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感覚統合療法

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感覚統合療法
Ver.010109
おかあさんのための
感覚統合療法
実
践
編
旭川荘療育センター療育園
若松 かやの
目
第1章
基本的なこと
第2章
遊具を使って
次
1.固定遊具
(1)ブランコ
2.様々なおもちゃ・ゲーム
(1)トランプ
(2)チューブトラック
(3)小豆のプール
(4)たんぐらむ
(5)ころがるおもちゃ
(6)ベル早鳴らしゲーム
ピッコロ
(7)ロッティーノ
(8)ストリングアロングス
(9)たのしいのりものドミノ
(10)一本足の椅子
(11)スゥイングカート
(12)バランスマーク2
(13)ホッピング
(14)そろえちゃ絵
(15)おはしでパックン
(16)絵合わせ
(17)てさぐりゲーム
おすし
(18)スーパーハード顔面カルタ「顔力王」
(19)スーパーターゲットナイン2
(20) Naef ネフ社の積み木パズル
(21)歌を使った遊び
*おもちゃの収納について
3.トレーニング・バルーン
第3章
生活での工夫
*「おかあさんのための感覚統合」も併せてご覧ください。
1.きちんと座る
2.トイレを使う
(つづく)
1
お断り
この冊子は,若松先生の了解をいただき,松井がワープロ清書したものです。本文
中の誤字や文意の不明なところは全て松井に責があります。
本文の電子化版は,http://home4.highway.ne.jp/matsu1/にて公開しています。
松井宏昭
2
[email protected]
第1章
基本的なこと
おかあさんのための感覚統合の実践編です。
家や外で遊ぶときのヒントになればいいな,と思っています。
● 決して無理強いはしない。
この理由は,「おかあさんのための感覚統合」をご覧ください。時間はかかる
けれど,あせるとかえって遠まわりとなることが多いように思います。もし遊具
に乗ったりしなくてもちゃんと見ているし,やりたいと思っていることが多いの
です。
●
●
●
●
●
兄弟や親が楽しんで遊ぶ。
時間や心にゆとりをもって遊ぶ。
遊具に乗らなくても時々公園などへ連れて行く。
もしも失敗したら見なかったふりをする。
「ちゃんと持たないと落ちる。」とか「危ないよ。」とか不安になる
ような言葉かけはしない。
● 上手にできたらほめてあげる。
神経系の発達はバケツに水がたまっていくようなものです。すぐに一杯になる
子どももいれば,ポタッポタッとものすごく時間がかかることもあります。一杯
になると次のバケツが用意されます。
楽しんで遊ぶことで子どもは発達していきます。
あせらずに,ゆっくり遊びましょう。
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第2章
遊具を使って
旭川荘療育園の感覚統合療育室です。
感覚統合療育室には次の3つのものが用意されています。
(1) 固定遊具
ブランコなど,ゆれたり回転する遊具で,主に前庭覚(重力や身体の位置に関
すること)や固有覚(筋肉や関節に関すること)の訓練がねらいです。
(2) 様々なおもちゃ
主に視知覚や上肢の巧緻性などの訓練がねらいです。
(3) 治療者
触覚や人間関係などがねらいです。
公園では見かけない遊具もありますが,遊具自体が大事なのではありません。
遊具の紹介をしながら,感覚統合利用法のポイントを紹介していきます。写真
1は旭川荘療育園における固定遊具が置かれている部屋です。
写真1
旭川荘療育園における固定遊具
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1.固定遊具
(1)ブランコ
1)ブランコの乗り方
まず,ブランコにどうやって乗るのかを見てみましょう。
またいで乗ろうとしてそのまま向こう側に行ったのはいいけれど座れなかっ
たというのはよくあることです。
ブランコは普通おしりから乗ります。これは見えない位置でロープを持って,
板の高さまで見えないのにおしりをおろすという,結構複雑な動作です。
はじめは低いブランコより少し高くて足がやっと着くくらいの方がブランコ
が揺れたときに足がひっかかって落ちる心配もなく,座っていればいいというこ
とで,子どもにはわかりやすいようです。
介助して乗せるとき,子どもを背中側から抱いて乗せようとすると,子どもに
とって逃げ出しやすくなります。
向かい合わせて肩に子どもを乗せるつもりで抱いた方が,子どもがブランコに
乗ったときに顔が合うので子どもは安心できます。
特に高い位置にあるブランコは写真2のようにして乗せた方が楽にできます。
高い位置にブランコを設置したときは,子どもが椅子を持ってくるか,「乗せ
て!」と頼むことができるかを見ることも大切なことです。
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2)見ようともしない,または見るのも嫌いといった場合
重力不安がある場合,見ようともしない,または見るのも嫌いということがあ
ります。でも,エアーズの言葉にあるように,「子どもは内的欲求を持っている」
のです。つまり,本当は乗りたいのかもしれない。
そこで,はじめはサクラを使って楽しくブランコに乗っているところを見せる。
ブランコが見えるところで他のこと(好きなこと)をして遊ぶ。そのうちにほと
んどの子どもは近づいて行って,ちょっと触ったり,ゆらしてみるなどをし始め
ます。ブランコが乗りやすい位置にあると,ちょっとまたいだり,座ったりも始
めたりします。
このへんから,おかあさんがブランコに乗って遊んでみましょう。
しばらくすると,おかあさんの膝なら大丈夫という気持ちが出てきます。この
ときに,写真3と同じようにおかあさんと同じ向きに抱いてしまうと,このよう
におかあさんに寄りかかってしまいます。子どもはロープを持たなくても,身体
を起こさなくてもいい状態になります。しかし,これではただ揺れる感覚を楽し
むだけです。またこの乗り方をくせにしてしまうと,なかなか抜けられないので,
写真4のように向かい合わせで乗ることを勧めます。おかあさんの顔が見えるの
で,子どもは安心して乗ることができます。また,ロープをしっかりと持つこと
ができるし,身体もきちんと起こしておくことになります。子どもの身体の起き
あがり具合はおかあさんの足で調整できます。
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3)ブランコをこぐことができない場合
ブランコに乗ってこいでみればわかりますが,ブランコは足で曲げたり伸ばし
たりしてこいでいるわけではありません。ブランコをこぐためには,ブランコの
ロープを持った状態で腕が伸びて身体をうしろに倒すことができるだけの身体
と心のゆとりが必要です。
怖がりの子はロープを持つのに精一杯で腕を伸ばすだけのゆとりがありませ
ん。そのため,「足を曲げて曲げて,伸ばして伸ばして。」といくら口で言って
もなかなかできないのです。このような場合は,写真5のようにブランコの前方
におかあさんの手を置いてみます。そして「ここに足でタッチして。」と言って,
だんだんその手を上にあげてゆきます。すると,おかあさんの手まで足を一生懸
命伸ばし,その結果,身体がうしろに倒れて腕も伸びることになります。おもち
ゃのブロックを倒したり,タンバリンを足でキックする方法もあります。
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4)身体を固くして使っている場合
ブランコとかは嫌いではないけれど,身体を固くして使っている子どもは上肢
にも力が入っています。だからそういう場合は本来のブランコとして揺れる感覚
を楽しめるところまでいけないように思います。
この場合,ブランコに乗っている子の足部を写真6のように上・前方に引っ張
るようにすれば,子どもはブランコから落ちないように身体を使います(ただし,
本当に落ちてしまうことも多いので,下が危なくないところで。)。
この牽引tractionは筋や関節の固有感覚への刺激となり,子どもは結構喜びます。
身体の固い子や,触れられるのが嫌いな子ははじめは少し痛がってもそのうちに
好きになります。特に足の指を引っ張ってやると,もっとやってと足を出してく
るようになり,その結果,固くなった身体のストレッチをすることにもなります。
*この刺激は,別にブランコに乗っているときだけでなく,日常ふざけて遊んで
いたりするときもやってみてください。かなり,不思議な感じがするらしく,「ア
レッ?」っていう顔をします。
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5)ブランコが少し怖くて一生懸命に乗っている場合
子どもは写真7のように足を引き込みます。ブランコをこぐことができないと
きのように何かをキックさせればよいのですが,そのあとで,おかあさんの手に
子どもの足の裏がベタッとつくようにして押してやるような感じで,子どもがこ
ぐのを介助してやると,足は自然に伸びてきます。
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6)ブランコに乗ってこげる場合
このようなタイプの子には,集中させたり,もっと複雑な工程があるような課
題を設定します。
例えば,
・ 輪投げ
手で投げる(タイミングをはからないとできない。)。
・ 足にかけた輪を手で取って投げる(足にかかった輪を取るためにはかなり上
手にバランスをとらなければいけない。)。
・ 前方に1,2,3でジャンプして降りる。前にはクッションとか置いておく。
・ 積んだタイヤの中に飛び降りる(タイヤの高さが高くなると難しくなる。)。
7)立ちこぎができない場合
実は立ちこぎの方が簡単です。
ブランコがこげないときと同様に,前方にブロックを置いたり,おかあさんの
手にブランコの板があたるようにすれば,簡単にこげます。
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2.様々なおもちゃ・ゲーム
(1)トランプ
自閉症児の中に,数字を並べることが好きな子どもをよく見かけます。
そこで,まずはトランプ遊びを紹介します。トランプ遊びに,複雑なコミュニ
ケーションはいりません。見ているだけで,次に何をすればよいのかがわかりま
す。また,トランプは上下がなく,パターン化したカードです。この点において
も,トランプはおもちゃとしてすぐれています。
それでは,始めるときの注意です。ちょっとした配慮が大切なポイントとなり
ます。
・キャラクターの絵などが描いてあると,絵の向きにこだわって合わせてしまっ
たりすることがあるので,使用するトランプは一般的なものを用意してください。
・裏の模様は,上下逆でも気にならないものを選んでください。
・あまり言葉かけはせず,指差しでコミュニケートしてください。
・ジョーカーははずす。
・向かい合わせに座って,1対1で始めてください。
1)カードを赤と黒にわける
1−1)赤と黒にわける
全てのカードをよく混ぜてから,子どもとおかあさんに半分ずつ配ります。
おかあさんは,自分に配ったカードを一枚一枚指差し,「赤」,「黒」と言い
ながら,赤と黒の2つの山に分けていきます。
それを見て,子どもがまねをして自分のカードを赤と黒の山にわけ始めたら,
おかあさんは自分のカードも子どもに差し上げてください。
もし,子どもがこの遊び方がわからない場合は,おかあさんは「赤」,「黒」
と言いながら子どもと一緒に(手伝いながら),子どものカードを赤と黒の2つ
の山に分けてください。一緒に遊んであげてください。
1−2)どちらが早いか競争
1−1)ができるようになると,どちらが早くできるか競争してみましょう。
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2)カードを数字の順番に並べる
2−1)ハートとスペードの1(エース)から10までのカード
おかあさんが,ハートのカードを,子どもの側から見て左から順番に1から1
0まで並べます。
次いで,子どもにスペードのカードを渡して,同じように並べるように指示し
ます。一枚ずつ順番どおりカードを渡します。これをクリアできるようになれば,
バラバラに複数枚のカードを渡して,おかあさんの見本の下に並べさせてみまし
ょう。できると,続いてダイヤのカード,クローバーのカードでもやってみまし
ょう。
2−2)バラバラにしたカードを渡して,並べる
2−1)ができたら,今度はハートのカードを1から10までバラバラに混ざ
ったものを渡して,並べてさせてみましょう。
これができると,続いてスペードでもやってみましょう。
最後には,全てのカード,40枚を渡して並べさせてみましょう。子どもは数
字やマークを見ながら,これはこのへんの位置とか,9は後ろの方とかいうよう
なことを考えながら置いていかなければなりません。
写真のように,カードは,赤,黒と交互に置いたほうがわかりやすいです。
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2−3)1から10までのカードの並替え
4種類の1から10までのカード,40枚をよくきって裏返しにして,4行・
10列に並べます。
最初に1行・1列目のカードをめくって,それがダイヤの3ですと,3行・3
列目のカードをめくって,ダイヤの3のカードを表を向けて並べます。「3行・
3列目にあったカードは,その書かれている数字とマークの位置のところのカー
ドをめくって並べ替えます。このように,カードを一枚いちまいめくって,次々
と正しい位置に並べ替えます。
2−4)1から13までのカードの並替え
1から13までの全てのカードを使って2−3)をやってみましょう。
2−5)7並べ
ここまでできると,7並べができます。
2−6)ソリティア(一人遊び)
(準備中)
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(2)チューブトラック
旭川荘にあるのはアメリカみやげですが,日本製のものもあると聞いています。
自閉症児は丸いものを好きな子が多いようです。転がる玉を見ているだけで大
喜び。つまり,チューブトラックは組み立ててビー玉を転がすだけの遊びですが,
チューブトラックを使って,追視を促すことができます。
どこから転がすのかな?
どこが一番高いかな?
どう転がるのかな?
穴の位置は?
まずは,おかあさんがチューブトラックの下の一段を組み立ててみましょう。
そして,おかあさんが遊んでください。そうすると,気になってそばに来るはず
です。そのときに,他の部品を渡してあげてください。組み立ててみましょう。
このおもちゃのポイントは,穴のある方向や高さとかを考えて,下から積み上
げていくところにあります。つまり,物事を逆から考える。これがすごく面白い
ようです。
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(3)小豆のプール
砂場の砂を小豆に変えただけです。
小豆は冷たい。この冷たい感覚が子どもを落ち着かせます。
小豆プールで様々な遊びができます。いずれも子どもは気持ちよさを楽しめま
す。遊びの例を紹介します。
・小豆をすくう。
・指の間から小豆をこぼす(指の間への触覚刺激は手の巧緻性を促します。)。
・小豆を空き缶に入れて音を聞く。
・手や足を小豆プールに突っ込む。
・たらいの中に小豆を用意し,その中に入る。
・裏返しにしたセロテープを指にまきつけ,小豆のプールに指を入れる(小豆が
くっつく。これが楽しいようです。)。
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(4)たんぐらむ
公文研究会製です。
穴のあいたカードに,決められた木片のピースをはめるだけの遊びですが,一
般にジグソーパズルは絵を手がかりに並べる遊びであるのと比べて,たんぐらむ
は木片のピースを使っているので,想像力が求められます。
頭の中でまず形づくって,カードの穴にラインを想像するのが楽しいのでしょ
う。
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(5)ころがるおもちゃ
自閉症の子どもにかかわらず,多くの子どもが玉をころがすおもちゃを好みま
す。いくつか紹介します。
1)くまのプーさん
きれいにならべて
学研トイホビー
(学研トイホビー)
東京都品川区西五反田4-28-5
TEL
03-3493-3301
学研第3ビル5F
FAX03-3493-3335
http://www.gakken.co.jp/toy-hobby/gaiyo.html
どんどん出てくる玉を,ボタンを押して盤面のモデルにあわせて入れます。電
池式です。
(特徴)
(ア)ボタンを押すタイミングが難しい。
(イ)しかし,1回ごとにスイッチを切ってしまえば,考える時間を作ることがで
きる。
(ウ)1ヶ所に玉が3個しか入らないが,同じ色の玉は4個ある。自閉症の子ども
の場合,4個とも入れようとする子どもが多いので,工夫が必要。
(エ)玉の流れているところを見るだけでも興味を示す子どもが多い。
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2)どきどきポケット
(AGインダストリー)
AGインダストリー
東京都千代田区九段北1−10−5九段勧業ビル
TEL 03-3237-9308
FAX 03-5213-8848
http://www.agport.co.jp/index.html
この遊びでは,数の合成を勉強します。
左側のバーを左右に動かすと,「0」か「1」の数字が表示されます。表示さ
れた数字の合計の値のところへ,同じ色の玉を入れます。旭川荘では,左側のバ
ーの数字を「0」はそのまま,「1」のところを下から,「1」,「2」,「4」,
「8」というように変えて使っています。
(特徴)
(ア)足し算ができなくても,同じ色の玉を同じ色のゴールに入れると言うように
迷路遊びができる。
(イ)(ア)の迷路遊びができるようになると,写真のように赤いふたをして,迷
路を見えなくした状態で,算数の練習ができる。
(ウ)自閉症の子どもは,そばで少しやってみせると,理解できる子どもが多い。
口頭での指示も要らず,便利なおもちゃとしても使える。
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3)きみはデザイナー
(AGインダストリー)
盤面の色に合わせて,同じ色の玉を入れていきます。
(特徴)
(ア)両手を使って操作する。左手で玉を入れたいところのボタン(下の黄色いボ
タン)を押すと上の口が開く。その状態のまま右手で玉をはじく。左右の異
なる動作が求められる。
(イ)入れる玉の数は多く,最後までやり終えるためには根気が要る。
(ウ)壁面の盤面は子どもが作ることもできる。
(エ)単純に玉をはじくだけでも,楽しめる。
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(6)ベル早鳴らしゲーム
ピッコロ
エンゼル商事株式会社
(エンゼル)
東大阪市長田中4−70
カードにバックの絵が描いてあります。全てのカードを全員に配ったあと,そ
れぞれが1枚ずつ順番にカードを出していきます。同じ色のバックの数が合わせ
て5個になれば,一番早く見つけた人がベルを押してカードを取ることができま
す。たくさんカードを取った人の勝ちです。
(特徴)
(ア)カードの絵を利用し,視覚的に5までの数の合成を勉強する。
(イ)「合わせて5」というルールは,もちろん子どもの数の理解度によって,3
でも7でも10でもかまわない。
(ウ)自閉症の子どもの場合,ベルを鳴らすことが目的となってしまう子どもも多
く,その場合はベルを使わない。
(エ)家族皆で遊んでも楽しい。
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(7)ロッティーノ
(ラベンスバーガー)
ツクダプレイシングス株式会社
東京都台東区橋場1−36−10
TEL 03-3871-3186
台紙の絵とカードの絵とのマッチングを行います。
(特徴)
(ア)台紙のおもては調理器具とかおもちゃなど分野別の絵が描かれている。一方,
うら側はシルエットになった絵が無作為に並べられており,細かいところま
でよく見ないとわからない。
(イ)文字を理解できる子どもには,カードの絵の名称を書いた台紙をお手製で用
意し,並べさせてもよい。
(ウ)台紙を配って,どちらが早いか競争ができる。
(エ)厚手のカードなので丈夫。
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(8)ストリングアロングス
たとえばブタの顔とブタのしっぽというように,同じ種類の絵と絵をひもでつ
ないでいく。裏側に正解が描いてあります。
(特徴)
(ア)ひもを巻きつけていくのが結構難しい。
(イ)日本製もあるらしいが,旭川荘では外国製のものを使用している。外国製は
説明が英語のため,使い勝手が悪い。
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(9)たのしいのりものドミノ
(ラベンスバーガー)
全てのカードを全員に配ったあと,それぞれが1枚ずつ順番にカードを出し,
同じ絵のカードがつながるように並べていきます。
(特徴)
(ア)乗り物の好きな子どもが多いことから,このゲームにのってきやすい。
(イ)カードは合わせて16枚しかないので簡単に決着がつく。
(ウ)厚手のカードなので丈夫。
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(10)一本足の椅子
(旭川荘オリジナル)
これに座って,キャッチボールをしたり,足でボールをキックしたりして遊び
ます。
(特徴)
(ア)バランスが悪くて座りにくい。バランスが要求される。
(イ)転びやすいので,マットの上で遊ぶ。
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(11)スゥイングカート
座って手でこぎます。
(特徴)
(ア)思ったよりも,乗ってみるとすごく難しい。
(イ)頭を使って,どちらの手を動かすかを考えなければいけない。
(ウ)車椅子をこげる子は案外上手に乗れる。
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(12)バランスマーク2
左右の足に体重を交互にかけてこぎます。
(特徴)
(ア)しっかりと力をいれないとこげない。
(イ)バランスが要求される。
(ウ)まっすぐにしか進まないのが欠点。
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(13)ホッピング
両手で持って,ジャンプします。
(特徴)
(ア)足ではさんでやった方がジャンプできる?
(イ)子どもの方が上手。
27
(14)そろえちゃ絵
TOMY
(TOMY)
東京都葛飾区立石7−9−10
TEL 03-3693-1031(大代表)
FAX 03-3692-6458
http://www.tomy.co.jp/top.htm
9つのピースを使ったパズルです。組み合わせによって3種類の絵を完成しま
す。
(特徴)
(ア)指先でガチャガチャやっていると絵が完成する。
(イ)簡単だし,ガチャガチャやっているだけで楽しめる。
28
(15)おはしでパックン
食べ物とお箸にマグネットがついています。そっとくっつけて,犬の口まで運
ぶと食べてくれます。
(特徴)
(ア)そ−っと犬の口にくっつけるのが難しい。
(イ)犬の口まで運ぶことも難しい。
(ウ)旭川荘では最も人気のあるケームの1つ。
(エ)現在は販売されていません。再販を大いに期待。
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(16)絵合わせ
2つのキューブで絵を完成すると音が鳴ります。音は動物の鳴き声と乗り物の
2種類あります。
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(17)てさぐりゲーム
おすし(HANAYAMA)
HANAYAMA
千葉県市川市奉免町68
箱の中に入っているお菓子の形を手探りであてます。
(特徴)
(ア)手探り系のゲームはあまりないので,貴重。
(イ)カードもついていて点数をつけることもできるが,手探りゲームだけで楽し
める。
31
(18)スーパーハード顔面カルタ「顔力王」
(株)ヨネザワ
03-3861-6361
親になった人は,手鏡を見ながら,親カードの写真と同じ顔をします。他の人
は,それを見て吸盤のついた棒を使って,親カードと同じカードを探します。
(特徴)
(ア)単純なゲームですが,表情を作るといった遊びは他になく,結構楽しめる。
(イ)年齢の高い子ども向け。
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(19)スーパーターゲットナイン2
(株)ナカシマヤ製作所
03-3866-3337
テレビでおなじみのストラックアウトです。
(特徴)
(ア)ボールを投げてボードに当てるだけのゲームですが,なかなか的には当たら
ないので,ボードの的を直接手で落としてしまいがち。
(イ)うまく投げることができない子どもも,前に,低い椅子やシートを引いてこ
こから出ないように投げるというセッティングをすることによって対応で
きる。
33
(20)Naef ネフ社の積み木パズル
パズルというよりも,インテリア向きです。値段も高い。いろいろなパターン
がありますが,写真はCellaです。
様々な積み重ねが可能ですが,9個のピースを大きさの順に斜めにはめていく
と立方体になります。青,赤,白木の3種類。
(特徴)
(ア)様々な積み重ねが可能ですが,9個のピースを大きさの順に斜めにはめてい
くと立方体になる。最も難しいゲームの一つ。
(イ)適当に積み重ねても,形になることから,単純な積み重ねカップと比べて遊
びがある。
34
(21)歌を使った遊び
「かえるの歌」を一緒に歌おう。
かえるの歌がきこえてくるよ
グワッ
ゲロ
グワッ
ゲロ
グワッ
グワッ
ゲロ
グワッ
グワッ
ゲロ
グワッ
鳴き声は歌える子どもも多いので,「かえるの歌」を使っての歌遊びです。
ぶたさんの歌がきこえてくるよ
ブッ
ブ
ブッ
ブ
ブッ
ブ
ブッ
ブッ
ブッ
ブ
ブッ
次はねこさん,いぬさん,ねずみさん,にわとりさん,ひよこさんなどやって
みよう。「ねこさんのうたが・・・」とやってみて,子どもがどのような反応を
するかみよう。いろんな動物でやってみよう。
かなりできる子どもには,「おかあさん」や「○○ちゃん」もやってみよう。
すると,「コラ!
い
うるさい
コラ!
コラ!・・」とか「エーン エーン」とか「うるさ
うるさい・・」といった反応も返ってきて楽しめます。
向かい合わせに座ったり,だっこしたり工夫すると,さらに楽しく遊べます。
また,鳴かない動物をわざと言ってみると,子どもはそれなりにいろいろと考
えていることがわかります。
* おもちゃの収納について
旭川荘では,布で袋を作っていて,それぞれのおもちゃを袋に入れて,
まとめてバスケットにしまっています。
紐結びの練習にもなりますし,何より箱などにおもちゃをしまうより
も便利です。
35
3.トレーニング・バルーン
パシフィック・サプライ ***東京都葛飾区立石7−9−10
TEL 072-875-8011
FAX 03-3692-6458
http://www.p-supply.co.jp/
その他でも扱っています。
自閉症の子どもで,飛び跳ねることが好きな子どもがたくさんいます。このこ
ともあって,家庭用のトランポリンを購入される家庭も多いと思いますが,トラ
ンポリンよりも,バルーンの方が使いやすく,またいろんなことに応用できるの
でお奨めです。
バルーンにはいろいろな大きさのものが用意されていますが,介助する人が楽
な,80cmのものが最も使いやすいように思います。値段も8千円くらい。ピーチ
ボールより丈夫で,大人でも使えます。美容体操にもOK。
ふくらませるときは,逆流防止弁がついているので,自転車の空気入れを使う
か,ガソリンスタンドで空気を入れてもらいましょう。
36
(1)立位での利用
バルーンの上に子どもを立たせて使用する。バルーンは,必ず,壁際に設置し
て使う。できれば部屋のコーナーが好ましい。バ ルーンが思わぬ方向に転がって
しまうので,転倒を防ぐことが理由です。
介助者は自分の足でバルーンを壁側にしっかりと固定する。
慣れてくると,窓枠につかまって外を見ながら飛ぶこともできる。旭川荘療育
園では,壁側に鏡を設置しているので,子どもは鏡を見ながら飛び跳ねることも
できる。
ちょうどバルーンに乗った子どもの目と目の高さが合うので,唄を歌ったり,
数をかぞえたりして,楽しく飛べるように一緒に遊んであげてください。その際
に,「1,2の3」で高く飛べるようなリズムの工夫も忘れない。
怖がる子どもでバルーンに立てなくても,外を見せるように窓枠などをつかま
せれば,簡単にたってくれるようになる。
介助者が上手に膝を動かせば,それによってバルーンが揺れるので,ジャンプ
はより楽になる。
37
(2)座位での利用
座らせて使用する場合も,危険ですから壁際で使用する。
介助者が座って,介助者の膝でバルーンを固定した上で,子どもに座ったまま
ジャンプさせる。そのときの子どもの足は介助者の大腿の上です。子どもの足が
宙に浮いていてはジャンプできない。
小さなバルーンを使えば,子どもがバルーンに上に座ったままで,自分で飛び跳
ねることもできる。
いずれにしても,介助者は子どもが自分からジャンプできるように援助する。
38
(3)座位でも怖い子どもの場合
座位でも怖い子どもの場合は,介助者が壁を背にしてバルーンに座り,子ども
を抱えるように座らせてみる。唄をうたいながら一緒にジャンプする。
手を持っていたり,背中を支えていてもかまわないが,時々は介助の手をゆる
めて,子どもが自分から介助者につかまってくるように仕向ける。遊びは駆け引
きです。
子どもの身体を後ろに倒して,自分で起き上がれるようにしてあげると,「い
ないいないバァ」もできる。
39
(4)腹臥位での利用
子どもを腹ばいでバルーンに乗せる。
足をもって揺らしても喜ぶが,最も子どものお気に入りは介助者自身が子ども
に乗りかかってしまうことです。重たいけれど,圧迫刺激の好きな子どもが多い
ので,結構喜ぶ。このときに,耳元で「ガォガォ」とほえたり,「スキ!スキ!」
とほおずりしてあげると,キャーキャーと喜ぶ。
(5)背臥位での利用
背中側がバルーンに乗るように乗せる。
腹臥位のときのように足をもって揺らせてもかまわないが,背臥位を怖がる子
どもが多いので,介護者は子どもを怖がらせないようにバルーンに乗った子ども
の真上から支えて,バルーンを上下する。また,子どもの顔を直接もって,「上
がり目下がり目」などして遊ぶ。
40
第3章
生活での工夫
「おかあさんのための感覚統合」も併せてご覧ください。
1.きちんと座る
きちんと座れない子どももたくさんいます。
例えば,
・机やテーブルに寄りかかって座る子
・食事のときに肘をついてしまう子
・椅子をガタガタいわせる子
・なかなか一人で食べられない子
・おちゃわんが持てない子
など
そういうときは,まず子どもの座り方をチェックしてみてください。
次のように取り組むだけでも,子どもはびっくりするほど変わることがありま
す。身体を支えることで精一杯だった子どもが,それから解放されると,おちゃ
わんを持って食べることができるようにもなります。
■ 足はきちんと椅子の足台や床に着いていますか(つま先だけでは
ダメ!)
足が着いていないと身体を支えにくいので,前方や後方にゆれてしまい,支持
できるものに寄りかかってしまいます。特に,食事では,手でおちゃわんを持っ
たりしなくてはいけないので,足を固定しないとさらに身体は不安定になります。
そこで,
1)足が着くように足台を作る。
何かの箱でもよいし,牛乳パックをいくつかつないで作ってもよい。
2)足が滑ってしまう場合は,はだしにするか,靴底がすべらないものをはか
せる。また足台に滑り止めマットを敷いてもよい(ホームセンターの家具
売場に売っています。)。
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3)椅子の後ろを3cmほど高くする(傾斜をつける。)。
椅子に傾斜をつけると,足は自然に身体を支えようと働きます。椅子の後
ろに新聞紙などをはさんでもよい。
■
子どもにとって座面の奥行きが広すぎませんか
子どもは,テーブルに寄りかかるか,後ろに座り過ぎてしまうことが多いこと
をご存知ですか。
そこで,
・座面の後ろに牛乳パックで作った箱を置く。
牛乳パックを3∼4個くっつけてガムテープでとめる。
■
座面が滑る素材でできていませんか
座面がすべりやすい素材でできていると,子どもは滑り落ちないように前や後
ろに寄りかかってしまいます。
そこで,
・ 座面に滑り止めマットを敷く。
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2.トイレ
(1)トイレでうんちをできない
低緊張の子は腹筋もやわらかいので力を入れにくい。そのため,トイレを使え
ず,立ってどこかなにつかまってうんちをしてしまうことがあります。
1)洋式トイレ
足は床に着いているか。足が宙に浮いている状態で,「きばれ!」といっても,
それは無理!
そこで,
1)足台を置く。
2)つかまるところを作る。
3)便器のふちをにぎれるように,またはパイプなどが握れるように,反対向
きに座らせてみる。
2)和式トイレ
足を広げるとき,膝を内側に入れてしまっていませんか。この場合は,ぺちゃ
っと座ってしまいます。
そこで,
1)まず膝を広げる。次いで膝のあいだに両手を入れてしまうと(肩幅ぐらい),
結構座ることができる。
2)前に手すりのようなパイプを用意する。パイプをつかむと力が入りやすい。
(つづく)
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