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小学校外国語活動の一層の充実に向けて

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小学校外国語活動の一層の充実に向けて
小学校外国語活動の一層の充実に向けて
~小学校外国語活動は間もなく3年目を迎えます~
外国語活動により、このような成果が出ています!
子供たちが小学校外国語活動の時間にコミュニケーションを体験的に学んでいること
で、中学校の先生方から以下のような肯定的な声が聞かれました。
○
英語で聞き取った内容が全て理解できなくても、何を伝えようとしているのかを分
かろうとする姿勢が育っている。
○
基礎的な英語の語彙が分かる。
○
進んでコミュニケーションを図ろうとする姿勢が育っている。
など
小・中・高のつながりを考えて、授業づくりを見直してみましょう!
東京都小学校外国語活動推進委員会では、「小学校で行っている外国語活動が中学校・
高等学校の指導にどのようにつながっていくのか、小学校の先生がイメージをもつ必要
がある。」
「初めて高学年を担任し、外国語活動を指導する際、何から始めるのかが分かる
とよい。」という課題が挙げられました。
このパンフレットでは次の内容を紹介しています。
★
★小学校ではコミュニケーションの素地を養いましょう ★
★
Ⅰ
小学校外国語活動の基本的な考え方
2ページ
★
★学級担任の先生が自信をもって取り組みましょう ★
★
Ⅱ
小学校外国語活動の留意事項
3ページ
★
★児童が「英語を使おう」と思う『場』を設定しましょう ★
★
Ⅲ
小学校外国語活動の授業づくり
4~5ページ
★
★様々な研修の機会を利用しましょう ★
★
Ⅳ
Ⅴ
東京都教職員研修センター平成26年度の研修予定
小学校外国語活動の授業に役立つ教材 8 ページ
平成 26 年3月
東京都教育委員会
6~7ページ
Ⅰ 小学校外国語活動の基本的な考え方
★
★
★小学校ではコミュニケーションの素地を養いましょう ★
○ 社会や経済のグローバル化が急速に進展し、異なる文化の
共存や持続可能な発展に向けて国際協力が求められるととも
に 、人 材 育成 面で の 国際 競争 も 加速 していることから、学
校教育において外国語教育を充実することが重要な課題
○ 小学校段階で外国語に触れたり、体験したりする機会を提
供することにより、中・高等学校においてコミュニケーショ
ン能力を育成するための素地をつくることが重要
小学校学習指導要領解説外国語活動編「小学校外国語活動新設の趣旨」より
小学校段階では、小学生のもつ柔軟な適応力を生かして、言葉への自覚を促し、幅広
い言語に関する能力や国際感覚の基盤を培うため、中学校段階の文法等の英語教育を前
倒しするのではなく、国語や我が国の文化を含めた言語や文化に対する理解を深めると
ともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図ることを目標と
して外国語活動を行う(後略)
「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)」
(文部科学省 平成20年1月17日)より
●
小学校・中学校・高等学校における英語教育
グローバル化に対応した英語教育改革実施計画(文部科学省 平成 25年)より
小学校 外国語活動「コミュニケーションの素地」を養う
○
活動型
○
学級担任を中心に指導
○
英語を用いてコミュニケーションを図る楽しさを体験することで、コミュ
ニケーションの素地を養う。
中学校外国語科 「コミュニケーション能力の基礎」 を養う
○
4技能の総合的育成
○
ある程度の長さの文章を読んで、登場人物の行動や話の流れなど、あらす
じを読み取ったり、その内容を簡単な言葉で伝えたりすることができる。
(英
検3級程度)
高等学校外国語科 「コミュニケーション能力」 を養う
○
授業は英語で行うことを基本
○
評論文などを読んで概要をつかんだり、主題を決めて様々な種類の文章を
書いたりすることができる。(英検準2級~2級程度)
2
Ⅱ
小学校外国語活動の留意事項
Ⅲ 外国語活動に求められるもの
★
★
★学級担任の先生が自信をもって取り組みましょう ★
学級担任は児童の興味・関心を誰よりもよく把握しています。
また、児童にとっては身近な存在であり、手本でもあります。
こうした学級担任ならではの特性を踏まえ、授業に臨みましょう。
ねらいの達成や学級担任が教える利点を生かすためには、以下のようなことに配慮しながら、
授業の進行管理をしていくことが大切です。
① 学級に合った場面設定を考える。
「学級担任ならではの『場』の設定」
・
児童にとって外国語を使ってコミュニケーションしたいと思う『場』の設定をする。
(→5ページのポイントを参考)
・
他の児童の知らなかった面や、外国の知らなかった事実を発見するなど、児童にとっ
て新しい発見のある活動を考える。
・
他教科と関連付けて教える。(例えば、「ランチメニューを作ろう」という活動と家庭
科の栄養素の学習を結び付けるなど)
② 学級担任が児童のロールモデル(外国語を使おうとする人のモデル)となる。
・
児童の知っている英単語を組み合わせてALTに英語で伝えている姿を見せる。
・
ジェスチャーや表情等、言葉以外でも伝えようとしている姿を見せる。
③ クラスルーム・イングリッシュを積極的に使う。
※クラスルーム・イングリッシュ⇒外国語活動の指導において、繰り返し使う英語
の指示語
・
文部科学省「外国語活動ハンドブック」(平成21年度全校に配布)には、音声のCD
とともにたくさんのクラスルーム・イングリッシュの例が記載されている。その日の授
業に必要な表現を選び、使うことから始め、次第に使うフレーズを増やしていくとよい。
・ 特に児童を褒める言葉(“Good job!”など)は教師の笑顔とともに使用していくと、
児童が外国語を学ぶ意欲の向上にもつながる。
・
簡単な言葉をリズムよく使う。
3
Ⅲ 小学校外国語活動の授業づくり
★
★
★児童が「英語を使おう」と思う『場』を設定しましょう★
STEP1
~児童と単元のゴールの共有をしましょう~
単元の目標を明確にし、単元の終わりに何を目指すのか児童が分かるようにしましょう。例えば
以下に挙げた単元では最後に英語で「オリジナル桃太郎」の劇発表を行います。 そのゴールに向かっ
て、本時は何をするのかについて児童と指導者が目標を共有して活動を行います。例えばゲームな
どでは、活動すること自体を目的とするのではなく、「劇発表に向けて、『表情やジェスチャー』な
どを加えて『相手に気持ちを伝える』力をつけることが目標である」、といったように目標を共有し
ます。単元を通したゴールを設定することによって、一つ一つの活動に共通の目標をもたせ、活動
に意欲的に取り組ませることができます。
例えば…
"Hi, friends!" 2 Lesson 6 の場合
単元計画
文部科学省ホームページ
http://www.mext.go.jp/a_m
enu/kokusai/gaikokugo/131
4837.htm より
○ 単元の終わり
に目指すことは
「積 極 的 に 英 語
を使って、考え
た物語を聞こう
としたり伝えた
りしようとする」
ことである。
(第6時の目標)
○ 単元の目標及
び単元の終わり
に目指すことを
児童に意識させ
ながら、段階を
追って活動する
ことで、1時間
ごとの活動が単
発のものではな
く、次につなが
ることが分か
り、児童がさら
に意欲的に取り
組む。
4
STEP2
~さらにこんなポイントを押さえると効果的です~
ポイント①
-学習形態の工夫-
ポイント②
-デモンストレーションする-
児童の中には、英語で話すことが得意
な児童もいれば、不得意な児童もいま
す。個人、ペア、グループ、クラス全体
のように、全ての児童が発話しやすい場
面を作ることが大切です。
ALT等がいる場合はALT等と、ど
のよ うに 活 動を 行え ば よい かの 見 本を
示します。ALT等がいない場合は、児
童の 中か ら 英語 リー ダ ー等 を決 め て活
動の見本を見せることもできます。
ポイント③
-児童が理解できていないと感じ
たら日本語で-
ポイント④
-繰り返し指導する-
外国語活動において児童は、文字によ
らず、記憶した表現を使って活動をして
いきます。児童が自信をもって表現でき
るようになるまで、歌やチャンツ、絵カ
ード等を活用して、リズムよく繰り返し
インプットし、自信をもって活動できる
ようにしましょう。
分からないまま進めていくと、児童は
英語を聞く意欲や、活動に取り組む意欲
をなくしてしまいます。簡単な英語とデ
モンストレーションも大切ですが、児童
が理解していないと感じた時には、日本
語を加えて全児童が理解した上で活動
できるようにしましょう。
ポイント⑤
-発見のある、伝えたくなる内容にする-
決められた表現を暗記して使うだけでは、伝え合いにはなりません。友達の知らなかっ
た一面や日本や海外の文化の新たな一面を発見するなど、児童が知ったり、伝えて「意味
がある」と感じられたりする『場』を設定していきましょう。
“Hi,friends!”~先進校の取組より~
●●●教員の体験談●●●
~外国語活動の苦手意識を克服!~
小学校の約90%が“Hi,friends!”を教材と
して使用していることに対して、“Hi,friends!”
DVD の活用率は約37%に留まっています。(「平
成 25 年度小学校外国語活動に関する調査」より)
新たに「イングリッシュルーム」を設置して大型
テレビや音声機材を備えた学校からは「準備の時間
が短縮できる」
「DVD を活用して学級担任が主導し
た授業が行われるようになった」等の言葉が届いて
います。
前任校ではALTに頼ることが多く、自分の英語
力には全く自信がありませんでした。しかし、授業
スタイルが分かってくると、安心して取り組めるよ
うになりました。
身近なお店の名前や、校外学 習 で 体 験 し た 内容
などを活動に取り入れ、児童の実態に合わせた『場』
の設定をしています。こうした工夫を始めると、児
童が生き生きと活動に取り組み、私自身も楽しくな
りました。
外国語活動の授業が苦手だと感じていた時は、
「英語」への苦手意識でいっぱいでしたが、「授業
づくり」として考えると楽しくなります。一人で抱
え込まず、地域の英語の堪能な方の協力を得たり、
5・6年生の学級担任だけでなく、学校全体で取り
組むようにしたり するこ と で 苦 手 意 識 が なくなっ
て いきました。
外国語活動教室の掲示物の例
5
Ⅳ 東京都教職員研修センター
平成 26 年度の研修予定
★
★
★様々な研修の機会を利用しましょう ★
多くの方の参加をお待ちしています。
平成26年度に東京都教職員研修センターで予定している外国語活動に関わる研修会を紹介します。
● 専門性向上研修
外国語活動Ⅰ
研修番号 4101
「伝え合う楽しさを実感させる小学校外国語活動の授業づくり」
◆ねらい◆
小学校外国語活動の目標及び内容を理解するとともに、具体的な教材や授業展開、基
本的な指導方法、学習評価について学びます。
◆特色◆
・津田塾大学との連携により、授業で使用する教材を用いて、体験的に学びます。
・授業研究を通して、授業展開と教材活用について学びます。
◆平成 25 年度 受講者の声◆
・指導案作成までの流れがつかめました。また様々なアクティビティを教えていただけた
ので、学習活動に生かしたいと思います。
・指導案の作り方がよく分かりました。終末から考えていくということを初めて知りまし
た。
・指導案作成となると身構えてしまいますが、分かりやすい作成方法を教えていただき、大
変参考になりました。
・自分一人で授業する際のアクティビティの取り入れ方の参考になりました。
・グループで活動し、情報交換ができたことはとても参考になりました。
What’s this?
《平成 25 年度 研修風景》
←話題となっている
ものを使う
What’s this?
知っているものに
フィルターをかけてみる→
What’s this?
知っているものの
一部分を拡大する→
例えば、同じ”What’s this?”でも、
写真を加工して、提示方法を工夫する
ことによって、児童の活動への意欲を
引き出すことができます。
6
● 専門性向上研修
外国語活動Ⅰ・Ⅱ
研修番号4201
「中学校との連携を意識した外国語活動の授業づくり」
◆ねらい◆
中学校との連携についての現状や課題、実践事例を学ぶとともに、外国語活動教材“Hi,
friends!”の授業での効果的な活用の仕方について学びます。
◆特色◆
文部科学省の教科調査官から、中学校との連携や、具体的な授業づくり、外国語活動の
これからについて学びます。
◆平成25年度 受講者の声◆
・講師の先生から小学校外国語活動の最新情報を聞くことができ、とても役に立ちました。
外国語教育がどのような方針で進んでいるのか、正確な情報を今回はたくさんお聞きする
ことができて良かったです。
・
“Hi, friends!”の使い方を具体的に示してくださったので、実際に使用するイメージが湧
きました。
・外国語の小・中連携の具体的な内容、実践事例が今後の取組の参考になりました。
・実践事例発表の様子から、どのように授業を進めていけばよいのか理解できました。校内
に広めていきたいと思います。
《平成 25 年度 研修風景》
講演の様子(直山木綿子
教科調査官)
実践事例発表の様子
◆研修会に参加するための方法◆
○平成26年度の研修案内は既に配付されています。日程等詳細を確認してください。
○受講したい旨を管理職に相談します。
○申込み期間に管理職を通じてホームページから申込みをします。(申込み方法の詳細は研修
案内に記載してあります。)
※定員に達した場合は、お断りする場合がありますので御了承ください。
7
Ⅴ 小学校外国語活動の授業に役立つ教材
外国語活動のイメージをもち、指導の幅を広げる
資料・教材名
内容・入手方法
映像資料 1
英語ノート Lesson8 等の授業
小学校版 新学習指導要領に対応した外国語
活動及び外国語科の授業実践事例映像資料
1・2・3
※平成22・24・25 年度全校配布
映像資料 2
“Hi,friends!1” Lesson 4 I like apples.
“Hi,friends!2” Lesson 3 I can swim.
映像資料 3
“Hi,friends!2” Lesson 7
friends.
We are good
映像資料2・3 については指導案が下の文部科学
省ホームページよりダウンロードできる。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/g
aikokugo/1337164.htm
指導を計画する・指導する
資料・教材名
内容・入手方法
文部科学省ホームページ
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/g
aikokugo/1314837.htm
各活動の内容やねらい・留意点、音声スクリプト、
指導者が使える表現例が記載されている。
“Hi,friends!”に対応した
「年間指導計画」、「学習指導案」
“Hi,friends!”指導編
※平成24・25年度全校配布
“Hi,friends!” 音声 CD(Let's Chant
や Let's Sing を収録)
※平成24 年度区市町村教育委員会に配布
Let's Chant や Let's Sing が収録されている。
“Hi,friends!” デジタル教材
※平成24・25年度全校配布
Let's Chant や Let's Sing 等のデジタル教材を
収録。絵カード等のデータも収録されている。
《参考となる資料(ホームページ)》
評価のための資料「小学校外国語活動における評価方法等の工夫のための参考資料」
(国立教育政策研究所教育課程研究センター)
http://www.nier.go.jp/kaihatsu/hyouka/shou/11_sho_gaikatu.pdf
本委員会が作成したリーフレットのバックナンバー「学び応援ページ」(東京都教育委員会)
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/shidou/gaikokugo.htm
絵 カ ー ド や ワ ー ク シ ー ト な ど 教 材 へ の リ ン ク 「 え い ご ネ ッ ト 」( 英 語 教 育 協 議 会 )
http://www.eigo-net.jp/info/case/shogakko/
「小学校外国語活動の一層の充実に向けて」
東京都教育委員会印刷物登録
編集・発行
平成 25 年度 第 172 号
東京都教育庁指導部義務教育特別支援教育指導課
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