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資料 - 日本経済研究センター
経済百葉箱 番外編 炭素税導入で2020年CO2排出量20% 削減と2.0%経済成長の両立を目指せ 公益社団法人 日本経済研究センター 2013年度研修生 菊地 秀朗(日本総合研究所) 森 翔太郎(横浜銀行) 高野 洋介(三井生命保険) 0.問題意識 世界的に地球温暖化防止への意識が高まる一方、 日本では東日本大震災以降、化石燃料への依存が 強まり、CO2(二酸化炭素)排出量は増加傾向。 大幅なCO2排出量削減計画は、国内での生産コス ト上昇を懸念する産業界から強い反発。 CO2排出量削減と経済成長を両立させるシステム 設計が、日本にとって喫緊の課題。 1 1.仮説と結論 最大300%の炭素税を導入することで、家庭と業務 部門を中心にエネルギー効率改善を促し、CO2排 出量20%削減(1990年対比)を達成。 家計・業務部門を中心に省エネ関連の財・サービス 需要が拡大。技術革新にも期待。高度な技術で海 外市場でもシェアを拡大できれば、GDP比2.0%以 上の需要増を達成できる見込み。 高めの排出削減目標を掲げることで、国際的な ルール作りをリード。日本に有利な競争環境を整 備。 2 2.【現状】各国のCO2排出量削減 欧州がCO2削減効率でリード。日本は90年以降停滞。 排出量増加の主因は家庭部門・業務部門。 【各国のCO2排出量/一人当たりGDP】 (1990年=100) 200 190 180 170 160 150 140 130 120 110 100 90 80 70 60 50 1971 75 79 【部門別CO2排出量の推移(1990年比)】 (%) 20 米国 中国 日本 ドイツ フランス イギリス 業務他 運輸部門 エネルギー転換部門 家庭 産業部門 全体 15 10 5 0 -5 -10 1991 93 83 87 91 95 99 (注)GDPは2005年基準、購買力平価ベース。 (資料)IEA 03 07 (年) 95 97 99 2001 03 05 07 09 11 (年度) (注)間接排出量ベース。全体は燃料の燃焼による排出量。 工業プロセス(石灰石の消費等)や廃棄物の燃焼は除く。 (資料)国立環境研究所 3 2.【現状】日本の排出量増加の要因 世帯数・オフィス床面積の増加が大きく寄与。 火力発電依存度の高まりから原単位あたり排出量も増加。 【家庭のCO2排出量の要因分解(1990年比)】 (%) 60 50 40 【業務部門のCO2排出量の要因分解(1990年比)】 (人) 3.2 エネルギー原単位あたり排出要因 世帯あたりエネルギー消費量要因 世帯数要因 CO2排出量(1990年比) 平均世帯人員数(右目盛) 3.1 (%) 70 60 50 3.0 30 2.9 20 2.8 エネルギー原単位あたり排出要因 床面積あたりエネルギー消費量要因 床面積要因 CO2排出量(1990年比) 40 30 20 10 10 2.7 0 0 2.6 -10 -10 2.5 -20 1991 93 95 97 99 2001 03 05 (資料)国立環境研究所、厚生労働省、 エネルギー経済研究所 07 09 11 (年度) -30 1991 93 95 97 99 2001 03 05 07 (資料)国立環境研究所、エネルギー経済研究所 09 11 (年度) 4 2.【現状】製造業の効率改善も不可欠 製造業の効率は改善傾向。 素材業種は規模の経済が働きやすく、生産減で効率悪化。 【製造業のCO2排出量の要因分解(1990年比)】 (%) 30 20 【産業別のGDPあたりCO2排出量の推移】 エネルギー原単位あたり排出要因 GDP1単位あたりエネルギー効率要因 GDP要因 CO2排出量(1990年比) 180 160 10 140 0 120 -10 100 -20 80 -30 60 -40 1991 93 95 97 99 2001 03 (資料)国立環境研究所、内閣府、 エネルギー経済研究所 05 鉄鋼 パルプ紙 窯業土石 非鉄地金 食料品 化学 機械 (1990年=100) 07 09 11 (年度) 40 1990 93 96 99 2002 (資料)内閣府、国立環境研究所 05 08 11 (年度) 5 3.【炭素税】炭素税とは? CO2排出量に応じて化石燃料へ課税。 導入により外部不経済を内部化。 EU諸国は1990年代より導入。先進国は日本の数倍の水準。 【日本とEU諸国のエネルギー課税額の比較】 【炭素税の概要】 55.8 炭素税 主な負担者 エネルギー消費者全般 内容 メリット デメリット ・CO2排出量に応じて公平に化石燃 料への課税を行う。 ・省エネ・節電インセンティブ効果 ・CO2排出コスト意識の植え付け ・税収増 ・コスト増 ・消費・投資の抑制 ガソリン 日本 ドイツ イギリス フランス 105.7 105.4 97.7 70 石炭 LNG/L PG 261 141 142 54 167.5 292 309.5 0 50 100 150 200 250 300 350 (資料)環境省 (注)各々のエネルギーの単位はガソリン:円/ℓ、石炭:円/1000㎏、 LNG/LPG:円/500㎏。 為替は当時(2008年)の外国為替レートで算出。 6 3.【炭素税】地球温暖化対策の現状① 他の地球温暖化対策制度は公平性、持続可能性に課題。 【環境税制以外の地球温暖化対策の概要】 国内排出量取引制度 再生可能エネルギー固定価格買取制度 エコポイント(現在は廃止) キャップ・アンド・トレード(検討段階) (平成24年7月~) 主な負担者 CO2大口排出事業者(産業部門) 小口電力需要家 財政 内容 ・個々の企業に排出枠を設定し、排 ・再生可能エネルギーを固定価格で一定 ・省エネ製品購入者に一定のエコポイ 出量に応じてその余剰分と不足分を 期間買取することにより、再生可能エネ ントを付与し、エコ商品等を購入できる トレードする制度 ルギーの普及を促す制度 ようにするという制度 メリット ・市場メカニズムを通したCO2削減 効果が期待できる デメリット ・対象をCO2大口排出事業者に限定 ・負担が小口電力需要家に集中 ・外部要因(景気等)による取引価格 ・電気料金の高騰を招く 変動幅が大きい ・エネルギー毎に認定条件に差があり、 ・排出枠設定基準が曖昧で公平な枠 普及が偏る の設定が困難 ・再生可能エネルギー普及促進効果が 高い(特に初期) ・省エネ製品の普及 ・財政支出が大きく、費用対効果が低い ・制度終了後の消費の減退(需要の先 食い) ・不必要な買換え等によるCO2の増加 7 3.【炭素税】地球温暖化対策の現状② EUでは、排出枠大幅余剰のため排出権価格が暴落。 エコポイントはCO2増加に寄与。経済効果も低い。 【EU排出権取引市場の取引価格の推移】 【エコポイントの効果の検証(CO2増減及び経済効果】 (ユーロ/tCO2) 30 品目 CO2増減 出荷増加額 予算 (t-CO2/年) (億円) (億円) 経済効果 (億円) 25 エアコン 2,208,425 866 622 244 15 冷蔵庫 ▲ 708,374 807 560 247 10 地デジ対応 テレビ 234,293 6,193 5,316 877 1,734,344 7,866 6,498 1,368 20 5 計 0 08/1 09/1 (資料)Bloomberg 10/1 11/1 12/1 13/1 (年/月) (資料)会計検査院、経済産業省を基に作成 (注1)予算はエコポイント付与分(円換算) (注2)経済効果=出荷増加額-予算 8 3.【炭素税】最大300%の炭素税を課税 複雑な現在の税制を一本化し、公平・明確な税制度に。 川上部門 導入前 導入後 川下部門 原油、石炭 LPG/LNG ガソリン、軽油、ジェット 燃料、灯油、重油 自動車関連 石油石炭税 地球温暖化対策税 ガソリン税、石油ガス税、 軽油引取税、航空機燃 料税、電源開発促進税 自動車重量税、 (軽)自動車税 自動車取得税 原油、石炭、 LPG/LNG 炭素税 効果 ・炭素税収は約30兆円(H24予算比+23兆円) ・上流課税一括化により徴税コスト削減 9 3.【炭素税】炭素税導入の影響① 家庭・業務部門への負担増による省エネ・インセンティブ。 国内製造業へのコスト増は不可避。産業構造の転換による 低炭素・高付加価値経済への移行を促進。 【炭素税の影響】 悪影響 家計 製造業 業務 好影響 家計 電気代・ 燃料代上昇 可処分所得 減 節電・省エネ志向の高まり コスト増 省エネ財・サービス需要増 炭素税導入 収益減 省エネ関連研究開発投資増 賃金減 競争力低下 雇用減 消費減 製造業 業務 輸出減 海外移転 国内投資減 税収増 賃金増 省エネ関連競争力強化 悪影響緩和 好影響加速 政策 ・失業対策 ・低所得者への給付 ・法人税減税 ・省エネ・輸出産業 への補助金 消費増 輸出増 収益増 雇用増 省エネ関連起業増 10 3.【炭素税】炭素税導入の影響② 炭素税導入で、再生可能エネルギーコストが相対的に低下 家庭用太陽光パネル等、省エネ財・サービスの需要拡大 【発電コスト比較】 炭素税 (円/KWh) 上限 60 炭素税による 上乗せ分 40 【住宅用太陽光パネル】 下限 20 太陽光(住宅用) (資料)エネルギー・環境会議 コスト等検証委員会より作成 (注)炭素税は燃料費に税率(300%)を掛けて計算 太陽光(メガソーラー) 地熱 風力(洋上) 風力(陸上) 火力 原子力 0 (資料)SHARPホームページより 11 3.【炭素税】炭素税導入の影響③ 発送電分離を前提に需要家が電力会社を選択 火力発電から再生可能エネルギーに需要が徐々にシフト 【発電方法の推移見込み】 【エネルギーミックス】 (億kWh) 10,000 再生可能エネルギー 原子力 火力 火力 原子力 再生可能 エネルギー等 8,000 2011年度 実績 79.1% 9.0% 11.9% 6,000 目標値 35.0% 20.0% 45.0% 4,000 2,000 0 2011年度実績 課税後イメージ (資料)経済産業省 資源エネルギー庁 より作成 (注)目標値は、平成23年6月に資源エネルギー庁 が作成した「エネルギーミックスの選択肢に関する 整理(案)」より、原子力発電を2割維持した場合のシ ナリオを参照 (資料)2011年度実績は経済産業省 資源エネルギー庁 12 4.【環境ビジネス】風力発電 「浮体式」の洋上発電で、国内外の市場獲得を目指す 2 (㎞ ) 120,000 80,000 40,000 0 【国内設置面積のポテンシャル】 うち浮体式 【風力発電の導入予測】 (GW) 600 500 陸上風力発電 洋上風力発電 (資料)日本風力発電協会より作成 【浮体式洋上浮力発電完成予想図】 400 300 200 100 0 2012 欧州 2013 北米 2014 南米 2015 アジア 2016 2017 (年) その他 (資料)Global Wind Energy Council , The Global Wind Report 2012 (資料)東京大学 13 4.【環境ビジネス】スマートビル スマートビルで業務部門の省エネ化を推進 ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS) で、省エネ監視・省エネ制御を一元化 オフィスの省エネ需要拡大により2020年には30%程 度の普及が見込まれる 【BEMS導入率見込み】 70% 60% 50% 40% 低位 30% 中位 20% 高位 10% 0% 2010 (資料)東京ミッドタウンホームページ 2020 2030 (年) (資料)環境省 14 4.【環境ビジネス】スマートシティ 発展した環境技術を結集して、スマートシティ化を促進 【スマートシティ イメージ図】 ITや環境技術を駆使して、生活の質を向上させつつ、環境負荷を 軽減させていくことを目的とした新しい都市モデル 電気自動車で蓄電し た電気も利用。 ITで空調、照明等の設備利用を管理 し、エネルギー使用量を削減 システムによって、電力需給を管理。 エネルギー使用の効率化。 スマートメーターによって 消費電力を可視化。 再生可能エネルギーによる発電。風力や 太陽光は不安定なため、蓄電池やシステ ムによる需要予測で出力管理。 15 5.【経済成長】環境財・サービスの輸出 2020年、世界のスマートシティ市場規模は年間200兆円 となる見込み (2030年の累計市場は3880兆円) 3割のシェア獲得で2.0%成長率押し上げの可能性も (兆円) 4,000 2,000 中国の中新天津生態城では、2兆4000億円の予 算をかけてスマートシティ開発を推進。 【世界スマートシティ市場(累計)】 うち中国 0 2015年 2020年 2025年 2030年 (資料)日経BPクリーンテック研究所 『世界スマートシティ総覧 2012』 より作成 【GDP成長率押し上げイメージ】 3.0% シェア3割 2.0% シェア2割 1.0% 0.0% シェア1割 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 (年) (注)世界スマートシティ市場と日本獲得シェアが線形で上昇すると仮定 し、GDP押し上げ効果を試算。2020年の市場規模前提は200兆円。 (資料)中新天津生態城ホームページ 16 5.【経済成長】中国の需要増 環境意識の高まっている中国は有望な輸出先 中国は、第12次5ヵ年計画(2011年~2015年)において、 グリーン経済、低炭素社会を目指す 近年、中国の燃費規制は日欧並みに強化 【中国の第12次5ヵ年計画における環境・省エネに関する目標】 指標 第11次実績 第12次計画 (2005年対比) (2010年対比) 25 GDP原単位あたりのエネルギー消費 -19% -16% GDP原単位あたりのCO2排出量 -14% -17% 20 科学的酸素要求量(COD) -12% -8% 15 二酸化硫黄 -14% -8% 10 (資料)中国政府公表資料 (注)CODは水中の有機物を酸化剤で分解する際に消費される酸化 剤の量を酸素量に換算したもの。海水や湖沼水質の有機物による 汚濁状況を測る指標。 【各国燃費規制】 (km/ℓ) 30 5 2002 2007 米国 2012 2017 EU 日本 2022 (年) 中国 (資料)ICCT 日本経済新聞社 17 5.【経済成長】環境技術の優位 太陽光パネルは中国や台湾の大量生産によって価格下落 日本は省エネシステム等の高技術製品で優位性を確保 太陽電池の生産では中国・台湾にシェアを奪われて いる 【2010年世界の太陽電池生産量】 (資料)資源エネルギー庁 150,000 30,000 米国 8% 欧州 16% 【グリーンテクノロジー特許申請件数(各国比較)】 40,000 その他 6% 日本 11% さらに開発力を磨いて先行者利益を獲得 100,000 20,000 中国・台湾 59% 50,000 10,000 0 0 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012(年) 日本 米国 中国 韓国 総数(右軸) (資料)特許庁公表資料より推計 欧州 その他 18 6.【目標】炭素税率とCO2排出量削減 炭素税率300%で、省エネのみで20%削減見込み 300%以下でも、火力発電からのシフトで20%削減可能 【税率毎のCO2削減幅】 (エネルギーミックスの変更無し) 【税率毎のCO2削減幅】 (火力発電の占率が80%から35%まで減少) -70% 1 9 9 0 年 比 削 減 率 -35% -60% 50% -50% 100% -40% 300% -30% 400% -20% 1000% -10% 0% 1 9 9 0 年 比 削 減 率 -30% -25% 50% -20% 100% -15% 300% -10% 400% -5% 1000% 0% 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 (年) (資料)経済産業省 資源エネルギー庁 環境省 より試算 (注)試算は電力使用量を対象とし、CO2削減率は、需要のエネル ギー価格弾力性と火力発電のCO2排出量をもとに計算。弾力性は 2014年=0.1とし、2020年に0.4まで徐々に増加すると仮定。税率は 2020年までに段階的に上昇。 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 (年) (資料)経済産業省 資源エネルギー庁 環境省 より試算 (注)試算は電力使用量を対象とし、CO2削減率は、需要のエネル ギー価格弾力性と火力発電のCO2排出量をもとに計算。弾力性は 2014年=0.1とし、2020年に0.4まで徐々に増加すると仮定。税率は 2020年までに段階的に上昇。 19 7.【制度設計】削減目標設定と環境整備 米中を含めた2050年50%排出削減を目指す国際条約締結 を主導。日本の技術力が活きる競争環境を整備。 高い目標設定により、世界的なCO2排出削減を主導。将来 的には国際炭素税の導入を検討。 TPP、EPAをテコに、米国・欧州と排出削減連携を強化しな がら、環境関連財・サービスの貿易拡大。 クリーン開発メカニズム(CDM)注対象の拡大を主導。高度 な環境技術を武器に途上国へ輸出拡大。 (注)CDMは、先進国が途上国で行った排出削減を、クレジットという形で 自国の排出削減目標に加算できる制度。 20 ご清聴ありがとうございました。 21 (参考1)CO2排出量・GDP・世帯数 欧州は経済成長とCO2排出量のデカップリングを実現。 世帯人員減少が続き、人口減少下でも世帯数は高止まり。 【各国のCO2排出量とGDP】 米国 CO2排出量(対数、百万トン) 9.0 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0 中国 日本 (万世帯) 5,400 5,200 5.5 7.2 7.0 6.8 6.6 6.4 6.2 6.0 5.8 【世帯数と平均世帯人員数の推移】 6.5 フランス 7.5 8.5 ドイツ 9.5 10.5 英国 6.5 7.0 7.5 8.0 GDP(対数、PPPベース、2005年基準、10億ドル) (注)1971年~2010年。 (資料)IEA 世帯数 平均世帯人員数(右目盛) (人) 3.1 (予測) 3.0 5,000 2.9 4,800 2.8 4,600 2.7 4,400 2.6 4,200 2.5 4,000 2.4 20 (年度) 1990 95 2000 05 10 15 (資料)厚生労働省、総務省、 国立社会保障・人口問題研究所を基に作成 22 (参考2)製造業のGDPと就業者数 近年の製造業、とりわけ素材産業のGDP・就業者数のシェ アは小。環境ビジネスの需要増で悪影響は吸収可能。 【GDP・就業者数シェア(製造業産業別、2010年)】 3.0 電気機械 食料品 GDPシェア( %) 2.5 輸送機械 2.0 一般機械 化学 鉄鋼 1.5 石油石炭製品 1.0 金属製品 パルプ・紙 0.5 窯業土石 繊維衣服 非鉄金属 0.0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 就業者数シェア(%) (資料)内閣府、総務省 23 (参考3)ドイツでの固定価格買取制度 ドイツでは先駆的に再生可能エネルギーの固定価格買取制 度を2000年より導入。再生可能エネルギー普及は進んだもの の、買取価格の暴落、電力消費者負担増の問題が深刻化。 【太陽光発電設備の買取価格の推移】 【ドイツの賦課金総額】 (億ユーロ) 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 (出所)資源エネルギー庁 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 (資料)ドイツ連邦環境省「Development Renewable (年) 24 Energy Sources in figures」 (参考4-1)エコポイントの検証:CO2増減 エコポイントは不必要な家電の新規購入等の原因となり、最 終的にはCO2増加を招いた。 【エコポイントによるCO2増減の検証】 品目 買換分 エアコン 冷蔵庫 地デジ対応テレビ エアコン 新規購入分 冷蔵庫 地デジ対応テレビ 台数 買換え前の消費電力量 対象製品消費電力量 CO2増減(t-CO2/年) (kWh/年) (kWh/年) 3357441 1180 612~3162 ▲ 226,484 3795186 582~1012 160~510 ▲ 998,246 22897707 128 33~498 ▲ 338,486 増減計 ▲ 1,563,216 4022139 1462991 10304670 612~3162 160~510 33~498 増減計 2,434,909 289,872 572,779 3,297,560 買換分と新規購入分の 総増減 1,734,344 (資料)会計検査院 25 (参考4-2)エコポイントの検証:経済効果 エコポイントは多額の予算(約7000億円)を投入。地デジ対応 テレビ分を除いた経済効果は491億円。 【エコポイントによる経済効果の検証】 出荷増加分(億円) エアコン 冷蔵庫 地デジ対応テレビ 計 866 -① 807 -② 6,193 7,866 付与ポイント数(億点) エアコン 冷蔵庫 地デジ対応テレビ 計 622 -③ 560 -④ 5316 6,498 地デジ対応テレビを除いた出荷増加分(億円) 1673 -⑤ =①+② 地デジ対応テレビを除いた予算(億円) 1182 -⑥ =③+④ 経済効果(億円) (資料)会計検査院、経済産業省 491 -⑦ =⑤-⑥ 26 (参考5)石油危機以降のエネルギー政策 石油危機によって、石油主体のエネルギー政策は転換 第1次 石油危機 【一次エネルギー供給の推移(占率)】 (兆円) 100% 600 80% 500 400 60% 300 40% 200 20% 100 0% 0 1970 石油 1975 石炭 1980 天然ガス 1985 1990 1995 2000 原子力 水力 新エネルギー・地熱等 2005 2010 実質GDP(右軸) (資料)内閣府 国民経済計算、資源エネルギー庁 より作成 27 (参考6)発送電分離と電力自由化 発送電分離・電力自由化で自然エネルギー事業者の参入を 促進。 【政府の電力自由化方針】 2013年 2014年 2017年 2018~20年 発送電分離 料金規制撤廃 メリット ・競争原理による電力料金の値下がり ・消費者の選択権拡大によるエネルギーミックス変化 ・発電・小売に新規参入する起業増加・雇用拡大 ・省エネ・新エネルギー部門における技術革新へのイ ンセンティブ ・広域運用による電力需給の効率化 2016年 家庭含む電力小売自由化 地域をまたい だ広域の電 力需給計画・ 調整を行う 広域系統運用機関設立 周波数変換設備 地域間連系線等 送電インフラの整備 2015年 懸念・デメリット ・電力供給の不安定化 ・原発が停止している状況下、電力料金は下がらない ・電力会社の経営基盤の弱体化 28 (参考7)地熱発電 地熱発電は、昼夜・天候を問わず電力供給が可能 普及が進めば、原子力発電所の代替となることも可能 【八丁原・大岳発電所(出力約12万kw】 【地熱発電量の設置ポテンシャル】 (万kw) 現在の地熱発電導入量 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 (資料)九州電力 ホームページより 導入ポテンシャル 原子力発電(15基分) (資料)環境省、資源エネルギー庁 (注)日本の電力需要の10%に相当 29 (参考8)燃料電池車 燃料電池車は、CO2の削減効果が従来のエコカーよりも優 れている。2015年を目処に、市場投入予定。 水素と酸素を科学反応させて電気を作っ て燃料とする究極のエコカー 水素は他の物質から取り出すため、生産方法が課題 【水素の生産方法】 原料 方法 メリット デメリット 化石燃料を燃やし、水蒸 気と反応させることで一 短時間、大量、低 化石燃料 CO2が発生 酸化炭素や水素などを コスト 発生させる方法等。 水 水を電気分解することで 水素と酸素に分解する CO2が発生しな 方法。 い 電気分解に電気 が必要。再生可 能エネルギーを 使うとコストが掛 かる。 (資料)JHFC 水素・燃料電池実証プロジェクト (資料)TOYOTA 30 (参考9)エネルギー価格と需要の関係 エネルギー価格が約1.5~2倍になると、家計と業務部門の エネルギー消費量は20%減少となる見込み 【需要の価格弾力性による分析】 エネルギー使用量変化 価格変化幅 25% 50% 75% 100% 125% 150% 0.1 -3% -5% -8% -10% -13% -15% エネルギー使用量の価格弾力性 0.2 0.3 0.4 0.5 -5% -8% -10% -13% -10% -15% -20% -25% -15% -23% -30% -38% -20% -30% -40% -50% -25% -38% -50% -63% -30% -45% -60% -75% 0.6 -15% -30% -45% -60% -75% -90% (注1)家計と業務部門におけるエネルギー価格の変化に伴う、エネルギー消費量の変化を試算。 (注2)2008年環境省の試算によると、長期の家計部門の価格弾力性は0.3~0.4、業務部門の価格 弾力性は0.4~0.5程度。 (注3)網掛けは削減率20%以上を示す。 31