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多様な紙に対応するカラーPOD機で 商品開発力を大幅に
ミヤザワ株式会社 多様な紙に対応するカラーPOD機で 商品開発力を大幅に強化 バナナペーパーの活用で企業価値も向上 導入の狙い 小ロット・短納期の顧客ニーズに対応 したい 付加価値の高い印刷サービスによる 他社との差別化を図りたい バナナペーパーの利用による社会貢 献活動を推進したい 導入システム カラーPOD機 『RICOH Pro C5100S』 導入効果 特注品などの小ロット印刷が低コスト で印刷可能になった より多様な用紙に印刷できることで 商品開発力が向上した バナナペーパー普及への取り組み が共感を呼び、取引先の拡大につな がった — U S E R P R O F I L E ——————————————————— ミヤザワ株式会社 フェアトレードの実現に貢献するバナナペーパー製品の開発を推進。その取り組みは多くの取引先の共感を得ている 東京都練馬区に本社を構えるミヤザワ株式会社は、各種学校用品や企業向けギフ ト用品を製造する企業だ。少子化による学校関連事業の縮小を見通した同社は、小 ロットで付加価値の高い商品開発に注力するため、カラーPOD機を導入。顧客ニー ズを満たす高品質な商品をスピーディーに生産できる体制を構築すると共に、バナ ●業種:学校用品・ギフト用品の製造・販売業 ナペーパーを素材とする商品の製造に着手した。バナナペーパーの利用は環境保 ●事業内容:学校用品 (証書収納ケース、 護やフェアトレードにつながることから、社会貢献意識の高い企業が賛同し、同社の ホルダー、教務用品など)、ギフト用品 (デスクカレンダー、デスクメモなど)、 紙・布・塩ビ・PPなどの素材を加工した 特注品の製造・販売 ●従業員数:45名 (2014年7月現在) 事業の新たな核となっている。 受注・製造・出荷を一手に担い 高品質な学校・ギフト用品を供給 ケットを確立。各種商品を自社で製造 ミヤザワ株式会社(以下、ミヤザワ) するための工場を設立し、専門カタロ は、学校用品やギフト用品などの製造 グを発行して販促に注力したことで、 と販売を行う企業だ。1950年に教材 カラーPOD機の導入を新たなマーケット開拓に結 び付けたミヤザワ株式会社の埼玉・児玉工場 2014年7月取材 ベントといえる “卒業式” に着目し、他 社に先駆けて「卒業用品」というマー 「学校用品の専門メーカー」としての 販売業として出発し、1968年に株式 地歩を固めた。 会社化された(当時の称号は株式会 同社の売り上げの約8割を占める学 社宮沢商事。1986年に現社名に変 校用品は、卒業証書を収める筒やブッ 更)。学校行事の中でも特に大きなイ ク型ホルダー、教員用手帳、出席簿、 1 ミヤザワ株式会社 学級日記、名札ケース、襟章、腕章など 「私たちは、企画から製造・納品まで 多種多彩で、 「こんなものを作ってほし ワンストップで賄えるため、急なご注 い」という顧客ニーズをかたちにする 文にもスピーディーに対応することが ことをモットーに、独創的な製品を次々 できます」と宮澤氏。証書用高級ホル と創出してきた。それを象徴するのが、 ダーなど特注品の多くは手加工を要す 「丸筒は転がりやすい」という声を受 るが、それを担う熟練した技術を持つ けて開発された、角形の卒業証書用 スタッフが社内にそろっているのも、ミ ケースである。筒の底部に空気孔を設 ヤザワの大きな強みとなっている。 けることで、蓋をしやすくする工夫によ り大ヒットし、 「ミヤザワ」の社名が全国 専務取締役 業関連品・証書収納用品の出荷量は、 少子化による影響を見越して 小ロットに対応する生産体制を確立 年間で100万点を超えるという。 学校用品業界で大きなシェアを維 ほかに、永年勤続の表彰状、各種修 持してきた同社だが、 「将来を見通す 了証や感謝状、高価な商品に添えられ と、少子化の波はいずれ業績を圧迫す る保証書、店舗に置かれるメニューな るだろうと、危機感は抱いています」 と どを収めるためのホルダーやファイル 宮澤氏は言う。 をはじめ、企業向けの製品も幅広く受 そこで同社では、他社との競争力を 注している。 増すために、卒業証書の裏面やブック 「少子化により学校関連事業は縮小 型ホルダーに校舎のシルエットや生徒 の傾向にあるものの、長引いた不景気 の集合写真を印刷するなど、より付加 によって大学院や専門学校への進学 価値の高いオリジナル商品の生産に 率が高まり、ビジネススクールに通う 力を注ぐ戦略を打ち立てた。しかしそ 社会人も増えたので、これまで卒業用 れをオフセット印刷で行ったのでは、コ 品全体のニーズが大きく落ち込むこと ストが高くつく。そうした背景から注目 はありませんでした」と動向を語るの したのが、低コストでの小ロット印刷 は、専務取締役の宮澤 雅宏氏。 を可能にするカラーPOD機だった。 一方、企業向け商品は価格競争が 機種の選定において、同社はある条 激化しているが、同社では小ロットの 件を設けた。それは、 「一般の紙だけ 高級オリジナル品の製造に力を入れ ではなく、バナナペーパーにも印刷で ていることから、むしろ売り上げも利 きるマシンでなければならない」とい 益率も高まっているという。 うものだった。 同社の業績を安定的に支えている 同社は2012年に、紙製品を扱う 大きな要因は、埼玉県児玉郡にある自 メーカーから「バナナペーパーの拡販 社工場に、原材料の手配から製造・出 に協力してほしい」との要請を受けて 荷までを一貫して行える高効率な業 いた。バナナペーパーとは、収穫後に 務体制が構築されていることだ。工場 廃棄されるバナナの茎から繊維を取 には大型裁断機、名入れをするための り除き、それを原料とする紙で、これ 箔押し機など、後加工の設備も充実し が普及すれば紙パルプの消費を代替 ている。 でき、世界中の森林伐採を抑えること に広く知られる契機となった。現在、卒 2 宮澤 雅宏氏 「大塚商会さんは、中小企業の悩みやニー ズをよく理解してくれています。最近は他社 が扱う機種との比較表に基づいて、それぞ れのマシンのメリット・デメリットを数値として 示してくれるなど、顧客本位の対応力がさら に向上したことを感じています」 につながる。また、バナナペーパーの が盛んな発展途上国と先進国の間で バナナペーパーが注目を集め 企業価値が大きく向上 フェアトレード (原料や製品を労働に見 カラーP O D機が稼働したことによ 合う適正価格で継続的に購入すること り、部数の多いものはオフセット印刷、 で、労働者の生活改善と途上国の経 そうでないものはオンデマンド印刷を 済自立を促す貿易)が実現することも 行うという合理的な製造体制が同社に 期待されている。 整った。 「紙を扱う企業」としてこの取り組 「小ロットの受注品はコストを抑え みに共感した同社は、バナナペーパー ながら納期が短縮され、印刷の仕上が を使った小ロット製品の開発を企図。 りもオフセットと遜色ありません」と宮 そのような事情から、導入するカラー 澤氏は満足そうに語る。 POD機は、一般の紙のように均質で バナナペーパーに対する反響も大 はないバナナペーパーの両面に高品 きく、自動 車メーカーや化 粧 品メー 質で印刷できるものでなければなら カーをはじめとする大手企業から、賞 なかったのである。 状や各種修了証、それを収めるケース 「 複 数 のメーカー の 製 品を比 較し やホルダーなどの注文が相次いでい ましたが、大 塚 商 会さんから勧めら るという。バナナの茎の繊維から作ら れたカラー P O D 機『 R I C O H P r o れる紙は、一般の紙と比較して高価な C5100S』で印刷されたサンプルが、 ために製造コストも高くなるが、環境 卒業用品などでよく使われる凹凸のあ 問題やフェアトレード推進などに対す るエンボス加工であるにも関わらず、 る社会貢献意識の高い企業が、CSR とても美しい仕上がりなのに驚きまし 活動の一環として同社の取り組みに た。また、さまざまな種類の紙をお渡し 賛同しているのである。 して試し刷りしてもらい、それを当社で 「ある大学では、筒型だった卒業証 後加工したところ、十分に製品として通 書ケースをブック型ホルダーに切り換 用するものと判断しました」 (宮澤氏) えることになりました。その入札に参 生産過程で雇用が生まれ、バナナ栽培 紙製品を扱う複数の企業と共にワンプラネット・ペーパー 協議会を組織し、バナナペーパーを普及する活動も推進 している こうして検証に1年ほどかけた同社 加してバナナペーパーのメリットを訴 は、2013年12月に同機を導入した。 求したところ、それを使うことでアフ 「大塚商会さんとは以前から電話・ リカのザンビア共和国の貧困を減ら FAX・複合機で取り引きがあり、メン し、子どもたちが学校に通えるように テナンスなどの必要が生じると、遅い なることに大きな共感を得られて受 時間帯でも迅速に駆けつけて対応し 注が決定しました。その大学の学長 てくれることに厚い信頼を寄せていま は、卒業証書とホルダーがバナナペー した。紙の在庫は埼玉の工場にある パーであることを知らせるメッセージ ので、本来ならカラーPOD機も工場 カードも添えてくださいました。ほか に置くべきですが、大塚商会さんのサ にも、裏紙がバナナペーパーの卒業 ポートの受けやすさを考慮して、東京 証書ホルダーをご注文いただき、手 都練馬区の本社に設置することを決 製のチラシでその卒業証書が環境問 めました」 と宮澤氏は語る。 題や貧困問題の解消につながること 3 ミヤザワ株式会社 を説明してくださった高校もあります」 (宮澤氏) 値を高めるものづくりに注力する方針 だという。 同社は紙製品を扱う複数の企業と 「紙媒体の衰退から、近年は規模の ” ワンプラネット・ペーパー協議会” を 小さな製本会社がブック型ホルダー市 組織し、バナナペーパーを普及する活 場にどんどん参入していますし、日本 動も推進している。2014年6月には 製の1/4ほどの価格の中国製品も台 環境省主催の「エコライフ・フェア」に 頭するようになりました。このような状 出展し、バナナペーパーの可能性を多 況に甘んじていたのでは価格競争に くの人に伝えるワークショップも行っ 巻き込まれてしまいます。当社として た。こうした活動はミヤザワの企業価 は、多少コストはかかってもハイクオリ 値をさらに高めて取引先を増やし、戦 ティを求めるお客様に向けて、丹誠込 略的な事業展開と社会貢献を同時に めて加工した商品を供給することを重 進めるという、理想的なビジネスサイ 視したいですね。1ロット10,000部 クルを生み出すことになるだろう。 を超えるような注文については、 『量 前述したように、茎の繊維を含むバ 産体制の整ったところに依頼してくだ ナナペーパーの紙質は均質でなく、厚 さい』というスタンスで、小ロット・高 みもあるため紙詰まりが生じることも 品質のビジネスにこだわっていくつも あるが、製造に支障が出るほどのレベ りです」 (宮澤氏) ルではないという。 薄利多売の大量受注から脱却する 「バナナペーパーは湿度などの影響 とはいえ、同社は決して守りの姿勢に も受けやすいので、オペレーターが印 入ろうとしているわけではなく、新た 刷時にカラーPOD機の設定を微調整 な商機の発掘にも非常に積極的だ。 していますが、それでもトラブルが起 卒業をテーマにした新たな商品を きた場合は、大塚商会さんにケアして 発案し、広告代理店に商品化を持ちか いただいています。オペレーターも操 けている。また、同社の主力商品であ 作に習熟するべく努力していますが、 る卒業証書を収める筒を利用し、まっ 何かあるとすぐに大塚商会さんのス たく別用途での商品販売も始め、最近 タッフが飛んできて、電圧や印刷速度 需要が急激に伸びているという。そう などを的確に調整してくださるのは本 した製品は小~中ロットになるものと 当に心強いですね」と、宮澤氏は大塚 見込まれ、まさにオンデマンド印刷が 商会のサポート体制をあらためて高く 適していると言えるだろう。 評価する。 もちろんバナナペーパーを使用し 従来のデジタル機では難しかった凹凸紙へ の高品位プリントも可能にする、柔軟な用紙 対応力が特長 た製品の拡販にも意欲的で、各種パッ ケージ、カレンダー、名刺などの受注 オンデマンド印刷を主軸に 新規市場を意欲的に開拓する に力を注ぎたいと宮澤氏は言う。 カラーPOD機を今後の事業の中核 ミヤザワは持ち前の企画力とカラー に据える同社は、オンデマンド機での POD機の導入を原動力として、新規 印刷に適した小〜中ロットの受注生産 マーケットの開拓に邁進している。 経営環境が大きく様変わりする中、 を増やし、得意とする手加工で付加価 ミヤザワ株式会社のホームページ http://www.miyazawa-kk.jp/ ・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。 ・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。 ・この記事は2014年10月に作成されました。 Copyright©2014 OTSUKA CORPORATION All Rights Reserved. 4