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京都市 京あんしんこども館レポート
ズームイン! ズームイン! みやこ 京都市 京あんしんこども館レポート 判断力の無い子どもにとって、たとえ家庭内でも危険はいっぱい。でも、事故の過半数は、環境を整え ることで未然に防ぐことができます。電話口で話を聞くだけでは情況を掴みにくい、こうした子どもの 環境整備について、丁寧に取り続けたデータを背景に熟練の専門スタッフが個別対応してくれる京・あ んしんこども館(京都市)。相談業務のご参考に、笑顔に包まれた素敵な施設を紹介します。 ~子どもの事故は、親の注意で半減できる!~ 職 務 経 験 を背 景 に事 故 防 止 への個 別 相 談 対 応 京あんしんこども館の正式名称は「京都市・子ども保健 医療相談・事故防止センター」。子どもの事故防止と、保 健医療相談の二つの役割を担うこの珍しい施設は、京都第 二赤十字病院の小児科外来とドア一枚で繋がっています。 小児科専門医として日赤病院を勇退された澤田淳センタ ー長の下、小児科専門医、保健師、看護師等、いずれも経 験を積んだ嘱託職員数名がローテーションを組み、一般に 向けた電話相談、面接相談を行う他、心肺蘇生などの講習 澤田淳先生とスタッフ(2012 年 1 月.27 日) 会や研修会、細密なアンケートに基づく論文発表など多岐 に亘る活動を続けています。 「子どもの死亡原因の一位は、不慮の事故です。1 歳までに、子どもの半数は何らかの事故を経験してい ます。事故は起こってからだと遅い、事前の予知が必須。そして、予知のためには、子どもの事故がどうし て起こるのか、何がいけないのかを勉強することが大事です。たとえば、薬は手の届かないところに置く、 などの親の注意で事故発生率は簡単に半減できると思います。」(澤田先生)。 センター内には、居間やトイレなど家の中を模したモデルルームを設置、市販品や既製品を応用したグッズ を利用しての、危険防止を提唱しています。 「たとえば、ソファやベッドからの転落は“ちょっとだけだから”と、柵が無い場所に赤ちゃんを乗せた とき、ほんの一瞬で起こってしまう事故なんです。“ちょっとだけ”でも危険性は変わりません。電気カーペ ットの低温熱症や、薬の誤飲など、家庭内には危険な要素がいっぱいあります。その要素を身近に感じてもら いたいので家の中を再現して、危険なもの、危険な設定を伝えるようにしています。 」 (看護師・加藤康代さん) 「本当は学校で子どもの事故の危険性について話をしてもらえればいいんですよね。小さいときから事故 に対する認識を持つことは大事だから。でもそう上手くもい かないのが現実です。」と澤田院長。京あんしんこども館で は、心肺蘇生などの講習会も無料で受けられます。受講の間 は子どもを預けることができるので、安心して通うお母さん も多いようです。 「蘇生までのリミットは約 3 分間。対して、 救急車が到着するまではどんなに早くても 5~6 分はかか ってしまう。お母さんお父さんが蘇生技術を持っていれば、 助かる命も多いのです。小さいお子さんをお持ちの方は、ぜ 消費者庁 Now! 7 事故の起こりやすい環境を、具体的に再現。 ズームイン! ひ、受講してもらいたいですね。事故に関する情報は積極的に集めています。京都で集めたデータだが、それ を元に国全体として京都でどんな風になっているのかというのを見てくれればいい。“分母のある仕事”をし たいと思ってやっている。分母のある仕事は役にたつ。「何万人あたりなんぼ」という数字で話ができないと 説得力がない。」と澤田センター長。しかし、その大変についても、 「情報を集めるのに、健診の時期を利用し て、スタッフに保健所まで行ってもらったり新聞の記事にもしてもらったりした「0 歳児事故調査」の回収率 は 11%」とその分母を確立する大変さにも言及されました。「1 歳越えて、事故を経験した保護者はアンケ ート記入も積極的に参加すると思うけれど。書く、という習慣をつけなくては」こういう思いから、京都市で、 母子手帳に掲載できるようにしようとする企画もあります。 スタッフが保健所などに足を運んで集めた、京都の新生児(平成 19・20 年生まれ)23,712 人を対象と した「0 歳児事故調査」(回収率 11,0%)では、1 歳までに半数近くがなんらかの事故を経験し、「転落」「誤 飲」「はさみ事故」がそのワースト3であるという結果を導き出しました。 こうした活動に注目して、年間 60 組もの視察が訪れます。その内訳は消費者庁特命大臣をはじめとした官 公庁、NPO 法人、幼稚園・保育所の先生方、病院関係者など。「『自分のところでもつくりたい』とやってく る行政の人も多いが、大変だからやめた方がいいですよ、とアドバイスしています(笑)」と澤田センター長。 「相談員さんとも情報交換したいですね。専門スタッフが相談に乗ることもできますから、京都に旅行の折は、 ふらりと訪ねてみてください。」 薬は高い場所に保管 ストッパー ストッパー 蒸気注意 ストッパー ベビーサークル モデルルームでは、リビング、キッチン、バス、ト イレ、ベランダ…。家庭内のあらゆる危険ゾーンを 解決策とともに提示。 ストッパー 家庭で手軽にできる事故予防法の数々を展示 京都市中京区釜座通丸太町上る梅屋町 174-3 電話 075-231-8002 075-231-8005 リアル感のある誤飲物の実物も展示 ブックエンドを応用した ストーブのスイッチカバー。 ガスレンジカバー 市販の便利グッズも紹介している。 消費者庁 Now! 8