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機械加工ガイドライン - エンズィンガージャパン

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機械加工ガイドライン - エンズィンガージャパン
切削加工用プラスチック素材
機械加工ガイドライン
目次
4
5
6
6
7
8
9
9
10
11
11
12
13
15
プラスチック加工とは
樹脂素材と金属素材の相違点
押出成形と切削加工性
工具と機械
機械加工
鋸による切断 (Sawing)
旋削加工 (Turning)
フライス加工 (Milling)
穴あけ (Drilling)
ねじ切り
プレーナー ( 平削り)/ 平フライス削り
センタレス・研削加工
表面粗さ、再加工、バリ取り
機械加工ガイドライン
16
冷却と切削油 (クーラント)
17
アニール処理
アニール条件
形態変化と後収縮
寸法安定性
20
20
製品群と材料特性
21
22
22
23
24
ウルテム ®、PPSU、PSU、PC
25
保管・取り扱い上の注意
26
26
26
27
加工不良 ― 原因と解決策
POM、PET、PEEK
ナイロン
PTFE 含有製品
ポリイミド
繊維強化素材
炭素繊維複合素材 TECATECTM
突切りとのこ引き
旋盤加工とフライス加工
穴あけ
プラスチックの分類
PI
スーパーエンプラ
300 °C
PAI
PEKEKK
PEEK, PEK
LCP, PP
PES, PPSU PTFE S
, PFA
PEI, PSU ETFE
, PCTFE
PPP, PC-HT PV
DF
150 °C
汎用エンプラ
PC
PA 6-3-T
汎用プラスチック
PA 46
PET, PBT
PA 66
PA 6, PA 11,
PA 12
POM
PMP
PPE mo
d.
PMMA
PP
PE
PS, ABS
, SAN
非晶質
半結晶
ポリマー記号
エンズィンガーの製品名
材料群
PI
TECASINT
ポリイミド
PEEK
TECAPEEK
ポリエーテルエーテルケトン
PPS
TECATRON
ポリフェニレンスルファイド
PPSU
TECASON P
ポリフェニルサルホン
PES
TECASON E
ポリエーテルサルホン
PEI
TECAPEI
ポリエーテルイミド
PSU
TECASON S
ポリサルフォン
PTFE
TECAFLON PTFE
ポリテトラフルオロエチレン
PVDF
TECAFLON PVDF
ポリフッ化ビニリデン
PA 6 C
TECAST T
キャストナイロン 6
PA 66
TECAMID 66
ポリアミド66
PA 6
TECAMID 6
ポリアミド6
PC
TECANAT
ポリカーボネート(透明)
PBT
TECADUR PBT
ポリブチレンテレフタレート
PET
TECAPET
ポリエチレンテレフタラート
PPE
TECANYL
ポリフェニレンエーテル
POM-C
TECAFORM AH
ポリアセタール・コポリマー
POM-H
TECAFORM AD
ポリアセタール・ホモポリマー
PMP
TECAFINE PMP
ポリメチルペンテン(透明)
100 °C
連続使用温度
プラスチック加工とは
適切な工具を用い、適切な方法でプラスチックを加工するこ
種々のプラスチックに固有の特性は、その切削加工性に大
とで、寸法安定性に優れ、機能的で、耐久性の高い部品・
きな影響を与えます。一般的に、
プラスチックは以下のグルー
製品を製造することができます。
プに分類されます。
しかし、一般的に用いられる「プラスチック加工」という用
>> 非晶性熱可塑性樹脂
語には、すべてのプラスチックは同一の条件と工具で切削加
ウルテム (PEI)、PPSU、PC、ノリル、ABS など
工できるような誤ったイメージがあります。一方で金属の場
>> 結晶性熱可塑性樹脂
合には、「金属加工」という用語を用いるのではなく、アル
PEEK、PPS、ナイロン、PET、POM、PP など
ミニウム加工、スチール加工、ステンレス加工という具合に
>> 繊維強化熱可塑性樹脂
金属素材を区別して用語を定義しています。
ガラス繊維、炭素繊維を添加した PEEK、ナイロンなど
プラスチックも同じように、プラスチックの種類ごとの特性を
>> 熱可塑性樹脂複合素材
考慮して加工することが必要です。
炭素繊維織布に PEKK や PEEK を含浸させ、圧縮成形した
複合材など( 例:TECATEC PEKK CW60)
>> PTFE を添加した摺動性改善熱可塑性樹脂
PEEK、PET、POM な ど に PTFE を 添 加 し た 樹 脂 素 材>
( 例:TECAPET TF、TECAPEEK TF10 blue)
4
樹脂素材と金属素材の相違点
プラスチックには、金属にはない特徴が多々あります。その
一方で、プラスチック素材を使用する際には、注意を必要と
する制約がいくつかあります。基本的にプラスチック素材は、
軽量性と強度の両立を必要とする用途に向いています。
プラスチック素材を用いることで、以下に挙げる長所のうち
2、3 つのメリットが得られます。しかしながら、プラスチッ
ク素材に変更するメリットを最大限に活かすには、部品・
製品の構造変更を必要とする場合があります。
p金属にはない長所
>> 低比重、軽量化に貢献
>> 騒音と振動を吸収する
>> 絶縁、または導電性を調整可能
>> 耐薬品性が良好、腐食しない
>>デザイン・形状の自由度が高い
>> 電磁波を通す
>> 断熱性、熱伝導率が低い
>> 用途に合わせた特性を付与することができる
s前述の注意点を無視した場合の悪影響
>> 切削加工時の加熱により被加工材にかかる応力が増大す
ることで、反りや亀裂を乗じるおそれがある
q金属にはない制約
>> 相対的に耐熱性が低い
>> 熱膨張率が大きい
>> 機械的特性に劣る
>> 耐クリープ性に劣る
>> 加温によりプラスチックが熱膨張し、加工品が許容公差を
超えるおそれがある
>> 被加工材を適切に固定しないと、加工中に変形するおそ
れがある
>
u 良好な加工品を得るには
プラスチックの切削加工の際には、上述の金属との比較に
>> 十分な放熱対策。切りくずを確実に排出し、加工部に熱
がこもらないように放熱すること
おけるプラスチックの長・短所に注意を払う必要があります。
>> 適切に固定されていることを確認する
s注意点:
>
>> 良好な断熱性
>> 熱伝導率が低い
>> 金属のように、被加工材から熱が放散されにくい
>> 金属よりも熱膨張が大きい
>> 適切な強度で固定する必要がある
それぞれの種類の切削加工用樹脂素材に対して、最適な切
削工具を選択し、最適な加工パラメーターで加工しなくて
はなりません。これらの条件が整ってこそ、品質の良い部品・
製品に仕上げることができます。次ページ以降に、各プラ
スチックの機械加工について詳しくご紹介いたします。
5
押出成形と切削加工性
工具と機械
丸棒・板・チューブ材等の押出成形の善し悪しは、素材の諸特性
プラスチックの切削加工には、市販されている木材・金属加工用機
のみならず、切削加工性にも大きな影響を与えます。
械が使用でき、汎用エンプラにはハイス鋼 (HSS) の刃物を使用しま
す。
PTFEまたはポリイミド材は、プレスと焼結工程を経て製造されます
が、他の熱可塑性樹脂は押出成形により丸棒・板・チューブ材等
例えばアルミニウム加工向けの切削工具も使用できますが、できれ
を製造します。押出成形とは、原料樹脂ペレットを押出機に投入し、
ば刃先がより鋭利なプラスチック専用の切削工具の使用をお勧めし
シリンダーの加熱とスクリューによるせん断発熱により樹脂を溶か
ます。
し、圧縮し、均一な状態にします。シリンダーから吐出する溶融樹
脂の圧力で金型に押しあて、素形材を板、丸棒、チューブ形状にし、
強化プラスチックを切削および連続切削するにはハイス鋼では耐久
中心にボイドが生じないように、負の引き取り圧力をかけながら押
性が不十分なため、使用しない方がよいでしょう。強化プラスチッ
し出され、冷却装置でさらに調整をします。
クの加工には、超硬バイト( 炭化タングステンなど)、セラミックま
押出成形の制約
チックを切断する場合は、超硬合金製のこぎり刃が最適です。
たはダイヤモンドバイトの使用をお勧めします。丸のこ盤でプラス
>> 内部応力 ( 内部歪み ) が残る
>> 樹脂・繊維等の配向が生じる
>
エンズィンガーは、エンプラ、スーパープラ、汎用プラの丸棒・板・
チューブ材を豊富なラインナップで製造し、販売しています。これ
u 良好な加工結果を得るには
>>プラスチック専用工具の使用
>> 適切な刃形
>>よく砥いだ鋭利な工具を使用
らの素材はすべて、切削加工用に最適化して製造しています。
内部応力
内部応力とは、押出成形で樹脂を溶かして流すための圧力が残っ
たものです。金型から押し出された素形材は、表面から中心に向かっ
てゆっくりと冷えていきます。プラスチックは放熱しにくいため、部
分ごとに冷却速度が異なります。表面はすぐに固化しても、中心は
まだ柔らかい状態か、溶けている状態です。プラスチックが固化す
るときには、種類ごとに異なる収縮挙動を示しますが、表面から固
化が進行するので、柔らかい中央部分が固化する際の収縮が阻害
され、応力が緩和されません。そのため、中心部に押出成形によ
る応力が集中してしまいます。
内部応力による加工への影響
>> 中心部に内部応力が集中する
>> 切削加工の難易度が高まる
hh亀裂や欠損を生じやすく、寸法を出しにくい
解決策
>> 材料に適したアニール処理 ( 応力緩和のための中間熱処理 )
(> 17 ページ参照)
>
外側から冷却
中心部:応力集中
6
機械加工
(DIN 8580で定義される) 機械加工は、特に小ロットの精密部品の
製造で最も時間と費用がかからない方法です。さらに、機械加工に
より非常に小さな寸法公差を実現できます。
弊社は、エンプラおよびスーパーエンプラの機械加工の事業部を有
し、当分野で何十年もの経験を積んでいます。長年培った技術力
を活かして、さまざまなプラスチックから高精度部品を加工してい
ます。したがって、切削加工にに関する加工技術のサポートにはじ
まり、押出素形材からの切削加工、射出成形による成形品の切削
による仕上げ加工などのアドバイスも提供しています。
7
鋸による切断 (Sawing)
テーブルソー ( 丸のこ盤 )
>> 主に、直線の切り口で板を切断
>> 厚さ100 mm 以下の板を直線に切断するのに有効な手段
>> 超硬合金製の鋸刃が望ましい
>> 十分に大きな送り量と十分なナゲシ角を選択するメリット:
hh切りくずをきちんと排出できる
hhのこぎり刃の引っ掛かりを防止
hh切断中にプラスチックが過熱しない
hh良質な切り口
u 良好な加工結果を得るには
>> 適切なクランプ治具を使用:
hh振動を防止して切り口のびびりなどを防止。切り口の不良の
みならず、最悪の場合に破損するおそれがある。
>>ガラス繊維・炭素繊維強化材料は 80 〜 120℃に予熱してから切
断すること
>>タングステンカーバイドのこぎり刃は摩耗しにくく、理想的な表
プラスチック切断の一般的注意事項
面粗さで切断できます。
プラスチックはバンドソー ( 帯のこ盤 )でも、テーブルソー ( 丸のこ盤 )
でも切断できます。素形材の形状に応じていずれかを選択します。
プラスチック切断加工の最大の危険は、切断部位の温度上昇によ
り内部歪みの急激な解消が引き金となるプラスチックの損傷に伴う
様々な不具合に起因します。切断部位の急激な温度上昇を抑えるた
めにも、形状と材料に合ったのこぎり刃を使用することが必須です。
Sägen
バンドソー ( 帯のこ盤 )
>> 特に丸棒およびチューブの切断に適切
>> サポートウェッジ (support wedge) の使用が望ましい
>> 大歯で、鋭く研がれた鋸刃の使用を推奨
hh切りくずを適切に除去
hh鋸と材料の高摩擦および過剰な切削熱の滞留を防止
hh鋸刃の引っ掛かりを防止
t
α
α逃げ角 [°
]
γ
γ すくい角 [°
]
t ピッチ [mm]
pメリット:
>> 鋸による切断加工中に発生する熱を、長い鋸刃を介しスムーズ
に放熱できる
Bohren
>> バンドソーは、直線切断、連続切断または不規則切断など多様
な使い方ができる
β
>> 良質な切り口が得られる
γ
φ
α
φ
重要ポイント!
プラスチックを鋸切断する際には、適切な鋸刃をセットし
Fräsen
ているか、刃数と鋸刃の状態を確認してください。
α
γ
8
旋削加工 (Turning)
フライス加工 (Milling)
プラスチックは市販の旋盤で加工できます。ただし、理想的な加工
プラスチックは普通のマシニングセンターでフライス加工できます。
結果を得るには、プラスチック専用工具の使用をお勧めします。
この場合、刃溝幅が十分に大きな工具を使用すれば、切りくずをき
ちんと排出でき、摩擦熱の滞留を回避できます。
工具
>>きれいな旋削面を得るには図 1 のような幅広のバイトを使用する
>> 品質要件が厳しい場合にはすくい面の平滑な工具を使用する
>> 丸棒を切断する際は図 2 のような特殊形状のバイトを使用する
>> 柔らかい素材には図 3 のようなナイフ形状のバイトの使用を推奨
>> 適切な形状のバイトを選択する
>> 周囲を砥いで、表面を研磨しておく
>> 熱可塑性樹脂には以下の工具が適しています。
hhエンドミル
hh正面フライス
hh平フライス
hhフライカッター
pメリット:
p メリット:
>> 切削痕のない理想的な表面が得られる
工具
hh高い切断性能
hh高品質の表面と切りくず排除の両立
u 良好な加工結果を得るには
>> 回転数を高くする
>> 切込み深さを 0.5 mm 以上にする
>> 冷却には圧縮空気が好適
>>プラスチックの強度が低いため、ワークレストを使用
hhワークの支持
hhたわみ防止
u 良好な加工結果を得るには
>> 回転数を高くし、送りを中程度にする
>>しっかり固定する
hh高速加工と高スピンドル速度で、高い表面品質を実現
薄いワークは吸引装置か両面テープでフライス盤に固定
>>
>> 平滑面には、エンドミル加工よりも正面フライス加工のほうが経
済的
pメリット:
>> 材料をほど良く冷却できる
>>プラスチックの中には連続形切りくずが出るものがあり、これら
>> 外周切削と倣い切削では、1 ~ 2 枚刃の工具を使用すれば刃数
が少ないために振動が小さくて済み、刃溝幅にも余裕ができる
の切りくずを除去できる回転部品に切りくずが挟まって一緒に回
フライス加工で表面の質を向上させるには
転するのを防止できる
>> 表面処理フライス加工にはすくい角の小さい刃を選択する
>> 最適な切削性能を求める場合や表面仕上げを施す際は、単刃で
行うことを推奨します
>> 従来の削り方向 ( 上向きフライス削り)よりも、下向きフライス削
図1.
図2.
り(Climb milling) を優先する
研削によって隆起を防止
リカット
バイト
図3.
9
穴あけ (Drilling)
プラスチック部品に穴をあける際には、不良を回避するためにも、
プラスチックに適した方法を選択することが肝要です。これを誤る
と、欠損、亀裂、過熱または穴の寸法違いにつながるおそれがあり
ます。
穴あけ加工では特に、プラスチックの低い熱伝導性を考慮する必
要があります。プラスチック( 特に結晶性樹脂:PEEK, PA, POM 等)
は、穴あけ中に摩擦熱が滞留しやすく、特に穴深さが穴径の 2 倍
以上の場合には短時間に熱がこもることがあります。そうなってし
まうと、いわゆる「スミアリング」と呼ばれる現象が生じやすくなり、
一部が過熱して膨張することで加工品内部に圧縮応力がかかるお
それがあります。この現象は、丸棒の中心部に穴あけ加工すると
u小径(25 mm 未満)の穴を失敗なく開けるには
>> ハイス鋼 (HSS)ドリルの使用を推奨
>> ねじれ角 12 ~ 25°のドリルを使用:
hh非常になめらかな螺旋刃
hh切りくずの排出に有利
>>ドリルを頻繁に出し入れする( 間欠ドリル加工)
hh切りくずをより良く排出でき、摩擦熱の滞留を防止
>> 薄物の加工における注意事項として
hh高速で
hh必要に応じて中立的なすくい角 (0°) を選択
hhドリルがワークにとられるのを回避し、ドリルが折れたり、ワー
クがドリルに引き上げられたりする不具合を防止
きに特にみられます。この圧縮応力により、大きく歪んだり、寸法
が出なかったり、さらにはクラックや折れおよび破裂に至ることが
あります。材料に適した加工をすることで、これらの不具合を避け
ることができます。
工具
>> 市販のハイス鋼 (HSS)ドリルで、十分に目立てされていること
hhなまくらな刃を使用すると加工面における圧縮歪みが増大し、
素材割れを引き起こす原因となります ( 下左図 )
>> 一般的にツイスト・ドリルが使用されます
u 大径(25 mm 以上)の穴を失敗なく開けるには
>> 径の大きな穴を開けるときには、下穴を開ける
>> 下穴の径は 25 mm 未満にする
>> 下穴に続いてチゼルで仕上げ加工を行う
>> 長尺の棒に穴あけをする場合には、片側から穴を開ける
>> 両側から穴あけを行ってぶつかると、応力のかかり具合によって
は亀裂が生じるおそれがある
>>ガラス繊維、炭素繊維で強化された素材の場合には、120℃に
予熱(断面 10 ㎜あたり約 1 時間)してから穴あけするのが望ま
しい ( 非強化グレードと比較して、内部歪みが大きく、耐衝撃強
度が低下するため、クラックが伝播しやすい傾向にあります )
>> 同 様 に、 非 強 化 の 66ナイロン、 大 口 径 のキャストナイロン、
PET、PBT についても、同様に 120℃に加熱してから、穴あけを
目立てしていないドリルを
目立てしたドリルを
使用したときの歪みの状況
使用したときの歪みの状況
するのが望ましい
hh寸法が狂わないようにするため、ワークが完全に冷えてから
仕上げ加工を行う
u 良好な加工結果を得るには
>> 切削油 (クーラント) を使用する
>>ドリルを頻繁に出し入れする
hh切りくずの排出
hh追加的な冷却
手動送りをなるべく避ける
>>
hh押す力が強くなりすぎないようにする
hh亀裂の防止
重要ポイント!
穴あけ加工には鋭利なドリルに注意してください。
さらに押す力が強くなりすぎないようにしてください。
10
ねじ切り
プレーナー ( 平削り)
/ 平フライス削り
エンジニアリングプラスチックのねじ山は、雄ねじはチェース加工
プレーナー / 平フライス削りは、特定形状の刃で平面、溝またはプ
(ねじ山立て) で、雌ねじの場合にはフライス加工で作成するのが
ロファイルを加工する方法です。
理想的です。
プレーナー掛けは、表面上をまっすぐ切削します。それに対し平フ
工具
ライス削りは、円周方向に表面を切削します。どちらの切削方法も、
>>チェースの使用
>> 2 本歯のチェースを推奨
hhバリができるのを防止
ダイスを使用すると、後退する時にねじ山がもう一度切られて破
>>
プラスチック素形材の表面を平坦または均質に加工するのに適し
ています。最大の違いは、表面の仕上がりが見た目に違うことです
(表面構造、光沢)。
エンズィンガーの平削りと平フライス削り
損するおそれあり。このため、ダイスの使用は勧められない
>>エンズィンガー本社 (ドイツ ) は加工サービスの一環として、平削
りと平フライス削りの両方を提供しています。
u 良好な加工結果を得るには
>>タップにあそびが必要なことが多い(材料と直径によって異なる。
目安:0.1 mm)
>> ねじ山のつぶれを防ぐため、大きすぎない送りを選択する
Fräshobeln
>> 厚さ600 mm 以上の板はすべて平フライス削りで加工
>> 厚さ600 mm 未満の板はどちらの方法でも加工可能
>> 小型ワークは平削りで加工
Fräshobeln
平フライス削りした表面
平フライス削り
Hobeln平フライス削り
Hobeln
平削り
11
センタレス・研削加工
Sägen
センタレス・研削は、カット動作、ワークの動き、切込み動作、送
最適な加工ができるように機械を設定し、被削材に適切なパラメー
り動作が相互に作用しながら被加工物の表面を連続的に削り取る加
ターを選択すれば、低い表面粗さの高品質な表面、最大直径公差
工方法です。仕上がり品質は、次の要因に左右されます。
h9、真円および真直に加工できます。
Ho
>> 研削盤
>> 使用する工具
>> 潤滑剤
>> 研削加工パラメーター
>> 加工する材料
>>プラスチック素形材の真円度 / 真直度
>
加工パラメーターの中でも特に重要なものは以下のとおりです。
>> 研削速度
>> 送り速度
>> 切込み深さ
>> 横送り量
12
Schleifen
Fo
表面粗さ、再加工、バリ取り
上質な表面に仕上げるために注意が必要な点は、以下のとおりです。
冷却
工具
>> 発熱量の大きなプロセス(穴あけなど)には切削油を使用する
>> 適切な切削油を使用する
>>プラスチックに適した工具を使用
>> 工具は常に鋭利で滑りが良い状態にしておく。>
切れ刃が鈍いと摩擦熱が高まり、歪んだり熱膨張につながる
>> 切れ刃だけがプラスチックと接触するように、工具間に十分な
間隔がある
加工機械
>> 運転中にあまり振動しない機械で加工してこそ、高品質表面を
実現可能
u 良好な加工結果を得るには
>> 変形や型にとられる不具合を生じないように、クランプ力が高く
なり過ぎないように注意する
>> 加工に適したパラメーターを選択する( 15 ページ参照)
>> 送りを控えめに維持する
>> 高めの切削速度を選択する
>> 工具の詰まりを防ぐため、切りくずがスムーズに排出できる状態
を維持する
>> 特定の面のみを深く削り取ると反りが発生します。従って、どの
材料
面も均等に削り取るように注意してください
>> 内部歪みを緩和するアニール処理した材料の使用を推奨>
( 弊社のエンプラ・スーパーエンプラ素形材はアニール処理がな
され、押出成形による内部歪みを緩和しています)
>>プラスチックの特性に注意 ( 熱膨張、低熱伝導、強度)
>>できるだけ全体を加工台にのせて支持し、プラスチック素材がた
わむことによる誤差を防止してください
13
バリ取り
エンプラの一般的なバリ取り方法
フライス加工、研削、穴あけ、旋盤加工または彫加工すると、通常
被加工材の小片が加工品表面や縁に「バリ」として残り、加工表面
手作業によるバリ取り
品質を損ないます。バリの要因は以下のように様々あります。
>> 最も一般的なバリ取り法
>> 臨機応変に対応できるものの、手間がかかる
>> 部品の目視検査が同時にできる
工具
>> 材料専用の工具を使用してください
>> 良好な状態の工具を使用してください
hh切れの悪い工具では発熱が大きくなり、バリができやすい
噴射 (ブラスト) 加工法
研磨材を高圧で加工品表面に吹き付ける方法。よく使用される研磨
材は、砂、ガラスビーズ、ソーダ、ドライアイス、ナッツシェル(堅
材料
果の殻)などがある。
>>プラスチックの熱伝導率は低い
hh加工部分の温度が上昇すると、強度と硬度が低下する
hh溶着によるバリが発生する
柔らかく弾力のあるプラスチック(PE、PTFE、ナイロンなど)
にバ
>>
>> 同時に表面処理を行う
hh平滑処理
hh粗面処理
hh汚れ除去
リができやすい傾向にある
>> 硬く、弾力の低いプラスチック(PEEK、PPS、繊維強化プラスチッ
クなど) は比較的バリができにくい
極低温バリ取り
–195℃程度の低温で部品に研磨材を噴き付けたり、ドラムに研磨
材と部品を入れてバリ取りを行う
>> 送り速度
>>よく使用される冷却剤:液体酸素、液化炭酸ガス、ドライアイス
>> 低温により、材料が硬く脆くなる
>> 切削速度:
hh速い送り速度でかつ切削速度を高速で加工すると、加工部分
火炎によるバリ取り
加工パラメーター
が高温になるおそれがある
バリを火炎処理する
hhバリを生じる原因となる
>> 危険:高温加熱で部品を損傷するリスクがある
>> 十分に冷却すること
>
熱風によるバリ取り
できる限り良質でバリのない表面とエッジに仕上げるには、材料に
熱によってバリを溶かす
合った工具を使用し、適切な加工条件で加工することが重要です。
>> 安全で、コントロールしやすい方法
>> 材料に適した手順で処理すれば、部品の損傷や反りを回避できる
赤外線によるバリ取り
熱風によるバリ取りに似た方法。熱風の代わりに赤外線ヒーターを
使用する
振動粉砕 / 振動バレル研磨
トラフ形振動機または円形振動機に部品と研削材を一緒に入れて
処理する方法
14
Sägen
機械加工ガイドライン
t
α
γ
鋸による切断 (Sawing)
Sägen
β
γ すくい角 [°
]
α 逃げ角 [°
]
α
t ピッチ [mm]
β ねじれ角 [°]
t
γ
γ
γ すくい角 [°
]
φ 先端角 [°] φ
γ
α
φ
切削速度
ピッチ
TECAFINE PE、PP
20 〜 30
逃げ角 すくい角
2〜5
500
3〜8
Z2
TECAFINE PMP
20 〜 30
2〜5
500
3〜8
Z2
TECARAN ABS
15 〜 30
β
15 〜 30
0〜5
300
5〜8
t
γ 0〜5
2〜5
300
TECANYL
Bohren
穴あけ(Drilling)
α 逃げ角 [°
]
t
α
Sägen
Bohren
2〜8
Sägen
歯数 ねじれ角
α
Z2
先端角
切削速度
送り
25
90
50 〜 150
0.1 〜 0.3
25
90
50 〜 150
0.1 〜 0.3
25
90
Bohren
50 〜 200
0.2 〜 0.3
0.2 〜 0.3
γ
3〜8
β Z2
25
90
50 〜 100
500 〜 800
2〜5
Z2
25
90
50 〜 150
0.1 〜 0.3
500
φ8
3〜
Z2
25
90
0.1 〜 0.3
300
3〜8
Z2
25
90
50 〜 150
φ
50 〜 100
300
3〜8
Z2
25
α 90
50 〜 100
0.2 〜 0.3
Z2
25
90
150 〜 200
0.1 〜 0.3
20 〜 80
0.1 〜 0.3
50 〜 200
0.1 〜 0.3
TECADUR / TECAPET
20
α 〜 30
20 〜 30
γ
15 〜 30
TECANAT
φ 〜 30
15
5〜8
TECAFLON PTFE、PVDF
20 〜 30
5〜8
300
2〜5
TECAPEI
15 〜 30
0〜4
500
2〜5
Z2
25
90
TECASON S、P、E
15 〜 30
0〜4
500
2〜5
Z2
25
90
TECATRON
15 〜 30
0〜5
500 〜 800
3〜5
Z2
25
90
TECAPEEK
0〜5
500 〜 800
3〜5
Z2
25
90
0〜3
0γ 〜 3
800 〜 900
10 〜 14
TECASINT
15 〜 30
α
15 〜 30
β
5 〜 10
800 〜 900
3〜4
Z2
複合樹脂材料 *
15 〜 30 γ 10 〜 15
200 〜 300
3〜5
Z2
TECAFORM AD、AH
TECAMID、TECARIM、TECAST
TECATOR
* 強化材 / 充填材:ガラス繊維、ガラスビーズ、
炭素繊維、無機充填材、グラファイト、マ
イカ、タルクなど
5〜8
α
φ
Fräsen
Bohren
α 66 GF、TECAPET、TECADUR PBTGF
TECAMID
Ø 80mm 以上
Ø 100 mm 以上 TECAMID 6 GF、66、66 MH
フライス加工 (Miling)
α 逃げ角 [°
]
α
Fräsen
50 〜 200
0.1 〜 0.3
25
90
80 〜 100
0.02 〜 0.1
γ 120
80 〜 100
0.02 〜 0.1
100
80 〜 100
0.1 〜 0.3
Ø 60 mm 以上
TECAPEEK GF/PVX、TECATRON GF/PVX
Ø 80mm 以上
TECAMID 66 MH、66 GF、TECAPET、TECADUR PBT GF
Ø 100 mm 以上 TECAMID 6 GF、66、TECAM 6 MO、TECANYL GF
Drehen
旋削加工 (Turning)
Fräsen
Drehen
α 逃げ角 [°
]
γ すくい角 [°
]
フライス加工方向:上向き削り
γ
20 〜 80Drehen
0.1 〜 0.3
γ25
25
γ すくい角 [°
]
α
γ
χ
α
0.2 〜 0.3
センター穴あけ前の予熱を要するサイズ
TECAPEEK GF/PVX、TECATRON GF/PVX
φ
γ
Z2 αχ
φ
鋸で切断する前の予熱を要するサイズ
Ø 60 mm 以上
Fräsen
χ
送りは歯ごとに 0.5 mm 以内
χ 切込み角 [°]
α
先端半径 r は 0.5 mm 以上
γ
歯数
切削速度
送り
TECAFINE PE、PP
Z1 〜 Z2
250 〜 500
0.1 〜 0.45
6 〜 10
TECAFINE PMP
Z1 〜 Z2
250 〜 500
0.1 〜 0.45
TECARAN ABS
Z1 〜 Z2
300 〜 500
0.1 〜 0.45
TECANYL
Z1 〜 Z2
300
0.15 〜 0.5
TECAFORM AD、AH
Z1 〜 Z2
TECAMID、TECARIM、TECAST
χ Z2
Z1 〜
TECADUR / TECAPET
TECANAT
Drehen
逃げ角 すくい角 切込み角
切削速度
送り
0〜5
45 〜 60
250 〜 500
0.1 〜 0.5
6 〜 10
0〜5
45 〜 60
250 〜 500
0.1 〜 0.5
5 〜 15
25 〜 30
15
200 〜 500
0.2 〜 0.5
5 〜 10
6〜8
45 〜 60
300
0.1 〜 0.5
300
0.15 〜 0.5
6〜8
0〜5
45 〜 60
300 〜 600
0.1 〜 0.4
250 〜 500
0.1 〜 0.45
6 〜 10
0〜5
45 〜 60
250 〜 500
0.1 〜 0.5
Z1 〜 Z2
γ 300
0.15 〜 0.5
5 〜 10
0〜5
45 〜 60
300 〜 400
0.2 〜 0.4
Z1 〜 Z2
300
0.15 〜 0.4
5 〜 10
6〜8
45 〜 60
300
0.1 〜 0.5
TECAFLON PTFE、PVDF
Z1 〜 Z2
150 〜 500
0.1 〜 0.45
5 〜 10
5〜8
10
150 〜 500
0.1 〜 0.3
TECAPEI
Z1 〜 Z2
250 〜 500
0.1 〜 0.45
10
0
45 〜 60
350 〜 400
0.1 〜 0.3
TECASON S、P、E
Z1 〜 Z2
250 〜 500
0.1 〜 0.45
6
0
45 〜 60
350 〜 400
0.1 〜 0.3
TECATRON
Z1 〜 Z2
250 〜 500
0.1 〜 0.45
6
0〜5
45 〜 60
250 〜 500
0.1 〜 0.5
TECAPEEK
Z1 〜 Z2
250 〜 500
0.1 〜 0.45
6〜8
0〜5
45 〜 60
250 〜 500
0.1 〜 0.5
TECATOR
Z1 〜 Z2
60 〜 100
0.05 〜 0.35
6〜8
0〜5
7 〜 10
100 〜 120
0.05 〜 0.08
TECASINT
Z1 〜 Z2
90 〜 100
0.05 〜 0.35
2〜5
0〜5
7 〜 10
100 〜 120
0.05 〜 0.08
複合樹脂材料 *
Z1 〜 Z2
80 〜 450
0.05 〜 0.4
6〜8
2〜8
45 〜 60
150 〜 200
0.1 〜 0.5
* 強化材 / 充填材:ガラス繊維、ガラスビーズ、
炭素繊維、無機充填材、グラファイト、マ
イカ、タルクなど
α
材料を120°Cに予熱
切削油(クーラント)の選択に注意(応力亀裂が入りやすい)
15
冷却と切削油 (クーラント)
エンジニアリングプラスチックでは、ドライ切削加工が主流になり
つつあります。最近ではこの分野で十分な経験が蓄積され、切削
油の使用を避けることが多くなりました。ただし、熱可塑性樹脂の
pドライ切削のメリット
>> 加工品に切削油が残らない
hh医療機器または食品機械の部品に適している(切削油が医薬
品または食品に移る心配がない)
次の機械加工は例外です。
hh切削油が材料に作用しない(膨張、寸法変化、応力亀裂など)
hh材料との相互作用なし
hh加工担当者が判断 / 処理を間違うおそれがない
>> 深い穴あけ
>> ねじ切り
>> 強化プラスチックののこ挽き
>
一方で十分に冷却された刃面を使用すれば、プラスチック部品の表
面品質と公差を改良でき、送りを増やして加工時間を短縮できます。
s注意
>>ドライ切削加工は冷却・放熱を確実にすることが大前提です。
冷却しながら切削する場合
冷却する場合には以下の点を考慮してください。
>> 切りくずを出して冷却
>> 圧縮空気を使用
hhメリット:冷却すると同時に作業エリアから切りくずを取り除く
ことができる
>> 水溶性切削油の使用
>> 市販のドリル用エマルションおよび切削油も使用可能。噴霧と
圧縮空気で塗布すると効果的
非晶質プラスチックの機械加工
>> 応力亀裂を起こしやすい材質のため、切削油を使用しないこと
>>どうしても冷却が必要な場合:
hh部品を加工したらすぐにイソプロパノール ( イソプロピル・ア
ルコール )または清浄水で切削油を除去すること
hh適切な切削油を使用すること
>> 清浄水
>> 圧縮空気
>> 専用潤滑剤:適切な切削油に関する詳細は、切削油メーカー
または販売店にお問い合わせください。
重要ポイント!
ドライ切削では、切りくずをしっかり排出して放熱することが
肝要です。
16
アニール処理
アニール処理とは
中間アニール処理
アニール処理とは、プラスチック素形材、成形品または切削加工
寸法要件の厳しい部品は、加工中に中間アニール処理を行うと良
品を、残留応力を緩和するために熱処理する工程のことです。
好な加工結果が得られやすくなります。特に、以下のケースでは、
材料別の最適な温度にゆっくりと均等に加熱し、素材・部品の厚
中間アニール処理を推奨いたします。
みに応じて一定時間その温度を保ち、すみずみまで熱をいきわた
>> 精密公差が求められるとき
>>ソリやすい形状 ( 非対称、断面のくびれ、ポケットまたは切込み溝 )
らせます。そして、ゆっくりと均等に室温に冷やします。
に仕上げる必要があるとき
>>ガラス繊維・炭素繊維強化 / 充填材を注入したプラスチックを加
残留応力を緩和させるための熱処理
>> 製造または加工工程で生じた残留応力は、アニール処理によって
工するとき
hh加工プロセスにより、添加剤の配向に起因する残留応力が開
かなり減少させることができます
>> 材料の結晶化度が向上します
放される可能性がある
hh材料の機械的特性が向上する
>> 十分に研磨していない工具または不適切な工具の使用:
hh不必要な応力発生の原因
>> 部品への過剰な加熱 — 原因は不適切な速度と送り量
>> 厚み方向、左右方向に対して均等ではなく、片面加工のように
>> 材料内に結晶構造を均等に形成します
>> 耐薬品性が向上することがあります
>>ソリが低減し、寸法安定性が向上する
>
切削量が多くなる場合
弊社では原則、プラスチック素材を押出成形した後にアニール処理
を施しています。アニール処理により、材料の加工中および加工後
の寸法が安定し、切削加工しやすくなります。
製品名
素材略称
昇温条件①
TECASINT
PI
室温→160℃ /2h
保持時間①
2h
160℃→280℃ /6h
昇温条件②
保持時間②
10 h
280℃→ 40℃ /12h
冷却条件
TECAPEEK
PEEK
室温→120℃ /3h
1.5 h/cm
120℃→220℃ /4h
1.5 h/cm
220℃→ 40℃ /9h
TECATRON
PPS
室温→120℃ /3h
1.5 h/cm
100℃→200℃ /4h
1.5 h/cm
200℃→ 40℃ /9h
TECAPEI
PEI
室温→100℃ /3h
1.0 h/cm
100℃→200℃ /4h
1.0 h/cm
200℃→ 40℃ /8h
TECASON P MT
PPSU
室温→100℃ /3h
1.0 h/cm
100℃→200℃ /4h
1.0 h/cm
200℃→ 40℃ /8h
TECASON S
PSU
室温→100℃ /3h
1.0 h/cm
100℃→165℃ /3h
1.0 h/cm
165℃→ 40℃ /6.25h
TECAFLON PVDF
PVDF
室温→ 90℃ /3h
1.0 h/cm
90℃→150℃ /3h
1.0 h/cm
150℃→ 40℃ /5.5h
TECANAT
PC
室温→ 80℃ /3h
1.0 h/cm
80℃→130℃ /3h
1.0 h/cm
130℃→ 40℃ /4.5h
TECAPET
PET
室温→100℃ /3h
1.0 h/cm
100℃→180℃ /4h
1.0 h/cm
180℃→ 40℃ /7h
TECADUR PBT GF30
PBT
室温→100℃ /3h
1.0 h/cm
100℃→180℃ /4h
1.0 h/cm
180℃→ 40℃ /7h
TECAST T
PA6-G
室温→ 90℃ /3h
1.0 h/cm
90℃→160℃ /3h
1.0 h/cm
160℃→ 40℃ /6h
TECAMID 6
PA6
室温→ 90℃ /3h
1.0 h/cm
90℃→160℃ /3h
1.0 h/cm
160℃→ 40℃ /6h
TECAMID 66
PA66
室温→100℃ /3h
1.0 h/cm
100℃→180℃ /4h
1.0 h/cm
180℃→ 40℃ /7h
TECAFORM AH
POM-C
室温→ 90℃ /3h
1.0 h/cm
90℃→155℃ /3h
1.0 h/cm
155℃→ 40℃ /6h
TECAFORM AD
POM-H
室温→ 90℃ /3h
1.0 h/cm
90℃→160℃ /3h
1.0 h/cm
160℃→ 40℃ /6h
TECAPRO MT
PP-H
室温→ 90℃ /3h
1.0 h/cm
90℃→135℃ /3h
1.0 h/cm
135℃→ 40℃ /6h
17
中間アニール処理をする場合には、次の措置により、必要な寸法
形態変化と後収縮
と許容誤差を守ることが大切です。
プラスチック素材・部品に熱がかかる以下のプロセスにより、ソリ
>>アニールに伴う結晶化により収縮することを見積もって「仕上げ
などの形態変化や後収縮が生じることがあります。
>>アニールなどの直接的な熱処理
>> 切削加工時の刃物による摩擦熱
>> 製品・部品の使用環境温度、スチーム滅菌処理など
しろ」を残し、粗加工、中間アニール処理を行う
>> 最終的な寸法合わせは、アニール処理後に行う
>> 中間アニール処理中は部品をしっかり支持する
hh熱処理中の反りを防止する
結晶性プラスチック
>>アニールなど、加熱処理により材料特性に与える好ましい影響
hh結晶化度の向上
hh機械的強度特性の向上
hh寸法安定性の向上
hh耐薬品性の向上
>> 機械加工では、刃物との摩擦熱で加工箇所が過熱しやすい:
hh加工箇所の結晶構造・配向等の変化
hh結晶化の進行に伴う後収縮
POM(TECAFORM)では摩擦熱について特に注意が必要
>>
hh不適切な機械加工で部品のソリ・変形を生じる可能性がある
よく適用される熱処理サイクル
温度 [°C]
非晶性プラスチック
>> 結晶性プラスチックと比較するとソリ・変形は比較的少ない
>>アニール処理によりストレスクラックの発生リスクを低減すること
ができる
時間 [h]
t1
t2
t3
t4
昇温時間
保持時間
冷却時間
後保持時間
炉温度
中間製品 / 完成品中心温度
片面加工によるソリの例
1. 黄 = 加工により取り除く部分
2. 片面のみの加工を行うと、下図のようにソリが生じる
重要ポイント!
アニール処理により寸法安定性が向上し、残留内部応力を緩和
することができます。非晶質プラスチックでは、ストレスクラックの
発生リスクを低減することができます。
18
寸法安定性
>> 樹脂の温度がガラス転移点より高くなると、ポリマー鎖が動くこ
プラスチック加工部品の寸法安定性は、押出丸棒・板材の製造か
とにより、結晶化などの結晶構造の変化や、微細構造の変化が
ら最終製品・部品にいたるすべての過程で、寸法安定性を左右す
生じ、変形や収縮を生じる
る様々な要因を考慮する必要があります。
hh製品・部品形状が非対称であるの場合、収縮やソリが大きく
なりやすい
吸湿による影響
>> 吸湿性の低いプラスチックは、一般的に非常に安定した寸法安
定性を示す:
•
• PET(TECAPET)
• PPS(TECATRON)
• PEEK(TECAPEEK)
hh小さな公差で加工可能
POM(TECAFORM AH / AD)
>> 吸湿性の高いプラスチックは、吸湿に伴い寸法が大きく変化する:
• ナイロン (TECAMID)
• キャストナイロン (TECAST)
• ポリイミド (TECASINT)
hh吸湿 / 排湿により材料が膨張または収縮する
hh必要に応じ加工前に状態調整 ( 十分に吸水させるなど) をする
hh結晶性熱可塑性樹脂は収縮率が高く( 最大 1.0 ~ 2.5%)、ソリ
を生じやすい
hh非晶性熱可塑性樹脂は結晶性樹脂よりも収縮率が低く( 最大
0.3 ~ 0.7%)、寸法が安定する
>> 線膨張係数が金属よりも大きく、熱膨張を十分に考慮する必要
がある
u 良好な加工結果を得るには
>> 十分に放熱させ、局所的な温度上昇を防止する
>> 切削量が多い場合には中間アニール処理を行い、内部応力を
緩和するとよい
>>プラスチックには金属よりも大きな寸法公差を必要とします
>> 変形しないように、クランプ締め力を控えめにする
>>ガラス繊維・炭素繊維強化プラスチックは、流動方向に繊維が
配向するため、押出の方向を考慮して加工する
応力緩和による影響
>> 切削加工をする際は、個々の素材に最適な条件を選択する
>> 室温環境では、内部応力・残留歪みが製品・部品の寸法安定性
におよぼす影響は限定的
hh部品の寸法は安定している
>> 内部応力は、保管中または使用中に徐々に緩和する可能性あり
hhゆっくりとした寸法の変化が生じる可能性がある
>> 高温環境で製品・部品を使用する場合に特に注意が必要:
hh応力が一気に緩和される可能性がある
hh部品使用中に変形、反り、最悪の場合には応力クラックを生
じる可能性がある
加熱による影響
>> 製品・部品・素材の内部にまで加熱されるプロセスは、すべて
注意が必要です
hh高温条件でのアニールなどの直接的な熱処理
hh切削加工時の刃物による摩擦熱
hh製品・部品の使用環境温度、スチーム滅菌処理など
19
製品群と材料特性
POM、PET、PEEK
•TECAFORM AH / AD
•TECAPET
•TECAPEEK
ナイロン
•TECAST T
•TECAMID 6
•TECAMID 66
非強化結晶性プラスチック
非強化ナイロン
ポ リ ア セ タ ー ル 樹 脂 (POM:TECAFORM AH / AD)、PET 樹 脂
TECAST T、TECAMID 6 および TECAMID 66 は、ナイロンベースの
(TECAPET) および PEEK 樹脂 (TECAPEEK) は、バランスのよい機械
素材で、それぞれ、キャスト6ナイロン、6ナイロン、66ナイロンか
的特性を持ち、非常に寸法安定性の高いプラスチックです。このプ
らなります。前出のプラスチックと異なり、絶乾状態ではナイロン
ラスチックは切削加工性に優れ、基本的には亀裂型切りくずが出る
はもともと硬くて脆い材料である点に注意してください。しかしナイ
傾向にあり、大きな切込み量と送り量で切削できます。
ロンはその化学組成、アミド結合部分に吸湿性があり、吸湿するこ
とで靱性と強度のバランスが取れています。
原則として、加工時の発熱を最小限に抑えるように注意してくださ
い。特にポリアセタール樹脂および PET 樹脂の後収縮率は最大 2.5%
吸湿は表面から進行し、徐々に内部へと移行します。従って、小さ
にもなり、局所的な加熱によりソリを生じるおそれがあります。
な素材および部品ではほぼ全体が均等に吸湿しますが、厚みの大
きな素材・部品 ( 特に直径 100 mm 以上の丸棒、厚さ100 mm 以上
これらの樹脂は、最適なパラメーターで切削すれば、良好な面粗
の板 )では、吸湿具合にばらつきを生じ、外側から内側に入るにつ
さに仕上げることができます。
れて吸湿量が少なくなり、脆さが出てきます。
最悪な場合、表面付近で通常の粘性的性質が見られますが、吸湿
の少ない中心部では硬くて脆い性質を示すことがあります。加えて、
押出成形による内部応力が存在するために、一気に中心部分まで
切削加工しようとすると、内部応力と吸湿が少ないことによる素材
の脆さが露呈して、加工中にクラックが入るおそれがあります。
さらに、吸湿に伴い材料の寸法が変化することがある点にも注意が
必要です。ナイロン製部品の加工および設計時には、「吸湿に伴う
膨張」を計算に入れる必要があります。一方、切削加工に際して非
常に重要なのは、プラスチック素材の吸湿状態の調整です。特に
薄板 ( 厚さ10 mm 以内 ) の部品は、吸湿率が最大 3 % におよぶこと
があります。大体の目安は以下のとおりです。
>> 吸湿率 3 %で、寸法が約 0.5 % 変化!
TECAST T の機械加工
>> 亀裂型切りくずになる傾向
>>したがって切削加工がしやすい
重要ポイント!
可能な限り、
ドライ切削加工を推奨します。
どうしても切削油を使用しなければならない場合は、加工後速や
かに洗浄してください。
20
Ultem®、PPSU、PSU、PC
TECAMID 6とTECAMID 66 の切削
>> 連続型切りくず
>> 工具 /ワークから切りくずを頻繁に除去する必要あり
>> 切りくずができるだけ短くなるようにし、加工を邪魔しないように
TECAPEI
TECASON P, TECASON S
TECANAT
非晶性熱可塑性樹脂
ウルテム ®(TECAPEI)、PPSU(TECASON P)、PSU(TECASON S)、ポリ
カーボネート(TECANAT) は非晶性プラスチックです。この材料は、
することが重要:
油脂または切削油などの刺激の強い溶媒と接触すると、応力クラッ
hh理想的な加工パラメーター
hh適切な工具の選択
クが入りやすい性質を持っています。そのため、これらのプラスチッ
クを切削加工するときには、できるだけ切削油を使用しないように
するか、水溶性の媒質を使用してください。加えて、各材料に適し
当社では通常、寸法が大きなワーク( 例えば直径 100 mm 以上の丸
た加工パラメーターを選択してください。
棒や厚さ80 mm 以上の板など)で、中心付近を切削加工する場合
その他の注意点としては、
には、加工中にクラックが発生するのを防ぐため、ワークを 80 ~
>> 送り量を大きくしすぎない
>> 過度の高圧力を避ける
>>クランプ締力を上げすぎない
>> 回転数を高めにする
>> 適切で鋭利な工具を使用する
120℃に予熱することを推奨しています。
s構造設計時の注意点
>> せん断力がかかるのを避ける( 構造上および加工中)
>>エッジ、先端部などの形状を各種プラスチックの特性に合わせて
設計する( 内縁を軽く角丸にするなど)。例えばウルテム ® はノッ
チ感度が高い素材なので、R をとった形状に設計して下さい。
>
適切な加工パラメーターを考慮すれば、非常に寸法の安定した部
品を小さな公差で製造できます。
21
PTFE 含有製品
• TECAPEEK TF、TECAPEEK PVX
• TECAPET TF
• TECAFORM AD AF、TECAFORM HPV13
上記の PTFE 含有製品は、ナチュラル材と比較すると機械的強度が低
い場合が多く見られます。
sそのため、加工するときには次の点に注意してください。
>> 材料はフライス盤を追う傾向にある
hh表面が荒れやすい ( 毛羽立ち、粗い表面など)
>> 再フライス加工 ( リカット) をしない
hh同様に表面が粗くなる
>>目標とする表面品質に仕上げるために、毛羽を平滑にする「再
切削プロセス」が必要になることがある
>> バリ取りが必要になることがよくある
>> 部品がつぶされて寸法が狂うのを防ぐため、適切なクランプ力
を選択する
ポリイミド
• TECASINT1000, 2000, 4000, 8000
焼結処理したポリイミド製品
TECASINT 1000、2000、3000、4000 および 8000 は、市販の金属
加工機で加工できます。
s良好な加工結果を得るには
工具
>> 超硬バイトを使用
>>アルミ加工と同等の刃物でよい
>>ガラス繊維またはガラスビーズを充填した TECASINT には、ダイヤ
モンド・バイトまたはセラミック・バイトの使用を推奨します
加工
>> 高い切削速度と小さめの送り量でドライ加工すると良好な加工
結果が得られる
>> 切削油を使用すると切削圧力が高くなり、バリができやすくなる
が、工具の寿命を延ばすには効果的
>> 下向き削りで欠損を防止
>> ほとんどの場合、中間アニール処理は不要
sポリイミドは吸湿性が高いため、バリヤーフィルムで真空パック
することをお勧めします。超高品質部品の吸湿による寸法変化を防
ぐため、使用する直前に真空パックを開けるようにしてください。
22
繊維強化素材
• TECAPEEK CF30, TECAPEEK GF30
• TECAPEEK PVX
• TECATRON GF40
• TECAMID 66GF30
• TECAMID 6 GF30
• TECADUR PBT GF30 等
加工
>> 素材の端部分を両側からフライカットする:
hh理想的な最大切りくず幅は、フライカット1 動作あたり0.5 mm
hhプラスチック素形材内の応力が均一になる
hh部品の品質が向上
例
仕上げ寸法を 25 mm にするには、30 mm 厚さの板を使用すること
繊維強化プラスチックには、ありとあらゆる種類の繊維が使用され
をお勧めします。この厚さの板を、機械加工前に両側から2 mm ず
ます。ガラス繊維強化製品をはじめ、炭素繊維強化製品もあります。
つフライカットします。この例では板を何度も裏返し、裏返すたび
に最大 0.5 mm ずつ切削します。この前加工は、素形材を予熱して
u 良好な加工結果を得るには
から行うのが理想的です。それに続いて、前加工後に冷めたワーク
工具
を本加工します。このプロセスを経れば、応力とソリの少ない最適
>>どの場合にも超硬バイト(VHM)、または理想的には多結晶ダイ
な部品品質が得られます。
ヤモンド・バイト(PCD) の使用を推奨します
>>きちんと目立てした工具を使用してください
>> 工具は材料によって摩滅するため、工具の状態を定期的に点検
して下さい
hh耐久性が向上
hh過熱防止
中間製品のクランプ
>> 押出し方向にクランプ(最大圧縮強度)
>>できる限り弱いクランプ力をかける
hhたわみと曲げ応力を防止
hh部品のソリや応力クラック発生のリスクが減少
予熱
>>プラスチック素材を予熱すると、それ以降の加工に有利
hh温度上昇により材料の強靭性が向上
そのために中間製品に穏やかに加熱
>>
>> 加熱率 20℃ / 時間で 80 ~ 120℃に加熱するとよい
>> 素形材断面に均等に温度がいきわたるように、厚さ10 mmあたり
1 時間の加熱時間を推奨
>>この温度で素形材に仕上げ代を残して荒削りするのが望ましい
>> 最終的な仕上げは、室温に冷めてから
>> 加工前に工具も同じように温めておくのが望ましい
hh材料の放熱を防止
重要ポイント!
繊維強化プラスチックの加工で、工具の耐久性と寸法安定性を向上
させるには、超硬バイトまたはダイヤモンド・バイトの使用を推奨し
ます。
23
TM
炭素繊維複合素材 TECATEC
特徴
上記の工具は、耐久性に優れているだけでなく、材料に合わせて
設計されていれば送り力を最小化するのを助けます。
>> 普通の鋭どさの切れ刃を選択
>> 表面品質(非常に鋭い切れ刃)と工具の耐久性(鈍い切れ刃)
のバランスの良い組み合わせを選択
TECATEC はポリエーテルエーテルケトンをベースに、 炭素繊維
織布を重量比で 50 ~ 60 % 含有した複合素材です。そのため、
>> 繊維を切れるフライス形状を指定。指定を間違うと繊維がほつ
れるおそれあり
TECATEC の機械加工は通常の繊維強化プラスチックと比べて、か
なり難しいものになります。この材料は積層構造になっているた
>> 炭素繊維は摩損性が高いため、TECATEC 素材を加工する場合に
め、機械加工が不適切だと、以下のようにさまざまな問題を引き
は工具を定期的に交換するよう注意
起こします。
hh切れの悪い工具の使用による過熱および反りを防止
>> 刃欠け
>> 層間剥離
>> ほころび
>> 繊維の掘り起し
上述の理由から、この材料には特殊な加工方法を適用します。ただ
加工
>> 機械加工中のワークの欠損およびバリ形成のリスクは、繊維織布
に垂直に加工するときよりも、平行に加工するときの方が大きい
>> 公差を小さくするためにワークを加工中に何度か熱処理しても
大丈夫
し、この加工方法はワークごとに検討して決定する必要があります。
>> 繊維含有量が高いため熱伝導性が比較的良好で、ワーク内に均
等に熱が広がることが期待できる。そのため、ドライ切削を推奨
プラスチック素材の設計
TECATEC の特定の用途に対する適性と仕上がり品の品質を左右す
るのは第一に、素材内におけるワークの位置です。開発段階です
加工パラメーターと工具パラメーター
でに繊維織布の方向を考慮しますが、特に使用時にかかる負荷の
注意すべきパラメーターは以下のとおりです。
種類 ( 引張る、押す、曲げる) を考慮し、さらに後の切削加工性に
切削工具と工具の材質
>> 大きな送り力を避ける
)を選択
>> 特大の先端角(150 ~ 180°
送りを極小(約
0.05
mm/
分以下)に設定
>>
>> 高切削速度(約 300 ~ 400 m/ 分)を選択
HSS 工具または超硬バイトよりも耐久性の高い、以下の工具を推奨
>
します。
これらの情報は TECATEC の加工に関する基礎的なヒントです。詳細
>>ダイヤモンド・バイト
な情報はケースによって異なります。
も配慮します。
>>セラミック・バイト
>>チタンコーティング・バイト
>> 機能性コーティング工具 (プラズマ技術 )
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切削加工素材、切削加工部品・製品の
保管・取り扱い上の注意
Ensinger の切削加工用プラスチック素材は、食品・医療、
機械工学、自動車、半導体、航空・宇宙産業などの分野の
1.表面に記載されている製品名と製造番号が分かる状態で
保管して下さい。>
高品質の切削加工部品・製品に使われています。 このよ
うな「高い品質と機能」の加工品を得るには、弊社素材の
2.日光、温度など、保管環境により、プラスチックの性質
ご使用に際して最適な保管環境と加工条件で取り扱う必要
が変化することがあります。>
がございます。正しい取り扱い方を守ることにより、外的環
特に表1に記載の製品は直射日光を避けて保管して下さ
境が素材の性質に及ぼす悪影響を減少させることができま
い。>
す。
3.低温環境での保管にご注意下さい。>
弊社の切削加工用素材、ならびにその切削加工部品・製
急激な温度変化、衝撃を加えることを避けて下さい。加
品を保管する際には、日光に当たることのない 23℃、湿度
工に際しては、時間をかけてゆっくりと室温に戻してから
50%の閉鎖的な条件を推奨します。
作業して下さい。>
しかしながら、保管条件、外界からの影響により、プラスチッ
ク素材の特性は変化するため、最大保存期間を一律に設定
4.水平に保って保管して下さい。>
することは出来ません。
5.ガンマ線や X 線により劣化します。>
右に記載する諸事項は、現時点での知識に基づいて作成さ
れた推奨事項を提供するものであり、保証するものではな
いことをご理解くださいますようお願いいたします。
6.化学物質、水、クーラント、溶剤などから隔離して保管し
てください。>
7.他の可燃性物質と一緒に保管しないで下さい。>
8.保管によりプラスチック表面が変色することがあります。
通常は、表面から数ミクロンの深さのごく表層における
変化であり、プラスチックそのものが劣化しているもので
はございません。
表1:直射日光を避けて保管すべき樹脂素材一覧
TECAPEEK
(PEEK)
TECATRON(PPS)
TECASON P(PPSU)
TECASON S(PSU)
TECAFORM
黒以外 (POM-C, POM-H)
TECAPET
黒以外 (PET)
TECAMID 6, 66, 46, 12
黒以外 (PA 6, 66, 46, 12)
TECAST 黒以外 (キャストナイロン)
TECAFINE
黒以外 (PP, PE)
TECARAN ABC (ABS)
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切削不良 ― 原因と解決策
突切りとのこ引き
旋盤加工とフライス加工
問題点
原因
問題点
原因
表面が溶け始めた
>> 切れにくい工具
>> 側部のあそび /クリアランスが少ない
>> 冷却剤の供給量が少ない
表面が溶け始めた
>> 工具の切れが悪い、または工具のショ
表面が粗い
らせん模様
表面の凹凸
>> 送りが大きすぎる
>> 工具の目立て不良
>> 切れ刃の砥ぎ不良
ルダーの摩擦
>> 側部のあそび /クリアランスが少ない
>> 送り速度が
>>スピンドル速度が高すぎる
表面が粗い
>> 工具を引き戻す時の摩擦
>> 工具のバリ
>> 先端角が大きすぎる
>> 工具がスピンドルに対して垂直になって
いない
先が必要)
>> 工具の心合わせができていない
カットエッジのバリ
>> 切削直径前のスペース不足
>> 切れにくい工具
>> 側部のあそび /クリアランスが少ない
>> 工具にリード角が付いていない
コーナーの亀裂
>> 不適切な傾斜の付いた工具
>> 工具の切込みが穏やかでない(激しく
>>ツールが逸れいる
>> 送りが大きすぎる
>> 工具が中心より上または下に取り付けら
れている
終端に「切株」
またはバリ
外径のバリ
>> 先端角が小さい
>> 切れにくい工具切削面の
>> 送りが大きすぎる
>> 送りが大きすぎる
>> 不適切な逃げ角
>> 工具に鋭利な点(軽く丸みが付いた刃
または剥離
材料に当たる)
>> 切れにくい工具
>> 工具が中心より下に取り付けられている
>> 工具に鋭利な点(軽く丸みが付いた刃
>> 切れにくい工具
>> 切削直径前のスペース不足
先が必要)
ガタガタ音
>> 刃先の丸み付けが大きすぎる
>> 工具の取付け具合が不安定
>> 材料の送り不良
>> 切削幅が大きすぎる(2 サイクルで切削
するとよい)
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穴あけ
問題点
原因
問題点
原因
テーパー穴
>>ドリルの砥ぎ不良
>>あそび /クリアランスが少ない
>> 送りが大きすぎる
偏心穴
表面のやけ
>> 使用ドリルが不適切
>>ドリルの砥ぎ不良
>> 送りが小さすぎる
>> 切れの悪いドリル
>>ランドが厚すぎる
>> 送りが大きすぎる
>>スピンドル速度が低すぎる
>>ドリルが次のワークまで貫通する
>> 切断工具が残した「切株」でドリルが
または溶融
表面剥離
>> 送りが大きすぎる
>>あそび /クリアランスが大きすぎる
>> 傾斜が大きすぎる
ガタガタ音
>>あそび /クリアランスが大きすぎる
>> 送りが小さすぎる
>>ドリルのオーバーハングが大きすぎる
>> 傾斜が大きすぎる
内径に送りマーク
>> 送りが大きすぎる
>>ドリルの心合わせができていない
>>ドリル先端が中心から外れている
またはらせん模様
過大寸法のドリル穴
>>ドリル先端が中心から外れている
>>ランドが厚すぎる
>>あそび /クリアランスが少ない
>> 送りが大きすぎる
>>ドリル刃先角が大きすぎる
過小寸法のドリル穴
>> 切れの悪いドリル
>>あそび /クリアランスが大きすぎる
>>ドリル刃先角が小さすぎる
逸れる
>>ランドが厚すぎる
>> 起動時のドリル速度が高すぎる
>>ドリルが中心にクランプされていない
>>ドリルの目立て不良
切断中のバリ
>> 切断工具の切れが悪い
>>ドリルがワークを貫通しない
ドリルの刃が
>> 送りが小さすぎる
>>スピンドル速度が低すぎる
>> 冷却による潤滑が不十分
短時間で摩耗
お問い合わせ
技術的な詳細に関するお問い合わせは、お電話(03−5878−1903)もしくは、ホームページのお問い合わせフォー
ムからご連絡願います。
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