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宮崎県野生鳥獣の衛生管理に関するガイドライン

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宮崎県野生鳥獣の衛生管理に関するガイドライン
宮崎県野生鳥獣の衛生管理に関するガイドラインの概要
ガイドラインの主旨
1 野生鳥獣肉の処理に当たっては、野生鳥獣を屋外で捕殺、捕獲するという、家畜とは違う
処理が行われるため、独自の衛生管理が必要となります。
2 狩猟者や、野生鳥獣肉を取り扱う食肉処理業者等の関係者が共通して守るべき衛生措置
を記載しています。
3 食用として問題があるようなものは廃棄することを前提に、具体的な処理方法を記載してい
ます。
シシ肉・シカ肉を取り扱う上での関係法令
食品衛生法及び食品衛生法施行条例
1 食品の安全性確保のために公衆衛生の見地から、必要な規制その他の措置を講ずること
により、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、国民の健康の保護を図るための法
律です。
2 捕獲したイノシシ・シカを食肉として流通させる場合には、同法に基づき、と殺・解体処理を
行う施設については、宮崎県食品衛生法施行条例(以下「食衛法条例」という。)で定められ
た「施設基準」に適合させ、食肉処理業等の許可を取得することが必要です。また、食肉処理
に当たっての衛生管理は、食衛法条例で定められた公衆衛生上講ずるべき措置の基準を遵
守することが必要です。
人への感染症について
人獣共通感染症とは、自然条件下でヒトにも動物にも感染する感染症のことで、病原体は、ウ
イルス、細菌、寄生虫と多岐にわたります。日本において野生鳥獣肉を介して発症した人獣共通
感染症として、加熱不十分な野生シカ肉や野生イノシシ肉を食べたことが原因とみられるE 型肝
炎や腸管出血性大腸菌O157 感染症などの事例があります。また、イノシシ肉の生食による寄生
虫(ウェステルマン肺吸虫)の感染が知られています。
年
場所
原因食品
感染症
患者数
(死者数)
昭和56
三重県
冷凍ツキノワグマの刺身
トリヒナ
(旋毛虫)症
172人(0人)
平成12
大分県
シカ肉の琉球
サルモネラ症
9人(0人)
平成13
大分県
シカ肉の刺身
腸管出血性大腸菌
(ベロ毒素産生)感染症
3人(0人)
平成15
兵庫県
冷凍生シカ肉
E型肝炎
4人(0人)
平成15
鳥取県
野生イノシシの肝臓(生)
E型肝炎
2人(1人)
平成17
福岡県
野生イノシシの肉
E型肝炎
1人(0人)
平成20
千葉県
野生ウサギ(の処理)
野兎病
1人(0人)
平成21
茨城県
シカの生肉
腸管出血性大腸菌
(ベロ毒素産生)感染症
1人(0人)
平成21
神奈川県
野生シカの肉(推定)
不明
5人(0人)
営業許可について
● 食肉処理業、食肉販売業、飲食店営業、そうざい製造業等の営業許可のお問い合わせは
最寄りの保健所にご相談ください。
衛生管理のガイドライン
野生鳥獣肉の具体的な処理方法
狩猟
運搬
処理
加工、調理、
販売
消費
●狩猟しようとする野生鳥
獣に関する異常の確認
【家畜の生体検査に相
当】
● 食用とすることが可能な
狩猟方法
● 屋外で放血する場合の
衛生管理
● 屋外で内臓摘出する場
合の衛生管理、内臓の
異常の有無の確認
● 狩猟者自身の体調管理
及び野生鳥獣由来の感
染症対策
○ 具体的な運
搬方法
○ 狩猟者と食肉
処理業者の
連絡体制
○ 狩猟個体の
相互汚染防
止
○ 食肉処理業
者に伝達す
べき記録の
内容
○ 狩猟者における衛生管理
についての確認
○ 食肉処理場の施設設備等
○ 食肉処理業者が、解体前
に当該野生鳥獣の異常の
有無を確認する方法【家
畜の解体前検査に相当】
○ 食肉処理業者が解体後に
野生鳥獣の異常の有無を
確認する方法【家畜の解
体後検査に相当】
○ 工程毎の衛生管理
○ 仕入れ先
○ 記録の保存
○ 十分な加熱
調理
○ 使用器具の
殺菌
○ 野生鳥獣で
ある旨の情
報提供
○ 十分な加
熱調理
○ 使用器具
の殺菌
※家畜の場合
と畜場における処理
○ 放血、はく皮、内臓摘出、枝肉洗浄等の工程において衛生的
な処理を実施
○ 生体検査、解体前検査、解体後検査により疾病を排除
食肉処理場
における処理
加工、調理、販売
○ 「食品等事業者が実施すべき管理運営基準
に関する指針」を踏まえて、都道府県等が条
例により定めた一般的衛生管理を実施(原材
料点検、温度管理、殺菌等)
消費
○ 十分な加
熱調理や使
用器具の殺
菌について、
事業者に対
する指導、
消費者に対
する周知啓
発を実施
疾病排除のためのイノシシ・シカの病気
1 写真による疾病の紹介(カラーアトラス)
野生鳥獣は、牛や豚等の家畜とは異なり、飼料や健康状態等の衛生管理が行われていないことから、寄生虫に感染
していたり、E型肝炎等の疾病に罹患しているなど一定のリスクが認められます。
別冊のカラーアトラスは上記のリスクを持つ野生鳥獣について、放血や内臓摘出、解体等の処理を行う際に、その個
体の肉を食用に供することができるかを判断するための参考とするものです。なお、食用に供することができると判断し
た場合にあっても、十分に加熱して喫食することが重要です。
2 食用に供する野生鳥獣の異常の確認
野生鳥獣肉の衛生管理に関するガイドラインにおいて、狩猟前後、放血、内臓摘出、解体時に確認する異常の項目
を示したところです。特に、屋外において内臓摘出を行う際は、狩猟者及び食肉処理業者による複数段階での異常の
確認を行うこととしており、確認の際には別冊のカラーアトラスを活用してください。
3 廃棄の判断
野生鳥獣肉について、食用として問題がないと判断できない疑わしいものは廃棄とし、十分に安全を確保することが
必要です。肉眼的に異常が認められない場合も、微生物及び寄生虫の感染のおそれがあるため、可能な限り、内臓に
ついては廃棄することが望ましいとされています。
また、内臓摘出時に肉眼的異常が認められた場合、その内臓は全部廃棄としてください。
リンパ節腫脹、腹水や胸水の貯留、腫瘍、臭気の異常等が認められた場合は、全身性の疾病の恐れがあることから、
枝肉、内臓を全部廃棄してください。
筋肉内の腫瘤について、肉眼的に全身性の腫瘍との区別は困難であることから、筋肉を含め全部廃棄してください。
宮崎県福祉保健部衛生管理課 ・ 保健所
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