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不完全情報と食品小売市場の経済理論 - MIUSE

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不完全情報と食品小売市場の経済理論 - MIUSE
Departmental Bulletin Paper / 紀要論文
不完全情報と食品小売市場の経済理論
Economic Theory of Imperfect Information and the Food
Retail Market
木南, 章
Kiminami, Akira
三重大学生物資源学部紀要 = The bulletin of the Faculty of
Bioresources, Mie University. 1993, 9, p. 13-24.
http://hdl.handle.net/10076/2609
三蕊大盤物資源紀賽
第9号:13∼24
平成5年1月29E▲
不完全情報と食品小売市場の経渚理論
木 南
車
三盛大学生物資源学部
EconomicTheoryofImperfect‡nfbrmationand
theFoodRetailMarket
AkraK王MiNAMI
FacultyofBioresources,MieUniversity
Abstraeも
Wehavestudiedthee馳ctofimperfectinfomlationregardingthefoodretailmarket.
First・WeeXplainconsumerbehaviorundertheimperfectofpdceandqualityinfomationusingin−
di鮎rencecurve.
Second・WeCOnSideredthestrategyofthesel】erandthebuyerandprocessofcreationofsequen−
Cialtransactions,uSlnggametheory.
Third,WeCOnSideredthetypeandtheselectionmechanismoftransactionmode.
Majorfindingsarefollows.
1・Consumer,ssearchingbehaviorbdl−gkinkeddemandcurve,withpricedcviationsandprice
d感dity.
2.Thereishiかpossibi駄yofpreferrenceofsequencia=ransactionofぬod.
3・Transactionmodeinthefoodretailmarketiscategorizedbyva】ueandcostofsearching.
4・Mechanismofselectionoftransactionmodeisexplainedbytransactioncosteconomicsandim・
Perfecti最omationtheory.
Keywords‥Imperfbctinfomation・Transactioncost・Pricedeviationandrigidity・Foodretail
market
してきたノト究市場をめぐる兜手・買手の行動を経済学的
l.序
従来の食品小売苗場の研究においては,山般の/ト発市
場研究と同様に,市場構造および解賓の分析せ呼止、とす
る経済学的研究と梵手・買手の行動分析を中心とする
に解釈し,さらにほ従来の経済学的研究についても不完
全情報の役割を蕊祝して,食品′ト究市場をめぐる経済埋
翰の構築を試みるものである。
ところで食品小党市場においては,しばしば価格の分
マーケテイング諭的研究の2つの大きな流れに沿ってい
散,価格の硬魔性,RepeaトBuying,Brand−Loyalty,
たと習ってもよいであろう。しかし両者は排他的なもの
Store・Loyaltyといった売手の価格設定や買手の購腰行
でほなく,むしろ補完的なものと考えるペきである。
動に関する特徴的な現象がみられるや1)。また食品小党
本稿ほ,従来マーケテイング給が中心となって間儲と
平成4年7月29冒 受理
市場は,習うまでもなく完全御湯ではなく,そこで兇ら
木 南
14
れる根引,価格設定は明らかに教科替的な「市場」とほ
著しく異なるものである。
総購買コスト=膚餅価格+買物コスト
買物コスト=交通型+買物時瀾×家事労働価格
でほ,食品小党市壌はどのような市場であろうか。そ
こでみられる取引は,経済学における範疇から宵えば,
したがって,1回当り購入金串が小さい場合には消費
少なくとも焼死市場(AuctionMarket)による市場取引
者は買物コスト志向が強くなり,逆にそれが大きい場合
でもないし,朝対取引でもない。また価格についてほ先
には店頭価格志向が強くなることになる。また,家駆労
手が予め設定を行っている。そこで伝統的には,市場構
働相樽が上昇すれば買物コスト志向が独くなる。さらに
造については不完全魂争市場として,価格紋走について
店舗選択との関係で奮えば,…敗小売店は買物コスト志
ほ独占的または寡‡雪的な価格股窟などが想志されること
向に対応し,スーパーは価格志滴に対応する。ここでの
が多かったのであが三2)
店頭価格志向が強いということは探索慄胸が強いことで
しかしながら,われわれは従来のミクロ経済学や産業
もある。買物コストの負担によって橋沢価格が低下する
組織論が食品小売市場をめぐる現象を十分に説明しきれ
程度も闘題である。つまり,価格分散/購入金額が大き
ているとは甫い嫌いと考えが1三3)。そ・してわれわれは,
いものは店頭価格志向であろう。
それらを哩解する一つの鈷は「不完全惰報」にあると考
える。そこで,以下ではまず食品小党市場における不完
全惰槻について考察していくことにする。
2)不完全惰灘と無差別l∃il線・需要曲線
では以上のことを基礎として,鯉差別曲線・帝薯曲線
を拡張してみよう。
ここでは,枚数の店舗で同レベルの商品を探索する場
合を考える。一項般に,商品探索にほ費用がかかり,市場
2.不完全帰朝
での敢低朝格の所在に関する情報が限られている。その
食品/ト発†即効において,通常消饗磯は購買しようとす
ような場合,消饗者は商品深紫の追加的壁用がその便益
る商品に関して不完全な情報の下にあると考えられる。
その不完全憾とほ,商品の価格の品質の2つの情報に‡消
を上回るような水準まで瀦晶探索を行うであろう。
ステイダラー15)のこの分野における先駆的な研究の
する不完全性である。すなわち消製者ほ,第1に全ての
主婁な結給は次の2つであった。第1は,買手の深紫活
売手の仮死価格を完全に知っている駅ではなく,また節
動が有限回であるため市場における価格のばちつきが消
2に商品の晶磐を完全に知っている駅でほないのである。
滅しない。節2は,商品に対する総支出顆が大きいほど
そして売手と買手の閥に・i㈲観の非対称性も存載する。そ
探索による節約額が大きくなり,その結果探索回数も増
こで,通常消費者は不完全な惰報を自らの「探索」と
加する。
「経験」などを通じて観め合わせようとしながら消費を
行っているのである。
つまり消費者とは,「予弊制約の軋 その期待される
限界便益と限界費用が等しくなるまで深紫と経験などに
ここで簡単な2財モデルを考える。第1財を探索財と
し,節2財を探索を婁しない財とする。財の価格をそれ
ぞれPl,P乙予算をⅠ,効用をUとする。
消費者は榛東(S)によって節l財のより安い店名蔓1ほ
よって商品を選択し,期待される効用を敢大化するよう
発見することができるであろう。そのようなPlの低下
に行動する主体である」と理解すべきであろう。
に伴って予算級が移動し,均衡点も移動し,効用が相加
して行く過程が図1に描かれている。
(1)価格に関する不完全情報
そして,追加的1単位の探索に要する費用の増加分
1)買物コストと商品探索
(MC)とそれによってもたらされる効用の増加分(MU)
食品小発市場におけるほとんどの取引は,正札と商店
の関係が図2に描かれている。MU=MCとなる点が,
を見て回って行う商品探索の過程を通じて行われている。
敢適な探索となる。すなわち,買手は商品深紫の追加的
井原4)によれば,この場合消饗啓が購買に繋するコスト
費用がその便益を上回るような水準まで商品探索を行う
は店頒価格+買物コストであが三4)。
のである。
したがって消費者の効用Uは,
不完全憫瀾と食品小売市場の経済理蘭
ほ需要の弾力性は低下し,価格の上界に対しては常葉の
弾力性ほ増大するものと考えられる。すなわち,常連の
顧客を代衆とする経験に基づく商品揉索を行う消費者の
非対称的な鰐婁の価格弾力性から,価格の非感応性の理
由が加えられるのである。
商品探索に墾用を資し,市場での敢低価格の所尉こつ
いての情報が限られているならば,消費者は撒低朝格を
提示する売手の発見に栗する費用の全てを負担しようと
はしない。そ・してこの顧客・供給者関係は,多核な惰邪
教用と取引使用とを節約する効率的な協克となりうるの
である。
(2)品質に関する不完全惰軸
1)経験財としての食品
ここでは,まず食品の財としての性質から考えてみる
ことにする。
探紫によるシフト
図l価格機械の不完全性と探索行動
財の分類方法にほ幾つかのものがあるが,財はその性
質の把握可儲性の面から,探索財,経験財,侶月寸財の3
橡幾に分類することができる。探索財は,その性質を探
索によって把握することができるものである。それに対
追加的ユ単位の
探索による繁用増加分 して経験財は,その性質が瀦儀では把擾できず,経験に
よって把擾できるものである。さらに檜用材は,経験に
よっても財の性質(例えば安全性)が把掻できないもの
追加的1単位の
緩劉こよる効用増加分
である。
このうち食品は繚駿財に位澄づけられ,したがって消
饗者は晶質に関して不完全情報の下にあると貰うことが
できる。もちろん線度の差こそあれ,多くの妙について
完全憫報が成立している訳ではないが,食品はその典型
であろう。
また,品質惰報を上述の価格憫蘭と対比すると,価格
敏速探察蕊
探索凝
固2 探索の便益と費用
憫報がその収集については購入前の探索を基本とし,発
手の広告も利用可能であるのに対し,品質惰朝について
は,夢前の確認が極めて困難なものである。
U=U(Pl(S),P2,Ⅰ)となる。
ところで,以上の商品探濱はいわば「ランダムな商品
探索」であった。しかし窓際に札 消弾着は「経験に基
づく商品探索」をも行うであろう。この場合,消費者は
2)撫差別曲線の拡張
さて次に,晶質に関する不完全惰報が存在する場合に
ついて考えてみよう。
品質についても価格の場合と何棟に,商品探察にほ饗
取引相手の提示する価格が上界した場合には,より安い
用がかかり,市場での敢高品質の商品に‡喝する情報が限
価格を撞廊する発手を探索する傾向が強まるが,価格が
られている。さちに,消饗者は商品探索によってはその
下落する場合に従来通りの取引相手との取引を継続する
情報を独得することが閤経である。しかし全く品質に関
傾向が強いであろう。したがって,価格の下落に関して
する情報を持たない状況も想像し嫌い。過去の経験.広
15
木 簡
16
告,常織,パッケージ等に依存して何等からの情報を得
このような場合,消費者の効用を務める方法には3種
てはいるであろう。そして消饗者ほ,同じ商品について
類のものが存在することがわかる。解1ほ,商品をより
それらが阿価格ならば,購買にあたって予想する晶禦が
安価に班給することである。節2は,消資者が餃適な消
敢魔のものを探索するであろう。
饗の組合せを行うことである。節3ほ,より効用を嵩め
このような経験財を購入する際の消饗者の購眉行動は,
る商品を生産者が開発し,供給することである。無差別
ミクロ経済学で用いられる通常の効用および無差別曲線
曲線の淡絡で宵えば,節1のものは予算線のシフト,第
の概念を拡張することによって説明することができるで
2のものは主観的無差別曲線の炎の無差別曲線への接近,
あろう。
第3のものは新たな主観的無差別曲線の登場にそれぞれ
まず,消費者は霧際には「主観的効用関数」と「炎の
対応するであろう。企栄行動との閑適で貰えばト広告活
効矧関数」の2稼燦の効用関数を有しているものと考え
動は解2のものに関連し,製品差別化は第3のものに関
る。前者は,消饗者が過去の経験や広告・評判などの情
連していると脅えるであろう。
報から予想して形成している効用関数であり,後者は通
常の効用関数に相当するものである。そして消費者は,
価格に関する不完全醗報の場合と同種に,探索および
経験によってより高い晶栗の商品を発見することができ
それぞれに対応して「主観的鰊差別曲線」と「炎の無差
るであろう。そして消費者は購買額儲によって,自らの
別曲線」との2種類の鯉差別側線を有していると考えら
主観的無差別曲線をシフトさせ,奥の無差別曲級へと近
れる(図3参照)。
付けていくであろう。
しかし,2つの無差別曲線が必ずしも完全に血致する
とは限らない。それは消饗者の探索櫻岡に依存している。
探索の費用と便益を考激して探索が決定されているとい
うことである。
そこで,複数の店舗で同レベルの商品を探索する場合
を考える。やはり,商品雄健には梁用がかかり,市場で
の政商品質の所在に関する惰報が限られているものとす
る。そのような場合,消費者は商品探索の追加的費用が
その便益を上瀾るような水準まで商品深紫を行うであろ
う(さきの図2と同様)。
(3)売手と買手のゲーム理論法5)
以上では,価格と品質の不完全性と深紫行動の無差別
財1
図3 主観的醸造別曲凍と奥の練差別曲線
曲線への影堺という形で考察した。しかしそこでは,発
手の行動ほ考慮されてはいなかった。英附こは,買手も
売手も複数の行動パターンから選択しているのである。
よって,消費者は商品の俳人にあたっでほ主観的効用
このような売手と買手の取引閲係はゲーム華Ii論によって
を散大化するように購入する財を選択すると考えるので
描写することができよう。よってここでは,ゲーム理論
ある。もちろん,消楽者が全ての財の購入を経験してお
を援用して死手と買手の取引について考察する。
り,その他の隕柳こ変化がなければ,消螢者の全ての
まず,価格設定をめぐる売手と買手の戦略と利得を考
「主観的無差別曲線」ほ「其の鯉差別曲線」とは一致し
えてみる 犠1参照)。ただし品質は均…でかつ完全惰
ているであろう。しかし山般には,消費者が全ての財の
経であるとする。ここに今,ある食品を価格PMで販
購入を経験するのは不可能であり,全ての「主観的無差
売する売手とそれを購入しようとする買手が1人ずつい
別曲線」と「輿の錬差別曲線」とが一致している訳では
るものとする。
ないであろう。
発手の搬略は川㍗級略(価格をPHに引き上げ),MP
不完全情報と食品小売市場の経済既約
寮1価格紋窟と探索行動(発手と買手の戦略と利
得)
を品質に応じてC札CM,CLとし,男手が消饗によっ
て得られる利得を品質に応じてU王i,UM,UL,探索費用
榛東する
S
高価格HP
PH−C,U−PH
O,U−PM−CS
中価格MP PM・C,U・PM kPM・C,U−PM−CS
低価格LP
17
PL・C,U−PL
PしC,U・PしCS
をCSとする。
たたし,買手が深紫を行い,当該売手の品質がQM
の場合,買手が必ずしもこの発辛から購入するかどうか
はわからないため,その場合に買手が当該兜辛から購入
する確率をkとしている。
上記の2つのゲームの解は,取引の回数や消費者の探
戦略(価格をPMに据緻き),LP戦略(職格をPLに
索性向によって影響を受けることになるが,間者ほ類似
引下げ)の3つで,買手の戦略はN粗略(探索せずに当
した結果をもたらすであろう。なお以下の「商価格」を
絃発辛から購入)とS戦略(探索を行い教も安く発る
「低品質」,「低価格」を「商品贋」と読み替えれば,価
発手から購入)の2つであるとする。
格籠嚢ゲームを品質設定ゲームに舷換することができる。
ここでは状況を簡略化し,当該売手以外の発手は常に
まず取引が1漸限りである状況である。この状況では,
売手と買手の取引ほ非協力ゲームとなりがちである。
価格PMで販売しているものとする。
発手の販売費用をC,買手が消費によって得られる利
探索資用が商い場合,究手ほ高価格(低品質)の商品
を販売することになる。また,探索財であっても低価格
得をU,探察費用をCSとする。
ただし,買手が探索を行い.当該党争の価格がPM
の場合,買手が必ずしもこの売手から購入するかどうか
(高品質)と高価格(低品質)の評佃の差が比較的小さ
い場合,採寮費用が比絞的商い場合,他の売手への移動
はわからないため,その場合に環手が当該死辛から購入
コストが比較的商い場合には,買手の探索性向は低くく
する確率をkとしている。
なり,売手ほ高価格(低品質)の商品を販発する。
次に同様に,品質設延をめぐる売手と買手の戦略と利
とくに品質憫報に関しては,発手と買手との問で獲得
得を考えてみる(衆2参照)。ただし価格ほ均一でかつ
情報に差がある非対称情報下にあることが多いため,党
完全憫祁であるとする。ここに今,ある食品を晶肇QM
争が低品質の商品を販売する傾向が強まる購〉。
で販発する売手とそれを購入しようとする買手が1人ず
次に取引が反復約な無限桓ほなる状況である。取引が
反授的な鰊版図である場合は,売手と買手の取引は協力
ついるものとする。
ゲームとなりうるのである。つまり売手の将来利得の割
表2 品質設蒐と深紫行動(売手と買手の戦略と利
継続的取引関係ほゲームの均衡解となり,売手は低価格
得)
探索する
S
高品質HQ
P−CH,UH−P P−CH,UH−P・CS
中品質MQ P・CM,UM−P kP・CM,UM−P・CS
低品質LQ
引率が小さく,将来の利得を十分に盛んじているならば,
P・CL,UしP
O,UM−P−CS
(商品磐)の商品を販発し,買手は探索せずに同じ究辛
から借入することになるのである。
したがって継続的取引は,価格情報・品質機微に関す
る売手と買手間の悩墾量の非対称性から派生する問題への
有効な取引上の工夫であるとみることができる。そして,
いわゆるBrand−LoyaltyやStore−Loyaltyも継続的取引と
売手の主観略はHQ戦略(品質をQHに引き上げ),
MQ戦略(品質をQMに据攫き),LQ戦略(品質を
QLに引下げ)の3つで,買手の戦略ほN戦略(探索
同様の役割を果たしているものと考えられる肘)。
通常,食品の購買行動はかなりの反期間にわたる反複
的な取引であり,かつ消資者にとってその財の性質に関
せずに当該売手から購入)とS戦略(探索を行い教も
する情報は不完全である。したがって,消費者が食品の
商品繋なものを発る売手かち!駆人)の2つであるとする。
購買において,特淀の商品もしくは特産の店舗に固執す
ここでは状況を簡略化し,当該売手以外の売手は′附こ
品質QMで販売しているものとする。売手の販売費翔
る哩由が脱明されるのである。
ところで,自らの深紫や繚俄以外によっても消費者は
水 滴
18
情報を獲得する。それには2つの代嚢的なものがある。
その節1は広告である。これに関しては,消費者は死
とができる取引コストが大きいならば,継続的取引が選
択される傾向が強まるのである。もちろん継続的取引に
手の販売行動である広喜活動澄観察を通じて発手を選別
よって節約できないコストもある。代称的取引相手,代
することが出来るという主張がある。この主眼の根拠は,
替的商品に関する惰椰の独得に貸するコストがこれにあ
霧品質の商品の方が低晶鍔の商品よりも繰り返し購入さ
たる。
れる可能性が商いという点にある。すなわち,商品磐の
発手の方が低晶密の売手よりも多くの繰り返し購入する
すなわち,「商品の炎の性質を知るというプラス耐と,
特定の商品に固執してしまい売手に支配されるというマ
顧客を持つため,広告活鋸ま高品質の発手にとってより
イナス面がある」という簾給ほ,市域取引対l柑絡取引の
生産的であり,広告活動を行う誘因が強いと考えられる。
放論と同様に上記の取引コストに対応する開場であろう。
したがって,広告強度は発手の属性を示すシグナルとな
山方死手にとっても,価格の引下げで常要職が見込め
りうる。また,広告費用はサンクコストであるため,広
ない状況では,発辛が製品差別化して買手を顧客としよ
告費用の支出が自己の当該夢魔活劇へのコミットメント
うとする確聞が発生する。完全魂争的な市場とほ輿なっ
の程度と売手の信頼性を示すシグナルとして機能すると
て,究手は薄利多発よりも商付加相磯化によって利潤を
みられるのである。ただしこれに関してはAkerlof2)が
符ようとすることになるのである。また,取引が速簸約
指摘するように,買手が広暫をシグナルとして行動する
な買手ほ楽手にとって魅力ある顧客であり,とくに常葉
と売手が経線している場合には,過剰な広告活動へと尊
が不足ないし不安嚢な状況では継続的取引を選好する現
かれる危険性も否定はできない。
出が強まるであろうほ銅。
第2ほ評判である。同様に,消費者は評神こよって情
報を入手する場合がある。
発手買手双方がj畳J限を知っている有効期間の反復的取
引の場合では,継絞約取引は成立しない。したがって,
反復的取引だけでは品質憫報の不完全性の問題は解決さ
このような継続的取引の分析の光一騒者はオークン10〉
である。そして被は,継続的な取引が支配的な市場を新
発市域に対して「轟賢i各市場(CustomerMarket)」と呼び,
その適用可能額域が広いことを主張している。
ただし取引の経統牲については,ここまでに淡鎗した
れないのである。しかしながら,消教者の行動に対して
憫報の不完全性以外の紫固からも生じ得る。それは習慣
売手に関する評判の効果が大きいと発手が認絶するなら
形成効果である。習慣形成効果とは,「消粟者が過去に
ば,有限期間の反復的取引であっても売手は自己の評判
ある財を攫験し,その級数によってその財の限界効瀾職
を霧めようと尊心することになる。したがって,より継
級が上方にシフトする現象である」と解釈することがで
続的取引が成立し易くなることになるのである。
きる。そしてそれに関連する炎の舞差別曲線,および主
観的鯉差別曲線もシフトする現象である。ちなみに過去
の実証研究によれば,食品においてはこの習慣形成潮閤
3.食品小売市場における取引様式
がかなり大きいことが知られている津10)。
(1)取引コストと継続的取引購)
−−一般に,取引を行うにあたっては取引に伴うコスト,
すなわち取引コストを貸する。取引相手を接すためのコ
(2〉 取引様式の洩型
取引コスト経済学では,取引形態を次のように分類し
スト仁取引相手と取引粂件を交渉・確嘉するコスト,取
ている。ウイリアムソン7)によれば,取引ほ不純実軋
引粂件・内容を評価するコスト,取引相手の評価(取引
取引の頻度,取引に関わる投資の特殊性の3つの次元か
の履行可能性の検討等)をするためのコストである。そ
ら特徴づけられるという。このうち投資の特殊性には,
して,これらの取引コストの大きさは取引の形態によっ
場所,物的安臥 人的資産などがある。そして,取引株
て異なるのである。
式を取引の頻度と投資の特性から取引の統御機構を衆3
以上までに検討したように,非雛統的取引において被
る取引コストのうち,継続的㈲紺こよって節約できるも
のがある。したがって.継撮的取引によって節約するこ
のように類型化している。そして各頬型は賽際の取引と
衆4のように相応している。
まず,市場統御は魂争的市場による資源配分的な取引
不完全醗儲と食品小売市場の経済難論
外部からの燐人が選ばれうる。投資特性が中程度の特異
襲3 取引形態の類型
性を有するため,市場が開放的ではなく,特恵の取引相
投資の特性
非特別勺 混合的
手と盤務約契約を結ぶことが必繁とされる。相互に自立
称興約
臨時的 市場統御 三者統御
三者統御
頻 反復的 市場統御
取引特別勺統御
皮
19
(双務的統御)(統合的統御)
的な少数の二者問の開腹ルール付き厳刑契約による取引
である。独立企業間の莱弥視線 独立なメーカーと商社
間の代理店契約,などの双務的な中間組織などがこの例
である。
出所:ウイリアムソン7)
叫九 統合的統御(Uni鮎dGovernance内部組織)は,
内部組織化によって企寮内の嫁限関係による取引の統御
のことである。
三者統御(TrilatleralGovema11Ce)は,頻度が臨時的
である。単一の所有権の下に密かれるため,売手,買手
で孜饗の特性が混合的または特輿約な場合である。取
ともに利潤の−お有可能性はなくなり,結合利潤の散大化
引・契約関係が霧度またほ中程度の特興性を有するため
を達成するような調光の採択を阻察する黎因ほ存在しな
に,節三者の調停援助機能を必要とする。しかし頻度が
い。数盈調腰を必要な頻度で行えるのはもちろんのこと,
非反復的であるため,取引相手および第三者を内部化す
価格調整も全面的に行うことが出来る。
ることは採鋸こ合わないのである。
取引特定的統御(関係的契約)は,頻度が反復約で投
資の特性が混合的またほ特輿的な墟合である。取引の非
取引様式に対する不確実性の影響を検討している。その
標準的性馴哺場統御を倍締することを矧鋸こし,反復
復的網引の場合,双務的統御は不確実性が増大するにつ
的性質が特化された統御機構のコストを図版することを
れ統合的絨御に取って替わられることになるという。
さらにウイリアムソンほ,取引様式の類斐望化に加えて,
影響は取引特定的な投資によって輿なるとされるが,反
ところで,以上の溝紛は必ずしも食品小党市場を窓織
可能にするのである。
取引特定的統御のうちの双務的統御(BilateralGov−
したものではない。取引される財のうち,消楽財には消
費財の,さらには食品には食品としての共通性ないし特
ernance拘東灘約)は,投資の特性が混合的な場合であ
る。規模の経済性の点から,買手が特産的な資産を用い
殊性があるであろう。中間財などとは輿なって厳密な規
て部品や資材を内製化することは必ずしも得策ではなく,
格や晶繋が求められることほない。消費者柳こほ取引に
表4 取引形態の顛蛮雲と実際の取引
投資の特性
非特産的
臨時的 礫準的設瀾の購入
頻 度
反復的 糾的鮒の臥
混合的
特輿的
注文による設備の購入 プラントの建設
注文による鮒の臥
移送
出所:ウイリアムソン7)
表5 食品小党市場における取引形態
(金
価馴静孝弘情報
不全)
ノト
探 索
価
倦
ほ
大
注文附
内部取引
木 禰
20
あたっての投資は必繋ない。個人の晴好の幅も広く,銘
つの取引様式の間の「取引コストの差」と「取引に揮う
柄数が非常に多い。1回当り購入金額ほ大きくないが購
便益の差」の比校考盈によって適訳されると考えられる。
入頻度は商い。などといった性格がある。
図4ほ,ランダムな取引と探索による取引の間の選択の
そこで,ウイリアムソンによる頬型を参考に食品小党
市場における取引様式を衣5のように類型化した。類型
概念図である。情報の不完全性が強いほど探索による取
引が有利になるケースが描かれている。
化の次元には多数のものがあるであろうが,ここでは探
索価億と探索饗用の2つの次元で捉えた。探索価胤 探
索饗用を規定する繋固としてほ衣6のようなものがある。
深紫畢月封こは,情報の不完全性が大きく関与していると
考えられる飢㌔
表6 探索価値と探索費用の規麗質園
′完全憫報
規 定 婁lぺ
探索価値
質の分散
探索費用
ト,運搬コスト
衣5の類型の内容を見てみると,まず探索繁用が0な
らば,消費者は市場において敢も安く品質の良い商品,
図4 取引様式の選択
(ランダムな取引と探索による取引の場合)
または店舗を選択することができるであろう。また探索
価倦が0ならば消饗者はランダムに商品,店舗を選択す
』R=探索による取引の便益−ランダムな取引の便益
dC=探索による取引の取引コスト
るであろう。
ーランダムな取引の取引コスト
探索価値が比較的小さい場合には,消費者ほ探索費用
が増加するに連れて.ランダムから広告・評判による選
それでは,戯林水魔省の『消堂者モニター調査』に
択,探索・経験による遊猟 注文取引へと取引様式はシ
よって,実際の消費者の食品購入における店舗選択につ
フトするであろう。
いてみてみよう。まず衆7によれば,かなりの程度で継
山方,探紫価値が比絞的大きい場合には,探索費用が
増加するに連れてト広告・評判による選択,深紫・経験
による選択,継続的取引,内郭取引へと取引株式ほシフ
続的取引がみられ,鮮魚・梢肉において掛こその傾向が
放い。
また購入する店舗を1店に決めている執軋 2∼3店
トするであろう。
に決めている判!由は衷8,衆9の通りである。食品群で
取引コスト経済学の枠組みで考えると,取引様式は2
捉えた調査であるため,詳細な称盤はl萎‡経であるが,消
表7 食品購入店舗の固敵性
日常購入する店舗
単位:%
野莱
果実
鮮魚
精肉
惣菜
冷凍食品
1店に決めている
2店に決めている
15.5
32.9
26.3
33.7
25.6
35.l
24.3
1臥8
25,4
17.8
3店以上に決めている
特に決めていない
22.3
29.3
15.9
33.0
17.5
18.8
21.1
17.5
21.8
10.7
46.1
9.3
47,5
33.6
資料:農林水産省『食料品の購買行動についてj1990年8月調査による。
注)「髄入しない」という回答と「無回答」を除いて計算している。
不完全情報と食品小売市場の経済難諭
21
単位:%
寮8 購入する店舗を1店に決めている理由
新鮮であ 偲段が安 品質がよ 品物が盈 距離が近 よく光れ 品物を避 嚢示がはっ
る
い
ている び易い きり
しl
し1
野薬
塾』 4鮎眉
果爽
望遠
追d 弘ユ
鮮魚
精肉
堕』
呈臥之
19.5
惣薬
造適
15.7
冷凍食品
‡潔烹l
28.7
以
15.8
13.9
17.9
19.6
21.1
19.1
18.1
20.6
21.0
21.1
16.5
16.9
24.7
賀二鳥
21.3
20.9
24.8
33こユ
2臥0
28.0
迎エ2
望』
坐』
彗星遥
18.5
7.0
16.8
12,7
9.9
16.5
17.7
17.0
18,7
辺土点
弘2
進通
資料:戯林水産省㌢食料品の購買行動について』1990年8月調査による。
往〉 代衆的な理由のみをとりあげた。
理由の衆硯は多少変更している。
複数回答である。
アンダーラインは,理由順位1位が=,2位が「 3位が‥・である。
表9 購入する店舗を2店または3店以上に決めている肇を由
い物を買う
鮮度や品質の良 安い物を買う 1店では揃わな 品巨=こよって店 同じような店が
野菜
果褒
鮮魚
精肉
堂』
豊Zj
塾遥
盟j
望L≧
Z揖
惣釆
建遥
冷凍食品
望遠
21.6
鐙エぷ
17.9
遡上屋
単位:%
い を決めている 複数ある
貴工良
18.1
10,4
17.2
詔主点
14.8
雄二月
製三月
払工良
鋸
10.6
7.9
10.3
17.5
6.0
芝邑J
芝Zふ9
21.9
資料:虚林水産省『食料品の購買行動について』1990年6月開査による。
注)馳走1の嚢硯は多少変更している。
アンダーラインは,理由順位1位が=,2位が−,3位が…である。
費者の継続的敏弘 価格探索,晶栗探索行動の状況が理
解されるであろう。
相対的に常えば,鮮魚・食肉でほ,品質・鮮度面を蕊
Stiglitz17)は,情報独得に費用を質する伺繋財市場の
特徴は次の4点にあるとしている。①均衡は必ずしも存
在しない。②均衡が存在するとき,価柏は党争水準(限
祝しての継続的取引の傾向が強く,野菜・果実では鮮
界費用)よりも商くなり,企業数の増加は価格低下につ
度・価格面を蕊祝しての数店舗の探索による非継続的取
ながるとは限らない。③均衡は価格分散によって特徴付
引の傾向が漉く,惣菜・冷凍食品は特定の物については
けられる。④覇業曲線は屈折する。
絃挽約取引でそれ以外の物ほランダムな非継続的取引と
本稿では第4点が特に濃紫であるが,消畢者が探索行
いう傾向が強い。ただし,ここで取り上げた食品群の申
動を行うもとでは,発手の政面する常賓曲線は右下がり
においても探索価億や探索費用の帽は広く,取引株式の
で,かつ下向きに属研するのである 爛5参照)は13)。
差が見られるであろう注12)
情報攫碍に費用を饗する場合には,究辛が価格の引き
下げを行っても全ての消費者がそれを知って鰊限に常婁
が増加する駅ではないのである。つまり消費者(とくに
4.価格の分散と硬直性
ここでは,価格に関する不完全憫報下での苗場におけ
る価格について検討する。
常連の顧客)の行動は価格引き下げに対しては非弾力的
なのである。それに対して,価格の引上げを行った場合,
消費者は過去よりも価格が上がったことを知り,他の店
■′ト 由
は,財の同質性の仮定の問題と買い手の価格に対する情
報不足があり,さらに両者が相互補完的に作用するとし
ている。
言吾
5.緒
本稲は,食品小党市場をめぐる様々な現象について経
済学的に考察してきた。これらは,従磯のミクロ経済学
や産業組穐給では必ずしも十分には鋭明できないもので
あったが,消饗者の価格および晶繋に関する・I浄種の不完
全性に起潤していることが埋解されたであろう。
このような問題に対しては,消饗者の深紫行動の明示,
無差別曲線概念の拡張,憫報の経済学庖よび取引コスト
経済学の導入といったアプローチが有効であることが示
されたであろう。
深紫蕊
図5 屈折常紫曲線
本稿において残された今後の冨果遊ば,このようなアプ
ローチに基づいた爽縦分析である沈15)。そ・してさらには,
従来のマーケテイング論とミグ甘経済学の境界分野の理
舗についても探索し,そちらの方が安ければそちらへ
論的研究も求められることになるであろう。
行ってしまうのである。つまり消饗者の行動は価格引上
げに対しては弾力的なのである。その練乳価格に関す
注
る不完全惰報の下でほ,売手の直面する常繁曲線は右下
がりで,かつ下向きに屈折することになるのである。
探索には歎用を粟するため,探索は鮒睨に行われるわ
けではなく,店舗問の価格分散は消滅しない。さらにほ,
売手は買手の時間コストなどに応じて輿なる価格を紋魔
することが考えられ 買手の性格によって店舗間の価格
1)Repeat−Buyi喝に閲する総合的な研究として
Elばenberg8)がある。
2)宗野13)などを参照。また食品に関する産米組織論
的研究については,今井¢〉,加藤11)などを参照。
3)例えば価格設定に関して,われわれは従来の寡占
徴簾や管理価格給を全て否定する駅ではないが,
分散ほ拡大される。
少なくとも食品小売市場において,複数の発辛が
こうして,佃格の分散と価格の硬直性が生じることに
なるのであか紬)。実際に過去の実証研究によれば,各
相互に相手の行動を予想しつつ,価格般延を行っ
種の市場において.価格分散の存在および価格の碓麗性
の存在が∃削濁されている。さちに,価格の硬直性につい
ては①短期の覇婁変動に対する硬粧性卜方,戌期の恒
久的な費用の変動に対してほ伸縮的),②価格の上方伸
縮性および,下方襟首酎幾カざ指摘されている。
ちなみに御す20)によれば,価格破魔性の問題に対し
ては4つのアプローチがあるという。①価格変化の調整
費ノ乳②近倉掛乳③価格決定の戌期性と非同時性,④
不完全現奪の4つである。4つのアプローチを検討した
上で,西村ほ特に不完全凝争によるアプローチの有効性
を主張している。そして,不完全髄争をもたちす要因に
ているという状況が山般的であるとほ考え難い。
d)井原5)の定式化による。
5)以下のモデルは,丸しl】I22〉節4車のモデルを修正,
拡張したものである。
6)非対称惰報下の取引の先駆的な研究はAkerlofl)で
ある。
7)マーケテイング論では,しばしばマルコフ過程に
よる計鹿モデルによって,駄and−Loyaltyが説明さ
れている。しかしながら,これは消費者の銘柄選
好の推移を現象として記述するものであり,そこ
には経済学的な姦付けや選好のメカニズムが存在
していない。
8)継続的取引…般の経済学的分析については,食
滞・薮 ̄1r14),伊藤・松井3)を参照。
不完全憫磯と食品小売市場の繚済理論
9)売手の側に立てば,継続的取引と製品差別化は閑
適している。すなわち製品差別化とは,「消費潜と
の継続的取引を形成,維持しようとする企業行動」
と走漉することができよう。なおこの定義ほ,荏
閲繚典生教授(衆京大学)の行った暫定的な走滋
23
第2に,ゲーム秋冷を月糾−て,売手と買手の戦略と継
続的取引の形成過程について考察した。
第3に,取引様式の分類と取引様式の選択のメカニズ
ムについて考察した。
(「製品差別化とは,商品の品質と生産者である企
主要な結論は以下の通り。
業ないしそのブランドと結びつけて認織させよう
1・消費者の探索行動ほ,屈折解賓曲線,価格分散,
とする金茶行動である」)に基づいている。
10)習鵬形成論とおよぴその先制三分新については辻
村180019),荏開津9)などを参照。ただし商品・商品
群に関する継続性に関するものと評価されよう。
消費者の購買経験の無差別曲線に対する効果は
2種籾存在することになる。第1は憫報独得の効
果(主観的鰊差別曲線のシフト)であり,節2ほ
習慣形成の効果(奥の無差別曲線のシフト)であ
価格硬直性をもたらす。
2.食品においては.継続的取引が避好される可能性
が商い。
3.食品小発市場における取引様式は,深紫相磯と探
索資月引こよって嫁艶化される。
4・取引様式の選択メカニズムは,取引コスト経済学
と不完全惰報理論によって説明される。
る。
11)不完全情報は消饗肴の知級の盛返しである。した
がってこのような埋解は,「哨楽者の知織の差が市
場構造・小売楽想に影響を与える」という井原4)
参 考 文 献
1)Akerlof,G.A.TheMarketforLemon.Quarterly
の議論に通じるものである。
12)衷5との対応で言えば,ここでの商品例は嚢の比
較的中央から下方にかけて位記するものが多いで
あろう。衣の右下の位俊には特殊な有機農産物な
どが対応するであろう。
13)根岸21),オークン10)などを参照。オークンは,屈
折常賽曲線は寡占ではなく,顧客市場において特
徴的なものであるとしている。またこの問題は,
覇業曲線が屠所する状況を想定し,ケインズ経済
学のミクロ経音蒋学的な基礎を築こうとしている敢
近のノン・ワルラシアン経済学に関連している。
14)価格の場合と同株に,品質についても分散,碓低
性(さらにその非対称性)が存在する可能性が商
い。
またStiglitz16)は,仮に晶繋が価格に依存してい
る場合においても均衡価格が成立しない可能性が
あることを指摘している。
15)われわれは,そのような爽肛分析への展開を準備
している。豚肉・鶏肉■鶏卵を対象とした分析の
試みとして木簡12)を参照。
Joumalo‖三conomics,鋸:488−500(1970)
2)Akerlof,G.A.TheEconomicsofCasteandofthe
RatRaceandotherWo血1Tales.QuarterlyJour・
nalofEconomics,90:599−617(1976)
3)伊藤元蕊←松井彩拶.組織的取引の経済分析.
Di$CuSSionpaper:88」−1.栄京大学(1988)
4)井原哲夫.小売市場の経済学.日本経済新聞社
(1975)
5〉 井原哲丸 消費者の経済学.東洋経済新報祉
(1983)
6)今井賢….食品一助占的髄争と流通.現代産業親
絶.岩波啓店,183−249(1976〉
7)ウイリアムソン,0,E.エコノミック暮オーガニ
ゼーション.兄渾啓房(1989)
8)Ehrenberg,A.S.C.Repeat−Buying:Facts,Theory
andApplicationsSecondEdition.Gri琉n(1988)
9)荏開津典生.日本農薬の鰍斉分帆大明党(1985)
10)オークン,A,現代マクロ経済学.創文社(1986〉
11)加藤謙編著.食品渡来繰済給.脇林統計協会
(1990)
12)木南:敵 中小家畜生産物の流通構造と段階別価
格形成.三蕊大学生物資源学部紀嬰,9:25−35
要
約
われわれほ,不完全憫報が食品小党市場に与える彩勒
について研究した。
第1与こ,無差別曲線を用いて,価柏および品質の憫報
が不完全の下で消饗者行動を説潤した。
(1992)
13)京野禎山嵐 兢争下の食料品市場.筑波番辟
(1988)
14)食滞資成・赦下史郎.市場と継続的阻軋 エコノ
ミア,72:ト21(1981)
15)ステイダラー,G.産楽観織論.東沖経済新報社
木 南
24
牽
18)辻村江太郎.粥黎者行動の理論.有斐閣(1964)
16)Stiglitz,J.E.TheCausesandConsequencesofthe 19)辻村江太郎.消費構造と物価.動翠尊属(1968)
DependenceofQualityonprice.JournalofEcono− 20)西村晴彦.マクロ経済学:不完全兢争分析.応用
(1976)
ミクロ繚済学(伊藤元藍,酉相和練絹,東京大学
micLiterature,汲ト48(1987)
出版会),229−263(1989)
17)Stiglitz,).E,ImperfectInfomlationin Product
21)根岸 隆.ケインズ経済学のミクロ理論.日本経
Market. Handbook ofIndustrialOrganjzaton
Volumel(Schmalensee,R.and Willig,R.eds.,
North・Holland),769−847(1989)
済新聞社(1980)
22)丸山雅祥.流通の経済分析.創文社(1988)
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