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病院機能評価に際しての労使関係 及び労働組合に関わる内容につい て
2002 年 7 月 24 日 財団法人 日本医療機能評価機構 評価委員会委員長 大 道 久 殿 日本医療労働組合連合会 中央執行委員長 田 中 千恵子 全国労災病院労働組合 中央執行委員長 渡 漫 勉 病院機能評価に際しての労使関係 及び労働組合に関わる内容につい ての私たちの見解並びに質問状 医療機関が質の高い医療サービスを提供していくための支援を通じて、日本の医療水準 の向上のために、日々ご活躍されていることと思います。私ども日本医療労働組合連合会 く略称:日本医労連)に加盟する労働組合の組合員が働いている医療機関でも病院機能評 価を受審し、認定証を受ける病院も増加してまいりました。 財団法人日本医療機能評価機構の性格にあるように、医療機能評価は、医療機関の機能 の改善、向上を図り、地域住民の信頼を高めるため、国民的な基盤に立って、特定の立場 に偏することのない中立的な立場で評価が行われる必要があり、日本医療機能評価機構は、 このような観点から学術的・中立的な組繊と運営を確保していると明確にしています。 しかし、日本医労連の加盟組合である全国労災病院労働組合関東支部の組合員が働いて いる労働福祉事業団関東労災病院の病院機能評価に際して、別紙の「病院機能評価改善支 援事業 予備審査実施報告書」の中で、労使の交渉や労働組合への介入とも受け取れる労 働組合の立場から黙過できない文が書かれていることが判明し、今回の文書提出というこ とになりました。 もし、財団法人日本医療機能評価機構が行う病院機能評価の内容が労使関係に介入する 内容であったり、労働組合に対する誹鋳・中傷の内容であったりすれば、労働組合法第 7 条で「不当労働行為」として禁止している使用者の労働組合や労働者に対する行為を助長 することとなるばかりか、労働者の権利を定めた法律、ひいては憲法にも抵触するもので あるとの見解を私たちはもっています。 財団法人日本医療機能評価機構の審査内容に「人事管理」の項目がありますが、労使関 係などは労働組合法、労働関係調整法、ひいては憲法に深く関わってきます。審査基準の 内容によってはこれらの法令との関係が問題になりますので、次の質問に切実にお答えい ただきたいと思います。なお、返事は 8 月末目までにお願いします。 -1- 記 1.関東労災病院に関わる「予備審査実施報告書」の「予備審査の結果の概要」の中で「職 員は労働福祉事業団の事業を行う労災病院の職員としての自覚は十分もっているが、同時 に『全労災』労働組合員であるとの自覚が時として優先しているのではないかと思われた。 このことは時として病院業務の円滑な遂行にブレーキになる恐れがある。健全な労使関係 の確立が今一歩である。 」と記述されています。 この記述は、 「全労災」労働組合員であるとの自覚がたとえ時としてではあっても病院業 務の円滑な遂行にブレーキになる恐れがあると断じています。全国労災病院労働組合(略称 全労災)は、組織として病院業務の円滑な遂行にブレーキをかける方針を掲げたことは一度 もないばかりか、医療機関をめぐる厳しい状況の中で、労災病院の機能を維持し、充実さ せるために運動している労働組合です。「全労災」労働組合員であるとの自覚は、病院業務 の円滑な遂行にブレーキになるどころか、病院業務め円滑な遂行を含め、より良い関東労 災病院をめざす推進力であると確信しているものです。 財団法人日本医療機能評価機構は、「『全労災』労働組合員であるとの自覚がたとえ時と してではあっても病院業務の円滑な遂行にブレーキになる恐汀がある」と断じているのは、 労働組合への誹誇・中傷であり、労働組合法第 7 条にある不当労働行為を助長するもので はないのでしょうか。明確にお答えいただきたい。また、何をもって労働組合員としての 自覚が病院業務の円滑な遂行にブレーキになる恐れがあるのか明確にお答えいただきたい. 2.また、上記の記述のうえに「健全な労使関係が今一歩である」と断じていますが、関 東労災病院においては、労使で意見の相違がある問題は当然存在しているのでしようが交 渉を含めた労使関榛が不正常でもなく、円滑におこなわれていると聞いています。財団法 人日本医療機能評価機構は、何をもって「健全な労使関係」というのか。何をもって「今 一歩なのか」具体的な基準を明確にお答えいただきたい。 3.関東労災病院に関わる「予備審査実施報告書」の「人事・労務管理」の中で『労働組 合との間に団体交渉のルール、患者に不安を与えない労働協約が設けられていない。ベー スアップなど規範的労働条件の決定は事業団本部と労働組合本部との団体交渉によってい る故かと思われるが、病院現場において争訟の際の争訟条項の協定は必須である。」と記述 されています。関東労災病院と全労災関東支部との間の団体交渉のルールというものはそ れを規定している法令のもと、労使の交渉の中で形成されてきたものであり、事業所が異 なれば若干方法も異なるのは当然であります。関東労災病院にあっては「報告書」が指摘 している「団体交渉のルールが設けられていない」などという断定的な認識にはなく、円 滑に労使交渉をおこなっており、「団体交渉のルールが設けられていない」という指摘は理 解しがたいものです。また、「患者に不安を与えない労働協約が設けられていない」という -2- 指摘についても同様です。 財団法人日本医療機能評価機構が指摘する『団体交渉のルール』とは何か、また『患 者に不安を与えない労働協約」とは何かを具体的にお答えいただきたい。 4.また、「ベ一スアップなど規範的労働条件の決定は事業団本部と労働組合本部との団体 交渉によっている故かと思われるが、病院現場において争議の際の争議条項の協定は必須 である。」と指摘していますが、財団法人日本医療後能評機構が必須であると指摘している 『病院現場における争議の際の争議条項の協定」とはどういう内容なのか明確にお答えい ただきたい。 5.最後に今回のことで財団法人日本医療機能評価機構が行う病院機能評価の審査に際し て、労使関係や労働組合についてもその審査内容に入っていることが明らかになりました。 このことはその審査内容が重要な意味をもってきます。財団法人日本医療機能評価機構は、 労使関係や労働組合に関わる審査基準を全て公表するとともに、労働関係の法令との関係 について明確にお答えいただきたい。 -3- 評 委 第 14−1 号 平成 14 年 8 月 22 日 目本医療労働組合違合会 中央執行委員長 田中 千恵子 全国労災病院労働組合 中央執行委員長 渡邊 勉 殿 財団法人日本医療機評価機構 評価委員会委員長 大道 久 「病院機能評価に際しての労使関係及び労働組合 に関わる内容についての私たちの見解並びに質 問状」について 平成 14 年 7 月 24 日付けで、貴職よりいただいた標記文書について、下記のとおり機構 の立場をご説明いたします。 記 1.日本医療機能評価機構設立の趣旨及び性格 (1)国民の医療に対する信頼を揺るぎないものとし、その質の一層の向上を図るため、病院 を始めとする医療機関の機能を学術的像点から中立的な立場で評価し、その結果明らかと なった問題点の改善を支援する第三者機関として、財団法人日本医療機能評価機構(以下 『機構』という。)は設立されております。医療機関の第三者評価は、高度に専門的で多面 的な要素を持つ医療を適切に評価・分析するという性格上、関連するそれぞれの専門領域 における学術的な判断が基礎となるべきであります。また、医療機能評価は、医療機関の 機能の改善・向上を図り、地域住民の信頼を高めるため、国民的な基盤に立って、特定の 立場に偏することのない中立的な立場で評価が行われる必要があります。機構は、このよ うな観点から、学術的・中立的な組織と運営を確保しております。 (2)具体的な事業である病院機能評価章業としては、病院機能を客視的に評価・判定る手法 の研修を受け、機構から委蠣された、診療管理・看護管理・事務管理の各評価調査者が病 院を訪問して、医療その他各分野の専門家により綿密に策定された評価項目体系の各評価 項目に従って審査を行い、その審査結果を評価機構に提出し、医療及び経済・法律・労働・ 学術各分野の専門家により構成される評価委員会で、公正かつ厳正に審査し認定証発行の -4- 是非を決定し、改善を要望する事項等付して受審病院あて報告いたします。また、病院機 能改善支援事業として、受容を計画している病院及び受容後の病院からの相談に応じ、事 前準備についての助言、改善のための方向性の示唆、病院の取り組み状況等の確認を行い ます。 以上、機構設立の趣旨、性格及び運営については貴文書にもあるとおりご理解を得ている ところであります。 2.本件予備審査報告書について 病院機能評価予備審査は、窓口相談等とともに、病院機能改善支援事業として区分され、 病院機能評価事業の訪問審査に先立って、病院機能評価(本審査)の受審準備として、病院の 求めに応じて相談・助言をする事を目的としております。 したがって、予備審査の調査報告は、予備審査担当の評価調査者の見解を記載ものであ り、機構の最終評価にあたるものではありません。したがって、機構として、貴文書に回 答すべきかについて、疑問が無いわけではありませんが、この際、機構の事業へのご理解 を賜るため、以下の事項について機構の立場をご説明いたします。 3.具体的表現の説明について 公開している評価項目体系の 6 病院運営管理の合理性の各項目をご参照いただければ、 機構の評価手法が労使関係に介入する意図をもったものでないことは、一目瞭然でありま す。 例えば、「健全な労使関係の確立が今一歩である」の記載は、評価項目を具体化した個々 の小項目に沿って評価したとき、例えば、5 点評価で3点であればおおむね問題が無い状況 と判断したということとなります。「患者に不安を与えない労働協約」「争議条項の協定」 など労働関係の事項はいずれも、病院の公共的使命に基づいて、患者の安全確保の見地か ら、争誰行為中でも最小限度の診療を確保するに必要な要員を確保するため、対策協定(保 安協定)をしておくことを内容とするものであり、労使関係に介入する意図をもったもので はありません。 機構の事業及び立場のご説明は以上でありますが、本文をお借りいたしまして、今後と も、機構の事業についてのご理解、ご支援をより一層お願い申しあげます。 -5-