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第2回分子骨格筋代謝研究会 - 京都大学大学院人間・環境学研究科 林
第2回分子骨格筋代謝研究会 日時:平成 22 年 5 月 22 日(土)13 時~18 時 15 分(終了予定) 会場:京都大学大学院人間・環境学研究科 参加費:一般 1000 円 地下大会議室 院生・学生は無料 幹事:藤井宣晴(首都大学東京人間健康科学研究科教授) 桧垣靖樹(福岡大学スポーツ科学部教授) 林 達也(京都大学人間・環境学研究科准教授) 川中健太郎(新潟医療福祉大学健康科学部准教授) 事務局:京都大学大学院人間・環境学研究科認知・行動科学講座 〒606-8501 京都市左京区吉田二本松町 email:[email protected] 林 達也 TEL・FAX:075-753-6640 ご挨拶 本日はご多忙のところ「第2回分子骨格筋代謝研究会」にお集まりいただきありが とうございます。 本研究会は「“代謝器官としての骨格筋”を分子的視点から研究するとともに、その 学術的意義をアピールしよう」という目的で、4 名の幹事が集まって立ち上げた研究会 です。 昨年 3 月 28 日に開催した第 1 回では、幹事自身の発表とともに、幹事からお願い した 4 名の先生方(早稲田大学 東田一彦先生、福岡大学 飛奈卓郎先生、京都大 学 宮本理人先生、国立健康・栄養研 三浦進司先生)に、ご自身の最近のご研究に ついてご紹介をいただくことができました。 第2回の今回も、幹事からお願いした先生方にご研究を紹介していただくスタイル をとっております。昨年は 1 人あたりの持ち時間を講演 25 分、質疑 5 分としていまし たが、ほぼすべてのセッションで時間がオーバーしてしまいました。本年は、講演 30 分、質疑 10 分とそれぞれ増やしてしておりますので、十分なディスカッションができる かと思います。ぜひ活発なご討論をお願いいたします。 幹事一同、「参加してよかった」と感じていただける研究会を目指して努力する所存 です。今後とも皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げます。 平成 22 年 5 月 22 日 第 2 回分子骨格筋代謝研究会事務局担当幹事 京都大学大学院人間・環境学研究科 林 達也 2 第2回分子骨格筋代謝研究会 プログラム 13:00~ 開会の辞 林 達也(京都大学人間・環境学研究科) 13:05~ セッション1 司会 藤井宣晴(首都大学東京人間健康科学研究科) ・眞鍋康子 (首都大学東京人間健康科学研究科) 「骨格筋研究における新規収縮モデル系とその応用」 ・清水孝彦 (東京都健康長寿医療センター研究所老化機構) 「酸化ストレスは骨格筋での ATP 産生能と強制運動能力を低下させる」 14:25~ コーヒーブレイク 14:40~ セッション 2 司会 桧垣靖樹(福岡大学スポーツ科学部) ・須藤みず紀 (福岡大学スポーツ科学部身体活動研究所) 「筋損傷-再生過程における骨格筋線維アポトーシスの発生」 ・橋本健志 (立命館大学スポーツ健康科学部) 「脂肪分解の分子機構」 16:00~ セッション 3 司会 林 達也(京都大学人間・環境学研究科) ・田村好史 (順天堂大学代謝内分泌学講座・スポートロジーセンター) 「新規インスリン抵抗性規定因子「脂肪負荷感受性」の発見とその規定因子 の解明」 16:40~ コーヒーブレイク 16:55~ セッション 4 司会 川中健太郎(新潟医療福祉大学健康科学部) ・志内哲也 (生理学研究所生殖・内分泌系発達機構研究部門) 「視床下部オレキシンによる骨格筋糖代謝調節作用」 ・井上和生 (京都大学農学研究科食品生物科学専攻栄養化学分野) 「運動時エネルギー代謝の中枢性調節」 18:15~ 閉会の辞 藤井宣晴(首都大学東京人間健康科学研究科) 18:30~ 懇親会 (人間・環境学研究科 333 演習室) 3 講演タイトル: 骨格筋研究における新規収縮モデル系とその応用 発表者:眞鍋 康子 (まなべ やすこ) 所属: 首都大学東京・人間健康科学研究科 ヘルスプロモーションサイエンス学域 職名: 助教 連絡先:〒192-0397 八王子市南大沢 1-1 13 号棟 [email protected] 略歴:平成13年 京都大学大学院農学研究科で博士取得。平成13年9月からは独 立行政法人酒類総合研究所 任期付き研究員として清酒の味覚研究に従事。平成1 6年5月から平成18年11月まで ハーバード大学医学部ジョスリン糖尿病センター にてポストドクターとして骨格筋の研究に従事、平成18年から平成20年まで、京都 大学大学院農学研究科 産学官連携研究員として油の味覚認識メカニズムの研究。 平成20年4月から現職。 講演要旨:骨格筋を対象に、運動の効果を検証する研究では、様々なモデル系が用 いられている。代表的なモデルとしては、動物をトレッドミルや遊泳により運動させる 系、麻酔した動物の坐骨神経に電気刺激を与えることによって、unconscious な状態 で片側の下肢筋のみを収縮させる系、動物から摘出した骨格筋を試験管内で培養し ながら電気的に刺激を与え収縮させる系、などがある。いずれの系もそれぞれ利点と 欠点をそなえている。共通する欠点としては、筋細胞以外の組織混入を排除すること ができず、得られる結果が「運動によって引き起こされた骨格筋の変化である」と断定 できないことである。本講演では、我々の研究室が開発した、培養細胞株を電気的に 収縮させる系を運動モデルとして用いる試みについて報告し、さらに、この系を用い て現在進行している応用研究について紹介する。 メッセージ:もともとは、農学研究科(栄養化学研究室)で博士を取得して、味覚や食 品に興味をもって研究をおこなってきました。しかし、運動・栄養・食品の研究は、最 終的には「健康的な生活を送るために解明すべきこと」の一点に集約するのではない かと考えております。様々な研究経歴で得た経験をもとに、骨格筋分野のブレークス ルーとなるような研究ができるよう頑張っていきたいと思っております。研究室の HP やブログを管理する必要上、ウェブ管理が全くの素人だったわたしの腕も研究ととも に上がってきている? http://www.comp.tmu.ac.jp/muscle/ 4 講演タイトル: 酸化ストレスは骨格筋での ATP 産生能と強制運動能力を低下させる 発表者:清水 孝彦 (しみず たかひこ) 所属: 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 老化機構研究チーム 職名: 研究員 連絡先:〒173-0015 東京都板橋区栄町 35-2 [email protected] 略歴:1995 年広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程修了(農学博士)。1997 年から東京都老人総合研究所・研究員。2009 年より地方独立行政法人東京都健 康長寿医療センター研究所・老化機構研究チーム研究員。2003 年より東京農工 大学大学院連合農学研究科環境老年学・客員准教授併任。寿命と老化の分子メ カニズムについて研究している。 講演要旨:ミトコンドリア呼吸の副産物として発生する活性酸素による組織傷 害は加齢による生体機能低下の主要な原因と考えられている。我々は骨格筋機 能低下における活性酸素傷害モデルとして、骨格筋特異的 Mn-SOD 欠損マウスを 作製した。本欠損マウスは正常に発育し、体重等の形態学的な異常は認められ ず、若齢および 30 ヶ月齢においても筋萎縮は認められなかった。しかし腓腹筋 において中心核が顕著に認められ、筋繊維の再生像が観察された。ミトコンド リア呼吸酵素活性を調べたところ、呼吸酵素複合体 II 活性が著しく低下してい た。自発行動量は野生型マウスと有意差は認められなかったが、トレッドミル による強制走行能力が著しく低下していた。またその低下は著しい血中乳酸値 の増加と骨格筋内 ATP 量の低下を伴っていた。抗酸化剤 SOD/カタラーゼ活性を 有する抗酸化剤 EUK-8 を腹腔内単回投与したところ、24 時間後に著しく強制走 行時間が回復し、96 時間まで走行能力が持続した。また骨格筋内 ATP 量が野生 型マウスと同レベルに回復していた。一方、走行後の血中乳酸値は高値のまま であった。以上の結果から、骨格筋特異的 Mn-SOD 欠損マウスは骨格筋内 ATP 量 が枯渇することで強制走行能力が低下し、抗酸化剤投与により ATP 量が回復し、 走行能力が回復することが明らかとなった。 メッセージ:フリーラジカル仮説老化にどのくらい関わっているのか?また抗酸化剤は 老化を遅延できるか?抗酸化食品はどのくらい私たちの生活に役立つのか?骨格筋 を含めた様々な組織に注目して、これらの課題を地道に明らかにしていきたいと考え ています。 5 講演タイトル: 筋損傷-再生過程における骨格筋線維アポトーシスの発生 発表者: 須藤 みず紀 (すどう みずき) 所属: 福岡大学 スポーツ科学部 身体活動研究所 職名: ポスドク 連絡先: 〒814-0180 福岡県 福岡市 城南区 七隈 8-19-1 [email protected] TEL:092-871-6750 略歴: 平成 15 年 電気通信大学電子物性工学科卒業.平成 17 年 同大学大学院 量子・物質工学専攻入学,運動誘発性筋損傷とアポトーシスに関する研究に従 事.平成 22 年 3 月 電気通信大学 博士(理学)取得.同年 4 月より現職.主な 研究テーマは,骨格筋アポトーシスの発生,血流制限運動による筋細胞応答. 動物モデルを対象に組織学・生化学的手法を用いて活動中. 講演要旨: 骨格筋は,多核細胞である筋線維によって構成され,他の細胞と異 なった形態的,機能的特性を示す.骨格筋における筋収縮は,メカニカル,低 酸素,代謝ストレス等を含んだ複合的な刺激を誘発する運動ストレスである. 筋収縮は,筋線維微細構造の崩壊,筋線維の浮腫,貪食細胞の浸潤などの炎症 を引き起こす一方,損傷した筋線維は再生される.筋線維の損傷は,筋線維全 体に生じるものではなく,線維の一部分に起こるため,筋線維の再生は部分的 な修復と捉えることができる.一般的に細胞死・細胞構築には,遺伝子によっ てプログラムされた機構により自らを除去する“アポトーシス”が関与してい ることが指摘されている.しかしながら,骨格筋の損傷-再生過程において多 核細胞である筋線維に対するアポトーシスの関与は未だ明らかにされていない. 本発表では,運動ストレスにともなう筋損傷とその再生機構に着目し,特にそ の過程で生じるアポトーシスの発生とその機序について紹介する. メッセージ:身体活動には,重要な器官である骨格筋.多核であり,線維状の 細胞であるという特徴は,骨格筋において一般的な生物応答があてはまらない 要因であると考えています. “アポトーシス”という現象もその一つです.この 魅力溢れる骨格筋における分子レベルからの声に組織学・生化学・遺伝子学的 観点から耳を澄まし,解明することを目標としています. 6 講演タイトル: 脂肪分解の分子機構 発表者:橋本 健志 (はしもと たけし) 所属: 立命館大学スポーツ健康科学部 立命館大学スポーツ健康科学研究科 職名: 准教授 連絡先:〒525-8577 滋賀県草津市野路東 1-1-1 [email protected] 略歴:平成11年京都大学総合人間学部卒業。平成11年京都大学大学院人間・環境 学研究科入学、骨格筋・心筋の組織化学的・生化学的特性に関する研究に従事、平 成16年京都大学博士(人間・環境学)。その後、University of California Berkeley (Exercise Physiology Laboratory) でポスドク、平成20年兵庫県立大学大学院生命理 学研究科・特任助教を経て、平成22年より現職。”Exercise is medicine”の分子メカニ ズムに興味を持っている。 講演要旨:脂肪組織は、過剰なエネルギーをトリグリセリド(TG)として巨大な脂肪滴 に貯蔵し(脂肪合成)、必要時には TG を分解し(脂肪分解)、エネルギー基質として脂 肪酸を放出することにより、生体内の脂質ホメオスタシスに寄与している重要な組織 である。脂肪細胞がもつ巨大な脂肪滴の表面では、PAT タンパク質(Perilipin など)や リパーゼといった複数の脂肪滴結合タンパク質の厳密な制御のもとに、脂肪の貯蔵と 分解が行われていると考えられている。しかしながら、その分子機構については現在 の研究課題である。私は、この2年間、脂肪細胞がどのような仕組みで活発な脂肪分 解を達成しているのか、脂肪滴結合タンパク質ならびに脂肪滴そのものの挙動に着 目して研究してきた。今回は、その成果について紹介したい。 メッセージ:脂肪細胞における脂肪分解は、脂肪動員の初発段階にもかかわらず、ま だまだ課題の多い研究分野であると思います。脂肪酸を供給する側の脂肪細胞と脂 肪酸をエネルギー基質として利用する側の骨格筋・心筋がうまく協調することが、効 率のよい脂肪燃焼につながると考えています。このことは、スポーツ科学や健康科学 の分野にとって、非常に重要なテーマであると思います。 7 講演タイトル: の解明 新規インスリン抵抗性規定因子「脂肪負荷感受性」の発見とその規定因子 発表者:田村 好史 (たむら よしふみ) 所属: 順天堂大学代謝内分泌学講座 文科省事業 スポートロジーセンター 職名: 准教授 連絡先:〒113-8421 東京都文京区本郷 2-1-1 e-mail: [email protected] 略歴:平成 9 年 3 月に順天堂大学医学部卒業し 3 年間の内科研修の後、平成 12 年に順天 堂大学医学部代謝内分泌学講座に入局。同年 10 月 から 3 ヶ月間カナダ・トロント大学生理 学教室に留学。その後、平成 17 年 3 月順天堂大学大学院修了。平成 18 年 4 月~代謝内分 泌学講座 助手、平成 19 年 4 月~同准教授、文科省事業スポートロジーセンターの幹事とし て研究を進めている。 講演要旨: 肥満によりもたらされるインスリン抵抗性は、2 型糖尿病、メタボリックシンドロー ムの重要な発症因子であると認識されてきた。しかしながら、日本人の糖尿病患者の平均 BMI は 23 kg/m2 と正常レベルであること、心血管系イベントによる死亡は非肥満患者 (BMI<25 kg/m2)が全体の約 80%を占めていることが明らかとなっている。従って、日本人など の東洋人の糖尿病や動脈硬化症の病態を考える上で、非肥満の病態生理学的な検討が必 須である。この点に関して 1H- magnetic resonance spectroscopy (MRS)法による骨格筋細胞 内脂質の測定技術が確立し、細胞内脂質の蓄積が全身的な肥満とは独立してインスリン抵 抗性を惹起する可能性が示唆されている。我々は、日本人において高脂肪食が全身肥満の 発症と独立して骨格筋細胞内脂質を増加させ、インスリン抵抗性を惹起し、メタボリックシンド ロームや2型糖尿病、動脈硬化症の発症に結びついていると仮説を立て研究を進めてきた。 この中で、一定量の高脂肪負荷による骨格筋細胞内脂肪の増加の程度を「脂肪負荷感受 性」として新規に定義し、その規定因子について検索を行っている。当日は、脂肪負荷感受 性を規定する生理学的な因子とともに骨格筋サンプルからのマイクロアレイ解析の結果も併 せてご紹介したい。 メッセージ:私は、中学・高校で陸上競技(短距離)をやっていたのですが、その時以来スポー ツ医学、骨格筋代謝に興味を持ち現在に至っています。現在は、スポートロジーセンターで非 肥満者における病態の解明などをテーマとして研究を進めているのと同時に、国際スポート ロジー学会という学会の創立に関わっております(http://www.ia-sportology.jp/index_ja.html)。 「スポーツと健康」というテーマで幅広い活動を目指しておりますので、ご興味がございました ら、ご支援をよろしくお願いいたします。 8 講演タイトル: 視床下部オレキシンによる骨格筋糖代謝調節作用 発表者:志内 哲也 (しうち てつや) 所属: 生理学研究所 生殖・内分泌系発達機構研究部門 職名: 助教 連絡先:〒444-8585 愛知県岡崎市明大寺町西郷中 38 [email protected] 略歴:1997 年徳島大学総合科学部卒業。1999 年徳島大学大学院人間・自然環境研 究科修了。ヒトを対象とした代謝・血圧・動作などの運動生理学的研究を行う。2003 年愛媛大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。マウスを用いた in vivo 代謝実験 をメインに、視床下部あるいはアンジオテンシン II と骨格筋糖代謝に関する研究に従 事。その後、愛媛大学医学部ポスドク、助手を経て、2004 年より現職。骨格筋をはじ めとする末梢組織のエネルギー代謝に及ぼす視床下部の役割について研究中。 講演要旨:視床下部は、ヒトでは非常に小さな脳領域を占めるに過ぎないが、食欲 や性欲、睡眠など、本能行動を司る重要な部位である。さらに、情動系や報酬系など に関わる神経系とも相互作用して、ヒトの複雑な行動様式とも関係が深い。また視床 下部は、内分泌系や自律神経系の司令塔として末梢組織におけるエネルギー代謝を 調節し、様々な行動と連動しながら各組織の代謝を制御する。 視床下部によるエネルギー代謝調節作用が注目されるようになったのは、レプチンの 発見が大きい。レプチンは、脂肪細胞から血中に分泌され、視床下部に豊富に発現 するレプチン受容体に作用して摂食を抑制するとともに、末梢組織におけるエネルギ ー消費の亢進を引き起こし、エネルギー代謝を個体レベルで制御する。 その後、視床下部に作用するホルモンや神経ペプチドが次々に発見され、視床下部 によるエネルギー代謝調節作用の重要性が改めて注目されるようになった。中でも、 神経ペプチドであるオレキシンは、摂食促進物質であるとともに、睡眠・覚醒レベルを 制御するという、ユニークな役割を有する。今回、我々は、オレキシンが交感神経を 介して骨格筋における糖代謝を調節することを見出した。本研究会では、視床下部に よるエネルギー代謝調節機構について簡単に紹介した後、オレキシンによる骨格筋 の糖代謝調節メカニズムについて報告したい。 メッセージ:健康は、運動・栄養・休養(睡眠)のバランスが重要であると考えています。 骨格筋と視床下部は、これら 3 要素に大きく関与する身体の部位だと思います。末梢 組織の中でも骨格筋は意のままに操れる唯一の臓器であり、視床下部と骨格筋を主 とした臓器間ネットワークによる生理学的メカニズムを分子レベルで解明することが、 健康の維持・増進および疾病予防につながると思い込んで研究中です。 9 講演タイトル: 運動時エネルギー代謝の中枢性調節 発表者:井上 和生 (いのうえ かずお) 所属: 京都大学大学院農学研究科 食品生物科学専攻栄養化学分野 職名: 准教授 連絡先:〒606-8502 京都市左京区北白川追分町 [email protected] 略歴:84 年京都大学農学部卒業、86 年京都大学大学院農学研究科修了、86-88 年宝酒造(株)中央研究所研究員、89 年京大農学部食品工学科栄養化学講座助手、 05 年より現所属准教授。この間 99-01 年 Oxford Univ., Dept. of Exp. Psychol. で Academic Visitor および University College London, Dept. of Psychol. で Honorary Research Fellow. 講演要旨:運動時のエネルギー代謝調節には運動の本体である骨格筋に大きな 自律性が与えられている。しかし主として持久的な運動時に骨格筋の要求に応 えるエネルギー源の供給増大や、消化・吸収など運動時に優先順位の低い活動 の抑制を神経系や内分泌系を介して調節し、全身を運動に適した状態とする役 割は脳が果たすものと考えられる。本講演では低〜中強度の運動で脂肪酸代謝 の亢進に視床下部の中でも腹内側核(VMH)が関与することを示す。 エネルギー源として脂肪酸をよく使う運動強度でラットをトレッドミル走行さ せた。エネルギー代謝は呼気ガス分析により測定した。このとき VMH, 視床下部 外側野, 視床下部室傍核で細胞外液中モノアミン濃度をマイクロダイアリシス で測定した。いずれの核でも走行中ノルアドレナリン(NA)濃度の増大が見られ た。各脳部位を局所麻酔の微量投与で機能抑制し、走行運動させると VMH に投 与した場合有意に脂肪酸酸化亢進が抑制された。さらにこれには β-アドレナリ ン受容体が関与することを示す。 メッセージ:元々運動による骨格筋肥大の研究から運動に関係する分野の研究 に入りました。学生時代は投擲(主として槍投げ)選手だったのですが、疲れや すく練習嫌いだったせいか中枢性疲労の研究を始めました。関連して運動時の 脂肪酸代謝亢進に関わる脳内機構の研究に興味が広がってきています。 10 第 1 回分子骨格筋代謝研究会プログラム 日時:平成 21 年 3 月 28 日(土)13 時~18 時 場所:京都大学吉田南キャンパス 総合人間学部棟地階1階 1B05 講義室 1.開会の辞 (13:00~13:10) 2.セッション1 (13:10~14:10) 林 達也(京都大学) 司会 桧垣靖樹(福岡大学) ・骨格筋の糖代謝調節における PPARδの役割 東田一彦(早稲田大学) ・運動強度と骨格筋の糖取り込み 川中健太郎(新潟医療福祉大学) 3.セッション 2 (14:15~15:15) 司会 川中健太郎(新潟医療福祉大学) ・一過性の運動がヒト骨格筋 PGC-1α遺伝子発現に及ぼす影響 飛奈卓郎(福岡 大学) ・運動による骨格筋 PGC-1α新規アイソフォームの発現 三浦進司(国立健康・栄 養研究所) 4.セッション 3 (15:30-16:30) 司会 藤井宣晴(首都大学東京) ・AMPK 遺伝子多型と耐糖能異常リスクの関連性について-J-MICC スタディの話 題提供- 桧垣靖樹(福岡大学) ・食品成分による骨格筋 AMPK の活性化と抑制の可能性 林 達也(京都大学) 5.セッション 4 (16:35-17:35) 司会 林 達也(京都大学) ・抗肥満ホルモン、レプチンの作用と AMPK 宮本理人(京都大学) ・骨格筋の糖輸送調節における AMPK と AMPK-related kinase 藤井宣晴(首都大 学東京) 6.総合討論 (17:35-17:55) 司会 林 達也(京都大学) 7.閉会の辞 (17:55-18:00) 藤井宣晴(首都大学東京) 11 FASEB Summer Research Conferen ce “AMPK: Central Regulator y System in Metabolism and G row th” - Kyoto, Japan Octob er 3 – 8, 20 10 Main topics of the conference include: 1) Molecular regulation of AMPK; structural, molecular biological, biochemical insights 2) AMPK system in cell growth, cancer and metabolism 3) Genetic mouse models of AMPK pathways 4) AMPK system in human health and disease Organizers: Takashi Kadowaki University of Tokyo Grahame Hardie University of Dundee Yasuhiko Minokoshi National Institute for Physiological Sciences Kei Sakamoto University of Dundee Federation of American Societies for Experimental Biology (FASEB) http://src.faseb.org/ Organizer の坂本啓先生(University of Dundee, UK)より、ぜひ多数ご参加くださいと のことです。 12 コンビニと自販機のご案内 飲料自販機 会場 飲料自販機 13