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中国経済交流プログラム

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中国経済交流プログラム
中国経済交流プログラム
平成23年6月
広
島
県
目
1 策定の趣旨
次
………………………………………………………………………
2 広島県経済におけるグローバル化への対応 ~現状と課題~
1
2
(1) グローバル化の意義と必要性 …………………………………………………
2
ア 企業の存続をかけた戦略 ……………………………………………………
2
イ 新興国の経済成長の取込み …………………………………………………
3
ウ 県の経済に与える効果 ~好循環~ ………………………………………
3
エ 中国企業による広島への投資の可能性 ……………………………………
4
(2) 広島県におけるグローバル化の現状と課題 …………………………………
4
ア 広島県の産業・企業の特徴 …………………………………………………
4
イ 広島県の中小企業のグローバル化に向けた現状と課題
5
3 中国内陸部の発展可能性
(1) 中国の発展と課題
…………………
…………………………………………………
6
………………………………………………………………
6
ア 著しい中国の経済成長 ………………………………………………………
6
イ 中国経済をけん引してきた沿海部の経済環境の変化 ……………………
7
(2) フロンティアとしての内陸部 …………………………………………………
8
ア 内陸部市場の拡大 ……………………………………………………………
8
イ 内陸部における日系企業の立地動向 ………………………………………
9
ウ 内陸部西部の発展拠点 ~四川省・重慶市のポテンシャル~……………
10
エ 四川省・重慶市におけるビジネスチャンスと課題 ………………………
11
オ 課題解決型ビジネスの可能性 ………………………………………………
12
(3) リスクマネジメントの必要性 …………………………………………………
13
4 プログラムの取組方針と方向性
……………………………………………
15
(1) 戦略的取組方針
重点地域の設定 ~四川省及び重慶市との経済を軸とした交流の拡大~
15
(2) 取組の方向性 ~中国市場の獲得~ …………………………………………
16
ア 県内企業の中国への事業展開 ………………………………………………
16
イ 中国の活力の県内への取込み ………………………………………………
17
ウ 中国との経済交流を支える基盤の強化 ……………………………………
17
5 施策の展開について
…………………………………………………………
18
(1) 施策展開の考え方 ………………………………………………………………
18
(2) 施策の展開 ………………………………………………………………………
18
ア 「機運醸成」のための施策展開 ~認知・興味~ …………………………
18
イ 「現地情報収集・提供」のための施策展開 ~探索・比較~ ……………
19
ウ 「ビジネス機会の創出」のための施策展開 ~評価・選択~ ……………
20
エ 企業のニーズに対応した「コンサルティング」のための施策展開
~行動・決定~
………………………………………………………………
オ 中国との経済交流を支える基盤の強化 ……………………………………
【別紙】対中国(内陸部)戦略のロードマップ
21
22
1 策定の趣旨
本県は,県内総生産が全国12位,一人当たり県民所得は全国14位と中国・四国
地方における最大規模の経済力を誇っている。本県の大きな強みは,多様な製造業の
集積にあり,製造品出荷額等は全国11位,中国・四国・九州地方では6年連続で1
位となっている。
しかしながら,その実情をみると,国内需要の縮小,海外企業との競争,大企業を
中心とする生産拠点の海外移転など,本県産業を取り巻く環境は非常に厳しいものが
ある。
このような中,本県では,平成22年10月策定の『ひろしま未来チャレンジビジ
ョン』において,「新たな経済成長」への挑戦の目指す姿の一つとして,「アジアを中
心とする成長市場を獲得」することを掲げている。
東アジアをはじめとする新興国の市場が急激に拡大する中,本県が継続的に発展し
ていくためには,東アジアの中でも特に市場規模が大きく,今後も高い経済成長が見
込まれる中国との交流拡大が不可欠である。
本県と中国との経済交流については,これまで北京,上海,大連など沿海部を中心
に進んできたところであるが,今後は,将来的に著しい発展が見込まれている内陸部,
特に,西部地域の開発拠点であり,県及び県内市町と長年にわたる友好交流の実績を
持つ四川省・重慶市との経済交流を拡大していくことが,本県経済の更なる活性化を
目指す上で効果的である。
こうした認識のもと,
『ひろしま未来チャレンジビジョン』を具体化し,中国の成長
市場における県内企業のビジネス機会の拡大を支援するため,向こう3年間に取り組
むべき有効な施策を取りまとめた。
1
2 広島県経済におけるグローバル化への対応 ~現状と課題~
(1)グローバル化の意義と必要性
ア 企業の存続をかけた戦略
日本や欧米の市場の大きな拡大が見込めないこととは対照的に,中国,ASE
AN諸国,インドなどをはじめとする新興国においては,一人当たりの経済規模は
小さいものの,今後,更に市場規模が拡大し,高い経済成長を持続していくことが
見込まれる。
また,これらの新興国には,既に多くの日本や欧米の企業が進出しており,そ
の協力企業・関連企業も多数立地している。
今日では,現地資本の有力企業も出現し,その裾野産業も集積してきており,
これらの企業との取引(BtoB)市場も,今後,大きく発展することが見込まれる。
さらに,二か国間ないし多国間の経済交流の自由化を進めるFTA/EPAの
締結の進展や,空港・港湾・鉄道・道路といった国際物流インフラの整備に伴い,
新興国の生産拠点から,直接,世界に向けて製品を供給する動きも加速しつつある。
このように,企業にとって,新興国への進出は,世界市場をにらんだ戦略とし
て極めて重要になっている。
世界主要国・地域の名目GDP(国内総生産)シェアの推移
備考:US ドルベース。中国除アジア主要国・地域は、ASEAN、インド、韓国、台湾。
資料:IMF「World Economic Outlook Database, April 2010」
(資料)
「平成21年度ものづくり白書」
(経済産業省,厚生労働省,文部科学省)
2
本県も,人口の減少と本格的な高齢化社会を迎えつつあるが,基幹産業である
製造業は典型的な外需依存型の産業であり,国内市場の成熟化と経済活動のグロ
ーバル化による厳しい競争にさらされている。
こうした状況の下で,県内企業が更なる成長を目指すためには,本県の強みで
ある地理的近接性やアクセス網の活用等により,県内企業がアジアを中心とした
新興国の経済成長を取り込むビジネス展開が求められている。
イ 新興国の経済成長の取込み
新興国の経済成長を取り込むための方策としては,第一に海外への販路開拓が
あり,直接輸出,商社・卸業者を介した間接輸出,現地のパートナー企業に販売を
委託する業務提携など様々な方法が採られている。
また,一歩進んだ方法として,海外現地法人の設立や現地企業との合弁,現地
のパートナー企業への生産委託なども行われており,現地拠点から日本や世界に向
けて販売している企業も多い。
一方,新興国の消費力を県内に取り込む方法としては,例えば,新興国からの
観光客を誘致し,県内での消費拡大を図ることなどがあげられる。
ウ 県の経済に与える効果
~好循環~
県内企業が中国をはじめとする新興国に事業展開することは,本県経済全体に
とっても好循環をもたらす。
すなわち,県内企業の輸出の拡大は,様々な裾野産業の需要増加や,雇用所得
の増加につながり,経済循環を拡大させる効果をもつ。
また,企業が海外現地法人を設立して生産・販売活動を行う場合は,県内産業
の空洞化につながるおそれがあるものの,一方では,県内の拠点を維持しつつ海外
拠点との最適な分業体制を構築する取組によって,むしろ「県内産業の高度化」と
「輸出誘発効果」が期待できる。実際,多くの県内企業が,県内拠点のマザー工場
化や中核部品の供給拠点化などを進めつつ,海外拠点を活かした生産・販売の拡大
を実現し,国内での所得や雇用の確保を達成している。さらに中長期的には,海外
現地法人からの配当収入など,利益の還流も見込まれる。
また,観光客の県内への誘致は,宿泊・飲食・土産物の購入などによって,県
内の需要を拡大する。その効果は,観光客のニーズに合った商品の開発やサービス
の提供など,受入体制の整備を進めることにより広範囲にわたることが期待できる。
以上のように,県内企業の海外展開は,本県経済における大きな波及効果が期
待できる。
3
エ 中国企業による広島への投資の可能性
近年,中国は「走出法(海外進出,対外投資)」戦略に基づいて対外直接投資を推
進している。その結果,平成15(2003)年以降,中国の対外直接投資は拡大を続
け,平成21(2009)年時点には 565.3 億ドルに達し,投資国として世界第5位と
なった。国・地域別では香港やシンガポールなどのタックスヘイブン(租税回避地),
オーストラリア等の資源国などが中心であり,日本への直接投資は 0.8 億ドルと極
めて小さい。
しかし,最近の投資傾向をみると,高い技術力やブランドを有する企業に対す
る投資が増加しており,この点で,日本企業は中国企業にとって魅力的な投資対象
となっている。
本県の製造業は,輸送用機器,生産用機器,情報通信機器及び電子部品・デバ
イスなどの割合が高く,かつ高い技術を有する企業が多い。そのため,業種や技術
面において,更なる発展を目指す中国との補完性が高い。こうしたことから,今後
は,中国企業による県内への直接投資や資本参加も想定される。
企業にとって,海外からの資本の受入れは,技術流出などのリスクがある一方
で,資本の受入れによる経営基盤の強化,投資国における市場・販路の確保,業務
提携による投資国の人材の活用などのメリットが期待できる。こうした両国の企業
がメリットを享受する投資交流の可能性も高いと思われる。
(2)広島県におけるグローバル化の現状と課題
ア 広島県の産業・企業の特徴
本県の製造業の付加価値額をみると,自動車等の輸送用機器が全体の四分の一
強を占め,次いで一般機械,鉄鋼・金属製品,電気機器(電子部品・デバイス・電
子回路や情報通信機器)となっており,これらの産業が県経済の大きなけん引力に
なっている。
また,本県には小さくとも独自性が強く,全国的に,あるいは世界的に強い競
争力を有する企業が多数存在する。本県が調査等により取りまとめた「ものづくり
のオンリーワン・ナンバーワン企業」は,食品,繊維から電気機器に至る多岐の業
種にわたって,大企業から中小企業まで200社以上が集積している。
さらに,本県産業のもう一つの特徴として,今日ますます重要性が増している
環境・エネルギー関連産業の集積が進みつつあることがあげられる。このうち,環
境分野においては,環境浄化,水処理,リサイクルなどに関する企業が多い。エネ
ルギー関連分野においては,太陽光発電,LED,風力発電,燃料電池,リチウム
イオン電池などの製品や部品・素材を製造する企業が多数立地している。
4
今後,中国等の新興国との経済交流を進める上で,これらの産業の集積を活か
すことが効果的である。
イ 広島県の中小企業のグローバル化に向けた現状と課題
県内企業の中には,積極的に海外展開をしている企業も多い一方,意欲はあるが
様々な障壁が妨げとなっている企業もあり,こうした企業に対しては積極的なサポ
ートが必要である。
県内企業へのアンケート調査からは,中国,特に内陸部との経済交流に向けた
課題として,次の点があげられる。
○
中国が求める技術分野など必要な情報や人脈の不足により,ビジネスチャ
ンスを活かすことができない。
○
現地法人の設立など現地進出を図ろうとする場合,候補都市・地域の立地
条件の評価をはじめ,事業の構想,計画,準備から進出後を含む各段階で必
要となる情報,ノウハウ,人材が欠けている。また,リスクの回避と投資コ
スト・運営コストの低減も必要であるが,個々の企業で対応することは困難
である。
○
企業のグローバル活動を支える人材の確保が課題となっており,中国から
の留学生の活用も期待されている。
○
市場のニーズ,納入先や販売ルート,信頼できるパートナーなどに関する
情報が不足している。また,販売先やパートナー候補とのマッチングの機会
も限られている。
このように,県内企業の多くは,市場ニーズの把握,商品・サービスの企画開
発,商品価格の設定,広告宣伝や販売促進・流通などのいわゆるマーケティング力
の面で課題を抱えている。また,資金面について,個々の企業では十分な対応が困
難なケースもある。さらに,グローバル人材の不足という問題も抱えている。
5
3 中国内陸部の発展可能性
(1)中国の発展と課題
ア 著しい中国の経済成長
中国の実質GDPは平成12(2000)年以降,毎年8%から9%の成長率で拡
大し,平成18(2006)
,19(2007)年は10%を大きく超える高い伸びを記録
した。平成20(2008)年の金融危機後も,年率10%近い成長を遂げ,平成22
(2010)年には我が国を抜いて世界第2位となった。
平成21(2009)年時点における一人当たりGDPは全国平均で約2万5千元,
日本円にして30万円強である。全体としては,まだ日本の十分の一程度であるが,
上海や北京などの大都市では7万元から8万元に達しており,巨大な消費市場が出
現している。
中国の実質GDPの成長率
(%)
14
12
10
8
6
4
2
0
14.2
12.7
8.4
8.3
2000
01
10.0
02
9.6
11.3
9.1
03
9.1
10.1
04
05
06
07
08
09 (年)
(資料)
「中国統計年鑑(2010 年版)
」
(中国人民共和国国家統計局)
(万元)
8
省・自治区・特別市別の 1 人当たりGDP(2009 年)
7
6
5
4
2.52
2.29
1.73
3
2
1
貴州
甘粛
雲南
西蔵
広西
安徽
江西
四川
海南
青海
新疆
湖南
河南
寧夏
山西
黒龍江
陝西
湖北
重慶
河北
全国平均
吉林
福建
遼寧
山東
内蒙古
広東
江蘇
浙江
天津
北京
上海
0
(資料)
「中国統計年鑑(2010 年版)
」
(中国人民共和国国家統計局)
(注)グラフで網掛けをしている都市・地域は「内陸部」
。
6
イ 中国経済をけん引してきた沿海部の経済環境の変化
中国は,大きく,北京を中心とした華北,上海を中心とした華中,香港に近い
広州,深圳等を中心とした華南,東北地方及び内陸部に分けることができる。これ
らのうち,華北,華中,華南が,いわゆる沿海部といわれる地方である。一方,内
陸部は中部と西部に大別される。
これらのうち,早くから発展し,中国のGDPを世界第二位にまで押し上げた
原動力になったのは,沿海部の都市・地域である。確かに,沿海部の経済規模は拡
大し,特に,人口一人当たりのGDPは全国平均の3倍前後にまで達したが,その
伸び率は低下傾向をみせている。
企業活動の面からみると,沿海部の都市・地域は日系,外資系の企業の進出が
早くから進んだエリアであるが,現在,企業間競争の激化や,賃金の上昇,人材の
確保難などの問題が顕在化しており,経済環境面での沿海部の優位性は減少しつつ
ある。
中国内陸部(中部,西部)
7
(2)フロンティアとしての内陸部
ア 内陸部市場の拡大
中国内陸部における一人当たりのGDPは,上海など沿海部の都市に遥かに及
ばず,都市化の程度なども,沿海部と内陸部では依然として大きな格差が存在する。
しかし,一人当たりGDPの伸び率では大きく上回り,人口も中国全体の過半数を
占めている。消費額の伸び率も沿海部を上回っており,内陸部の市場としての魅力
が高まっている。
こうした内陸部が持つ大きな可能性のバックボーンとなっているのが中央政府
の政策である。そのうち最大のプロジェクトの一つが,平成12(2000)年3月に
発表された「西部大開発計画」である。これは既存の工業基盤を活かしつつ,外資
導入をてこにした経済発展を目指すことを目的としたものであり,第11次五ヶ年
計画(平成18(2006)~22(2010)年)にも採り上げられた。さらに第12次
五ヶ年計画(平成23(2011)~27(2015)年)においても,沿海部を成長拠点
と位置付けつつも,内陸部における「西部開発」にも力を入れるとしている。特に
省レベルの計画をみると,5年間の経済成長率として全国で年平均7%を見込んで
いるのに対して,四川省,重慶市では12%とかなり高い成長を想定している。
省・自治区・特別市別の実質GDP成長率(2009 年)
(%)
20
16.9 16.5
14.9 14.5
15
13.9 13.6 13.6
13.3 13.2 13.1 13.1 12.9
12.4 12.4 12.1 12.0 11.9
11.7 11.6 11.2
11.1 10.7
10
10.1 10.1 10.1 10.0 9.5
8.9 8.7
8.2 8.1
5.5
5
(資料)
「中国統計年鑑(2010 年版)
」
(中国人民共和国国家統計局)
(注)グラフで網掛けをしている都市・地域は「内陸部」
。
中国の主要都市・省の一人当たりGDP伸び率
全国
(%)
北京市
上海市
四川省
重慶市
30
27.1
25
20
15
12.8
11.0
9.1
7.0
10
5
0
2000
01
02
03
04
05
(資料)
「一目でわかる中国経済地図」
(蒼蒼社)
8
06
07
08
09
(年)
山西
新疆
上海
全国平均
浙江
広東
河北
甘粛
北京
青海
河南
黒龍江
貴州
寧夏
海南
山東
福建
雲南
西蔵
江蘇
安徽
遼寧
江西
湖北
吉林
陝西
湖南
広西
四川
重慶
天津
内蒙古
0
イ 内陸部における日系企業の立地動向
平成22(2010)年時点において中国内陸部へ進出している日系企業(上場企
業)は全部で284社である。このうち,食品・金属・電気・機械関連分野への進
出は169社である。中国全土の食品・金属・電気・機械関連分野への進出総数は
2,393 社であり,内陸部への進出は全体の7%程度にしかすぎない。
このように,将来性に富む中国の内陸部ではあるが,まだ日系企業の進出は少
ない。しかし,企業の内陸部への立地は近年増加しつつあり,欧米企業も内陸部へ
の進出を活発化させている。その背景をみると,次のような内陸部の大きなポテン
シャルが浮かび上がる。
○
経済成長が著しく,都市化も急速に進んでいて,市場規模そのものが沿海
部都市に追い付きつつある。
○
立ち遅れていた交通・物流インフラについても急速に整備が進み,沿海部
との格差は縮小しつつある。中長期的には,ASEAN諸国や欧州市場への
アクセスの点でも優位性が出てくる。
○ 企業立地環境についても,次のような優位性がある。
・
優遇税制,特区・工業地区等の整備などの優遇制度が整っている。
・
豊富な労働力,天然資源がある。
・
労働力コストは上昇基調にあるが,沿海部と比べて低い。
・
裾野産業の集積が進みつつあり,部品・資材などの調達先や製品の納入
先となる企業が多い。
・
一次産品の調達にも有利。
我が国製造業の中国内陸部への進出状況
(社)
食品
中国全体
鉄鋼
非鉄
金属
金属
製品
機械
電気
輸送
精密
機器
機器
機器
合計
248
68
96
151
386
933
372
139
2,393
内陸部合計
11
6
15
8
29
35
59
6
169
中部
2
5
9
5
17
20
30
3
91
西部
9
1
6
3
12
15
29
3
78
(資料)
「中国進出企業一覧(上場会社編)2009-2010 年版」
(蒼蒼社)
9
ウ 内陸部西部の発展拠点
~四川省・重慶市のポテンシャル~
中国内陸部は中部と西部に分けることができる。このうち中部地域は西部地域
と沿海地域との間に位置し,中心は湖北省(省都は武漢市)と湖南省(省都は長沙
市)である。西部地域は中部地域の更に西側に位置し,中心をなすのは成都市を省
都とする四川省と,平成9(1997)年3月に四川省から分かれ直轄市となった重慶
市である。
中部と西部を比べると,中部地域は内陸部の中では比較的早くから発展してき
たところであり,GDPも大きい。また,都市部と農村部を合わせた地域全体でみ
ると,一人当たりのGDP,可処分所得,消費額も西部地域を上回っている。
このように,西部地域は,経済指標でみると全般的に中部地域を下回っている。
しかし,経済成長率は上回り,また,人口は四川省だけで8千万人以上,重慶市と
あわせると1億1千万人に達するなど,長期的な発展のポテンシャルを有する地域
である。
中国内陸部のマクロ経済指標(2009 年)
人口
(万人)
全 国
内陸部
中 湖北省
部 湖南省
その他
西 四川省
部 重慶市
その他
133,474
72,332
35,603
5,720
6,406
23,477
36,729
8,185
2,859
25,685
1人当たり
工業生産額
GDP
域内総生産(GD P)
(億元)
340,506.9
137,551.0
70,577.6
12,961.1
13,059.7
44,556.8
66,973.5
14,151.3
6,530.0
46,292.2
シェア 伸び率
(%)
(%)
100.0
9.1
40.4
12.6
20.7
11.8
3.8
13.5
3.8
13.7
13.1
10.8
19.7
13.5
4.2
14.5
1.9
14.9
13.6
13.0
(元)
25,511
19,017
19,823
22,659
20,387
18,979
18,234
17,289
22,840
18,023
固定資産
投資額
(億元)
(億元)
548,311.4
159,013.0
89,129.3
15,567.0
13,507.6
60,054.7
69,883.6
18,071.7
6,772.9
45,039.1
224,598.8
99,538.2
49,851.8
7,866.9
7,703.4
34,281.5
49,686.4
11,371.9
5,214.3
33,100.2
(資料)
「中国統計年鑑(2010 年版)
」
(中国人民共和国国家統計局)
中国内陸部(西部地域)の消費関連指標(2009 年)
人口
(万人)
全 国
上海市
湖北省
湖南省
四川省
重慶市
社会消費品小売総額
(億元)
伸び率(%)
133,474 132,678.4
1,921
5,173.2
5,720
5,928.4
6,406
4,913.7
8,185
5,758.7
2,859
2,479.0
15.5
13.0
16.0
16.4
16.5
15.5
都市1人当たり
可処分所得
農村1人当たり
純年収
(元)
(元)
17,174.7
28,837.8
14,367.5
15,084.3
13,839.4
15,748.7
(資料)
「中国統計年鑑(2010 年版)
」
(中国人民共和国国家統計局)
10
5,153.2
12,482.9
5,035.3
4,909.0
4,462.1
4,478.4
本県と四川省・重慶市との関係をみると,アクセス面では広島~上海~成都線
が就航し(※),また,海運による物流ネットワークも,広島港・福山港から上海
を経由し,重慶港へつながっている。両地域の産業構造をみると,輸送用機器や
電気・電子関連機器産業の集積が高く,類似性が高い。
行政面からみても,四川省は本県と,重慶市は広島市と,四半世紀にわたる友
好交流の実績があり,地方政府とのネットワーク,人的ネットワークが構築されて
おり,こうした背景を活かして内陸部に進出する県内企業を支援することも可能で
ある。
このように,四川省・重慶市は,県内企業が海外展開を目指す際の有力な候補
として捉えることができる。
※
エ
平成23年7月から広島~上海線の運航区間が延伸。
四川省・重慶市におけるビジネスチャンスと課題
四川省や重慶市におけるビジネスチャンスの可能性について,最新の調査結果
をみると次のとおりである。
【消費財の生産拠点・販売市場として】
○
消費市場の大きさを示す社会消費品小売総額は上海を上回り,かつ,伸び
率でも上回ることから,今後,都市型消費の拡大が見込まれる。都市型消費
の代表例として,自動車,電気・電子機器,食品・飲料などがあげられ,こ
れらの輸出や現地での生産・販売の機会が高まると考えられる。
【中間財・資本財の生産拠点・販売市場として】
○ 四川省・重慶市では,輸送用機器,電気・電子機器,生産用設備・機械(一
般機械),食品,鉄鋼などの集積が進み,裾野産業も拡大しつつあることから,
これらの製品製造のための部品や部材・素形材などの調達基盤の確保は可能
である。
○
産業集積が厚みを増すにつれて,原材料や部品などの中間財や生産設備機
器などの資本財に対する需要が更に拡大することが見込まれ,現地系・日系・
外国系企業も多数参入しているが,高品質製品やハイテクノロジーの現地調
達には課題が多く,参入の余地が大きい。
11
特に有望な分野としては,次のとおりあげられる。
・
輸送用機器関連部品の製造
・
工作機械などの生産用設備及びそれらの部品の製造
・
鉄鋼製品・鉄構物など,生産設備や建設・土木資材の製造
・
建設関係の機器類の部品製造
・
情報通信システム・機器や電子部品・デバイスの製造
・
食品加工(食材生産)
ただし,現地には既に一定以上の企業の集積があり,競争も厳しいことから,
参入に当たっては,現地資本や外資系企業との提携や,華人ネットワークを有し,
言語・文化の点でも類似性の高い台湾系企業などとの連携が効果的と考えられる。
オ 課題解決型ビジネスの可能性
中国は,急速な経済成長に伴い,エネルギー不足への対応(新エネルギーの導
入,省エネルギーの推進など),大気・水などの汚染や上下水道の整備の遅れなど
の課題を抱えている。また,急速な都市化やモータリゼーションの進展により,日
常的に発生する交通渋滞などの問題も生じている。これらの課題の解決に向けて現
地政府に協力していくことは,県内企業にとって大きなビジネスチャンスとなる。
現地での取材や文献調査によると,四川省・重慶市が求める技術分野等は次の
とおりである。
<四川省>
中央政府が定めた外資奨励産業としては,節水かんがい,節水農業技術
○
などがある。
○
四川省政府としての外資奨励産業としては,スマート交通,スマートグ
リッド,環境保全,リサイクルなどがある。
○
徳陽経済技術開発区(徳陽市)では新エネルギーなど,広安経済技術開
発区(広安市)では環境保全などに対して期待がある。
<重慶市>
○
重視されている分野として,ハイテク,農業改革,環境,汚水対策など
がある。
○
日本の汚水処理技術は重慶市から高く評価されている。また,生活排水
対策が遅れているため,処理後の汚泥の再利用技術(セメント化等)が求
められている。
12
○
中央政府が定めた外資奨励産業として,節水かんがい,節水農業技術な
どの耕作技術,太陽エネルギー・風力などの新エネルギー産業などがある。
○
重慶市政府の重点導入希望産業は,新エネルギー,エコ産業,新材料,
自動車(完成車)など。また,スマート交通,スマートグリッド,環境保
全・リサイクルも歓迎されている。
○
万州経済技術開発区(万州区)では新エネルギーなどに,重慶ハイテク
産業開発区(重慶市)では環境保全産業などに対して期待がある。
(3)リスクマネジメントの必要性
以上のように,四川省や重慶市は,県内企業にとってビジネスの潜在的可能性
が期待されるフロンティアである。
しかし,海外への事業展開には様々なリスクが伴い,県内企業の多くも,海外
への進出に当たり,こうしたリスクの回避・軽減に取り組んできた。
ただし,日本と政治体制が異なる中国でのビジネスにおいては,特に次のよう
なリスクがあげられる。
<産業インフラ>
○
工業団地等の立地基盤の整備水準に関する情報不足
○
物流基盤,物流サービスの水準に関する情報不足
○
電力,水など基本的資源の供給問題
<労働力・人材>
○
熟練労働力,非熟練労働力の確保の問題
○
マネジメント,エンジニア等幹部人材確保の問題
○
ジョブ・ホッピング(転職を繰り返すこと),賃金上昇,労働争議など経
営管理上の問題
<経営活動>
○
売上代金の回収の問題
○
優遇措置の適用など制度の運用面その他の不透明性の問題
○
市場,顧客等に関する情報不足
○
技術流出,模倣など知的財産に関する問題
○
人脈に頼る経営手法に関する問題
13
<法制度・各種規制>
○
資金の還流,再投資に関する規制の問題
○
生産活動,輸出入に関する規制と不確実性の問題
○
財務,税制,国際税制などに関する不透明性の問題
○
事業撤退時における制約の問題
<その他>
○
社会インフラの問題(都市機能,生活機能,教育機能など)
○
対日政策,対日感情の問題など
なお,四川省や重慶市への事業展開に当たっては,沿海部より情報が不足しが
ちなことや,地域特有の課題もあることから,様々なリスクマネジメントが必要に
なる。
このため,本県と四川省,広島市と重慶市をはじめとする自治体同士の友好関
係や,ひろしま産業振興機構や日本貿易振興機構(ジェトロ)等産業支援機関のネ
ットワーク,県内から進出している企業のネットワークなどの人的・組織的なつな
がりも活用し,リスクを最小限に抑えることが不可欠である。
14
4 プログラムの取組方針と方向性
(1)戦略的取組方針
重点地域の設定
~四川省及び重慶市との経済を軸とした交流の拡大~
中国の成長市場における県内企業のビジネス機会の拡大を支援するため,向こう
3年間に集中的な施策を展開する見地から,重点地域を設定する。
重点地域は,中国の内陸部西部地域の四川省(省都は成都市)と,直轄市となっ
た重慶市とする。
四川省及び重慶市を重点地域とする理由や背景を整理すると,次のとおりである。
【中国内陸部の将来性】
○
これまで中国経済をけん引してきた沿海部に対して経済規模では劣るが,
経済成長率は高く,市場としての魅力が高まっている。
○
中央政府による「西部大開発」も成果をあげるなど,今後の更なる発展が
見込まれる。
○
日系企業の進出はまだ少ないが,沿海部のような過当競争に陥る恐れは少
なく,ビジネスチャンスを活かすことが可能である。
【フロンティアとしての四川省・重慶市】
○
内陸部の中で,西部地域は高い経済成長率を示しており,中長期的な発展
のポテンシャルが高い。生活者向けの消費市場も,企業向けの中間財・資本
財の市場も飛躍的に拡大することが期待される。
○ この西部地域の中心となるのが四川省・重慶市である。中国全土との交通・
物流ネットワークの充実度で沿海部に近づきつつあり,将来的にはASEA
N諸国など近隣・周辺国・地域との連携なども期待される。
【四川省・重慶市における潜在的ビジネスの可能性】
○
四川省・重慶市は,輸送機器や電気・電子産業の生産拠点となっているこ
と,食品産業が発展していること,及びこれらの産業の部材,素材の調達基
盤も充実していることなどから,本県の産業・企業の特徴からみて多様なビ
ジネスチャンスが期待される。
○
広島空港と成都空港とを結ぶ路線が就航し,経済交流・人的交流の環境条
件が整いつつある。
15
○
本県と四川省とは26年以上にわたる友好交流の歴史がある。また,広島
市と重慶市も24年以上の友好交流を継続している。これらの礎の上に経済
交流の進展を図り,県内企業のビジネス機会の拡大を進め,潜在需要を含む
成長市場の先行獲得を図る。
(2)取組の方向性
~中国市場の獲得~
県内企業の更なる成長を目指すための戦略として,急速に拡大する中国内陸部,
中でも重点地域に設定する四川省及び重慶市の経済力や需要を取り込むため,以下
の3点の実現に向けた施策を展開する。
ア 県内企業の中国への事業展開
中国への事業展開には,「輸出の拡大」と「現地への生産拠点や事業所等の展
開」という2つの取組形態があり,潜在的ビジネスチャンスとして,次のような
可能性が考えられる。
【輸出の拡大】
○
消費財の輸出拡大(都市型消費拡大の取込み)
「西部大開発」の進展により,経済成長の著しい内陸部は,生活者の所
得も増加して大消費市場化しており,消費財の需要が伸長している。
○
中間財・資本財の輸出拡大(現地での大規模投資の取込み)
「西部大開発」の進展とともに,
「第12次五ヵ年計画」においても「西
部開発」への注力がうたわれており,今後も大規模な投資が継続される中,
企業向けの原材料・部品等の中間財や生産設備機器などの資本財の市場が
飛躍的に拡大することが期待される。
【生産拠点や事業所の展開】
○
製造業分野
グローバルな価格競争性を高めるため現地に生産拠点を置き,価格競争
力の高い商品の提供により,現地の消費需要をより多く取り込むことが可
能となる。また,その拠点から,距離的に優位性のある第三国(ASEA
N諸国や欧州)への輸出等のビジネスチャンスの可能性もある。
○
サービス・小売・流通分野
経済成長に伴い生活者の所得も増大する中,高品質で,効率性の高い日
本のシステムの優位性を示すことができる分野である。
16
イ 中国の活力の県内への取込み
中国の活力を県内に直接取り込むためには,
「観光客の誘致」と「中国企業の県
内への投資や進出」という2つの形態があり,潜在的ビジネスチャンスとして,
次のような可能性が考えられる。
○
観光インバウンド
個人への観光ビザの解禁もあり,飛躍的に伸長する富裕層・中間層の観
光需要の増加が見込まれる。一方,日本への旅行商品の造成はさほど進ん
でおらず,旅行市場開拓の余地は大きい。
○
中国ファンド等と県内企業のマッチング
中国は豊富な外貨準備を背景に「走出法(海外進出,対外投資)」戦略の
もと海外投資を進めており,日本の高い技術力やブランド力に着目した日
本への直接投資の増大が見込まれる。
ウ 中国との経済交流を支える基盤の強化
これまで,県が取り組んできた関連施策について,次の視点から,その強化を
図る。
○ 定期航空路線や定期コンテナ航路の拡充・強化,グローバル人材の確保
及び広島への総領事館の誘致など,現在,積極的に取り組んでいる関連施
策については,中国との経済交流施策と十分連携し,相互により効果をも
たらす展開を図る。
○ 四川省等との友好交流の実績を礎に,更なる交流の進展を図る中で,経
済交流協定の締結並びに現地日系企業や広島ゆかりの中国人とのネットワ
ークの確立・強化などを進め,県内企業のビジネスチャンスの拡大につな
げる。
17
5 施策の展開について
(1)施策展開の考え方
4-(2)で示した「取組の方向性」に合わせ,県内企業の視点に立った施策
を展開する。
具体的には,企業の海外展開の意思決定プロセスを,「認知・興味」,
「探索・比
較」,
「評価・選択」
,
「行動・決定」の4段階に分類し,各々の段階に対応したマー
ケティング力の向上支援のための施策(「機運醸成」,「現地情報収集・提供」,「ビ
ジネス機会の創出」,「コンサルティング」に分類)に取り組む。
なお,施策の実施に当たっては,様々な段階にある県内企業のニーズに的確に対
応して行くため,同時並行的な展開を図る。
また,庁内各部局における関連施策の有機的な連携や,県内の市町及び国(中
国経済産業局)や産業支援機関(ひろしま産業振興機構,日本貿易振興機構(ジェ
トロ)広島貿易情報センター,中小企業基盤整備機構中国支部)との一層の連携を
図るとともに,常に県内企業のニーズの把握に努め,的確で柔軟な見直し等を進め
ることにより,最大限の効果を得るよう努める。
(2)施策の展開
ア 「機運醸成」のための施策展開 ~認知・興味~
(趣旨)
県内企業が中国の成長市場について「認知」し「興味」を持ち,中国をはじめ
海外の成長市場へのビジネス展開に向けて,主体的な第一歩を踏み出す機運を醸
成する。
(重点的な取組)
○
県内企業の挑戦や県の取組等について,様々な機会を利用した戦略的な広報
を展開
・
パブリシティ(報道機関)や県の広報媒体を活用し,中国との経済交流に
ついての県の取組等への理解を深める。
・ 四川省・重慶市のメディアと交流関係を持つ県内メディアと連携し,双方
向に情報を発信する。
・ 現地の成長市場等を実感するための県内企業による視察研修団を派遣する。
○ 四川省・重慶市に向けて,本県の多様な魅力を紹介するための情報発信を強
化
18
・ 広島の魅力を広くPRするイベントを現地で開催する。
・ 四川省成都市で開催される「中国西部国際博覧会」へ本県のブースを出展
する。
○ 中国市場を獲得するための県内企業の取組状況やニーズ等を把握
・ 企業訪問によるモニタリング等を実施する。
○ トップ(知事)による,現地政府や企業,消費者等への,広島ブランドのプ
ロモーション
・ 県内経済界・企業を帯同したトップ外交を展開する。
・ 観光・県産品のプロモーションを行うトップセールスを実施する。
○
地方政府間の信頼関係のもと,双方の経済交流や人材交流を進めるための経
済交流協定を締結
イ 「現地情報収集・提供」のための施策展開 ~探索・比較~
(趣旨)
県内企業が中国の成長市場に関する情報を積極的に「探索」し,他の海外市場
と「比較」するための情報収集の実施を支援するため,既存のネットワークに加
え,本県独自に現地情報を収集し,県内企業へ情報提供を行う。
(重点的な取組)
[県内企業の中国への事業展開のための施策]
○
県内企業へタイムリーで生きた情報を提供する新たな情報拠点を四川省に設
置
・ 国内では入手困難な現地の生きた情報を収集・提供する。なお,拠点設置
に当たっては,直営・委託など最適な形態を検討する。
○ 県内企業に対する四川省・重慶市についての情報収集を支援
・ 講演会・セミナーを開催する。
・ 現地調査団を派遣する。
・ 短期の貸しオフィスの提供など,ビジネスの立上げ時における企業の現地
での情報収集拠点の設置を支援する。
・ ひろしま産業振興機構や日本貿易振興機構(ジェトロ)の現地事務所を活
用することにより,情報収集力の更なる強化を図る。
(参考)
【ひろしま産業振興機構】
上海事務所,大連ビジネスサポーター,重慶ビジネスサポーター
【日本貿易振興機構(ジェトロ)】
広州事務所,上海事務所(※),大連事務所,青島事務所,北京事務所,
武漢事務所,香港事務所
※ 四川省・重慶市はジェトロ上海事務所の管轄
19
[中国の活力の県内への取込みのための施策]
《観光インバウンド》
○ 中国人の所得層別観光志向や県内の受入体制の課題等を把握するため,中国
の観光市場に関するマーケットリサーチを実施
○ 個人旅行や団体旅行等の旅行種別に応じた観光プロモーションを実施
《中国ファンド等とのマッチング》
○ 産業観光なども含めた中国側の企業や投資家等の視察ツアーを招へいし,広
島の投資可能性をPR
○ ひろしま産業振興機構や日本貿易振興機構(ジェトロ)の現地事務所の活用
により情報収集力を強化
ウ 「ビジネス機会の創出」のための施策展開 ~評価・選択~
(趣旨)
県内企業が中国の成長市場へのビジネス展開を目的に,販売や提携などのビジ
ネスパートナーを「評価・選択」するための機会を創出する。
(重点的な取組)
[県内企業の中国への事業展開のための施策]
○
県内企業の四川省・重慶市への販路開拓・拡大のためのビジネスマッチング
等を実施
・
現地政府を介在させ,参加企業のニーズにあった現地企業を選抜した商談
会を開催する。
・
現地及び県内での物産展を開催する。
・
現地で開催される各種見本市等の中から,県内企業の需要に合致したもの
を選択し,戦略的に活用する。
・ 有力バイヤー等を広島へ招へいする。
・ 国内の大手企業,商社,卸業者へ県内企業がアピールする場を設定する。
○
県内企業のテストマーケティングを支援
・ 中国顧客を対象としたネットモールへの出展を支援する。
・ 現地で本県の情報や県内企業情報を発信するアンテナショップの設置を検
討する。
○ 日本貿易振興機構(ジェトロ)の現地事務所と一体となった特定分野での販
路開拓を支援
・
地域間交流(RIT)事業の活用による環境関連企業の販路開拓など,日
本貿易振興機構(ジェトロ)事業と連携した支援を行う。
20
○ 現地への進出を検討している企業の課題を調査
・ 複数企業による共通インフラ(例:上下水道設備,廃棄物処理施設,倉庫,
福利厚生施設 等)の利用可能性等を調査し,必要な施策の検討を行う。
[中国の活力の県内への取込みのための施策]
《観光インバウンド》
○
現地旅行社と日本側ランドオペレーター等のビジネスマッチングを実施
・ 現地旅行社を広島へ招へいする。
・ 日本側ランドオペレーター(現地手配会社)と県内ホテル・レストラン等
とのビジネスマッチングを実施する。
・
現地で開催される各種見本市等の中から,参加意義の高いものを選択し,
戦略的に活用する。
《中国ファンド等とのマッチング》
○ 現地の投資家と県内ベンチャー企業との交流を促進
○ 見本市等の戦略的な活用と商談会の実施
エ 企業のニーズに対応した「コンサルティング」のための施策展開 ~行動・決定~
(趣旨)
中国の成長市場へのビジネス展開を「決定」し「行動」する県内企業に対して,
それぞれの企業に応じて,きめ細やかで一貫したコンサルティングを行う。
また,環境・省エネなどの技術経験を活かし,官民連携により,インフラ分野
での海外展開など,広島発の新たなビジネスモデルの創出を図る。
(重点的な取組)
[県内企業の中国への事業展開のための施策]
○ 専門家による企業の経営戦略決定への支援を行う「海外展開ナビゲーター(仮
称)」を設置
・ 中国市場のビジネス事情に詳しい人材,企業を確保する。
・ 産業支援機関の相談員との支援チームを編成する。
○ 商社・エンジニアリング会社と連携したインフラ輸出等の新たなビジネスモ
デルを創出
・ 官民が所有するノウハウ・製品・技術等のパッケージ化を支援する。
・ 商社等との包括提携や個別提携を検討する。
○ 中国ビジネスにノウハウを有する海外企業等とのビジネスアライアンスへの
支援
21
・
華人ネットワークを有し,言語・文化の点でも類似性の高い台湾,香港等
の企業とのビジネスアライアンスに向けた支援を行う。
(参考)
広島日本香港協会(平成22年設立) ~香港貿易発展局と連携
○ 地元金融機関との連携等
・ 地元金融機関等が有するアジア進出サポート機能等と連携する。
・ 県内企業の海外展開のための資金面での支援策を検討する。
○ 共通インフラ等の確保による集団進出への支援
・
県内企業の現地進出に当たり,集団化を図ることで,共通インフラの効率
的な確保を検討する。
(例:上下水道設備,廃棄物処理施設,倉庫,福利厚生
施設
等)
[中国の活力の県内への取込みのための施策]
《観光インバウンド》
○ ターゲット層に応じた,中国人観光客の受入体制を整備
・
観光メニュー等の中国語対応,銀聯(ぎんれん)カード等のインフラ整備
に向けた県内商業施設等との協力体制を構築する。
・
『瀬戸内
海の道構想』が推進する瀬戸内ツーリズムを実現できる受入体
制を整備する。
・
スマートフォンを活用した多言語対応の観光情報提供サービスを本格的に
展開する。
《中国ファンド等とのマッチング》
○ 県内立地助成策を積極的に活用し,中国企業の県内誘致を推進
・ 県や市町の立地助成制度を活用する。
・
県内進出企業に対してオフィス賃料を助成する。
オ 中国との経済交流を支える基盤の強化
(趣旨)
これまでの友好交流の蓄積による人的ネットワークや,産業人材や留学生など
の人的交流,空路・航路のアクセス等,中国との経済交流を支える基盤を強化す
る。
22
(重点的な取組)
○ 周年行事の開催や環境技術研修員の受入れ等,これまでの本県と四川省との
友好交流の実績を礎に,更なる友好交流を進展
(参考)
【県及び県内市町の友好提携先】
団体名
提携先
締結年月日
広島県
四川省
昭和 59(1984)年 9 月 17 日
広島市
重慶市[H9.3.14 から直轄市]
昭和 61(1986)年 10 月 23 日
庄原市
四川省綿陽市
平成 4(1990)年 9 月 29 日
三次市
四川省雅安市(現・雅安市雨城区)
平成 4(1992)年 10 月 6 日
東広島市
四川省徳陽市
平成 5(1993)年 10 月 14 日
大竹市
四川省都江堰市
平成 13(2001)年 4 月 10 日
府中市
浙江省平湖市
平成 16(2004)年 5 月 25 日
○ 現地日系企業や広島ゆかりの中国人との県独自のネットワークを構築
(参考)
【民間企業】
(例)成都日本商工クラブ(約80社)
(例)重慶日本クラブ(約50社)
(例)四川省・重慶市進出県内企業
○ 中国からの留学生の受入れから県内企業等への就職までを総合的に支援し,
中国と本県の経済交流における架け橋となるグローバル人材を確保
・ 県費四川省留学生奨学金制度を創設する。
・ 広島県留学生活躍支援センター(※)との連携など優秀な留学生の受入促進
と県内企業への就職を支援する。
※
留学生の受入から県内企業等への就職までを総合的に支援するため,県内の大学,経済
団体及び行政等で平成23年4月に設立。
(構成団体:38団体)
○ 定期航空路線や定期コンテナ航路の拡充・強化等のインフラ整備を推進
・ 中国からの観光客受入促進のための路線・便数の充実に向けてエアポート
セールスを強化する。
・
中国側荷主企業へのポートセールスを強化する。
○ 広島へ中国総領事館を誘致
・
中国・四国地方における中枢性・拠点性の向上,外国籍を含む県民の利便
性向上及び交流促進のために,中国総領事館の誘致を進める。
23
【別 紙】
対中国(内陸部)戦略のロードマップ
企業の海外展開の意思決定プロセス:
認知・興味
探索・比較
評価・選択
行動・決定
ビジネス機会の創出
コンサルティング
マーケティング力の向上支援
機運醸成
現地情報収集・提供
中国市場獲得の形態 中国内陸部
ビジネスの潜在的可能性
○ 県内企業の行動を促す戦略的広報の展開 ○ 四川省への新たな情報拠点の設置
○ 消費財
~著しい経済成長による所得増加に
伴う大消費市場の出現
県
内
企
業
の
中
国
へ
の
事
業
展
開
輸
出
の
拡
大
・パブリシティ(報道機関)等を活用した県の中国戦略 ・タイムリーで生きた情報の収集
アピール
・四川省側との交流関係を持つメディアとの共同発信
・現地視察研修団の派遣
○ 四川省・重慶市への販路開拓・拡大
のためのマッチング
○ 海外展開ナビゲーターの設置(専門家
による経営戦略決定への支援)
・現地政府を介在させた商談会の開催
・物産展の開催
・現地見本市の戦略的活用
・有力バイヤー等の招聘
・大手企業・商社・卸業者とのマッチング(国内)
・スタッフの確保
・産業支援機関の相談員とのチーム編成
○ テストマーケティングの支援
○ 四川省・重慶市での情報発信強化
・広島PRイベントの開催
・西部国際博覧会への県ブース出展
○ 中間財・資本財
~国策による内陸部への重点投資
と,これに伴う中間財・資本財
の飛躍的な市場拡大
○ 四川省・重慶市についての情報収集支援
・講演会・セミナーの開催
・現地調査団の派遣
・企業の情報収集拠点の設置支援
・産振構やジェトロの現地事務所の活用による情報
収集力の強化
・ネットモールへの出展支援
・アンテナショップの設置の検討
○ 製造業
・官民が持つノウハウ・製品・技術等のパッケージ
化支援
・商社等との包括・個別提携の検討
○ ビジネスアライアンスへの支援
・華人ネットワーク等を有する台湾,香港等の企業
との連携支援
○ ジェトロ現地事務所と一体となった
特定分野の販路開拓支援
・地域間交流(RIT)事業を活用した環境関連
企業の販路開拓支援
現
地
へ
の
進
出
○ 商社・エンジニアリング会社と連携
したインフラ輸出等の新たなビジネス
モデルの創出
○ 中国市場獲得の視点からの県内企業の
状況把握
○ 地元金融機関との連携等
・地元金融機関のアジア進出サポート機能等との
連携
・県内企業の海外展開のための資金面での支援策の
検討
・企業訪問によるモニタリング等の実施
~グローバル価格競争のための現地
生産・現地消費
及び第三国への輸出拠点
○ 現地への進出を検討している
企業の課題調査
○ 共通インフラ等の利用による
集団進出支援
・複数企業による共通インフラの利用可能
性の検討
・共通インフラの確保の検討
(例:上下水道・廃棄物処理施設,
倉庫,福利厚生施設など)
○ サービス・小売・流通
~高品質,高効率の日本システムの
優位性
○ トップ外交及びトップセールス
○ 観光インバウンド
・県内経済界・企業の帯同
・観光・県産品のプロモーション
~個人観光ビザの解禁,
飛躍的に伸長する富裕層・中間層
の観光需要の増加,
日本向け旅行市場開拓の余地
中国の活力の
県内への取込み
○ 中国ファンド等との
マッチング
~中国の対外直接投資が拡大する
中,日本の高い技術力やブランド
力に着目した日本への直接投資の
増大
中国との経済交流を支える基盤の強化
○ 地方政府間の経済交流協定の締結
○ 現地旅行社と日本側ランドオペレー
○ マーケットリサーチによる所得層別の
観光志向の把握と受入体制の課題の把握 ター等とのマッチング
○ ターゲット層に応じた受入体制の整備
・商業施設等との協力体制の構築
・瀬戸内ツーリズムを実現できる受け皿整備
・多言語対応ナビの本格展開
○ 旅行種別(個人旅行,団体旅行)に応じ
た観光プロモーションの実施
・現地旅行社の招聘
・日本側手配会社と県内ホテル・レストラン等との
マッチング
・現地見本市の戦略的活用
○ 視察ツアーの招聘
○ 現地投資家とベンチャー企業との交流 ○ 県内立地助成策の積極活用
○ 産振構やジェトロの現地事務所の活用
による情報収集力の強化
○ 見本市の活用・商談会の開催
・立地助成制度の活用
・オフィス賃料の助成
○ これまでの友好交流実績の活用(周年行事等四川省との交流,市町交流,草の根交流,大学間交流,四川省からの環境研修生の受入れ)
○ 現地日系企業,広島ゆかりの中国人とのネットワーク確立・強化(既進出日系企業(例:成都日本商工クラブ)との関係強化,留学生・研修生等広島ゆかりの中国人との
ネットワーク化)
○ グローバル人材の確保(県費四川省留学生奨学金制度の創設,広島県留学生活躍支援センターとの連携など優秀な留学生の受入促進と県内企業への就職支援)
○ 定期航空路線・定期コンテナ航路の拡充・強化等のインフラ整備
○ 広島への総領事館の誘致
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