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第5章 事例集 豪雨・洪水編-2(PDF:1647KB)
豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 1/6 18 かきした 防災ため池のダム管理規程に則った対応 岐阜県 柿下ため池 ○平 成 22 年 7 月 の豪 雨 における対 応 ・ 防災ため池としての機能を十分発揮できるように水位制限期間(7~9 月)を設定 し、期間中はこまめに水位が制限水位を超えないように観測と調整を行っていた。 ・ 柿下池では洪水調整の必要が生じると認められる場合は、予備放流を行うこととな っている。しかし、当日は降雨が急激で予想できないものであったことから予備放 流には対応できなかった。 ・ 管理主体の可児川防災等ため池組合は、ダム管理規程に従い洪水警戒体制をとり、 水位調整用のゲートを閉じるなど適切に対応して被害は発生しなかった。 気 象 影 響 の概 況 ・ 平成 22 年 7 月 15 日は、日本海に停滞した梅雨前線に南から暖かく湿った空気 が流れ込み、上空には-6℃の寒気が流れ込んだため、西日本から中部地方にかけ て大気の状態が非常に不安定となった。このため、発達した雨雲が発生し、岐阜県 中濃・東濃地方に停滞して集中豪雨となった。 斜樋 堤体 管理用階段に表示された満水位 洪水吐 63 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 2/6 18 かきした 防災ため池のダム管理規程に則った対応 岐阜県 柿下ため池 ○参 考 資 料 : 可 児 川 防 災 等 ダム管 理 規 程 第1章 総 則 (趣旨) 第1条 この規程は、次のダム(貯水池及び附帯構造物を含む。以下同じ)の維持操作その他の管理につい て、必要な事項を定めるものとする。 柿下ダム、大洞ダム、桜ダム、小渕ダム、谷山ダム、大藪ダム、真名田ダム、比衣ダム (ダムの用途) 第 2 条 ダムは、洪水調節及びかんがいをその用途とする。 (管理主任技術者) 第 3 条 可児川防災等ため池組合(以下「組合」という。)に管理主任技術者を1人置く。 2 管理主任技術者は、この規定の定めるところによりダムを管理するものとする。 (異例の処置) 第 4 条 管理主任技術者は、この規程に定めない事項を処理しようとするときは、あらかじめ組合管理者(以 下「管理者」という。)の承認を得なければならない。ただし、非常事態の発生により緊急に措置 を要するものについては、この限りでない。 2 前項ただし書の場合は、事後すみやかに管理者に報告するとともにその後の措置についての指示を 受けなければならない。 第2章 貯水、放流又は取水並びにダムの利用に関する事項 第 1 節 ダムの水位 (洪水期及び非洪水期) 第 5 条 毎年 7 月 1 日から 9 月 30 日までの期間を洪水期とし、10 月 1 日から翌年 6 月 30 日までの期間を非 洪水期とする。 (満水位) 第 6 条 ダムの満水位は、ダムごとに別表第 1(1)欄に掲げる標高とする。 (制限水位) 第7条 ダムの制限貯水位(以下「制限水位」という。)は、次の各号に掲げる標高とし、洪水調節を行う場 合を除き、水位をこれより上昇させてはならない。 一 洪水期 ダムごとに別表第 1(2)欄に掲げる標高 二 非洪水期 満水位 (予備放流水位) 第 8 条 第 16 条の規程による予備放流後の水位は、ダムごとに別表第 1(3)欄に掲げる標高以下でなければ ならない。 (水位の基準) 第 9 条 ダムの水位は、ダム本体に設置された水位計の示度によるものとする。 第 2 節 ダムの利用 (洪水調節のための利用) 第 10 条 洪水調節のための利用は、ダムごとに予備放流水位から満水位までの別表第 1(4)に掲げる容量を 利用して行うものとする。 (かんがい用水のための利用) 第 11 条 かんがい用水のための利用は、ダムごとに制限水位までの別表第 1(5)に掲げる容量を利用して行 うものとする。 (かんがい用水の貯水) 第 12 条 管理主任技術者は、かんがい用水を確保するため、原則として毎年 5 月 31 日までにダムの水位を ダムごとに満水位にするものとする。 第 3 節 洪水調節 64 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 3/6 18 かきした 防災ため池のダム管理規程に則った対応 岐阜県 柿下ため池 (洪水) 第 13 条 洪水とは、ダムへの流入量がダムごとに別表第 1(6)欄に掲げる量を超える流入をいう。 (洪水警戒体制) 第 14 条 管理主任技術者は、次の各号の一つに該当する場合においては、洪水警戒体制をとらなければなら ない。 一 岐阜地方気象台から関係地域に対して、降雨に関する注意報又は警報が発せられたとき。 二 その他洪水が予想されるとき (洪水警戒体制における措置) 第 15 条 管理主任技術者は、前条の規定により洪水警戒体制をとったときは、職員を呼集してそれぞれ担当 部署に配置し、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。 一 別表第 2 に掲げる関係機関との連絡並びに気象、水象に関する観測及び情報の収集を密接に行 うこと。 二 ゲート及びゲートの操作に必要な機械器具の点検、整備その他ダムの操作に関し必要な措置を とること。 (予備放流) 第 16 条 管理主任技術者は、洪水調節を行う必要が生ずると認められる場合において、水位が予備放流水位 を超えているときは、水位を該当予備放流水位まで低下させるため、直ちにダムから放流を行わな ければならない。 (洪水警戒体制の解除) 第 17 条 管理主任技術者は、気象及び水象の状況により洪水警戒の必要がなくなったと認めたときは、堤体 等の異常の有無を点検し、異常を認めたときは速やかに必要な措置をとり、その後に洪水警戒体制 を解除するものとする。 第 4 節 かんがい用水の取水 (かんがい期間) 第 18 条 毎年 5 月 1 日から 9 月 15 日までをかんがい期間とする。 (取水) 第 19 条 管理主任技術者はかんがい期間において、第 11 条に規定する容量の範囲内で、気象、水象及びか んがいの状況を考慮して受益地の必要な水量をダムから放水しなければならない。 第 5 節 貯水及び放流 (貯水の制限) 第 20 条 ダムに流入する水は、次の各号の一つに該当する場合に限り貯水するものとする。 1. ダムの水位が制限水位以下であるとき。 2. その他特にやむを得ない理由により必要があるとき。 (放流の制限) 第 21 条 ダムに貯留された水は、次の各号の一つに該当する場合に限り放流(取水のための放流を除く。 ) するものとする。 一 水位が制限水位を超えるとき。 二 第 16 条の規定により洪水時の調節を行う必要があるとき。 三 第 23 条の規定により点検整備を行う必要がるとき。 四 第 26 条第 3 号の規定により非常放流を行うとき。 五 その他特にやむを得ない理由により必要があるとき。 (放流の原則) 第 22 条 ダムから放流を行うときは、放流により下流に急激な水位の変動を生じないよう十分注意するもの とする。 2 管理主任技術者は、ダムから放流を行うことにより流水の状況に著しい変化を生ずると認めるとき は、これによって生ずる危害を防止するため別表第 2 の関係機関に通知するとともに、一般に周知 させるため必要な措置をとらなければならない。 65 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 4/6 18 かきした 防災ため池のダム管理規程に則った対応 岐阜県 柿下ため池 第 3 章 点検及び整備に関する事項 (点検及び整備) 第 23 条 管理主任技術者は、堤体、ゲート、ゲートを操作するために必要な機械及び器具通信連絡及び観測 のために必要な設備、管理のために必要な設備、管理のために必要な車両並びにこれらの操作のた めに必要な資材を常に良好な状態に保つための点検及び整備を行わなければならない。 (ダム及びその周辺の監視) 第 24 条 管理主任技術者は、ダム及びその周辺について常に監視を行い、その維持管理及び保全に支障を及 ぼす行為の取締り並びに危険防止に努めなければならない。 第 4 章 緊急事態における措置に関する事項 (非常警備体制) 第 25 条 管理主任技術者は、第 14 条の規定による洪水警戒体制において次の各号の一つに該当する場合に は、非常警備体制をとらなければならない。 一 ダムの水位がダムごとに別表 1(7)欄に掲げる標高を超え、又は明らかに超えると認められる 場合。 二 ダムに重大な危険を生じた場合。 (非常警備体制における措置) 第 26 条 管理主任技術者は、前条の規定により非常警備体制をとったときは、次の各号に掲げる措置をとら なければならない。 一 非常警備体制をとった旨を別表第 2 に掲げる関係機関に通知するとともに下流地域に非常警報 を伝達すること。 二 ダムに異常を認めた場合は、直ちにその補修に努めること。 三 ダムから非常放流を行うこと。 (非常警備体制の解除) 第 27 条 管理主任技術者は、非常警備体制を解除したときは、直ちにその旨を別表第 2 に掲げる関係機関に 通知し、下流地域に対して非常警報の解除を伝達するものとする。 第 5 章 観測及び調査に関する事項 (観測及び調査) 第 28 条 管理主任技術者は、気象、水象及び堤体について、次に掲げる事項を定期的に観測又は調査しなけ ればならない。 一 気象関係 天気、降雨量等 二 水象関係 水位、放流量、取水量等 三 堤体関係 堤体変位(沈下、移動量)、漏水量 (監督日誌) 第 29 条 管理主任技術者は、ダム管理日誌を備え、次の各号に掲げる事項について記録しなければならない。 一 前条の規定による調査又は観測の結果。 二 ダムの状況及び点検整備に関する事項 三 洪水時における措置に関する事項 四 ゲート操作を行った場合の理由、操作時刻、開度、放流量等 五 その他ダムの管理に関する事項 2 管理主任技術者は、毎月 10 日までに前月分の管理日誌をとりまとめ、管理者に提出しその内容を 報告しなければならない。 (委任) 第 30 条 この規程に定めるもののほか、この規程実施のため必要な事項は管理者が定める。 付則 この規程は、平成 2 年 3 月 15 日から施行する。 66 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 5/6 18 かきした 防災ため池のダム管理規程に則った対応 岐阜県 柿下ため池 大洞ダム かんがい 用水利用 容量 かんがい 用水利用 容量 注 1 (3)欄の数値は、かんがい用水残水位も示す。 2 (4)欄の( )内は既設かんがい用水量を含み、( )外は調節容量を示す。 3 (6)欄の算定は、昭和 22 年 9 月雨量 197.3 ㎜/日の最大 37.2/h 雨量から算定した洪水調整図による。 4 洪水時における(2)欄から(3)欄への放流に要する時間は、原則として 15 時間以内とする。 67 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 6/6 18 かきした 防災ため池のダム管理規程に則った対応 岐阜県 柿下ため池 ○管 理 者 が考 える今 後 の課 題 ・ ダムの水位が危険水位を超えた場合は非常警備体制をとり必要な措置を講ずる。 ・ 人員不足でも豪雨時に迅速な対応するため、水位や降雨量の監視システムの導入。 ・ 緊急放流ゲートや取水ゲートの操作性の向上。 ○ため池 の概 要 柿下ため池 施設概要 所在地 可児市柿下字神崎野 631 流域面積 140 ha 受益面積 54 ha 156,300 m3 5.1 ha 貯水量 満水面積 流域比 27.5 構造 土堰堤 堤高 13.67 m 堤長 158 m 管理体制 位置図 管理主体 可児川防災等ため池組合 人員 協力組織 2人 可児土地改良区、可児市 管理概要 堤体等施設の点検 ゴミの除去等 草刈り 68 月 2 回以上 1回/年 2~3 カ月に1回 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 1/4 19 き っ た 市、土地改良区、管理者との連携によるため池管理 愛知県 吉田池 ○平 成 21年 の台 風 18 号 における対 応 ・ 台風接近時に給水停止、大雨注意報等発表時に警戒配備体制、暴風警報発表時に 第1次非常配備態勢。その後、広報車の巡回、緊急速報メール発信、防災行政無 線での注意喚起を実施。 ・ 半田市地域防災計画に基づき、土地改良区、現地管理者、半田市が連携して対応。 対 応 の手 順 ・内 容 判断材料 半田市職員がインターネット(気象庁 HP・愛知 県高度情報通信ネットワーク等)で情報収集。台 風 18 号が本土に接近、上陸予想 愛知用水土地改良区が給水停止 ① 半田市職員と現地管理者が水位監視・見回り 10 月 6 日 10:59 知多地域に波浪注意報発表 ② 10 月 7 日 15:52 波浪警報、大雨・雷・強風・ 警戒配備体制(班長と副班長が待機) 洪水・高潮注意報発表 半田市災害対策本部設置 ③ ④ 10 月 7 日 18:34 暴風警報発表 第 1 非常配備体制 吉田池の水位が上昇したが、余水吐堰に欠口として 放流調整口を設けているためピークカットできた 10 月 7 日 23:53 大雨・洪水警報発表 10 月 8 日 9:39 大雨・暴風・洪水警報から注意 ⑤ 報に 雷注意報解除 ⑥ 第1非常配備体制から警戒配備体制に 10 月 8 日 11:54 大雨・洪水注意報解除 ⑦ 10 日 9:00 現地管理者が水位監視・見回り 10 月 8 日 14:56 波浪警報から注意報に ⑧ 通常の管理体制に戻る 10 月 8 日 22:43 強風・波浪注意報解除 69 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 2/4 19 き っ た 市、土地改良区、管理者との連携によるため池管理 愛知県 吉田池 気 象 影 響 の概 況 ・ 台風第 18 号は平成 21 年 9 月 29 日 21 時に発生し、ゆっくりと西に進み、10 月 4 日 21 時にはフィリピンの東で、猛烈な台風に発達した。台風は 6 日から 7 日にかけて南大東島付近を通過し、強い勢力を維持したまま、北北東から北東へ進 み、日本の南に東西にのびる前線の活動が活発となって雨が降った。台風は、8 日 午前 5 時すぎに知多半島に上陸して北東に進んだ。 ・ 知多半島では、7 日 9 時からの 24 時間で 172 ミリの激しい雨を観測した。 ○必 要 な機 材 ・人 員 ・ 「半田市地域防災計画」に基づき、災害応急対策活動に必要な要員を平素から把握 しておき、非常時に職員は各部長の指示により速やかに行動するものとしている。 ○豪 雨 ・洪 水 への備 え ・ 余水吐堰に欠口として放流調整口を設けピークカットする対策がとられている。 ・ 半田市では、日頃から災害情報、気象予警報等の情報を収集している。 ・ インターネットホームページにはハザードマップが掲載されており、過去の浸水区 域や防災倉庫・避難所の位置が示されている。 ・ 吉田池は流量調整ため池であり水位標を設置している。 ・ 台風上陸予想で導水停止、大雨注意報で警戒警備体制、暴風警報で第1非常配備態勢。 70 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 3/4 19 き っ た 市、土地改良区、管理者との連携によるため池管理 愛知県 吉田池 愛知県は「愛知県高度情報通信ネットワーク」を整備し、関係市町村に防災情 報等を提供している。半田市はこれらの情報等を活用し豪雨対策を行っている。 【愛知県高度情報通信ネットワーク】 災害時には防災行政無線として、平常時には行政通信システムとして機能す るネットワークで、災害に備えて地上系無線と衛星系無線の2ルートを整備。 71 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 4/4 19 き っ た 市、土地改良区、管理者との連携によるため池管理 愛知県 吉田池 ○ため池 の概 要 施設概要 所在地 半田市田代町 143 流域面積 66 ha 受益面積 48 ha 50,600 m3 2.5 ha 貯水量 満水面積 流域比 吉田池 26.4 構造 土堰堤 堤高 8 m 堤長 190 m 管理体制 管理主体 半田市(土木課・農務課) 人員 協力組織 現地管理者1人 愛知用水土地改良区 管理概要 位置図 72 堤体等施設の点検 1回/月 上流の山林状況確認 1回/月 ゴミの除去等 1回/月 草刈り 2回/年 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 1/2 20 管理組織と地元消防団及び自治会の連携による防災活動 こうしん 京都府 庚申池 ○平 成 20 年 の豪 雨 時 における対 応 ・ 平成 20 年7月 14 日の時間 90mm の豪雨により、山から出水。 ・ 午後 8 時ごろ水利担当と地元消防団の連携により、ため池流入水路を土のうで閉 塞し取水口を開放したが水位上昇。 ・ 土のうが流され止水困難。午後 9 時頃地元消防と共同で土のうで止水し、ため池 への流入を止める。 ・ 午後 9 時から 3 時間、消防ポンプ(φ10cm)により排水し水位を下げ、堤体か らの越流を回避。 ・ 午前 2 時、堤体法先を走る管理外の排水路の越流水により堤体法先部が浸食を受 け、18m×2m の範囲で堤体法面が崩落。 気 象 影 響 の概 況 ・ 7月 13~14 日にかけての総雨量 205mm(最大日雨量 161mm/日、最大時間 雨量 72mm/hr)の豪雨が発生(市役所の雨量計では最大時間雨量 90mm/hr)。 ○必 要 な機 材 ・人 員 ・ 使用した資材:土のう(20 袋:組合 10 袋、消防団 10 袋)、可動式消防ポンプ 1台、ブルーシート 10 枚 ・ 豪雨時の巡視員:4人(区長、副区長、会計、水利担当) ・ 応急対策に協力可能な組合員:役員7、8人+地元消防団 ○豪 雨 ・洪 水 への備 え ・ ため池の備品は土のう袋程度。地元消防からも補給、ブルーシートも数枚整備。 ・ インターネットと同等の防災情報が得られるテレビのデータ放送を活用。 73 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 2/2 20 管理組織と地元消防団及び自治会の連携による防災活動 こうしん 京都府 庚申池 ○管 理 者 が考 える今 後 の課 題 ・ バイパス道路からの排水による地区内水路の溢水防止。 排水が短時間で急増するため、下流ゲートの開閉操作が重要となっている。 ○ため池 の概 要 施設概要 所在地 流域面積 1 ha 受益面積 0.7 ha 50,000 m3 0.003 ha 貯水量 庚申池堤体全景(下流側より) 満水面積 流域比 庚申池貯水池全景 亀岡市大井町北金岐 15/0.003 構造 - 堤高 - 堤長 - 管理体制 管理主体 北金岐区(水利担当) 大井町自治会の一部で、 下部組織の北金岐区が管理 人員 協力組織 13 人 大井町自治会、消防団 管理概要 位置図 巡視 74 1回/月 年点検 4 月 29 日に実施 草刈り 年 3 回実施 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 1/2 21 しんいけ 自治会主体による管理、防災訓練 兵庫県 新池 ○平 成 23 年 9 月 3~4 日 の台 風 12 号 における対 応 ・ 台風 12 号接近時、池守(堰と水利の管理者)2 人が巡回。 ・ 下流域での洪水の可能性が予想され、池守が自治会長に連絡。 ・ 豪雨の影響により集落の下流側で内水による浸水が始まってきたので、池守が空状 態にあった新池の流入ゲートを開き、降雨流出水を新池へ導水した。 ・ 自治会長の判断で自治会役員を召集(夜中 2 回)。 ・ 池守が独自の判断で取水ゲートを閉じ、新池を満水状態にした。 ・ 豪雨収束後、新池の取水ゲートを開き落水した。 ・ 9月3、4日の日降雨量:109.5、77mm、最大時間雨量:21.5、20.0mm/hr ○必 要 な機 材 ・人 員 ・ 池守 4 人、町役員が 13 人、その他に消防団(11 人)の協力。 ・ 緊急時対策用の備品(土のう、砂、コンロ等)は前市原集落センターで保管。 ○豪 雨 ・洪 水 への備 え ・ 豪雨時の備えとしては、池守制度の整備、町役場との連携構築、事前の水位低下、 避難先の指定、ハザードマップ作成、防災訓練の実施、応急資材の準備など。 ・ 市のマニュアルに基づき、本地区の防災組織(救助班・炊き出し班等)を構築。 ※このマニュアルは防災時の行動マニュアルという意味合いのもの。 ・ 平成 23 年から市の指導でマニュアルに従って防災訓練を実施。 ・ 降雨に対する意識の高い住民が多く、自治会長が選任した池守に管理を一任する 「池守制度」を整備。 75 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 2/2 21 しんいけ 兵庫県 新池 自治会主体による管理、防災訓練 ○管 理 者 が考 える今 後 の課 題 ・ マニュアル改訂(避難経路、避難困難者対策):避難訓練で必要性が明るみに。 ・ 池守の負担解消:池守には管理経験や用排水路系統等の知識が必要とされるため、 同一人物が長期(約 10 年)にわたって担当せざるをえない。 ○ため池 の概 要 施設概要 所在地 流域面積 21.4 ha 受益面積 9.9 ha 59,000 m3 1.0 ha 貯水量 満水面積 流域比 新池 西脇市市原町 20.0 構造 土堰堤 堤高 11 m 堤長 167 m 管理体制 管理者 人員 協力組織 市原町区長 125 戸 市原自治会 管理概要 巡視 適宜実施 位置図 76 年点検 9月末に実施 草刈り 9月末に実施 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 1/2 22 たに ご う ち 住民への注意、避難喚起 岡山県谷河内池 ○平 成 16 年 9 月 の台 風 21 号 における対 応 ・ 9 月 21 日に発生した台風 21 号が九州から東北までを縦断し、9 月 29 日夜に岡 山付近を通過した。 ・ この豪雨の際に巡視のために池に向かったが、道路の一部が崩壊していることから 巡視を中止。ため池の安全確認が不可能で、安全確保のため、下流側の住民の方々 には避難先(小学校跡)への避難を促した。 ・ 夜には雨が止み、上流側の情報提供者にも雨が止んでいる事を確認してから、午後 10 時過ぎには避難先から自宅へ戻った。 ・ 天気の回復を待って巡視を行い、余水吐に溜まった流木の除去や下流水路に溜まっ た土砂の除去を行った。 ・ 29 日の合計雨量は 76 ㎜で、時間当たり最高雨量は 21 ㎜/hr に達した。 ○豪 雨 ・洪 水 への備 え ・ 連絡体制を確立。 ・ ため池の水位を常時 5 つ目の斜樋高(余水吐-2.0m)で管理。 ・ 吉野川上流の大原地区(美作市)情報提供者からの電話による気象情報の入手。 ○管 理 者 が考 える今 後 の課 題 ・ 管理規程、管理マニュアルの作成。 ・ 流木止の設置(洪水吐の閉塞防止のため)。 ・ 流木防止のための上流側山林の手入れ。 77 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 2/2 たに ご う ち 22 住民への注意、避難喚起 岡山県 谷河内池 ○ため池 の概 要 施設概要 所在地 流域面積 7 ha 受益面積 3 ha 25,000 m3 0.6 ha 貯水量 満水面積 谷河内池 久米郡美咲町王子 流域比 11.67 構造 土堰堤 堤高 9.0 m 堤長 53.0 m 管理体制 管理主体 人員 協力組織 谷河内池水利組合 区長 1 人、水利員2人 - 管理概要 位置図 ため池巡視 草刈り 6、9月 下流水路の清掃 6、9月 水位の維持 78 毎日 貯水量を半分に管理 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 1/2 23 ひがしおく 市と水利組合との連携による水防活動 岡山県 東奥池 ○平 成 23 年 の台 風 12 号 における対 応 ・ テレビ等から気象・台風情報を入手し、岡山上陸という予報が出た段階で市と水利 組合が対応について連絡。 ・ 水利組合はため池周辺を点検するとともに斜樋を開けて事前放流。 ・ 降雨量 25mm で、市は市消防等による水防体制始動、水利組合は巡視を継続。 ・ 大雨警報発令で、市は防災無線を通じて下流住民に防災情報を伝達。 ・ 水利組合は引き続きため池周辺の点検を実施。 気 象 影 響 の概 況 ・ 9 月 2~3日にかけての降雨量は 285.0mm。 ・ 降雨ピークは 9 月 3 日13時と19時の 21mm/hr。 ・ 9 月 3 日は 1 日中降り続いた。 ○必 要 な機 材 ・人 員 ・ 土のう:各地区の集会所で保管。 ・ 水利組合に池の管理を委託。 ・ 修繕物資(セメント等)は水利組合に現物支給。 ○豪 雨 ・洪 水 への備 え ・ 洪水時は市で対策本部を設置。 ・ 台風などによる豪雨前には斜樋を開けて事前放流。 ・ 日常点検(漏水の有無等) ○管 理 者 が考 える今 後 の課 題 ・ 隣接の国道や下流の鉄道(JRトンネル坑口)への安全配慮。 ・ 操作員への斜樋操作技術の伝承。 79 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 2/2 23 市と水利組合との連携による水防活動 ひがしおく 岡山県 東奥池 ○ため池 の概 要 施設概要 所在地 流域面積 130 ha 受益面積 7 ha 142,100 m3 3 ha 貯水量 満水面積 流域比 東奥池 備前市日生町寒河 44.8 構造 土堰堤 堤高 12.0 m 堤長 118.0 m 管理体制 管理主体 人員 協力組織 備前市 耕作組合員 16 人 - 管理概要 位置図 堤体の点検 2回/年 取水施設の点検 2回/年 余水吐の点検 2回/年 除草 2回/年 流木撤去 2回/年 池の水位を下げる 80 3月 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 1/6 24 ふなおか 緊急時の体制確立による防災対応 香川県 船岡池 ○平 成 23 年 9 月 の台 風 12 号 における対 応 ・ 8 月下旬にマリアナ諸島付近で発生した台風 12 号が四国への上陸が予想されたた め、水利組合員によるゲートや下流水路等の施設点検や巡視を行うとともに、満水 時の 80%程度以下の水位に保つために斜樋からの事前放流を行った。 ・ 9 月 3 日午前 1 時までの総雨量は 100 ㎜を超えたため、水位 80%を目標に斜樋 から放流を継続した。 ・ 9 月 2 日と 3 日の総雨量は 94.5 ㎜、84.5 ㎜を記録した。 ○豪 雨 ・洪 水 への備 え ・ 市作成の管理マニュアルで緊急時の連絡体制を確立(改良区→高松市→香川県) ・ 大雨時は 3 日前から対応の準備開始。 ・ 水位を満水時の 80%以下に事前放流。 ・ 台風時などは市から点検要請が入る。 ・ 市作成のハザードマップをコミュニティ単位で配布。 ・ 重機が必要な時に委託できる建設業者と協定を結んでいる。 ・ 過去の情報を把握し、湛水の可能性のある、危険性の高い地域を把握している。 ○管 理 者 が考 える今 後 の課 題 ・ ゲリラ豪雨は予測できず、管理マニュアルでは対応不。 ・ 池守の増員。 81 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 2/6 24 緊急時の体制確立による防災対応 ふなおか 香川県 船岡池 ○参 考 資 料 :ため池 管 理 マニュアル ため池管理マニュアル 高松市 平成 11 年 6 月 1 堤体の管理 (1) 草刈り等 草刈は、堤防の下流側法面、腰石積などからの漏水や、欠陥箇所を見つけ易くする ため最低、年2回は励行し、下記3の井手浚いと併せて実施すること。 (2)洪水吐の管理 洪水吐の流下能力を阻害する流木等は、取り除くこと。 また、洪水吐に角落し(板差し)及び土俵積みなどを行うことは、大きな災害につ ながりかねないので原則として撤去すること。 (3)土砂吐ゲート(底樋)の管理 貯水量の急激な増減は、堤体の決壊にもつながる恐れがあるため、ゲート操作に は十分注意すること。 また、長期間にわたり落水させていた後、一気に満水まで貯めないよう漏水等を 確認しながら助序に貯水すること。 逆に、落水するときは、上樋から順に開けていき、徐々に水位を下げること。 落水後の点検等は、次のとおりである。 ア 通常の場合 土砂吐ゲートの点検のために数年に1回は落水し、土砂があれば計画的に除去す ること。 82 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 3/6 24 緊急時の体制確立による防災対応 イ ふなおか 香川県 船岡池 養魚している場合 魚を採捕した後、上記アの点検等を行うこと。 (4) 池内流木等の除去 強風及び大雨等による池内の流木及び浮遊ゴミは、洪水吐の機能を損なうので速 やかに除去すること。 (5) 不法投棄の防止 空き缶及びゴミの投棄がなされると、管理上の障害となり、また衛生的にも悪い ものとなる。このことから、常時点検を行うとともに関係機関や周辺住民の協力の下 に、不法投棄の撲滅に努めること。 2 取水施設の管理(点検) 陸上にある取水ゲート部は、常に潤滑油を注入するなど点検整備を行うとともに、ゲ ート小屋の清掃に努めること。 また、水没している取水ゲート部は、落水時に斜樋のサビ落し、塗装及び潤滑油を注 入するなど点検整備を行うこと。 3 直接ため池に係る用排水路の管理 (1)井手浚い 水路に泥土が堆積していたり、雑草の繁茂及び浮遊ゴミが滞留すると通水の妨げとな るので、井手浚いを実施すること。 出役する者は地域の慣行にもよるが、排水路は家庭の雑排水も流入していることから、 地域ぐるみでの体制を検討すること。 83 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 4/6 24 緊急時の体制確立による防災対応 ふなおか 香川県 船岡池 (2)水路の点検 井手浚いに併せて、水路崩壊等の点検を行うこと。 また、出水時には溢水箇所の点検を行うとともに、組合員からも情報提供してもらう こと。 4 点検及び連絡体制 ため池の点検を適宜行うことは、保全の上で欠かすことのできないことである。異常 時に備え、別添「ため池管理状況調書」を作成し、関係市町役場等との連絡体制を整え ておくこと。 点検の時期及び留意点 ア 平常の点検は、貯水開始時及び草刈り直後に行うこと。 また、田植前の満水時及び秋の落水後にも行うこと。 イ 洪水警報が発令されたときは、特に見回り点検を強化すること。 またため池への流入をカットできる地区では、流入を止めること。 ウ 震度4以上の地震が近隣で発生した場合には、亀裂の発生及び漏水など、異状箇 所がないか点検すること。 エ 漏水は、底樋管出口周辺、洪水吐付近及び地山との境界部などが注意を要するの で必ず点検すること。特に、土が混ざった濁水が漏れていたら、危険な場合が多い ので注意すること。 5 災害が発生した場合の対応 ため池に災害が発生した場合には、直ちに高松市役所の担当窓口に連絡すること。 連絡先:高松市土地改良課 電話 担当者 84 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 5/6 24 緊急時の体制確立による防災対応 ○参 考 資 料 :管 理 状 況 調 書 85 ふなおか 香川県 船岡池 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 6/6 ふなおか 24 緊急時の体制確立による防災対応 香川県 船岡池 ○ため池 の概 要 施設概要 所在地 高松市香川町浅野 182 流域面積 13 ha 受益面積 38 ha 350,000 m3 満水面積 12.6 ha 流域比 1.03 貯水量 船岡池 構造 土堰堤 堤高 7.2 m 堤長 956 m 管理体制 管理主体 舟岡池土地改良区 神宮寺水利組合 66 人 人員 寺井水利組合 85 人 協力組織 - 管理概要 位置図 樋管の目視点検 堤体の除草 2、5、9、12 月の4回 野焼き 水位確認(満水維持) 86 4 年に 1 回 2 月の 1 回 毎日点検 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 1/9 25 じ ろうまる 事前放流と洪水時巡視による水害回避 あか 愛媛県 治良丸池、赤池 ○平 成 23 年 9 月 の台 風 における対 応 対応の手順・内容 判断材料 理事長、施設管理者がテレビや電話(177)等で毎日 ① 気象情報、台風情報を入手。各組合員に連絡網を通 じて周知。 ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 台風が発生し、西日本への進路予報となって いることを確認。 新居浜市等関係機関と台風接近に備えた対応につい 3 日後の台風の予想進路内に四国地方が入っ て連絡する。 ていることを確認。 管理規程に準じて、事前放流を決定。斜樋を開けて 放流をした。 理事等を呼集して洪水警戒体制に入る。 9 月 2 日早朝より雨が降りだした。午後から大 ため池周辺の巡視を実施。 雨になるとの予報。 ため池周辺の巡視を実施。 午後になって激しい降雨。 洪水吐から排水しているのを確認した。 (14 時に 35mm/hr を記録、降り始めから 100mm 新居浜市等に連絡。 に) ため池周辺の巡視を実施。 9 月 3 日午前、台風が高知県に上陸。 堤体の一部で小崩落、洪水吐に木枝や流木が流入し 雨足は弱くなったが、今後も数時間は降り続 ているのを確認。新居浜市等に連絡。 くとの予報。(降り始めから 200mm を超過) ため池周辺の巡視を実施。 夕方、台風が岡山県に再上陸。 ため池の水位が下がり始めているのを確認。 雨が降らなくなった。 理事長を通じ関係機関に連絡。 洪水警戒体制を解除する。 気 象 影 響 の概 況 ・ 台風は 9 月 3 日午前に高知県へ上陸。 ・ その後も速度を速めることなくほぼ真北に移動。 ・ 同日夕方岡山県に再上陸し、4 日未明に日本海に抜けた。 ・ 雨は 9 月 2 日に入って降り始め、3 日夕方まで降り続いた。 ・ 2 日間の総雨量は 254mm、降雨ピークは 2 日 14 時で 35mm/hr。 87 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 2/9 25 じ ろうまる 事前放流と洪水時巡視による水害回避 あか 愛媛県 治良丸池、赤池 ○豪 雨 ・洪 水 への備 え ・ 台風・大雨時は3日前から事前準備。 ・ 台風が来る時はあらかじめ 3 日前から 3 割の水を落としておく。 ・ 管理規程に則った警戒態勢、事前放流等の対応を行う。 ・ 連絡網による関係機関への連絡。 ○管 理 者 が考 える今 後 の課 題 ・ 受益者(組合員)の減少 ・ 避難場所の確保(例えば集会所など) ・ 豪雨時よりも地震時のため池災害を心配している。東北大震災ではため池が被災し ている。赤池は背後に民家があり、耐震設計をしていないので心配。 88 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 3/9 25 事前放流と洪水時巡視による水害回避 じ ろうまる あか 愛媛県 治良丸池、赤池 ○参 考 資 料 :管 理 規 程 土地改良区ダム及び溜池(赤池)管理規程 第1章 (趣 総 則 旨) 第1条 この規程は中萩地区用水改良事業によって造成されたダム及び既に利用している溜池(赤池)に ついて土地改良施設の維持管理計画書、第3章第1節に基づき、ダム及び溜池の維持操作について、 必要な事項を定めるものとする。 (管理の業務) 第2条 ダム及び溜池の管理責任者(以下「管理者」という。)はこの規程の定めるところにより、ダム 及び溜池を管理するものとする。 (異例の措置) 第3条 管理者は、この規程に定めない事項を処理しようとするときはあらかじめ治良丸土地改良区の理 事長(以下「理事長」という。)の承認を得なければならない。ただし、非常事態の発生により緊 急に措置を要するものについては、この限りではない。 2. 前項ただし書の場合は、事後すみやかに理事長に報告するとともにその後の措置について指示 を受けなければならない。 第2章 第1節 貯水・取水又は放流に関する事項 ダム及び溜池の水位及び貯水 (満水位) 第4条 ダム及び溜池の満水位は余水吐とし水位をこれより上昇させてはならない。 (低水位) 第5条 ダム及び溜池の低水位は、一番樋とし、監査、補修、その他特に必要とする場合を除き水位を低 下させてはならない。 (水位の基準) 第6条 (貯 ダム及び溜池の水位は、満水位による。 水) 第7条 管理者はかんがい用水等を確保するため、ダム及び溜池の容量配分計画により原則として毎年5 月31日までにダム及び溜池の貯水を満水位にするものとする。 2. ダム及び溜池の容量配分計画は別紙のとおりとする。 (かんがい用水のための利用) 第8条 かんがい用水のための利用はダムについては満水位から低水位までの容量、最大 66,000 ㎥を 利用して行なうものとする。 89 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 4/9 25 じ ろうまる 事前放流と洪水時巡視による水害回避 第2節 取 あか 愛媛県 治良丸池、赤池 水 (かんがい期間) 第9条 毎年6月1日より9月30日までをかんがい期間とする。 (かんがい用水の取水) 第10条 管理者はかんがい期間において、気象、水象、及びかんがいの状況を考慮して受益地の必要な 水量をダム及び溜池から取水しなければならない。 2. 管理者はかんがい期間において異常渇水等によって必要な水量を取水することが困難な場合 には、理事長に報告し、その指示を受けて適切な措置をとらなければならない。 (計画取水量) 第11条 かんがい用水のためのダム及び溜池からの取水量は、次に掲げる量を基準とする。 かんがい用取水量 6月1日より9月30日迄 配水計画による。 2. かんがい用水のためのダム及び溜池からの放水量は、下流各地点における時期別の取水量から それぞれの取水地点における河川及び用水路の自然流量を控除した量とする。 第3節 放 流 (放流の制限) 第12条 ダム及び溜池に貯留された水は、次の各号に該当する場合に限り放流(取水のための放流を除 く。)するものとする。 (1)水位が満水位をこえるとき (2)第17条及び第19条の規定により洪水時の調節を行なう必要があるとき (3)第20条の規定により点検整備を行なう必要があるとき (4)その他特に止むを得ない理由により必要があるとき (放流の通知) 第13条 管理者は、ダム及び溜池から放流することによって下流の水位に著しい変動を生ずると認める ときは、これによって生ずる危害を防止するため「新居浜市」に通知するとともに、一般に周知さ せるため必要な措置をとらなければならない。 第3章 点検及び整備に関する事項 (点検及び整備) 第14条 管理者は堤体、余水吐、樋口を操作するために必要な機械及び器具等の資材を常に良好な状態 に保つための点検及び整備を行なわなければならない。 (ダム及びその周辺の監視) 第15条 管理者は、ダム及び溜池及びその周辺について常に監視を行い、その維持及び保全に支障を及 ぼす行為の取締り並びに危険防止に努めなければならない。 90 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 5/9 25 じ ろうまる 事前放流と洪水時巡視による水害回避 第4章 あか 愛媛県 治良丸池、赤池 緊急事態における措置に関する事項 第1節 洪 水 (洪水警戒体制) 第16条 管理者は次の各号の一に該当する場合においては、洪水警戒態勢をとらなければならない。 (1)松山気象台から関係地区に対して降雨に関する注意報または警報が発せられたとき (2)その他洪水が予想されるとき (洪水警戒体制時における措置) 第17条 管理者は、前条の規定により洪水警戒体制をとったときは、理事等を呼集してそれぞれの担当 部署に配置し、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。 (1)関係の気象台、新居浜市、土地改良区、その他の機関との連絡並びに気象、水象に関する観 測及び情報の収集を密接に行なうこと (2)最大流入量、洪水総量、洪水継続時間及び流入量の時期的変化を予測すること (予備放流) 第18条 管理者は第19条の規定により洪水調節を行なう必要が生ずると認められる場合において、水 位が前第4条により定めた予備放流水位を超えている時は、水位を当該予備放流水位に低下させる ため、あらかじめダム及び溜池から放流を行なわなければならない。 (洪水調節) 第19条 管理者は、危険流入量に達するおそれのある場合は洪水調節を行なわなければならない。ただ し、管理者は気象、水象その他の状況により特に必要と認める場合においてはこれによらないこと ができる。 (洪水調節後における水位の低下) 第20条 管理者は、前条の規定により洪水調節を行なった後において、ダム及び溜池の水位を低下させ る必要を認めるときは、下流に支障を及ぼさない程度の流量を限度としてダム及び溜池から放流を 行なわなければならない。 (洪水に達しない流水の調節) 第21条 管理者は、気象、水象その他の状況により必要と認める場合においては、洪水に達しない流水 についても調節を行なうことができる。 (洪水警戒体制の解除) 第22条 管理者は気象及び水象の状況により洪水警戒の必要がなくなったと認めたときは堤体等の異 常の有無を点検し、異常を認めたときはすみやかに必要な措置をとり、その後に洪水警戒体制を解 除するものとする。 91 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 6/9 25 じ ろうまる 事前放流と洪水時巡視による水害回避 第2節 あか 愛媛県 治良丸池、赤池 かんばつ (かんばつ時における措置) 第23条 管理者は、ダム及び溜池の貯水状況及び長期にわたる降雨量に予報等を勘案してかんばつのお それがあると認めたときは、原則としてダム及び溜池からの放流を停止し、理事長の意見を聞いて 取水に関する節水計画をたて、これにより取水を行い著しい用水不足を生じないよう努めなければ ならない。 第5章 調査に関する事項 (ダムの滞砂状況の調査) 第24条 管理者は、毎年低水時(10 月)に一回または、洪水の直後で必要があると認めたときは、ダ ムの滞砂状況を調査しなければならない。 第25条 管理者は、堤体に設置された測定機器により、堤体の温度及び変位(沈下、移動量)堤圧(間 隙水圧、土圧、揚圧力)漏水量等について調査または観測を行なわなければならない。 附則 1. この規程は、昭和61年5月25日より施行する。 92 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 7/9 25 じ ろうまる 事前放流と洪水時巡視による水害回避 あか 愛媛県 治良丸池、赤池 ○参 考 資 料 :排 水 調 整 委 員 会 処 務 規 程 土地改良区用排水調整委員会処務規程 第1条 用排水調整委員会(以下「委員会」という。 )の職務は、他の規定によるものの外この規程の定める ところによる。 第2条 委員会は、委員7人をもって組織する。 2. 委員会のうち1人は理事の互選したものが委員会担当理事として加入する。 3. 前項の委員をこの規程において委員長という。 4. 他の委員には理事会が組合員のうちから選任したものがこれにあたる。 第3条 委員の任期は、4年とする。但し、再選を妨げない。 2. 委員は、その任期が満了しても後任の委員が就任するまでの間は、なおその職務を行なう。 第4条 委員会は理事長がこれを招集する。但し、委任された事項についての招集は、委員長が行なう。 2. 委員長が委員会を招集するときは、あらかじめ理事長に通知しなければならない。 第5条 委員会の議長には、委員長がこれにあたる。 第6条 委員会は用水の引用配分を適正にし、かんがいの効用を全うするとともに、排水の円滑を期するた め、次の事項について理事会の諮問に答申し、又は委任された事項を議決して理事会に報告するもの とする。 一 取水量に関すること 二 用水排水の調整に関すること 三 その他 第7条 委員会の議事は、委員の半数以上が出席しその議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の 決するところによる。 2. 議長は委員として委員会の議決に加わる権利を有しない。 第8条 理事長、副理事長および職員は委員会に出席して意見を述べることができる。 2. 委員会は必要に応じ、職員その他の者の出席を求め意見を徴することができる。 第9条 委員には費用弁償を支給することができる。 第10条 委員長は委員会で定める事項の外、常例に属する軽易な事項を、専決処理することができる。 第11条 委員は、職務のために出張し、又は職務外において長期にわたり旅行するときは、委員長にその 旨を通知しなければならない。 附 則 1. この規程は、昭和 61 年 5 月 25 日より施行する。 93 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 8/9 25 じ ろうまる 事前放流と洪水時巡視による水害回避 ○参 考 資 料 :点 検 記 録 表 94 あか 愛媛県 治良丸池、赤池 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 9/9 25 じ ろうまる 事前放流と洪水時巡視による水害回避 あか 愛媛県 治良丸池、赤池 ○ため池 の概 要 施 設 概 要 (治 良 丸 池 /赤 池 ) 所在地 新居浜市大永山・荻生治良丸 流域面積 200 ha / 8 ha 受益面積 33 ha / 16.5 ha 貯水量 60,000 m3 / 10,400 m3 満水面積 治良丸池 0.9 ha / 0.4 ha 流域比 222.2 / 20 構造 土堰堤 堤高 20.0 m / 5.2 m 堤長 67.0 m / 136 m 管理体制 管理主体 赤池 新居浜市治良丸土地改良区 人員 理事長 1 人 用水担当理事 1 人 施設管理者2人 赤池 用水委員2人 協力組織 - 管理概要 治良丸池 巡視 1 回/3 日 水位確認 1回/3日 満水位維持 位置図 70%水位維持 95 6~9月 10~5月 96 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 1/2 26 くれ 流入量予測に基づく洪水調整 福岡県 呉ため池 ○平 成 21 年 の中 国 ・九 州 北 部 豪 雨 における対 応 ・ 平成 21 年 7 月 19 日~26 日にかけて西日本で梅雨前線の活動が活発化し、総降 水量は 700mm を超え、同 24 日の日降水量 289.5mm、最大時間降水量は 98.0mm/hr を記録。 ・ 呉ダム管理規程に基づく洪水調整と組織的な対応の結果、被害は発生しなかった。 ・ 町役場の雨量計 20mm 以上で、流入量予測と必要に応じて洪水調整を行う。 ○必 要 な機 材 ・人 員 ・ 洪水時の巡視員、土のう、ブルーシート ○豪 雨 ・洪 水 への備 え ・ 呉ため池では「呉ダム管理規程」と「維持管理計画書」を策定済みで、洪水時、干 ばつ時、それぞれの緊急対応策が決められている。 ○参 考 資 料 <呉ダム管理規程一部抜粋> 第五章 緊急事態における措置に関する事項 第 1 節 洪水 (洪水警戒体制) 第 21 条 管理者は、次の各号の一に該当する場合においては、洪水警戒体制をとらなければならない。 (1)福岡気象台から関係地域に対して、降雨に関する注意報または警戒が発せられたとき。 (2)その他洪水が予想されるとき。 第 22 条 管理者は前条の規定により、洪水警戒体制をとったときは、次の各号に揚げる措置をとらなければならない。 (1)関係気象観測所、市町村、土地改良区、その他の機関との連絡ならびに気象、水象に関する観測および 情報の収集を密接に行う事。 (2)最大流入量、洪水量、洪水維持時間および流入量の時期的変化を予測すること。 (洪水調節) 第 23 条 管理者は流入量が増大したときは、洪水調節をすることができる。 (洪水警戒体制の解除) 第 24 条 管理者は、気象および水象の状況により、洪水警戒の必要がなくなったと認めたときは、堤体等の異常の有無を点 検し、異常を認めたときはすみやかに必要な措置をとり、その後に洪水警戒体制を解除するものとする。 97 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 2/2 くれ 26 流入量予測に基づく洪水調整 福岡県 呉ため池 ○ため池 の概 要 施設概要 所在地 田川郡香春町大字鏡山字呉 流域面積 26.5 ha 受益面積 310 ha 332,000 m3 満水面積 40.0 ha 流域比 0.66 貯水量 呉ため池 構造 土堰堤 堤高 24.5 m 堤長 154.9 m 管理体制 管理主体 人員 協力組織 田川郡呉土地改良区 2 人(町職員) - 管理概要 位置図 98 かんがい期 6~10 月 非かんがい期 11~5 月 年点検 月に 2 回以上 草刈り 年に 1 回 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 1/2 27 たつ が し た 豪雨時の土のう設置による防災 福岡県 辰ケ下池 ○平 成 21 年 の中 国 ・九 州 北 部 豪 雨 における対 応 平成 21 年 7 月 19 日~26 日にかけて西日本で梅雨前線の活動が活発になり、中 国地方および九州北部を中心に記録的な大雨となった。 対応の手順・内容 ① ② 判断材料 降雨予報等の気象情報をこまめに把握 水利委員長の今までの経験(天気予報とた (集落の住人が各自、情報収集している) め池・水路の増水)により判断 豪雨時のため池の巡視(複数人(区・営農組 合役員・自衛消防団) ) 同上 ③ 流木など通水の妨げとなるものの早急な除去 天気予報等で豪雨が予想される時 ④ 事前放流でため池の水位を半分以下に 同上 継続的な降雨及び豪雨により、ため池水位 ⑤ ため池水位や堤体周りの巡視回数を増加 が上昇した時 ⑥ 自治体、消防団等関係機関との密な連絡 ⑦ 同上 巡視や緊急的な対応に備えて人員を増加 大雨の時は、ため池に 3 人程度駐在する 同上 余水吐の放流能力以上に流入量が多く、洪 ⑧ 堤体の法面に土のうを設置 水吐横法面を洗掘される恐れがある場合 ○必 要 な機 材 ・人 員 ・ 大雨時の巡視員の確保 ・ 土のう、シート、流入木を除去する道具、緊急排水用のポンプアップ機材 ○豪 雨 ・洪 水 への備 え ・ 老朽化のため水位を常時半分程度で維持し、それに合わせて余水吐も低くした。 ・ 民間業者と提携して、緊急時は土のう袋を直ちに納品するようにしている。 ・ 土のう袋を鞍手町役場で何千規模を備蓄しており、消防夏季訓練時に消防団員が土 のう袋に土を詰めて各分団で保管している。 99 豪雨・洪水に対応した管理事例(ため池) 2/2 たつ が し た 27 豪雨時の土のう設置による防災 福岡県 辰ケ下池 ○ため池 の概 要 施設概要 所在地 鞍手郡鞍手町大字長谷字辰ケ下 流域面積 20.0 ha 受益面積 2.2 ha 580 m3 貯水量 満水面積 流域比 辰ケ下池 0.1 ha 200.00 構造 土堰堤 堤高 2.0 m 堤長 20.0 m 管理体制 管理主体 人員 鞍手町役場建設課 6人 (水番者(営農組合長外 5 人)) 協力組織 長谷区自主防災会 (区役員・営農組合役員・消防部長) 位置図 管理概要 かんがい期 年点検 5 月 20 日~8 月末 年に複数回 (草刈り・取水時に堤体のクラック・漏水等の確認) 100