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Tractor test: John Deere 6830 Premium AutoQuad Plus ィア社では、この操作順序が安全機 ジョンディア6830型プレミアムの長所と短所 能なのだと主張している。 一方、驚くべきことだが、デフロ ックはいまだにペダル操作になって 長 所 短 所 ・選択可能で効果的な前車軸懸垂装置 ・車体前面のウエイト(重し)の着脱に時間がかかる。 ・効率的なオートエアコン ・グリーンスター社製のタッチスクリーンの取り付 ・精密な燃費計 おり、自動的に解除するセンサーが け位置は座席から遠すぎる。それに、GPS警報装 ・鮮明な表示のスプールボタン 付いていない。対処法として前輪の 置の全てのスイッチをオフにはできない。 ・快適な運転席のサスペンション ・砂埃がダッシュボードの下から侵入するが、ユーザ サスペンションが開発されたのだが、 ーが参照する迅速で鮮明なデジタル走行速度表 示には表示されない。 そこにはTLSII型の車軸がマックス、 ・基本エンジン回転計がない。 (2008年に利用可能) ・HMS(先端管理システム)は自動ヘッドランドPTO オート、マニュアルのオプションで エンゲージメント・システムにアクセスしなければ 提供されている。 ョンディア社の技術開発のテ ジ 作動しない。 1 ーマは、多くの仕事を自社の 新しいHMS(先端管理システム)の 中で進行させることなので、現在、 5 多くの機能と記憶装置の選択肢が提 供されている。しかし、我われの見 方としては、巨大な推奨パッケージ の中には削除してもよいものがいく つか含まれている。オート・トラッ ク・ガイダンスをHMSの手法で、も 2 3 ジョンディア社は、夜中でも向こうずねを打ったりする ことがないように乗降ステップ用の照明オプション (82ポンド)を提供している。 電動ミラー調整機能は333ポンドでオプションリストに 掲載されている。 助手席にはスプリング・サスペンション装置(238ポンド) を取り付け可能。後ろには冷蔵庫(236ポンド) も置ける。 4 6 後部のスペースは切り詰められている。特に油圧式トップ・リンクが 結合している部分。 道具箱は高温の排気筒の下にひっそりと押し込まれている。 泥除けの上に搭載したコントロール装置は最新のデザインに変更す るべきだろう。 っと完全なシステムに組み上げて欲し いと我われは望んでいるし、オプショ 設定を変更できるよう、ごく最近コマ ンディア社が2008年度モデルの容量を ン商品についてもHMSに基づいて納 ンドセンターが改善されている。 250rに増やしたという事実を歓迎す 期を守り、ディスタンス・コントロー サービスとメンテナンスに関して る。オプションのタンクを付ければ最 ル(距離制御)も実現して欲しい。と は、テストに使用したトラクタの燃 高325r (以前からこれがイギリス製ト はいえ、一つのシステムしか望めない 料タンクの容量は207rだったが、で ラクタの標準)になりもっと遠くまで のならば、 「距離」 の方を望みたい。ち きれば容量を増やしてもらいたいと 行くことができる。 (つづく) なみに、作業手順のどの段階でも距離 感じた。それゆえに、我われはジョ ジョンディアトラクタのヘビーユーザー ハイテク装備もいろいろ備えているが、やはりジョンディアト ラクタの一番の特徴は、丈夫さとセンタークローズドシステムの 油圧だろう。ジョンディア社のエンジンが壊れたなどという話を 聞いたことがない。それに比べてNHのエンジンは……。 10年使用したジョンディアトラクタは新車の1/3以上の価格 で売買可能だが、それ以外のトラクタは1/5以下だ。普通、ト ラクタは20年以上利用するものだ。丈夫なエンジン車体が付い て、同じ馬力でたった100万円の違いで緑色以外のトラクタを 購入する気にはなれない。ロータリをメインで使うのであれば 緑色以外のトラクタで十分だが、私の経験を踏まえても、緑色 とそれ以外のトラクタで同じプラウ作業をした場合、明らかに 結果が異なる。現在はプラウ作業を行なうことはなくなったが、 耕起・播種でけん引作業になると緑色のトラクタの油圧システ ムに多大感謝!となる。センタークローズドシステムは油圧操 作を速やかに行なえ、複数の油圧操作を行なう場合でも片一方 の油圧低下を招くといった心配がない。 親の代にはフォードトラクタを使っており、それが普通だと 考えていたが、海外実習先のホストファミリーからジョンディ ア以外はトラクタではないと言われてから、事実に気が付いた。 米国では、トラクタはジョンディア以外でも必ずジョンディア の作業機を使用している。やはり、日本の様に檀家などという 言葉が異常な考えなのだろう。(つづく) みやい・よしまさ●㈲西南農場代表取締役。北海道長沼町で水田110ha、麦 50ha、大豆60haを作付け。トラクタやコンバインなど、機械のほとんどは米 国のジョンディア代理店から直接購入したものを愛用。 農業経営者 2008年 12月号 72 ヨーロッパの農業機械テストの権威、 ドイツ「profi」誌に掲載された世界の農業機械情報 VOL. 「ジョンディア6830」 3 トラクタテスト こ のトラクタは、ロアリンク・ 歓迎するが、画面はもう少し大きく てみると他のどんな製品にも勝る先 コントロールが可能な作業機 しても良かっただろう。特に、操作 進的な感覚を感じられる。 械を装着できるが、それ自体はそれ 用の緑色のボタンと黒色のダイヤル さらに、540/540Eと1,000rpmとい ほど馴染み深い技術ではない。機械 はもう少し近づけた方が良い。それ う信頼性の高い3種類の変速ギアを持 的な深度制御の問題も残されている。 に、いくつかの操作が分かりにくい つ6830型には、まだ隠された機能が しかし、その大部分は持ち上げる高 のも気になるところだ。 ある。トラクタを駆動する前に、車 さの最大値や降下率の設定などのロ だが、全体的な開発思想は正しい 体下側のPTO装置を運転席で起動す アリンク動作に関係する領域なので、 し、決して間違ってはいない。2008 る必要があるような場合、後部のボ ここではコマンドセンターの長所と 年のジョンディアトラクタを運転し タンでも制御できるのだ。ジョンデ 短所の話をしよう。 ボタン操作で素早く関連画面にア クセスできるコマンドセンターは便 ■ジョンディア6830型プレミアムの揚力と必要条件 持ち上げ能力(単位:daN……1daN=10N=1.01972kg重) 利なものだが、手を使わねばならな い作業をする時には不便である。ス 3,790kg(複合耕作機械) プール(注1)設定やその操作をする時 にも不便を感じる。画面上にスプー ル用のボタンをセッティングするの 1,585kg(プラウ) は単純なことだが、実際に操作する 際の手順は、太いレバーを使って行 なう厄介なものだ。 コマンドセンター自体は、ジョン ディア社の努力の賜物として心から ロアリンク (ロングリフトアーム) :持続揚力6,055daN、稼働範囲64.8㎝ (ショートリフトアーム) :持続揚力6,825daN、稼働範囲52.3㎝ ロアリンク 稼働範囲(単位:㎝) 灰色の曲線は、 ロアリンクのリフトアームで行なった連続持ち上げ作業テストの結果を示している (最大出力の90%)。白色の曲線は 出力を800daN以上減らして12㎝短い稼働範囲で行なったテストの結果を示している。平たんで抑制の効いたこの2つの線からは、 ジ ョンディア6830型が最も重い収穫機械を頂点まで必死で持ち上げている様子がうかがえる。 (注1)スプール……入出力データを高速処理できるように、一時的に記憶装置(メモリやハードディスク)の特定の場所にデータを蓄えておくこと。 73 農業経営者 2008年 12月号