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冊子を見る(PDFファイル : 1.99MB) - 政策科学部

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冊子を見る(PDFファイル : 1.99MB) - 政策科学部
立命館大学政策科学部
〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1
TEL 075-465-7877
URL http:/www.ps.ritsumei.ac.jp/
地域貢献冊子シリーズ№6 立命館大学政策科学部
2009年3月25日
木屋町の活性化の課題と方策の提案
2007∼8年度石原ゼミナール
木木木
平成20年度質の高い大学教育推進プログラム採択事業
木屋町の活性化の課題と方策の提案
2007∼8年度石原ゼミナール
地域貢献冊子シリーズ No.6
立命館大学政策科学部
2
目 次
Ⅰ.昼間の木屋町活性化
(末木 理美、高島 正州、西脇 圭子)…………
5
Ⅱ.高瀬川を活用した木屋町活性化ガイドライン
(若山恵理嘉)…………
23
Ⅲ.∼立誠 自転車維新 自転車まちづくり#1を目指して∼
(岩崎 万季)…………
33
Ⅳ.木屋町における美術品展示とポイ捨てゴミの量的変化について
(伊藤 大輔)…………
39
(多田 美保)…………
45
Ⅴ.木屋町まちづくりプロモーションビデオの作成
Ⅵ.京都市における「創造都市」としての可能性と方向性に関する考察
―立誠学区における文化芸術による地域のまちづくりモデル事業のケーススタディー
(藤本 礼子)…………
51
Ⅶ.木屋町界隈における合意形成型景観まちづくりに関する研究
(別所 弘茂)…………
59
冊子の発刊にあたって
立命館大学政策科学部教授 石原 一彦
立命館大学政策科学部・政策科学研究科では、2007 年 2 月より木屋町に研究
拠点を設置しました。これ以降、地元の立誠まちづくり委員会などと緊密に連携し
ていただきながら、学生・院生の研究・学習活動を展開してきました。本冊子は、
卒業論文を中心とした学生・院生の研究成果の要約を取りまとめたものです。ご一
覧いただき、忌憚のないご意見を頂ければ幸いです。
立誠まちづくり委員会の山本会長をはじめとしてメンバーの方々や諸関係団体の
方々には多大な協力をいただきました。厚くお礼を申し上げます。
立命館大学政策科学部・政策科学研究科では、2006 年度に採択を受けた「ロー
カルガバナンスの政策実践研究(大学院 GP、文部科学省の補助金)」に基づき、
オンサイト研究拠点として 2007 年 2 月より木屋町に研究拠点を設置しました。
これ以降、地元の立誠まちづくり委員会などと緊密な連携をとりながら、学生、院
生の研究、学習活動を展開してきました。この研究拠点を活用して展開してきた主
な研究・学習活動の概要は以下のとおりです。
2007 年度
① 1 回生のフレッシャーズ・リーダーズ・キャンプにおいて木屋町の不法駐輪問
題をテーマに演習を展開
政策科学部 1 回生は、
5 月に 1 泊 2 日で政策演習キャンプを行います。この年は、
木屋町における不法駐輪問題をテーマとして、データを示しながらロールプレイ
ング方式で多様な主体の立場を考えながら、問題解決演習に取り組みました。
② 2 回生の研究入門フォーラムの「Decoding Kyoto」プロジェクトにおいて、
木屋町共栄会の店舗紹介マップの英語版を作成
1
木屋町共栄会の店舗紹介マップをもとにして、その英語版を作成しました。英
語版作成にあたっては、単純に英訳するのではなく、日本料理などの日本文化を
どのようにすれば海外の方に伝わるかといったことを考え、作成しています。
③石原ゼミ 3、4 回生が研究活動を展開
3 回生を中心に、木屋町を対象として「ゴミの不法投棄問題」
「不法駐輪対策」
「ま
ちのバリアフリー化」「昼間の活性化」「高瀬川の有効活用」「景観提案」「立誠小
学校の活用」などに取り組みました。これらの実態調査及び提案は 11 月の「ま
なびや 2007」のシンポジウム「激論、木屋町大改造」において報告され、木
屋町や立誠学区に関わる皆様に貴重なご意見をいただきました。これらは 11 人
の 3 回生ゼミレポートと 1 人の卒業論文として取りまとめられました。
④大学院生が木屋町の屋外広告物景観をテーマに研究活動を展開
大学院生1名が木屋町の屋外広告物景観問題をテーマに研究に取り組みました。
⑤多様な地域活動に参加
夜間パトロール、高瀬川清掃、高瀬川桜まつり、高瀬川夏祭り、まなびや
2007 などの多様な地域活動に参加させていただきました。これらの活動に参
加し、学生や院生は地域の方々との良好な関係を築かさせていただくだけでなく、
木屋町や立誠学区の現状を注視し、地域の方々から有効な話をおうかがいする貴
重な機会でした。
2008 年度
① 1 回生のフレッシャーズ・リーダーズ・キャンプにおいて木屋町の屋外広告物
問題をテーマに演習を展開
2007 年度と同様に、「木屋町の屋外広告物問題」をテーマにして、ロールプ
レイング方式で多様な主体の立場を考えながら問題解決演習に取り組みました。
②引き続き石原ゼミ 4 回生が研究活動を展開
引き続き、木屋町を対象として「ゴミの不法投棄問題」
「不法駐輪対策」「昼
間の活性化」「高瀬川の有効活用」「木屋町のまちづくりのプロモーションビデ
オ」などに取り組みました。これらの実態調査及び提案は 10 月の「まなびや
2008」のシンポジウム「木屋町未来予想図」において報告され、木屋町や立誠
学区に関わる皆様に貴重なご意見をいただきました。これらは 7 人の卒業論文
2
として取りまとめられました。
③引き続き大学院生が木屋町の屋外広告物景観をテーマに研究活動を展開
引き続き、大学院生1名が木屋町の屋外広告物景観問題をテーマに研究に取り
組み、木屋町地域の営業者を対象としたアンケート調査等を行いました。この研
究は修士論文としてまとめられています。
④引き続き多様な地域活動に参加
引き続き、夜間パトロール、高瀬川清掃、高瀬川桜まつり、高瀬川夏祭り、ま
なびや 2008 などの多様な地域活動に参加させていただきました。
これらの多様な活動を展開するにあたっては、立誠まちづくり委員会の山本会長
をはじめとしてメンバーの方々や諸関係団体の方々には多大な協力をいただきまし
た。学生・院生たちは、現実のまちづくりの現場で、実際にある課題を題材とし、
未熟ながらも政策提案を考え、これらに対する地元の皆様の貴重な意見をうかがう
ことができました。机やパソコンの前では決して得られることのできない貴重な経
験を得ることができたと思います。重ねて厚くお礼を申し上げます。
本冊子は、概ね 2 年間にわたる石原ゼミにおける学生・院生の学習・研究成果
をまとめたものです。提案には、稚拙な面もあるかもしれませんが、外部の目、第
三者の目から見た木屋町や立誠学区の姿、若者ならではの視点といったものが含ま
れていると考えます。立誠学区に関わる皆様には、ぜひご一読いただき、また忌憚
のないご意見をいただければ幸いです。
3
昼間の木屋町活性化
末木 理美、高島 正州、西脇 圭子
1 全体テーマの設定
文責:西脇圭子
テーマ: 若者が活躍するまち・木屋町
芸術系の学生達が立誠小学校等を利用しアート作品を展示していることに着目し
た。これ以外にも、木屋町のオープンスペースを利用してカフェ開業志望の若者が
カフェを営んだり、空きテナントを利用して若者がショップを運営してはどうか。
地域全体が、若者が活躍する舞台として機能すれば、地域独自のカラーともなり得
る。以上からこのテーマを掲げた。
ターゲット:20 代∼ 30 代の若者
上記のテーマに掲げた内容で木屋町を舞台に活躍する若者と同世代の 20 代∼
30 代の若者とする。商品やサービス、空間を作り出す担い手が、まちを訪れる客
のニーズを把握することができ、相互効果が計れるのではないかと考えた。
2 活性化のステップ
昼間の活性化において4つの方策を再検討した。
【方策Ⅰ】カフェの設置による呼び込み 【方策Ⅱ】若者が運営するショップ等の充実
【方策Ⅲ】総合案内所 de 木屋町 【方策Ⅳ】コミュニティ道路の再整備
この4つは順に段階を踏んで実施していくこと、互いに連携し相乗効果によって
その効果が生まれてくると考える。
3【方策Ⅰ】カフェの設置による呼び込み
緑豊かで都会のオアシス的な木屋町にカフェを設置すれば、河原町界隈で買い物
などを楽しむ人々も木屋町のカフェでくつろぐことができる。それにより昼間木屋
5
町にふらっと訪れることができるような仕組みを作る。
Ⅰ.カフェの種類
高瀬川などの資源を堪能してもらうため、オープンカフェ、ワゴンカフェといっ
たものを設置する。
左→三条通りのオープンカフェ(http://geco.exblog.jp/3975129/ 最終アクセス日:2008/12/9)
右→那覇市のワゴンカフェ(http://www.musu-b.com/musu-coco/2007/07/post_51.html 最終
アクセス日:2008/12/9)
Ⅱ.オープンカフェ・ワゴンカフェの設置方法と公共空間活用について
設置する場所は公共空間である場合が多い。欧米諸国では公共空間設置は多く見
られるが、日本では多くないのが現状だ。しかしここ数年来、公共空間をまちの賑
わいの場として再生する取り組みが全国各地で進んでいる。公共空間利用に当たっ
ては、様々な制度的枠組みが存在するが、近年国土交通省により道路の社会実験の
中でオープンカフェ実験が行われるなど、公共空間の活用に対する柔軟化の流れが
全国的に起こっている。以下に、木屋町においてオープンカフェを設置する方法を
考えるに当たり参考・比較事例とした都市を紹介する。
広島市・京橋川「水辺のオープンカフェ」
1995 年、まちなかでオープンカフェを楽しみたいという市民の有志が集まっ
てできた「カフェテラス倶楽部」が自らの手で公園や緑地を使って試行的にカフェ
テラスを実践した。
2000 年から地元まちづくり委員会がまちづくり活動の一環として、非営利で
のオープンカフェを実施してきた。これは、河岸緑地に隣接するホテル 2 社にオー
6
プンカフェの運営を委託し、利益があった場合にはまちづくりの活動費として同委
員会に還元する仕組みで行われていた。この事例は、水辺を利用したオープンカフェ
であること、また地元まちづくり委員会が主導となり、周辺店舗・組織に協力を得
ての仕組みで成り立っているという点から、木屋町のオープンカフェ設置において
参考になり得る。しかし成功の背景には、広島市が「水の都」をテーマに掲げ、推
進のために国・県・市の三者が協力し様々な取り組みを行うという公的なバックアッ
が成功において大きいと思われる。木屋町にはそういった位置づけがないため、実
施状況としては異なってくる。京都市が定める各種地域指定や取組等と木屋町がい
かに関わることができるか模索し、制度面・資金面でのバックアップを得ることが
できるか考える必要がある。
東京都 ・ 大丸有地区のネオ屋台村
東京都心における公共空間では、ネオ屋台と呼ばれるケータリングカーによる飲
食を提供する屋台が、屋台群となって 2003 年より展開している。ネオ屋台村の
管理・運営体制は以下の仕組みである。まず実施場所の許可としては、土地を提供
しているビルに使用料を払うことによって誰でも使用できる。そして、運営・管
理主体であるトウキョウドゥは ネオ屋台村で営業を行いたい屋台を募集し登録さ
せ、トウキョウドゥが確保した公共空間を出店場所として斡旋している。ネオ屋台
村の設置により、土地提供者はその土地・地域の認知度を上げることができ、また
周辺のテナントへの波及効果を得るというメリットを得ている。ネオ屋台の特性と
しては、①仮設性による公共空間での柔軟性、②気軽に店を利用できる、③誘致す
る側の設備費が少なくて済む、④他のテナントとの相乗効果などが挙げられる。こ
の事例は、先に述べたネオ屋台の特性が、木屋町におけるワゴンカフェの設置に望
める効果と合致することや、土地の提供者と管理・運営主体がいれば木屋町でも実
現可能であることから参考となり得る。しかし、
「ランチ難民」のような潜在需要
があったことが成功において大きく、木屋町においての実施状況としては異なって
いる。木屋町においてはまずは短期で実験的に実施し、状況を見てみる必要がある。
Ⅲ.京都・木屋町近隣のオープンカフェ・ワゴンカフェへのヒアリング調査
京都での事例を探るべく、三条通りにあるオープンカフェ1店舗とワゴンカフェ
7
1店舗に対しヒアリング調査を行った。
◆ヒアリング実施日:2008 年 12 月 11 日
◆ヒアリング項目:①どこかに許可を申請し営業を行っているか
②許可申請を行っている場合、具体的にどこに行っているか
③店の発案者は誰か
④出店場所として、この場所を選んだのはなぜか
⑤木屋町に出店してみてはどうかという案があればどう思うか
⑥⑤でそう答えたのはなぜか
⑦木屋町にオープンカフェ・ワゴンカフェを出店する場合に必
要な要素はなにか
①②に関しては、基本的に出店場所の土地提供者と保健所に許可を取れば出店可
能だということだった。移動式カフェに関しては、京都では取り締まりが厳しくほ
ぼ出店が不可能だそうだ。③に関しては、個人や文化施設、NPO という回答が得
られた。いずれにしても、経営協力や土地提供をしているスポンサーがバックアッ
プしていることがわかった。④に関しては、三条通りが環境的に好ましいからとい
うよりは土地提供者がその場所を指定したからといった回答だった。⑤⑥に関して
は、求める客層が見込めないという理由で興味を持たないと意見や、単純に興味を
持つという意見もあった。⑦に関しては、治安が良いこと、人通りが多いことなど
が挙げられた。現状の木屋町にオープンカフェを設置するのはかなり難しいが、桜
の美しい時期限定でやるなど、まずは期間限定で実施して人を呼び込むことから始
めてはどうかという意見を得た。
Ⅳ.方策実現による効果予測と実現に向けての課題
方策実現による効果予測
◇昼間の木屋町に人々が訪れる一きっかけの存在構築
◇河原町界隈での喫茶・休息場所の混雑の緩和
◇京都中心部の一道路における憩いの場の創出
◇木屋町全体のイメージの向上(歓楽街だけではないまちとして)
実現に向けての課題
◆実施する場所の確保
8
⇒(元立誠小学校跡地の前のスペースなど)実施場所の管理者に許可申請する。
◆保健所への許可申請
◆カフェを管理・運営・斡旋する主体の構築
⇒「総合案内所 de 木屋町」で立ち上げる NPO との連携など。
◆明確なルールの構築
⇒清掃や営業時間など。
◆ 1 番集客が見込める時期に実験的に実施し効果を考察する
⇒桜のシーズンなど。
以上を踏まえ、木屋町においてオープンカフェ・ワゴンカフェを設置することは
必ずしも不可能なことではないと言えるのではないだろうか。先ずは桜の美しい時
期に期間限定で実施する。そしてそこから木屋町のオープンカフェの認知を広げ、
常設に向けての課題を探ればどうか。
(注1)「パブリック・ライフ」… 従来ただ通行するだけであったまちなかの公共空間において豊かな時間
を過ごすという楽しみ。
(「公共空間の活用と賑わいまちづくり」より)
(注2)「コンパクト・シティ」… 徒歩による移動性を重視し、様々な機能が比較的小さなエリアに高密に
詰まっている都市形態のこと。
(EIC ネット環境用語集より)
(注3)「ランチ難民」…………… 東京のオフィス街等で、昼間のランチ需要が多いため、なかなか昼食に
ありつけないでいる人々のこと。
(「公共空間の活用と賑わいまちづくり」
より)
4【方策Ⅱ】若者が運営するショップ等の充実
Ⅰ.木屋町近隣地域のテナントへのヒアリング調査
木屋町でのテナント充実の際のターゲットとほぼ同等のターゲット層を見込んで
いる店舗に対し、ヒアリング調査を行った。
◆ヒアリング調査実施日:2008 年 9 月 2 日
◆実施場所:四条河原町界隈
◆実施対象:服屋(3 店舗)、靴屋(2 店舗)
、雑貨屋、帽子屋、カフェ(2 店舗)
、
眼鏡屋
◆ヒアリング項目:①木屋町界隈の印象
②木屋町は店舗出店場所として適しているか
③②の理由
9
④店舗出店条件として木屋町に必要なものは何か
調査結果
8
12
a.夜のまち
7
10
6
b.人通りが少ない
8
5
4
c.自然が多い
3
1
d.歴史史跡が点在して
いる
e.治安が悪い
0
f.その他
2
Q.あなたから見て木屋町界隈の印象はどのよ
うなものですか?
4
2
0
Q.木屋町に現在の店舗を出店する場合、立地として適していると思いますか?
5
a.夜のイメージだから
4
b.昼間に人通りが悪い
3
6
a.人通りが多いこと
5
b.賃貸料が手ごろなこと
4
c.周辺の競合他社が多
いこと
d.周辺の競合他社が少
ないこと
e.治安が良いこと
3
2
c.営業時間帯での集客
が見込めない
d.周辺環境
1
e.なんとなく
1
2
0
f.飲食店向きだから
0
a.はい
b.いいえ
6
Q.木屋町に店舗を出店する条件として必要
だと考えるものは何ですか?
Q.その理由
f.商圏特性が一致する
こと
g.客単価が同等の店が
周辺にあること
以上のことから、人通りが多いことや治安の改善が必要だということがわかった。
また、既存のブランドが木屋町出店に対してほぼ興味を持っていないことがわかっ
た。
Ⅱ.若者によるショップの運営
Ⅰ.の調査を踏まえ再検討を行った結果、若者によるショップの運営というもの
に着目した。若者が、小貸しスペースで店を出すことを地域が斡旋することによっ
て、木屋町が若者の活躍できるまちとしての顔を持つといった内容だ。
◆実施場所:ビルなどの空き部屋、空きテナントなどの小スペースを安価、一定
の条件で貸す。
◆周辺地域との差別化:
①ビルなどの小スペースを利用するため、冒険・穴場感を創出する。これによ
り、近隣のデパートやショッピングモールとの差別化を図ることができる。
10
②有名ブランドやショップとは違い、オンリーワン的な商品を提供する。多種
多様なニーズが渦巻く現代において、独自ブランドの展開によりニーズの充
足を図る。
Ⅲ.木更津市の「若者チャレンジ精神でまち再生」の事例
若者によるショップ運営の参考事例として、木更津市の「若者チャレンジ精神で
まち再生」を参考にした。駅前の空きビルの中にできた「LET S きさらづ」は市
民活動支援、市民起業家創業支援及び地域活性化を目的とし、若者が中心になって
運営している。その中での取り組みの 1 つ「チャレンジショップ運営」は、ビジ
ネスとボランティアの中間形態としてコミュニティビジネスを目指す人を対象にし
ている。その卒業生は約 40 組あり、そのうち 17 組が独立して開業している。業
種は衣料、雑貨、リラクゼーション関係が多い。
この仕組みは、公(木更津市)が表に出ず、場と資金を提供して、若者の発想と
情熱に委ねていることが大きな特徴である。運営を担っている民間主体も少ない収
入ながら情熱的に取り組んでいると評価されている。この事例は、仕組みにおいて
参考になるが、木屋町では木更津市においての市民活動支援事業のような資金源を
確保することが課題である。
Ⅳ.京都・手づくり市にみるショップ出店需要
京都市の知恩寺で行われている 「手づくり市」 (注2)では、毎回多くの店が出店し
ており、客足もかなり多い。出店者は素人で、売られている作品は雑貨、衣服から
食品にいたるまで様々である。店を出店するためには応募して抽選に当たらなけれ
ばならず、その競争率は高い。京都には他にも似たような市場・イベントがある。
もし木屋町で若者によるショップ運営の仕組みができれば、出店需要はあるものと
思われる。
Ⅴ.木屋町のテナント業者へのヒアリング調査
木屋町での若者によるショップ運営の実現可能性を探るため、木屋町にあるテナ
ント業者へヒアリング調査に行った。
◆ヒアリング調査実施日:2008 年 12 月 27 日
11
◆実施対象:木屋町にある居酒屋チェーン(ビル所有)
◆ヒアリング項目:①木屋町のテナントの賃貸料に関して ②「若者によるショッ
プ運営」をする場合安価で場所は提供可能か
《①に関して》
相場があるわけではなく、交渉や条件によって変わる。
《②に関して》
実施に当たり、場所の提供に関しては協力する方向で検討したい。開業まではサ
ポートできるが、その後の運営などには関せず、ショップ運営の当事者次第。
《提案全体に対してのコメント》
かつて、木屋町で似たような例を実施したことがある。学生が家賃も無料に近い
形でビルの一角で古着屋を始めたが運営体制がしっかりしておらず、すぐに無く
なった。そもそも木屋町は、河原町などの近辺にデパートやお店が多くそこで何で
もそろうため、あまり物品販売向けではない。運営体制の確立、店の存在のアピー
ル方法の模索が必要だと思う。先ずは「チャレンジの1年」という形で期間を決め
て実施し、考察してみてはどうか。
Ⅵ.方策実現による効果予測と実現に向けての課題
方策実現による効果予測
◇木屋町へ訪問する魅力の増加
◇京都のショッピングエリアの多層化
◇若者の店舗出店需要の充足・チャレンジ支援
実現に向けての課題
◆安価で場所を提供してくれるビル・テナント業者の確保
◆この仕組みを運営・維持する NPO などの団体の発足
⇒地元まちづくり委員会等との連携など。
◆店舗出店者の募集
◆仕組みの運営資金源の確保
⇒行政の取り組みや地域指定を上手く利用するなど。
◆店舗のアピール方法の模索
⇒地元誌やファッション雑誌への掲載など。
12
以上のことを踏まえ、この案の実現は不可能ではないが、運営資金源の確保と、
運営団体の仕組みの確立、運営主体の確保が今後の 1 番の課題である。また、物
品販売があまり成り立つ町ではないとされる木屋町において、その根本原因であろ
う河原町等の近隣地域との差別化を図ることも必要である。
(注1)「アクア木更津」………… 木更津市にある、ショッピング、レジャーなどの大型複合施設。
(注2)「手づくり市」 …………… 素人が原材料を自らの手で製品化し、自ら値をつけ、自ら販売すること
の喜びを味わい集う会。知恩寺において毎月 15 日に開かれている。
5-5 【方策Ⅲ】総合案内所 de 木屋町
文責:高島正州
Ⅰ.観光案内所について
▼全国の観光案内所の事例
全国には数多くの観光案内所があり、行政が主体となり設置しているものと、民
間が主体となり設置しているもの 2 つに分けられる。木屋町に提案する観光案内
所は、民間が主体となって設置・運営していくことを想定している。以下 2 つの
事例を、木屋町での観光案内所の設置への参考にする。
吉祥寺まち案内所
A)吉祥寺まち案内所とは
2004 年から吉祥寺総合案内運営委員会と NPO 法人まちづくり観光機構が
運営しており、上記のような簡単な質問にも気軽に答えてくれ、吉祥寺にきた
ら「とりあえず寄ってみよう」と言われるような、案内所を目指して活動して
いる。
B)吉祥寺まち案内所での仕事内容について
観光案内などの他に、
「吉祥寺コンシェルジュ」と呼ばれる人たちが存在し、
吉祥寺を訪れた人々、吉祥寺にいる人々にそれぞれの人々が必要とする情報を
提供している。雇用体系は、交通費を含んだ若干の謝礼は出るものの、あくま
でボランティアである。
C)まとめ
施設としては小さなものであるが、利用者には好評である。また、商店街や
駅からも 50m 前後と近く、利便性の良さも重要なことが分かる。木屋町も地
13
理的条件は鉄道や市バスに恵まれていると言える。吉祥寺の案内所は規模も木
屋町で想定しているものと似ており、木屋町で設置する際に参考になると考え
られる。
ふるさと案内 かも
A)ふるさと案内 かもとは平成 18 年に NPO 法人に登録された。豊かな自然の
中と歴史遺産の残る加茂が好きな人たちが集まり、その魅力を多くの人に伝え
残すために加茂内の多くの史跡や文化財を案内する「ふるさと案内人」として
活動している。
B)かもの活動内容について
・歩いて案内するボランティアガイド活動
・山路や旧跡の草刈りや清掃活動
・老人から昔話などを伝える活動
・子供のためのふるさと学習協力活動
C)まとめ
かもの観光案内は活動頻度も多くはなく、木屋町で想定している希望者に対
して観光案内するというものとは若干の距離がある。ただ、史跡や文化財を多
く有する点など、歴史遺産や自然を活かそうとする点は木屋町に通ずるところ
があるように思われる。
以上の事例から木屋町における観光案内所の設置への具体像を固めていく。
《活動内容》
・パンフレットの配布や職員による観光地の説明
・職員 ( ボランティア ) による実際の観光案内
・ホテルやタクシーなどの手配など
《設置場所》
・行政などが後押しした組織は公共交通機関に設置されることが多い
・民間(NPO 等)主体の場合は商店街などにも設置されている
・人の目につきやすい(人通りが多い)ところに設置することが重要である
《運営方法》
・行政や企業によるバックアップ
14
・観光案内などの収入による運営
Ⅱ.木屋町における観光について
▼木屋町の観光の現状
木屋町には価値ある史跡やショップ、カフェがあるが、どこに何があるのか分か
りづらいのが現状ではないだろうか。観光案内の立て札のようなものは立っている
が分かりづらい。以上のことから、私たちは初めて木屋町に来た人でも史跡や自然、
ショップなどの情報を簡単に得ることができる「総合観光案内所」が必要であると
考える。
Ⅲ.木屋町への提案
▼総合観光案内所 de 木屋町とは
木屋町の観光情報を総合的に取り扱う『総合観光案内所 de 木屋町』を提案する。
木屋町界隈の観光に関する情報を取り扱い発信する観光拠点のことである。
▼総合観光案内所 de 木屋町の具体的な仕事内容について
①設置場所について
設置場所は人目につきやすいことが重要である。これを考慮し、通りの中心近
くにありある「元立誠小学校」が最適であると考える。総合観光案内所を設置す
ることで、事前に多くの人々にお祭りなどの行事について広報することができ、
また訪れた人々にその存在を知ってもらうことでさらに相乗効果を生むことがで
きると考えている。
②総合観光案内所 de 木屋町の仕事内容について
・施設内での木屋町界隈の紹介、観光マップの提示、配布
・ボランティアによる木屋町の観光案内
・訪れた人々が簡単な休息を取れる場所の提供
③運営方法について
雇用方法は基本的にボランティアとする。事前に研修などを行い、その後に正
式なスタッフとして登録する。これは木屋町周辺には史跡が多いため、ある程度
の歴史的知識が必要だからである。案内所の開設時間は 11 時から 17 時時まで
15
の 6 時間程度を想定している。
▼総合観光案内所 de 木屋町の広報戦略
観光地の売り出し方法には様々な手法があるが、受け手となる観光客がその地域
の情報を得る手段は大きく以下の 3 つ分けられると考える。
・その地域が配布しているパンフレット等から情報を入手
・観光雑誌から情報を入手
・パソコンや携帯電話などによりインターネットから情報を入手
①地域が配布しているパンフレット等から情報を入手
地域内の観光振興組合や商店街などが作成している場合が多い。木屋町の場合、
周辺には祇園や新京極など平日でも人通りが多い地域があり、パンフレット等の
配布には大きな効果が期待される。
②観光雑誌から情報を入手
様々なものがあるが全国版の観光雑誌と「Leaf」などの地元版観光雑誌に分
けられる。そこで、「Leaf」に以下の 2 つの質問をした。
a)雑誌が地域を特集する場合、決定までのプロセスがあれば教えて欲しい
b)ある地域の特集を組んでもらえるように、お願いすることはできるのか
《質問 a に対しての返信》
・Leaf は京都・滋賀のタウン情報誌になるのでその中から特に限定した1エリ
アのみの特集ということない
・広告タイアップとして 1 ∼ 3 エリアほど企画するときもある
・その時期にあう、特集 ( グルメ中心 ) で検討している
《質問 b に対して》
・広告タイアップなら、可能性はある
・何かイベントなどの予定があれば検討することはできる
以上のことから、地元情報雑誌に特集を組んでもらうには桜祭りや夏祭りのよ
うな行事があればこちらからお願いし、取り扱ってもらうことは可能性がある。
しかし、基本的には掲載料のような料金が発生してしまい、金銭的に厳しいのが
現状である。
③パソコンや携帯電話などによりインターネットから情報を入手
16
木屋町を代表する HP のようなものを提案する。HP には木屋町の地図から史
跡や文化財などの紹介、飲食店の地図などを載せ、木屋町の総合的なサイトと位
置づけし、初心者の人でも分かりやすく作成する。
Ⅳ.まとめ
《課題》
①設置場所について
・小学校の空き教室を借りることができるのか
・借りられるとしたらどのくらいの期間借りられるのか
②仕事内容について
・木屋町の観光案内というだけで、人が来るのか
・休憩場所として来る人の方が多いのではないか
③運営方法について
・金銭面が一番の問題であり、どのように資金を捻出し運用していくのか
④広報について
・広報手段としての現在のパンフレットの配布などがあまり効果を上げていない
こと
《効果》
京都市は全国でもトップクラスの観光地であり、木屋町は祇園や東山、新京極な
どに囲まれた地理的に非常に恵まれた場所にあると言える。しかし、祇園や河原町
周辺には総合観光案内所と言えるものが存在しないため、木屋町が先駆けて設置す
ることで観光案内所の存在意義を出していきたいと考えている。
5-6 【方策Ⅳ】コミュニティ道路
文責:末木理美
Ⅰ.コミュニティ道路の強化
車両通行量や道路形態などから、歩行時に問題がある木屋町において、歩行者が
安心して歩ける町にするには、どうしたらよいのか検討した。そこで現在の木屋町
でも取り入れられているコミュニティ道路に着目した。現在木屋町ではコミュニ
ティ道路は機能しているとはいえない。商店街を活性化させるためには人が安心し
て通行できる歩道を確保するべきであり、木屋町におけるコミュニティ道路の充実
17
が必要だと考える。歩行者空間の整備や充実、土地利用誘導などまちづくりの体制
づくりなど総合的な取り組みを進めてこそ、活性化の効果が生まれるのではないか。
▼コミュニティ道路とは。
コミュニティ道路の目的は、安全性の向上・快適性の向上・利便性の向上であり、
人と車との共存を図るために考えだされたものである。
▼コミュニティ道路の手法
※
国土交通省国土技術政策総合研究所 道路研究部 道路空間高度化研究室
(
)
18
Ⅲ.木屋町コミュニティ道路の現状
1994 年に京都市が木屋町通を「コミュニティ道路」として整備したが、木屋
町ではうまく機能していないのではないか。実際、立誠学区理事連合会交通対策協
議会会長である岩崎正一さんによると現在のコミュニティ道路は機能していないと
おっしゃられていた。
▼現状の課題把握
上記の現状によって考えられる木屋町コミュニティ道路の課題を考えた。
《歩道に関して》
・歩道を占拠するものが多い(自転車、バイク、ごみ、トランス、木々、ボラート等)
・歩道が狭く、段差やでこぼこなど整備不良なこと
・車椅子で不安を感じるなどバリアフリーに気を配っていない
《車道に関して》
・通り抜けのため利用する車が多く、速度が速いこと
・ハンプ、狭さくの整備不良
・車道の広さから、車に余裕を与えている(スピード、路上駐車等)
Ⅳ.木屋町のコミュニティ道路改善案
コミュニティ道路の 1 つである「歩車共存道路」が木屋町に向いているのでは
ないか。歩車共存道路とは、歩道と車道が物理的には分離されていない道路で、舗
装材や植栽の工夫により分離する方法である。
▼歩車共存道路の事例
京都の中心で近年、歩行者空間が充実したことによって賑わい空間の創出に成功
19
したと言われている通りがある。三条通だ。もともと歴史的な建築物が点在する三
条通は、快適で安全な歩行空間を確保することで通り全体が快適になり、おしゃれ
な店舗を誘致したり人を呼んだりと好循環が生まれたそうだ。このきっかけは、車
道と歩道の段差をなくすことだった。このように、車中心に道路を考えるのではな
く、歩行者を考えた道路作りを行うことで通り全体の活性化につながる。もともと
木屋町にも三条通に負けない魅力的な要素があるので、歩行者優先のまちづくりを
行えば、三条通に負けない賑わいを得られるのではないだろうか。
▼歩道から路側帯へ 歩道に関する課題で、最も大きな問題は歩道が狭いことである。歩行者がゆった
りと余裕を持って歩けるスペース(空間)の確保が必要だ。歩車共存道路において
それを確保するために、現在の車道と段差を作ることで物理的障害によって確保さ
れている歩道ではなく、車道との段差をなくした路側帯を設置する。車道との差別
化を図るために、段差ではなくカラー塗装の路側帯を用いることで車椅子の脱輪な
どを防ぐ。現在の歩道よりも幅を広く路側帯を確保することでゆとりのある歩行者
空間の確保を目指す。歩道を占拠している自転車やバイク、ごみなどに関しては取
り締まりを厳しくするとともに、駐輪場等の案内やゴミ箱の設置などを観光案内所
と連携してすすめていく。車椅子で通行する際に危険とされるボラートは、現在の
金属製のものをゴムなど柔らかい素材で覆うなどの措置をとる。
▼車道の物理的デバイスの強化
緊張感を持って走行してもらうために車道を狭くし、ハンプや狭さくの強化を行
う。高瀬川沿いにも狭さくを設置し、車道の両脇から狭さくを設置することでより
道路を狭く感じられるのではないか。ハンプに関しても、凸面を顕著にし凹凸塗装
を道路にすることで運転手に不快感を与える振動を作り出す。また、コミュニティ
道路の入り口や道路の途中に標示や警戒標識を設置することで、デバイスの周知を
図るとともに、コミュニティ道路だという意識を再認識させ通過交通を抑制できる
と考えている。デバイス付近では、歩行者と自動車が交錯する可能性も考えられる
ため、自動車と歩行者の通行空間を区別できるように十分に注意する必要がある。
例えば、歩行者がハンプを昇降しなくても通行できるようにハンプの横に平坦な空
20
間を確保する、道路の塗装材は滑りにくいなど歩行に支障のない材質を選ぶなどで
ある。
Ⅴ.改善案の効果予測と実現への課題
▼改善案の効果予測
《改善案》
《効果予想》
・歩道と車道の段差をなくす
・車椅子の歩道からの脱輪防止
・カラー塗装の路側帯を設置
・車の低速化
・歩道の幅を広くする
・誰にでも安全な歩行空間の確保
・歩道占拠物の撤去強化
・町全体の美化
・駐輪所やゴミ箱等設置場所の案内
・ボラートの素材を金属からゴム製へ
・車道を現在よりも狭くする
・車の低速化
・ハンプや狭さくの強化
・通過交通の抑制
・標識や警戒標識の設置
・歩行者と車との分離
・コミュニティ道路の再認識
上記効果によって、歩行空間の確保とともに木屋町全体の美化が進み、町全体が
イメージアップの印象を受けるのではないか。四条通りや河原町通りではなかなか
難しい安全で快適な歩行者空間の確保をすることで、人々が木屋町に立ち寄る可能
性は高くなると考える。三条通の事例のように歩行者優先の道路作りを行うことで、
人々が集まって活性化の一歩となるのではないか。
▼実現への課題
住民の方々が声をあげて、京都市に強く要望しないとコミュニティ道路強化へと
はつながらない。しかしながら、京都市へ要望を出す前に地元住民の方々に強化へ
の理解をしてもらうことが難しいのではないか。強化する必要性を感じないかもし
れないし、コミュニティ道路を失敗だと感じている人もいるからである。
(立誠学
区理事連合会交通対策協議会会長 岩崎正一さん談)コミュニティ道路を強化し、
21
歩行者優先の道路作りを行うことの意味をしっかりと住民の方々に伝える必要があ
る。また、木屋町にお店を構える人々の了承を得ることも難しいと考えられる。飲
食店など業者の配達が車で行われるため、不便に感じる場合も考えられるためだ。
住民の方々、飲食店等の理解を得ることが実現に向けた大きな課題である。
22
高瀬川を活用した木屋町活性化ガイドライン
若山恵理嘉
第一章 はじめに
現在、川を活用したまちづくりが見直されている。人と川の関係を強固なものに
すると、まちに対する関心が高まり、コミュニティができるため街の雰囲気が活性
化すると言われている。本研究では京都の繁華街である木屋町を対象として川を活
用したまちづくり研究をおこなう。高瀬川は角倉了以によって開削された人工運河
である。また木屋町は森鴎外の小説「高瀬舟」の舞台にもなった文化性の高い場所
でもある。このように木屋町は京都でも有数の高い歴史性や文化性を持つまちであ
るが、飲み屋や風俗が並ぶ繁華街になったことによって現在は歴史性や文化性、自
然性といった良さが損なわれた。その上、四条河原町や先斗町、祇園に比べて繁華
街としての知名度も低く、存在感が薄い。そんな現状の中で今後の木屋町の方向性
を定めるために、今一度考えられる活性化方策を一通り洗い出し、まとめることが
必要だと考えた。木屋町を活性化する方策としては、高瀬川を活用する方策を選ん
だ。理由は、高瀬川が木屋町の中で一番人々の関心を集めることができる資源だと
考えたからだ。そこで本研究は、高瀬川を活用した木屋町の活性化の可能性と活性
化効果について総合的に考察し、木屋町をどんな町にしたいかという理想像と合致
した方策を考え、
『高瀬川を活用した木屋町活性化ガイドライン』を作成すること
にした。ただし『高瀬川を活用した木屋町活性化ガイドライン』を作成する際、コ
スト面の実現可能性は考慮に入れていない。コスト面を考慮に入れた場合、方策の
実現可能性は状況や補助金の有無などによって大きく変わる。そのため本研究は、
具体的な活用方策のイメージを明らかにすることに重きをおくことにした。
23
第二章 木屋町、高瀬川の課題
本研究の対象は三条通から四条通までの木屋町とそこに流れる高瀬川である。第
二章では木屋町と高瀬川の課題について考察していきたい。
木屋町の課題は、3 点ある。1 点目は木屋町に治安の悪い街というイメージが定
着していることである。木屋町は居酒屋、風俗店が多い歓楽街であることから、治
安の悪いイメージが定着している。2 点目は、昼間の木屋町に活気がないことであ
る。昼間の営業を行っているカフェや洋服店は数件存在するが歓楽街であることか
ら、昼間営業している店が少ない。昼間の木屋町は立ち寄る人が少なく閑散とした
雰囲気である。3 点目は、歴史的な資源の活用ができていないこと、それによる木
屋町の活性化ができていないことである。高瀬川は江戸時代初期に角倉了以によっ
て開削された運河である。また小説の舞台になる程、文化性の高い場所でもある。
このように優れた歴史的資源がありながらもそれがまちづくりに有効に活用されて
はいないように感じる。
第三章 「高瀬川を活用した木屋町活性化ガイドライン」
第一節 木屋町の活性化した姿、木屋町の今後の方向性
この節では木屋町の今後の方向性について考察していきたい。まず木屋町が活性
化した姿とはどんなものなのか考える。初めに、木屋町を活性化する場合、誰の立
場に立った活性化なのか対象者を考えられるだけ挙げる。次に各々対象者が望む、
「木屋町が活性化している姿」について考える。次に各々の望む「木屋町が活性化し
ている姿」の共通している点と共通していない点をまとめる。最後にその共通して
いる点と共通していない点を考慮に入れながら、木屋町の今後の方向性を考察する。
今回の小冊子にはページ数の都合で大部分を省略し、共通点と共通しない点を踏ま
えた上で導き出した、
「木屋町の活性化した姿」
、今後の木屋町の姿について記載する。
活性化の対象者
まず考えられる対象者は①住民②京都市③業者④観光客の4つである。
「木屋町の活性化した姿」、今後の木屋町の方向性
共通点と共通しない点を踏まえた上で、
「木屋町の活性化した姿」
、今後の木屋町
24
の方向性を考察する。現在、木屋町は学生も安く飲むことができる庶民的な歓楽街
だ。しかし繁華街であることによって治安の悪さ等様々な問題が生まれる。そういっ
た問題があると居心地が悪いまちになってしまう。しかし、住民や観光客のためだ
けに「庶民的な飲み屋街」というまちの特徴をガラリと変えることができない。も
し、治安の悪さや路上駐車といった問題を解決することができ、逆に「庶民的なま
ち」という特徴をうまく利用することができれば他のまちと差別化することができ
る。そうなったら、華美にしなくても、昼間も集客でき、飲み屋や業者も商売がし
やすいまちになると考える。
木屋町の今後の方向性
このように考えた上で本研究が提案する今後の木屋町の方向性は、
「庶民的だが
下品ではない歓楽街」である。理想像は「昼間は京都らしい景観や歴史を感じなが
ら水辺で憩いを、夜も今までの様に庶民的な値段で酒や夕食を楽しみながら高瀬川
の雰囲気を楽しめるまち」。
第二節 高瀬川を活用した木屋町活性化ガイドライン
この節は高瀬川を活用した木屋町活性化ガイドラインを紹介する。
①車両通行の時間規制・歩行者天国化 ②親水空間の設置
③飛び石 ④せせらぎの創出 ⑤ビオトープ
⑥アート作品の展示 ⑦川沿いの光による演出
⑧川利用店舗誘致の促進 ⑨船上カフェ ⑩船入場の復元
⑪高瀬舟の運行・設置 ⑫高瀬川川沿いツアー
の 12 の方策を考えた。
これらの方策を、1.方策の概要、2.方策の具体的内容、3.これまでの実施状況、
4.
期待される効果、5.方策実現にあたっての課題、6.類似事例、7. 備考の 7 点の
項目に沿って書いたものが、表 2 の高瀬川を活用した木屋町活性化ガイドライン
である。
25
表 2 高瀬川を活用した木屋町活性化ガイドライン
(12 あるうちの方策のうち、③、⑩の2つを抜粋する。)
③飛び石
1、政策の概要
親水性を高めるため京都の出町柳の鴨川にあるような飛び石を
高瀬川内に設置する。
元立誠小学校前に正面橋から紙屋橋の間を約 50cm 間隔で設
2、政策の具体的 置する。大きさ 30cm 四方の舟形や魚の形、舞妓さんや侍、
内容
桜形のものなど高瀬川や木屋町、京都にちなんだ遊び心のある
形の飛び石を設置する。
3、これまでの実
施状況
現在木屋町の高瀬川では飛び石は設置されていない。
川に憩いが生まれ、川を中心に人が集まるまちになる。
今の高瀬川は歩道との段差が大きいことや川に触れ合う機会が
少ないことなどが原因で川の存在感が薄まっている。川と触れ
4、期待される効果
合う機会がないから川の側に近寄りたいという気持ちにならな
いし、川に興味がわかない。川と触れ合う機会を増やし、親水
性を高めることによって憩いが生まれる。川に憩いが生まれる
ことによって川を中心に人が集まるまちになると考える。
5、政策実現にあ
たっての課題
特になし。
6、類似事例
※写真⑨ ( 鴨川 二条大橋北 飛び石 )
京都の鴨川には 4 カ所飛び石が設置されている。写真③は二条
大橋の北にある飛び石で、長方形の形の他に鳥の形、舟の形を
した飛び石がある。荒神橋付近の飛び石は亀形をしている。
7、備考
⑤ビオトープ、⑩親水公園化にも詳しく記載する。
26
⑩舟入復興
1、政策の概要
元立誠小学校の校庭に舟入場を復興させる。
他の方策である高瀬舟運航やビオトープ等の実施を妨げない場
所であり、ある程度広い土地である元立誠小学校の校庭に舟入
を復興させる。一之舟入とは違い中に入れるようにする。校庭
の前の橋を入って、一周歩いてまわれるように手すり付きの橋
のようなものをつくる。当時の高瀬川の様子を書いた案内板や
船頭のオブジェをつけてもおもしろい。舟入の中には何隻か舟
2、政策の具体的
も置き、その中も自由に乗り降りできるようにする。
内容
※図⑤ (舟入場 完成予想図)
3、これまでの実 一之舟入りだけ残っている。しかし中には入れず遠くから眺め
施状況
ることしかできない。
舟入を復興させることで、高瀬川が洛中への物資運搬のために
造った人工運河であるという認識が一層高まる。そうなること
4、期待される効果
によって木屋町=高瀬舟というまちの特色づけが強まる。舟に
乗り込めるようにすることによって親水性が高まり、より高瀬
川に近づきやすくなる。
5、政策実現にあ
たっての課題
・舟入復興にかける資金に見合う効果がでるのかという点。
・今まで学校の校庭でおこなわれていたイベントをおこなえる
ような代わりになる場所はあるのか。
6、類似事例
特になし。
7、備考
⑨船上カフェ、⑩親水公園化参照
27
第四章 おわりに
第一章にも書いたように現在木屋町は、繁華街であることによって、本来持って
いる歴史性や文化性、自然性といった良さが損なわれている。その上、四条河原町
や先斗町、祇園に比べて繁華街としての知名度も低く、京都の繁華街として存在感
が薄い。
本研究ではそんな木屋町の現状を改善するために、また現在模索中である木屋町
の今後の方向性を定めるために、
「高瀬川を活用した木屋町活性化ガイドライン」
を作成した。高瀬川を活用した木屋町活性化の方策を考えられるだけ挙げ、その方
策の具体的なイメージを構築することによって、条件が整い次第実行できるように
した。
ガイドラインを作成してわかったことは、提案した方策を実現するためには少な
くとも段階を踏んで順に実行していくことが必要だということだ。①車両通行の時
間規制・歩行者天国化、⑧川利用店舗誘致の促進、⑨船上カフェ、⑩舟入場の復元
やの 4 つはガイドラインの中でも実現可能性が低いと考えられる。コストに見合
う効果を出すことが難しいことや新たな条例を制定しなければ実行することができ
ないことが理由である。これらの方策を実現するためには、段階を踏んで方策を実
行することによって木屋町を、川を中心に集うことのできるまちにしていくことが
必要だ。そして木屋町が評判になり、高瀬川整備を求める世論の声を大きくするこ
とができれば、実現が難しい方策も進めることができると考える。以下が考えられ
る実行段階である。
(1)③飛び石 ④せせらぎの創出 ⑤ビオトープ ⑥アート作品の展示
⑦川沿いの光による演出→
(2)②親水空間の設置→
(3)⑩船入場の復元 ⑪高瀬舟の設置・運行→
(4)⑧川利用店舗誘致の促進 ⑨船上カフェ→
(5)①車両通行の時間規制・歩行者天国化⑫高瀬川川沿いツアー
まず大きなコストをかけず比較的簡単に実行できる ③飛び石 ④せせらぎの創出
⑤ビオトープ ⑥アート作品の展示 ⑦川沿いの光による演出を第一段階にした。次
に第一段階に比べコストがかかる ②親水空間の設置を第二段階にした。さらにコ
ストと人手がかかる、⑩船入場の復元 ⑪高瀬舟の設置・高瀬舟の運行を第三段階
28
にした。次に、新たな条例制定が必要で、コストもかかる ⑧川利用店舗誘致の促
進 ⑨船上カフェを第四段階にした。最後に、高瀬川に世論の関心が集まらないと
実現不可能である、①車両通行の時間規制・歩行者天国化、⑫高瀬川川沿いツアー
を第五段階に設定した。
次に五つの段階がどのように進行していくか説明する。まず、(1) を実行するこ
とで木屋町の高瀬川に目を向けてもらえるようにする。ある程度高瀬川に注目が集
まるようになったら(2)を実行する。
(2)を実行することによって、人々の木屋
町に対する認識を「飲み屋街だけでなく自然とも触れ合える場所」にする。そういっ
た認識が定着してきたら、(3)を実行する。(3)を実行して、木屋町の歴史性と
文化性を今まで以上に高め、
「見どころの多いまち」にする。高瀬川が目的で木屋
町に訪れる人が多くなってきたら、(4)を実行して景観を向上させる。話題性を
高め、飲み屋以外が目的の来訪者を更に増やす。高瀬川が目的の来訪者が増え、道
路整備の必要がでてきたら(5)を実行する。(5)を実行することによって更に木
屋町に訪れやすい仕組みを作った上で魅力を知ってもらう。最低限このように段階
を踏んで「高瀬川を活用した木屋町活性化ガイドライン」を実行しなければ、方策
の実現は難しい。
また、方策実現のためには、整備主体とコストを出す主体を明確にする必要があ
る。そこで各方策の整備主体とコストを出す主体として考えられるものをまとめた。
自治体
①車両通行の時間規制・歩行者天国化 ②親水空間の設置 ③飛び石
④せせらぎの創出⑩船入場の復元
地域の商店街組合、地元住民、市民団体、学生ボランティア等の中から新たに作る
実行委員会
⑤ビオトープ ⑥アート作品の展示 ⑦川沿いの光による演出 ⑧川利用店舗誘
致の促進 ⑨船上カフェ ⑪高瀬舟の運行・設置 ⑫高瀬川川沿いツアー
立誠学区は「まなびや」や「桜まつり」等のイベントを住民や市民団体が率先し
ておこなっている住民運動の活発な地域で、住民が自らまちをつくっていくという
29
意識の強いまちである。だから今後も自治体と協力しながらも、可能な限り住民や
市民団体が主体となって方策を実行した方がよいと考えた。よってコスト面におい
て住民や市民団体が整備主体となることが不可能な、①車両通行の時間規制・歩行
者天国化 ②親水空間の設置 ③飛び石 ④せせらぎの創出 ⑩船入場の復元の 5 つの
方策は自治体の整備主体とし、それ以外の ⑤ビオトープ ⑥アート作品の展示 ⑦川
沿いの光による演出 ⑧川利用店舗誘致の促進 ⑨船上カフェ ⑪高瀬舟の運行・設置
⑫高瀬川川沿いツアーの 7 つの方策は、地域の商店街組合、地元住民、市民団体、
学生ボランティア等の中から新たに作る実行委員会を整備主体にした。コスト面で
も実現可能な範囲であるし、川の魅力創造のための方策は住民や市民団体が主体と
なっておこなった方が実行しやすいからである。
方策実現においてもう一つ必要なことは各段階で、京都府内外の人に木屋町でお
こなわれている方策を広報し、木屋町の現状と今後の取り組みについて多くの人に
知ってもらい、関心を高めることである。以上のことを実行することができたら、
木屋町は「飲み屋街」のまま、川を中心に昼間も集まることの出来る、親しみやす
いまちになると考える。
〈参考文献〉
早見静雄「水と緑を座標軸にしたまちづくり」 1991 年、p6、35、福島(北土社)
岸 由二 他「川を活かしたまちづくり 川 人 街」2001 年、p78 リバーフロント整
備センター
〈参考 URL〉
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京都市河川課 堀川水辺環境整備構想 www.pref.kyoto.jp/soshiki/detail/160.html
(2008. 12. 24)
京都市景観政策課 http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000023991.html
(2008. 11. 24)
宮内川ビオトープ city.shobara.hiroshima.jp/kyouikugaku/.../gakkoukeiei/biotopu_2.asp(2008. 12. 24)
MSN 産経ニュース sankei.jp.msn.com/life/trend/081213/trd0812132221016-n1.htm
(2008. 12. 24)
京磁ジャーナル www.leafkyoto.net/kj/2008/08/kiyamachi-illumi.php(2009.1.2)
城之崎温泉観光協会公式サイト www.kinosaki-spa.gr.jp(2008. 12. 24)
カフェシップ クルーズ www.tokyo-cruise.com/combase/cafeship.html(2008. 12. 24)
30
清渓川 japanese.seoul.go.kr/cheonggye(2008. 12. 27)
高瀬川(京都府)Wikipediaja.wikipedia.org/wiki/(2008. 12. 24)
十石舟のご案内 www.misu-museum.jp/ship/index.html(2008. 12. 24)
高山市景観デザイン賞 www.city.takayama.lg.jp/toshiseibi/keikandezain.html (2008. 12. 27)
草加松原遊歩道 www.city.soka.saitama.jp/hp/page000004400/hpg000004371.htm
(2009. 1. 6)
道頓堀川の水辺整備 www.city.osaka.jp/kensetsu/shigoto/kawa/14.htm(2009. 1. 6)
サントリー地域文化賞 地域文化財団 サントリー
www.suntory.co.jp/sfnd/chiikibunka/kyuu_oki0001.html(2009. 1. 6)
31
∼立誠 自転車維新 自転車まちづくり#1を目指して∼
岩崎 万季
1.はじめに
立誠学区は歓楽街および中心繁華街という特性をもつため、自転車交通量も多く
放置自転車の多い区域になっている。店舗への顧客もしくは業務従事者による、公
道やコミュニティスペースにおける路上駐輪の数は非常に多い。啓発パトロールや
イベントなどで、放置自転車を減らすための活動が活発になされているが、地元住
民以外の外部の人々の放置自転車がほとんどということもあり、なかなか問題解決
に至りにくい。(*例外ケース 1:伏見商店街の自転車マナー啓発活動)
立誠学区は他の繁華街や歓楽街よりも、豊かな史跡や美しい高瀬川を有している
ため、それら景観に悪影響をおよぼす放置自転車問題に取り組むことは、今後のま
ちの行方を考える上でも重要である。本稿においては各地域の自転車政策例をあげ
ながら、立誠学区における解決策を模索していきたい。
*例外ケース1:伏見商店街のマナーアップ大作戦
伏見商店街は、道幅 4m ∼ 5m という幅広い空間をもちながら、歩行量や自転
車交通量が多いため両者の衝突事故が起こる、銀行やスーパー店舗前の路上駐輪な
ど歩行環境はよくなかった。関西のメディアに 1 度その内容は取り上げられ、危
機感を感じた地元まちづくり団体らが「セーフティークリーン作戦」という自転車
交通のマナーアップをはかる活動がはじめられた。
「自転車を押して歩こう !! 放置
自転車はやめよう !!」と、ボランティア達が啓発看板やビラを配ること、通り内で
も自転車を乗るマナー違反者に注意を促すことを、毎週3回(午後3時から午後4
時)行っている。同キャンペーン実施により、人々の駐輪マナーは格段によくなった。
解決のポイントは、商店街自体が非常に地元密着型であったため、啓発活動がうま
くいった。木屋町や河原町は外部利用者が多いためその点啓発活動から効果は見え
33
にくいが、少なくともまちに根付いて商売を行う業務従事者の自転車マナーの向上
に特化した啓発活動をまず始めることができる。伏見商店街では、自転車を厳しく
追放するのではなく、歩行者との共存を目指す「歩いて暮らせるまちづくり」を目
指している。
(写真①地元警察と共同で実施、警察が注意喚起に関わることでマナー順守の
効果が高まる。②すべての人が自転車を押して歩く、③啓発看板は通りの出
入り口、設置場所に工夫している)
木屋町エリアの放置自転車問題
の現状と問題を解決するための
プラン
(図:放置自転車の多いエリアにしるし
をいれた。木屋通りの出入り口や、
大型商業施設、空きビル前に多い。
木屋町の放置自転車の集積の特徴
としては、業務従事者の出勤とと
もに放置自転車の塊がまちのあち
こちにできはじめ、夜 10 時前後
にはピークをすぎ台数は減少して
いく。)
34
2.立誠 自転車まちづくり政策
●ベース 駐輪スペースの増設が必要
●チェンジ1:ビジネスアプローチによる自転車まちづくり
●チェンジ 2:イベントによる自転車まちづくりの進展
ベース;駐輪スペースの増設
他地域の繁華街と同様または異なる放置自転車問題の要素として、夜間の放置自
転車台数が多いことがあげられる。よってまず業務従事者の自転車を収納するため
の駐輪スペースを確保することが必要である。
先斗町駐輪場のような数百台規模の駐輪場を設置することは不可能であるが、ま
ちのオープンスペースに簡易駐輪ラックを設置することや、現在一部駐車場でサー
ビスが始められている駐輪場を拡大するか、エコステーション 21 をはじめとする
コイン式有料自転車ラックを導入することで放置自転車を減らすことができる。
(写真①簡易自転車ラック:六千円∼
②パーキングメーターを再利用した駐輪場)
また、従来の駐輪場設置政策では、大きな駐輪場をまずつくることが考えられて
きた。しかしまちかどのあちこちに駐輪スペースをもつことが、利用率の増加につ
ながる。(図;駐輪場利用率と目的地距離の関係:旧建設省調査)
35
●チェンジ1:ビジネスアプローチによる自転車まちづくりの展開
80 名に実施したアンケートから、駐輪場を利用しない人々の大半は駐輪場が無
料でないから利用しないと回答した。よって、人々に駐輪場を使用してもらうには
駐輪場を利用することで何か得られるインセンティブのようなものが必要であると
考えられる。すなわちアメ ( 自転車交通を活用することで得するもの ) とムチ(マ
ナー違反で罰)の自転車政策が効果的であると考えられる。
どうして駐輪場を利用しないのか?
8%
2%
無料でないから
42%
23%
利用施設を離れるから
駐輪場の存在自体知らな
いから
みんな路上駐輪しているか
ら
無回答
25%
アメ:駐輪場利用で市民も商店も得する地域通貨、りんりんマネーの導入
①駐輪場利用者に、3千円分の駐輪場利用券を購入してもらうと、
↓
②行政は商店組合店舗で利用可能な地域通貨、りんりんマネー3千円分を付与する。
実例:福岡県天神地区:このようなしくみは、駅前放置自転車台数全国ナンバーワンという問
題をかかえてきた福岡県の天神地区においても実施されており、駐輪場の半券をもって
いくとまちの店舗で割引サービスを受けられるというシステムだ(チュリンクーポン)
36
実例;電車 de エコ
京都市営地下鉄、レール&ショッピング∼
四条繁栄会およびその他商店組合は、KICS(きょうと情報カードシステム)での買い物に
応じて、電車運賃半額 or 全額をキャッシュバックするキャンペーンを長期間にわたって行っ
てきた。車をつかわず、エコな買い物をすることで、人々も商店もまちも得するというしくみ。
チェンジ2:イベントアプローチ
ひとびとに自転車まちづくりに関して考えはじめてもらうための何かきっかけと
なるような、起爆剤的イベントの開催が必要であると考えられた。昨年「歩いて暮
らせるまちづくり推進会議」により行われた、
「お笑いまちかどバトル」も新たな
自転車政策マナー向上への視点であり、今後考えていくことが必要である。高瀬川
まつりで自転車イベントを行い、立誠学区の駐輪政策を PR するマスコットキャラ
クターを設置するなどいろいろな手法があると思う。
実例:全国でも、地域タレントや婦警が自転車マナー啓
発活動をマスコットガールなどを活用して行われ
ている。下記写真は福岡のチャリエンジェルスの
活動
37
木屋町における美術品展示と
ポイ捨てゴミの量的変化について
伊藤 大輔
調査目的
木屋町のゴミの現状を把握するために、ゴミの量と種類また落ちている場所を把
握することが目的である。また木屋町で開催された「まなびや 2007」において
行われた、高瀬川内における美術品展示によりゴミの状況にどのような影響を与え
たのか調査する、そのため美術品展示前、展示期間中また展示期間後のゴミの数量
的な変化について調査する。
調査概要
調査範囲
三条通りから四条通り間の木屋町通り・西木屋町通り・高瀬川
10 / 12
調 査 日
10 / 18.21(木屋町の住民の方々と清掃活動)
11 /6
12 /2
時 間 帯
早朝∼正午
※美術品の展示期間 10 月 18 日(木)∼ 11 月4日(日)
ゴミの調査結果(種類と量)
ゴミの種類
合計
ゴミの種類と数量
タバコの吸殻
323
缶
263
ペットボトル
72
ビン
26
タバコの箱
18
350
300
250
200
合計
150
100
50
0
タバコの吸殻
39
缶
ペットボトル
ビン
タバコの箱
調査において、木屋町のシンボルである高瀬川に多くのゴミが投げ捨てられてい
ることがわかった。この問題への対策として私は、木屋町で行われた「まなびや
2007」という催しにて実施された高瀬川における美術品展示に着目した。この
高瀬川における美術品展示は、人々の注目を集めることをねらいとしているが、美
術品展示によりポイ捨てゴミにも何か影響を与えるのではないかと考え調査を行っ
た。調査結果は以下のようになった。
<美術品展示によるポイ捨テゴミの増減についての比較>
展示前
展示開始時
展示終了時 終了 11 日目 終了一ヶ月
缶
81
0
21
22
36
ペットボトル
24
0
4
7
17
0
2
5
10
ビン
90
80
70
60
缶
ペットボトル
ビン
50
40
30
20
10
月
目
終
一
終
了
了
1
1
ヶ
日
時
了
終
展
示
開
示
展
展
示
始
前
時
0
※展示開始時には地域住民による清掃が行われているためゴミがゼロになっている
ゴミの量の推移に関する検証
木屋町にすてられるゴミのなかで代表的な缶・ペットボトル・ビンについて検証を
行う。
缶 缶は美術品の展示前には 80 個も落ちている代表的なゴミであった
40
が、展示期間中の二週間は 20 個に留まっている、その後展示終了
11 日目までこの水準を維持し、終了約一ヶ月にはもとの水準の約半
分という 36 個という点に戻っている。
ペットボトル ペットボトルは展示前には 24 本落ちていたが、展示期間中の二週間
は 4 本と少なく、展示終了 11 日目にも 7 本と低い水準が維持され
ていた。終了一ヶ月には 17 本と展示前に比べ約 7 割程度の水準に
戻っている。
ビン ビンは展示期間中の二週間には 2 本のみであったが、展示終了 11
日目には 5 本、展示終了一ヶ月には 10 本と徐々に増加している。
調査の分析
上記の検証より、缶・ペットボトル・ビンについて同じ傾向がみられることがわ
かる。それは、美術品展示期間のゴミは少なく、また美術品展示後 11 日目におい
てもその少ない水準を維持している。しかし美術品展示後一ヶ月にはゴミが増加傾
向を示すということである。美術品展示一ヶ月後には缶は美術品展示前の約半分、
ペットボトルは約七割という水準に戻っている。つまり高瀬川に美術品を展示する
ことにより、ゴミを投げ捨てにくい状況が作り出されたと考えられる。以下におい
て美術品の展示によって、ゴミを捨てにくい状況を作り出した要因、また人々の行
動にどのような影響を与えたかということについて考察する。
木屋町では美術品という周りの人々の視線を多く集めるものが展示されているた
め匿名性が無くなっていたといえる。つまり誰がゴミを投げ捨てたのかが多くの人
に知られてしまうそんな状況であったといえる。実際に美術品が展示されている期
間中には、従来はあまり注目されない高瀬川に足を止めて覗き込むという行動をす
る人が増えていた。また夜もライトアップにより美術品を見渡せる状況が維持され
ていたため、人々が足を止めるという状況になっていた。これにより、人々が美術
品を見るという行為が行われることにより、人々の視線が高瀬川に集中するという
状況をつくりだしたといえる。つまり視線が集中するということにより、ゴミを捨
てやすい匿名性が維持された状況が成立することがなく、ゴミを捨てるチャンスを
人々に与えることがなかったといえる。
41
調査のまとめ
この調査の最大の成果は、従来は町のシンボルとして捉えられ景観政策のひとつ
として、考えられていた美術品の波及効果が明らかにされたことである。美術品の
効果は地域景観を改善し町を特徴的な場にするという効果だけでなく、ポイ捨てゴ
ミを抑制するという効果もあるということがわかった。これにより、美術品により
人々の心理に大きな影響を与え、人々の行動を意図したものに誘導していくことが
できるということがわかった。また美術品を設置することにより、人々の町に対す
る印象を変化させる、大きな影響力を持ちうるということが調査より判明した。
美術品展示による二次的影響(アイスポットの誘導)
美術品など人々が注目するものを効果的に配置することにより、人々の視線を誘
導することができるのではないだろうか。これにより見せるべきものを見せて、隠
すべきものを隠すことが意図的に行うことができる。美術品の設置において、歩行
者が足をとめ高瀬川の美術品を見るという現象が起こった。普段であれば、飲食店
の看板が一番先に目に入るはずであるが、美術品の設置によって、視線が高瀬川に
向けられるという現象が起こった。この視線の移動による町のイメージの変化につ
いて検証する
美術品設置によるアイスポットの変化
視線が高瀬川に向けられることによ
り、飲食店の看板は目に入りにくくな
る、また高瀬川を進んでいくと自然と
立誠小学校が目に入ってくるようにな
り、街のイメージを変えることができ
ると考えている。木屋町では両側に飲
食店が立っており、史跡である高瀬川
は真ん中にありどちら側の歩道から見
ても、後ろに商店の風景が入ってしま
う。しかし高瀬川に美術品を設置する
ことにより、人々が高瀬川を覗き込む
42
ということがみられた。これにより美術品に視点が集まり、人々の視界に周囲の飲
食店の風景がはいらなくなり、高瀬川がクローズアップされてみえるということが
いえる。そのため高瀬川を覗き込みながら進んでいくので、そのまま立誠小学校の
校舎が目に入って来ることになる。従来の飲食店のイメージとは大きく印象が変わ
る。つまり人々の視線を集める美術品を設置することによって、飲食店の派手な看
板に視線が移るのを防ぎ、高瀬川に視線を集中させることができるといえる。この
ことより、人々の視線を集中させたいと思われる場所に周囲のものより、魅力的ま
た印象的なものを設置することにより、人々の視線を誘導することができるという
ことがわかる。これを利用すれば、人々に悪い印象を与えるものを町から撤去しな
くとも、それらを見ないように視線を誘導するように、魅力的できれいなものを設
置することにより、悪い印象を与えるものを意図的に隠すことができると考えられ
る。また木屋町のように地域に歴史的史跡が散在していたり、周囲の建物などに史
跡が埋もれてしまっているような場所では、美術品などの設置はそういった史跡の
目印にもなり大変有益であるといえる。歴史的史跡と関連するような美術品を設置
しアイスポットとして人々の視線を誘導することで、当時の雰囲気を演出すること
もできる。つまり町全体を当時のような町なみにしなくとも、当時を連想させる美
術品や物を設置することでアイスポットの通り道を作れば当時のような雰囲気を作
り出すことができると考えられる。
美術品を発表する場としての木屋町
今回の展示では、美術品のテーマはそれぞれ異なっており、木屋町の近未来性や
どんな美術品も発信していくという幅の広さが感じられた。このようにいろいろな
種類の美術品を展示する方法もあるが、あえてテーマを絞って展示するという方法
もある。例えば木屋町は角の倉了以に開拓されてからの、木材運搬を中心とした水
運の町である。これを利用した、当時を思わせる美術品や銅像や高瀬舟の展示など
を行うこともひとつのイベントとして考えられる、これによって観光スポットとし
て木屋町を演出することもできる。また立誠小学校があることの関係から、小学生
の作品を高瀬川に展示することも考えられる。小学生にとっては良い発表の機会に
なるのは間違いがないし、それを父兄の方と供に見に来ることにより、木屋町を家
族の憩いの場としてイメージアップにつなげることもできると考えられる。
43
木屋町まちづくりプロモーションビデオの作成
多田 美保
木屋町は、居酒屋などの飲食店が多いため、学生を中心とした若者が多く集まる
場所である。それと同時に、放置自転車やゴミの投棄、治安問題など木屋町での諸
問題はどんどん膨れ上がっていく。そうした数々の問題を解決していくために、地
域住民を中心としたまちづくりの活動が行われている。しかし、その存在を知って
いる者ははたしてどれくらいいるだろうか。もし、その若者達がまちづくりの存在
を知ったらどうなるだろう。定期的に行われる掃除や、夜間パトロール、駐輪問題
に取り組む地域住民らの活動を一人でも多くの人に知ってもらい、意識を高めさせ
ることが出来れば、木屋町における諸問題は多少なりとも緩和されていくのではな
いかと考えた。また、まちづくりを行う地域住民らは木屋町を「安心・安全」で、
もっ
と人であふれるまちにしたい、もっと木屋町を知って欲しいという強い思いを持っ
ている。そうした地域住民らの思いを外部に発信させるために、木屋町におけるま
ちづくりのプロモーションビデオを作成する。映像は大きな影響力を持っているた
め、若者には特に浸透しやすい。そうして外部にまちづくりの存在を発信すること
によって、より良い木屋町のまちづくりを展開していけるのではないかと考える。
内容としては、二つのコンテンツを作成する。一つは 15 秒程度の CM 風に作
成し、もう一つは 15 分程で詳しく説明しながら紹介する映像である。その展開と
しては、1)木屋町の歴史紹介 2)『まちづくり』とはなにか 3)立誠まちづく
り委員会の委員長のインタビュー 4)木屋町まちづくりの活動紹介 である。
45
目 次
第一章 本制作の意義・目的
第二章
構成
一節
木屋町まちづくり CM「アナタに知って欲しい」
二節
木屋町まちづくり PV「知って!!木屋町」
第三章
まとめ
第一章 本制作の意義・目的
本制作は、木屋町の地域住民を中心としたまちづくりにおける課題を把握し、そ
の解決方法としてのプロモーションビデオを作成することを目的としている。それ
を実際に外部に発信して効果を得るところまでは今回の研究対象ではない。
木屋町では、地域住民を中心としたまちづくりの活動が行われている。その活動
は、高瀬川そうじや先斗町公園掃除、夜間パトロール、旧立誠小学校を拠点として
行われる立誠まちづくり委員会、文化芸術などのイベント、祭りなど様々である。
そうしたまちづくりが行われているのも、木屋町における様々な課題があるためで
ある。例えば、駐輪問題。軒を連ねる飲食店の前のわずかなスペースには、その賑
わいとともに路上駐輪が多くなされている。または、ゴミ問題もそうである。いく
つかのゴミ箱を設置しているにも関わらず、タバコの吸殻や高瀬川への投棄は、簡
単には拭い切れない課題である。治安問題にしても、風俗店が多い木屋町では重大
である。そうした課題に取り組むのが、地域住民を中心としたまちづくりに携わる
人々である。
木屋町は居酒屋や風俗店が建ち並ぶ、京都有数の繁華街であり、夜間における利
用者の数もそれに匹敵するほどの賑わいを見せるまちである。特に学生を中心とし
た若者が多く集まる場所である。上記で示した駐輪問題やゴミ問題は少なからず、
木屋町に訪れる若者達に大きく関わる問題であることは明らかである。しかし、若
者だけに限らず、木屋町におけるまちづくりが行われていることを知っている者は
はたしてどれくらいいるだろうか。夜に捨てられたゴミを朝、昼に掃除しているこ
とを知っている者はいるだろうか。もし、何も知らない者達がそうした活動が行わ
れているということを知ったら、どうなるだろう。そう考えた時に思い付いたのが、
木屋町のまちづくりの存在を外部に発信させて、その活動を一人でも多くの人に知っ
46
てもらう、
ということである。今回は木屋町利用者の中でも特に多い、
若者をターゲッ
トにしたいと考える。まちづくりの活動への意識を高めさせ、駐輪問題やゴミ問題
などの諸問題を緩和できるようなものにしたい。そこで、メディアの中でも特に大
きな影響力を持つ映像を使って、若者へ発信したいと考える。映像であれば、若者
にも浸透しやすいし、ネット社会である現代において十分有効的な発信手段である。
木屋町のまちづくりに携わる人々は、数々の諸問題を解決していくと同時に、木
屋町が「安心・安全」なまちであることや、木屋町がとても歴史深いまちであるこ
とを知って欲しいと考えている。そして、夜間だけではなく、昼間にも人が溢れる
ようなまちにしたいという強い思いを持って活動を行っている。まちづくりに携わ
る人々の思いを外部に発信させることが、今の木屋町において一番重要なことであ
ると考える。そういったことを踏まえて、木屋町まちづくりの活動やそこに携わる
人々の思いを伝えるプロモーションビデオの制作をする。
第二章 構成
木屋町まちづくりのプロモーションビデオを制作するにあたって、二種類のコン
テンツを作る。一つは、15 秒程度の CM 風なもの、もう一つは、15 分程で詳し
く紹介する長編ものである。
一節 木屋町まちづくり CM「アナタに知って欲しい」
15 秒でまちづくりの活動を紹介するのはかなり難しい。そこで、興味と疑問を
持たせ、先に繋げる CM にする。詳細は、高瀬川や木屋町の映像を背景に流し、そ
の途中途中でまちづくりの活動をしている写真や、イベントの写真などを出す。背
景の映像が立誠小学校に辿り着いたときに、
「アナタに知って欲しい。木屋町のこ
と…」というこの CM のテーマを出す。そして、最後に長編のテーマである「知っ
て !! 木屋町」のロゴとともに、最近の CM でよく見られるような、
「立誠まちづく
り委員会」をネットで検索してもらえるようなタイトルを作り、自ら検索して調べ
てもらえるようなものにする。
二節 木屋町まちづくり PV(プロモーションビデオ)「知って!!木屋町」
この長編で、木屋町こと、まちづくりのことを理解してもらえるような内容にす
47
る。長編を作るにあたっての重要なことは第一章でも述べたように、木屋町をもっ
と知ってもらえるような内容にすることと、まちづくりを行う人々の思いが伝わる
ような内容にすることである。そこで、このプロモーションビデオを制作するにあ
たり、地域住民を中心としたまちづくりに携わる人々の視点に立って作ることが大
きなポイントである。
展開としては、1)木屋町の歴史紹介 2)『まちづくり』とはなにか 3)立誠
まちづくり委員会の委員長のインタビュー 4)木屋町まちづくりの活動紹介 で
ある。1)の歴史紹介では、木屋町が歴史深いまちであること、歴史上有名な人物
や出来事が関わった場所であることを説明する。木屋町が角倉了以の高瀬川開削
に伴って開通したことや、1864 年の池田屋騒動、旧立誠小学校から河原町通に
かけて土佐藩邸があったこと、高瀬川が昔、物資の運搬において重要な役割を担っ
ていたことなどを、写真や映像、文章による説明によって簡単に紹介する。2)で
は、そもそも「まちづくり」という言葉を知らない人に説明する。ここでは、立誠
まちづくり委員会の会議風景の写真や映像、衰退商店街の写真などを使用して解り
やすく説明する。3)では 2)の流れで、木屋町にもまちづくりの活動が行われて
いることを示したうえで、立誠まちづくり委員会委員長である山本訓三氏のインタ
ビューをもとに活動の説明し、実際にまちづくりを行う人の生の声を聞かせてリア
リティを持たせる。インタビュー内容は次の五つである。①立誠まちづくり委員会
はいつ、どのような目的で立ち上げられたのか。②そこではどのような人々が携わっ
ているのか。③そこでは具体的にどのような活動がおこなわれているのか。④昔の
木屋町と今の木屋町を比べて、何か感じることはあるか。⑤今後の木屋町をどうし
ていきたいと考えているか⑤木屋町に訪れる利用者にメッセージ。最後に4)では、
高瀬川そうじや、さくらまつり、夏まつり、まなびや、文化芸術のイベントなど様々
な活動を写真と文章で説明し、エンディングとなる。内容によって BGM を変え、
雰囲気を感じてもらえるようにする。
第三章 まとめ
木屋町を知ろうとしてくれる人が増えれば、木屋町のより良いまちづくりの展開
に繋がるのではないか。このプロモーションビデオは、少しでもそういう人が増え
るようなきっかけを与えるようなものにしたい。
48
今後は、まず作ったものを実際に木屋町のまちづくりに携わる人々に見てもらい、
感想を聞く。彼らの視点で作るものなので、そこで納得してもらえなければ意味が
ないからである。そしてそれをどのようにして外部に広めていくか、その一つの方
法として、木屋町に関わるネットにリンクさせてもらうということがある。立誠ま
ちづくり委員会のホームページもあるので、十分に映像の出来を検討してもらいな
がら納得のいくものに仕上げ、ホームページへのアップを頼みたいと考えている。
また世間のブログへの関心に着目し、ブログへのアップも方法の一つとして検討し
たい。もし、ネット上に発信させることができたら、今度はそれをどのようにして
見てもらうかの宣伝手段を考える。例えば、文化芸術やまつりなどのイベントの際
に、まちづくりの広告ビラを作成、配布し、そこにホームページアドレスを掲載さ
せてもらう。一気に多くの人に見てもらうことは無理に等しいことなので、地道で
はあるが少しずつ人々の関心を増やしていければと考える。
49
京都市における「創造都市」としての可能性と
方向性に関する考察
―立誠学区における文化芸術による地域のまちづくりモデル事業の
ケーススタディー
藤本 礼子
■創造都市とは
「創造都市とは人間の創造活動の自由な発揮に基づいて、文化と産業における創
造性に富み、同時に脱大量生産の革新的で柔軟な都市経済システムを備えた都市」
( 佐々木雅幸『創造都市への挑戦』岩波書店、2001 年、p.40)
⇒つまり、創造機能である文化、芸術、学問、思想、ビジネス、生活スタイル等
が十分に発揮できる条件を備えた都市のことを言う。
■研究意義・研究目的
・現在の都市が抱える不安や問題点は多様化してきており、特に都市財政問題は深
刻である。
⇒都市が持っている新たな文化や産業やライフスタイルを創造する力を回復する
ことが都市の将来を切り開くものだと考えられている。都市政策の観点から
「創
造都市」への関心が高まっている。
・20 世紀が大量生産・大量消費に基づく工業化の世紀であり、大企業中心の大き
な政府の時代であったとすると、21 世紀はそのような画一化された大量生産シ
ステムよりはむしろ、創造性溢れる感性を持ち、先端的なアイディアを生み出す
人々が主体になって、知識と情報をベースにした経済社会に移ろうとしている。
⇒巨大企業と大規模工場とが都市の中心に座るのではなく、創造的な活動を行う
市民、あるいは小さくても創造的な事業をおこなう企業が集まってくる都市が
発展すると 考えられる。
・本研究のフィールドとしている京都では、文化は人々の日常生活とかけ離れた特
別なものとして存在してきたのではなく、日々の生活に根付き、浸透しながら発
51
展してきた。つまり、文化芸術が身近に存在している豊かな環境であるといえる。
しかし、現在、社会状況の変化等により、人々の暮らしの中に文化芸術との関係
が薄らいでいくことが危惧されている。実際、そう感じている市民は少なくない。
・以上のことから、京都市が創造都市として発展していくにはどうすればいいかを
考えた。本研究の目的は、「京都市における創造都市としての可能性を探り、方
向性の提案を行う」こととする。
■研究内容
1.創造都市を目指す他都市(金沢市、横浜市)の例
▼金沢市の特徴と取り組み
・内発的発展都市
⇒豊かな自然環境に恵まれた金沢市は、独自の経済基盤を保持しており、経済発
展と文化・環境とのバランスの取れた中規模都市
⇒文化面においても、金沢独自の視点が貫かれている。第二次世界大戦後、いち
早く市立金沢美術工芸大学を設立し、友禅や蒔絵などの伝統工芸や芸能の後継
者育成やインダストリアルデザインの導入による工芸の近代化を担う人材育成
に乗り出した。全国に先駆けて「伝統環境保存条例」を制定し伝統的町並みの
保存の全国的なリーダーとなった。
・1996 年 9 月「1 日 24 時間 1 年 365 日」自由に使える文化施設、「金沢市民
芸術村」オープン
⇒市民参加により金沢市民芸術村を運営している稀に見るケースである。金沢市
で市民参加が可能になった一番大きな理由は、地域運営や文化を大切にすると
いう精神、文化芸術に対する意識の高さが金沢市民の気質として存在していた
ことである。
・現代アートを中心とした芸術作品を収集、展示している「金沢 21 世紀美術館」
⇒開館して 1 年で、市内の人口を 3 倍ほど上回る 158 万人の入場者を数えた。
その経済波及効果は 300 億円を超過している。
▼横浜市の特徴と取り組み
・都心の歴史的建築物にアーティストが集うまち
52
⇒港を囲む歴史的建造物や港の風景など、個性的で魅力ある都市景観や地域資源
を有し、その魅力により多くの市民や観光客を惹きつけ、様々な芸術や文化を
育んできた。横浜には長年の都市デザイン活動により、都市の独自性を確立し
てきた実績があるほか、文化人や芸術家も多く在住し、市民や NPO に よる
芸術文化活動も盛んな土壌がある。
・2004 年、横浜市は新しい文化都市政策「文化芸術創造都市=クリエイティブシ
ティ・ヨコハマ」を採用
⇒公立文化施設を拠点とした市民への文化サービスの提供といった従来の文化政
策モデルから、文化・芸術の創造性を活用した都市再生モデルへの転換を意味
している。
・構造改革
⇒文化政策を担当してきた市民局市民文化部を廃止し、新たに局相当組織として
「文化芸術都市創造事業本部」を設置し、そこに市民文化部の機能を引き継ぐ
「文化政策課」と提言で謳われた新規プロジェクトに取り組む「創造都市推進課」
を新設した。これは、文化を単なる市民への文化サービスの提供としてだけと
らえるのではなく、文化の創造性を都市再生に活かしていこうという意思の表
れである。
▼比較、考察
共通している点
・歴史的跡地活用⇒地域の資源活用→市民が都市の記憶を保持し、市民としてのア
イデンティティを形成することにつながると考えられる。
・新たな創造産業の発展を目指している
・市民の文化芸術に対する意識が高い
・経済効果が生まれている
都市の歴史や特徴によって創造都市への取組方が異なることが明確になった。共通
している点から、創造都市の基盤として大切なことは、地域の資源を守り、活かす
ことや市民の文化芸術に対する意識の高さが挙げられる。都市として発展していく
には、新たな創造産業を模索することが必要である
53
2.京都市における立誠小学校跡地での取り組み
▼文化芸術が立誠学区にもたらした効果
①歴史的建築物の跡地活用を通して、地域の資源活用の可能性を見出せたこと
行ったどの事業に対しても好評を得られた。このことは、立誠小学校での取組が
市民に認知され始めたことを意味している。また、アンケートから、初めて立誠
小学校に入れたことで、建物自体にも関心を持ってくれたこと、以前から関心が
あったので入れて良かった、という意見もあった。立誠小学校が立誠地区の大切
な資源として活用していく意義があることを感じた。
②オリジナルの芸術が生まれた(立誠小学校跡地でしか味わえない芸術)
廃校になった校舎でクラシック音楽を聴くことは普段の生活ではありえない。歴
史ある校舎とクラシック音楽の融合は、立誠小学校でしか味わうことの出来ない
オリジナルの芸術になったと考えられる。
③市民、学生が参加して一つのものを作る→コミュニティの育成
これらの事業には多くの市民や、学生ボランティア、文化ボランティア等の協力
があって成り立ったものである。ひとつのものを作る過程を通して、コミュニティ
や交流が育まれ、更にまちがよくなる基盤が形成されたのではないだろうか。
④地域イメージの向上→アンケートから
木屋町=怖い、風俗街、飲み屋街のイメージから、文化芸術を行っている場所
とイメージつける一歩を踏み出すことができたと考えられる。これは、事業を
継続することでより強固なものとなる。イメージが定着するよう今後に期待し
たい。
⑤地域アイデンティティの形成
アンケートより、京都でよかった、立誠学区で住んでいてよかった、という声が
あった。これは、文化芸術が自分の生活の身近なものとして感じられたからこそ
の意見ではないかと思う。
以上のことから、京都市が創造都市として発展していく可能性は十分にあることが
明確になった。
▼今後の方向性∼立誠小学校跡地モデル事業における問題点と提案
①広報について
54
マスコミや行政を通し、総合的な広報を行っていく必要がある。市民新聞の広報
をした際は、多くの方が来場してくださった。市民新聞の効果は大きいと考えら
れる。
②情報のネットワーク化
NPO 法人日本ボランティアコーディネーター協会の塚本淳子さんにお話を伺っ
た際、立誠小学校の運営、活用について以下のことをおっしゃっていた。
『学校=地域との窓口であり、地元のものである。ゆえに、立誠小学校での事務
局をもっと活用すべき。事務局を通して交流できる環境を作ることで、団体や会
社、行政を繋ぐことができるし、有効な運営や取組ができる。』
立誠小学校内には、文化のまちプロジェクト運営委員会の事務局が設けられてい
る。その事務局を友好的に活用することで、立誠小学校の事業に携わる人々との
関係を深めることや、それぞれの情報を交換し、より質の高い事業を目指してい
けると考えられる。また、それぞれの成果や効果、を公開し共有することも今後
の運営には必要になると考えられる。
③跡地活用
事業に携わる多くの方が文化面での活用を望んでいる。
「まなびや」のような活
用が期待される。
④施設の修繕、改装
アンケートでも多く指摘があったように、立誠小学校では利用に伴った修繕、改
装が必要とされている。廊下の暗さや、冷暖房設置状況、等は、企画の成功を左
右する。つまり、事業がまちに与える効果にも影響する。継続して成果を出して
いくことが修繕への一歩につながる。地道な活動が実現につながっていくことを
期待する。
⑤施設の運営体制
現在の運営体制は京都市とまちづくり委員会や文化ボランティアによって運営さ
れているが、現在の運営情況でぎりぎりの状態である。また、事業の成果を市民
にアピールし、広報するには何らかの運営体制の導入が必要である。 ⑥共催希望への対応について
現在、共催希望の団体には文化のまちづくり委員会に参加してもらい、承認を得
ることになっている。共催希望の申請をする場合は 3 ヶ月前に申し出ることに
55
はなっているが、まだ立誠小学校の共催が始まって間もないことから厳しく順守
されていない。よって、事業実施日まで日が足らずに十分な広報が出来ない、認
定団体がまちづくりに深く携われない状況が生まれている。ただ、事業を行うだ
けではなく、真剣に立誠学区のまちづくりに共感し、それに伴った事業であるこ
とが求められる。
現在は、申し出た団体への貸し出しはほぼ出来ているが、今後立誠学区を活性化
させていくには、事業の質の向上や、認定基準のハードルを上げることも必要だ
ろう。段階を踏んでハードルを上げていく。また事業の成果(来場者数、広報の
状態)をしっかり調べ、他団体への参考にすることや、共有していくことも事業
の質を上げるには重要である。
3.京都市において創造都市を目指すには
ヒアリング調査や、独自で行ったアンケート、文献調査、また以上のことから、
京都市は創造都市として発展していく基盤があることが明確になったと同時に以下
の 7 点が今後必要になると考えられる。
①地域の資源を活用すること
②新たな創造産業の発展を目指すこと
③市民の文化芸術に対する意識をあげること
④組織、人制度などの創造的な革新と、専門的知識における政策の研究開発や迅速
で柔軟な対応
⑤芸術を生み出すアーティスト・クリエーターと付き合うこと
⑥文化芸術をまちに取り入れる方法
⇒まずはまちの目指す姿(ビジョン)や目的をしっかり持つこと。そしてまちに
求める効果を考えることである。それによって、市民参加型にするのか、継続
的に行っていくのか、イベントとして単発的に行うのか、などの具体化ができ
る。その地域が持っている独自の資源や歴史性を配慮すると、地域独自(オリ
ジナル)の文化芸術が生まれるのではないだろうか。いずれにせよ、アーティ
スト・クリエーターと連携のもと取り入れるべきである。
⑦運営体制をどのように整えるか
方向性としては、不足している、②、④、⑦を重点的に行い、継続して事業を進
56
めていくことが大切である。創造的産業とまちの相互の発展には、どのように文
化芸術をまちに取り入れるかを考え、それらの取り組みをしっかりと市民に広報
し伝えていくことが大切である。
いずれにせよ行政、市民、芸術家の連携した活動と、総合的な政策が求められる。
■参考文献
・京都市文化市民局文化芸術企画課『立誠小学校跡地施設を活用した「文化芸術による地域の
まちづくりモデル事業」について(案)』平成 19 年 5 月、
・京都市『京都文化芸術都市創生計画・概要版』平成 19 年 3 月
・佐々木雅幸+総合研究開発機構『創造都市への展望』学芸出版社、2007 年
・佐々木雅幸『創造都市への挑戦』岩波書店、2001 年、p.40
・大場吉美『金沢市民芸術村、そして金沢市の文化戦略とその意味―文化の重層的未来を志向
する元気な街づくりー』総合研究開発機構、2007 年 6 月
■参考 URL
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http://www.kanazawa-round.jp/kr.html(2007 年 12 月 12 日)
・「横浜市:クリエイティブシティ・ヨコハマ」http://www.city.yokohama.jp/me/keiei/
kaikou/souzou/outline/about.html(2007 年 12 月 12 日)
・「横浜市:創造界隈とは クリエイティブシティ・ヨコハマ」
http://www.city.yokohama.jp/me/keiei/kaikou/souzou/project/vicinity/about.
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・「フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
』高瀬川(京都府)」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ % E9 % AB % 98 % E7 % 80 % AC % E5 % B7 % 9D_
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・「京都レトロ 旧・立誠小学校」(2008 年 1 月 5 日)
http://sano567.web.infoseek.co.jp/KYOUTORETORO/jidaijyun/jidaijyundata/
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・「立誠まちづくり委員会とは」
http://www.rissei.org/committee.html(2008 年1月 4 日)
・「立誠・文化のまち運営委員会」
57
http://www.rissei-project.com/aboutus.html(2007 年 11 月 30 日)
・「立誠・文化のまちプロジェクト レポート」
http://blog.rissei-project.com/?cid=36595(2008 年 1 月 4 日)
・「日本ボランティアコーディネーター協会 」
http://www.jvca2001.org/(12 月 21 日)
・「フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
』」(2008 年 1 月 4 日)
http://ja.wikipedia.org/wiki/% E5% 89% B5% E9% 80% A0% E7% 94% A3% E6% A
5% AD
58
木屋町界隈における合意形成型景観まちづくりに
関する研究
別所 弘茂
1 研究の背景
京都市の木屋町界隈 1)は京都市役所の南
東約 200m に位置し、京都の商業の中心
である四条河原町に隣接し、名所でもある
鴨川や新京極の中間に位置している。現在
では祇園や先斗町などの近隣の歓楽街に比
べ、チェーン店や大型店の飲食店が多く、
比較的低価格帯の飲食店が中心の地域であ
る。
平成 19(2007)年の 9 月からは京都
市が新たな景観政策を実施したが、木屋町
界隈では現状において、多くの屋外広告物
が新基準では不適合な状態に陥っている現
状である。木屋町界隈は京都市内でも屈指
図 1:木屋町界隈地区の地図
の繁華街として、多数の飲食店が集中して
おり、広報戦略の一つとして多くの屋外広
(http://www.mapion.co.jp より)
告物を設置している。しかし屋外広告物のサイズや色が不均一で統一感に欠け、良
好な景観を形成しているとは言えない状況である。
現在、我が国で行われている屋外広告物の景観形成における手法の多くは、屋外
広告物の規制を強化する方法である。しかしながら既存の屋外広告物を新しい基準
に合わせるだけでは、良好な景観への誘導は難しいと考えられる。それよりも地域
1) この本文では「木屋町界隈」を木屋町通の三条通から四条通までの区間と、その周辺の路地を含めた
エリア一帯を指すと定義する。
59
内の権利者、営業者などといった関係者の間で景観に関する認識などの協議をした
上で、地域内で統一した景観イメージを共有した上での景観形成のほうが、実際に
良好な景観を作り出すことができるのではないかと考えられる。
2 研究の目的
木屋町界隈における屋外広告物について地域の中で現状の屋外広告物景観からの
オルタナティブ(代替案)を提示するために、まず屋外広告物景観シミュレーショ
ンを行い、そして屋外広告物景観シミュレーションに対しての周辺の建物所有者や
営業者、地域住民などの関係者の反応から、木屋町界隈における合意形成型の景観
まちづくりの可能性とあり方を明らかにすることである。
3 木屋町界隈における屋外広告物の現状
平成 19(2007)年 9 月から施行された京都市の新たな景観政策の施行によっ
て、屋外広告物に対する規制が以前に比べ大幅に強化されることになった。特に大
量の屋外広告物が設置されている木屋町界隈においては、この規制に対する影響は
大きいと考えられる。またそれまで屋外広告物について無許可設置や規定違反など
で違法状態であったとしても、屋外広告物に対して行政側からの指導がほとんど行
われなかった。しかし状況は大きく変わり、以前に比べ指導体制も大きく拡充され
ることになった。
このことにより木屋町に存在する屋外広告物の多くが、自主的または行政指導な
どによって今後数年以内という近い間に変更する可能性があるのではないかと推測
される。これについてどの程度の屋外広告物が今後変更されるのかを検証するため
に、木屋町界隈における屋外広告物の実態調査を行った。
木屋町界隈において行った屋外広告物の調査では、総数で 71 件(累計)の不適
合屋外広告物が確認された。
(路上屋外広告物は除く)この中での不適合項目の内
訳については、屋外広告物の総面積(23 件)が最も多く、全体の 30%を占めて
いた。2 番目には屋外広告物の最上部の高さは 10m まで(10m を超える建築物
については建築物の高さの 3 分の 2 までが上限)の規定に抵触したもの(13 件)
であった。建物の種別的には、比較的 15m 以上の中高層の建物において、突出型
屋外広告物ならびに屋上屋外広告物による不適合が目立っていた。
60
図 5:表示率の分布(20%以上が不適合ライン)
その中でも一番不適合件数が多かった項目が、
「屋外広告物の表示率」である。木
屋町屋外広告物等特別規制地区においては、屋外広告物の表示面積は壁面面積の
20%以内という規定になっているが、この表示率は全調査物件のうち 40%の 23
件が不適合になっている。表示率の規定で不適合状態にならなかった物件の共通点
として、低層木造建築の場合は、従来の町家構造に大きく手を加えておらず、小規模
かつ控え目な屋外広告物を設置している点、中高層のテナントビルについては、突出
型屋外広告物を設置していない、もしくは小規模なものを設置しているのみで、1 階
部の路面に面している店舗があまり屋外広告物を設置していないという点である。
「屋外広告物の最上部の高さ」という規定で不適合になった物件は、屋上屋外広
告物によるものが半数以上を占め、残りは突出型屋外広告物や壁面広告によるもの
であった。また路上屋外広告物については 38%の物件で設置しており、電飾を用
いた広告スタンドでは、電源コードをビルの上層階から街路樹の幹や枝に渡し、巻
きつける例も多く存在している。広告スタンドの電飾に関連して、新条例から禁止
される点滅式・可動式の照明が 10 件設置されている。
新景観政策の施行に伴って、移行期間が終わる平成 26 年までには屋上屋外広告
物は全面禁止になるため、撤去が進むことが容易に考えられる。また屋外広告物の
最上部の高さ規制、および突出型屋外広告物の突出幅の規制の強化によって、突出
型屋外広告物の撤去ないし改修が進むことが予想できる。
4 木屋町界隈における屋外広告物景観シミュレーション
屋外広告物景観シミュレーションの構図は、屋外広告物景観シミュレーションの
61
閲覧者がそのイメージの変化を捉えやすくするために、
「歩行者の視点から見た景
観」をコンセプトとして設定を行った。具体的には、木屋町通の東側の歩道におい
て、日本人の男性の平均的な目の高さである約 1.5m の位置から道路に対して平
行に立ち、正面を見つめているアングルとした。
また実際に景観シミュレーションを実行する際に、操作を行うポイントとして、
大きく分けて 4 点が存在する。まずは屋外広告物の種類を制限してみるという方
法である。例えば突出型屋外広告物を無くしてしまうと路上空間の上部がすっきり
した印象を与えることができ、また広告スタンドを無くした場合は、路上空間自体
がすっきりした印象を与えることができる。その一方で屋外広告物の種類を現状か
ら制限をした場合、街としての活気が低下した印象を与えてしまうことにもつなが
りかねない。そこでちょうちんという新しい屋外広告物を設置することで、その華
やかさを補いながら、風情のある街並みにすることができるのではないかと考えた。
また屋外広告物自体のサイズや高さ、色彩、屋外広告物の形状を変更することによっ
て、景観全体に与える印象がどのように変化をするのかを調査する必要も考えられ
る。
(1) 一定の種類の屋外広告物の有無
(3) 色彩
・突出型屋外広告物
・街全体の屋外広告物のカラーを統一させる
・広告スタンド
・モノトーン
・ちょうちん
(2) 屋外広告物のスペック
・サイズ
(4) 屋外広告物の形状
・和風の装飾を加える
・高さ
図 6:屋外広告物景観シミュレーションの操作するポイント
5 屋外広告物景観に関するアンケート
木屋町界隈における屋外広告物景観シミュレーション画像を基に、木屋町界隈に
おいて営業している店舗に対して、景観に関する全戸アンケートを実施した。この
アンケートを基にして屋外広告物景観シミュレーション画像の提示と意向調査を行
62
い、合意形成の可能性を検討するものである。アンケート内容については立誠まち
づくり委員会の会議における意見を参考にしながら作成を行った。アンケートは大
きく 2 つに分けることができる。
まず 1 つ目は、7 種類の景観イメージを基に作成した屋外広告物景観シミュレー
ション画像のそれぞれについて、①プランの印象についてどう感じたか、②景観と
して良いか、③屋外広告物としてわかりやすいか、④木屋町の一定のルールやテー
マ性としてふさわしいか、⑤実際にこのプランが木屋町の一定のルールやテーマ性
に決まった場合、このプランに合わせて屋外広告物の改修を行うのかという 5 項
目の質問を設けた。2 つ目は、木屋町界隈の今後の景観や、木屋町界隈が抱える現
状課題などといった全般的な質問を設定した。
また平成 19(2007)年から立誠まちづくり委員会で取り組んでいる路上看板
問題との兼ね合いから「路上看板に替わる新しい屋外広告物の形ということで、歩
道上空に共同看板を設置してはどうか」という議論があり、この意見を参考に新た
なテーマ性を考えた。イメージとしては祇園祭の際に四条通などの歩道に設置され
ているアーチ型の枠組みに複数のちょうちんを取り付けたものを参考にシミュレー
ション画像を新たに製作した。製作にあたっては屋外広告物条例に準拠するととも
に、新たに道路占用許可が必要になるため、所管部署である京都市建設局の道路河
川管理課への確認を行った。道路河川管理課の回答は、地元全体としての合意があ
り、路上看板が無くなるということが担保されるのであれば、道路占用の許可も検
討したいという返事であった。アンケートには、地元での合意次第では実現可能で
あると記載して、特に木屋町通と先斗町通との路地の途中や、テナントビルの上層
階や地階で、表通りから目立つ場所に屋外広告物を設置することが困難な店舗の反
応を調査した。
①調査概要
日 時:平成 20(2008)年 11 月 4・5 日(配布日)∼ 15 日(回収期限)
対 象:木屋町通・西木屋町通に面している店舗および木屋町通∼先斗町通の
路地で営業している店舗(約 500 軒)
配布方法:店舗の人間に直接配布およびポスティング
配布状況:アンケート要請軒数約 440 件、うち調査拒否件数約 25 軒、配布可
63
能軒数 415 軒
回収状況:回収部数 47 部、うち有効回収部数 42 部(有効回収率:9.55%)
②アンケート内容
(B)すっきりとした印象にするために袖
(A)現状のままの木屋町の写真(ただし
看板を撤去したプラン
屋外広告物条例に適合化させるため
の最低限の加工を施している)
(C)京都らしい特徴ある風情を演出する
(D)京都らしい特徴ある風情を演出する
ために袖看板を和風装飾のものに変
ために軒下にちょうちんを設置した
更したプラン
プラン
64
(F)花街的な華やかさを演出するために、
(E)落ち着いた印象を与えるために、看
看板の色彩を赤紫色に統一したプラン
板の色彩をモノトーンに統一したプ
ラン
(G)路地の奥やテナントビルの上階に入居している店舗は、木屋町通などの表通りには看板が設
置しづらいなど従来の看板では対応できない点があった。この問題の解決のために、木屋町
通の歩道上に路地の奥やテナントビルに入居されている店舗の名前を記したちょうちん型の
看板を門型に設置をするプラン
65
6 屋外広告物景観アンケートの結果と見えてきた課題
Ⅰ看板のわかりやすさという観点から
②この写真について、看板はわかりやすいと思いますか?
現状の木屋町の写真よりも高い評価をいただいたのはプラン D のみである。特
にプラン B については全員が否定的な意見であった。看板に一定のルールやテー
マ性を付加するということは、現状のようにサイズや形状、色彩で差別化を図るこ
とが難しくなるということを意味している。一定のルールやテーマ性のもとに各店
舗の個性をどのように表現するかがひとつの課題になってくる。また一方で「看板
のわかりにくさをどこまで許容できるのか」というアプローチでも捉えてみる必要
がある。
1.今後の木屋町の景観について、どのようなお考えをお持ちですか?あなたの考
えに近いものを選んでください。(複数回答可)
66
この質問に対して、全体の 2/3 近くが「多少看板がわかりにくくても景観のこ
とを一番に考えて取り組むべきである」と答えており、ある程度のわかりにくさな
ら許容してもよいという考えの事業者が多いとも言える。
Ⅱ看板の具体的なルールやテーマ性という観点から
①この写真について、木屋町に適していると思われますか?
③この写真のようなプランは、木屋町におけるルールやテーマ性として適している
と思われますか?
①の木屋町の景観として適しているかと、③の木屋町にけるルールや具体的な
テーマ性として適しているかでは、各プランともに回答傾向には大きな違いは見ら
れない。やはり「景観として良い=ルールやテーマ性としても優れている」という
相関関係がはっきりと表れている。最も反応が良かったものはプラン G の歩道上
空のちょうちん看板で 6 割近くの肯定的な意見が集まった。次いでプラン D とプ
ラン C が 4 割程度の肯定的な意見、逆にプラン B とプラン F は否定的な意見が 9
割を超えるという結果である。また現状の木屋町の写真に関しても、4 割近くの回
67
答者が肯定的な意見であり、現状の景観に対してあまり問題を感じていない層も一
定程度存在することが確認できた。
④もしこの案が木屋町の看板ガイドラインとして決まった場合、あなたの店舗はこ
の案に合わせて看板の変更に応じようと思いますか?
しかし実際に看板の変更を行うかという質問になると、どのプランについても上
記の質問の回答よりも肯定的な回答が減少してしまっている。
5.上記の取り組みを進める上で、ハードルになりそうな点は何ですか?(複数可)
そのような回答傾向の要因として、約 9 割近くの回答者が挙げているように、
看板を取り換える際に発生する費用の問題がネックになっており、消極的な回答傾
向につながっているのではないかと思われる。
また2・3の具体的なプランを示さずに、看板にルールやテーマ性を持たせるこ
とに賛成できるかどうか、また参加するかどうかという質問では3で 3/4 以上、
68
4でも半数以上の肯定的な意見があるのに対し、各プランを提示してほぼ同じこと
を聞いている③・④の質問では、最も評価が高いプラン D でも肯定的な意見が 3
∼ 4 割程度と、その差には大きいものがある。
Ⅲ実現可能性という観点から
2.あなたの店舗は、木屋町において
3.あなた自身の店舗はこのような取り
看板に一定のルールやテーマ性を
組みに参加しようと思いますか?
持たせることは、賛成できますか?
4.あなたは木屋町において看板に一定
のルールやテーマ性を持たせる取り
組みが、どの程度、実現性があるも
のだと思いますか?
2・3の看板にルールやテーマ性を持たせることに賛成できるかどうか、また参
69
加するかどうかという質問では3で 3/4 以上、4でも半数以上の肯定的な意見が
あるのに対して4の実現性に関する質問になると半数以上が実現性に対して疑問視
しているという結果であった。またアンケートの最後の自由記入欄のコメントの半
分以上は、今回のような景観に関する取り組みに対して「木屋町はそれ以外の問題
(風俗店、放置自転車)のほうが重要」や「このような取り組みは商売の邪魔だ」
「あ
まり厳しすぎるのは良くない」など、懐疑的なコメントが占めていた。
5.上記の取り組みを進める上で、ハードルになりそうな点は何ですか?(複数可)
そして実現に向けてのハードルとして、看板を取り換えるための費用が最も多く、
全体の 9 割近くが挙げており、次いでルールやテーマ性の具体的な内容で全体の
2/3、3 番目に誰が合意形成を行うのかという合意形成の主体に関する問題で、こ
れも全体の半数以上がハードルであると答えていた。
7 木屋町界隈における合意形成型景観まちづくりの課題
事業者向け景観アンケートの配布の際に、アンケートに対する疑問・質問などに
答える場として「皆様のご意見をお聞きする会」を立命館大学大学院政策科学研究
科木屋町研究拠点にて行った。その場に来ていただいていたテナントオーナーの方
からのご意見とアンケートの結果からの 2 つの視点を通して、テナントの立場か
らの屋外広告物景観の合意形成型まちづくりを進める上での課題を整理した。
①統一することへの反発
木屋町界隈には和風の寿司屋や小料理屋、居酒屋などもあれば、バーやキャバ
70
クラ、無料案内所やピンクサロン、ファッションヘルスなどの性風俗店も存在し
ている。様々な業種や業態の店舗がある地域において、屋外広告物を 1 つのテー
マ性に統一することは難しい。また統一感を出すことによって、木屋町界隈が「木
屋町らしく」なくなり、雑多感に代表されるようなこの地域の魅力を削ぐことに
なるとの意見も多い。そして「屋外広告物はそれぞれの店舗における貴重な個性
の表現方法」であるとの意見も多く見受けられた。この屋外広告物という表現方
法を取り上げられてしまったら、店をアピールする方法が無くなってしまい、店
舗としての死活問題になると、その理由を挙げている。
②費用が掛かる
木屋町界隈の多くの店舗は客足が減少する中で、経営環境が悪化しつつある。
この中で新たな財政出動を伴うような屋外広告物の変更は経営体力を考えると非
常に難しいとの意見が非常に強い。また木屋町の屋外広告物を何らかのテーマ性
で統一すれば、客足が増えて経営的にプラスになると言っているが、そんな不確
実性が高いことに先行投資する余裕はないとの指摘もあった。
③優先順位が低い
事業者アンケートからは木屋町界隈における問題として風俗店の進出や路上看
板や路上駐輪など歩道上の障害物に関して多くの人が関心を持っている一方で、
現在の木屋町界隈の景観に対して、事業者の方はあまり悪いと捉えている人が大
多数を占めているわけではない現状がある。そのため木屋町界隈の景観の魅力向
上の必要性自体が、地域全体の意見としてまでは、まだ成熟していないという現
状がある。
④実現性への疑問
またこの計画の実現性についても難しいとの意見が多く、現状では木屋町の店
舗同士の横のつながりが薄く、また団結して何かに取り組むという土壌が育って
いないとの声もあり、この状況の中では店舗の自由を大きく奪うような景観の取
り組みは難しいとの意見も目立っていた。
71
⑤合意形成を行う主体
そして木屋町界隈において「合意形成を行う主体」についての問題が大きなハー
ドルのひとつとして立ち塞がっている。チェーン店の進出や、地権者ではなくテ
ナントとして入居している店舗が大半を占めているという環境のため、元々店舗
同士の横の結びつきや連携が他の地域と比べても弱いという背景がある。
8 木屋町界隈における合意形成型景観まちづくりの現実化に向けた方策
景観アンケートの結果やヒアリングを受け、現状では木屋町界隈全体で合意形成
型の景観まちづくりを進めるのは非常に困難であると言わざるを得ない。しかしな
がらこのような取り組みを少しずつではあるが、着実に進めていくためのスキーム
を提案しようと考えている。
①景観に関心のある人物の発掘
景観に関する問題は、直接の当事者ではない外部の人間からの働きかけだけで
は、地域の理解を得るのは難しい。このためには地域の中から景観に関心を持ち、
主体的な取り組みを行っていく人物の存在が欠かせない。事業者への景観アン
ケートの回答の中にも木屋町界隈における現状の景観に対して危機感を持ってい
るという意見が複数寄せられており、潜在的には景観に関心を持っている人物が
木屋町界隈の中に存在するということが判明した。このように関心はあるが、立
誠まちづくり委員会のような場には出て来られてはいない方に対して、まちづく
り活動への啓発と勧誘活動を行う必要があると考えられる。
②イベント開催時に木屋町通にちょうちんを設置
木屋町界隈の中心に位置する元・立誠小学校では年 3 回大きなイベントが開
催されている。春の高瀬川桜まつり、夏の高瀬川夏まつり(灯ろう流し)
、秋の
まなびやである。このイベントの前後期間中に木屋町通の歩道沿いに、イベント
の協賛を示したちょうちんを設置する。
数ある屋外広告物の中でちょうちんを選んだ理由は、まず景観アンケートで数
あるプラン最も高い評価を受けていたこととともに、安価(簡易的なものであれ
ば 1 基あたり数千円)であり、設置および撤去が比較的容易であることである。
72
またイベント期間中のちょうちんは、周辺では三条通は祇園祭の際に、先斗町通
では鴨川をどりの際にそれぞれ毎年設置されており、行政の設置許可も比較的ス
ムーズに許可されると思われる。これによって「木屋町の統一された屋外広告物
としてちょうちんがある風景」を期間限定ながら、テナント事業者や来街者など
にアピールすることができるのではないかと考えられる。
③ちょうちんを店舗に設置
イベント期間中限定ながら木屋町通にちょうちんを設置することによって、
徐々にちょうちんという統一された景観に対して理解が進むことが予想される。
この段階では既存の屋外広告物を変更してもらうのではなく、店舗において新た
にちょうちんを屋外広告物として付加してもらう形に留めておき、反対されにく
い土壌形成に取り組む必要がある。また木屋町界隈内で、まちづくり委員会の委
員や地元住民と面識がある店舗に対して、直接店舗のオーナーなどにちょうちん
設置の協力を要請することも重要である。ちょうちんを設置している店舗を少し
でも拡大することによって、地域全体として視覚的なイメージを変えることにつ
ながると考えられるからである。
④次のステップへ
ちょうちんを木屋町の統一の屋外広告物として認知が進んでいくにつれて、各
店舗においての景観に対する認識も、取り組みを始める以前の状況と比べて深
まっていくことが予想される。この景観に関する理解の浸透と、まちづくり活動
という動きとがうまく合わさることができれば、木屋町界隈における景観につい
ての議論が生まれるようになると考えられる。そして木屋町界隈における何らか
のテーマ性に基づいた合意形成型景観形成の実現も決して不可能ではないと考え
ることができる。
9 参考文献・URL
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・竹村俊則「鴨川周辺の史跡を歩く」京都新聞社 平成 8 年
・宗政五十緒、村上明子、西野由紀「幕末の京都をゆく 絵解き案内」小学館 平成 9 年
・木村幸比古「創作市場別冊 7『京都に遊ぶ』」マリア書房 平成 13 年
73
・西村幸夫・町並み研究会「日本の風景計画」学芸出版社 平成 15 年
・武内淳、上野勝代「住民による地域空間の制御の展開∼京都市中心部における住民主体のま
ちづくりの事例から∼」日本都市計画学会関西支部第 4 回研究発表会 平成 18 年
・「木屋町・都心繁華街の安心・安全コミュニティ及び地域景観の形成プロセス検討調査報告書」
国土交通省都市・地域整備局 平成 18 年
・「新たな景観政策の素案について」京都市都市計画局都市景観部 平成 18 年
・岩井宏實「看板」法政大学出版局 平成 19 年
・京都新聞社 http://www.kyoto-np.co.jp/
・京都府警察本部・中心市街地対策ホームページ
http://www.pref.kyoto.jp/fukei/anzen/suisinsitu/hankagai/
・学芸出版社 都市環境デザイン会議関西ブロック 97 年第 9 回記録
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/gakugei/judi/semina/s9710/index.htm
74
メンバー紹介
石原ゼミナール 4 期生(2008 年度卒業)
・伊藤 大輔
・岩崎 万季
・末木 理美
・高島 正州
・多田 美保
・西脇 圭子
・若山恵理嘉
石原ゼミナール 3 期生(2007 年度卒業)
・藤本 礼子
大学院政策科学研究科まちづくりリサーチプロジェクト(2008 年度修了)
・別所 弘茂
指導教員
政策科学部・政策科学研究科教授 石原 一彦
2
立命館大学政策科学部
〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1
TEL 075-465-7877
URL http:/www.ps.ritsumei.ac.jp/
地域貢献冊子シリーズ№6 立命館大学政策科学部
2009年3月25日
木屋町の活性化の課題と方策の提案
2007∼8年度石原ゼミナール
木木木
平成20年度質の高い大学教育推進プログラム採択事業
木屋町の活性化の課題と方策の提案
2007∼8年度石原ゼミナール
地域貢献冊子シリーズ No.6
立命館大学政策科学部
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