア)、リマ(ペルー)、サンフラ
ンシスコなど)の革新的な事例を紹介しています。
「約 10 億人が都市部のスラム地域や非正規居住区に暮らしている現実を考えると、特にそうし
た社会的に不利な立場の人々に焦点をあてながら健康格差を浮き彫りにして縮小させることが急務
です。このレポートは健康格差の縮小に向けて、また、SDGs の達成に向けて、各国政府や地方自
治体が実際に活用できるツールを提供しています」とマリー-ポール・キーニーWHO 事務局長補
(保健システム・イノベーション担当)は語ります。
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)のさらなる推進
多くの都市で保健医療サービスのカバレッジが改善している一方、現在、世界では少なくとも 4
億人には基本的な人権としての保健医療へのアクセスがありません。医療保険制度も不十分であっ
たり、存在すらしていないのです。このレポートでは 9 つの UHC 指標について 94 カ国の都市部の
データを新たに分析し、都市部における UHC ダッシュボードとして掲載しています。それによる
Press Release
April 1, 2016
と保健医療サービスのカバレッジにおいて都市部では国家レベルよりも総じて進展は見られるもの
の、都市内格差が顕著でした。
「人々」と「健康」を重視した街づくりが重要
都市化の進行とともに、健康を取り巻く新たな課題が台頭してきています。非感染性疾患と感染
性疾患の二重負担、大気汚染、安全な水と衛生設備へのアクセスの問題、栄養不良(低栄養と過栄
養)、運動不足や健康危機への備えなどがその例です。これらに対応していくためには各国政府、
地方自治体ともに UHC のさらなる推進が必要となります。また、このレポートでは非感染性疾患
管理のための包括的な介入策や、住宅や交通なども考慮した住民の健康を重視した街づくり、将来
の都市計画についても具体的な提案をしています。
「都市部における健康を増進するためには、保健医療システムの強化だけでは不十分で、都市部
の環境整備が重要です。このように相互に密接に関連し、影響しあう要因に積極的に投資すること
が結果的には効率的でシナジーを生み、SDGs 達成への近道であると考えます」とアレックス・ロ
ス WHO 神戸センター所長は語ります。
「都市の経済が活発でインクルーシブ(包摂的)であるためには人々の健康が重要です。このレ
ポートは SDGs 達成のための協働の可能性について言及しており、今年 10 月エクアドルのキトで
開催される第 3 回国連人間居住会議(ハビタット 3)と、そこでとりまとめられる人間居住に係る
課題の解決に向けた国際的な取組方針、ニュー・アーバン・アジェンダに向けた布石となると思い
ます」とジョアン・クロス UN-Habitat 事務局長は語ります。
Note to editors: レポート概要
 2010 年に WHO と UN-Habitat が共同発表した「隠れた都市の姿:健康格差是正を目指して」
を受け、都市部の健康格差とその社会、経済、環境的要因に関する最新のエビデンスを提供。
 非感染性疾患、感染性疾患、健康危機、栄養、環境衛生(大気汚染、水道や衛生設備へのア
クセス)、交通、住宅、エネルギー、安全性など健康に影響を与えるさまざまな要因につい
て、多部門連携の必要性を示すエビデンスを提供。
 UHC や SDGs 達成に向けて都市レベルのガバナンスとリーダーシップの強化の必要性を提言。
都市や国家、ひいてはグローバルなレベルでの持続可能な経済成長、社会の安定と人類のポ
テンシャルの最大実現のためには人々の健康が基本要件であると主張。
 自治体の介入が特に必要な分野を特定し、それぞれの介入が都市部の健康格差の解消に与え
る影響について論述。
 約 10 億人が都市部のスラム地域や非正規居住区に暮らし、その数が 2050 年までに倍増す
る見込みを鑑み、都市部の健康格差とその影響を最も受ける社会的に不利な立場の人々に着
目。
なお、本フルレポート(英文)とエグゼクティブ・サマリー(日本語)は下記、WHO 神戸センタ
ーウェブサイトからダウンロードできます。http://www.who.int/kobe_centre/ja/
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