Comments
Description
Transcript
時空の幾何学としての重力
[ 1 一般相対論入門 15 ] 0 復習 1 一般相対論入門 ・重力の普遍性 ・幾何学と重力 ・計量と曲率 ・時空 ・最小作用の原理 ・重力場の方程式 [ 14 2 ブラックホール ・Schwarzschild時空 ・BHの性質 3 宇宙論 ・一様等方性 ・宇宙の進化 : 4 ] 重力 電磁気力 弱い力 強い力 Gravity Electro-Magn. Weak Strong Galileo Galilei Isaac Newton Albert Einstein 1564-1642 1643-1727 1879-1955 1 一般相対論入門 我々の眼前に横たわる偉大な書物には哲学が記されている しかしまず言葉を学び 表象を把握しなければそれを理解することはできない この自然という偉大な書物は数学の言葉で書かれている 質量 +のみ 電荷+,ー 弱電荷 u,d; e,ν 色電荷 r,g,b 長距離力 長距離力 短距離力 短距離力 天体・宇宙 スケール 古典論で十分? 核 子 ・ 原 子 核 ス ケ ー ル 原子・分子スケール 量子論が必要 ‘questo grandissimo libro de la natura! é scritto in lingua mathematica’! 1.1 重力の普遍性 1.1 重力の普遍性 Newtonの運動方程式 加速度 電場 E(r)! 力 a = mI a = F! q k q" mI r 2 比は物体 により異なる 加速されにくさ:慣性質量 異なる運動 € 静電気力:Coulombの法則 F = k q q’/ q mI! r r2! 静電気力を受け, 及ぼす強さ : 電荷 Newtonの運動方程式 加速度 重力場 g(r)! 力 a = mI a = F! 比は物体 加速されにくさ:慣性質量 = 普遍性 重力:Newtonの法則 重力はその他の力 とは全く異なる. r2! 重力は力か? 重力を受け, 及ぼす強さ : 重力質量 q’ によらず一定 同一の運動 € F = - G mG mG’/ MG − G mG# MI r2 運動方程式の 右辺 左辺? 1.1 重力の普遍性 1.2 幾何学と重力 Newtonの運動方程式 加速度 重力場 g(r)! 力 a = mI a = F! mG − G mG# mI r2 比は物体 加速されにくさ:慣性質量 によらず一定 重力の下での運動の普遍性 ⇩ 重力 力を受ける物体の性質 , 重力 = 時間・空間自体の幾何学的性質 € mG r F = - G mG mG’/ r2! 重力を受け, 及ぼす強さ : 重力質量 mI! m G’ x x 重力:Newtonの法則 曲がった時空のなかで 最小の 距離 をもつ経路が 実現される ⇨ 運動は には全く依らない 1.3 計量と曲率 1.3 計量と曲率 距離を定義するには、任意の座標系を導入して三角法を用いる 平面 dr, dφ :微小とする € ds 2 = 曲率 = a 2 (dθ 2 + sin 2 θ dφ 2 ) +1/a 2 a 2 (dθ 2 + θ 2dφ 2 ) a 2 (dθ 2 + sinh 2θ dφ 2 ) −1/a 2 0 一般に微小距離を と表記 ds 2 = g11 (x1 ,x2 ,…)dx12 + g22 (x1 ,x2 ,…)dx22 + € € ・空間の幾何学は計量場で表される € ・曲率 = g−1 ds 2 = dx 2 + dy 2 € ∂ $ −1 ∂ ' g) &g ∂x % ∂x ( 計量の2階微分 € 1.3 計量と曲率 1.4 時空 球面 θ : 余緯度 φ : 経度 空間の時間的発展をひとまとめにした連続体 = 4次元時空 x, y, z ) xµ 座標 = (時間 t , 空間 r ds = −c dt + dx + dy + dz 定常・平坦な時空の距離を と定義 € € 2 € 2 2 光速 2 2 dr 2 2 dr =c ⇨ 光の進路 に沿う距離=0 dt € € 空間のサイズ a 曲率半径 曲率 € € € ds 2 = (a dθ )2 + (a sinθ dφ )2 (a,a) 1/a 2 € 光円錐 1.4 時空 1.6 重力場の方程式 傾き=速度 gµν (x) 重力場∼時空の幾何∼計量 はどのように決定されるか? 光速を超えて運動できない ⇨ 世界線は光円錐の内側 静電気:Gaussの法則 ∂ ⋅ E(r) = 4π k ρ (r) ∂r (電場の微分) (物質の電荷密度) € Newton重力: 幾何学化 光円錐の内側 ds 2 < 0 の点A とは因果関係を持てる ∂ ⋅ g(r) = - 4π G ρ m (r) ∂r € (重力場の微分) 一般相対論:Einstein方程式 € ds 2 > 0 の点B 光円錐の外側 とは因果関係を持たない € (物質のエネルギー密度と圧力) € 1.5 最小作用の原理 最小作用の原理 空間は一般に平坦とは限らず、また計量は時間的に変化し得る ⇩ 時空の不変距離を → ds 2 = gtt (t,r)dt 2 + gxx (t,r)dx 2 + 最小作用の原理 時空の2点を結ぶ世界線のうち B 全距離 ∫ A ds を極小にするように運動 測地線 Einstein方程式 と一般化 ∂ ∂ g(x) ∂x ∂x 時空の曲率 ∝ T˜ (x) 物質のエネルギー密度 € 物質と時空:どちらが先? どちらが原因として他方を規定する? x A 物体は時空距離を極小にする 測地線に沿って運動 x ds 2 = −c 2dt 2 + dx 2 + dy 2 + dz 2 € ∂ ∂ g(x) = 8π G T˜ (x) ∂x ∂x (曲率) € € (物質の質量密度) B Mach 1.6 重力場の方程式 2.2 ブラックホールの性質 Newton重力: ∂ ⋅ g(r) = - 4π G ρ m (r) ∂r (重力場の微分) (物質の質量密度) 幾何学化 € −1 # 2 GM & 2 2 # 2 GM & 2 ds2 = −%1− 2 (c dt + %1− 2 ( dr $ c r ' $ c r ' ∂ ∂ g(x) = 8π G T˜ (x) ∂x ∂x 一般相対論:Einstein方程式 (曲率) (物質のエネルギー密度と圧力) r<R= € 光円錐が内側を向く = € 2GM c 2 では t と r の符号が反転 (計量の2階微分) R ⇨ より内側の情報は外側に伝搬しない 事象の地平面 € 計量の1階微分 ∂ g ∂x ~ g 重力場 € 0 R € € € . 2.1 Schwarzschild時空 2.2 ブラックホールの性質 r M 質点 2 空間的に球対称・時間的に定常: ds2 = gtt (r)dt 2 + grr (r)dr 2 + r…! 遠方では平坦: € 1 d GM gtt (r) ≈ g(r) = − 2 2 dr r Newton重力場が良い近似: € 原点以外は真空 R gtt (r) → −c2 , grr (r) →1 (r → ∞) 曲率=0 € ⇩ −1 # 2 GM & 2 2 # 2 GM & 2 2 ds2 = −%1− 2 (c dt + %1− 2 ( dr + r (...) Schwarzschild計量 $ c r ' $ c r ' 2GM R= 2 地平面 の値は Newton重力を光に適用した場合に一致 c € 脱出可能条件 € 1 2 GMm mv − ≥0 2 r r≥ € 2GM v2 € € € に v → c を代入 2R € 2.2 ブラックホールの性質 光の経路: ds 2 = 0 ⇒ dt = ± 3.1 一様等方性 −1 # R& # R& ds 2 = −%1− (c 2dt 2 + %1− ( dr 2 $ r' $ r' 2006Nobel物理学賞 Mather, Smoot 温度(輻射)の分布 1 dr € c 1− R /r 光が r1 から r2 (< r1 ) に伝搬する間に,遠方の観測者が測る時間 t12 : € € t12 = − 1 c r2 dr r1 − r2 c ∫ 1− R /r = r1 + R r −R log 1 c r2 − R 通常要する時間 質点の影響 c t12 € T = 2.728__ K! r r1 r2 R r1 R r2 宇宙はほぼ一様・等方的 € 3 宇宙論 3.1 一様等方性 3.1 一様等方性 空間的には一様・等方性を仮定 1次元上げて考える 銀河(物質)の分布 a a a 2 (dθ 2 + sin 2 θ dΩ2 ) a 2 (dθ 2 + θ 2dΩ2 ) a 2 (dθ 2 + sinh 2θ dΩ2 ) a(t) a 宇宙のサイズ → 時刻の関数 とする € , / $ sin 2θ ( . 2 & 2 & 21 % θ ) dΩ 1 €ds = −c dt + a(t) . dθ +€ &sinh 2θ & . 1 ' * 0 2 宇宙はほぼ一様・等方的 € 2 2 2 Friedmann計量 まとめ 3.2 宇宙の進化 Einstein方程式 a"(t)2 a(t)2 + 時間の曲率 (曲率) {+1,0,−1} a(t) 2 A a(t)4 = + Gravity B a(t)3 観測事実: 空間的には平坦 Electro-Magn. Weak Strong + C 空間の曲率 輻射の 物質の 真空の € 重力 電磁気力 弱い力 強い力 (エネルギー密度) エネルギー密度 エネルギー密度 エネルギー密度 質量 +のみ 電荷+,ー 弱電荷 u,d; e,ν 色電荷 r,g,b 長距離力 長距離力 短距離力 短距離力 天体・宇宙 分子・原子・原子核・核子 スケール スケール 一般相対論= 時空の幾何学 3.2 宇宙の進化 ・物質と真空の量により 宇宙のサイズ a(t)! B 重力 電磁気力 弱い力 強い力 ! C Gravity 物質の 真空の エネルギー エネルギー 天体・宇宙 スケール Electro-Magn. Weak Strong 分子・原子・原子核・核子 スケール 特異点近傍 量子論が必要 量子論が必要 宇宙の進化は異なる 理論物理学の最大の課題 ・現在は膨張中 物質優勢→真空優勢 への切替りの時期 時間 t × 10億年! 2011Nobel物理学賞 Perlmutter Schmidt, Riess ・4つの力を幾何学で統一的に ・矛盾なく量子力学的に 記述する