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石油・天然ガス開発事業の基本契約

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石油・天然ガス開発事業の基本契約
知っておきたい
第 22 回
石油・天然ガス開発事業の基本契約
今回は、石油・天然ガス開発事業における基本的な契約について解説します。
石油・天然ガス開発を行おうとする事業者は、最初の
ステップとして、産油国政府から鉱区権益を取得しま
す。その際、産油国政府・事業者間で鉱区権益に係る諸
条件を取り決めた契約を締結します(ライセンス契約・
生産物分与契約)
。
また、石油・天然ガス開発事業は、多額の資金を要す
る一方、期待した量の資源が発見されないなどの多様な
リスクがあるため、複数の事業者が共同で行うのが一般
的です。そのため、事業者間の権利義務を取り決めるた
めの契約を締結します(共同操業契約)。
契約関係図
ライセンス契約または生産物分与契約
(産油国政府と事業者 A・B・C の全員で締結)
産油国政府
共同操業契約
(事業者 A・B・C 間のみで締結)
事業者 A
事業者 B
事業者 C
産油国政府・事業者間の契約
産油国政府が事業者に鉱区権益を付与する形態は、国によって異なりますが、
大別すると、①ライセンス契約 ②生産物分与契約(Production Sharing Contract, PSC)の2つに分かれます。
①ライセンス契約(イギリス、オーストラリア、パプアニューギニア、アメリカ、カナダなど)
と呼ばれることもあります。
売上の配分のイメージ
形態で利益の一部を納めます。
なお、この形態の契約は、国によってリース契約、利権契約
事業者分
ロイヤルティ
探鉱・開発コスト、
操業費用
税引き後利益
この形態を採用している産油国の政府は、事業者に対して、
特定の鉱区において石油・天然ガスの探鉱・開発作業を行う
権利を付与します。一方、事業者は、産油国政府に対して提出
した計画に基づき作業を行う義務を負います。
生産された石油・天然ガスの所有権は事業者が有し、事業
者は、石油・天然ガスを販売することにより利益を得ます。一
方、事業者は、産油国政府に対して、ロイヤルティ・税金などの
所得税
産油国政府分
②生産物分与契約(ベトナム、マレーシア、インドネシアなど)
いては契約に定められた割合で事業者と産油国政府との間で
配分されます。
生産物の配分のイメージ
コスト回収相当分
探鉱・開発コスト、
操業費用
事業者分
利益相当分
税引き後利益
この形態を採用している産油国においては、事業主体は国
家であり、事業者は、国家からの作業請負人として、石油・天
然ガスの探鉱・開発作業を行います。
事業者が作業請負人と位置づけられることから、一般的に、
事業運営に対する産油国政府の関与度合いがライセンス契
約の形態を採用する国に比べて高くなります。
また、生産された石油・天然ガスの所有権は一義的には産
油国政府に帰属し、事業者は、生産物の配分を受けることによ
り、過去の投資や操業コストを回収し利益を得ます。具体的に
は、生産された石油・天然ガスがコスト回収相当分と利益相当
分に区分され、前者については事業者に配分され、後者につ
産油国政府取り分
産油国政府分
事業者間の契約
石油・天然ガス開発プロジェクトに参加する事業者は、事業
者間における操業に係る取り決めである共同操業契約(Joint
Operating Agreement, JOA)を締結します。共同操業契約
には、意思決定の方法、生産物の取り扱い、探鉱・開発・生産の
各活動や事業終了時における廃鉱作業により生じる費用・責任
の負担割合などの権利義務関係が定められます。そして、事業
運営はこの共同操業契約に基づいて行われます。
なお、石油・天然ガス開発事業においては、政府との交渉窓
口となり、プロジェクトの操業に対して責任を負う事業者(オ
ペレーター)が選ばれるのが通例で、共同操業契約においてオ
ペレーターとなる事業者とその役割、権利義務についても定め
られます。
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