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長 崎 県 公 報

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長 崎 県 公 報
県
公
毎週
報
第
火曜・金曜日発行
○印は長崎県例規集に登載するもの
長
目
◎
号
崎
県
公
報
次
監査委員公表
・包括外部監査結果の報告の公表
監
査
委
員
公
監査事務局
表
監査委員公表第4号
地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 252 条の 37 第5項の規定に基づき、包括外部監査人から監査の
結果に関する報告の提出があったので、同法第 252 条の 38 第3項の規定により、次のとおり公表する。
平成 25 年3月 29 日
長崎県監査委員 葺 本 昭 晴
同
砺 山 和 仁
同
野 本 三 雄
同
徳 永 達 也
平成 24 年度
包括外部監査結果報告書
及び報告に添えて提出する意見書
テーマ 過去の包括外部監査の措置状況等の検証について
長崎県包括外部監査人
小 森 泰 邦
‐目次‐
第1
外部監査の概要 ........................................................... 3
Ⅰ
外部監査の種類........................................................... 3
Ⅱ
選定した特定の事件....................................................... 3
1.外部監査のテーマ........................................................ 3
2.監査対象期間............................................................ 3
Ⅲ
事件を選定した理由....................................................... 3
Ⅳ
外部監査の方法........................................................... 3
1.外部監査の着眼点........................................................ 3
2.監査の対象について...................................................... 4
Ⅴ
監査従事者 .............................................................. 7
Ⅵ
外部監査の契約期間及び実施状況........................................... 8
1.外部監査の契約期間...................................................... 8
2.現場での外部監査の実施状況.............................................. 8
Ⅶ
表示数値について......................................................... 9
Ⅷ
利害関係 ................................................................ 9
第2
外部監査の結果 .......................................................... 10
Ⅰ
指摘事項及び意見の総括.................................................. 10
1.検出事項の総括......................................................... 10
2.「Ⅱ
Ⅱ
個別検討事項」の構成等について.................................... 31
個別検討事項 ........................................................... 32
Ⅱ-1
人事課(一部、財政課、情報政策課).................................. 32
Ⅱ-2
教職員課 ........................................................... 40
Ⅱ-3
新行政推進室(一部、港湾課)........................................ 45
Ⅱ-4
生涯学習課(長崎県立佐世保青少年の天地)(指定管理者:NPO 法人長崎県青少
年体験活動推進協会)...................................................... 64
Ⅱ-5
交通・地域安全課(長崎交通公園)
(指定管理者:財団法人長崎県交通安全協会)
......................................................................... 75
Ⅱ-6
漁政課 ............................................................. 84
Ⅱ-7
水産振興課(長崎魚市場特別会計).................................... 95
Ⅱ-8
長崎県総合水産試験場............................................... 111
Ⅱ-9
長崎県交通局....................................................... 126
Ⅱ-10
総務事務センター(物品調達基金)(一部、税務課、こども家庭課、大会総務
課、医療政策課、水産振興課、長崎港湾漁港事務所、農業経営課、農村整備課、販売
1
戦略課、長崎振興局)..................................................... 143
Ⅱ-11
こども医療福祉センター............................................ 172
Ⅱ-12-1
長崎港湾漁港事務所(港湾整備事業会計)(一部、総務文書課) ....... 191
Ⅱ-12-2
長崎港湾漁港事務所(港湾施設整備特別会計) ...................... 203
Ⅱ-13
総務文書課(庁用管理特別会計).................................... 210
Ⅱ-14
危機管理課(庁用管理特別会計).................................... 215
Ⅱ-15
建築課(庁用管理特別会計)........................................ 217
Ⅱ-16
管財課(庁用管理特別会計)........................................ 223
Ⅱ-17
用地課(用地基金)(一部、総務文書課)............................. 227
Ⅱ-18
福祉保健課........................................................ 239
Ⅱ-19
障害福祉課........................................................ 257
Ⅱ-20
医療人材対策室.................................................... 270
Ⅱ-21
こども家庭課...................................................... 274
Ⅱ-22
林政課 ........................................................... 288
Ⅱ-23
農業経営課........................................................ 308
Ⅱ-24
農政課(長崎県中山間地域等直接支払対策基金) ...................... 324
Ⅱ-25
農林技術開発センター(一部、農政課).............................. 325
2
第 1 外部監査の概要
Ⅰ
外部監査の種類
地方自治法第 252 条の 37 第 1 項及び第 2 項並びに第 4 項の規程に基づく包括外部監査
Ⅱ
選定した特定の事件
1.外部監査のテーマ
過去の包括外部監査の措置状況等の検証について
2.監査対象期間
平成 23 年度(平成 23 年 4 月 1 日から平成 24 年 3 月 31 日まで)
ただし、必要に応じ他の年度についても監査の対象とした。
Ⅲ
事件を選定した理由
包括外部監査制度が導入されてから本年度で 14 年目となる。これまで様々な事件につい
て包括外部監査が行われ、長崎県の行財政に貴重な指摘と意見が述べられてきた。これら
の監査結果については、地方自治法第 252 条の 38 第 6 項の規定により「措置」がなされ
ているものの、果たしてそれがどのように行財政の改善につながり、時の経過により変化
する状況において、また組織全体において、どのように生かされているか定かではない。
包括外部監査の制度趣旨に照らせば、行政の合規性の確保と効率性・有効性・経済性の向
上のため、監査結果については真摯に受け止め、対処することが県民の期待に応えるため
に必須である。一方で、昨年度の包括外部監査では、過去取り上げられた特定の事件と類
似するテーマであったものの、監査結果を見るに、時の経過に抗する措置のありかたや、
組織全体としての対応という点において課題が残されているのではないかと思われる。ま
た包括外部監査制度を形骸化させず、監査制度そのものを確立させ、将来にわたり有効に
機能させていく必要性もある。
そこで、本年度は、過去の外部監査の措置状況を検証し、今後の改善のために必要な追
加検証を行うことは、長崎県の行財政運営の向上にとって有意義であると考え、当該テー
マを特定の事件として選定した。
Ⅳ
外部監査の方法
1.外部監査の着眼点
昨年度の包括外部監査の特定の事件(監査テーマ)を「負担金、補助及び交付金に関す
る財務事務の執行及び特殊関係者との取引について」として、過去行われた類似の監査テ
ーマにより監査を実施したのであるが、結果は、多数の指摘事項と意見を検出・報告する
3
こととなった。
そこで、今年度は過去の監査の措置状況の検証を中心として長崎県の事務のあり方を考
察する必要があると考えた。また単にこれまでの措置状況の履行を検証するだけでは今後
の改善には限界があるところであるので、これに今後の改善のために必要と判断されたいく
つかの視点を追加して監査を実施することとした。これが、監査テーマにある「措置状況
等」の「等」の指すところである。
具体的には、おおよそ次の 3 種類の視点によって検証を進めている。
①
過去の監査の措置状況の検討のうち個別の問題点に対する対応状況
②
過去の監査結果のうち他の事象や部署に共通する問題点の検討
③
今後の改善のために必要と判断された問題点の検討
監査結果には、個別の問題に対応するものと、横断的に対応を求めるものがある。一つ
の監査結果に対してそれだけの対応をしていたのでは、組織全体の改善にはつながらない。
包括外部監査制度の効率性を喪失してしまう。
また、時の経過により制度も変化し、新しい事象も生じていく。これらへの対応も監査
で得られた考え方をもとに適切に対応できなければ、これもまた監査が生かされていると
は言えないであろう。更に、過去の監査に追加して、新たな視点でアプローチを試みた例
もある。管理部門への新たな管理手法を提示したいという意味合いもある。
過去の監査結果は、県にとって「財産」となる情報の集合体である。
本来は、監査結果を踏まえて、県の組織内で自律的な牽制が働き、個々の事務に合規性
や効率性などが担保されていくべきであり、そのために職員が更に力をつける必要がある。
着眼点の基礎にはこのような考えがあるが、これは昨年度から変わるものではない。
以上のほか、監査対象の選考に当たっては、リスクアプローチの観点から、過去の監査
結果を踏まえて牽制機能の弱いと思われる組織や事務を優先的に選考している。例えば、
組織(かい)では本庁から離れた部署を対象に含め、取引では横断的な管理を余儀なくさ
れる結果、横断的な管理が行き届かないと懸念される事務や、官庁会計の特質から管理の
脆弱なストック面の管理にかかる事務を対象としたりなどという点がその表れである。
2.監査の対象について
(1)監査の対象とした過去の包括外部監査
今回、平成 11 年度から行われてきた過去の外部監査のすべてを対象としたわけではない。
上述の通り、今回の監査が、過去の措置状況の履行だけを検証するという目的ではないた
め、選考した部署においてある程度の深度を確保したいというねらいと、リスクアプロー
チの観点から監査資源(人員と時間の投入)を効率的に行うことを優先したためである。
過去の包括外部監査の監査テーマと対象選定は以下のようになっている。
4
年度
監査テーマ
今回の対象か否か
以下での略称
平成11年度
財産(特に物品)の取得および管理にかかる事務処理について
対象外
―
平成11年度
交通事業会計について(平成10年度)
対象外
―
平成12年度
特殊関係者との取引(主に委託料)に関する事項
対象外
―
平成13年度
特殊関係者との取引(主に委託料)に関する事項
対象外
―
平成14年度
地方公営企業の財務事務の執行及び経営状況について
(交通事業、病院事業(多良見病院、大村病院、島原温泉病院)、港湾整備事業)
対象
公営企業
平成15年度
補助金及び貸付金に関する財務事務の執行について
貸付金は対象
貸付金
平成16年度
補助金及び貸付金に関する財務事務の執行について
貸付金は対象
貸付金
平成17年度
長崎県の試験研究機関の財務に関する事務の執行及び試験研究業務の管理について
対象
試験研究
平成18年度
公の施設の管理運営及び指定管理者制度の事務の執行について
対象
指定管理
平成19年度
県税の賦課・徴収事務及び収入未済額に係る事務について
対象外
―
平成20年度
人件費及び職員の福利厚生に関する事務の執行について
対象
人件費
平成20年度
基金の管理と運用について
対象
基金
平成21年度
工事請負契約について
対象外
―
平成22年度
特別会計に関する事務の執行・事業の管理について
対象
特会
平成23年度
負担金、補助及び交付金に関する財務事務の執行及び特殊関係者との取引について
対象外
―
平成 11 年度の監査については、後の監査においてフォローアップがなされているという
判断から、今回の対象には含めていない。平成 12 年度と 13 年度についても、昨年度の監
査において類似した検証が済んでおり、対象とはしていない。また平成 15 年度と平成 16
年度の監査についても、補助金等については同様に昨年度の監査と重複するため対象とは
していないが、貸付金の検証については今回の対象範囲に含めた。更に、平成 19 年度につ
いては、検証範囲が税務課等に限定されるため監査結果の効果としては限定されるものに
あるため今回は範囲に含めておらず、平成 21 年度については、逆に満足のいく検証を行う
ためには相当の作業量を要すると思われたため今回は検証範囲からは除外している。平成
23 年度については、現在措置作業中であるためこれも今回対象とはしていない。
(2)監査対象組織の抽出と各々の主な着眼点について
過年度の監査結果報告書と措置状況から、監査対象とした組織と各々の主な着眼点は以
下のとおりである。
5
年度
監査テーマ
平成14年度 公営企業
当時の主な内容
措置の検証以外の着眼点
今回対象とする主な部署
当時の病院事業は県から組織分離されている
が、残された組織も類似の視点で検証する必要 こども医療福祉センター
県交通局、県立病院、港湾整備事業 がある。
会計の財務事務を検証している。
県交通局についてはH11年度監査の 公営企業会計については、資本の処理がH24年度
フォローアップも行っており、公営 から、会計制度の変更がH26年度から行われる。
企業会計(当時)について問題提起 通常の会計処理の検討に加え、新会計への今後 県交通局
の対応も視野に検討する必要がある。
長崎港湾漁港事務所
を行っている部分もある。
県交通局については子会社との取引も特殊関係
があると判断されるため検証する。
補助金等はH23年度のテーマと重複するため取り
上げない。
平成15年度
平成16年度
貸付金
平成17年度 試験研究機関
平成18年度 指定管理
平成20年度 人件費
平成20年度 基金
平成22年度 特別会計
―
福祉保健課
補助金、貸付金の事務の検証。
障害福祉課
2年連続して同一テーマで、対象部署
この年度では一般会計及び特別会計における貸
医療人材対策室
を分けている。
付事務(貸付支援の補助金)を検証しているこ
こども家庭課
とから、平成22年度の監査の延長として債権管
漁政課
理という視点から検証する。
林政課
農業経営課
当時は一つの課で研究機関をまとめて管理して 長崎県総合水産試験場
試験研究機関の事務と効率性への提
いたが、統合の末、各関連課で所管している。 長崎県農林技術開発セン
言。
管理が十分になされているか検討する。
ター
全庁的にその後いかに収支改善したのか、そし
て制度を改善すべき点の有無の検討。
指定管理者制度導入後、指定管理者制度の対象
指定管理制度の導入のありかた、効 となった施設以外に導入すべき施設がないかど
率性の検証など。物品管理や施設の うかに関する検証(網羅性の担保ができている
活用やあり方を提言している。
かどうか)。
さらに直営の施設については、独立した組織と
して管理が十分になされているかを検討する。
新行政推進室
(指定管理)
交通・地域安全課
生涯学習課
(その他)
水産振興課(長崎魚市場)
こども医療福祉センター
※ただし、対象課は必要に
応じ、上記に限定しない。
派遣事務や職務専念義務免除の観点は昨年実施 人事課
人件費の検証(知事部局、教育庁、
済み。当時の監査に沿って給与計算や手当等を 教職員課
県警、議会事務局)。
検討する。
県交通局
基金の財務事務検証。
漁政課
総務事務センター
用地課
措置には先送り的な回答が多いため、その後の 福祉保健課
障害福祉課
対応を検証しつつ、基金の処分事務の検討や過
林政課
去の監査結果以外に類似の問題がないか検討す
農政課
る必要がある。
※ただし、物品調達基金は
横断的な論点であるため、
対象課は広範囲に検討す
る。
特別会計の事務の検証。
貸付金の財務事務の検証が多い。
農業経営課
林政課
漁政課
最近行われた監査対象ではあるが、債権管理の 危機管理課
検討や、特別会計の存続など早急な対応が必要 総務文書課
な監査結果が多いと判断される。また需用費や 管財課
委託料などの検討も行う。
建築課
水産振興課
長崎港湾漁港事務所
こども家庭課
対象とした部署については、過年度の監査において検出された件数を各部署にマッピン
グし、件数の多かった部署を主に取り上げている。また、リスクアプローチの観点から、
本庁以外の「かい」の検証も考慮して選定しており、長崎港湾漁港事務所やこども医療福
祉センター、試験研究機関などがその例である。
なお上記の表では、各年度の監査テーマと対象部署との直接的な関係しか見えないため、
6
逆に抽出した組織が横断的にどのように各年度の監査テーマと関連するかを次の表で示す。
年度
監査テーマ
対象部署
平成14
年度
平成
15・16
年度
平成17
年度
平成18
年度
平成20
年度
平成20
年度
平成22
年度
公
営
企
業
貸
付
金
試
験
研
究
機
関
指
定
管
理
人
件
費
基
金
特
別
会
計
○
○
総務部
人事課
○
教育庁
教職員課
○
総務部
新行政推進室
○
教育庁
生涯学習課
長崎県立佐世保青少年の天地
○
県民生活部
交通・地域安全課
長崎交通公園
○
○
漁政課
水産部
○
水産振興課(長崎魚市場特別会計)
○
○
長崎県総合水産試験場
○
県交通局
○
○
総務部
総務事務センター(物品調達基金)
福祉保健部
こども医療福祉センター
○
長崎振興局
長崎港湾漁港事務所(港湾整備事業会計、
港湾施設整備特別会計)
○
総務部
総務文書課(庁用管理特別会計)
○
危機管理監
危機管理課(庁用管理特別会計)
○
土木部
建築課(庁用管理特別会計)
○
総務部
管財課(庁用管理特別会計)
○
土木部
用地課(用地基金)
福祉保健部
こども政策局
○
○
○
福祉保健課
○
○
障害福祉課
○
○
医療人材対策室
○
こども家庭課
○
林政課
○
農業経営課
○
○
○
○
農林部
○
農政課(中山間地域等直接支払対策基金)
○
長崎県農林技術開発センター
※
Ⅴ
組織の順番は、今年度の監査実施順である。
監査従事者
包括外部監査人
小森
泰邦
(公認会計士)
監 査 補 助 者
伊東
寛高
(公認会計士)
7
○
Ⅵ
監 査 補 助 者
古瀬
靖士
(公認会計士)
監 査 補 助 者
谷川
淳
(公認会計士)
監 査 補 助 者
豊村
哲也
(税
理
士)
監 査 補 助 者
上谷
浩司
(税
理
士)
監 査 補 助 者
木竹
広賢
(税
理
士)
外部監査の契約期間及び実施状況
1.外部監査の契約期間
平成 24 年 4 月 2 日から平成 25 年 3 月 31 日まで
2.現場での外部監査の実施状況
(単位:日)
対象部署等
小森
伊東
古瀬
谷川
豊村
上谷
木竹
3.5
予備調査
合計
3.5
総務部
人事課
2.0
2.0
2.0
6.0
教育庁
教職員課
1.0
1.0
1.0
3.0
総務部
新行政推進室
1.5
0.5
2.0
教育庁
県民生活部
水産部
生涯学習課
長崎県立佐世保青少年の天地
交通・地域安全課
長崎交通公園
1.0
1.0
2.0
4.0
1.0
2.0
1.0
4.0
2.0
6.0
2.0
6.0
漁政課
2.0
水産振興課(長崎魚市場特別会計)
2.0
長崎総合水産試験場
2.0
県交通局
3.0
2.0
2.0
2.0
2.0
4.0
4.0
3.0
6.0
3.0
3.0
12.0
総務部
総務事務センター(物品調達基金)
4.0
12.0
福祉保健部
こども医療福祉センター
2.0
2.0
2.0
6.0
長崎振興局
長崎港湾漁港事務所(港湾整備事業会計、
港湾施設整備特別会計)
3.0
3.0
3.0
9.0
総務部
総務文書課(庁用管理特別会計)
1.0
1.0
危機管理監
危機管理課(庁用管理特別会計)
1.0
1.0
土木部
建築課(庁用管理特別会計)
総務部
管財課(庁用管理特別会計)
1.0
土木部
用地課(用地基金)
2.0
福祉保健課
2.0
2.0
福祉保健部
障害福祉課
2.0
1.0
医療人材対策室
1.0
こども政策局
こども家庭課
3.0
2.5
2.5
農業経営課
0.4
農政課
0.1
3.5
2.0
4.0
2.0
1.5
7.5
3.0
1.0
3.0
林政課
3.0
1.0
3.0
7.0
3.0
3.0
5.5
2.5
5.9
農林部
0.1
農林技術開発センター
2.0
2.0
合計
43.0
26.0
8
2.0
4.0
11.0
12.5
15.0
6.0
16.5
128.0
Ⅶ
表示数値について
報告書の表の合計については、表示単位未満の端数を切り捨てて表示しているため、総
数と内訳の合計とが一致しない場合がある。
Ⅷ
利害関係
外部監査の対象とした事件につき、包括外部監査人及び監査補助者は地方自治法第 252
条の 29 の規程により記載すべき利害関係はない。
9
第 2 外部監査の結果
Ⅰ
指摘事項及び意見の総括
1.検出事項の総括
(1)対象部署における主な検出事項と検出件数について
今回の特定の事件「過去の包括外部監査の措置状況等の検証について」による監査結果
の総合的な所見は、以下に集約される。
①
過去の監査の措置の検証では多数の問題が検出されており、措置のあり方に改善が必要で
ある。
②
追加検討した事項においても、多数かつ多岐にわたる問題点が検出されており、各部署に
おける事務の見直しが必要である。
今回の監査における主な検出事項の内容、指摘事項及び意見の件数については以下の表
のとおりである。なお、下記「主な検出事項(要旨)」は、あくまで当報告書の読者の利便
のために設けた要旨に過ぎないため、
「Ⅱ
個別検討事項」において記述された検出内容が、
包括外部監査の監査結果であるので留意されたい。
検出全体
No
対象
部署
主な検出事項(要旨)
内措置関連
指
摘
意
見
計
措
置
数
指
摘
意
見
計
0
2
2
0
0
0
0
①今後の包括外部監査の措置状況の報告について
は、継続的な取組み状況と未解決の案件の対応計画
総
論
総務文書課
を逐次開示する仕組みを検討するべきである。
②措置状況における監査結果と監査結果報告書本文
との内容の相違が生じないよう、取りまとめ時にお
いてチェックを厳格に行うべきである。
①職員給与の所得税源泉徴収事務において、扶養控
除申告の正確性を向上するよう職員に徹底するべき
である。
1
人事課他
1
②扶養手当の対象となる扶養親族の範囲の規程につ
いては、他県の例に倣って明確化するよう見直すべ
きである。
10
3
4
8
0
0
0
①過払給与の未収金の管理徹底を図るべきである。
②職員給与の所得税源泉徴収事務において、扶養控
2
教職員課
1
3
4
6
0
0
0
1
4
5
9
1
0
1
4
4
8
13
0
2
2
2
3
5
12
0
2
2
5
5
10
17
0
2
2
11
3
14
26
8
2
10
10
5
15
25
0
2
2
除申告の正確性を向上するよう職員に徹底するべき
である。
①公の施設の網羅性に関する指定管理者制度ガイド
ラインの見直しが必要である。
3
新行政推進
室他
②指定管理者負担金の精算のあり方については再検
討が必要である。
③指定管理者の応募する際の施設のまとめ方を見直
し、競争性をより担保するべきである。
①3 施設まとめて指定管理者の応募を行っている点
は見直すべきである。
4
生涯学習課
(長崎県立
佐世保青少
年の天地)
②指定管理者負担金の積算を厳格に行う必要があ
る。
③指定管理者の経理及び税務処理に問題がある。法
人として是正するべきであり、所管課も適切な指導
を行うべきである。
5
交通・地域
安全課
(長崎交通
公園)
①指定管理業務に必要な備品等は長崎県の方で取得
し、それを指定管理者に貸与する方法が一般的であ
るため、基本協定書の見直しを行うべきである。
①貸付申請書の提出期限や事業計画書の県の承認な
6
漁政課
ど手続面での瑕疵があり、見直すべきである。
①公有財産、従物、物品の整理が不十分である。
②公費負担を除く一般会計繰入金が 82 百万円繰入
されており、一層の経費節減と利用料収入の増大を
7
水産振興課
(長崎魚市
場特別会
計)
図れるよう努力が必要である。
③魚市場管理業務委託の積算において過去の実績を
反映するよう毎期見直しが必要であり、精算時にお
いても委託契約内容の履行が行われているか、人件
費の充当内容が実態と一致しているか確認が不十分
であり、見直しが必要である。
①物品の整理が不十分である。
8
長崎県総合
水産試験場
②複数の契約事務に瑕疵が見られたため、適切に対
応するべきである。
③薬品・劇物の管理が不十分である。
11
①会計上の処理誤りが複数検出された。また使用許
可手続においても処理誤りが複数検出された。適切
な対応が必要である。
②新会計への対応については、情報収集に努め、ス
ケジューリングを明確にしつつ確実な推進が必要で
ある。例えば貸倒引当金の処理についても債権のリ
スクに応じた適切な引当が求められる。特に昨年度
生じたスマートカード積増業務委託にかかる未収金
については現状では全額引当の可能性がある。一方
でそのような事態にならないよう債権保全・回収に
9
長崎県交通
局
一層の努力が求められる。
17
9
26
14
0
2
2
0
17
17
9
0
0
0
③物品管理は本庁と同じ取決めとするべきである。
④倉庫品やリサイクル預託金の管理に複数の不備が
見られたため、見直しが必要である。
⑤子会社長崎県央バスとの平成 23 年度運行委託料
について、県央バス側で退職給付引当金の計算誤り
があり、過大な支払いをしているため 4.4 百万円を
返還が必要である。
⑥子会社県営バス観光とのターミナル業務委託につ
いて、契約上余剰が生じれば精算が必要でありなが
ら、人件費の充当の確認が不十分であった。今後厳
格な確認が必要である。
①需用費にかかる発注を総務事務センターの所管す
る物品調達基金が担っているが、全庁的に年度末近
くに発注が多くなる傾向がある。
②サンプルで検証したところ、適正在庫を考慮せず
年度末に消耗品を発注しているケースが複数見られ
た。今後は適正在庫を意識した事務が求められる。
10
総務事務セ
ンター他
(物品調達
基金)
③また発注元課で在庫把握を十分に行っていない例
もあり発注の根拠に欠ける。適切な在庫管理が求め
られる。
④長崎地区の「かい」について PPC 用紙(コピー用
紙)やトイレットペーパーについては物品調達基金
を通した購入を検討すべきである。
⑤総務事務センターにおける納品書の受領について
は外部証拠による裏付けを伴うよう対応を検討する
12
べきである。
①医事システム自体の管理、医事システムで所管で
きない医療事務の管理が不十分である。
②物品の管理が不十分である。
③パソコンの廃棄、レセプトの管理など個人情報の
管理が非常に杜撰である。
11
こども医療
福祉センタ
ー
④高額の眼科用備品が計画とん挫により放置されて
10
14
24
13
1
2
3
7
5
12
25
3
3
6
いる。
⑤医薬品の在庫管理(数量管理が不十分)を見直す
べきである。
⑥県立病院が別組織となったため、県職員の中に医
療事務に通じる人材が枯渇している。計画的な人材
育成が急務である。
<港湾整備事業会計>
①平成 14 年度に行われた監査結果の措置状況にお
いて監査結果の引用に監査結果報告書本文との相違
が生じている。
②土地造成原価の資本的支出と収益的支出の判断基
準となる文書の見直しがなされていない。
③土地造成台帳の原価管理の見直しが必要である。
④小ヶ倉埠頭野積場、上屋敷地の所管換えを実現す
るべき他、港湾整備事業会計における保有物件の再
整理が必要である。
12
長崎港湾漁
港事務所他
⑤小ヶ倉埠頭上屋敷地の港湾施設整備特別会計への
貸付料の減免は公平性に欠け、早期に是正するべき
である。
<港湾施設整備特別会計>
⑥港湾使用料のうち、市町に徴収事務委託している
案件については、回収管理が十分に行われていない
ため、今後市町に対し厳格な管理を求める。
⑦委託契約のうち、前回監査で再委託の事務が問題
とされたにもかかわらず、実態と異なる再委託先か
らの見積書、県に対する承認書を良しとしており、
県は問題の本質を理解することなく表面的な対応で
済ませており問題である。早急な改善を求める。
13
①庁用管理特別会計の繰越金約 1 億円については、
保有する根拠がなく一般会計への繰出しを行うべき
13
総務文書課
(庁用管理
特別会計)
である。
②高速印刷機の長期継続契約による賃貸契約(総額
0
4
4
8
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6
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14
2 千 9 百万円)が一般競争入札により平成 22 年度に
締結されたが、契約事務の課内の牽制が不十分であ
り、設計図書も不備がある。
①長崎県防災行政無線高度化事業及び同再編整備事
14
危機管理課
(庁用管理
特別会計)
業の予備品のうち、パソコンやプリンタについては、
備品として把握、管理されておらず見直すべきであ
る。
①一般会計と特別会計の人件費等の帰属見直しに関
する措置が不十分である。
15
建築課(庁
用管理特別
会計)
②地方機関へ配当された予算についても建築課で検
証し、一般会計との混同がないか検証するべきであ
る。
③措置に記載した特別会計の廃止に向けて対応が進
んでいない。早急に対応するべきである。
①特別会計繰越金約 1 億 9 千万円については一般会
16
管財課(庁
用管理特別
会計)
計へ繰出しにより是正する必要がある。
②大波止ビル管理組合への負担金のうち、事務局費
については人件費などの見直しが行われておらず、
削減が必要である。
①監査結果の措置状況において監査結果の引用に監
査結果報告書本文との相違が生じている。
②用地基金で処分等の対応が必要な土地について
は、土地の抱える問題を整理し、ひとつひとつの問
題の解決を進める必要がある。計画立案もスケジュ
17
用地課他
(用地基
金)
ーリングに具体性を持たせ、目標を明確にするべき
である。また県内に広範囲に所在する物件について、
地方機関との連携を強化する必要がある。
③土地の無断使用や不法投棄がないか監視を確実に
行うべきである。
④普通財産の貸付契約により活用している土地・建
物のうち、貸付対象がはっきりせず、土地の無断使
用の疑義のあるものがある。また建物の老朽化に対
14
し管理が不十分となっており、見直しが必要である。
①介護福祉士修学資金貸付金については、過去県社
協の実施する貸付事業に対し県から補助金を支出す
るという事業形態であったが、平成 15 年度末に県社
協が事業廃止したため県の事業として貸付金を県の
債権としている。その後平成 18 年度まで県の貸付事
業は続けられたが平成 19 年度をもって新規貸付を
終了し、現在は回収のみ行っている。上記、債権の
譲受の際、資料の受取確認が不十分であったため、
現在返済中の貸付金一件分について借用書を紛失し
ている。
②高齢者・障害者住宅整備資金貸付金については、
県社協の貸付事業について県から貸付を行っていた
が(つまり又貸し)、平成 21 年に県社協が新規貸付
を終了したため、現在は県社協での回収資金をもっ
て県へ返済を行っている状況である。しかしながら、
県社協で不良債権の回収懸念があり最終的には県貸
付金の回収不能が生じる可能性が高い。県の損失は
18
福祉保健課
9
5 千万円と予測される。早急に対策を講じるべきで
ある。
③上記貸付の一部に、住宅改修に充てられたか疑義
のある案件があり、しかも貸付後一度も回収に応じ
ていない例が見られた。このような事例について厳
格な対応が必要である。
④課の所管する生活保護返還金の債権管理におい
て、管理簿等多種の書類を作成せねばならず手続き
の一定の整理が必要である。
⑤時効管理など法的に対応の難しい事例に関する全
庁的な再整理が必要である。
⑥災害救助基金については、倉庫が港湾漁港事務所
一か所に災害備蓄品が集中管理されているが、海辺
にあるため津波に対する対策が図られておらず、県
内各所に分散保管するべきである。他にも非常時の
使用を踏まえ、備蓄品の内容、供給体制、品質管理
体制を見直すべきである。
15
7
16
13
0
1
1
①愛の福祉基金の処分事務の一部に委託事業がある
が、再委託先の行った事業内容に、年度末における
パソコンの購入を行っている事例があり、事業と何
ら関係のない支出を認めている事例があった。約 30
万円の返還が必要である。その他の委託事業、補助
事業でも確認が不十分な事例が複数見られた。
19
障害福祉課
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8
21
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0
1
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6
6
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3
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31
21
1
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12
②課の所管する債権管理に一部不十分な事例があ
り、システム改修、回収事務の徹底、条例施行規則
の見直しなどが必要である。
③時効管理など法的に対応の難しい事例に関する全
庁的な再整理が必要である。
④債権管理にあたる職員の人材育成が必要である。
①貸付事業の条例施行規則の一部に必要な事務手続
きが規定されておらず、見直すべきである。
20
医療人材対
策室
②借用書の借用日の記載誤り、連帯保証人の資力確
認の不徹底、免除申請の期日順守の不徹底など事務
処理上の不備が複数見られた。
①貸付事業のうち修学資金については返還義務の意
識を持たせるため児童本人の意思確認(申請書類の
21
こども家庭
課
自署捺印)を徹底するべきである。
②債権管理における時効管理など法的に対応の難し
い事例に関する全庁的な再整理が必要である。
③債権管理にあたる職員の人材育成が必要である。
①林業基金については、伐採収入の基礎である山林
の地権者との地上権契約による収入(分収契約)が
有効に機能することが必要であるが、契約者の死亡
や相続による複雑化が進んでおり、契約更新の一層
の尽力が必要である。
②林政課所管の各貸付事業の規程の不備、契約書類
22
林政課
の不備、手続上の見直すべき事項が複数見られるの
で、見直しが必要である。
③基金の処分である委託事業において、委託の目的
が判然とせず、当初の委託内容と相違したソフトウ
ェアの制作事業が行われている例があった。また別
の委託事業では完了検査が不十分である事例があっ
た。
16
④基金の処分である補助事業で、補助要件を要綱・
要領で明文化すべき案件(ながさき森林づくり担い
手対策事業補助金)があった。
①就農支援資金貸付金について、延滞の発生を抑制
するよう、借受者への経営指導を徹底するべきであ
る。
23
農業経営課
1
5
6
17
0
2
2
0
0
0
1
0
0
0
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4
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30
2
3
5
140
158
298
316
25
52
77
②就農支援資金貸付金について、制度を逸脱して限
度額を超過して貸付が行われていた事例が見られ
た。
24
農政課
25
農林技術開
発センター
他
―
①従物の整理が不十分である。
②農薬等の管理が不十分である。
計
※「検出全体」は、後述の「Ⅱ
個別検討事項」に記載された検出事項の件数である。
「内措置関連」とは、
各部署の冒頭で「1.措置状況と検証結果」として過去の監査結果と措置状況を表にしているが、個々の措
置に対する「検証結果」における検出事項の件数である。
「措置数」は、今回監査で取り上げた措置の数で
あり、左側の検出全体とは対応しない。
「内措置関連」の指摘事項の数は、検出全体の指摘事項の数の内数
であり、同様に「内措置関連」の意見の数は、検出全体の意見の数の内数である。
以上のとおり指摘事項は 140 件、意見は 158 件、計 298 件となった。またこのうち、過
去の監査に対する措置状況の検証にかかるものは、指摘事項 25 件、意見は 52 件であり、
計 77 件となった。
単純な分析であるが、措置状況の検証対象 316 件に対して、77 件の検出事項があったこ
とは、割合にして約 24.4%に上り、決して少なくない問題がいまだ存在していると言わざ
るを得ない。全体の検出事項件数に占める措置関連の検出事項件数の割合も 298 件に対し
77 件の約 25.8%である。この状況から本県の監査結果に対する措置としては十分満足のい
くものとは言えないと判断される。
また過去の監査に関連して、追加して検討した事項について、検出事項が多見されたこ
とも注目される。普段から後日監査が行われる可能性があるという意識をもって事務に携
わり、事務の見直しの必要性を考え、従前から認識されている問題に対しては計画的な取
組みや早期解決を図るよう一層の努力を求めたい。また多忙な中ではあるが、職員ひとり
ひとりが更に力をつけていくことを望みたい。
(2)重要な検出事項についての見解
検出事項で今後の改善に重要と思われるものをいくつか列挙する。
17
①
措置状況に記載された監査結果の原本との相違と措置の説明責任について
県の公表する措置状況において引用された監査結果の内容が、監査結果報告書本文と相
違している事例が検出された。
港湾整備事業会計(長崎振興局長崎港湾漁港事務所)において、平成 14 年度に行われた
監査結果が、監査結果報告書上の文章(原文)と、措置状況に記載された「監査結果」の
文章とで相違していたという事例である。
各論の該当箇所を以下に転記する。
措置状況の「監査の結果」では、以下のように記されている。
資本的支出と収益的支出の区分が明確化され改善されているが、企業進出に伴
うインフラ整備工事等のうち将来の土地売却代金で回収すべき事業費は資本的
支出として処理する必要がある。
しかしながら、監査結果報告書の原文は、以下のように記されており、上記「監査の結果」
の内容と相違する。
資本的支出と収益的支出の区分が明確化され改善されているが、企業進出に伴
うインフラ整備工事等のうち将来の土地売却代金で回収すべき事業費は資本的
支出として処理されるべきであるが、たとえば法面補修工事費等維持補修費の性
格を有するものは収益的支出として処理する必要がある。
※下線は筆者によ
る。
「措置」の記載内容も下記のようにごく簡単なものとなってしまっている。
ご指摘のとおり、企業進出に伴うインフラ整備工事等のうち将来の土地売却代
金で回収すべき事業費は、資本的支出として処理いたします。 ※下線は筆者に
よる。
前回監査の趣旨は、収益的支出と資本的支出の判断基準である、平成 13 年 1 月 12 日臨海
開発局総務課(当時)作成の「未成土地から完成土地の振替及び経費支出(配分)について」
(以下、「取扱い」と呼称)を会計理論に沿うよう、修正し(「たとえば法面補修工事費等
維持補修費の性格を有するものは収益的支出として処理する」がそれにあたる)、原価性の
ない支出は、即時費用化(収益的支出)することを指摘しているのであるが、現在でも上記
「取扱い」の見直しは行われていない。
また、No6 の「監査結果」の内容が原文と相違した結果、No1 の「監査結果」の内容と No6
18
の内容とは、原文では同様の趣旨であったにもかかわらず、矛盾してしまっていることも問
題である。
更に、同様の趣旨の No1の監査結果に対する「措置」においても、県の当時の対応は、今
後の処理について下記のように「判断して処理することと」して、明確な取り決めを設ける
ことに触れておらず、平成 15 年度に行われた小江地区の公園整備工事等についての判断がど
のように行われたのかも明示されていない。
<No1 の「措置」>
両地区ともに未成土地(未精算)であり、ご指摘の事業は土地造成事業費(資
本的支出)として計上すべきものと考え処理しております。平成 15 年度からは、
未成土地であっても、事業内容の精査を行い、収益的支出か資本的支出か判断し
て処理することといたします。
当時の県の「判断」として、平成 15 年度の小江地区の公園整備工事等について環境整備工
事の一環として、造成土地全体の投資価値を増加させるものと考え、資本的支出(原価算入)
として処理しており、これに基づいて予算の査定や議決を経ての結果であることが今回の監
査の過程において判明したものの、監査結果と相違する判断を行っている状況下で当初の監
査結果をどの程度尊重していたかは、上記 No1 の「措置」の記述において説明がなされてい
ない以上疑問が残らざるを得ない。
本来は、措置内容に関する県の見解や具体的対応までの説明をすることによって、措置状
況の手続きによって期待される「説明責任」を果すような十分な記述がなされるべきであっ
たと考える。
当初監査から既に 10 年が経過してしまっており、当時どうして文章が相違するような対
応が行われたのか経過が定かではないが、今後このようなことが二度とないようにしなけ
ればならない。
また他課においても、程度は軽微であるが、監査結果と監査結果報告書の文意が相違し
ている事例があった。また監査人の求める措置とは違った対応をしている。
今後における措置状況の取りまとめにおいては、監査結果報告書に書かれた監査結果の
内容をこれまで以上に十分に理解して記載する必要があり、監査で求められた内容と措置
の内容が適切に対応するよう慎重かつ厳格な対処が必要である。また措置の記述のありか
たも説明責任を果たせているか、十分に吟味していくことが必要であると考える。なお、
この二つの事例については、措置状況に記載された監査結果の文章と監査結果報告書の記
載内容が相違している点(監査結果の要約相違)と、当初監査において監査人が求めたと
19
ころの措置内容の不十分性とが対になって表れており、監査結果の要約相違が措置の不十
分性を招いた可能性は否定できない。牽制上の脆弱性というものが予想外の場所に存在す
ることを今後の糧とされたい。
②
これまでの措置の問題点について
過年度の監査に対する措置について、今回の監査で指摘または意見が付された事象とし
ては、例えば以下のような分類ができると思われる(ア.からカ.の分類が複数当てはまる
場合もある)
。
ア.措置で「検討いたします」等としながら、その後の対応を確認できないもの。
イ.措置で「検討いたします」等としながら、その後対応はしているものの未だ具体的な解
決に至っていないもの。
ウ.担当者の理解が不十分で、誤った対応がなされているもの。
エ.措置が表面的あるいは対処療法的なもので、内容が不十分であるもの。
オ.措置がなされていると認められないもの。
カ.事業の性質上、監査結果に係る問題に対し、継続的な対応が必要なもの。
「ア.」や「イ.」が生じる原因のひとつは、措置の公表のあり方として、措置の顛末を
継続開示する仕組みが過去整備されていなかったためと考えられる。
過去、包括外部監査結果が公表されてから約一年後に措置状況が公表されているが、そ
の時点で未解決のもの(取組中のもの)は、それ以後の進捗や顛末が公表される仕組みに
なっていなかった。平成 22 年度からは県監査委員による定期監査時に平成 20 年度包括外
部監査に係る指摘事項についても措置状況を検証して、結果を公表し(未改善のものにつ
いては翌年度以降も継続して取り組みとして)改善の取り組みを促すようになった。
一方で知事部局所管の措置状況の公表の内容や方法を見直すなど、更なる工夫の余地が
あると感じられる。
例えば、指摘事項や意見の未解決の問題について「いつまでに解決するのか」という計
画を明らかにすることによって、問題が埋もれる原因を排除できるのではなかろうか。
また他に、措置に時間がかかる原因としては、検討事項となる事案のうち、組織横断的
な問題について解決が困難な事例も多いことが考えられる。組織間の利害が対立すると、
その傾向は顕著となるのではないかと思われる。財産の処分や所管にまつわる問題の遅れ
は、組織の縦割りの弊害と言えよう。
「ウ.」については、監査人とのコミュニケーションが不十分であることが想定される。
また、制度の本来の趣旨が理解されておらず、組織の牽制機能が十分でないこともいえる
であろう。
「エ.」については、誠実性の問題になってくるが、包括外部監査の結果に対する認識、
20
つまり事務改善のための「財産」であるという個々の職員の認識を新たにするべきであろ
う。「言われたことは手当てした」では、公金で行われた監査が十分に生かされたとは言え
ない。情報を共有して活用していただきたい。内部統制の考え方でいけば、統制環境を改
善していくことであり、予防統制機能を向上させることにつながる。他方、包括外部監査
でも措置が適切になされているか繰返し検証していく必要もあるのではないかと考える。
「オ.」については、措置済みとしているが、検証してみると措置していると認められな
い例を指している。こういう例はそもそもあってはならないのだが、少数ながら存在して
いる。また当初措置から時間が経過する中で、直近では措置が維持できていない例もあっ
た。これらの事例に対しては、包括外部監査の再監査で対応し続けるしかないと考える。
「カ.」については、滞留債権の対応などが当てはまるのだが、担当者の交代によって取
組みが変わり、状況が悪化することのないよう、継続的な努力を求めるものである。
包括外部監査の措置の改善策については、後述の「(3)監査結果に対する措置の現状と
改善について」で具体的に提言をすることとする。
③
危機管理について
今回、非常に重要と思われる検出事項の一つに福祉保健課所管の「災害救助基金」の災
害備蓄品の管理状況がある。
倉庫に赴いたが、現場では平成 23 年 3 月 11 日の東日本大震災から学んだ教訓や緊張感
といったものが感じられない管理状況であった。
いつ津波にさらわれるかもしれない海辺に面した倉庫に、雑然と置かれたほこりまみれ
の備蓄品を見ていると、これでは人命は救えないと感じざるを得なかった。20 年放置され、
真っ黒に変質した哺乳瓶の飲み口は、棚卸に立ち会った県担当者の掌の中でボロボロと砕
け散った。そのとき感じた憤りは今でもやむことはない。
議会や県民に現状を公開し、今後災害備蓄品の保管や災害時の活用をどうするべきか、
論議を望みたい。そしてこの議論が全国に波及することを期待する。
④
委託料や負担金における人件費相当額に関する検出事項について
委託契約事務、負担金事務において、今回取り上げた事案で、支出先団体の人件費に係
る積算のあり方や、完了検査の徹底を求めるものが複数見られた。
21
対象部署
主な内容(趣旨)
契約
(一社)長崎魚市場協会への魚市場管理業務委託については、契約額の積
水産振興課
算において過去の実績を反映するよう毎期見直しが必要であり、精算時に
(長崎魚市
随契
おいても委託契約内容の履行が行われているか、人件費の充当内容が実態
場特別会計)
と一致しているか厳格な確認が必要である。
子会社県営バス観光とのターミナル業務委託について、契約上余剰が生じ
れば精算が必要でありながら、担当者の当該事業への人件費の充当を考え
県交通局
随契
るにあたり、実際の稼働内容の確認が不十分であるため、今後厳格な確認
が必要である。
大波止ビル管理組合への負担金のうち、事務局費については他のビル管理
管財課
組合の人件費に比べ高額な支払がなされており見直しが必要であり、組合
(庁用管理
―
で再委託している人件費相当額である委託料が実際の稼働日数につりあっ
特別会計)
ておらず見直しが必要である。
(社)長崎県林業協会への森林施業プランナー養成事業の委託業務につい
林政課
ては、完了検査時の人件費に事業実績とは不釣り合いな作業日数や職員の
(長崎県森
稼働の必然性に納得のいかないものも含まれており、同協会へ委託された
随契
林整備担い
他の契約における人件費の内訳と比較して均衡が取れていない内容となっ
手対策基金)
ている。厳格な検証が必要である。
他団体の包括外部監査の検出事項で見られる事例として、随意契約により自治体の関連
団体との長年の取引が継続するなか、いつしか人件費の負担が当たり前になっているとい
うものがある。本来自治体は委託先を指導する立場になりながら、完了検査が甘くなり、
次年度の積算においても実態を反映することもなく「前年並み」の継続によって、結果的
に見直しされることなく放置されているというものである。
本県においても、かかる事例がないかどうか、委託契約のありかたを今一度点検される
ことを望みたい。
⑤
適正在庫を意識した年度末の購入について
詳細は、「Ⅱ-10
総務事務センター」の項に譲るが、物品調達基金を通すか否かに関係
なく、適正在庫を意識せず年度末発注を行っている例が複数見られた。
この着眼点の元となったのは、平成 18 年度監査結果における以下の検出事項であった。
22
(8)その他財務事務
エ.意見
(ア)消耗品の購入について平成 17 年度の需用費に以下の支出が含まれている。
・計 上 日 平成 18 年 3 月 31 日
・計上科目 消耗品費/未払費用
・支出内容 コピー用紙、カートリッジ等の購入
・購 入 先 E社
・購入金額 173,034 円
・請求書日付 なし(空欄)
・領収書日付 平成 18 年 5 月 29 日
県民の森の管理運営上必要な消耗品として購入されたということであるが、平成 18 年 3 月末の
時点では、県民の森の指定管理者に林業コンサルタントが決定しており、林業公社が事務用品を購
入する意義は乏しいものと考えられる。また、日付欄が空欄の請求書は証憑書類としては不完全で
ある。
これは、契約終了間際に購入した消耗品であり、消費のほとんどが契約終了後に行われ、
管理運営委託業務とは関係のない支出であることは明白であり、返還請求すべき事案であ
る(請求書日付がないため、納品が年度末に行われていたかも不明である)。このような過
去の事例に類似した取引が他にもあるとすれば、問題であることは確かである。
まさに、包括外部監査の結果は「財産」である。
この着眼点をもって、今回の監査では各組織を横断的に検証していった。総務事務セン
ターの物品調達基金の検証以外に翌年度消費につながる年度末購入に関する検出事項とし
ては、以下のものがある。
対象部署
主な内容(趣旨)
生涯学習課
指定管理者 NPO 法人長崎県青少年体験活動推進協会が行った年度末購入
(長崎県立佐世保青少年
納品 3/26
請求 3/31
集計表印刷代 27,247 円
の天地)
納品 3/28
請求 3/31
コピー用紙代 7,734 円
障害者IT講習会開催事業委託及びパソコンボランティア養成事業委託
両事業で委託料として支出された消耗品費のうちノートパソコン合わせて
障害福祉課
3 台とプリンタ代の合計 309,915 円については、年度末に購入されており
(愛の福祉基金)
委託事業と関係のないものであるため、県は、委託料の返還を要請する必
要がある。
一方、総務事務センターを介した需用費による調達で検証し、検出事項となった事案は
以下の通り。
23
No
所属名
支払日
会計名
支払内容
支払金額
(円)
1
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(7.窓あき封筒(法人)県単
独 (県央))000845610021
12,285
2
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(7.窓あき封筒(法人)県単
独 (県北))000845610031
19,656
3
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(7.窓あき封筒(法人)県単
独 (五島))000845610041
819
4
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(7.窓あき封筒(法人)県単
独 (対馬))000845610051
3,276
5
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(7.窓あき封筒(法人)県単
独 (長崎))000845610011
18,837
6
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(7−2.窓あき封筒(法人)
県単独(確定プ)000845810011
52,920
7
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(7−2.窓あき封筒(法人)
県単独(確定プ)000845810021
70,560
8
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(7−2.窓あき封筒(法人)
県単独(確定プ)000845810031
88,200
9
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(7−2.窓あき封筒(法人)
県単独(確定プ)000845810041
14,112
10
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(7−2.窓あき封筒(法人)
県単独(確定プ)000845810051
12,348
11
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310011
18,900
12
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310021
25,200
13
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310031
69,300
14
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310041
4,410
15
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310051
1,890
16
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310061
4,410
17
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310071
5,040
18
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(9−2.窓あき封筒(個人事
業税)料金後納)000872710031
6,825
19
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(9−2.窓あき封筒(個人事
業税)料金後納)000872710041
34,125
20
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(9−2.窓あき封筒(個人事
業税)料金後納)000872710051
4,777
21
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(9−2.窓あき封筒(個人事
業税)料金後納)000872710061
2,730
22
税務課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(9−2.窓あき封筒(個人事
業税)料金後納)000872710071
4,095
24
23
税務課
H24.3.26
一般会計
物品調達基金(110.軽油引取税免税証(無
記入))000768910011
435,750
24
こども家
庭課
H24.4.9
一般会計
物品調達基金(マグネットシート(児童虐待
防止啓発用/県)001126810011
143,325
25
大会総務
課
H24.4.9
一般会計
物品調達基金(電卓)0011803100
41
139,650
26
医療政策課
H23.8.29
一般会計
物品調達基金(献血記念品(歯磨き粉)
)00
0105210011
4,381,440
27
水産振興
課
H24.4.16
長崎魚市場
特別会計
物品調達基金(トイレットぺーパー)001
192110011
272,160
28
長崎港湾漁
港事務所
H24.4.16
港湾施設整
備特別会計
物品調達基金(トイレットぺーパー)001
187910011
136,080
29
農業経営
課
H24.3.5
農業改良資
金特別会計
物品調達基金(リサイクルトナーカートリッ
ジ(一括)001075310011
110,250
30
農業経営
課
H24.4.2
農業改良資
金特別会計
物品調達基金(リサイクルトナーカートリッ
ジ(一括)001130010011
110,250
31
農村整備
課
H24.4.2
一般会計
物品調達基金(リサイクルトナーカートリッ
ジ(一括)001123910011
78,750
32
販売戦略
課
H24.4.18
一般会計
物品調達基金(PPC用紙A4サイズ)00
1195310011
37,800
物品の調達にあたっては、物品調達基金を通すか否かに関係なく、今後は消費のタイミ
ングも考慮して、年度末に調達を行う際には適正在庫を考慮した発注内容とするべきであ
り、年度末在庫の確認も徹底するべきである。
⑥
複数年度にわたる管理のあり方について
ア.物品の管理について
調達と物品の管理は相互に関係する論点である。
これも、今回横断的に検証した論点であるが、特に試験研究機関の薬品、農薬類の管理
が十分とは言えない状態であった。今後は適切な管理が望まれる。
また、こども医療福祉センターにおいては、医薬品の数量管理がなされておらず、また
備品の管理も不十分であった。これも問題として検出事項としている。特に、倉庫に保管
されていた廃棄パソコンには医療機関特有の個人情報が記録されている可能性もあり、早
急な対応が必要である。
イ.契約や情報の管理について
また、官庁会計が予算管理と収支管理に重点が置かれる結果、複数年度にわたるストッ
クの管理が行き届かない傾向にあるのだが、目に見える「モノ」の管理だけではなく、「契
約」や「権利」、「情報」といったものの管理も同様に定期的な棚卸管理や見直し(メンテ
ナンス)が必要である。貸付事業を始め、収入の源泉に関わる「契約書」の管理、医療機
関の「レセプト」も重要な管理対象である。
25
⑦
債権管理について
今回、措置状況の検証に関連して、債権管理について横断的に検証を試みた。
包括外部監査では平成 15 年年度と平成 16 年度において「貸付金」を、平成 22 年度には
「特別会計」の中で貸付事業を行っている特別会計について監査が行われているが、債権
管理という包括的な観点では取り上げられたことはなく、特に貸付金以外の税外債権につ
いて検証された前例がない。なお、平成 20 年度に監査委員による行政監査において「税外
未収金の回収等について」が実施された経緯がある。
今回の検出事項を要約すると以下のような問題がある。
ア.福祉保健部での債権管理の再整理について
福祉保健部については、これまで幾度も債権管理のあり方を検討し、また監査対象とな
ってきた経緯もあり、何度も見直しがなされてきている。しかしながら、必ずしも統一的
な取り扱いとなっていない面もあり、時効管理など法的に難しい案件の対処や見解も、担
当者レベルでまちまちになっている。また、規程やマニュアルが複雑化して業務の効率性
を阻害している例も見られ、せっかく作ったマニュアルも順守されていない例や過去作成
された弁護士照会などを取りまとめた文書が周知されていない例もあった。
福祉保健部として、各種の取り決めや見解を再整理し、統一感のある対応を求めたい。
イ.県貸付先団体で行っている貸付事業での不良債権について
福祉保健課所管の高齢者・障害者住宅整備資金貸付金について県社協で不良債権の回収
懸念があり、最終的には県貸付金の回収不能が生じる可能性が高く、その額は 50 百万円と
見積もられるという事案が検出された。
県が、貸付事業を行う団体へ貸付を行う事業(つまり「また貸し」
)において、貸付先団
体での不良債権の管理が十分に行われているか、最終的な不良債権の損失負担の対応が明
確にされているかは重要である。
類似の事業を行っている部署では問題の有無を再度検証する必要があろう。
ウ.債権管理簿に係る財務規則等の見直しについて
財務規則第 162 条、債権管理規程第 5 条に定める債権管理簿の作成が求められているが、
福祉保健部では作成されていない例が多い。今回、文言に忠実に従い一律「指摘事項」と
して取り扱った。ただし、債権管理簿に代わる管理台帳は作成されており、実質的に管理
がなされていないという状態にはないため、むしろ今後実態に適合した財務規則等の改定
が検討されるべきと考える。
エ.時効管理等について
時効については、時効の援用を要せず完成する公債権と、時効完成に援用を要する私債
26
権との相違があり、公債権がより厳格な時効管理を要することは当然であるが、債権管理
において適切な時効管理が必要であることにいずれも変わりはない。また時効中断のため
の方策として「承認」があるが、より確実な管理を期すため書面による債務承認書の取り
交わしが求められることは言うまでもない。時効管理につき、過去、催告の段階での全体
債権額の通知について、債務者に十分に認識させていたというだけの記録や証拠の整理さ
れていない例が見られた。確かに民法上の承認は書面に限るものではないが、より確実な
時効の中断効を担保するために、訪問等による催告時の記録の徹底、書面による承認を履
行するべきと考える。また、返済計画の随時更新や納付書送付の際に全体債務の金額を適
宜通知するといった取り組みによって時効中断効の維持を図るべきである。
またこれらの取り組みが確実に行われ、時効の中断効に懸念がないことを前提に、一部
入金による全体債権の時効の進行が停止していることの主張につながるのではないかと考
える。現在、担当者によっては、一部入金がそのまま全体債務の承認の裏付けと解釈して
いる例も見られるため、認識の整理の必要性を感じる。
更に、延滞者に対し分納(上記でいう一部入金)を行っている例があるが、本来は地方
自治法施行令 171 条の 6 に定める「履行延期の特約」の処理に準拠しなければならないが、
制度や状況によっては、履行延期の特約で求められる厳格な対応が実務的になじまなない
場合もあり、回収促進策として例外的に分割納付承認という形で対応せざるを得ない事案
もある(ある課の貸付事業において、分割納付承認を取りやめ、履行延期の特約に限定す
る取り組みもあった)。しかし、分割納付承認は、あくまで県がリスクをより負う事務であ
り、安易な対応で終始するのではなく、確実な債務承認を形成できるよう返済計画書を作
成させるなど県側の承認手続きを厳格化するべきである。
オ.人材育成について
担当者の知識や意欲によって、各債権管理の取組みに大きく差が生じている。非常に高
度な理解をもって意欲的に取り組んでいる担当者もいれば、逆に、相談もできず一人で悩
んでいる担当者もいる。組織に余裕がないことも背景としてはあろうが、教育の向上の必
要性を感じる。特に時効管理や相続が絡む案件など、全庁的に再整理して各担当者の見解
に相違の生じないような対応を求めたい。
債権管理に当たっては、個々の事業を所管する根拠法令の他、地方自治法、自治法施行
令、民法他、多岐にわたる法令に通じている必要がある。これらを一度に理解することは
困難であるが、地道な知識の習得と、職員間、組織間の協力が必要と考える。
カ.規程類の再検証について
今回の監査において各制度を所管する条例施行規則、要綱、マニュアル、借用書の特約
条項などに記載内容の誤りや見直すべき事項が複数見られた。特に、法改正等により制度
が変更された場合に、その変更が規程類の改定に及ぼす影響について、見直しが追い付い
27
ていない場合があるものと思われる。事務事業の根幹である規程類の内容に瑕疵があるの
では、個々の事務が適切に行われるはずもない。これも組織に余裕がない証左であろうが、
全庁的に一度、債権に限らず、所管する事業の規程類の再検証を行うべきではなかろうか。
他県で公開されている条例や規則との比較や、同じ部内、同じ課内での類似の事業と比較
することも、修正事項の発見に有効な手法ではないかと思われる。
(3)監査結果に対する措置の現状と改善について
①
本県で行われている包括外部監査及び措置に関する事務処理の流れ
本県で行われている包括外部監査及び措置に関する事務処理の流れは以下のようになっ
ている。
(7 月頃から 12 月頃)
外部監査人による監査実施(各部署、所管団体等)
受検対象の部署、所管団体等において
は直ちに是正可能なものから随時指
摘事項等に対する対応を行う
監
査
実
(3 月)
外部監査人から知事、議会、県監査委員等へ監査結果報告書の提出
施
年
度
(3 月)
県監査委員が監査結果を公表
総務文書課により、対応する部署等へ監査結果を戻す。
(12 月)
総務文書課で措置状況を取りまとめる
翌
知事から県監査委員へ措置状況の通知及び議長へ報告
年
度
(1 月)
県監査委員が措置状況を公表
(前期:5 月頃
翌
々
後期:10 月頃)
県監査委員による定期監査時に指摘事項に係る措置状況を検証
(前期:9 月頃
後期:3 月頃)
年
度
定期監査結果公表にあわせ検証結果を公表
28
以上のように厳格な検証の流れが存在するにもかかわらず、今回の監査において、多数
の問題点が検出されたことは、上記の牽制に一定の見直しの必要性があることを意味して
いるのではなかろうか。特に総務文書課の取りまとめまでの間で牽制機能を向上させるこ
とが必要ではないかと考える。以下、②では、その改善案を示すこととする。
②
措置に関する改善提案(所管:総務文書課)
ア.盛岡市の措置状況を参考にした改善案について(意見)
措置状況の先進的な取り組みとして、昨今話題になっているのが、盛岡市の取り組みで
ある。
平成 21 年度の包括外部監査の監査結果に対し、一回目が平成 23 年 3 月 28 日、二回目が
平成 23 年 9 月 8 日、そして三回目として平成 23 年 12 月 27 日の 3 回にわたって措置状況
を公表している。しかも複数回措置状況を公表する過程で、措置の途上にあるもの、検討
中のものについて逐次その進捗状況を公表している。
このため、措置状況の様式も、本県のものと比較するとスタンスの相違が明瞭である。
<盛岡市の場合>
報告書頁
指摘事項等
措置計画
措置状況(担当課)
<本県の場合−平成 23 年度公表分の形式>
項目
監査結果
講じた措置
盛岡市の場合、参照すべき報告書頁の明示がある点の他、「措置計画」の欄が設けられて
いる点が着目される。監査結果の対応は迅速に実現することはもちろんであるが、すべて
すぐさま実現できるとは限らない。ある程度の時間を要するものもあるし、継続的に努力
すべきものもあり、状況の変化により対応する内容も変化するかもしれない。監査結果に
対し、計画性をもって、どのような取り組みをおこない、いつまでに何をするのか明らか
にするべきである。そして未解決の項目の、その後の経過を継続して逐次外部に公表する
よう制度を見直すべきである。すなわち対応が未了であれば、未了事項は次第に積み上が
っていくこととなる。
なお、盛岡市の包括外部監査も過年度の措置状況の検証が含まれていた。今後の本県の
措置状況の公表のために、盛岡市で用いられた措置状況の表を転載させていただく。
この表に倣って今年度の監査については対応されたい。
29
報 告 書
平成○年度包括外部
○年度措置計画及び
左に対する監査の結
○年度措置計画また
頁
監査での指摘事項等
それに対する措置状
果
は今後の方向性
措置状況(担当課)
況
イ.措置状況についての対応について(意見)
取りまとめを行う総務文書課は、今後、監査結果報告書の文面(文意)と措置状況にお
ける引用文との差異が生じないよう、十分留意して措置状況を取りまとめられたい。
そして措置状況に記載する監査結果には、できるだけ監査結果報告書の「原文」を転記
するべきであると考える。
30
2.「Ⅱ
個別検討事項」の構成等について
以下では、各論として、「Ⅱ
個別検討事項」において個々の検出事項を記述している。
掲載の順序は、監査を実施した対象部署の順である。このため掲載順に法則性はないの
で、監査結果の内容の探索(例えば、検出件数が多い部署はどこか、措置状況の芳しくな
いところはどこか、主な検出事項で際立った内容のところはどこか、など)については、
上記「1.検出事項の総括」、「
(1)対象部署における主な検出事項と検出件数について」の
表以下の内容を参照願いたい。
各部署での構成は、大きく「1.措置状況と検証結果」と「2.追加検討した事項」の二
つに分かれている。
「1.措置状況と検証結果」では、過去の「監査の結果」と、これに対する当時の「措置」
を記載し、「検証結果」の欄に、今回の監査での所見を記載している。この過去の「監査の
結果」と、これに対する当時の「措置」については、内容が横断的な検出事項である場合、
当時の該当部署(及び指定管理者等)と違う部署(及び指定管理者等)であっても再検証
という意味で記載している例(例えば、新行政推進室や長崎県立佐世保青少年の天地、長
崎交通公園の項などで見られる)がある。また、欄に納まりきれない内容がある場合には、
表の欄外(末尾)に「別記(No○)
」として対応するナンバーの内容を記載している。
蛇足ながら、「措置」の欄は、措置状況公表時の当時の措置であって、その後の状況や対
応を反映するものではない。その後の対応がある項目については今回の検証の中で検討し、
その評価結果を「検証結果」として記載しているので留意されたい。
「2.追加検討した事項」については、過去の監査を踏まえて、類似する論点などリスク
アプローチの観点から追加的に検証をした結果を記載している。
なお、検出事項に付記している「指摘」(指摘事項)とは、合規性違反(規程類そのもの
の誤り等の検出事項を含む)及び 3E(効率性・有効性・経済性)の観点から著しく妥当性
を欠く不当なものに対し是正を求める検出事項であり、「意見」とはそれ以外の事務事業の
改善のための参考意見である。ただし参考意見といっても速やかな改善や対応を求めてい
ることには変わりない。
31
Ⅱ
個別検討事項
Ⅱ-1
人事課(一部、財政課、情報政策課)
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
1
人 件 費
H20
2
人 件 費
H20
監査の結果
措置
検証結果
(1)『離島へき地に所在す
る公署に勤務する職員の昇
給特例に関する規程』に基づ
く昇給について
職員が離島へき地に所在す
る公署に勤務する場合には、
離島特別昇給制度として号
給を調整し加算しているが、
本制度については創設以来、
抜本的な制度見直しが行わ
れてきており、平成13年度
と平成19年度の見直しに
より、生涯にわたっていた離
島特別昇給の効果は、離島へ
き地での勤務期間のみに限
定されたところである。
職員の給与は、人事委員会が
毎年実施している民間給与
実態調査に基づき、民間給与
との均衡を考慮し定められ
ることから、民間給与との均
衡を欠くような事態が生じ
た場合には、離島特別昇給制
度についても更なる見直し
が必要であると考える。
(2)勤勉手当の計算方法に
ついて
勤勉手当の計算における成
績優秀者に対する配分財源
の確保については、国に準じ
て、『扶養手当の月額を勤勉
手当の個別の算定基礎に含
めない方法』と『標準成績率
を一律に引き下げる方法』と
によって行われている。現
在、国においては新たな人事
評価制度の検討がなされて
おり、配分財源の確保の方法
についても国の状況等を踏
まえ、適切に対応していく必
要があると考える。
離島特別昇給制度について
は、平成13年度、平成1
9年度に制度を見直したと
ころですが、人事委員会が
毎年実施する民間給与実態
調査において民間給与との
間に較差が生じ、勧告に基
づく措置を講じてもなお均
衡を欠くような事態が生じ
た場合には、更なる見直し
を検討してまいります。
給与制度の見直しについて
は、人事委員会の報告及び勧
告により種々行われている
ところである。
平成 20 年度から平成 23 年度
の同書面において勧告に基
づく措置を講じてもなお民
間給与との均衡を欠くよう
な事態は生じておらず、左記
措置内容に触れるような見
直しは行われていない。
勤勉手当については、これ
まで国に準じて取り扱って
おり、成績優秀者に対する
勤勉手当の配分財源確保に
ついても、国の現行の取り
扱いと同様となっておりま
す。今後も国の取り扱いの
状況を踏まえ、必要に応じ
て適切に対応してまいりま
す。
国の取り扱いに変更は見ら
れないが、県の取組として人
事評価制度を総括課長補佐
への試行(平成 23 年 8 月)
、
それ以下の職員への対象拡
大についても検討を進めて
いるところである。
32
3
人 件 費
H20
(3)勤勉手当の成績区分に
ついて
勤勉手当による成績率の基
準には、
(1)
「特に優秀」
(2)
「優秀」(3)「良好」(4)
「良好でない」の4段階の評
価が存在し、(4)の「良好
でない」とは、成績不良・無
断欠勤、矯正措置、戒告処分
を受けた者を評価対象とし
ているが、県の平成19年度
においてはC評価(良好でな
い)となった課長級以上の職
員は、評価対象人員に対して
0.17%と低い構成割合で
あった。現在国において試行
されている新たな人事評価
制度の評価方法・勤勉手当へ
の反映方法等についての検
討状況等も踏まえ、適切に対
応していく必要があると考
える。
また、課長補佐級以下の職員
の母集団を、成績評価の対象
とする必要性はより高いと
考えることから、課長級以上
で実施されている評価方法
及び国や他の都道府県の取
り組みも参考としながら、対
象範囲の拡大に向けて検討
を進めていく必要がある。
「良好でない」区分につい
ては、国の取り扱いに準じ
て適用しており、国の取り
扱いが変更になるような場
合は、適切に対応してまい
ります。 国においては、人
事評価結果の活用に向けた
制度整備を図っていること
から、本県においても、国
や他の都道府県の取り組み
も参考としながら、対象範
囲の拡大に向けて検討を進
めております。
33
同上
4
人 件 費
H20
(4)退職手当支給見込額の
計算(平成19年3月末・平
成20年3月末)について
知事部局・教育庁・警察本部
の職員につき、期末に在職す
る職員が全員自己都合で退
職したと仮定した場合の退
職手当支給見込額について、
職員の年齢別人員分布で山
をなす44歳を前後に、特に
教育庁において40∼49
歳の職員が他の年齢層に比
べて多数在職し、今後多額の
退職手当資金が必要になる
ことが予測されている。県は
当該資金確保のため、現在の
財政状況を踏まえた対策の
構築(例えば、早期勧奨退職
者の増大)や、今後の県の財
政状況及び県内の経済情勢
の変化を考慮しながら、退職
基金の積み増し等を検討願
いたい。
現行の定年前早期退職制度
を拡充することにより、職
員が退職しやすい環境を作
り、年齢構成の偏りの平準
化につなげていくことを検
討いたしましたが、新陳代
謝効果と退職手当の負担増
などを検討した結果、その
効果が少なく、上乗せとな
る額が大きいことなどか
ら、制度の拡充には至って
おりません。今後、他県の
状況や社会情勢の変化など
を見極めながら、定年前早
期退職制度拡充の必要性に
ついて、引き続き検討して
まいります。
なお、退職手当の支給のた
めに必要な財源の確保につ
いては、国の地方財政対策
のひとつである「退職手当
債」を積極的に活用し、将
来に備え退職基金の取り崩
しの抑制を図っておりま
す。今後も厳しい財政状況
が予想されることから、基
金の積立は現実にはかなり
難しい状況ではあります
が、将来の持続可能な財政
運営が図れるよう、退職手
当債など制度として認めら
れているものを活用しなが
ら、できる限り退職基金を
取り崩さなくて済むよう努
めてまいります。
5
人 件 費
H20
(5)地域手当の異動保障に
ついて
地域手当の異動保障として、
地域手当の高い地域から低
い地域へ異動した場合に、2
年間一定の支給割合で地域
手当を支給する制度がある。
当該手当の異動保障は、へき
地手当との調整計算の対象
外で、同じ課で同じ時間勤務
し、地域手当の異動保障によ
り諸手当の金額に差が出る
のも不合理とも思われるた
め、地域手当の異動保障の見
直しを検討すべきと考える。
地域手当の異動保障につい
ては、平成20年の人事委
員会からの報告を踏まえて
見直しを行い、平成21年
4月から廃止しておりま
す。
34
他県の状況も踏まえながら、
引き続き検討してきたが、制
度の拡充には至っていない。
しかし、国において早期退職
募集制度の導入と併せて、早
期退職者に対する特例措置
を拡充する「国家公務員退職
手当法」が改正・公布された
ところであり、今後、具体的
な内容が分かり次第、本県に
おいても制度の見直しを検
討していくとの方針である。
また、退職手当支給のための
財源については引き続き「退
職手当債」を活用するなど、
退職基金の取り崩しの抑制
に努めており、その結果、平
成 20 年度から平成 23 年度に
おいて同基金の取り崩しは
行われていない。しかし一方
で、財政調整基金等の取り崩
しを余儀なくされている厳
しい財政状況であり、退職基
金の積み増しは、運用利息を
除き、実質的に行われていな
い状況である。
退職基金の積み増しに当た
っては、まずは財政調整基金
等を取り崩す必要のない健
全で持続可能な財政運営を
確保することが前提である
と考えており、「新」行財政
改革プラン等に取り組みな
がら、収支改善を着実に図っ
ていく必要があるとの認識
であった。
制度廃止により、現在では、
経過措置も含め地域手当の
異動保障は行われていない。
6
人 件 費
H20
7
人 件 費
H20
8
人 件 費
H20
(1)『長崎県職員及び市町
村等職員の実務研修に関す
る要綱』に基づく 2 ヵ所から
支給されている給料の源泉
徴収義務について
市町村及び一部事務組合(以
下「市町村等」という。)職
員の研修を県において行う
場合の派遣されている職員
について、時間外勤務手当に
ついての源泉徴収漏れが確
認されたことから、源泉徴収
事務を徹底すべきと考える。
(2)諸手当の認定手続きに
ついて
通勤届について2件の認定
年月日の記入漏れが確認さ
れた。諸手当の認定手続きに
ついて、認定日の記入漏れが
ないよう適正な事務の執行
に努めるべきである。
意見を受けたのは、6月分
の給与支給時における事務
処理の誤りですが、当該所
属において既に事務処理の
誤りを発見し、11月分の
給与計算時に、合わせて6
月分所得税の徴収を行なっ
ております。なお、当該所
属に対しては、あらためて
事務処理に誤りがないよう
徹底を図りました。
同種の検出事項は発見され
ていない。
県では平成20年11月1
0日から紙の届出による認
定から、手当等システムに
よる認定へと移行したこと
から、今後は認定日の記入
漏れについては、起こらな
いような仕組みとなってお
ります。
特に問題ない。
(3)長崎県職員研修の履修
状況の活用策
平成20年度長崎県職員研
修の未修了者について、その
後の同様の研修を受講修了
したかを確認したところ、受
講していないとのことであ
った。研修実施報告書によれ
ば、翌日にも同様の研修が開
催されているようであり、研
修を実施する以上は必要の
ない研修はなく、未修了者に
は同様の研修の受講修了措
置を取るべきであったと考
える。また、研修の履修結果
等について人事考課におけ
る評価要因とすることも検
討すべきと考える。
該当する未修了者について
は、研修スケジュールに沿
って、翌日以降は他の研修
を受講する必要があったこ
と及び未修了となった科目
は外部講師により実施して
いるものもあり、同様の研
修を別途、実施することが
できなかったことから未修
了となったところです。
未修了科目については、e
−learningシステ
ムなど、他の研修メニュー
を受講することが可能で
す。なお、課長補佐以下の
新たな人事評価制度につい
ては、評価項目など詳細な
制度設計について、検討し
ているところです。
また、既に実施している課
長級以上における新たな人
事評価制度においては、研
修を受講したかどうかより
も、研修受講により、どの
ような成果を出せたのかと
いう点に着目しており、研
修によって得た知識等を活
用し、目標を達成したこと
を評価する取り扱いとなる
ため、現行制度の中でも、
評価は可能であるものと考
えております。
研修未了者については、昨年
度はほぼ解消している状況。
未修了者のみを対象として、
同じ研修を実施することは、
費用対効果の面から現実的
ではないため、翌年度に再度
研修への指名を行っている。
新人研修についてはトレー
ナー制度を導入し OJT によ
るフォローを実施している。
また、課長級以上の人事評価
制度では、受講の有無より
も、研修受講によりどのよう
な成果を出せたのか、という
点に着目し、研修の知識等を
活用し、目標を達成したこと
を評価している。加えて意向
調査等で研修の受講状況を
把握し、人事異動の参考とし
ている。
35
2.追加検討した事項
(1)扶養控除等の是正通知書に対する対応について(意見)(担当:情報政策課)
今回、職員給与にかかる源泉所得税の処理について、税務署から通知される「扶養控除
等の是正通知書」について平成 20 年度通知受領分から平成 23 年度分までの状況を検証し
た。
是正通知による配偶者控除若しくは扶養控除の誤りは、所得税のみならず、県民住民税
の納付についても影響を及ぼすものである。一回の是正通知に含まれるのは最長過去 3 年
間の納付の是正であるが、ここで指摘される是正金額は、不足額については潜在的な県民
税の収入未済と言える。言うまでもなく県職員において過少納付は避けるべきことで、扶
養控除申告等は正確なものでなければならない。
県としては是正通知の件数抑制のため、通知文書の発行による周知徹底や、システム化
に伴う手続きの標準化、給与事務担当者に対する税務署主催の年末調整説明会への参加呼
びかけなど行っているところであるが、是正件数は下表のとおりの推移であるため(過去
の実績から平均して、1,833 千円の誤りが潜在していたこととなる)
、今後、一層の抑制努
力を求めたい。
年度
調査対象期間
保管金受入決議額
職員本人への還付
長崎税務署への還
(3 年合計)A
額(3 年合計)B
付額(A-B)
件数※
H20
H17∼H19
36
1,686,000 円
37,400 円
1,648,600 円
H21
H18∼H20
36
2,482,200 円
0円
2,482,200 円
H22
H19∼H21
48
1,326,200 円
5,000 円
1,321,200 円
H23
H20∼H22
39
1,890,200 円
10,000 円
1,880,200 円
159
7,384,600 円
52,400 円
7,332,200 円
合計
※職員一人に対し、二件の是正があった場合は是正件数(つまり 2)でカウントしている。
子息のアルバイト収入の超過などによる扶養控除要件からの逸脱については、職員の意
識によるところが大きいが、例えば情報政策課から各所属長宛の年末調整事務の通知文書
のなかにおいても是正通知に対する注意喚起の記述が見られるものの、さらなる周知徹底
を期するためには、別途、是正通知の注意喚起のみを取り扱った文書を発するべきである
と考える。
この他、個々の事例についてサンプルで検証したが、以下のような施策が講じられるべ
きではないかと考える。
①
夫婦ともに県職員である場合生じる扶養控除対象者の重複については、周知のほかに
もシステムを利用した照合手続きを導入するなど、チェックの強化が必要である。
36
②
給与所得者の扶養控除等申告書に扶養者の所得の見積額が 80 万円と記載して提出され
ていた職員に関して、そのまま扶養控除の対象者として事務処理を行っていた事例が発見
された。本来は扶養控除対象に含めるべきではない事は明らかであり、検証作業の徹底が
必要である。
(2)職員の給料等の支給に関する規則に規定する扶養親族の範囲について(意見)
(担当:
人事課)
扶養手当の届出及び認定を定める規程は、本県の「職員の給料等の支給に関する規則」
であり、第 10 条第3項には扶養親族として認定できない者が規定されているが、他県の例
と比べると、本県の規則は、所得要件の定めに相違が見られる。
本県では「その者の勤労所得、資産所得、事業所得等の合計額が年額 130 万円程度以上
である者」としている一方で、他県は「年額 130 万円以上の恒常的な所得があると見込ま
れる者」となっており、①所得の範囲の定め、②「130 万円程度以上」といった表記、③「見
込まれる者」という将来を見越した表現、の 3 点について違いがある。記述の相違によっ
て運用上支障が生じることのないよう、今後規定のありかたを見直すとともに、判断基準
をより明確化するべきである。
長崎県
福岡県
佐賀県
熊本県
3 任命権者は、次に掲げる者を扶養親族として認定することはできない。
(1) 民間その他から扶養手当に相当する手当の支給を受けている者
(2) その者の勤労所得、資産所得、事業所得等の合計額が年額 130 万円程度以上であ
る者
(3) 重度心身障害者の場合は前2号によるほか、終身労務に服することができない程
度でない者
第八条の二
県職員給与条例第十二条第二項、警察職員給与条例第十一条第二項及び学校職員給与条
例第十二条第二項に規定する他に生計の途がなく主としてその職員の扶養を受けている
者には、次に掲げる者は含まれないものとする。
一 職員の配偶者、兄弟姉妹等が受ける扶養手当又は民間事業所その他のこれに相当す
る手当の支給の基礎となっている者
二 年額百三十万円以上の恒常的な所得があると見込まれる者
第二条
県職員給与条例第八条第二項及び学校職員給与条例第十条第二項に規定する他に生計の
途がなく主としてその職員の扶養を受けている者には、次に掲げる者は含まれないもの
とする。
一 職員の配偶者、兄弟姉妹等が受ける扶養手当又は民間事業所その他のこれに相当す
る手当の支給の基礎となっている者
二 年額百三十万円以上の恒常的な所得があると見込まれる者
第2条
一般職員給与条例第 8 条第 2 項又は県立学校給与条例第 9 条第 2 項に規定する他に生計
の途がなく主としてその職員の扶養を受けている者には、次に掲げる者は含まれないも
のとする。
(1) 職員の配偶者、兄弟姉妹等が受ける扶養手当又は民間事業所その他のこれに相当す
る手当の支給の基礎となっている者
(2) 年額 130 万円以上の恒常的な所得があると見込まれる者
37
大分県
宮崎県
鹿児島県
第十一条
条例第十二条第二項に規定する他に生計のみちがなく主としてその職員の扶養を受けて
いる者には、次に掲げる者は含まれないものとする。
一 職員の配偶者、兄弟姉妹等が受ける扶養手当又は民間事業所その他のこれに相当す
る手当の支給の基礎となっている者
二 年額百三十万円以上の恒常的な所得があると見込まれる者
第2条
職員の給与に関する条例(昭和 29 年宮崎県条例第 40 号。以下「給与条例」という。)第
5条の3第2項に規定する他に生計の途がなく主としてその職員の扶養を受けているも
のには、次に掲げる者は含まれないものとする。
(1) 職員の配偶者、兄弟姉妹等が受ける扶養手当又は民間事業所その他のこれに相当
する手当の支給の基礎となっている者
(2) 年額 130 万円以上の恒常的な所得があると見込まれる者
任命権者は,第 1 項の認定を行うに当たっては,次に掲げる者を扶養親族とすることは
できない。
(1) 職員の配偶者,兄弟姉妹等が受ける扶養手当又は民間事業所その他のこれに相当す
る手当の支給の基礎となっている者
(2) 年額 1,300,000 円以上の恒常的な所得があると見込まれる者
(3) 心身に著しい障害がある者の場合は,前 2 号によるほか終身労務に服することがで
きない程度でない者
(3)紙による申請を介した場合における、手当等システムでの入力情報の管理と検証につ
いて(指摘)
(担当:人事課)
職員の手当に関する情報の入力方法には 2 つの方法がある。一つは、平成 20 年 11 月 10
日より運用が開始された手当等システムにより各職員が手当情報を入力する方法。もう一
つは手当等システム導入以前の紙の書式による入力方法となっている。
平成 20 年 11 月 10 日以降は、原則として手当等システムによる入力となっているが、県
庁以外に勤務する派遣職員など、派遣先から手当等システムが物理的に使用できない場合、
紙の書式による申請を行っている。
今回の包括外部監査において、平成 24 年 6 月支給の給与支給明細について確認をしたと
ころ、手当等システムによる申請と、紙の書式による申請とで手当処理の混同が起きてい
た。
県庁以外に勤務することとなり、自身で手当等システムへの入力ができない職員が単身
赴任となり、単身赴任手当の申請をする場合、単身赴任手当にかかる届出は紙の書式によ
る申請となる。その場合、単身赴任が終わった後の単身赴任手当の取消しの申請について
もその取消しは、紙の書式による申請が必要となる。しかし、県庁の職場に復帰した場合
の手当関係の申請は、通常の手当等システムにより行うこととなるが、新たに単身赴任の
データを除いた正しい手当情報を入力した場合でも、過去紙の書式で申請した単身赴任手
当の支給データは、依然として有効なままで、取消しがない状態が継続してしまう。
当然その職員の給与担当者、認定権者は、チェック時にはその時点での正しい申請が手
当等システムで上がってくるため問題がないものとして通してしまうため、正しい情報の
入力が欠落したまま、給与計算が進んでしまう。
38
今回確認したケースでは 4 月、5 月は単身赴任手当が支給され、6 月に職員が給与明細に
より過払いに気付き、給与から控除した事例が検出された。
このようなミスの防止のため、職員に給与明細の確認をするよう周知はしているが、シ
ステム上の問題からチェックもれが生じやすい点であり、職員の異動情報などによるシス
テムを利用した検証手続の確立が必要と思われる。
(4)運転士への旅行諸費の支給について(意見)(担当:人事課)
現在、自動車運転用務に就く職員への「旅費」については、他の職員と同様に旅行諸費
が支給されることとなっており、「職員の旅費に関する条例」及び「職員の旅費支給に関す
る規則」に定める金額がその支給の基準となっている。
運転を用務とする職員については、そもそも公務の予定地まで運転を行うことがその業
務であるため、当該職員について旅行諸費の支給を行うことついては見直すべきと考える。
(用語の意義)
第2条
(1)
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
県内旅行
在勤庁(常時勤務する在勤庁のない職員については、その住所又は居所とする。以下
同じ。)の存する都道府県内における旅行及びこれに隣接する都道府県に包括される市町村のうち在勤
庁ごとに定める区域(以下「県外特定地域」という。)内における旅行をいう。
(旅行諸費)
第 20 条
(1)
旅行諸費の額は、次に掲げる額による。
県内旅行で規則で定める公共交通機関(以下「公共交通機関」という。)を利用しない場合には、
1日につき 300 円
39
Ⅱ-2
教職員課
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
監査の結果
措置
定時制通信教育手当につい
ては、長崎県人事委員会の
報告及び全国の見直し状況
並びに同教育を取り巻く環
境の変化等を踏まえ、既に
平成19年度から20年度
にかけて支給割合を引き下
げる見直しを実施しており
ます。
1
人件費
H20
(1)見直しの対象となる諸
手当
1)定時制通信教育手当
定時制教育及び通信教育を
取り巻く環境が変化してい
ることなどを考慮し、当該手
当の見直しを検討すべきと
考える。
2
人件費
H20
(1)見直しの対象となる諸
手当
2)義務教育等教員特別手当
長崎県においては、現在手当
設置当時における教職員の
採用が困難な状況ではなく、
あえて人材確保をする必要
はないと考えることから、当
該手当の見直しを検討すべ
きと考える。
3
人件費
H20
(1)見直しの対象となる諸
手当
3)産業教育手当
産業教育手当は、農業、水産
又は工業の産業振興のため、
農業、水産又は工業に関する
課程を置く県立学校の教員
を確保するための優遇され
た手当と考えられる。しか
し、農業、水産又は工業課程
の教員の確保が容易になっ
たことや教育の機会が多様
化してきていることなどを
考慮し、当該手当の見直しを
検討すべきと考える。
検証結果
もともと法律の規制から一
律支給(給料月額の 10%)で
あったものを、法律改正によ
って県が規定できることと
なり、平成 21 年度において、
昼間定時制はゼロ%、夜間を
5%、通信制を 3%に引き下げ
ている(高等学校の校長、教
員及び実習助手の定時制通
信教育手当に関する条例第 2
条)。
義務教育等教員特別手当に 国の同手当に係る義務教育
ついては、現在国において、 費国庫負担金の最高限度額
『学校教育の水準の維持向 の算定方法の見直し(給料月
上のための義務教育諸学校 額の 3.8%から 1.5%への引
の教育職員の人材確保に関 き下げ)に伴い、平成 20 年
する特別措置法』による教 度から平成 22 年度に引き下
員給与の優遇措置の縮減に げを行っている。
着手しているため、本県に
おいても国の動きや長崎県
人事委員会の報告を踏ま
え、既に平成21年1月か
ら手当額の縮減に着手して
いるところであります。
なお、手当の見直しについ
ては、今後も引き続き国の
動向等を注視してまいりま
す。
産業教育手当については、 もともと法律の規定から一
長崎県人事委員会の報告及 律支給(給料月額の 10%、定
び全国の見直し状況並びに 時制通信教育手当を受ける
産業教育を取り巻く環境の 者にあっては 6%)であった
変化を踏まえ、既に平成1 ものを、法律改正によって県
9年度から20年度にかけ が規定できることとなり、平
て支給割合を引き下げる見 成 21 年度において、給料月
額の 5%(定時制通信教育手
直しを実施しております。
当を受ける者にあっては、
3%)に引き下げている(県
立高等学校の教員及び実習
助手の産業教育手当に関す
る条例第 2 条)。
40
4
人件費
H20
5
人件費
H20
(2)教職調整額を計算基礎
額に含めている手当につい
て
当該手当には、教職調整額が
計算基礎額に算入されてい
るが、教職調整額は、教育職
員には時間外勤務手当を支
給されないことに対応し設
置された所得補償の性格を
有する金額であり、本給相当
額の取扱いで、諸手当の算定
基礎に含まれる。しかし、交
通・自然・経済・文化的諸条
件に恵まれない不便度に対
して支給される精神的補償
の性格を有する「へき地(特
地勤務)手当、へき地(特地
勤務)手当に準ずる手当」の
算定基礎額への算入は、見直
すべき項目であると考える。
(3)へき地(特地勤務)
手当と地域手当との調整
職員が地域手当の異動保障
として地域手当の支給地域
に6ヶ月を超えて在勤し、地
域手当の支給割合が高い地
域から低い地域又は支給さ
れていない地域に異動した
場合、「異動の日から 1 年目
は異動日の前日に在勤して
いた地域に係る支給割合、2
年目は異動日の前日に在勤
していた地域に係る支給割
合の100分の80、3年目
以降はなし」の地域手当が支
給される。
この場合には、へき地(特地
勤務)手当を受給しながら、
地域手当の異動保障を受給
している職員が存在する結
果となっている。 地域手当
の異動保障については廃止
するのが適当と考えるが、せ
めて、両手当を併給するので
はなく、調整して地域手当の
異動保障を支給するのが適
当と考える。
教職調整額の「へき地(特 法律に基づく対応であり、教
地勤務)手当、へき地(特 育庁の対応に変化はない。
地勤務)手当に準ずる手当」
算定基礎額への算入につい
ては、
『公立の義務教育諸学
校等の教育職員の給与等に
関する特別措置法』により
定められております。その
ため、各手当については、
現行制度のとおり算定する
ものとなっております。
地域手当の異動保障につい
ては、ご意見のとおり、平
成21年4月から経過措置
を設け廃止いたしました。
41
知事部局(人事課の項)に同
じである。
6
人件費
H20
(4)臨時教職員の退職手当
について
自己都合で退職した臨時教
職員の在職期間 が6月以上
1年未満の場合は、これを1
年とすると規定しており、退
職手当も計算方法によれば
在職期間年相当額の2倍と
なることもある。 在職期間
が1年未満の短期勤続者に
対する 取り扱いについて
は、国や他県においても同様
な措置が講じられているが、
このような取り扱いを定め
る趣旨に疑問があることか
ら、臨時教職員の退職手当の
支給につき見直しを検討す
べきと考える。
臨時教職員の退職手当につ
いては、条例に基づいて取
り扱っているところです
が、今回のご意見の内容に
ついては、他県の状況等を
調査し、また関係課とも調
整をしながら現在検討して
おります。
離島など、代替教員の確保の
難しい事案で生じる可能性
がある問題。ただしレアケー
スでもあり法律上の制約が
あるなど対応が難しい。措置
にある通り、他県の状況を注
視するなど検討を怠るべき
ではないが、早急な対応は難
しいと思われる。
2.追加検討した事項
(1)給与過払金返還額の計算誤りと調定事務の遅延について(指摘)
平成 20 年 10 月 30 日付で懲戒免職となった職員への給与の過払金 353,830 円のうち
155,880 円については、給与計算の確認誤りにより翌年度になって調定している。経過をヒ
アリングしたところ、返納金額計算上の相互チェックの欠落によるものであり、今後この
ような事態の生じないように検証を厳格にする必要がある。
本件職員が平成 20 年 9 月途中から既に欠勤状態となっていたため、9 月欠勤分の 155,880
円を 10 月給与から減額し、残額を 10 月 21 日に支給している(システムで 10 月 14 日に 10
月分の給与計算が行われる際、9 月分の欠勤情報を反映し、前月の欠勤分を減額する計算が
自動で行われるため、このような支給の状態となる)。しかしながら、10 月も 30 日間欠勤
状態が続いていたため、勤務時間に関係なく支給される一部の手当を除いた 197,950 円の
返納通知書を懲戒免職処分日に本人へ通知している。この金額については現在も納入がな
く、収入未済となっている。
<実際に行われた計算・・・網掛部分が実際の支出部分を表す>
9 月給与
9 月欠勤分
正当分
(満額支給)
10 月給与
(9 月欠勤分控除)
(155,880 円)
正当分(一部手当)
9 月欠勤分
10 月欠勤分等(197,950 円)返還請求
(10 月分で減額)
問題はこの返納通知時に 155,880 円の返納が漏れている(過少に請求していた)ことに
42
気付かなかった点である。つまり、通常行われているように 9 月欠勤分を 10 月給与から取
り戻そうにも、10 月給与は、10 月に 30 日間欠勤が継続しているので、一部手当を除き、
ほとんど存在しないため、そもそも 9 月分給与の過剰支給を取り戻す余地がないことに気
付くべきであった(つまり、システムの想定した計算ロジック外の事態が生じていた)。
<正しい計算・・・網掛部分が本来支出すべき金額を表す>
9 月給与
※
9 月欠勤分
正当分
(155,880 円)
10 月給与
(9 月欠勤分控除)
正当分(一部手当)
10 月欠勤分返還請求
10 月欠勤分等(197,950 円)返還請求
(155,880 円)
(注)上記の図は、「<実際に行われた計算>」の図と違い、時系列を無視して 9 月給与と 10 月給与を合
わせて考えた場合の正当な支出額を表現しているため、※9 月欠勤分 155,880 円は、実際は 10 月給与
から控除されている。
結果、これを発見したのは翌平成 21 年 7 月のことで、大幅に通知書の発行が遅延した。
係る案件は後述するように過払金の回収が困難な状況に陥っており、発生後の対処が難
しい。このような事態が生じないよう、給与事務に関する相互チェックを継続して厳格に
行うべきである。
なお、教職員課では、係る事態の発生を重く受け止め、これ以降の懲戒免職者の給与につ
いては口座振込を停止し現金支給とし、支給当日までに減額すべき額を控除し過払い給与が発生
しないよう取扱いを改めるとともに、決して計算誤りをすることがないよう担当者間のチェック
を強化するなど細心の注意をはらって事務処理にあたっているとのことである。
(2)債権管理簿の記入徹底について(意見)
上記案件につき、財務規則や債権管理規程に定める債権管理簿の記入が適切に行われて
いない。表面の「債権の管理に関する事項」の記入がなされていない。別紙にて管理して
いるのであれば、その旨記入するべきである。
(3)時効の中断の措置について(意見)
上記案件の回収は一向に進んでおらず、時効の進行もそのままである。
当該債権(給与に係る不当利得請求権)は、時効 5 年の公債権と解される。公債権は時
効が成立すると債権が絶対的に消滅する(地方自治法第 236 条第1項)
。起算点は相手方が
督促状を受け取った平成 21 年 3 月 31 日の翌日であるから、残された時間は 1 年余りであ
る。債務承認書を徴取するか、債務名義を取得するなど、適切な時効管理を行わなければ
43
ならず、間違ってもこのまま手をこまねいて時効成立を許してはならない。
(4)扶養控除等の是正通知書に対する対応について(意見)
今回、教職員の給与にかかる源泉所得税の処理について、税務署から通知される「扶養
控除等の是正通知書」について平成 20 年度通知受領分から平成 23 年度分までの状況を検
証した。
是正通知による配偶者控除若しくは扶養控除の誤りは、所得税のみならず、県・市町民
税の納付についても影響を及ぼすものである。一回の是正通知に含まれるのは最長過去 3
年間の納付の是正であるが、ここで指摘される是正金額は、不足額については潜在的な県
民税の収入未済と言える。言うまでもなく県教職員において過少納付は避けるべきことで、
扶養控除申告等は正確なものでなければならない。
是正件数は下表のとおりの推移であり、(過去の実績から平均して、1,764 千円の誤りが
潜在していたこととなる)、是正の主な理由は配偶者控除(配偶者特別控除を含む。)、扶養
控除(特定扶養親族及び老人扶養親族に係る扶養控除を含む。)の誤りによるものである。
教職員課としては是正通知の件数抑制のため、給与事務担当者への年末調整説明会への
参加呼びかけや、通知文書の発出による周知徹底など行っているところであるが、今後、
一層の抑制努力を求めたい。
年度
調査対象期間
保管金受入決議額
職員本人への還付
長崎税務署への納
(3 年合計)A
額(3 年合計)B
付額(A-B)
件数※
H20
H17∼H19
30
2,658,000 円
0円
2,658,000 円
H21
H18∼H20
20
1,717,200 円
68,400 円
1,648,800 円
H22
H19∼H21
16
1,148,400 円
0円
1,148,400 円
H23
H20∼H22
22
1,600,900 円
0円
1,600,900 円
88
7,124,500 円
68,400 円
7,056,100 円
合計
※職員一人に対し、2 件の是正があった場合は是正件数(つまり 2)でカウントしている。
子息のアルバイト収入の超過などによる扶養要件からの逸脱については、職員の意識の
向上(事例の周知)によるところが大きいが、特に県職員夫婦間で生じる扶養控除対象者
の重複については、更に周知・指導を徹底することが必要と考える。
44
Ⅱ-3
新行政推進室(一部、港湾課)
1.措置状況と検証結果
No
1-1
1-2
テーマ
年度
指定管
理 H18
監査の結果
措置
検証結果
(2)意見
イ.指定管理者
ア)指定管理者制度移行に係
る問題点
平成 18 年 4 月から、長崎県
の 67 の公の施設のうち、43
施設(先行導入された 5 施
設を含む。)が指定管理者制
度に移行したが、管理委託
制度の廃止に伴って形式的
に同制度へ移行したという
側面もあり、本来の業務の
有効性・効率性には必ずし
も結び付いていないのが実
状と考えられる。すなわち、
指定管理者制度への移行自
体が目的化しており、
・各施設における運営上の
課題は何か、
・指定管理者制度へ移行す
ることが本当に適切か、
・何のために指定管理者制
度に移行するのか、
ということについて、明確
なコンセンサスの醸成が行
われないまま実行に移され
たのではないか。その原因
は複雑に絡み合っているた
め、所管部・課だけで解決
するには限界があると思わ
れる。
まず、指定管理者制度の導
入において長崎県の財政事
情の影響がある。多くの地
方自治体がそうであるよう
に、長崎県においても財政
再建を優先せざるを得ない
状況であり、同制度への移
行は予算を削減するための
方策となっている。管理委
託制度から指定管理者制度
への移行は、
「民間でできる
分野は民間に委ねる」とい
う趣旨のもとに行われた
が、制度変更に伴う問題が
十分に検討されていないケ
ースがある。
公の施設については、平成
15 年度に施設評価を実施
し、そのあり方について検
討を行うとともに、指定管
理者制度への移行に際して
は、全庁的な管理方針会議
を実施したうえで、当該制
度への移行を決定したもの
であり、十分な議論を行っ
てきたと認識しておりま
す。
しかしながら、初めての制
度ということもあり、評価
制度などを通じて今後とも
制度導入の検証を行ってま
いります。
引続き、施設の管理運営状
況、目標の達成状況等を検
証し、見直しに役立てるた
めの指定管理者制度導入施
設の評価を毎年度実施して
いる。
「新」行財政改革ブランに
おいて、指定管理者制度導
入による効果等を再検証し
たうえで、導入効果の最大
化に努めることとしてい
る。
指定管理者制度の導入は、
住民サービスの向上などの
視点から地方自治法が改正
され、管理委託制度が廃止
されたことから導入を行っ
たものであり、結果として
予算が減少した施設もあり
ますが、予算削減のための
方策ということではありま
せん。
「指定管理者制度の導入に
関するガイドライン」に基
づき、単に管理経費の縮減
といった視点だけでなく、
より住民サービスの向上に
つながるような管理ができ
るかどうか、また、安定的
な管理ができるかどうかの
観点を優先して指定管理者
の選定を行っている。
ただし、検証の追加につい
ては前項に同じ。
また、この選定の問題とは
別に、負担金精算の考え方
について一定の整理が必要
であるとの観点から検討を
45
なお、当初監査時の見解も
踏まえ、今回の監査では別
の視点で検証を行ってい
る。次の項にもあるが「指
定管理者制度の導入に関す
るガイドライン」に欠けて
いると思われる、「公の施
設」の網羅性について検討
を行い、
「本当に指定管理者
制度の土台となる公の施設
が、網羅的に新行政推進室
によって把握されているの
か」を考察した。詳細は、
下記「2.追加検討した事項」
を参照のこと。
行っている。下記「2.追加
検討した事項」を参照。
1-3
指定管
理 H18
1-4
指定管
理 H18
具体的には、管理委託先と
なっていた長崎県の出資法
人は、元来、管理委託制度
のもとで、公の施設の管理
運営のために設立された法
人であり、指定管理者制度
への移行において公の施設
の指定管理業務を維持でき
ない場合、組織としての経
営が立ち行かなくなるとい
う可能性がある。当該法人
救済のために指定管理者制
度の趣旨が曲げられること
があってはならないが、長
崎県の出資法人見直しの結
果、存続が決定された法人
であっても指定管理者に選
定されるとは限らず、その
場合の職員の取り扱いにつ
いて十分に配慮する必要が
あると考える。
この点に関しては、長崎県
の出資法人に限らず、民間
業者で指定管理者の業務を
専門に行っている場合も同
様の問題がある。
以上のほかにも次のような
問題が顕在化、または内在
している。
・住民サービスの向上より
も、従来からのサービスの
維持が主体であり、予算削
減と相俟って長期的に見る
と、人員削減によるサービ
ス低下が危惧される。
・人員の削減や正職員から
有期職員・パートへ雇用形
態の変更が行われ、従業員
の間で将来に対する不安が
生じている。
・施設の事業計画作成にお
いて、作業単位の積上げに
基づいて行われているが、
直接業務だけがその対象と
なっていて、管理機能等の
間接業務が見積られていな
い、或いは明確にされてい
ないために、長期的な事業
継続という安定的な公共施
設サービスの提供のための
視点が欠けているケースが
ある。
・指定管理者制度の導入に
県出資法人、民間業者にか
かわらず職員の雇用問題に
関しては、基本的に当該団
体で対応するほかないと考
えております。
しかしながら、管理者にな
れなかった出資法人で県が
その法人の設立に関わって
きた一部の法人について
は、新たな管理者に対し、
雇用の継続を働きかけるな
ど、県として対応可能な範
囲で適宜対応してきており
ます。
県の出資法人と言っても、
県が出資法人の雇用の確保
に便宜を図る必要はないと
考える。
指定管理者制度の趣旨は、
言うまでもなく競争原理を
導入し、公の施設の住民サ
ービスを向上させることに
ある。競争の結果、業者の
経営が成り立たないのは業
者の責任であり、それは、
制度発足から 7 年を経過し
た現在では、出資団体にも
既に周知されているところ
と考える。
今後についても、指定期間
満了後の管理者の変更等の
動向を踏まえ、適切に対応
してまいります。
毎年度実施の評価制度や毎
年度提出される事業報告書
及びモニタリングにより適
正なサービスの確保を図っ
ている。
公募により管理者を選定す
る場合、外部有識者を含む
選定委員会を設置し、単に
経費削減といった視点だけ
でなく、管理体制を含めて
施設の効用が最大限に発揮
されることなどの視点も含
めて総合的に判断しており
ます。今後とも毎年度提出
される事業報告書の十分な
審査や評価制度などを通し
て適正な管理の確保に努め
てまいります。
制度導入にあたっては、公
の施設所管課を対象に地方
自治法改正の説明会を平成
15 年に実施するとともに、
平成 16 年度には個別ヒア
リングを実施するなど制度
周知は十分に行ってきたと
ころであります。
従来の管理委託制度から指
定管理者制度への移行は、
地方自治法により期限が定
46
契約更新を迎える施設にお
いては、単に管理経費の縮
減といった視点だけではな
く、より住民サービスの向
上につながるような管理が
出来るかどうかといった視
点を最優先に、指定管理者
の選定を行う方針で事業を
行っている。
ただし、契約のあり方につ
いては見直しの余地があ
り、これについては、下記
「2.追加検討した事項」、
後続の「佐世保青少年の天
地(指定管理者:NPO 法人長
崎県青少年体験活動推進協
会)」の項を参照のこと。
1-5
指定管
理 H18
おいて、3 年間の経過期間が
設けられていたが、現実的
には、指定管理者制度導入
と同時に管理委託制度が廃
止されるという事実が十分
に認識されなかったため
に、同制度に暫定的に移行
せざるを得なかった事情が
ある。
・長崎県の行政改革の一環
として、公の施設の評価・
出資法人の見直し等が進め
られているが、指定管理者
制度導入に際してこれらの
見直しが間に合わなかった
ために、暫定的に同制度に
移行したケースがある。具
体的には、施設の統廃合ま
たは市または町への移管が
進展しないために、出資法
人の統廃合または民間への
移管が遅れている場合等で
ある。
・他の自治体との横並び意
識により、指定管理者制度
における利用料金の設定が
実質的・合理的に決定でき
ず、管理委託制度時代から
引き継いだ使用料の妥当性
について十分に検討されて
いない。
・公の施設としての有効
性・効率性を高めることに
よる住民サービス向上は重
要であるが、競合する民業
を圧迫することでトータル
として県民のマイナスにな
る可能性も考えられる。今
後は、利用者のみならず
様々なステークホルダー
(利害関係者)の意見を聴
取し、県民の利益の観点か
ら総合的に施設のサービス
向上を目指すことが必要と
考える。
められており、一方で施設
の統廃合や市町への移管に
ついては、地域や地元との
協議などを踏まえて実施す
るものであり、施設や出資
法人の見直しとは必ずしも
一致するものではないと考
えております。
今後の制度導入の実績など
を見ながら、指定管理者に
よる自立的な経営努力等の
視点から、必要に応じて利
用料金制の導入施設の拡大
についても検討してまいり
ます。
現在では、利用料金制度の
導入施設は 38 団体と 8 割近
くの施設で導入が進んでい
る。
利用料金の見直しも適宜行
われ、他県との比較であっ
たり、指定管理者の経営努
力との観点などから見直し
が進められている。
評価結果については公表
し、県民からの意見もいた
だいているところであり、
そういった取り組みなどを
通じて、出来るだけ広く県
民の意見も聞きながら施設
のサービス向上に努めてま
いります。
平成 20 年 5 月にガイドライ
ン改正を実施し、指定管理
者のセルフモニタリング
(利用者へのアンケートの
実施等)や、県によるモニ
タリング(定期・随時の業
務確認の実施など)が導入
され、制度の見直しを図っ
ている。
47
2
指定管
理 H18
(イ)指定管理者に対する管
理について
指定管理者制度に移行して
も、長崎県は当然ながら施
設の管理責任を有する。施
設によって特殊性はあるも
のの、管理のレベルについ
ては施設によって差異があ
り統一されていない。
具体的には、所管課が指定
管理者に提出を求める資料
の内容・範囲が施設ごとに
異なっている。指定管理者
に対する適切な管理と評価
のためには、最低限の必須
資料をガイドライン等で明
確化・標準化して、管理と
評価の質を高める必要があ
るものと考える。
一方、指定管理者によって
は、施設の規模が小さく、
上記のような管理資料を作
成するための管理体制が不
十分なケースが存在する。
また、指定管理者が長崎県
の出資法人や自治体である
場合、業務の専門性は確保
しているが、経営管理や経
営戦略において十分に民間
のノウハウを活用できてい
ない場合もあり、現段階で
はこのような指定管理者に
対しては記帳代行、経理業
務または経営管理等のマネ
ジメントコンサルティング
のようなきめ細かなシェア
ドサービス(注)を提供し
て安定的なサービス提供を
サポートすることも必要と
思われる。
また、指定管理者制度導入
の目的の1つには、多様化
する住民ニーズへの対応が
ある。この目的達成のため
に、所管課は、指定管理者
との間で「達成すべき目標」
について合意した上で、運
営に係る管理及び評価を、
この目標の達成状況をもっ
て行うことが有用であると
考える。
現状では、この施設ごとの
目標設定とその達成状況の
把握・評価が殆ど行われて
おらず、管理委託制度当時
の運営管理から実質的に変
公の施設は多種多様であ
り、統一的な提出資料を定
めることは困難であるた
め、個々の施設の状況や特
殊事情などを踏まえて、各
所管課が提出を求める資料
を判断することが適当と考
えております。
個々の管理体制やその団体
の経営に関することは、そ
の団体の責任において行う
べきものと考えております
が、公の施設のサービスの
安定的な確保のために必要
な助言については、可能な
範囲で対応してまいりま
す。
平成 18 年度より評価制度
を導入しており、その際、
成果指標を設定して取り組
んでいるところであり、こ
の指標については、指定管
理者の事業計画を踏まえて
設定し、毎年その達成状況
を評価しているところであ
ります。
48
ガイドラインの改正につい
ては上述の通り。なお、施
設によって多様性があるた
め、様式等の統一化は行っ
ていない。
施設の管理運営状況、目標
の達成状況等を検証し、見
直しに役立てるための指定
管理者制度導入施設の評価
を毎年度実施している。
わっていない。指定管理者
制度の趣旨を踏まえ、財政
負担の増加に留意しながら
も住民サービスの向上に役
立てていくことが望まれ
る。
(注)複数の組織で実施し
ているインターナルサービ
ス(組織内部への役務の提
供)を集中化し、組織とし
て独立させることにより、
顧客の視点でサービスの向
上とコスト削減を図る仕組
みのこと。
3
指定管
理 H18
(6)財産の状況
②物品の管理
オ.意見
(ア)現物調査について
長崎県美術館
ミュージアム財団 会計処
理規程の「第 6 章 物品」に
おいて、物品の実物調査を
定期的に実施する定めはな
い。基本協定書においても、
事業報告等の提出は義務付
けられているが、県有財産
の管理状況に関する報告は
求められていない。
基本協定書にて、
「指定期間
終了に伴う原状回復」が定
められており、協定上は指
定期間中に管理状況の監視
を行わなくても、県有財産
は保全される仕組みとなっ
ている。
しかし、指定管理者の資力
が充分でない場合には、原
状回復義務は実質的には履
行されないこと、貸与して
いる物品の金額は 124 億円
(但し、「エ.指摘事項(イ)
美術品の管理簿への登録金
額について」に記載した重
複金額を含む。)と金額的に
重要であることから、指定
期間中についても、指定管
理者は県職員の立会のもと
で現物調査を実施すること
が必要である。長崎県の物
品については、物品取扱規
則第 13 条により、年 1 回、
物品管理簿と現物との照合
が義務付けられている。
平成 19 年度から、指定管
理者は、県職員立会のもと
で現物調査を実施しており
ます。
49
現物照合は行われている。
4
指定管
理 H18
5
指定管
理 H18
6
指定管
理 H18
(8)その他財務事務
エ.意見
(ア)書類の整理・保管につい
て
長崎県美術館
常設展示事業費の印刷製本
費(768 千円)及び企画展示
事業費の広告宣伝費(525 千
円)について、関連書類を
閲覧したところ、稟議書に
見積書が添付されてないも
のがあり、納品書の所在も
不明なものがあった。書類
の整理及び保管を適切に行
うよう各担当者を指導する
必要がある。
(イ)会計処理に関する規程
の整備及び会計伝票の査閲
承認について
長崎県美術館
経理担当者によってシステ
ム上で作成された会計伝票
について、所属長の査閲・
承認が行われていない。ま
た、会計伝票の起票・承認
等に関する規程が定められ
ていない。伝票の誤入力ま
たは処理漏れ等があった場
合に、これらの発見・予防
が可能となるよう、担当者
以外の第三者によるチェッ
ク体制を構築することが望
ましい。
(イ)リスク管理・責任分担に
ついて
長崎歴史文化博物館
リスク管理・責任分担につ
いては基本協定書に規定さ
れているものの、指定管理
者募集要領には規定されて
いない。指定管理者指定申
請書に添付する収支計画に
関する事項に多大な影響を
持つことから、募集要領に
記載することが望まれる。
書類の整理・保管に関する
マニュアルを整備し、稟議
書提出時の書類点検を徹底
するよう指定管理者を指導
いたしました。今後も、定
期的に指導を行ってまいり
ます。
マニュアルは整備されてい
る。
会計伝票の起票・承認等に
関する規程を定め、経理担
当者以外の総務広報グルー
プサブリーダーが会計伝票
のチェックを行う体制を整
えるよう指定管理者を指導
いたしました。
会計処理規程及び実際の伝
票を査閲し、是正を確認し
た。
次回の指定管理者募集か
ら、リスク管理・責任分担
について、募集要領に記載
いたします。
平成 21 年公募時の募集要項
に記載されていた。
50
7
指定管
理 H18
8
指定管
理 H18
9
指定管
理 H18
(4)指定管理者
ウ.意見
(ア)責任分担等について
長崎県福江港ターミナルビ
ル
長崎県と指定管理者(五島
市)との間で、ターミナル
施設等の改修・修繕や災害
や事故等が発生した場合の
管理責任について負担関係
を明確にしておく必要があ
る。ただし、管理責任につ
いては実際に事故が発生し
た場合、管理の瑕疵による
ものか設置の瑕疵によるも
のかは、双方が十分に協議
して負担関係を決定するこ
とになると考えられる。
(イ)指定管理者の選定につ
いて
長崎県福江港ターミナルビ
ル
非公募のため、選定委員の
選任、選定基準の作成の手
続は省略されている。非公
募ではあるが透明性確保の
側面から、外部有識者の評
価を受けることが望まし
い。
(ウ)ガイドラインへの準拠
性について
長崎県福江港ターミナルビ
ル
福江港ターミナルビルは、
平成 17 年 3 月に指定管理者
制度に移行したため、同年
7 月に制定されたガイドラ
インに則った形にはなって
いない。選定委員会による
指定管理者の候補の絞込み
がなされておらず、選定プ
ロセスが不透明となってい
る。また、指定期間を起債
の償還期限である 20 年と
しており、非常に長い期間
となっている。このような
点については、指定管理者
制度以前の諸事情によるも
のである。当施設が、今後
とも下五島の交通上の重要
施設であることは従来から
変わらないが、管理手法と
しては、結果的に長崎県の
直営施設から五島市を指定
管理者とした施設に変わっ
ただけで、経営手法等民間
長崎県福江港ターミナルビ
ル整備に関する覚書におい
て、起債償還完了までの改
修工事の費用負担関係並び
に補修及び災害が発生した
場合の費用負担について規
定しております。なお、事
故が発生した場合について
は負担関係を明確にできる
よう指定管理者(五島市)
と協議のうえ、覚書に明文
化するなどの措置を行って
まいります。
措置がなされていない。監
査結果を尊重し、是正する
べきである。(指摘)
なお、福江港ターミナルビ
ルに関し事故等が発生した
場合の管理責任について、
現在、長崎県と指定管理者
(五島市)との間で締結し
ている覚書を一部変更し、
管理責任に関するリスク分
担表を明記するための協議
を進めており、概ね合意が
できたので、平成 25 年 2 月
末に覚書の変更を締結する
予定である。
福江港ターミナルビルは、
指定管理期間終了後に五島
市に移管される予定であ
り、五島市が管理すること
を前提として建設されたも
のであることから、非公募
となっております。
措置の通りである。
福江港ターミナルビルが指
定管理者制度に移行したの
は、ガイドライン制定前で
あったため、ガイドライン
に則った形とはなっており
ません。これは、当該施設
が五島市による管理を前提
として建設されたものであ
り、指定管理期間終了後は、
五島市に移管される予定で
あることなどの事情による
ものですが、今後、施設の
有効かつ効率的な運営を行
っていくため、さらなる利
用者サービスの向上及び管
理コスト縮減について努力
してまいります。
現在では事業評価が行われ
ている(平成 18 年度実施分
から平成 23 年度実施分まで
確認)。
51
活力の導入という面で課題
が残る。今後、施設の有効
かつ効率的な運営を行って
いくためにも、さらなる利
用者サービスの向上及び管
理コスト縮減の努力を期待
したい。
2.追加検討した事項
(1)前回監査(平成 17 年度を対象としている)から平成 23 年度までの指定管理制度の導
入の変遷と、経済的効果について(意見)
平成 18 年度の監査は「公の施設の管理運営及び指定管理者制度の事務の執行について」
であった。報告書の冒頭、「3.事件を選定した理由」にある通り、「長崎県では、平成 18
年2月 27 日に策定・公表された「長崎県行財政改革プラン(平成 18 年度∼平成 22 年度)」
の中で、「民間にできることは民間に委ねる」という方針のもと、公の施設に指定管理者制
度の積極的な導入を推進することが提唱されている。具体的な取組みとしては、平成 17 年
度に導入済みの5施設に加え平成 18 年度には 39 施設(結果的に 38 施設となった。)に導
入、未導入の施設については期間中に導入を検討するとされている。
」という状況下で、平
成 17 年度の状況をもとに監査が行われている。
報告書の巻末(217 ページ目に相当する)には、「添付資料1.長崎県の公の施設一覧」
があり、当時(平成 17 年を基準)の 67 の公の施設について、「指定管理か直営(業務委託
あり)か」、指定管理制度導入の施設については「指定管理者名」、「移行時期」、
「指定管理
者の選定方法が公募か非公募か」、そして各施設について「財務収支(県の実質負担額)」
を一覧表にまとめている。
前回監査では 43 施設が指定管理者制度を導入していたが、現在では 49 施設と、当時よ
り以下の 7 施設増加し、1 施設(長崎県奈良尾漁港ターミナル)が平成 19 年 4 月に新上五
島町に譲渡したため減少し、結果、6 施設の純増となっている。これらの施設のうち、No6
が寄付受領による指定管理制度の導入、No7 が港湾施設として従前から公の施設であった以
外は、施設の新設より公の施設として存在していた施設である。
指定管理者制度の導入件数の増加は、制度進展、継続的な見直しという観点からは、評
価されるものである。
No
施設名
所管課
1
長崎県難病相談・支援セン
ター
国保・健康
増進課
指定管理者
NPO法人
協議会
52
長崎県難病連絡
選定方法
移行時期
公募
H18/10/28
2
長崎県聴覚障 害者情報セ
ンター
3
佐世保情報産業プラザ
4
5
6
7
海洋スポーツ 基地カヤッ
クセンター
長崎松が枝国 際ターミナ
ルビル及び松が枝緑地
早岐港ハウステンボスマリーナ
及びハウステンボスハーバー
長崎港福田マ リーナ及び
長崎出島ハーバー
障害福祉
課
産業技術
課
自然環境
課
(一社)長崎県ろうあ協会
公募
H19/4/1
ハウステンボス・技術センタ
ー㈱
公募
H19/6/1
非公募
H20/4/1
公募
H22/4/1
(公財)佐世保市体育協会
港湾課
長崎緑地公園管理事業協同組
合
港湾課
ハウステンボス㈱
非公募
H23/4/1
港湾課
長崎サンセットマリーナ㈱
非公募
H23/4/1
ただし、従前から存在していた No7 については、前回監査の「添付資料1.長崎県の公
の施設一覧」では公の施設としては挙げられておらず、必ずしも網羅的に把握されている
とは限らないことが想起される。
つまり、公の施設としての定義に当てはまりながら、指定管理者制度の導入の可否を考
えるにあたって、施設の網羅的な把握、情報の共有という点で疑問が残る。この点につい
ては、次項「(2)公の施設の網羅性について
①ガイドラインの見直しについて」で検討
を行っているので、内容は次に譲る。
また今回、上記「添付資料1.長崎県の公の施設一覧」を、再度平成 23 年度の状態で作
成し、県の実質負担額がどのように変化したかを検証した。
(単位:千円)
収入
施設名
支出
(A)
(B)
内訳(H23)
H23 収支
(B-A)
正は支出超
指定管理者
負担額
H17
県負担額
(一般財
源)
収支
正は支出超
1
雲仙岳災害記念館
225,518
237,326
11,808
11,808
0
△ 27,266
2
土石流被災家屋保
存公園
0
2,127
2,127
0
2,127
2,223
3
長崎県美術館
506,013
528,597
22,584
14,032
8,552
369,477
4
長崎歴史文化博物
館
411,515
648,180
236,665
42,671
193,994
272,820
5
長崎県亜熱帯植物
園
35,194
87,432
52,238
0
52,238
50,746
6
長崎県伊王島リゾ
ート公園
0
1,302
1,302
56
1,246
0
7
県民ボランティア
活動支援センター
635
20,856
20,221
0
20,221
19,579
53
8
長崎交通公園
9,177
16,783
7,606
0
7,606
11,381
9
雲仙公園テニスコ
ート
780
637
△ 143
△ 143
0
0
10
田代原野営場
2,014
6,388
4,374
0
4,374
1,380
11
論所原野営場
2,665
2,665
0
0
0
212
12
高浜園地休憩施設
3,506
5,816
2,310
0
2,310
0
13
頓泊園地休憩施設
1,285
4,230
2,945
0
2,945
△ 795
14
蛤浜園地休憩施設
3,321
4,730
1,409
0
1,409
0
15
大浜園地休憩施設
2,817
2,817
0
0
0
0
16
金泉寺山小屋及び
野営施設
532
1,187
655
△ 177
832
735
17
海洋スポーツ基地
カヤックセンター
5,206
4,814
△ 392
△ 392
0
18
長崎県難病相談・
支援センター
5,203
9,531
4,328
0
4,328
19
長崎県視覚障害者
情報センター
15,797
29,698
13,901
0
13,901
20
長崎県聴覚障害者
情報センター
12,935
25,021
12,086
0
12,086
21
長崎県ビジネス支
援プラザ
13,819
16,611
2,792
0
2,792
7,217
22
長崎県東京産業支
援センター
15,282
15,282
0
0
0
△ 8,379
23
佐世保情報産業プ
ラザ
85,703
87,129
1,426
0
1,426
24
長崎県勤労福祉会
館
21,197
20,957
△ 240
△ 2,134
1,894
10,324
25
長崎県立佐世保技
能会館
6,200
7,093
893
0
893
△ 119
26
長崎県立諫早技能
会館
2,850
3,502
652
0
652
101
27
長崎県民の森
16,940
75,962
59,022
22
59,000
89,388
28
長崎県立総合運動
公園
62,068
147,146
85,078
△ 2
85,080
100,266
54
16,858
29
西海橋公園
12,826
42,540
29,714
△ 1,396
31,110
30,435
30
田平公園
8,603
28,039
19,436
△ 89
19,525
23,060
31
平戸公園
657
13,924
13,267
△ 64
13,331
12,085
10,980
40,164
29,184
△ 5
29,189
百花台公園
32
27,556
百花台森林公園
6,353
33
長崎県福江港ター
ミナルビル
31,230
31,230
0
0
0
12,489
34
長崎水辺の森公園
20,775
54,005
33,230
△ 32
33,262
35,081
11,155
26,717
15,562
△ 212
15,774
70,735
94,890
24,155
△ 287
24,442
100,728
117,949
17,221
△ 1,674
18,895
368,052
1,368,728
1,000,676
13,248
987,428
△ 2,422,385
県営住宅(2団地)
1,824
6,718
4,894
0
4,894
0
39
長崎県立佐世保青
少年の天地
11,903
104,643
92,740
△ 4,330
97,070
119,095
40
長崎県立千々石少
年自然の家
3,659
63,215
59,556
△ 884
60,440
50,849
41
長崎県立世知原少
年自然の家
2,428
43,246
40,818
△ 1,665
42,483
55,296
42
長崎県立西彼青年
の家
17,435
37,488
20,053
△ 657
20,710
21,477
43
長崎県立対馬青年
の家
8,771
23,383
14,612
△ 1,909
16,521
18,338
44
長崎県立上五島海
洋青少年の家
7,383
12,051
4,668
0
4,668
3,970
45
長崎県立総合体育
館
211,581
201,379
△ 10,202
△ 10,202
0
230,467
46
長崎県営野球場
84,807
76,421
△ 8,386
△ 8,386
0
78,800
47
長崎県小江原射撃
場
0
0
0
0
0
903
35
36
37
38
長崎松が枝国際タ
ーミナルビル及び
松が枝緑地
早岐港ハウステン
ボスマリーナ及び
ハウステンボスハ
ーバー
長崎港福田マリー
ナ及び長崎出島ハ
ーバー
県営住宅(82団
地)
55
48
県北トレーニング
室
19,915
17,422
△ 2,493
△ 2,493
0
8,855
49
長崎県立武道館
19,799
19,200
△ 599
△ 599
0
△ 602
50
開成学園
44,852
203,115
158,263
-
158,263
154,831
51
長崎県有墓地
0
1,987
1,987
-
1,987
984
52
こども医療福祉セ
ンター
688,321
1,035,995
347,674
-
347,674
553,495
53
長崎魚市場
176,846
388,627
211,781
-
211,781
467,188
54
長崎駅前広場
12,921
0
△ 12,921
-
△ 12,921
27,472
55
長崎港プロムナー
ド
7,421
7,421
0
-
0
7,669
56
長崎港ターミナル
ビル
91,803
91,803
0
-
0
0
57
長崎港常盤ターミ
ナルビル
876
876
0
-
0
0
58
福江空港
12,608
121,729
109,121
-
109,121
169,030
59
壱岐空港
1,006
91,907
90,901
-
90,901
125,246
60
対馬空港
13,284
136,961
123,677
-
123,677
45,035
61
長崎空港内外連絡
通路
12,205
32,980
20,775
-
20,775
33,200
62
上五島空港
1,578
11,573
9,995
-
9,995
36,862
63
小値賀空港
128
8,770
8,642
-
8,642
36,701
64
長崎県立長崎図書
館
466
331,151
330,685
-
330,685
407,719
65
長崎県立対馬歴史
民俗資料館
92
38,186
38,094
-
38,094
70,231
66
長崎県放虎原ラグ
ビー場
0
7,330
7,330
-
7,330
0
67
武道館及び音楽隊
練習場
128
6,905
6,777
-
6,777
5,440
68
シーサイドホー
ル・アルカスさせ
ぼ
458,211
457,019
△ 1,192
-
-
11,989
56
合計
3,395,342
合計
1,381,362
※上表の直営施設については、平成 17 年度の「長崎県の公の施設一覧」から、仁田峠循環自動車道路(平
成 21 年 4 月雲仙市へ移譲)
、光が丘学園(平成 20 年 4 月社会福祉法人へ移譲)、長崎県青少年センター(平
成 19 年 3 月用途廃止後、普通財産として貸付)、銅座駐車場(平成 19 年 3 月廃止)、長崎県農村婦人の家
(平成 22 年 3 月廃止)が削除されている。
上記表で集計対象となった、指定管理者制度を導入した公の施設(No1 から 49 まで)と、
直営施設(No50 から 68)の実質負担額(収支差)の合計では、平成 17 年度が 1,381,362
千円の支出超過、平成 23 年度が 3,395,342 千円の支出超過であり、指定管理制度導入後の
ほうが、実質負担額が悪化している結果となるが、No38 の県営住宅の収支について、平成
17 年度の集計がうまく集計できていない可能性があるため(県担当者の調査においても当
時どのような集計がなされたのか解明できなかった)、これを除外し、更に平成 18 年度以
後新規に指定管理者制度を導入した施設の収支を除外して再計算すると、平成 17 年度が
3,803,747 千円の支出超過、平成 23 年度が 2,315,316 千円の支出超過であり、1,488,431
千円の収支が改善していることが分かる。
この収支差額のうち、指定管理者制度導入済施設(平成 18 年度以降導入施設は除く)の
収支改善は 1,650,655 千円から 863,797 千円へと 786,858 千円の改善となっている。
上記表で集計対象となった、指定管理者制度を導入した公の施設について平成 17 年時と
比した際には、収支改善となっているが、個々の施設の収支の比較を見てみると、収支改
善となっていない施設が見受けられる。
指定管理者制度が経済効果を第一に考えた制度ではなく、あくまで競争原理の導入によ
る住民サービスの向上が制度趣旨であるとはいえ、今後も厳しい県財政の負担を軽減でき
るよう、各施設とも一層の収支改善に努力されたい。
(2)公の施設の網羅性について
①
ガイドラインの見直しについて(意見)
現行の「指定管理者制度の導入に関するガイドライン(改訂版)」
(平成 20 年 5 月)によ
れば、制度導入のスタートとなる「対象となる施設」について、以下のように定めている。
○対象となる施設
・条例で設置している全ての公の施設について、検討の対象。
・現在、直営で管理している施設についても、地方自治法改正の趣旨及び行財政改革プランに基づいて、
指定管理者制度導入の検討を行う。
しかしながら、対象となる施設の網羅性、つまり指定管理者制度の導入の土台となる公
の施設が漏れていないかという観点で、「公の施設の定義」に本来当てはまる可能性がある
施設について情報を集約し、検討するプロセスが定かではない。
57
制度の運用方針を司る新行政推進室にあっては、今後、検討対象の施設の網羅性を確保
するための各課への回答書の提出を求めるなどのプロセスについて実施することを求めた
い。
また今回、指定管理者制度の導入の可能性のある施設が本当に存在しないのかを検討し
た。
まず、県の公金支出情報公開システムを用い、委託取引を抽出し、従前の管理委託制度
が残留していないか、また、インターネットの情報を検索し、県若しくは外郭団体の施設
として検証の必要な施設が情報として存在しないかなど、いくつかの視点で調査を進めた。
そして、候補となる施設として 7 施設を対象とし、各々の施設を所管する部署にヒアリ
ングを行い、施設の性質や規模、運用状況を検討し、指定管理者制度の導入の可能性を検
証した。
その結果、(財)長崎県体育協会の管理する「スポーツ合宿所」(長崎市鳴滝町)につい
ては、公の施設としての定義(1.住民の利用に供するためのもの、2.当該地方公共団体の
住民の利用に供するためのもの、3.住民の福祉を増進する目的をもって設けるもの、4.地
方公共団体が設けるもの、5.施設であること(地方自治法第 244 条第 1 項))に当てはまる
可能性がある。
ただし、当該物件は、既に市道拡幅事業用地買収の代替地として要望があった長崎市へ
の譲渡と、それに伴う建物の取り壊しが予定されている(譲渡についての協議を開始する
意向)との県教育庁からの説明があり、公の施設を前提とする当方の検討対象としては妥
当ではないと判断するに至った。
このため以下の記述は、指定管理者制度導入の検証を県が推進するにあたって網羅性の
更なる確保が必要な事例として示すことを承知いただきたい。
このスポーツ合宿所は、もともと県立女
子短大の学生寮として建てられたもので
あったが、同校の廃校とともに学生寮の跡
地活用の結果、平成 12 年度から(財)長
崎県体育協会へスポーツ合宿所として運
営すべく土地・建物を貸し付けている。長
崎県の財産区分としては普通財産として
の扱いであるため、「公の施設」とはなっ
ていないという事情がある。
以下、合宿所の利用案内に従って、施設の概要を説明する。
58
施設の目的は以下のように説明されている。
ご利用の皆様へ
(財)長崎県体育協会スポーツ合宿所は、児童・生徒・学生及び一般の方々のスポーツ合宿時の宿泊の
便宣を図るため、設けられたものです。
合宿強化練習・大会時の宿泊施設として、又は宿泊を伴う研修施設としてもご利用ください。
施設の概要は次の通り。
鉄筋コンクリート造 4 建
宿泊室
1階
和室(研修室) 1 室
洋室(4 人、2 段ベット) 9 室
2階
和室(研修室)、洋室(研修室) 各 1 室
洋室(4 人、ベットなし) 8 室
3・4 階
洋室(4 人、2 段ベット) 各 10 室
計 40 部屋
150 人宿泊可能
利用対象者としては、以下のようになっている。
長崎県に在住する小学生以上の者で、以下の各号に該当する場合に利用できる。
(1)スポーツ合宿を行う者
(2)スポーツに関する講習会等に参加する者
(3)スポーツの競技大会に参加する者
59
※県外者でも本県の団体(学校を含む)と共に活動をする場合には、利用できます。
利用料金は以下の通りであるが、
(財)長崎県体育協会の収益となるのは宿泊費とクーラ
ー代(下表にはない)であり、食事代は給食業者の収入となる。
食事代
宿泊費
朝食
昼食
夕食
合計
備考
引率者等
3,500 円
500 円
500 円
700 円
5,200 円
昼食は、配
高校生以下
2,500 円
500 円
500 円
700 円
4,200 円
達いたしま
〃(離 島)
1,000 円
500 円
500 円
700 円
2,700 円
す
平成 21 年度及び 22 年度のスポーツ合宿所の利用状況は以下の通りである。(単位:円)
延利用人
年度
泊数
食事数
使用料
冷房代
食事代
合計
数
H21
292 泊
4,658 人
9,103 食
6,748,500 円
113,100 円
5,317,800 円
12,179,400 円
H22
301 泊
4,496 人
8,399 食
6,965,000 円
122,400 円
4,910,100 円
11,997,500 円
と、ほぼ平成 21 年度、22 年度ともに近似した利用状況である。
以上から、公の施設としての定義(1.住民の利用に供するためのもの、2.当該地方公共
団体の住民の利用に供するためのもの、3.住民の福祉を増進する目的をもって設けるもの、
4.地方公共団体が設けるもの、5.施設であること(地方自治法第 244 条第 1 項)
)を当該施
設が満たす可能性が高い。
続いて、平成 21 年度と平成 22 年度のスポーツ合宿所の収支決算額は以下の通りである。
科目
H21
H22
県費補助金
6,525,000 円
6,125,000 円
合宿所利用料金
6,861,600 円
7,087,400 円
13,386,600 円
13,212,400 円
収入合計
科目
H21
H22
体育協会職員人件費※
2,882,332 円
3,426,458 円
管理業務委託料
1,260,000 円
1,260,000 円
363,031 円
269,203 円
9,002,055 円
8,187,759 円
13,507,418 円
13,143,420 円
合宿所賃借料(長崎県へ支払)
その他経費
支出合計
60
収支差額
※
△120,818 円
68,980 円
給与と福利厚生費の合計
以上から、このスポーツ合宿所の運営等においては、以下のような見直しの点があった
ものと考えられる。
①
県と長崎県体育協会との間で締結されている当該土地・建物の公有財産貸付契約につ
いては、長崎県体育協会だけが対象となっており公平性という点で見直しが必要ではなか
ったか。貸付料も施設の規模に見合わず、減免措置によって年間 30 万円前後と、非常に廉
価な価格で貸し付けられている(合宿所利用料金の年間額の 4%相当額)。
②
指定管理者制度を導入し、評価制度を取り入れることによって、さまざまな評価指標
が審査され、利用者にとって利便性は向上することが期待される。
③
施設を視察したところ、非常階段が錆びつき、もろくなっている箇所が見られた。ま
た、現在使用していない旧式のパソコン、旧女子寮時代の体重計、ピアノといった本来廃
棄処理すべき物品が放置されており施設の管理が行き届いていない。特に非常階段につい
ては、火災時の避難路として機能しなければならないため、施設の譲渡時期の如何にかか
わらず、利用者の安全という観点からは早急な補修が必要であると思われる。
(3)指定管理者制度の協定内容の比較検討について(意見)
今回、横並びに各協定を見ていく中で、負担金の精算に相違があることが判明した。新
行政推進室に調査を依頼したところ、各協定内容は以下のようになった。
61
︵
1
施 設名
指定 管理者名
︶
課名
管轄部 局
利
使
用
む用
料
料
金
を
制
含
雲仙岳災 害記念館
(公財) 雲仙岳災害 記念財団
2
土石流被 災家屋保存 公園
南島原市
3
長崎県美 術館
(公財) 長崎ミュー ジアム振興 財団
●
長崎歴史 文化博物館
(株)乃 村工藝社
●
長崎県亜 熱帯植物園
(財)長 崎市野母崎 振興公社
●
企 画振興部
●
負担金精算 状況
負担金支
年度精 算 指定期間
精算なし 年 度精算 (修繕費 最終年度
出
なし
精算
分)
○
地域振興 課
○
○
文化振興 課
4
○
文 化観光物産 局
5
○
観光振興 課
6
長崎県伊 王島リゾー ト公園
(株)KP G HOT EL&RE SORT
県民協働 課
県民ボラ ンティア活 動支援セン
ター
(社福) 長崎県社会 福祉協議会
●
交通・地 域安全課
長崎交通 公園
(財)長 崎県交通安 全協会
●
9
雲仙公園 テニスコー ト
雲仙ゴル フ場(株)
●
10
田代原野 営場
雲仙市
●
11
論所原野 営場
南島原市
●
○
高浜園地 休憩施設
五島市
●
○
頓泊園地 休憩施設
五島市
●
○
14
蛤浜園地 休憩施設
新上五島 町
●
○
15
大浜園地 休憩施設
佐世保市
●
○
16
金泉寺山 小屋及び野 営施設
多良岳登 山者山の会
●
17
海洋スポ ーツ基地カ ヤックセン
ター
(公財)佐 世保市体育 協会
●
長崎県難 病相談・支 援センター
NPO法 人 長崎県 難病連絡協 議会
○
長崎県視 覚障害者情 報センター
(一社) 長崎県視覚 障害者協会
○
20
長崎県聴 覚障害者情 報センター
(一社) 長崎県ろう あ協会
21
長崎県ビ ジネス支援 プラザ
(株)コ ンベンショ ンリンケー ジ
●
○
長崎県東 京産業支援 センター
(株)コ ンベンショ ンリンケー ジ
●
○
産業技術 課
佐世保情 報産業プラ ザ
ハウステ ンボス・技 術センター ㈱
●
雇用労政 課
長崎県勤 労福祉会館
長崎県ビ ルメンテナ ンス事業協 同組合
●
○
長崎県立 佐世保技能 会館
ハウステ ンボス・技 術センター (株)
●
○
長崎県立 諫早技能会 館
職業訓練 法人 長崎 県央職業訓 練協会
●
○
長崎県民 の森
(社)長 崎県林業コ ンサルタン ト
●
○
28
長崎県立 総合運動公 園
(社)長 崎県公園緑 地協会
●
○
29
西海橋公 園
グリーン メイク・岩 永造園・中 村造園指定 管理者共
同企業体
●
○
30
田平公園
(社)長 崎県公園緑 地協会
●
○
31
平戸公園
(社)長 崎県公園緑 地協会
●
○
7
県 民生活部
8
12
13
環 境部
18
19
自然環境 課
国保・健 康増進課
福 祉保健部
○
○
○
○
○
○
○
障害福祉 課
○
産業振興 課
22
23
○
産 業労働部
24
25
産業人材 課
26
27
農 林部
土 木部
林政課
都市計画 課
土 木部
都市計画 課
百花台公 園
農 林部
林政課
百花台森 林公園
32
事業共同 体 V・フ ァーレン長 崎スポーツ コミュニ
ティ
●
○
●
33
長崎県福 江港ターミ ナルビル
五島市
●
34
長崎水辺 の森公園
長崎緑地 公園管理事 業協同組合
●
○
35
長崎松が 枝国際ター ミナルビル 及
び松が枝 緑地
長崎緑地 公園管理事 業協同組合
●
○
早岐港ハ ウステンボ スマリーナ 及
びハウス テンボスハ ーバー
ハウステ ンボス株式 会社
●
長崎港福 田マリーナ 及び長崎出 島
ハーバー
長崎サン セットマリ ーナ株式会 社
●
36
港湾課
土 木部
37
○
○
○
県営住宅 (82団地 )
長崎県住 宅供給公社
●
○
県営住宅 (2団地)
西海市
●
○
39
長崎県立 佐世保青少 年の天地
NPO法 人 長崎県 青少年体験 活動推進協 会
●
○
40
長崎県立 千々石少年 自然の家
NPO法 人 長崎県 青少年体験 活動推進協 会
●
○
41
長崎県立 世知原少年 自然の家
NPO法 人 長崎県 青少年体験 活動推進協 会
●
○
長崎県立 西彼青年の 家
西彼青年 の家施設運 営協会
●
○
住宅課
38
生涯学習 課
42
43
長崎県立 対馬青年の 家
対馬青年 の家施設運 営協会
●
○
長崎県立 上五島海洋 青少年の家
新上五島 町
●
○
45
長崎県立 総合体育館
長崎ダイ ヤモンドス タッフ株式 会社
●
○
46
長崎県営 野球場
長崎ダイ ヤモンドス タッフ株式 会社
●
○
長崎県小 江原射撃場
長崎ダイ ヤモンドス タッフ株式 会社
●
○
48
県北トレ ーニング室
(公財) 佐世保市体 育協会
●
○
49
長崎県立 武道館
(公財) 佐世保市体 育協会
●
○
44
47
教 育庁
体育保健 課
62
この表では、負担金の精算について、年度精算をする協定、修繕費のみ年度精算をする
協定、指定期間最終年度に精算する協定、そして精算をしない協定とさまざまである。
個々の施設の規模・状況に応じ精算方法に違いが見られるが、精算を要しないことがい
わゆる実績確認の油断につながり、経費の精査の妨げになる可能性も否定できない(次項
の長崎県立佐世保青少年の天地に関する検出事項を参照のこと)。更に負担金の積算の際の
フィードバックにも影響し、将来的にも禍根を残すことも懸念される。
個々の施設の状況に応じ負担金の精算のあり方については慎重に検討するべきではない
かと考える。
新行政推進室は、このような観点からも指定管理制度のあり方を検証していかれたい。
(4)指定管理者募集における対象施設のまとめ方について(意見)
佐世保青少年の天地(指定管理者:NPO 法人長崎県青少年体験活動推進協会)の項「2.
追加検討した事項(1)指定管理者の選定のあり方について」でも触れているが、募集方法
が従前のまま見直されず、複数の施設をまとめて募集をかけている事例が見られる。
複数の施設をまとめて募集することによって、条件が合わず、結果的に応募する団体の
参入障壁になる可能性があることを想定するべきである。今後、制度の公平性や効率性の
向上のため応募する施設の単位も見直すべきである。
新行政推進室は、このような観点からも指定管理制度のあり方を検証していかれたい。
63
Ⅱ-4
生涯学習課(長崎県立佐世保青少年の天地)(指定管理者:NPO 法人長崎県青少年体
験活動推進協会)
1.措置状況と検証結果
No
1
テーマ
年度
指 定
管 理
H18
監査の結果
措置
検証結果
(6)財産の状況
①公有財産の管理
エ.指摘事項
(ア)公有財産台帳の不備につ
いて
公有財産台帳の建物につい
て、登載されている 22 件中
17 件について取得価格の記
載がない。公有財産取扱規則
第 33 条 1 項に記載のように
価格は絶対的記載事項であ
り、公有財産台帳に重要な不
備があると判断される。確か
にその多くは昭和 63 以前の
取得であり、過去の担当者の
責任であるかもしれないが、
公有財産取扱規則第 36 条に
定期報告の義務がある以上、
不備のままで現在まで放置
されている状況には問題が
ある。
ご指摘を踏まえ、建物の取
得価格について調査を行
い、平成 19 年度に公有財
産台帳に記載いたしまし
た。
公有財産台帳への記載はな
されている。
64
2-1
2-2
指 定
管 理
H18
指 定
管 理
H18
(4)指定管理者
ウ.意見
(ア)指定管理者制度採用の目
的
指定管理者に選定された青
少年推進協会は、旧管理委託
先の長崎県青少年育成施設
協会から NPO 法人へ組織変
更した団体で、従来の強みを
生かしながら体制自体の変
更を行っている点では評価
できる。しかしながら、指定
管理者制度は、公の施設への
県負担金の抑制の一面も併
せ持つことから、青少年推進
協会が、従来の管理委託制度
と同様のサービスを提供し
続けるとすれば、大幅な収入
の拡大が望めない状況や、長
崎県の負担金が削減される
見通しの中で、経営を維持す
ることは困難な状況にある。
現実的に、職員の待遇は従前
に比較して悪化しているほ
か、展開する事業は佐世保、
千々石及び世知原の 3 施設
のみで、いずれも小規模かつ
教育施設であるため収益事
業とはなり得ないことから、
将来における収益の拡大や
指定期間終了後の事業の確
保に不安があり、NPO 法人と
しての事業の展望や人材の
育成についてプランを持て
ない状況にある。
一方で事業継続のために、収
支の改善や利用料金の見直
しを検討しているが、長崎県
の負担金は前年度の実績を
もとに決定されるため、利用
料金の見直しによったイン
センティブが、指定管理者の
純収入とならず、長崎県の負
担金削減となるリスクを内
包している。
以上のとおり、青少年の天地
においては、制度導入時及び
指定管理者の双方に課題を
残したままであり、公の施設
として長期的視点に立った
青少年の健全育成、社会教育
活動の推進等のサービスを
安定的に提供・維持する教育
施設への指定管理者制度導
指定管理者の選定にあたっ
ては、公募により広く指定
管理者を募っており、同じ
条件のもと、共通した情報
提供を行った上で各応募者
が施設の効果的な運営方法
及び管理運営経費について
積算等を行い、事業計画書
として提案されたものであ
り、特定の団体の経営手法
や企業努力の内容等につい
て県は意見を述べる立場で
はないと考えております。
減免措置に係る経費につい
ては、県の負担金の積算の
際に減免分も考慮した上で
負担金を決定し、また、減
免された利用者についても
一定の受益者負担となる経
費を徴収しております。な
お、県の指定管理者制度導
入の方針に沿って検討した
結果、教育的性格を持つ本
施設において指定管理者制
度を導入したものですが、
新たな課題がありましたら
随時対応を検討してまいり
ます。
評価項目のうち施設の利用
者数については、企業が売
り上げを伸ばすために懸賞
や試供品等の配付を行うの
と同様により多くの方に施
設利用してもらうための営
業努力等を反映するもので
あり、決して正当な評価が
できない無意味な指標であ
るとは考えておりません
が、評価項目の設定につい
ては、ご意見も踏まえ、一
方的なものにならないよう
常に検討してまいります。
65
業者の経営のあり方につい
ては、指定管理者制度の趣旨
とは別の問題として考える
べきであり、県が関知すると
ころでもない。言うまでもな
く競争原理を導入し、公の施
設の住民サービスを向上さ
せることに指定管理者制度
の趣旨があり、競争の結果、
業者の経営が成り立たない
のは業者の責任である。むし
ろ公平性を基本として指定
管理者は選定されるべきで
あり、現行の NPO 法人が必ず
運営しなければならないと
いうことではない。
減免の問題についても、施設
の目的が阻害されるような
状況にはないと判断される。
佐世保青少年の天地の平均
年間利用者、約 7 万人の約
65%が青少年の利用となっ
ているが、このうち学校利用
の際、減免措置が行われる。
人数にして年間平均約1万
人が減免を利用している計
算となる。少子化の影響によ
り減免は減少傾向にあり、利
用料収入(減免額を加算)に
占める減免額の割合も平成
23 年度で 32.4%と、平成 18
年度 38%近くあった状況よ
りは低下しているが、施設の
あり方を歪ませるほどの低
下ではない。
前項の続き
むしろ、当該指定管理に係る
協定の条件は、別の観点から
見直されるべきであり、この
点の検討については、「新行
政推進室」の項及び「2.追
加検討した事項」を参照され
たい。
事業評価書にあるように、評
価項目は拡充しており、現在
では、財務指標の他、①施設
利用度、②主催事業参加率、
③アンケート調査による利
用者満足度、④利用者からの
意見に対応した件数、⑤年間
利用者数、⑥ホームページ年
間アクセス数が設定され評
価されている。
3
指 定
管 理
H18
入に対する長崎県の方針、及
び選定委員会における審議
の視点について整理する必
要があると考えられ、所管課
は、早急に現状のサービスの
安定的提供のために次の事
項について検討すべきと考
える。
・指定管理者が施設の設置目
的に沿って活動を行うほど
減免措置の特典を享受でき
る小・中学校の利用比率が高
まり、施設管理者の収益を圧
迫する結果になるリスクを
内包している、これらの教育
的性格を持つ施設における
指定管理者制度の導入は慎
重に検討されるべきであっ
たと考察する。今回の指定管
理者の指定期間が終了する
次回更新時においては、利用
料金制度を除外する等、これ
らの課題への対処を検討す
ることが望まれる。
・評価項目のうち施設の利用
者数が重視されているが、評
価項目を満たそうとすれば、
副次的目的である住民の憩
いの場を提供するとした、無
料開放による利用者の増加
を図り、高い評価を受けよう
とする。評価項目は施設本来
の目的を達したかを測る側
面を持つ指標であるととも
に、指定管理者にとっても経
営指標の改善等に資する指
標であることが望ましく、一
方的な指標の設定は指定管
理者を評価するにあたり、正
当な評価ができない問題を
内包している。評価項目の設
定にあたってこれらに配慮
することが望まれる。
(5)利用状況
イ.意見
(ア)貸し施設の利用促進につ
いて
宿泊棟・ロッジ、アリーナ、
テニスコートは比較的利用
されているが、ケビン、視聴
覚室、音楽室の利用率が極め
て低い。施設の存在自体が知
られていないのではないか。
ホームページ等を通じて、広
く県民等に認知を図る必要
がある。
指定管理者において、募集
チラシ・パンフレット・ホ
ームページなどで施設の周
知活動を行うとともに、県
においても、ホームページ
等を活用して、施設の情報
を広く県民等に向けて発信
し、施設の利用促進を図っ
てまいります。
66
前回監査では、試算によって
以下のような利用度を算出
していた。
ケビン 281 人、アリーナ 144
時間、視聴覚室 11 時間、音
楽室9時間
今回改めて実績により利用
度を算出すると、次のように
なった。
ケビン 2,006 人、アリーナ
700 時間、視聴覚室 143 時間、
音楽室 200 時間
前回監査時はあくまで試算
4
指 定
管 理
H18
5
指 定
管 理
H18
(7)契約事務
エ.意見
(ア)随意契約について
平成17年度の建物清掃業
務委託、クリーナー清掃作業
(A)、クリーナー清掃作業(B)
及びボイラー運転作業の委
託契約については、地方自治
法施行令の「できる規定」を
安易に適用し、一般競争入札
という原則を回避している
印象を受ける。また、あくま
でも指名競争入札や随意契
約は特例処理であり、随意契
約で他社見積を入手しない
ケースも特例処理であるた
め、そのような契約について
は伺書にて特例処理の要件
について十分な検討を行う
ことが必要である。
(8)その他財務事務
エ.意見
(ア)修繕費の支出について
修繕費について、最近3年間
の予算・実績は、各年とも実
績が予算を大幅に上回って
おり、予算策定において過去
の実績を反映した予算編成
がなされていないと推定さ
れる。予算化されていない修
繕費はほかの余剰予算から
捻出しており、平成 17 年度
は、11 百万円のうち 7 百万
円が 3 月に支出されている。
これは、16 年度においても同
様である。施設の安全管理に
必要な支出については、適切
に見積もって予算化する必
要がある。
平成 18 年度から指定管理
者制度に移行しております
ので、ご意見を踏まえ、今
後、業務委託契約について
適切な方法で処理するよう
指定管理者を指導してまい
ります。
指定管理者制度を導入した
平成 18 年度以降は、毎年
度、指定管理者と協議のう
え、予め所用の修繕費を予
算に計上しております。今
後とも、施設の安全管理に
必要な経費については、実
績を十分勘案し、適切に予
算化に努めてまいります。
67
であったので、実績データか
ら算出したものとは乖離が
でるのは致し方ないと思わ
れるが、今後も利用促進を図
っていくことを求めたい。
指定管理者の経理規程にて
契約の規程が定められてい
る。
左記措置の通り。
6
指 定
管 理
H18
[総論(総合所見)]
(2)意
見
ウ.施設の利用状況等ア)受益
者負担及び県民負担
①受益者負担について
・長崎県立佐世保青少年の天
地サービスの基礎度 基礎以
上のサービス受益者負担割
合 3.2%
検討した 13 の施設をサービ
スの基礎度と利用者 1 人当
り運営コストに基づいて分
類した。なお、長崎魚市場に
ついては、利用者数のデータ
がないため含めていない。
「利用者 1 人当り運営コス
ト」は、その施設の利用者 1
人・1 回当りの県民負担額を
示すが、対象施設の概ね中間
値である 1,000 円/人で区分
している。
利用者 1 人当り運営コスト
が高い施設については、使
(利)用料金がゼロまたは安
価、運営コストが多額等個々
の事情はあるが、県民負担を
軽減させるためにより一層
の利用促進、コスト削減及び
利用料金改定の検討が必要
であると考える。
・長崎県立佐世保青少年の天
地
利用者1人当り運営コスト
2,394 円/人
本施設は、その条例の設置
目的にもあるように青少年
を大自然に親しませ、その
健全な育成を図るための集
団宿泊研修施設及び野外活
動施設として設置された教
育機関であります。このた
め、利用者の大半は修学中
の児童・生徒であることか
ら、
「基礎的サービス」に分
類され、学校行事等で施設
を利用する児童・生徒の経
費については引き続き行政
で負担すべきものと考えて
おります。また、今後は、
指定管理者において、社会
人の団体利用やその他の一
般利用者を増やすために企
業や大学との連携を検討す
るとともに、現在利用者が
少ない冬場や平日の利用者
増に向けて広報活動や営業
活動を行い、収益の増大に
努めてまいります。青少年
教育施設の運営コストにつ
いては、義務教育に係る経
費と同様に、一概に「利用
者 1 人当り運営コスト」の
高さによって判断できるも
のではないと考えますが、
ご意見も踏まえ、県民負担
の軽減につながるよう、今
後より一層のコスト削減に
ついて検討してまいりま
す。
68
利用者の推移は、平成 17 年
度から平成 22 年度までで、
以下の通りである。
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
平成 20 年度
平成 21 年度
平成 22 年度
69,817 人
67,113 人
67,215 人
72,796 人
73,680 人
70,994 人
少子化の環境下において、推
移は安定しているものと評
価される。
また、当初監査時において調
査した佐世保青少年の天地
の実質収支(平成 17 年度)
が約 119 百万円の赤字であ
ったが、平成 23 年度では 93
百万円の赤字となり 26 百万
円縮減されている。
7
指 定
管 理
H18
8
指 定
管 理
H18
(6)財産の状況
②物品の管理
オ.意見
(ア)現物調査について
長崎県美術館
ミュージアム財団 会計処理
規程の「第 6 章 物品」にお
いて、物品の実物調査を定期
的に実施する定めはない。基
本協定書においても、事業報
告等の提出は義務付けられ
ているが、県有財産の管理状
況に関する報告は求められ
ていない。
基本協定書にて、「指定期間
終了に伴う原状回復」が定め
られており、協定上は指定期
間中に管理状況の監視を行
わなくても、県有財産は保全
される仕組みとなっている。
しかし、指定管理者の資力が
充分でない場合には、原状回
復義務は実質的には履行さ
れないこと、貸与している物
品の金額は 124 億円(但し、
「エ.指摘事項(イ)美術品の
管理簿への登録金額につい
て」に記載した重複金額を含
む。)と金額的に重要である
ことから、指定期間中につい
ても、指定管理者は県職員の
立会のもとで現物調査を実
施することが必要である。長
崎県の物品については、物品
取扱規則第 13 条により、年
1 回、物品管理簿と現物との
照合が義務付けられている。
(8)その他財務事務
エ.意見
(ア)書類の整理・保管につい
て
長崎県美術館
常設展示事業費の印刷製本
費(768 千円)及び企画展示
事業費の広告宣伝費(525 千
円)について、関連書類を閲
覧したところ、稟議書に見積
書が添付されてないものが
あり、納品書の所在も不明な
ものがあった。書類の整理及
び保管を適切に行うよう各
担当者を指導する必要があ
る。
平成 19 年度から、指定管
理者は、県職員立会のもと
で現物調査を実施しており
ます。
業務実施状況等確認調書(平
成 23 年 8 月 8 日)にて現物
照合を実施したことを確認
した。
書類の整理・保管に関する
マニュアルを整備し、稟議
書提出時の書類点検を徹底
するよう指定管理者を指導
いたしました。今後も、定
期的に指導を行ってまいり
ます。
指定管理者の文書取扱規程
に従い書類の整理保管が行
われている。
69
9
指 定
管 理
H18
10
指 定
管 理
H18
11
指 定
管 理
H18
(イ)会計処理に関する規程の
整備及び会計伝票の査閲承
認について
長崎県美術館
経理担当者によってシステ
ム上で作成された会計伝票
について、所属長の査閲・承
認が行われていない。また、
会計伝票の起票・承認等に関
する規程が定められていな
い。伝票の誤入力または処理
漏れ等があった場合に、これ
らの発見・予防が可能となる
よう、担当者以外の第三者に
よるチェック体制を構築す
ることが望ましい。
(イ)リスク管理・責任分担に
ついて
長崎歴史文化博物館
リスク管理・責任分担につい
ては基本協定書に規定され
ているものの、指定管理者募
集要領には規定されていな
い。指定管理者指定申請書に
添付する収支計画に関する
事項に多大な影響を持つこ
とから、募集要領に記載する
ことが望まれる。
(8)その他財務事務
エ.意見
(ア)消耗品の購入について
平成 17 年度の需用費に以下
の支出が含まれている。
・計 上 日 平成 18 年 3 月 31
日
・計上科目 消耗品費/未払
費用
・支出内容 コピー用紙、カー
トリッジ等の購入
・購 入 先 E社
・購入金額 173,034 円
・請求書日付 なし(空欄)
・領収書日付 平成 18 年 5 月
29 日
県民の森の管理運営上必要
な消耗品として購入された
ということであるが、平成
18 年 3 月末の時点では、県
民の森の指定管理者に林業
コンサルタントが決定して
おり、林業公社が事務用品を
購入する意義は乏しいもの
と考えられる。また、日付欄
が空欄の請求書は証憑書類
としては不完全である。
会計伝票の起票・承認等に
関する規程を定め、経理担
当者以外の総務広報グルー
プサブリーダーが会計伝票
のチェックを行う体制を整
えるよう指定管理者を指導
いたしました。
伺いの承認印の押印につい
て検出事項はない。
次回の指定管理者募集か
ら、リスク管理・責任分担
について、募集要領に記載
いたします。
募集要項にリスク分担の記
載がある。
消耗品の購入事務について
は、ご意見を踏まえ今後、
適切に処理するよう指定管
理者を指導してまいりま
す。
いわゆる翌年度消費にかか
る年度末発注が検出された。
いずれも平成 23 年度分であ
る。
納品 3/26 請求 3/31 集計
表印刷代 27,247 円
納品 3/28 請求 3/31 コピー
用紙代 7,734 円
このような年度末発注は支
出と消費の対応関係がない
ため、適切なタイミング及び
在庫量を考えて事務を行う
べきであり、所管課は指定管
理者への指導を行うべきで
ある。(意見)
70
12
指 定
管 理
H18
13
指 定
管 理
H18
(ウ)領収書の管理について
県民の森有料施設使用許可
申請書と複写になっている
領収証が連番管理されてい
ない。領収証の不適切な管理
は、不正使用等の可能性があ
り内部統制上好ましくない。
領収証の連番管理とともに、
以下の事項に留意する必要
がある。
・書き損じは破棄せず、「無
効」の表示をして控えととも
に保管する。
・予備の領収証綴りは、責任
者を定めて金庫内に保管し、
管理簿にて未使用分を管理
する。
・定期的に予備の領収証綴り
と、管理簿残高との照合を行
う。
(6)財産の状況
①公有財産の管理
エ.指摘事項
(ア)従物内訳表の整備につい
て
交通公園
固定式の遊具、門、囲障等の
工作物を管理する「従物内訳
表」が作成されていない。工
作物は、「土地、建物の従物
(工作物等)の公有財産台帳
への登載について」(昭和 43
年 2 月 16 日 43 管第 32 号総
務部長通知)に、「従物内訳
表」を作成して管理すること
が規定されている。したがっ
て、これらについても「従物
内訳表」を作成することが必
要である。
ご意見の内容を踏まえ、今
後、領収証について適正に
取り扱うよう指定管理者を
指導してまいります。
領収書のナンバリング管理、
予備の領収書綴りの在庫管
理ができていない。
今後は領収書の適切な管理
が必要である。(意見)
ご指摘を踏まえ、従物内訳
表を作成いたしました。
従物内訳表は作成されてい
た。
2.追加検討した事項
(1)指定管理者の選定のあり方について(意見)
県立青少年教育施設のうち、佐世保青少年の天地、千々石少年自然の家、世知原少年自
然の家の 3 施設の指定管理に関して、平成 18 年 4 月 1 日から平成 23 年 3 月 31 日までの 5
年間、及び現在平成 23 年 4 月 1 日から平成 28 年 3 月 31 日までの指定管理を特定非営利活
動法人長崎県青少年体験活動推進協会(以下協会という。
)が受けている。
この事実に鑑みて、以下の問題を検討する必要があると考える。
過去 2 回の指定管理者の選定において、平成 18 年 4 月 1 日から平成 23 年 3 月 31 日まで
71
の 5 年間については 2 者が応募しているが、平成 23 年 4 月 1 日から平成 28 年 3 月 31 日ま
での 5 年間については当法人 1 者のみの応募であり、指定管理者の選定方法の見直しの必
要があるのではないかと考える。
指定管理者の選定について、過去の経緯をみると、管理委託方式の時代から協会が管理
運営を行っている経緯があるが、佐世保青少年の天地、千々石少年自然の家、世知原少年
自然の家の 3 施設を、なぜ未だに一体として管理しなければならないのか、その明確な合
理性を見いだせない。3 施設一体としての指定管理者の応募条件が参入障壁を生んでいる可
能性を考えるならば、その点を見直すべきである。3 施設は、地理的にも離れており、それ
ぞれの施設ごとに民間の力を発揮し、特色のある運営を行っていく事が本来の指定管理者
制度の目的ではないか。その点を鑑みれば全てを一括して管理運営する理由はないはずで
ある。
以上から、現行の指定管理者の選定に関しては、公平性の担保という観点では疑問が残
り、今後選定条件は見直すべきと考える。
(2)委託先による給食事業の実施内容について(指摘)
給食事業については外部業者へ委託されているが、「長崎県立佐世保青少年の天地」給食
業務委託契約書に基づき T 社が青少年の天地の利用者に対する給食業務及び青少年の天地
の厨房施設、付属施設及び備品の維持保全に関する業務を行っている。
給食料金については、当契約第 6 条において、協会と T 社との協議の上定めるものとさ
れている。また「管理運営業務の内容及び基準等に関する資料」において、利用料金は指
定管理者から提案された料金を基に県教育庁が承認した額を利用者から徴収すること、野
外炊飯場やキャンプの宿泊利用者に対し、県教育庁に届け出た価格での食事の提供を行う
ことが記されている。
この点について運用状況を確認した所、朝食、昼食、夕食などの運用については問題な
く行われていたものの、屋外での炊飯材料の販売については、県教育庁へ料金の届出をせ
ずに行われていた。
結果として、現状では T 社が県教育庁の施設を利用して無許可で独自事業(炊飯材料の
販売)を行っている状況となってしまっており早急に改善が必要な状況である。
また、「長崎県立佐世保青少年の天地」給食業務委託契約書では、給食の実施状況を指定
様式である給食日計表により翌日までに指定管理者へ提出することとされていたが、給食
日計表の提出は独自の様式によりなされていた。指定様式であれば「バーベキューや飲料
水・その他」という記入枠があり、炊飯材料なども記入可能であるが、独自の様式ではそ
のような記入枠が設けられていないため、これも上記のような結果が生じた一因となって
いると思われる。この点についても指定の書式を使うよう所管課からの指導が必要と考え
る。
72
(3)指定管理者負担金の積算について(指摘)
平成 18 年度から平成 22 年度の指定管理者負担金の金額は、協会から提出された平成 18
年度から平成 22 年度の各年度の青少年教育施設指定管理業務事業計画書において提出され
た収支計画書に基づき算定されている。
計画書では、平成 18 年度から平成 22 年度の各年度分ともに収入と支出が一致し、収支
差額は 0 円そして、指定管理者負担金は平成 18 年度から平成 22 年度までの 5 年間とも
184,324,000 円となっている。
実際に支払われた指定管理者負担金は各年度とも 184,324,000 円となっており、収支差
額が生じた場合においても修繕費部分を除き指定管理者負担金の返還は要しないこととさ
れている。当該施設のように、余剰金の返還を要しない協定内容の場合には、指定管理者
負担金の金額の算定基礎となる収入の見込金額と経費の積算金額は適切な根拠をもつもの
であることが重要となる。
しかしながら、平成 18 年度の積算内容を確認すると、当団体が消費税の免税事業者であ
り消費税額が発生しないにも関わらず租税公課として 6,921,000 円が計上され摘要の項目
に消費税、自動車重量税の記載がなされている。また、事業報告時においても、実際にか
かる消費税の金額は 0 円にも関わらず平成 18 年度の消費税額として 6,652,000 円が計上さ
れている。
当協定においては、余剰金が生じたとしても返還は要しないこととされているが、平成
18 年度分の消費税額については、実際にはかからない経費であり積算の時点から不要な金
額が含まれており、当該金額については本来指定管理者負担金の返還を受ける必要があっ
たと考える。
ただし、返還請求権は時効 5 年の公債権であるため、既に時効完成により消滅している。
看過してしまった県教育庁の責任は重いと言わざるを得ない。
(4)消費税の概算計上について(意見)
平成 18 年度から平成 20 年度については法人税額及び消費税額が事業報告における収支
状況において正確ではない金額により報告がなされていた。県への報告が事業年度終了後
30 日以内とされていることに対して、法人税額及び消費税額の確定が間に合わなかったた
め、このような処理となったとのことである。
事業報告の収支状況への計上金額と実際の税額との差額は以下の通り。
年度
税区分
計上金額A
法人税等
H18
実際の税額B
1,496,000 円
6,652,000 円
△ 5,156,000 円
0円
消費税
法人税等
H19
差額B−A
749,100 円
6,500,000 円
消費税
203,600 円
5,954,500 円
73
法人税等
1,578,900 円
H20
6,600,300 円
消費税
1,036,300 円
6,057,700 円
合計
19,752,300 円
15,836,200 円
△ 3,916,100 円
県教育庁と協会との間の指定管理契約では、余剰金が生じたとしても返還の必要は生じ
ない契約となっているものの、事業報告における収支状況の報告は当然に正確な金額でな
されるべきものであると考えられ、所管課においても検証は十分に行うべきである。
(5)協会における法人税申告上の問題について(指摘)
平成 18 年度の法人税の申告では、法人税額の計算上損金処理されている租税公課
6,245,291 円が計上されている。上記の通り、当金額の大部分は、実際には発生していない
消費税の概算計上額であり、平成 18 年度の法人税の申告において架空の経費が計上されて
いる状況となっている。
また、平成 19 年度、平成 20 年度についても概算の消費税額が法人税額の計算上損金の
額に計上されており、それに伴い「損金の額に算入した納税充当金」として法人税額の計
算上加算処理されている金額も誤った金額となっている。
この他にも、納税準備預金の資金移動額(概算額)の加算、消費税の中間納付に係る不
明朗な処理、収益事業に触れる可能性のある施設利用料の益金からの除外処理、下記退職
給与にかかる処理誤りなど、複数の税務処理について再検討すべき点が見られるため、早
急に対応が必要と考える。
(6)退職給与引当金について(指摘)
平成 23 年度の事業会計貸借対照表に計上されている退職給与引当金残高は 84,020,210
円となっているが、退職給与引当金の計上のもとになる資料では 83,999,231 円で差額が生
じているが、差額の生じた原因は究明できていない。またこれに伴い、法人税の申告にお
いて、平成 23 年度中に実際に退職した協会職員に対しての退職金 18,708,551 円が損金に
計上されていないため、その額だけ過大に所得の計算及び法人税額の申告がなされている。
この原因は会計処理において、退職積立金に積立てた際に積立金支出という会計処理を
行い、その金額を税務上否認(加算)しているが、後日退職した際に、会計上その積立金
を取崩す処理を行っているのみで、実際の退職金の支給額を損金処理していない事により
生じているものである。
平成 22 年度においても別の協会職員の退職金 5,074,853 円を同じように処理していると
の事であり、早急に国税局等に還付請求を行う必要がある。
そして所管課においては、当該処理が、指定管理者としての経費に係わるものである場
合には、法人税の過大申告に伴う指定管理者負担金の返還等についても早急な対応を行わ
なければならない。
74
Ⅱ-5
交通・地域安全課(長崎交通公園)(指定管理者:財団法人長崎県交通安全協会)
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
監査の結果
措置
検証結果
1
指定管
理 H18
(6)財産の状況
①公有財産の管理
エ.指摘事項
(ア)従物内訳表の整備につい
て
固定式の遊具、門、囲障等の
工作物を管理する「従物内訳
表」が作成されていない。工
作物は、「土地、建物の従物
(工作物等)の公有財産台帳
への登載について」に、「従
物内訳表」を作成して管理す
ることが規定されている。し
たがって、これらについても
「従物内訳表」を作成するこ
とが必要である。
ご指摘を踏まえ、従物内訳
表を作成いたしました。
従物内訳表は作成されてい
る。
2
指定管
理 H18
(2)設置の経緯
イ.意見
(ア)長崎市への施設移管につ
いて
長崎県の行政システム改革
大綱に、交通公園の長崎市へ
の移管が明記されているが、
現在まで実現していない。長
崎県は、昭和 46 年の開園以
来毎年のように交通公園の
長崎市への施設移管につい
て市側と協議しているが、市
の財政難がネックとなって
今日まで合意に至っていな
い。市側の主張は、土地を無
償で譲受し負担金も 2 分の 1
ということである。長崎県と
しては、土地は無償貸与、建
物は無償譲渡、施設整備費
20,000 千円、初年度のみ補助
金 5,000 千円まで譲歩してい
る。
施設の利用状況を見ると、利
用者の大半は長崎市民であ
る。特に、近隣の住民にとっ
ては、子供の遊び場所が近く
にあることで恩恵を受けて
いるわけであるが、県民の多
くはそのメリットを享受す
る機会は余りない。交通公園
の維持管理を長崎市へ移管
県としては、長崎市への施
設移管の考えで話を進めて
おり、平成 18 年度は 7 月
と 1 月に長崎市へ申し入
れを行いました。長崎市は
厳しい財政事情を理由に、
施設移管の申し入れに難色
を示していますが、今後も
引き続き長崎市へ施設移管
について申し入れを行って
まいります。
その後長崎市とは年に 2∼3
回の協議が続けられ、平成 22
年度には文書でのやりとり
がなされているが、長崎市か
らは財政難を理由に協議の
進展がない。
一方で、施設の老朽化が進ん
でいるため今後改修の必要
性も課題としてある。
更に当該施設の一部を含む
道路建設の可能性もあるこ
とから、今のところ県の方針
は明確ではない。
県としては、「交通公園の存
在によって、全国的に通学路
での安全確保が叫ばれる中、
県内におけるこどもの交通
事故が年々減少傾向を示し
ており、児童・生徒に対する
交通安全教育の成果が認め
られる。また、指定管理者制
度移行以来、運営費も年々削
減している」との意見である
が、県の所有すべき施設とし
ての意味合いが薄れている
という点は、監査時点と変わ
るところはなく、当時の監査
結果を尊重すべきであり、当
該施設は処分等の方針で進
めるべきと考える。(意見)
75
3
指定管
理 H18
4
指定管
理 H18
することを更に強力に進め
ることも必要であるが、厳し
い財政状態の長崎県にとっ
ては、住宅地として恵まれた
場所に所有する約 3 千坪の
平坦な土地を有効利用する
ことによって、少しでも財政
の健全化に役立てることを
検討することも意義がある
ものと考える。
(4)指定管理者
ウ.意見
(ア)選定結果の公表について
非公募のため、選定委員の選
任、選定基準の作成、選定結
果の公表の手続が省略され
ている。非公募ではあるが透
明性確保の観点から、外部有
識者の評価を受けることが
望ましい。
(イ)委託料の精算方法等につ
いて
平成 18 年度の負担金は平成
17 年度の委託料に比べると、
人員体制を見直し指導員を 1
名減員したことによって約 4
百万円削減されている。指導
員の 1 名減員により、公園内
の安全管理が懸念されるが、
交通公園を利用する幼い児
童には保護者が同伴してい
ること、交通知識指導の業務
量が少なくなっていること
等を考慮すれば、現在の人員
体制でも十分に運営できる
と考えられる。したがって、
コスト削減の点では指定管
理者制度移行の効果が現れ
ていると言えるが、見方を変
えると、制度導入以前から委
託料を削減する余地がなか
ったのかどうか疑問が残る。
また交通対策課において、委
託料精算の際に交通安全協
会から提出される「事業費精
算書」のチェックを、平成 17
年度及び 18 年度ともに実施
していないが、本来毎年度実
施すべきである。
次回の指定管理者選定時か
ら、公募により外部有識者
の評価を受けて選定し、そ
の結果を公表するようにい
たします。
公募が行われている。
平成 18 年度から指定管理 措置の通り行われている。
者制度に移行し、交通安全
協会に対して長崎交通公園
管理運営負担金を支出して
いますが、事業年度終了後、
同協会から提出された「事
業報告書」についてチェッ
クを実施いたしました。今
後とも、毎年度「事業報告
書」のチェックを実施して
まいります。
76
5
指定管
理 H18
(ウ)負担金の支弁方法につい
て
交通公園の指定管理者であ
る交通安全協会に対する負
担金の支弁方法として、精算
方式が採用されているが、指
定管理者に経営努力のイン
センティブを与えるとする
制度本来の趣旨に合致しな
いと考えられる。非公募によ
り従来からの管理委託先で
あった同協会を指定管理者
に指定しているため、委託料
の支弁方法の考え方を引き
ずっているように見受けら
れる。他県の事例をみると、
・A県では、指定管理者のガ
イドラインにおいて精算方
式の採用を可能としつつも、
指定管理者制度を全庁的に
所管する部署が採用を薦め
ていないため結果として採
用されていない。
・B県では、精算する費目を
大規模修繕等に限定し、通常
の管理運営に係る費目は精
算の対象としていない。
指定管理者制度の趣旨を踏
まえ、精算する費目を修繕費
等実施の有無によって判別
できるものに限定する方法
に見直すことが望まれる。
平成 19 年 3 月 30 日付
けで基本協定及び年度協定
の見直しを行い、負担金の
精算を要する経費を定めま
した。
現在は、3 年間の指定期間満
了時に負担金の精算を行う
よう見直されている。
6
指定管
理 H18
(エ)リスク管理・責任分担に
ついて
長崎県と指定管理者(交通安
全協会)との間で、交通公園
施設等の改修・修繕や災害や
事故等が発生した場合の管
理責任に関しては、「基本協
定書」の中で、双方の負担関
係について明確に規定する
ことが望ましい。
平成 19 年 3 月 30 日付
けで基本協定の見直しを行
い、施設等の改修・修繕や
災害・事故等が発生した場
合のリスク管理・責任分担
について規定いたしまし
た。
規定されている。
77
7
指定管
理 H18
(7)契約事務
エ.意見
(ア)契約事務に関する規程に
ついて
交通安全協会では、契約事務
に関する規則が整備されて
いないため、契約事務の準拠
性を判断することができな
かった。地方自治法・財務規
則等を準用するか、契約業務
に関する規程を定めるかを
明確にし、契約事務に関する
規則を整備することが望ま
しい。
なお、委託契約に関する事務
手続は、契約締結初年度に複
数の業者より見積書を入手
し業者を選定するが、翌期以
降の契約は、初年度に選定し
た業者と継続して契約を締
結するほか、契約内容に変更
がない限り同じ契約額で契
約書が更新される。また、予
定価格の設定は修繕工事契
約も含めて行われていない。
このように、毎年度見積書を
入手せず、かつ落札最高限度
額となる予定価格を設定し
ていないため、契約額の低減
を図ることはできないと考
えられる。契約業務に関する
規程には、予定価格の設定方
法に関する事項も規定する
必要がある。
交通安全協会に対し、同協
会の会計処理規程の中に、
予定価格の設定方法を含め
た契約に関する事項を規定
するよう指導いたしまし
た。(平成 19 年度中改正予
定)
78
平成 22 年 10 月に改正され、
金額基準により複数者の見
積比較、若しくは入札を行う
場合も規定している。
8
指定管
理 H18
ア)受益者負担及び県
民負担
①受益者負担について
[総論(総合所見)]
(2)意見
ウ.施設の利用状況等
長崎県の中期財政の見通し
が厳しい状況であり、公の施
設の維持管理に係るコスト
についてもより一層の削減
が求められる。このような視
点から、14 の施設について、
サービスの基礎度と受益者
負担割合に基づいて検討し
た。
「サービスの基礎度」は、道
路・公園等のインフラ、老
人・児童福祉サービス等自治
体が運営すべき施設を「基礎
的サービス(サービスの基礎
度:高)」とし、それ以外の
民間でも運営可能な施設を
「基礎以上のサービス(サー
ビスの基礎度:低)」として
区分した概念である。
また、
「受益者負担割合」は、
施設の総支出(減価償却費を
含む。)に対する使(利)用
料収入の割合であるが、全施
設 が 50 % 以 下 と な っ て い
る。各施設の内容、目的等は
異なるが、受益者負担割合は
一つの指標となりうるもの
と考える。
基礎以上のサービスに区分
した施設のうち、受益者負担
割合が低い施設については、
より一層の利用促進、コスト
削減及び利用料金改定等の
検討が必要と考えられる。基
礎的サービスに区分した施
設においても、県民負担を軽
減させるためにより一層の
努力が求められる。
長崎交通公園については、
平成 18 年度から、開園時
間をそれまでの午後 4 時 30
分までから午後 5 時までに
延長したほか、付近の自治
会・幼稚園・保育所に積極
的に交通公園を紹介すると
ともに、長崎市内をはじめ
諫早市など近隣市町の幼稚
園・保育所・小学校へも利
用案内を送付して利用促進
を図っており、その結果、
平成 18 年度の利用者は、
団体利用や長崎市外からの
利用者をはじめ全体的に増
加しております。
また、これまで外部委託し
てきた除草作業の委託回数
を減らし、交通安全協会の
職員自らが除草作業を行う
など、経費節減にも努めて
おります。
79
利用者の推移は、平成 17 年
度から平成 22 年度までで、
以下の通りである。
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
平成 20 年度
平成 21 年度
平成 22 年度
125,341 人
127,952 人
123,160 人
118,117 人
108,659 人
112,186 人
少子化において、減少幅は少
ないものと評価される。
また、当初監査時において調
査した交通公園の実質収支
(平成 17 年度)が約 11.4 百
万円の赤字であったが、平成
23 年度では 7.6 百万円の赤字
と 3.8 百万円縮減されてい
る。
8
指定管
理 H18
9
指定管
理 H18
・長崎交通公園
サービスの基礎度 基礎的サ
ービス受益者負担割合
0.0%
検討した 13 の施設をサービ
スの基礎度と利用者 1 人当
り運営コストに基づいて分
類した。なお、長崎魚市場に
ついては、利用者数のデータ
がないため含めていない。
「利用者 1 人当り運営コス
ト」は、その施設の利用者 1
人・1 回当りの県民負担額を
示すが、対象施設の概ね中間
値である 1,000 円/人で区分
している。利用者 1 人当り運
営コストが高い施設につい
ては、使(利)用料金がゼロ
または安価、運営コストが多
額等個々の事情はあるが、県
民負担を軽減させるために
より一層の利用促進、コスト
削減及び利用料金改定の検
討が必要であると考える。
・長崎交通公園
利用者1人当り運営コスト
168 円/人
(6)財産の状況
②物品の管理
オ.意見
(ア)現物調査について
長崎県美術館
ミュージアム財団 会計処理
規程の「第 6 章 物品」にお
いて、物品の実物調査を定期
的に実施する定めはない。基
本協定書においても、事業報
告等の提出は義務付けられ
ているが、県有財産の管理状
況に関する報告は求められ
ていない。
同上
平成 19 年度から、指定管
理者は、県職員立会のもと
で現物調査を実施しており
ます。
現物照合は行われているが、
今回の監査において、以下の
問題を検出している。
・修理のため業者へ預けてい
る物品については、業者から
預り証を徴取するべきであ
る。
なお、担当課より「備品貸出
簿」を整備済との連絡があっ
た。
・現在は使用されていない旧
「指令室」内に、県の管理外
の廃棄すべき物品が存在し
ている。使用見込のないもの
は廃棄すべきである。
なお、当該物品も処分済みと
の連絡があった。
基本協定書にて、「指定期間
終了に伴う原状回復」が定め
られており、協定上は指定期
間中に管理状況の監視を行
わなくても、県有財産は保全
される仕組みとなっている。
しかし、指定管理者の資力が
充分でない場合には、原状回
復義務は実質的には履行さ
れないこと、貸与している物
品の金額は 124 億円(但し、
「エ.指摘事項(イ)美術品の
管理簿への登録金額につい
て」に記載した重複金額を含
(以上、意見)
80
10
指定管
理 H18
11
指定管
理 H18
む。)と金額的に重要である
ことから、指定期間中につい
ても、指定管理者は県職員の
立会のもとで現物調査を実
施することが必要である。長
崎県の物品については、物品
取扱規則第 13 条により、年
1 回、物品管理簿と現物との
照合が義務付けられている。
(8)その他財務事務エ.意
見
(ア)書類の整理・保管につい
て
長崎県美術館
常設展示事業費の印刷製本
費(768 千円)及び企画展示
事業費の広告宣伝費(525 千
円)について、関連書類を閲
覧したところ、稟議書に見積
書が添付されてないものが
あり、納品書の所在も不明な
ものがあった。書類の整理及
び保管を適切に行うよう各
担当者を指導する必要があ
る。
(イ)会計処理に関する規程の
整備及び会計伝票の査閲承
認について
長崎県美術館
経理担当者によってシステ
ム上で作成された会計伝票
について、所属長の査閲・承
認が行われていない。また、
会計伝票の起票・承認等に関
する規程が定められていな
い。伝票の誤入力または処理
漏れ等があった場合に、これ
らの発見・予防が可能となる
よう、担当者以外の第三者に
よるチェック体制を構築す
ることが望ましい。
書類の整理・保管に関する
マニュアルを整備し、稟議
書提出時の書類点検を徹底
するよう指定管理者を指導
いたしました。今後も、定
期的に指導を行ってまいり
ます。
文書の不備は検出されてい
ない。
会計伝票の起票・承認等に
関する規程を定め、経理担
当者以外の総務広報グルー
プサブリーダーが会計伝票
のチェックを行う体制を整
えるよう指定管理者を指導
いたしました。
承認の不備は検出されてい
ない。
81
12
指定管
理 H18
(8)その他財務事務
エ.意見
(ア)消耗品の購入について
平成 17 年度の需用費に以下
の支出が含まれている。
・計 上 日 平成 18 年 3 月 31
日
・計上科目 消耗品費/未払
費用
・支出内容 コピー用紙、カー
トリッジ等の購入
・購 入 先 E社
・購入金額 173,034 円
・請求書日付 なし(空欄)
・領収書日付 平成 18 年 5 月
29 日
県民の森の管理運営上必要
な消耗品として購入された
ということであるが、平成
18 年 3 月末の時点では、県
民の森の指定管理者に林業
コンサルタントが決定して
おり、林業公社が事務用品を
購入する意義は乏しいもの
と考えられる。また、日付欄
が空欄の請求書は証憑書類
としては不完全である。
消耗品の購入事務について
は、ご意見を踏まえ今後、
適切に処理するよう指定管
理者を指導してまいりま
す。
係る事案は検出されていな
い。
2.追加検討した事項
(1)(財)長崎県交通安全協会会計処理規程について(指摘)
①
財団法人長崎県交通安全協会会計処理規程(以下規程という。)第2条(適用)で、
「本
会の会計処理は、法令、本法人の定款及び平成 20 年公益法人会計基準に基づくこの規程の
定めるところによる。」と定められているが、平成 23 年度の決算まで、平成 16 年基準で作
成されており、経理処理としては規程に則っていない。
②
現在作成されている貸借対照表、正味財産増減計算書、及び収支計算書に関して、注
記事項が全く記載されていない。
(2)(財)長崎県交通安全協会における規定等の整備に関して(指摘)
現在当協会における規則等に関して存在するものは以下のとおりである。
・寄付行為
・就業規則
・給与規則
・処務規程
・会計処理規程
・旅費規程
82
以上、現在協会には例えば職務分掌規程、決裁規程、役員に関する規程、慶弔規程等が
整備されていない。今後一般財団法人に移行するためにも、組織として必要な規程の整備
を行う必要がある。
(3)長崎交通公園の基本協定書における備品の取扱いについて(意見)
長崎交通公園の管理運営に関して、基本協定書では以下のように備品に関して指定管理
者が負担金をもって購入できることになっている(年度協定書では限度額を設定している)
。
第4条(指定管理者の業務範囲)
第4条2項
乙(財団法人長崎県交通安全協会)は、前項に掲げる業務を行うために必要な備品を設置
する場合は、県所有の備品と区分して管理し、その状況を明らかにしておかなければならない。
第11条
甲は、乙に対し、乙が行う指定管理業務の遂行に要する事業経費(以下、
「負担金」という。)
を負担する。なお、負担金により生じた備品等に関しては、指定期間終了後は甲に帰属する。
現状の形態の場合、例えば下記のような矛盾が生じていると考える。
・協会名義で取得するため、協会は協会で取得処理を行い、減価償却処理も行い、県と協
会両方で取得処理等がなされる。
・もし協会が法的整理等の事態になった場合、当該備品等の帰属に対して法律的に問題が
生じることになる等。
しかし、指定管理業務に必要な備品等は長崎県の方で取得し、それを指定管理者に貸与
する方法が一般的であるため、基本協定書の見直しを行うべきと考える。
83
Ⅱ-6
漁政課
1.措置状況と検証結果
No
年度
テーマ
監査の結果
措置
検証結果
平成 14 年度から資金の有
効活用を図るため、年度当
初に、融資機関から四半期
を目処として当面の必要予
定額の報告を受けた額に基
づいて預託し、年度途中に
不足額が生じる見込みがあ
る場合に追加預託を行う方
式に改めております。その
結果、平成 16 年度は預託
額 8,334 千円、融資可能額
(預託額の3倍)25 百万円
に対し、年度中の最高貸付
残高 25 百万円となってお
り資金は有効に活用されて
おります。
平成 14 年度から資金の有
効活用を図るため、年度当
初に、融資機関から四半期
を目処として当面の必要予
定額の報告を受けた額に基
づいて預託し、年度途中に
不足額が生じる見込みがあ
る場合に追加預託を行う方
式に改めました。しかし、
借入者からの要請に機動的
に応えるため、融資機関か
ら事前に需要見込みについ
て報告を受けるとともに内
容について精査したうえで
預託しておりますが、結果
として未利用が生じたもの
です。今後とも、より精度
の高い資金需要の把握に努
めてまいります。
平成 19 年度に当制度は廃止さ
れている。
1
貸付金
H16
(7)漁村地域加工振興資
金貸付金
ウ.意見
(ア)資金の預託について
預託金の 3 倍に相当する
約 110 百万円の融資枠に
対して、平成 13 年度から
15 年度までの融資額は年
間約 30 百万円で推移して
いる。 資金を有効に活用す
るため、長崎県は借入需要
に対応して資金を預託する
ようにすべきである。
2
貸付金
H16
(8)長崎県水産業振興資
金貸付金
ウ.意見
(ア)資金の預託について
信漁連は、県より 210 百万
円の預託を受けているた
め、その 3 倍に相当する金
額である 630 百万円を貸
付けることができるが、平
成 15 年度中の最高融資残
高をみると、約 123 百万円
が信漁連にとって融資不足
となっている。資金を有効
に活用するため、事業者の
借入需要に応じて資金を預
託するようにすべきと考え
る。
84
近年は漁業振興対策事業の諸
施策(保証制度の支援、利子補
給など)により、当事業に限っ
てみると相対的に資金需要が
減少しているとのことであっ
た。現在も資金需要の動向につ
いては四半期ごとに検証して
おり、平成 23 年度は 9 億の融
資実績である。先の通り預託の
3 倍の融資枠に対し、平成 23
年度の達成率はその 6 割であ
り、監査当時の達成率が 8 割
((630-123)÷630)であるこ
とからすると平成 23 年度は下
回っている。ただし、平成 19
年度から平成 23 年度までの達
成率を見ると、87%から 53%
の間で相当のばらつきがみら
れる。
3
貸付金
H16
4
貸付金
H16
5
基付金
H20
(10)沿岸漁業改善資金
ウ.指摘事項
(ア)長期延滞債権について
債務者及び連帯保証人の破
産、死亡、行方不明等の理
由から債権の回収が長期化
している。また、連帯保証
人は求められているもの
の、担保等による保全はな
く強制執行等の法的措置も
とられていない。今後の回
収可能性を検討したうえ
で、不納欠損処分によって
処理する等の措置を講じる
など、財務数値の適正化に
努めることが必要である。
長崎県債権管理規程に定め
る不納欠損事由に該当する
債権については不納欠損処
分を行っていくことといた
しております。なお、今年
度に不納欠損事由に該当す
る債権が1件生じたため、
不納欠損処分を行いまし
た。
措置以後、該当事例はない。
不納欠損については、今後未収
金対策検討会議の策定してい
る債権放棄基準に従って処理
することとなると思われる。
(10)沿岸漁業改善資金
エ.意見
(ア)連帯保証人について
200 万円以上の資金貸付に
ついては 2 名以上の連帯保
証人(または担保提供)を立
てることが必要であるが、
資力が乏しいと思われる者
が連帯保証人になっている
ケースが見られる。連帯保
証人の保証能力について
は、収入だけではなく資産
状況等も含めて総合的に判
断しているとのことである
が、より慎重な貸付審査が
望まれる。
長崎県離島漁業再生支援基
金
各年度の各集落の世帯に対
する交付総額はほぼ5億円
支出されており、平成19
年度の3月末で10億円の
基金の残高がある。本来の
趣旨からすればその年度に
交付すべき額が基金の適正
残高であることから、現在
の基金残高は過大と解され
るが、国からの交付に基づ
くものであることから、県
の判断で対応できるもので
はない。適正な基金の残高
となる交付を国に望む。
連帯保証人の保証能力につ
いては、前年度の収入だけ
ではなく資産状況等も含め
て総合的に判断しておりま
すが、今後ともより慎重な
貸付審査を行ってまいりま
す。
保証人の資力については、フォ
ーマットを整備し、漁協におい
て税務申告書等を徴取してい
る。
現行事業(離島漁業再生支
援交付金)が本年度で終期
を迎えることから、今後の
制度のあり方について、国
において検討を行っている
ところです。なお、当該基
金は、平成21年度末に残
額が生じた場合には、当該
残額を国に返還することが
離島漁業再生支援交付金実
施要領の運用(平成17年
4月1日16水漁第249
8号水産庁長官通知)に規
定されております。
左記の通り平成 22 年度当基金
を返還している。
85
ただし、延滞率の状況について
は、後段「2.追加検討した事
項」を参照のこと。
6
特 会
H22
7
特 会
H22
8
特 会
H22
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計
沿岸漁業改善資金借用証書
について
(1)借受者が、沿岸漁業改善
資金借入れの際に作成する
「沿岸漁業改善資金借用証
書」の借用・確認日につい
て、貸付実行日とは異なる
日付で作成しているものが
確認された。平成 21 年度の
同沿岸漁業改善資金借用証
書の借用・確認日は、貸付
実行日の日付に修正後整理
されていることから、当該
借用証書の日付も貸付実行
日に訂正し、整理しておく
ことが適当であると考え
る。
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計
沿岸漁業改善資金借用証書
について
(2)借用証書に漁政課の受
理日の記載がないものが、
平成 20 年度は 3 件、平成 21
年度は全件となっていた。
受理日を記載しなくても貸
付は実行されるが、借用証
書に記載欄がある以上記載
を徹底すべきであると考え
る。
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計
延滞債権に係る債務者、連
帯保証人に対する対応につ
いて
県は、「債権保全の手引き」
に基づく取り組みを行って
いたが、個々の債務者・連
帯保証人に対する対応につ
いて、連帯保証人に未接触
となっている債権や、すで
に連帯保証人への保証履行
を行うのが適当と思われる
債権が確認されたことか
ら、適正に処理すべきと考
える。
借用申込時の日付が誤って
記載されていたものであ
り、借受者了解のもと、借
用証書の借用・確認日は貸
付実行日に全て訂正し、整
理いたしました。今後、こ
のようなことがないよう十
分注意し、適正な事務の執
行に努めてまいります。
該当事例なし。
受理日の記載のない借用証
書については漁政課の受理
日を全て記載いたしまし
た。今後、このようなこと
がないよう十分注意し、適
正な事務の執行に努めてま
いります。
記載漏れはない。
平成 22 年度中に約半数の 順次対応、接触中である。左記
連帯保証人との面談を実施 措置について担当者は認識し
し、残りについても引き続 ている。
き対応していくこととして
おります。
今後も「債権保全の手引き」
に沿った適正な事務の執行
に努めてまいります。
86
9
特 会
H22
10
特 会
H22
11
特 会
H22
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計
平成 20 年度貸付金について
(1)実施報告書の提出につ
いて
貸付金に関する実施報告書
が平成 20 年 11 月 17 日に五
島水産業普及指導センター
ヘ提出されているが、漁政
課へは提出されていなかっ
た。
1 年 7 ヶ月も処理されてい
ないのは問題であることか
ら、定期的に提出書類を検
証する手続が必要である。
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計平成 20 年度貸付金に
ついて
(2)印紙税の金額誤りにつ
いて
実績報告書の添付書類とし
て領収書を提出させている
が、貼付されている印紙税
の金額誤りが確認されたこ
とから、漁政課でも適正に
指導すべきと考える。
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計
平成 20 年度貸付金の繰上償
還について
平成 20 年度に繰上償還され
た沿岸漁業改善資金貸付金
について、借受者の死亡を
理由として、繰上償還届が
提出されたが、当該届出は
死亡した借受者の氏名、押
印であった。このような場
合、本来、相続人が記載、
押印して届け出なければな
らない。
なお、漁政課でも適正に指
導すべきと考える。
平成 23 年度から、漁政課へ
の実績報告書その他必要な
書類の提出状況について、
定期的に確認するよう改め
ました。今後も各センター
との連携を密にし、適正な
事務の執行に努めてまいり
ます。
現在は適時に入手がされてい
る。
平成 23 年度から、実績報告
書の内容について、印紙税
も含め、チェックリストに
より複数人でチェックする
よう改め、金額誤りの場合
は、漁協を通じて借受者へ
確認することとしておりま
す。
左記の措置の通りである。ま
た、相互保証の禁止も平成 24
年 3 月に取扱要領を改正し記
載している。
今後、このようなことがな
いよう十分注意し、適正な
事務の執行及び指導に努め
てまいります。
確認を徹底しているとのこと
であるが、該当事例はない。
87
12
特 会
H22
13
特 会
H22
14
特 会
H22
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計
平成 21 年度貸付金について
(1)平成 22 年 1 月 13 日に県
知事名で動力漁船登録票が
発行されているにも関わら
ず、譲渡担保設定契約は平
成 22 年 3 月 31 日に起案、
契約書締結となっているも
のが確認された。
担保設定は、早急に行うべ
きものであり、迅速な事務
手続きを徹底すべきである
と考える。
また、速やかに行うべき当
該貸付に関する実施確認、
報告等が平成 22 年 8 月と遅
すぎることから、迅速な事
務手続きを徹底すべきと考
える。
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計
平成 21 年度貸付金について
(2)貸付金の使用完了後 20
日以内に提出を求められて
いる事業実施報告書の添付
書類として「予備検査合格
証明書・準備検査成績通知
書等」の提出が必要と思わ
れる貸付金について、これ
らの書類の添付が確認でき
ない貸付金が確認されたこ
とから、提出書類の徹底を
図るべきと考える。
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計
沿岸漁業改善資金統計につ
いて
「平成 20 年度沿岸漁業改善
資金統計平成 22 年 3 月水産
庁増殖推進部研究指導課」
より、貸付残高の上位 5 県
について延滞額・延滞率・
次年度繰越額を検討したと
ころ、他県と比べて有効活
用されている指標が示され
ているが、延滞額がゼロで
ある県も確認されているこ
とから、延滞解消にはさら
なる対策が求められている
と考える。
今後、このようなことがな
いよう十分注意し、早急に
処理すべき案件については
迅速な手続きを徹底してま
いります。
確認を徹底しており、該当事例
はない。
事業実施報告書の内容及び
必要な添付書類について
は、平成 23 年度以降、チェ
ックリストにより複数人で
チェックするよう改め、確
認を徹底することとしてお
ります。今後も適正な事務
の執行に努めてまいりま
す。
左記の措置の通り。該当事例は
ない。
平成 22 年度から個別訪問
の実施要領を定め、これま
での延滞者本人に対する電
話、文書催告中心の対応か
ら、本庁・地方機関を中心
とした延滞者本人、連帯保
証人の個別訪問の実施によ
り、延滞者や連帯保証人の
実態把握、償還意識の向上
のための指導を図ること
で、未収金の回収に努めて
おります。今後の対策とし
て、新規発生の延滞者に対
する償還指導の早期化、強
化に努めてまいります。
左記の措置通りであるが、延滞
率等の状況については、後段
「2.追加検討した事項」を参
照のこと。
88
特 会
H22
収入未済金額について
平成 21 年度末の収入未済金
額について、早急に適切な
措置を講ずるべきと考える
債権が確認された。
15
特 会
H22
16
特 会
H22
17
特 会
H22
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計
収入未済金額について
(1)借受者 A について平成
18 年 6 月 14 日借受人の相続
人と面談を最後に連絡が取
れていない状況であること
が確認された。早急に適切
な措置を講ずるべきと考え
る。
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計
収入未済金額について
(2)借受者 B について
県によれば、
「本事例は、消
滅時効期間は経過している
が、援用権者である連帯保
証人より「時効の援用」が
なされないため、不納欠損
として整理ができない状況
と考えている。」とのことで
あった。
しかし、このまま未整理の
状況がいつまでも続く状態
も適正とは言い難いことか
ら、早急に適切な措置を講
ずるべきと考える。
長崎県沿岸漁業改善資金特
別会計
沿岸漁業改善資金事務委託
契約書について
県は、沿岸漁業改善資金助
成法の貸付けに係る事務を
信漁連及び○○漁協に委託
し、沿岸漁業改善資金事務
委託契約書において、信漁
連及び○○漁協の請求によ
り延滞取立奨励金を支払う
旨を規定しているが、その
延滞額(違約金を含む。
)の
一部又は全部につき払い込
みがあった場合について
も、当該奨励金の支払いは
行っていないことが確認さ
れた。県は、条文の解釈に
より、支払義務が生じてい
ないとの見解をとっている
が、そのような解釈を取る
ことができるかは疑問であ
る。よって、延滞取立奨励
借受人の相続人とは平成
22 年 10 月 18 日に面談を実
施いたしました。今後も引
き続き適切な償還指導に努
めてまいります。
平成 24 年 5 月に相続人との接
触はできており、少額回収を交
渉中とのことであった。債務承
認を取り付け、分割納入を進め
るなど時効の中断に遺漏のな
いよう回収をすすめる必要が
あると思われる。(意見)
時効の援用がないため不納
欠損処理できないことか
ら、今後は、県庁内に設置
されている「未収金対策検
討会議」における未収金の
取扱基準についての全庁的
な検討結果も踏まえ、適切
に対応してまいります。
借受者は既に破産免責、保証人
も既に破産免責、もうひとりの
保証人も行方不明という状況
にあり、回収が極めて困難であ
り、援用の生じる余地もほとん
どないと考えられる。
措置にある通り、債権放棄基準
の運用にあわせ、今後債権放棄
を検討すべきと考える。
(意見)
延滞取立奨励金の対象とな
る場合を、償還期日から 6
ヶ月を経過して払い込まれ
た延滞金(違約金を含む。)
で、信漁連及び事務再委託
関係漁協が担保物件の処分
その他延滞者に対して主体
的に取立てを実施したと知
事が認める場合と整理し、
その旨規定した内容で、平
成 22 年 11 月 7 日付けにて
信漁連及び事務再委託関係
漁協と変更契約を締結いた
しました。
左記の措置の通りである。
89
金に係る第 6 条第 2 項の規
定は、取引実態に即した条
文を検討する必要がある。
別記
沿岸漁業改善資金の概要
沿岸漁業者従事者等の経営や生活の改善、及び青年漁業者等の養成確保を図ることを助
長するための無利子貸付資金で、経営等改善資金、生活改善資金及び青年漁業者等養成確
保資金の 3 つがある。
制度のしくみ図(手続きの流れ)
2.追加検討した事項
(1)沿岸漁業改善資金の活用状況と延滞率について(意見)
沿岸漁業改善資金特別会計について、平成 21 年度から平成 23 年度における貸付実行の
状況及び繰越残高の推移は以下のようになっている。
(単位:千円)
年度
特別会計
繰越末残
貸付件数
貸付実行額
貸付残高A
延滞額B
B/A
H21
486,892
73
209,083
702,459
10,026
1.4%
H22
485,127
45
180,105
705,204
12,854
1.8%
H23
548,225
32
105,146
642,896
14,644
2.3%
他の制度の拡充にしたがって、当制度の利用が低迷している。繰越残高も増加傾向にあ
り、貸付残高も減少傾向にある。一方で徐々に延滞額が増加しており、貸出残高に占める
90
延滞の割合も増加している。
また、収入未済と回収の関係は以下のように推移している。
区分
過
年
度
分
現
年
度
分
合
計
平成21年度
8,857,187
1,368,990
平成22年度
10,026,450
326,000
平成23年度
12,854,450
1,486,253
当年度不納欠損額②
当年度末収入未済額(B)
0
7,488,197
0
9,700,450
0
11,368,197
回収率(①/(A)×100)
当年度調定額(C)
15.5%
2,964,000
3.3%
3,904,000
11.6%
3,921,605
当年度収入額③
当年度末収入未済額(D)
425,747
2,538,253
750,000
3,154,000
500,000
3,421,605
14.4%
10,026,450
19.2%
12,854,450
12.7%
14,789,802
15.2%
7.7%
11.8%
繰越調定額(A)
当年度収入額①
回収率(③/(C)×100)
当年度末収入未済額(B)+(D)
回収率
不良債権の発生が継続しているため、年々不良債権残高は増加傾向にある。全体として
の回収率も 10%程度と低迷しており、それが、貸出残高に占める延滞額の割合の増加傾向
の原因となっている。したがって、貸出先の好転が望めない限り不良債権の増加は回避し
がたい状況にある。
制度利用の促進と、不良債権の抑制及び削減は裏腹であるが、制度利用の促進のための
PR等を行い、一方で入り口としての貸付審査をこれまで以上に慎重に行う必要がある。
また、既に貸出している債務者の業況については、漁協等と連携をして情報把握に努め、
一層の経営指導等、支援を求めたい。また、延滞債務者については、一層の回収努力が必
要と考える。
(2)連帯債務者の取り扱いについて(意見)
長崎県沿岸漁業改善資金貸付規程や借用証書特約条項には、借受者(申請者)や連帯保
証人及び担保についての規定はあるが、連帯債務者については特段定めがされていない。
現在、貸付けの実行にあたっては、申請者が 60 歳以上の者やその他知事が必要と認める者
である場合には、連帯保証人に加えて、申請者の後継者と目される者を連帯債務者に立て
る取り扱いがなされており、その後継者は申請書や借用証書に連帯債務者として署名押印
をしている。これは従来より貸付けにあたっての内部の運用により一定の条件の下に連帯
債務者を求めていたものを、平成 21 年に関係機関宛て出された「長崎県沿岸漁業改善資金
貸付規程の運用について」の通知で取り扱いを具体的に定めたとものとしてそのような取
り扱いをしている。連帯債務者は借受者と連帯して債務を返済する義務がある者であり、
借受者と同様に債務を負うこととなる。関係者間での内部通知のみで運用するのではなく、
貸付規程や借用証書特約条項においても具体的に規定することが望ましいのではないかと
思われる。
91
(3)申請書の提出期限の順守について(指摘)
現在申請書の提出期限については、長崎県沿岸漁業改善資金貸付規程により年 4 回の申
請期限がそれぞれ定められている。そして、長崎県沿岸漁業改善事務取扱要領によると、
「第
4
貸付申請の手続きの 3」において、
「水産業普及指導センター所長は貸付申請書を受理し
た時には、・・・あらかじめ作成された普及計画を基礎として事業計画に関する指導を行っ
た後、貸付基準に定める期日までに県水産関係機関に送付するものとする。」としており、
県水産関係機関に提出された日をもって提出としている。
しかし、現在の事務処理では、水産業普及指導センターに提出された日をもって提出日
として処理を行っており、現在は事務取扱要領に定める期限以降に県水産関係機関に申請
書が提出されているものについても、期限内に提出がされたものとして処理がなされてい
る。
また、現在の申請書では、受付漁協又は受付市町村名、受理普及指導センター、受理県
水産関係機関名とそれぞれの関係機関が受付日を記入する欄を設けている。しかしながら、
県北地域については県水産関係機関にあたる県北振興局の受付印が押されていない。
現在事務処理上では水産業普及指導センターが各漁協より申請書を受け付けた段階で提
出されたとの認識があるが、本来当欄への記入日をもって提出日を確認することになるた
め、当欄の記入についても徹底すべきである。
(4)申請書の提出期限の見直しについて(意見)
現在の考え方を書面通りに適用すると、利用希望者が長崎県の機関である水産業普及指
導センターへ期限期日内に申請書類をしたにもかかわらず、長崎県の機関である水産業普
及指導センターがセンター長の意見書を添付し県水産関係機関へ送付するのが遅れること
で、期限内に提出が間に合わず、制度の利用ができないということも起こりうる。
このような状況から考えると、制度利用者の利便を阻害しないよう、当制度の提出期限
のあり方について見直しを求めたい。
(5)事業計画書に記載する「水産業普及指導センター所長の意見」記載について(指摘)
貸付の申請手続きにおいて、水産業普及指導センター所長は、貸付申請書に添付されて
提出された事業計画書を確認し、その事業計画書に意見を添えることとされている。
貸付申請書及び事業計画書を確認したところ、水産業普及指導センター所長の意見の記
載内容が、本来は事前に作成してあるはずの事業計画書と一連で同時に作成印刷されてい
ると認められるものが検出された。かかる事例は事業計画書を水産業普及指導センター自
らが作成しているのではないかと疑義を抱かせるような行為である。制度上の見直しが必
要である。
(6)貸付金の償還年数について(指摘)
92
沿岸漁業改善資金助成法では、貸付金の償還期間について第 5 条において「貸付金の償
還期間(据置期間を含む。)は、経営等改善資金、生活改善資金及び青年漁業者等養成確保
資金のそれぞれの種類ごとに、10 年を超えない範囲内で政令で定める期間とする」と規定
している。そして沿岸漁業改善資金助成法施行令において、それぞれの資金ごとに償還期
間を定めている。
県でも貸付資金の償還期間については、沿岸漁業改善資金助成法施行令をもとに長崎県
沿岸漁業改善資金貸付規程別表により年数を定めている。ただし、県では、更に長崎県沿
岸漁業改善資金事務取扱要領において、経営等改善資金の償還期間については、以下のよ
うに定めている。
経営等改善資金の償還期間は、貸付規程第 2 条の別表第 1 に定める期間の範囲内で減価償却資産の耐
用年数等に関する省令(昭和 40 年大蔵省令第 15 号)に定められた固定資産の耐用年数以内とする。
このため、現在の事務取扱要領によると現在は、耐用年数に関する省令による耐用年数
のほうが貸付規程別表の年数より短い場合は償還年数もその年数以内となる取扱いとなっ
ている。
この減価償却資産の耐用年数等に関する省令において、貸付制度に関係する漁業用設備、
水産養殖業用設備はともに耐用年数 5 年とされているので、当貸付制度の償還年数は長崎
県沿岸漁業改善資金事務取扱要領によると新品の場合は原則として 5 年以内(長崎県沿岸
漁業改善資金貸付規程により 5 年より短い年数とされている場合はその年数)という取扱
いになる。
平成 20 年の税制改正に伴い耐用年数省令の改正が行われる前においては、当貸付制度に
関する設備の耐用年数は、漁ろう用設備として 7 年とされていた。長崎県沿岸漁業改善資
金貸付規程別表に定める償還期間についても操船作業省力化機器等設置資金は、耐用年数
省令と同じ 7 年以内となっていた。このため、もともと操船作業省力化機器等設置資金の
償還年数については 7 年とされていた。
耐用年数省令の改正後も、耐用年数省令の改正前の償還年数を制度として引き継いでい
るため、結果として耐用年数省令の改正後は耐用年数省令に定める耐用年数よりも長い年
数となる長崎県沿岸漁業改善資金貸付規程別表の償還年数を優先して適用している状況と
なっている。
これは、耐用年数省令の改正がなされたことに対して、長崎県沿岸漁業改善資金事務取
扱要領の内容が見直されていないため生じているものであり、長崎県沿岸漁業改善資金事
務取扱要領の償還年数の定めについては早急に対応が必要である。
(7)申請書類の添付について(指摘)
長崎県沿岸漁業改善資金貸付規程では、自動操舵装置、エンジンなど一定の装置に対す
93
る貸付についてはその性能を証明する証明書等の添付を求めている。
沿岸漁業改善資金借受事業実施報告書を確認した所、証明書の添付が漏れているものが
検出された。当証明書は、それぞれの装置の操船作業の省力化や燃料油消費節減に対して
効果を証明するもので、貸付の目的を担保する意味を持つものでもあるため、申請書を審
査する立場にある県としては、当証明書等の添付書類の内容についても漏れがないよう徹
底する必要がある。
(8)申請時の提出書類の誤りについて(指摘)
長崎県沿岸漁業改善資金事務取扱要領において沿岸漁業改善資金の申請においては、様
式第 2 号の 2「償還準備積立実行誓約書」が申請書の添付書類とされている。申請書を確認
した所、この「償還準備積立実行誓約書」について、一部の漁協から提出された案件のみ、
独自様式により「償還準備積立実行契約書」が添付されることとされていた。
「償還準備積立実行契約書」も内容としては、同等のものではあるが、事務取扱要領に
おいて書式が規定されているため、県としては提出書類の確認について注意が必要である。
94
Ⅱ-7
水産振興課(長崎魚市場特別会計)
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
1
指定管
理H18
2
指定管
理H18
監査の結果
措置
検証結果
(6)財産の状況
①公有財産の管理
エ.指摘事項
(ア)従物内訳表の整備につい
て
混載便発送ターミナルが公
有財産台帳に記載されてい
ない。混載便発送ターミナル
は建物でなく、工作物として
位置づけられているためと
考えられる。ただし、工作物
は、「土地、建物の従物(工
作物等)の公有財産台帳への
登載について」
(昭和 43 年 2
月 16 日 43 管第 32 号総務部
長通知)に、「従物内訳表」
を作成して管理することが
規定されている。したがっ
て、混載便発送ターミナルに
ついても従物内訳表を作成
することが必要である。
②物品の管理
エ.指摘事項
(ア)物品と物品管理簿の照合
について
物品取扱規則第 12 条第 5
項には、年 1 回、物品と物品
管理簿の照合を実施するこ
とが規定されている。しかし
長崎魚市場では、平成 16 年
度、17 年度ともに実施され
ていなかった。毎年度実施す
ることが必要である。また、
物品管理簿の配置場所に全
て「長崎魚市場」と記載して
いるが、照合手続の実施の効
率化、適切な現物管理の点か
ら、施設別、さらに部屋別な
ど詳細に記載することが望
まれる。
ご指摘を踏まえ、従物内訳
表を作成し、公有財産台帳
の付属書類として保管する
措置を講じました。
左記物件の従物内訳表への記
載は確認した。
ただし、この構造物は、建築
基準法の観点からは建物とし
て取り扱うべきものである。
したがって、従物というより
は、公有財産台帳に建物とし
て登載すべき構造物である。
また、魚市場内において、物
品として取り扱われているが
本来従物内訳表に登載し管理
すべきもの(時計塔や駐車場
案内図など)や、従物として
管理すべきもの(駐車場内の
照明塔など)が網羅されてお
らず、今一度整理する必要が
あると思われる。(指摘)
平成 18 年度から、毎年度、
物品の現物と物品管理簿と
の照合を実施するようにい
たしました。また、物品管
理簿の備考欄に施設別、部
屋別の詳細を記載し、物品
の配置場所を明確にいたし
ました。
物品取扱規則や物品管理シス
テムによって管理がなされて
いる。
ただし、現物照合をサンプル
で検証したが、コンベアーに
一件物品整理票の貼付誤りが
検出された。もともと数台あ
るコンベアーが老朽化してお
り、互いに部品をやり取りす
る間に整理票の貼付けられた
部品が他のコンベアーに流用
されたことが原因で、二重に
整理票が貼り付けられた状態
になっていた。適時に実態に
合わせる運用になっていな
い。(指摘)
また、パソコン・カメラ等長
期間使用されていない物品に
ついては、適宜廃棄するべき
である。(指摘)
95
3
指定管
理H18
4
指定管
理H18
(イ)物品整理票の貼付
について
また、魚市場協会所有の物品
に、同協会所有物であること
を示すラベルが貼付されて
おらず、長崎県の物品との区
分が不明瞭であった。平成
16 年度の所管移転の際に、
物品整理票の更新が行われ
ておらず、また一部剥がれて
いるものもあって、物品管理
簿と現物の照合が困難な状
況である。物品整理票の網羅
的な貼付が必要である。
(5)利用状況
イ.意見
(ア)住民負担について
水産物の水揚高の減少に比
例し、長崎魚市場の手数料収
入は減少の一途である。一
方、施設は建築後 17 年を経
過して老朽化が進み修繕を
要する箇所も多く、大規模消
費市場を背景にした量販店
のチェーン店化、消費者の食
の安全への強い要望に伴い、
環境・リサイクル等へ配慮し
た新規設備の導入・更新が待
ったなしとなり、これらの要
求に対応する施設の改修等
が喫緊の課題となっている。
起債の償還は平成 25 年度ま
で残っており、長崎県は一般
財源から年約 4 億円を繰り
入れて施設を維持している
ものの、設備の大規模修繕に
ついては先延ばしすること
を余儀なくさせられている。
長崎魚市場が取り扱う生鮮
魚介類は大規模消費市場を
抱える関東や関西へ出荷さ
れるほか、当然ながら長崎市
及び周辺地域においても消
費されているが、長崎市及び
周辺市町はこの市場がある
ことによって、卸売市場を保
有する必要性はなく、市場圏
内住民のコスト負担が軽減
されていると言える。長崎魚
市場の市場圏において、魚市
場のコストを長崎県のみが
負担している現状は、佐世保
市や松浦市等市町が魚市場
を開設している市場圏との
間に、住民負担の公平性を欠
くことから、長崎市及び近隣
物品管理簿と現物を照合の 上記の通り。
うえ、物品整理票を網羅的
に貼付いたしました。また、
魚市場協会所有の物品につ
いては、同協会の所有物で
あることを示すラベルを貼
付し、長崎県の物品との区
分を明確にいたしました。
ご意見の内容については、
市場開設の経緯や、市町の
これまでの関わりもあり、
今後に向けた検討課題とし
てまいります。
96
受益者負担の考え方として
は、監査意見にある考え方も
尊重するべきと思われるが、
住民負担のバランスを考える
と、受益との明確な対応関係
をどのように測定、評価して
いくかは難しいと考える。
一方、魚市場特別会計におけ
る公債費を除く一般会計繰入
金は平成 23 年度で 82 百万円
であり、使用料収入の減少等
により魚市場を維持するため
に費やされる経費負担は従前
より大きくなっている。
1 億を超す公債費も平成 26 年
でほぼ完済の見通しである
が、今後、さらなる経費削減、
そして使用料収入の増大のた
めの一層の努力を求めたい。
(意見)
市町に対して、応分の負担を
求めることが望まれる。
5
指定管
理H18
6
指定管
理H18
(イ)市場の活性化について
長崎魚市場条例により、長崎
魚市場の利用者は、卸売業
者、買受人、小売人及び業務
用買出人、出荷者、魚市場の
業務に関連する業務を営む
者と定められている。また、
長崎魚市場施設の使用にあ
たっては、あらかじめ知事の
許可を受けることと規定さ
れている。長崎魚市場におけ
る円滑な市場業務を確保す
るため、県が条例で定めてい
るものである。そこで、現在
の流通動向に対応して、市場
利用者等について規制を緩
和し、長崎魚市場に集荷され
る豊富な水産物を広く提供
する等の取り組みにより、活
性化を図ることが望まれる。
(6)財産の状況
②物品の管理
オ.意見
(ア)施設の修繕等について
平成元年の新長崎漁港開港
及び長崎魚市場開場以降 17
年を経過し、ポンプに故障が
発生するなど施設の一部に
老朽化が見られる。年間の修
繕費予算約 30 百万円の範囲
で、優先順位をつけながら修
繕を実施しているが、今後は
予算の枠内で対応できない
不測の事態が発生する可能
性がないとは言えない。適切
な修繕・改修の実施による施
設の機能維持が公共サービ
ス提供の前提であり、施設全
体の点検を早急に実施し、修
繕・改修計画を策定、必要な
予算を把握して、計画的に実
行していくことが望まれる。
平成 16 年の卸売市場法改
正に伴う魚市場利用者に関
する規制緩和の方針を踏ま
え、今後、関係者との調整
を図りつつ、市場の活性化
につながるよう長崎魚市場
条例の改正を含めた規制緩
和について検討を行ってい
くこととしております。
小売業者への売買参加権の付
与について議論した経緯はあ
るが、反対意見があり実現し
ていない。
その他の活性化策として、平
成 23 年 4 月より買受人の取扱
基準(年間取扱金額の上限)
を撤廃したことで、すべての
買受人の承認期間を5年間に
統一し利用者の事務の軽減、
経営安定化を図っている。
平成 18 年度に実施した建
築物等定期点検及び保全点
検の結果に基づき、年次的
修繕・保全計画を平成 19 年
度中に策定し、今後、必要
な予算を把握して、施設の
修繕・改修を計画的に実行
してまいります。
平成 19 年度に計画立案し、平
成 22 年度までは計画に沿っ
た修繕を行っている。ただし、
平成 23 年度からは一般会計
繰入金の削減により予算不足
となり計画通りの推進ができ
ていない状態である。このた
め、随時必要な範囲での修繕
を進めざるを得ない状態にな
っているとのことであった。
一方で、老朽化が進んでいる
卸売市場棟について、高度衛
生化施設整備を計画し、平成
24 年度に基本計画を設定し、
翌 25 年度から事業に取り掛
かる予定となっている。
97
7
指定管
理H18
(7)契約事務
エ.意見
(ア)(単独)随意契約につい
て
平成17年度の 1 件 1,000 千
円を超える 9 件の委託契約
のうち、8 件が(単独)随意
契約である。入札を実施した
1 件を除き、落札率(予定価
格に対する契約額の割合)も
極めて高い。
警備業務、清掃業務、駐車場
運営管理業務、車輌入場承認
済証発行事務及び運営管理
業務については、所謂「委任
契約」に該当する。最も信頼
できる相手先を任意に選択
し、(単独)随意契約を締結
するため、予定価格と契約額
が同額になるということで
ある。長崎県出納局が発行し
ている「入札・契約事務マニ
ュアル(改定版)」によれば、
「高度な能力・知識・経験等
を要するわけではないが当
該事務を効率的に行うため
に、信頼のできる特定の相手
先を選定し一定の事務処理
を委託するという場合」に該
当し、予定価格の算定及び 1
者以上からの見積書の徴収
も必要としない(単独)随意
契約となる。これらの契約
は、この要件に該当するかも
知れないが、業務内容は一般
の事業者でも実施できるも
のと考えられる。魚市場とい
う施設の特殊性から、相手先
が限定される場合もあるが、
競争入札を実施することに
より契約事務の透明性、コス
トの見直しを図ることも有
用であると考える。
監視業務、自家用電気工作物
保安管理業務、消防用設備等
点検業務及び統計年報作成
業務については、競争原理の
導入、透明性の確保等の観点
から、落札率が 100%近くな
るような随意契約は好まし
くない。仮に随意契約による
場合でも、少なくとも複数の
見積りを入手し、契約額の節
減に努めることが望ましい。
市場の管理運営に関する業
務については、市場に常駐
し秩序維持を円滑に遂行す
るという魚市場の施設運営
の特殊性により相手方が限
定されるため、委任契約に
よる1者随意契約によらざ
るを得ない状況ですが、平
成 18 年度からは、自家用電
気工作物保安管理業務及び
消防用設備等点検業務につ
いて、一般競争入札を実施
し、契約額の節減に努めて
おります。ご意見を踏まえ、
今後、契約事務の適切な処
理に努めてまいります。
98
措置の通りであるが、契約に
関する問題点については、下
記「2.追加検討した事項」を
参照のこと。
8
指定管
理H18
9
指定管
理H18
(イ)修繕工事の発注方法につ
いて
風防シャッター支柱撤去固
定工事及びグレーチング取
替について、修繕箇所は異な
るものの、同一内容の修繕工
事をほぼ同一時期に、単独随
意契約の金額基準(1 件の予
定価格が 30 万円未満)まで
数回に区分(小分け)して発
注していた。取り纏めて発注
した方が、業者からすればコ
スト削減の余地が大きく、ま
た見積り合せを行うことに
より契約額が下がることも
期待される。また、緊急性を
要したために、小分けするこ
とにより単独随意契約が可
能な金額まで区分したとい
う誤解を受ける。したがっ
て、同じ修繕工事が見込まれ
ているのであれば、取り纏め
て発注すべきである。なお、
実際に緊急性を要するもの
であれば、1 件の予定価格 30
万円を問わず、随意契約を行
うことは可能と考えられる。
(「財務規則第 106 条第 3 号」
による。)
[総論(総合所見)]
(2)意
見
ウ.施設の利用状況等(ア)受
益者負担及び県民負担
①受益者負担について
・長崎県地方卸売市場長崎魚
市場
サービスの基礎度 基礎的サ
ービス受益者負担割合
23.4%
検討した 13 の施設をサービ
スの基礎度と利用者 1 人当
り運営コストに基づいて分
類した。なお、長崎魚市場に
ついては、利用者数のデータ
がないため含めていない。
「利用者 1 人当り運営コス
ト」は、その施設の利用者 1
人・1 回当りの県民負担額を
示すが、対象施設の概ね中間
値である 1,000 円/人で区
分している。利用者 1 人当
り運営コストが高い施設に
ついては、使(利)用料金が
ゼロまたは安価、運営コスト
が多額等個々の事情はある
が、県民負担を軽減させるた
ご意見を踏まえ、今後は、
施設の点検を行い、同じ修
繕工事が見込まれる場合
は、取り纏めて発注するよ
うにいたします。
現状は、担当者が週二回魚市
に出向き、修繕箇所を調べた
うえで、緊急性の有無、修繕
すべき個所の性質、修繕に充
てる予算枠等を勘案して、修
繕伺いを作成する流れとなっ
ている。この中で、監査結果
に求められている効率性の配
慮もなされているとのことで
ある。ただし、修繕伺いにあ
る「修繕の理由」の記述では
効率性の確保について判然と
しないため、別途、修繕発注
の台帳を作成し、緊急性の有
無や発注の集約状況を管理す
るべきと考える。(意見)
魚市場に係る使用料の改
定、指定管理者制度の導入、
委託業務の見直しによる経
費削減及び卸売業者と連携
した水揚げ増加対策の推進
について検討を行ってお
り、今後、県民負担軽減の
ためより一層の努力を行っ
てまいります。
一層の経費の見直し(効率的
な契約事務)が求められると
ころだが、具体的には、下記
「2.追加検討した事項」を参
照のこと。
99
めにより一層の利用促進、コ
スト削減及び利用料金改定
の検討が必要であると考え
る。
特 会
H22
10
特 会
H22
11
特 会
H22
長崎魚市場施設使用許可手
続について
平成 21 年 9 月 30 日に長崎魚
市場施設使用許可の取り消
しとなった法人 A について、
次の事実が確認された。
(1)契約保証金の管理につい
て
平成 19 年 3 月 28 日に仲卸売
場棟の使用許可を出し、契約
保証金の納付期限の平成 19
年 5 月 27 日までに納付がな
かったにもかかわらず、契約
保証金が納付されていない
事実を確認したのは、平成
21 年 4 月 23 日であった。
納期限の未納が発生したら、
買受人の承認の取り消しが
できる旨が定められている
ことから、契約保証金の管理
は適正に行わなければなら
ない。
(2)保証金の充当の順序につ
いて
平成 20 年 9 月分の使用料の
延滞が発生し、平成 21 年 5
月 8 日には、別の使用施設の
納付済契約保証金を充当し
て使用料の回収を図ってい
る。契約保証金は債権回収を
担保するものであることを
考えると、「使用許可の取り
消し⇒保証金の充当⇒施設
使用料の回収を図る。」事務
フローが適切と考える。
今後は、財務会計システム
により 1 週間毎に保証金の
納入状況を確認し、納入期
限が迫ったものについては
事前に相手方に催告を行う
ことにより、期限内納付を
徹底してまいります。
また、確認漏れや催告漏れ
がないよう複数人によるチ
ェック体制を構築してまい
ります。
特に問題なし。
事務フローについては、指
摘のとおりとの認識は従来
から持っておりますが、同
様の事例で、使用許可を取
消された事業者が「営業権
の存続」を求めて訴訟を起
こし開設者が敗訴した判例
もあるように、未納者が営
業継続の意志を明確に示し
ている場合、使用許可の取
り消しを行い事業継続の機
会を消滅させることは非常
に困難です。今後も、基本
的な事務フローを守りなが
ら、臨機応変に対応するこ
とにより効果的な使用料の
徴収に努めてまいります。
特に問題なし。
100
12
特 会
H22
13
特 会
H22
14
特 会
H22
(3)協議依頼について
平成 22 年 3 月 11 日に「長崎
県地方卸売市場長崎魚市場
施設使用料徴収事務委託」の
委託先である社団法人長崎
魚市場協会から、使用料の未
納(平成 21 年 5 月∼9 月)に
伴う協議が提出され、平成
22 年 3 月 18 日に県からの協
議結果が通知されている。
長崎魚市場施設の使用許可
期限は、平成 21 年 9 月 30 日
をもって満了していること
から、協議依頼の時期が遅れ
ていると考える。
公課費について
公課費について検討したと
ころ、消費税の計算に誤りが
あった。
平成 20 年度(平成 19 年度
確定)、平成 21 年度(平成
20 年度確定)において、課
税仕入れに係る消費税額の
計算において国内旅費を課
税仕入れの対象外支出とし、
仕入税額の控除対象外とし
て処理した。
これを仕入税額の控除対象
とすると、納付税額への影響
額は下記のとおり平成 20 年
度では 5,600 円、平成 21 年
度では 4,000 円を過大に納
付している結果となること
から、適正に処理すべきと考
える。
「公営企業への一般会計繰
出基準について」について
『2.市場の建設改良に要す
る経費』には、
「平成 15 年度
までに発行した企業債」との
記述について検討すれば、平
成 19 年度の「災害復旧事業」
の起債 5.9 百万円は対象外
となる。
運用にて対応しているとの
ことであるが、当該通知を見
直すのが適切と考える。
今後は受託先との連携を更
に密にし、適切な事務処理
に努めてまいります。
現在は未納の管理は厳格に運
用されており、魚市場協会が
まずは未納者へ指導を行い、
納期限を超過する案件は県へ
連絡するようにしている。そ
の後は、県からの電話催告や
課内での対応協議、最終的に
は登録抹消といった事務が行
われるようになっている。
平成 18 年 6 月 1 日の改正に
より課税仕入れの対象経費
として整理すべきところ
を、税務当局への確認をし
ていなかったために生じた
ものです。
今後はこのようなことのな
いように十分注意し、適正
な事務の執行に努めてまい
ります。
特に問題なし。
財政課と協議のうえ「当該
通知に『ただし、災害復旧
等でやむを得ず企業債を発
行する場合は、この限りで
ない。』等の追記を検討す
る。」との回答を受けており
ます。
明文化は実現していない。
監査結果を尊重するべきであ
る。(指摘)
101
15
特 会
H22
16
特 会
H22
17
特 会
H22
賃金について
臨時職員の賃金について検
討したところ、臨時職員雇用
伺では長崎魚市場用務とさ
れている者の賃金について、
平成 21 年度と平成 20 年度で
各会計の負担割合が大きく
異なっていることが確認さ
れた。負担割合については、
従事時間数等を基準に按分
して実態を表示すべきであ
る。
工事請負費について
水産振興課から土本部建築
課へ提出された営繕工事設
計監理依頼書の特記依頼事
項として「早期着手をお願い
します」としているが、より
具体的に 1)緊急性 2)完成要
望時期を明示し、適切な時期
に着手できるよう水産振興
課と土本部建築課が協議で
きる体制を整備する必要が
ある。
長崎魚市場施設使用料徴収
事務委託について
長崎魚市場協会(以下「協会」
という。)は、徴収した使用
料を、他の事業等と同じ通帳
でひとまとめに管理してい
るとのことであるが、本来は
徴収料だけを扱う通帳を別
に作成することが望ましい
といえる。今の管理であれ
ば、その徴収した金銭で協会
の別の事業に充足すること
も容易であり、預金利息自体
の帰属問題も今の管理では
不明確となる。
平成 23 年度から、臨時職員
については長崎魚市場用務
に限定して業務が集中する
時期にのみ雇用することと
し、一般会計からの負担を
伴わないよう改めておりま
す。
特に問題なし。
今後は、依頼書に具体的な
施工時期を明示する等、関
係各所との適切な協議に努
めてまいります。
該当事例なし。
使用料とその他の事業費に
ついては会計上適正に区分
管理されていますが、預金
利息については指摘のとお
りその帰属が不明確となる
ことから、使用料の専用口
座開設の可否を含め、今後
協会と検討してまいりま
す。
現状も変化はない。
口座を分割することは、資金
流用を防止することに主眼が
あり、あくまで県の使用料収
入は協会にとって「預り金」
でしかなく、明確な資金の分
離が必要である。
例えば収入口座は一般会計の
口座とは別にし、銀行からの
振替明細によって預かり金額
が明確になるまで引き出しを
禁止し、その後は更に専用口
座へ資金移転するべきであ
る。
以上を検討の上、協会におけ
る収入事務の見直しを県は指
導するべきと考える。(指摘)
102
18
特 会
H22
19
特 会
H22
20
特 会
H22
21
特 会
H22
「建築物における衛生的環
境の確保に関する法律」に基
づく業務委託について
(1)当該委託業務に関して、
平成 20 年度において指名さ
れていた業者を、平成 21 年
度に変更しているが、平成
20 年度の業者を除外した理
由は、「ねずみ駆除業の登録
期限が平成 22 年 2 月 21 日で
あり、年度途中に期限が切れ
るから。」とのことであるが、
通常は登録更新を行うと思
われることから、除外理由と
して適切とは考えられない。
工事請負契約のような指名
業者選定システムの導入を
検討されたい。
「建築物における衛生的環
境の確保に関する法律」に基
づく業務委託について
(2)平成 21 年度の予定価格
の積算において、管理技術者
選任料@19,340 円、鼠駆除(月
2 回薬剤費・技術管理費。安
全管理費@3,000 円に関して
は算定のもとになる単価表
等がなく、その金額がどのよ
うに算出されたかが不明で
ある。積算に関しては客観的
な資料をもとに算出すべき
である。
「建築物における衛生的環
境の確保に関する法律」に基
づく業務委託について
(3) 予 定 価 格 の 算 定 に お い
て、積算金額と予定価格調書
との金額が相違している。工
事請負契約のように、ランダ
ム係数等を積算金額に乗じ
て予定価格を算定していな
いことから、その根拠等は保
存しておくのが適当と考え
る。
長崎県地方卸売市場長崎魚
市場統計年報作成業務委託
について
平成 20 年度及び平成 21 年度
の委託料支出について検討
したところ、積算根拠のう
ち、直接物品費として賃金と
印刷製本費の合計金額に 1%
を加算していることが確認
された。しかし、その 1%の
根拠が不明であることから、
積算根拠として明確な基準
長崎市内に本店を有し、建 特に問題なし。
築物環境衛生総合管理業及
びねずみ、昆虫防除業を長
崎県で登録している業者が
8 者のみであったことから、
平成 23 年度委託契約分か
ら、条件を満たす全ての業
者を指名するよう改めまし
た。
平成 19 年度に徴した参考見
積の価格を継続して使用し
ていたものですが、一定期
間が経過しているため、平
成 23 年度分の積算に当たっ
ては、新たに参考見積を徴
し積算を行いました。
特に問題なし。
平成 22 年度から、積算金額
の歩切りによる予定価格決
定は行わないよう改めてお
ります。従いまして、予定
額の積算金額自体が予定価
格決定の根拠となりますの
で、引き続き適正に記録し
保存することを徹底してま
いります。
特に問題なし。
平成 23 年度の委託料積算か
ら、直接物品費については
加算しないこととしており
ます。
特に問題なし。
103
が必要と考える。
22
特 会
H22
長崎魚市場卸売場棟施設修
繕業務委託について
(1)積算根拠のうち、21 年度
事務費として事務用品費
96,000 円、通信費 24,200 円
として算出されているが、そ
の根拠が不明である。積算根
拠として明確な基準が必要
である。(20 年度の事務用品
費 96,000 円、通信費 20,000
円も同様)
23
特 会
H22
24
特 会
H22
25
特 会
H22
長崎魚市場卸売場棟施設修
繕業務委託について
(2)予定価格の 30 万円基準
について、修繕工事の範囲を
どのように捉えるかが問題
となる。県としては、今現在
取引をどのように考えるか
については具体的なマニュ
アル等はないとのことであ
るが、どの範囲で取引を考え
るかについては規定を定め
ておくことが望まれる。
長崎魚市場監視業務委託に
ついて
平成 20 年度及び平成 21 年度
の委託料支出について検討
したところ、平成 21 年度(平
成 20 年度も同じ)の積算根
拠のうち、1.直接業務費②直
接物品費が直接人件費×
1.15%であることが確認され
た。建築保全業務積算基準に
よる 1%から 3%でその範囲内
ではあるが、何故 1.15%かの
理由は不明であることから、
積算根拠として明確な基準
が必要である。また、予定価
格の段階で監視業務費合計
に 85%を乗じているがこれも
単に予算との兼ね合いから
85% と し て い る こ と で あ る
が、明確な基準ではない。
需用費について
修繕工事が完了し確認もさ
れているのに、請求書の提出
が遅れているものが確認さ
れた。速やかに請求書が提出
されなければ、県は予算執行
状況の把握が困難と考える
ため、工事完了後は請求書を
速やかに提出させるべきで
発生する修理箇所及び修理
内容により、使用する事務
用品や通信費の金額は大き
く変動することから、前年
度並みを見込んで積算して
いたものです。
平成 23 年度委託料において
は、過去 3 年間の実績を平
均し、1 か月あたりの金額を
それぞれ事務用品費 8,000
円、通信費 2,500 円と見込
み、1 年分の積算を行ってお
ります。
予定価格の 30 万円基準につ
いては、
「一発注あたり」と
考えることが基本になると
考えておりますが、発注後
変更が生じて 30 万円を超え
る場合の取扱等を整理して
いく必要がありますので、
関係機関と協議を行い、適
正な規定の策定を検討して
まいります。
特に問題なし。
直接物品費については、平
成 22 年度から建築保全業務
積算基準の下限値を採用す
るよう改めております。ま
た、積算金額の歩切りによ
る予定価格決定は行わない
よう改め、今後、他事業の
事例を参考にしながら、適
正な積算及び予定価格決定
の方法について検討してま
いります。
特に問題なし。
修繕費の執行については、
予算執行整理簿だけではな
く、別に修繕台帳を作成し
執行状況を管理しておりま
す。各業者に対しては、今
後改めて工事完了後速やか
な請求書の提出を求めてま
いります。
下記の取引に関して、工事の
完成検査が終了した後、請求
書提出日までにかなりの期間
が過ぎていた。
104
未だ結論が出ていない。措置
を早急に行うべきである。
(指
摘)
・長崎魚市場海水処理施設修
理工事(平成 22 年度)
請負金額 2,163,000 円 工事
完成検査日 平成 22 年 9 月 6
ある。
日 請求書提出日
年 4 月 27 日
平成 23
・長崎魚市場卸売場西棟照明
器具等補強工事(平成 23 年
度)
請負金額 1,077,930 円 工事
完成検査日 平成 23 年 11 月
30 日 請求書提出日 平成
24 年 4 月 17 日
・長崎魚市場卸売場西棟3−
4間外グレーチング修理(平
成 23 年度)
請負金額 411,075 円 工事完
成検査日 平成 23 年 11 月 24
日 請求書提出日 平成 24
年 3 月 31 日
26
特 会
H22
負担金及び補助金及び交付
金について
法人 D へ支払う負担金(通常
会費)について会費徴収規則
はあるが会費の明確な基準
がない。
負担割合の合理的な根拠を
明らかにしたほうがいいと
思われる。なお、他の会員は
売上高、組合員数等を指標に
して会費が決まるようであ
る。
指摘のあつた法人 D につい
ては、長崎魚市場の開設者
として負担金額を定めてい
たものですが、他の会員と
の不均衡が生じないよう、
今後関係者とも協議のう
え、会費の明確な基準につ
いて検討してまいります。
2.追加検討した事項
(1)長崎魚市場排水処理施設汚泥処理等業務委託について
①
概要
105
なお、上記の契約に関して、
変更契約がなされている。そ
の際修繕伺い、及び見積書に
は納入期限が平成 23 年 10 月
31 日になっているが、実際に
は施行完了日は平成 23 年 11
月 18 日であり、納入期限を超
えており、契約不履行とも言
える。そのような事態になら
ないためにも本来であれば納
入期限の延長も適正に行わな
ければならない。(指摘)
過去の経緯としては、法人設
立の際に、開設者である県の
費用負担を取り決めたことが
あり「協会の通常運営費用の
1/3」との合意形成があり、そ
の後平成 19 年度に通常運営
費用の減少により、その時点
の通常運営費用の 1/3 の 400
万としたとのことであった。
ただし、左記措置にある「今
後関係者とも協議のうえ、会
費の明確な基準について検討
してまいります」は履行され
ていないため、基準化は必要
である。(指摘)
委託内容
長崎魚市場排水処理施設汚泥処理等業務
契約方法
一般競争入札
契約金額
2,047,500 円
②
入札事務の瑕疵について(指摘)
平成 22 年度の契約に関して、下記のような事務誤りが生じている。
当該契約は一般競争入札により行われているが、入札参加業者は H 社1社のみであった。
その際、公告において、入札保証金として入札見積金額の 100 分の 5 以上の金額を納付
することになっているが、業者が納付した入札保証金は 85,000 円、この場合の入札限度額
は 1,619,047 円になり、実際の入札金額の 1,620,000 円は本来無効となるはずである。し
かし、県はそのまま有効として落札決定を行っていた。
顛末書には、今後「公告文に消費税及び地方消費税を含む」との文言を記載するととも
に、入札執行前に入札保証金に対する見積額限度額を算出することとすると記載されてい
るが、実際に公告文にその文言が記載されたのは平成 24 年度以降の契約に関してからとの
回答であった。
このような誤りが生じる可能性は全庁で考えられるため、改善策を早急に図るべきであ
る。
(2)長崎魚市場管理運営業務及び事務委託について
①
概要
長崎魚市場管理運営業務及び事務
(1)警備業務
(2)清掃業務
委託内容
(3)管理運営業務(①駐車場管理運営、②車両入場承認済証発行事務、③通過物使用
料集計業務、④電気料等の使用量の把握と請求書作成および発行業務、⑤魚市場秩
序維持業務、⑥魚市場施設一般見学対応、⑦帽子、記章の購入受付及び身分証明書
台紙の配布、⑧申請書等の窓口業務)
②
委託先
(一社)長崎魚市場協会
契約方法
随意契約
契約金額
77,004,900 円
精算の内訳
(単位:円)
区分
警備業務
項目
金額
警備委託費
合計
35,371,200
人件費
4,224,252
福利厚生費
678,918
106
清掃業務
消耗品費
227,227
清掃委託
20,899,920
草刈作業料
892,500
人件費
管理運営費
40,501,597
4,644,822
福利厚生費
586,842
消耗品費
556,342
駐車場管理業務
3,128,852
車両入場承認業務
5,585,633
請求書発行管理業務
2,376,635
27,580,426
11,091,120
うち協会予算
△2,168,243
合計
③
77,004,900
請求書発行管理業務の積算の根拠について(意見)
請求書発行管理業務にかかる労力は、県の担当者へのヒアリングでは、実際検針業務は 2
名で約 1 日、データ入力、チェック及び請求書発行業務は 1 名で約 2 日となっているとの
ことである。
一方、委託費のもととなっている積算金額は以下のようになっている。
区分
項目
技術者区分
目視
請求書
データ入力・チェッ
ク及び請求書発行
直接人件費
労務数量
単価
金額
2人×4日×12ヶ月
5,900
566,400
2人×5日×12ヶ月
5,900
708,000
小計
1,274,400
直接物品費
乗率
金額
直接業
務費計
業務管理費
乗率 金額
合計
事務補助
1
12,000 1,286,400
6
77,000 1,363,400
これに、一般管理費分の加算(一般管理費分は 20%としている)1,363,400 円×120%=
1,636,000 円(千円未満切り捨て)と、消費税分(5%)を加算した結果、1,717,800 円(A)
となっている。
一方、実際の業務状況をヒアリングしたところから算出した場合の請求書発行管理業務
に関する積算金額は以下の金額となる。
区分
項目
技術者区分
目視
請求書
データ入力・チェッ
ク及び請求書発行
直接人件費
労務数量
単価
金額
2人×1日×12ヶ月
5,900
141,600
1人×2日×12ヶ月
5,900
141,600
小計
283,200
直接物品費
乗率
金額
直接業
務費計
業務管理費
乗率 金額
合計
事務補助
1
2,000
285,200
6
17,000
302,200
これに、一般管理費分の加算(一般管理費分は 20%としている)302,200 円×120%=
362,000 円(千円未満切り捨て)と、消費税分を加算した結果、380,100 円(B)となる。
107
現在の積算(A)1,717,800 円とヒアリングによる業務状況から算出した場合の請求書発
行業務の積算額(B)380,100 円についての差額(A−B)は、1,337,700 円となる。
当金額はあくまで現在の業務状況のヒアリング結果に基づき算定した金額であるが、乖
離幅は大きい。委託料の積算金額を算定するにあたっては、過去の実績データを再度確認
することが必要である。
④
駐車場管理業務の精算報告と実態との乖離について(指摘)
駐車場管理業務については、管理運営業務仕様書において、駐車場嘱託整理員が第 1 駐
車場に 7 時から 16 時まで 1 名配置されることとされている(魚市場閉場日を除く)
。その
ため、委託費の積算内訳においても交通誘導員分として以下の計算式で駐車場管理業務に
かかる金額が算定されている。
計算内容
金額
直接労務費
1 名×9 時間×365 日×800 円
A
直接物品費
A☓1%
B
業務管理費
(A+B)☓6%
C
一般管理費
(A+B+C)☓20%
D
消費税
(A+B+C+D)☓5%
※
※
26,000 円
159,000 円
562,600 円
168,780 円
合計
※
2,628,000 円
3,544,380 円
千円未満切り捨て
しかしながら、駐車場管理業務については、管理運営業務仕様書にも書いてあるように
魚市場閉場日については、1 名配置することは求められていないため、閉場日分(日曜・祝
日)については、日数から除く必要がある。
積算の段階では、一般社団法人長崎魚市場協会(以下、協会と呼称)職員のF氏が当該
業務にあたることが予定されており、精算にあたってもF氏の給与の全額が充てられてい
る。
しかし、実際の業務がどのように行われたのか、監査において再検証したところ、次の
ような問題が検出された。
ア.協会からのF氏の従事時間の回答
協会にその内訳の報告を依頼した所、駐車場管理業務に 90%、協会の収益事業に 10%を
割り当てているとのことであった(この時点で既にF氏の人件費には事実と実績報告との
間に相違する部分が生じている)。
イ.勤務日報に記された事実との相違
108
また、駐車場管理業務の勤務日報を確認したが、勤務日報における記入は、別途協会が
清掃業務を再委託している会社の職員により行われている記述であった。その理由につい
て所管課に対し勤務日報の徴取とともに確認したところ、清掃業務の委託を受けている別
会社の職員が清掃業務に合わせて入場車両の台数確認や無許可入場車両の台数などを確認
しており、協会職員担当者はその清掃会社社員の業務を統括し管理しているとの回答であ
った(つまり、この回答では駐車場管理業務の人件費に相当する労力の発生は清掃業務で
賄われており、ほとんど単独で見いだすことができないということである)。
ウ.今後の対応について
現状では、上述の体制をとっているため、仕様書にいう第 1 駐車場に 7 時から 16 時の間、
駐車場嘱託整理員を 1 名置くという体制はとられていない状況となっていると言わざるを
得ない。所管課は、管理運営業務仕様書に書かれた内容を基に、委託事業と協会の独自事
業にかかる人件費の配分について、日報の確認などにより確認を行う必要があるがこれを
実際には行っておらず、実績確認が不十分である。
また、今後の駐車場管理業務の積算金額については、業務を行うために実際に必要な時
間数について再度確認したうえで、その金額の設定を見直す必要があると考える。
⑤
管理運営委託の実績報告書の内容について(指摘)
協会では、I氏、F氏、N氏、A氏の 4 名が業務に当たっている。
実績報告書上、4 名の給与がそれぞれの業務の人件費として充当されている。
I氏の給与
警備業務に全額、
F氏の給与
駐車場管理業務へ全額、
A氏の給与
車両入場承認業務へ全額、
N氏の給与
請求書発行管理業務へ半額
F氏については、上記④の通りである。
警備業務の担当としてI氏の給与の金額についても、全額が委託料の精算書に挙げられ
ているが、協会の会計帳簿の作成など協会独自の業務を担当している部分があることは明
らかである。そのため、I氏の人件費についても委託料の対象となっている警備業務の対
象金額から外すべき金額が存在する。
また、請求書発行管理業務についても、上記③のとおり請求書発行管理業務にかかる労
力は、所管課へのヒアリングでは、実際検針業務は 2 名で約 1 日、データ入力、チェック
及び請求書発行業務は 1 名で約 2 日となっているとのことである。請求書発行管理業務に
ついてもN氏の給与の半額が計上されており、委託料の対象となっている請求書発行管理
業務の対象金額から外すべき金額が存在する。
協会に対する長崎県地方卸売市場長崎魚市場の管理運営に関する業務委託は、委託料に
剰余金が生じたときは長崎県に対して返還が必要な契約となっている。以上のような経費
109
の混入がある以上委託料の精算書において記載されている支出については、実際の業務の
状況を日報などにより検証し、その支出の適正性について確認を行うべきであり、翌年度
以降の委託料積算に反映させるべきである。
なお、協会と県との委託契約については、このほかにも「Ⅱ-8
長崎県総合水産試験場」
の項、「2.追加検討した事項(9)魚介類等管理業務委託について」においても、人件費に
かかる履行確認及び積算のあり方について指摘及び意見を付しているので参照のこと。
110
Ⅱ-8
長崎県総合水産試験場
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
1
試験研
究 H17
2
試験研
究 H17
3
試験研
究 H17
監査の結果
措置
検証結果
ア.予定価格の設定等につ
いて
需用費での契約伺への予定
価格未記入、備品購入で参
考見積額よりも高い予定価
格が設定されているなど、
3件の事務処理ミスが確認
された。合理的・経済的発
注のためにも関係課間の確
実な情報伝達が必要とな
り、単純ミスをなくすこと
が重要である。
ウ.物品管理について
①物品管理簿
各試験研究機関において、
物品管理簿の記載が、現況
を適切に反映していない箇
所が散見された。管理簿が
実態を正しく反映しないと
有効かつ効率的な物品照合
手続は困難なため、物品管
理簿の適切な作成・更新が
必要である。
購入に際しては、県の予定価
格と参考見積額を比較して
いましたが、漏れが生じてい
ました。会計課では平成 18
年7月1日より、予定価格積
算様式に参考見積額の欄を
設け、比較漏れが生じないよ
うにしています。
購入伺い簿を検証したが特
に問題はない。
ウ.物品管理について
②物品管理簿の照合
長崎県物品取扱規則におい
て、年1回物品現物と物品
管理簿の照合を実施するこ
とが規定されているが、長
期間物品整理票が貼付され
ていない物品が発見される
など、各試験研究機関にお
いて照合手続きが適切にな
されていない実態が推察さ
れる。
物品の実態を物品管理簿に
反映させることを徹底し、物
品と物品管理簿及び物品整
理票との一致を確認してい
るところです。
(平成 18 年度
末完了予定)今後このような
ことがないよう、物品管理簿
の作成・更新に随時努めてい
くとともに、物品整理票の貼
付についても徹底します。
なお、物品管理簿との不一致
が発見された場合には速や
かに不一致の原因を調査す
るとともに、物品整理票の貼
付がない物品が発見された
場合には速やかに貼付を行
います。
物品の実態を物品管理簿に 物品管理については、下記
反映させることを徹底し、物 「2.追加検討した事項」を
品と物品管理簿との一致を 参照。
確認しているところです。
(平成 18 年度末完了予定)
今後このようなことがない
よう、物品管理簿の作成・更
新に随時努めます。
111
照合手続は行われている。物
品管理については、下記「2.
追加検討した事項」を参照。
4
試験研
究 H17
オ.薬品管理について
各試験研究機関において、
台帳未作成、台帳数量と実
際数量の不一致等薬品(毒
劇物)管理に関する不備が
発見された。資産管理及び
事故防止の意味からも、薬
品の受払管理を厳格に行う
ことが必要である。
5
試験研
究 H17
6
試験研
究 H17
ア.試験研究機関の一元管
理について
①研究課題の選定
平成 15 年4月に7試験研究
機関が連携・統括され、研
究課題は独立して選定して
いるとのことだが、依然と
して一元化前の元課の方針
を優先して決定している印
象を受ける。県全体の試験
研究方針・役割に合った課
題を抽出して、次に元課と
の整合を取る流れとする方
が、一元化の趣旨に沿うと
考える
ア.試験研究機関の一元管
理について
②重点研究
市場性と開発能力から重点
研究を明確にする方針は、
望ましいが、供給側(産業
振興部門)の要請だけを市
場ニーズと捉えずに、市場
の調査・分析を行い、顧客
満足の観点を反映して市場
性を判断することが重要で
ある。試験研究機関の限ら
れた能力・予算では、多様
化する市場ニーズへの対応
は難しいため、他機関との
連携強化が必要である。ま
た、今後は民間や他機関と
の役割分担を明確にし、資
源の分散化を避け、県民の
ための試験研究という観点
で、効果的な成果を得るこ
とに注力することが望まれ
る。
台帳数量と実際数量との不
一致を調査した結果、台帳に
記載漏れのものがあったた
め、台帳に記載し、全て一致
したことを確認しました。
また、薬品の保管及び使用の
都度の台帳記入並びに現物
確認を徹底するとともに、定
期的な台帳管理・照合手続き
を行います。
各試験研究機関が主体的に
供給側・需用側双方のニーズ
把握や意見交換をしたうえ
で「連携強化に伴う公設試験
研究機関のビジョン」に沿っ
た独自の課題選定を行い、内
部評価の際に元課の意見を
取り入れたうえで、研究課題
を決定しています。
平成 18 年度の知的財産活用
支援事業においてポートフ
ォリオを作成中であり、市場
ニーズ等も考慮したうえで
試験研究の重点化を図って
いきます。また、大学や企業
等、他機関との共同研究を積
極的に推進するなどの連携
を図りながら、効果的な成果
を得ることに努めます。
112
薬品管理については、下記
「2.追加検討した事項」を
参照。
従前は科学技術振興局が各
研究機関を束ねて集約化し、
連携研究が行われていたが、
平成 23 年度からは、各部局
所管となり、総合水産試験場
は水産部所管となっている。
ただし、現在でも連携する研
究課題については、産業技術
課が所管している。また、研
究事業化推進会議により戦
略プロジェクト研究などが
行われた経緯もあり、左記の
「連携強化に伴う公設試験
研究機関のビジョン」の考え
方は継続している。
大学や政府研究機関との連
携は進められており、年3回
会議を行っている。
また、漁業環境において、関
心の高い赤潮に関する研究
など進めているとのことで
ある。
7
試験研
究 H17
イ.外部委員による研究及
び機関評価制度について
外部評価制度は九州初の試
みであるが、導入済み他県
と比較して、評価委員会の
数、評価対象の網羅性、評
価回数の点で際立ってい
る。制度の完成度を高める
ために、評価テーマを絞る、
準備資料の様式統一、評価
結果にメリハリをつけるな
ど、留意する必要がある。
研究事業評価について条例 導入済み。特に問題ない。
化を行い(平成 18 年4月1
日施行)、その中で研究事業
評価委員会への一本化、様式
の統一など、効率的な制度見
直しを行いました。また、研
究途中で計画の見直しや中
止の判断基準となる指標に
ついて、平成 19 年度評価か
らの導入を検討しています。
8
試験研
究 H17
ウ.知的財産戦略について
特許権は自ら使用、または
第三者に売却・使用許諾し
て収益を得ることで取得経
費を回収できる。職務発明
制度が整備され、発明者へ
の報奨金の上限が撤廃され
たこともあり、今後画期的
な発明が生まれることを期
待する。
平成 17 年3月より、知的財
産の創造・保護とその有効活
用による既存企業の高度化
や新規産業の創出等を目指
し、長崎県知的財産戦略を推
進しています。県有知的財産
についても、事業化可能性の
評価や知的財産活用推進員
による特許実施許諾の推進
等を行っているところです。
水産試験場での特許取得は
平成 22 年度で4件、平成 23
年度では 8 件、直近の平成
24 年では特許出願中が 13 件
となっている。
9
試験研
究 H17
シ.物品の管理について
①物品管理の報告制度
1百万円以上の重要物品
は、科学技術振興課に購買
権限があるため、各試験研
究機関から物品の保管、管
理に関する報告を受け、棄
却・所管移管についても情
報を把握することが望まし
い。
研究機器の効率的な共同利
用等を推進するために、研究
機器リストを作成し、これを
随時更新しますが、その中で
重要物品の状況把握にも努
めていきます。
科学技術振興局から水産部
へ所管が移っており、重要物
品の管理の把握がなされて
いる。ただし、平成 23 年度
の所管転換により研究機器
リストの活用はされていな
い。
シ.物品の管理について
②実施要領の制定
各試験研究機関では、長崎
県物品取扱規則に基づき個
別に物品管理簿の照合手続
を定めて実施しているが、
物品と管理簿の照合手続を
適切に実施するためには、
照合の手順・責任者の承認
方法等について詳細に定め
た全庁的なマニュアルを制
定し、運用することが望ま
しい。
物品の管理は各所属長に権
限が付与される一方、その命
を受け配置物品点検者が物
品の点検及び照合を行う旨
定めています。また、物品管
理上、必要な事務の説明、処
理すべき時期等について「物
品管理事務年間一覧表」を作
成し、庁内グループウェア上
に登載しており、当面、その
周知により対応します。
10
試験研
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113
別段の論点については、後段
の「2.追加検証した事項」
を参照。
整備については問題ない。
11
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シ.物品の管理について
③物品の持出し
工業技術センターにおい
て、共同研究のための持ち
出しを原因とした物品の紛
失が判明している。物品の
持出しに関する規程は特に
定められていないが、物品
の最終管理責任者は各試験
研究機関の長であり、持出
しには管理責任者の承認が
必要である。設備貸付同様、
物品の持出しについても所
定の手続により管理責任者
の承認を受けることが必要
である。
シ.物品の管理について
④設備(物品)の貸付料
長崎県物品取扱規則にて、
設備貸付は貸付料徴収が原
則で、無償等の場合は公益
性等の有無を判断するとな
っている。各試験研究機関
において、共同研究・技術
開発等に伴う設備貸付につ
いては、無償が妥当との見
解があるが、開放設備は有
償としていることからも、
慎重に検討することが望ま
しい。
シ.物品の管理について
⑤物品の不用決定及び処分
伺
老朽化・使用見込みのない
物品については、年1回実
施される物品と管理簿の照
合手続時に、使用不能・今
後使用が見込めない物品の
現状を把握し、物品の廃棄
処理を行うことが必要であ
る。
シ.物品の管理について
⑦物品の共通利用
各試験研究機関の自主的な
情報交換で物品の共通利用
が実施されているが、物品
管理簿の不備等により有効
に物品管理されているとは
言えず、共通利用の効率的
な実施については疑問があ
る。
物品の持ち出しについては、
所属長への申請様式を制定
し(平成 18 年9月 11 日制
定)、今後、持ち出しを行う
場合は当様式によることと
しました。
貸付契約、貸出物品簿への登
載は行われているが、修理の
際、持ち出しがある場合には
業者からの預かり証の徴取
が必要である(意見)。
これまでの貸付事例として
は共同研究等による貸付事
例のみであり、この形態の場
合は無償貸付とすることが
妥当であると考えています。
今後、新たな形態での貸付事
例が生じた場合は、開放設備
を有償としていることとの
バランスを考慮して、慎重に
検討します。
左記開放設備は水産試験場
にはないが、例えば水産加工
開発指導センターでの設備
貸付は無償で統一しており、
しかも水産業者に限定して
いるためバランスは取れて
いる。
平成 18 年度に、総合水産試
験場では、PCRサーマルサ
イクラーや冷蔵庫、水槽等に
ついて不用決定のうえ廃棄
処分としました。 他の研究
機関においても随時処分を
行っており、現状に則した物
品の処分を行うことに努め
ます。
試験場全体としての処分物
品の管理については、再度調
査し、検討する必要がある。
この点についても、下記「2.
追加検証した事項」を参照。
研究機器の効率的な共同利
用等を推進するために、各機
関の備品台帳から、事務機器
等を除いた研究機器リスト
を作成し、各機関へ送付しま
した。(平成 18 年9月)
今後は当リストを基に物品
の共通利用を推進していく
とともに、随時リストを更新
するよう努めます。
研究機器リストは、体制の変
更により、現在は活用されて
いない。
一般的な物品についてはめ
ぐりあいシステムで利用促
進を図っている。
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シ.物品の管理について
⑧帳簿登記の省略
民間企業では、取得価格 10
万円未満の少額減価償却資
産については、取得年度に
て費用化し、固定資産台帳
への登録、取得後の帳簿管
理は行われないのが一般的
である。購入物品をもれな
く管理することは必要では
あるが、費用対効果を考慮
すれば、台帳記載対象とす
る資産の金額基準見直しの
余地があると考える。
セ.養殖魚の管理について
試験場で養殖している魚は
資産ではないという認識
は、誤りとは言えないが、
全て帳簿外というのも疑問
である。増減・残高の記録
を整備して情報公開に備え
ることが望ましい。
ソ.試験研究機関の透明性
確保について
これまで以上に透明性を高
め、県民の理解を得るため
には、研究成果だけでなく、
決算数値も含めた情報を開
示するとともに、生産者以
外の一般消費者などの意見
も取り入れるため、様々な
コミュニケーションが必要
と考える 薬品等による直
接的な環境負荷も存在して
いることから、ネガティブ
情報についても、透明性確
保の観点で開示基準を設
け、適時開示するような体
制・手順を確立することが
望ましい。
タ.ホームページについて
①成果情報について
長崎県の試験研究機関HP
は、外部委託せずに独自作
成されているが、他県と比
較しても遜色ない。ただし、
研究成果の公表に関しては
実用化事例等についての情
報が少ない。総合水産試験
場では、県民向けに地元新
聞等のメディアを利用して
成果及び実用化事例の公表
を行っている。他の機関に
おいても同様の試みを期待
したい。
現在の備品基準額は、平成 11
年度の包括外部監査の意見
を受けて庁内で検討した結
果、全国各県の基準額を参考
として平成 13 年度に見直し
たものです。現時点では基準
額の見直しは考えていませ
ん。
措置を支持する。
財産管理すべき魚介類につ
いて取扱指針を定め、平成 18
年度から生産品出納簿にて
受払を整理するようにしま
した。(台帳整備済み)
整備されている。
平成 18 年4月、科学技術振
興課と7試験研究機関が、新
しく科学技術振興局として
組織されました。これを契機
に、研究開発の成果について
計画的かつタイムリーな情
報発信を徹底するよう、機関
長会議で連絡しました。平成
18 年9月末現在、新聞報道や
テレビ等放映放送で 70 件の
広報活動を展開しており、今
後も一層の透明性確保に努
めていきます。また、不測の
事態が発生した場合におい
ても、ネガティブ情報を積極
的に開示し、迅速な対応がで
きる体制を整えています。
方針として変更はない。
平成 18 年度より、科学技術
振興課のホームページにお
いて各研究機関の主な研究
成果を掲載しています。
特に問題はない。
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チ.決算数値の公表につい
て
試験研究機関によって決算
書の記載項目及び記載方式
が統一されていない。機関
の収支の実態を正しく示
し、機関相互の比較可能性
のためにも、科学技術振興
課が一定の方針及び様式等
を示すことが必要である。
ツ.業務報告等の記載内容
の統一について
業務報告等の記載内容は、
試験研究機関によって様々
で全く統一されていない。
組織的に一元化されたこと
もあり、ある程度は内容・
様式等の統一が必要。ホー
ムページで業務報告等を公
表していない4機関につい
ても公表が望まれる。
テ.研究課題別の原価管理
について
原価とは、
「全部原価」であ
り、職員の人件費、共通費
も含む。人件費把握には、
研究者の研究課題別時間管
理が必要となる。窯業技術
センター以外では、研究者
の業務日報が未作成で、研
究者の時間管理が全く行わ
れていないことを意味して
おり、研究課題・業務別の
時間割合も把握できず、原
価管理もできない。今後、
研究課題別原価管理のため
の具体的な検討が必要であ
る。
ト.研究データの管理及び
情報セキュリティについて
県の「情報セキュリティ対
策基準」に整合した、情報
資産の重要度に応じた管理
のできる規定等の整備を急
ぎ、管理者が遵守状態を適
時チェックできる仕組み及
び運用体制の整備が必要で
ある。
県庁LANと分離した試験
場LANが存在し、県で定
めた管理規定外で知的財産
に属する可能性が高い情報
が、管理・処理されている
点は問題である。
決算書の記載について、主要
な共通項目を各試験場に示
し、平成 18 年度分の業務報
告から反映できるよう検討
しています。
ほぼ共通化していると判断
される。特に言及するところ
はない。
業務報告書の記載について、
決算数値や各研究機関の沿
革・組織、研究概要等につい
ては共通項目として平成 18
年度分の業務報告から反映
できるよう検討しています。
また、ホームページでの公表
については、データ化が可能
な過年度分の登録を随時す
すめており、平成 18 年度分
についても、全ての機関で順
次公表していく方針です。
業務管理については、今後の
課題と認識しており、各機関
の状況に合わせて、日報作成
等の方策を検討していきま
す。
ほぼ共通化していると判断
される。特に言及するところ
はない。
「情報セキュリティ対策基
準」等を所管する情報政策課
と協議の上で検討した結果、
独自LANが存在する研究
機関については、平成 18 年
度中に研究機関毎の「LAN
運用管理手順書」を作成・施
行し、県の情報セキュリティ
ポリシーに沿った体制とし
ます。
ホームページサーバのみが
水産試験場が所管しており、
左記セキュリティ基準に準
じた管理をしているとのこ
とであった。
116
伺いシステムによりプロジ
ェクトごとの全ての支出科
目を管理している。
ただし、当初監査の論点であ
る人件費のプロジェクトへ
の振り分けについては、「方
策の検討」がなされていな
い。
措置において「検討する」と
の記述をしている以上、何ら
かのアクションが必要であ
る。(意見)
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ナ.共同技術研究について
共同技術開発に関連して生
じた発明等の取扱いや、共
同技術開発の相手企業側に
一定の成果が生じた場合は
ロイヤリティ収入等を収受
できるように、共同技術開
発申請時に覚書等を取り交
わすことが望ましい。
ネ.研究員の育成と技術の
継承について
研究員の年代的ばらつきが
極端な機関もあり、キャリ
アパス、スキルアップ等の
面から、各年代に適正な人
員を配置し、次世代への円
滑な技術伝承が必要と考え
る。優れた研究者の育成は、
一朝一夕には難しく、政策
調整局研究人材育成プログ
ラムに沿った実効性ある行
動が望まれる。
ヒ.九州の試験研究機関と
の連携について
10∼20 年先と言われる道州
制が実現すれば、九州各県
の試験研究機関の統廃合が
考えられる。現状では道州
制に先行する形で、他県と
の連携、交流を更に深めて
いくことが望まれる。
特許権等の実施許諾による
実施料の収受は、61 管第 71
号総務部長通知「特許権等の
実施許諾の取扱いについて」
において、特許権等は特許
権、実用新案権、登録商標、
意匠権、著作権、登録品種及
び出願公表品種と定められ
ており、ノウハウの取扱いが
決定められていないため、現
状の取り扱いでは企業等か
らロイヤリティ収入を収受
することができない状況で
す。
一方、(独)産業技術総合研
究所や(独)科学技術振興機
構等の国の関係機関におい
ては技術的なノウハウを指
定し、その技術の利用につい
ても実施料収入を得ており
ます。このような国等の先行
状況、また他県の動向等を調
査したうえで、今後は、関係
課と協議しながら県研究機
関の技術ノウハウの取扱い
を検討していきます。
本県の人材育成方針である
「ながさき人材育成プラン
21」及び各部局毎に策定して
いる当局の「研究人材育成プ
ログラム」に基づき、研究員
の人材育成に努めます。
現在は共同研究開発の覚書
において、特許等の許諾契約
時の収入の持分に関する取
決めを定めており、特許申請
時、対等条件になるよう協定
を結ぶこととしている。
工業系、農業系および水産系
の各公設試験研究機関の連
携については、既に九州各県
との連携は進めており、今後
その取り組みを一層強化し
ていきます。
連携は進めており、九州地区
の場長会議等が活用されて
いる。
なお、県における検討の結
果、特許権に至らない、ノウ
ハウについてロイヤリティ
収入を収受することについ
ては、現状難しいとのこと
で、措置内容と同様の考えで
あった。
産業技術課で人材育成を行
っており、人材育成プログラ
ムによって、セミナー実施や
学位記取得支援事業等のメ
ニューが用意され、活用され
ている。
2.追加検討した事項
(1)物品出納簿に記載された購入金額の誤り(金額相違、入力漏れ)
(指摘)
平成 23 年度の物品出納簿に登載された無線受信器 4 台が登載されているが、一台当たり
117
金額が、物品出納簿では、509,248 円(@127,312 円)備品購入費として計上されている金
額が 504,000 円(@126,000 円)、と物品出納簿が購入時の送料 5,248 円だけ多くなってい
る。財務会計上は、送料は役務費で計上されており、物品出納簿の記載が誤っている。
また水深測定器 2 台は物品出納簿の登載はあるが、金額入力が漏れており、0 円で表記さ
れている。当該物品の備品購入費は 241,920 円(@120,960 円)である。
物品管理システムへの入力は正確に行う必要がある。
(2)物品整理票の貼付もれ(借入期間経過後の受入物品の処理、リース物件)と借入品管
理簿の登載漏れ(リース物件)(指摘)
(財)長崎県産業振興財団から受入れていた借入品について、期間満了により無償譲渡
されたため、平成 23 年度から県の所有する物品として物品出納簿に登載されたものが「育
種実験室」に多数所在している。しかしながら、物品管理票の貼替えがなされていない物
品があるため、是正する必要がある。
また、今回の監査にあたり、再度サンプルで物品の現物照合を行ったが、借用品(リー
ス契約)の一式(システム生物顕微鏡及び顕微鏡デジタルカメラ)について借用品の物品
管理票の貼付並びに借入品管理簿の登載が漏れていた。なお当該物品については賃貸契約
書が締結されている。
(3)付属品のうち備品として計上すべきものについて(指摘)
総合水産試験場所管の漁業調査船「鶴丸」の付属品について、本来物品として台帳管理
すべきものが船舶に含まれて管理されている。
例えば自航式水中カメラは、視察時には機材倉庫に保管されており、船舶に取り付けら
れていない状態であった。これは調査目的によって積み込むこともあれば、倉庫で保管す
ることもある「アタッチメント」である。公有財産台帳では主要設備の一つとされ、「総工
費に含まれる」としているが、他所ではアタッチメント類は、別の物品として管理してい
ることと整合性が取れず、別個に物品管理するべきである。
(4)研究用消耗品の管理のあり方について(意見)
今回、総合水産試験場を視察したが、薬品類をはじめ(後段(11)を参照)、研究用消耗
品類の整理が十分でないとの印象を受けた。今後、適切な調達ができるよう、まず、各課
で持ち合わせている物品・消耗品類を整理し、不用品の見極めを行ったうえで、どのくら
いの所有量があるのかを把握するべきである。試験場で消耗品の管理のあり方を再検討さ
れたい。
(5)請求の遅延する業者への指導について(意見)
漁業者0から仕入れた調査用のケンサキイカ 200 キログラム 170,000 円については、履
118
行確認が平成 23 年 11 月 30 日であったにもかかわらず、請求日が平成 24 年 3 月 21 日であ
り、約 4 か月遅延しているため、早期の請求を促すべきである。
(6)総合水産試験場事業報告書の印刷代(需用費)について(指摘)
毎年度、事業報告書の印刷を発注しているが、年々一冊当たりの印刷単価が上昇してい
る。契約にあたって複数者より見積書を徴取して契約しているが、徴取先を見直すなど効
率性のある事務を行う必要がある。
年度
支払日
金額
契約先
冊数
単価(抜)
見積書徴取先
H24
H24.8.9
187,110 円
K社
300
594 円
K社、H社、h社
H23
H24.2.7
189,000 円
H社
400
450 円
K社、H社
H22
H22.9.22
126,000 円
K社
400
300 円
K社、S社
H21
H21.9.7
132,300 円
K社
400
315 円
K社、h社
H20
H20.10.9
168,000 円
K社
400
400 円
K社、D社、I社
印刷用紙の値上げの影響もあると思われるが、印刷単価が急激に上昇している(平成 24
年度は、平成 22 年度の約倍、平成 23 年度では 1.5 倍)。
総合水産試験場側で原稿を準備するが、報告書内容は平成 23 年度で見直しが行われ、以
前より整理されており、ページ数についても平成 22 年度が 148 ページ、平成 23 年度が 152
ページ、平成 24 年度が 118 ページと減ってきており、ページ数と単価は逆相関の関係にあ
る。
試みに、印刷用紙の高騰や原油価格の高止まりなど、市場価格の影響かどうかを考察す
るため、総合水産試験場で発注している他の印刷物の印刷代の推移と比較すると事業報告
書印刷代の推移との違いが際立ってくる。
<冊子「最近の主要な成果」の場合>
年度
支払日
金額
契約先
H23
H24.4.9
100,800 円
S社
H22
H23.4.4
100,800 円
S社
H21
H22.4.5
97,020 円
K社
<冊子「水産加工だより」の場合>
年度
支払日
金額
H23
H24.4.9
83,790 円
N社
H22
H23.4.4
83,790 円
N社
H21
H22.4.2
63,630 円
N社
119
契約先
<冊子「水産試験場研究報告」の場合>
年度
支払日
金額
契約先
H23
H24.1.10
456,750 円
I社
H22
H23.2.22
414,750 円
I社
H21
H21.9.28
646,800 円
N社
平成 22 年度から平成 23 年度にかけて、他の印刷物は安定的な推移であることが分かる。
通常、前年と同様の事務内容であれば、同じような契約金額に収斂するのが普通の発想で
ある。上記 3 つの印刷物の推移はそれを物語っている。
これに比して、事業報告書の単価のみが、1.5 倍や倍になるというのは異例とも言える。
しかも、閑散期である 2 月、8 月の発注・契約であることを鑑みれば、異例としか言いよう
がない。
このような不効率を排除するためにも、単に複数者見積もりで終わらせるのではなく、
前年と比較して高額であることを認識するべきであり、更に見積もり徴取先を広げるなど
の対応が必要であったと思われる。
(7)空調機器保守点検業務委託について
①
②
概要
委託内容
長崎県総合水産試験場の空調設備の保守点検業務
契約方法
一者見積もりによる随意契約
契約金額
2,251,200 円
問題点について
ア.競争性の導入について(指摘)
当該契約は、当該空調設備の唯一の保守管理専門業者であり,技術面のサポートや故障
の対応が迅速かつ適切に可能であるなどの専門性を理由として,メーカー系列のメンテナ
ンス業者と一者見積もりによる随意契約となっている(地方自治法施行令第 167 条の 2 第 1
項第 2 号、長崎県財務規則第 106 条第 2 項)。しかし、空調設備の保守点検業務については、
他に保守点検業務を行える業者があるため、競争性を取り入れた契約手法の導入を行うべ
きである。
近年入札等の競争性のある方法により契約を行っている自治体も見受けられる。国にお
いても、
「公共調達の適正化について(平成 18 年 8 月 25 日付財計第 2017 号)」等を受けて、
随意契約としていた保守点検業務等を競争性のある一般競争入札に移行している例も多数
ある。また、エレベーターメーカー系列の保守業者が系列外の保守業者に対して交換部品
の供給を拒絶した行為が独占禁止法上の競争者に対する取引妨害に当たるとして不法行為
による損害賠償請求が認められた事例もある。
120
地方公共団体の契約は,競争の方法によることが原則であることから,従前からの専門
性を理由として随意契約を漫然と継続するのではなく,設備の特殊性などに十分配慮しつ
つ,競争性のある契約方法を導入すべきである。
(8)庁舎警備業務委託について
①
概要
委託内容
長崎県総合水産試験場の機械警備業務
契約方法
4∼6 月
一者見積もりによる随意契約
7∼3 月
一般競争入札
4∼6 月
236,750 円(月額 78,750 円)
7∼3 月
406,350 円(月額 45,150 円)
契約金額
②
問題点について
ア.契約の準備手続きについて(指摘)
当該契約は、長期継続契約であり、平成 22 年度に 5 年間の契約期間が満了するため、平
成 23 年度から 27 年度の委託業者を決定するものである。当該業務は年度開始早々(4 月 1
日)に契約を締結する必要があるため、その準備手続きについては、迅速かつ適切に行う
必要がある。しかし、本件においては、準備手続きが間に合わず、4 月から 6 月の 3 か月間
は従前の業者と従前の月額により、一者見積もりによる随意契約となった。入札後の月額
が 33,600 円削減されていることから、3 か月分で 100,800 円の削減の機会を失ったことに
なる。今後は、委託料の効率的な執行のためにも、契約の準備手続きを迅速かつ適切に行
う必要がある。
なお、契約の準備手続きについては、「入札・契約事務マニュアル〈新改訂版〉」に以下
のとおり記載されている。
<「入札・契約事務マニュアル〈新改訂版〉」24 ページ抜粋>
◇
年度開始早々に締結する必要がある契約の準備手続きについて
債務負担行為の設定をしなかった場合、予算の配当又は令達後に施行伺や入札執行を行わなけ
ればならず、契約締結までに相当の日数を要し、実務に支障をきたすことになるため、これらの
契約の準備手続きについては、例外的に 4 月 1 日よりも前に行うこともやむを得ないと考えます。
このような問題をなくすために、可能な限り債務負担行為の設定をしておく必要があります。
◇
契約の準備手続きとはどこまでをいうのか?
予算を執行することができない年度開始前の入札を行うことは原則としてできないこととな
り、施行伺いから入札執行通知書を相手方に送付するまでが、準備手続きとなります。
121
(9)魚介類等管理業務委託について
①
概要
委託内容
長崎県総合水産試験場魚介類等管理業務委託計画に基づく、長崎県総合水産試験場研究
員の補助業務
②
契約方法
一者見積もりによる随意契約
契約金額
37,423,450 円
問題点について
ア.委託費の精算について(指摘)
往査時点(平成 24 年 8 月 10 日)において、委託費の精算が未了であった。委託先であ
る一般社団法人長崎魚市場協会からは、平成 24 年 4 月 10 日付で委託費精算書が提出され
ている。委託費に剰余金が生じたときは、県に返納されるから、速やかに精算を行う必要
がある。
担当者によると、例年 8 月頃に実地検査を行い、精算額の確認を行っているとのことで
あった。平成 22 年度分の実地調査は平成 23 年 8 月 29 日に実施されていたが、平成 23 年
度分の実地調査の日程は往査日現在未定であった。なお、実地調査は「長崎県総合水産試
験場魚介類等管理業務委託契約書(以下、「契約書」という。)」第 7 条第 2 項において規定
されているとおり、必要に応じて行うものであり、委託業務の検査は、委託業務終了後遅
滞なく行う必要がある。
<契約書抜粋>
(報告、検査、精算等)
第7条
乙(受託者)は、甲(委託者)に対し、委託業務が終了したときは、委託業務実績報告書(様
式第 1 号)を提出するものとし、既に受領した委託料に剰余金が生じたときは、甲の指示に従いこれ
を甲に返還しなければならない。
2
甲は、前項による実績報告書の提出を受理したときは、遅滞なく委託業務がこの契約に基づき適
正に履行されたか検査を行うものとし、必要に応じて、実地検査を行うものとする。
精算が未了であった原因の一つとして、精算すべき時期が不明確である点が挙げられる。
契約書第 7 条第 2 項には「遅滞なく」とされており、その期限が明確ではない。財務規則
第 121 条第 8 項によれば、届出を受けた日から 10 日以内に検査を行わなければならない。
したがって、契約書にも検査を行うべき日を明記しておくことが望ましい。
なお、契約書に検査の日を明記しなかった場合においても、政府契約の支払遅延防止等
に関する法律第 14 条及び第 10 条の規定により、届出を受けた日から 10 日以内に検査を行
わなければならない。
122
イ.委託費の積算について(指摘)
委託費は、補助業務を行う作業者の人件費(報酬、保険料等、諸手当)、被服費、損害保
険料及び管理費からなる。人件費は、責任者、重作業者、場内整備、軽作業者の区分ごと
に積算されている。被服費は、前年度の調達実績により単価を算定し積算されている。損
害保険料は、委託先が加入する損害保険料の実費である。管理費は、人件費と被服費の合
計に 2.5%を乗じて積算している。
(ⅰ)人件費の積算について
人件費は、責任者とそれ以外の区分では報酬単価の算定方法が異なっている。責任者の
報酬単価は、受託者である長崎魚市場協会の内規により決定している。一方、それ以外の
区分では県臨時職員の賃金単価を参考に決定している。その結果、一人当たり報酬単価は
年額 976,800 円だけ責任者が高くなっている。
責任者は作業員と同様の作業を行うほか、作業員を統括する役割がある分、他の区分の
作業者より報酬単価が高くなることに一定の理解はできるが、受託者の内規による方法は
適当ではない。
(ⅱ)管理費の積算について
管理費は、人件費と被服費の合計を算定基礎として、これに算定割合 2.5%を乗じて積算
している。しかし、算定割合について、その根拠が不明である。他の事例などを参考に、
その根拠を明確にしておく必要がある。
ウ.実績報告書について(指摘)
契約書第 7 条第 1 項において、委託業務実績報告書(様式第 1 号)を提出しなければな
らないが、当該様式を使用していない。提出されている書類は、委託費精算書となってお
り、実績報告書に求められている収支精算について判明することから、記載事項に不足は
ない。しかし、実績報告書において添付が求められている出勤簿及び給与台帳の写しのう
ち、給与台帳の写しが添付されていない。
支払実績を確かめるために、実績報告書及び添付書類は、規定どおり提出させる必要が
ある。
エ.履行確認について(意見)
作業員が計画通りに各自の担当補助業務を実施していることの履行確認は、委託業務終
了後に提出される出勤簿のコピーによりなされている。
補助業務は、総合水産試験場研究員のもとで日々行われているのであるから、業務日誌
等の形により、研究員が日々確認し、月に一度程度、検査職員が確認することも可能であ
る。履行の確認を適切に行うための方法を検討する必要がある。
123
なお、一般社団法人長崎魚市場協会と県との委託契約については、
「水産振興課(長崎魚
市場特別会計)」の項、
「2.追加検討した事項(2)長崎魚市場管理運営業務及び事務委託
について」においても、人件費にかかる履行確認及び積算のあり方について指摘及び意見
を付しているので参照のこと。
(10)毒物及び劇物の管理について
①
概要
長崎県総合水産試験場(以下、「試験場」と言う。)では、各科において研究用の薬品を
多く使用し、その中には毒物及び劇物取締法(以下、「取締法」と言う。)に言う、毒物・
劇物が含まれている。
なお、取締法により毒物・劇物の取扱いについては次のように規定されている。
(毒物又は劇物の取扱)
第十一条
毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失することを
防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
2
毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物若しくは劇物又は毒物若しくは劇物を含有する物で
あって政令で定めるものがその製造所、営業所若しくは店舗又は研究所の外に飛散し、漏れ、流れ出、
若しくはしみ出、又はこれらの施設の地下にしみ込むことを防ぐのに必要な措置を講じなければならな
い。
3
毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その製造所、営業所若しくは店舗又は研究所の外におい
て毒物若しくは劇物又は前項の政令で定める物を運搬する場合には、これらの物が飛散し、漏れ、流れ
出、又はしみ出ることを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
4
毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は厚生労働省令で定める劇物については、その容
器として、飲食物の容器として通常使用される物を使用してはならない。
試験場においては、平成 17 年度の包括外部監査により同薬品の適正な管理についての指
摘を受け、管理体制の強化について協議を重ね、取締法に則った「毒物劇物危害防止規定」
(以下、「防止規定」と言う。)を平成 22 年 11 月 16 日に制定し、平成 23 年 4 月 1 日より
施行している。
(防止規定)※抜粋
6.注意及び確認事項
毒物劇物の適正な取扱いのため職員は、次の事項を遵守する。
(1)取扱う毒物劇物の名称・保管量について
・毒物劇物の保管・管理の適正化を図るため、別紙2の管理簿を作成すること。
・各職員は、使用した毒物劇物の数量を管理簿に記録し、部門責任者の確認を受けること。
124
・管理責任者は、部門責任者立会いのもと 3 か月に 1 回管理簿により毒物劇物の在庫量を確認するこ
と。
(2)貯蔵設備について
・貯蔵設備について別紙3の点検表に基づく点検を管理責任者は部門責任者立会いのもと 6 か月に 1
回行い、記録すること。
②
問題点について(指摘)
今回、全科において貯蔵状況の確認、及び平成 23・24 年度の管理簿の調査を行ったとこ
ろ、次のような結果であった。
毒物劇物
貯蔵設備
3か月毎の在庫調べ
半年毎の自己点検
H23
H24
H23
H24
介藻類科
○
×
×
×
魚類科
△
△
×
×
備考
H23:6 月末、3 月 9 日のみ
H24:7月末調べ
漁場環境科
×
×
×
×
管理簿様式不変更
栽培漁業科
×
×
×
×
管理簿様式不変更
養殖技術科
×
×
○
×
H23 使用部門責任者の未確認1件
海洋資源科
×
×
×
×
管理簿様式不変更
H23:10 月 12 日調べ
加工科
△
△
×
×
H24:7 月 25 日調べ
H23.24 使用部門責任者の未確認全て
上記のように、防止規定による 3 か月毎の在庫確認及び 6 か月毎の貯蔵設備の点検はほ
とんど行われておらず、更に使用量の確認においても未確認の事例があった。
毒物及び劇物に関しては、その取扱いに十分注意を要するところ、取締法によっても、
その管理体制については必要な措置を講じるべき旨の規定があり、自ら制定した防止規定
は当然に遵守すべきである。
現状、防止規定は制定したものの、周知が徹底されていないと言うべきであり、早急に
当該規定利用に関して周知徹底を図るべきである。
125
Ⅱ-9
長崎県交通局
1.措置状況と検証結果
No
1
2
テーマ
年度
公営企
業 H14
公営企
業 H14
監査の結果
措置
検証結果
2 平成11年度包括外部
監査結果と措置状況につい
て
(1) 退職給与の繰延処理
・平成 12 年度に繰延退職金
の償却期間を 3 年から 5 年
に変更しているが、そうで
あれば変更の旨、変更の理
由及び変更による影響額を
財務諸表に注記することが
望ましいし、短い年数から
長い年数への変更は根拠に
乏しく、あるべき変更では
ない。
・償却期間を変更した結果
の償却額については注記を
しておりますが、今後、償
却期間の変更を行う場合に
は、変更の旨、変更の理由
及び変更による影響につい
ても注記いたします。なお、
繰延勘定の償却について
は、地方公営企業法施行令
第 26 条第 3 項により「翌事
業年度以降 5 事業年度以内
に償却しなければならな
い」と規定されており、こ
の規定に基づき処理してお
ります。
その後も、償却期間の変更
は行っておらず、全て 5 年
としている。
なお、退職給与については、
地方公営企業会計基準の改
正に伴い、引当金の設定が
義務付けられるとともに、
繰延処理が認められなくな
るので、平成 26 年度以降は、
改正後の基準に沿った処理
を行うこととなる。
3 条支出と 4 条支出の区分に
関し、恣意性が介入しない
よう「交通事業会計 におけ
る退職手当支出基準」に区
分の方法を明記することが
望ましい。
2 平成11年度包括外部
監査結果と措置状況につい
て
(2)退職給与引当金の設定
地方公営企業は、そもそも
多額の費用を計上すること
によって資金調達の道が絶
たれ倒産するようなリスク
は抱えていないので、経営
の安定化を図るために退職
金の繰延処理を行うととも
に退職給与引当金の設定を
見合わせることは不合理で
ある。
・今後は、同基準の中に区
分の方法を明記することと
いたします。
「交通事業会計における退
職手当支出基準」に区分の
方法を明記している。
関係法令等においては、経
営上やむを得ない事由によ
り退職職員が多く、これに
伴う退職給与金の額が多額
となる場合は繰延償却の実
施が認められております。
また、公営のバス事業 48 団
体において平成 13 年度現在
引当金の設定を行っている
のは東京都のみであり、退
職金負担が多額である現在
の厳しい経営状況の中で引
当金の設定を行うことは困
難であると考えておりま
す。但し、経営の安定性を
はかる意味からも引当金を
設定することが望ましいと
考えられますので、基準に
基づいた繰延償却を行うと
ともに、今後退職金負担が
軽減する時期においては引
当金の設定を行っていきた
いと考えております。
その後も、引当金の設定を
行うことは行っていない
が、地方公営企業の会計基
準の改正に伴い、退職給付
引当金の設定が義務付けら
れることとなったことか
ら、平成 26 年度から退職給
付引当金を計上する予定で
ある。
126
3
4
公営企
業 H14
公営企
業 H14
2 平成11年度包括外部
監査結果と措置状況につい
て
(3)資本剰余金と固定資産
のみなし償却
ア 資本剰余金として処理
した収入によって取得した
資産の減価償却
・平成 9 年度取得の分から
減価償却を行わないもの
(みなし減価償却の実施)
として統一的な取扱いを行
っているとのことであった
が、みなし減価償却に変更
されたのは、建設補助金に
より取得された物件のみで
あり統一的な取扱いとなっ
ていない 。
・
「交通規定」にみなし減価
償却に関する定めを追加
し、会計方針として明確に
する必要がある。
2 平成11年度包括外部
監査結果と措置状況につい
て
(3)資本剰余金と固定資産
のみなし償却
イ 銅座駐車場フェンスの
除却処理
令第 24 条の 2 では、資本剰
余金と除却損の相殺処理は
任意とされているので、資
本剰余金と除却損の相殺処
理に関する定めを交通規程
に追加し、会計方針として
明確にする必要がある。
・平成 14 年 10 月から、移
転補償金により取得した資
産についても、みなし減価
償却を行うよう統一的な取
扱いを行っております。
処理については左記の通
り。
・みなし減価償却について
は、平成 15 年度において、
別途、取扱方針を整備いた
します。
平成 15 年度に、
「資本剰余
金をもって取得した固定資
産の取扱方針」を定めてい
る。
資本剰余金で取得した資産
の除却損の取扱いについて
は、平成 15 年度において、
別途、取扱方針を整備いた
します。
平成 15 年度に、
「資本剰余
金をもって取得した固定資
産の取扱方針」を定めてい
る。
127
5
公営企
業 H14
6
公営企
業 H14
2 平成11年度包括外部
監査結果と措置状況につい
て
(3)資本剰余金と固定資産
のみなし償却
ウ 小浜営業所の土地・建物
の売却処理
「小浜町の要請により平成
5 年度に小浜農協へ土地を
売却し、その代金で代替土
地を購入し、建物を建築し
た小浜営業所については、
土地売却益 171 百万円を利
益に計上せず資本剰余金と
して計上しているが、本来
は収益として計上すべきで
はないかと考えられ、法令
等の正しい解釈を確かめた
上で必要な処理を検討する
よう要望する」との監査の
結果に対し「総務省へ照会
中である」との措置の内容
である。総務省からはいま
だ回答がないが、上記監査
の結果と同じように考える
ので速やかに対処されるよ
う要望する 。
2 平成11年度包括外部
監査結果と措置状況につい
て
(3)資本剰余金と固定資産
のみなし償却
エ 中央整備工場敷地の売
却処理
「中央整備工場の敷地の一
部を土木事務所へ売却する
にあたり、別の隣接地を土
木事務所が諫早市より購入
して交通局へ売却してい
る。この取引のうち諫早市
より取得した土地の部分を
交換土地と考えて、これを
除いた金額(差金決済額)
部分についてだけ売却益を
計上している。また、取得
した土地は、譲渡した土地
の簿価を付替え(圧縮記帳)
している。この処理は間違
いであろうから、法令等の
正しい解釈を確かめた上で
必要な処理を検討するよう
要望する」との監査の結果
に対し「総務省へ照会中で
ある」との措置の内容であ
る。総務省からはいまだ回
答がないが、上記監査の結
総務省からは、
「資本剰余金
については今後会計制度の
改正等を検討しているとこ
ろであり、過去の事例につ
いての解釈、適用は行わな
い。」旨の回答を得ておりま
す。従いまして、総務省に
おいて会計制度の改正が行
われるのを待って、今後は
会計制度に沿った処理を行
ってまいりたいと考えてお
ります。
当該物件については、平成
23 年度に外部売却してお
り、問題は解消している。
総務省からは、
「資本剰余金
については今後会計制度の
改正等を検討しているとこ
ろであり、過去の事例につ
いての解釈、適用は行わな
い。」旨の回答を得ておりま
す。従いまして、総務省に
おいて会計制度の改正が行
われるのを待って、今後は
会計制度に沿った処理を行
ってまいりたいと考えてお
ります。
総務省において、会計基準
の改正が行われ、平成 26 年
度から適用されることとな
ったため、今後は、改正後
の基準に沿った処理を行う
必要がある。
この他にも、資本剰余金の
内容を精査し、新たな会計
基準の適用を行う必要があ
る。早期にかかる作業に着
手し、会計基準への準拠性
に不備のないよう努める必
要がある(意見)
以下の同種の項にて同じ。
128
7
公営企
業 H14
8
公営企
業 H14
果と同じように考えるので
速やかに対処されるよう要
望する 。
2 平成11年度包括外部
監査結果と措置状況につい
て
(3)資本剰余金と固定資産
のみなし償却
オ 移転補償金に係る会計
処理
「区画整理事業による島原
整備工場の移転補償金及び
道路整備工事による中央整
備工場の移転補償金につい
ても資本剰余金に計上し、
売却益を認識していない。
本件も法令等の解釈を確か
めた上で対処されるよう要
望する」との監査の結果に
対し「総務省へ照会中であ
る」との措置の内容である。
また「本件のうち、中央整
備工場の場合は固定資産の
取得が 359 百万円(間違っ
て資産計上した解体費を含
めても 397 百万円)である
のに、資本剰余金とした金
額が 442 百万円となってい
る。移転補償金を固定資産
除却損に充当していないこ
と及び代替資産の取得価額
を超えて資本剰余金として
いることについては誤りで
あるが、法令等の解釈を確
かめた上で対処されるよう
要望する」との監査の結果
に対し、
「総務省へ照会中で
ある」との措置の内容であ
る。総務省からはいまだ回
答がないが、上記監査の結
果と同じように考えるので
速やかに対処されるよう要
望する。
2 平成11年度包括外部
監査結果と措置状況につい
て
(4) 一 般 会計か ら の 補助金
(意見)
退職手当債等元利償還金補
助金は、自主財源による補
助金であることからも、法
第 17 条の 3 に該当するとの
明確な説明が必要である。
総務省からは、
「資本剰余金
については今後会計制度の
改正等を検討しているとこ
ろであり、過去の事例につ
いての解釈、適用は行わな
い。」旨の回答を得ておりま
す。従いまして、総務省に
おいて会計制度の改正が行
われるのを待って、今後は
会計制度に沿った処理を行
ってまいりたいと考えてお
ります。
総務省において、会計基準
の改正が行われ、平成 26 年
度から適用されることとな
ったため、今後は、改正後
の基準に沿った処理を行う
必要がある。
平成 15 年度中に公営企業に
対する繰出基準を策定予定
としておりますので、これ
に合わせて整理いたしま
す。
「長崎県交通事業への一般
会計繰出基準」が策定され、
同基準に基づき繰出を受け
ている。なお、当該補助金
は、平成 19 年度退職者に係
るものまでで終了する予定
である。
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業 H14
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公営企
業 H14
11
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業 H14
2 平成11年度包括外部
監査結果と措置状況につい
て
(5)一般会計からの協力(意
見)
「駐車場営業以外に、他の
会計から土地・建物等を無
償あるいは低廉な賃料で借
りているものがあるが、こ
れらは駐車場の場合と同じ
く県営であるが故の特別な
メリットであり、会計報告
においてはこれを表示する
ことが望ましい」との意見
に対し、いまだ会計報告で
は表示されていないので、
会計報告で開示することが
望ましいと考える。
2 平成11年度包括外部
監査結果と措置状況につい
て
(6)資本剰余金 (意見)
「資本剰余金に関して 6 つ
の疑問点がある」との意見
に対しては「いずれも、総
務省の担当部署へ照会して
おり、回答内容に基づいて
適切に対処することとして
いる」との措置の内容であ
る。総務省からはいまだ回
答がないが、資本剰余金に
係る会計処理は財務諸表に
与える影響が大きいにもか
かわらず、その範囲が法令
等で明確にされていないの
で、疑問点に速やかに対処
されるよう要望する。
3フォローアップ監査に追
加して検討を行った事項
(1) 交 通 局の移 転 に 係る処
理
イ 土地の取得価額と関連
する移転補償金の会計処理
幸町から八千代町への移転
に際し、移転先土地の所有
者であるA社等の建物移転
料等としてA社等に支払う
べく長崎県から収受した移
転補償金を資本剰余金に計
上し、一方、同額の支払額
を土地の取得価額に算入し
ている。当該金額は、それ
ぞれ収益的収入、収益的支
出として処理する方法が望
ましい。
平成 15 年度中に一般会計か
らの協力の状況について整
理し、会計報告において表
示する必要があるか検討し
ます。
地方公営企業法施行規則第
12 条に定められる決算書等
の様式に同様の様式はな
く、また、他の地方公営企
業の決算報告においても同
様の表示は見受けられない
ことも踏まえ、現在、かか
る表示を行っていない。
なお、新会計基準適用後は、
「その他の注記」において
左記記載を活用することを
検討するべきと考える。
(意
見)
総務省からは「資本剰余金
については今後会計制度の
改正等を検討している」旨
の回答を受けております。
従いまして、総務省におい
て会計制度の改正が行われ
るのを待って、今後は新た
な会計制度に沿った処理を
行ってまいります。
総務省において、会計基準
の改正が行われ、平成 26 年
度から適用されることとな
ったため、今後は、改正後
の基準に沿った処理を行う
必要がある。
「地上物件移転補償費、居
住者移転補償金等は、原則
として土地購入に付帯した
費用として土地の原価に合
算するもの」
(公営企業の経
理の手引)との考え方から
土地の取得価格に算入した
ものです。
また、当該本局・長崎営業
所の土地全体で考えた場
合、一部は旧土地との交換
を行っており、全体として
は簿価が時価評価を下回っ
ているため、現行の処理に
よる方が時価評価に近いも
のと考えております。
左記の考え方に変化はな
い。ただし新会計基準の適
用に伴い、土地原価に合算
すべきものの範囲につい
て、「公営企業の経理の手
引」の変更があればそれに
従うとのことであった。
なお、左記措置の「また書
き」以下は、現在では時価
下落率が約 50%であり、論
理としては成立しない。
130
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公営企
業 H14
13
公営企
業 H14
14
公営企
業 H14
3フォローアップ監査に追
加して検討を行った事項
(2)固定資産の管理
平成 12 年度及び平成 13 年
度に全バス車載機を対象
に、固定資産の実査を行っ
たところ、帳簿と現物の不
一致が確認されている。交
通規程では帳簿と現物の照
合を要求していないが、重
要な手続きであるため交通
規程に追加し、財務特例と
同様の運用を図ることが必
要である。
3フォローアップ監査に追
加して検討を行った事項
(3)固定資産台帳
資産の取替えに際して、取
替えにより 不要となった
旧資産を廃却し、新たに取
得した資産を固定資産に計
上する方法が正しい処理で
あるが、除却資産が特定で
きないので新たに取得した
資産を修繕費で処理してい
る取引があった。固定資産
台帳の内容に不備があると
思われるので、改善する必
要がある。
3フォローアップ監査に追
加して検討を行った事項
(4) 資 本 剰余金 に 計 上され
ている各種補助金と固定資
産台帳に登録されている補
助金等との整合性
資本剰余金に計上された補
助金等と当該補助金等によ
って取得された設備はひも
付きで管理される必要があ
るが、資本剰余金に計上さ
れている各種補助金と固定
資産台帳に登録されている
補助金等の金額に差異があ
った。差異の内容を明らか
にすることができなかった
ので、今後調査する必要が
ある。
平成 15 年度中に財務規程に
おいて、財務特例に準じた
規程を整備いたします。
平成 15 年度に財務規程に当
該規定を追加している。
平成 14 年度に本局・長崎営
業所の建物の資産計上を行
いましたが、除却資産の特
定ができるよう詳細な区分
を行い資産計上しておりま
す。
措置において特に問題はな
い。
受贈財産については、資産
の除却の際、除却損を計上
し、受贈財産との相殺を行
っていなかった(6 件)ため
と考えられます。その他の
差異については、消費税の
処理上によるもののほか、
不明なものについては今後
も調査を続けてまいりま
す。
新会計基準の適用に向けた
作業を行う中で、総務省か
ら示された「地方公営企業
が会計を整理するに当たり
よるべき指針」に規定され
た経過措置に基づき、対応
関係が把握できないものに
ついては按分等の方法を用
いるなど、合理的な方法に
より整理を行う予定とのこ
とであった。
新会計基準に関する対応に
ついては、上述の通り。
2.追加検討した事項
(1)公有財産の目的外使用許可とするべき案件を使用許可扱いとしている事例について
(指摘)
131
交通局所有のつつじヶ丘変換場(局の駐車場)等の外部への使用許可について、目的外
使用にあたるにも拘らず、使用許可扱いとしている案件が複数件見られた。事務取扱の誤
りである。また、使用許可書に記載されている「1使用許可財産」の「所在地及び地番」
の記載も、つつじヶ丘駐車場の本来の所在地(諫早市多良見町市布)が別の住所(諫早市
永昌東町)となっており、記載誤りである。単純な誤りを防止するよう、牽制を見直す必
要がある。
(2)公有財産の使用許可手続の更新事務について(指摘)
継続的に使用許可をしている物件について、使用料に異動がない申請については、申請
書に添付する使用料の計算根拠となる資料を初回の申請時のみ提出させ、翌年度以降省略
している例が、ほぼ全てであった。
使用料の算定根拠となる資料は、申請毎に提出を求め、適正にチェックしなければなら
ない。
(3)差入保証金のうち、既に解約に伴い精算されているものの処理漏れについて(指摘)
固定資産のその他投資に含まれる敷金(差入保証金)150,000 円は、平成 22 年 7 月 18 日
に賃貸契約解約につき敷金の精算が行われているため、本来資産計上を取り消し、費用化
する必要があるが、この処理が漏れていた。
(4)流動資産に計上されている差入保証金のうち、固定資産に振り替えるべきもの(指摘)
その他流動資産に計上されている宿泊所賃借の保証金(500,000 円)、同敷金(290,000
円)については、一年基準(ワンイヤールール)により固定資産のその他投資へ振替える
べきである。
(5)車両任意保険契約時の対象車両数の把握について(意見)
年初に行われる交通局所有の車両について、任意保険契約を結ぶ際、対象となる車両が
確実に把握されていない。担当者のみの作業とすることなく相互牽制を行ってチェックを
徹底するべきである。なお、交通局担当者が契約台数の確認書を作成した際は、一台分少
なくカウントされていたものの、契約書上は添付の資料を基に保険会社側が訂正しており、
事なきを得ている。
(6)運賃収入の期間帰属誤りについて(指摘)
バスを運行している際、つり銭不足により乗客から運賃以上に現金を受け取ることがあ
る。この乗客に返還すべき金銭については、「払戻し<窓口払い>証明書」を発行し、後日
営業所窓口にて返還する。
132
乗客から預かった金銭の返還が期末日をまたぐ案件があり、平成 24 年 4 月 1 日∼13 日ま
で返還報告のあった金額 27,690 円を、4 月 13 日の経理処理で平成 24 年の運賃収入のマイ
ナスとして処理している。このうち、平成 23 年度中に乗客から預かり、平成 23 年度の運
賃収入として計上されていたものが 5,850 円含まれていたため、5,850 円が平成 23 年度で
過多、平成 24 年度で過少となっている。
つまり、本来は、平成 24 年 3 月 31 日に
借方
(23 運賃収入)5,850 円
貸方
(預り金)5,850 円
と処理し、翌年度の期中処理として平成 24 年 4 月 13 日に
借方
(預り金)
5,850 円
貸方
(現
金)27,690 円
(24 運賃収入)21,840 円
と、処理すべきである。
しかし県交通局では、平成 24 年 4 月 13 日に、
借方
(24 運賃収入)27,690 円
貸方
(現
金)27,690 円
と、処理している。
(7)新会計基準での検討すべき事項について
①
全般について(意見)
地方公営企業会計基準の改正が行われ、平成 26 年度予算・決算から新基準が適用される。
新基準の適用に伴い、県交通局においても、上述の措置状況で触れた通り、改正内容に
準拠しうるよう、過去に遡って資本剰余金の整理を進め、土地勘定に対応するもの、償却
資産に対応するものの整理を行い、これまで行ってきたいわゆる「みなし償却」の廃止に
伴う修正を行わなければならない。これには現状資本扱いである借入資本金の負債の部へ
の振替や長期前受収益への振替が伴う。また、これまでほとんどの公営企業で計上されて
こなかった退職給付引当金の認識など、従前の会計処理と大きく異なる会計処理によって
貸借対照表の様相が一変すると思われる。
県交通局にあっては、新制度への対応に向けて、財務システムの改修や現行制度とのい
わゆる「ギャップ分析」に着手しているところであるが、更に情報の収集を的確に行うた
めのパイプ作りや、人材育成に努めつつ、それを基礎にして作業のスケジューリングを明
確にする必要がある。その過程において諸々の規程の整備や関係部署との連携、業務の見
直し、システム改修の要否やその範囲などの課題を着実にクリアしつつ推進する必要があ
る。
いくつかの会計処理上の課題を挙げるとすると、次の点について言及したい。
②
修繕引当金について(意見)
修繕引当金は現状、272,169 千円が残高として計上されているが、長年にわたり残高に変
133
化がない。新基準における引当金の計上要件は、法令によって強制される大規模な修繕や、
経営計画上立案すべき大規模修繕などに限定されており、地方公営企業法施行規則により
経過措置が設けられているものの、その後の経営成績の判断を行っていくうえでは、平成
26 年度の特別利益(引当金戻入益)として計上する方が望ましいと考える。
③
出資金(非上場株式)の評価について(意見)
現行会計では有価証券の評価は取得原価によっていたが、新基準では保有目的により評
価方法が異なる取扱いへと変わる。県交通局の出資金の内容は、非上場の株式である。こ
のため、新基準ではその他有価証券の区分となり、時価がないため取得原価による評価が
原則となるが、財政状態の著しい悪化の場合には、実質価格による評価をもとに評価損の
計上も必要となってくる場合も想定される。
このため、毎期発行元企業の決算書を入手し、一株当たり純資産と取得原価の一株当た
り価格との比較による管理が求められる。
④
貸倒引当金の設定について(意見)
貸倒引当金の計上を行うに当たっては、債権の分類を行う必要がある。正常な取引先と
の間での取引によって計上される債権の有する回収リスクと、そうではない取引先との間
の債権(特に回収が滞っている場合など)の有する回収リスクとでは、そのリスク量には
大きな違いがあるため、同じ尺度で引当金を計算するわけにはいかないからである。一般
には、回収の懸念のない「一般債権」、経営破綻にはないが回収に問題のある(若しくは問
題の生じる可能性が高い)債務者に係る「貸倒懸念債権」
、そして破綻や実質的に破綻して
いる債務者に係る「破産更生債権等」に分類され、これが交通局内で的確に分類できなけ
ればならない。
一般債権は、過去の貸倒実績率により引当を計算し、貸倒懸念債権は、担保処分見込額
を除いた額から回収可能と見込まれる額を除いた残額を引当金として計上する。そして破
産更生債権等の場合は、担保処分・保証による回収見込み額を除いた額を引き当てる。
平成 22 年度発生した、スマートカード積増業務委託契約先の積増代金の未収債権 43,002
千円(平成 23 年度末残高)については、原債務者である委託業者(有限会社)は既に経営
破綻しており、債権分類としては、
「破産更生債権等」になるものと考えられる。
更に保全のために準消費貸借契約書が未収金発生後、経営破綻前の平成 23 年 5 月 13 日
に締結され、法人代表者の他、近親者 4 名の連帯保証人の設定もされているが、いずれも
返済資力に欠け、準消費貸借契約による返済条件の履行も滞っており、設定された抵当権
も県交通局は後順位にあり回収は困難な状況にある。
このような状況から判断すると、未収金の全額 43,002 千円の全額について回収不能の懸
念があるため、貸倒引当金の引当額も債権金額とほぼ同額となる可能性がある。
無論、このような事態をさけるべく、保証人からの回収の一層の努力が求められること
134
は言うまでもない。
(8)物品管理について(意見)
交通局における物品管理も本庁の「長崎県物品取扱規則」に準じた取扱いを行うべきで
ある。現行の長崎県交通局物品取扱規則と見比べてみると両者の相違が多々見られるとこ
ろであるが、本庁の事務と当然に相違する点は別として、管理手法は均一であるべきであ
ると思われる。
例えば、物品への物品整理票の貼付はなされているが、交通局で整備している物品管理
簿は、「備品出納簿」のみであり、現物照合も本庁で行っている水準(品質)で実施されて
はいない。今後は本庁の管理簿と足並みを揃え、配置物品管理者の指名、年間の管理スケ
ジュールを策定して、現物照合等の現物管理を行うとともに、物品管理簿、物品出納簿、
借入品管理簿、貸付品管理簿等を整備するよう規程を整備し、運用するべきである。また
正確な管理を実現、維持するためには、今後物品管理システムの導入も必要ではないかと
思われる。
(9)倉庫品の管理について
倉庫品に関しては、長崎県交通局財務規程(昭和 47 年 4 月 1 日交通局企業管理規程第 8
号)により主に下記のように定められている。
第5章
たな卸資産
(たな卸資産の範囲)
第 78 条
たな卸資産(以下「倉庫品」という。
)とは、次の各号に掲げる物品であって、たな卸経理を
行なうものをいう。
(1)タイヤ、チューブ
(2)燃料、油脂
(3)部品
(4)材料
(5)消耗品(車両管理に直接必要な消耗品)
(6)再生品その他倉庫品として取り扱うことを適当と認める物品
(受入価格)
第 83 条
倉庫品の受入価額は、次の各号に掲げるところによる。
(1)購入品
購入価格
(2)その他の物品
価額の判明するものについてはその価額、不明のものについては時価による評価
額
(払出請求)
第 84 条
倉庫品の払出しを受けようとする場合は、倉庫品請求伝票(様式第 51 号)に必要事項を記載
135
して物品取扱員及び総務係長へ請求しなければならない。
(払出価額)
第 86 条
倉庫品の払出価額は受入価額とし、先入先出法によるものとする。
(払出記帳)
第 87 条
物品取扱員は、倉庫品を払出したときは、倉庫品請求伝票により倉庫品出納簿に払出し記帳
しなければならない。
(不用品の処理)
第 90 条
物品取扱員は、保管する倉庫品について不用品を生じたときは、その理由を記載した倉庫品
送付(金額通知)伝票を添えて企業出納員へ返付しなければならない。
(不用品の処分)
第 91 条
企業出納員及び物品取扱員は、倉庫品のうち不用となり又は使用にたえなくなった不用品を
処分しようとするときは、管理部長へ売却処分の依頼をしなければならない。ただし、これを売却して
も買受人がないもの又は売却価額が売却に要する費用の額に達しないもの、その他売却することが不適
当と認められるものについては、局長の決裁を受けて廃棄することができる。
2
前項の規定により不用品を廃棄したときは、管理部長である企業出納員は、振替決裁伝票を発行し
なければならない。
(実地たな卸)
第 92 条
企業出納員は、毎事業年度末実地たな卸を行い、その結果について、倉庫品受払明細書(様
式第 53 号)を作成し、局長に報告しなければならない。
2
前項の実地たな卸は倉庫品出納簿の残高を基本数量として行うものとする。
3
前第 1 項に定める場合のほか、企業出納員は倉庫品が天災その他の理由により滅失した場合その他
必要と認められる場合には、随時実地たな卸を行わなければならない。
4
前第 1 項及び前第 3 項の規定により実地たな卸を行う場合は、企業出納員は局長の指定する倉庫品
の受払に関係のない職員を立ち会わせなければならない。
①
軽油について(指摘)
長崎県交通局財務規程(以下規程という。)第 84 条による倉庫品請求伝票による払出し
がなされていない。また、第 87 条に定められている倉庫品出納簿による払出し記帳も行わ
れていない。更に第 92 条第 4 項に定められている職員の立会に関しても一人が棚卸を行っ
ているだけである。
また、第 92 条第 1 項に定められている倉庫品受払明細書が作成されていないため年度末
在庫の数量を確認出来ない状況である。
②タイヤについて(指摘)
長崎県交通局財務規程(以下規程という。)第 84 条による倉庫品請求伝票による払出し
がなされていない。また、第 87 条に定められている倉庫品出納簿による払出し記帳も行わ
136
れていない。
また、第 92 条第 1 項に定められている倉庫品受払明細書が作成されておらず、
簡易な受入簿の作成で受入れ及び年度末在庫数量を把握している状況である。
③
油脂(エンジンオイル)について(指摘)
長崎県交通局財務規程(以下規程という。)第 84 条による倉庫品請求伝票による払出し
がなされていない。また、第 87 条に定められている倉庫品出納簿による払出し記帳も行わ
れていない。更に第 92 条第 1 項に定められている倉庫品受払明細書が作成されていない。
払出しに関しては各車両の整備手帳にいつどれだけ使用されたか、また在庫に関しては独
自の残高調(棚卸資料)を作成している状況である。
しかしながら中央工場の平成 23 年度軽油・油脂残高調(棚卸資料)に関しては、1 月の
仕入数量が 400 リットル、3 月の仕入数量が 200 リットルあったにもかかわらずその仕入の
記載がなされていなかった。また使用数量も本来は 1,490 リットルにもかかわらず 1,090
リットルと記載されていた。
④
バスカードについて(指摘)
回数券カード受払簿及び乗車券受払月報の作成方法に関して
カードが破損した場合、本局から各営業所等が受け入れた数量は本来は本局が払い出し
た枚数を記載すべきであるが、破損分に見合う数量が受入にカウントされていない。また
それに伴い払出しもその分少なく記載している状況であり、本局からの払い出しと営業所
での受入の数量に相違が生じている。
本来は通常の受入分と破損による受入分どちらも受入としてカウントすべきであり、今
作成されている乗車券受払月報に破損による受入及び払出しの欄を追加する等作成方法を
改善すべきである。
⑤
バス部品について(指摘)
長崎県交通局財務規程(以下規程という。)第 84 条による倉庫品請求伝票による払出し
が中央整備工場からの受入に関してはなされているが、各営業所等での払出しの際にはな
されていない。また、第 87 条に定められている倉庫品出納簿による払出し記帳も行われて
いない。また、第 92 条第 1 項に定められている倉庫品受払明細書が作成されておらず、簡
易な受入簿の作成で受入れ及び年度末在庫数量を把握している状況である。
実際に長崎営業所において現場の視察を行い、数点のみ実査を行ったところ、下記のよ
うな誤りが発見された。
品番
品名
タナ数量(個)
実査(個)
MC857230
ライト S/W
0
1
0346752000
アッパーB/C
1
8
MC247719
燃料キャップ
作成なし
3
137
このような状況において、規程第 92 条及び 93 条に定められている手続きが正確になさ
れているとは言えない状況であり、早急に改善すべきである。
⑥
廃車バス(倉庫品)について(指摘)
平成 23 年度末における廃車バスの倉庫品は 121,000 円貸借対照表に計上されている。
規程において、評価額に関しては下記のように定められている。
(受入価格)
第 83 条
倉庫品の受入価額は、次の各号に掲げるところによる。
(1)購入品
購入価格
(2)その他の物品
価額の判明するものについてはその価額、不明のものについては時価による評価
額
長崎県交通局においては、現在、廃車バス倉庫品価格算出表を作成し、各廃車車両の算
定を個別に行っているが、算定額の金額は 1 台あたり 1,000 円から 21,000 円となっており、
実際に売却される金額と大きな差が生じていることになっている。
規程第 83 条(2)で定められているように、本来は時価で評価すべきである。
*直近で売却された車両
車号
倉庫品価格(円)
1E16
11,000
売却価格(円)
3A13
11,000
346,500
9E20
21,000
1,680,000
0E22
21,000
1,165,500
2E15
11,000
367,500
2E17
11,000
367,500
2117
11,000
315,000
2121
11,000
315,000
3111
11,000
315,000
3112
11,000
315,000
3113
11,000
315,000
3284
5,000
320,250
367,500
(10)車両のリサイクル預託金に関して(指摘)
リサイクル預託金に関して、全車両に関して現物が保管されているか、また台帳管理が
なされているか確認したが、現物の保管に関しては全件確認出来た。しかしながら台帳に
関しては下記のような不備が見受けられた。
138
①
台帳に記載がないもの
三菱車
計 14 台
3E51、4E55、4E56、4E57、8E31、8E32、8E33、1F51、1F52、1
E39、1G51、E051、E052、E053
日野車
計7台
7C53、7C54、7C55、7C56、2C51、7A52、9A52
いすず車
計34台
7S59、S051、S052、S053、T251、T252、T253、T254、T255、S
151、S152、S153、S154、9S11、OS11、OS12、OS13、OS14、OS
15、OS16、OS17、OS18、OS19、OS20、OS21、OS22、OS23、OS2
4、OS25、OS26、OS27、1T51、1S56、1S57
また、現在作成されている台帳には取得年月日及び金額の記載がない。そのため、貸借
対照表に計上されている金額と台帳との整合性も図れない状況である。
以上、早急に台帳の整備等を行う必要がある。
(11)長崎県交通局に勤務する職員への無料乗車証の発行について(指摘)
長崎県営バス運賃等条例において下記のように記載されている。
(無料乗車証)
第 12 条
管理者は、特別の事由のある者に対し、定期無料乗車証又は片道無料乗車証を発行すること
ができる。
また、「無料乗車証の発行に関する規程」において、第 12 条に定める無料乗車証の発行
に関する必要な事項が定められている。
この運賃条例を受けて定められている「無料乗車証の発行に関する規程」のうち別表第 4
の無料乗車証使用禁止路線において、現在廃線となった路線の記載や現在禁止されていて
記載されていない路線があるなど、現状の運用とかなり乖離が見受けられるので改善が必
要である。
139
(12)長崎県央バス株式会社との取引等について
①
事業概況・沿革
内容
項目
団体名
所在地
設立の目的
事業概要
沿革
役員の状況
職員の状況
長崎県央バス株式会社
長崎県諫早市貝津町1492-1
(長崎県交通局諫早営業所)
住民の足を確保、コスト削減を目的に、県央地区のバス運行を
交通局から受託するための子会社として設立
交通局の5営業所のうち、県央エリアの諫早・大村の各営業所の路線を運行し、
諫早-長崎間の一部を直営による独自系統として運営するほか、他の路線に
ついては県営バスが当社に委託して運行する。
2008年10月30日設立(2009年4月1日事業開始)
代表取締役社長 1名(交通局長兼務)、取締役 3名(交通局職員兼務)
社外監査役 1名
県央バス:144名 運転士134名(うち嘱託62名) 事務職10名
(平 成 24年 3月 31日 現 在 )
車両の状況
県央バス:17両(乗合12両 貸切5両)
(平 成 24年 3月 31日 現 在 )
財政援助
②
出資 90,000,000円 (交通局100%出資)
問題点について
ア.県交通局と長崎県央バスとの委託契約事務(平成 23 年度運行委託料)について(指摘)
平成 23 年度分の長崎県央バスにおける退職給付引当金の繰入額が単純な計算ミスにより
4,729,860 円過大計上されていた。これにより決算書負債の部の退職給付引当金の金額は、
本来は 23 年度末退職手当期末要支給額の 18,789,516 円であるべきところ、23,519,376 円
が計上されている。
交通局から長崎県央バスに対して支払われる運行委託料の積算根拠には、運行委託分に
係る人件費が含まれており、退職給付引当金の繰入額もその対象とされている。平成 23 年
度分の適正な退職給付引当金の繰入額(上記)を加味したところの委託料の対象となる費
用額は計 626,404,724 円である。現精算額である 630,804,184 円との差額である 4,399,460
円は過大な委託料の請求額であり、実額精算により県交通局は返還を求める必要がある。
イ.長崎県央バスの運営に対する交通局からのチェック機能の向上について(意見)
長崎県央バスには常勤の専任管理者やプロパーの事務職員がいないため、管理業務、総
務業務、経理業務等の事務業務すべてが交通局に委託されており、交通局の職員が長崎県
央バスの書類をすべて作成している。
その結果、長崎県央バスから提出される資料の作成者と、それを確認・審査する交通局
140
の職員が同一の者となっている状況にある。早急にチェック体制の見直しが必要である。
ウ.双方代理(代理権限の委託)について(指摘)
交通局の局長は長崎県央バスの代表取締役を兼務しているため、交通局と長崎県央バス
が締結する委託契約書の契約者については、双方代理となるため代理人の選定が必要とな
る。このため、実際の契約書の締結時には代理人が記名押印しているが、社内において代
理権人へ委任状が作成されておらず、委任手続が適正になされていない状況にある。
(13)長崎県営バス観光へのターミナル業務委託について
①
委託料の精算書の確認について(指摘)
長崎県営バス観光との委託契約では第 5 条において、余剰金が生じた場合には余剰金を
返還することとされている。返還が条件とされている委託契約については、委託先から提
出された精算書について、その根拠となる領収書、請求書などの原始資料について厳格な
精算確認が必要である。
しかし、平成 23 年分までについては、先方から提出された精算書の金額のもととなる給
与台帳やその他経費の領収書の確認などは行われていない状況であった。
今回の監査に当たり、平成 23 年度の人件費について確認した所、人件費については事業
年度開始前の平成 23 年 3 月 29 日に長崎県営バス観光から交通局へ提出された積算金額と
事業年度終了後の平成 24 年 4 月 30 日に提出された金額が完全に一致していた。
長崎県営バス観光では、時間外手当なども生じているため、本来は積算金額と精算金額
が 1 円単位まで一致することは考えづらい。この点については時間外手当の計上額を積算
のもととなった前期の実績金額を使用し、差額が生じた部分については他の独自事業の部
門の給与で調整を行っているとのことであった。
また、賞与についても、平成 23 年度の実際の支出額が 15,351,987 円であるのに対し、
精算明細書の金額は積算金額と同じ 16,591,671 円となっており、実際にかかっている金額
よりも 1,239,684 円多い金額が委託事業の経費として報告されていた。この差額について
も、他の独自事業との間で調整されていた。
これらの余剰金額については、長崎県交通局と長崎県営バス観光との間で締結された平
成 23 年度ターミナル業務委託契約書の第 5 条によれば、長崎県営バス観光は長崎県交通局
に精算(返還)する必要があるため、実績確認は厳格に行う必要があったと考える。
なお、平成 24 年度から、実費精算方式の委託契約へ見直しており、不足額及び余剰金の
いずれについても精算が行われることとなる。このため、平成 24 年度以降については、精
算にあたっては原始資料の確認、担当者の確認など現地での確認を行うなどより一層の注
意が必要と考える。
141
②
事業報告の提出期日について(指摘)
事業報告はターミナル業務委託契約書第 5 条の受託業務の報告において、受託業務完了
後 30 日以内に提出するものとされている。しかしながら、平成 22 年、23 年ともに提出日
は 4 月 30 日であるが、受付日は 5 月 2 日となっており、期限を超えて提出されている。提
出期限の徹底が必要である。
142
Ⅱ-10
総務事務センター(物品調達基金)(一部、税務課、こども家庭課、大会総務課、
医療政策課、水産振興課、長崎港湾漁港事務所、農業経営課、農村整備課、販売戦略課、
長崎振興局)
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
1
基 金
H20
2
基 金
H20
3
基 金
H20
監査の結果
措置
検証結果
(3)物品の区分について
本来備品とすべき物品を重
要物品と区分したため、結果
として管理費が過大に計算
されていることが2点確認
されたことから、消耗品、備
品及び重要物品の区分には、
特に注意する必要がある。
(5)物品勘定について
②棚卸差額について
平成20年3月31日現在
の当該基金に関する物品勘
定については、棚卸差額18
4,942円が過大に計上さ
れており、基金も同額過大計
上という結果になる。
今後の「棚卸損(益)等」の
処理については、事例におけ
る修正仕訳を参考に「物品」
と「基金運用益未繰出金」を
減少させ、長崎県庁用管理特
別会計の歳入の戻入処理を
すべきと考える。
管理費の分類コードを誤入
力しないように、調達担当職
員の指導と決裁時点での分
類コードのチェックの徹底
を図りました。なお、平成2
1年度からは管理費の徴収
を廃止いたしました。
平成 21 年度から管理費の徴
収を廃止したため、過大に計
算される事例が発生するこ
とはない。また、サンプルに
より再検証したが、区分誤り
も検出されていない。
在庫物品の棚卸等により生
じた損失額について、未処分
のまま累積していたことが
過大計上とされたため、新た
に在庫物品事務取扱要領を
定め、平成20年度末に基金
に発生している損失(平成1
9年度以前に発生した損失
を含む)については、平成2
0年度の基金運用益を充て
て処分を行いました。
また、平成21年度からは物
品調達基金管理費(運用益)
を廃止したため、棚卸損益等
により基金に過不足額が生
じた場合の取り扱いとして
長崎県物品調達基金管理規
則を改正し、一般会計からの
繰入、繰出により処理できる
ことといたしました。
物品調達基金は、物品の集中
調達に関する事務を円滑に
行うことを目的として、条例
の定めるところにより地方
自治法第 241 条に基づき設
置された定額運用基金で、基
金の額(7,000 万円)の範囲
内で物品調達を行っており
ます。物品の売上代金は各所
属の予算から基金に回収さ
れ、新たな物品の調達資金と
して順次回転運用していく
ものと解されており、これに
基づき基金運用を行ってお
りますが、今後の物品調達の
あり方について検討を行っ
左記の通り、平成 21 年度か
らは、物品調達基金管理費
(「基金運用益未繰出金」)
を廃止し、棚卸損益等により
基金に過不足が生じた場合
は、一般会計との繰入、繰出
により処理している。また平
成 24 年 5 月の棚卸作業に関
する資料を検証したが、統制
上特に問題はなかった。
(1)基金の規模について
集中購買の実施における効
果は理解できるが、これと基
金残高 7,000 万円の根拠と
は直接結びつくものではな
い。事実、現金受払高は基金
残高 7,000 万円とは大きく
乖離していることからも判
断できる。集中購買方式は問
題ないが、あえて基金残高と
して 7,000 万円は必要ない
と考える。
143
平成 23 年度から物品調達シ
ステムの再開発を開始して
いる。
本格運用後(平成 27 年度予
定)は、基金を通しての調達
から、各課の予算で調達する
方法への変更が検討されて
おり、あわせて基金の減額も
検討されている。
ているところです。
4
基 金
H20
5
基 金
H20
6
基 金
H20
(2)物品の消費税区分につ
いて
管理費の過大徴収が確認さ
れた。システムの不備であ
り、改善を要するが、調達担
当職員も当該システムの仕
組みを理解し、十分注意して
処理を行う必要がある。
(4)物品の集中購買におけ
るさらなる効率化にむけて
同一日に同じ物品の調達依
頼を複数課から受理しても、
業者への見積徴収も別々に
行ない、別の契約として処理
しなければならないとのこ
とであった。物品の集中購買
の趣旨から判断すれば、一つ
の契約として処理できるよ
う事務効率を図る方策を検
討すべきと考える。
(5)物品勘定について
①廃棄を検討すべき物品に
ついて
現在県ではほとんど使用し
ていない物品、あるいは使用
見込みが低い物品が確認さ
れた。今後は、調達物品の必
要性を検討し、廃棄処理が必
要と認められるものについ
ては、廃棄処理基準を明確に
し、廃棄処理を実施すべきと
考える。
課税・非課税品目が混在して 平成 21 年度以降、管理費を
調達依頼があった場合には、 廃止しており、公金振替額で
処理を分けるよう、調達担当 過大徴収することはない。
者に対して指導を行いまし
た。なお、平成21年度から
は管理費の徴収を廃止いた
しました。
平成 23 年度から物品調達シ
ステムの再開発に着手して
いる。
集中調達については、県によ
れば、複数課分をまとめて1
契約とした場合、公金振替に
より代金を徴収する際に、契
約額の按分ができない場合
に支障が生じ、また購入経費
には、国庫補助など補助金が
含まれる場合もあり、対応で
きない事務処理が発生する
可能性がある。また、同様の
調達依頼をまとめようとす
ると、発注を総務事務センタ
ーで保留(適時の調達ができ
ない)することになるため、
一括した調達は困難な側面
が多いとのことであった。
ただし、現在の取り組みとし
て 30 万円以上の物品調達に
ついては、年2回、事前に調
達計画を提出させ、平成 24
年度からは、試行(平成 25
年度から本格実施予定)なが
ら、100 万円以上の調達計画
をホームページ上で公表し
ている。
平成20年度において新た 毎年度末、棚卸時点で廃棄処
に「在庫物品事務取扱要領」 分の検討を行っているが、平
を定め、廃棄基準、処理方法 成 20 年度の廃棄処理以降、
を明確にし、事務の電子化等 平成 21∼23 年度は、廃棄処
により不要となった該当物 分が必要な物品はないとの
品については要領に従って 判断である。そのため平成
24 年 3 月の棚卸においても
廃棄処分を行いました。
廃棄は行われていない。
現在の物品調達システムで
は、混同科目(費目が異なる)
や発注所属が異なる案件を
一括して処理することは対
応が困難です。物品調達シス
テム改修の必要性を含めて、
効率的な調達を行えるよう
調達方法等を検討してまい
ります。
144
7
基 金
H20
(6)物品の登録について
①軽自動車
本来であれば普通自動車で
登録しなければならない契
約が一件見受けられた。
物品調達システムの入力及
び決裁時点でのチェックの
徹底を図りました。
8
基 金
H20
ご意見は、東映の教育用ビデ
オの契約についてのもので
すが、東映の教育用ビデオは
代理店販売(県内では1社の
み)となっているため、今後
の契約においては代理店証
明を徴収し、1者随意契約と
することといたしました。
9
基 金
H20
(6)物品の登録について
②映画フィルム
数社の見積りをとっても結
果が見えている物品の購入
に関しては、見積徴収事務の
効率化が求められることか
ら、特殊な契約については、
他の合理的な方法も検討す
べきである。
(6)物品の登録について
③物品の修理
内容は、ウエットティッシュ
10 個の購入金額 3,045 円で
あるが、本来 414 に区分すべ
きところ、416 の区分になっ
ている。
区分に関しても、チェック機
能を有効に働かせる必要が
ある。
物品調達システムの入力及
び決裁時点でのチェックの
徹底を図りました。
サンプルで検証したが、登録
誤りは検出されなかった。
ただし、サンプル検証におい
て、検収委任に関する検出事
項があるので、この点につい
ては下記「2.追加検討した
事項」を参照のこと。
取扱業者が 1 者の場合は、代
理店証明の提出を求め、1 者
見積としている。
サンプルで検証したが、登録
誤りは検出されなかった。
2.追加検討した事項
他の部署とは構成を変え、総務事務センターの所管する物品調達基金の現況と、各論に
至る着眼点についてまず「総論」としてまとめ、検出事項については「各論」としてまと
めることとする。
(1)総論:物品調達基金の概要と各論に至る着眼点について
①
物品調達基金の概要
ア.経緯
物品の調達は、集中調達を行うため、昭和 30 年に「長崎県物品調達事業特別会計」を設
けたが、昭和 39 年 4 月、地方自治法の改正に伴い基金制度が導入できることとなったため、
同法第 241 条第 1 項の規定に基づき、「長崎県物品調達基金条例(昭和 41 年条例第 8 号)」
を制定し、昭和 41 年 3 月 31 日基金設置に至っている。当時の基金額は 20,000 千円であっ
た。現在、基金額は 70,OOO 干円となり、本庁(警察本部を除く)及びかいの物品の集中調達
を行っている。
イ.基金の額及び平成 23 年度の増減表
区分
(単位:千円)
増減額
H23 年度
期首残高
増加
145
減少
H23 年度
期末残高
現
借
未
方
物
収
金
139,236
1,120,082
1,153,488
105,829
金
320,170
1,066,617
1,120,082
266,706
品
4,206
1,065,883
1,066,516
3,573
463,613
3,252,583
3,340,087
376,109
393,363
1,065,883
1,153,239
306,007
249
101
249
101
393,613
1,065,984
1,153,488
306,109
70,000
2,186,598
2,186,598
70,000
合
未
計
払
A
金
貸
剰余額未繰出金
方
合
基金残高
計
B
A−B
貸借差額としての基金残高であるが、昭和 41 年当初 20,000 千円であったが、昭和 58 年
度に 50,000 千円となり、平成 19 年度に 70,000 千円となって現在に至っている。
ウ.対象機関について
物品調達基金で物品の調達を行う対象機関は、次のとおりであり、すべての部署や機関
を含むものではない(長崎県物品調達基金管理規則(以下、「基金管理規則」という)第 2
条)。
・本庁各課(知事部局、教育庁、各種委員会事務局、監査事務局、議会事務局)
・長崎振興局、西彼福祉事務所等の長崎市及び西彼杵郡に所在する「かい」
エ.調達物品の区分について
物品調達基金で調達を行う物品は、次のとおり区分される。(基金管理規則第 4 条)
(調達物品の区分)
第4条
(1)
調達物品は、次のとおり区分する。
ア
共通物品
在庫物品
あらかじめ購入した上で保管し、対象機関の長の請求に応じて総務事務センター長が交
付する調達物品をいう。
イ
共通単価物品
あらかじめ単価契約を締結し、対象機関の長の請求に応じて総務事務センター長が
調達を行う調達物品をいう。
(2)
ア
直払物品
直払物品
対象機関の長の請求に応じて総務事務センター長が調達を行う調達物品で、共通物品及
び直払単価物品以外のものをいう。
イ
直払単価物品
あらかじめ単価契約を締結し、対象機関の長が直接納品の指示を行うことができる
調達物品をいう。
つまり、調達物品の区分を以下のように整理すると理解しやすいと思われる。
146
調達物品
A
在庫物品
管理方法
全庁的に使用する物品を総務事務センターが
対象物の例
封筒、賞状用紙、祝辞用紙等
一括発注し、在庫管理するもの
B
共通単価物品
全庁的に使用する消耗品等で、総務事務センタ
ボールペン、バインダー、ノー
ーが単価契約を締結して調達するもの
ト等
C
直払物品
各課の要求により、その都度調達するもの
印刷物、各種備品等
D
直払単価物品
直払物品のうち単価契約するもの
ガソリン、軽油、県公報、コピ
ー用紙、トイレットペーパー
オ.調達物品による事務作業手順の違いについて
基金管理規則第 5 条以降に従い、調達物品の区分ごとの調達事務の流れ(以下、フローと
言う)は、以下のとおりである。なお、フロー図の丸数字は事務の手順を示している。
(A:在庫物品)
(B:共通単価物品)
147
(C:直払物品のうち予定価格が 100 万円以内)
(D:直払物品のうち予定価格が 100 万円以上)
(E:直払単価物品)
148
カ.総務事務センター設置の背景について(物品の調達及び管理事務の一元化)
総務事務センターは平成 19 年 4 月に設置されたが、その背景は、「不適切な物品調達問題
に関する総括報告書(平成 19 年 2 月 20 日)」の「第 8
テムについて
再発防止策
2(1)物品調達シス
①物品の調達及び管理事務の一元化」において、以下のとおり記述されて
おり、消耗品等については、職務の分離を行うことで相互に牽制機能を働かせ、適切な物
品調達を図るという趣旨で、総務事務センター及び地区別物品センターが設置されている。
「不適切な物品調達問題に関する総括報告書」73 ページ抜粋
① 物品の調達及び管理事務の一元化 《実施時期:平成19年4月》
本庁に「総務事務センター」、地方機関には地区別に「物品センター」を設置し、消耗品等については、
原則として、各所属における個別の調達は行わず、各センターに物品調達及び管理事務を一元化して、
購入の意思決定と実際の購入を分離し、各所属と業者との接点を遮断することにより、架空請求の防止
とともに検品・納品システムの実効性を確保する。
また、在庫管理(コンビニ方式)により一定数量を常に確保し、利便性の向上や急を要する調達への対
応を可能にする。
②
各論に至る着眼点について
ア.公金支出情報から得られる公金振替データの分析について
平成 18 年度に明るみになったいわゆる「不適切な物品調達問題」を受けて、県は情報公
開の趣旨から、長崎県公式ウェブサイトに「公金支出情報公開システム」を公開し、デー
タベース化された平成 19 年度以降の公金支出情報を外部からも検索できるようにしている。
この公金支出情報公開システムを今年度監査でも活用し、物品調達基金を介した各課に
おける需用費の調達について情報を収集し、分析を試みた。
分析対象とした当該システムのデータは検索可能な平成 19 年度から平成 23 年度(各年
度の出納整理期間も含む)の物品調達基金を介して調達した需用費の全データである。ま
た抽出にあたっては、会計の別を問わず、一般会計(繰越を含む)及び全特別会計を対象
とした。
149
その結果、需用費データの総件数、支払金額(この場合、物品調達基金へ各課が公金振
替を行った振替金額)の総計は以下のようになった(①イの基金増減表の増減額との差は
対象が需用費のみであるからである)。
年度
件数
公金振替額
H19
21,080 件
532,297,305 円
H20
21,226 件
511,844,105 円
H21
21,001 件
433,750,850 円
H22
20,363 件
513,655,024 円
H23
19,968 件
497,612,508 円
合計
103,638 件
2,489,159,792 円
これを、月ごとに集計し、公金振替額の推移をグラフ化したのが次のグラフである。
(物品調達基金を介した需用費の公金振替額の月次推移)
(グラフの元データ)
(単位:円)
4月
年度
件数
5月
月額計
件数
6月
月額計
件数
月額計
7月
件数
月額計
H19
0
0
1,967
34,032,744
1,874
41,093,504
2,192
51,776,196
H20
273
4,109,545
1,572
30,698,914
2,261
51,163,909
813
32,100,493
H21
185
3,649,747
1,223
27,590,978
2,803
35,461,148
1,127
30,051,699
H22
353
3,518,937
2,180
32,354,624
1,057
23,170,369
1,949
64,818,236
H23
401
2,299,228
1,829
37,989,627
1,043
28,135,794
1,643
35,137,641
150
8月
9月
10 月
件数
月額計
件数
H19
1,145
30,512,047
1,509
36,309,457
1,947
41,391,669
1,266
30,552,065
H20
1,022
38,897,164
2,914
51,304,539
1,530
46,874,583
1,561
42,860,099
H21
2,569
34,897,146
962
32,548,473
1,567
33,690,140
1,977
38,933,068
H22
1,930
43,958,604
868
36,205,573
1,794
37,571,874
1,594
38,606,787
H23
1,527
43,334,988
1,686
48,200,968
2,090
45,266,167
917
26,606,810
12 月
月額計
件数
11 月
年度
1月
月額計
件数
2月
月額計
件数
月額計
3月
年度
件数
月額計
件数
件数
月額計
H19
1,743
42,738,642
1,514
34,975,171
1,612
37,322,828
3,720
119,089,721
H20
1,588
36,953,162
1,193
30,023,525
1,957
33,779,356
3,660
74,205,838
H21
1,583
33,475,732
883
25,776,284
1,649
32,288,709
2,579
69,971,673
H22
1,895
33,117,781
1,287
28,897,136
1,551
31,979,168
1,759
59,078,419
H23
2,245
41,336,634
1,378
33,342,166
1,271
36,625,805
2,251
55,270,364
4 月(出納整理期間) 5 月(出納整理期間)
年度
件数
月額計
件数
月額計
月額計
合計
件数
合計
H19
418
32,580,414
173
△ 77,153
21,080
532,297,305
H20
735
39,555,648
147
△ 682,670
21,226
511,844,105
H21
1,372
34,455,301
522
960,752
21,001
433,750,850
H22
1,723
80,377,516
423
0
20,363
513,655,024
H23
1,569
64,062,468
118
3,848
19,968
497,612,508
このグラフ及び個々のデータの観察から以下のような特徴があると考えた。
・毎年度の傾向として、年度末の 3 月と 4 月(出納整理期間)が突出している。
・年度当初の 4 月は、振替はほとんど行われていない。ただし 4 月にも調達は行われてお
り、納品後の公金振替額の一部が翌月(5 月分)に反映している。
・平成 19 年度から平成 21 年度までと平成 22 年度から平成 23 年度とでは、3 月と 4 月(出
納整理期間)の公金振替額の傾向が異なり、4 月の公金振替額が大きくなっている。
ここから、需用費による調達について、年度末の納品タイミングの検証と納品後の消費
の実体に関する検証が必要ではないかとの着眼点を得るに至った。
つまり、
・物品の納品は 3 月末日まで間に合っているのか
・調達した物品(主に消耗品を想定)が消費されるのが翌年度になっている事例はないか
という事である。
151
なお、上記グラフで傾向分析する際、異常値として考慮すべき取引は次のものがある。
平成 20 年 3 月が突出している原因
情報政策課の指静脈認証装置 41,828,850 円
平成 22 年 7 月が突出している原因
市町振興課の参議院比例代表選選挙公報 21,238,686 円
平成 23 年 4 月が突出している原因
情報政策課の指静脈認証装置〈静紋J300〉5,512,500 円
これらの異常値を排除した結果のグラフは、次のグラフであるが、それでもなお、上記傾
向が見られる。
例えば、上記グラフを部署で分解すると、更に傾向の際立つ場合がある。
税務課の場合、分析してみると、月次推移のグラフは、3 月、4 月といった年度末におけ
る公金振替額が大きくなる傾向が鮮明になっており、全庁ベースでの上記傾向分析におい
て一部影響を与えていると考えてよいであろう。上記の着眼点での検証をおこなう必要性
を感じるところである。
(物品調達基金を介した需用費の公金振替額の月次推移-税務課)
152
(グラフの元データ)
年度
(単位:円)
4月
5月
H19
0
H20
H21
6月
7月
8月
289,267
203,790
447,226
78,711
55,438
608,914
744,337
747,076
77,718
438,583
551,539
460,556
1,037,012
H22
20,097
335,621
523,766
631,360
820,670
H23
9,139
132,902
141,618
1,095,329
440,655
年度
9月
10 月
11 月
H19
494,898
140,028
414,683
H20
838,533
111,808
H21
866,556
633,111
H22
1,095,727
H23
546,740
12 月
1,496,139
1月
285,360
904,268
1,170,407
94,525
506,848
415,896
745,622
305,547
760,086
343,952
353,743
178,028
1,047,883
514,742
587,800
428,014
年度
2月
H19
1,097,453
6,190,375
3月
4 月※
1,140,484
5 月※
0
13,103,971
合計
H20
855,728
8,478,310
3,510,448
0
17,801,083
H21
1,713,351
9,566,044
143,793
0
16,955,328
H22
5,025,356
5,495,208
392,539
0
15,976,153
H23
963,463
3,625,295
6,017,088
0
15,550,668
※出納整理期間
ただし、税務課で、このような年度末に発注が集中する背景としては、税制改正が年度
末に行われることが要因としてあり、県税の申告書などの印刷物の更改を年度末までに行
わなければ、4 月からの事業に間に合わない(多くの事業者は 3 月決算であるから、4 月か
ら 5 月の業務量が多くなる)という実務上やむを得ない側面があることを理解しなければ
ならない。そのような事情を理解しつつ、その中になお是正すべき要素がないか、検証を
進めている(後段参照)
。
153
イ.データ分析への総務事務センターの見解について
上記見解が、当方の一方的な思い込みとなってはいけないため、解析結果を総務事務セン
ターへ提示し、なぜ平成 22 年度以降、翌4月の公金振替額が増加しているのか、なぜ毎年
3 月から翌 4 月に公金振替が多くなるのか、について解析の協力をお願いした。
以下、総務事務センターからの回答の要旨である。
平成 21 年度に比較し平成 22 年度と 23 年度の 4 月(出納整理期間)の公金振替額が増加している理由
平成 21 年度と平成 22 年度の 4 月(出納整理期間)における公金振替データの増減比較(要素の分類は、
総務事務センターでの分類コードによる)。
主な原因:
①印刷物の増加
15,721 千円
平成 21 年度に実績のない印刷物(長崎県総合計画 3,568 千円など)が 10,149 千円生じている。平成
22 年度は各種計画書や報告書の作成が多かった。
②燃料油脂類の増加
6,040 千円
購入量はさほど変化はないため、単価上昇が原因と考えられる。
③写真電気用品雑品類の増加
5,788 千円
指静脈認証装置 5,512 千円など
④贈与品類の増加
5,733 千円
長崎県の子どもにすすめる 500 選 5,429 千円など
⑤雑品類の増加
7,388 千円
平成 21 年度に実績のないもの(柔道畳 5,967 千円、トートバック(国体関係)795 千円、ミニタオル
(啓発用)556 千円など)が 7,318 千円生じている
国体開催の周知や啓発活動などの開催にともなう配布品の調達が多かった。
平成 21 年度と平成 23 年度の 4 月(出納整理期間)における公金振替データの増減比較(要素の分類は、
総務事務センターでの分類コードによる)。
主な原因:
①印刷物の増加
15,556 千円
平成 21 年度に実績のない印刷物(長崎県ミュージアムガイドブック 1,544 千円など)が 15,556 千円
生じている。平成 23 年度もガイドブックや報告書等の印刷物の作成があった。
②燃料油脂類の増加
6,197 千円
原因は平成 22 年度と同じ。
⑤雑品類の増加
6,861 千円
平成 21 年度に実績のないもの(毛布(備蓄物資)4,672 千円、国体ぬいぐるみ 698 千円、クリアファ
イル等(啓発用)966 千円など)が 6,336 千円生じている
国体開催の周知や啓発活動などの開催にともなう配布品の調達が多かった。
154
各年度とも公金振替額が 3 月∼翌 4 月に多い理由について
ウ.まとめ
以上のような総務事務センターからの分析と回答が得られたため、全体としての傾向と
しては極端な異常性がないことの一応の心証を得られたところであった。しかし、個々の
事例を丁寧に検証することの必要性まで排除するに至ることはなかったため、平成 19 年度
から 23 年度のデータを上記着眼点で抽出し、(2)以降の検討を進めている。
(2)各論:データ抽出し個別に検討を行った事案について
①
以下の検出事項のリストについて
公金支出公開情報より検出したデータのうち、検出事項として取り扱うもののリストは
以下の通りである。
No
所属名
支払日
会計名
1
税務課
H24.4.2
一般会計
2
税務課
H24.4.2
一般会計
3
税務課
H24.4.2
一般会計
4
税務課
H24.4.2
一般会計
5
税務課
H24.4.2
一般会計
支払内容
物品調達基金(7.窓あき封筒(法人)県単
独 (県央))000845610021
物品調達基金(7.窓あき封筒(法人)県単
独 (県北))000845610031
物品調達基金(7.窓あき封筒(法人)県単
独 (五島))000845610041
物品調達基金(7.窓あき封筒(法人)県単
独 (対馬))000845610051
物品調達基金(7.窓あき封筒(法人)県単
独 (長崎))000845610011
155
支払金額
(円)
12,285
19,656
819
3,276
18,837
6
税務課
H24.4.2
一般会計
7
税務課
H24.4.2
一般会計
8
税務課
H24.4.2
一般会計
9
税務課
H24.4.2
一般会計
10
税務課
H24.4.2
一般会計
11
税務課
H24.4.2
一般会計
12
税務課
H24.4.2
一般会計
13
税務課
H24.4.2
一般会計
14
税務課
H24.4.2
一般会計
15
税務課
H24.4.2
一般会計
16
税務課
H24.4.2
一般会計
17
税務課
H24.4.2
一般会計
18
税務課
H24.4.2
一般会計
19
税務課
H24.4.2
一般会計
20
税務課
H24.4.2
一般会計
21
税務課
H24.4.2
一般会計
22
税務課
H24.4.2
一般会計
23
税務課
H24.3.26
一般会計
H24.4.9
一般会計
H24.4.9
一般会計
H23.8.29
一般会計
24
25
26
27
28
29
30
31
32
こども家
庭課
大会総務
課
医療政策課
水産振興
課
長崎港湾漁
港事務所
農業経営
課
農業経営
課
農村整備
課
販売戦略
課
H24.4.16
H24.4.16
H24.3.5
H24.4.2
長崎魚市場
特別会計
港湾施設整
備特別会計
農業改良資
金特別会計
農業改良資
金特別会計
H24.4.2
一般会計
H24.4.18
一般会計
物品調達基金(7−2.窓あき封筒(法人)
県単独(確定プ)000845810011
物品調達基金(7−2.窓あき封筒(法人)
県単独(確定プ)000845810021
物品調達基金(7−2.窓あき封筒(法人)
県単独(確定プ)000845810031
物品調達基金(7−2.窓あき封筒(法人)
県単独(確定プ)000845810041
物品調達基金(7−2.窓あき封筒(法人)
県単独(確定プ)000845810051
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310011
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310021
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310031
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310041
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310051
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310061
物品調達基金(10−2.窓あき封筒(不動
産取得税)料金)000911310071
物品調達基金(9−2.窓あき封筒(個人事
業税)料金後納)000872710031
物品調達基金(9−2.窓あき封筒(個人事
業税)料金後納)000872710041
物品調達基金(9−2.窓あき封筒(個人事
業税)料金後納)000872710051
物品調達基金(9−2.窓あき封筒(個人事
業税)料金後納)000872710061
物品調達基金(9−2.窓あき封筒(個人事
業税)料金後納)000872710071
物品調達基金(110.軽油引取税免税証(無
記入))000768910011
物品調達基金(マグネットシート(児童虐待
防止啓発用/県)001126810011
物品調達基金(電卓)0011803100
41
物品調達基金(献血記念品(歯磨き粉)
)00
0105210011
物品調達基金(トイレットぺーパー)001
192110011
物品調達基金(トイレットぺーパー)001
187910011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリッ
ジ(一括)001075310011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリッ
ジ(一括)001130010011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリッ
ジ(一括)001123910011
物品調達基金(PPC用紙A4サイズ)00
1195310011
156
52,920
70,560
88,200
14,112
12,348
18,900
25,200
69,300
4,410
1,890
4,410
5,040
6,825
34,125
4,777
2,730
4,095
435,750
143,325
139,650
4,381,440
272,160
136,080
110,250
110,250
78,750
37,800
33
34
35
36
37
38
39
②
農政課
福祉保健
課
文化振興
課
国保・健
康増進課
国保・健
康増進課
人権・同
和対策課
世界遺産登
録推進室
H24.4.9
一般会計
H24.4.9
一般会計
H24.4.9
一般会計
H24.4.9
一般会計
H24.4.9
一般会計
H24.4.9
一般会計
H24.4.9
一般会計
一般会計
40
総務課
H24.4.9
41
畜産課
H24.4.9
一般会計
物品調達基金(平成24年長崎県農林業施策
656,775
の概要)001120110011
物品調達基金(みんなの福祉読本「ちきゅう
1,162,255
のなかま」)000966410011
物品調達基金(長崎県ミュージアム連携促進
1,543,500
事業 長崎県ミ)001089010011
物品調達基金(臓器移植推進パンフレット)
278,013
001035610011
物品調達基金(臓器移植推進チラシ)001
103,355
035610021
物品調達基金(長崎県人権教育・啓発基本計
813,750
画(改訂版))001053110011
物品調達基金(「長崎の教会群」周知啓発用し
294,000
おり)001072810011
物品調達基金(
「教職員のためのメンタルヘル
175,770
ス相談」リー)001045110011
物品調達基金(飼料作物栽培と利用の手引き)
119,070
001044910011
税務課に関する検出事項について(No1∼23)
ア.窓あき封筒の分割調達の検討について(意見)
税務課では、窓あき封筒など県税諸用紙を地方機関分もまとめて一括印刷により調達し
ている。毎年度 10 月中旬頃に、翌年度分の所要量調査を実施し、様式が固まった順に様式
ごとに印刷発注している。このため、印刷発注は年度末近くに行われている。
このように、翌年度に使用する窓あき封筒を、当年度の予算執行により調達している。
予算単年度主義が原則であるから、合理的な理由がない限り、新年度に使用する窓あき封
筒は、新年度予算により調達しなければならない。
法人二税用の窓あき封筒は、3 月決算法人が多いため、4 月の使用量が年間で最も多くな
る。4 月に調達することとした場合、法人の申告期限を考慮すると、業務に支障をきたすこ
とも考えられる。このため、法人二税用の窓あき封筒については、翌年度使用分を年度末
に一括調達することも、合理的な理由があるといえる。
しかし、個人事業税用の窓あき封筒については、納期限が 8 月末と 11 月末であるため、
8 月に使用することとなる。このため、個人事業税用の窓あき封筒については、新年度に調
達すれば足り、翌年度使用分を年度末に調達する合理的な理由はない。
不動産取得税用の窓あき封筒については、地方機関により状況が異なり、4 月に使用しな
い地方機関もある。4 月に使用しない地方機関分の窓あき封筒については、新年度に調達す
れば足りるといえるが、4 月に使用する地方機関分と合わせて一括調達した方が、コスト面
で効率的に調達できる可能性もある。このような場合には、コスト面とのバランスを考慮
した上で、4 月に使用する地方機関分を年度末に調達し、4 月に使用しない地方機関分を新
年度に調達するか、全地方機関分を年度末に一括調達するかについて、検討する必要があ
157
る。
以上のとおり、窓あき封筒の種類により、年度末に翌年度分を調達することの合理的理
由の有無を検討し、合理的な理由の有無に応じて分割して調達する必要がある。
イ.軽油取引税免税証の分割調達の検討について(意見)
軽油取引税免税証についても、窓あき封筒と同様のことが言える。これも翌年度分 41,500
枚をまとめて発注し、平成 24 年 3 月 9 日に納品している。免税証の払出は毎月行われてい
るため、翌年度使用分が大半と言える。これも、コスト面とのバランスになるが、4 月に使
用するものを年度末に調達し、それ以降の使用見込を新年度に調達するか、年度末に一括
調達するかについて、検討する必要がある。
ウ.適正在庫の管理について(意見)
上記で述べたとおり、税務課では、毎年度 10 月中旬頃に翌年度分の所要量調査を実施し
ている。調査は「一括印刷所要量調査表」に、様式ごとの在庫数と使用見込数及び注文数
を入力することによって行われる。したがって、在庫数は適切に把握されていなければな
らないし、使用見込数も前年度実績等を踏まえたある程度の確度の高さが求められる。
在庫数が適切に把握されていなければ、使用見込数が適切であったとしても、適切な注
文数とならない。使用見込数に不足があると在庫不足を招くし、逆に使用見込数が過大で
あると過度の在庫を抱えることになる。
以下、平成 21 年度、22 年度、23 年度の一括印刷所要量調査表を転記したものである。
なお、島原出張所分は県央振興局分に含まれている(数字は個数(枚数)である)。
【様式 7
窓あき封筒(法人)
県単独(予定、更正決定)
】
平成 21 年度(22 年度用)
長崎
県央
県北
五島
壱岐
対馬
計
在庫
2,000
4,700
0
400
600
800
8,500
注文
3,000
2,000
10,000
1,000
1,000
1,000
18,000
使用見込
5,000
3,600
10,000
1,000
500
800
20,900
県央
県北
平成 22 年度(23 年度用)
長崎
五島
壱岐
在庫
0
0
400
400
注文
1,000
3,600
2,000
0
使用見込
1,000
2,400
2,000
400
平成 23 年度(24 年度用)
158
対馬
0
計
1,300
2,100
0
6,600
400
6,200
長崎
県央
県北
五島
壱岐
対馬
計
在庫
700
1,300
1,800
500
500
1,200
6,000
注文
2,300
1,500
2,400
100
0
400
6,700
使用見込
2,500
2,500
4,200
200
200
200
9,800
調査票は毎年度作成されるが、年度間の整合性につき疑義がある。通常、在庫管理の観
点からは、年度当初在庫(以下、期首在庫と言う)、期中増減、年度末在庫(期末在庫と言
う)が継続して記録され、期末在庫と翌年度期首在庫が一致しなければならない。そもそ
も、調査票の様式において、年度中の在庫の増減が把握されず、期末在庫も把握されない
点に問題がある。例えば、県央振興局の平成 21 年度(22 年度用)の予想期末在庫は 3,100
(=在庫 4,700+注文 2,000‐使用見込 3,600)となるが、平成 22 年度(23 年度用)の期
首在庫は 0 となっており、大幅に乖離している。実際の使用が 6,700(=在庫 4,700+注文
2,000)であれば、期首在庫は 0 となるが、使用見込の推移からすると、その可能性は低い。
過剰な注文が行われているケースもある。例えば、壱岐振興局の平成 21 年度(22 年度用)
の注文は 1,000 であるが、使用見込 500 の倍の注文であり、在庫 600 も勘案すると明らか
に過剰である。過剰に注文したことにより在庫が過剰となり、結果として、平成 22 年度(23
年度用)及び平成 23 年度(24 年度用)の注文が 0 となっている。
在庫数が適切に把握されていないケースもある。例えば、五島振興局の平成 22 年度(平
成 23 年用)の期首在庫は 400 で注文は 0 である。しかし、平成 23 年度(平成 24 年用)の
期首在庫は 500 であり、注文がないにもかかわらず増加している。
【様式 7-2 窓あき封筒(法人)
県単独(確定プレプリ発送)】
平成 21 年度(22 年度用)
なし
平成 22 年度(23 年度用)
長崎
県央
県北
五島
壱岐
対馬
計
在庫
0
0
0
0
0
0
0
注文
4,000
6,000
6,000
1,000
1,000
1,000
19,000
使用見込
4,000
4,500
6,000
800
500
800
16,600
平成 23 年度(24 年度用)
長崎
県央
県北
五島
壱岐
対馬
計
在庫
2,000
2,000
1,800
600
800
100
7,300
注文
3,000
4,000
5,000
800
0
1,000
13,800
159
使用見込
5,000
6,000
6,800
1,000
500
800
20,100
使用見込数が過大であるケースがある。例えば、五島振興局の平成 23 年度(平成 24 年
用)の使用見込は 1,000 であるが、各年度の在庫数が正しいと仮定すると、平成 22 年度の
実際使用数は 400(=22 年度期首在庫 0+注文 1,000‐23 年度期首在庫 600)であり、過大
な使用見込である。同様に、平成 23 年度(平成 24 年用)の注文 800 も過大である。法人
数が倍増することは考えにくいことから、平成 23 年度(平成 24 年用)の注文及び使用見
込は過剰であるといえる。
注文数が過大であるケースがある。例えば、壱岐振興局の平成 22 年度(平成 23 年用)
の注文は 1,000 であるが、使用見込は 500 であり、過大といえる。平成 22 年度の実際使用
数も 200(=22 年度期首在庫 0+注文 1,000‐23 年度期首在庫 800)であり、使用見込、注
文とも過大であったこととなる。その結果、平成 23 年度(平成 24 年用)の注文は 0 とな
っている。
【様式 9-2 窓あき封筒(個人事業税)
料金後納】
平成 21 年度(22 年度用)
長崎
県央
県北
五島
壱岐
対馬
計
在庫
1,000
0
7,000
250
10
0
8,260
注文
6,000
4,500
0
300
400
1,000
12,200
使用見込
7,000
4,300
5,500
550
400
500
18,250
平成 22 年度(23 年度用)
長崎
県央
県北
五島
壱岐
対馬
計
在庫
1,000
1,200
3,200
50
150
500
6,100
注文
6,000
3,500
6,600
1,000
0
0
17,100
使用見込
7,000
4,700
9,800
600
400
300
22,800
平成 23 年度(24 年度用)
長崎
在庫
6,000
注文
1,000
使用見込
7,000
県央
5,000
県北
五島
壱岐
対馬
計
―
350
0
150
6,500
―
700
400
600
7,700
―
700
400
400
8,500
在庫数及び使用見込数も把握しないで注文しているケースがある。例えば、県央振興局
の平成 23 年度(24 年度用)の注文は 5,000 であるが、その前提となる在庫数及び使用見込
数は把握されていない。
160
在庫が過剰であるケースがある。例えば、県北振興局の平成 21 年度(22 年度用)の注文
は 0 であるが、平成 22 年度(23 年度用)の在庫は 3,200 もある。更に平成 22 年度(23 年
度用)の注文が 6,600 であるが、実際の使用は 3,800(=平成 21 年度(22 年度用)在庫 7,000
‐平成 22 年度(23 年度用)在庫 3,200)であることを考慮すると、注文が過大であり、結
果として在庫が過剰となる。そのため、平成 23 年度(24 年度用)では、在庫、注文、使用
見込が 0 となったものと思われる。
在庫が適切に把握されていないケースがある。例えば、壱岐振興局の平成 22 年度(23 年
度用)の予想期末在庫は△250(=在庫 150+注文 0‐使用見込 400)となり、明らかに不合
理である。
【様式 10-2
窓あき封筒(不動産取得税)
料金後納】
平成 21 年度(22 年度用)
長崎
県央
県北
五島
壱岐
対馬
計
在庫
1,000
1,500
1,300
2,800
330
350
7,280
注文
9,000
4,000
5,000
0
1,000
1,000
20,000
10,000
5,500
5,500
1,000
600
500
23,100
使用見込
平成 22 年度(23 年度用)
長崎
県央
県北
五島
壱岐
対馬
計
在庫
1,000
1,700
2,100
1,700
600
1,100
8,200
注文
9,000
4,000
0
0
0
0
13,000
10,000
5,700
800
600
600
500
18,200
使用見込
平成 23 年度(24 年度用)
長崎
県央
県北
五島
壱岐
対馬
計
在庫
6,000
1,700
250
200
400
800
9,350
注文
3,000
4,000
11,800
700
300
700
20,500
使用見込
9,000
5,700
12,050
600
700
500
28,550
在庫が過剰であるケースがある。例えば、長崎振興局の平成 23 年度(24 年度用)の在庫
は 6,000 であるが、平成 22 年度(23 年度用)の実際の使用が 4,000(=平成 22 年度(23
年度用)在庫 1,000+平成 22 年度(23 年度用)注文 9,000‐平成 23 年度(24 年度用)在
庫 6,000)であることを考慮すると、年間使用量を超える在庫を抱えていることになる。
注文数が過大であるケースがある。例えば、県北振興局の平成 23 年度(24 年度用)の注
文は 11,800 である。注文の推移をみても、平成 21 年度(22 年度用)5,000、平成 22 年度
161
(23 年度用)0、平成 23 年度(24 年度用)11,800 と明らかに異常な増減である。在庫及び
使用見込を適切に把握し、適切な注文を行う必要がある。
同様に、平成 22 年度(23 年度用)の県北振興局、五島振興局、壱岐振興局、対馬振興局
の注文が 0(五島振興局は平成 21 年度(22 年度用)注文も 0)である。このことは、前年
度の注文が過大であったことを示している。在庫及び使用見込を適切に把握し、適切な注
文を行う必要がある。
また、「一括印刷所要量調査表」の推移を検証する中で、窓あき封筒以外で、上記と同様
に在庫量の推移に関し平成 22 年度での使用見込みによる翌年度理論在庫と平成 23 年度の
在庫とのかい離が大きい事例があった。
平成 22 年度での
使用見込による
予想在庫量
平成 23 年度の実
際の在庫量
平成 23 年度での
使用見込による
予想在庫量
滞納金明細書(様式 No16)
2,300 枚
14,700 枚
5,400 枚
滞納整理票(本票)(様式 No29)
3,300 枚
5,000 枚
2,800 枚
滞納整理票(継紙)(様式 No30)
1,500 枚
3,670 枚
890 枚
自動車税納税証明書交付請求書(様式 No129)
7,200 枚
16,600 枚
16,200 枚
これらの事例を見ると、使用見込みと実際の使用量とのバランスが取れておらず、結果
的に不要な在庫を抱えてしまう結果となり、在庫管理も十分に行われているとは言えない
のではないかと思われる。
今後は、適切な在庫管理に基づく、効率的な物品調達が行われるべきと考える。
③ こども家庭課に関する検出事項について(No24)(意見)
ア.市町との連携について
当該マグネットシートは、安心こども基金児童虐待防止対策強化事業に係る啓発用であ
る。公用車の両側面に添付し走行することで、県民に対し理解と意識向上を図ることを目
的として作成している。平成 23 年度当初予算及び 9 月補正予算において、啓発用マグネッ
トシート作成は予定されていなかったが、児童虐待に向けた取り組みを強化するために、
平成 24 年 3 月に県用 130 枚、市町・施設用 970 枚を作成し、平成 24 年 3 月 31 日に各市町・
施設に配布した。
配布状況は、下表のとおりである。公用車台数(a)の両側面にマグネットシートを添付す
る場合の必要枚数(b)と当該必要枚数(b)とマグネットシート実際配布枚数(c)の差を過不
足数(d)として示している。
162
配布先
公用車台数
(a)
必要枚数
(b=a×2)
配布枚数
(c)
過不足数
(d=c-b)
長崎市
566
1,132
40
△ 1,092
佐世保市
225
450
40
△ 410
島原市
137
274
40
△ 234
諫早市
222
444
40
△ 404
大村市
99
198
40
△ 158
平戸市
94
188
40
△ 148
松浦市
15
30
40
10
対馬市
237
474
40
△ 434
壱岐市
52
104
40
△ 64
五島市
23
46
40
△ 6
西海市
180
360
40
△ 320
雲仙市
213
426
40
△ 386
南島原市
149
298
40
△ 258
長与町
49
98
40
△ 58
時津町
56
112
40
△ 72
東彼杵町
20
40
40
0
川棚町
37
74
40
△ 34
小値賀町
33
66
40
△ 26
波佐見町
27
54
40
△ 14
佐々町
51
102
40
△ 62
新上五島町
68
136
40
△ 96
2,553
5,106
840
△ 4,266
52
104
130
26
2,605
5,210
970
△ 4,240
52
104
80
△ 24
50
50
52
104
130
26
小計
施設(13 施設)
市町計
県※2
予備※3
県計
※1
こども家庭課作成資料を加工
※2
福祉事務所、児童相談所、開成学園
※3
こども家庭課に保管
市町・施設に対する配布は、県からのマグネットシート活用のお願いとして一方的に行
われており、市町・施設の要望等に基づいて配布しているものではない。配布枚数につい
ても、市町・施設の公用車台数等を勘案することなく、1 市町一律 40 枚、1 施設一律 10 枚
となっている。その結果、公用車台数からするとシートが余っている市町・施設が存在す
る。また、県はシート配布後の実際の使用状況について、把握していない。そのため、シ
ートが実際に啓発に活用されたか否か等の検証もできず、その効果は不明である。
安心こども基金児童虐待防止対策強化事業においては、上記のほか、市町に対する児童
虐待防止啓発事業費補助金もある。当該補助金は、市町が、児童虐待防止について一般住
民を対象に啓発するための事業経費を、1 市町 500 千円を上限に補助するものである。各市
163
町においても啓発事業を実施することから、県事業と類似の取り組みを行う可能性がある。
したがって、県はマグネットシートの必要性や必要である場合の必要枚数等について、市
町と連携し、取り組むべきであったと思われる。
県用 130 枚については、監査時点(平成 24 年 10 月)において 50 枚がこども家庭課に予
備として保管されていた。しかし、予備の活用予定は何ら決まっておらず、結果として、
必要以上の枚数を作成したこととなる。市長・施設用 970 枚も含め、シートの必要性及び
必要枚数について、十分に検討することが必要であったと思われる。
④ 大会総務課(国体総務課)に関する検出事項について(No25)(意見)
2014 年の長崎がんばらんば国体開催に向けて、国体・障害者スポーツ大会部の組織改正
に伴う大幅な人員増が平成 23 年度、平成 24 年度に行われている。国体・障害者スポーツ
大会部には、大会総務課(平成 22 年度は国体総務課)のほか、競技式典課、施設調整課、
障害者スポーツ大会課、県民スポーツ課の各課がある。国体関係課(大会総務課・競技式
典課・施設調整課・障害者スポーツ大会課)の予算の事務に関することは、大会総務課が
所管している。そのため、国体関係課の人員増により、対象取引の電卓購入のほか、新規
増員分の消耗品の購入を大会総務課が行っている。
大会総務課によると、新規増員者が新年度当初から仕事ができるように、年度末に新規
増員分(+1 個)の電卓等を調達したとのことである。新年度に入ってからの調達の場合、
総務事務センターが共通単価物品につき業者を選定し単価契約を締結するため、2 週間程度
要することから、新年度当初からの業務に支障をきたすとのことであった。
しかし、新年度当初からの 2 週間程度の期間において、新規増員分(+1 個)の電卓等を
調達する必要性、緊急性は通常認められない。また、国体関係課の増員に伴い減員となっ
た他部各課に不要な電卓等が残る結果ともなり、物品の効率的使用の面からも不合理であ
る。
地方公共団体の会計が会計年度独立の原則、単年度主義であることを踏まえると、新年
度に必要な物品を年度末に調達した当該電卓等の購入はその理由に合理性はないものと判
断する。
⑤
医療政策課に関する検出事項について(No26)(意見)
当該事案は、献血記念品としてチューブ入り歯磨き粉を調達しているものである。この
歯磨き粉を献血者への謝礼として贈呈し、献血推進を図っている。
しかしながら、契約事務が一般競争入札を採用していることもあり、入札及び契約が 6
月末、納品が 7 月末というタイミングとなっている。平成 23 年度は 815 箱(ひと箱 80 本
入)を調達しているが、県内の採血施設での年度末時点での在庫は 328 箱であり、約 4 割
が在庫として繰越されている。結局、その 4 割の在庫については、翌年度に需用費が消費
されていることとなるため、適正在庫を意識した改善の検討が必要と考える。
164
また、この事業について過去のものを調査してみると、当方で検証可能な平成 19 年度ま
で遡ったところ、落札業者が全く変わっていない。入札は行われているので競争性が発揮
されていないわけではないが、発注の際の仕様が参入障壁となっている懸念がある。
この記念品は、市販の歯磨き粉を単に贈呈するのではなく、歯磨き粉本体への印刷と特注
の外箱(いずれも県の事業であることを周知させ、献血推進のメッセージや献血施設の案
内が記される)を準備しなければならない。このような仕様が原因となって落札経験のあ
る業者に有利な仕様となっている可能性があり、仕様の見直しを検討する必要があると思
われる。
⑥ 水産振興課(長崎魚市場特別会計)に関する検出事項について(No27)(意見)
平成 21 年度から平成 23 年度における、長崎魚市場特別会計の需用費で、トイレットペ
ーパーの調達を抽出すると以下のデータが見られた。
所属名
支払日
会計名
水産振興課
H21.11.16
長崎魚市場特別会計
水産振興課
H22.3.15
長崎魚市場特別会計
水産振興課
H22.11.15
長崎魚市場特別会計
水産振興課
H23.3.14
長崎魚市場特別会計
水産振興課
H23.10.17
長崎魚市場特別会計
水産振興課
H24.4.16
長崎魚市場特別会計
支払内容
物品調達基金(トイレットぺーパー)
000710690011
物品調達基金(トイレットぺーパー)
001156490011
物品調達基金(トイレットぺーパー)
000717800011
物品調達基金(トイレットぺーパー)
001141400011
物品調達基金(トイレットぺーパー)
000630610011
物品調達基金(トイレットぺーパー)
001192110011
支払金額
(円)
262,080
262,080
267,120
267,120
272,160
272,160
抽出した期間内で、毎年、二回しか調達を行っていない。表の最下段、平成 23 年度の二
回目の調達による納品は、3 月 19 日であった(発注数 4,800 ロール)。つまり、この発注に
よるトイレットペーパーは最短でも 9 月半ば、最長では 10 月半ばまで在庫として存在する
ことが、過去の発注の頻度とタイミングから分かる。
このような発注は見直すべきであり、年度末時点で保有すべき在庫量としては、4 月の納
品時点まで耐えられる適正在庫量に修正するべきである。
⑦ 長崎港湾漁港事務所(港湾施設整備特別会計)に関する検出事項について(No28)(意
見)
平成 23 年度と平成 24 年度のトイレットペーパーの調達を抽出すると以下の通りとなる。
所属名
支払日
会計名
支払内容
長崎港湾漁
港事務所
H23.6.13
港湾施設整備特別会
計
物品調達基金(トイレットぺーパー)0
00201610011
165
支払金額
(円)
68,040
長崎港湾漁
港事務所
長崎港湾漁
港事務所
長崎港湾漁
港事務所
長崎港湾漁
港事務所
長崎港湾漁
港事務所
長崎港湾漁
港事務所
長崎港湾漁
港事務所
H23.8.15
H23.9.20
H23.11.14
H23.12.19
H24.1.16
H24.4.16
H24.7.17
港湾施設整備特別会
計
港湾施設整備特別会
計
港湾施設整備特別会
計
港湾施設整備特別会
計
港湾施設整備特別会
計
港湾施設整備特別会
計
港湾施設整備特別会
計
物品調達基金(トイレットぺーパー)0
00409310011
物品調達基金(トイレットぺーパー)0
00517710011
物品調達基金(トイレットぺーパー)0
00707510011
物品調達基金(トイレットぺーパー)0
00828510011
物品調達基金(トイレットぺーパー)0
00898410011
物品調達基金(トイレットぺーパー)0
01187910011
物品調達基金(トイレットぺーパー)0
00306920011
68,040
68,040
68,040
68,040
68,040
136,080
65,520
この結果、平成 23 年度の年間では合計 544,320 円が発注されており、月平均で平成 23
年度の最終調達 136,080 円を除すると約 3 か月分の発注が行われていることが分かる。こ
の発注の納品は 3 月 9 日であった。
平成 24 年度の最初の発注は、上記表の最下段であるが、
納品が 6 月であるから、やはり 4 月半ばから 6 月半ばまでの約 2 カ月分は過剰な発注であ
ったと言える。
このような発注は見直すべきであり、年度末時点で保有すべき在庫量としては、4 月の納
品時点まで耐えられる適正在庫量を意識した発注を行うべきである。
⑧
農業経営課(農業改良資金特別会計)に関する検出事項について(No29、30)(意見)
当該特別会計の需用費について検証したところ、リサイクルトナーカートリッジの調達
について平成 22 年度は 4 月(出納整理期間)の一件、平成 23 年度は 3 月と 4 月(出納整
理期間)の二件であった。
所属名
支払日
農業経営課
H23.4.4
農業経営課
H24.3.5
農業経営課
H24.4.2
会計名
支払内容
農業改良資金特別
会計
農業改良資金特別
会計
農業改良資金特別
会計
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)001171400011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)001075310011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)001130010011
支払金額
(円)
131,250
110,250
110,250
トナーカートリッジの調達のサイクルが決まって年度末であり、しかも特別会計は特定
財源によって賄われている以上、一般会計とは支出及び消費が当然に分離していなければ
ならないはずであるが、需用費にはトナーの調達はあってもPPC用紙(コピー用紙)の
調達が見られず、需用費の内容に矛盾が存在する。このような事務は適切ではないため、
今後是正するべきである。
⑨
農村整備課に関する検出事項について(No31)(意見)
平成 22 年度から平成 23 年度のリサイクルトナーの調達は、以下の通りである。
166
所属名
支払日
会計名
農村整備課
H22.6.28
一般会計
農村整備課
H22.8.30
一般会計(繰越)
農村整備課
H22.12.6
一般会計(繰越)
農村整備課
H23.2.28
一般会計(繰越)
農村整備課
H23.4.4
一般会計(繰越)
農村整備課
H23.10.3
一般会計
農村整備課
H23.12.5
一般会計(繰越)
農村整備課
H23.12.5
一般会計
農村整備課
H24.4.2
一般会計
支払内容
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)000145500011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)000440900011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)000702700011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)000995100011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)001157200011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)000483810011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)000737310011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)000737210011
物品調達基金(リサイクルトナーカートリ
ッジ(一括)001123910011
支払金額
(円)
105,000
105,000
105,000
105,000
78,750
26,250
78,750
26,250
78,750
24 か月の平均からすると、最終の調達は、2.7 か月分に相当することがわかる。最終調
達の納品は、3 月 13 日、平成 24 年度の最初の発注による納品は 8 月 14 日と約 5 か月間納
品がない状態が続いており、昨年度からの在庫が存在していたことは明らかである。組織
における業務の見直しや、プリンタからコピー機への出力機器の移行によるトナーの消費
スピードの鈍化もあったようであるが、適正な在庫量を意識した調達をするべきである。
⑩
販売戦略課に関する検出事項について(No32)(意見)
平成 22 年度から平成 23 年度のPPC用紙(コピー用紙)の調達は、以下の通りである。
所属名
物産流通推
進本部
物産流通推
進本部
物産流通推
進本部
物産流通推
進本部
物産流通推
進本部
支払日
会計名
H22.11.29
一般会計
H22.12.28
一般会計
H23.1.31
一般会計
H23.4.4
一般会計
H23.4.20
一般会計
販売戦略課
H23.7.19
一般会計
販売戦略課
H23.9.20
一般会計
販売戦略課
H24.1.23
一般会計
販売戦略課
H24.4.18
一般会計
支払内容
物品調達基金(PPC用紙A4サイズ)0
00757300011
物品調達基金(PPC用紙A4サイズ)0
00857800011
物品調達基金(PPC用紙A4サイズ)0
00942400011
物品調達基金(PPC用紙A4サイズ)0
01187600011
物品調達基金(PPC用紙A4サイズ)0
01208500011
物品調達基金(PPC用紙A4サイズ)0
00319210011
物品調達基金(PPC用紙A4サイズ)0
00526110011
物品調達基金(PPC用紙A4サイズ)0
00925010011
物品調達基金(PPC用紙A4サイズ)0
01195310011
167
支払金額
(円)
11,497
11,497
17,246
11,497
22,995
25,200
37,800
25,200
37,800
平成 23 年度の平均で最終の調達を除すると、3.6 か月分の調達であったことが分かる。
この調達の納品は、3 月 14 日であり、翌年の同一品の納品は 7 月 18 日となっているため、
約 4 か月間調達が行われていない。最終調達が翌年度に繰り越されているのは明らかであ
る。今後は、適正在庫を意識した調達を行うべきである。
⑪
印刷物の納品状況について(No33∼41)
リストに掲げた印刷物の納品が 3 月 31 日までに完了しているかを検証したが、これらに
ついては納品の遅延は認められなかった。
⑫
まとめ(意見)
以上のように、個々に調達事務を検証していくと、過剰な在庫保有につながる発注が年
度末に行われ、必要以上の在庫が翌年度に繰り越され、消費されている事例が見られた。
長崎県物品調達基金管理規則第 6 条第 2 項には、「総務事務センター長は、前条第 1 号イ
又は前条第 2 号の規定による請求を受けたときは、購入の適否について審査し、
」とある。
今後は、物品調達基金を通して調達が行われる案件について適正在庫に意識するよう各課
に周知し、過剰在庫に対する牽制手続きを整備するよう呼びかける必要がある。
また、年度末における通知文書「年度末における物品の調達請求期限等について」が各
課に通知されているが、その中で「契約締結に 1 週間程度要するため、年度末の最終発注
の際、コピー用紙等数量に余裕を持った発注をされるようお願いします」との文言も、過
剰在庫を誘発するような誤解を与えぬよう今後表現を改める必要がある。
(3)その他の問題点について
①
長崎振興局に関する検出事項について
ア.適切な在庫管理の徹底について(意見)
税務課では、窓あき封筒など県税諸用紙を地方機関分もまとめて一括印刷により調達(3
月納品)している。しかし、当該取引は、税務課による一括調達とは別に、「様式 9-2
あき封筒(個人事業税)
窓
料金後納」を長崎振興局税務部が個別に調達(10 月納品)して
いるものである。
個別に調達した理由は、当該封筒が通常保管している場所になかったことから、在庫切
れであると誤認したためであった。実際は一時的に別の場所に保管されていたものである。
不要な調達を行わないように、在庫保管場所を徹底するとともに、在庫数を常に把握でき
るように、管理簿(在庫有高帳)を継続記録し備置しておく必要がある。
「3.税務課 ②適正在庫の管理について」で記載したとおり、長崎振興局に限らず、各
地方機関において、在庫数が適切に把握されていないと思われる。したがって、税務課及
び各振興局において、在庫の増減を継続して記録し、常に在庫数を適切に把握できるよう
168
に、管理簿(在庫有高帳)を作成する必要がある。
今回、
「様式 9-2
窓あき封筒(個人事業税) 料金後納」を個別に調達したことにより、
2 点影響があった。
1 点目は、過剰在庫となった点である。平成 23 年 10 月に 2,000 枚を個別調達(9 月発注、
10 月納品)しているが、平成 23 年度(24 年度用)の一括印刷所要量調査表によれば、在
庫は 6,000 となっている。少なくとも個別調達時点で約 4,000 の在庫を抱えていたことに
なる。また、2,000 枚の根拠についても、80 枚×12 か月×2 年分=1,920 枚であり、年間使
用見込量を超えている。このように在庫が過剰となっているため、適正な在庫量について
再検討する必要がある。
2 点目は、単価が高くなった点である。平成 23 年度(24 年度用)の一括調達においては、
1 枚当たり 6.5 円であったのに対し、今回の個別調達においては 1 枚当たり 21 円であり、
約 3 倍の単価となっている。総額では 30,450 円(=(21−6.5)×2,000 枚×1.05)の無駄
な支出となっている。在庫管理が適正になされていれば、抑えることができた支出である。
この点からも、適正な在庫管理を徹底する必要がある。
イ.PPC 用紙・トイレットペーパーの調達方法について(意見)
後段、「長崎地区の物品調達について(意見)」でも述べるが、長崎振興局においては、
物品調達基金をとおさず PPC 用紙・トイレットペーパーを調達している。
平成 24 年度のトイレットペーパー(直払単価物品)の契約単価は、一個当たり 54 円で
ある。物品調達基金つまり総務事務センター(長崎地区物品センター)をとおし直払単価
物品として調達すると、この単価により調達できる。下表は、長崎振興局における当該取
引の調達単価と総務事務センターの契約単価を比較したものである。
品名
古紙パルプ配合品
再生紙 100%芯なしシングル 130m
1 ケース 48 個入り
古紙パルプ配合率 100%
1 箱 100 個入り 2 箱(200 個)
ジョインテックス業務用
芯あり 65mシングル
1 箱 100 個入り 5 箱(500 個)
ジョインテックス業務用
芯あり 65mシングル
1 箱 100 個入り 1 箱(100 個)
古紙パルプ配合率 100%
1 箱 100 個入り 2 箱(200 個)
所属
1個あたり
1mあたり
総務事務センター
54 円
長崎振興局
保健部
24 円
長崎振興局
税務部
41 円
0.64 円
長崎振興局
建設部
41 円
0.64 円
長崎振興局
保健部
24 円
0.41 円
−
−
同一仕様ではなく、発注個数も異なることから、単純な単価比較はできないが、1mあた
169
り単価は総務事務センターが 0.23 円低い。今回抽出した上記税務部と建設部の調達につい
て、仮に総務事務センターで行ったとすると、600 個×65m×0.23 円=8,970 円の支出が抑
えられた計算になる。年間の長崎振興局全体の調達量を考えると、更に支出を削減できる
と思われる。
PPC 用紙・トイレットペーパーについては、長崎振興局の個別調達ではなく、物品調達基
金をとおした調達を検討すべきである。
ウ.長崎地区の物品調達について(意見)
「19 総事号外
平成 19 年 4 月 12 日 長崎・大瀬戸地区地方機関の物品調達について」
に以下のとおり記載されている。
<「19 総事号外
長崎・大瀬戸地区地方機関の物品調達について」より抜粋>
1.共通単価物品
総務事務センターで、すべて調達します。
2.直払単価物品(PPC 用紙・トイレットペーパー)
希望する地方機関については、総務事務センターで調達することができます。
3.その他の物品
各地方機関で物品購入伺簿により調達願います。
総務事務センター及び長崎地区物品センター発足時から、この通知がなされているが、
物品調達及び管理事務を一元化するために、本庁に総務事務センターを、地方機関に物品
センターを設置したという経緯も踏まえると、PPC用紙、トイレットペーパーを物品調
達基金で購入することも検討すべきである。
②
検収委任が行われていないにもかかわらず、発注元の課で検収が行われている事案に
ついて(意見)
前述、軽油取引税免税証の調達事務において、検収委任が行われていないにもかかわら
ず、発注元の課で検収が行われていた。当該調達は、100 万円未満であるため、通常、検収
委任は行われないが、印刷所から課へ直接印刷物が届けられたため、検収が課で行われた
ものである。このように、100 万未満でも事実上検収委任が行われる場合には、検収委任の
手続きをおこなう必要がある。
③
総務事務センターにおける納品書の受領等について(意見)
現在、各課に直接納品される物品等に関しては、金額の大小に関わらず、各課において
納入業者が発行した納品書を受領・保管している。
総務事務センターで調達した物品のうち、検収調書の作成が省略できる場合は、県が作成
した書式である納品確認書において、担当者が検収日を明記した上で、検収印を押印する
170
方法を採用している。
総務事務センターにおいて、何故納品書を受領しないのかヒアリングを行ったところ、
納品書に代わるものとして、納品確認書に検収日及び担当者の押印を行っている。もとも
と財務規則で基金については納品書が必要であるとされていないとの理由であった。仮に
現状で納品書を受領すると、毎日、大量の物品が納入されるため、検閲する事務負担が大
きく日常の業務に支障が生じるとのことであった。
しかし、これでは納品日に関して、何ら外部の証拠が存在しないことになる。
当該納品確認書には「納入業者記入欄」が存在するが、現在全く使用されていない。当
該「納入業者記入欄」の存在意義については不明とのことであったが、事務負担軽減のた
め納品書を受領しない代わりに、物品等の納品時に、納入業者に納品日の証明をさせるた
めに存在すると考えるのが普通であると言える。
今後、納品日が判る外部証拠書類は何らかの形で受領・保管しておくべきであり、対応
を検討すべきである。
171
Ⅱ-11
こども医療福祉センター
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
1
指定管理
H18
2
指定管理
H18
3
指定管理
H18
監査の結果
措置
検証結果
(5)財産の状況
①公有財産の管理
エ.指摘事項
(ア)従物内訳表の整備につ
いて
こども医療センター内の公
園に設置されている滑り台
等の遊具、門、囲障等の工
作物を管理する「従物内訳
表」が作成されていなかっ
た。工作物は、
「土地、建物
の従物(工作物等)の公有
財産台帳への登載につい
て」
(昭和 43 年 2 月 16 日
3 管第 32 号 総務部長通知)
に、
「従物内訳表」を作成し
て管理することが規定され
ている。したがって、これ
らについても「従物内訳表」
を作成することが必要であ
る。
(5)財産の状況
②物品の管理
エ.指摘事項
(ア)物品整理票の貼付漏れ
平成 17 年度に新規取得し
た備品のなかに、物品整理
票を貼付していないものが
散見された。このように物
品整理票が貼付されていな
い状況で、物品と物品管理
簿の照合作業が適切に実施
されているのか疑問であ
る。物品整理票の貼付が必
要である。
(5)財産の状況
②物品の管理
エ.指摘事項
(イ)廃棄処理の未実施につ
いて
現物は廃棄済であるが、長
崎県の物品管理簿において
廃棄処理が未了のものが数
件発見された。速やかに廃
棄処理を行うべきである。
ご指摘を踏まえ、従物内訳
表を作成いたします。
(平成
19 年度末完了予定)
「看護宿舎、屋外訓練場、
グランド、本館駐車場」従
物内訳表について作成して
おり、平成 19 年 10 月 26 日
に決裁を受けている。また、
「こどもセンター建物」従
物内訳表についても、作成
しており、平成 19 年 11 月
5日決裁を受けている。
ご指摘の備品につきまして
は、物品整理票を貼付いた
しました。
当時対象となった物品の殆
どが医療用物品のため、物
品整理票を直接貼付出来な
い医療器具もあったが、保
管箱等へ貼付するなどの方
法により、物品整理票の貼
付をおこなっている。
なお、物品管理の検証につ
いては、後段「2.追加検討
した事項」を参照のこと。
ご指摘の備品につきまして
は、物品管理簿上の廃棄処
理を行いました。
廃棄処理は平成 19 年 10 月 1
日実施。
ただし、その他に廃棄未了
の物品が今回の監査で発見
されている。後段「2.追加
検討した事項」を参照のこ
と。
172
4
5
指定管理
H18
指定管理
H18
(5)財産の状況
②物品の管理
エ.指摘事項
(ウ)工事請負費に含めて取
得した物品の物品管理簿へ
の記載漏れ
平成 17 年度に工事請負費
に含めて取得した物品につ
いて、物品管理簿への記載
が行われていなかった。支
出科目は工事請負費であっ
ても、取得後は建物ではな
く物品として管理するのが
適切である。したがって、
工事請負費に含めて取得し
た物品については、公有財
産台帳に登載する際に建物
と区分し、物品管理簿に記
載すべきである。
(3)組織の状況
イ.意見
(ア)病棟と母子棟の集約に
ついて
看護部が病棟と母子棟に分
けられており、それぞれに
看護師が所属している。母
子棟の利用状況は低い水準
となっており、母子棟専属
の看護師を配置する必要性
は乏しくなっている。看護
部の病棟と母子棟を集約
し、業務の効率化を図るこ
とが必要である。
工事請負費に含めて取得し
た物品については、組入れ
の手続きを行い、物品管理
簿に記載いたします。
(平成
19 年度末完了予定)
下足箱、物品整理棚(中軽
量ラック)、傘立て、ホワイ
トボード、電動スクリーン
ボックス、大型ディスプレ
イについては平成 19 年 11
月2日付で物品管理簿に登
記を行っている。また消毒
機器、高圧滅菌機、業務用
洗濯機、業務用乾燥機につ
いては平成 19 年 11 月 12 日
付で物品管理簿に登記を行
っている。
なお、その他の検出事項は、
後段「2.追加検討した事項」
を参照のこと。
母子入所は障 害児にとっ
て、早期療育の場であり、
特に両親にとっては、家庭
療育のポイントを学ぶ場で
もあります。入所者のアン
ケートにおいても、80%以
上の方が今後も母子入所を
希望するという結果が出て
おり、平成 19 年度は、若
干ですが利用者数も増加し
ております。
(1日の平均利
用者数 平成 18 年度 2.6
人、平成 19 年度 11 月現在
3.2 人)また、母子入所に
は障害の受容に向けた心の
サポート等お互いの信頼に
基づく継続的な支援が求め
られており専属の看護師が
必要であります。今後は、
専属の看護師の配置数及び
母子棟の有効活用を検討し
ながら業務の効率化を図っ
てまいります。
173
監査当時と状況が変化して
おり、また効率性の観点の
みでは、当施設の本県にお
ける役割は判断できないと
考える。
とはいえ、監査を受けての
対応をセンター側でも行っ
ており、その内容について
は、別記(No5,6)にて掲載
している。
また下記 No13 にあるよう
に、毎期 2 億以上の支出超
過が生じている現実も無視
できない。
センターの役割と効率性と
のバランスは今後一層の努
力が求められると考える。
(意見)
6
指定管理
H18
(4)利用状況
イ.意見
(ア)利用状況の分析につい
て
患者数の状況から分かるよ
うに、一般病床及び母子棟
病床の利用状況の改善を図
る必要がある。特に母子棟
病床については、利用者の
ニーズと乖離が生じてきて
おり、一般病床への転用も
検討すべきである。また、
非常設科について、その意
義、必要性を否定するもの
ではないが、歯科以外の利
用状況は低迷していること
が分かる。眼科にいたって
は、大学において研修制度
が変更されるなど、医師の
派遣を受ける予定にしてい
た大学側の事情による面も
あるが、未だに診療が開始
されていない。これらの開
設のために投資された医療
機器等の額を考慮すると、
稼働率の向上が必要と考え
られる。また、新しい科の
開設にあたり、十分な需要
予測が行われた形跡が無
く、意思決定のための情報
収集・分析プロセスが不足
している。
さらに、不確定要素が多い
なかで、段階的に医療機器
等を整備していく手法を採
るべきであったと考えられ
る。次に、運営コストの分
析結果から分かるように、
県民負担額は低い水準では
ない。このような状況にあ
りながら、こども医療セン
ターの経営状況を的確に把
握し、分析・検討する仕組が
構築されていない。例えば、
会計制度は現金主義に基づ
くいわゆる官庁会計であ
り、また、医事システムか
ら、入院外来別・診療科別
の稼動データを作成し、分
析・検討することも行われ
ていない。こども医療セン
ターのように、多額の収入
が発生し、かつ多額の資産
を有するような施設では、
官庁会計のみで経営管理を
十分に行うことは難しく、
肢体不自由児施設において
は、低年齢児が家庭から離
れて入所して いることか
ら、厚生省児童家庭局長通
知により、母子入所を目的
とする母子棟の運営に関し
ては、一般病棟とは別に設
けるものとするほか、他の
療育部門における療育に支
障を来すことのないよう特
に留意することとなってお
ります。このため、現時点
で母子棟病床を一般病床に
転用することは難しいと判
断しております。なお、平
成 19 年度は、母子入園の
利用の呼びかけによって、
利用者も若干増加してきて
おり、今後とも利用者の確
保に努めてまいります。
非常設科(歯科を除く)に
ついては、対象が障害児で
あることから、治療に長時
間を要し、保護者へのフォ
ローも含めて、1人当たり
の診療時間は約1時間必要
で、一般病院等に比べ利用
効率が低くなっております
が、ご意見を踏まえ、今後
は、情報収集・分析と需要
予測を十分に行い、稼働率
の向上を図っ てまいりま
す。また、眼科について、
引き続き医師確保に努力し
てまいります。こども医療
福祉センターにおいては、
医療のみでなく、福祉施策
事業が多いことから、企業
会計を導入することは考え
ておりませんが、今後、経
営分析に必要 な入院外来
別・診療科別等の発生主義
に基づく経営管理データの
整備分析に努め、経営の効
率化を図ってまいります。
174
同上
発生主義に基づく企業会計
によるデータを経営管理用
として整備する必要があ
る。
また、具体的な改善につな
げていくためには入院外来
別・診療科別の経営管理デ
ータを整備することも必要
である。上記のように、病
床の利用状況、非常設科に
おける患者数の低迷、ある
いは余剰施設の有効活用な
ど、経営改善に取り組むべ
き課題は多い。児童福祉と
いう重要な施策の一環を担
う施設であるため、経営の
効率性は第一義的なもので
ないが、経営管理の仕組を
構築してこれらの課題に対
応し、一定水準の経営効率
化を図ることも必要であ
る。
7
指定管理
H18
8
指定管理
H18
(5)財産の状況
①公有財産の管理
オ.意見
(ア)看護宿舎の有効活用に
ついて
こども医療センターに併設
されている看護宿舎につい
ては、現在入居者がいない
状況であり、今後も入居の
可能性は低いとのことであ
る。建物自体も相当老朽化
しており、現状のまま他の
用途に転用することも困難
である。したがって、隣接
する駐車場用地と併せ、売
却を含めた有効活用策を検
討することが必要である。
(5)財産の状況
②物品の管理
オ.意見
(ア)未使用備品の有効活用
又は廃棄処分の実施につい
て
平成 17 年度に新しい機器
を取得したためと思われる
が、未使用の備品が数件発
見された。これらについて
は、他の施設での利用、民
間等への譲渡等の有効活用
を行い、それが出来ないの
であれば速やかに廃棄処理
を実施すべきである。
看護宿舎については、今後
も老朽化等により入居者が
見込めないため、建物の解
体を含めて隣接する駐車場
と併せた有効活用について
検討してまいります。
平成 21 年 2 月 6 日に、新行
政推進室に所管転換を行
い、同日に用途廃止のうえ、
平成 21 年 3 月 26 日に宿舎
を取り壊している。
取り壊し後は、整地を行い
県央振興局の駐車場として
使用している。
未使用の機器の中には、故
障時の予備用として保管し
ているものもありますが、
それ以外の機 器について
は、他の施設での利用等の
有効活用を検討してまいり
ます。また、既に耐用年数
を超え、修理不能の機器に
ついては、廃棄処理をいた
します。
物品の管理については問題
がある。
眼科用機器備品の未使用状
態での放置、パソコン等廃
棄処理の問題については
「2.追加検討した事項」を
参照のこと。
175
9
指定管理
H18
(6)契約事務
ウ.意見
(ア)委託契約について
平成 17 年度は、1,000 千円
以上を対象とした 7 件の委
託契約に対して一般競争入
札は 0 件、指名競争入札は
3 件であり、他の 4 件はす
べて随意契約であった。随
意契約について 2 社以上の
見積を必要とする契約につ
いて、入手されていない契
約も多く見受けられた。随
意契約については落札率が
99.4%∼100%と高い水準
である。また、随意契約の
理由も過去の実績に基づく
専門性、同業他社の価格に
ついての推測及び信頼性等
である。特に、医事業務に
ついては、個人情報取扱が
厳格になっているという社
会環境に反して、個人情報
を外部保管していることを
随意契約の理由としてお
り、随意契約を締結する以
前の問題といえる。今後は、
競争原理導入及び透明性の
観点から競争入札の実施を
検討する必要がある。
平成 19 年度から、1,000
千円以上の委託契約のうち
医事業務を含む 3 件につ
いて、新たに指名競争入札
を実施いたしました。今後
も、透明性及び経済性を確
保するため、基本的に競争
入札を行ってまいります。
176
委託契約については、左記
の措置とは相違して、平成
22 年度末の入札形態は、4
件中 3 件が随意契約、1 件が
指名競争入札であった。
なお、随意契約 3 件のうち、
清掃・洗濯業務は平成 21 年
度に 2 年間の長期継続契約
ということで、医事業務は
平成 21 年度に 3 年間の長期
継続契約ということで、そ
れぞれ指名競争入札を行っ
たもので、それにより平成
22 年度は随意契約となって
いる。
平成 23 年度からは警備業務
も一般競争入札を導入した
とはいえ、今後も競争入札
の導入による競争性・公平
性の確保が必要である。
(指
摘)
10
指定管理
H18
(6)契約事務
ウ.意見
(イ)工事契約について
こども医療センター解体
(1期)工事、こども医療
センター解体(2期)工事
及びこども医療センター新
築工事の工事契約の入札に
係る「入札執行通知書」に
は、何れも最低制限価格が
設定されている。
財務規則第 98 条によれば、
「契約担当者は、令第 167
条の 10 第 2 項に規定する
最低制限価格を設ける場合
には、第 97 条の規定により
決定した予定価格の 3 分の
2 を下らない範囲内におい
て定めなければならない。」
とされている。最低制限価
格を設定する趣旨は、一般
競争入札により工事又は製
造の請負契約を締結しよう
とする場合において、当該
契約の内容に適合した履行
を確保するために特に必要
があると認められるときに
定められるものであるが、
実務上は工事案件ごとに、
品質の確保や下請業者の保
護等を含めた総合的な判断
により適正な価格として、
建設工事入札手続検討委員
会で算定方法を決定するこ
ととされている。上記 3 件
の工事入札においては、最
低制限価格を下回ったとし
て失格した業者が多数存在
するが、契約額の低減を図
るためにも、予定価格及び
最低制限価格の設定につい
ては慎重を期することが望
まれる。
予定価格については、年 4
回の単価見直しを行い、特
殊なものはそれぞれに見積
をとり単価決定しています
ので、市場価格を反映し適
性に算定されていると考え
ております。
また、最低制限価格につい
ては、工事の品質確保や下
請業者の保護等のため、県
として適正な価格として入
札手続等検討委員会で算定
方法を決定しております。
今後とも、予定価格及び最
低制限価格の設定にあたっ
ては、慎重を期してまいり
ます。
177
該当する事案なし。
なお指摘のあった3件のう
ち2件は解体工事であり、
解体工事については、参考
数量を公開していないの
で、予定価格と落札額の差
が大きかったことが考えら
れ、現在、業者の負担軽減
のため、参考数量の公開に
向けて検討を行っていると
の回答であった。
11
指定管理
H18
12
指定管理
H18
(7)その他財務事務エ.
意見
(ア)医薬品の指名競争入札
について
こども医療センターでは、
医薬品等納入に係る単価契
約について、指名競争入札
を半期毎に実施している
が、上期と下期の入札結果
を比較すると、落札者及び
入札価格は大半が同一とな
っている。適切な購入量の
見積りを可能にするため
に、入札を半期毎に実施し
ているということである
が、購入数量に応じて見積
価格は全く影響を受けてい
ないという結果が出てお
り、事務効率の観点から、
市場調査等を行って価格変
動の可能性のあるアイテム
に絞って実施することが適
当と考えられる。
(7)その他財務事務エ.
意見
(イ)巡回療育相談事業につ
いて
当該事業は、
「長崎県障害児
地域療育等支援事業実施要
綱」に基づき、長崎県の指
定を受けて過去から実施さ
れている。こども医療セン
ターの整形科医師、小児科
医師、理学療法士・作業療
法士、言語聴覚士等が 3 名
∼6 名でチームを組んで、
保健所や市町村と連携しな
がら県内の離島を含む地域
を巡回して、巡回療育相談
や家庭訪問等で療育相談に
応じるものである。平成 17
年度の巡回療育相談事業に
は、医師が 121 日、理学療
法士等のスタッフが 280 日
間従事している。当該事業
は福祉事業であり収益はな
い。
(ただし、国から相談 1
件あたり 7 千円の交付税が
長崎県に入る。)当該事業
は、外来診療、入院・入所
等の事業とは異なる事業で
あり、当該コストを把握で
きるようなシステムを構築
することが望ましい。
医薬品等納入に係る単価契
約については、ご意見を踏
まえ、平成 19 年度から年
度契約による単価契約に変
更いたしました。
特に言及するところはな
い。
巡回療育相談事業に参加し
ているスタッフは、診療や
訓練等も行っており、事業
費を明確に区分することは
困難ですが、ご意見の内容
を踏まえ、本事業のコスト
を把握するための手法につ
いて検討してまいります。
現在では、巡回療育相談に
要した旅費と給与等の日割
り分を集計して、コストと
して把握している。
178
13
指定管理
H18
[総論(総合所見)]
(2)意見
ウ.施設の利用状況等
(ア)受益者負担及び県民負
担
①受益者負担について
・長崎県立こども医療福祉
センターサービスの基礎度
基礎的サービス受益者負
担割合 40.6%
検討した 13 の施設をサー
ビスの基礎度と利用者 1 人
当り運営コストに基づいて
分類した。なお、長崎魚市
場については、利用者数の
データがないため含めてい
ない。
「利用者 1 人当り運営コス
ト」は、その施設の利用者
1 人・1 回当りの県民負担額
を示すが、対象施設の概ね
中間値である 1,000 円/人
で区分している。
利用者 1 人当り運営コスト
が高い施設については、使
(利)用料金がゼロまたは
安価、運営コストが多額等
個々の事情はあるが、県民
負担を軽減させるためによ
り一層の利用促進、コスト
削減及び利用料金改定の検
討が必要であると考える。
・長崎県立こども医療福祉
センター
利用者1人当り運営コスト
17,451 円/人
当センターの利用者負担金
(入院料・外来料)は、健
康保険法、国民健康保険法
等の各法で、厚生労働大臣
が定めるところにより算定
するとなっております。厚
生労働省が告示する診療報
酬点数表に基づいて請求す
ることとなるため、利用料
の改定は出来ないものと考
えておりますが、ご意見を
踏まえ、利用者のニーズに
あわせた運営を行うととも
に、施設の効率的な運営を
行うことで、利用促進やコ
スト削減に努めてまいりま
す。
平成 17 年度から平成 23 年
度までの医業収支差の推移
をみると、以下の通りであ
る。
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
平成 20 年度
平成 21 年度
平成 22 年度
平成 23 年度
△455,320 千円
△375,330 千円
△402,924 千円
△398,482 千円
△345,356 千円
△288,188 千円
△238,757 千円
平成 17 年当時からすると、
現在は 53%程度まで赤字が
削減されており、22 年度と
比較しても約 5 千万の削減
ができている。ただし、こ
こでいう経費には減価償却
費は含まれていない。
また、赤字の削減は、収益
の増加によるものであっ
て、経費の削減によって達
成されたものではない。
今後は、入札のありかた、
材料費等調達の効率化、人
員配置の見直しなど経費削
減を進めていく必要があ
る。(意見)
別記(No5,6)センター側からのその後の対応状況についての説明
下記の役割のように病棟と母子棟は異なる機能を持ち、病棟には手術後の乳幼児を除き、こどもが
単独で入院し、母子棟とは入院の状況も異なります。リハビリ・治療は、本人に提供されるスケジュ
ールで、母子棟では、親(保護者)への指導を考慮し、部屋も日常生活の延長で作られています。
役割の点から、また、単独で入院しているこどもへの配慮の点からも病棟、母子棟とは一緒にはで
きません。
【病棟の役割】
・
肢体不自由児、不登校児などがリハビリ・手術・心のケアを受ける目的で入院する。
・
目的が達成するように治療・援助を行う。
【母子棟の役割】
・
発達の遅れや肢体不自由、重度の障害がある乳幼児期のこどもと保護者と一緒に入院してもらい、
179
こどもの療育と母親に対する子育て支援を行う。
【看護師の配置】
病棟と母子棟を一つの看護体制として看護職員の配置を行っている。なお、母子棟の特殊性から副
看護師長をリーダーとして固定し、ほかの看護職員全員が病棟および母子棟を担当している。
【改善のための対策】
1)親子入院
平成 18 年度と比較すると年々増加し、平成 23 年には 138 名の入院があった。再利用促進のために
次の利用の時期を伝えて終了することと目標を設定してゴールを確認することを徹底し、また、新規
利用者開拓のために長崎医療センターの小児病棟と連携を図り、てんかん術後患者や髄膜炎・脳炎な
どの児童の受入を行ったことにより増加した。
2)発達障害児の利用拡大
①評価入院
H20 年 6 名、H21 年 136 名、H22 年 161 名、H23 年 183 名
②1週間の入院(めだか組)
新設
③プレスクール(2週間)
定員5名で2回開催し、10 名の利用があった
発達障害児は親子入院の枠で受け入れていたため、発達障害児に合わせたプログラムへ見直すとと
もに、発達障害児の指導は受診時から必要であるため、評価入院を開始したところ、平成 20 年に離島
をはじめ、徐々に遠隔地の新患者の利用が増えた。評価入院を契機として、かかわり方が重要という
点とサポートする専門職がいるという点を保護者へ伝えることができ、療育への導入がスムーズであ
る。
病棟入院では、在宅療養中の高校生以上の在宅支援という視点からリハビリ目的入院を新設した。
高校卒業後、学校の支援がなくなることで機能低下が課題となる在宅療養の 18 歳以上の障害者の在宅
生活支援のため、在宅での課題をもち、解決へのヒントをみつけるという目的で 1 週間から 1 ヶ月程
度の入院を受け入れるようにしたが、ニーズは高く、手術が集中する時期は、入院を待ってもらって
いる。また、親の仕事や病気などのために、夏、冬、春休みに就学児が利用する場合がある。
リハビリ目的入院(実績):H22 年 22 名、H23 年 34 名
非常設科の泌尿器科、耳鼻科は共に入院児の受診が少ない状況ではあるが、術後にギプスを巻いた
状態で他の病院を受診しなくて済むため、継続して実施しています。
泌尿器科は、23 年度徐々に患者数が増え、予約が入らない状況や診察終了が遅くなったため、平成
24 年 1 月に月1回から月 2 回の診察にしました。障害をもったこどもは、開業の泌尿器科では診察を
断られる場合もあります。医師は大学病院から派遣されるため、必要時は大学病院で検査・入院が可
能となり、スムーズな連携が図られています。
耳鼻科の受診者は減少したため、月 2 回から月 1 回としました。なお、長崎市には障害をもったこ
どもが受診できる耳鼻科が開業されました。
180
泌尿器科 外来数
耳鼻科 外来数
25
18
16
20
14
12
15
H23
H24
10
10
H23
H24
8
6
人数 5
人数
0
4
2
月
3月
2月
1月
12月
11月
9月
10月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
9月
10
月
11
月
12
月
8月
7月
6月
4月
5月
0
月
眼科については、計画当初は大学の医局から派遣の了解を得て、眼科を設置しましたが、その後、派
遣制度が変わったことにより、派遣してもらえず、現在に至っています。また、平成 16 年頃と比較して
障害をもったこどもの診療を行う開業医が増えており、そこを受診している状況があります。
こども医療福祉センターにおいては、医療だけでなく、福祉施策事業も多いことから、企業会計を導
入する考えはありません。なお、効率的な運営を図るために、毎月、発生主義に基づく入院外来別・診
療科別、診療行為別の経営データの整備分析を行っています。
2.追加検討した事項
(1)医事システムで管理できない請求事務のチェック体制の強化について(意見)
医事システムで管理できない福祉施設利用者負担金等の請求業務について、通常の医療
事務に比べシステム依存度が低く、請求内容が自動計算されない環境にありながら、計算
チェックが行き届いておらず、牽制が甘い状態となっている。実際に計算誤りも生じてお
り、還付処理が発生している。今後は、ダブルチェックを用いるなど計算誤りの抑制に努
めるべきである。
(2)窓口で発行される手書き領収書の管理について(意見)
また、発行される本人請求分(窓口納付)の領収書がナンバリング管理されていない。
更に使用中の領収書のナンバリング管理はもちろん、未使用の領収書綴りのナンバリング
や領収書綴り自体の出納簿の作成、未使用の領収書綴りの金庫内管理の実践など、現金取
扱いの牽制強化の早急な対策が必要である。
(3)適時な調定が行われていないことによる越年処理について(指摘)
平成 24 年度の入院料の調定において、窓口納付(本人負担分)の遅延から前年度分とす
べき調定が 2 件、計 83,600 円が発見された。本来は退院時が平成 23 年 3 月中なのである
から、診療行為の完了した年度の歳入として 3 月中に納付させるべきであったはずである。
181
適時適切な納付手続きを行うべきである。
(4)レセプトの査定・再審査の管理について(意見)
レセプトの査定、再審査結果の管理のための一覧表が作成されているものの、顛末が完
全に記載されていない。今後は、査定減で受け入れた案件についても、その旨記載すると
ともに、担当者のみならず、上席者の査閲も証跡として残すべきであろう。
(5)請求事務の承認手順の見直しについて(意見)
社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会への請求事務につき、実質は事後
承認となってしまっている。本来はオンラインでデータ転送する前に承認を受け、データ
転送の受領を担当者が検証(確認)したうえで上席者に報告するべきではないか。
(6)歯科の請求事務の正確性の確保について(意見)
また、歯科については、医事システムが導入されていないためオンライン外(手書き)
であり、集計ミスや転記ミスが生じうる環境にある。計算チェックの証跡を残し、正確な
事務に努めるべきである。また、担当者へのヒアリングでは、性別誤りで基金等から返戻
される案件もこれまであったとのことであったので、入力段階での初歩的なミスのないよ
うチェックの徹底を求めたい。
(7)こども医療福祉センターで発生した過年度収入未済の管理・徴収について(指摘)
センターで発生する債権の多くは、障害施設使用料(入院料、外来料、文書料)であり、
これらは私法上の債権(時効 3 年)である。
私法上の債権であるため時効の援用がないかぎり催告を続けなければならないが、一方
で時効を中断させるよう、債務承認を取り付けるなどの適切な時効管理が必要である。
債権管理簿に記載された催告の状況では、継続した催告が行われていない事例も見られ
たところなので、毎期継続して催告を続け、回収努力を続けられたい。また債権管理簿の
記載も漏れのないようにするべきである。
(8)医事システムの管理が不十分であることについて(指摘)
こども医療福祉センターにおける医事システムを中心としたシステム管理が脆弱である。
パスワード管理(ID やパスワードの付与、特権 ID の管理、パスワードの変更管理など)、
マスタの変更管理(例えば点数変更等のデータ更新の履歴やプログラム更新、その後のテ
ストによる検証など)、バックアップ管理、外部からのアクセス管理(ウイルス対策)、非
常用電源の確保、システム使用者からの個人情報に係る誓約書の徴取、システム管理基準
書の不存在などが見られた。今後は、本庁のシステム管理基準を参考にして適切な管理が
必要である。
182
(9)BCP(事業継続計画)の不存在について(意見)
現在、非常時の事業継続計画を策定中とのことであるが、本来は既に作成がなされてお
り、訓練が実施されていなければならない。
(10)センター内の委員会について(意見)
センターにおける医療事故を防止し、安全かつ適切な医療の提供体制を確立するため、
医療安全管理委員会が置かれている。また、医療事故防止対策を実効あるものにするため
同委員会にはリスクマネージメント部会も設置されている。これらの委員会、部会は毎月
一回程度定期的に開催され、センター内の事故報告及び防止対策等について協議されてい
る。
現在、委員会は所長・副所長・次長・看護部長・療育課長・地域連携室師長によって構
成されているが、薬局長については構成員とされていない。
従来は構成員であったが、薬局の業務対応のため、従来からほとんど会議に出席するこ
とができない状況が続いたため、平成 22 年 11 月より構成メンバーから外されている。そ
の後は、必要があるとき参考人として会議に参加することができるとされているが、過去
に誤調剤によるインシデント報告もなされているということからしても、薬局関係者は当
然に委員会の構成員に含まれるべきと思われる。
会議の開催時間等を再度検討して、センター内の安全管理体制を高めていく必要がある
と考える。
(11)物品の現物照合作業のありかたについて(指摘)
「物品管理簿との点検・照合結果報告書」において、配置物品管理者が所長で、その確
認を同じ所長が行っている例があったが、牽制が喪失している。このような場合は、代理
を立てて牽制を効かせないと作業の信頼性が得られない。
また、各セクションから「物品管理簿との点検・照合結果報告書」が提出されているも
のの、点検照合の結果、報告すべき事項の有無についての記載欄に、「有」「無」のいずれ
にも丸囲みがなく、しかも、「有」に丸囲みがあるにも拘らず、その内容と是正措置の記載
のないものも見られた。運用の見直しが必要である。
また、下記(12)検出件数の多さから、当該現物照合作業の信頼性も疑義がある。現物
照合作業は厳密に実施するべきである。
(12)物品管理について(指摘)
監査にあたり、再度現物照合を行ったが、管理簿への登載漏れ、整理票の貼付漏れ、パ
ソコンの倉庫への廃棄等、多数問題が検出された。物品管理を徹底する必要がある。
183
場所
大会議室
倉庫
検出内容
詳細
物品整理票の貼付漏れ、物品管理簿に記載されてい
ない机、パソコンがあった。
厨房
厨房の調理室・配膳室に所在する業務用の冷蔵庫(3
基)については、壁に固定してあるものの、物品と
して個別管理すべきものと考えられる。工事請負費
等で処理されている可能性があるが、これらは組入
れ手続きを行い、物品管理簿に記載しなければなら
ない。
使用中に剥がれ落ちた等の理由により物品整理票の
貼付がないものが散見された。定期的に整理票を貼
り替えるなど、貼り付けの工夫が必要である。
講堂倉庫
本来は講堂倉庫に保管されるべき長机が、センター
内の行事開催等により他の部屋の長机と入れ替って
配置保管されているのが検出された。
机について高次機能研究費(平成 3
年度)、パソコンについては「てん
かん財団研究助成(1995)」のシー
ルが貼り付けられていた。
恐らくその後の譲受の処理がなさ
れていないために備品シールの貼
り漏れ及び物品管理簿への登録が
失念されたと推測される。
貼付がないもの№2698。
物品管理簿に記載されている№
2675 の所在が確認できなかった。
1個不足→
№1755 が食堂に存在
№1754、2719、2947 は存在せず、
№2647、2718、2945 が存在
手術室
物品整理票の貼付漏れが検出された。
アドバンテージコンソール D3000
(平成 21 年度購入)が所在したが
物品整理票が貼付されていない。
№3660 の物品について 3660-2 の
VBM Tourniquet の物品整理票が貼
付されていなかった。
2F事務
倉庫
不用決定も廃棄手続きもしていないパソコンが存在
する。現在もこのパソコンは備品台帳に計上された
ままであり、更にどのパソコンが倉庫に保管されて
いるかに関しての明細も正確には作成されていない
状況である。
資産管理番号
64、135、314、318、491、543、579、
635、641、642、643、644
645、647、1426、2211
計 16 台
野外倉庫
同上
525、530、545
他
(13)パソコンの廃棄に関して(指摘)
上記パソコンに関しては、不用手続、廃棄手続きが行われておらず、当初配置場所に存
在する物として物品管理簿に計上されている。県の方においてもどのパソコンが廃棄状態
になっているかを正確に把握していない状況であった。また野外倉庫においては、私用の
パソコン 2 台も同じ場所に保管されており、保管状況は杜撰というほかない。
保管されているパソコンにはハードディスクがそのまま装着された状況であるが、こど
も医療福祉センターには患者の個人データ等機密情報が入っている可能性があることから、
早急な不用手続、廃棄手続きが必要である。更に廃棄の際、ハードディスクの破壊(デー
タの物理的消去の徹底)等の取扱いについて具体的なマニュアルの作成が現在なされてい
184
ないことから、この点についても早急な見直しが必要である。
なお、本県においては「長崎県情報セキュリティ対策基準」が定められているが、この
基準においては、具体的な廃棄手続きは定められていない。一方 Q&Aにおいては、使用済
み製品に記録されたデータ等は県が責任をもって復元不可能な状態にしたうえで、委託業
者に引き渡すとあり、少なくとも復元不可能な状態にしたうえで保管しなければ今の管理
状況では万が一盗難等が発生した場合のリスクは大きい。
写真は野外倉庫に廃棄されたパソコン類の様子である。
(14)眼科用備品について(指摘)
平成 17 年 7 月 29 日と平成 18 年 2 月 20 日に眼科用機器として購入した下記の機器に関
して、講堂奥の倉庫及び家族ルーム奥の事務倉庫にカバーをかけて保管されている状況で
ある。
これらはもともと眼科用として使用する目的で購入した機器であるが、眼科を開局する
計画が頓挫し、現在においては、開局する見込みはないとの事である。にもかかわらず公
費で購入した高額な資産を放置し続けることは許されない。
資産整理番号
品名等
受入年月日
金額:円
1231
写真光学機器類(顕微鏡)
H17.7.29
2,630,500
1233
写真光学機器類(撮影機)
H17.7.29
1,434,000
1235
医療機器類(眼科診察台)
H17.7.29
1,401,000
1241
衛生検査機器類(眼圧計)
H17.7.29
2,357,500
1242
衛生検査機器類(眼底カメラ)
H17.7.29
6,988,000
1243
衛生検査機器類(検眼鏡)
H17.7.29
2,536,000
1244
衛生検査機器類(検眼鏡)
H17.7.29
1,798,000
1245
衛生検査機器類(検眼鏡)
H17.7.29
1,787,000
1246
衛生検査機器類(視野計)
H17.7.29
2,872,000
1249
衛生検査機器類(その他)
H17.7.29
2,987,500
1250
衛生検査機器類(その他)
H17.7.29
2,357,500
185
1432
衛生検査機器類(眼圧計)
H18.2.20
279,300
1429
衛生検査機器類(検眼鏡)
H18.2.20
66,150
1430
衛生検査機器類(検眼鏡)
H18.2.20
37,590
1438
衛生検査機器類(検眼鏡)
H18.2.20
45,150
1431
衛生検査機器類(細隙灯)
H18.2.20
525,000
1433
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
22,680
1434
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
32,550
1435
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
79,380
1436
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
47,985
1437
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
34,125
1440
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
280,665
1441
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
129,150
1442
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
27,300
1443
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
40,110
1444
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
17,430
1445
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
17,430
1446
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
137,550
1447
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
8,925
1448
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
10,500
1449
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
74,550
1450
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
1,365
1451
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
1,785
1452
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
6,300
1453
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
38,430
1454
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
51,450
1455
衛生検査機器類(その他)
H18.2.20
10,500
また、下記の備品に関しては、配置場所が変更されているにもかかわらず配置場所は依
然眼科となっており、適切な事務処理を行う必要がある。
資産整理番号
品名等
受入年月日
金額:円
1087
机台類(事務机)
H17.7.29
88,620
1088
椅子類(事務用椅子)
H17.7.29
42,105
1089
椅子類(事務用椅子)
H17.7.29
28,140
186
(15)医薬品の管理について(意見)
医薬品については、数量管理の徹底を求めたい。こども医療福祉センターで規定してい
る「医薬品安全使用のための業務手順書」の見直しが必要と考える。近年、高額の医薬品
使用が増加している状況においては、数量管理が厳格に行われてこその調達の必要性が、
ますます求められる状況にあることを理解するべきであると考える。
医薬品に関して、各都道府県衛生主管部(局)長宛に厚生労働省医政局総務課長、厚生
労働省医薬食品局総務課長より「医薬品の安全使用のための業務手順書作成マニュアルに
ついて」が平成 19 年 3 月 30 日付で提出されている。
これを受けて、長崎県こども医療福祉センターにおいても「医薬品安全使用のための業
務手順書」を平成 19 年 8 月に作成し、8 月 18 日に決裁を受けている。
更に向精神薬の取扱いに関しては、
「麻薬及び向精神薬取扱いの手引き」(平成 24 年 1 月
長崎県福祉保健部薬務行政室)において、保管、記録、廃棄に関する取扱いが定められて
いる。
第2
保管
向精神薬は、病院・診療所の施設内に保管しなければなりません。また、保管する場所は、医療従事者
等が常時出入りする等、注意をしている場合以外は、鍵をかける必要があります。
【具体例】
①
調剤室や薬品倉庫に保管する場合で、夜間、休日で保管場所を注意する者がいない場合は、その出
入口に鍵をかける。
日中、医療従事者が出入りしている場合、その必要な注意をしている場合は、出入口に鍵をかける必
要はありません。
②
ロッカーや引き出しに入れて保管する場合も、夜間、休日で必要な注意をする者がいない場合には
同様に、ロッカーや引き出しに鍵をかけるか、又は部屋の出入り口に鍵をかけてください。
③
病棟の看護師詰め所に保管する場合で、常時、看護師等が出入りしている場合は、鍵をしめる必要
はありません。
*ペンタソジン、ブプレノルフィン等の向精神薬注射剤については、特に乱用・盗難の恐れが高いの
で保管管理を厳重にし、不正使用や盗難防止に一層留意してください。
第3
記録
第1種、第2種向精神薬を譲り受け、譲り渡し、又は廃棄したときは、次の事項を記録し、2 年間保存
しなければなりません。
(1)向精神薬の品名(販売名)、数量、年月日
(2)譲り受け又は譲り渡しの相手方の営業所等の名称、所在地
【注意】
①
患者へ向精神薬を交付したとき、施用したとき、患者又はその相続人等から向精神薬の返却を受け
187
たとき、あるいは返却を受けたものを廃棄したときは、記録の必要はありません。
②
同一法人の病院・診療所との間の譲渡、譲受も、記録する必要があります。
③
伝票の保存をもって記録に代えることができます。但し、向精神薬が記録されていない伝票とは別
に綴ってください。
④
第 3 種向精神薬については、記録の義務はありませんが、譲受について記録し、定期的に在庫確認
をする事が望ましいです。
⑤
製剤見本については、医薬品卸売販売業者と病院・診療所の開設者との間の譲渡・譲受の記録を省
略することができますが、必要以上の製剤見本を譲り受けないよう注意してください。
第4
廃棄
向精神薬を廃棄するときは、焼却、希釈等、回収が困難な方法によらなければなりません。
また、麻薬のように届出等は必要はありませんが、第 1 種向精神薬及び第 2 種向精神薬を廃棄したとき
は記録が必要です。
長崎県こども医療福祉センターにおいては、医薬品の管理に関して、麻薬の取扱いに関
しては、上記マニュアル、手引等に厳格に準拠して取扱等が行われており、特に問題はな
い。また毒薬であるマスキュラックス、ボトックスに関しては購入から払出しの数量管理、
及び保管庫の施錠管理も行われている。
他の薬品(向精神薬、劇薬)に関しては、払出しの数量管理の記帳は行われていないも
のの、納品伝票等の保管等はなされており、上記マニュアル、手引き等に準拠して取扱等
が行われているため、事務手続上の不備があるとはいえない。
しかし、上述の通り、紛失、盗難、誤投与等による損害が生じる可能性があり、重大な
問題となる事態も想起されるため、数量管理、在庫管理を行う事が望ましいと考える。
(16)薬局の人事体制について(意見)
長崎県こども医療福祉センターにおいては、薬局には薬局長一人しか配属されておらず、
調剤等は勿論の事、医薬品の購入、品質管理等すべての事務手続きを一人で行っている状
況であるため、事務手続上の誤りや不正への対応ができていない状況である。
相互牽制の体制への見直しを行うべきである。
(17)医薬品の廃棄について(指摘)
医薬品の現物調査を行った際、使用期限切れの医薬品が多数発見された。実際に薬局長
に確認したところ、薬局長が約 3 年前赴任してきて以来、一度も医薬品の廃棄手続きが行
われていないとの事である。理由としては上記「(16)薬局の人事体制について」でも記載
したとおり、人手不足により廃棄まで手が回らないとの事であった。適切な廃棄を行うべ
きである。
188
(18)歯科部門、耳鼻咽喉科部門の医薬品の購入に関して(意見)
歯科部門、耳鼻咽喉科部門においては医薬品安全管理責任者(薬局長)を通さずに直接
医薬品の購入手続きを行っている状況である。それらの医薬品については、薬局部門は管
理していないため、管理体制の見直しが必要と考える。
(19)長崎県こども医療福祉センター「医薬品安全使用のための業務手順書」の周知徹底
と、記載内容の見直しについて(意見)
薬局部門以外の外来部門、病棟部門、手術部門の各担当者に当該業務手順書の周知状況
を確認したが、担当者レベルでは存在自体認識してない状況であった。周知徹底が必要で
ある。また、当センターには歯科部門が存在するが、業務手順書には歯科部門の記載がな
いため、記載内容の見直しが必要である。
(20)個人情報の管理の徹底について(指摘)
医療機関でありながら、個人情報の管理が極めて脆弱である。
カルテ保管室の入退室管理、レセプト保管室の
入退室管理、レセプト保管年限(5 年)を超えた
際の廃棄証明の不存在をはじめ、本来厳格に管理
され廃棄されるべきレセプトの印刷ミスしたも
のが、事もあろうか、センター内の書類綴りにお
いて裏紙として使用されていた。
写真(上)は、物品の現物照合を行った際の綴
りで、物品管理簿の裏紙としてレセプトが使用さ
れていた例(左側がレセプト)である。
写真(下)は、支出証拠書類綴で、領収書を貼
り付ける台紙としてレセプトが使用されていた
例(左側がレセプト)である。
こども医療福祉センターではパソコンの廃棄
についても、施設屋外の倉庫に放置されており、
ハードディスク内に個人情報が記録されたまま
になっている可能性についての意識がない。極め
て遺憾な状態であるので、今後このようなことの
ないよう改善を強く求める。
(21)人材育成の必要性について(意見)
県立病院が、病院事業団へ移行したことから、こども医療福祉センターは県の組織とし
て唯一残された病院機能を有する施設となってしまった。このため従前可能であった医療
189
事務に通じた人材育成が困難な状況に陥っている。人材の枯渇によってセンターの運営管
理が危ぶまれることも懸念されるため、今後は全庁レベルで計画的な人材育成を図るべき
である。
190
Ⅱ-12-1
長崎港湾漁港事務所(港湾整備事業会計)(一部、総務文書課)
1.措置状況と検証結果
No
1
テーマ
年度
公 営 企
業 H14
監査の結果
措置
検証結果
2土地造成事業について
(3)平成 13 年度の事業費計
上取引
(土地原価に含めるべきで
ない支出の区分)
・福田神ノ島地区(臨)の
附帯工事費には法面補修工
事費が、測量調査費には法
面補修工事の設計、積算及
び工事管理業務委託料が含
まれている。当該事業費は
外部売却が困難な法面の補
修に係る工事費等であり、
資本的支出ではなく収益的
支出として処理する方法が
望ましい。
・小江地区の附帯工事費の
うち防波堤工事費及び公園
整備費と、測量調査費のう
ち防波提工事の設計、積算
及び工事管理業務委託料並
びに公園整備工事の実施設
計、設計積算及び工事管理
業務委託料は、すでに売却
した土地の所有者であるR
社の誘致に伴い近隣住民の
要請を受けて実施した工事
であり、また、照明灯補修
工事は通常の維持補修工事
であるため、資本的支出で
はなく収益的支出として処
理する方法が望ましい。
両地区ともに未成土地(未
精算)であり、ご指摘の事
業は土地造成事業費(資本
的支出)として計上すべき
ものと考え処理しており
ます。
平成 15 年度からは、未成
土地であっても、事業内容
の精査を行い、収益的支出
か資本的支出か判断して
処理することといたしま
す。
福田神ノ島地区(臨)の附
帯工事費の法面補修工事
費、測量調査費の法面補修
工事の設計、積算及び工事
管理業務委託料について
は、非売却土地の追加工事
費には原価性が認められな
いため、本来即時費用化が
必要であるとの前回監査で
の見解である。
また、小江地区の附帯工事
費のうち防波堤工事費及び
公園整備費と、測量調査費
のうち防波提工事の設計、
積算及び工事管理業務委託
料並びに公園整備工事の実
施設計、設計積算及び工事
管理業務委託料は、既に売
却した土地に付随して後日
発生したもので、原価性が
なく本来即時費用化が必要
であるとの見解であり、照
明灯補修工事も通常の維持
補修費のため、原価性がな
く、本来即時費用化が必要
であるとの見解である。
ただ、平成 14 年当時の資本
的支出と収益的支出の取扱
いに従った処理であり、そ
の点、監査では「望ましい」
との指摘になっている。
前回監査後、非売却地の追
加工事の事例はないが、小
江地区の工事は平成 15 年度
行われている。今回の監査
によって、平成 15 年度の工
事原価の取り扱いについて
は一定の判断が存在したこ
とが検証されたが、左記の
「措置」の記載内容では、
如何にして判断がなされた
のか明らかではなく、説明
責任を果たすための措置状
況の公表の位置づけからは
不十分であるといわざるを
得ない。
この問題も含め、後段 No6
との連動があるので別記
※原文を下記、別記(No1)
に記載している。原文は、
ここの支出に金額が記され
ている。
191
(No6)を参照のこと。
2
公 営 企
業 H14
2土地造成事業について
(4)造成土地の帳簿管理
(造成土地原価の管理単位
での区分)
・企業会計では、造成土地
に係る原価台帳が作成され
ておらず、発生した事業費
を地区別にプールしている
のみである。 造成土地を適
切に管理するには、あるべ
き管理単位ごとの原価台帳
を作成することが望まれ
る。
平成 13 年度までは、土地
売却台帳は整備されてい
たが原価についての記載
がなされておりませんで
した。過去に遡って正確な
原価台帳を作成すること
は困難とは思われますが、
可能な限り正確な台帳作
成を進めてまいります。
土地造成台帳は作成され、
この点においては措置はな
されている。
しかしながら、現行の土地
造成台帳の有する機能に
は、前回監査人が求めた「原
価計算制度の導入」に叶う
だけの十分な機能を満たし
ているとは言えない。つま
り、管理コストの台帳上で
の把握がなされていないた
め、管理単位ごとの採算管
理を把握できる機能までは
有していないのが現状であ
る。この点早急に整備する
必要がある。(指摘)
3
公 営 企
業 H14
2土地造成事業について
(5)造成土地の平成 13 年度
末帳簿価額の妥当性
・平成 13 年度末の完成土
地・未成土地について過去
の売却原価の算定方法は、
事業費をもとに算定した時
期と事業費に関係なく売却
額そのものを売却原価とし
て処理していた時期が混在
し、また、事業費をもとに
算定した時期でも本来区分
して原価計算すべき単位を
まとめて計算する等の適切
とはいえない会計処理が行
われているため、造成土地
の平成 13 年度末帳簿価額
は原価計算制度に基づき正
しく計算された金額とはな
っていない。
・平成 13 年度の売却原価の
算定方法は事業費をもとに
算定する方法へと改善が図
られているので、今後は原
価台帳の整備とあわせ適正
な原価計算を実施すること
が望まれる。
原価台帳の整備を進める
とともに、平成 13 年度か
ら実施している適正な原
価計算を行ってまいりま
す。
同上。
192
4
公 営 企
業 H14
2土地造成事業について
(6)未売却地の評価(意見)
・造成土地の帳簿価額は正
確な原価計算に基づき算定
された金額とはなっておら
ず、また、港湾整備事業の
事業規模が縮小傾向にある
ことから、企業会計の経営
実態及び港湾整備事業が役
割を終了することとなった
場合の影響を理解するため
には、造成土地の時価を把
握し、開示することが極め
て重要であるので、定期的
に未売却地の時価を把握
し、注記情報として開示す
ることが望ましいと考え
る。
公営企業法により原価主
義を採用しており、現時点
での資産の評価基準の変
更は困難であります。しか
し売却にあたっては、鑑定
評価により時価を把握し
て適正な価格で売却して
おり、今後も可能な限り未
売却地の時価把握に努め
てまいります。
時価把握はなされている
が、それを現行の公営企業
法の枠組みで開示すること
は強制できない。議会等へ
の含み損の状況の説明はな
されている。
5
公 営 企
業 H14
2土地造成事業について
(7)未成・完成土地に係る経
理処理
ア未成土地から完成土地へ
振替える時期
・取扱いでは「当初予算作
成時において、当該年度末
現在までの工事費執行見込
額が、工事費の全体計画額
の 97% 以上となる場合、
その年度末をもって完成土
地に振替える。」とされてお
り、従来曖昧であった完成
土地への振替時期について
明確な基準が示され改善さ
れているが、本来、完成土
地への振替は、土地の造成
が実質的に完了し売却可能
な状態になった時点をもっ
て行うべきものであり、計
画額の 97%という形式基準
はあくまで目安として考え
ることが望ましい。
平成 11 年度決算監査での
指摘もあり、完成土地へ振
替える時期については、イ
ンフラ整備に係る工事費
が総投資額に占める割合
が 3%程度であることか
ら、97%以上あれば完成土
地と考えられることとす
る内規を定めました。ご指
摘の「計画額の 97%という
形式基準はあくまで目安
として考えることが望ま
しい。」ということについ
ては、基準を目安とすると
曖昧になる可能性もあり
ますが、実質的な内容も考
慮して実施してまいりま
す。
特に言及するところはな
い。
193
6
7
公 営 企
業 H14
公 営 企
業 H14
2土地造成事業について
(7)未成・完成土地に係る経
理処理
イ 経費の支出
・取扱いでは「完成土地に
かかる経費は 3 条予算の一
般管理費、未成土地にかか
る経費は 4 条予算の土地造
成事業費で支出。企業債等
の利息は、完成土地は 3 条
予算の営業外費用、未成土
地は 4 条予算の土地造成事
業費で支出する。ただし、
完成土地についても、企業
進出に伴うインフラ整備工
事等が必要な場合、4 条予
算の土地造成事業費で支出
し、年度末において未成土
地増加分を完成土地に振替
える」とされている。
・資本的支出と収益的支出
の区分が明確化され改善さ
れているが、企業進出に伴
うインフラ整備工事等のう
ち将来の土地売却代金で回
収すべき事業費は資本的支
出として処理する必要があ
る。
3港湾施設提供事業につい
て
(2)大波止ビル底 地の使用
料
・大波止ビルは、底地を特
別会計、ビル の1階から2
階を企業会計、3階から 7
階を土地開発公社等が区分
所有している。企業会計は、
土地の使用料が免除されて
いるわけではないが、使用
料を支払っていないので、
必要性について特別会計と
協議する必要がある。
ご指摘のとおり、企業進出
に伴うインフラ整備工事
等のうち将来の土地売却
代金で回収すべき事業費
は、資本的支出として処理
いたします。
これについては、左記「監
査の結果」の文面と実際の
監査結果報告書の文面が相
違する事態となっている。
この件は重要であるので、
下記、別記(No6)を参照の
こと。
ご指摘に基づき協議した 支払いは行われており、問
結果、平成 15 年度分から、 題はない。
大波止ビル底地の使用料
を支払うようにいたしま
した。
194
8
公 営 企
業 H14
3港湾施設提供事業につい
て
(3)港湾施設提供事業のあ
り方 (意見)
・港湾整備事業は、港湾施
設提供事業も 事業の目的
としているが、同様に港湾
施設の提供を事業目的とす
る特別会計 は、企業会計が
発足した後に設置されてい
る。また、小ヶ倉埠頭野積
場の一部及び上屋は、平成
12 年度に企業会計から特別
会計に売却されている。当
該事実に着目すれば、港湾
施設提供事業は、本来、特
別会計で実施されるべき事
業と思われる。
・大波止ビルは、特別会計
が発足日より前に企業会計
が取得したものであり、現
在では企業会計が保有する
必要性は乏しいと考えられ
る。なお、大波止ビルは、
ビッグピットの完成により
港湾施設でなくなったこと
から、特別会計への譲渡が
困難な状況であるため、本
来保有すべき機関はどこで
あるのかについて検討する
必要がある。
港湾施設提供事業を実施
する会計につきましては、
引き続き検討いたします。
大波止ビルについても、引
き続き検討いたします。
小ヶ倉埠頭野積場及び上屋
敷地の所管換えは進んでい
ない。早急に上記物件は所
管換えをするべきである。
(意見)
また、港湾整備事業会計の
保有する公有財産の妥当性
については、監査結果を実
現できるよう、再度そのす
べてを検討し、適切な対応
を求める。(意見)
左記後段の大波止ビルにつ
いて、平成 20 年度及び平成
22 年度において、県関係部
局と港湾整備事業会計のあ
り方について協議を行った
が、平成 20 年度に大波止ビ
ルを含めた(※)保有施設
の引継ぎ等の閉鎖に向けた
検討を行った経緯がある。
ただし、平成 14 年度の監査
の措置としては平成 20 年度
までという時間がかかって
いる点については、対応が
遅いと言わざるを得ない。
監査の結果に対しては迅速
な対応が必要であると考え
る。(意見)
(※)当企業会計の保有す
るべき物件の妥当性の問題
については、出島交流会館
敷地についても同様である
が、これも上記に含まれて
いる。
9
公 営 企
業 H14
4自己資本金について
・平成 12 年度に小ヶ倉柳地
区に係る過年度損益修正益
を直接自己資本金に計上
しているが、損益計算書に
過年度損益修正益として計
上する方法が妥当である。
・なお、本件は、過年度損
益修正益として処理されて
いたとしても減債積立金を
経由して自己資本金に計上
されることになるので、現
状の処理と最終的な差異は
ないことになる。
今後はご指摘のとおり適
正に処理いたします。
195
特に問題なし。
10
公 営 企
業 H14
11
公 営 企
業 H14
5資本剰余金について
・昭和 46 年に資本剰余金に
計上された工事負担金
13,511 千円は、長崎港ター
ミナルビル(現大波止ビル)
建設に伴う長崎県開発公社
の負担金であるとの説明を
受けた。 当該金額は、長崎
県開発公社では設備の取得
価額に含まれていると考え
られるため、建設仮勘定の
マイナス処理が妥当であ
る。
6出島港湾ビルに係るコス
トと人件費の負担割合につ
いて
・出島港湾ビルに係るコス
トは、3 会計に占める職員
の業務構成割合をもとにそ
れぞれの会計に配分されて
いるが、業務構成割合と人
件費の算定割合との間に
は、大きな乖離が見られる
ので、同一の割合を使用す
べきである。
ご指摘のとおりと考えま
すので昭和 46 年時点での
マイナス処理に相当する
ものとして、平成 15 年度
において、建物と資本剰余
金のマイナス処理を行い
ました。
特に問題なし。
平成 16 年度の臨海開発局
移転に伴い、出島港湾ビル
に係る負担割合について
の問題は解消いたします。
特に問題なし。
196
12
公 営 企
業 H14
・港湾整備事業は、土地造
成事業の新たな計画がな
く、港湾施設提供事業も特
別会計に移管される可能性
があること から、現在所有
している土地の売却が終了
すればその役割を終了する
可能性が高いと考えられ
る。したがって、その場合
に一般会計等からの追加資
金が必要となるか否かを判
断するための情報が極めて
重要である。
・企業会計に投入された総
事業費が造成土地の売却代
等で全額回収されなければ
一般会計等からの追加資金
の投入が必要になるし、逆
に総事業費を上回る金額で
造成土地の売却ができれば
一般会計等へ戻入すること
も可能である。
・港湾整備事業が役割を終
了することとなった場合の
影響額の算定には、造成土
地及び固定資産に計上され
ている土地の時価を把握す
ることが不可欠である。し
かしながら、未売却地は主
として造成された工業用地
であり、公示価格あるいは
路線価等から客観的に時価
を算定することが極めて困
難であり、また、未売却地
は売却が困難あるいは売却
に時間を要する物件が多
く、直近の売却事例を参考
にする方法も不適当と考え
られる。したがって、定期
的に専門家の鑑定評価を入
手し、当該評価額を開示す
ることが望ましい。
ご意見の内容については、
今後の業務運営の参考と
させていただきます。
「企業会計のあり方の検
討」は長崎県行財政改革プ
ランの中でも取組項目とし
ても挙げられていたことか
ら、庁内関係部局の長で組
織される「港湾整備事業会
計のあり方検討委員会」を
設置し、会計の財務状況、
売却地について、管理用地
(非売却地)について、など
多面的な検討を行い、その
結果を平成 23 年 6 月議会に
おいて次のとおり報告して
いる。
[基本方針]
平成 32 年度末までに事業概
成を図り、港湾整備事業会
計を開鎖
[今後の主な取組]
(1)保有土地の処分促進及
び平成 32 年度までの事業概
成
1)保有土地の処分促進と販
売手法の不断の見直し
2)非売却地の一層の移管促
進
(2)会計の清算に必要な基
本的条件の確定
・会計の清算に関する会計
処理方法の検討、公債費の
抑制、内部管理経費の抑制、
評価の実施
(3)閉鎖後の事業の清算に
向けた仕組みづくり
・包括的な協議の場の設定、
資産等の取扱方針の検討、
清算後の売却地等の移管先
及び移管方法の検討
なお、関連する問題につい
ては下記「2.追加検討した
事項」を参照のこと
別記(No1)
以下、監査結果報告書の原文を転載する。
福田神ノ島地区(臨)の附帯工事費には法面補修工事費152,782千円が、測量調査費には法面補修工
事の設計、積算及び工事管理業務委託料が6,675千円含まれている。福田神ノ島地区(臨)は、平成13
年度は未成土地であったために上記事業費を資本的支出として処理したとの説明を受けたが、当該事
197
業費は外部売却が困難な法面の補修に係る工事費等であり、資本的支出ではなく収益的支出として処
理する方法が望ましい。
小江地区の附帯工事費は、防波堤工事費81,863千円、公園整備費40,111千円及び照明灯補修工事546
千円である。また、測量調査費は、防波提工事の設計、積算及び工事管理業務委託料4,035千円並び
に公園整備工事の実施設計、設計積算及び工事管理業務委託料8,520千円等である。小江地区も福田
神ノ島地区(臨)と同様に未成土地であったために上記事業費を資本的支出として処理したとの説明
を受けた。しかしながら、附帯工事費の防波堤工事費81,863千円及び公園整備費40,111千円と測量調
査費のうち、防波提工事の設計、積算及び工事管理業務委託料4,035千円並びに公園整備工事の実施
設計、設計積算及び工事管理業務委託料8,520千円は、すでに売却した土地の所有者であるR社の誘致
に伴い近隣住民の要請を受けて実施した工事であり、また、照明灯補修工事546千円は通常の維持補
修工事であるため、資本的支出ではなく収益的支出として処理する方法が望ましい。
別記(No6)
(指摘)(関連:総務文書課)
措置状況の「監査の結果」では、以下のように記されている。
資本的支出と収益的支出の区分が明確化され改善されているが、企業進出に伴うイ
ンフラ整備工事等のうち将来の土地売却代金で回収すべき事業費は資本的支出とし
て処理する必要がある。
しかしながら、監査結果報告書の原文は、以下のように記されており、上記「監査の結
果」の内容と相違する。
資本的支出と収益的支出の区分が明確化され改善されているが、企業進出に伴うイ
ンフラ整備工事等のうち将来の土地売却代金で回収すべき事業費は資本的支出とし
て処理されるべきであるが、たとえば法面補修工事費等維持補修費の性格を有するも
のは収益的支出として処理する必要がある。
※下線は筆者による。
「措置」の記載内容も下記のようにごく簡単なものとなってしまっている。
ご指摘のとおり、企業進出に伴うインフラ整備工事等のうち将来の土地売却代金で
回収すべき事業費は、資本的支出として処理いたします。
※下線は筆者による。
前回監査の趣旨は、収益的支出と資本的支出の判断基準である、平成 13 年 1 月 12 日臨
海開発局総務課(当時)作成の「未成土地から完成土地の振替及び経費支出(配分)につ
198
いて」(以下、「取扱い」と呼称)を会計理論に沿うよう、修正し(「たとえば法面補修工事
費等維持補修費の性格を有するものは収益的支出として処理する」がそれにあたる)、原価
性のない支出は、即時費用化(収益的支出)することを指摘しているのであるが、現在で
も上記「取扱い」の見直しは行われていない。
また、No6 の「監査結果」の内容が原文と相違した結果、No1 の「監査結果」の内容と
No6 の内容とは、原文では同様の趣旨であったにもかかわらず、矛盾してしまっていること
も問題である。
更に、同様の趣旨の No1の監査結果に対する「措置」においても、県の当時の対応は、
今後の処理について下記のように「判断して処理することと」して、明確な取り決めを設
けることに触れておらず、平成 15 年度に行われた小江地区の公園整備工事等についての判
断がどのように行われたのかも明示されていない。
<No1 の「措置」>
両地区ともに未成土地(未精算)であり、ご指摘の事業は土地造成事業費(資本的
支出)として計上すべきものと考え処理しております。平成 15 年度からは、未成土
地であっても、事業内容の精査を行い、収益的支出か資本的支出か判断して処理する
ことといたします。
当時の県の「判断」として、平成 15 年度の小江地区の公園整備工事等について環境整備
工事の一環として、造成土地全体の投資価値を増加させるものと考え、資本的支出(原価
算入)として処理しており、これに基づいて予算の査定や議決を経ての結果であることが
今回の監査の過程において判明したものの、監査結果と相違する判断を行っている状況下
で当初の監査結果をどの程度尊重していたかは、上記 No1 の「措置」の記述において説明
がなされていない以上疑問が残らざるを得ない。
本来は、措置内容に関する県の見解や具体的対応までの説明をすることによって、措置
状況の手続きによって期待される「説明責任」を果すような十分な記述がなされるべきで
あったと考える。
以上をまとめると、措置状況における監査結果の取りまとめは、監査結果報告書の文意
と相違することないよう厳格な検証が必要であるし、措置においても監査結果に照らして
十分な説明責任を果たすべきと考える。
2.追加検討した事項
(1)小ヶ倉地区上屋敷地の土地使用について(意見)
標記の案件は、上記「1.措置状況と検証結果」の No8 に関連する問題であり、本来は同
199
地区の野積場 16,741.40 ㎡、上屋敷地3件合計 7,714 ㎡について、港湾施設整備特別会計
へ有償所管換えを検討すべき問題があるが、この項では、上屋の土地使用料に係る事務に
ついて検証する。
検証した資料では、平成 13 年 3 月 9 日に当時の臨海開発局で決裁された記録があり(貸
付契約書については、平成 3 年の行政財産使用許可から始まる一連の契約書類を検証した)、
上記3件について、公有財産使用料算定額の 10%(90%の減免)で土地使用料とする旨決
裁されている。
つづいて、平成 14 年の包括外部監査の結果を受けた後の、平成 15 年 8 月 27 日に臨海開
発局から知事宛てに発行された「貸付料の減免(免除)の取扱いについて」において、当
該物件が、普通財産であること(筆者註:売却を念頭に置いていると思われる)を謳い、
平成 16 年度から貸付料を徴収することを原則として取り扱うこととし、経過措置を設け、
下記のように順次減免割合を引き下げ、解消する(満額徴収)よう要望が出されている。
15 臨開第 52 号
平成 15 年 8 月 27 日
長崎県知事
長崎県臨海開発局長
貸付料の減額 (免除)の取り扱いについて
日頃より、当局の事業へご協力いただき、ありがとうございます。
現在、臨海開発局企業会計所有の財産(土地)を貸付けておりますが、当該財産は売却することを目的
とした普通財産です。
よって、平成 16 年 4 月 1 日からは、貸付料を徴収することを原則として取り扱うこととし、経過措
置により下記のとおり取り扱うこととしますので、予算措置についてお願いいたします。
記
平成 15 年度貸付料
1 号上屋敷地
989,936 円(9/10 減額)
2 号上屋敷地
818,572 円(9/10 減額)
3 号上屋敷地及び荷捌上屋敷地
1,084,055 円(9/10 減額)
平成 15 年度貸付料を 100%有償とした場合の金額ならびに算出根拠
1 号上屋敷地
9,899,366 円
2 号上屋敷地
8,185,726 円
3 号上屋敷地及び荷捌上屋敷地
10,840,556 円
62,496 円×6/100×㎡×1 年『普通財産の貸付料算定基準第 2 条第 1 項第 1 号』
平成 16 年度貸付料
20%
徴収
平成 17 年度貸付料
40%
徴収
200
平成 18 年度貸付料
60%
徴収
平成 19 年度貸付料
80%
徴収
平成 20 年度以降貸付料
100%
徴収
しかしながら、港湾施設整備特別会計での貸付料増額のための予算化は進まず、18 年度
までは貸付料の 10%(90%の減免)
、平成 19 年度以降は 20%(80%の減免)のまま推移し
ている。
このため、平成 23 年 11 月 14 日付で港湾漁港事務所から港湾課長宛て以下の買取要望書
が発行されている(買取要望自体はほぼ毎年行われているとのことである)。
小ヶ倉地区上屋敷地及び野積場の買取要望書
現在、長崎港湾整備事業会計(以下、企業会計という。)で造成した下記物件(野積場:16,741.40 ㎡、
上屋敷地:7,714 ㎡)につきましては、港湾施設であるため、第三者への売却ができず、貸付により収益
をあげる以外に方法がありません。
一方で、昭和 59 年に埋立事業及び荷役機械、上屋等の整備事業を行うことを目的とした長崎県港湾
施設整備特別会計(以下、特別会計という。)が設置され、平成 12 年度には小ヶ倉柳地区上屋等が企業
会計から特別会計へ所管換えされております。
また、平成 14 年度に実施された包括外部監査においては、港湾施設提供事業のあり方について、
「港
湾施設提供事業は、本来、特別会計で実施されるべき事業と思われる。」と示されております。
これらのことを鑑みますと、当企業会計が整備した当該物件については、特別会計へ漸次有償で所管
換えするなど早急な是正が必要と考えます。しかし、平成 17 年度以降、本要望を続けておりますが実
現には至っておらず、加えて、小ヶ倉地区上屋敷地について、 17・18 年度は 9 割免除での貸付、 19
年度以降は 8 割免除での貸付となっております。企業会計の財産は、売却することを目的とした普通財
産であり、その性質上、原則的に有償での貸付となるため、小ヶ倉地区上屋敷地の現状は、他貸付地に
対し公平性を欠く形となっています。
※下線は筆者による。
つきましては、平成 24 年度におきまして、是非とも上屋敷地及び野積場を特別会計にて買い取って
いただくための、予算措置を講じていただきますよう強く要望いたします。
仮に予算措置が困難であった場合は、平成 15 年度に定めた事務取扱に基づき、貸付料に係る経過措
置(減額率調整)を完全履行するために必要な予算措置を早急に講じていただき、適正対価をお支払いく
ださいますよう、重ねてお願いいたします。(以下略)
(別紙試算)
平成 24 年度の貸付料(試算)
貸付先
長崎県知事
中村法道
地区
小ヶ倉柳
使用目的・用途
面積
長崎港小ヶ倉 1 号上屋敷地
長崎港小ヶ倉 2 号上屋敷地
長崎港小ヶ倉 3 号上屋敷地及び
荷捌上屋敷地
2,640.00 ㎡
2,183.00 ㎡
100%有償の場合
(試算)
7,500,240 円
6,201,903 円
2,891.00 ㎡
8,213,331 円
計3件
21,915,474 円
201
以上の経緯があるが、そもそも、現在港湾整備事業会計が行っている他の普通財産貸付
案件において、県向けの貸付で減免が行われている例がなく、公平性に欠ける処理であり、
早期に是正すべきである。
(2)完成土地売却等の収益認識時期及び費用認識時期の誤りについて(意見)
公営企業会計は、収益については実現主義、費用については発生主義で認識を行うが、
港湾整備事業会計では、契約基準によって費用と収益を認識していた。販売用土地の収益
認識時点は、権利書の受渡し時点(引渡基準)をもって(令第 10 条第1号ただし書)、費
用は検収時に認識する必要がある。
(3)土地造成台帳の管理及び実地照合について(指摘)
長崎県公営企業の財務に関する特例を定める規則第 78 条では、「土地造成台帳により土
地造成の増減異動その他必要な事項を整理し、常に現状を明らかにしておかなければなら
ない(趣意)
」とあるが、一部作成誤りがあり、更に第 79 条で毎事業年度一回以上実地照
合が求められているが、実施されていなかった。今後は規則を順守する必要がある。
202
Ⅱ-12-2
長崎港湾漁港事務所(港湾施設整備特別会計)
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
1
特会 H22
2
特会 H22
3
特会 H22
監査の結果
措置
検証結果
収入未済金額について
収入未済金額について検討
したところ、退去命令の通
知をするまでの間、複数回
にわたり面談を重ね、誓約
書や確約書を徴し、収入未
済額の回収に努めた努力は
理解できるが、それでも結
果として退去命令の通知の
時期が、遅すぎると判断せ
ざるを得ない。
事務執行を適正に行うべき
である。
指名競争入札における業者
選定手続きについて
本工事の指名競争入札選定
調書を検討したところ、総
合評価順位 9 位までの業者
が全て選定され、14 者によ
る指名競争入札が行われ
た。
「指名競争入札における
指名業者選定手順(共通
編)」によれば、「同順位の
評価」として、当該工事は
10 者へ絞込む旨の定めがあ
ることから、入札参加業者
を 10 者へ絞り込むのが適正
であったと考える。
工事請負契約における(当
初)起工稟議→廃工稟議→
(再)起工稟議の事務執行手
続について
当該工事の稟議書を検討し
た結果、新たな起工稟議が
平成 22 年 1 月 27 日に提出
され、廃工稟議は平成 22 年
1 月 28 日に提出されたが、
決裁日は未記入の状態であ
つた。事務手続は、通常「当
初起工→廃工→新たな起
工」と流れるものと考えら
れるため、事務処理を適正
に行う必要がある。
今後は、状況に応じ適時に
適正な事務の執行に努めて
まいります。
前回指摘事項となったター
ミナル使用料等の管理等に
ついては特に問題なし。
ただし、他の収入未済に係
る問題については、
「2.追加
検討した事項」を参照のこ
と。
今後は、各種マニュアルそ
の他の関係規定を遵守し、
適正な入札執行に努めてま
いります。
特に問題はない。
今後は、このようなことが
ないように十分注意し、適
正な事務の執行に努めてま
いります。
特に問題はない。
203
4
特会 H22
5
特会 H22
特会 H22
県営常盤駐車場管理・収納
業務委託について
平成 21 年度の本委託業務の
入札結果は、落札率が 9.85%
と予定価格に比して非常に
低い落札金額となった。
また、平成 22 年度の本委託
業務の入札結果は、落札率
が 14.35%と平成 21 年度より
は上昇したものの、依然と
して予定価格に比して非常
に低い落札金額となってい
る。なお、前年度落札業者
も入札率は(=入札金額÷予
定価格×100)、24.04%とい
う結果である。確かに、企
業努力によるところが大き
な要因かもしれないが、落
札率が著しく下回っている
場合については、積算過程
をより検証し、次年度以降
の設計積算に反映された
い。
見積書徴取による資材単価
の決定について
資材単価は、見積りにより
決定されているが、当該見
積書の徴取は落札業者でも
ある 1 者のみから行われた
ものであり、見積書の徴取
に関する「伺い書」も作成
されていない工事が確認さ
れた。今後は、見積書の徴
取について定めのない工
事、例えば補修工事につい
ても、
「原則として 3 者以上
から徴取し、異常値を除い
た価格の最低価格とする。」
等の定め、見積書の徴取に
は、
「伺い」の作成を求める
ことが適当と考える。
委託料について
平成 20 年度及び 21 年度の
委託料支出について検討し
たところ、以下の点が確認
された。
企業努力の要因も大きいと
判断していますが、当業務
委託の実態を改めて検証し
た結果、人員の配置体制等
の部分で積算の見直しが可
能と考えられるため、次年
度以降の設計積算に反映い
たします。
特に問題はない。
指摘の工事については、消
防用設備の補修で緊急に修
繕を行わなければならなか
ったためやむを得ず 1 者か
らの見積徴取となったもの
です。平成 23 年度からは、
全ての見積徴取について
「伺い」を作成し所長決裁
のうえ行うよう改善してお
ります。
なお、30 万円を超える補修
工事については、従来から
財務規則の規定に基づき、
原則として 3 者以上から見
積書を徴し、異常値を除い
た最低価格とするよう適正
な取扱いに努めておりま
す。
特に問題はない。
204
6
特会 H22
7
特会 H22
8
特会 H22
委託料について
(1)長崎港ターミナルビル
塵芥処理業務委託
平成 21 年度及び平成 20 年
度ともに、長崎港ターミナ
ル入居者協議会と一者随意
契約を行っている。随意契
約に関してはそれ相応の合
理的理由はあると思われる
が、当該塵芥処理業務に関
しては、そのまま他の業者
に再委託していることか
ら、再委託の承諾書を県に
提出して承諾を得るように
した方が望ましい。
委託料について
(2)長崎港水辺の森照明設
備状況
調査業務委託当該契約に関
しては、水辺の森公園の全
体の照明設備を対象に契約
されているが、他の契約が
主に駐車場側の契約に限定
されている事を考えると、
特別会計で本来負担すべき
でない業務範囲も含めて契
約されていると考えること
から、一般会計と特別会計
を適正に区分する必要があ
る。
委託料について
(3)長崎県県営常盤駐車場
(南側)機器管理業務委託
平成 21 年度の当該契約の積
算に関して、諸経費の算出
の際、賃金の 6 割としてい
るが、この 6 割の根拠がな
い。積算については、何ら
かの合理的理由が示せるよ
うにすべきである。
平成 23 年度の委託契約か
ら、再委託に関する条文を
追加し、承諾書を徴する内
容に改善しております。
特に問題はない。
今後は業務内容・箇所を十
分精査し、会計の適正な区
分に努めてまいります。
現在は一般会計のみ計上し
ている。
諸経費については、平成 22
年度の契約から、建築保全
業務積算基準に基づき算出
するよう改善いたしまた。
特に問題はない。
205
9
特会 H22
他の契約においても業務内
委託料について
(4)元船 C 棟上屋オムニリフ 容を精査し、広く業者選定
を行ってまいります。
ター設備保守点検業務委託
① 平成 20 年度においては、
設備製造企業の系列企業と
の 1 者随意契約であったが、
平成 21 年度は、他にも対応
できる業者があることが判
明して、3 者から見積書を徴
収した業務委託契約が確認
された。今後、他の契約に
ついても最初からその業者
しか出来ないという判断を
するのではなく、詳細な調
査を行い、広く業者選定し
ていくことが望まれる。
特に問題はない。
10
特会 H22
委託料について
(4)元船 C 棟上屋オムニリフ
ター設備保守点検業務委託
② 平成 20 年度、平成 21 年
度の積算にあたって、見積
書を使用しているとの事で
あるが、その見積書が見つ
からなかった。書類の保管
を厳格にするように改善す
る事が望まれる。
今後は、このようなことが
ないように十分注意し、適
正な書類の保管に努めてま
いります。
特に問題はない。
11
特会 H22
委託料について
(5)長崎港小ケ倉柳埠頭荷
役機械管理運堂業務委託
① 平成 21 年度及び平成 20
年度ともに、長崎港コンテ
ナターミナル運営協会と一
者随意契約を行っている。
随意契約に関してはそれ相
応の合理的理由はあると思
われるが、当該荷役機械管
理運営業務のうち、そのま
ま他の業者に再委託してい
る業務もある。
積算金額 7,314,000 円(税
抜)うち、この業務委託費が
5,621,000 円と 77%を占めて
おり、ほとんどが再委託し
ている現状からすれば、や
はり再委任の承諾書を県に
提出して承諾を得るように
した方が望ましい。
平成 23 年度の委託契約か
ら、再委託に関する条文を
追加し、承諾書を徴する内
容に改善しております。
改善が十分ではない。
当該業務委託は業務内容の
特殊性や現場でのスムーズ
な業務遂行等を考慮して、
関係部署の協議を経て、長
崎港コンテナターミナル運
営協会に随意契約されてい
る。また、当該業務は一部
が再委託されているが、前
回の外部監査での指摘を受
け、同協会は再委託の承諾
願いと再委託先 4 社からの
見積書を県へ提出してい
る。
しかし、再委託する業者以
外の業者からは見積書の入
手は行われていなかった。
加えて、同協会は再委託先 4
社に支払うべき再委託料を
そのうちの1社であるG社
にのみ支払っていた(支払
総額については、4 社見積り
額の合計額と一致してい
る)。
このような支払い形態から
すると、再委託先はG社 1
206
者のみと捉えられ、当初提
出されていた再委託に関す
る承諾願等は事実と相違す
る可能性がある。加えて、
G社が支払事務等を再管理
しなければならなかったと
いう合理的理由はない。
当該業務委託契約事務は改
善すべき状況にあり、実態
を早急に精査すべきであ
る。
過去の監査の指摘に対して
本質を理解することなく、
表面的な対応で済ませ、結
果として改善されていない
事は問題である。(指摘)
12
特会 H22
13
特会 H22
委託料について
② 平成 21 年度の積算にお
いては、協会の見積書をそ
のまま設計金額として採用
しているが、一者随意契約
の場合に、このような積算
方法が望ましいのか疑問が
生じる。
少なくとも平成 20 年度のよ
うに再委託される業務につ
いては、再委託する業者や
他の業者からの見積書を入
手すべきではないかと思わ
れる。
関係書類の確認について
平成 21 年度の港湾使用料に
ついて検討したところ、港
湾使用料について、使用者
からの報告により収入金額
が把握されるものである
が、使用者より送付されて
くる報告書に基づき計上さ
れており、当該数値を、使
用者の関係書類等と確認を
実施していないとのことで
あった。
報告書は、簡潔明瞭で詳し
い内容が把握できないこと
から、定期的に使用者の関
係書類等を確認する作業が
必要と考える。
平成 23 年度の委託契約か
ら、再委託する業者につい
ては、金額の妥当性を確認
するため、参考見積を徴す
るよう改善いたしました。
同上
平成 23 年度から、確認のた
めの立ち入り調査を行った
り、帳簿や関係書類の提示
を求めて報告書の数値を確
認する等、改善を行ってお
ります。
当該案件については問題な
い。
ただし、類似案件について
は問題があり、下記「2.追
加検討した事項」を参照の
こと。
207
2.追加検討した事項
(1)港湾使用料について
①
市町村に委託している野積場使用料に関する収入未済金額について(指摘)
県が管理する港湾の一部については、その事務を特定の市町村に権限委譲し、県はその
払い込まれた使用料等の総額の 100 分の 40 又は 50 以内を交付金として市町村に支出する
こととしている。
そのうち長与港の野積場の使用については、長与町が事務処理を行っており、月ごとに
使用料徴収報告書を県に提出して使用料の徴収状況を報告している。その報告書によれば
平成 23 年度末の未徴収額として 92,988 円が計上されているが、県は長与町が実際に徴収
して県に払い込む使用料のみを調定するため、その未徴収額が特別会計の収入未済額とし
て計上されることはない。
この債権は平成 22 年 2 月に発生し、平成 22 年 7 月以降未回収のままでその残高の変動
がなく、現在は使用者の倒産等により回収できない状態にあるとのことであったが、県は
これまでその内容について全く管理していなかった。
使用料の徴収については権限移譲により市町村が行うこととされてはいるが、そもそも
当該使用料債権は県の債権であるから、県は回収管理について市町村に積極的に助言・指
導を行わなければならない。
具体的には、
ア.所管課は、各市町村へ出向き、使用料台帳の作成が適切になされ、使用許可と台帳が
網羅性を満たし、かつ正確な徴収を確保しているか毎期検証すること。
イ.使用許可のみならず、無許可での施設利用がないか実態照合の把握と、市町村での調
査体制の妥当性の検討を行い、適切な対応を指導すること。
ウ.整理された収入未済については回収管理を指導し、回収の取組状況を把握すること。
エ.収入未済について、不能欠損を選択する場合は、地方自治法、県財務規則及び県債権
管理規程等に基づく適正な債権管理及び処理がなされるよう市町を指導すること。
②
港湾施設の使用許可申請について(指摘)
以下については速やかな是正が必要であり、かかる事態の再発防止の徹底を求める。
上屋
使用場所を示すための図面が添付されていたが、位置や使用面積が確認できな
いものがあった。
(2)委託料取引事務における使用者の関係書類等の確認作業について(指摘)
前回外部監査で指摘されていた港湾使用料のうち骨材積出施設の使用料については、関
係書類等を抜き打ち監査する等の改善措置がみられたが、上屋や野積場の使用料について
は、依然として使用者からの報告書のみで使用料を計上しており、使用者の関係書類等の
208
確認作業はなされていない。
今後、上屋や野積場を含む他の使用料についても、定期的な関係書類等の確認若しくは
抜き打ち的な監査等での確認が必要であると考えられる。
また、荷役機械の使用料については、県が使用状況を確認する目的で、使用料を計算す
る使用実績報告書(報告書の作成については委託により長崎港コンテナターミナル運営協
会が作成)と併せて、荷役機械運転日報を実際の使用者から提出させていた。
しかし、県はその日報を提出させるのみで、実際の確認作業を怠っており、使用実績報
告書と運転日報の整合性がとれていない状況が多々確認された。チェック体制の早急な見
直しが必要である。
209
Ⅱ-13
総務文書課(庁用管理特別会計)
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
1
特会 H22
2
特会 H22
監査の結果
措置
現在、県庁内に設置されて
いる「未収金対策検討会議」
において、法令等に基づく
適切な債権管理の徹底に取
り組むとともに、適切な債
権管理が徹底されてもなお
回収することができない未
収金の取扱基準について、
本県の実情等を踏まえなが
ら全庁的な検討を進めてい
るところであり、その検討
結果も踏まえながら適切に
対応してまいります。
文書管理費の支払状況につ 四半期毎の請求の際に納入
期限を明示するとともに、
いて
文書管理費の各課の支払状 随時納入状況を確認し、遅
況について検討したところ、 れている課には督促を行う
支払いが納期限より著しく よう改善しています。
遅い課が確認された。文書集
中管理事業に要する経費に
ついて請求された各課は、長
崎県庁用管理特別会計規則
に定めるとおり「速やかに」
経費の支払いを行わなけれ
ばならない。
収入未済金額について
平成 18 年 11 月 2 日地方自治
法施行令第 171 条の 5 に基づ
く徴収停止の措置をとって
いる収入未済金額について、
状況の好転等が限りなく認
められない状況であること
から、不納欠損として整理を
検討する必要がある。
この場合は、「権利放棄」に
基づく整理が考えられる。
210
検証結果
不納欠損の方向性は変わら
ず、左記の通り債権放棄の基
準が整い次第、対応するとの
ことであった。
債権管理の状況に変化はな
く回収の見込みが認められ
ない状況は変わらないため、
適時債権放棄による不納欠
損処理を行うべきである。
(意見)
第一から第三四半期末は調
定日を基準に 15 日以内を期
限とし、第四四半期末は総務
文書課から出納室に書面を
渡した日(調定通知日)から
15 日以内を期限として納入
状況を検証している。現在、
納入遅延は改善している。
3
特会 H22
歳入・歳出及び繰越金の推移
県の厳しい財政状況に対処
すべく、「特別会計の繰越金
の活用∼今後の事業規模等
を勘案し、一般会計の繰入等
により活用」を行ってきた
が、平成 21 年度繰越残高は、
102 百万円となっており、適
正な規模であるか否かにつ
いては、疑問である。平成 22
年度以降においては、歳入>
歳出を歳入=歳出となるよう
な文書管理費請求の見直し
がなされているとのことで
あるが、現在の繰越金残高に
ついても、活用の検討が適当
である。
平成 22 年度から、各課へは
実費相当額程度を請求して
おり、過大な繰越金が生じ
ないような負担方法に見直
しております。
現在の繰越金残高について
も、一般会計への繰り出し
等の活用を引き続き検討し
てまいります。
4
特会 H22
平成 20 年度においても計上
すべき金額がもれていたも
のです。
今後はこのようなことのな
いよう十分に注意し、適正
な事務の執行に努めてまい
ります。
5
特会 H22
共済費について
(1) 共 済 費 を 検 討 し た と こ
ろ、平成 21 年度は労働保険
料 69,016 円計上しているが、
平成 20 年度は計上されてい
ないことが確認された。平成
20 年度においても計上すべ
きものと考える。
共済費について
(2)地方公務員等共済組合法
の施行日(昭和 37 年 12 月 1
日)前の期間を有する組合員
について負担する共済追加
費用を、昭和 41 年 4 月 1 日
設置された庁用管理特別会
計が負担することには疑問
が残る。
対象となる職員数に応じて
全庁的に予算措置されてい
たものであり、庁用管理特
別会計の設置年度まで考慮
されていなかったもので
す。平成 22 年度以降、庁用
管理特別会計の職員給与費
は一般会計に移管している
ため、共済追加費用につい
ても一般会計の負担となっ
ております。
211
平成 23 年度末の次期繰越金
は、113,482 千円であり、平
成 24 年度に一般会計へ 5 千
万円一般会計へ繰出すとの
ことであるが、なお 6 千万円
が繰越金として残る。
総務文書課としては、高速複
写機をリース契約により調
達しているが(リース料総額
約 2 千 9 百万円)、これが機
能不全した際の引当金とし
て繰越金を保持したい旨説
明があった。印刷業務が停滞
すると庁内の事業の遂行に
支障が出るためとのことで
ある。
県の過失により高速印刷機
を全損負担する確率は極め
て低く、上記の理論が通用す
るのであれば、各部・各所で
予備品を多量に保有しなけ
ればならないこととなる。
総務文書課分の繰越金につ
いては、印刷費単価の多少の
ブレに備える程度の金額が
あれば事足りるはずである
から、さらなる繰越金の繰出
しを検討するべきである。
(意見)
現在、当該特別会計に人件費
は含んでいないため、共済費
も計上されておらず、問題な
い。
現在、当該特別会計に人件費
は含んでいないため、共済費
も計上されておらず、問題な
い。
6
特会 H22
7
特会 H22
8
特会 H22
一般会計と特別会計の区分
について
特別会計の需用費を検討し
たところ、新聞代について、
平成 20 年度は、10 月から 12
月分の 3 ヶ月分だけ特別会計
で計上されているのに対し、
平成 21 年度は、すべて一般
会計で計上されていた。ま
た、平成 20 年度についても
長崎新聞については、全て一
般会計で計上されているこ
とが確認された。その支出
が、特別会計で計上すべきか
一般会計で計上すべきかを
検証するためにも、客観的な
基準が必要であったと考え
る。
物品の購入・管理について
特別会計が管理している印
刷センターにある物品につ
いて、現在使われておらず、
耐用年数も経過していた物
品が確認された。また、台帳
にない物品(除湿機)で、廃棄
予定というラベルがはって
あるものがあったが、未使
用・未処分のままで、処分の
時期も明確ではなかった。
物品の管理は、取得、使用管
理、処分までが管理事務であ
ることから、不必要なものに
ついては、適切に処分手続き
を実施すべきであると考え
る。
入札について
ファクシミリ 9 台の賃借に関
する入札は、落札率が 25.27%
であった。
県の「入札・契約事務マニュ
アル」では、最低入札額が予
定価格の 3 分の 2 を下回った
場合、
「一旦、入札を保留し、
事情を上司に報告し、その指
示に従い、かつ、入札執行者
は協議の経過を別紙で残す
か、入札書の余白に協議経過
と有効、無効の判断を朱書き
押印しなければならない。」
となっているが、これに関す
る資料は確認できなかった。
今後は、資料等の作成等、内
容も含めて手続きを徹底す
べきであると考える。
課全体の運営経費であって
文書集中管理に要する部分
とそれ以外の部分との按分
が難しいもののうち、文書
集中管理に係る部分が大き
いと判断されるものを特別
会計からの支出とし、年数
回支出するものを、予算の
執行状況を勘案しながら、
一般会計及び特別会計の両
方から支出を行っていたも
のです。
しかしながら、新聞代につ
いては一般会計で計上する
ことがより適切と考えられ
ることから、平成 21 年度以
降はすべて一般会計での計
上としております。
物品については、物品めぐ
りあいシステムの利用等に
より全庁的に有効利用を図
っているところですが、物
品によっては、大型機器類
等処分に費用を要するもの
も少なくないことから、全
体で取りまとめのうえ一括
して処分を業者に委託する
等適切かつ計画的な処分が
実施できるよう、今後各課
とも調整しながら検討して
まいります。
特に問題なし。
今後は、各種マニュアルそ
の他の関係規定を遵守し、
適正な入札執行に努めてま
いります。
この契約は平成 17 年度締結
であり、左記マニュアルの
2/3 ルールの制定前であっ
たことから、所要の手続きが
行われていない。本件につき
特に問題はない。
212
既に処分を行っており、問題
はない。
2.追加検討した事項
(1)高速複写機賃貸借契約について
①
契約の概要
総務文書課において庁用管理特別会計として行う業務として、文書集中管理がある。こ
の業務のうちのひとつが、集中印書であり、印刷センター(総務文書課文書班の所管)に
おいて印刷業務が行われている。当該契約はそこで稼働する高速複写機(リース料総額 2
千 9 百万円)の 5 年間にわたる長期継続契約による賃貸借契約である。
賃借の対象となる複写機は、製本機能付き大型複写機及び付属機器(編集機器・スキャ
ナ類)一台と、大型複写機及び付属機器(編集機器類)二台の構成になっている。
平成 22 年 8 月 17 日に締結された 5 年間の賃借料の総額は 28,980,000 円(税込)である
が、各会計年度の支払限度額は以下の通りとなっている。
3,381,000 円、平成 23 年度 5,796,000 円、平成 24 年度 5,796,000 円
平成 25 年度
5,796,000 円、平成 26 年度 5,796,000 円、平成 27 年度 2,415,000 円
②
平成 22 年度
入札事務の公正性の担保に関する牽制の不十分性について(意見)
当該契約は、一般競争入札によっているが、応札はリース事業者一者で、その事業者が
落札している。
予定価格に比し 96.8%の落札率であるが、原議をみると、特定の機種の検討しかしてお
らず、他社の機種のパンフレットや提案書を取り寄せ、検討した経緯が見られない。また、
仕様についても、その機種に合わせた仕様としか言いようがないほど詳細な機能を要求す
る内容であり(その結果、入札前の問い合わせは複数件あったようだが、応札が一者とな
ってしまっている可能性がある)、設計金額を記した設計図書の作りも、他社比較が行われ
ておらず、特定機種の名称まで記載して作られている(設計図書の問題は後段③にて詳細
に触れる)。更に、落札の結果導入した特定機種は、その更新前と同じメーカーの機種であ
った。
仕様の内容によっては、初めから間口が狭くなり、競争入札の本来の狙いである競争性
の発揮が阻害されるという認識が総務文書課として不十分であり、入札に至る検討の経過
が綿密に練られているものとなっておらず、入札実施の伺い等の管理職にあるものの牽制
手続が機能していたか疑問である。
包括外部監査に携わってきた監査人の感覚として、一般競争入札で約 30 百万円にもなる
契約事務の原議と言うには検討した資料が非常に少なく、公正性を担保しようとする思考
の経過が十分に感じられるものではない。
総務文書課印刷センターの印刷業務の特性として、大量の印刷事務要請に応えうる事務
213
処理能力を備えていなければならない事情があるにせよ、特定の機種を契約事務の当初段
階から選考する思考が一部でも見受けられるとすれば、それは一般競争入札の目指すもの
とは相容れないことを認識するべきである。
また、リース事業者の競争であるから、機械の種類が固定しても競争性は喪失されない
という発想も、リース事業者が複数存在したとしても、リース会社とメーカーとの取引関
係の強弱によって参入の間口が狭くなることも想定するべきである。
③
設計図書の不備について(意見)
当該契約の設計図書は、以下の問題がある。
ア.設計図書ではまず定価が示されているが、特定機種を対象としている。
イ.取扱業者が特定され、見積もりが一者からしか徴取されておらず、客観性がない。
ウ.定価に対する値引き率の根拠が示されておらず、客観性もない。
エ.値引き後金額に乗じるリース料率の根拠が示されておらず、客観性もない。
このような設計金額の形成過程が明瞭かつ不合理な状態で行われており、落札金額の根
拠を失わせるような事務は行うべきではない。
214
Ⅱ-14
危機管理課(庁用管理特別会計)
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
特会 H22
1
特会 H22
2
特会 H22
3
特会 H22
監査の結果
長崎県防災行政無線施設保
守業務について
予定価格を算出する際の資
料となる(設計書)積算資料
の作成に関して、長崎県公表
の単価表等に積算単価が掲
載されていないものは、業者
から見積書を徴取して単価
を決定している。この件につ
いて、下記のような問題があ
る。
(1)平成 21 年度までは、「見
積もりが必要なものは交換
材料であり、無線設備の部品
等は業者が限定されるた
め。」として、見積書の徴取
を基本的に 1 者としている
ことから、見積書徴取につい
ての伺い書を作成し、その旨
を予め記載しておくのが適
当と考える。
(2)積算資料において、単価
等をどの数値から導き出し
たのかの記載がなく、検証が
容易でないことから、作成方
法の検討が適当と考える。
(3) 積 算 単 価 を 算 出 す る 際
に、インターネット上の通信
販売の価格をもとにそれの
みで単価を決定しているも
のが見られたが、いくつかの
参考見積もりを比較検討し
た過程を残すことが適当と
考える。
措置
検証結果
平成 23 年度から、見積書を
可能な限り複数者から徴取
することとし、徴取が 1 者
に限られる場合は伺い書に
その理由を明記することと
いたします。
改善している。
平成 23 年度から、使用した
歩掛や単価を一覧表にして
積算資料に添付し、単価の
参照が容易となるよう改善
いたしました。
平成 23 年度から、複数の参
考見積を徴取し比較検討す
ることにより適正な積算事
務を行ってまいります。
改善している。
215
インターネット価格を調査
せず、
(1)の業者からのみ見
積もりを徴取した結果、以前
よりも高くなってしまって
いる。先の監査結果の文意は
インターネット価格を排除
してはいないので、これも比
較対象と する べきであ る。
(意見)
4
特会 H22
自家用電気工作物の保安管
理業務について
社団法人九州電気管理技術
者協会から会員に業務を締
結する意思があるかどうか
の質問をし、承諾した会員に
て指名競争を行うようにし
ており、毎年、県が協会に対
して、競争に参加する会員の
変更がないか、口頭で確認を
しているとのことであるが、
交渉の経過は、口頭によるも
ので、証拠書類として確認で
きるものはなかった。指名競
争入札において指名業者選
定過程が不明瞭な状況は適
切ではなく、公正に契約が締
結されていることを確認で
きる書類を保存すべきであ
ると思われる。
例えば、まず県が協会に推薦
依頼文書を提出し、協会から
推薦者の報告を求める方法
などが考えられる。
平成 23 年度から、九州電気
管理技術者協会長崎県支部
に、会員の見積りの意思確
認について文書で依頼し、
見積意思がある会員の紹介
についても文書で報告して
もらい、当該年度の事務文
書として保管するよう変更
しました。
措置後の運用も未だ公正性
は担保されていなかった。対
象者がすべて推薦されてい
るわけではなく、差分の推薦
だけであったり、県がこれま
で契約した経緯のある業者
へ、直接依頼していたりする
例も見られた。
今後は、監査結果の「例えば」
以下のようにまず県が協会
に推薦依頼文書を提出し、協
会から推薦者の報告を求め
る方法へ完全移行するべき
であり、その上で推薦者へ見
積執行通知書を発行するべ
きである(意見)
2.追加検討した事項
(1)長崎県防災行政無線施設保守業務について(意見)
積算において、三者比較の際、30%以上の乖離がある場合はその見積もりを異常値とし
て排除するルールが順守されていない。担当者の見過ごしとはいえ注意するべきである。
(2)自家用電気工作物の保安管理業務について(意見)
施設の鍵を契約した業者へ預けているが、継続して契約する際は返還を受けていない。
このため、鍵の借用書に返却者の返却日及び署名押印、県の確認者の署名押印が抜けてい
る事例があった。
鍵の返却は毎期行い(紛失があった際の早期発見のため)、借用書の作成も確実に行うべ
きである。
(3)長崎県防災行政無線高度化事業及び同再編整備事業の予備品の取扱いについて(指摘)
上記無線施設には予備品と呼ばれる機器が常備されている。施設運用の継続性を担保す
るための代替品(スペア)である。この予備品のうち、基板類は消耗品としての性格を有
するため必要はないが、パソコンやプリンタといった物品として取り扱うべきものが存在
する。これらについては、物品管理簿への登載漏れであり、物品整理票の貼付漏れである。
216
Ⅱ-15
建築課(庁用管理特別会計)
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
1
特会 H22
2
特会 H22
監査の結果
措置
検証結果
平成 16 年 12 月「収支改善対
策」の取り組みについての問
題点
県は厳しい財政状況に対処す
べく、平成 16 年 12 月「収支
改善対策」の取り組みにより、
一般会計で計上されていた給
与費の一部について特別会計
へ振り替え、繰越金の活用と
した。
しかし、繰越金の活用方法と
しては、
「①設計監理委託料の
負担額の引き下げ、②余剰と
なる繰越金の一般会計への繰
出し」を検討するのが適当で
あると考えられる。
すなわち、当該負担区分の変
更は、営繕設計監理事業につ
いて設けた特別会計の趣旨か
ら判断すれば、疑問がある。
設計監理委託料率の改定につ
いて(20 建第 20 号平成 20 年
10 月 3 日)
建築課は、将来歳入不足が見
込まれることから、平成 21 年
の依頼工事から設計監理委託
料を見直し、建築種類及び設
計額区分のうち 10 億円以下の
部分を増額改定とした。しか
し、設計監理委託料の実績は、
当初予算に対して、平成 21 年
度は 278 百万円減少と、大き
く下回ることとなった。
当該減少要因は、平成 22 年度
以降も発生が予測されるもの
であり、平成 22 年度予算は設
計監理委託料を 658 百万円予
算計上し、累積収支をゼロと
しているが、設計監理委託料
は大きく減少することが予測
され、累積収支がマイナスと
なることが予測される。
この場合、職員給与費を一般
会計に振り替え、収支均衡を
図るとのことであるが、それ
では営繕設計監理事業に要す
る経費を計上している特別会
平成 22 年度決算見込み及び
平成 23 年度当初予算から、
特別会計が負担する給与費
については営繕業務の業務
量が多い職員を対象として
支給するよう見直しを行っ
ております。
負担関係の見直しが行われ
ているが、未だ改善すべき
点が残されている。平成 23
年度はまだ一般会計に帰属
すべき本庁職員給与費が含
まれていたが、これは平成
24 年度改善しているもの
の、振興局人件費について
も見直すべきである。(意
見)
負担関係は、下記別記
(No1)にて詳細を記してい
るので、そちらを参照のこ
と。
平成 22 年度決算見込み及び
平成 23 年度当初予算から、
特別会計が負担する給与費
については営繕業務の業務
量が多い職員を対象として
支給するよう見直しを行っ
ております。なお、建築課
所管の庁用管理特別会計に
ついては、今後も依頼工事
の減少等により設計監理委
託料の減少が予想されるこ
と、九州管内においては、
営繕業務を特別会計で対応
しているのは本県のみであ
ること等から、廃止に向け
て検討してまいります。
負担関係の見直しは上記
No1 及び詳細について別記
(No1)を参照のこと。
未だ見直しの余地がある。
また措置の後段「廃止に向
けて検討してまいります」
については未だ検討中で対
応がなされていない。早急
に対応するべきと考える。
(指摘)
217
3
特会 H22
4
特会 H22
5
特会 H22
計の存在意義が揺らぐことに
なる。
当該特別会計について、早急
な検討が必要と考える。
会計区分について
建築課は、庁内各課からの依
頼を受け、県有施設の営繕工
事を施工しており、特別会計
においては、当該分掌事務を
担う人件費が計上されるべき
と考えるが、特別会計と一般
会計が負担している費用に混
同が確認された。
特別会計と一般会計に適正な
費用に計上されるように、検
討するべきであると考える。
平成 22 年度決算見込み及び No1 に同じである。
平成 23 年度当初予算から、
管理職員及び調整、指導業
務の人件費は一般会計へ計
上し、特別会計には修繕業
務の業務量が多い人件費を
計上するよう業務内容に応
じた負担区分としていま
す。
設計監理等委託業務指名基準
(運用)について
指名競争入札における指名基
準(運用)の客観的審査基準評
価項目の 1 つに自己資本額が
あるが、業者が建築課へ報告
した数値の中には資本金額で
あるものが散見された。建築
課は委託設計事務所実態調査
に際し自己資本額の周知を行
う必要がある。また、報告書
を厳密に精査し、報告書の真
偽を確認し、適正な評点を計
算する必要がある。
平成 23 年 3 月 3 日付け 22
建第 868 号「平成 22 年度委
託設計事務所実態調査(依
頼)」の調査票記入要領に自
己資本額の定義について記
載し周知を行いました。ま
た、調査票に記載されてい
る内容に疑義がある場合
は、設計事務所への聞き取
りにて確認を行い、評点に
ついては、基準に従い算定
しています。
前回監査の論点については
改善している。
しかしながら、自己資本の
記入について裏付資料を徴
取しておらず、個人事業主
の場合の自己資本の記入の
取扱いについて改善を要す
る。(意見)
使用料及び賃借料について
建築課のタクシー代はすべて
長崎県庁用管理特別会計で負
担しているが、一般会計で負
担すべき支出ではないのか疑
問である。一般会計に従事し
ている職員が利用したタクシ
ー代は一般会計で負担すべき
であり、一般会計と特別会計
に適正に区分する必要があ
る。
平成 23 年度から、一般会計
に従事している職員が利用
したものは一般会計で負担
するよう、財務内容に応じ
た適正な支払い区分とする
よう改めました。
目的により区分することと
なった。特に問題なし。
218
詳細は別記(No4)を参照の
こと。
6
特会 H22
需用費について
需用費について検討したとこ
ろ、建築課が負担する共益費
の 全 額 ( 平 成 21 年 度 、
15,132,000 円)が計上されて
いることが確認された。建築
課では以前より特別会計で負
担しているということである
が、建築課全体の共益費と言
うことを考えれば、一般会計
でも負担するのが適当である
と考える。
特別会計と一般会計の費用配
分の基準(給与支弁人数で按
分等)について、検討すべきで
はないかと考える。
今後は一般会計と特別会計
の給与支弁員数等で按分す
るなど、検討を行ってまい
ります。
実際は、一般会計、特別会
計の負担力(予算の許す範
囲)に応じた配分になって
おり、監査結果や措置に記
された按分基準となってい
ない。
そもそもは特別会計の廃止
が先立つが、適切な按分基
準の採用が求められる。
(指
摘)
詳細は下記別記(No6)を参
照のこと。
別記(No1)
人件費の振り分けについて
平成 23 年度では、前回の包括外部監査の対象となった平成 21 年度の状況から比較する
と改善されている部分もあるが、依然負担すべき会計と計上されている会計で差が生じて
いる部分も存在している。
<平成 21 年度での負担すべき会計と計上されている会計の区分表>
組織図
分掌事務
負担すべき会計
項目
特別
会計
課長(1名)
総括課長補佐(1名)
負担すべき会計
計上されている会計
一般
会計
○
特別
会計
○
○
項目
一般
会計
○ 1.建築基準法の規定に基づく許可・確認等に
関すること。
①調整業務
特別
会計
2.建築士法に関すること。
調整班(3名)
○
○
②指導業務
一般
会計
○
計上されている会計
特別
会計
一般
会計
○
○
○
○
○
3.宅地造成の規制に関すること。
○
○
4.開発行為等の規制に関すること。
○
○
審査指導班(8名)
○
○
5.優良住宅造成等の認定に関すること。
宅地開発班(2名)
○
○
6.営繕業務に係ること。
○
○
7.県有建築物(公営住宅に係るものを除く。)
○
○
○
○
○
○
③営繕業務
○
○
○
計画指導班(7名)
○
○
8.県有建築物等の検査に関すること。
営繕班(9名)
○
○
9.建築統計に関すること。
○
○
設備班(10名)
○
○
10.宅地建物取引業に関すること。
○
○
11.高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる
特定建築物の建築の促進に関すること。
○
○
○
12.建築物の耐震改修の促進に関すること。
○
○
○
13.建築物及び宅地の防災に関すること。
○
○
14.福祉のまちづくりの推進に関すること。
○
○
15.建築審査会、開発審査会、建築士審査会及
び宅地建物取引業審査会に関すること。
○
○
16.建設工事に係る資材の再資源化等の推進に
関すること。(他課の所管井属するものを除
く)
○
○
17.エネルギーの使用の合理化に関する法律の
規定に基づく特定建築物の届出に関するこ
と。
○
○
④地方機関
県北振興局 監理営繕班
係長
係長以外
○
○
県央振興局 管理営繕班
係長
係長以外
その他振興局
○
○
○
○
○
○
18.その他建築の指導に関すること。
○
○
*平成 22 年度の包括外部監査報告書の記載内容を参考に、関係する地方機関に関する項目を追加してい
る。
219
<平成 23 年度における負担すべき会計と計上されている会計の区分表>
組織図
分掌事務
負担すべき会計
項目
特別
会計
一般
会計
負担すべき会計
計上されている会計
特別
会計
一般
会計
項目
特別
会計
一般
会計
計上されている会計
特別
会計
一般
会計
課長(1名)
○
○
○
○
1.建築基準法の規定に基づく許可・確認等に
関すること。
○
総括課長補佐(1名)
○
○
①調整業務
○
○
2.建築士法に関すること。
○
○
3.宅地造成の規制に関すること。
○
○
○
○
4.開発行為等の規制に関すること。
○
○
調整班(3名)
②指導業務
審査指導班(8名)
5.優良住宅造成等の認定に関すること。
宅地開発班(2名)
6.営繕業務に係ること。
③営繕業務
計画指導班(7名)
○
○
○
○
7.県有建築物(公営住宅に係るものを除く。)
○
○
8.県有建築物等の検査に関すること。
○
○
○
○
○
○
○
営繕班(9名)
○
○
9.建築統計に関すること。
○
○
設備班(10名)
○
○
10.宅地建物取引業に関すること。
○
○
11.高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる
特定建築物の建築の促進に関すること。
○
○
④地方機関
県北振興局 監理営繕班
係長
係長以外
○
○
○
12.建築物の耐震改修の促進に関すること。
○
○
○
13.建築物及び宅地の防災に関すること。
○
○
14.福祉のまちづくりの推進に関すること。
○
○
15.建築審査会、開発審査会、建築士審査会及
び宅地建物取引業審査会に関すること。
○
○
○
○
○
○
県央振興局 管理営繕班
係長
係長以外
その他振興局
○
○
○
○
○
○
16.建設工事に係る資材の再資源化等の推進に
関すること。(他課の所管井属するものを除
く)
17.エネルギーの使用の合理化に関する法律の
規定に基づく特定建築物の届出に関するこ
と。
18.その他建築の指導に関すること。
○
○
平成 21 年度では、一般会計で計上すべき総括課長補佐及び調整班に係る人件費が特別会
計で計上されていたが、この点については、現在は一般会計で計上されることとなり、問
題のない計上方法となっている。
しかし、本来一般会計で計上すべき営繕業務に関する計画指導班に関する人件費や地方
機関の人件費については、平成 23 年度においては依然見直しが必要である。この点につい
ては、平成 24 年度において改善が図られる予定である。
また、上記表に記載されていない人件費のうち、振興局の非常勤勤務の人件費について
は、平成 24 年度においてもすべて特別会計から支出されているが、ここには一般会計で計
上すべき人件費が含まれており、見直しが必要である。
別記(No4)
設計監理等委託業務指名基準(運用)における審査基準評価項目のうち「自己資本額」の
取扱いについて
自己資本の額は格付けの対象となり、格付けの点数により入札へ参加の可否に差が生じ
ることとなるため、重要な項目である。
前回の包括外部監査では、各事業者から提出された調査票の自己資本の額に資本金の額
を記入しているケースが多く見られたとのことであったが、今回のケースではこの点につ
220
いては、「委託設計事務所実態調査票記入要領」において、注意書きを足すとともに間違っ
ている可能性がある事業者及び記入がない事業者については担当者から連絡を取ることに
より誤記入の発生を防ぐ取り組みが行われていた。
しかし、事業者が記入した自己資本の額については、現状では、間違っていると思われ
る場合や記入がない場合などで担当者がヒアリングをする事例はあるものの、先方から提
出された金額によることとしており、貸借対照表との照合は行われていない。
また個人事業主については確定申告で貸借対照表を作っていないと思われる場合、先方
が申告した額を記載しているケース、0 円としているケースなど取扱いが一定ではないケー
スが見られた。
自己資本の額は指名基準の発注基準に影響する重要な項目である以上、疎明資料として
決算書の添付を求めるとともに、個人事業主で貸借対照表を作成していない場合の自己資
本の記入についても一定の指針を定めるなどの対応が必要と考える。
別記(No6)
共益費の支出について
前回の包括外部監査において、建築課が負担する共益費の全額(平成 21 年度、15,132,000
円)が特別会計で計上されていることが指摘されていた。この指摘に対して、平成 23 年度
分については、一般会計及び特別会計のそれぞれで使用使途が固定されていない支出の合
計額を算出し、その按分によりそれぞれの共益費の負担金額を算出している。
負担額は、以下のようになっている。
(単位:円)
一般会計
特別会計
合計
需用費
200,000
13,250,000
13,450,000
役務費
250,000
1,500,000
1,750,000
使用料及び賃借料
300,000
632,000
932,000
合計
750,000
15,382,000
16,132,000
支 出 に つ い て は 、 全 額 で は な い も の の 総 額 16,132,000 円 の う ち 95.3% に あ た る
15,382,000 円が特別会計から支出されている状況となっている。
この点については、共益費という性格からも、前回の指摘のように給与支弁人数で按分
する方法や、使用面積により按分する方法などを検討するべきだといえる。その場合の共
益費の一般会計及び特別会計それぞれの負担金額については、現状とは大きく異なる結果
となることが想定される。
221
2.追加検討した事項
(1)特別会計と一般会計の支出の振り分けについて(指摘)
前回の包括外部監査時においては、建築課のタクシー代がすべて特別会計で計上されて
いたが、平成 23 年分の監査においては、本庁部分については、使用区分に応じ一般会計、
特別会計、他課の会計など、それぞれの会計において計上されることとされていた。また、
その他の支出では、ガソリン費・ETC などは本庁部分の会計でも依然全額が特別会計から支
出がされていた。ただし、これらの車両関係の費用については、平成 24 年度からは車両が
なくなることにともない改善されることとなっている。
振興局での支出については、年度当初にまとまった額を支出し、期中及び年度末に各振
興局において支出がなされた金額を控除し、残った金額が戻される形となっている。そし
て、各振興局において支出された内容及び金額について、本庁の建築課では把握していな
い。
平成 23 年度の振興局に係る人件費以外の主な支出(節)は以下のようになっている。
(単位:円)
特別会計
旅費
一般会計
合計
特別会計の割合
884,425
1,573,056
2,457,481
36.0%
需用費
3,068,300
1,121,568
4,189,868
73.2%
役務費
868,821
514,600
1,383,421
62.8%
使用料
2,456,261
722,180
3,178,441
77.3%
合計
7,277,807
3,931,404
11,209,211
64.9%
振興局における営繕事業に関連する事業は、県北振興局、及び県央振興局の一部に限ら
れているが、需用費、役務費、使用料については、一般会計と特別会計の合計額のうちそ
れぞれ 73.2%、62,8%、77.3%が特別会計で計上されており、本来一般会計として計上す
べき支出が特別会計で計上されている可能性がある。
このような現状から、建築課としての決算の金額に各振興局の支出も含まれる以上、建
築課として振興局のこれらの支出の内容の適正性を確認するとともに、その内容に応じ、
一般会計及び特別会計の区分が正確に行われる必要があると考える。
222
Ⅱ-16
管財課(庁用管理特別会計)
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
1
特会 H22
2
特会 H22
監査の結果
措置
検証結果
庁用管理費の支払状況につ
いて
庁用管理費の各課の支払状
況について検討したとこ
ろ、支払いが納期限より遅
れている課があることが確
認された。
庁舎管理及び庁用自動車等
管理事業に要する経費につ
いて請求された各課は、長
崎県庁用管理特別会計規則
に定めるとおり「速やかに」
経費の支払いを行わなけれ
ばならない。
議会バス使用料について
管財課は、庁舎管理費とし
て議会バス使用料を各課よ
り徴収している。
議会バスは 29 人乗りのマイ
クロバスで議会事務局より
借用しているもので、管財
課の物品ではない。管財課
で、議会バス運行を管理す
るにしても、維持管理費は
議会事務局で負担している
とのことであり、維持管理
費相当額の賃借料を計上す
る必要があると考える。
平成 23 年 2 月 28 日付け 22
管第 192 号「庁用管理費の
期限内納入について」にて、
関係各課等へ文書通知を行
い期限内納入の周知等を図
るとともに、随時納入状況
を確認し、遅れている課に
は督促を行うよう改善して
います。
平成 23 年度においては、総
務文書課での指摘事項と同
様に四半期ごとの期限内納
入が改善されているものの、
随時督促事務において一部
遅延が生じていた。これにつ
いても平成 24 年度には改善
している。
議会バスは、その有効活用
のため議会事務局の業務に
支障のない範囲で貸出すこ
ととされていますが、平成
22 年度の実績は 8 件にとど
まる等、各課の年間使用は
きわめて少ない状況にあり
ます。
このため平成 23 年度から、
各課において維持管理費の
うちそれぞれが使用した燃
料代相当分を負担するもの
とし、納入方法等は集中管
理自動車に準じ庁用管理費
として納入するよう関係要
領を整備しています。なお、
平成 22 年度は、燃料代相当
分を庁用管理費として年度
末に各課から一括徴収し議
会事務局へ再配当を行いま
した。
平成 23 年度は各課が使用し
た議会バスの燃料費相当分
を庁用管理費として四半期
ごとに使用課から徴収して
いる(利用回数は3回)。
223
3
特会 H22
4
特会 H22
5
特会 H22
公用車使用料単価の改定に
ついて
管財課は、公用車使用料の
単価について実費相当額と
することから、平成 22 年度
より 134 円/キロ→47 円/キ
ロヘと改定した。
しかし、平成 22 年 4 月から
の改定にもかかわらず、各
課への通知は包括外部監査
時(平成 22 年 11 月 8 日)に
おいて確認できず、庁用管
理費の請求がなされていな
かった。
なぜ、仮通知でもなされて
いない状況と、現時点で第 1
四半期(平成 22 年 4 月から 6
月分)について請求がなさ
れていない事務処理の遅れ
には、疑問が残る。
県庁舎清掃作業業務委託に
ついて
この契約は、県庁舎の清掃
業務の委託を行うもので、
一般競争入札によるが、定
期清掃業務の一部について
は、3 業者から見積もりを徴
取し、最も低い業者の単価
を採用している。
見積り徴取による積算の場
合、異常値を排除するため
のルール(30%以上の乖離が
ある場合には原則として除
外する、など)を定めてい
る部課はあるが、当該委託
契約においては異常値につ
いて特に考慮されていな
い。異常値については、そ
の原因を究明するなど、何
らかの対応を行っていく必
要があると考える。
県庁舎電気設備保守管理派
遣業務委託契約について
(1) 入 札 参 加 業 者 の 財 政 状
態について
入札参加業者が、一者のみ
であり、提出された財務関
係明細書によると、債務超
過の状態でもある。財務状
態の問題に加え、一者のみ
の入札ということで、万一
の場合の業務の継続性への
対応も想定しておく必要が
ある。
第 1 及び第 2 四半期の請求
については、平成 23 年 1 月
4 日に納入通知(請求)を行
いました。また、改定単価
については、主管課を通じ
て各課への周知を行いまし
た。今後はこのような遅れ
がないよう、よりー層適切
な事務処理に努めてまいり
ます。
その後、公用車使用料の改定
は生じていない。
定期清掃業務の一部につい
て、従来 3 業者から参考見
積を徴取していましたが、
平成 23 年度積算から、5 業
者から見積を徴取し、平均
値から 30%の範囲を超える
数値を異常値と設定して、
これを除いた価格の最低価
格を採用するよう改めまし
た。
当該事案については、平成
23 年度の契約分から是正さ
れている。
ただし、見積徴収について
は、他の契約で検出事項が見
られた。下記、「追加検討し
た事項」を参照のこと。
万一の場合には原則として
他の業者による業務の承継
が行われると考えておりま
すが、仮にそのような対応
が不可能な場合は、再入札
等により対応することとな
ります。この場合にも、新
業者が決定するまでの一時
的な設備の保守管理は、職
員により対応可能であるた
め、大きな問題は生じない
と考えております。
左記「職員により対応可能」
とは、職員に電気工事士の資
格保有者がいるためである、
とのことであった。また業者
の債務超過も決算書上解消
している。
224
6
特会 H22
県庁舎電気設備保守管理派
遣業務委託契約について
(2)設計価格について
設計における時間外労務費
の計算誤りにより、設計額
が過大となっていることが
確認されたことから、適正
に処理すべきと考える。
指摘があった設計における
時間外労務費の計算誤りに
ついて、平成 23 年度発注分
において適正に計算し設計
しました。
当該事案については、平成
23 年度の契約分から是正さ
れている。
2.追加検討した事項
(1)県庁空調自動制御装置定期保守業務委託について(指摘)
設計書において、複数者からの見積もりが徴取・比較されておらず、一者見積もりによ
って作成されており、徴した見積書に一律に査定率 8 掛けを行って算定しているが、複数
者からの見積もりを徴取するべきである。結果、落札率も予定価格比 31%となっており、
設計書の見直し(結果のフィードバック)による是正も必要であると考える。
(2)県庁舎空調熱源機器定期保守業務委託について(指摘)
設計書の一部に「分解点検整備費」という項目があるが、この部分については一者から
見積書を徴して作成している(全体額の約 45%)。これも上記と同じく、見積もりの 8 掛け
によって設計額を構成しているので複数者からの見積もりとすべきである。また見積書の
作成者は一般競争入札での落札業者であるが、実際の作業内容と見積書の内容とが乖離し
ていないことを検証するべきである。
(3)特別会計(管財課分)の繰越金の是正について(意見)
平成 23 年度の次期繰越金が約 187,276 千円生じており、総務文書課の例と同じく、一般
会計への繰出しにより是正する必要がある。理由等は、総務文書課の項と同様である。
(4)大波止ビル管理組合負担金における事務局費について(指摘)
管財課における庁用管理特別会計から、県が区分所有者である大波止ビル管理組合(以
下、「組合」と言う)への負担金が支出されている。
内容としては、ビルの共益費・大規模修繕費及び組合の事務局費の負担であり、平成
23 年度は 9,430,000 円が支出され、例年同額程度を負担している。
当該事務局費については、組合の事務的経費を賄うものであるが、その主な内容とし
ては、事務局職員 1 名の人件費及び組合が外部委託している事務局長への人件費相当額
である。
各年度における推移は次のとおり。
225
(単位:円)
年 度
事 務職 員給 与及 び
事務 局長 委託 費合 計
H19
7,811,616
H20
7,902,776
H21
7,245,160
H22
7,158,381
H23
7,015,138
※事務局員給与が個人情報のため合計額で表示している。
事務局職員の人件費については、県が負担金を支出し、同様な管理を行っている他の団
体における職員の人件費と比較しても相当に高額であり、整合性が保たれていないと言え
る。
何故このように高額になっているのか確認したところ、次の理由によるとのことであっ
た。
・当該職員は平成元年に採用され、その当時はビルがターミナル機能を備えており多忙で
あった。
・平成 7 年 11 月に新ターミナルが供用し、大波止ビルはコインロッカーと複数の団体が入
居する雑居ビルとなったことで当時 10 名以上いた職員を一旦全員解雇し、当該職員一名
のみを再雇用した。
・それ以前は県の給与規定に基づいて給与が計算されており、毎年昇給も行い、賞与(期
末、勤勉手当)も支給されていたが、再雇用した後もそのままの支給基準を保ったまま
現在に至っている(給与については、平成 21 年度以降、昇給停止としている)。
このような事情により同様な管理を行っている他の団体と比較して高額になっていると
言える状況になっているが、現在の仕事量及び組合の職員の人件費を維持する正当性が見
つからない以上、他団体との整合性を保つような給与の水準にすべきである。
今後の在り方について早急に検討し、整合性が保てる状況にすべきであると考える。
事務局長人件費相当額の再委託分については、平成 9 年度よりビル管理会社へ委託契約
を締結している。
当該委託契約額については、契約に基づき、委託業務実施内容報告及び価格算定根拠に
より決定されており、事務局長は委託先のビル管理会社の社員としての職務と組合事務局
長の職務とを半々で行うため、総人件費の約半額を委託料として算定している。
今回、当該実施報告及び価格算定根拠を検証したところ、実施報告に記載されている修
繕工事の施工立会いは実際には組合職員が行っていること等、実態と報告に乖離が認めら
れ、ヒアリング等により確認された組合事務局長としての職務時間は、全体の約 1/8 程度
と推定される。
このような事から、現在の委託料は実態からは高額に支出されていると言える。
早急に実施内容の再検証を行い、委託料の減額改定について検討を行うべきである。
226
Ⅱ-17
用地課(用地基金)(一部、総務文書課)
1.措置状況と検証結果
No
1
テーマ
年度
基 金
H20
監査の結果
措置
検証結果
(1)代替地処分が見込めな
いもの(指摘)
用地基金保有状況(利用区分
別)平成20年 11月1日
現在によれば、
「代替地処分
が見込めないもの」24件、
取得価格にして4億3千4
百万を有している状況であ
る。代替地としての処分が難
しく、塩漬け土地となってし
まったものであるが、事業と
して当該土地の取得の妥当
性、金額の妥当性を再検証
し、その原因を分析し多いに
反省をすべき事項であり、今
後はあらゆる方法で早期処
分の実現に向けて最善の努
力をしなければならない。
代替地等取得する場合は理
由書を添付し、また、金額
については全て土地評価を
実施しており妥当性がある
ものと確信しております
が、結果的に代替地処分が
見込めていないため、現在
は、土地取得後1年以内で
処分できるよう取得基準を
厳しくして対応しておりま
す。代替地として見込めな
い9件(4億5千万円)の土
地について、平成21年普
通財産へ所管換を行い、平
成21年7月に3件を一般
競争入札に付し1件売却出
来ました。なお、他の2件
につきましては、入札参加
者が無い状況でした。今後、
代替地として処分が難しい
土地については、土地価格
の下落状況の中、売却損な
ど総合的に勘案し、最大限
損失の縮減を図った利活用
に努めてまいります。
平成 23 年度末の状況では、
「代替地処分が見込めないも
の」25 件、取得価格にして約
5 億 1 千 8 百万という状況で
ある。用地課としては、再度
内容を精査し、普通財産への
所管換えを行い、入札処分を
図りつつ、近隣者への売却を
働きかけるなどの方策を図り
ながら、早期処分や利活用に
努めるとしている。
このような活動は、土木部関
係未利用地等売却促進会議
(用地基金部会)にて年3回
協議している。ただし平成 24
年度は、会議をうけて処分計
画を立ててはいるが、目標件
数や金額などの具体的な数値
目標まで十分に立案できてい
ない(一部は立案できてい
る)。
今後は、詳細なスケジューリ
ングの計画への反映、それを
可能にする現地調査(何が処
分を妨げているのかの分析)
と、特に物件の管理を所管し
ている地方機関との連携が必
要であると思われる。
後段出てくる各物件の問題に
ついても、現地の調査が不十
分であることの要因が大き
い。今後、未利用地の具体的
な処分を、スピードを持って
対処するべきである。(指摘)
また、No12,13 も関連するが、
今後は土地の無断使用や不法
投棄の監視体制を確実に行う
べきである。特に、振興局所
管の物件について管理を強化
するべきで、少なくとも年一
回の巡回と報告・記録が必要
と考える。(意見)
227
2
基 金
H20
(2)(利用区分別)用地基
金にて保有している土地の
含み損益の状況(指摘)
平成20年11月1日現在、
用地基金で保有している土
地は、取得価額が26億6千
7百万円であるが、その公示
価格等を参考にした時価評
価額は19億4千7百万円
となり、7億1千9百万円の
含み損を抱えている状況で
ある。昭和51年度以降にお
いて用地基金で運用してき
た財産貸付収入、利子・配当
金、財産売払収入の合計約3
7億7千万円を一般会計へ
繰り出してきたが、平成20
年3月31日現在の基金運
用益は1億6千9百万円し
かなく、直ちに用地基金で保
有している土地を売却する
と仮定すれば、5億5千万円
用地基金が減少することに
なる。
保有している土地に関しま
しては、基金の趣旨に則し
早期に活用できるよう地方
機関とともに取り組んでお
ります。また、土地価格の
下落状況の中、売却損など
総合的に勘案し、最大限損
失の縮減を図った利活用に
努めてまいります。
下記、検証結果(No.2)を参
照のこと。
3
基 金
H20
(3)普通財産で所有してい
る用地基金で取得した土地
の売却実績並びに見込額の
状況(指摘)
平成20年12月1日現在、
普通財産で所有している用
地基金で取得した土地は、取
得価額が17億8千7百万
円、売却見込額が6億2千6
百万円であるため、11億6
千万円の含み損を抱えてい
る状況にあることから、重要
な課題として取り組まなけ
ればならない。
全国的に土地価格が下落
し、その傾向が収束してい
ない状況です。また、現在
の経済情勢の中、土地への
需要が厳しい状況でありま
すが、JR長崎本線立体交
差事業及び長崎駅周辺区画
整理事業並びに九州新幹線
西九州ルート用地として活
用するとともに、処分でき
るまでの間は損失を最小限
に抑えるために有償貸付け
を行っております。
その後の普通財産への所管換
えが進んだこともあり、含み
損は 14 億 2 千万円まで膨らん
でいる。そのうち 11 億 1 千万
円は、左記の長崎駅前再開発
に係る物件の含み損である。
対処のあるべき方向は、措置
の内容の通りである。
4
基 金
H20
(4)今後普通財産への所管 今後とも引続き広く周知措
換えを検討しているものに 置を図ってまいります。
ついて(意見)
今後普通財産へ所管換えを
検討している基金用地は、代
替地として保有しておく必
要がある土地以外の土地に
ついて、購入希望者がいれば
売却してもよいと考えてい
る土地について所管換えを
検討しているものである。
当該土地は、『売却可能地』
表示することにより広く一
般からの取引申込を待つな
どの対応を取り、早期処分を
目指しているものであるが、
未利用地売却に関する方針
が、社会情勢の変化などを踏
まえ平成 22 年度に見直され
たことから、現在では売却可
能地の表示は行っていないと
のことである。今後、管財課
所管の県有財産運用本部会議
の方針とのすり合わせを行
い、対応を考えるとの回答で
あった。
売却可能地の表示は別とし
て、管理上の問題から「県有
地」の表示(問い合わせ先も
含めて)は行うべきであると
考える。(意見)
228
一定の効果が上がっている
ものと評価できる。
5
基 金
H20
(5)基金の適正規模につい
て(意見)
基金の適正規模に向けて、適
正に処理されるべきと考え
る。
平成20年2月に策定され
た収支構造改革への取組み
において決定された目標に
沿って用地基金の適正化に
取組んでおります。具体的
には、平成21年5月に現
金2億円を一般会計へ繰出
しを行い、平成22年度も
2億円を繰出す予定として
おり適正に処理しておりま
す。なお、今後、JR長崎
本線立体交差事業、西九州
新幹線事業に10億円、そ
の他一般事業7億円の計1
7億円程度の基金は必要と
考えております。
平成 22 年度末の長崎県「新」
行財政改革プランで基金規模
の適正化が示され、平成 23 年
度末残高が、約 19 億となって
いるが、今後二年間で 5 億円
を一般会計へ繰り出し、14 億
程度(大型プロジェクトに 10
億、その他で 4 億)まで削減
する方向とのことであった。
状況の変化とともに、今後も
適正規模への対応が求められ
る。(意見)
6
基 金
H20
(6)運用期間について(意
見)
用地基金でいうところの現
金の運用から生ずる収益(利
息)はすべて、一般会計に繰
り入れ、運用は全て預金で行
われており、平成19年度の
運用実績は13,755,8
46円であり、入札等適正に
おこなわれていた。運用の期
間は35日∼45日のもの
で実施されているのは、基金
で用地取得する場合に速や
かに対応するためであるが、
より長期の有利な運用がで
きないかは検討の余地があ
る。
平成20年度は、概ね35
日で運用していたものを、
平成21年5月15日から
中期(5ヶ月)短期(2ヶ
月)に区分して運用するよ
う改善いたしました。
現在は、財政課による一括運
用がなされ、半期スパンでの
運用(大口定期またはNCD
のいずれか、利率の有利な運
用が行われている)がなされ
ており、改善が見られる。
7
基 金
H20
(7)個別事例について
①「公有財産貸付申請」手続
きを欠くもの(指摘)
長崎県交通局の移転に伴い、
長崎交通局が平成7年から
平成14年まで基金で保有
している土地を借受けてい
たが、「長崎県公有財産取扱
規則」に基づく、「公有財産
貸付申請」の手続きが欠如し
ていた。★長崎市幸町
当該地を含めて、交通局の
移転先とする為買収し、管
理につきましては交通局に
依頼しておりました。管理
依頼について手続きを踏ん
でいなかったことについて
は、今後このようなことが
ないよう充分に注意いたし
ます。
その後、交通局の移転先が
変更された為、当該地は「長
崎県公有財産取扱規則」に
基づき適正に民間企業へ有
償貸付けを行っておりま
す。
監査結果は、過去の事象への
検出事項であり、既に是正さ
れている。
なお貸付事務全体について
は、別途、後段(No10)の問
題が今回発見されている。
また、平成 22 年 2 月に「公有
財産の使用許可等に係る連帯
保証人の取扱いについて」
(総
務部長通知)が規定されたこ
とで、年間 3 万円を超える平
成 22 年度からの新規契約に
ついて連帯保証人を設けるこ
ととなった。
229
8
基 金
H20
9
基 金
H20
10
基 金
H20
隣接者1名の立会い拒否の
為、土地の合筆に必要な字図
訂正が出来ない状況について
は現在も進展がない。
用地課の今後の方針として
は、これまで代替地としての
処分を前提として道路敷と基
金用地の分筆を行うための字
図訂正を検討してきたが、現
状では代替地処分が困難な状
況であることから、道路区域
として活用についても並行し
て検討を行いながら、引き続
き立会い拒否者と協議を重ね
ることで問題解決を図り、早
期に処分出来るように努める
とのことであった。
措置で示した対応は責任をも
って、迅速に実現するべきで
ある。(指摘)
都市計画の地域地区につき 左記の物件については対応の
(7)個別事例について
③代替地処分が見込めない ましては、関係機関と協議 難 し さ も あ り 進 展 し て い な
を行ってまいります。また、 い。
もの(意見)
市街化調整区域で、風致地区 現状では代替地等としての 用地課によれば、市街化調整
となっており、指定解除をし 処分も難しいため、有償借 区域で風致地区の部分につい
てもらえれば開発はできる 地を検討し、土地の有効利 ては、利用計画が無い段階で
と思うが、すでに周辺宅地の 活用に努めてまいります。 の 指 定 解 除 は 困 難 で あ る た
用物件は、購入済みであり当
め、平成 21 年度に指定区域外
該土地の売却可能性は低い。
の一部について普通財産への
★長崎市西山
所管換(2 区画、25 百万円)
を行い、一般競争入札を検討
していたところ、道路位置指
定の問題が発生したため、現
在保有地として利活用を検討
している状況とのことであっ
た。
これも具体性をもった対応を
迅速にすすめる必要がある。
(意見)
(7)個別事例について
②代替地処分手続きに問題
が認められるもの(指摘)
平成10、13年度におい
て、佐世保吉井松浦線道路改
良工事の用地買収で、字図混
乱のため、旧地主より用地基
金で買収した土地について、
県は土地の合筆・地目変更が
出来ないまま道路完了工事
が完了してしまい、旧地主と
の間で約束された代替地処
分が出来ない状況にある。本
来は当該道路改良工事期間
中に対処すべき問題を放置
し、事後対応に窮する状況を
招いた県の責任は重い。早急
に解決すべき問題である。★
佐世保市小川内町
隣接者1名の立会い拒否の
為、土地の合筆に必要な字
図訂正が出来ない状況で
す。引き続き立会い拒否者
と協議を重ねることで問題
解決を図り、早期に代替地
処分出来るように努めてま
いります。
記載漏れに関しましては、
(7)個別事例について
④普通財産貸付(財産借受) 平成20年度中に台帳へ記
台帳の不備があるもの(指 載し、是正いたしました。
摘)
現在長崎市に無償貸与し、さ
らに、鶴南養護学校平山校舎
体育館運営協議会へ貸与さ
れている土地について、『普
通財産貸付(財産借受台帳』
へ無償貸与の事実の記載が
なかった。★長崎市平山町
230
台帳への記載は確認した。
その他に追加検討した論点に
ついては、下記「2.追加検討
した事項(1)」を参照のこと。
11
基 金
H20
(7)個別事例について
⑤速やかな代替地処分を進
めるべきもの(意見)
代替地として取得している
土地の中には、払い下げ予定
企業の都合により速やかな
処分ができず、用地基金が保
有し続けている土地がある。
払い下げ予定企業の状況に
よっては、新たに代替地処分
先を検討し、早期処分に努め
る必要がある。★長崎市毛井
首町
平成20年度にも早期処分
ができるように予定企業と
協議を重ねてまいりまし
た。しかしながら、予定企
業業種はこの経済情勢の
中、厳しい経営状況であり
一括購入については難し
く、平成23年度末までに
は分割して一部買取る旨の
申出があったためやむをえ
ないものとし、平成21年
3月に簿価での買取りを条
件に覚書きを交しました。
今後、覚書きの内容履行を
求め続け早期処分に努めて
まいります。
下記、別記(No.11)を参照の
こと。
12
基 金
H20
無断使用されないよう措置
を行い適正管理に努めると
ともに、有償貸付けなど未
利用地の有効利活用の促進
に努めてまいります。
駐車車両数台については、隣
接地の事業者の顧客が一時的
に駐車していた。この確認の
際、当該事業者から一部隣接
者として売却の打診があった
ため交渉を行ったが、折り合
いがつかなかったため、平成
21 年度に普通財産へ所管換を
行い、民間への売却を含めた
利活用を検討しているとのこ
とである。また、現在でも顧
客の一時使用は完全に排除で
きていない。速やかな是正が
必要である。(指摘)
13
基 金
H20
(7)個別事例について
⑥代替地の保管状況に不備
があるもの
1)土地の無断使用について
(指摘)
代替地で保有している土地
について、駐車場として無断
使用されていた。
用地基金財産の内、処分予定
のないものについては、管理
及び運用上支障がない限り
『用地基金財産の貸付内規』
に基づき正当な対価を得た
賃貸借契約を締結すべきと
考える。★時津町久留里郷
(7)個別事例について
⑥代替地の保管状況に不備
があるもの
2)土地の安全確保について
(意見)
用地基金が取得した財産の
管理状況としては、不法投棄
されるほど不備がある状況
である。当該車両について
は、不法投棄者に撤去させる
とともに、安全管理面からも
出入口は施錠等を行い、無断
使用できない措置を講じる
べきである。★時津町久留里
郷
不法投棄車両につきまして
は平成20年10月15日
に撤去させました。今後に
おきましては、不法投棄が
ないように措置を行い適正
管理に努めてまいります。
無断駐車車両の内、放置車両
と思われる車両1台について
は撤去の張り紙を掲示し、平
成 20 年 10 月 15 日に撤去を確
認済み。
上記 No12 の意見を除き特に
問題ない。
231
14
基 金
H20
(7)個別事例について
⑦速やかな代替地処分を進
めるべきもの(意見)
代替地として取得している
土地の中には、払い下げ予定
企業の都合により速やかな
処分ができず、用地基金が保
有し続けている土地がある。
払い下げ予定企業の状況に
よっては、新たに代替地処分
先を検討し、早期処分に努め
る必要がある。★長崎市畝刈
町
特定代替地として長期間確
保していますが、その必要
性について、あらためて払
い下げ予定企業と協議し、
他の事業の代替地や有償貸
付けなどを含み有効利活用
に努めてまいります。
15
基 金
H20
土木部、農林部で組織する
「雪浦第2ダム関連基金用
地利活用促進会議」を平成
21年6月19日に立上
げ、現地調査を実施いたし
ました。これを踏まえ、活
用策等について協議を行
い、処分に向けた検討を行
いましたが、地理的条件な
ど厳しい状況であります。
今後も更なる有効利活用を
目指し模索してまいりま
す。
16
基 金
H20
(7)個別事例について
⑧雪浦第2ダム事業用地に
ついて(意見)
県公共事業評価監視委員会
は、平成21年2月、雪浦第
2ダムの建設中止を含む「長
崎水害緊急ダム事業」の見直
しを認めると知事に答申し
ている。事業中止となった場
合、基金用地で取得している
雪浦第2ダムの土捨場用地
代253百万円については、
事業用地として時価評価の
対象としていなかったが、当
該土地を時価評価した場合
には、相当の評価損が見込ま
れると考える。以上を踏ま
え、早急に土地の有効活用を
計画し、実現に向けて対処す
る必要がある。★西海市大瀬
戸町・西彼町
(7)個別事例について
⑨代替地の無断使用につい
て(指摘)
基金財産の内、処分予定のな
いものについては、管理及び
運用上支障がない限り、貸付
けを行うことができるもの
として『用地基金財用地産の
貸付内規』(平成12年3月
1日)を規定していることか
ら、当該土地の貸与部分につ
いて、相手方と速やかに同内
規に基づき正当な対価を得
た賃貸借契約を締結するべ
きと考える。★佐世保市針尾
東町
無断使用されないよう措置
を行い適正管理に努めると
ともに、有償貸付けなど未
利用地の有効利活用の促進
に努めてまいります。
232
特定企業用の代替地として平
成 7 年度から長期間確保して
いるが、その必要性について、
予定企業と協議した結果、平
成 24 年 3 月に代替地として取
得する意思が無いことを確認
している。
今後、他の事業の代替地処分
先を検討し、利活用が見込ま
れない場合は普通財産へ所管
換を行い、一般競争入札等に
より広く処分を図るとのこと
であった。
速やかな処分を進める必要が
ある。(意見)
土木部、農林部で組織する「雪
浦第2ダム関連基金用地利活
用促進会議」を平成 21 年 6 月
19 日に立上げ、以降現地調査
や協議行っている(会議・幹
事会 11 回、内現地調査 2 回を
兼ねる)が、現在まで具体的
進展が見られない。
県庁内部での調整が進んでい
ないという状況であり、監査
の結果が活かされていないた
め、早急に内部での調整を済
ませ、土地の有効活用に向け
た方向性を示すべきである。
具体的なスケジューリングの
立案が求められる。(意見)
当該用地については、隣接地
との間で登記図面を巡り境界
問題が発生しているため、駐
車場部分についても話し合い
が進展していない状況にあ
る。
平成 24 年度については、隣接
者との間で協議を再開するこ
とを確認したが、まず測量に
より境界を確定させた上で協
議を進め、貸付の方向で調整
中とのことである。
無断使用を放置することな
く、早急に対処するべきであ
る。(指摘)
17
基 金
H20
(7)個別事例について
⑩代替地処分の取り下げに
ついて(意見)
街路改良工事の代替地要望
者の要望により取得した土
地の地下埋設物の完全撤去
が実現しなかったことから、
代替地要望者が要望を撤回
したため、代替地処分を取り
下げた。要望者の理由により
撤回された場合の下協議で
の取り決めが十分なされて
いたのか疑問である。★佐世
保市塩浜町
基金で土地を取得する場合
は、代替地要望者の要望に
よるものであり、今後は、
基金で取得する前提条件と
して、当該需要者の都合に
よる撤回についての措置を
規定するとともに、そのこ
とを充分理解していただけ
るよう努めてまいります。
また、取得予定地の調査の
徹底も併せて行ってまいり
ます。
地下埋設物の撤去も完了して
おり、今後売却に向け普通財
産への所管換を検討している
とのことであるが、早期解決
に尽力するべきである。(意
見)
また、措置にあるような「当
該需要者の都合による撤回に
ついての措置を規定する」点
については、制度の柔軟な運
用という観点から、措置の規
程という対応ではなく、未利
用地等売却促進会議(用地基
金部会)において、代替地取
得は購入確実な需要者からの
案件に限るよう周知すること
で対応している。
別記(No.2)
用地基金にて保有している土地の含み損益の状況について(指摘)
平成 23 年度末に用地基金で保有している(利用区分別)土地は下表のとおりである。
<平成23年度末>
区分
件数
面積(㎡)
簿価(千円)
時価(千円)
差引(千円)
A
3
441
56,120
56,120
0
B
7
4,974
246,018
101,097
△ 144,920
C
43
63,136
935,827
574,817
△ 361,011
D
25
16,523
518,358
303,736
△ 214,622
E
13
42,456
627
316
△ 311
F
5
210,365
406,904
417,718
10,814
計
96
337,896
2,163,853
1,453,804
△ 710,050
<平成20年11月1日時点(前回監査時)>
計
105
312,874
2,667,383
1,947,546
△ 719,836
<区分について>
A
B
C
D
E
F
処分手続きに着手しているもの
代替地として既に処分先が確定しているもの
処分先は確定していないものの代替地として、保有しておくことが必要と考えられるもの
代替地として処分が見込めないもの
保有している土地の現況が公衆用道路等で、処分するとしても金銭売買が見込めないもの
事業用地として保有しているもの
前回監査時点と比較すると、その間の処分等により件数が減ったことにより簿価、時価
ともに減少したため、含み損はあまり変化がない。含み損を抱えている物件を売却すると
含み損が実際の損失となるが、基金から一般会計への所管換えを行う際は、制度上簿価で
233
の資金授受しかできないため、基金が毀損するわけではなく、一般会計に帰属する売却損
も現行の官庁会計では認識されることもない。このため、含み損は既に発生している毀損
であることを県は十分に認識して、上記 No.1 でも触れたように、具体的かつスピード感の
ある対処を進めるべきである。
別記(No.11)
(7)個別事例について―
⑤速やかな代替地処分を進めるべきもの
区分:B-741 長崎市毛井首
①
当該案件の論点
上記「監査の結果」では論点が明確ではないため、以下に当時の報告書を再掲する。
当事案について、以下の問題がある。
②
措置のありかたについて(指摘)(関連:総務文書課)
234
措置状況に記載された「監査の結果」欄の内容が監査結果報告書の原文と相違しており、
回答を求められた「措置」の一部が回答されていない。
「払い下げ予定企業の状況によっては、新たに代替地処分先を検討し、早期処分に努め
る必要がある」と措置状況ではなっているが、原文は「県は早急にいつまで延長を認める
のか、明確な期限を定め、対処するとともに、仮にその時期まで甲による取得が不能であ
る場合は、新たな代替地処分先を探し、早期処分に努める必要がある」であり、前段の「県
は早急にいつまで延長を認めるのか、明確な期限を定め、対処する」ことをあくまで求め
ているが(それが叶わないならば・・・が後段であり、あくまで実践してみて後日ダメな
らば、という話である)
、延長の期限を定めることの回答を避けている。
これまでの当該事案の経緯から、監査人の求めるところを実現することに難しさがあっ
たという事情もあったかと思われるが、制度の遵守の面から監査結果の意と相違すること
は、厳に避けなければならない。実現の難しさがあるのであれば、違う手法を採用するこ
との合理性を説明すればよかったのではなかろうか。
③
その後対処の状況とありかたについて(意見)
平成 23 年度末に先方と交わされた「確認書」では、平成 24 年度に 100 ㎡を購入するこ
と、賃借期限を平成 24 年度末まで延長すること、平成 11 年度に両者間で決定した賃借価
格については据置くことなどが取り決められている(別途「県有財産貸付契約書」の締結
がなされている)。
しかしながら、監査の指摘を受けて上記を明文化しただけで、取得にむけて具体的な進
展が見られるわけではない。早急に先方企業に分割購入する途を具体的に示すべきである。
具体的には、毎月一定額を土地購入資金として積み立てさせ、経営状況を監視し、確実な
購入を進めるべきである。確認書が毎期反故にされてしまうのは、県のアクションに具体
性がないためである。その推進のためにも、担当者はしっかりと財務的な知識を習得して
ノウハウの向上に努めるべきである。
2.追加検討した事項
(1)(No.10)(7)個別事例について― ④普通財産貸付(財産借受)台帳の不備があるもの
区分:D-702 長崎市平山町
当事案について、以下の問題がある。
①
用地基金財産台帳の所在地の記載の変更が行われていない点(意見)
用地基金財産台帳の所在地の記載が、既に売却されている土地の番地のまま記載されて
おり、本来台帳に登載するべき物件の番地と相違している。もともと、6 筆からなる物件の
管理を台帳に記載し、管理しているのであるが、その 6 筆のうち所在地として記載されて
235
いる土地 1 筆分は、基金の管理から離れているのであるから、残りの基金の土地の番地に
「所在地」を変更するべきである。台帳のメンテナンスが不十分である。
②
長崎市への土地貸付事務の瑕疵について(指摘)
普通財産貸付契約にて、基金の保有する平山町の土地と、そこにある体育館が貸付けら
れているが、
契約書に記載された平山町土地の面積が二筆で合計 1,730 ㎡であるのに対し、
用地基金台帳での二筆合計は 6,945 ㎡で貸付面積の方が狭く、どこからどこまで貸付の対
象であるという明確な区分の取決めがない。このため、貸付けている場所の特定ができて
いない。無断使用の排除のためにも契約内容を改めるべきである。
実際、現場視察すると、明らかに貸付対象外と思われる土地までもが駐車場として使用
されており、無断使用されている状態であった。
当該契約は無償とはいえ、県有財産の取扱いか
らは逸脱しているのであるから、実態に即した
契約に改めるべきである。その他にも貸付契約
書の規約に必ずしも合致していない使用状況
が見られるところもあり、県は物件の使用状況
を定期的に確認し、長崎市と都度協議する必要
がある。
また、長崎市教育委員会が旧鶴南養護学校平山校舎体育館運営協議会へ転貸しているの
だが、体育館の使用の貸付契約であって、底地と周辺土地の使用については何ら書面に現
れてはいない。使用者の多くは自己の所有する車両で来館しており、駐車場としての利用
が明らかであり、実態に即した契約となっていない。長崎市教育委員会へ指導を行うべき
である。
③
体育館の老朽化と費用負担の取決めの必要性について(指摘)
体育館の一部が老朽化しており、改修の必要がある。事故を未然に防ぐためにも、長崎
市教育委員会(及び協議会)と早急に協議され
たい。
例えば、体育館入口の庇(ひさし)の錆によ
る劣化が進んでおり、危険な状態である。また
内側からはあまりわからないが、体育館屋根の
スレートも錆が進んでおり、メンテナンスが行
われていないことを物語っている。
上記県有財産貸付契約書の条文では、施設の
管理責任と費用負担は長崎市にある。
236
県は長崎市に対しその怠慢を問うべきである。
(2)処分阻害要因の早期解決について(意見)
区分:D-769
所在地:諫早市西郷町 137-4
取得年:平成 12 年
事業名:雲仙普賢岳導流堤工事
面積:189.94 ㎡
取得価格:16,391 千円
県は当該土地を普通財産への所管換えによる入札処分を計画している。しかしながら、
過去の経緯によれば、当該土地は一旦代替地として払下げされたものの、当該土地に近隣
者の水道管が埋設してある事実が判明し、移設費用の負担が発生することが原因で、購入
者から土地を買い戻し現在に至っている。
この物件が売却先のつかない主たる原因としては、3 点が指摘されている。
・水道管が埋設してあり、その移設費用を県で持たなければならない。
・地積更正が必要(地積測量図が登記されておらず、実測と登記が異なる)。
・隣接住宅との間の排水溝が当該土地の面積に含まれている可能性があり、対応が必要。
当該物件は過去の経緯が記録として明らかであり、現場での検証でもその事実が確認さ
れるところである。要因のはっきりしているものは早期の対応が図られるべきである。
(3)物件の管理と処分阻害要因の早期解決について(意見)
区分:C-355
所在地:佐世保市指方町
取得年:平成 3 年
事業名:一般国道 202 号
面積:1002.58 ㎡
取得価格:20,629 千円
当該土地の区分は、C「処分先は確定してい
ないものの代替地として、保有しておくことが
必要と考えられるもの」との区分であるが、平成 15 年に 202 号線代替地との引き合いがあ
ったが、立ち消えになってから動きがなく、本来の区分は D「代替地として処分が見込めな
いもの」との認識が妥当であると思われる。また、現地に行くと、当該物件に容易に侵入
でき、無断使用や不法投棄の可能性も否定できないため、今後フェンスや鎖等で侵入でき
ないよう保全を施すべきである。また定期的な草刈りも必要ではないか。
237
当該物件の最大の阻害要因は、物件に地目の「田」が一部含まれている点である。しか
も市街化調整区域であるため、農地からの雑種地への転用が難しい状況にあり、土地活用
の具体的な姿を準備してから農業委員会へ説得するなど、段取りも考慮した対応が求めら
れる。具体的な対応が望まれる。
(2)、(3)に共通することだが、基金全体として各物件の処分のためのスケジューリン
グ作成のためには、各物件の持つ阻害要因を把握し、排除を進めることが必要であると思
われる。
(4)公有財産の使用許可等に係る契約更新に関して(指摘)
長崎県交通局との長崎市大黒町の貸切バス発着敷地の貸付に関して、平成 23 年 4 月 1 日
から平成 24 年 3 月 31 日までの公有財産貸付契約更新申請書の提出日が平成 23 年 3 月 2 日
と、上記規則及び契約書で定められている期間満了の日の 1 月前までに提出がなされてい
ない。契約を順守しなければならない。
<長崎県公有財産取扱規則第 24 条(貸付の期間)3 号>
期間を更新しようとするときは、期間満了の日1月前までに、借受人に公有財産貸付(権利設定)契約
更新申請書(様式第15号)を提出させ、内容調査のうえ、契約書案その他必要な書類を添えて、知事
の決裁を受けなければならない。
<県有財産貸付契約書第 3 条(貸付期間)2 号>
前項の期間は更新することができる。この場合、乙は(借受人)期間満了の日の1月前までに、公有財
産貸付契約更新申請書を甲(長崎県)に提出しなければならない。
238
Ⅱ-18
福祉保健課
1.措置状況と検証結果
NO
1
テーマ
年度
貸付金
H15
監査の結果
措置
検証結果
(1)介護福祉士修学資金貸
付事業費補助金
ウ.意見
(ア)制度の意義について
県独自の制度では、借受者の
県内定着率は、事業評価の目
標を下回っている。
・国の制度を利用した制度と
すれば借受限度額が増加する
など、より大きな効果が期待
できるので、制度の変更を検
討する必要がある。
・国の制度発足に先駆け実
施していた制度ですが、現
場のニーズ等を把握・検討
し、平成15年度の新規貸
付分から国の補助制度に切
り替えております。また、
平成16年度においては、
すべての貸付が国の補助制
度を利用しております。
現在では、当時の制度は廃
止されており、県直営での
貸付は平成 17 年度をもって
新規貸付が終了し、平成 19
年度をもって貸付事業その
ものが終了している。なお、
左記にある「国の補助制度」
とは、全額国庫という意味
ではなく、従前財源を県単
でやっていたものを、国
1/2、県 1/2 としたという意
味である。
当該事業の、その後の貸付
金への移行の過程で生じた
問題については、後述の「2.
追加検討した事項」を参照
のこと。
2
貸付金
H15
(2)生活福祉資金貸付事業
補助金
ウ.指摘事項
(ア)融資管理システムと会計
システムの不一致について
県社協の融資管理システム
(貸付金償還月次報告書)に
よる貸付金残高と会計システ
ム(貸借対照表)による貸付
金残高が不一致となってい
る。
・今後は、融資システムと会
計システムの残高を毎月照合
する必要がある。
・貸付金残高の不一致につ
いては、既に原因を究明し
更正処理を行いました。平
成16年度からは、毎月末
ごとに両システムの残高の
照合を行っております。
239
現在、平成 22 年度以降原資
について、県費補助金は支
出されていない。
ただし現在でも貸付事業は
県社協で継続しているた
め、補助金の効果の検証、
把握という点では、左記指
摘は意義を失っていない。
現在残高は一致している。
3
貸付金
H15
(2)生活福祉資金貸付事業
補助金
エ.意見
(ア)延滞債権について
毎年、延滞額及び延滞割合が
増加しているが、明らかに償
還率の低下によるものであ
る。
償還率低下の原因としては以
下の 3 点が考えられる。
①貸付時の審査に改善の余地
がある
②回収手続きに改善の余地が
ある
③借受者の状況把握、適切な
返済指導が十分に行われてい
ない
・貸付時の審査は、延滞債権
の中に当初から返済を予定し
ていない悪質な借受者等を排
除することに主眼を置くこと
が重要である。
・回収手続きについては、法
的手続きを踏まえた保証人へ
の履行請求等、強い姿勢で回
収に取り組むことが重要であ
る。
・貸付時の審査については、
国の規程どおりに行い関係
者(民生委員・市町村社協)
の意見を充分に聞いた上
で、運営委員会で判定して
おります。今後も運営委員
会において充分な検討を行
い判定してまいります。
・貸付金の回収については、
民生委員の訪問指導、市町
村社協の相談援助等により
借受者の状況把握を行い、
償還能力に応じた計画を立
て、実施要綱に沿って回収
を行ってきたところです
が、借受人からの回収が難
しいものについては、今後
も保証人に対して、督促状
の送付、呼出等行ってまい
ります。
・平成16年度からは、新
たに作成しました「債権管
理強化推進事業実施要領」
に基づき、初期滞納者への
早期の償還指導の実施や、
長期滞納者に対しては現地
へ出向いての償還指導、保
証人への督促など、より一
層適切な償還指導を行って
まいります。
240
福祉保健課は、貸付審査等
運営委員会の委員として貸
付審査に参画している。
県社協では、国の制度に従
って債権管理を行っている
ところであるが、生活福祉
資金の事務要領などによ
り、3 か月延滞を目安として
督促状の送付、管理ファイ
ルへの記載と管理、電話や
訪問督促を行っている。
貸付金
H15
4
貸付金
H15
・償還率低下を防ぐためには、
貸付から償還まで継続して借
受者の状況把握を行うこと、
状況に応じた適切な返済指導
を行うことである。結果的に
延滞債権が増加しているの
は、この点が不十分であった
と考えられる。
・返済が困難な債権について
は、償還免除の制度を積極的
に活用し、回収できない債権
は整理して、事務費の削減を
図るよう長崎県は指導するこ
とが必要である。
・貸付金の財源は長崎県から
の補助金であるが、その使途
である貸付金制度の改善に対
しては積極的に取り組んでい
ないようである。県として本
制度の改善に積極的に取り組
むべきである。
・延滞が増えれば逆に欠損補
填積立金繰入額は減少し、結
果的に償還免除できる金額が
制約を受けるという制度上の
問題も含んでいるので、国に
対して改善を要求すべきであ
る。
・償還の免除については、
安易に実施すべきではない
と考えておりますが、関係
者の死亡や破産宣告など所
定の要件を満たす場合は、
制度に基づき適正に処理す
るよう指導を行います。
・本県としても、貸付の運
営委員会に委員としての参
加等により運営状況の把握
に努めているところです。
さらに16年度からは生活
福祉資金だけを対象とした
指導監査を実施し、債権管
理の強化等に積極的に関わ
ってまいります。
・国に対しては従来から制
度改正を要望しておりま
す。今後も引き続き要望し
てまいります。
償還免除は国の基準が示さ
れており、これに従って処
理がなされている。
(2)生活福祉資金貸付事業
補助金
(イ)制度の意義について
平成 14 年度末の原資(すべて
補助金)4,424,732 千円に対
し、貸付に使用されている金
額は 3,153,250 千円となり、
差額の 1,271,482 千円は使用
されず、県社協に眠ったまま
の状況となっている。事業評
価調書の成果指標として貸付
金償還率が採用されている
が、資金貸付件数と貸付金償
還率は目標を達成していな
い。
・不要と考えられる資金を、
必要性があり、効果のある他
の事業に利用すること等を検
討すべきと考える。
・平成16年4月から新た
な貸付として長期生活支援
資金の貸付を始めました。
また、平成16年度には一
部制度の改正もあり、今後
の貸付件数等の推移を見な
がら検討していくこととし
ております。
左記の余剰資金の有効活用
の監査結果を受けて、平成
17 年度に県では、県社協か
ら余剰資金の返還を 3 億受
けており、そのうち負担割
合に応じて国に 2 億を自主
返納している。平成 21 年度
に制度改正と 8.5 億の全額
国庫補助による資金供給が
行われ、貸付は増加してい
るとはいえ、旧制度の貸付
と余剰(県費 1/3)が依然残
されているため、補助金の
管理という意味で引き続き
関与する必要があると考え
る。
241
運営委員会への参画は上述
の通り。
欠損補填積立金について
は、従前利息収入の 1/3 を
積み立てる取り決めがあっ
たが、現在ではこのルール
はない。この点、監査時点
での意見は解消している。
また、監査時点後、平成 21
年度に国の方針により、積
極的な償還免除が行われて
いる(免除の指針は示され
ている)。更に平成 21 に当
制度の改正があり、貸付金
の要件等の見直しによる原
資 8.5 億と、5.3 億の欠損補
填積立金が全額国庫補助に
より交付されている。
現状では、この欠損補填積
立金での補填対象は、平成
21 年度の新制度分のみで、
旧制度の貸付金へは充当で
きないため、今後旧制度分
の債権管理(回収・免除を
含む)と欠損補填のありか
たについて引き続き対応を
協議する必要があると考え
る。(意見)
5
貸付金
H15
6
貸付金
H15
7
貸付金
H15
(3)生活福祉資金(離職者
支援)貸付事業補助金
ウ.意見
(ア)制度の意義について
平成 13 年度に 420,000 千円を
補助金として支出したが、平
成 14 年度末の県社協の貸付残
高は、27,940 千円にとどまっ
ている。また、すでに 5 件中 4
件が滞納となっている。
・国の制度とはいえ、新しい
事業であるにも拘わらず補助
の効果が発揮されていないの
で、何らかの見直しが必要で
ある。県社協で保有している
余剰資金を他の有効な事業に
利用することも検討する必要
がある。また、当初から償還
率が極めて低いので、早期に
原因を究明すべきである。
(6)民間社会福祉事業職員
貸付金
ウ.意見
(ア)制度の意義について
・このような生活資金の貸付
事業は民間金融機関でも実施
しており、長崎県が実施する
必要性はないので、制度の見
直しが必要と考える。
(7)長崎県高齢者・障害者
住宅整備資金
ウ.指摘事項
(ア)融資管理システムと会計
システムの不一致について
県社協の融資管理システム
(貸付金償還月次報告書)に
よる貸付金残高と会計システ
ム(貸借対照表)による貸付
金残高が不一致となってい
る。
・今後は、融資システムと会
計システムの残高を毎月照合
する必要がある。
平成 15 年 3 月に 3,000 千円及
び 2,450 千円の貸付を実行し
た際、正しい会計処理を行う
と補正予算をオーバーするこ
とになるため、会計処理を翌
年度に繰り延べている。
・実態を歪める処理であり問
題がある
・国の雇用施策に基づく新
規貸付制度であるが、再就
職が見込めない中で償還が
始まること等により貸付が
伸びていないものと思われ
ます。国も制度の見直しを
行っており、県としても全
世帯広報誌、新聞等を活用
した広報を行い、より一層
のPRに努め、貸付の充実
を図ってまいります。また、
市町村社協の相談援助等に
より借受者の状況把握を行
い、償還能力に応じた計画
を立て貸付金の償還につい
ても努力してまいります。
離職者支援資金について
は、現在では廃止されてい
る。平成 21 年度の制度改正
によって、メニューの見直
しは図られていると言え
る。
回収管理を指導する必要性
は、上述の通り。
・現場のニーズと貸付状況
を検討し、平成16年度か
ら新規貸付を廃止いたしま
した。
廃止を確認した。特に問題
はない。
・貸付金残高の不一致につ
いては、既に原因を究明し
更正処理を行いました。平
成16年度からは、毎月末
ごとに両システムの残高の
照合を行っております。
・当初、貸付の審査に時間
を要するため次年度貸付と
していたものを、借受人の
強い要望と貸付の趣旨か
ら、例外的な措置としてこ
のような会計処理を行いま
した。今後は適正な事務処
理に努めてまいります。
当制度は既に終了してお
り、回収のみ行われている。
貸付金残高については、現
在も毎月末ごとに両システ
ムの残高の照合を県社協に
おいて行い、両者は一致し
ている。
242
8
貸付金
H15
(7)長崎県高齢者・障害者
住宅整備資金
エ.意見
(ア)資金の活用について
・長崎県の県社協に対する貸
付資金が十分に利用されてい
ない。県社協の貸付状況に即
した貸付金額とするなどの見
直しを検討すべきである。
・今後、ますますの制度の
PR等に努めるとともに、
高齢化社会の進行に伴う動
向等を見極めながら検討し
てまいります。
既に新規貸付は終了してお
り、資金活用の問題は生じ
ない。
9
基金H
20
長崎県災害救助基金
(1)期末棚卸の評価につい
て本来廃棄した医薬品等の取
得価格をもって廃棄処理を行
うべきところを、新たに更新
した金額で廃棄金額を算出し
ており、誤った基金残高が計
上されているため、早急に改
善する必要がある。
平成20年4月1日現在の
災害用備蓄医薬品等の在庫
品の評価額について、購入
額が判明したものは購入額
を、不明なものは当初(平
成8年)の購入予定額又は
薬価を用いて再評価を実施
いたしました。平成20年
度以降は、更新する医薬品
等については、今回の再評
価額を基に算出し、処理す
ることといたしました。
医薬品については特に問題
はない。
10
基金
H20
基金
H20
指摘後、直ちに国分町倉庫
の備蓄物資を全て現物確認
した結果、把握していた品
目・数量と異なっていたた
め、備蓄物資のリストを修
正いたしました。今後は、
年1回の現物確認を行うと
ともに、その数量を正確に
把握するため、受払管理規
定(内規)及び管理台帳を
整備いたしました。
平成20年度2月議会にお
いて、条例を改正し基金の
処分を可能といたしまし
た。また、平成21年度予
算より、基金会計に運用益
の積立を行い、事業を実施
する際は、基金会計からの
繰出金を財源として実施す
ることといたしました。
再度、倉庫の視察、物品の
検証を行ったが、問題があ
る。下記「2.追加検証した
事項」を参照のこと。
11
長崎県災害救助基金
(2)備蓄品の保管状況につ
いて
国分町倉庫の在庫調査により
物品確認のできないものがあ
った。また、他の課の備品も
区分されずに保管されている
状態であるため、今後は、棚
卸マニュアル等を作成し、備
蓄品の管理を整備する必要が
ある。
長崎県地域福祉基金
(1)基金運用益の繰入・事
業費の取崩状況について
基金の運用益から生ずる利益
を基金に繰り入れておらず、
地域福祉の向上を図るための
経費に係る支出についても基
金の処分を通さず一般会計か
ら直接支出している。これら
の処理は、長崎県地域福祉基
金条例第5条「基金の運用か
ら生じる収益は、地域福祉の
向上を図るための経費の財源
に充てるもののほか、基金に
繰り入れるものとする。」の規
定に反する処理である。
243
特に問題はない。
12
基金
H20
13
基金
H20
長崎県地域福祉基金
(2)適正な基金残高の規模
について
基金の目的である事業を行な
うために必要な元本はもっと
少なくて良いものと考えら
れ、例えば、一元運用で年間
0.5%が見込まれる場合、
事業費を6,000千円と仮
定すると、必要元本は6,0
00千円÷0.5%=1,2
00,000千円となり、現
在の3,200,000千円
よりも大幅に少なくなる。
長崎県地域福祉基金
(3)施設整備に係る長崎県
地域福祉基金の活用について
基金の目的には適合している
と思われるが、基金条例には、
処分に関する定めはないこと
から、一部には「基金の目的
を達成するための処分につい
ては、その条例に処分規定を
設けなくても可能とする。」と
いう見解もあったが、やはり
同条例に処分規定を設けてい
る他県の事例にならい、当該
基金を上記の施設整備に活用
するため、処分可能とする条
例改正が必要と考える。
平成21年度7月末基金現
在高は、2,462,19
8千円であるが、一元運用
で年間0.3%が見込まれ
ており、事業費が6,36
6千円となっているため、
必要元本は2,122,0
00千円となり、適正な基
金規模と考えております。
現在では事業費と運用益が
均衡しており、基金規模に
問題はないと考える。
平成20年度2月議会にお
いて、条例を改正し基金の
処分を可能といたしまし
た。
特に問題はない。
2.追加検討した事項
(1)介護福祉士修学資金貸付事業費補助金について
①
補助金制度から貸付制度への変遷と、貸付金に係る収入未済の概要について
現在は平成 14 年当時の介護福祉士修学資金貸付事業費補助金は廃止されている。平成 4
年度に始まった当制度は、介護福祉士の養成施設等に修学する者で、将来県内において介
護福祉士の業務に従事しようとする者に対し、修学資金を貸与し、修学を容易にすること
により介護福祉士の養成及び確保に資することが目的であった。
その後の制度の変遷としては以下のようになっており、現在は、過去貸し付けられてい
た介護福祉士修学資金貸付金 27,800 千円(平成 23 年度末)が県の債権として存在する。
年度
実施主体
貸付額
財源
H4∼14
県社協(県が補助)
新規・継続月 25 千円
地域福祉基金・県単
H15
県社協(県が補助)
継続月 25 千円
県単
新規月 36 千円
国 1/2
244
県 1/2
H16∼17
県(県社協へ委託)
新規・継続 36 千円
国 1/2
県 1/2
国 1/2
県 1/2
(新規はH17 で終了)
H18∼
県(直営)
継続月 36 千円(H19 で貸
付終了)
平成 15 年までは、
「長崎県介護福祉士修学資金貸付事業の補助に関する条例」に基づき、
県社協が実施主体として事業を実施している(当然、債権者は県社協である)。
平成 16 年度から、「長崎県介護福祉士修学資金貸与条例」に基づき、県が実施主体とし
て事業を実施している(貸与の決定、連帯保証人の変更の承認、貸与の廃止、債務の免除、
償還の猶予に関しては県が行うが、それ以外の業務は県社協へ委託)
。
平成 17 年度をもって、新規貸付は終了し、平成 18 年度から県の直営となった。平成 19
年度をもって貸付が終了し、現在では債権の回収・管理業務を行っている。
更に当該貸付金に係る収入未済は、介護福祉士の養成施設等に修学する者で、将来県内
において介護福祉士の業務に従事しようとする者に対し貸与した修学資金のうち、養成施
設等の退学、養成施設等の卒業後1年以内に介護福祉士の業務に従事しないことなど、返
還要件に該当する事由が生じたことによる返還金である。
平成 23 年度では、返済期限の経過によって生じた過年度収入未済の分納が進められてい
るという状況である。
区分
過
年
度
分
現
年
度
分
合
計
②
平成21年度
2,611,580
591,030
平成22年度
2,906,000
750,050
平成23年度
2,620,710
1,076,110
当年度不納欠損額②
当年度末収入未済額(B)
0
2,020,550
0
2,155,950
0
1,544,600
回収率(①/(A)×100)
当年度調定額(C)
22.6%
2,459,456
25.8%
572,760
41.1%
0
当年度収入額③
当年度末収入未済額(D)
1,574,006
885,450
108,000
464,760
0
0
回収率(③/(C)×100)
当年度末収入未済額(B)+(D)
64.0%
2,906,000
18.9%
2,620,710
1,544,600
42.7%
24.7%
41.1%
繰越調定額(A)
当年度収入額①
回収率
事務委託契約による節の処理誤りについて(指摘)
平成 16 年度から 17 年度は、実施主体は県、これにかかる事務委託を社協が担うという
事務委託契約が交わされている(借用書を見ると、書面上、県と申請者との契約であるこ
とが確認された)。しかし事務委託契約でありながら、事務費以外に貸付金原資が含まれ、
内容としては従前の補助金と変わりがない取引であった。本来は、
「節」の区分けで言えば、
貸付金原資部分は委託料と別に「貸付金」が計上されるべきである。
245
③
借用書の紛失と貸付関係の重要書類の管理の改善について(指摘)
過年度収入未済の生じている貸付金(つまり回収が正常ではないもの)のうち、平成 15
年と 16 年に実行された案件の借用書一件を紛失している。借用書や誓約書、申込書は重要
書類であるから、厳格に管理し、毎期現物の照合を行うよう改善すべきである。
なお、紛失のそもそもの原因は、平成 17 年度末に行われた県社協から福祉保健課への貸
付書類の移管の際、引き継ぎが行われていなかったのではないか、というのが県担当者の
見解であった。県社協との間で取り交わされた移管書類のリストにも平成 15 年度の借用書
の記述が見当たらない。
④
現況調査について(指摘)
返還猶予・免除の要件として、通算 7 年間は介護福祉士として就労することが条例で求
められているが、その確認のため調査書類(業務従事届等)を徴取している。しかしなが
ら担当課での確認が不十分で、日付記入漏れ、回収遅延、勤務先の記入が手書きかつ押印
が認め印での報告案件では、勤務先への再確認を行っていない事例が見られた。今後は確
認を徹底すべきである。
(2)高齢者・障害者住宅整備資金貸付事業
①
事業概要について
1
趣旨
高齢者及び障害者の居住環境を改善し、福祉の増進を図ることを目的として、予算の定めるとこ
ろにより、長崎県社会福祉協議会(以下、
「県社協」という)に対し、高齢者・障害者住宅整備資金(以
下「整備資金」という)の貸付けに必要な資金を貸し付けるもの。
県が県社協に原資を貸付け、貸付業務の実施主体は県社協となる。
2
経緯等
長寿政策課所管資金(昭和 44 年∼)及び障害福祉課所管資金(昭和 56 年∼)が統合され、平成 9 年
に発足。原資
1,496,246,610 円
貸付利率 0.2%
平成 8 年度以降、県から県社協に対する原資の新規貸付けはなし。
平成 21 年 10 月から整備資金の貸付け終了。現在は償還のみ。
3
内容
①
貸付対象者
次の各号のいずれかに該当する者で、自力で住宅の改造等を行うことが困難な者。
(ア)
高齢者(整備資金の借入申込書を提出した日から 1 年以内に高齢者となる者を含む)。
(イ)
障害者であって 20 歳以上 60 歳未満の者。
(ウ)
高齢者又は障害者と同一の生計を営んでいる者であって 20 歳以上 60 歳未満の者。
②
貸付対象経費
246
居室等の増改築又は改造に要する経費(段差解消、手すり設置、スロープ設置等)
③
貸付条件
限
度
利
額:200 万円
率:年 2.8%
償 還 期 限:10 年以内(内、据置期間 1 年以内)
保
証
人:連帯保証人 1 名
連帯借受人:高齢者であって、その子供等とは同一の生計を営んでいないものへの貸付について
は、子供等が連帯債務を負担する借受人として 1 名加わらなければならない。なお、
原則として、20 歳以上 60 歳未満の者とする。
4
県への返還経緯等
H17
県社協原資 500,000,000 円を県に返還(原資残高 996,246,610 円)
H21.9
県社協から貸付事業について新規貸付を 10 月 1 日から凍結し、県借入金原資を一部返還
したい等の協議依頼あり。
H21.10
新規貸付の凍結を認める
H22.1
貸付原資 996,246,610 円のうち H21.11 月末現在の未償還額(貸付中の額)380,546,299 円
をのぞく 615,700,311 円のうち 615,700,000 円を県に返還(1 回目)
H23.1
貸付原資 380,546,610 円のうち H22.11 月末現在の未償還額(貸付中の額)311,705,009 円
をのぞく 68,841,601 円のうち 68,840,000 円を県に返還(2 回目)
H23.6
貸付原資 311,706,610 円のうち H23.3 月末現在の未償還額(貸付中の額)293,715,295 円を
のぞく 17,991,315 円のうち 17,990,000 円を県に返還(3 回目)
H24.7
貸付原資 293,716,610 円のうち H24.3 月末現在の未償還額(貸付中の額)247,886,764 円を
のぞく 45,829,846 円のうち 45,820,000 円を県に返還(4 回目)
以後 1 年ごとに、年度初めに前年度末時点での返還可能額について返還手続きを行う。
(5)償還免除等、回収不能額に対する措置
県社協は、貸付金回収不能時の対応策として、貸付利子の一部を、欠損補填積立預金(以下「欠損
積立金」という)として積み立てており、貸付規程に基づく償還免除等により貸付金に回収不能が発
生した場合は、欠損積立金を取り崩し、県へ返還をする貸付金原資とする。
平成 24 年 3 月末現在の欠損積立金残高は 109,563,845 円である。
②
県社協の貸付金回収不能懸念額について(指摘)
平成 24 年 3 月末現在の未償還残高 247,886,764 円の詳細を確認したところ、内訳は次
のとおりであった。
平成 14 年度以降貸付(10 年未経過)
未償還
171 件
残高
108,019,002 円
平成 13 年度以前貸付(10 年経過済)
未償還
189 件
残高
139,867,762 円
このように、最長償還期間である 10 年を既に経過している貸付金の未償還残高が多額
247
にあり、そのほとんどの償還が滞っている状況である。
過年度の貸付金の回収実績は以下の通りであり、償還期限を経過したものの回収率は
単純平均で 7.76%と低迷している。
年度
H19
償還期限内
償還計画元本(千円)
償還実績元本(千円)
当年度
112,909
89,016
78.84
過年度
69,246
8,619
12.45
106,933
10,599
9.91
289,089
108,235
37.44
当年度
93,220
72,070
77.31
過年度
56,621
8,968
15.84
127,423
9,893
7.76
277,266
90,932
32.80
当年度
73,121
59,614
81.53
過年度
36,985
5,870
15.87
151,425
9,668
6.39
261,532
75,153
28.74
当年度
55,377
46,508
83.99
過年度
24,334
5,046
20.74
152,380
12,400
8.14
232,092
63,956
27.56
当年度
37,571
31,789
84.61
過年度
16,239
3,884
23.92
153,963
10,154
6.60
207,773
45,828
22.06
償還期限後
計
H20
償還期限内
償還期限後
計
H21
償還期限内
償還期限後
計
H22
償還期限内
償還期限後
計
H23
償還期限内
償還期限後
計
償還率%
したがって、上記 10 年経過貸付金の現在の入金状況から鑑みて、今後ある程度の時間
をかけても、現状より 10%程度の貸付金が回収できれば良い方と予測される。
また、10 年未経過の貸付金においても、現状で滞納が多く発生しており、回収困難と
なる貸付金が発生することは確実と言え、現在までの償還率から検証しても、約 75%程度
の償還に留まると考えられる。
以上により、事業として本来貸付金の償還が完了する予定である平成 31 年 9 月末にお
いても、現在 10 年未経過貸付金の約 25%(約 25,000 千円程度)及び 10 年経過済貸付金の
約 90%(約 125,000 千円)の合計 1 億 5 千万円の回収不能貸付金が発生すると予測される。
県社協における現在の欠損積立金約 1 億円を充当しても、約 5 千万円は県へ原資を返
248
還できない状態となる。
このような状況が予測されるにも関わらず、現状、県及び県社協において真剣に議論
がなされていないと言える。対応を早急に検討すべきである。
③
過去における不適正な貸付事務について(指摘)
今回、県社協における整備資金の滞納状況の確認を個別に行った。
その中の 1 件で、平成 21 年 5 月に貸付けられた整備資金 2,000,000 円については、一回
の償還もない状況であった。尚、当該借受人は別制度である生活福祉資金の貸付け
(2,500,000 円)も受けており、当該生活福祉資金についても一回も償還していない。
当該貸付について資料の検証を行ったところ、次のような事実が確認された。
・借入申込み時に添付する工事金額 5,449,751 円の見積書については、某建築事業者名
義で発行されている。
・貸付資金交付時に添付する領収書について、上記某建築事業者名義の領収書は
1,900,000 円しかなく、残りは個別の材料事業者やホームセンターから借受人名義又は
当該借受人が勤める、借受人の親類が自営する建築業者名義で発行された領収書が多
くあった。
・しかも、領収書の中に当該借受人の親類が自営する建築業者から発行された、借受人
の労務費に係る領収書(2 か月分、計 816,000 円)があった。
このように、見積書を発行した建築業者ではなく、借受人が勤め、しかも親類が自営
する建築業者名義や本人宛の領収書では、当該材料等がどの工事に掛ったものか判断が
つかず、しかも、借受人の労務費をも工事対象経費としてしまっている。
工事に掛った経費が本当に改修工事に充てられたのか甚だ疑問が残る上で、借受人は
貸付資金を一回も償還していない状況を鑑みると、当初から返済の意思があったのか疑
問である。
借受人には借入申込み時から既に多額の債務が存在しており、また、資金貸付の引換
えとなる工事に掛った領収書には大きな疑義が生じていた事を鑑みると、果たして貸付
け自体を行ったことが適正であったのか疑問が残るところである。
当該資金使途に関して改めて調査検証を行い、目的外使用があった場合には一括償還
を求めるべきであり、現在償還を行わず、督促にも応じていない借受人に対しては厳し
く対処すべきと考える。
(3)生活保護法第 63 条・78 条返還金の債権管理について
①
制度概要について
生活保護法第 63 条返還金について
被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたとき、保護に要す
る費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかにその受けた保護金品に相当する金額の
249
範囲内において保護の実施機関の定める額を返還することとなる。当該債権は強制徴収できない公
法上の債権(時効 5 年)である(生活保護法第 78 条の債権も同様)
。
生活保護法第 78 条について
不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるとき、保護
費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することが
できるが、その徴収金にかかる債権である。
事業を担う組織体制
所属
担当
福祉保健課
範囲
保護班 1 名
下記以外の債権(旧県福祉事務所所管分)
。
つまり、新規債権は発生しない。履行延期を承
認した債権の当該年度分を、現年度分として毎
年度調定するのみ。
県福祉事務所
各所
西彼福祉事務所、東彼・北松福祉事務所、上五
福祉課 1 名
島福祉事務所における各所管分
債権管理事務嘱託員
全6名
福祉保健課が依頼した債権
市福祉事務所
−
各市所管分。ただし、合併前に県福祉事務所が
保護費を支給していた分を除く。
②
収入未済管理台帳等の整理について(指摘)
生活保護法による返還金、徴収金(以下、「生活保護法返還金等」という。)に関する要
綱、要領等は、次のとおりである。
福祉保健関係
債権の管理に関する基本方針(内規)
生活保護法による返還金、徴収金の事務取扱要領
返還金等徴収促進事業実施要領
収入未済対策実施要領
債権管理嘱託員の債権管理業務に係る実施要領(平成 21 年 8 月 24 日)
各要領等には、長崎県財務規則第 162 条に規定する「債権管理簿」のほか、各種管理台
帳等が下表のとおり定められている。また、本庁独自で定めた様式もある。
要領等
様式
備考
生活保護法による返
債権管理簿
財務規則に規定するもの。
還金、徴収金の事務
収入未済者管理台帳
様式は示されていないが、返還金等徴収促
取扱要領
進事業実施要領における「収入未済者管理
250
台帳(様式 1−1,1−2、別冊)
」であると推
測される。
返還金等徴収促進事
収入未済者管理台帳(様式 1−1, 過年度調定分について作成するとされてい
業実施要領
1−2、別冊)
る。
徴収方針表
同上
未納者名簿
現年度調定分で 3 カ月滞納したものについ
て作成するとされている。現在未使用。
収入未済対策実施要
生活保護返還金等収入未済金管
福祉事務所が所管課に報告する様式。現在
理台帳
未使用。
収入未済ケースファイル
用途不明
収入未済管理台帳(ケース記録) 当要領策定時に、従来から福祉事務所独自
領
に使用していた様式
収入未済管理台帳
当要領により定めた今後の統一様式。様式
1-1、様式 1-2 生活保護については様式 1-1
を別冊に代える。
債権管理嘱託員の債
債権管理台帳(個人台帳)
債権管理嘱託員の業務内容記録様式
収入未済者台帳
本庁の独自様式
権管理業務に係る実
施要領
規程なし
このように、「収入未済者管理台帳」や「収入未済管理台帳」、「収入未済者台帳」など、
類似した様式が併存している状況である。そのため、現状ではどの様式により管理すべき
か明らかではなく、所管によって使用している様式もまちまちである。
今回サンプル調査したものについての様式の使用状況は、次のとおりである。
サンプル
A
B
M
AI
S
I
P
債権管理簿
○
○
○
○
○
○
○
収入未済者管理台帳(様式 1−2)
○
○
×
○
○
×
×
収入未済者管理台帳(別冊)
×
○
×
○
×
×
×
徴収方針表
○
○
○
○
○
○
○
ケース記録票
−
○
−
−
−
−
○
債権管理台帳(個人台帳)
○
−
−
○
−
○
○
収入未済者台帳
−
−
−
−
−
○
○
※
○:使用
×:不使用
−:該当なく不要
「収入未済者管理台帳(様式 1−1,1−2、別冊)
」は、
「債権管理簿」では対応できない
251
催告記録などを補足するために作成されるが、双方に記載する事項もあり、記載事項も整
理する必要がある。双方に記載している所管もあれば、片方にのみ記載している所管もあ
る。本庁にあっては、別途「収入未済者台帳」を作成している状況である。
したがって、重複する記載事項など記載項目の過不足を十分に検討し、本庁と福祉事務
所間で統一した事務取扱が行えるよう、収入未済管理台帳等の様式を整理する必要がある。
③
継続した回収手続きの実施について(指摘)
訪問催告や電話催告等の回収手続きの経過は、職員が行う場合は「収入未済者管理台帳
(様式 1−2)
」、債権管理事務嘱託員が行う場合には「債権管理台帳(個人台帳)」に記録さ
れる。
サンプル A について記録を通査したところ、平成 19 年 11 月∼20 年 3 月の記録がなかっ
た。この期間は、履行延期承認直後にもかかわらず履行計画どおりに納付がなかった期間
である。平成 20 年 6 月まで、電話催告及び訪問催告を行っていないことになる。平成 21
年度上半期の記録もなく、この間回収手続を行っていないことになる。
回収手続きは、期間を開けることなく、継続的に行う必要がある。
④
同一人に複数の債権がある場合の管理について(指摘)
サンプル AI は、戻入未済金と 63 条返還金の二種類の債権があった。債権管理簿の記録
によると、戻入未済金については平成 17 年 4 月に最終納入、63 条返還金については平成
19 年 12 月に最終納入となっている。その結果、戻入未済金は平成 22 年 4 月に時効が完成
し、平成 23 年度に不納欠損処理を行っている。
徴収方針表、収入未済管理台帳(様式 1−1、1−2、別冊)の記録によると、戻入未済金
と 63 条返還金を一体として回収に取り組んでいる。したがって、平成 19 年 12 月の納入分
について、63 条返還金のみに収納するのではなく、戻入未済金に対しても一部収納するべ
きであった。そうすることで、戻入未済金の時効完成が延長され、不納欠損とならず回収
を続けられることとなった。
今後、同一人に複数の債務がある場合には、時効の中断に留意して、収納等取り組む必
要がある。
なお、サンプル AI の収入未済者管理台帳(様式 1−2)の記録によると、平成 17 年 4 月
の納入後、平成 18 年 3 月までに電話催告や訪問催告が行われていない。約束通りの毎月納
入がなされていないのであるから、約 1 年間回収手続きを行わなかったことは不適切であ
る。このことが平成 19 年 12 月の苦情につながっていると想定される。
また、本人死亡のため、相続人に納付交渉を行っているが、一部の相続人(本人妻、長
女、五女)にしか交渉していない。他の相続人も存在すると思われるため、相続人調査を
徹底し、他の相続人に対しても回収手続きを行う必要がある。
252
⑤
収納年度について(意見)
サンプル I は、履行延期の承認により過年度債権と現年度債権がある。履行計画どおり
の納入ではないものの、定期的に一定額以上の納入がなされている。収入未済者管理台帳
(様式 1−2)又は債権管理台帳(個人台帳)が作成されていないため、経過が不明である
が、その納入は現年度債権に充当されている。下記にあるように、一部入金が債権全体に
対して時効の中断効があると解釈している故であるが、債権ごとに時効が進行することを
考慮すると、古い年度の債権から充当するべきと考える。
⑥
時効について(意見)
分割した債権の時効については、一部でも入金があれば債権全体について時効が中断さ
れ、一方、時効の成立は、納期ごとに成立すると解している(債権管理に関する事務処理
について 平成 22 年 3 月 31 日作成)。つまり、時効の成立は納期ごと、時効の中断は全体
に、とその単位が異なっており、その解釈には疑問が残るところである。
一部入金による全体債権への時効の中断効が明確に主張できるためには、単なる納付書
等による入金の事実だけではなく、債務承認を形成できる返済計画の随時更新がある、ま
たは定期的に全体債務の通知を債務者に送付し承知させているといった手当が形成されて
いる場合に限定されると解するべきではないかと考える。
ただし、より保守的なのは、書面による債務承認を取り付けることであることは言うま
でもない。また、「福祉保健関係
債権の管理に関する基本方針(内規)」においても、4
(2)②に「書面による「債務の承認」を適宜行う」旨が記されており、書面による債務
承認が求められていることも考慮しなければならない。
時効についての解釈及び事務手続きについて全庁的に統一し、いかに法的に懸念なく構
成できるかを検討し整備する必要があると考える。
⑦
相続について(指摘)
東彼・北松のサンプルDは相続放棄による不納欠損を予定しているが、法定相続人のう
ち、本人の父とその前妻との間の子及び本人死亡後に死亡した弟(七男)の相続放棄の確
認ができていない。
七男は痴呆で後見人も定めていなかったため、相続放棄することなく死亡したとのこと
であるが、単純承認となった場合、その相続人(妻)が債務を相続するのではないか、と
いう疑問も残る。
ただし、最終時効中断事由となる一部納入(平成 17 年 1 月 24 日)から 5 年が経過して
おり、法定相続人による債務承認や一部納入も行われていないため、平成 22 年 1 月 24 日
で時効が成立しており、結果として七男(平成 23 年 10 月 10 日死亡)から妻への相続は生
じない。
このケースは、時効と相続に関する担当者の知識不足により、時効の中断をすることな
253
く時効が成立してしまい、そのことに気づかず時効成立後も相続放棄の手続きを進めたも
のである。
時効や相続については、法的な専門知識が必要となるため、担当者の判断では誤る可能
性も高い。法的専門家を交えてのマニュアルの整備、担当者への教育、研修が必要と考え
る。
また、平成 22 年 3 月 31 日作成の「債権管理に関する事務処理について」の「5 相続人
不存在について」の「(2)不納欠損時の事前確認」において「法定相続人全員から相続放
棄申述書(写)」を徴取すること」とあるが、相続放棄の証拠力があるのは「相続放棄申述
受理通知書」の写しか、
「相続放棄申述受理証明書」のため、このいずれかとすべきである。
(3)災害救助基金について
平成 20 年度の包括外部監査で指摘された、数量管理については改善が見られるものの、
以下述べるように、「使用を前提とした品質管理」という点については改善すべき点が多々
見られる。
①
備蓄倉庫の見直しについて(意見)
災害救助基金の備蓄倉庫は、長崎市国分町
にある長崎港湾漁港事務所の一角にあり、災
害備蓄場所の早急な見直しが必要である。
当倉庫は長崎港に隣接しており、海上輸送
も想定しての倉庫選定であったようである
が、当然ながら海抜は低く、3 メートル程度
しかない。平成 23 年度末に提言された地域
防災計画の見直し提言では、長崎港での津波
被害の想定は、最大 3.05 メートルの津波が
示されており、提言の反映を急ぐべきと考える。またリスクの分散という観点から、長崎
市に集中保管するのではなく、分散保管することが望ましいことは言うまでもない。
②
備蓄品の内容と品質管理の見直しについて
備蓄品の内容や管理については、抜本的に見直しが必要である。備蓄はされているが「い
かに使用するか」をもっと考慮するべきである。以下、問題点を列挙する。
ア.備蓄品の内容を見直すべきである。(意見)
備蓄品の内容については、初動かつ当面の支援物資の供給目的という性格とはいえ、例
えば、量の問題もさることながら、サニタリー用品の圧倒的な不足(簡易トイレさえない)、
真冬の災害を想定した防寒用品の不足といった点も見直すべきであろう。
備蓄品の一覧(平成 24 年 9 月末)は以下の通り。
254
品 目
平成24年9月末
数量
品 目
金額
1
2
3
4
キッチンボード
ケットル(3L)
サンダル(大人・女性)
サンダル(大人・男性)
248
216
376
438
122,512
235,872
78,208
128,772
81
82
83
84
紙おむつ(乳幼児用)テ゚ープL
紙おむつ(乳幼児用)テ゚ープM
紙おむつ(乳幼児用)パンツL
紙おむつ(乳幼児用)パンツM
5
6
7
8
9
サンダル(子ども)
たまじゃくし
テーブル
塗り箸(10膳入り)
箸たて
407
55
5
416
12
160,358
12,705
20,635
34,528
1,860
85
86
87
88
89
10
11
12
13
14
フライパン(24cm)
包丁
ポリバケツ(10L)
両手鍋(22㎝)
両手鍋(26㎝)
41
507
361
300
806
33,169
287,976
148,010
191,400
781,014
15
16
17
18
割り箸(20膳入り)
雨合羽袋(上・透明)
ロールマット
アルミマット(大)
100
5
2
2
19
20
21
22
23
ウォームアップライナー
懐中電灯A
懐中電灯B
カセットコンロ
カセットボンベ(5本)
24
25
26
27
合羽(グレー)
合羽(紺)
合羽(紫)
サイドライナー(シーツ)
28
29
30
31
32
シュラフ(寝袋)
シュラフシーツ
寝袋
バック・ウエストポーチ
プラスティックまな板(10枚入り)
33
34
35
36
37
寝袋ブランケット
防寒ジャンパー
防寒ズボン
ポット
まな板(小)
38
39
40
41
水タンク
耳栓
やかん
レジャークッション
42
43
44
45
46
平成24年9月末
数量
金額
12
12
24
12
15,498
13,306
22,428
15,498
紙コップ(50個)
紙皿(10枚)×2
紙皿(20枚)
紙袋
ケットル(2L)
196
48
50
291
17
30,870
10,080
4,095
16,805
15,565
90
91
92
93
94
コップ(取っ手付き)
子供用靴下<白>
皿(5寸・陶器)
サンダル(大人・女性)
サンダル(大人・男性)
54
291
54
96
100
7,938
76,388
9,526
20,966
30,870
7,600
1,500
2,626
2,960
95
96
97
98
サンダル(子ども)
シャンプー
シャンプー(リンス入)
女児スリーマー<5サイズ×20>
96
48
50
150
39,715
36,389
57,173
62,213
2
10
2
1
1
3,000
18,900
2,800
2,079
309
99
100
101
102
103
女児ズロース<5サイズ×20>
紳士用靴下
紳士用半袖シャツ(U首・L) 紳士用半袖シャツ(U首・M)
紳士用パンツ(L)
150
300
150
150
150
46,778
88,200
49,613
49,613
68,198
4
5
1
3
21,840
25,200
5,460
9,198
104
105
106
107
紳士用パンツ(M)
生理用品 昼用
生理用品 夜用
石けん
150
198
50
196
68,198
85,447
22,733
21,609
3
7
17
1
602
9,246
25,935
52,394
4,480
476,784
108
109
110
111
112
洗顔フォーム①
洗顔フォーム②
洗顔フォーム③
洗顔フォーム④
洗顔フォーム⑤
50
6
9
27
7
10,500
2,224
5,368
11,028
1,713
3
13
10
1
1
8,940
81,120
43,100
4,480
298
113
114
115
116
117
洗濯洗剤
洗面器
ぞうきん
体温計
タオル
98
34
194
97
584
30,664
10,674
17,518
90,647
73,584
2
5
1
4
1,196
2,490
1,998
1,880
118
119
120
121
たまじゃくし
男児U首半袖シャツ<5サイズ×20>
男児ブリーフ<5サイズ×20>
爪切り
18
141
141
97
4,366
58,480
41,602
30,555
ろうそく(大口18号)
洗い桶(プラスチック)
ケットル(2L)
ゴザ(ビニール・1畳)
コップ(取っ手付き)
8
655
926
848
185
672
69,430
807,472
324,784
25,900
122
123
124
125
126
テーブル
トレーニングウェア(L) トレーニングウェア(LL) トレーニングウェア(M) トレーニングウェア(S) 18
80
20
77
20
78,000
347,592
86,457
332,859
86,457
47
48
49
50
皿(5寸・陶器)
ほ乳ビン(240cc)
ポリバケツ(15L)
飯茶碗
80
40
418
50
13,440
23,360
151,734
8,100
127
128
129
130
トレーニングウェア(子ども大)
トレーニングウェア(子ども中)
乳児用おしりふき(3個)
塗り箸(10膳入り)
50
47
25
18
131,250
123,375
11,366
1,569
51
52
53
54
55
洗面器
ボール(20型・小)
ボール(中)
タオルケット
トレーニングウェア(L)
142
1,246
242
300
100
42,458
84,728
88,088
312,900
249,900
131
132
133
134
135
はさみ
バスタオル
歯ブラシ(大人用)
歯ブラシ(子供用)
歯磨き粉(小)
97
292
196
95
98
25,768
107,310
16,876
9,975
18,008
56
57
58
59
60
トレーニングウェア(LL)
トレーニングウェア(M)
トレーニングウェア(S)
毛布
女児スリーマー
50
100
50
5,000
500
124,950
249,900
124,950
4,675,000
75,000
136
137
138
139
140
歯磨き粉(大)
ビニール傘
婦人用靴下
婦人用ショーツ(L)
婦人用ショーツ(M)
97
294
291
150
141
20,370
92,610
76,388
81,743
91,643
61
62
63
64
女児ズロース
紳士用半袖シャツ(U首・L)
紳士用半袖シャツ(U首・M)
紳士用パンツ(L)
500
500
500
500
66,000
150,000
150,000
167,000
141
142
143
144
婦人用スリーマー(L)
婦人用スリーマー(M)
フライパン(24cm)
ほうき
150
141
17
18
148,208
139,315
14,441
6,332
65
66
67
68
69
紳士用パンツ(M)
男児U首半袖シャツ
男児ブリーフ
婦人用ショーツ(L)
婦人用ショーツ(M)
500
500
500
500
500
167,000
75,000
75,000
163,500
163,500
145
146
147
148
149
包丁
ボール(20型・小)
ボール(中)
ボックスティッシュペーパー(5箱)
ポット
18
17
17
197
18
10,735
1,214
6,497
82,326
84,672
70
71
72
73
婦人用スリーマー(L)
婦人用スリーマー(M)
洗い桶(プラスチック)
ウエットティッシュ
500
500
17
97
273,500
273,500
1,892
15,278
150
151
152
153
ほ乳ビン(240cc)
ポリバケツ(10L)
マスク(10枚)
マスク(12枚)
6
97
80
18
3,679
41,759
9,240
2,722
74
75
76
77
78
懐中電灯C
カセットコンロ
カセットボンベ(3本)
紙おむつ(大人用)テープL
紙おむつ(大人用)テープM
17
18
36
12
12
24,990
39,293
11,680
34,020
34,020
154
155
156
157
158
まな板
飯茶碗
毛布
ライトラジオ
ラジオ
18
54
54
4
9
5,632
9,185
100,132
6,930
13,419
79 紙おむつ(大人用)パンツL
24
37,800 159 両手鍋(22㎝)
18
12,058
80 紙おむつ(大人用)パンツM
12
18,900 160 毛布
0
81 紙おむつ(乳幼児用)テ゚ープL
12
15,498
255
合計
0
29,336 16,262,211
イ.品目の整理と災害時の迅速な供給体制を
確立するべきである(意見)
東日本大震災での救援物資の残余品が備蓄
品として補充されているが、雑多な管理状態
であった。品目ごとの再整理が必要である。
更に緊急時の対応を考えれば、如何にして
迅速な供給ができるかを考慮するべきである
が、保管場所から災害現場までの供給体制の
計画(供給計画、ロジスティック戦略)が策
定される必要があると思われる。「モノはあるが、運ぶことまで考えておくべきであった」
とならないよう準備を進められたい。
ウ.品質の保持を見直すべきである(意見)
数量管理は定期棚卸によって改善しているが、品質管理に改善点が多々ある。
倉庫内で雨もりが一部起きており、備蓄品の廃棄さえおきている。
当方が倉庫において実際に検品してみると、20 年前の哺乳瓶が品質の検証もされず放置
され、飲み口のゴムが真っ黒に劣化し使用に耐えない状態であった。
倉庫内にあるフライパンやヤカンなど、使用時ホコリを洗い流すための「清潔な水」が、
大規模災害のその時、確保できるのであろうか。毛布や下着類も備蓄されているが、防虫
の燻蒸はされておらず、非常時の使用に耐えられるよう普段からの配慮が必要である。
目的は備蓄ではなく、緊急時の被災者支援であることを今一度認識されたい。
256
Ⅱ-19
障害福祉課
1.措置状況と検証結果
No
1
2
テーマ
年度
基金
H20
基金
H20
監査の結果
措置
検証結果
長崎県愛の福祉基金
(1)愛の基金箱運動事業に
ついて
愛の基金箱運動事業におけ
る基金箱の管理業務に不備
が確認されることから、今
後、管理方法等の適正化の指
導を早急に実施すべきであ
る。
愛の基金箱運動事業におけ
る基金箱の管理業務に不備
が確認されたことについて、
入金処理については、提出資
料に誤りがあったものであ
り、入金記録及び入金実績報
告書については整合性がと
れております。また、すべて
の基金箱に対する納入状況
の把握については、基金箱の
納入状況を確認し、愛の基金
箱取扱い要領に基づく納入
がない場合は、基金箱の納入
を促すよう、受託者である社
会福祉法人長崎県社会福祉
協議会に対して指導いたし
ました。
長崎県愛の福祉基金
(2)障害者理解促進事業に
ついて
障害者理解促進事業には、共
通経費(=FAX・電話・コ
ピー・宅配料)の集計におい
て、課で発生した経費のう
ち、どの程度の事業割合で集
計するかという根拠が不明
瞭であるため、共通経費の集
計方法についてルール等も
明確にし、担当者に周知徹底
しておく必要がある。
愛の福祉基金事業である障
害者理解促進事業の共通経
費の集計方法については、直
接的に把握できる郵送料の
み計上するようルール化し、
担当者に周知徹底いたしま
した。
基金箱の回収の網羅性が確
保された手続きは行われて
いない(県社協が、基金箱を
設置している事業者に年1
回振込用紙を送付する際に
基金箱の番号を特定して所
在等の状況に変更がある場
合の届出を依頼するだけで、
入金報告も指定口座入金分
のみ)。したがって、根本的
な対処はなされていないと
言わざるを得ない。
今後は、監査の結果を尊重
し、回収の網羅性を確実に確
保するよう、県社協に指導す
るとともに、その管理の遂行
を県も検証する必要がある
(意見)。
措置通り、共通経費の計上を
基金で行っていないことを
確認した。
2.追加検討した事項
(1)愛の福祉基金について
上記の措置状況以外にも、県直接実施事業(地域共生支援愛の福祉基金事業、基金の取
崩しによる一般会計への繰出し部分の一部)において、検出事項がある。
なお、県直接実施事業の内容は次の通り。
No
1
事業名
平成 23 年度実績額(円)
障害者理解促進事業
542,516
257
2
愛の県民運動事業委託
3,202,000
3
盲ろう者通訳養成・研修事業
1,110,000
4
障害者IT講習会開催事業
4,540,000
5
パソコンボランティア養成事業
1,640,000
6
手話通訳者養成・研修事業
2,069,000
全国障害者スポーツ大会選手団強化練習及び派遣事業委
7
4,185,420
託
8
愛の福祉事業振興補助金
6,342,000
9
障害者芸術祭開催補助金
4,496,000
10
障害者スポーツ活動等振興事業補助金
4,868,000
計
①
32,994,936
(No.2)愛の県民運動事業事務委託について(意見)
委託事業の実績確認が徹底される必要がある。
需用費(事務費)の内容を見てみると、印刷製本費 296,388 円のうち、愛の基金リーフ
レットを年間二回(5 月と 2 月、それぞれ 3,000 部、105,000 円と 110,250 円)に分割して
発注している。なぜ分割発注したのか理由を検証していない(なお、この件については後
日の調査で 2 月の発注にあたっては、リーフレットの内容変更が生じたため新たに作成す
る必要があった。また、翌年度早期の募集に必要であり、リーフレットは年度をしばらず
使用するものであるため、支出は可能と整理していたことが判明した)。
また人件費 2,515,518 円についても、実績報告と給与台帳との照合を行っていない。担
当者の勤務実績からして過剰な給与支給になっていないか検証することで、委託契約書上
に謳われる「交付を受けた委託料に余剰が生じたときは、これを甲に返納しなければなら
ない」を実現ならしめ、翌年以降の積算にフィードバックし、委託料を適正化していくこ
とができると考える。
②
(No.4)障害者IT講習会開催事業及び(No.5)パソコンボランティア養成事業につ
いて(指摘)
両事業とも、一旦、長崎県障害者社会参加推進センター(以下、センター)と県とが委
託契約を交わし、個々の事業を、センターの構成団体へ再委託しているが、管理が不十分
な状態となっている。
両事業とも視覚障害者向け、聴覚障害者向け、肢体不自由者向けの各講座が行われてお
り、このうち肢体不自由者向けの講座については、社団法人長崎県肢体障害者協会へ再委
託されている。
下記の通り、両事業で委託料として支出された消耗品費のうちノートパソコン合わせて 3
258
台とプリンタ代の合計 309,915 円については、委託事業と関係のないものであるため、県
は、センターに対し委託料の返還を要請する必要がある。
また、これ以外にも事業内容に照らして、社団法人長崎県肢体障害者協会の報告は過剰
な経費の申告を行っている疑いがあり、個々の経費の根拠を精査する必要がある。
ア.障害者IT講習会開催事業(肢体不自由者分)
科目
諸謝金
決算額(円)
525,000
摘要
講師謝礼(延べ 9 名)
360,000
助手謝礼(延べ 12 名)
165,000
計
525,000
旅費交通費
277,160
講師及び助手旅費(延べ 16 名)
需用費
269,872
消耗品費(コピーカウンタ料他)
46,537
消耗品費(ノートパソコン 2 台)
193,410
印刷製本費(封筒代)
29,925
計
役務費
30,633
通信運搬費
・宅配便代
15,844
・電話代
8,334
手数料(振込手数料他)
6,455
計
使用料及び
217,335
賃借料
30,633
会場使用料(冷暖房費含む)他
3,040
パソコンリース料他(16 日間)
205,800
OA機器リース料
8,495
計
計
269,872
217,335
1,320,000
他の講座分
3,200,000
合計
4,520,000
当講座(肢体不自由者向け)については、平成 23 年度の実績として、9 講座、55 名が参
加している。
上述の通り、ノートパソコン 2 台はそもそも委託事業の消耗品としてはなじむものでは
なく(備品としては継続して使用可能であり、その所有権の問題や、他の目的に容易に転
用できるため)、過年度事業実施に当たりパソコンはすべてリースによって賄われており、
当該パソコン 2 台の納品は 3/26 日であるので平成 23 年度の委託事業とは何の関係もない。
259
イ.パソコンボランティア養成事業(肢体不自由者分)
科目
決算額(円)
報償費
55,000
摘要
講師謝礼 4,000☓10h☓1会場
40,000
助手謝礼 1,500☓10h☓1会場
15,000
計
旅費交通費
126,800
講師及び助手、指導者研修旅費
需用費
228,807
消耗品費(用紙代他)
62,502
消耗品費(ノートパソコン 1 台他)
116,505
印刷製本費(封筒代)
37,800
教材費(指導者研修テキスト代)
12,000
計
役務費
28,165
・電話代
12,051
・はがき代
10,000
6,114
計
41,228
賃借料
28,165
OA機器リース料
23,378
パソコンリース料
17,850
計
計
228,807
通信運搬費
手数料(振込手数料他)
使用料及び
55,000
41,228
480,000
他の講座分
1,160,000
合計
1,640,000
当講座(肢体不自由者向け)については、平成 23 年度の実績として、僅かに 1 講座、3
名(うち 1 名は健常者)参加しているのみである。
にもかかわらず、パソコンは 3/26 日納品、プリンタも 3/22 日納品でありながら委託経
費へ算入している。そして、障害者IT講習会開催事業の経費と比較すると、およそ講座
の数とは無関係なほど、多額の経費が計上されていることが分かる。
県の担当者によれば、消耗品や通信費、手数料などは按分しているとのことであったが、
どのような按分基準であり、それが適切なものであるかは検証していないのでわからない
とのことであった。
貴重な県費を適切に管理できていないことを自覚して、今後は実績確認を徹底して行う
べきである。
③
(No.8)愛の福祉事業振興補助金について(指摘)
260
当該事業は、県から県社協が補助金を交付され、更に下部団体へ助成を行っている。県
社協からすれば間接補助金を交付されているということになる。このため、後述のように
管理が甘くなっている事例が見られる。
ア.会長の交代に起因する変更届の失念について(指摘)
県社協の会長は平成 23 年度途中で死去しており、副会長が職務代行者として年度末まで
勤めている。また、補助金の確定通知発行時(翌年度-出納整理期間中)は、新会長が就任
していた。これらの変更届の処理が行われていなかった。
イ.長崎県愛の福祉基金助成金交付要領による交付決定通知の不発行について(意見)
県社協が各下部団体へ助成金を交付するに当たり、交付決定通知を発行することを要領
第 6 条第 2 項に定めているにもかかわらず、内示通知としてしか発行していないため要領
どおりに発行するように指導する必要がある。
ウ.下部団体の助成金申請前の事前着手及び事業完了前の実績報告提出、下部団体の実績
報告遅延の事例について(指摘)
県担当者に調査を依頼したところ、下部団体の申請日以前の事業実施(いわゆる事前着
手)、実績報告日が事業完了前であったり、期限の遅延(終了後 30 日以内に報告すること
が要領で定められている)が生じていたりする例があった。
申請日以前に事業が行われていた団体が、27 団体中 4 団体、
事業完了前の実績報告提出を行った団体が、27 団体中 1 団体、
実績報告の報告期限を遅延した団体が、27 団体中 11 団体であった。
今後は要領を順守するよう、下部団体に周知徹底するべきである。
エ.実施要綱上、申請期日の定めが欠落していることについて(指摘)
福祉保健部関係補助金等交付要綱の第 3 条は「補助金の交付申請書の提出期日は別に定
める」としているが、実施要綱上も別に定める期日までとなっており、その定めがないた
め、実施要綱に明記するように改正するか、伺い定めにより年度ごとに申請期限を設定の
うえ県社協に通知するなど期日の規定を置くべきである。
④
(No.9)障害者芸術祭開催補助金について(意見)
申請時の協賛金・負担金(自己資金)の額と、実績報告時の協賛金・負担金の額が同額
であるが、その原因について県担当者によって検証されていない。協賛金のブレが本当に
生じていないのか、通帳により確認しないと、補助金の返還額が生じているか判断できな
いはずである。今後は支出も含めて実績報告の検証を厳格に行うべきである。
261
⑤ (No.10)障害者スポーツ活動等振興補助金について(指摘)
これも長崎県障害者スポーツ協会が県費補助金を受け、下部団体へ助成を行っている。
間接補助金であるため、管理が厳密に行われなければならない。
ア.県職員の実績確認の不履行について
当該補助金について県職員の実績確認は行われていないとのことであった。今後は厳格
な検査が行われる必要がある。
イ.事前着手、実績報告の遅延について
下部団体が申請日より前に事業を行っていた例は、72 事業中 21 事業
実績報告の遅延(要綱によれば終了後 30 日以内)は、72 事業中 63 事業であった。
今後は、要綱の順守を指導するとともに、下部団体の事業実施に間に合うよう、障害者
スポーツ協会の事務を早期化するよう指導するべきである。
ウ.実施要綱上、申請期日の定めが欠落していることについて
福祉保健部関係補助金等交付要綱の第 3 条は「補助金の交付申請書の提出期日は別に定
める」としているが、実施要綱上その定めがないため、実施要綱に明記するように改正す
るか、伺い定めにより年度ごとに申請期限を設定のうえ県社協に通知するなど期日の規定
を置くべきである。
(2)心身障害者扶養共済制度掛金について
①
制度概要と収入未済の回収率の推移について
心身障害者扶養共済制度掛金とは、心身障害者の保護者の相互扶助の精神に基づき、加
入者である保護者に万一のこと(死亡、重度障害)があった際に心身障害者に年金を支給
する長崎県心身障害者扶養共済制度の加入者掛金である。
心身障害者扶養共済制度は、任意の加入制度であり、県が加入者と共済契約を結び、掛
金の徴収、年金・弔慰金等の支払を行う制度である。県が加入者に負う責任を独立行政法
人福祉医療機構が保険しており、福祉医療機構は生命保険会社・信託銀行との間でそれぞ
れ生命保険契約・金銭信託契約を締結している。
262
(図の出典:独立行政法人福祉医療機構HP)
掛金未納に係る収入未済の推移は以下の通り。
区分
平成21年度
8,149,150
825,130
平成22年度
7,962,020
1,057,900
平成23年度
7,436,170
785,450
当年度不納欠損額②
当年度末収入未済額(B)
0
7,324,020
0
6,904,120
0
6,650,720
回収率(①/(A)×100)
当年度調定額(C)
10.1%
38,322,400
13.3%
34,710,410
10.6%
32,022,160
当年度収入額③
当年度末収入未済額(D)
37,426,800
638,000
34,178,360
532,050
31,134,260
887,900
97.7%
7,962,020
98.5%
7,436,170
97.2%
7,538,620
82.9%
82.6%
80.9%
繰越調定額(A)
当年度収入額①
過
年
度
分
現
年
度
分
回収率(③/(C)×100)
当年度末収入未済額(B)+(D)
合
計
回収率
回収率は、ここ数年ほぼ横ばいの状況である。制度の性格上、過年度収入未済を起こし
ている滞納者が、制度加入したまま現年度においても滞納を生じさせることもあり、現年
度分についても収入未済を発生させている。なお、共済掛金の収入未済は、私債権(時効1
年:平成24年12月25日付の国からの通知による)である。
②
長崎県心身障害者扶養共済制度条例施行規則第9条第2項様式第23号の不備について
(指摘)
長崎県公式ウェブサイトの長崎県例規集にある上記施行規則の様式第23号をダウンロー
ドすると、年金返還通知書に記載された文言のうち根拠条文が「長崎県心身障害者扶養共
済制度条例施行規則第12条第2項の規定により」となっているが、正しくは「長崎県心身障
害者扶養共済制度条例施行規則第9条第2項」であり、早急に訂正する必要がある。なお、
実務では後者の正しい条文が記載されたものが用いられているとのことであった。
263
③
長崎県心身障害者扶養共済制度条例施行規則第 12 条に示される加入者台帳と年金受給
権者台帳の様式について(指摘)
規則を読むと、以前は上記紙台帳で管理されていたことが推察されるが、現在はデータ
ベースの構築により電子管理されており、規則に定める様式での紙台帳の作成は行われて
いないとのことであった。本来はデータベースの開発・運用開始時点において規則を変更
するべきであるが、これを失念している。
現実に適合するよう規則を改正し、台帳の様式を廃止する等見直すことが必要である。
④
債権管理台帳の一部不作成、独自様式の台帳による債権管理の運用について(指摘)
財務規則第 162 条、債権管理規程第 5 条に定める債権管理簿が年金返還に係る債権を除
き作成されていないため規則から逸脱している。ただし、紙の台帳(心身障害者扶養共済
滞納者整理票)による管理はなされており、記載内容も上記、債権管理簿と機能的には遜
色はないため実質的な管理状態の不備までは至らない。今後は、実態に適合した財務規則
等の改定が検討されるべきであろう。
⑤
心身障害者扶養共済システムの見直しの必要性について(意見)
障害福祉課内で掛金滞納者の対応を協議した資料(平成 24 年 5 月)によれば、未納者の
対応については「長崎県心身障害者扶養共済掛金未納金対応実施要領」に基づき定期的に
行うことになっているが、扶養共済システムの不具合から滞納者の確認作業に時間がかか
るため、毎月行うことができていない状況にある、との記述がある。
下記でも触れるが、未納金対応実施要領通りに事務が行えない原因にシステムの要因が
あるのであれば、予算をもうけ、早急にシステムの改良を行うべきである。
⑥
滞納者への回収事務の不履行について(指摘)
障害福祉課では、債権管理・回収の手引きとして「長崎県心身障害者扶養共済制度掛金
未納金対応実施要領」(平成 12 年 3 月 15 日、最終改定平成 24 年 1 月 20 日)が作成されて
いるが、これが順守できていない。当該掛金が私債権であり、時効の援用によってしか消
滅しないとはいえ、過去催告したきり長期間放置されている事例もあり、回収事務を適時・
適切に行う必要がある。
要領を抜粋すると以下の通りである。
(2)対応方法
① 文書督促(滞納 2 ヶ月後未納額累積防止のため)
② 文書催告(督促後 2 ヶ月間納入がなかった者に強制脱退の期日を周知させるため)
③ 電話催促(文書督促後の滞納一か月目に注意を喚起するため)
④ 訪問督促(上記の効果が見られず、加入者の意思の確認と県の意向を明示するため)
264
(3)具体的内容
一
文書督促関係
① 滞納が 2 ヶ月続いたものについては、様式第 1 号により文書督促を行う。
② 文書催告
①による督促から 2 ヶ月間納入が確認されなかった場合には、様式第 2 号により文書催告を行う。
③ 強制脱退
②の文書催告から、2 ヶ月間納入が確認されず、かつ納入の見込みがないと認められる者について
は、強制脱退(地位喪失)の手続を行い、様式第 3 号により通知する。
※②・③の通知は、配達証明郵便により通知する。
③について、障害福祉課長が必要と認める者は、①・②の手続を経ず、随時、強制脱退させること
ができる。
なお、強制脱退を行った旨、関係市町村、福祉事務所に連絡し、滞納掛金の納入について協力を依
頼する。
二 電話催促関係
前月までの納入状況を確認後、必要と認められる者については、随時電話督促を行う。
三 訪問督促関係
2 人 1 組で、訪問督促が必要と認められる加入者と面談のうえ、掛金納入を指導する。
文書督促は滞納 2 カ月目に行う事になっているが、平成 23 年度は平成 24 年 1 月に督促
状をまとめて発送しており、電話や訪問による催告は行っているが、文書催告は行ってお
らず、要領に従った事務ができていない。
心身障害者扶養共済滞納者整理票を見ると、平成 20 年度以前の記録がほとんど記載され
ておらず、過去の経緯も不明である。また、平成 20 年度に行われた督促状発送と電話催告
が記録されてはいるが、その後の年度の催告が行われていない事例も 8 件見られた(記録
の記入漏れも含む)。
昨今、自治体の債権管理に関する判例が注目を集めているが(例えば平成 20(行ヒ)97 損
害賠償代位等請求事件平成 21 年 04 月 28 日最高裁判所第三小法廷集民
第 230 号 609 頁)、
かような状況を十分認識し、適切な回収努力を払うべきである。
⑦
分納処理の整備と確実な債務承認による時効の中断措置について(指摘)
滞納者については、分納を行っている事例があるが、分割納付承認を行う以上、より厳
格かつ確実な債務承認を形成できるよう書面や手続きを整備するべきである。
分納に至る過去の経緯が喪失している事例が多くあるとはいえ、納入確約書や払込計画
書を作成していく必要がある(拒否等ある場合は制度脱退を検討する必要もあろう)。また
毎期、債権全体の納付状況を示した明細を滞納者へ送付するなど、時効を中断するだけの
証拠を形成しつつ、債権の保全を図るべきである。
265
なお、平成 24 年度の事務の一例では、掛金払込計画書に様式通りの記入がなく、署名押
印と書面の下部に「毎月○○円
ボーナス月増加納付」とだけ手書きされていた。これで
は、計画書とは言えず、全体債権の金額の記入もないため、債務承認を形成できるだけの
証拠力のないものがあった。
なお、時効に関する全庁的な対処については、福祉保健課の項「2.追加検討した事項(3)
生活保護法第 63 条・78 条返還金の債権管理について⑥時効について」に同じである。
⑧
年金受給権者現況届書の様式について(意見)
書面の様式によれば、届出をする者の氏名の記入と押印を求め、あわせてその者の資格
について、「年金受給権者」「又は年金管理者」のどちらかを丸で囲むことを求めている。
しかし、実際には囲みの記入漏れが散見された。
今後は様式を改め、例えば「年金受給権者
氏名
印」、改行して「又は年金管理者
名
印」として、丸囲みの選択をしないで済むようにしてはどうかと考える。
⑨
債権管理の人材育成について(意見)
氏
掛金の債権管理について、人材育成が望まれる。長年にわたり、滞納した掛金の回収が
うまくいっていないのは、担当者の債権管理の知識が不足しているからと思われる。今後
は、資料の拡充や、本庁で行われる研修への参加など、担当者への教育を充実させるべき
である。
(3)知的障害者施設入所者負担金について
①
債権の概要について
援護の実施者(県)が、知的障害者を知的障害者援護施設に入所(行政措置)させた場合、
入所にかかる費用について当該知的障害者又はその扶養義務者からその負担能力に応じて
徴収する負担金である。なお、平成 15 年 4 月に支援費制度(契約方式)へと移行し、負担金
は各施設が徴収することとなったため、その後新たな負担金は発生していない。
なお、当該負担金の収入未済の性格は、非強制徴収公債権(時効 5 年)である。
平成 23 年度末(出納整理期間の返済を含む)において、当該債権は以下の通り 5 名分残
高 4,035 千円である。
266
当初
調定
年度
氏名
A
前
年
度
か
ら
の
調 定 繰 越 額 収
(円)
13
160,000
14
409,200
小 計
B
90,000
70,000
409,200
90,000
40,000
12
409,200
409,200
13
204,600
204,600
14
409,200
409,200
0
備 考
東彼・北松
479,200
72,800
1,135,800
40,000
13
89,200
89,200
0
14
409,200
30,800
378,400
0
東彼・北松
1,095,800
498,400
120,000
110,500
10,000
9
275,000
275,000
10
330,000
330,000
11
330,000
330,000 西彼
12
82,500
82,500
13
165,000
165,000
12
52,200
13,000
13
283,300
合計
100,500
247,500
10,000
14
378,400
247,500
1,540,500
小 計
0
東彼・北松
8
14
②
済
額 不 納 欠 損 額 収 入 未 済 額
(円)
(円)
(円)
112,800
小 計
E
度
569,200
小 計
D
入
年
11
小 計
C
当
0
1,530,500
39,200
283,300 本庁(壱岐)
229,200
229,200
564,700
13,000
0
551,700
4,308,600
273,000
0
4,035,600
時効管理について(意見)
今回、上記 5 名の債権管理(回収管理)の経過を検証したところ、債務者への面会等で、
口頭による債務承認で時効完成を防止しているが、今後は、残債は文書による債務承認等
を取り付けて、時効の中断を確実に構成できるよう措置を講じなければならない。
なお、時効に関する全庁的な対処については、福祉保健課の項「2.追加検討した事項(3)
生活保護法第 63 条・78 条返還金の債権管理について⑥時効について」に同じである。
(4)児童保護費保護者負担金(障害福祉課所管分)について
①
制度概要について
児童福祉法に基づき、児童等を知的障害児等に入所措置した場合に、本人または扶養義
務者から、その費用の一部または全部を徴収する。障害福祉課では、障害福祉施設につい
て負担金の徴収を所管している。強制徴収できる公法上の債権である。
満十八歳以上の施設入所の特例(児童福祉法第 63 条の 3 改正前)により入所した場合、
子の障害年金の額によって徴収金が決まるが、負担額が比較的多額になることも多く、ま
たその障害年金を扶養義務者が使ってしまったため、多額収入未済につながっているケー
スが多い(多額収入未済額発生案件の 12 名のうち 11 名がこの事案である)。
267
ただし、平成 18 年 10 月以降、障害児施設は措置から契約制度に移行しており、発生は
大きく減少しており、多額収入未済額調の中にも平成 19 年度以後の分は含まれていない。
区分
繰越調定額(A)
H21年度
62,805,740
調定(減額)①
過
年 当年度収入額②
度 当年度不納欠損額③
分
当年度未収入未済額(B)
現
年 当年度収入額④
度 当年度未収未済額(D)
分
回収率(④/(C)×100)
合 当年度未収入未済額(B)+(D)
計 回収率((②+④)/((A)-①+(C))
H23年度
47,300,120
41,806,620
2,724,130
3,439,250
48,600
5,622,550
10,634,910
2,983,370
335,250
46,499,680
41,592,620
38,032,120
回収率(②/((A)-①)×100)
当年度調定額(C)
H22年度
8.96%
1,268,640
5.76%
349,600
8.23%
164,700
468,200
135,600
72,400
800,440
214,000
92,300
36.91%
47,300,120
9.51%
38.79%
41,806,620
6.00%
43.96%
38,032,120
8.37%
回収率についても、ほぼ 8%前後で推移しており、債権残高は減少している。また不納欠
損処理額も減少しているが、この点については債権管理について以前より改善していると
思われる。
②
債権管理上の問題点について(指摘)
ア.書面による債務承認の内容が不十分なものがある。
日付の記載のないものが一件、金額の記載のないものが一件検出された。債務承認の意
味を十分理解できるようマニュアル化や教育・研修を徹底し、法的な不備の恐れのないも
のを形成・徴取すべきである。
イ.直近の入金があるが、不納欠損処分されているケースがある。
平成 19 年 3 月 9 日の一部納入の翌日から 5 年を経過した平成 24 年 3 月 10 日を時効完成
日として、平成 23 年度に 35,260 円不納欠損処分しているが、その後平成 24 年 9 月 28 日
に 5,000 円の入金がなされている。また、平成 21 年度には 603,750 円不納欠損処分されて
おり、何らかの時効の中断措置が取れなかったのか、疑問が残る。
なお、障害福祉課は時効の中断については、書面による債務承認があっても、当初の納
期限ごとに完成し、また入金はそれが充当される調定分にしか時効中断の効果がないと判
断しており、同じく児童保護費保護者負担金を所管しているこども家庭課とは見解が異な
っている。
なお、時効に関する全庁的な対処については、福祉保健課の項「2.追加検討した事項(3)
生活保護法第 63 条・78 条返還金の債権管理について⑥時効について」に同じである。
ウ.債務者本人が死亡しており、相続人である母が相続放棄を行っているケースで、次の
268
問題がある。
・相続放棄の添付資料として、「相続放棄申述書の写し」を添付しているが、これには相続
放棄が受理された証拠力はないため、「相続放棄申述受理通知書」の写しか、「相続放棄申
述受理証明書」が必要。「福祉保健関係
債権の管理に関する基本方針(内規)」において
も、「相続人が相続放棄を行った場合は、相続放棄申述受理通知書の写しの提出を受けるこ
と」と規定されている。
債務承認や時効もそうであるが、法的な判断はかなり難しいため、マニュアル化や教育・
研修、照会など全庁的な対応が必要と考える。
③
債権管理台帳の不作成、独自様式の台帳による債権管理の運用について(指摘)
財務規則第 162 条、債権管理規程第 5 条に定める債権管理簿が作成されていないため規
則から逸脱している。ただし、児童保護措置負担金管理票による管理はなされており、記
載内容も上記、債権管理簿と機能的には遜色はないため実質的な管理状態の不備までは至
らない。今後は、実態に適合した財務規則等の改定が検討されるべきであろう。
269
Ⅱ-20
医療人材対策室
1.措置状況と検証結果
テーマ
年度
NO
監査の結果
措置
1
貸付金
H15
長崎県看護職員修学資金貸 ・返還方法の変更にあたって
は、長崎県看護職員修学資金
与金
貸与条例施行規則第9条に
ウ.指摘事項
(ア)返還方法の変更手続きに 準拠した処理を行います。
ついて
・返還方法の変更をしようと
するときは、返還方法変更承
認願を知事に提出し、その承
認を受けることとなってい
る。口頭により返還方法の変
更が行われているものがあ
り、長崎看護職員修学資金貸
与条例施行規則第 9 条に準
拠した処理が必要である。
2
貸付金
H15
長崎県看護職員修学資金貸
与金
エ.意見
(ア)延滞債権について
・延滞債権が増加傾向にあ
り、債権管理を強化すべきで
ある。
・保証人の連帯保証債務への
意識を高め、延滞債権の効率
的な回収を行うためには、実
印の押印及び印鑑証明の入
手が望ましい。
・収入未収対策については、
平成16年4月に定めた「福
祉保健部所管債権の管理に
関する基本方針」に基づき充
実強化を図っております。
具体的には、未収債権発生の
未然防止対策として、平成1
6年度から借用証書に、保証
人の連帯保証債務への意識
を高めるため、実印の押印と
印鑑証明書の添付を行って
おります。また、未収債権の
解消対策として、平成16年
度から電話、文書等による納
入催告のほか、必要に応じ、
訪問による納入指導を行っ
ております。
・保証人から実印の押印及び
印鑑証明を添付するよう、平
成16年4月に長崎県看護
職員修学資金貸与条例施行
規則を改正いたしました。
検証結果
現在では、規則 9 条が改正さ
れており、規程がない。過去
の監査後、平成 16 年に「内
規」によって分割納付手続き
が一定の形式に従って行わ
れるよう整備され、以来、伺
い定めによって承認手続き
が行われてきた。ただし、こ
の方法では、自治令や財務規
則といった法令に則った手
続きでないため、平成 23 年
12 月から新規分につき、履
行延期の特約に従うよう取
扱いを改めている。
現状、分納が行われている案
件も、一定額の返済が継続し
て行われている。
左記の措置の記述は、正確に
は規則そのものの改正では
なく、規則に示された、借用
書の様式において、印鑑証明
の添付をするよう付記して
対処している。
なお、連帯保証人との契約に
ついては、本人の意思確認に
つき、より厳密な対応をする
べきである。後日、保証意思
の有無によりトラブルにな
らないよう、事前の電話によ
る保証人意思確認を行い、記
録を残しておくなど行うこ
とが望ましい。(意見)
2.追加検討した事項
(1)長崎県看護職員修学資金貸与金について
①
長崎県看護職員修学資金貸与条例施行規則の不備について(指摘)
規則第 12 条に定める「貸与金の返還の債務の免除申請」や同第 15 条に定める「修学資
270
金の猶予の申請」が、貸与者から県へ申請されたのち、県から貸与者へ各々の「通知書」
が発行され渡されるはずだが、その規定がなく、規則を整備する必要がある。実務では通
知書が発行されてはいるが、その様式も発行も根拠のない状態であるため早急に対応しな
ければならない。
②
債権管理台帳の不作成、独自様式の台帳による債権管理の運用について(指摘)
財務規則第 162 条、債権管理規程第 5 条に定める債権管理簿が作成されていないため規
則から逸脱している。ただし、手書きによる紙の台帳による管理はなされており、記載内
容も上記、債権管理簿と機能的には遜色はない。また EXCEL による電子台帳管理も行われ
ており、実質的な管理状態の不備までは至らない。今後は、実態に適合した規則の改定が
検討されるべきであろう。
③ 規則第 12 条「貸与金の返還の債務の免除申請」の期日管理の徹底について(意見)
貸与金の免除は、一定の就業期間が満了すればよいのではなく、規則上、貸与者から免
除申請があって初めて債務免除(県からいえば債権放棄)が成立する。この免除申請が適
時に貸与者から送られてきていない事例があるため、厳格な申請提出の期日管理、貸与者
への呼びかけ等が必要である。
特に問題になる事例は、現実には発生していないが、免除申請がないまま放置されるパ
ターンである。この場合、免除処理ができず、債権が財務会計上把握できない状態となる
(債権という財産としては存在するが、収入未済とはならないため、管理のレベルが違う)。
そこまでいかなくとも、免除申請がいわゆる「期またぎ」となるパターンも問題と言え
る。つまり、免除期間満了が、前年度の3月であったにもかかわらず、免除申請が遅れ、
翌年度にずれ込んでしまう例である。この場合、官庁会計では表面には現れることはない
が、債権放棄の事務が越年となってしまい、本来の事務のあり方としては望ましいことで
はないと言える。
なお、後述の長崎県医学修学資金貸与金等貸与条例施行規則では、貸与者からの免除申
請は求めておらず、県からの免除通知が一方的に渡されるだけである。規則の違いに合理
性がないのであれば、事務の効率性の観点からも規則の見直しを検討してよいと思われる。
④ 規則第 11 条「就業状況等の報告」の提出期日の徹底について(意見)
免除されるまでの間、看護職員の業務に従事した貸与者は、毎年 4 月 30 日までに報告書
を提出することになっているが、期日が守られていない例があった。また、平成 23 年分の
報告書について、勤務先の署名が手書きで、印鑑も個人の認め印か否か判然としない例(確
認が必要)、勤務先の責任者の役職の記載がない例(これも確認が必要)、日付の記入漏れ
などがあり、対応の改善が必要である。
271
(2)長崎県医学修学資金貸与金等について
①
長崎県小児科・産科医師確保緊急対策資金貸与条例施行規則の誤りについて(指摘)
第 6 条の連帯保証人についての記載について、本制度では連帯保証人は一人でよいとこ
ろ、「連帯保証人のうち一人は」と記載されている。誤りであり、早急に訂正する必要があ
る。
②
連帯保証人の適格性の不備について(指摘)
長崎県医学修学資金貸与金等貸与条例施行規則の第 6 条によれば、連帯保証人は「独立
して生計を営む成年者でなければならない」とあるが、連帯保証人の一人目が貸与者の父、
二人目が母(父の扶養者である例、父母ともに同一の自営業の例)という事例が見られた。
かかる貸与は債権の保全が不十分であり、規則に反している。
③
連帯保証人の資力の確認が不十分である点について(意見)
長崎県医学修学資金貸与金等、長崎県小児科・産科医師確保緊急対策資金貸与金につい
て、連帯保証人の資力の確認が不十分である。前者は、一人目は所得証明を取り寄せてい
るものの、二人目は何ら確認していないため、申請内容をそのまま受け入れているに過ぎ
ない。後者も同様で、所得証明は取り寄せていない。今後は、保証人の保証能力の確認を
徹底するべきである。
④
連帯保証人の保証意思の確認について(意見)
連帯保証人との契約については、本人の意思確認につき、より厳密な対応をするべきで
ある。後日、保証意思の有無によりトラブルにならないよう、事前の電話による保証人意
思確認を行い、記録を残しておくなど行うことが望ましい。
⑤
貸与決定通知日より前の日付が記入された借用書について(指摘)
長崎県医学修学資金貸与金で貸与決定通知日より前の日付が記入された借用書が見られ
た。条例に反した事務であり、借用の効力さえ疑われかねない事務である。貸与者への徹
底が必要である。担当者も鉛筆書きで加筆・修正するのではなく、訂正を貸与者にさせ、
再提出を求めるべきである。
⑥
借用書のその他の不備について(指摘)
借用日のないもの、決定通知の番号の記入漏れ、借受人と連帯保証人の筆跡が酷似して
いるものが見られた。事務の徹底が必要である。
⑦
規則第 8 条第 2 項による返還免除の通知について(意見)
返還免除の要件を満たしたものに対し、免除の通知を行うことになっているが、これが
272
適時になされていない。
義務年限が平成 23 年 4 月 30 日に到来しているにもかかわらず、県が通知したのが平成
24 年 2 月 27 日と遅延している例、更に義務年限が平成 23 年 3 月 31 日に到来しているにも
かかわらず、県の通知が平成 24 年 2 月 27 日である例もあった(期またぎの例)。後者の場
合、官庁会計では表面には現れることはないが、債権放棄の事務が越年となってしまい、
本来の事務のあり方としては望ましいことではないと言える。
273
Ⅱ-21
こども家庭課
1.措置状況と検証結果
No
1
2
テーマ
年度
貸付金
H15
特会 H22
監査の結果
措置
検証結果
(3)母子寡婦福祉資金貸付
金
ウ.意見
(ア)延滞債権について
毎年償還率が低下しており、
新規の貸付は償還額で賄え
ない状況となっているので、
一般会計からの追加繰り入
れがない限りいずれ繰越金
を使い果たし、本来必要な新
規の貸付が不可能となる可
能性が高い。貸付残高に占め
る延滞額の割合、償還率は全
国平均を上回っているもの
の改善が必要である。
・償還率低下の原因対策につ
いては、福祉保健部社会福祉
課の生活福祉資金の項で記
載しているので、参照された
い。
・評価指標が、県社協が実施
する生活福祉資金貸付金と
異なっているが、同様の趣旨
に基づく貸付金であること
から、同じ評価指標とすべき
と考える。
・貸付申請時に、連帯保証
人の保証意思の確認、保証
制度の周知徹底を行い、平
成16年度からより厳正な
審査を行っております。ま
た、債権管理嘱託員、償還
協力員、母子自立支援員等
による実態調査、訪問指導
等を強化するとともに、連
帯保証人に対する償還指導
を強化しております。具体
的には、連帯保証人へ督促
(催告)をする場合、連帯
保証人を単なる保証人と認
識しているものが多く見受
けられるため、督促状送付
の際に連帯保証人の説明文
を添付し、保証制度を理解
させたうえで償還指導にあ
たっております。
・平成16年度から評価指
標については、生活福祉資
金と同じ評価指標といたし
ました。
下記、別記(No1)を参照の
こと。
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
貸付審査会について
平成 21 年度の長崎県母子寡
婦福祉資金貸付審査会は、1
回の審査員の過半数の出席
による開催と、11 回の審査
員への持ち回りの審査が行
われているが、持ち回りの審
査については、現在規定が整
備されていないことから、明
文化するのが望ましい。ま
た、審査判定表の総合判定欄
に記載がないものが散見さ
れたため、記載を徹底すべき
と考える。
長崎県母子寡婦福祉資金貸
付審査会実施要領を改正
し、持ち回り審査について
の規定を追加のうえ平成 23
年 4 月 1 日から施行してお
ります。また、審査判定表
その他の各種帳票について
は記載もれ等がないよう今
後十分に注意し、適正な事
務の執行に努めてまいりま
す。
長崎県母子寡婦福祉資金貸
付審査会実施要領の改正及
び持ち回り審査の追加も確
認した。
審査判定表の記載漏れに関
しても改善されており、問題
はない。
274
3
特会 H22
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
貸付金台帳の不備について
貸付金台帳を検討したとこ
ろ、借入者、連帯借入者の勤
務先、就学先など貸付金台帳
が更新されていない項目が
ある。適正な回収業務のため
には、登録事項に変更がある
都度、更新作業が必要である
ことから、貸付金台帳を整理
し直す必要がある。
貸付金台帳については、現
状を確認のうえすべて最新
の情報に更新いたしまし
た。なお、平成 21 年度から、
登録事項に変更がある都
度、複数人で更新前後の台
帳を突合のうえチェックす
るよう台帳管理体制を整備
しております。
システムにおいて全て管理
し、現況届出の提出により、
変更事項の登録を正確に行
うように徹底しており、問題
はない。
4
特会 H22
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
償還指導について
償還指導履歴表を検討した
ところ、借主への接触履歴記
録は確認できるが、連帯借主
への償還指導が十分なされ
ていない、あるいは償還指導
がないことを確認した。ま
た、平成 15 年から平成 19
年にかけては、償還指導履歴
が 1 月 1 日のみになっている
ものが多く、記載内容も、指
導というよりは、現状を記載
していると思われることか
ら、今後は、延滞分の償還指
導を徹底し、早期の回収に努
めるべきと考える。
借主だけでなく、状況に応
じ連帯借主や連帯保証人に
も接触しながら延滞分の償
還指導を徹底するよう各福
祉事務所に対しても指導を
行っており、今後も連携し
て早期回収に努めてまいり
ます。
償還指導履歴が 1 月 1 日のみ
の理由はシステムへの登録
に変更したため、便宜上 1 月
1 日としたとの事である。
また償還指導に関して、年二
回の督促状の送付(7 月、1
2月)、また連帯保証人に対
しても年1回(10 月)に督促
状を送付している事を確認
した。特に問題はない。
5
特会 H22
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
借用書について
借 用 書 を 検 討 し た と こ ろ、
「①借用書に日付のないも
の、②訂正印のないもの、③
訂正事項に訂正印があるが、
修正事項が未記入のもの」等
が確認されたことから、適正
に処理すべきである。
借用書の不備については、
速やかに是正いたしまし
た。今後は、このようなこ
とがないよう十分に注意
し、適正な事務処理に努め
てまいります。併せて、福
祉事務所の母子自立支援員
に対しても適正な事務処理
について指導を徹底してま
いります。
不備に関して是正なされて
おり、また支援員に対しても
年 2 回(6 月と1月)の研修
会が行われており、問題はな
い。
275
6
特会 H22
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
償還率・滞納率について
母子寡婦福祉資金貸付金の
償還率を検討したところ、
年々減少傾向にあり、収入未
済額が増加していることが
確認された。今後は、償還事
務に係る組織体制の検討、き
め細やかな債務者対策の検
討等を行い、償還率を上げる
ことが重要と考える。また、
母子寡婦福祉資金の未収金
回収対策において、債務者が
死亡した場合その後の償還
指導(保証人ヘの請求等)が
不適切な年度があることも
確認されていることから、収
入未済額の解消のために、さ
らに、債務者の実態に応じた
多様な徴収方法を検討し、滞
納防止に努めて行くことが
重要と考える。
平成 22 年 8 月から、過年度
滞納分の固定債権について
民間委託を実施し、減少傾
向にあった償還率が平成 22
年度は 2%程度増加に転じて
おります。また、平成 21 年
7 月分から実施している口
座振替や訪問徴収等の取り
組みに加え、平成 23 年度か
らゆうちょ銀行による口座
振替やコンビニ収納等、債
務者の実態に応じた多様な
徴収方法を検討していると
ころです。今後も引き続き、
滞納防止及び未収金の回収
に努めてまいります。
平成 21 年度末に試行、平成
22 年度から本格的に実施さ
れており、改善されている状
況である。
7
特会 H22
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
不納欠損処分について
県は、長崎県債権管理規程第
16 条において、不納欠損処
分を規定している。母子寡婦
福祉資金貸付金の「経済的自
立と生活意欲の助長を図り、
福祉を増進する。」と言う目
的を考えれば、消滅時効が完
成(10 年)していても、時効
の援用がなければ、不納欠損
処分の対象とならず、債務者
に対して貸付金の償還を求
めることが可能とする取扱
いは規定のとおりであると
はいえ、その目的を達するの
か疑問である。
平成 23 年度中に、不納欠損
処分ができる可能性のある
債権について調査をする予
定となっており、また、県
庁内に設置されている「未
収金対策検討会議」におい
ても未収金の取扱基準につ
いて全庁的な検討を行うこ
ととなっていることから、
これらの調査及び検討結果
を踏まえつつ、母子寡婦福
祉資金の目的を損なわぬよ
う適切に対応してまいりま
す。
年 4 回開催されている「未収
金対策検討会議」の中で取扱
に関して協議が進められて
いる。今後、債権放棄の基準
に照らし、適切に判断してい
くことが必要であると思わ
れる。
8
特会 H22
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
違約金について
母子及び寡婦福祉法施行令
の第 17 条(違約金)に規定さ
れているとおり、平成 21 年
度中に償還期日を経過して
貸付元金が完済となった者
について、違約金が発生する
が、
「違約金徴収免除申請書」
が提出され、全てが免除の対
象となっており、形骸化して
いると考えられる。また、現
違約金の徴収については、
滞納者の多くが生活困窮者
であることから、
「経済的自
立と生活意欲の助長を図
り、福祉を増進する」こと
を目的とした母子寡婦福祉
資金の趣旨と照らし、債務
者の現状や償還見込み等を
総合的に勘案し決定してい
るところです。今後も適正
な運用に努めてまいりま
す。また、督促時点におけ
る違約金の計算について
現在、制度趣旨を勘案して違
約金の徴収はなされていな
いが、今後検討を図る必要性
はあると認識している状況
である。
276
在の母子福祉資金貸付金管
理では、督促時点における違
約金の計算がなされておら
ず、延滞元金と合せた当該違
約金額の明示による償還指
導がなされていないことか
ら、債権管理の観点から検討
を要する。
特会 H22
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
貸付時の収入基準、支払能力
の判定について
「平成 22 年度長崎県母子及
び寡婦福祉資金貸付方針」に
おいて、償還金の月額合計が
申請者または申請者の世帯
の月収の 20%を超える場合
には、原則として貸付の対象
としない旨が定められてい
る。
また、連帯保証人についても
同様のルールが定められて
いる。この点について、以下
の問題があると考える。
9
特会 H22
10
特会 H22
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
(1)「月収」について
特に個人事業主については、
収入が多くとも経費が多け
れば所得は少なくなるため、
支払能力が低くなることも
あり得ることから、「月収」
の定義を明確にすべきと考
える。
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
(2)申告制度について
母子寡婦福祉資金以外の借
入金については自己申告が
基本であり、申告されない借
入金については、県が実施し
ている他の融資制度以外は
把握できない。保証人につい
ても同様で、債務については
自己申告となっている。
また、生活費として消費者金
融からの借入金が長期に渡
って存在するケースでも、母
子寡婦福祉資金貸付調査書
においては、「平成 22 年 8
月をもって完納となる為」と
理由が付されているのみで、
十分な調査が為されている
とは考え難い。返済能力は収
は、適正な債権管理の観点
から、その運用方法を含め
今後検討してまいりたいと
考えております。
貸付申請書に記載された月
収により判断しております
が、今後、給与所得者と個
人事業主又は職種等による
不均衡が生じないよう、所
得の種類や控除すべき経
費、対象とする時期等、
「月
収」の明確な定義について
検討を行ってまいります。
平成 24 年度から給与所得者
に関しては毎月の給与明細
を直近3か月分徴取するよ
うにしており、改善されてい
る。しかし個人事業主に関し
ては現状、明確な取扱を定め
ている段階にはなっていな
い。早期に措置を実現するべ
きである。(意見)
必要に応じ、申請者及び保
証人から同意書をとったう
えで他の借入金状況の調査
を行う等、適正に債務状況
の把握が行えるような調査
方法について、今後検討し
てまいります。
現在においても検討中であ
る。早期に措置を実現するべ
きである。(意見)
277
入のみならず、支出にも大き
な影響を受けるため、より精
度の高い調査が必要と考え
る。
11
特会 H22
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
(3)添付書類について
添付書類として、申請者の戸
籍謄本に替えて、児童扶養手
当証書等の写し(市は原本証
明が必要)とあるが、原本証
明がない添付書類が提出さ
れている貸付金が確認され
た。また、貸付申請書類であ
る「修学先の必要経費および
財源計画申出書」の総額経費
に、修学資金の上限により借
入できない授業料分が含ま
れていないものがあったが、
就学にかかる経費総額及び
その財源を申し出るための
資料と考えると、貸付上限に
関わらず、必要なものは記入
すべきと考える。
原本証明のない添付書類に
ついては速やかに是正いた
しました。
また、
「修学先の必要経費及
び財源計画申出書」の総額
経費欄には授業料分を含め
た全ての経費を記入させる
ことを徹底するものとし、
母子自立支援員研修会にお
いて周知を図る等、適正な
事務執行に努めてまいりま
す。
原本証明の是正、及び「修学
先の必要経費及び財源計画
申出書」の総額経費欄への授
業料分を含めた全ての経費
を記入がなされており、問題
はない。
12
特会 H22
長崎県母子寡婦福祉資金特
別会計
訪問徴収について
延滞先については、債権管理
事務嘱託員が訪問徴収を実
施しているが、償還指導履歴
表を検討したところ、「行方
不明」
「不在」
「応答なし」
「支
払拒否」「生活困窮」など、
成果のないものが多い。ま
た、全体的に連帯保証人への
接触が少なく、債権保全も有
効に機能していないと考え
る。なお、平成 21 年度より、
債権回収会社への外部委託
を部分的に開始し、回収能力
の強化は期待できるが、債権
管理事務嘱託員による訪問
徴収も充実させていく必要
がある。
平成 22 年度から、債権管理
事務嘱託員に対し、文書や
電話等で期限を設けてもな
お借主又は連帯借主に接触
できない債権については積
極的に連帯保証人へも接触
するよう指導するととも
に、償還指導履歴への詳細
な状況の記載を指導してお
ります。今後も、研修会等
を通じて、債権管理事務嘱
託員による訪問徴収の更な
る充実を図ってまいりま
す。
指導履歴を閲覧し、連帯保証
人への連絡も頻繁に行われ
ている事が確認出来た。また
研修会の開催も行われてお
り、問題はない。
別記(No1)
償還義務の認識の徹底について(指摘)
修学〈修業〉資金については、通常、母親が貸付を申請するため、対象となる児童に
おいて、貸付を受けていることの認識が十分でないことがある。この償還義務の認識が
十分でないと、償還開始後に滞納が発生する可能性が高くなる。そのため、県は償還義
278
務の認識をもたせるために、母子〈寡婦〉福祉資金貸付申請書を対象となる児童本人に
自署捺印させるようにしている。「平成 24 年度長崎県母子及び寡婦福祉資金貸付方針」
においても下記のとおり示されている。
しかし、平成 24 年度分の母子〈寡婦〉福祉資金貸付申請書を通査したところ、申請者
欄と対象児童等欄の筆跡が同じであり、本人による自署捺印がなされていないものが散
見された。
滞納発生防止のために、償還義務の認識をもたせるよう、児童等本人による自署捺印
を徹底させる必要がある。
平成 24 年度長崎県母子及び寡婦福祉資金貸付方針
第5
資金別運用方針
2.修学〈修業〉資金
(1)修学〈修業〉資金については、母親が貸付を受ける場合は、当該修学〈修業〉に係る児童等が連
帯借主として、借主である母親とともに償還にあたるべき義務を負うが、連帯借主の中には、この義
務について理解していない事例が見受けられるので、申請時連帯借主に対し直接面接し、本資金の利
用と償還義務の履行を確認するとともに、貸付申請書の対象児童欄及び借用書の連帯借主欄について
は、連帯借主自身がその氏名を記入し、捺印すること。
2.追加検討した事項
(1)母子寡婦福祉資金貸付金について
①
制度概要について
母子及び寡婦福祉法に基づき、母子(寡婦)家庭の経済的自立と生活意欲の助長を図る
ことを目的として、母子家庭の母又はその児童、寡婦等に修学資金、生活資金などを対象
として融資する無利子又は低金利の貸付金である。
収入未済の状況としては、平成 21 年度から償還率が増加傾向にあり、収入未済額は減少
している。
区分
過
年
度
分
平成21年度
平成22年度
平成23年度
繰越調定額(A)
当年度収入額①
223,710,914
27,178,505
234,503,974
31,040,139
233,067,282
27,777,099
当年度不納欠損額②
当年度末収入未済額(B)
0
196,532,409
0
203,463,835
0
205,290,183
回収率(①/(A)×100)
現
年
度
分
当年度調定額(C)
当年度収入額③
合
計
当年度末収入未済額(B)+(D)
当年度末収入未済額(D)
回収率(③/(C)×100)
回収率
279
12.1%
13.2%
11.9%
158,614,449
120,642,884
158,825,629
129,222,182
164,062,354
141,029,882
37,971,565
29,603,447
23,032,472
76.1%
81.4%
86.0%
234,503,974
233,067,282
228,322,655
38.7%
40.7%
42.5%
平成 23 年度末において未償還額は 228,322 千円(2,759 件)
、対前年で 4,744 千円が減少
している。残高の内訳では、修学資金 65.9%、事業開始資金 16.4%、就学支度資金 9.8%、
その他 8.3%となっている。
②
借用書の不備について(指摘)
母子〈寡婦〉福祉資金借用書の印影が不鮮明なものが1件あった。印鑑登録証明書が添
付されているが、照合が困難であった。借用の事実を証する重要な書類であるから、印鑑
は明確に押印するよう指導徹底する必要がある。
③
添付書類の様式について(意見)
母子寡婦福祉資金貸付申請書には各種添付書類が定められている。添付書類には、福祉
事務所の母子自立支援員が作成する調査書と貸付申請者等が作成する申出書等の2種類が
ある。
申出書等は、すべての様式に申出者等の署名捺印欄が設けられているが、調査書は母子
寡婦福祉資金貸付調査書(添付書類1)のみにしか、福祉事務所長印及び調査者である母
子自立支援員の署名捺印の欄が設けられていない。連帯保証人調査書(添付書類4)や対
象児童(子)調査書(添付書類9)など、償還能力を判断するための重要な書類であるか
ら、作成責任を明確にするために、福祉事務所長または母子自立支援員による検印等を証
跡とすべきと考える。
④
収納する債権について(意見)
延滞債権について、その一部納付があった場合に、債権発生年度の古いものから順に収
納することが望ましい。その理由は、時効の援用により債権が回収できなくなるリスクを
軽減するためである。
債権発生年度が古いものから順に収納されていない事例があった。
一つ目の事例は、平成 20 年 10 月分債権に収納すべき納付を、22 年 12 月分債権に収納し
ている事例である。これは、かつてより計画通り分納されていたものであるが、22 年 12 月
に分納されたものを 22 年 12 月分債権に収納してしまったことによる。
二つ目の事例は、平成 18 年 1 月分債権に収納すべき納付を、22 年 4 月分、5 月分及び 23
年 4 月分、5 月分、6 月分、7 月分債権に収納している事例である。これは、現年度の償還
率を上げるために、現年度分に収納させているものである。確かに、現年度の償還率を 100%
に近づけることで未収金が増えないことにつながるため、徹底的に現年度の償還率を上げ
る対策を実施することは効果的である。しかし、この対策はあくまで現年度分の債権のみ
がある場合の対策であって、過年度分の債権もある場合には、過年度の固定化した債権の
解消を図ることを優先させるべきであると考える。
280
⑤
償還指導履歴について(意見)
償還指導履歴表に履歴が長期間記載されていない事例があった。当該事例は、平成 10 年
10 月以降納付がなされていない。平成 19 年 12 月までの償還指導履歴は残っているものの、
その後平成 22 年 3 月に民間委託するまでの間の償還指導履歴が一切なかった。そのため、
どのような償還指導が行われたのか、若しくは償還指導が行われていなかったのか一切不
明である。平成 19 年 12 月時点では債務者との接触はとれていたものの、民間委託となっ
た現時点においては所在不明状態であり、もはや回収は著しく困難であると思われる。
事後的にこのような事態にならぬよう、償還指導履歴はもれなく記載する必要がある。
⑥
債権管理台帳の不作成、独自様式の台帳による債権管理の運用について(指摘)
財務規則第 162 条、債権管理規程第 5 条に定める債権管理簿が作成されていないため規
則から逸脱している。ただし、母子寡婦福祉資金貸付台帳等による管理はなされており、
記載内容も上記、債権管理簿と機能的には遜色はないため実質的な管理状態の不備までは
至らない。今後は、実態に適合した財務規則等の改定が検討されるべきであろう。
(2)児童扶養手当過払返還金について
①制度概要について
父母が婚姻を解消したり、父又は母が死亡した場合等、各支給要件に該当する児童を監
護する父、母、又は当該父母以外の者で児童を養育する養育者に対しては、児童扶養手当
が支給されるが、結婚や年金の受給開始などにより受給資格を喪失したにもかかわらず受
給している者や不正の手段により手当を受けた者に対して求める返還金であり、主な発生
要因は結婚、年金受給である。なお、当該債権は、不正利得の徴収は強制徴収できる公法
上の債権である。
過年度分の回収率は毎期ほぼ一定ながら、繰越調定額及び不納欠損処理額ともに減少傾
向にある。
(単位:円)
区分
過
年
度
分
現
年
度
分
合
計
平成21年度
59,542,280
2,584,950
平成22年度
55,046,670
2,229,450
平成23年度
53,318,910
2,700,640
当年度不納欠損額②
当年度末収入未済額(B)
1,910,660
55,046,670
1,837,190
51,313,790
1,483,100
49,135,170
回収率(①/(A)×100)
当年度調定額(C)
4.3%
1,193,280
4.1%
2,005,120
5.1%
1,298,560
当年度収入額③
当年度末収入未済額(D)
1,193,280
0
0
2,005,120
1,158,560
140,000
100.0%
55,046,670
0.0%
53,318,910
89.2%
49,275,170
6.2%
3.3%
7.1%
繰越調定額(A)
当年度収入額①
回収率(③/(C)×100)
当年度末収入未済額(B)+(D)
回収率
281
②
債権管理台帳について(指摘)
児童扶養手当過払返還金の管理台帳はアクセスにより、
「児童扶養手当過払返還金債権管
理台帳」が運用されている。
「長崎県債権管理規程」第 5 条で定められている「債権管理簿」
を作成、運用していない。ただし記載内容は上記、債権管理簿と機能的には遜色はないた
め実質的な管理状態の不備までは至らない。今後は、実態に適合した財務規則等の改定が
検討されるべきであろう。
③
履行延期処理における連帯保証人の設定について(指摘)
連帯保証人の設定に関しては、「児童扶養手当・特別児童扶養手当の事務取扱の手引き」
(以下、「事務取扱の手引き」という)では、下記のように記載されている。
2.債権の管理について
④
県費分(児童扶養手当新法分)
履行延期
返納金は一括納付を原則としているが、一括納付が困難であり一定の要件に該当する場合(債務者
が無資力又はこれに近い状態であるとき、債務者が債務の一部を一度に履行することが困難であり、か
つ、現に有する資産の状況から履行期限を延長することが徴収するうえでも有利であると認められると
き)には、債務者からの履行延期申請に基づき履行延期の特約を行う。
*履行延期申請書(様式第6号)には、「連帯保証人」を付けさせること。
児童扶養手当過払返還金に関して、連帯保証人の設定については現在行われている例が
なく、この点、「事務取扱の手引き」通りの事務手続きが行われていない。当該債権が不正
利得の徴収は強制徴収できる公法上の債権であり、一括返済の例外措置という位置づけか
らも履行延期時には連帯保証人を設定させることを徹底すべきであると考える。
④
生活状況調書について(意見)
「事務取扱の手引き」においては下記のように定められている。
1.債権発生時の手続きについて
児童扶養手当及び特別児童扶養手当の債権管理事務は、県費分と国費分があり、資格喪失届の提出か
ら債権管理に移行するまでの事務で、市町村において徴収すべき書類と事務処理について次の通り取扱
うこと。
① 債権の立証に供する書類
資格喪失時に債権発生が明らかな場合は、債権の立証に供する書類として、戸籍・住民票。年金証書
の写・施設入所に伴う措置決定通知書の写等を、必ず添付する。
② 債務者への説明
債権発生が明らかな場合には、資格喪失時に債務の内容及び返還義務を債務者に理解させ「債務承認
書(様式2号・様式9号)」を徴取しておくことが、その後の債権管理上、大変重要となるので、必ず自書・
282
押印させる。また、この書類は債務者の債務確認と「時効の中断」の効力を有する。
③
生活状況調書(様式2号の2)
この調書は、債務者の資産と生活状況を把握するため、本人からの聴き取りや公簿等により市町村が
作成する。(調査権:「児童扶養手当法第 30 条」及び「特別児童扶養手当等の支給に関する法律第 37 条」
適用)
④ 履行延期の特約
債務の返済は原則として一括返済としているが、特に県が認める場合には、債務者の申請により履行
延期を行う。
* 債務者が履行延期を求める場合には、必ず県に連絡すること。
※下線は筆者による。
現在、この生活状況調書に関しては、市町からの徴取は一部に限られている状況である
が、「事務取扱の手引き」通りに全て徴取するようにすべきと思われる。
⑤
債務承認書について(指摘)
「事務取扱の手引き」において、下記のように記載されている。
1.債権発生時の手続きについて
②
債務者への説明
債権発生が明らかな場合には、資格喪失時に債務の内容及び返還義務を債務者に理解させ、「債務承
認書」(様式 2 号・様式 9 号)を徴取しておくことが、その後の債権管理上、大変重要となるので、必
ず自書・押印させる。また、この書類は債務者の債務確認と「時効の中断」の効力を有する。
ここで、今回の監査において抽出した事例において、債務承認書に記載された弁済期が
当初記載されているにもかかわらず二重線で消されたもの、そもそも弁済期が記載されて
いないものが見受けられた。承認書の記載内容は確実に網羅させることが必要と考える。
⑥
履行延期の事務について(指摘)
現状の実務においては、履行延期時、上記「事務取扱の手引き」に定める「履行延期申
請書(様式 6 号)」の提出を求めておらず、それに伴う「履行延期承認通知書(様式 7 号)」
も作成されていない。
更に、連帯債務確認のため、連帯保証人への「履行延期承認通知書(様式 7 号の 2)」を
通知し、市町長に対して「履行延期承認通知書の写」の送付もなされていない状況であり、
「長崎県債権管理規程」、「児童扶養手当・特別児童扶養手当の事務取扱の手引き」に準拠
していない。
283
⑦
現況届の提出状況について(指摘)
平成 24 年 10 月 26 日現在において、現況届の提出状況は下記のとおりであり、未提出者
が見受けられるため、長崎県としては市町に対して提出の徹底をより一層指導すべきであ
る。
⑧
町名
受給資格者数
届出者数
未提出者数
長与町
395
363
32
時津町
341
323
18
東彼杵町
84
83
1
川棚町
193
188
5
波佐見町
164
160
4
小値賀町
21
21
0
佐々町
193
170
23
新上五島町
221
219
2
合計
1,612
1,527
85
不納欠損処分について(意見)
「福祉保健関係
債権の管理に関する基本方針(内規)」に記載されている手続きが行わ
れているかを未収債権の解消に関して平成 23 年度不納欠損処分案件をもとに確認した。
不納欠損処分案件に関して、五島の債権者のうち 2 名に関しては遠隔地として現地訪問
がかなりの期間行われていない状況のまま、不納欠損処理に至っている。
例えば福祉保健関係収入未済対策会議会長からこども家庭課長宛て文書(23 福保第 894
号平成 24 年 3 月 9 日)
「平成 23 年度不納欠損処分の認定に係る協議結果について」で以下
のように「意見」が付されている。
収入未済対策会議における不納欠損の協議結果について、別紙のとおり通知します。
なお、不納欠損処分の決定については、総務部長合議を要しますので、必要な事務処理は各課で行っ
ていただきますようお願いします。また、不納欠損処分の協議をする中で、下記の意見がありましたの
で、今後の債権管理等にあたってはご留意願います。
記
①
次年度に不納欠損を行う可能性がある債権については、不納欠損とならないように、消滅時効到
来まで徴収努力を行うこと。
②
一部の債権について時効中断措置となる督促状が発行されていなかったため、今後適正な債権管
理に努めること
※下線は筆者による。
しかるべき回収手続きを履行・努力することなく県の財産を喪失することはあってはな
284
らないことであるが、本債権は強制徴収公債権であるため、不納欠損処理においては他の
債権よりも一層の慎重を要するはずである。
昨今、自治体の債権管理に関する判例が注目を集めているが(例えば平成 20(行ヒ)97 損
害賠償代位等請求事件平成 21 年 04 月 28 日最高裁判所第三小法廷集民
第 230 号 609 頁)、
かような状況を十分認識し、適切な回収努力を払うべきであり、県内離島の債務者に対し
ては地方機関等の連携等により現地訪問等により債務承認等の措置を図り、不納欠損発生
を防止することが必要であると考える。
(3)児童保護費保護者負担金(こども家庭課所管分)について
①
概要について
児童福祉法に基づき、児童を児童福祉施設に入所措置した場合に、本人または扶養義務
者から、その費用の一部または全部を徴収する。こども家庭課では、児童福祉施設につい
て負担金の徴収を行っている。強制徴収できる公法上の債権である。
児童虐待による入所措置を要因としているため、扶養義務者との関係が難しく、収入未
済金額も多い。また書面による債務承認も得にくい状況にあり、債権残高、回収率につい
てもほぼ一定となっている。
区分
平成21年度
51,837,390
平成22年度
49,685,480
平成23年度
52,928,250
当年度収入額①
3,953,150
3,614,660
4,409,560
当年度不納欠損額②
6,898,620
821,480
568,120
40,985,620
45,249,340
47,950,570
繰越調定額(A)
過
年
度
分
当年度末収入未済額(B)
回収率(①/(A)×100)
②
7.6%
7.3%
8.3%
現
年
度
分
当年度調定額(C)
19,527,890
19,087,170
18,408,420
当年度収入額③
10,814,830
11,422,300
11,387,710
8,713,060
7,664,870
7,020,710
55.4%
59.8%
61.9%
合
計
当年度末収入未済額(B)+(D)
49,698,680
52,914,210
54,971,280
20.7%
21.9%
22.1%
当年度末収入未済額(D)
回収率(③/(C)×100)
回収率
問題点について(意見)
ア.書面による債務承認が取られていない点について
多額収入未済額調に記載されている 13 名中、書面による債務承認が取られている者は 1
名のみとのこと。
イ.多額収入未済者で公務員など収入があるにも関わらず、納付がなされていない者がい
る。(A、B)
児童保護費保護者負担金は、児童福祉法第56条により、強制徴収できる公債権である
ため、給与の差押えを行うなど、回収を強化すべきである。(今後、マニュアル整備し強化
するとのこと)
285
時効についてこども家庭課は、「債務の全額及び内訳を記した催促状を毎年 12 月に送付
しており、債務者はそれを見た上で納入しているため、債務承認があったと解している」
(下
記参照)とのことであるが、債務承認の有無について解釈が相違する可能性もあり、また
「福祉保健関係
債権の管理に関する基本方針(内規)」においても、4(2)②に「書面
による「債務の承認」を適宜行う」旨が記されており、書面による債務承認が求められて
いることも考慮しなければならない。
また、時効の中断については、同じく児童保護費保護者負担金を所管している障害福祉
課とも解釈が異なっている。障害福祉課においては、書面による債務の承認があったとし
ても、その後の納入は当初の調定された納期分にしか時効の中断は及ばないと解している。
時効の考え方は、債権の消滅に直接影響するため、法的解釈を含め、全庁的に対応を統
一する必要がある。
※時効についてのこども家庭課の考え方
「時効の中断の事由においては、民法第 147 条に掲げる①請求、②差し押さえ、仮差押え又は仮処分、
③承認の3つがあげられ、その中の③承認については、民法第 156 条に定めるところによります。
「承認」についての解釈は、事実の認識を表示することであり、その一つが一部納付であると当課
は解釈しております。
当課におきましては、12 月の納入強化月間を機に、全債務者に対して催促状を送付していることは、
すでにお知らせしたとおりですが、その際に債務の全額を記し、その内訳書についても付してお知ら
せしているところです。
催促状が到達した世帯においては、その全額(内訳)について確認し、その後納入していることか
ら、催促状記載の債務においては債務者の「承認」があったと解しております。
ただし、ご指摘のとおり、解釈の違いも想定され、債務の承認については、書面により取り交わす
ことが望ましく感ぜられることから、今後は書面での承認 に努めることとしております。」
(こども家庭課
担当者からの回答)
※時効についてのこども家庭課と障害福祉課の考え方の違いの例
こども家庭課
調定
A
未納額
H10
206,000 円
H11
457,800 円
H13
205,700 円
H14
426,900 円
H15
494,400 円
H16
397,800 円
H17
269,000 円
備考
H23.4.27 納入分を H10.7 及び H10.8 調定分で処理
286
H18
397,800 円
H19
494,400 円
合計
3,349,800 円
障害福祉課
調定
H6
H23.4.27 の納入により、全てが時効中断と解釈
D
未納額
1,770 円
不納欠損
1,770 円
備考
H7.2 分 820 円、H7.3 分 950 円が最終収入から 5 年経過により
時効完成
H7
20,290 円
20,290 円
H7.7 分 3,250 円、H7.8 分 4,260 円、H7.10 分 3,260 円、H7.11
分 3,260 円、H8.3 分 6,260 円が最終収入から 5 年経過により時
効完成
H17
4,400 円
4,400 円
H18.3 分 2,200 円、H18.3 分 2,200 円が督促状発行日
(H18.12.27)
から 5 年経過により時効完成
H18
100,200 円
8,800 円
H18.4∼7 分各月 2,200 円が督促状発行日(H18.12.27)から 5
年経過により時効完成
合計
③
126,660 円
35,260 円
平成 23 年度中に時効が成立していたが不納欠損処分がなされていないものがあった事
案について(指摘)
多額収入未済者のうちJについては、平成 18 年 12 月 28 日に第 1 回目の督促状を送付し、
その後入金も債務承認もない平成 18 年 4 月 1 日∼9 月 1 日調定分の 167,980 円については、
平成 23 年 12 月 28 日に時効が成立しており、平成 23 年度中に不納欠損処分すべきであっ
た。
同様に時効が完成し、平成 23 年度までに不納欠損処分すべきであったものは、1,103,680
円(平成 24 年度に不納欠損処分予定)である。
④
債権管理台帳の不作成、独自様式の台帳による債権管理の運用について(指摘)
財務規則第 162 条、債権管理規程第 5 条に定める債権管理簿が作成されていないため規
則から逸脱している。ただし、児童保護措置負担金管理票による管理はなされており、記
載内容も上記、債権管理簿と機能的には遜色はないため実質的な管理状態の不備までは至
らない。今後は、実態に適合した財務規則等の改定が検討されるべきであろう。
287
Ⅱ-22
林政課
1.措置状況と検証結果
No
1
テーマ
年度
貸付金
H16
監査の結果
措置
検証結果
(5)林業開発促進資金貸付
金
ウ.意見
木材価格の長期低迷によっ
て、分収契約を主とする県林
業公社の経営は重大な局面
にある。木材価格の推移は予
測しがたいものがあるが、過
去 5 年間の平均木材価格で
見込めば、林業公社経営計画
検討委員会が提言した経営
改善策を行っても、間伐補助
の 適 用 が な け れ ば 平 成 76
年度末において 57 億円の
収入不足となり、それに応じ
た長崎県の貸付金は回収さ
れないこととなる。
林業公社においては、経営改
善を進めるとともに、森林の
持つ公益的機能の維持を図
るため、平成 17 年 3 月、
伐採の分散長期化の採用、管
理費等コストの削減、分収割
合の引き下げ等を内容とす
る 6 次経営計画を策定し、
その実施に着手しておりま
す。
県においても、これを支援す
るため、県貸付金償還期限を
延長するとともに、林業公社
を取り巻く諸問題が各県公
社に共通する問題であり、各
県のみでの対応では限界が
あることから、他県と連携
し、九州地方知事会、全国知
事会を通じ、分収方式におけ
る長伐期化に対応した造林
補助制度の拡充など、林業公
社の経営安定へ向けた支援
策を国へ強く要望しており
ます。
平成 23 年 1 月 5 日に、(社)
長崎県林業公社を存続法人と
して合併し、各種経費の削減
や事務の一層の効率化を進め
ている(平成 24 年 6 月 1 日に
公益法人へ移行し、公益社団
法人長崎県林業公社となって
いる)。
更に、林業公社においては、
平成 23 年 5 月に、木材価格や
生産コストの変動、新たな国
や県の支援策を踏まえ、平成
17 年 3 月策定の 6 次経営計画
の見直しを行っているが、左
記監査の結果でも懸念されて
いるところだが、間伐補助を
取りこみ済の計画見直しでも
なお、平成 76 年度には約 56
億の収支差額が生じる見通し
となっている。
この将来の収支差額を埋める
べく、販売方法の再検討、運
搬経費の削減等により、さら
なる対策が現在検討されてい
るところである。
一方、県でも公社等の分収林
事業が国策により推進された
経緯から、全国の都道府県と
連携し、国に対し、融資制度
の改正、分収林契約の長伐期
化に対応した制度の整備な
ど、林業公社の経営安定のた
めの支援制度拡充策を要望し
ている。
今後も県は林業公社向け債権
の信用リスク回避・軽減のた
めに、組織内外の経営改善に
努力する必要がある。(意見)
288
2
貸付金
H16
(6)森林組合事業資金貸付
金
ウ.意見
(ア)貸付金の年度末償還につ
いて
長崎県森林組合連合会は毎
年度 3 月 31 日に県へ元金
200,000 千円を償還するた
めに別途資金調達を余儀な
くされており、県では 3 月
31 日に償還を受け、その翌
日である 4 月 1 日には同額
を再度融資する方法を繰り
返しているが、このような契
約は実質的には意味のない
取引である。
・事業遂行に必要な資金であ
れば、毎事業年度末に償還を
義務付けるのではなく、不要
となった時点で償還させる
等の方法に貸付要綱の改訂
を検討すべきである。
・本制度は、昭和 47 年に開
始された制度であるが、単純
に従来の慣行をそのまま踏
襲するのではなく、常に問題
意識を持って業務の改善に
取り組む姿勢を持つべきで
ある。
・本意見は「森林組合連合会
事業資金貸付金」についても
同様である。
森林組合連合会の貸付金に
ついては、森林組合の事業
量、資金繰りをもとに毎年度
の必要額を連合会が精査し、
県に貸付申請されるもので
あり、常に同額の貸付を担保
しているものではありませ
んが、長期貸付については、
貸付額の的確性、資金の固定
化等検討すべき点もあるの
で、ご意見を参考にしながら
検討してまいります。
県の直接の融資先である森林
組合連合会と転貸先の県内森
林組合の財務が健全であれ
ば、県からの一時貸付が年度
末に引き上げられても、つな
ぎ資金の調達には懸念はない
はずであり、各森林組合の資
金繰りが窮する可能性も低
い。しかし、財務内容が悪化
する場合には、つなぎ資金の
調達が危ぶまれることも今後
は想定するべきである。
組合の財務悪化を早期に認識
し、経営改善や合併の指導な
ど、未然の対策が適宜行われ
ることが、当融資制度の継続
の前提であることをより認識
し、制度の安定的な運用に努
力されたい。(意見)
その他の検証結果は、「2.追
加検討した事項」を参照のこ
と。
289
3
4
貸付金
H16
貸付金
H16
(7)林業改善資金(林業生
産高度化資金)
ウ.指摘事項
(ア)E 社に対する貸付につい
て
平成 14 年 2 月に 17,180 千円
の貸付を行ったが、経営不振
を理由に平成 16 年 2 月の 2
回目の約定返済(1,718 千
円)から延滞となっている。
貸付書類を査閲した結果、貸
付に当たっては対馬地区林
業改善資金運営協議会員が
前後 2 回の協議会を開催し、
当該貸付案件について融資
の適否について検討してい
るが、審査過程において包括
的な資金の検証が不十分で
あったことから延滞の発生
に至ったものと判断される。
・県によれば、国の通知によ
り判断をしたとのことであ
るが、通知にこだわらず踏み
込んだ論議を行っていれば
防止が可能であったかも知
れず、今後の積極的な関与を
望みたい。
・今後の回収可能性を検討
し、不納欠損処理によって処
理する等の措置を講じ、財務
数値の適正化に努めること
が望まれる。
(イ)保証人について
借入者の相互保証は見られ
なかったものの高年齢者の
保証者が散見された。本改善
資金貸付の利用者にあって
優良な連帯保証人を確保す
ることは環境的にも厳しい
とは思われるが、万一の場
合、その損失は県の負担とな
ることから、中高年層や個人
保証以外の 2 名以上連帯保
証人確保に努めることが望
ましい。
平成 15 年度に改正した取扱
要領において、100 万円以上
の貸付については、財力の有
無を関係書類により調査・確
認することとしており、関連
事業も含め包括的な資金の
検証等に積極的に関与を行
ってまいります。
不納欠損処理については、実
施すれば県の請求権を放棄
することとなるため、本資金
が公金を財源としているこ
とを踏まえ、当面不納欠損は
行わず、今後も回収に努めて
まいります。
当案件については、平成 18 年
11 月に会社が解散したことか
ら、平成 19 年 3 月に期限前償
還請求を行ったところ償還さ
れず、同年 7 月連帯保証人に
一括償還請求したが分納要望
となっている。抵当権の実行
には同意し、平成 20 年 7 月
952 千円を回収している。
その後、返済計画の協議を行
っているが、計画作成までは
至っていない。平成 21 年度
169 千円、平成 22 年度 169 千
円、平成 23 年度 79 千円が返
済されており、少額・不定期
ながら返済が行われている状
況である。
対応として、ひとつには、債
務承認を形成しつつ時効の中
断を図り、返済計画の取りま
とめを進め、確実に回収に努
めるべきである。また、主債
務者が高齢となっている現状
も踏まえると、相続時の対応
等も留意しつつ回収を進める
必要がある。(意見)
その他の検証結果は、「2.追
加検討した事項」を参照のこ
と。
保証人については、平成 15
年度に取扱要領を改正し、貸
付金の最終償還時年齢が 70
才未満・原則 2 人以上と規定
しております。また、個人保
証がある場合は 3 名の連帯
保証人を確保するよう指導
しております。
290
事務取扱要領の変更が行わ
れ、この定めに従って運用さ
れているが、前回監査の平成
21 年度後、平成 22、23 年度
とも貸付け実績はない状態で
ある。
5
貸付金
H16
エ.意見
(ア)貸付制度の周知と活用に
ついて
貸付実績は近年減少傾向に
あり、平成 15 年度末の貸付
残高は資金造成額の半分に
も満たない状況である。県
は、制度の周知徹底と貸付制
度の有効活用に努力すべき
である。
貸付金の増加を図るため、平
成 15 年度に制度を改正し、
貸付範囲を林業中心から林
業・木材産業に拡大したとこ
ろであり、今後、パンフレッ
トの配布及び各種会議の場
を通じて制度の広報に努め、
貸付制度の有効活用に努め
てまいります。
上記の通り、平成 22、23 年度
とも実績ゼロである。引き合
いはあるが、融資の条件をク
リアできる先が見つかってい
ない。木材価格の低迷により
返済資金のねん出が困難な場
合が多いことと、事業者の高
齢化・担い手不足による資金
需要の減少、連帯保証人の不
足につながるところが大きい
と思われる。無利息貸付であ
りながら近年の貸付実績の減
少、二年連続して実績がゼロ
という事態を県は、重く受け
止め、引き続き、制度の周知
徹底と貸付制度の有効活用に
努力すべきである。(意見)
6
基 金
H20
長崎県林業基金
(1)基金の存在意義につい
て
基金残高が小額で、本来基金
をもって実施すべき事業に
充当することができずに特
別会計への繰入ができない
状態である。確かに、県営林
第10次経営計画等で、今後
の方針を決定しているが、収
益の拡大が現実になるには
かなりの時間がかかり、達成
の可能性も不確実であるこ
とから当初の設立目的を果
たしているとは言い難いの
も事実である。今後は、コス
ト縮減に努め、収益を上げる
とともに、基金の存在意義も
検討していく必要がある。
木材価格の低迷等により、県
営林事業の収支は厳しいも
のとなっておりますが、今後
も施業の効率化や間伐材の
販売による収益増に努め、基
金積み立てができるよう収
支改善を図ってまいります。
なお、平成31年度以降は伐
採収入による基金繰入が見
込まれ、長期収支において県
営林の減収補填等に充当す
ることから、基金の存在意義
は高まるものと考えており
ます。
措置にあるように、平成 31 年
度以降の伐採収入によって基
金繰入があるとの見方が県営
林経営計画書に見られるとこ
ろである。ただし、これには
大きな前提があり、県行造林
(県が県有地以外の土地にお
いて運営する県営林)の分収
契約(正確には地上権設定契
約であるが、その契約中、県
営林を伐採して得られる収入
について、土地所有者に手数
料(分収交付金)を支払いつ
つ残額を県の収入とする条項
が定められている)が、将来
においても有効に履行されて
県の収入となることが担保さ
れていなければならない。
県は、この分収契約の相手が
既に死亡していたり、共有地
であり相続先の確定が困難で
あったり、連絡が取れないな
ど様々な状況にあり、将来分
収契約が機能しないリスクに
ついて認識はしているもの
の、その対応には相応の困難
が予想されるところである。
今後も、県は対応を進め、上
記経営計画が実現できるよう
努力する必要がある。
分収契約に関する検証結果の
詳細については、後段、別記
(No6)を参照のこと。
291
7
基 金
H20
長崎県森林整備担い手対策 今後は必要に応じて検証作
業を実施することといたし
基金
(1)基金の処分となる福利 ました。
厚生事業について
①対馬森林組合での給与台
帳について
給与実績について確認をし
たところ、A氏については、
平成19年4月∼7月分の
給与台帳と平成19年7月
∼平成20年3月分の給与
が存在し、平成19年7月分
が二重に集計されているこ
とが判明した。
補助対象経費には影響を及
ぼさない結果であったが、提
出された資料については、必
要に応じて検証を実施すべ
きである。
措置について問題はない。
基金の処分(補助金及び委託
料事務)に係る他の検証結果
については、下記「2.追加検
討した事項」を参照のこと。
8
基 金
H20
(1)基金の処分となる福利
厚生事業について
②補助対象経費とする標準
経費と当該森林組合が支払
った実行経費の確認につい
て
補助対象経費の内容の確認
が不十分であった。
今後は、支出総額の積算内訳
が解る添付書類 の整備を検
討する必要がある。
平成20年度事業からは、補
助対象経費の内容確認のた
め、支出総額の積算内訳が解
る書類の添付を行っており
ます。
特に問題はない。
9
基 金
H20
長崎県森林整備地域活動支
援基金
(1)基金活用事業の促進に
ついて
本基金は県が利用を促進す
べきものであるが、森林整備
の前段階の計画等のための
ものであるため、本基金の利
用後は、森林所有者が実際に
負担して森林を整備しなく
てはならない。この点に関し
ては、「補助金が個人財産の
形成に寄与するものである
から一定の負担を求めるの
はやむを得ない」であるが、
利用促進が困難である要因
のひとつと考える。
今後は本基金の設置目的を
実現するために、基金対象事
業の条件緩和等の見直しを
国へ働きかけ、本基金の利用
促進を図るべきであると考
える。
森林整備の補助を含め、引き
続き条件の改善・緩和を要望
するとともに、施業の団地化
や作業道整備の10割補助
制度の活用により搬出経費
の集約化を進め、間伐材の代
金を還元できるように取り
組んでまいります。
また、不在村所有者・代替わ
り所有者の確認や施業の説
明等を行う事業を実施いた
します。
特に問題はない。
国において平成 21 年 12 月に、
10 年後に木材自給率 50%以
上(平成 21 年:27%)を目指
す「森林・林業再生プラン」
が策定された。これを実現す
るために、平成 23 年度に森林
法が改正され、
「森林経営計画
制度」と「森林環境保全直接
支援事業」(従来の造林事業)
が創設され、森林経営計画内
の集約化した搬出間伐のみを
補助対象とすることで、コス
トの削減により木材の安定的
な供給と森林所有者への間伐
材収入の還元を推進する制度
となった。
本県では、森林経営計画内で
搬出間伐が出来ない森林にお
いて、将来的に搬出間伐の実
施を可能とするための除伐や
伐捨間伐に対して、
「ながさき
森林環境税事業」で、平成 24
292
年度から助成(国費と併せて
100%)することとしている。
森林整備地域活動支援交付金
制度も平成 23 年度に大きく
見直され、森林経営計画の作
成促進と施業集約化の促進に
重点化された。平成 24 年度か
ら本格的に森林経営計画制度
が開始されることから、この
交付金を活用し、森林経営計
画を作成し、集約化施業を実
施するよう林業事業体等を指
導している。
なお、ながさき森林環境税の
導入や国からのさらなる助成
も見込まれており、ここ数年
は予算が十分に確保される状
態にある。
10
基 金
H20
ながさき森林環境基金
(1)「補助金実績書」の記
載事項について
ながさき水源の森緊急整備
で、雲仙森林組合からの「補
助金実績書」に関して、間伐
率が30%以上であれば補
助金に影響しないため、成立
本数、間伐本数とも実態と整
合しない報告がなされてい
た。その他の組合でも、間伐
率が30%以上のものにつ
いては全て30%としてい
るところもあり、実態を正し
く反映していない。補助金の
影響に関わらず、正しい報告
をするよう、指導する必要が
ある。
「実績報告書」の間伐率につ 特に問題はない。
いては、補助単価の判断基準
として記載するもので、平成
21年度から「補助率区分」
(間伐率30%以上の場合は
「A」、間伐率30%未満の場
合は「B」)に改めました。
なお、間伐率の実績数値につ
いては、検査調書に記載させ
ることで、把握をしておりま
す。
11
基 金
H20
ながさき森林環境基金
(2)契約手続の不備事項に
ついて
水源の森緊急整備事業の要
件として、事業主体と森林所
有者の協定の締結があるが、
協定書を確認したところ、契
約当事者は甲と乙であるに
もかかわらず、契約者ではな
い「丙と丁」の記載があった。
これは、あくまでも単純な契
約書作成上の誤りであるが、
契約書を作成する際にはチ
ェックを徹底する必要があ
る。
「協定書」の様式について
は、訂正を行い、今後は変更
後の様式を使用することと
いたしました。
293
措置の通りであるが、
「ながさ
き森林づくり緊急整備事業実
施要領第 2」にある「ながさ
き水源の森緊急整備」の実施
基準③において「別に定める
「ながさき森林環境保全事業
の実施に関する協定書(以下
「協定書」という)」」との記
載があり、ここでいう「別に
定める」は伺い定めによって
規定されている経緯がある。
明文化という意味では、別に
定めるとするよりは、協定書
を実施要領に様式として取り
込む方式が望ましい。(意見)
12
基 金
H20
ながさき森林環境基金
(3)NPO法人五島の椿と
自然を守る会(以下「NPO
法人A」という。)が行う補
助対象事業について
①平成19年度に土地代と
して15,000円が支払わ
れているが、平成20年度に
おいて、同じ団体であるNP
O法人が実施している国際
ツバキ優秀庭園認定事業に
おいては遊休地借上料は対
象外として県は経費否認し
ていることを考えると、基本
的には地代については無償
として事業を行なう事が適
当と考える。
①「ながさき県民参加の森林
づくり事業の応募の手引き」
の中で、自己所有地以外で活
動を行う場合には土地所有
者の同意を得ることと規定
していたが、地代の取扱いに
ついては定めていなかった
ため、検討の結果、採択した
ものです。
平成20年度は、県民共有の
財産である森林を社会全体
で支えていくという趣旨か
ら判断し、計上された地代の
補助については対象外とい
たしました。地代については
無償提供とする旨を、同手引
書において明文化いたしま
した。
手引きにおいて明文化してい
るが、本来は実施要領におい
ても明文化するべきである。
(意見)
13
基 金
H20
②収益事業等に係るものに
ついては、これまでも細心の
注意を払い事務を行ってい
るところですが、今後とも特
定の者への利益の帰属を目
的とする事業については認
めないことはもちろん、事業
実施年度に付随的な収入が
ある場合は、当該収入を除い
た事業費を助成対象といた
します。
本件に関しては特に問題な
い。
14
基 金
H20
ながさき森林環境基金
(3)NPO法人五島の椿と
自然を守る会(以下「NPO
法人A」という。)が行う補
助対象事業について
②収益事業に係るものにつ
いては、今後も特に細心の注
意を払い、適正な事務処理に
努めていきたいとのことで
あり、今後の公募提案型の事
業を採択する際にどのよう
な判断を下すかについて整
備しておく必要がある。
ながさき森林環境基金
(3)NPO法人五島の椿と
自然を守る会(以下「NPO
法人A」という。)が行う補
助対象事業について
③事務費に関しては本来N
PO法人自体が行う業務で
あり、通常は他の団体に事務
費を委託することは問題で
ある。NPO法人の代表が留
守することが多く、事務が回
らないとの事でやむなく事
務委託を容認しているよう
であるが、そのような理由に
よる事務の放棄はゆるされ
るべきではなく、当該NPO
法人との契約は結ぶべきで
はないと考える。
③当該団体は通常業務を行 本 件 に 関 し て は 特 に 問 題 な
いながらのボランティア活 い。
動であるため、昼間の連絡や
事務処理が滞る恐れがある
ことから、やむを得ず事務を
委託したとのことです。
当初、事務委託のケースは想
定しておらず、補助対象外と
する取り決めを行っていな
かったため、当該年度に限っ
て認めたものです。
事務委託に係る経費は望ま
しくないと判断し、平成20
年度から「補助金交付申請・
実績報告書の手引き」に当該
経費は補助対象外である旨
を明文化いたしました。
294
15
基 金
H20
16
特 会
H22
17
特 会
H22
ながさき森林環境基金
(4)社団法人長崎県林業コ
ンサルタントが行う補助対
象事業について
平成19年10月5日付け
でドロ神父記念館への入館
料900円が補助対象経費
として算入されているが、当
日の活動記録簿には、当該事
実の記載がなかった。
対象経費については、活動記
録簿との整合性も求められ
ていることから、記載を徹底
するように指導すべきであ
る。
長崎県林業改善資金特別会
計
借用証書について
平成 20 年度及び平成 21 年度
の林業・木材産業改善資金の
借用証書を検討したところ、
一部に不備が確認されたこ
とから、事務執行手続きを適
切に行うべきである。
長崎県林業改善資金特別会
計
繰越高と貸付金残高につい
て
林業・木材産業改善資金の繰
越金について、県は平成 20
年 3 月 19 日に議会議決の上、
適正残高を超える金額につ
いて自主納付を行った。平成
22 年度以降の貸付需要の拡
大への取組においても、平成
21 年度と同様厳しい実績と
なると予測されることから、
さらに適正残高を超える金
額の発生が予測される。現在
の繰越高を適正な水準とし
て維持していくためにも、今
後は、日標値を実現しうる貸
付需要の拡大のため、さらな
る有効な取組が求められる
ものと考える。
入館料は補助対象経費とし
て計上されているものの、活
動記録簿には記載が漏れて
いたため当該団体に事実を
確認し指導を行いました。活
動記録簿については、「補助
金交付申請・実績報告書の手
引き」の中で正確に記載する
よう明記しているところで
あり、今後とも適切に指導し
てまいります。
本件に関しては特に問題な
い。
借用証書の不備については、
速やかに是正いたしました。
今後は、このようなことがな
いよう十分注意し、適正な事
務の執行に努めてまいりま
す。
左記の不備の内容とは、以下
の通り。
今後も、県ホームページ(e
―農林水産ながささ)等での
積極的な情報提供を行うと
ともに、森林組合や認定事業
体等へ林業・木材産業改善資
金制度のパンフレットを配
布するなど、制度内容や本資
金の有用性を積極的に周知
し、さらなる貸付需要の拡大
に努めてまいります。
295
平成 20 年度:借用日未記入
「H21.1.27 予定」と鉛筆書き
平成 21 年度:①借用日未記入
「H21.12.4 予定」と付箋添付、
②日付は鉛筆書き
これらは是正されていたもの
の、借受人に記入させた形跡
が確認できなかった。
本来は債務者によって訂正・
修正させるべきであり、その
記録も整備しておかなけれ
ば、措置をしたとは言えない。
(意見)
平成 22、23 年度とも貸付実績
ゼロである。引き合いはある
が、融資の条件をクリアでき
る先が見つかっていない。無
利息貸付でありながら近年の
貸付実績の減少、二年連続し
て実績がゼロという事態を県
は、重く受け止め、引き続き
制度の周知徹底と貸付制度の
有効活用に努力すべきであ
る。(意見)
18
特 会
H22
長崎県林業改善資金特別会 貸付の状況に応じ、業務勘定
残高の適正な維持に努めて
計
まいります。
業務勘定の残高について
繰越高と貸付金残高につい
て長崎県林業改善資金特別
会計は、貸付勘定と業務勘定
からなるが、現在、貸付残高
の減少に伴い、歳出である委
託料が減少し、歳入である受
取利息を下回っているため、
一般会計からの繰入がなく
ても、業務勘定残高は増加す
る傾向にある。今後は、業務
勘定残高が増えすぎず、適正
残高となるよう留意する必
要がある。
上述のとおり、制度の利用向
上がこの問題の解決につなが
ると考える。引き続き制度の
周知徹底と貸付制度の有効活
用に努力すべきである。(意
見)
19
特 会
H22
長崎県林業改善資金特別会
計
延滞先についての管理につ
いて
長崎県林業・木材産業改善資
金貸付金の償還につき、概ね
3 ヶ月以内の遅れについて、
文書での記録が残っていな
いケースが確認された。延滞
の解消には、償還日に遅れた
時点での速やかな対応が重
要であることから、より厳格
なルールの適用が必要と考
える。
収納事務委託機関である森
林組合連合会及び木材協同
組合連合会に対して、同資金
貸付事務取扱要領及び滞納
者督促マニュアルに基づき
文書督促等の措置を適正に
行うよう指導してまいりま
す。
収納事務委託機関である森林
組合連合会及び木材協同組合
連合会と連携し、同資金貸付
事務取扱要領及び滞納者督促
マニュアルに基づき債権管理
をおこなっており、特に問題
はない。
296
20
21
特 会
H22
特 会
H22
長崎県林業改善資金特別会
計
委託機関の受取利息につい
て
「林業・木材産業改善資金事
務委託契約書」によると、委
託先はやむを得ない事情に
より貸付金及び償還金の即
日送金が実施できない場合、
運用利子を県に支払う必要
あるが、実施されていないこ
とから、金額的には少額であ
るが、契約通りに行う必要が
ある。
また、事務委託機関における
林業・木材産業改善資金の銀
行口座については、事務委託
契約に基づき専用口座とし
ているが、事務委託機関の取
引先が誤って当該専用口座
に当資金に係る貸付金及び
償還金等以タトの資金を振
り込まれる場合がある。当該
専用口座の目的に則った適
切な口座使用について指導
を行う必要がある。
さらに、長崎県木材協同組合
連合会の場合、入金確認が遅
れ、結果として県への支払が
遅れる場合があるとのこと
であつた。入金確認を適時に
行う方法を検討していく必
要がある。
長崎県県営林特別会計
分収交付金について
長崎県県営林特別会計にお
ける消費税の計算方法によ
り、分収交付金の計算が異な
る結果となることが確認さ
れた。
あるべき分収交付金の額が、
支出された分収交付金の額
より少なくなると考えるこ
とから、検討を要する。
収納事務委託機関に対して、
運用利子の管理及び県への
支払いについて契約に基づ
き適正に行うよう指導して
いくとともに、取引先に対し
ても協力して当資金の専用
口座に貸付金及び償還金以
外の資金が振り込まれない
よう指導徹底してまいりま
す。
また、長崎県木材協同組合連
合会に対しては、償還時期に
おける借入者からの振込み
連絡ならびに速やかな入金
確認を指導しているところ
です。
今後は、県への入金も速やか
に行うよう連絡を密にし、適
正な事務の執行に努めてま
いります。
利息の県への支払いは事案と
しては生じているものの、措
置の実績として行われていな
い。
長崎税務署(法人課税課)に
取り扱いを確認した結果、税
法上、分収交付金は支払手数
料と捉えるため、分収金から
消費税分を差引いて支出す
ることは支払手数料に係る
消費税まで差引くことにな
り問題があり、総収入におけ
る県分収割合分を課税売上
(=課税標準額)として消費税
の確定申告を行い、契約者分
収金は総収入における分収
割合分を支出するよう指導
を受けました。平成 22 年度
からは長崎税務署の指導を
踏まえ処理を行っておりま
す。
特に問題ない。
専用口座の開設も平成 24 年
度になって対応されている。
入金確認の遅れによる長崎県
木材協同組合連合会から県口
座への振込遅延についても、
県は検証していない。本来は
遅延利息の発生事由であるか
ら、適切に管理し指導するべ
きであるが、これもできてい
ない。
監査結果については尊重すべ
きであり早急に対応すべきで
あり、措置に偽りがあっては
ならない。(指摘)
別記(No6)県行造林にかかる分収契約に関する現状と問題点について<追記>
①
県行造林の分収契約の概要
県営林については、県有地に植林する場合(県有林)と、本件のように県有林以外の土
297
地(他の地方公共団体や民間所有の土地)に植林する場合(県行造林)がある。かつては
県が植林した立木が県の財源や地域振興策として注目を集め、特に昭和 30 年から 40 年代
にかけて、県での造林拡大、林業公社の設立などが行われていた。現在では、県有林 735.66
ヘクタールと県行造林 4,863.25 ヘクタールの合計 5,598.91 ヘクタールとなっており、そ
の多く(約 86.9%)を県行造林が占めているため、今後の県の収入見通しは、県行造林の
分収契約にかかっている。つまり、県営林特別会計とその中に造成されている長崎県林業
基金の将来計画の達成については、分収契約による収入の実現如何に左右され、高齢化の
進む契約者との契約更新が確実に行われていなければ、見込まれる収入は実現できない(な
お、契約相手が既に死亡していたり、共有地であり相続先の確定が困難であったり、連絡
が取れないなど、分収金交付者が特定できないといった事案が発生した場合であっても、
伐採事業を実施して木材を販売し、契約者への分収金は供託して県分収金を得ることは可
能とのことであるが、供託という手段の適用の幅は広いものではない)。
②
分収契約の更新作業の状況について(意見)
県行造林の分収契約は 380 件、346 先であるが、この件数の中には更に共有地や相続発生
により契約者が更に増える場合があり、これを考慮すると契約者数としては、726 人(団体
あり)となる。しかも、現在調査中であり、また時間の経過とともに相続が発生すれば、
この対象人数は更に増加すると見込まれている。
また、当初の地上権の期間は 50 年であることから、昭和 30 年から 40 年代の契約につい
て期限が迫っている状況にもあるため、順次契約更新する必要もある。これは、約 10 年後
にピークを迎える伐採樹齢に対応する必要がある面からも言えることである。
このような状況において、林政課の対策は以下のように講じられている。
県営林第 11 次経営計画の長期収支見込みの実現を担保すべく、分収契約の更新計画のも
と専属の嘱託員が対応にあたっている。平成 24 年度現在で、変更契約件数の達成率は約 5
割、変更契約面積は約 7 割という状況である。
また、残存した契約の変更処理の難易度を、難しい方からA,B,Cに分類し、それぞ
れの案件の抱える問題を整理している。しかしながら、最も難易度が低いCであっても、
問い合わせに回答があって契約変更に同意している先、若しくは相続後承認可能であって
も、個々にはそれなりの時間がかかる内容であり、37 件、権利者数 53 人が把握されている。
また、Bは、問い合わせに対し回答がないか、契約更新に同意しないと回答した先が 74 件、
権利者数 106 人である。更に難易度Aにいたっては、行方不明、共有地、相続困難など極
めて対応が難しい案件であり、30 件、権利者数 628 人と整理されている。計画の実現のた
めに県の一層の尽力を求めたい。
③
契約書の現物照合管理について(意見)
分収契約を謳っている地上権の契約書については、毎年度、一定日を棚卸日として、台
298
帳と照合する手続きを行うべきである。
なお現在は、契約書をファイル 24 冊に綴り施錠された書棚に保管しており、そのファイ
ル及び契約書には連番を付し、県営林登記一覧表との整合とデータ管理による管理を行っ
ており、契約の一部解除や変更契約(契約期間、契約者、国調による)に際しては、当初
契約書から一連書類の確認を行っている。また、契約相手方の契約書紛失に伴い副本申請
があった場合は、県保有契約書を確認するとともに、契約者確認のために住民票を取得す
る際も契約書の写しを必要とするため、契約書の確認自体は頻繁に行われている状況にあ
り、管理は行き届いていると思われる。
とはいえ、棚卸手続の有効性・重要性については認識するべきであり、必要ないと排除
されるものではない。本事業は、今後も長期にわたって継続していくが、担当者等も随時
変わるところであるので、棚卸をルール化して時の経過や環境の変化に抗する管理手法導
入することが、後のトラブルを未然に防止に有効であると考える。
2.追加検討した事項
(1)林業開発促進資金貸付金について
①
概要
公益社団法人長崎県林業公社に対し、山林経営事業の運営のため必要な資金を貸し付け、
事業の円滑な運営と育成助長を図り、県下の林業開発を促進するための貸付金である。
財源は県費であり、長崎県林業開発促進資金貸付条例が根拠条例となっている。
貸付金の推移としては以下の通り。
年度
平成 13 年度
平成 14 年度
平成 15 年度
平成 16 年度
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
平成 20 年度
平成 21 年度
平成 22 年度
平成 23 年度
②
貸付額(千円)
412,595
357,668
357,575
354,359
287,517
148,370
155,401
143,678
127,019
253,360
248,478
償還額(千円)
5,553
9,286
7,055
0
0
0
0
0
0
0
0
貸付残高(円)
18,643,691
18,992,073
19,342,593
19,696,952
19,984,469
20,132,839
20,288,240
20,431,918
20,558,937
20,812,297
21,060,775
借用証書について(指摘)
借用書の様式については長崎県林業開発促進資金貸付条例施行規則に定められており、
「元利金の償還方法」の「償還種別」の欄に一時償還か分割償還かの選択が示されている
が、近年は選択がなされていない。また、借用証書自体の日付の記入欄がないため、契約
の締結がいつであったのか明示されていない(適時に作成されているか明らかではない)。
299
様式の見直しが必要である。
(2)森林組合事業資金貸付金について
①
森林組合等事業資金貸付要綱に定める様式との相違について(指摘)
要綱第 7 条にある借用証書様式(第 5 号の 2)に定める内容と、実際に作成されている借
用書と、一部内容が相違している。作成にあたっては様式を順守するべきである。
ア.様式では「森林組合等事業資金借用証書」のはずが、「森林組合等事業資金借用書」
になっている
イ.貸付決定年月日と貸付決定番号の枠線の引き方が様式と異なる
ウ.様式にはないはずの「借入者の住所」以下、項目に付番がなされている
エ.「借入金額の欄」に記入するはずの「也」がない
オ.「利息の支払方法」の「払い」が「払」となっている
カ.「借入者」「住所」
「氏名」が記載されていない
②
連帯保証人の記名、印鑑証明のあり方について(意見)
保証人の保証意思の確認という観点からは、記名よりも署名がよいと思われる。また押
印された印鑑の印鑑証明も徴取するべきである。
③
違約金の規定について(意見)
本来、違約金についての規定は、森林組合等事業資金貸付要綱において条項を設けるべ
きであるが、現状は、同要綱第 7 条にある借用証書(様式第 5 号の 2)の「特約条項」の中
で違約金の取決めを記している。要綱に規定して、それを特約条項に再度記載するのが適
切な方法と考える。
(3)長崎県林業改善資金特別会計(林業改善資金貸付金)について
①
制度概要等
概
林業従事者等が林業経営の改善または林業労働に係る労働災害の防止もしくは
林業労働に従事する者の確保を目的として新たなる林業部門の経営を開始し、林産
物の新たな生産若しくは販売の方式を導入し、または林業労働に係る安全衛生施設
もしくは林業労働に従事する者の福利厚生施設を導入することを支援するため、林
業改善資金を貸し付ける。
要
財
源
根拠法令
対象事業
林業・木材産業改善資金(国費 2/3、県費 1/3 の割合)
林業・木材産業改善資金助成法
①新たな林業部門の経営の開始
②新たな木材産業部門の経営の開始
③林産物の新たな生産方式の導入
④林産物の新たな販売方式の導入
⑤林業労働に係る安全衛生施設の導入
⑥林業労働に従事する者の福利厚生施設の導入
300
対象事業者 林業従事者等
貸付条件
利
率:無利子
貸付限度額:個人 1,500 万円、会社 3,000 万円(木材産業分野 1 億円)
償 還 期 間:10 年以内(うち据置期間 3 年以内)
担保、保証:長崎県が相当と認める担保を提供又は連帯保証人を立てる
貸付金の推移
年度
(単位:千円)
貸付額
償還額
貸付残高
貸付件数
平成 13 年度
27,348
13,424
13,924
5件
平成 14 年度
11,700
7,273
4,427
5件
平成 15 年度
11,830
11,830
0
3件
平成 16 年度
18,920
17,733
1,187
5件
平成 17 年度
1,100
1,100
0
1件
平成 18 年度
12,190
9,840
2,350
3件
平成 19 年度
16,308
13,052
3,256
5件
平成 20 年度
1,880
1,124
756
2件
平成 21 年度
3,440
1,376
2,064
2件
平成 22 年度
0
0件
平成 23 年度
0
0件
平成 15 年度に制度改正
(林業改善資金(高度化、労働、青年林業者各資金)→林業・木材産業改善資金)
②
長崎県林業・木材産業改善資金借用証書特約条項に定める違約金の割合について(意
見)
長崎県林業・木材産業改善資金借用証書特約条項には以下のように定められている。
特約条項
(違約金)
第6条
乙は、支払期日に償還金を支払わなかった場合又は甲の指定する支払期日に第1条の規定によ
り期限前償還すべき金額を支払わなかった場合には、延滞金額につき年 12.25 パーセントの割合をもっ
て支払期日の翌日から支払当日までの日数により計算した延滞に係る違約金を甲に支払う。
2
(略)
3
甲(県)は、第1条第1号、第3号、第4号又は第 10 号に該当したこと(故意の場合に限る。
)を
理由として甲から期限前償還の請求を受けたときは、当該請求に係る貸付金の貸付の日から期限前償還
金の支払いの日までの日数に応じ当該請求に係る貸付金の貸付の日から期限前償還金の支払の日まで
の日数に応じ当該請求に係る貸付金の額につき年 8.25 パーセントの割合で計算した期限前償還の請求
に係る違約金を併せて支払うものとする。
※甲(県)と、下線は筆者による。
通常の場合の違約金(支払期日超過事案)については、林業・木材産業改善資金助成法
301
を根拠とする 12.25%の割合による違約金が課されるが、第 6 条第 3 項では、12.25%に加
えて 8.25%の割合(つまり 20.5%)の違約金が課される場合があることを規定している。
第 6 条第 3 項は、期限前償還という異例の事態が前提ではあるが、20.5%という高率の違
約金を課すことが自治体の行う事業のあり方として妥当性を有するか、再度検討するべき
ではないかと考える。自治体の課する違約金の位置づけは、本来、償還を確実に履行させ
るための経済的抑止効果を期待してのものであるはずであるからである。
③
借用証書特約条項の文面不備について(指摘)
第 14 条(合意管轄)について、訴訟を所管する裁判所の指定を個別に記載するべきとこ
ろ、国が示した規程(ひな型)の様式をそのまま転載しており「○○○○又は○○○○を
所管する裁判所を所轄裁判所とすることに合意する。」となっている。遠方での裁判所での
開廷による過剰な費用負担を回避するための条項であるので適切な文面に修正する必要が
ある。
④
長崎県林業・木材産業改善資金事務取扱要領の不備について(指摘)
当事務取扱要領に誤字や送り仮名の不統一、付番の規則性の喪失等不備が見られるため、
内容を精査し、不備を是正されたい。
また、第 9(直貸方式による連帯保証人及び担保)の第 2 項の記述については、読み手に
取って理解しづらい内容であるから、文章構成を見直すとともに、「留意して」や「原則と
して」などの曖昧さの残らないよう見直すべきと思われる(連帯保証人などの保全は確実
に行うべきものであるため)。
⑤
借受人及び連帯保証人の金額基準による信用調査実施可否のあり方について(意見)
上記事務取扱要領では、貸付金額 100 万円未満ならば信用調査は不要、100 万円以上から
300 万円未満では申請者(借受人)のみ、300 万円以上は申請者及び連帯保証人を信用調査
するとなっているが、当該貸付金については、貸付件数も僅かしかなく、貸付金額の多寡
により最も重要な信用調査を省略することは妥当とは言えず、この金額基準の撤廃を検討
すべきである。
⑥
借用証書の形式の見直しについて(意見)
借用証書の形式や証書の文面への記入が分かりづらく、更に訂正線等の記入押印などの
面倒な手当てが本来必要なところ、その処理がなされていない。利用者にとって非常にわ
かりづらい文面であり、利便性の向上のためにも様式の見直しは早急に行うべきである。
様式では、「元金は、
以後
年
月
年
月
日までを据置き、
日を最終日として、毎年
年
月
月
日、 年
あて償還する。」となっているが、据置がない場合は「
302
年
年
日を初回とし金
円、
月
日、
・・・に毎回金
円
月
日までを据置き、」を二
重線と訂正印を押印しなければならないし、償還条件によって「、
年
月
日、・・・」
も同様に訂正する場合もある。
⑦
林業・木材産業改善資金事業実施報告書の事業着工年月日の不備について(指摘)
事業実施報告書の事業着工年月日に記された日付が、貸付資金の交付日以前である例が
見られた。いわゆる期限前着工になってしまうのだが、検出された案件はいずれも作業用
機械の購入資金であったので、納品日が妥当と考える。事前の申請作業なども事業と考え
て誤った日付を記入したものと思われるが、記入間違いは県で気づくべきであったと考え
る。
(4)長崎県森林整備担い手対策基金について
①
概要について
基金名称
長崎県森林整備担い手対策基金
設置目的等
地域森林整備担い手対策の推進を図るため、長崎県森林整備担い手対策基金
(以下「基金」という。)を設置し、林業労働者の技術・技能の向上、労働安
全衛生及び福利厚生の充実などの対策の実施の財源に充当する。
根 拠 条 例
長崎県森林整備担い手対策基金条例
基金の推移
年度
(単位:千円)
積立額
取崩額
年度末残
年度
積立額
取崩額
年度末残
平成 5
500,000
−
500,000
平成 15
15,000
985,000
平成 6
250,000
−
750,000
平成 16
12,783
972,217
平成 7
100,000
−
850,000
平成 17
13,981
958,235
平成 8
80,000
−
930,000
平成 18
12,929
945,306
平成 9
70,000
−
1,000,000
平成 19
24,894
920,411
19,548
900,863
23,926
892,196
平成 10
−
−
1,000,000
平成 20
平成 11
−
−
1,000,000
平成 21
平成 12
−
−
1,000,000
平成 22
28,794
863,401
平成 13
−
−
1,000,000
平成 23
32,585
830,815
平成 14
−
−
1,000,000
15,260
※基金造成は一般財源で実施(交付税措置あり)
平成 23 年度、当該基金の処分として一般会計において、ながさき森林づくり担い手対策
事業に係る委託契約が 5 契約、合計 9,392,500 円(支出済額)と、同補助事業が 4 件、合
計 24,351,050 円が支出されている。
303
以下、②及び③は委託契約の案件について、④は補助金の案件についての検出事項であ
る。
②
ながさき森林づくり担い手対策事業(高効率生産システム実証研修事業)委託につい
て
当該契約は、平成 21 年度から始まった事業で、平成 23 年度で 3 度目の発注で、通算 3
年目となる。契約相手は(社)長崎県林業協会であり、委任による随意契約である。
当該委託契約については、以下の問題があり、非常にわかりづらい事務となっている。
ア.委託契約の内容が不明確である(指摘)
当該事業は、先駆的事業体から講師を招聘し、県内の各地域にマッチした林業生産シス
テムの改善と効率化の検討及び実践研修を行い、低コスト高効率システムの設定・管理の
できる経営感覚に優れたリーダーの養成を図ることを目的としている。
委託契約書において、委託業務の内容が具体的に示されていないため、実際に行われた事
業との関連性がはっきりしていない。
平成 21 年度は、集合研修と現場研修及び作業日報データの収集を実施している。
平成 22 年度は、集合研修と現場研修及び作業日報データの収集に加え、作業日報管理シ
ステムの開発を実施している。
平成 23 年度は、集合研修において、作業日報管理システムの操作研修を実施し、現場研
修及び作業日報データの収集を実施している。
各年度の作業日報データの収集と平成 22 年度の作業日報管理システムの開発については、
委託契約書上、委託内容として示されていないうえ、どのような作業内容であったのかも
それぞれの年度の原義を見ても読み取ることができない。
更に、作業日報管理システムの開発については、再委託に該当するが、承諾を求める書
面での手続きが行われておらず、(社)長崎県林業協会での委託契約の際の複数者見積りも
行われていない。また、委託契約書の再委託の禁止の条項が、簡素な記載となっており、
条文の見直しが必要である。
当該事業の実施は、非常にわかりづらいものとなってしまっており、再発の防止をする
べきである。
イ.変更契約を締結するべきところこれがなされていない(指摘)
本来、平成 22 年度の契約において、委託内容が大きく変化した際、変更契約を締結する
べきであったと思われるが、それがなされていない。このため、当初積算と事業内容が大
きく変化しており、積算資料の妥当性が損なわれている。
304
③
ながさき森林づくり担い手対策事業(森林施業プランナー養成事業)委託業務につい
て
ア.完了検査が不十分である点について(意見)
完了検査が不十分で、事業実績に対し、人件費が異常に多額でありながらその理由を検
証していない。事業は、森林施業プランナー養成事業として集合研修及び個別指導が行わ
れており、平成 23 年 12 月 15 日に壱岐で、平成 24 年 3 月 13 日から 14 日にかけて県内 6
か所で実施され、参加者数は 15 名であった。この事業の受託先である(社)長崎県林業協
会が人件費として経費精算した金額は、委託料全体の金額が 848,000 円に対し、307,000 円
である。
この人件費と講師謝金や旅費とは精算時の報告書類である「経費取りまとめ」において
別科目扱いであり、林業協会の職員の人件費相当額として請求した金額である。
この人件費の内容を見てみると、およそ事業実績とは不釣り合いな作業日数が少なくと
も 4 日分 4 万円が含まれていたり、一日で終了した壱岐の研修会に、講師とは別に職員が
二人で 3 日分(つまり延べ 6 日分)72,000 円が含まれ、必然性に納得のいかないものも含
まれていたりと、林業協会へ委託された他の契約における人件費の内訳とすると均衡の取
れていない人件費請求内容が見られる。
完了検査は、先方の資料をただ突き合わせるだけでなく、他の事業との比較や、常識的
に納得のいかない内容になっていないかどうか、厳格に検証するべきである。
④
ながさき森林づくり担い手対策事業補助金(福利厚生事業)
ア.就労日数条件に満たない者への補助金の支出について(指摘)
森林組合が直接雇用する作業員の社会保険制度等への加入を促進するために、森林組合
の事業主負担分の経費の補助を行う市町等に対し、県もその経費の 1/3 以内を補助してい
る。
補助対象となる作業員については年間就労日数が 180 日以上である者とされているが、
佐世保市(北松森林組合分)に対する補助金 512,010 円のうち 88,593 円及び松浦市(松浦
森林組合分)に対する補助金 522,760 円のうち 54,190 円については、中途退職により就労
日数が 180 日未満の作業員に対する支出であった。これら合計 142,783 円については補助
対象外の支出と思われるので、中途退職者を補助対象とするのであれば、要綱・要領の見
直しが必要である。
イ.補助要綱の見直しについて(指摘)
補助要綱では市町等が県の補助金と合わせて事業費の 2/3 を下らない補助を行う場合に
おいて市町等に対して補助する旨を規定しているが、要領において補助対象経費について
は別途定める標準経費と森林組合が支払った実行経費のうちいずれか低い額とすると規定
305
しており、実際に標準経費を採用した場合には市町等の補助額が事業費の 2/3 を下回るこ
ととなり、要綱との整合性がとれていない。要綱の整備が必要である。
(5)ながさき森林環境基金について
①
概要について
設置目的等
すべての県民が享受している県土の保全、水源のかん養その他の森林の有する多面
的かつ公益的な機能の重要性にかんがみ、森林環境の保全及び森林をすべての県民
で守り育てる意識づくりを図る施策に要する費用に充てるため、地方自治法(昭和
22 年法律第 67 号)第 241 条第1項の規定に基づき、ながさき森林環境基金(以下
「基金」という。)を設置する。
根 拠 条 例
ながさき森林環境基金条例
基金の推移
年度
(単位:千円)
期首残高
積立額
取崩額
年度末残高
平成 19 年度
0
278,632
173,409
105,222
平成 20 年度
105,222
367,435
204,698
267,960
平成 21 年度
267,960
367,770
248,171
387,559
平成 22 年度
387,559
365,806
334,499
418,867
平成 23 年度
418,867
334,885
481,244
272,508
①ながさき森林環境税を基金に積み立てる。
②基金を適切に運用する。
③ながさき森林環境保全事業にかかる必要額を基金から拠出する。
平成 23 年度、当該基金の処分として一般会計において、補助事業が 8 件、合計 399,000,739
円が支出されている。
②
問題点について
ア.要綱・要領の齟齬について(意見)
「ながさき森林環境保全事業補助金実施要綱」及び「ながさき森林づくり緊急整備事業
実施要領」で準用すると規定されている「長崎県造林事業補助金実施要綱」、「長崎県造林
補助事業実施要領」の条文番号が実際の条文番号と異なっていたり、文言で齟齬が生じて
いる箇所が散見された。
イ.ながさき森林環境保全事業補助金(水源の森緊急整備)の対象経費の算定について(意
見)
補助金の額を算定する際の諸経費等の補助対象経費の算定については、ながさき森林環
境保全事業補助金算定書の様式によるものすると要領に規定されているが、それら様式に
表記されている事項の参照だけでは算定するに不十分と考える。
306
ウ.ながさき森林環境保全事業補助金(侵入竹林整備)の対象経費の算定について(意見)
ながさき森林環境保全事業補助金(水源の森緊急整備)の項に同じである。
エ.ながさき森林環境保全事業補助金(風倒被害緊急整備)の対象経費の算定について(意
見)
ながさき森林環境保全事業補助金(水源の森緊急整備)の項に同じである。
307
Ⅱ-23
農業経営課
1.措置状況と検証結果
No
1
テーマ
年度
貸付金
H16
監査の結果
(9)農業改良資金貸付金
(生産方式改善資金)
ウ.指摘事項
(ア)A 氏に対する貸付につ
いて
平成 5 年 3 月に 2,500 千円
の貸付を行ったが、2,120
千円が延滞となっている。
貸付書類を査閲した結果、
貸付に当って返済原資や財
務面についての記述がな
く、また、借入者の税務申
告書、所得証明、決算書等
の徴収が行われておらず、
返済能力の担保については
農協長の「信用度上」の意
見のみに依拠しており、債
権保全の見地からの検討が
十分に行われたという心証
は得られなかった。
・借入者は負債整理の名目
で 7,000 千円を借り入れ
ていることから、より慎重
に検討すべきであったにも
かかわらず、財務上の検討
結果に基づかない安易な貸
付を行ったことによって、
貸付直後の早期延滞金発生
になったものと考えられ
る。
・連帯保証人についても、
所得証明等の資料による保
証能力の確認を怠っている
など、連帯保証人の設定に
ついて不備が見られる。
・今後の回収可能性を検討
し、条件が整い次第不納欠
損処理によって処理する等
の措置を講じ、財務数値の
適正化に努めることが必要
である。
措置
検証結果
今後も引き続き、市町村、農 ・平成 22 年 10 月から農業改
業協同組合等関係機関と一体 良資金の貸付主体が長崎県
となって、連帯保証人を含め から日本政策金融公庫に移
文書及び現地催告を行うなど 管されたため、同制度により
今後の回収可能性を検討する 県が新たに貸付けを行うこ
とともに、条件が整い次第不 とはなくなっている。
納欠損処理を行い財政数値の
適正化に努めてまいります。
なお、今でも貸付資格の認定
事務は県が行っているが、貸
付対象者及び連帯保証人の
資力の判定は日本政策金融
公庫、農協等金融機関が主体
である。
・平成 19 年 3 月に1件不納
欠損処分(金額:1,890,000
円)が行われ、それ以後、不
納欠損処分は行われてない。
・平成 24 年 11 月 8 日付けで
「未収金対策検討会議」にお
ける検討を踏まえて策定さ
れた「権利の放棄に関する議
決を求める基準」に基づき、
権利の放棄の議決を求める
要件に該当するものについ
ては、債権放棄手続きを行う
ことになるとの事である。
308
2
貸付金
H16
(9)農業改良資金貸付金
(生産方式改善資金)
エ.意見
(ア)償還方法及び期日につ
いて
償還方法は均等年賦及び均
等半年賦が選択できるが、
均等半年賦を選択した場
合、貸付規程に定められた
返済期日は 6 月、12 月の組
み合わせか、または 7 月、1
月の組み合わせによる 2 方
法の選択肢しか用意されて
いない。
・返済原資は、一般的には
年間の所得であることか
ら、均等半年賦の要望は少
ないと思われるが、多様な
償還方法の選択肢を用意す
ることが望ましい。
・借入金の返済状況によっ
て借り手の財政状況の変化
をいち早く掴み、対処する
ために、現在の均等年賦や
均等半年賦の返済方法以外
に均等月次返済の導入を図
ることが望まれる。
・農業という事業形態から
導入に困難な面はあると思
われるが、顧客情報の早期
把握の観点から、地域の「農
業改良普及センター」との
連携強化を含め検討される
ことを望みたい。
・本意見は他の農業改良資
金貸付金である「特定地域
新部門導入資金」、「農家生
活改善資金」、「青年農業者
等育成確保資金」及び「農
業改良措置」においても同
様である。
本件のご意見を踏まえて、平
成 17 年度中に県農業改良資
金貸付規程の一部改正を行
い、本県農業の実情に則した
返済期日等の変更を行いま
す。
309
18 年 4 月 1 日以降の貸付金
から下記のように償還方法
を改正して、利用者の利便を
図っている。
長崎県農業改良資金貸付規
程(平成 18 年 10 月 13 日 長
崎県規則第 49 条)
(農業者等に対する貸付条
件等)
第3条 4項
貸付金の償還方法は、均等
年賦又は均等半年年賦とし、
その償還期日は、6 月から 11
月までの各月末日及び 12 月
から 3 月までの各月 20 日と
する。
(認定中小企業者又は認定
製造事業者等に対する貸付
条件等)
第4条 4項
貸付金の償還方法は、均等
年賦又は均等半年年賦とし、
その償還期日は、6 月から 11
月までの各月末日及び 12 月
から 3 月までの各月 20 日と
する。
3
貸付金
H16
(10)農業改良資金貸付
金(青年農業者等育成確保
資金)
平成 6 年 11 月に 12,000 千
円の貸付を行ったが、8,161
千円が延滞となっている。
貸付書類を査閲したが、返
済原資や財務上の検討が不
十分であった。政策的意味
合いが強い性格の融資に
当たっては、現状の客観的
分析に基づく確実性の高い
計画をいかに策定できるか
が成否を左右することとな
るため、提出された将来計
画に対し専門的見地からの
チェックと実現可能性につ
いて検証することが必要で
あったにもかかわらず、十
分に行われたという心証は
得られなかった。
・今後の回収可能性を検討
し、条件が整い次第、不納
欠損処理によって処理する
等の措置を講じ、財務数値
の適正化に努めることが望
まれる。
・農業改良資金全体に共通
する事項であるが、県が直
轄事業として行う融資事業
は、政策判断のほか、制度
設計、審査、貸出、保証、
回収等の各機能が求めら
れ、かつ債権の保全に慎重
を期すべきことから、審査
には十分な経験と知識を必
要とするが、県独自で行う
には、人材やノウハウの面
で十分でないと言わざるを
得ない。どちらかといえば
相反する面がある政策判断
と財務評価は、同一部署で
行うべきではなく、機能を
分離することが望まれる。
・今後も引き続き、市町村、
農業協同組合等関係機関と一
体となって、連帯保証人を含
め文書及び現地催告を行うな
ど今後の回収可能性を検討す
るとともに、条件が整い次第
不納欠損処理を行い財政数値
の適正化に努めてまいりま
す。
・政策判断と財務評価は、同
一部署で行うべきではなく、
機能を分離することが望まれ
るとの指摘については、現在、
県、地元市町、普及センター、
金融機関がそれぞれの立場か
ら「金融機関の判断資料」、
「税
務申告書」、「経営実績」、「計
画の実現性」等の資料に基づ
き協議を行い、貸付審査を技
術及び財務の両面から行って
おります。
さらに、転貸方式による貸付
を推進することにより、民間
保証機関である農業信用基金
協会の財務上の判断を活用し
て貸付審査を行ってまいりま
す。
310
平成 22 年 10 月から農業改良
資金の貸付主体が長崎県か
ら日本政策金融公庫に移管
されたため、同制度により県
が新たに貸付けを行うこと
はなくなっている。
なお、今でも貸付資格の認定
事務は県が行っているが、貸
付対象者及び連帯保証人の
資力の判定は日本政策金融
公庫、農協等金融機関が主体
である。
4
貸付金
H16
(5)就農支援資金県貸付
金:青年農業者育成センタ
ー等(ソフト資金)
ウ.意見
(ア)延滞債権について
担い手基金から認定就農者
に対する貸付金のうち 1
名(1,500 千円)について
延滞が発生している。担い
手基金において回収不能債
権が発生することは、県に
対する償還が滞ることに繋
がると考えられるため、今
後適切な債権管理が望まれ
るところである。
借受者の農業経営開始後のフ
ォローアップや、延滞者やそ
の恐れのある者への経営改善
指導など、回収不能債権の発
生防止に努めてまいります。
5
貸付金
H16
(5)就農支援資金県貸付
金:青年農業者育成センタ
ー等(ソフト資金)
ウ.意見
(イ)就農支援資金の貸付実
績について
担い手基金から認定就農者
に対する貸付実績は、平成
10 年度をピークに年々減
少している。新規就農者に
とっては、借入負担をでき
る限り抑えることが必要と
いうことで、貸付件数が減
少しているという県の説明
であるが、貸付実績が減少
する中で技術の習得、営農
開始等が実質的に行われて
いるのか等を含めて対応策
を検討することが必要と考
える。
認定就農者がスムーズに就農
できるよう技術の習得や施設
整備を含めた資金計画等総合
的に支援していく視点で貸付
を行い、営農開始後のフォロ
ーアップを充実してまいりま
す。
(6)就農支援資金県貸付
金:就農支援資金(ハード
資金)
ウ.意見
(ア)延滞債権について
ハード資金については、農
協等からの転貸であり、農
業信用基金協会の債務保証
契約等が制度化されている
ため、回収不能債権の発生
の可能性は低いが、今後と
も審査内容の充実等適切な
債権管理が望まれるところ
である。
貸付にあたり、資金利用計画
の審査の充実・強化並びに審
査の円滑な実施のため、関係
機関による事前検討会を開催
するなど審査体制の見直しを
平成 17 年度から行っており
さらに適正な貸付審査に努め
てまいります。
6
貸付金
H16
311
借受人へは就農後も振興局
と課が連携して経営・技術指
導を行っており、農業経営の
健全化に向け助言して回収
不能債権の発生防止に努め
ているところである。平成
23 年度末で、当該貸付全体
と し て 147 件 、 貸 付 残 高
110,734 千円、うち延滞債権
は、10 名 12 件、9,010 千円
(償還期日未到来を含める
と 13,225 千円となる)
、平成
23 年度新規発生した延滞債
権は 350 千円である。
この延滞債権中、分納もなく
回収見込みのない債権は、2
件 2,905 千円となっている。
貸出件数の推移は、以下の通
りで、監査当時(H16 年度
では 12 件 16,800 千円)より
も更に減少傾向が続いてい
る状況にある。
平成 21 年 10 件 12,000 千円
平成 22 年 8 件 9,400 千円
平成 23 年 6 件 7,000 千円
県HP(農業経営課HP)と
ともに、平成 24 年 9 月に担
い手基金のHPでもPRを
進めており、農業制度資金説
明会や就農相談の機会を活
用して需要拡大につながる
よう努めているとの回答で
あった。
今後も、制度の活用増につな
がるよう努力することを求
めたい。(意見)
特に言及するところはない。
7
特 会
H22
8
特 会
H22
9
特 会
H22
長崎県農業改良資金特別会
計
特別会計の繰越金の活用に
ついて
平成 21 年度の農業改良資
金特別会計の次年度繰越額
は 309 百万円であるが、繰
越額の適正額は 147 百万円
と試算され、適正額を 161
百万円上回っている結果と
なることから、より積極的
に繰越金残高の適正化を図
ることが適当と考える。
長崎県農業改良資金特別会
計
督促の遅れについて
収入未済金額について検討
したところ、現年度収入未
済発生について、延滞の把
握が遅れ(原因はわからな
い、単なる把握漏れとのこ
と)、督促が納期限から 9
カ月以上経っているものが
確認された。延滞債権の管
理を、徹底すべきと考える。
長崎県農業改良資金特別会
計
就農支援資金(ハード資金)
貸付事業の申請から貸付決
定までの手続について
平成 20 年度に実行された
個人 A に対する貸付につい
ては、就農施設等資金借受
事業実施報告書を事業完了
後 30 日以内に県に提出す
べきであるにもかかわらず
約 7 ヶ月後に提出してい
る。提出期限を厳守すべき
であると思われる。なお、
個人 A は事業実績として 2t
トラック(中古)を購入して
いるが、領収証等に購入先
の氏名の記載があるが住所
等の記載がない。また、購
入したトラックの車検証に
よると所有者は個人 A の配
偶者となっていることが判
明した。これは、貸付金と
して妥当性を欠くものであ
り、県は適正に処理しなけ
ればならない。
農業改良資金助成法の改正に
より、平成 22 年 10 月から農
業改良資金の貸付主体が県か
ら日本政策金融公庫に移管さ
れ事業終了時の繰越額のうち
457,289,231 円につき平成 23
年 8 月 30 日に国及び県一般会
計に返納いたしており、適正
化は図られるものと考えま
す。
繰越金に関しては毎年国へ
の返納及び長崎県の一般会
計に繰出しを行っており、適
正化は図られる。
入金予定一覧と入金済一覧と
の照合により、未入金者(延滞
者)の把握を行っていますが、
確認が十分でなかったため発
生したものです。平成 23 年度
から、照合作業を複数人で行
うことにより、延滞債権の把
握・管理を適切に行うよう改
めました。
現在、入金予定一覧(農業改
良資金償還案内書)と入金済
一覧(個人別入金台帳)と収
入整理簿をそれぞれを照合
して漏れを防止している。
当該借受人の所属する農協に
対し、事業実施報告書は定め
られた期日を守り適正に処理
するよう指導するとともに、
農協資金担当者を対象とした
説明会を通じて、適正に事務
処理を行うよう関係農協全体
への周知徹底図りました。な
お、指摘の貸付に係る領収証
については、購入先の住所を
記載したものを平成 22 年 11
月 19 日に当該購入先から再度
提出させております。また、
当該トラックの車検証につい
ては、農協を通じ個人 A の事
実関係を確認した結果、本人
の農業経営に必要なトラック
であり使用は本人であること
が確認できたため、所有者の
名義を借受者本人に改めるよ
う指導を行い、平成 22 年 11
月 10 日付けにて名義変更済の
車検証の写しを提出させまし
た。今後は、申請者に対し就
農支援資金貸付制度について
内容説明を十分に行い、適正
な貸付を徹底するよう努めて
まいります。
当該案件については左記措
置が講じられており、問題は
ない。
312
なお、回収管理の追加検証に
ついては、後段「2.追加検
討した事項」を参照のこと。
なお、制度の周知徹底につい
ては、農業制度資金担当者説
明会、新規就農者事業研修、
農協主催の貸付担当者説明
会において行っているとの
ことである。
10
11
特 会
H22
特 会
H22
長崎県農業改良資金特別会
計
平成 16 年度包括外部監査
の結果に対する措置状況に
ついて
(1)就農支援資金(ソフト資
金)について
1)延滞債権について
貸付実施機関:(財)長崎県
農林水産業担い手育成基金
(長崎県青年農業者等育成
センター)
平成 22 年 3 月 31 日現在の
貸付残高は 169 件 134 百万
円であるが、支払期日を延
滞している債権は 16 件 8
百万円であり、当該債権の
支払期日未到来分も加える
と残高合計は 16 百万円と
なる。回収に向けて償還指
導を行っているが、より密
な連携及び、回収が相当困
難と考えられる債権につい
て、県への償還・国への償
還スキームも検討する必要
がある。
長崎県農業改良資金特別会
計
平成 16 年度包括外部監査
の結果に対する措置状況に
ついて
(1)就農支援資金(ソフト資
金)について
2)貸付実績について
平成 16 年度包括外部監査
は、平成 15 年度までの貸付
実績を対象としていること
から、平成 16 年度以降の貸
付実績を検討したところ、
就農準備資金の貸付実績が
ない。今後も県は、非農家
の農業参入を促進している
が、就農準備資金の活用が
増える取り組みが求められ
る。また、就農研修資金に
ついては、ピークであった
平成 10 年度の貸付実績に
は未達であるが、就農研修
資金の貸出件数も増加への
兆しも見せていることか
ら、今後も有効な取り組み
に期待したい。
No4 を参照のこと。
延滞者に対しては、振興局と
基金との連携による経営改善
指導・助言を定期的に行うこ
とで安定した経営を確立する
支援を行う等、回収不能債権
の発生防止に引き続き取り組
んでいるところです。また、
回収が相当困難と考えられる
債権の県、国への償還スキー
ムについては、県庁内に設置
されている「未収金対策検討
会議」において未収金の取扱
基準の全庁的な検討をすすめ
ているところであり、その検
討結果を踏まえながら適切に
対応してまいります。
今後も、県ホームページ(農業
経営課の HP)等での積極的な
情報提供や、農業制度資金説
明会等において制度内容や本
資金の有用性を積極的に周知
するなど、更なる貸付需要の
拡大に努めてまいります。
313
No5 を参照のこと。
12
特 会
H22
13
特 会
H22
長崎県農業改良資金特別会
計
平成 16 年度包括外部監査
の結果に対する措置状況に
ついて
(2)就農支援資金(ハード資
金)について
1)延滞債権について
貸付実施機関:農協等融資
機関
平 成 21 年 度 は 、 30 件
148,740 干円の貸付けが実
行された。今後も有効に活
用されることを望む。
長崎県農業改良資金特別会
計
財団法人長崎県農林水産業
担い手育成基金就農支援資
金貸付業務規程について
財団法人長崎県農林水産業
担い手育成基金就震支援資
金貸付業務規程において、
事 業 完 了 の 報 告 等 ( 第 13
条)及び貸付金の一時償還
(第 20 条)について規定さ
れている。
この点に関し、貸付件数と
研修終了報告書及び就農届
出書の提出件数を検討した
ところ、未提出のものが見
られた。
貸付金が適正に使用された
こと、一時償還すべき案件
が発生していないことを確
認するため貸付業務規程に
従い、速やかに研修報告書
及び就農届出書の提出を求
めなければならない。
本制度は、新たに就農しよう
とする青年等に対し、就農に
必要な資金を無利子で貸し付
ける制度であり、今後も事前
検討会の活用等による迅速な
貸付審査により、有効に活用
されるよう努めてまいりま
す。
特に言及するところはない。
研修終了報告書、就農届出書
が未提出の者には再度、平成
23 年 7 月 21 日付け文書にて提
出を求め、研修修了報告書に
ついては全て、就農届出書に
ついては提出猶予が確認でき
た者以外は全て回収しており
ます。
また、平成 23 年度から、新規
貸付者には資金貸付けの際に
この規定の趣旨を説明した文
書を同封することにより、制
度の徹底を図ることとしまし
た。
特に問題はない。
314
14
特 会
H22
長崎県農業改良資金特別会
計
就農準備資金に係る貸倒が
生じた場合の処理方法につ
いて
財団法人長崎県農林水産業
担い手育成基金が貸倒処理
した場合、県に対する償還
資金が不足することになる
が、その場合、県の処理方
法が決まっていないことか
ら、早急に検討すべきであ
る。
県庁内に設置されている「未
収金対策検討会議」において
未収金の取扱基準の全庁的な
検討をすすめているところで
あり、その検討結果を踏まえ
ながら適切に対応してまいり
ます。
担い手基金での延滞の状況
については、上述の No4の
通りである。
今後は、担い手基金での貸付
において債権放棄等の事例
も生じ、信用リスクへの法的
あるいは会計的対処が行わ
れることと思われるが、この
対処が、県と担い手基金の間
での債権債務の関係におい
て、直接に連動するわけでは
ない。
むしろ担い手基金での債権
管理の責任は、担い手基金で
完結させることが県の立場
であろう。
したがって、左記措置の回答
については、再考するべきで
あり、県としては担い手基金
を指導する立場から、不良債
権の発生の抑制、時効管理を
含めた延滞債権の回収促進
を行っていく必要がある。
(意見)
15
特 会
H22
長崎県農業改良資金特別会
計
就農支援資金償還計算書に
ついて
平成 21 年度から就農施設
等資金貸付金の償還の都
度、借受農業協同組合から
就農支援資金償還計算書を
長崎県農業改良資金特別会
計へ送付することとした
が、一部送付されていない
貸付金があることが確認さ
れた。適正に回収すべきで
あると考える。
借受農業協同組合へは速やか
に償還計算書を送付するよう
指導し、平成 21 年の払込日付
けにて提出させております。
今後も適正な回収に努めてま
いります。
特に問題はない。
315
16
特 会
H22
17
特 会
H22
長崎県農業改良資金特別会
計
延滞先と違約金について
長崎県農業改良資金は無利
子であるが、違約金が年
12.25%と大きく、免除規定
がないため、違約金が大き
く膨らむケースが生じてい
る。また、連帯保証人と連
絡が取れない場合など、連
絡が取れた時点ですでに大
きく膨らんでいるケース等
もある。不納欠損処理を行
うには、議会の議決を受け
て債権放棄をするか、時効
の援用を受ける必要があ
る。連帯保証人が行方不明
のケースなど、時効の援用
を受けることができないた
め、どのように債権放棄を
行うかが課題となる。
長崎県農業改良資金特別会
計
連帯保証人について
長崎県農業改良資金事務処
理要領によると、借入れよ
うとする者の所属する農協
の組合員や当該団体の理事
又は役員等 2 名以上を連帯
保証人として立てることと
規定されているが、同様の
事業を行う者のみが保証人
となる場合、事業に対して
同様のリスクを負うことに
もつながり、借受人の事業
がうまくいかない場合に
は、保証人も同様の状況に
陥る可能性が高い。また、
保証人の資力の判定が必ず
しも明確でなく、より具体
的な資料(収入、所得、資産、
債務等)の整備が望まれる。
法令等に基づき適切に債権管 ・平成 24 年 11 月 8 日付けで
理を行ってもなお回収が困難 「未収金対策検討会議」にお
な未収金については、県庁内 ける検討を踏まえて策定さ
に設置されている「未収金対 れた「権利の放棄に関する議
策検討会議」において、取扱 決を求める基準に基づき、権
基準の全庁的な検討をすすめ
利の放棄の議決を求める要
ているところであり、その検 件に該当するものについて
討結果を踏まえながら適切に は、債権放棄手続きを行うこ
ととなる。
対応してまいります。
借受人の連帯保証人について
は、必要に応じ追加資料の提
出を求める等適切な状況把握
を図り、新たな延滞が発生し
ないよう努めてまいりまし
た。
なお、農業改良資金助成法の
改正により、平成 22 年 10 月
から農業改良資金の貸付主体
が県から日本政策金融公庫に
移管されたため、同制度によ
り県が新たに貸付けを行うこ
とはありません。
平成 22 年 10 月から農業改良
資金の貸付主体が長崎県か
ら日本政策金融公庫に移管
されたため、同制度により県
が新たに貸付けを行うこと
はなくなっている。
なお、今でも貸付資格の認定
事務は県が行っているが、貸
付対象者及び連帯保証人の
資力の判定は日本政策金融
公庫、農協等金融機関が主体
である。
2.追加検討した事項
(1)農業改良資金貸付金について
①
制度概要
1
概要
農業の担い手が、その自主性と創意を生かしつつ、新たな農業部門の経営の開始や新たな農畜産物の
加工事業の経営開始、農畜産物の新たな生産方式の導入等、高リスク農業へチャレンジする場合に国の
助成の下に都道府県に造成された貸付財源をもって農業者等に融資する制度として、昭和 31 年に農業
316
改良資金助成金を制定して創設された。
制度の創設当初は、国が 2/3、都道府県が 1/3 を拠出して財源とし、都道府県が農業者に無利子で貸
付けを行い、償還金を繰り返し貸付財源とする、いわゆる回転資金方式で運用されていた。
その後、貸付実績の減少等から制度の見直しが強く求められるようになり、その結果、これまで以上
に金融ノウハウを活かした貸付けが行われ、農業者にとってより使いやすい資金となるよう改正が行わ
れ、平成 22 年 4 月に農業改良資金融通法に改められ、同年 10 月から、資金の貸付主体が都道府県から
日本政策金融公庫に移管され、日本政策金融公庫の資金の一つとして取り扱われることになった。
なお、改正後の制度については、
・新たな農業部門の経営を開始する場合等、リスクの高い農業者のチャレンジを支援する資金という性
質や貸付金利が無利子という点は変更なし。
・改良措置(取組みの内容が資金の目的に沿った内容で資金の貸付資格があるかどうか)の認定の事務
は、これまでどおり都道府県が行う。
2
都道府県が行う改良措置(貸付資格の認定)の内容
・新たな農業部門の経営の開始
・新たな加工の事業の経営の開始
・農畜産物又はその加工品の新たな生産方式の導入
・農畜産物又はその加工品の新たな販売方式の導入
・農商工等連携事業計画を作成し、国の認定を受けた中小企業者が連携先農業者等の農業改良措置を
支援するための措置
・生産製造連携事業計画を作成し、国の認定を受けた製造事業者が連携先農業者等の農業改良措置を
支援するための措置
・促進事業者が総合化事業計画の認定を受けた農業者等の取り組みを支援するための措置
3
利用可能者
認定農業者、認定就農者、主業農業者等
4
償還期限
10 年∼12 年以内(うち措置期間
5
融資限度額
個人 5,000 万円
6
資金使途
法人・団体
3−5 年)
1 億 5,000 万円
・施設の改良、造成又は取得に必要な費用
・永年性植物の植栽又は育成に必要な資金
・家畜の購入又は育成に必要な費用
・その他
②
延滞率等の推移について(意見)
概要にあるように平成 22 年 10 月から法改正により、貸付主体が県ではなくなったため、
それ以後、新規貸付が生じないことから、収入未済の現年度調定額も減少しており、繰越
調定額も減少している状況である。同様に、回収率も現年度分及び過年度分ともに年々上
昇している。
317
(単位:円)
区分
過
年
度
分
現
年
度
分
合
計
平成21年度
62,878,269
5,773,638
平成22年度
61,764,375
6,089,914
平成23年度
58,472,337
7,187,794
当年度不納欠損額②
当年度末収入未済額(B)
0
57,104,631
0
55,674,461
0
51,284,543
回収率(①/(A)×100)
当年度調定額(C)
9.2%
5,554,000
9.9%
3,626,000
12.3%
1,118,000
当年度収入額③
当年度末収入未済額(D)
894,256
4,659,744
828,124
2,797,876
100,000
1,018,000
16.1%
61,764,375
22.8%
58,472,337
8.9%
52,302,543
9.7%
10.6%
12.2%
繰越調定額(A)
当年度収入額①
回収率(③/(C)×100)
当年度末収入未済額(B)+(D)
回収率
※数値は元本の他、違約金にかかる収入未済を含む。
しかしながら、平成 23 年度末の貸付残高 137,797 千円(63 先)に対し、収入未済額は
48,667 千円(22 先)に達し、実に 35.3%(先では 32.4%)という高率の状況である。
今後もより一層の回収努力を求めるとともに、時効管理につき法的な手当ても適切に進
めていくべきと考える。また、今後は債権放棄すべき事案については「権利の放棄に関す
る議決を求める基準(案)」の議決の後、それに基づき債権放棄を進める必要があると考え
る。
(2)就農支援資金貸付金について
①
制度概要について
1
概要
就農支援資金制度とは、新たに農業経営を開始する者や、就農希望者を新たに採用しようとする農業
法人等の経営体に対し、就農に必要な資金を無利子で貸し付けることにより、その就農の促進を図る制
度である。
2
制度の仕組み
①就農計画の作成及び認定
新たに就農しようとする青年、他産業からの転職等による中高年齢者及び新たに就農希望者を雇用
し、研修等を通じて担い手として育てていこうとする農業法人等の経営体は、
「就農計画」
(農業経営の
目標や研修等に関する計画)を作成し、県知事の認定を受ける。
②就農支援資金の貸付け
県知事により就農計画の認定を受けた者(認定就農者、認定農業者)に対し、研修・施設整備・就農
準備に必要な資金を無利子で貸し付ける。
また、近年の就農ルートの多様化に対応するため、就農施設等資金については、農協・銀行等の金融
機関からも貸付けを行うこととし、その場合には農業信用保証保険制度の対象とし、信用力の脆弱な新
318
規就農者であっても当該資金を円滑に借り受けられるよう措置を講じている。
なお、農業法人等への就職を目指す者については、就農施設等資金は利用できない。
3
就農支援資金の貸付け対象者
①自ら農業経営を目指す者
②農業法人等への就職を目指す者
③現在農業法人等の従業員で、独立経営を開始しようとする者
(別途の要件を全て満たす者)
④就農希望者を新たに採用しようとする農業法人等の経営体
◆資金の内容
区分
就農施設等資金
農業経営を開始するのに
必要となる施設・機械等の
購入に必要な資金
例)施設・機械購入費、種
例)住居移転費(引越代、 苗費、肥料費、農薬費、家
資金の種類
敷金礼金等)、資格取得費、 畜購入費、各種修繕費、農
就農先調査旅費、滞在費 地等の賃借料、農業機械等
のリース料 等 ※農地
等
の取得費は非対象
都道府県青年農業者等育成センター
・都道府県青年農業者等育
貸付主体
成センター
・農協等の金融機関
貸付対象
認定就農者又は認定農業者
認定就農者
・青年→3,700万円
・農業大学校
(2,800 万円を超える額に
→5万円/月
200万円
ついては 900 万円又は必要
・先進農家等(国内外)
な資金の額の 1/2 のいず
→15万円/月
れか低い額)
・指導研修(青年のみ)
・青年以外
→200万円
貸付限度額
→2,700万円
(1,800 万円を超える額に
ついては 900 万円又は必要
な資金の額の 1/2 のいず
れか低い額)
【経営開始後 5 年間対象】
償 還 ( 据 置 ) 青年:12(4)年以内(条件不利地域20(9)年以内) 12(5)年以内
期間
青年以外:7(2)年以内(条件不利地域12(5)年以内)
その他
債務保証の対象
※青
年:15 歳以上 30 歳未満の者(都道府県知事の特認により 40 歳未満の者)
青年以外:55 歳未満の者(都道府県知事の特認により 65 歳未満の者)
※「条件不利地域」とは、豪雪地域や中山間地域等の地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が
不利な地域を言う。
※就農支援資金の借入れには担保又は保証人が必要。ただし、就農施設等資金を農協等の融資機関か
ら借り受ける場合は、都道府県農業信用基金協会による債務保証を利用することができる。
②
就農研修資金
農業の技術又は経営の方
法を実地に習得するため
の研修に必要な資金
例)授業料・教材費・視察
研修費・滞在費・パソコン
等研修用機器 等
就農準備資金
住居の移転、資格の取得、
就農先の調査等就農の準
備に必要な資金
問題点について
ア.既存農業経営との経営分離について(意見)
319
就農支援資金貸付けは、制度の趣旨に則り、その貸付対象を「自ら農業経営を目指す者」
他と規定している。
また、「農業経営を開始する場合」(青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する
特別措置法(以下、
「就農資金法」と言う)施行令第 1 条 2 項)とは次の通りとされている。
(農水省、就農支援資金制度に関する一問一答集より)
①農業経営の承継者でない者が新たに経営を開始する場合
②農業経営の承継者が経営を開始する場合
③新たに開始する一の区分された農業部門の経営を開始する場合
例えば、親が現役で農業経営を行っている場合に、研修を経て実家で就農するために就
農施設等資金の借入れを行う場合においても、本来の趣旨を逸脱しないように、親の農業
経営とは明確に経営を分離(部門経営)しなければならない事になる。
更に、部門経営を行う場合には、経営収支に関する帳簿の記載と自己の預貯金口座を開
設すること等により、当該経営と親の経営との区分を明確にする必要があるとしている。
当該経営分離を徹底するため、就農支援資金借用証書には、特約条項第 3 条 12 項におい
て、「借入金により行う経営の収支を明らかにした帳簿の記載を行わず、又は当該経営に属
する余裕金を自己の名義の預貯金口座以外に預託したとき(新たに開始する一の区分され
た農業部門の経営を開始する場合に限る)」には、一時償還の請求を行うことを規定してい
る。
今回、当該特約条項に言う区分経営の遵守について平成 23 年度のサンプルを徴取し確認
を行った。
3 件のサンプルの内、1 件は税務申告を個別に行っており、明確に経営分離していると判
断された。他の 2 件については、税務申告は個別に行っていないものの、会計システムに
おいて、部門管理を行うことで経営分離を明確にしている。また、借入申込時に自己の預
金通帳を開設し、預貯金口座が区分されていることが確認されている。
当該制度の本来の趣旨を十分に理解し、借入れを行う者に対する周知及び指導を継続し
ていく事が肝要と考える。
イ.延滞対策について(意見)
就農支援資金は、研修・準備資金について延滞が発生しており、その状況は平成 24 年 3
月 31 日現在で、12 件 10 名で 9,010 千円である。
延滞者の各状況についてヒアリング等を行ったところ、延滞の原因としては種々あるが、
就農後の経営が思い通りに行かず、結果農業経営を閉鎖したために、返済が困難になって
いるケースも見受けられた。
県は、就農促進方針において、県段階及び地域段階に就農相談窓口を設置し、関係機関
と密接な連携のもとに就農啓発活動や新規就農者のフォローアップ活動を行う、としてお
320
り、具体的には、普及指導員等が就農計画の目標期間である 5 年間、新規就農者へのフォ
ローアップ活動を行う。
今回、当該フォローアップ活動の状況について平成 23 年度の活動実績資料等の確認を行
った。
状況としては、普及指導員等により活動に差があり、小まめに支援活動を行っている者
もあるが、簿記の指導を 1 回行ったのみである等、十分なフォローアップが出来ていない
事例も見られた。新規就農者は、実務経験が乏しい場合が多く、就農後まもなくは、普及
指導員等による十分な支援が必要であると考えられる。
支援により農業経営が軌道に乗り、経営が安定することによって、貸付資金返済に困る
ことはなくなるであろう。
ウ.限度額を超過した貸付けについて(指摘)
就農支援資金には貸付限度額が設定してあり、上記「◆資金の内容」にあるとおり、就
農施設等資金については、青年で 3,700 万円、青年以外で 2,700 万円となっている。
就農施設等資金の貸付対象経費としては、「経営開始時の施設の設置費、機械の購入費全
般に対応するほか、経営開始初年度に限り飼料等の購入費等(運転資金)に手当てできる」
とされている。このように、就農 2 年目以降の運転資金については対象外となるが、当該
就農 2 年目以降の運転資金のうち、規模拡大分については資金使途と認められている(農
林水産省一問一答集より)。
今回の監査において実際の貸付け状況の確認を行ったところ、次の事例が発見された。
○借受人 A 氏(青年以外)
事 業着工 日
事 業実績
事業完 了日
投 資内 容
H22.9.18
H23.9.14
素牛
規模
金額
13,361,600
30頭
餌代
H23.11.29
H24.8.30
素牛
合計
就農 施設 等資 金
自 己資 金
18,069,843
18,000,000
69,843
18,494,297
9,000,000
9,494,297
36,564,140
27,000,000
9,564,140
4,708,243
13,736,550
32頭
餌代
合計
資 金調 達区 分
4,757,747
62頭
このように、A 氏の事業は 2 年間にわたっており、貸付限度額の計算により 2,700 万円の
貸付けを行っている(平成 23 年度に 18 百万円、翌年度に 9 百万を貸付)。
今回、当該 2 年目の餌代の計算根拠について請求書等の確認を行ったところ、請求書に
関しては、1 年目に購入した素牛に係る餌代と区分がされておらず、2 年目に増頭(規模拡
大)した餌代 4,757,747 円として、請求書から一部を抜き出す方法で計算されていた。当
該計算根拠について確認を行ったが、両者の区分にあたって明確な根拠資料は示されるこ
とはなく、2 年目の規模拡大該当分として充当された餌代は合理的根拠を持つとは言えない。
321
素牛は購入後 1 年目も 2 年目も餌の消費量は大差ないとのことである。餌代の区分計算
としては、各月末における頭数による案分が最も合理的と言える。
当該計算方法により計算した場合の 2 年目増頭(規模拡大)分に係る餌代は次のように
計算される。
【1年目】
導入頭数
H22/9
12
110,313
24
185,807
30
335,701
30
258,878
H22/10
H22/11
餌代:円
累計頭数
※24
6
H22/12
36
427,931
H23/2
36
266,302
H23/3
36
0
H23/4
36
126,184
H23/5
36
159,505
H23/6
36
441,495
H23/1
6
H23/7
6
H23/8
42
872,615
42
1,523,512
合計
4,708,243
【2年目】
導入頭数
出荷頭数
累計頭数
累計頭数のうち
新規導入頭数累計
餌代:円
H23/9
H23/10
H23/11
6
H23/12
H24/1
6
H24/2
H24/3
3
H24/4
H24/5
11
2
H24/6
H24/7
6
H24/8
合計
32
48
6
0
48
6
1,034,116
54
12
709,988
54
12
923,208
57
15
750,765
57
15
1,255,782
66
26
1,288,140
66
26
2,112,345
1,386,426
4
68
32
2
66
32
1,956,640
8
584
182
11,417,410
※A 氏は就農当初より 12 頭の素牛を保有していたため、当初の累計頭数は 12+12=24 となる。
以上のように、累計頭数全体と新規頭数の累計頭数の比によれば、2 年目増頭分餌代は、
11,417,410×(182/584)=3,558,165 円と算定され、2 年目の事業実績は素牛代 13,736,550
円と合計して 17,294,715 円となる。
この結果、2 年間の合計事業費実績は、上記にあるように 36,564,140 円ではなく、
18,069,843 円+17,294,715 円=35,364,558 円であり、貸付限度額計算によれば 18,000,000
322
円を超える分については 9,000,000 円又は事業費の 1/2 を比較して少ない方となるので、
35,364,558 円−18,000,000 円=17,364,558 円×1/2=8,682,279 円は 9,000,000 円より少
ないため、2 年目については 8,682,279 円が貸付限度額となる(県の集計では 9,000,000 円
が計算結果として求められる)。
よって、2 年目に 9,000,000 円を貸付けたのは 317,721 円の限度額を超過による貸付けと
言わざるをえない。県は内容を再度精査し、早急に対応を行うべきであり、今後事業実績
の確認はより慎重に、かつ確実に行うべきである。
323
Ⅱ-24
農政課(長崎県中山間地域等直接支払対策基金)
1.措置状況と検証結果
No
1
テーマ
年度
基 金
H20
監査の結果
措置
検証結果
長崎県中山間地域等直接支
払対策基金
(1)基金の運用について
「長崎県公金管理運用方針」
においても、「第3基本原則
3効率性の追求」で「安全性
及び流動性の確保を図るこ
とを前提とした上で、効率的
な運用に努める」となってお
り、また平成19年度及び平
成18年度の「中山間地域等
直接支払対策基金の運用に
ついて」においても「最長1
年のNCD又は大口定期預
金を基本とする」となってお
り、そのルールの範囲内での
運用は行なうべきである。
中山間地域直接支払制度は、
中山間地域等農業生産条件
の不利な地域における農業
生産活動が継続的に行われ
るよう農業者等を直接支援
する制度であり、本基金は、
同制度において交付する交
付金の国費相当部分を安定
的に確保し、円滑な事業の推
進を図ることを目的として
おります。
ご意見のとおり、県公金管理
運用方針等に基づき、毎年度
の交付金額の見込額、並びに
市町への交付時期等を考慮
のうえ平成21年3月より、
基金の運用を行うこととい
たしました。
・運用方法 一元運用による
・運用期間 平成21年3月
19日∼平成22年3月1
9日
平成 22 年度において、当該
基金は国に返還されており、
現在は存在しない。事業は所
要額交付方式で行われてい
る。
324
Ⅱ-25
農林技術開発センター(一部、農政課)
1.措置状況と検証結果
No
テーマ
年度
1
試験研
究 H17
2
試験研
究 H17
監査の結果
措置
検証結果
ア.予定価格の設定等につ
いて
需用費での契約伺への予定
価格未記入、備品購入で参
考見積額よりも高い予定価
格が設定されているなど、
3件の事務処理ミスが確認
された。合理的・経済的発
注のためにも関係課間の確
実な情報伝達が必要とな
り、単純ミスをなくすこと
が重要である。
イ.公有財産台帳について
試験研究機関の土地・建物
については、各元課の財産
台帳が正確性・網羅性に問
題があったが、科学技術振
興課の台帳へ移行後も、正
確性に欠ける。
公有財産を正しく把握し、
正確な県のバランスシート
作成のためにも、土地や建
物についての実態を調査
し、公有財産台帳を実態に
合致させることが必要であ
る。
購入に際しては、県の予定価
格と参考見積額を比較して
いましたが、漏れが生じてい
ました。会計課では平成 18
年7月1日より、予定価格積
算様式に参考見積額の欄を
設け、比較漏れが生じないよ
うにしています。
平成 23 年度の物品購入伺い
簿に 8 件、予定価格と購入価
格の記入漏れが検出された。
確実な処理が望まれる。(指
摘)
関係課から引き継いだ旧台
帳の正本並びに各研究機関
で保管している副本に記載
された内容を確認のうえ、公
有財産台帳への登載に努め
ました。各研究機関の修正及
び追加登載実績は次のとお
りです。
○工業技術センター
・建物取得価格の追加 1件
○窯業技術センター
・土地取得日等の追加1件
・建物取得日の追加 1件
○総合農林試験場
・土地取得日等の追加 147 件
・建物取得価格の追加 1件
○果樹試験場
・土地所在地の変更 91 件
・土地取得日等の追加 90 件
・建物取得価格等の追加 35
件
○畜産試験場
・建物誤記訂正
3件
・建物取得価格の追加 14 件
各機関の実績合計
384 件
なお、台帳等での引き継ぎ
が無い、または関係資料が残
っていないなど、取得状況等
が確認できないものについ
ては、「不明」として整理し
ます。
措置の内容は公有財産台帳
に登載されていた。特に問題
はない。
325
3
試験研
究 H17
ウ.物品管理について
①物品管理簿
各試験研究機関において、
物品管理簿の記載が、現況
を適切に反映していない箇
所が散見された。
管理簿が実態を正しく反映
しないと有効かつ効率的な
物品照合手続は困難なた
め、物品管理簿の適切な作
成・更新が必要である。
物品の実態を物品管理簿に
反映させることを徹底し、物
品と物品管理簿との一致を
確認しているところです。
(平成 18 年度末完了予定)
今後このようなことがない
よう、物品管理簿の作成・更
新に随時努めます
4
試験研
究 H17
ウ.物品管理について
②物品管理簿の照合
長崎県物品取扱規則におい
て、年1回物品現物と物品
管理簿の照合を実施するこ
とが規定されているが、長
期間物品整理票が貼付され
ていない物品が発見される
など、各試験研究機関にお
いて照合手続きが適切にな
されていない実態が推察さ
れる。
5
試験研
究 H17
6
試験研
究 H17
エ.開放設備と設備
貸付の区分について工業技
術センターにおいて、開放
設備の承認手続によって設
備(物品)を外部に貸付け
ている事例があった。開放
設備と設備貸付の定義を明
示し、試験研究機関外への
設備の貸付では、物品の貸
付伺のほかに「物品使用貸
借契約書」の締結が必要で
ある。
オ.薬品管理について
各試験研究機関において、
台帳未作成、台帳数量と実
際数量の不一致等薬品(毒
劇物)管理に関する不備が
発見された。資産管理及び
事故防止の意味からも、薬
品の受払管理を厳格に行う
ことが必要である。
物品の実態を物品管理簿に
反映させることを徹底し、物
品と物品管理簿及び物品整
理票との一致を確認してい
るところです。
(平成 18 年度
末完了予定)今後このような
ことがないよう、物品管理簿
の作成・更新に随時努めてい
くとともに、物品整理票の貼
付についても徹底します。
なお、物品管理簿との不一致
が発見された場合には速や
かに不一致の原因を調査す
るとともに、物品整理票の貼
付がない物品が発見された
場合には速やかに貼付を行
います。
「県有財産の交換、譲与等に
関する条例」および「物品取
扱規則」に基づき、県有財産
使用貸借契約書を取り交わ
して貸与することを徹底し
ました。また、開放設備につ
いては、該当する個々の設備
を明確化しており、外部への
貸し付けと混同しないよう
徹底します。
台帳数量と実際数量との不
一致を調査した結果、台帳に
記載漏れのものがあったた
め、台帳に記載し、全て一致
したことを確認しました。
また、薬品の保管及び使用の
都度の台帳記入並びに現物
確認を徹底するとともに、定
期的な台帳管理・照合手続き
を行います。
326
医薬品・農薬の管理について
問題がある。重要度が高いた
め、「2.追加検討した事項」
にて検出事項をまとめたの
で参照のこと。
なお、サンプルで現物照合を
行ったところ、5 年ほど使用
実績のない遠心分離機が土
壌物理実験室に存在した。物
品管理簿には登載があるも
のの、遊休状態にある場合の
取扱いについては、後段の
No17 の項を参照のこと。
サンプルで現物照合を行っ
たが、貼付もれは検出されな
かった。
開放設備はなく貸与備品の
例もない。隣接する県立農業
大学校へのトラックの一時
的な貸出は行われているが、
これについては都度承認が
なされている。
「毒物劇物取扱の手引き」を
元にした毒物劇物危害防止
規程が整備されており、消耗
品出納簿(毒物・劇物)によ
り管理する体制となってい
るが、運用について問題が検
出されている。
後段「2.追加検討した事項」
を参照のこと。
7
試験研
究 H17
ア.試験研究機関の一元管
理について
①研究課題の選定
平成 15 年4月に7試験研究
機関が連携・統括され、研
究課題は独立して選定して
いるとのことだが、依然と
して一元化前の元課の方針
を優先して決定している印
象を受ける。県全体の試験
研究方針・役割に合った課
題を抽出して、次に元課と
の整合を取る流れとする方
が、一元化の趣旨に沿うと
考える
各試験研究機関が主体的に
供給側・需用側双方のニーズ
把握や意見交換をしたうえ
で「連携強化に伴う公設試験
研究機関のビジョン」に沿っ
た独自の課題選定を行い、内
部評価の際に元課の意見を
取り入れたうえで、研究課題
を決定しています。
8
試験研
究 H17
ア.試験研究機関の一元管
理について
②重点研究
市場性と開発能力から重点
研究を明確にする方針は、
望ましいが、供給側(産業
振興部門)の要請だけを市
場ニーズと捉えずに、市場
の調査・分析を行い、顧客
満足の観点を反映して市場
性を判断することが重要で
ある。試験研究機関の限ら
れた能力・予算では、多様
化する市場ニーズへの対応
は難しいため、他機関との
連携強化が必要である。ま
た、今後は民間や他機関と
の役割分担を明確にし、資
源の分散化を避け、県民の
ための試験研究という観点
で、効果的な成果を得るこ
とに注力することが望まれ
る。
平成 18 年度の知的財産活用
支援事業においてポートフ
ォリオを作成中であり、市場
ニーズ等も考慮したうえで
試験研究の重点化を図って
いきます。また、大学や企業
等、他機関との共同研究を積
極的に推進するなどの連携
を図りながら、効果的な成果
を得ることに努めます。
327
平成 24 年 3 月に県研究機関
として今後取り組むべき研
究の方向性を示した「長崎県
農林技術開発の推進構想」を
策定し、これをもとに現場か
らの研究要望課題や内部評
価での意見を取入れながら
選定を行っている。具体的に
は「長崎県農林業試験研究普
及推進要綱」に基づき、振興
局に寄せられる要望や農業
関連団体からの要望を農業
園芸課技術普及班が取りま
とめ、これをセンターへ伝達
している。
また、措置にある連携研究と
いう点では、産業技術課所管
の「長崎県研究・事業化推進
会議」がその役割を担ってお
り、戦略プロジェクト研究計
画や事業化に取り組む研究
成果が取りまとめられ、セン
ターが推進する研究課題が
策定されている。
上記推進構想の中で 4 つの
重点テーマを策定し、取り組
むべき課題を明確化し、研究
の重点化を図っている。
また、大学(長崎大、シーボ
ルト大、佐賀大、九州大など)
や独立行政法人の研究機関
(九州沖縄農業研究センタ
ーや産業総合研究所)等を含
めた産学官連携(共同研究契
約を結ぶなど)により共同研
究を行っている。
9
試験研
究 H17
イ.外部委員による研究及
び機関評価制度について
外部評価制度は九州初の試
みであるが、導入済み他県
と比較して、評価委員会の
数、評価対象の網羅性、評
価回数の点で際立ってい
る。制度の完成度を高める
ために、評価テーマを絞る、
準備資料の様式統一、評価
結果にメリハリをつけるな
ど、留意する必要がある。
研究事業評価について条例 既に研究事業評価が行われ
化を行い(平成 18 年4月1 ている。
日施行)、その中で研究事業
評価委員会への一本化、様式
の統一など、効率的な制度見
直しを行いました。また、研
究途中で計画の見直しや中
止の判断基準となる指標に
ついて、平成 19 年度評価か
らの導入を検討しています。
10
試験研
究 H17
ウ.知的財産戦略について
特許権は自ら使用、または
第三者に売却・使用許諾し
て収益を得ることで取得経
費を回収できる。職務発明
制度が整備され、発明者へ
の報奨金の上限が撤廃され
たこともあり、今後画期的
な発明が生まれることを期
待する。
平成 17 年3月より、知的財
産の創造・保護とその有効活
用による既存企業の高度化
や新規産業の創出等を目指
し、長崎県知的財産戦略を推
進しています。県有知的財産
についても、事業化可能性の
評価や知的財産活用推進員
による特許実施許諾の推進
等を行っているところです。
11
試験研
究 H17
カ.高額備品の購入につい
て
保守契約締結予定の研究用
精密機器は、物品の取得価
額だけでなく、その後の保
守管理費用等も含めたコス
トを勘案して、機種及び業
者の選定を行うのが経済合
理性の観点から望ましい。
高額備品購入に際し、機種の 保守契約の生じるような高
選定要件として、必要な機 額備品の例がない。
能・ランニングコスト等を総
合的に判断する必要がある
と認識しており、今後、研究
機器の機種選定においては、
累積保守料等も考慮してい
きます。
12
試験研
究 H17
シ.物品の管理について
①物品管理の報告制度
1百万円以上の重要物品
は、科学技術振興課に購買
権限があるため、各試験研
究機関から物品の保管、管
理に関する報告を受け、棄
却・所管移管についても情
報を把握することが望まし
い。
研究機器の効率的な共同利
用等を推進するために、研究
機器リストを作成し、これを
随時更新しますが、その中で
重要物品の状況把握にも努
めていきます。
328
県知的財産戦略のもと県有
特許の取得活用に努めてい
る。平成 23 年度末で公有財
産台帳に登載されている特
許は 10 件(外国特許3件含
む)、知的財産である品種登
録が 12 となっており、特許
による許諾契約が 5 件とな
っている。
現在はセンターの所管が農
政課であるため、重要物品の
調達は本課で行っている(予
算の査定段階で重複するよ
うな事態は財政課により排
除されるのが通例)。
また、平成 23 年度から研究
施設の所管が各部となった
ため、研究機器リストは存在
するが、更新・活用はされて
いない。ただし、農政課とし
ては、研究推進会議などを通
じてリストの再活用を要望
していくとのことであった。
特に問題はない。
13
試験研
究 H17
シ.物品の管理について
②実施要領の制定
各試験研究機関では、長崎
県物品取扱規則に基づき個
別に物品管理簿の照合手続
を定めて実施しているが、
物品と管理簿の照合手続を
適切に実施するためには、
照合の手順・責任者の承認
方法等について詳細に定め
た全庁的なマニュアルを制
定し、運用することが望ま
しい。
物品の管理は各所属長に権
限が付与される一方、その命
を受け配置物品点検者が物
品の点検及び照合を行う旨
定めています。また、物品管
理上、必要な事務の説明、処
理すべき時期等について「物
品管理事務年間一覧表」を作
成し、庁内グループウェア上
に登載しており、当面、その
周知により対応します。
14
試験研
究 H17
物品の持ち出しについては、 No5 を参照のこと。
所属長への申請様式を制定
し(平成 18 年9月 11 日制
定)、今後、持ち出しを行う
場合は当様式によることと
しました。
15
試験研
究 H17
シ.物品の管理について
③物品の持出し
工業技術センターにおい
て、共同研究のための持ち
出しを原因とした物品の紛
失が判明している。物品の
持出しに関する規程は特に
定められていないが、物品
の最終管理責任者は各試験
研究機関の長であり、持出
しには管理責任者の承認が
必要である。設備貸付同様、
物品の持出しについても所
定の手続により管理責任者
の承認を受けることが必要
である。
シ.物品の管理について
④設備(物品)の貸付料
長崎県物品取扱規則にて、
設備貸付は貸付料徴収が原
則で、無償等の場合は公益
性等の有無を判断するとな
っている。各試験研究機関
において、共同研究・技術
開発等に伴う設備貸付につ
いては、無償が妥当との見
解があるが、開放設備は有
償としていることからも、
慎重に検討することが望ま
しい。
これまでの貸付事例として No5 を参照のこと。
は共同研究等による貸付事
例のみであり、この形態の場
合は無償貸付とすることが
妥当であると考えています。
今後、新たな形態での貸付事
例が生じた場合は、開放設備
を有償としていることとの
バランスを考慮して、慎重に
検討します。
329
16
試験研
究 H17
シ.物品の管理について
⑤物品の不用決定及び処分
伺
老朽化・使用見込みのない
物品については、年1回実
施される物品と管理簿の照
合手続時に、使用不能・今
後使用が見込めない物品の
現状を把握し、物品の廃棄
処理を行うことが必要であ
る。
平成 18 年度に、総合水産試
験場では、PCRサーマルサ
イクラーや冷蔵庫、水槽等に
ついて不用決定のうえ廃棄
処分としました。他の研究機
関においても随時処分を行
っており、現状に則した物品
の処分を行うことに努めま
す。
No17 を参照のこと。
17
試験研
究 H17
シ.物品の管理について
⑥遊休設備
衛生公害研究所では、
「有害
大気分析業務」を民間へ外
部化した結果、十分に使用
できる試験設備が遊休状態
になっている。当該業務の
再開がない場合は、設備の
処分について検討が必要で
ある。
有害大気汚染物質(揮発性有
機化合物)分析機器の利活用
について、当該機器は大別す
ると、
①屋外での大気試料採取用
機器(キャニスター、同洗浄
装置)②実験室内での大気試
料分析用機器(オートキャ
ン、ガスクロマト質量分析
計)から構成されています。
①については、有害大気汚染
物質(揮発性有機化合物)用
に限らず、大気サンプリング
に用いる機器として有用で
あると考えるので、今後とも
利活用する予定です。②に関
する機器のうち、ガスクロマ
ト質量分析計の有効活用に
係る検討については、定例的
に利活用する事業としての
取扱が必要となることから、
現在、残留農薬の分析に利活
用すべく機器は調整・試運転
中であり、可能な限り有効活
用を図っていきます。なお、
オートキャンは、定例的に活
用する事業が無く、単体での
使用もできないことから、売
却又は処分の方針で対応し
ていきます。
研究機器の効率的な共同利
用等を推進するために、各機
関の備品台帳から、事務機器
等を除いた研究機器リスト
を作成し、各機関へ送付しま
した。(平成 18 年9月)
今後は当リストを基に物品
の共通利用を推進していく
とともに、随時リストを更新
するよう努めます。
研究施設の特性として、実質
遊休状態にある物品の今後
の使用見込の有無の判断が
困難である点があげられる。
この点、処分の判断は管理部
と各部門長との協議に委ね
られている。
また多額の処分費用のねん
出が困難であるため、実際の
処分に時間を要することも
あるとのことであった。
将来使用見込があるとした
物品の遊休状態が長期に継
続してしまうと、当初の再使
用見込みの判断の正当性も
揺らいでしまうので、そうい
う状態で長期に放置されて
いるものがないか、常に再検
討し、不用品の随時処分に努
める必要があると思われる。
(意見)
18
試験研
究 H17
シ.物品の管理について
⑦物品の共通利用
各試験研究機関の自主的な
情報交換で物品の共通利用
が実施されているが、物品
管理簿の不備等により有効
に物品管理されているとは
言えず、共通利用の効率的
な実施については疑問があ
る。
330
なお、上記意見は、「農薬・
毒劇物」の滞留在庫は除外し
ている(危険性の度合いがこ
となるため別途の見解とし
た)。これについては、別途
「2.追加検討した事項」を
参照のこと。
No12 また書き以降を参照の
こと。
19
試験研
究 H17
シ.物品の管理について
⑧帳簿登記の省略
民間企業では、取得価格 10
万円未満の少額減価償却資
産については、取得年度に
て費用化し、固定資産台帳
への登録、取得後の帳簿管
理は行われないのが一般的
である。購入物品をもれな
く管理することは必要では
あるが、費用対効果を考慮
すれば、台帳記載対象とす
る資産の金額基準見直しの
余地があると考える。
現在の備品基準額は、平成 11
年度の包括外部監査の意見
を受けて庁内で検討した結
果、全国各県の基準額を参考
として平成 13 年度に見直し
たものです。現時点では基準
額の見直しは考えていませ
ん。
措置を支持する。
20
試験研
究 H17
ス.土地の貸付について
農協中央会に対する土地の
貸付について、
「公共的団体
が、県の事務又は事業に直
接関連はないが、公益又は
公共用に供するため使用す
る場合」の使用料減免基準
を準用しているが、基準に
合致するかについては疑問
がある。貸付料の減免措置
について再検討することが
望ましい。
農協は、農業協同組合法によ
り、営利を目的とせず農業生
産力の増進及び農業者の経
済的社会的地位の向上を図
り、国民経済の発展に寄与す
ることが目的とされていま
す。また、県の農業関係施策
の実施とも密接な関係にあ
りますので、農協中央会の当
該施設に対しては、研修施設
という形態であり減免基準
に準じる公益・公共性を持つ
と判断し、50%減免としてい
ます。
考え方に変化はない。普通財
産貸付台帳の作成、内容も問
題ない。
21
試験研
究 H17
ソ.試験研究機関の透明性
確保について
これまで以上に透明性を高
め、県民の理解を得るため
には、研究成果だけでなく、
決算数値も含めた情報を開
示するとともに、生産者以
外の一般消費者などの意見
も取り入れるため、様々な
コミュニケーションが必要
と考える 薬品等による直
接的な環境負荷も存在して
いることから、ネガティブ
情報についても、透明性確
保の観点で開示基準を設
け、適時開示するような体
制・手順を確立することが
望ましい。
平成 18 年4月、科学技術振
興課と7試験研究機関が、新
しく科学技術振興局として
組織されました。これを契機
に、研究開発の成果について
計画的かつタイムリーな情
報発信を徹底するよう、機関
長会議で連絡しました。平成
18 年9月末現在、新聞報道や
テレビ等放映放送で 70 件の
広報活動を展開しており、今
後も一層の透明性確保に努
めていきます。また、不測の
事態が発生した場合におい
ても、ネガティブ情報を積極
的に開示し、迅速な対応がで
きる体制を整えています。
方針として変更はない。
331
22
試験研
究 H17
タ.ホームページについて
①成果情報について
長崎県の試験研究機関HP
は、外部委託せずに独自作
成されているが、他県と比
較しても遜色ない。ただし、
研究成果の公表に関しては
実用化事例等についての情
報が少ない。総合水産試験
場では、県民向けに地元新
聞等のメディアを利用して
成果及び実用化事例の公表
を行っている。他の機関に
おいても同様の試みを期待
したい。
平成 18 年度より、科学技術
振興課のホームページにお
いて各研究機関の主な研究
成果を掲載しています。
特に問題はない。
23
試験研
究 H17
決算書の記載について、主要
な共通項目を各試験場に示
し、平成 18 年度分の業務報
告から反映できるよう検討
しています。
完全な共通様式ではないが、
比較は可能である。
24
試験研
究 H17
チ.決算数値の公表につい
て
試験研究機関によって決算
書の記載項目及び記載方式
が統一されていない。機関
の収支の実態を正しく示
し、機関相互の比較可能性
のためにも、科学技術振興
課が一定の方針及び様式等
を示すことが必要である。
ツ.業務報告等の記載内容
の統一について
業務報告等の記載内容は、
試験研究機関によって様々
で全く統一されていない。
組織的に一元化されたこと
もあり、ある程度は内容・
様式等の統一が必要。ホー
ムページで業務報告等を公
表していない4機関につい
ても公表が望まれる。
25
試験研
究 H17
テ.研究課題別の原価管理
について
原価とは、
「全部原価」であ
り、職員の人件費、共通費
も含む。人件費把握には、
研究者の研究課題別時間管
理が必要となる。窯業技術
センター以外では、研究者
の業務日報が未作成で、研
究者の時間管理が全く行わ
れていないことを意味して
おり、研究課題・業務別の
時間割合も把握できず、原
価管理もできない。今後、
研究課題別原価管理のため
の具体的な検討が必要であ
る。
業務管理については、今後の
課題と認識しており、各機関
の状況に合わせて、日報作成
等の方策を検討していきま
す。
業務報告書の記載について、 ほぼ共通化していると判断
決算数値や各研究機関の沿 される。特に言及するところ
革・組織、研究概要等につい はない。
ては共通項目として平成 18
年度分の業務報告から反映
できるよう検討しています。
また、ホームページでの公
表については、データ化が可
能な過年度分の登録を随時
すすめており、平成 18 年度
分についても、全ての機関で
順次公表していく方針です。
332
支出項目についてはプロジ
ェクトコードごとに分類集
計している。
ただし、監査の論点である人
件費のプロジェクトへの振
り分けについては、方策の
「検討」がなされていない。
措置において「検討する」と
の記述をしている以上、何ら
かのアクションが必要であ
る。(意見)
26
27
試験研
究 H17
試験研
究 H17
ト.研究データの管理及び
情報セキュリティについて
県の「情報セキュリティ対
策基準」に整合した、情報
資産の重要度に応じた管理
のできる規定等の整備を急
ぎ、管理者が遵守状態を適
時チェックできる仕組み及
び運用体制の整備が必要で
ある。
県庁LANと分離した試験
場LANが存在し、県で定
めた管理規定外で知的財産
に属する可能性が高い情報
が、管理・処理されている
点は問題である。
ナ.共同技術研究について
共同技術開発に関連して生
じた発明等の取扱いや、共
同技術開発の相手企業側に
一定の成果が生じた場合は
ロイヤリティ収入等を収受
できるように、共同技術開
発申請時に覚書等を取り交
わすことが望ましい。
「情報セキュリティ対策基
準」等を所管する情報政策課
と協議の上で検討した結果、
独自LANが存在する研究
機関については、平成 18 年
度中に研究機関毎の「LAN
運用管理手順書」を作成・施
行し、県の情報セキュリティ
ポリシーに沿った体制とし
ます。
LAN 運用管理手順書を平成
22 年 12 月に制定している。
ID、パスワードが、マシン単
位で割り当てられ共用され
ており、職員一人に対する割
り当ては行われていない。ま
た、最長でも3か月に一回の
更新が求められているパス
ワードの更新も管理されて
いない。運用上の問題として
是正すべきである。(指摘)
また、廃棄時のデータ消去に
ついても物理的破壊の確実
な履行を可能にするよう、廃
棄時の報告をもとめるよう
周知徹底するべきである。機
密文書については、センター
では運用管理手順書(及び情
報セキュリティ対策基準)に
定める重要度A,Bの文書は
ないとのことであったが、情
報セキュリティ責任者が、
A,B文書の該当がなく、重
要度の低いCしかないこと
を承認する文書作成はない
とのことであった。管理者及
び責任者の検討結果を文書
として残すべきである。(意
見)
特許権等の実施許諾による 県での検討の結果、特許権に
実施料の収受は、61 管第 71 至らない、ノウハウについて
号総務部長通知「特許権等の ロイヤリティ収入を収受す
実施許諾の取扱いについて」 ることについては、現状難し
において、特許権等は特許 く、措置内容と同様の考えで
権、実用新案権、登録商標、 あった。
意匠権、著作権、登録品種及
び出願公表品種と定められ
ており、ノウハウの取扱いが
決定められていないため、現
状の取り扱いでは企業等か
らロイヤリティ収入を収受
することができない状況で
す。
一方、
(独)産業技術総合研
究所や(独)科学技術振興機
構等の国の関係機関におい
ては技術的なノウハウを指
定し、その技術の利用につい
ても実施料収入を得ており
ます。このような国等の先行
状況、また他県の動向等を調
査したうえで、今後は、関係
課と協議しながら県研究機
関の技術ノウハウの取扱い
を検討していきます。
333
28
試験研
究 H17
ネ.研究員の育成と技術の
継承について
研究員の年代的ばらつきが
極端な機関もあり、キャリ
アパス、スキルアップ等の
面から、各年代に適正な人
員を配置し、次世代への円
滑な技術伝承が必要と考え
る。優れた研究者の育成は、
一朝一夕には難しく、政策
調整局研究人材育成プログ
ラムに沿った実効性ある行
動が望まれる。
本県の人材育成方針である
「ながさき人材育成プラン
21」及び各部局毎に策定して
いる当局の「研究人材育成プ
ログラム」に基づき、研究員
の人材育成に努めます。
長崎県農林技術開発の推進
構想にもあるが、研究人材育
成方針(キャリアパス)によ
り、研究員の資質向上など人
材育成と確保を図っている。
29
試験研
究 H17
ハ.農林系試験研究機関の
統合について
市町村合併に先進的であ
り、農協・漁協の合併も進
めてきた長崎県として、次
に着手すべきは試験研究機
関を含めた県機関の統合・
スリム化である。農林系各
試験場では、最近3年間に
も組織のスリム化が図られ
てきたが、更なる効率化を
追求するためにも3試験場
統合の検討が望ましい。
農林系3試験場のあり方に
ついて検討を行っており、新
しい時代の要請や農業を取
り巻く内外の環境変化に的
確に対応できる研究機関を
目指します。
既に平成 21 年に統合してい
る。
30
試験研
究 H17
ヒ.九州の試験研究機関と
の連携について
10∼20 年先と言われる道州
制が実現すれば、九州各県
の試験研究機関の統廃合が
考えられる。現状では道州
制に先行する形で、他県と
の連携、交流を更に深めて
いくことが望まれる。
工業系、農業系および水産系
の各公設試験研究機関の連
携については、既に九州各県
との連携は進めており、今後
その取り組みを一層強化し
ていきます。
九州沖縄農業試験研究推進
会議や九州地区場所長会な
どで九州各県の連携研究課
題の抽出、選定を進め、連携
研究に取り組んでいる。
2.追加検討した事項
(1)従物内訳表の整備について(指摘)
農林技術開発センターにおいては、従物(工作物等)内訳表が整備されていない。果樹
研究部門の一部工作物についてについて作成されているものの、ほとんどが作成されてい
ない状況にある。
「土地、建物の従物(工作物等)の公有財産台帳等への登載について」
(平
成 20 年 10 月 16 日 20 管第 89 号総務部長通知)に基づき整備を進める必要がある。
334
(2)農薬等の事務手続きに関して
開発センターの保管する農薬等について「毒物劇物危害防止規定」に準拠して事務処理
がなされているか検証した。
①
劇毒物消耗品出納簿兼管理簿をもととしたサンプリングによる現物照合の再実施結果
について
ア.劇毒物消耗品出納簿兼管理簿の記入の見直しについて(意見)
「毒物劇物危害防止規定
6.注意及び確認事項(1)」には以下のような定めがある。
取り扱う毒物劇物の名称・保管量についての数量の記入については、受入時は製品の単位(○○リットル
瓶○本)で記入、払出時は毒物についてはグラム・リットル単位で記録し、劇物に関しても同様とするが、
計測が不可能な場合などやむを得ない場合はこの限りではない。
サンプリングした毒劇物の一部に関しては開封して一部使用したと見られる瓶に関して
も本数単位で記載されているものもあった。
次回、センターで現物確認をする際に「毒物劇物危害防止規定」の6.に則り、特に前期
から繰り越されて動きが無い毒劇物に関しても劇毒物消耗品出納簿兼管理簿に再度詳細に
記入し、残量が一目瞭然にわかるように改善するべきと考える。
イ.現物照合での不一致について(指摘)
現物実査した際、下記の毒物に関しては劇毒物消耗品出納簿兼管理簿と現物との一致を
検証できなかった(ただし、後日再検証したところ、現物の存在は確認されている)。
場所
配置場所
分類
品名
野菜研究室
調査室冷蔵庫
毒薬
ヨウ化第二水銀 15%水溶液
現物実査の際、出納簿では1本が残量として記載されていたが、現物の確認ができなか
った。この原因は、ヨウ化第二水銀 15%水溶液を充てんした容器をビニール袋に包んで冷
蔵庫に保管していたが、そのビニール袋に「アンモニア」とマジックで書かれていたため、
現物実査を行った担当者が照合できなかったことによる。適切な保管方法が求められる。
更に現場に野菜研究室担当者がいないという事も、その管理体制自体問題ではないかと
思われる(保管については下記と同様である)
。
ウ.必要時以外の施錠管理の未実施について(指摘)
保管場所に関して、「毒物劇物危害防止規定 6.注意及び確認事項(3)取扱いについて」
で下記のように記載されている。
毒物劇物は施錠可能な専用の施設や保管庫に貯蔵し、必要時以外は開錠しないこと。
335
この規定が順守されていない事例が以下のものである。
No
場所
配置場所
分類
品名
1
花き・生物工学研究室
花き管理棟
劇薬
クロルピクリン錠剤
2
土壌肥料研究室
土壌実験室
劇薬
メタノール
(ⅰ)上表 No1「クロルピクリン錠剤」について
劇毒物消耗品出納簿兼管理簿に「3 袋」と記載されている(写真(左)では 4 袋あるが、
監査当日に 2 袋納品され、1 袋が追加、もうひとつは横の冷蔵庫(写真右)に保管されてい
る)保管場所は普通の冷蔵庫であり、鍵がついていないものであった。
これについては、担当者の話によるとかなり危険なもので少量でも口にすると死に至る
というものであることからも、早急に適正な保管場所に貯蔵すべきである。
(ⅱ)表 No2「メタノール」について
劇毒物消耗品出納簿兼管理簿に 10 本と記載されているが、そのうち 4 本はダンボールの
まま鍵のない場所に保管、また 1 本は実験室に置いてあった。
このうち 8 本は平成 24 年 8 月 27 日に購入したものであり、監査日の平成 24 年 11 月 16
日よりかなり以前のものであり、そのままダンボールに放置するのは明らかに不適切であ
り、早急に改善が必要である。
エ.不要在庫に係る処分予算の設定について(指摘)
336
今後使用見込みのない水銀、シアン、クロムに関しては長崎県に処分できる業者がなく、
また処分に相応の予算が必要であるため、かなり以前から在庫として貯蔵されている(写
真右は、写真左の管理庫から出された薬品類)
。
また写真の他にも今後使用する見込がなく、使用期限切れでありながら、処分コストの
観点から処分していない毒物劇物もかなり貯蔵されているとのコメントもあった。
在庫として貯蔵されている以上、規定等に則り、定期的に在庫を確認する手続が必要と
なるとともに、容器破損による流出(最悪、土壌汚染も想定される)や盗難等の危険もあ
ることから、不要な在庫については処分予算を設けるよう、調整するべきである。
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