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フード連合2007春季生活闘争統一要求課題実践にむけた労使交渉の

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フード連合2007春季生活闘争統一要求課題実践にむけた労使交渉の
フード連合2007春季生活闘争
統一要求課題実践にむけた労使交渉の争点(07 年版)
フード連合の中小労組元気派宣言!
2007年 3 月 労 働 局
はじめに
この冊子は、
「フード連合 2007 春季生活闘争方針」の補強と中小組合の交渉支援を目的として発行して
いるものです。
第一部は、フード連合が示した「すべての組合が取り組む 5 つの統一要求課題」の具体的な取り組みに
あたって、特に今春闘の闘うキーワードは「怒り」であり、労働者への配分の歪みを是正していくために
も、その怒りを春闘交渉のエネルギーに変えて闘っていかなければなりません。従ってこれ以上賃金水準
を低下させないためには、自労組の賃金水準の実態把握と格差是正のための賃金水準の検証が重要な取り
組みとなります。そこで賃金制度が無いなど賃金カーブ維持分や賃金改善分の算定が困難な組合に対して、
事前の賃金カーブ算出∼要求書の作成などについて手引きとして解説しています。また、新たに統一要求
に掲げた「時間外割増率引き上げ」の取り組み、さらに「最低賃金の協定化」そして「パートの組織化と
処遇改善」などの具体的な取組み、政策課題の「食の安全・安心」の職場点検活動の取り組みについて紹
介しています。また、第二部は、本格的な交渉を望むにあたって、連合が示した 2007 春季生活闘争「中小
労組元気派宣言」を参考に労使交渉の争点を掲載しています。
今春闘を通じ、まずは自らが交渉能力を高め、そしてフード連合の結束力を強化し組織が一丸となって
力強い闘いと活動が一歩でも前進できるよう、この冊子が役立つことを期待します。
2007 年 3 月
フード連合 労働局
目 次
第Ⅰ部 フード連合統一要求課題の取り組み
1. みんなで共闘する意義について・・・・・・・・・・・・・・・・・
2P
2. フード連合の統一要求課題の設定と闘争イメージ・・・・・・・・・
2P
3. 「賃金改善による賃金引上げ」要求に向けた具体的な進め方 ・・・ 3 ∼ 11P
4. 「時間外割増率の引き上げ」の取り組み・・・・・・・・・・・・・
12P
5. 「最低賃金の協定化」に向けたとりくみ ・・・・・・・・・・・・ 13 ∼ 17P
6. パート労働者等の組織化と処遇改善のとりくみ ・・・・・・・・・ 18 ∼ 22P
7. 「食の安全・安心」へのとりくみを強化しよう・・・・・・・・・・ 23 ∼ 26P
8. 春闘を通じた職場点検活動をしよう・・・・・・・・・・・・・・・ 27 ∼ 34P
(1)36協定の総点検運動の点検・・・・・・・・・・・・・・・・27 ∼ 34P
(2)派遣・請負の労働関係法は守られているかを点検しよう・・・ 31 ∼ 32P
(3)
「改正高齢者雇用安定法」における対応と留意点について・・・ 33 ∼ 35P
(4)男女雇用機会均等法等の改正への対応・・・・・・・・・・・・36 ∼ 38P
第Ⅱ部 労使交渉の争点Q&A(連合総合労働局作成抜粋)
1.賃金交渉をめぐる労使交渉の争点 ・・・・・・・・・・・・・・・・39 ∼ 41P
2.経営チェックと雇用の維持・安定等の取り組みについて・・・・・・・42 ∼ 45P
3.労働委員会と労働審判制の活用について・・・・・・・・・・・・・・
46P
第Ⅲ部 フード連合中小共闘センターMemo№1∼4・・・・・・・・・・・・
1
47 ∼ 50P
第Ⅰ部 フード連合統一要求課題の取り組み
1.みんなで共闘する意義について
(1)
「春闘」とは
春闘方式は、昭和 31 年から始まったもので、各産業の労働組合が年度の変わる春の時期に、一斉
に賃金引上げや労働条件の改善を要求し、ナショナルセンター(連合)
、産業別組合の指導・調整の
もとに、産別や単組は企業と交渉をおこない回答を引き出す方式です。
スタート時は 8 つの単産(炭労、私鉄総連、合化労連、電産、紙パ労連、全国金属、化学同盟、電機
労連)が結集し、その後、全国的な産業別統一闘争を展開し「国民春闘」へとつながっていきました。
(2)今日的春闘の役割
春闘の役割は、様々な交渉課題の中から統一的な課題を絞り込んで共闘体制を組み、集中的な交渉
によってその相場を(中期的な流れも含め)を形成し、それを組織の内外に波及させると同時に、国
民経済レベルにおける公正な配分(賃金の社会性の確保を含め)を実現させることです。
(3)
「共闘」の意義
日本では、
「企業別」に労働組合が組織しているため、会社あっての組合という意識が働き、経営
側との力関係では圧倒的に弱い立場にあります。各組合がバラバラに闘っていては交渉する力も弱く
なってしまいます。そこで同じ業種で働く仲間の組合と一緒になって、集中的に労使交渉をすること
で、
「企業別組合」の弱点を補い、また、その結果を開示することで交渉の相乗効果を高めて社会的
な相場形成へと波及させていくことにあります。
そのために単組は、産別に加盟し、春闘に参加し、組合の社会的な意義を果たすという役割を担って
います。
(4)
「共闘」する上で守るべき3つのルール
①統一要求基準のアローアンス内であること
②一連のスケジュールに従うこと
③情報を開示すること
※但し、①∼③は、事前に明確な理由を説明し、理解が得られた場合は、この限りではない
2.フード連合の統一要求課題の設定と闘争イメージ
<連合の中期的な春闘のあり方>
①春闘は毎年やる(2001 春闘改革論議で確認)
②賃上げ+協約課題を統一的に対応
統 一 的 な 課 題 設 定 に よ る 闘 争 イ メ ー ジ (ミ ニ マ ム 課 題 )
通年の取り組み
時限共闘
(労 働 条 件 課 題 )
(課 題 の 絞 込 み )
連 合 の 統 一 的 な 取 り 組 み 課 題 の 設 定 (当 年 度 最 優 先 ミニ マ ム 課 題 )
(連 合 は 03春 闘 か ら 4つ の 重 点 課 題 と 3 つ の ミ ニ マ ム 課 題 )
(2001 春闘改革からスタート)
産 別 の 統 一 的 な 取 り 組 み 課 題 の 設 定 (当 年 度 最 優 先 ミニ マ ム 課 題 )
③ナショナルセンターと産別の役割分担
⇒ 労使関係、労使交渉事項は、
「産別指導」 →「連合の調整」
⇒ 政策制度は、
「連合の責任」→「産別の参加」
(フ ー ド 連 合 は 0 6 春 闘 か ら 統 一 協 約 課 題 ∼ 統 一 要 求 課 題 へ )
A組 合
65歳 雇 用
賃金
一時金
時間外割増
最賃
パート
B組 合
看護休暇
賃金
一時金
時間外割増
最賃
パート
C組 合
福利厚生
賃金
一時金
時間外割増
最賃
パート
相 場形 成と波及
2
3.
「賃金改善による賃金の引上げ」
∼要求に向けた具体的な進め方∼
ステップ1:自労組の賃金カーブ維持分を算出する!(簡易カーブでもOK)
①まず最初にやるべきことは、要求書を作成する為の事前準備です。組合員にとって一番関心ごとで
ある賃金引上げ交渉をする為の目標の根拠を導き出します。
フード連合が示した「賃金カーブ維持分
を確保したうえで、実質 1%以上を目安に賃金改善をおこなうこととし、賃金引上げ額は 8,500 円
を基準とする、定昇制度がないなどの組合の引き上げ額は 7,000 円以上又は 3%」するとしていま
す。特に定昇制度がない組合の賃金改善や格差是正として、なぜ「7,000 円」の賃上げが必要なのか、
自労組の水準は世間水準や標準生計費と比べてどうなっているのかなど、要求の根拠と目標をしっ
かり立てることが会社との交渉には重要なカギとなります。
②そこで簡単な賃金カーブ維持分の算出方法を紹介します。
組合員全員の賃金カーブを引くことは困難かもしれませんが、賃上げの目標をつくることは簡単で
す。初任給と先輩の賃金を参考にするのです。つまり、今年の新入社員が先輩の歳になったとき、
先輩の賃金に追いつくかどうか…ということです。
(方法 1) :書記長の賃金を目標にする
賃金︵万︶
23
書記長Bさん
●
15● 新入社員Aさん
18
35
59
年齢
初任給(Aさん) ………… 146,000円(高卒正規入社:18歳)
書記長(Bさん)の賃金 … 230,000円(35歳)
1歳1年差 ⇒ (230,000円−146,000円)÷(35歳−18歳)= 4,941円
格差をこれ以上広げないために!
18 歳の組合員は、少なくとも 5,000 円の賃上げを毎年続けないと書記長の賃金には追いつきません
さらにこれまでの賃金低下分や可処分所得のマイナス分をカバーするためは、物価上昇分や生活保障分
さらに格差是正分として自社の平均賃金の 1%以上の賃金改善が必要です。
フード連合の要求の考え方にしたがって自労組要求を勘案すると、230,000 円×1%+4,941 円=7,241 円、
約 7,000 円の要求となります。
この要求で妥結すると自労組の賃金水準を 2,000 円程度引き上げることができます。
それでも、35 歳の賃金は 232,000 円ですよ。
3
(方法2): 組合員の賃金を方眼紙にプロットし、中心をねらい「エイッ!ヤーッ!」で線を引く
賃金︵万︶
35
●
●
●
●
23
●
●
●
●
●
●
15
●
●
目標とする定期昇給分(実態)=この高さを 41(59−18)で割る
18
59
35
年齢
<組合員の賃金を把握する方法として…>
① 会社から賃金台帳をみせてもらう。
個人のプライバシーとしてみせてくれないところも多いようですが、労使が共通のデータで交渉
しなければ問題点も改正点も理解することはできません。
② 組合員個々に賃金を聞く。
賃上げ後、本当に妥結のとおりに配分されているか確認しているところもあります。
賃金は個々のもので、教えられないという組合員もいるそうです。しかし、実態がわからずに会
社と交渉はできませんし、賃金はもちろんのこと労働条件の全てについて個人ごとに労働条件を
決める交渉にはなっていませんので、理解を得ましょう。
組合員データは、年齢、勤続年数、学歴、性別、基本賃金、所定内賃金、が必要です。また、各
種手当てのデータも収集しましょう。
<賃金カーブ維持分(1 歳 1 年間差)を簡易的に求める>
初任給(Aさん)…………146,000円(高卒正規入社:18歳)
59歳 の賃金
…350,000円(カーブから求めた賃金)
1歳1年差 ⇒ (350,000−146,000円)÷(59歳−18歳)= 4,976円
※○○労組全体の賃金カーブ維持分は約 5,000 円必要である
もっと正確に算出するためには、回帰式を使って算出するか、労働局に賃金実態を提出し分析
をしてもらいましょう! いろんなデータ分析が手に入りますよ!
格差是正の必要性!
現在、日本では急速な少子化が社会的な問題となっています。このことは、食品産業にとっては市場規
模の縮小として問題であるばかりでなく、将来的な労働力人口の減少として、より一層深刻な問題となる可
能性がある。完全失業率の高止まり、有効求人倍率の低位安定など、雇用環境には依然として厳しさがあり
ますが、少子化が進行すると、5年後、10年後には極端な「売り手市場」(=逆就職難)になると予想されま
す。その場合、労働条件、とりわけ賃金水準が重要視されることは明らかです。
近い将来、労働力を確保するために、中小企業だからこそ高い水準の賃金が必要な時代がやってきま
す。また、大手であっても、わたしたち食品産業の賃金水準が、全製造業20産業中17位と低位であること
を直視する必要があります。「逆就職難」の到来が何年後かはわかりませんが、格差是正分を要求すること
で、危機感を共有化し、格差是正の必要性について会社側と真剣に考える必要があります。
4
ステップ2:自労組の賃金水準を検証する!
① フード連合の仲間(規模・業種別)や標準生計費などの水準と比較してみる。
② 手順1の賃金プロット図にフード連合の仲間の賃金水準をプロットしてみる。
③ 自労組との格差を検証し目標とする水準を検討する。
(フード連合の標準者最低到達目標参考)
賃金︵万︶
△
△
△
▲
△
35
▲
◇
●
△
△
23
●
●
▲
◇
●
▲
◇
●
●
◇
●
●
●
▲
◇
●:自労組
△:フード連合
●
高卒標準平均
▲:フード連合
●
高卒標準者
△
▲
15
●
◇
第 2 十分位
◇:標準生計費(全
国、子 2 人)
18
59
35
○○労組プロット平均
標準生計費(全国、子 2 人)
F連合全体基準内賃金平均
F連合 同上 第 2 十分位
年齢
18 歳
25 歳
30 歳
35 歳
40 歳
45 歳
50 歳
55 歳
146,000
139,400
159,707
158,000
162,000
163,700
214,172
194,712
186,000
186,100
259,093
224,814
230,000
231,400
307,430
257,532
250,000
260,500
342,751
287,042
280,000
295,300
359,827
298,636
300,000
344,300
372,802
308,992
330,000
263,300
373,015
309,122
※標準生計費は全国平均子供2 人家庭の推計値2005 年 4 月出所:労政時報別冊「2006 年版賃金決定のための物価と生計費資料」
※F 連合全体基準内賃金はフード連合の 06 年統一実態賃金調査
検証
このプロット図から○○労組の賃金カーブは、初任給は標準生計費を上回っているものの
25 歳以降は標準生計費以下となっている。
また、
フード連合全体の平均とでは大きな開き
(6
万∼9 万円)
があり、
フード連合のミニマム賃金水準
(最低到達目標)
である高卒35 歳261,800
円よりも低い水準となっている。
従って特に 35 歳∼50 歳までの水準の引上げが必要であり、全年代層において標準生計費
をクリアするとともに、フード連合の平均水準、少なくともフード連合の最低到達目標であ
る高卒 35 歳の第2十分位(261,800 円)までの引上げ計画をたてることとする。
会社の業績を正しく知る
利益の分配は、会社の業績(財布の中身)を知らないと交渉は成り立ちません。
労側と使側が同じデータ(決算書)で交渉しなければ、最終的な接点を見つけられませんし、交渉団も組
合員に説明ができません。
業績の報告を絶対にせず、枕詞のようにいつも「赤字」、「厳しい」、「先行き不透明」、としか言わない経営
者もいます。しかし、隠すということは見せられない何かがあるということです。こんなんじゃ労使の間に信
頼関係は成り立たないですよね。
5
ステップ3:賃金引上げ要求目標を立てる!
<要求目標の考え方と設定(例)>
(1)現行 35 歳 230,000 円をフード連合の最低到達目標である 261,800 円をめざすこととする。
(2)そのためには、計画的なベースアップや賃金制度の整備・導入が必要である。
①(261,800 円−230,000 円)=31,800 円⇒5 年間 6,360 円、10 年間 3,180 円の引上げが必要。
②水準の引き上げを 5 年間で達成するには約 6,400 円必要であるが、昇格昇級制度の導入などを取
り入れる工夫をすることとし、賃金改善分としては 2,000 円として要求をくみたてる。
③自労組の賃金カーブ維持分は 5,000 円+格差是正分を 2,000 円とすると=引上げ額は 7,000 円。
④単純に格差是正分として毎年 2,000 円積み上げても到達まで 16 年もかかることになる。
⑤そこで、ベア配分の工夫や別原資で特別昇給をさせる制度などを設ける必要がでてくる。
例えば、
方法 1)中高年層は、現行の賃金カーブ分のみ昇給させ、若年層∼40 歳までの 20 年間は、5 年
勤続毎に 8,000 円×4 回アップさせる仕組みなどを制度化する。
(別枠原資)
方法 2)格差是正分 2,000 円の総額ベア原資を 5 年間で 35 歳 261,800 円の水準になるよう配分
率を調整する。
(ベア 2,000 円ではこの方法だけでは配分の歪みが出るので方法 1 と併
用すると良い)
※35 歳現行 230,000 円+昇格昇級原資(7,000×3 回)+(ベア配分 2,160 円×5 年)=261,800 円
(3)賃金引上げ要求
※平均賃上げ額・・・・・・・7,000 円要求とする。
※水準引上げのための特別昇給制度の設置・・・5 年勤続毎 7,000 円×4 回の特別昇給
(人事制度・賃金制度を見直す:昇級、昇格手当・・など)
ステップ4:生活保障賃金と評価配分賃金を考えてみる!
金額︵万円︶
評価配分賃金
生活保障賃金
年齢(歳)
60
18
<ここでは、配分について考えて見ます>
となりの人や同期入社の人と比べて、賃金が高いからOKなのではなく、総じて全組合員が幸せ
なのかどうか、ということが重要です。
生活は困窮しないか、生涯の賃金は納得できるか、さらに配分が公平・公正で納得できるか、な
どなどが大切です。
また、実際の交渉にあたっては、解決後の配分も考えた取り組みにならなければなりません。
図では生活保障賃金は年齢によって一定になります。評価配分賃金は仕事に対する評価によって
差が生じてきます。
6
ステップ5:賃金制度を考えてみる!
具体的に賃金配分を考えてみましょう。前提条件を次のとおりとします。
(1) 生活保障賃金と評価配分賃金
① 配分
18歳初任給を生活保障賃金の最低水準に設定し、以後の賃金引上げの生活保障分と評価分にそれ
ぞれを配分します。
基本となる賃金
配分率
生活保障賃金
60%
賃上げ
評価配分賃金
40%
② 生活保障賃金
賃金引上げ額の60%。
③ 評価配分賃金
賃金引上げ額の40%を次の評価表により配分します。
評価が普通の場合(C)を 100 としました。
評価ランク
A
B
C
D
E
配分係数
150%
120%
100%
80%
50%
評
価
かなり優秀
優秀
普通
やや劣る
極めて劣る
(2) 配分の具体例
妥結額が組合員平均5,000円、総勢6人の組合員がそれぞれのランクに評価された場合。
生活保障賃金 3,000円
60%
賃上げ額
5,000円
評価配分賃金 2,000円
①
②
③
④
⑤
評価ランクAの人
評価ランクBの人
評価ランクCの人
評価ランクDの人
評価ランクEの人
→
→
→
→
→
2,000円
2,000円
2,000円
2,000円
2,000円
40%
×
×
×
×
×
150%
120%
100%
80%
50%
=
=
=
=
=
3,000円
2,400円
2,000円
1,600円
1,000円
賃上げ額は、次のようになります。
生活保障賃金
評価配分賃金
賃上げ額
評価ランクAの人
3,000円 +
3,000円 =
6,000円
評価ランクBの人
3,000円 +
2,400円 =
5,400円
評価ランクCの人
3,000円 +
2,000円 =
5,000円
評価ランクDの人
3,000円 +
1,600円 =
4,600円
評価ランクEの人
3,000円 +
1,000円 =
4,000円
評価によりランクAの人とランクEの人では2,000円の差がつくことになります。
7
今年度同期入社で毎年5,000円の賃上げがあって、評価が一定だったら…の10年後
評価ランクAの人 150,000円 +(6,000×10年)= 210,000円
評価ランクBの人 150,000円 +(5,400×10年)= 204,000円
評価ランクCの人 150,000円 +(5,000×10年)= 200,000円
評価ランクDの人 150,000円 +(4,600×10年)= 196,000円
評価ランクEの人 150,000円 +(4,000×10年)= 190,000円
10年後、Aの人とEの人では、毎月20,000円の差が生じます。年間で24万円にもなります。
金額︵万円︶
評価Aの人
平均
評価Eの人
15
年齢(歳)
18
28
60
このまま40年後では、毎月賃金で80,000円の差が生じます。
( 6,000円 − 4,000円 )× 40年 = 80,000円
(3) 対象人員が多かったら
・組合員数は30人
・賃上げに必要な原資は、5,000円×30人=150,000円
・生活保障賃金に60% → 3,000円×30人= 90,000円
・評価配分賃金も40% → 2,000円×30人= 60,000円
① 評価が均等に配分されている場合(分布目処による相対評価が一般的)
評価ランクAの人
評価ランクBの人
評価ランクCの人
評価ランクDの人
評価ランクEの人
計
評価配分
1人
生活保障
人数 賃金
係数 総点数 一点単価 配分額 賃上げ額
2
3,000 150%
300
20.0
3,000
6,000
6
3,000 120%
720
20.0
2,400
5,400
14
3,000 100%
1,400
20.0
2,000
5,000
6
3,000 80%
480
20.0
1,600
4,600
2
3,000 50%
100
20.0
1,000
4,000
30
3,000
評価配分の計算は次のようになります。
・総 点 数 = 人数 × 係数
・一点単価 = 評価配分原資 ÷ 総点数計
・配 分 額 = 係数 × 一点単価
・賃上げ額 = 生活保障賃金 + 評価配分額
⇒
⇒
⇒
⇒
8
総原資
12,000
32,400
70,000
27,600
8,000
150,000
ランクAなら 2人 × 150% = 300点
60,000円 ÷ 3,000点 = 20円
ランクAなら 150% × 20円 = 3,000円
ランクAなら 3,000円 + 3,000円 = 6,000円
総額原資が一定であれば、制度が同じでも評価内容(評価ランク対象人員)で大きく配分額が違っ
てきます。また、経営者が意図的に総額原資を抑える事も可能です。従って妥結後の配分をしっかり
検証しましょう。
② 評価の低い人が比較的多い場合(評価の高い人の配分が多くなる)
評価配分
生活保障
賃金
係数 総点数 一点単価 配分額 賃上げ額
1
3,000 150%
150 22.900763
3,435
6,435
2
3,000 120%
240 22.900763
2,748
5,748
8
3,000 100%
800 22.900763
2,290
5,290
16
3,000 80%
1,280 22.900763
1,832
4,832
3
3,000 50%
150 22.900763
1,145
4,145
30
2,620
人数
評価ランクAの人
評価ランクBの人
評価ランクCの人
評価ランクDの人
評価ランクEの人
計
総原資
6,435
11,496
42,320
77,312
12,435
149,998
(注:総原資2円マイナスは端数計算誤差範囲)
(4) もし賃金が3年連続上がらなかったら … 据え置き
金額︵万円︶
毎年5,000円上がったら
面積が減る
15
3年間据え置き
年齢(歳)
18
60
毎年5,000円上がったとすると
5,000円×12ヵ月×(60歳-19歳)年= 2,460,000円(41年)
合計 720万円
5,000円×12ヵ月×(60歳-20歳)年= 2,400,000円(40年)
5,000円×12ヵ月×(60歳-21歳)年= 2,340,000円(39年)
※60歳定年とした場合、生涯の賃金で、720万円少なくなる。
(38歳の時でも約360万少なくなる)
評価は難しい
評価者も人ですから甘辛がでます。
なかには、お中元の内容で…みたいなこともあるそうです。
大切なのは「客観的に評価」をする、ということです。これが、訓練を重ねても難しいのです。
ですから、直属の上司を含めた複数の目で評価をしたほうが良いのです。
そして、自他共にその評価の内容が認められるものであれば望ましいのです。
人を評価するためには、教育・指導、上司による面接、本人と会社労務担当・直属の上司・組合の
書記長等による苦情処理会議などがセットされていなければなりません。
YESマンが可愛がられる職場もあるようですが、プロジェクトXにYESマンはでてこないです
よね。
9
(5)実際にこのグラフ用紙に組合員の賃金(基準内賃金)をプロットしてみましょう!
5 9歳
5 8歳
5 7歳
5 6歳
5 5歳
5 4歳
5 3歳
5 2歳
5 1歳
5 0歳
4 9歳
4 8歳
4 7歳
4 6歳
4 5歳
4 4歳
4 3歳
4 2歳
4 1歳
4 0歳
3 9歳
3 8歳
3 7歳
3 6歳
3 5歳
3 4歳
3 3歳
3 2歳
3 1歳
3 0歳
2 9歳
2 8歳
2 7歳
2 6歳
2 5歳
2 4歳
2 3歳
2 2歳
2 1歳
2 0歳
1 9歳
1 8歳
100
フード連合全体
350
まずは自労組の賃金実態を検証してみよう!
500
<賃金プロット図>
(千円)
550
規模計
300人未満
標準生計費子2人
450
400
フード連合300人未満
300
標準生計費子2人
250
200
150
10
ステップ6:賃金要求書を作成し、会社と交渉開始!
(1)
(2)
(3)
(4)
賃金要求について手順 1∼5 を参考に執行部内で十分検討し今春闘の要求案を決定する。
その際、組合員に十分な説明を行い、組合員全員の総意として要求を組織決定する。
会社に要求書を提出する。
回答指定日を設け交渉を開始する。
<参考:要求書事例>
2007年2月28日
○○○○株式会社
代表取締役社長
○○ ○殿
フード連合
○○○○○労働組合
執行委員長 ○○○ ○○印
要
求
書
2005 年度の賃金・一時金・労働条件の改善について下記の通り要求したします。
なお、本件につきましては 2007 年 3 月 14 日までに回答願います。
記
1.
賃金(基本給)を次の通り引上げること
(1) 組合員一人平均 7,000 円の増額
(2) 特別勤続昇給制度を設ける
その場合、5 年勤続毎(20 年間迄)に都度昇給額 7,000 円とする
なお、評価配分等については、組合と別途協議の上決定すること
2.
一時金を次の通り支給すること
(1) 組合員一人年間平均月数 5 カ月を支給
なお、組合員の最低保障月数は年間平均 4 ヶ月以上とする
3.
パートを含む企業内最低賃金を引上げること
(1)18 歳以上の最低賃金は月額 148,000 円とする
(2)パートの時給を 25 円引上げ、最低時間額は時間額 850 円とする
なお、引き上げにあたっては協定書(覚書)にて締結すること
以上
※ 要求提出にあたり、回答指定日までの事前交渉日程等については申入れの時(団交・労使協議)
に確認しておきましょう。
11
4.時間外割増率の引き上げのとりくみ
時間外割増率引き上げの取り組みをおこない最低でも 30%以上をめざそう!
フード連合は、07 春季生活闘争で新たに統一要求課題として時間外割増率の引き上げを掲げています。
フード連合の多くの単組が法定割増率の 25%に張り付いている実態をふまえ、また、この間人件費抑制策
などによって法定割増率まで引き下がった割増率の回復と引き上げをすべての組合が取り組むことによ
って社会的な運動として求めていきます。
労働時間は、労働基準法で 1 日 8 時間、1 週 40 時間を超えて働いてはならないと定められています。
この原則は、人としての生活を確保する最低限を定めた法律で、それ以上例外的に認めた場合を除いては
原則禁止しています。従って例外的に認めた場合は、特別の労働に対する労働者の補償として、使用者に
対し経済的な負担を課しています。それを法定時間外割増率といいますが、日本以外のほとんどの国では
50%∼100%と時間外労働をさせないことを前提に高く設定してあります。日本では時間外をすることが
常態化していますが、世界中で一番低い割増率となっています。日本で働く労働者の長時間労働による過
労死・過労自殺、重大事故等も社会的な問題となっていますが、漸く厚生労働省もこの実態を重く受け止
め、時間外割増率の引き上げに向けた議論が始まっています。私たち労働者がそのことを強く求めていか
なくては、法律で割増率を上げていくことはできません。あくまで労使の合意に委ねられているのが現状
です。経営側は国際競争力に負けないためにも人件費や自己管理型労働時間制ウンヌンと主張しているよ
うですが、国際競争力というのであれば、国際的に見ても極めて低い時間外割増率の引き上げを求めるこ
とは、当然のことといえます。これらのことを念頭に、今春闘ですべての組合が、割増率の引き上げに取
り組むことによって社会的な運動へと繋げていくことが、私たち労働組合としての社会的な責任を果たす
ことにもなるのです。そしてなにより職場の仲間を長時間労働から守ることにもなります。
労働時間法制(時間外規制)の国際比較
時間外労働時間と割増率の分布
法定労働時 上限規制
割増率
連邦法に規定はない。公正労働基準法で
50%
アメリカ 1週40時間
は週40時間以上が時間外労働となる。
週労働時間の上限は、時間外労働を含め 労働協約による。時間外50%程度、日曜
イギリス 100%程度が一般的
て平均週48時間(17週平均)。
1000
800
ドイツ
年
間
時 600
間
外
労
働 400
時
間
1日8時間 年60日を限度に、1日10時間まで。
労働協約による。時間外40%程度、日曜
60%程度が一般的
年間130時間まで。例外として、1週48時
フランス 1週35時間 間、12週で平均42時間まで。1日10時間ま 35h∼43h:25% 43h超50%
で。
韓国
200
1週40時間 時間外労働は、週12時間まで。
国 名
通常日
休 日
祝 日
法 定
50%
100%
200%
協 約
50%
100%
200%
50%
50%−100%
100-200%
オーストラリア 法 定
協 約
50%
50%−100%
法 定
25%以上
35%以上
日本
協 約
28.5%
37.5%
法 定
100%
インド
協 約
法 定
50%
100%
200%
スリランカ
協 約
法 定
50%
100%
パキスタン
協 約
50%
100%
法 定
50%
100%
シンガポール
協 約
法 定
25-50%
25-50%
25-50%
イスラエル
協 約
25-100%
法
定
50%
50%
50%
ネパール
協 約
50%
50%
50%
法 定
25%
50%
50%
ヨルダン
協 約
法 定
50%以上
50%以上
100%
モンゴル
協 約
法 定
50%以上
50%以上
50%以上
韓国
協 約
50%
50%−100%
50%−100%
出所:ICFTU−APRO 労働時間と賃金調査(2004年)
マレーシア
0
20
25
30
35
割増率
40
45
25% の 組 合 :180組 合
平 均 時 間 外 :266時 間
30% の 組 合 :219組 合
平 均 時 間 外 :232時 間
35% 以 上 の 組 合 :35組 合
平 均 時 間 外 :213組 合
出所:連合「労働時間に関する調査」(2006年調査)
注:時間外割増率と時間外労働時間の両方がわかる456組合の集計
時間外は2005年実態値
50
50%
12
5.最低賃金の協定化に向けたとりくみ
(1)「企業内最低賃金の協定化の取り組み」を進めるにあたって
<最低賃金の取り組みの基本的なスタンス>
・2007 春季生活闘争ですべての組合は、同じ事業所に働く全ての労働者の代表者であることを強く受け
止め、賃金の下支えとなる企業内最低賃金の協定を企業と締結することに取り組む。
・フード連合は、構成組合の協定化を通じ労働組合としての社会的責任を果すとともに、不当な賃金格
差の是正や企業の公正な競争の確保、そして社会的な賃金のセーフティーネット機能(地域別最低賃
金・産業別最低賃金)の充実を図るための運動に繋げていく。
・その為に、企業内最低賃金の協定化に向け、全ての構成組合が何らかの行動を起こすこととする。
・協定化に取り組むとは、労使協定で締結することが望ましいが、形式は拘らず、覚書でも確認書でも
労使で文書確認していくことをいう。
<具体的な取り組み手順例>
ステップ1:まず自労組が下記のどの段階の取り組みができるのか検討しましょう!
<企業内最低賃金、年齢別最低賃金の協定化を目指した段階的な取り組みの具体例>
現行実態賃金での協定化(全従業員)
協地域別最賃以上で協定化(全従業員)
年齢別最賃以上(組合員のみ)
最賃の協定化・労使確認(組合員のみ)
法令(地域別最賃)遵守の労使確認
全ての組合が協定化に
協定化促進に向けた申し入れ
むけ取り組む
ステップ2:単組はパート等を含む全ての従業員と話し合い、実態・要望等を把握する!
事業所で働く仲間は、正社員以外にパート・準社員
等就労形態はまちまちですが、労働組合は、その代表
者でなくてはなりません。そこで働く労働条件を直接
決めることはできませんが、
労働協約の効力を通して、
非組合員の労働条件に影響を与えることができます。
(労組法 17 条 4 分の3以上)そのためには、まずは、
全ての従業員と話し合い、その実態と要望等を把握す
ることが必要です。
13
ステップ3:単組内で企業内最低賃金の協定化について話し合い、取り組み目標を設定する!
(1)ステップ1・2を踏まえ、単組内で企業内最低賃金の取り組み目標を設定します。
(2)取り組みが一歩でも前進するよう、段階的な具体例(07 春闘方針参照)に沿って何らかの行動
を起こすこととし、その為の行動計画をたてる。また、協定化することが当面難しい場合には、
協定化ができるまでの目標達成計画(少なくとも 3 年以内)などを作成し、協定化に向けた活
動を行っていきます。
<目標達成計画例:当面全従業員対象の協定化が困難な組合の場合>
◆ 組合執行部(役員)が最低賃金の協定化をすることへの決意を強く持つことから始まります。
そして最低賃金の必要性や協定化の意義について、組合員と話し合うなど意識を高めていく活動
を展開しましょう!
2008 年行動目標計画
2009 年行動目標計画
①最低賃金学習会の開催
①パート時給実態での
①全従業員対象の企業
②最低賃金実態の把握
(パート時給含む)
③組合員初任給(18 歳)
の協定化(覚書・制度上)
最低時給(地域)
協定化(契約書確認含)
②組合員のみを対象にし
た最低賃金(月額)の協
④会社に最賃協定に向けた
定化の申入れを行う
取り組みについて協議
③企業内最低賃金の時給
申入れを行う
額について検討開始
内最低賃金の協定化
の要求書提出
②その場合、要求設定は
地域や現行実態の水
準で要求
③年齢別最低保障賃金
企業内最低賃金の協定化確立
2007 年行動目標計画
の検討開始
◆ 企業と企業内最賃の協定化について話合いましょう!
①企業内最賃協定を新たに締結するには、経営側は抵抗を示すことも予想されます。締結水準が法
定の最賃でも協定できない企業の社会的責任を求め、すくなくとも「フード連合が示す水準」の
協定化について粘り強く協議を尽くします。
②仮に経営が「どうしても協定化はできない」という場合でも、
「○○社は、地域別最賃を遵守する」
という意の文書を合意文書に加えることとし、それも不可能な場合は、法定最賃を遵守すること
を表明できない理由を求めます。
◆ フード連合の目標
<到達目標>
・月 額 :148,000円以上
・時間額 :
850円以上
<最低到達目標>
【 A 地域】820円以上 【 B 地域】790円以上
【 C 地域】770円以上 【 D 地域】670円以上
区分
都 道 府 県
A
千葉・東京・神奈川・愛知・大阪
B
栃木・埼玉・富山・長野・静岡・三重・滋賀・京都・兵庫・広島
C
北海道・宮城・福島・茨城・群馬・新潟・山梨・石川・福井・岐阜
・奈良・和歌山・岡山・山口・香川・福岡
D
青森・岩手・秋田・山形・鳥取・島根・徳島・愛媛・高知
・大分・佐賀・長崎・熊本・宮崎・鹿児島・沖縄
注:愛知・千葉・三重・富山については 05 年度からランク区分が変更されています
14
ステップ4:企業に企業内最賃の協定の要求書を提出する!
◆ステップ3を踏まえ次の企業内最低協定の要求書を提出し、企業からの回答を求めます。
【申し入れモデル】
年
月
日
○○○殿
○○労働組合 執行委員長 ○○○○
申 入 れ 書
私たち
労働組合は、私たちの職場や周辺に低賃金で働く労働者が数多く存
在するということに対して、その労働者の生活を守るという観点から見逃し得ないばかりか、
そうした労働者が増加していくこと自体が、私たち全体の賃金を低める原因となっており、
重大な利害関係があると考えます。
こうしたことから、企業内で働く労働者の最低賃金を労使間で協定化することは、労働
者の生活と権利を守るという労働組合のもつ基本的な任務から、極めて当然のことでありま
す。
私たちは、従って企業内の最低賃金に関して次の通り要求しますので、当社は本要求を
誠意をもって検討し、速やかに受け入れられるよう申し入れます。
なお、本要求は、フード連合を構成する各組合がそれぞれの企業に対して一斉に行なっ
ているものであることを付記します。
記
一、正規従業員はもとより、臨時従業員・パートタイマー・その他の名称の如何を問わず、我
社の業務に従事する労働者の最低賃金を
月額
円
日額
円
時間額
円
とする。この金額は十八歳以上、六十四歳までを対象とする。
ステップ5:団交・労使協議等による交渉を進める
◆要求書の回答を求めるなど、企業内最低賃金の協定化の締結にむけて交渉を進めます。
◆フード連合全体で取り組んでいると言うことを前面に出し、粘り強い交渉を展開します。
ステップ6:取り組み状況を報告する
◆すべての組合は、2007 春闘において何らかの要求・行動をした結果について所定の報告用紙にて報
告します。
・取り組み報告提出日〆切日 第 1 回 3 月 31 日
第 2 回 4 月 28 日
第 3 回 6 月 30 日(最終集計)迄に労働局まで報告して下さい
15
(2)最低賃金のこともっと知ろう!
Q1:なぜ最低賃金の協定化をしなければいけないのですか?
A:労使で社会的な責任を公約することです
私たちの労働条件について、例えば労働時間や時間外割増率について労働協約や就業規則で定
めていると思います。
最低賃金についても同様に労使で「自社で働く労働者の最低賃金は時給○○
○円とし、これ以下では働かせません。」というような約束を書面で取り交わすことが重要です。
労働基準法や最低賃金法によって最低の基準は決まっていても守られていない場合があります。
少なくとも法律で決められていることは最低でも守るという約束を、労使で社会に対し公約する
ことに意義があります。そのうえで労働条件の質的向上と生活の安定に繋なげていく活動が重要
と考えます。今ある水準はその積み上げた交渉の結果です。
また、特に企業内の最低賃金を協定化することで、そこで働く組合員だけではなくパートを含
めたすべての従業員の賃金時給を定めたこととなり、短時間労働者の賃金の格差是正や不当な賃
金の引き下げの防止にもなります。また、各企業内での協定化は地域や業種間での公正な競争の
確保にも繋がり、社会的なミニマム賃金の下支えになっています。
Q2:組合員の賃金水準は高く、賃金制度があるので協定化は必要ないと思うのですが?
A:労働組合は、事業場の従業員の代表者でなければならない
企業内の最低賃金を協定化するということは、
組合員だけを対象にしているのではありません。
労働組合は、事業所の従業員の代表(過半数以上)でなければなりません。今、人件費の削減を
理由に正社員からパート労働者に置き換えられるなどの動きが加速しています。組合員だけが、
自分だけが良ければよいのでしょうか。改正パート労働指針で示されているように、正社員と実
質的に同じ仕事をしている場合、賃金決定の基準や評価などについて客観的な説明が求められて
います。同じ事業所で働く従業員全体の賃金について労使で確認し、パート労働者等の賃金実態
や要望を把握し少なくとも実態に即した企業内最低賃金の協定化をすることが必要ではないでし
ょうか。
Q3:パートの時給は地域で異なっており、全国一律の協定化はできないのですが?
A:事業所単位で協定化する
パートの時給は、地域によって異なっていますが、36 協定のように事業所単位で協定化する方
法もあります。また、全国で一番低い時給に合わせて一律的に協定化する方法も考えられます。
その場合、高いところの時給を引き下げると言う考えではなく、あくまで協定化した時給は最低
の基準を下支えするものであって、個別の時給は地域の実態や経験・仕事内容等を勘案したもの
でなければなりません。
Q4:パートの時給は地域の中でも高い方で最賃協定は必要でないと思うのですが?
A:高い水準の時給が永遠に保障されているわけではありません
Q1で触れているとおり、社会的責任を労使で果たしていくことが重要なことですが、パート
の時給は地域・地場の公募の需要状況により左右されます。今は地域では高い水準でも、永遠に
保障されているものではありません。各企業は安い労働力を求めて既に賃金のダンピングが行わ
れている状況を考えると、一刻も早く現時点の時給水準で協定化することが労働組合の役目だと
考えます。経営側は協定化することに抵抗を示すと思いますが、粘り強く協定化できない事由を
労使で話し合ってください。現状の高い水準ではどうしても協定化することが難しければ、地域
の最低賃金の水準で協定化することから取り組んで下さい。
16
Q5:最低賃金って法律で決まっているのですか?
A:最低賃金法によって決められています
最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を定め、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払
わなければならないとされています。一般的に法定最低賃金と呼んでいます。
また、法定最低賃金は、地域別最低賃金と産業別最低賃金の 2 種類があります。
地域別最低賃金は、47 都道府県内の全ての労働者とその使用者に適用され、産業別最低賃金は、
各都道府県の特定の産業の労働者とその企業に適用となります。
また、産業別最低賃金の新設・改定には、最低賃金審議会に申請しますが、届出には「労働協約ケ
ース」と「公正競争ケース」による2つの方法があります。この時の合意要件に労働協約の有無が
大きく影響します。ちなみに、フード連合では、「公正競争ケース」による産業別最低賃金が、北
海道(乳製品・糖業)
、
・千葉(調味料)
、香川(冷食)
、宮崎(肉製品・乳製品)
、沖縄(糖類)
、
(畜産)
、
(清涼飲料・酒類)
、の 7 件あります。
Q6:最低賃金法の目的は何ですか?
A:日本で働く労働者の最低の生活を保障する賃金を決める
① 労働者の最低生活を保障し、労働条件の改善、生活の安定、労働者の質的向上
② 不当な低賃金を前提とした「企業競争」をなくし、事業の公正な競争の確保をする
③ 国民経済の健全な発展に寄与する。
(所得格差を抑制し、経済のおよび雇用の安定確保)
以上目的を法律で定めています。
Q7:最低賃金に精皆勤手当や家族手当が含まれるのですか?
A:労働時間に対応した基本給で精皆勤手当や家族手当は含まれません
最低賃金の対象となる賃金は、通常の労働時間、労働日に対応する賃金に限られます。
従って、精皆勤手当、家族手当、通勤手当、時間外割増金、賞与、などは含みません。
Q8:最低賃金はすべての人に適用されるのですか?
A:事業場で働くすべての労働者
最低賃金は、原則として事業場で働く常用・臨時・パート・アルバイトなど雇用形態や呼称の
如何を問わずすべての労働者とその使用者に適用にされます。
しかし、都道府県労働局長の許可を受ければ個別に適用除外が認められます。
適用除外が受けられる労働者は、①精神又は身体の障害により著しく労働力が低い者、②試の使
用期間の者、所定時間の特に短いもの、軽易な業務(清掃、片付け等)
、断続的労働に従事する
者となっています。
17
6.パート労働者等の組織化と処遇改善のとりくみ
(1)「パート労働者等の組織化と処遇改善」を進めるにあたって
<基本的なスタンス>
わたしたちの職場は「わたしたちだけ」で守っているのではありません!職場全体に目をむけよう!
今、労働組合が行うパート労働者等の組織化が注目されています。
経済のグローバル化とともに企業間競争が強まり、企業が短期業績主義に傾斜していく中で、パートタイ
マーや契約社員、派遣社員などと呼ばれる雇用期間や低賃金などの労働者が増加を続けています。この傾向
は、正社員の減少と反比例する形で進行しています。職場では、今まで正社員だけ(ないしは組合員だけ)
で担ってきた仕事を、様々な雇用形態の方々と一緒に担うことになっています。
わたしたちの大事な「職場」はもはや、
「正社員」だけのものではなく、
「様々な雇用形態ではたらく仲間」
と一緒に守っている。
と言うことができるでしょう。
その反面、こうした様々な雇用形態ではたらく仲間の処遇には「格差」が存在します。たとえば、パート
タイム労働者の賃金水準は正規労働者の約65%です。また、契約期間においても、雇用調整の手段として
パートタイム労働者等を利用するために、毎年更新しているにもかかわらず、いつでも雇い止めできる存在
として 1 年ごとの契約を繰り返し、労働者は常に雇用への不安を抱えながらはたらいている実態です。この
格差を放置することは、共にはたらく仲間の生活を不安定にし続けることであると同時に、そういった労働
者が増えていくことで、正社員の雇用や労働条件をも不安定にすることにつながります。
こうした考えに基づき、今回の春闘方針ではパート労働者等の処遇改善として、
「組織化」を掲げていま
す。春闘期間中においては、まずは「対話」を起点に職場ではたらく仲間の「連帯」
「ネットワーク」を築き
ましょう。もちろん既に一定の対話ができ、要求がまとまっている単組においては、具体的な処遇改善に向
け、労使で話し合いをもっていくことは言うまでもありません。
わたしたちが組織している労働組合は、職場の仲間で作る組織です。そこでは、
「パートだから」
「契約社
員だから」といった差は根本的に存在しません。共にはたらく仲間にも組合活動への参加を呼びかけ、処遇
改善に向け、労働組合として一歩足を踏み出しましょう。
職場はひとりでは
成り立ちません!
18
<フード連合の統一要求課題 「パート労働者等の処遇改善」の取り組み項目>
● 取り組み項目
すべての組合はパート労働者等との対話を行い、実態やニーズの把握を行ったうえで、以下の項目に
取り組む。
(1) 組織(組合員)化
加入人数の拡大、組合加入募集、組合規約・労働協約の改定、職場集会の開催、各種ヒアリン
グの実施
(2) 労働契約、就業規則の点検・整備を通じた労働環境の実態把握
地域別最低賃金や法令等に基づく時間給・社会保険・労働保険加入等の点検、就業規則の整備
(3) 時間給の改善
引き上げ額25円を基本とした時間給の引き上げ
時給853円(連合・製造業平均時給)×3%以上(平均賃上げ率)≒25円
(4) 休日・休暇・諸手当・その他福利厚生制度の改善
月例賃金、一時金等の引き上げ、年次有給休暇の付与日数見直し、育児・介護短時間勤務制度
の導入、福利厚生基準(社員食堂食事補助、健康診断等)の見直し、慶弔休暇・育児介護休暇
等休日休暇制度の整備、教育訓練制度の導入
* 全ての組合はパート労働者等と対話を行い、パート労働者等のニーズや実態把握を必ず行う。
* 法令事項の点検・パート労働者等の賃金・処遇制度を把握する際には、パート労働者等の処遇改善
チェックシートを参考にする。
* そのうえで取り組み項目の(1)∼(4)の取り組みを行う。
* 特に職場での福利厚生等の改善は、パート労働者等も含めた取り組みを積極的に行う。
産業計
<参考資料1:パート労働者の1歳1年間差の推計>
総 計
平均時給
間差額
円
円
905
10.5
規模計
906
13.0
1000 人以内
918
8.7
100∼999 人
893
8.6
10∼99 人
855
7.9
製造業・規模計
858
10.8
小売業・規模計
1,023
16.8
サービス業・規模計
出所.厚生労働省「賃金構造基本統計調査」特別集計より作成
19
女 性
平均時給
円
868
1,001
間差額
円
889 7.2
900 9.4
900 6.0
4.5
834 6.7
8548.8
9.6
<参考資料2:パート労働者等に適用される制度>
雇用保険・退職金制度・正社員登用制度といった制度の適用状況を厚生労働省の「平成 15 年就業形態
の多様化に関する実態調査」から見てみると、パート労働者と契約社員は、正社員に比して一時金支給や
昇進・昇格、退職金制度の適用率が低く、雇用保険や社会保険ではパート労働者が契約社員よりも適用率
が低いなど非正規雇用の中でも雇用形態による違いが存在しています。
就業形態別適用制度(複数回答)
雇用保険
53.2
健康保険
76.8
36.0
厚生年金
71.1
33.1
3.1
退職金制度
8.5
7.3
財形制度
66.1
16.6
33.7
6.1
19.5
賞与支給制度
79.3
37.4
福利厚生施設等の利用
38.7
21.0
48.7
社内教育訓練
24.8
自己啓発援助制度
24.7
22.5
6.3
昇進・昇格
47.1
パートタイム労働者
22.0
正社員への転換制度
26.7
10.0
正社員
41.4
58.3
14.3
0.0
54.0
20.0
契約社員
38.7
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
%
企業年金
66.0
23.0
90.0
(2)処遇改善チェックシートで、仲間のはたらき方をチェック!
<取り組みの手順>
1. 法律事項を点検する
チェック内容のゴシック太字部分は、法律事項です。特に守られているか「○×」の欄でチェック
しましょう。守られていない場合は法律違反です。速やかに改善しましょう。
2. パート労働者等の処遇を点検する
実態を把握し、フルタイム正社員との比較をしましょう。
3. パート労働者等の処遇決定への参加をする
職場で共に働く仲間と対話を行など組織化(組合加入)を促進し、処遇決定への関与・参加を行い
ましょう。
4. 人事処遇制度の確立をする
パート労働者等を一括りにする雇用管理区分を見直し、仕事に応じた人事処遇制度を確立しましょ
う。
20
(3)パート労働者等の処遇改善チェックシート
1)雇い入れ通知書などの労働条件
項 目
契約内容の明示
就業規則
№
1
2
3
4
休憩時間
時間外・休日労働
5
6
7
有給休暇
8
生理休暇
育児・介護休業
9
10
11
安全衛生
12
13
14
法定福利
15
16
解雇手続き
17
短時間
雇用管理者
18
内 容
賃金、労働時間など労働条件を明記した「雇い入れ通
知書」が交付されていますか?
パートタイム労働者用の就業規則がありますか?ま
た、正社員用の就業規則にパートタイム労働者に適用
する項目がありますか?(いずれもない場合は、フル
タイム正社員と同様の就業規則が適用されることに
なります)
パート労働者用の就業規則の作成・変更について、事
業主はパート労働者(パート労働者の過半数代表)の
意見聴取をしていますか?
雇い入れ時に、就業規則」に関して、フルタイム正社
員と同様の説明(内容、掲示場所)がされていますか?
パート労働者にも、1 日の労働時間が 6 時間超の場合
は 45 分、8 時間の場合は 1 時間の休憩時間が保障され
ていますか?
36 協定を結ぶ従業員の過半数代表が、従業員にパート
労働者も含めた過半数代表になっていますか?
法定労働時間を超えた場合、パート労働者にも割増
手当が支払われていますか?また、休日・深夜の割増
手当が支払われていますか?
労働基準法、または労働協約上の比例付与日数が付与
されていますか?
フルタイム正社員と同様の生理休暇がありますか?
1 歳未満の子を養育する女性のパート労働者は、育児
時間(30 分×2 回/1 日)が取得できますか?
パート労働者も育児・介護休業法が取得できますか?
根拠規定等
労基法 15 条
労基法
89 条/93 条
パート法7 条
(努力義務)
労基法106 条
労基法 34 条
労基法 36 条
労基法 37 条
労基法 39 条
労基法 68 条
労基法 67 条
育介法2 条/
5 条/11 条
パートタイム労働者も雇い入れ時の健康診断が行わ
安衛法 66 条
れていますか?
/安衛法規則
43 条/指針
パート労働者も1 年に1 回の定期健康診断が行われて
安衛法 66 条
いますか?
/安衛法規則
44 条/指針
安全衛生について、パート労働者にもフルタイム正社
安衛法 59 条
員と同様の説明・教育が行われていますか?
適用要件が満たしている場合に、雇用保険が適用され
雇用保険法
ていますか?
適用要件が満たしている場合に、健康保険・厚生年
健康保険法
金・介護保険が適用されていますか?
厚生年金法等
30 日以上前の解雇予告がされていますか?また、退職
労基法 20 条
時に請求すれば、退職証明書が交付されていますか? /22 条
10 人以上のパート労働者がいる事業所では、
「短時
パート法9 条
間雇用管理者」が選任されていますか?
(努力義務)
21
○×
2)賃金・処遇制度
項 目
初任賃金
一時金
賃金・処遇制度
昇進・配置・異動
処遇決定への参画
苦情処理制度
労使協議
組合規約
※根拠
規定等
を参考
にして
下さい
№
内 容
根拠規定等
○
×
19 賃金が地域別・産業別の最低賃金を下回っていません
最賃法 5 条
か?(フード連合の産業別最賃 7 件)
20 フルタイム正社員の初任給と同水準となっています フード連合到
か?
達目標/連合
21 パート労働者にも一時金の制度がありますか?
連合指針
22 処遇差の「合理的理由」がある場合をのぞいて、同様
連合
の賃金制度となっていますか?
連合
23 「合理的理由」による賃金・処遇制度の違いは、フル
タイム正社員・パート労働者双方にとって納得できる
ものになっていますか?
24 職能評価制度など、フルタイム正社員と同様の制度・ 連合/パート
ルールがありますか?
研
25 配置・異動について、フルタイム正社員と同様に本人 連合/パート
からの希望聴取や面接・評価などのしくみがあります 研
か?
フード連合/
26
<パート労働者が組合員の場合>
賃金決定の要求づくり、労働契約の締結・見直し・就 連合/事例集
業規則改定など、パート労働者が処遇決定に参画して
いますか?(参画の方法は、パート労働者との職場討
議、職場委員等への選出、執行機関への参画、団体交
渉・労使協議への参加など)
フード連合/
27
<パート労働者が組合員でない場合>
パート労働者の実態・要望を踏まえて、パート労働者 連合
の処遇関する事項(賃金改定、処遇制度、福利厚生、
就業規則、等)を労使協議事項としていますか?
(実態・要望を踏まえる方法は、パート労働者に対す
るアンケート、相談活動、対話集会の開催等)
連合
28 処遇の差についての苦情を処理し救済をはかるため
の、不服申し立て・苦情処理制度(構成には、パート
労働者も含む)がありますか?
29 パート労働者の雇い入れは、労使協議での報告・協議
連合
事項となっていますか?
連合
30 パート労働者の雇い入れにあたって、人数、配置先、
仕事内容、期間、時間管理等について、労使協議の場
での報告・協議事項となっていますか?
31 組合規約では、パート労働者も加入できる組合員の範 フード連合/
囲となっていますか?
連合
労基法
:労働基準法
パート法 :短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
安衛法
:労働安全衛生法
育介法
:育児介護休業法
最賃法
:最低賃金法
パート研 :
「パートタイム労働研究会報告」
連合
:均等待遇の判断基準と実践の方法/事例集:連合パート組織化事例集
フード連合:フード連合/パートの組織化指針
22
7.
「食の安全・安心」へのとりくみを強化しよう
2007年「食の安全・安心」への取り組みにむけて
∼食品アンゼンジャークラブ活動∼
フード連合では、「食の安全・安心」への取り組み強化と活動の底上げを図る
ために、6
ために、6月という食中毒の発生しやすい時期を含めた6
月という食中毒の発生しやすい時期を含めた6∼7月を強化月間と位置付
け、「食品アンゼンジャークラブ活動」として取り組みを進めてきました。しか
しながら、年明けに消費者・社会の信頼を大きく揺るがす問題が発生したことか
ら、フード連合全加盟単組において、消費者・社会からの食品産業への信頼を早
急に回復させることが必要です。そのためには、食に携わる産業で働く一人ひと
りが、「食の安全・安心」に対する自覚をもつと同時に、自分以外や自分の職場
以外の視点を取り入れながら、決められたルールに則り正しく行動が出来ている
か確認が必要です。
2007年「食の安全・安心」強化月間については、全加盟単組が「食品アンゼン
2007年「食の安全・安心」強化月間については、全加盟単組が「食品アンゼン
ジャークラブ活動」に登録し、以下のスケジュールに沿った取り組みをお願いし
ます。
また、フード連合「食の安全・安心」基本方針に基づいた取り組みを各単組で
行えるよう、フード連合作成 「食の安全・安心」への取り組み(2003
年作
「食の安全・安心」への取り組み(2003年作
成) から一部抜粋した内容を参考として掲載しています。各単組での「食の安
全・安心」への取り組み活動にご活用ください。
2007年
2007年 3月
政策局
食品アンゼンジャークラブ活動取り組みスケジュール
月
項目
単組
5月 下 旬
目標設定
PLAN
強化月間の目標を立てる(単組・支部等の単位)。
会員登録
食品アンゼンジャークラブ会員登録し、活動宣言をする。
※ 参 考 1 : 2006 年 活 動 事 例 集
( ホ ー ム ペ ー ジ http://www.jfu.or.jp/auth02/jirei07.docに
http://www.jfu.or.jp/auth02/jirei07.docに 掲 載 )
※参考2:緊急総点検活動(現在実施中
)報告のまとめ
中)
(まとまり次第、ホームページへ掲載します)
※登録すると、リーフレット「一人ひとりが確認すること(仮称)」を
組合員に配布することを約束します。
6月 ∼ 7月
強化月間
DO
8月 ∼ 9月
報告
CHECK
9 月 ∼ 12月
12月
分析
ANALYSIS
強化月間内で目標達成・実現に向けて取り組む。
活動の報告を行う。
次年度の活動に向け、強化月間活動の事例を共有する場
※
を通じて、不足している活動を分析する。
※多くの単組が集まれる場を活用し、強化月間活動好事例の共有や、外
部講師を通じた、「食の安全・安心」について研修する場をつくってい
きます。
23
(参考)基本方針/
(参考)基本方針/基本方針に沿った具体的な取り組み
フード連合「食の安全・安心」基本方針
安全・安心かつ品質の優れた食品を提供するた
めに、フード連合加盟組合員一人ひとりが自覚を
持って取り組みます。
(2003年4月:フード連合第5回中央執行委員会にて確認)
1.取り組みにあたって
‹安全・安心かつ品質の優れた食品を提供するためには、食
品産業に携わる私たち全員の取り組みが必要です。
‹製造現場だけでなく、原材料納入∼製造∼販売という消費
者に届けるまでの全工程に関わる私たち一人ひとりが、自
覚を持って決められたルールや手順をきちんと守ることが
大事です。
‹まず、各職場で「食の安全・安心」基本方針を確認し、共
有化しましょう。
(参考)基本方針に沿った具体的な取り組み
2.取り組みサイクル
(1)チェック
(2)労使協議
◇「職場点検チェックシート」に
基づき、職場のチェックを行い
ます。
◇そのチェック結果をもとに、労
使で協議する項目を決めます。
◇会社に労使協議を申し入れます。
◇協議では各職場の問題点につい
て話し合います。
◇また、改善点があれば、その内
容・期限について協議します。
(3)改善
※一定期間(改善期
限等)の後、再度、
(1)チェックへ戻
り、職場のチェック
を行うという、 取
り組みサイクル を
繰り返していきます。
◇具体的な改善作業については、
労使で協力して取り組みます。
(フード連合作成 「食の安全・安心」への取り組み より
詳細はフード連合HP:政策局参照http://www.jfu.or.jp/senmon/seisaku/seisakukyoku.htm)
24
(参考)基本方針に沿った具体的な取り組み
3.具体的内容
(1)チェック
①企業倫理について
②職場安全総点検の実施について
□「経営理念」は明確になっていますか?
□「行動規範」が定められ、確実に実践さ
れていますか?
□安全や品質に対する会社の方針は明確に
なっていますか?また、その方針は組合
員に徹底されていますか?
□コンプライアンス(法令順守)は徹底さ
れていますか?
□施設・設備の点検整備はできていますか?
□事業所内における製造基準・作業手順は整
備されていますか?
□工程管理チェックシートの整備とその実施
及び保管はできていますか?
□事故対応体制(「対応マニュアル」等)は
できていますか?
□作業手順、マニュアル等についての教育・
訓練が適正に行われていますか?
□「安全衛生パトロール」を定期的に実施し
ていますか?
□安全衛生委員会を開催していますか?(従
業員50名以上の事業場では、設置及び月1
回以上の開催が義務付けられています)
(フード連合作成 「食の安全・安心」への取り組み より
詳細はフード連合HP:政策局参照http://www.jfu.or.jp/senmon/seisaku/seisakukyoku.htm)
(参考)基本方針に沿った具体的な取り組み
3.具体的内容
(1)チェック
③品質管理総点検の実施
④組合員への啓発活動について
□品質管理チェックシートの整備及び保管
はできていますか?
□苦情処理体制(マニュアル、事故事例の
収集・蓄積、情報の共有化)はできてい
ますか?
□会社は「品質管理パトロール」を定期的
に実施していますか?
□原材料の品質基準、品質管理チェック
シー トがあり、その内容は適切ですか?
□製品の生産出荷からお客様に届くまでの
管理体制の基準が明確になっていますか?
□「経営理念」「行動規範」について周知さ
れていますか?
□「安全衛生」に関する勉強会は定期的に実
施されていますか?
※項目の単なるチェッ
クだけでなく、組合員
一人ひとりが自覚して
業務に取り組んでいる
か、具体的な内容につ
いてもチェックし、形
骸化していないか確認
しましょう。
(フード連合作成 「食の安全・安心」への取り組み より
詳細はフード連合HP:政策局参照http://www.jfu.or.jp/senmon/seisaku/seisakukyoku.htm)
25
(参考)基本方針に沿った具体的な取り組み
3.具体的内容
(2)労使協議
①労使協議の場
②協議内容
◇職場安全・品質安全については、日常で
のチェックを行うとともに、いつでも労使
で話し合える窓口等を求めていき「チェッ
ク体制」の充実を図っていきます。
◇また、(1)チェックで確認した結果に基
づく労使協議は、最低年2回以上定期的に
開催します。
◇協議の場
・労使協議会
・安全衛生委員会
・品質管理委員会(品質管理専門の労使
協議機関)
・その他、独自の労使協議機関
◇チェック項目において、問題点があれば会
社に改善を求めます。
◇具体的な改善内容(改善項目、方法、期限
等)を求めます。
◇前回の改善要求に対しての取り組み結果を
確認します。
◇改善不十分な項目については、更に改善を
求めます。
(フード連合作成 「食の安全・安心」への取り組み より
詳細はフード連合HP:政策局参照http://www.jfu.or.jp/senmon/seisaku/seisakukyoku.htm)
(参考)基本方針に沿った具体的な取り組み
3.具体的内容
( 3)改善
◇労使で確認した改善内容に沿って改善します。
◇具体的な改善作業については、労使で協力して取り
組みます。
◇一定の期間で(1)チェックに戻り、 取り組みサ
イクル を繰り返していきます。
(フード連合作成 「食の安全・安心」への取り組み より
詳細はフード連合HP:政策局参照http://www.jfu.or.jp/senmon/seisaku/seisakukyoku.htm)
26
8.春闘を通じた職場点検活動をしよう
(1)36 協定の総点検運動の点検
27
28
29
30
(2)派遣・請負の労働関係法は守られているかを点検しよう
31
32
(3)「改正高齢者雇用安定法」における対応と留意点について
「高齢者雇用安定法」が改正され、65 歳までの雇用確保が義務化になりました。具体的な雇用確保の方法
としては、①定年の引き上げ、②継続雇用制度、③定年を定めの廃止等としています。この改正法は、2006
年 4 月 1 日施行されることから、各単組の現行制度の見直しは 2006 年 3 月 31 までに完了しておく必要があ
ります。現在、見直しをめぐって会社と交渉されていることと存じますが、その中で、継続雇用制度の対象
者をめぐって、希望者全員を対象としない制度でも労使の合意があれば良いとされていることから、継続雇
用の対象者を恣意的に限定できるような表現での提案が見受けられます。
厚生労働省の事例においても、具体的に望ましい基準等で紹介されている例では「一定以上の評価実績が
あること」
、
「伝授すべき技能を持っていること」など継続雇用を希望する労働者にとっては、法の趣旨とは
異なり、使い勝手がよい者だけを選定できる制度へと悪用されかねません。
今後の単組での交渉において、会社は 65 歳まで雇用する義務があるという法の趣旨を徹底させ、少なく
とも原則希望する者すべての組合員が雇用される制度となるよう取り組みをお願いします。
また、継続雇用対象者は引き続き全員を組合員とし、取り組みにあたっては、下記の留意点を参考に継続
雇用の対象者とならない組合員の視点にたった対応をお願いします。
1.法改正の概要 (2006 年 4 月 1 日施行)
<法改正前>
●企業の「努力」義務
①定年の引き上げ
②継続雇用制度の導入
③定年の定めの廃止等
<改正後>
●企業の「実施」義務
①定年の引き上げ
②継続雇用制度の導入
※労使協定を定めると、希望者全員を対象としな
い制度も可
③定年の定めの廃止等
※実施義務化の対象年齢
・平成 18 年 4 月 1 日∼平成 19 年 3 月 31 日:62 歳
・平成 19 年 4 月 1 日∼平成 22 年 3 月 31 日:63 歳
・平成 22 年 4 月 1 日∼平成 25 年 3 月 31 日:64 歳
・平成 25 年 4 月 1 日以降
:65 歳
2.会社からの改定案事例から見る留意点
フード連合加盟単組において提案されている事例では、とりわけ継続雇用制度の見直しにおいて、希望
者全員を雇用する制度とするかが論点となっています。対象者を限定した会社が認めた者の部分を、厚生
労働省の指導事例に従って具体的に定めた提案が多く見られます。これらの提案に対する対応と考え方を
下記に示します。
<雇用する対象者を限定した提案事例>
① 能力・業績評価が C 以上で知識・技能の活用が見込まれる者
② 勤務態度・出勤状況が優秀と認められる者
③ 雇用先にこれまでの経験・技能・知識を活かせる職場があること
④ 職務変更に対処でき、新職務に適応できる者
⑤ 勤続 20 年以上で、定年後直ちに業務に従事できる者
33
以上のような提案例の他にも、自宅もしくは自己の用意する住居より通勤が可能な者、過去に懲戒処分を
受けていない者、過去3年間の出勤率が90%以上であることなど、多くの適用基準を設けている場合があり
ます。いずれの事例においても労使で合意すれば、法律上は、改正法の義務化をした制度と見なされるよ
うです。しかし、本当にこの制度で法の趣旨に適合する制度と言えるのでしょうか。企業の社会的責任・組合
の社会的責任において一歩踏み込んだ取り組みが求められるのではないでしょうか。そのうえでフード連
合としての 65 歳までの取り組みの対応を下記に示します。
(1) 基本スタンス
改正法の趣旨に則り、
「希望する者は全員が 65 歳までの雇用を確保できる制度とする」
(2) 労組の対応
希望者全員が 65 歳まで雇用できる制度の確立をめざしますが、労使交渉によりやむを得ず継続雇
用の対象者の基準を定める場合は、次の内容で取り組みます。
① 本人の希望(働く意思)を最大限に尊重する
② 再雇用決定については、会社・組合・本人との協議事項とし、必ず本人の承諾を得る
③ 60 歳まで通常に業務遂行してきた実績がある者すべてを対象とする
④ 能力について特別な評価基準は定めない(定める場合は全員が納得できる基準を)
⑤ 健康上の事由の基準については、日常生活に支障のない限り特定した基準を定めない
⑥ 会社が恣意的に特定の人を排除するような基準は定めない
⑦ 労働条件等については、会社・組合とで協議決定し定める
以上、特に①∼③の3つの内容については組合として堅守してください。
3.再雇用における所得(賃金)水準の考え方
(1)65 歳まで公的保険(年金・高年齢継続給付金)を受給しないことを前提とした場合
・60 歳時賃金水準を維持又は職務や役割等 60 歳までの賃金制度基準に応じた賃金水準を確保する。
・再雇用制度で 60 歳時以降の賃金を止むを得ず減給する場合は、家計調査年報などの指標から平均世
帯主収入 270,000 円∼300,000 円以上の水準が確保できるよう減額幅を設定する。その場合減額幅は
30%(厚生労働省調査平均)を目安とする。
(2)在職老齢年金と高年齢雇用継続給付金を併給することを前提とした場合
① 在職老齢年金 : 年金支給基本月額と総報酬月額(月例賃金+一時金等)の合計額に応じて支給停
止額が定められ、在職老齢年金として支給される。なお、総報酬月額が 48 万円と年
金支給月額 28 万円を超える場合と以下の場合で支給停止額が変わる。
② 高年齢雇用継続給付金 :雇用保険の被保険期間が 5 年以上あって 60 歳以降失業給付を受給するこ
(雇用保険から支給) となく、60 歳時の賃金月額に比べ 75%未満の賃金である者に支給される。
<組み合わせモデル例>
ア)60 歳時の月例賃金
イ)60 歳以降の月例賃金
ウ)在職老齢年金支給額
エ)在職老齢年金支給停止額
オ)高年齢雇用継続給付金
カ)60 歳以降の所得合計
⇒300,000 円
⇒時給 1,100 円×8 時間×22 日=193,600 円
⇒年金基本月額 95,000 円 、合計額(イ+ウ)=28 万円以上減額
⇒(193,600+95,000−28 万円)/2=4,300 円
⇒60 歳以降の賃金は 64.53%ダウン、年金併給調整額は20,520 円
⇒193,600 円 + 90,700 円
+ 20,520 円
= 304,820 円
(月例賃金) (調整後年金支給額) (高年齢継続給付金) (月例所得額)
34
再雇用制度に関する協定モデル例
1.目的
定年退職する者に対し、社会の支え手として意欲と能力のある限り活躍する社会がもとめられており、
長年培ってきた知識と経験を活かすことにより、退職者にゆとりと生きがいのある生活を保障するととも
に、企業の安定と発展に資することを目的とする。
2.再雇用の対象者
定年対象者で再雇用を希望するもの
※適用条件を定める場合は、会社・組合・本人の協議事項とし本人の承諾を得ること
3.再雇用期間
再雇用に係る年齢は、2013 年 4 月 1 日以降 65 歳までとし、それまでの間、次のとおり段階的に引き上
げる
・平成 18 年 4 月 1 日∼平成 19 年 3 月 31 日:62 歳
・平成 19 年 4 月 1 日∼平成 22 年 3 月 31 日:63 歳
・平成 22 年 4 月 1 日∼平成 25 年 3 月 31 日:64 歳
・平成 25 年 4 月 1 日以降
:65 歳
4.再雇用の申請方法
定年退職後、再雇用を希望するものは、定年退職前の 6 ヶ月前までに所定の申出書を提出する。
5.勤務形態
業務内容により、下記のいずれかを選択する。
(1)フルタイマー
1 週間の所定労働時間が正規従業員と同じ者
(2)パートタイマー
1 週間の所定労働時間が正規従業員とのそれ未満の者
なお、勤務時間は就業規則に定めるところによる
6.勤務場所
再雇用者の勤務場所については、定年退職時に就労していた事業所を基本に、現住所から通勤可能な場
所とする。
7.賃金
再雇用者の賃金については労使協議により、別途定める再雇用制度賃金制度規定による。
8.年次有給休暇について
年次有給休暇は、59 歳時点の付与日数および 59 歳時の未使用繰越日数を継続するものとし、その他は、
就業規則に定めるところとする。
9.この協定の定めにない事項が生じた場合は、労使双方が誠意を持って協議決定する。
10.本協定は 2006 年 4 月 1 日から実施する。
35
(4)男女雇用機会均等法等の改正への対応(2007 年 4 月施行)
男女雇用機会均等法等の改正(2007 年4月施行)
□改正の内容(①∼④は男女雇用機会均等法関係、⑤は労働基準法関係)
① 性差別禁止の範囲の拡大
ア)男性に対する差別も禁止されます。
差別の禁止が、男女双方に対するものに拡大され、男性も均等法に基づく調停等個別紛争の解決援助
が利用できるようになります。
イ)禁止される差別が追加、明確化されます。
・募集・採用、配置・昇進・教育訓練、福利厚生、定年・解雇に加えて降格、職種変更、パートへの
変更等の雇用形態の変更、退職勧奨、雇止めについても性別を理由とした差別は禁止されます。
・配置については、同じ役職や部門への配置であっても権限や業務配分に差がある場合異なった配置
となり、性別を理由とした差別は禁止されます。
ウ)間接差別が禁止されます。
一般的に間接差別とは、外見上は性中立的な規定、基準、慣行等(以下「基準等」)が、一方の性の構
成員に相当程度の不利益を与え、しかもその基準等に合理性・正当性が認められないものを指します。
均等法では、省令で定める以下の要件について、業務遂行上必要などの合理性がない場合、間接差別
として禁止されます。
・募集・採用における身長・体重・体力要件
・コース別雇用管理制度における総合職募集・採用時の全国転勤要件
・昇進における転勤経験要件 他
②妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止
ア)妊娠・出産・産前産後休業の取得を理由とする解雇に加え、労働基準法の母性保護措置や、均等法の
母性健康管理措置を受けたこと等による解雇、退職勧奨、雇止め、パートへの変更等の不利益取扱い
も禁止されます。
イ)妊娠中や産後1年以内に解雇された場合、事業主が上記②ア)による解雇でないことを証明しない限
り、解雇は無効となります。
③セクシュアル・ハラスメント対策
職場においては、男性に対するセクシュアル・ハラスメントも含めた対策を講じることが義務となり
ます。
対策が講じられず是正指導にも応じない場合、企業名公表の対象となるとともに、紛争が生じた場合、
男女とも調停など個別紛争解決援助の申出を行うことができるようになります。この規定は派遣先の事
業主にも適用されます。
④母性健康管理措置
事業主は、妊産婦が保健指導や健康診査を受けるために必要な時間を確保するとともに、妊産婦がこ
れらに基づく指導事項を守ることができるようにするための措置(時差通勤、休憩回数の増加、勤務時
間の短縮、休業等)を講じることが義務となっています。
こうした措置が講じられず是正指導にも応じない場合、企業名公表の対象となるとともに、紛争が生
じた場合、調停など個別紛争解決援助の申出を行うことができるようになります。
⑤女性の坑内労働の規制緩和
女性の坑内労働について、妊産婦や作業員を除き、規制が緩和され、女性技術者が管理・監督業務を
行えるようになります。
36
■労働組合の対応
間接差別については、省令の規定以外のものでも司法判断で違法と判断される可能性があることを踏ま
え、職場での間接差別の掘り起こしと問題解決に努めることが必要です。
外見上は性中立的な規定や慣行でも、男性あるいは女性のいずれか一方に相当程度の不利益を与えてい
るような事例については、差別ではないか検証しましょう。
また、措置義務となるセクシュアル・ハラスメント対策や、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い禁止
等の課題についても、法の実効性を担保する具体的な取り組みを進めていくことが必要です。
【 注意しなければならない間接差別の例 】
下記の場合において、その基準等に合理性・正当性が認められない場合、間接差別となる。
(1)募集・採用にあたって、一定の身長・体重・体力を要件としたことにより、女性の採用が男性に比べ相当
程度少ない場合。
(2)総合職の募集・採用にあたって、全国転勤を要件としたことにより、女性の採用が男性に比べ相当程度少
ない場合。
(3)募集・採用にあたって、一定の学歴・学部を要件としたことにより、女性の採用が男性に比べ相当程度少
ない場合。
(4)昇進に当たって転居を伴う転勤経験を要件としたことにより、
昇進できる女性の割合が相当程度男性より
も少ない場合。
(5)福利厚生の適用や家族手当等の支給にあたって、住民票上の世帯主(または主たる生計維持者、被扶養者
を有すること)を要件としたことにより、福利厚生の適用や家族手当等の支給を受けられる女性の割合が
男性に比べ相当程度少ない場合。
(6)処遇の決定に当たって正社員を有利に扱ったことにより、
有利な処遇を受けられる女性の割合が男性に比
べ相当程度少ない場合。
(7)福利厚生の適用や家族手当等の支給に当たってパートタイム労働者を除外したことにより、
福利厚生の適
用や家族手当等の支給を受けられる女性の割合が男性に比べ相当程度少ない場合。 等
*ただし、いずれの事例においても、実際には個別具体的な事案ごとに事実認定を行い、判断していくも
のである。
*2007 年4月から施行される改正男女雇用機会均等法では、上記のうち(1)(2)(4)が間接差別として禁止
される。
出所:厚生労働省「男女雇用機会均等政策研究会報告書」(2004.6.22)
37
38
第Ⅱ部 労使交渉の争点Q&A(連合総合労働局作成抜粋)
1.賃金交渉をめぐる労使交渉の争点
Q1:日本経団連は、2007 年の賃金改定についてどのような主張をしているのですか?
連合はそれに対してどのような反論をしていますか?
日本経団連は、2006 年 12 月に御手洗会長の新体制になって最初の「経営労働政策委員会報告」
(以
下「報告」
)を発表した。前回までは「
『現場力』の復活」
「職場を支える『普通の人』たちの意欲を高
める適切な舵取り」等、不十分ながら労働者の方にも目を向けていたが、今回は現場と遊離した「社長
室からの論評」という感じが否めない。日本経団連の主張には、多くの問題点がみられ、連合はそれに
対して以下のような考えを持っています。
(1)
「格差社会」の実態から目を背け、労働者の生活を顧みようとしない
今回の「報告」の特徴の1つは、
「格差社会」の現実に対する記述がほとんどないこと。働く貧困層
の問題など眼中になく、全体を通じて、労働者が様々な不安や生き甲斐を感じて働き、暮らしている
という「人間の顔」が出てこない。
「景気回復は、企業部門から家計部門に波及しつつある」
「債務、
設備、雇用の 3 つの過剰をほぼ克服し、次なる飛躍の局面へ」という現状認識は、生活の実態をわか
っていない証拠と言える。当然ながら「格差社会」の原因分析もない。第 2 章で指摘した通り、その
原因の1つはこの間の企業行動にある。3 つの過剰の克服は、労働者の大きな犠牲の上に進められ、
企業業績の回復の一方で、労働者家計は傷み、特に非典型労働者や中小企業へのしわ寄せが大きい。
「企業は社会の公器」
と言いながら、
企業利益ために何をするかということばかりが論じられている。
さらに「格差問題に対する考え方」の項では、
「事由が合理的で、回避可能な格差」ならばよいでは
ないかという一般論に終始し、目の前の「格差社会」の現実が合理的かどうかの判断を曖昧にしてい
る。企業規模間格差の背景には、企業間の取引関係の問題があり、雇用形態間格差の背景には、雇用
形態が違えば仕事が同じでも低い賃金でいいという不合理な現実がある。日本経団連は、社会的公正
さが問われていることを自覚し、
「格差社会」の現実を直視すべきである。
(2)
「自律的人材」
「自律的働き方」は職場実態から遊離した発想である
前回の「報告」では、
「現場の人材力の低下」を懸念していたが、今回は、いきなり「自律的人材」
づくりに飛躍している。
「自律的人材」とは、
「基礎学力をベースにした高い専門・応用・適応能力を
持ち、問題の本質をつかんで、迅速に行動し、価値創造、事業革新を図ることができる人材」という
が、十分な「人への投資」をせずに、人材力低下を招いた短期決済型の人事政策を変えず、どこから
「自律的人材」が出現するのか、まったく理解できない。また、パート、派遣、契約等労働者の活用
を主張しているにもかかわらず、その人材育成に対する企業の責任には言及がない。
また、
少子化や多様な就労参加に対応するため、
「新しい働き方を探求すべき」
としている。
連合は、
「過重なノルマを課せられ、長時間労働を余儀なくされる正社員と、労働条件が低く、企業の都合に
合わせて便利に使われるパートや派遣、有期、請負などの労働者への『働き方の二極化』
」に問題あり
と指摘してきたが、
「報告」は、これに耳をかさず、
「自律的な働き方」の導入を提案している。
「自律
的な働き方」とは、労使双方のニーズを満たす働き方だとしているが、
「働き方の二極化」を棚上げに
したまま、働く側のニーズに応えることなど到底できるはずもない。ましてや、現在検討されている
ホワイトカラー・イグゼンプションの導入は言語道断である。
「現場の人材力強化」に必要なのは、働く側の選択肢を拡大する視点から、長期的視点に立って、仕
39
事と人材育成と処遇の整合性ある人事政策を立て直すことである。現場の目線なしに、机上の論理と
して「日本的経営」の再構築を打ち出すことは、いまの状況を混乱させるだけである。
(3)労働分配率の大幅な低下は景気循環論では説明できない
「報告」は、労働分配率の大幅な低下を景気循環で説明しようとしている。言い換えれば、景気の
拡大局面と後退局面をならせば大きな変化は生じていないはずだと示唆している。しかし、この 10 年
間の動きを振り返ると、
景気変動に関わらず分配率は下がり続け、
従業員の人件費を削減する一方で、
株主配当と役員報酬を大幅に増やすというベクトルの違いも顕著である。労働分配率の低下は、どう
いう状況であろうと総額人件費を抑制し続けるという経営姿勢に起因する構造的な側面が強い。
「報告」では、相変わらずの賃金抑制論が展開され、横並びで賃金抑制をはかろうとする意図が透け
て見える。
「いま、企業労使が取り組むべき課題は『付加価値の増大』である」としているが、増大し
た付加価値の「公正な分配」は労使の課題でないというのだろうか。前回の「報告」で普遍的な意義
があるとした「生産性三原則」について、言及がない。
「社会への貢献を果たす『公徳心』
」という自
覚があるなら、労働者のがんばりに十分に応えることからはじめるべきだ。われわれは、毅然と成果
配分を求めていく。なお、今回の「報告」では、
「企業労使」
「企業内労使関係」という内向きの姿勢
が目立つこと、さらに「春討は、経営課題について論議する場」という企業の論理への埋没が一段と
進んでいることに注意を喚起しておく。連合は、
「社会の安定帯」としての労使関係を大事にし、マク
ロの経済社会問題を含めた産業・企業、労働者生活など幅広い課題を論議し共通理解をはかりつつ、
要求への回答を求める春季生活闘争を展開していく。
Q2:労働分配率の考え方とその動きについて教えてください
労働分配率とは、新たに生み出された付加価値に占める労働側の取り分のことです。パイ(付加価値の
総額)が一定だとすれば、労働分配率が高まると、企業側への配分が減ることになるため、労使でパイの
とりあいをすることになるわけです。
しかし、労使間で労働分配率の計算方法が異なるため、労働分配率が上昇しているのか、低下している
のかについて、共通の比較ができていません。
○経営側 労働分配率の計算方法 = 雇用者報酬 ÷ 国民所得
○労働側 労働分配率の計算方法 = 雇用者一人あたり雇用者報酬 ÷ 就業者一人あたりGDP
(国内総生産)
経営側の算出方法には、以下のような大きな問題があります。
① 分子として、国全体の雇用者報酬をとっていることが問題です。例えば、一部の人々が自営業者から
雇用者に転職すると、賃金が変わらなくても雇用者報酬の合計額が増え、労働分配率も上昇します。
② 国民所得は、雇用者所得に加え、法人企業所得、個人企業所得(自営業者の所得)などから構成され
ています。したがって、雇用者と企業の間における分配を見たいのに、自営業者の所得の変動の影響
を受けてしまいます。
③ 分母の国民所得には、企業の減価償却費が含まれず、付加価値が過少になってしまいます。減価償却
費は、過去の設備投資分を回収するという意味があります。過去に労働への分配を抑制して投資を行
っているわけですから、回収分を含め全体の分配をあらためて論じるべきです。
連合は、こうした問題点をクリアするために上記の計算方法をとっています。
連合の計算によると、労働分配率は過去 10 年以上低下傾向にあります。逆に企業への分配率は上昇傾向
にあります。国民経済レベルでみれば、賃上げが生産性上昇を下回っているために、労働分配率が低下
しているといえるでしょう。
40
〈 マクロの労働分配率 〉
年度
単位:十億円
96
97
98
99
2000
2001
2002
2003
2004
2005
6,711
①就業者(万人)
5,572
②雇用者(万人)
506,480
③名目GDP
274,262
④雇用者所得
96,859
⑤民間法人企業所得(注1)
415,179
⑥国民所得
75.5
⑦一人あたりGDP(③/①)
49.2
⑧一人あたり雇用者所得(④/②)
労働分配率A(⑧/⑦)
65.2%
労働分配率B(④/⑥)
66.1%
企業への分配率(⑤/③)
19.1%
6,729
5,585
510,466
279,647
95,123
420,492
75.9
50.1
6,628
5,511
501,384
274,093
95,312
411,855
75.7
49.7
6,553
5,468
496,606
269,609
93,450
405,644
75.8
49.3
6,531
5,491
502,783
271,274
102,929
409,933
77.0
49.4
6,445
5,454
492,347
267,934
99,985
399,105
76.4
49.1
6,359
5,417
488,724
261,152
99,177
393,078
76.9
48.2
6,357
5,423
493,622
256,161
110,143
395,171
77.6
47.2
6,370
5,441
496,229
255,376
114,178
399,026
77.9
46.9
6,402
5,507
505,361
259,996
131,990
66.0%
66.5%
18.6%
65.7%
66.6%
19.0%
65.1%
66.5%
18.8%
64.2%
66.2%
20.5%
64.3%
67.1%
20.3%
62.7%
66.4%
20.3%
60.8%
64.8%
22.3%
60.2%
64.0%
23.0%
59.8%
78.9
47.2
26.1%
出所:内閣府「国民経済計算」より作成
注.民間法人企業所得=民間法人の営業余剰+民間法人企業の金融・財産収支+非金融法人企業の減価償却費
労働分配率Aは、連合の算出方法。労働分配率Bは、日本経団連の算出方法。B方式は、雇用者比率の上昇や減価償却費の
計上で見かけ上、分配率が上昇したように見えるという問題がある。2005 年度の数値は、一部推計値。
①②は総務省「労働力調査」の伸びで推計。⑤は財務省「法人企業統計」の経常利益の伸びで推計。
マクロの分配率の動き
労働分配率A
企業への分配率
67%
27%
66%
26%
2 6 .1 %
6 6 .0 %
65%
25%
6 5 .7 %
6 4 .3 %
6 5 .1 %
64%
24%
6 4 .2 %
2 3 .0 %
23%
63%
6 2 .7 %
2 2 .3 %
22%
62%
21%
61%
2 0 .5 %
6 0 .8 %
2 0 .3 %
20%
60%
2 0 .3 %
6 0 .2 %
1 9 .0 %
5 9 .8 %
59%
19%
97
98
99
1 8 .8 %
1 8 .6 %
18%
58%
97
2000 2001 2002 2003 2004 2005
98
99
2000 2001 2002 2003 2004 2005
所定内賃金水準の推移とピークからの低下幅
30歳(高卒標準労働者)
2900
(百円)
3400
大企業〈1000人以上〉
3900
(百円)
▲40
3300
▲31
40歳(高卒標準労働者)
大企業〈1000人以上〉
(百円)
2800
単位:百円
35歳(高卒標準労働者)
大企業〈1000人以上〉
3200
中小企業〈10∼99人〉
▲83
3800
3700
2700
中小企業〈10∼99人〉
▲212
3100
3600
2600
▲251
3000
3500
2900
3400
2800
3300
2700
3200
中小企業〈10∼99人〉
2500
2400
2005
2003
2004
2001
2002
1999
2000
1997
1998
1995
1996
2005
2003
2004
2001
41
2002
1999
出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より作成
注.回帰分析でポイント賃金を推計した。
2000
1997
1998
1995
1996
2005
2003
2004
2001
2002
1999
2000
1997
1998
1995
1996
2300
▲308
Q3:企業レベルでの労働分配率については、どう考えればいいのですか?
経営側が、総額人件費管理の徹底による「労働分配率の引き下げ」という場合、企業レベルでの労働分配
率を問題にしているといえます。企業レベルの動きを総計したものが、前項でみた労働分配率であり、平均
的にみれば企業レベルでも低下傾向にあるといえます。
問題は、企業ごとにバラつきがあることです(特に規模間の分配率の水準には大きな開きがあります)
。低
いところにあわせようとすれば、際限なく分配率を引き下げなければなりません。
企業レベルにおいて労使は、パイ(付加価値の総額)の奪い合いより、将来に向かってパイを拡大してい
く道を選ぶべきです。まず、労働者が付加価値を生み出す源泉であることを労使の共通認識としなければな
りません。賃金を下げれば目先の労働分配率を引き下げることはできますが、労働者のモラールは低下し、
将来への活力は生み出せず、人材は流出してしまいます。これからの企業経営を考えるならば、高い賃金で
高い生産性という方向性をめざすべきです。がんばった成果をきちんと労働者に還元し、より高い生産性を
実現・継続するため、人材に投資をすることが重要だということです。
中小企業においては、付加価値総額の低下とそれを上回る人件費引き下げが行われ、結果的に労働分配率
が低下しています。規模間格差の一層の拡大と同時に人材力が損なわれつつあることが懸念されます。デフ
レ経済からの脱却と取引関係の改善など、全体的な経営環境の改善が喫緊の課題となっています。
2.経営チェックと雇用の維持・安定等の取り組み
雇用の維持・安定のための大きな柱は、
①労働組合として経営状況をきちんと把握しておくこと
②雇用などに関わる重要課題について事前に協議できる体制を整備しておくこと
③労働協約の整備と、必要に応じて「雇用維持協定」などを締結しておくこと
④雇用合理化提案に対しては、雇用維持のため大衆討議と労使協議を尽くすこと
です。①∼③は日常的な取り組みとして行っておくべきものです。
Q4:なぜ、経営状況を把握する必要があるのですか?
自分の働いている企業が儲かっているのか、将来はどうなるのか、自分たちの働きが企業にとってどのよ
うな結果を生みだしているのか、
把握していなければ、
労使交渉では経営側の言いなりになってしまいます。
経営側の主張を鵜呑みにしないで、組合みずからが経営状況を分析し、判断する必要があるのです。交渉の
場で経営側が「赤字だから雇用も賃上げも厳しい」と主張したら、赤字の原因は何か、赤字をなくすために
はどうすべきかなど、企業経営の課題に一歩踏み込むことで、交渉への足がかりもできます。要求前に経営
状況を把握・分析しておくことは、労使の信頼関係を築くとともに、交渉力強化のために欠かせないことで
す。
そのことは、雇用の安定にも不可欠です。合理化問題(雇用調整)は、ある日突然提案されますが、その
前にさまざまな危険信号が発信されています。経営情報を定期的に点検していれば、売り上げが減って借金
が増えてきているとか、運転資金に余裕がなくなってきているとか、危険信号をより早く適確にキャッチす
ることができます。労働組合として、経営のチェック機能は重要な活動なのです。
42
Q5:労働組合として経営状況の把握をどのように行えばよいのですか?
生産や販売の動向、職場の雰囲気、うわさなども、経営に関する貴重な情報源です。経営危機に至る危険
信号を見逃さないようにしましょう。
<経営危機の前にみられる危険信号>
・在庫が急増していないか
・設備投資をしたにもかかわらず十分に稼働していないということはないか
・従業員から信頼されていた役員や経理担当者の交代がなかったか
・役員・管理職のなかで意見の違いや相互不信が目立つようになっていないか
・仕入れ先、取引先が頻繁に変わっていないか
・主要な取引金融機関が変わっていないか
・社長と経理担当者が夜遅くまで何かしている様子はないか
・経営危機のうわさを聞くことはないか
・賃金の遅配はないか
できるだけ決算に関する経営資料を入手し、分析しましょう。株主総会に提出される「事業報告書」など
を労働組合にも必ず開示するようにルール化しておきましょう。労働組合として、開示された財務諸表から
問題点を発見する能力も必要になります。わからない場合は、産別や地方連合会などに相談しましょう。
※次ページに財務諸表といくつか分析の視点を掲載していますので、参考にしてください。
不良債権処理の加速による経営への影響にも注意しておきましょう。取引金融機関がどのように企業の格
付けをしているのか、融資の条件としてリストラを迫るなどの動きがないかなど、金融機関の動きについて
も気をつけましょう。
<銀行の自己査定にもとづく企業の分類>
分 類
目
安
不良
償却・
債権
貸倒引当措置
正常先
黒字企業で借入元本、利息共に返済期日が守られている企業
貸倒実績率数%
要注意先
赤字企業や財務内容に問題がある企業
〃
破綻懸念先
実質的に債務超過の企業で再編が遅れているために回収に不安がある企業
○
必要額70%程度
実質破綻先
つぶれていないが、実際は大幅な債務超過状態にあり、再建見込みがない企業
○
〃
原則100%
破綻先
破産や法的整理を申請した企業
○
〃
原則100%
15%程度
参考:財務諸表を点検してみよう
財務諸表といわれるものには、主に貸借対照表、損益計算書、利益処分(損失処理)計算書があります。
会社によって科目などに違いはありますが、基本的な構造は、一緒です。ここでは、製造業のA組合の財務
諸表を例にチェックすべき項目とそれを組み合わせての簡単な分析を紹介します(チェック1∼6の①∼⑦
は、A企業の財務諸表の科目に対応しています)
。
なお、ここでは1年分の分析しかしていませんが、できるだけ5∼10 年分ぐらい時系列でチェックするよ
うにしましょう。
43
チェック1:売上高が大幅に悪化していないか
売上高=①
売上高が大幅に減少している場合、その原因をチェック
チェック2:赤字決算となっていないか
経常利益=②
2期以上連続で赤字決算の場合、要注意
チェック3:累積損失がないか
次期繰越損失=⑧
累積損失がある場合、要注意
チェック4:債務超過の危険性はないか
自己資本/経常赤字=⑥/②が、目安として5年以下の場合、要注意
例)785,200/295,468=2.7年
このままの赤字が続けば、2.7年で債務超過になることを意味します
チェック5:資金繰りで行き詰まる危険性はないか
流動資産/流動負債=③/④が、100%以上であることが望ましい。目安として80%以下
の場合、要注意
例)1,439,765/2,331,174=62%
返済の迫った借入金に対して、手元の預金などが過小になっていることを意味します
チェック6:過剰債務に陥っていないか
有利子負債/売上高=⑦/①は、業種により違いが大きい指標ですが、目安として、1(年)
以上であったり、対前年比で1ヵ月分以上悪化している場合、要注意
例)1,756,824/5,797,499=0.3年分
借入金が売上高の何年分かを意味します
チェック5での「要注意」と重なると過剰債務の危険性大
※その他:損益分岐点比率(売上が何%下がると赤字になるかを示す指標で、減収への抵 抗力がわか
ります)や一人当たり付加価値額(労働生産性を示す指標です)なども重要 ですが、算出方法が複
雑なので省略します。経営分析の入門書等を参考にしてください。
用語解説
【貸借対照表(バランスシート、B/S)
】
会社がお金をどこから集めて、何に使っているかを示すものです。たとえば会社は、株式の発行や銀行
からの借入金によって集めたお金を使って、工場を建て、原材料を仕入れ、生産活動を行っています。
その資産・負債・資本の状態を表します。
【損益計算書(プロフィット&ロス ステートメント、P/L)
】
仕入れた原材料と労働力を使って、工場で1年間(または半年間)の生産活動を行った結果、どれだけ
の利益(または損失)が出たかを示すものです。売上高から原材料費、人件費、支払利息 税金などを
差し引いて残ったものがその期間の最終的な利益となります。
【利益処分(損失処理)計算書】
利益処分(損失処理)計算書とは、損益計算書で最終的に残った利益を誰に分配しているのかを示して
います。
「株主配当として株主に還元」
、
「次期繰越利益などとして内部留保」
、
「役員報酬として役員に
配分」の3つに分類できます。
付加価値とは?(中小企業庁方式)
売上高−外部購入価値=付加価値
売上高
外部購入価値
(材料費、購入部品費、運送費、外注加工費)
44
付加価値
貸借対照表
科 目
(資 産 の 部 )
③← 流動資産
当 座 資 産
現 金 及 び 預 金
受 取 手 形
売 掛 金
未 収 入 金 前 払 費 用
そ の 他 流 動 資 産
貸 倒 引 当 金
棚 卸 資 産
製 品
半 製 品
原 材 料
貯 蔵 品
固定資産
有 形 固 定 資 産
建 物
構 築 物
機 械 及 び 装 置
車 両 運 搬 具
工 具 器 具 備 品
土 地
無 形 固 定 資 産
施 設 利 用 権
電 話 加 入 権
投 資 等
投 資 有 価 証 券
出 資 金
長 期 前 払 費 用
そ の 他 の 投 資
資産合計
損益計算書
金 額
1 ,4 3 9 ,7 6 5
8 8 8 ,3 5 7
2 7 1 ,6 8 3
1 3 1 ,6 0 9
4 7 4 ,7 3 3
6 ,0 7 8
9 ,9 0 4
4 ,3 0 3
△ 9 ,9 5 4
5 5 1 ,4 0 9
2 7 2 ,3 9 1
4 1 ,9 6 6
1 8 6 ,5 3 3
5 0 ,5 1 8
1 ,9 3 9 ,7 3 4
1 ,8 3 1 ,8 5 1
3 5 0 ,1 7 7
1 4 9 ,2 2 2
1 ,1 1 6 ,8 3 2
932
1 1 ,1 8 5
2 0 3 ,5 0 2
2 9 ,9 3 3
2 3 ,2 4 4
689
8 3 ,9 4 9
1 8 ,3 4 0
9 ,7 7 7
1 0 ,6 1 6
4 5 ,2 1 6
3 ,3 7 9 ,4 9 9
科 目
(負 債 の 部 )
流動負債
支 払 手 形
売 掛 金
短 期 借 入 金
未 払 金
未 払 法 人 税
未 払 事 業 税
未 払 消 費 税
未 払 費 用
預 り金
賞 与 引 当 金
建 設 関 係 支
固定負債
長 期 借 入 金
退 職 給 与 引
負債合計
(千 円 )
金 額
等
等
等
払手形
当金
(資 本 の 部 )
資 本 金
資 本 金
法 定 準 備 金
資 本 準 備 金
利 益 準 備 金
欠 損 金
特 別 償 却 準 備 金
当 期 未 処 理 損 失
(う ち 当 期 損 失 )
資本合計
負債および資本合計
2 ,3 3 1 ,1 7 4
1 ,1 3 8 ,2 1 3
2 3 8 ,6 9 0
7 5 6 ,6 6 7
1 3 ,5 5 4
3 ,2 4 4
1 2 ,3 3 0
1 1 ,6 4 9
8 4 ,9 5 7
3 ,8 5 9
5 8 ,4 8 4
9 ,5 1 6
2 6 3 ,1 2 5
5 3 ,3 3 3
2 0 9 ,7 9 2
2 ,5 9 4 ,2 9 9
→④
→⑦
→⑦
→⑤
1 ,1 6 6 ,6 6 7
1 ,1 6 6 ,6 6 7
6 1 7 ,7 6 4
5 0 5 ,7 6 4
1 1 2 ,0 0 0
9 9 9 ,2 3 1
2 1 ,7 3 3
1 ,0 2 0 ,9 5 4
3 1 2 ,2 9 5
7 8 5 ,2 0 0 → ⑥
3 ,3 7 9 ,4 9 9
貸借対照表及び損益計算書の注記事項
科 目
営
業
収益
営
業 売 上 高
損 営業費用
益 売 上 原 価
経 の 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費
常 部 営業損失
損
益 営 営業外収益
の 業 受 取 利 息 お よび 配 当 金
部 外 そ の 他 の 営 業 外 収 益
損
益 営業外費用
の 支 払 利 息 及 び 割 引 料
部 そ の 他 の 営 業 外 費 用
経 常 損 失
特 特 別 利 益
別 貸 倒 引 当 金 戻 入 額
損 特 別 損 失
益 固 定 資 産 処 分 損
の
投 資 有 価 証 券 売 却 損
部
役 員 退 職 慰 労 金
税引前当期損失
法人税及び住民税
当期損失
前期繰越損失
当期未処理損失
(千 円 )
金 額
5 ,7 9 7 ,4 9 9
5 ,7 9 7 ,4 9 9 → ①
6 ,0 6 3 ,2 1 7
5 ,2 6 0 ,8 7 8
8 0 2 ,3 3 9
2 6 5 ,7 1 8
9 ,9 3 9
1 ,4 0 4
8 ,5 3 4
3 9 ,6 8 8
3 9 ,6 6 7
21
2 9 5 ,4 8 8 → ②
2 ,4 5 1
2 ,4 5 1
1 6 ,0 3 4
2 ,6 2 2
150
1 3 ,2 6 1
3 0 9 ,0 5 1
3 ,2 4 4
3 1 2 ,2 9 5
8 0 6 ,6 6 9
1 ,0 2 0 ,9 5 4
損 失 処 理 (利 益 処 分 計 算 書 )
1.重 要 な 会 計 方 針
(略 )
2.貸 借 対 照 表 の 注 記
(千 円 )
(1 )有 形 固 定 資 産 の 減 価 償 却 累 計 額
4 ,9 0 6 ,4 2 0
(2 )担 保 の 供 し て い る 資 産
1 ,8 1 9 ,7 0 7
(3 )子 会 社 に 対 す る 短 期 金 銭 債 権
165
(4 )子 会 社 に 対 す る 短 期 金 銭 債 務
2 7 ,8 9 5
(5 )受 取 手 形 割 引 高
9 4 6 ,8 2 4 → ⑦
(6 )保 証 債 務
2 ,3 3 7
(7 )そ の 他 の 流 動 資 産 に 含 む 自 己 株 式
8
(8 )投 資 有 価 証 券 に 含 む 子 会 社 株 式
1 ,5 0 0
(9 )適 格 年 金 制 度 に 関 す る 事 項
(略 )
3.損 益 計 算 書 の 注 記
(1 )子 会 社 と の 取 引 高 外 注 加 工 費
1 0 4 ,9 0 2
そ の 他 の 営 業 費 用
2 ,6 0 6
(2 )固 定 資 産 処 分 損 は 、 構 築 物 、 機 械 及 び 装 置 の 処 分 損 で あ る 。
45
(千 円 )
当期未処分損失
1 ,0 2 0 ,9 6 4
特別償却準備金取崩額
1 0 ,8 5 7
計
1 ,0 1 0 ,0 9 7
これ を次 の 通 り処 理 します 。
次期繰越損失
1 ,0 1 0 ,0 9 7 → ⑧
3.労働委員会 労働審判制の活用について
Q6:地方労働委員会で労使の問題の解決ができると聞きましたがどんなところですか?
また、労働審判制について教えてください。
労使の間での交渉事項や紛争、不当労働行為などがあった場合、労働組合は手続きを経れば争議行為
等を行いながら交渉を進めることができますが、労働委員会に申立てをして解決をはかることもできます。
労働委員会には、中央労働委員会と地方労働委員会があり、複数の都道府県にまたがる労働組合の問題
は中央労働委員会(中労委)
、その他は地方労働委員会(地労委)が担当します(中労委には一般企業担当
委員会議と国営企業等担当委員会議等がある)
。
労働委員会は公益委員・使用者委員・労働者委員の三者で構成され、問題の解決にあたります。労働争
議の場合、実状調査・あっせん・調停・仲介などを行います。
労使紛争で当該の労働組合での自主的解決が困難な場合や使用者の対応が不誠実である場合など、弁護
士等の費用もかかりませんし、当事者同士の団体交渉(折衝等)が重ねられ、記録があれば各都道府県に
ある労働委員会に申立てができますので、気軽にその事務局に相談することです。
2006年4月からスタートした労働審判制度は、
「個別的労働紛争」を3回以内の期日で、迅速、適正、か
つ実効的に解決します。全国50カ所の地方裁判所本庁に導入され、労働者であれば誰でも利用できます。
)
(不当労働行為などの「集団的労使紛争」は、これまでどおり労働委員会があつかいます。
労働審判の手続きは、労働審判官(裁判官)1名と、労使審判員(労働関係に関する専門的な知識経験
を有する者。労使団体が推薦。
)2名の、計3名で構成される「労働審判委員会」において進められます。
労働審判委員会の3名は対等な立場で合議を行い、
「労働審判」を決します。調停による解決の見込みがあ
れば適宜、調停を試みることもできるので、柔軟な解決も可能です。
また、労働者が労働審判を申し立てたのに、使用者が出頭してこない場合は、5万円以下の罰金が科さ
れますし、使用者欠席のまま手続きは進行して、労働審判が出されることもあります。証人が出廷を拒否
すれば、その証人には5万円以下の過料が科されます。万が一、使用者が証拠を隠したとしても、労働審
判委員会は事実の調査や証拠調べをすることができます。さらに、労働審判に相手が従わなければ強制執
行が可能です。労働審判に異議があれば、異議申立と同時に、労働審判で使った証拠を裁判に引き継ぐな
ど、訴訟との連携も工夫されています。
このように、労働審判制度は、職場の実情をよく知る労使が審判員として参加する、紛争解決力のある
制度ですが、利用の際に注意するべきことは、労働委員会の労使委員と異なり、労働審判員は「中立かつ
公正」な立場にあるということです。労働審判員を指名して申し立てることはできません。労働側から出
ている審判員に対して、要請したり協力を求めることも不適切です。
<用語解説>
【調査】
事実を聞き取り申請者からの申立て内容と労使双方の概要を明確にします。
【あっせん】
労使一方からの申請で行います。労働委員会の指名したあっせん員のもと、労使双方の主張点を
確かめ、解決への道を探します。
【調停】
労使双方からの申請または一方からの申請(労働協約で調停の定めがある場合)で行います。公
労使委員からなる調停委員会が設置され、具体的な調停案がつくられ、それを受け入れるよう労使
に勧告します。
【仲裁】
労使双方からの申請または一方からの申請(労働協約で仲裁の定めがある場合)で行います。公
労使委員からなる仲裁委員会が設置され、具体的な仲裁裁定が示されます。仲裁裁定は書面で行わ
れ、労働協約と同一の効力があります(労使とも仲裁裁定の内容に従わなければなりません)
。
46
フード連合中小共闘センターMemo 2007Vol.1
【連絡・問合せ先】フード連合・中小共闘センター事務局 長島
FAX.03-3446-6779
E-mail [email protected]
TEL.03-3446-2082
まずは、みんなで3%の賃上げ要求と
残業割増率30%以上の要求を!!
人間らしい生活のための要求です!
会社の利益分配ではありません。
春闘は、自分たちの賃金と労働条件を改善することができるチャンスです。もし十分な水準でないと感じ
るなら、いま、このときに要求しなくてはいけません。自分の組合だけでの要求なら、会社の都合(利益や
将来不安などなど)に飲み込まれがちです。しかし、会社の経営者が優秀だろうがダメだろうが、私たちは
人間らしい生活のために賃金と労働条件を確保しなくてはいけません。
だから、
個々の会社の都合ではなく、
フード連合の加盟組合全体で、同じ要求を掲げ、ここまでは獲るという約束をしてガンバロウという「共闘
体制」でこの春闘に取り組むことにしたのです。
世間情勢は景気の回復傾向を反映して、昨年より高い賃上げを確保できそうです。JAM(機械金属関係の
中小労組を多く組織している産別)をはじめとした中小労組を多く持つ産別も、昨年を上まわる結果をかち
とるため高い要求を掲げています。
①みんなで一緒に賃金水準を上げる今年、自分だけ安く働くのはやめましょう。
賃金は、労働の対価であり、生計費を重視した生活の保障です。会社の業績の反映や、余剰利益の分配
ではありません。ですから、同じような仕事をしている人がその労働の対価を安くして安売り合戦になっ
てしまわないよう、みんなで一緒に水準を引き上げるようにしなくてはいけません。
わたしたちが働くほとんどの中小食品企業の賃金・労働条件の水準は、世間相場より低位にあります。
だからこそ、みんなで水準を比較し、高いところを引き下げられないように、そしてその水準に追
いつくように、みんなで一緒にまずは3%の賃上げ要求を掲げましょう!
②残業代を稼ぐのではありません。
残業は「特別な労働」ですから、どの国でも5割増し以上なのです!
残業割増率引き上げの要求は、
「残業代を値上げして稼ごう!」という要求ではありません。
世界中の約束で、もちろん日本でも、原則1日8時間を越えて労働をしてはいけないことになっていま
す。それを越えて働く「特別な労働」には、どこでも5割増し以上の賃金を払っています。日本は、法の
最低基準(25%増し)があまりに低く、安く残業させられるので、働らかせ過ぎが横行しています。この
状況を少しでも変えよう!!というのが、今回の要求です。
47
フード連合中小共闘センターMemo 2007Vol.2
「共闘」が賃上げの近道です!
みんなと同じ要求、同じ日程で
賃金は、労働の対価ですから、同じような仕事をしている人(同業他社・地域など)との比較が
特に大切です。自分の仕事は世間相場でいくらくらいなのか?(このことは、会社はちゃんと把握
しています。
)それに比べて自分の賃金はどうなのか?今後どうしていきたいのか?・・・・春闘とは
そうして自分たちの仕事の値段を見直す機会なのです。
そして、少しでもよい条件で仕事をしようと思ったら、同じような仕事をしている人と連帯する
ことが重要になります。がんばって高い水準の賃金のところがあったとして、もし、みんなが
その水準まで追いついてこないと、企業間のコスト競争の中では、いずれその賃金は下げられ
てしまいます。反対に、みんながその水準まで追いつくように要求し交渉し獲得していけば、
その仕事の値段の相場を維持し押し上げることができるようになります。
賃金は会社の利益の分配ではありません
会社は「企業ごとに」と言いますが、それは賃金を「会社の利益の分配」としたいからです。しかし、自
分の生活を考えると、会社が儲かろうが儲かるまいが、自分たちの労働の値段を下げるわけにはいかないの
です。企業の利益は、一時金などにプラス・アルファとして反映させるべきであり、業績によって仕事の値
段を簡単に上げ下げするわけにはいきません。
仕事の安売りはみんなに迷惑です
今年は多くの会社で賃上げをし、仕事の値段の相場が上がります。こんな年に、ぬけがけして自分の仕事
を安く売り、企業のコスト競争に貢献するのは、みんなの賃金相場の引き下げに力をかすことなります。こ
のことは仲間への裏切り行為となります。
十分な賃金ですか?みんなの力で上げましょう!
フード連合に集う仲間の賃金は、食品業界の仕事の値段(賃金)の相場に大きな影響を与えています。そ
して、わたしたちが働くほとんどの中小食品企業の賃金・労働条件の水準は、決して十分なものではありま
せん。仕事の値段を上げるためには、みんなで「共闘」し取り組まなくてはなりません。自分たちだけが
会社のいいなりになれば、みんなが抑えられてしまうのです。だから、少しでも上げるために、みんなで同
じ要求をし、同じ日程で、ぎりぎりまで交渉してほしいのです。
48
フード連合中小共闘センターMemo 2007Vol.3
【連絡・問合せ先】フード連合・中小共闘センター事務局 長島・植田
FAX.03-3446-6779
E-mail [email protected]
TEL.03-3446-2082
再雇用制度を再確認!
同じ職場ではたらく
仲間ですから
対象者は 組合員!になっていますか!
●今すぐ確認! 65 歳までの雇用延長制度。対象者を組合員としていますか?
「高齢者雇用安定法」改正により、昨年 4 月からすべての企業が 65 歳までの「継続雇用制度」の導入が
義務化されています。
しかしながら、制度導入にあたって「定年退職となるのだから・・・」
「あと少しの期間だから・・・」
などと考えて、組合員にしない事例が見受けられます。今までも組合員なのですから、その組合員の労働条
件を 60 歳以降もみんなで守るのは、労働組合として当然のことです。昨年制度を導入した組合は、対象者
が組合員となっているか確認し、
まだ組合員となっていない場合は、
至急組合員とする体制を整えましょう。
●「継続協議となっている・・・」
「今、丁度協議するところだ・・・」という労使は・・・
年金の支給開始年齢の引き上げ、支給水準の引き下げなど、退職後の生活への不安が高まっており、私た
ち労働組合は安心できる制度の導入をめざさなくてはなりません。再雇用制度を導入するにあたって、留意
するポイントは以下の通りです。制度導入は初めが肝心です。慎重に慎重を重ねた検討を行ないましょう。
退職後の賃金は、多くの企業が現役時
【再雇用制度を導入するにあたって留意すべきポイント】
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
代の8割以上で設定しています
本人の希望(働く意思)を最大限尊重すること
継続雇用(再雇用)決定については、会社・組合・本人との協議事項とし、必ず本人の承諾を得る
60 歳までに通常に業務遂行してきた実績がある者すべてを対象とする
能力について特別な評価基準は定めない(定める場合は全員が納得できる基準を)
健康上の事由の基準については、日常生活に支障がない限り特定した基準を定めない
会社が恣意的に特定の人を排除するような基準は定めない
労働条件等については、
(制度導入以後も)会社・組合とで協議決定し定める
継続して組合員とする
重要!
組合員にしなければ、労働条件の協議・交渉
わからないこと、不明なことはフード連合まで!
※制度の留意点・協定例などは、フード連合ホームページ(労働局のページ)で参照できます。
49
フード連合中小共闘センターMemo 2007Vol.4
なぜ時間外割増率の引き上げか?!
労働時間の規制が組合活動の基本です
ご存知のように、私たちの労働時間は、労働基準法で 1 日 8 時間、週 40 時間を越えては働いて
はいけないと定められています。これは、労働者が自らの人間らしい生活を守るために勝ち取って
きたグローバルスタンダードな規制です。そして、どうしてもやむを得ない場合に限り、労働組合
と協定(36 協定)を結んで特別に時間外労働をすることが認められています。だから、ふつうの
国では時間外労働をしないことが原則で、どうしてもしなくてはならない場合は、してはいけない
労働をするのだから特別な賃金を払うということになっており、およそどこの国でも 5 割から 10
割の割り増しの賃金が定められています。
しかし、日本では近年その原則が忘れ去られてしまい、
長時間の時間外労働が横行しています。最悪では、時間外
労働が常態化し、その時間外賃金を入れてようやく人並みの
賃金になるということさえあります。
その時間外の長時間労働を助長しているのが、低い時間外
賃金の割増率です。ベースに一時金も含まない月例賃金の
125%というのは、代わりに人を雇うことに比べてはもちろん、
場合によっては、私たちの時間当たり労働単価(一時金や諸手当などを入れて割り返したもの)を割り込む
ような数字です。つまり会社にとっては、時間外労働をさせたほうが得になるのですから、厳しいコスト競
争の中で長時間労働が増えるのは当たり前かもしれません。
こうした異常な事態をただすには、時間外労働を特別なものと認識し、他の先進国並みに規制効
果があがる高い割増賃金を適用することが必要です。だから、みんなで時間外割増率を上げるため
の運動をしていく必要があるのです。割増率を引き上げることで、会社は、時間外を減らす努力を
本格的にせざるをえなくなるのです。
今回のフード連合の要求は、こうした労働時間規制の運動の流れの中で取り組まれているもので
す。
「フード連合の加盟組合で時間外賃金が 130%を下まわる組合が無いようにすること」を最低の
条件として、各組合は時間外割増賃金 150%を目指し、たとえいっぺんにはできなくとも、
「少しで
も引き上げること」に取り組みましょう。
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