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日本大学人文科学研究所 哲学ワークショップ第 5 回
日本大学人文科学研究所 哲学ワークショップ第 5 回 「フェミニスト現象学」のご案内 日本大学人文科学研究所哲学ワークショップの第 5 回は、 「フェミニスト現象学」という テーマで開催します。 どうぞみなさんお誘いあわせのうえ、ご参加ください。 記 日時:2014 年 3 月 5 日(水) 13:00-18:00 場所:日本大学文理学部 3 号館 2 階 3204 教室 (交通:京王線 下高井戸/桜上水駅下車 徒歩 10 分) 講師:齋藤瞳、宮原優、稲原美苗、筒井晴香 プログラム: 13:00-14:00 齋藤瞳 14:00-14:10 休憩 14:10-15:10 宮原優 15:10-15:30 休憩 15:30-16:30 稲原美苗 16:30-16:40 休憩 16:40-17:40 筒井晴香 17:40-18:10 全体討論 ワークショップの主旨:フェミニスト哲学と現象学は、共通の視座と批判的視座との両方 で結ばれている。フェミニスト現象学は、この緊張関係の上で女性性を担う主体の経験 内容の分析を試みる学説である。フェミニスト理論の批判的視座は、現象学的身体論が 扱ってこなかった身体(性差のある身体、病者の身体等)の問題を明らかにした。この 問題に取り組むことは批判への単なる応答ではなく、現象学的身体論が文献的研究にと どまらず、事象研究としても有益なものであるために必要であると考える。本ワークシ ョップは、この前提のもとで、四人の提題者が身体をめぐる経験についての発表を行い、 またフェミニスト現象学の可能性についても検討する。 講師:齋藤瞳(日本大学通信教育部他非常勤講師) 講演タイトル:フェミニスト現象学という観点から考える女性の経験 要旨:女性の経験が哲学の中で主題的に取り上げられることはこれまでほとんどなかった。 その中で、アイリス・マリオン・ヤングは女性の経験の一つとして妊娠を挙げ、妊娠の 「客観的」な事実(観察可能な妊娠のプロセス)にのみ着目することを批判し、妊娠す る主体にとっての妊娠経験の意味を主題化し、その固有な主体性を記述することを試み る。本発表では、このヤングの論考を通して、哲学の中で女性の経験に着目する意義も 考える。 講師:宮原優(立教大学他 兼任講師) 講演タイトル:現象学的観点から考える身体についての表現 要旨:就労中、就学中の女性の多くは、月に 1 週間程度の月経を経験している。月経はそ れ自体多くの女性に不快感、痛み、体調の変容をもたらし、多くの女性たちに負担を課 している。にもかかわらず、月経という身体経験を語ることは極めて困難である。この 発表では、そうした表現の困難さの由来を考察したうえで、月経の経験という個人的で 個別的な身体性がいかにして有意味な形で語られ得るかを考察する。 講師:稲原美苗(大阪大学大学院文学研究科文化形態論専攻(臨床哲学)助教) 講演タイトル:フェミニスト現象学の見地から考える身体障害とその経験 ――哲学的当事者研究の可能性―― 要旨:フェミニスト現象学は女性の身体性や経験を研究対象として扱い、女性と世界の関 係を再考してきた。本発表では、フェミニスト現象学を応用し、これまで健常者中心に 論じられてきた現象学的考察に疑問を投げかけ、障害当事者が経験しているありのまま の世界を描写することを目的とする。軽度の脳性麻痺とともに生きている「私(発表者)」 と世界の関係を捉え直し、哲学的当事者研究の可能性について考えていく。 講師:筒井晴香(立教大学/日本学術振興会(PD)) 講演タイトル:「脳の性」という物語と生きられた経験 要旨:一般向けメディアにおいて「脳の性」の話題が人気を集めている。「脳の性」はしば しば、人間関係や育児など日常生活上のエピソードを伴って語られる。そのような「脳 の性」の語り方はなぜ人々の関心を引くのか。本発表では、経験についての語りを形作 る資源としての「脳の性」の特徴をナラティブ研究の観点から検討する。それを通して、 性差を帯びた身体の経験に関する支配的な語られ方と、そこからこぼれるものに光を当 てたい。 問い合わせ先: 日本大学文理学部哲学研究室 東京都世田谷区桜上水 3-25-40 電話 03-5317-9702 責任者: 日本大学文理学部哲学科 飯田 隆 iida.takashi19●nihon-u.ac.jp (●は@にご変更下さい)