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Ignite-UX によるクローニングとリカバリでの検討事項
Ignite-UX によるクローニングとリカバリでの検討事項 White paper 目次 概要................................................................................................................................................... 2 要約................................................................................................................................................... 2 HP-UX 11i のリリース名およびリリース ID ................................................................................................ 2 クローニングとリカバリでの主な検討事項 ................................................................................................. 3 使用する Ignite-UX バージョンは、ユーザー環境のシステムをサポートしているか ........................................ 3 使用する Ignite-UX バージョンは、ユーザー環境の入出力 (I/O) カードをすべてサポートしているか ............... 4 使用するリカバリ アーカイブ、ゴールド イメージ、SD コア オペレーティング システム デポは、 ユーザー環境のハードウェアをサポートしているか ................................................................. 5 使用する Ignite-UX バージョンを、HP はサポートしているか ..................................................................... 6 クローニングとリカバリに関するその他の検討事項 .................................................................................... 7 Ignite-UX はシステム上で動作するか ................................................................................................... 7 アップグレードしたシステムで旧バージョンの Ignite-UX を使用する場合 ..................................................... 7 リカバリ アーカイブやゴールド イメージはシステムをサポートしているか..................................................... 8 カーネル パラメータの設定が原因で、クローニングが正しく動作しない ....................................................... 9 同じハードウェア モデル文字列を持つシステムのクローニング ............................................................... 10 現在のファームウェア リビジョンで、Ignite-UX インストール カーネルに含まれる HP-UX バージョンを 実行できるか ................................................................................................................. 10 クローニングを行ったシステムに HP-UX アプリケーションをロードした後で、アプリケーションに問題が あることが判明した場合の対処方法................................................................................... 10 まとめ............................................................................................................................................... 11 参考情報 .......................................................................................................................................... 11 概要 Ignite-UX for HP-UX は、オペレーティング システムのインストール、配備、リカバリを大規模に行うシステム管理者のニ ーズに対応します。Ignite-UX は、オペレーティング システムの標準構成を作成して再利用する機能を提供します。ま た、オペレーティング システム構成をアーカイブに保存し、そのアーカイブからシステムを複製することで、インストール プロセスを短時間で実行できるという利点があります。さらに、さまざまなカスタマイズが可能であり、対話モードと非対 話モードのいずれの運用も可能です。 要約 クライアントや Ignite-UX サーバのクローニング機能およびリカバリ機能は、様々な要因の影響を受けます。本書では、 ユーザー環境でクローニングを使用する際の検討事項と発生しうる問題について説明します。また、システムのインス トールに必要となるインストール メディアのバージョンによっては問題が発生することがあるため、使用する Ignite-UX のバージョンを検討する必要があります。 注記: 本書では、Ignite-UX でシステムのクローニングとリカバリを行う場合のバージョ ン選択で検討すべき点を説明します。システムのクローニング機能に関する参 考資料は掲載しません。 HP-UX 11i のリリース名およびリリース ID 各 HP-UX 11i リリースには、リリース名とリリース ID が付けられています。表 1 は、HP-UX 11i で使用可能なリリース を示しています。 表1 リリース名 リリース ID サポートするプロセッサ アーキテクチャ HP-UX 11i v1 B.11.11 PA-RISC HP-UX 11i v1.6 B.11.22 インテル® Itanium HP-UX 11i v2 B.11.23 インテル® Itanium PA-RISC 1 uname(1) コマンドを -r オプションで実行すると、リリース ID が返されます。 次のコマンドを入力しても、アップデート リリース日とオペレーティング環境を参照できます。 # swlist | grep HPUX11i 出力結果には、現在のリリース ID、アップデート リリース日、オペレーティング環境が表示されます。次に、出力例を示 します。 HPUX11i-TCOE B.11.23.0409 HP-UX Technical Computing Operating Environment Component 上記のリビジョン文字列は、次の内容を示しています。 B.11.23 = HP-UX 11i v2 1 PA-RISC は、2004 年 9 月のリリースから、HP-UX 11i v2 でサポートされます。 2 クローニングとリカバリでの主な検討事項 クローニングについては、主に次の 4 つの点を検討する必要があります。 • 使用する Ignite-UX バージョンは、ユーザー環境のシステムをサポートしているか • 使用する Ignite-UX バージョンは、ユーザー環境の入出力 (I/O) カードをすべてサポートしているか • 使用するリカバリ アーカイブ、ゴールド イメージ、SD コア オペレーティング システム デポは、ユーザー環境のハ ードウェアをサポートしているか • 使用する Ignite-UX バージョンを、HP はサポートしているか 次に、クローニングとシステム リカバリの作業に、上記の内容がどのような影響を与えるかを説明します。 使用する Ignite-UX バージョンは、ユーザー環境のシステムをサポートしているか 最初に検討すべき点は、クローニング、リカバリ、インストールで使用可能な Ignite-UX のバージョンを選択することで す。HP-UX のインストールやリカバリを実行するクライアントをサポートするためには、どのバージョンの Ignite-UX が必 要になるでしょうか。どのような基準で、必要となる Ignite-UX のバージョンを判断すればよいでしょうか。このような質 問に答えるためには、各種 HP-UX インストール カーネルと新しく提供されたハードウェアが、Ignite-UX のどのリビジョ ンでサポートされているかを調べる必要があります。 HP-UX インストール カーネルのサポート Ignite-UX の各バージョンで使用する Ignite-UX インストール カーネルには、どの HP-UX バージョンが含まれているか を理解することが重要です。表 2 は、Ignite-UX バージョンと HP-UX リビジョンを対比しています。 表2 Ignite-UX バージョン HP-UX インストール カーネルのリビジョン B.2.x.x 11.0 [B.11.00] B.3.x.x 11i v1 [B.11.11] B.4.x.x 11i v1 [B.11.11] (PA-RISC システム)/11i v1.6 (Itanium® ベース システム) [B.11.22] B.5.x.x 11i v1 [B.11.11] (PA-RISC システム)/11i Version 2 [B.11.23] (Itanium® ベース システム) この表から、旧型のサーバやワークステーションでは、クローニング、リカバリ、インストールの一部機能が実行できな いため、HP のサポート対象外であることがわかります。 たとえば、Ignite-UX バージョン B.5.3.x では、HP-UX 11.0 を稼動する B180 ワークステーションを 735 ワークステー ションにクローニングすることはできません。これは、735 ワークステーションでは、HP-UX 11i v1 がサポートされてい ないためです。735 ワークステーションは HP-UX 11i v1 ではサポートされていないため、上記のクローニングを実行 できる最も新しい Ignite-UX リビジョンは、Ignite-UX バージョン B.2.6.x となります 2 。 詳細は、以下の HP テクニカル ドキュメント Web ページに掲載されている『HP-UX 11i バージョン 1 リリース ノート』 の「ワークステーションおよびサーバに固有の情報」を参照してください。 http://www.docs.hp.com/hpux/os/11i/index.html#Release%20Notes (英語) http://www.docs.hp.com/ja/hpux11i.html (日本語) 2 インストール カーネルが 11i v1 になってからリリースされた HP-UX 11.0 インストール メディアのバージョンは、すべて Ignite-UX バージョン B.2.x を実行しています。 これは、HP-UX 11i v1 ではなく HP-UX 11.0 をサポートするシステムとの互換性を維持することを目的としています。 3 言い換えると、11.0 はサポートしても 11i v1 はサポートしていないシステムでは、Ignite-UX バージョン B.2.6.x を使 用する必要があるということです。これは、11.0 インストール カーネルを提供する最後のバージョンです。 注記: Ignite-UX C.x.x リリースの製品アーキテクチャでは、インストールするオペレー ティング システムに基づいて複数の HP-UX インストール カーネルがサポート されます。ただし、HP-UX 11.0 システムのインストールとリカバリには、11i v1 インストール カーネルが使用されます。HP-UX 11i v1.6 も同様で、システムの インストールとリカバリには、11i v2 Itanium® ベースのインストール カーネル が使用されます。 新しいシステムのサポート 次に、ハードウェアがいつから使用可能になったかを調べる必要があります。システムが比較的新しい場合、11i v1 の初期リリースでサポートされていたか、それとも、オペレーティング環境 (OE) の四半期リリースでサポートが追加さ れたかを調べます。 新しくサポートされたシステムに関する情報は、『Read before Installing or Updating to HP-UX 11i v1』と『HP-UX 11i バージョン 1 リリース ノート』を参照してください。OE リリースには、各リリースの関連情報が含まれているため、いくつ かの版を調べて、使用中のシステムに関連する情報を探してください。 OE の四半期リリースでサポートが追加されている場合は、サポートがどのリリースで追加されたのかを確認する必要 があります。OE の四半期リリースのリリース日がわかったら、そのリリースで提供された Ignite-UX のバージョンを確 認してください。 OE 四半期リリースで提供された Ignite-UX のバージョンは、OE メディアで swlist(1M) を実行し、出力されたバー ジョン情報から確認できます。 たとえば、rp8400 システムでは、次の OE 四半期リリースで、次に示すサポートが追加されています 3 。 • 2002 年 9 月、Ultra 160 カードを使ったブートのサポートが追加されました。 • 2002 年 6 月、さらに高速な PA8700 CPU (750MHz および 875MHz) のサポートが追加されました。 • 2001 年 12 月、PA8700 CPU (650MHz) のサポートが追加されました。 • 初期リリースは、550MHz CPU の 11i v1 でサポートされました。 • Ignite-UX B.3.7.x リリースで、750MHz および 875MHz CPU のサポートが追加されました。 • Ignite-UX B.3.6.x リリースで、650MHz CPU のサポートが追加されました。 • Ignite-UX B.3.0.x 初期メジャー リリースで、550MHz CPU のサポートが追加されました。 使用する Ignite-UX バージョンは、ユーザー環境の入出力 (I/O) カードをすべてサポートしてい るか これは、1 つ目の検討事項と類似しています。ここでは、ユーザー環境の I/O アダプタをサポートするには、どのバー ジョンの Ignite-UX が必要か、という点が問題になります。次に、2 種類の I/O アダプタをサポートするバージョンを確 認する例を示します。それぞれの状況に合わせて適用してください。 例1 HP-UX でサポート対象の各種ファイバ チャネル (FC) ホストバス アダプタ (HBA) を考えてみましょう (次の一覧は PIC カードのみを示すものであり、完全なリストではありません)。 • A3740A - 1Gb Tachyon ベースの FC HBA • A5158A - 1Gb Tachlite ベースの FC HBA • A6795A - 2Gb XL2 ベースの FC HBA Tachyon チップ搭載 FC HBA は、HP-UX 11i v1 ではサポートされていません。サポートされているのは、HP-UX 11.0 のみです。システムに Tachyon ベースの FC HBA が含まれ、B.3.0 以降の Ignite-UX を使用している場合、リカバリ 3 この内容は、『Read before Installing or Updating to HP-UX 11i v1』と『HP-UX 11i バージョン 1 リリース ノート』に記載されています。 4 中にはこの HBA に接続されているデバイスにアクセスできなくなります。これは、インストール カーネルが 11i v1 ベ ースなので、カーネルに含まれる FCMS ドライバはインタフェース カードを認識できないためです。 システムで HP-UX 11.0 を稼動し、Tachyon ベースの HBA を問題なく使用している場合でも、選択した Ignite-UX バ ージョンがシステムのリカバリ機能に影響を与える可能性があります。 Tachlite ベースの FC HBA のサポートは、Ignite-UX バージョン B.3.3.x で追加され、2001 年 3 月の OE 四半期リ リースで提供されています。ベースバージョンの 11i v1 (550MHz CPU) で rp8400 と A5158A FC HBA を使用して いる場合は、Ignite-UX の旧バージョンをインストールし、システム リカバリを実行するまで、この問題に気付かない可 能性があります。この状態でシステム リカバリを実行すると、A5158A HBA 上のデバイスを検出できなくなります。 A6795A XL2 ベースの FC HBA を認識するには、Ignite-UX バージョン B.3.5.x が必要です。したがって、これよりも 古い Ignite-UX リビジョンでは、この HBA のデバイスを検出できません。 上記の例から、最適な Ignite-UX バージョンを決定するには、システムと同様に I/O カードを検討することが重要だと いうことがわかります 4 。 影響を受けるのは、FC HBA アダプタだけとは限りません。システムに実装されているすべてのインタフェース カード、 特に新しいインタフェース カードを確認する必要があります。 例2 rp84xx システムでのハードウェア変更を考えてみましょう。A6096A Core I/O アダプタは、A7109A Core I/O アダ プタに置き換えられています (2003 年 9 月)。新しい Core I/O アダプタの Gb (ギガビット) Ethernet ローカル エリア ネットワーク (LAN) インタフェースは、古い gelan ドライバではなく、新しい igelan ドライバで制御されます。 新しい A7109A Core I/O アダプタが正常に動作するには、B.11.11.09 以降のバージョンの igelan ドライバが必 要です。古いバージョンの Ignite-UX を使用すると、LAN インタフェースを経由するネットワークからのブート時に、次の ようなエラーが発生します。 tftp> Transfer timed out. ERROR: Could not read /var/opt/ignite/INDEX from install tftp server このメッセージの後に 「LAN Interface Selection」 画面が表示されますが、Core I/O カード (rp8400 上のハードウェ ア パス 0/0/0/1/0) の Gb Ethernet アダプタはリストに表示されません。 このような問題が発生する原因は、新しい A7109A Core I/O アダプタの Gigabit Ethernet アダプタには、 B.11.11.09 バージョン以降の igelan ドライバが必要であるためです (旧 A6096A Core I/O アダプタは gelan ドライバを使用)。このバージョンの igelan ドライバは、Ignite-UX バージョン B.4.4.x 以降に含まれます。 このことから、選択した Ignite-UX のバージョンと、システム内のハードウェアに矛盾が発生してはならないことがわかり ます。 使用するリカバリ アーカイブ、ゴールド イメージ、SD コア オペレーティング システム デポは、ユ ーザー環境のハードウェアをサポートしているか リカバリ アーカイブをクローニングに使用する場合や、ゴールド イメージや SD コア オペレーティング システム デポを インストールに使用する場合は、クライアントについても同じ点をすべて検討する必要があります。 • 使用する Ignite-UX のバージョンは、クライアントをサポートしているか • 使用する Ignite-UX のバージョンは、クライアントで使用している入出力 (I/O) カードをすべてサポートしているか リカバリに関する検討事項は、クローニングやインストールでも検討しなければなりません。 OE メディアと Ignite-UX の依存関係 クライアントのインストールに使用する OE メディアと、工場でインストールされ、OE メディアからの製品インストールの ために起動される Ignite-UX のバージョンには、循環依存の関係があります。 Ignite-UX インストール カーネルは、OE メディアに含まれるパッチを使って構築されます。これにより、そのバージョン の OE で追加された新しいハードウェアをサポートできるようになります。 システム リカバリ中に HBA 上のデバイスにアクセスする必要がなくても、Ignite-UX は HBA 経由のデバイスを検出します。Ignite-UX のリビジョンが低すぎると、デバ イスのインスタンス番号は保持されません。したがって、HBA 経由でアクセス可能な LVM ボリューム グループがある場合は、問題が発生する可能性があります。 4 5 したがって、クライアント ハードウェアのサポートに必要な OE バージョンを選択する際には、ハードウェアと共に出荷 されたバージョン以降の Ignite-UX を使用しなければなりません。 例 SD デポに 2001 年 3 月の 11i v1 OE メディアがあります。Ignite-UX バージョン B.5.3.x を使って rp8400 上にイン ストールします。ブート ディスクは、A6795A (2GB XL2 ベース FC HBA) 経由のストレージ エリア ネットワーク (SAN) 上にあります。rp8400 には、HBA からのブートに必要最小限のファームウェアが搭載されているとします。この場合、 どのような問題が発生する可能性があるでしょうか。 使用した OE は、A6795A FC HBA をサポートしていないため、最終的なインストール カーネルは A6795A FC HBA を認識できません。ブート ディスクを認識できないので、クライアントはブート時にパニック状態に陥ります。 この例からわかるように、クライアントと I/O アダプタをサポートする Ignite-UX を選択するだけでは不十分です。イン ストールするオペレーティング システムも、クライアントやアダプタをサポートする必要があります。 使用する Ignite-UX バージョンを、HP はサポートしているか Ignite-UX 製品のサポート期間も、重要な検討事項の 1 つです。HP は、Ignite-UX のリリース後、27 か月間サポートし ます。つまり、『Ignite-UX リリース ノート』に記載されているリリース日から 27 か月経過すると、そのリリースのサポー トは、その月末で終了します。表 3 に、例をいくつか示します。 表3 Ignite-UX バージョン リリース日 サポート終了日 B.5.3.x 2004 年 4 月 2006 年 7 月 31 日 B.4.2.x 2003 年 4 月 2005 年 7 月 31 日 B.3.7.x 2002 年 4 月 2004 年 7 月 31 日 B.3.6.x 2002 年 1 月 2004 年 4 月 30 日 サポート期間の方針により、同時に 9 つの Ignite-UX バージョンがサポート可能になります。 HP は、Ignite-UX のパッチを提供していません。障害修正と新機能は、新しいバージョンの Ignite-UX でリリースされま す。Ignite-UX の新バージョンは、約 3 か月ごとにリリースされています。 注: Ignite-UX バージョン B.2.6.x は、HP-UX 11.0 のサポートが終了するまでの 間は、サポート対象となります 5 。 5 11.0 より後の HP-UX をサポートしない PA-RISC システムのみ。 6 クローニングとリカバリに関するその他の検討事項 次に示す項目は、前の章で説明した内容に類似していますが、別の観点からの検討事項であり、作業に役立ちます。 • Ignite-UX はシステム上で動作するか • アップグレードしたシステムで旧バージョンの Ignite-UX を使用する場合 • リカバリ アーカイブやゴールド イメージはシステムをサポートしているか • 同じハードウェア モデル文字列を持つシステムのクローニング • 現在のファームウェア リビジョンで、Ignite-UX インストール カーネルに含まれる HP-UX バージョンを実行できるか • クローニングを行ったシステムに HP-UX アプリケーションをロードした後で、アプリケーションに問題があることが 判明した場合の対処方法 ここでは、上記のような検討事項について説明します。 Ignite-UX はシステム上で動作するか 前の章では、新しいシステムのサポートと、必要な OE と Ignite-UX バージョンの判断方法を説明しました。次の例では、 Ignite-UX がシステムをまったくサポートしない状況ではどのような現象が発生するかを説明します。 例 デポに 2004 年 3 月の 11i v1 OE メディアがあります。これを、Ignite-UX バージョン B0.3.3.x を使って rp3440 上 にインストールします。ブート ディスクは、A6795A (2GB XL2 ベース FC HBA) 経由の SAN デバイス上にあります。 どのような問題が発生するでしょうか。 ブート時にインストール カーネルでパニックが発生し、次のようなパニック メッセージが表示されます。 Stored message buffer up to panic: PDC_MODEL_CPU_ID returned 0x14 System Panic: linkstamp:Wed Jul 11 16:30:57 MDT 2001 _release_version:@(#) $Revision:vmunix:vw:-proj selectors:CUPI80_BL2000_1108 -c 'Vw for CUPI80_BL2000_1108 build' -cupi80_bl2000_1108 'CUPI80_BL2000_1108' Wed Nov 8 19:24:56 PST 2000 $ panic:set_machine_parameters_64:Unidentified cpu type returned from PDC_MODEL PC-Offset Stack Trace (read across, top of stack is 1st): 0x00210590 0x002640c8 0x00263ee8 0x004a1e2c 0x00205ae4 0x002008b4 End Of Stack この場合、インストール カーネルは、インストールまたはリカバリの対象となるシステムをサポートしていません。使用 中の Ignite-UX をアップグレードする必要があります。この例では、B.5.3.x にアップグレードします。 アップグレードしたシステムで旧バージョンの Ignite-UX を使用する場合 システム リカバリに必要な Ignite-UX のバージョンと、インストールに使用した Ignite-UX のバージョンの関連付けは、 簡単に失われてしまいます。次に例を示します。 例 rp8400 サーバを購入し、購入後すぐに Ignite-UX をインストールしました。リカバリ計画に従って、 make_tape_recovery(1M) で毎月テープを作成しています。インストールされている Ignite-UX のバージョンは変 更していません。リカバリの事前テストでは、リカバリ作業を問題なく実行できました。 1 年前に、障害 リカバリ システムを 750MHz PA8700 CPU にアップグレードしました。 このアップグレードが原因で、リカバリ テープに保存されたインストール カーネルを最初にブートしたとき、パニックが 発生しました。これは、新しい PA8700 CPU がサポートされていないためです。その結果、深刻な状況でリカバリが起 動され、ダウンタイムが長引きました。 このような状況には、次のいずれかの方法で対処できます。 7 1. 2. 3. 4. 高速な CPU をサポートする Ignite-UX リビジョンを使って、make_boot_tape を実行します。 手順 1 で作成したテープからブートします。 最初のメニューで問い合わせがあったら、元のリカバリ テープと交換します。 元のリカバリ テープを使って、システム リカバリを進めます。Ignite-UX のバージョンが大きく異なる場合、構 成ファイルの変更が原因で、リカバリを正常に終了できないことがあります。 もう 1 つの方法 1. 2. メディアからブートします。 『Ignite-UX Administrators Guide』の「Tape Recovery with No Tape Boot Support」に記載されているデュ アル メディア リカバリ手順を実行します。 リカバリ アーカイブやゴールド イメージはシステムをサポートしているか こでは、前の章で説明した内容 (使用中のリカバリ アーカイブ、ゴールド イメージ、SD コア オペレーティング システム デポでは、ユーザー環境のハードウェアがサポートされるか) を、別の観点から考えたものです。 システムのクローニング、ゴールド イメージのインストール、コア オペレーティング システム デポからのインストールで は、Ignite-UX サーバに、クライアントのサポートに必要なドライバ、ソフトウェア、パッチが含まれているかどうかを確認 しなくてはなりません。また、ゴールド イメージやリカバリ アーカイブを作成するハードウェアが、クローニング機能に影 響を与える可能性があります。 例 N4000 上にゴールド イメージを作成しました。この例で示すように、OE メディアからインストールを実行すると、 N4000 はハード パーティションをサポートしないため、ハード パーティションを使用するシステムのインストールや構 成で一部のソフトウェアが選択されないことがあります。HP-UX 11i v1 の Partition Manager 製品 (ファイル セットは PartitionManager.PARMGR) には、次のような製品構成スクリプトが含まれています。 # # Register our TM, DA, and CB files if we are running on a system that # supports hardware partitions # if [ -x /usr/sbin/parstatus ]; then # Check to see if the system supports hardware partitions /usr/sbin/parstatus -s if [ $?-eq 0 ]; then /usr/sam/bin/samreg /opt/parmgr/lib/parmgr if [ $?-ne 0 ]; then echo "ERROR:PartitionManager unregistration failed." exit $FAILURE fi # restart samd kill_named_procs samd 9 fi fi つまり、ハード パーティション システムにハード パーティション ソフトウェアが初期インストールされていると、このソフ トウェアは、SAM (System Administration Manager) のみに登録されていることになります。 rp8400 でゴールド イメージを問題なくインストールできる場合、コマンド行からは Partition Manager にアクセスでき ますが、SAM 経由ではアクセスできなくなります。SAM から parmgr(1M) を実行可能にするために、 PartitionManager.PARMGR 6 ファイルセットを再構成する必要があります。 ゴールド イメージの作成場所と、クローニングに使用するソースは、慎重に検討してください。ゴールド イメージのソー スとして使用するシステムのアーキテクチャや、クローニングに使用するリカバリ テープを作成する場所も同様です。 さらに、HP-UX 11.0 および 11i v1 には、PA-RISC 2.0 のみの製品やパッチが存在するため、注意してください。PARISC 2.0 システムでリカバリ アーカイブやゴールド イメージを作成し、これを使って PA RISC 1.1 システムのリカバリ を実行しようとすると、HP-UX の一部コンポーネントが動作しないことがあります。 たとえば、次のパッチは、PA-RISC 2.0 システム専用です。 6 ファイルセットを再構成するには、次のコマンドを実行します。swconfig –x reconfigure=true PartitionManager.PARMGR 8 PHSS_30174 PHSS_30175 PHSS_30176 PHSS_30177 PHSS_30178 PHSS_30179 PHSS_30180 PHSS_30183 PHSS_30184 PHSS_30185 s700_800 s700_800 s700_800 s700_800 s700_800 s700_800 s700_800 s700_800 s700_800 s700_800 11.X 11.X 11.X 11.X 11.X 11.X 11.X 11.X 11.X 11.X 3D Common Run (PA2.0 only) PEX 5.1/Starbase/Hardcopy Run (PA2.0 only) PHIGS Dev (PA2.0 only) PHIGS Run (PA2.0 only) Starbase/Hardcopy Dev (PA2.0 only) OpenGL 1.1 Dev (PA2.0 only) OpenGL 1.1 Run (PA2.0 only) DDA Run (PA2.0 only) PEX 5.1 Dev (PA2.0 only) PEX 5.1 Run (PA2.0 only) PA-RISC 1.1 システムで上記製品が必要な場合にも、パッチが新しくなっているため動作しません。 一般的には、バージョンの最も低い基準ハードウェア上にゴールド イメージを作成します。たとえば、PA-RISC 1.1 と 2.0 が混在している場合は、PA-RISC 1.1 システムが基準ハードウェアになります。nPartitions 対応システムと nPartitions 非対応システムなど、アーキテクチャが大きく異なるシステムが混在している場合、クローニングで使用する ゴールド イメージやリカバリ アーカイブを nPartitions 非対応システムで作成すると、一部のソフトウェアが正しく設定さ れないことがあります。この逆も同様です。 カーネル パラメータの設定が原因で、クローニングが正しく動作しない Ignite-UX は、リカバリ アーカイブに設定されたカーネル調整パラメータを使って、システム リカバリまたはクローニング を実行します。カーネル パラメータの調整によっては、物理メモリが大量に使用されることがあります。クローニングで は、ターゲット システムのメモリ容量が少ないと、クローニングを正常に実行できないことがあります。 ここでは、バッファ キャッシュを例に考えてみましょう。nbufs と bufpages を 0 に設定すると、動的バッファ キャッ シュが使用されます。nbufs と bufpages の両方またはいずれかを設定すると、静的バッファ キャッシュが使用され ます。バッファ キャッシュは実メモリ内にあり、システムの起動時に割り当てる必要があります。 たとえば、16GB のメモリを搭載する rp8420 で、システム ファイルで bufpages を 260000 に設定すると、静的バ ッファ キャッシュが使用され、サイズは 1GB を超えます。このシステムを、1GB のメモリを搭載した N シリーズ システ ムでクローニングすると、リカバリ (HP-UX 11.0 システムを使用) での最初のブートで次のようなメッセージが表示され ます。 linkstamp:Mon Dec 20 21:27:01 EST 2004 _release_version:@(#)B2352B/9245XB HP-UX (B.11.00) #1:Wed Nov 5 22:38:19 PST 1997 __kern_ci_revision:$Header:kern_sequence.c,v 1.6.106.512 97/11/05 18:01:46 msosa Exp $ panic:Insufficient buffer cache memory メモリ不足でバッファ キャッシュを割り当てられないため、システム パニックが発生し、クローニングを正常に実行でき ません。 9 同じハードウェア モデル文字列を持つシステムのクローニング 同じモデルのシステム間でクローニングを実行する場合は、Ignite-UX GUI (Graphical User Interface: グラフィカル ユ ーザー インタフェース) を使って、[Basic] タブの [Additional…] ボタンから、[Cloning to different HW?] を [TRUE] に 手動で変更する必要があります。 Ignite-UX は、クローニング (インストール) の対象ハードウェアが別のハードウェアなのかどうかを、モデル文字列の設 定を使用して認識します。クローニング対象のシステムが同じモデル文字列を持つ場合、カーネルは新しく作成されま せん。クローニングの対象システムで、別のハードウェアのサポート用に別のカーネル ドライバが必要になる場合、カ ーネルは新しく作成されないため、必要なドライバがカーネルに含まれていないことがあります。 たとえば、アーカイブの中のカーネルには、そのドライバが存在しないタイプのディスクにインストールすることが可能で す。しかし、このカーネルは、ルート ボリューム グループをアクティブ化できないため、ブート時にパニックが発生します。 現在のファームウェア リビジョンで、Ignite-UX インストール カーネルに含まれる HP-UX バージョ ンを実行できるか Ignite-UX を使ってシステムのクローニングやリカバリを実行する場合は、使用中のファームウェアのリビジョンが、 Ignite-UX カーネルの HP-UX バージョンを実行できるリビジョンであることを確認する必要があります (HP-UX インスト ール カーネルのサポート を参照)。 一部のシステムでは、ファームウェア要件が HP-UX 11i v1 と HP-UX 11.0 で異なる場合があります。たとえば、プラッ トフォームで OLAR (On Line Addition [and] Replacement) を有効にする方法については、『HP-UX 11i Version 1 Installation and Update Guide』でファームウェア要件を確認してください。 クローニングを行ったシステムに HP-UX アプリケーションをロードした後で、アプリケーションに問 題があることが判明した場合の対処方法 一部のアプリケーションでは、構成を戻すための iux_postload や iux_postconfig スクリプトが提供されてい ないため、システムのクローニングで問題が発生しても対処できません。 クローニング後に問題が発生したアプリケーションは、手動による構成でクリーンアップする必要があります。アプリケ ーションの無効化、削除、再構成が必要な場合があります。 たとえば、元のシステムが iCAP (Instant Capacity) 7 システムの場合、iCAP 製品 (B.06.00 より前) からシステムをク ローニングすると、通常は正常に稼動しません。 # icod_stat ERROR: The software ID of this system does not match the ID stored in the iCAP processor configuration.Contact your local support representative to correct the configuration. B.06.00 より前の iCAP を実行し、ゴールド イメージまたはコア オペレーティング システム SD デポを既存の HP-UX にインストールすると、システムは iCAP が有効でない状態になります。この場合のインストール (再インストール) 計画 では、次の点を考えてみましょう。 7 • iCAP バージョン B.06.00 以降のバージョンは、セル ベース システムのみをサポートします。iCAP バージョン B.06.00 以降を含むゴールド イメージは、セル ベースではないシステムにはインストー ルしないでください。iCAP システムの V、M、L シリーズは、B.06.00 より前の iCAP バージョンでも 動作します。 • 既存のセル ベース iCAP システムを再インストールする場合は、iCAP バージョン B.06.00 以降が 稼動していることを事前に確認してください。iCAP バージョン C.06.00 以降にアップグレードする 場合は、icod_stat コマンドを実行すると、製品にはアップグレード コードワードが必要だというメ ッセージが表示されることがあります。アップグレード コードワードは、iCAP ポータルから取得でき ます。iCAP のバージョンに関する詳細は、『Instant Capacity User's Guide』を参照してください。 旧製品名は iCOD (Instant Capacity on Demand)。 10 • セル ベース システムには、iCAP バージョン B.06.00 以降をインストールするのが安全な方法で す。iCAP バージョン C.06.00 以降を収録している HP-UX OE メディアを使用すると、iCAP 以外の システムを含めて、すべてのセル ベース システムに iCAP ソフトウェアをインストールする必要が あります。ソフトウェアのインストールに失敗すると、他のパーティション管理ソフトウェア (vPars およ び nPartitions) のコンポーネントが稼動しなくなることがあります。この現象は、iCAP を使用するセ ル ベース システムと iCAP を使用しないセル ベース システムのいずれでも発生します。 まとめ システム上に最新の Ignite-UX をインストールし、インストールするソフトウェアを慎重に計画すれば、本書で説明した ような問題の多くを回避できます。 一般的に、「どのバージョンの Ignite-UX を使用すればよいのだろう」という疑問を持った場合は、最新のバージョンを 使えば、すべての機能、ハードウェア、ソフトウェア リリースを含んでいます。Ignite-UX 製品の詳しい内容は、最新リリ ースのリリース ノートを参照してください。 http://docs.hp.com/en/IUX/infolib.html (英語) 使用中のバージョンから最新バージョンまで、各バージョンの Ignite-UX で提供される拡張機能やアップデートを確認し てから、ユーザー環境に最適なバージョンを選択してください。 Ignite-UX 製品は、HP-UX リリース メディアに収録されています。また、Ignite-UX Web サイトからダウンロードできます。 http://docs.hp.com/en/IUX/download.html (英語) 参考情報 以下の関連ドキュメントは、HP テクニカル ドキュメント Web サイトでオンラインで参照できます。 http://docs.hp.com/ (英語) http://docs.hp.com/ja (日本語) ※ 下段は日本語タイトル 『Ignite-UX Administration Guide』 『Ignite-UX 管理ガイド』 『HP-UX 11.0 Installation and Update Guide』 『HP-UX 11.0 インストール/アップデート ガイド』 『Release Notes for HP-UX 11.0』 『HP-UX 11.0 リリースノート』 『HP-UX 11i Version [1|1.6|2] Installation and Update Guide』 『HP-UX 11i バージョン [1|1.6|2] インストール/アップデート ガイド』 『HP-UX 11i Version [1|1.6|2] Release Notes』 『HP-UX 11i バージョン [1|1.6|2] リリース ノート』 『Managing systems and Workgroups: A Guide for HP-UX System Administrators』 『HP-UX システム/ワークグループの管理』 ここで紹介したドキュメントの一部または全部は、Instant Information メディアと印刷物で提供されています。 Ignite-UX for HP-UX に関する製品情報は、次の Web サイトを参照してください。 http://docs.hp.com/en/IUX/ (英語) 11 お問い合わせはカスタマー インフォメーションセンターへ 03-6416-6660 月~金9:00~19:00 土10:00~18:00 (日、祝祭日、年末年始および5/1を除く) HP-UX 製品に関する情報は HP-UX に関する技術情報は http://www.hp.com/jp/hpux http://www.hp.com/jp/developer 記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。 記載事項は2005年7月現在のものです。 本書に記載された内容は、予告なく変更されることがあります。 本書中の技術的あるいは校正上の誤り、省略に対して、 いかなる責任も負いかねますのでご了承ください。 本書は、『Cloning and Recovery Issues using Ignite-UX』 (2005/3、英語) をもとに加筆・修正して日本語で提供するものです。 © Copyright 2005 Hewlett-Packard Development Company,L.P. 日本ヒューレット・パッカード株式会社 〒140-8641 東京都品川区東品川2-2-24 天王洲セントラルタワー PDFHS05018-01