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様式7 平成26年度 実施報告書(平成 23 年度採用

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様式7 平成26年度 実施報告書(平成 23 年度採用
様式7
アジア研究教育拠点事業
平成26年度
実施報告書(平成 23 年度採用課題用)
1.拠点機関
日 本 側 拠 点 機 関:
東京大学大気海洋研究所
イ ン ド ネシ ア 拠点 機 関: インドネシア科学院海洋研究センター
マレーシア拠点機関:
プトラマレーシア大学
フィリピン拠点機関:
フィリピン大学ディリマン校
タ イ 拠 点 機 関 :
チュラロンコン大学
ベトナム拠点機関:
海洋環境資源研究所
2.研究交流課題名
(和文)
: 東南アジアにおける沿岸海洋学の研究教育ネットワーク構築
(交流分野:沿岸海洋学)
(英文)
: Establishment of research and education network on coastal marine science
in Southeast Asia
(交流分野:Coastal Marine Science)
研究交流課題に係るホームページ:http://mits10.aori.u-tokyo.ac.jp/asiacore/
3.採用期間
平成23年 4月 1日~平成28年 3月31日
(
4年度目)
4.実施体制
日本側実施組織
拠点機関:東京大学大気海洋研究所
実施組織代表者(所属部局・職・氏名):大気海洋研究所・所長・新野 宏
コーディネーター(所属部局・職・氏名)
:大気海洋研究所・教授・西田周平
協力機関:名古屋大学地球水循環研究センター、東京大学大学院農学生命科学研究科、
東京大学アジア生物資源環境研究センター、鹿児島大学総合研究博物館、北里大学海洋
生命科学部、鹿児島大学水産学部、東海大学海洋学部、創価大学工学部、東海大学海洋
研究所、国立科学博物館動物研究部、神戸女学院大学人間科学部
事務組織:東京大学大気海洋研究所事務部
相手国側実施組織(拠点機関名・協力機関名は、和英併記願います。)
(1)国(地域)名:インドネシア
拠点機関:
(英文)Research Center for Oceanography, Indonesian Institute of Sciences
(LIPI)
(和文)インドネシア科学院海洋研究センター
コーディネーター(所属部局・職・氏名)
:(英文)Director・Zainal ARIFIN
協力機関:
(英文)Agency for the Assessment and Application of Technology (BPPT)
(和文)技術評価応用庁
(英文) Sam Ratulangi University
(和文)サム・ラツランギ大学
(英文)Research Center for Biology, Indonesian Institute of Sciences (LIPI)
(和文)インドネシア科学院生物学研究センター
経費負担区分:パターン1
(2)国(地域)名:タイ
拠点機関:
(英文)Chulalongkorn University
(和文)チュラロンコン大学
コーディネーター(所属部局・職・氏名):(英文)Faculty of Science ・Associate
Professor・Thaithaworn LIRDWITAYAPRASIT
協力機関:
(英文)Burapha University
(和文)ブラパ大学
(英文) Phuket Marine Biological Center
(和文) プーケット海洋生物センター
(英文) Prince of Songkla University
(和文) ソンクラ王子大学
(英文) Kasetsart University
(和文) カセサート大学
(英文) Marine and Coastal Resources Research Center
(和文) 海洋沿岸資源研究センター
経費負担区分:パターン2
(3)国(地域)名:ベトナム
拠点機関:
(英文)Institute of Marine Environment and Resources (IMER)
(和文)海洋環境資源研究所
コーディネーター(所属部局・職・氏名)
:(英文)Director・TRAN Dinh Lan
2
協力機関:
(英文)Research Institute of Marine Fisheries
(和文)海洋水産研究所
(英文)Institute of Oceanography, Nha Trang
(和文)ニャチャン海洋研究所
経費負担区分:パターン1
(4)国(地域)名:マレーシア
拠点機関:
(英文)Universiti Putra Malaysia
(和文)プトラマレーシア大学
コーディネーター(所属部局・職・氏名)
:
(英文)Faculty of Agriculture ・Professor・
Fatimah Md. YUSOFF
協力機関:
(英文)Universiti Kebangsaan Malaysia
(和文)クバンサーン・マレーシア大学
(英文)Universiti Teknologi Malaysia
(和文)マレーシア工科大学
(英文)Universiti Sains Malaysia
(和文)マレーシア科学大学
経費負担区分:パターン2
(5)国(地域)名:フィリピン
拠点機関:
(英文)University of the Philippines, Diliman
(和文)フィリピン大学ディリマン校
コーディネーター(所属部局・職・氏名):(英文)Marine Science Institute
Professor・Miguel D. FORTES
協力機関:
(英文)De La Salle University
(和文)デラサール大学
(英文)University of the Philippines, Visayas
(和文)フィリピン大学ヴィサヤス校
(英文)St. Paul University Manila
(和文)セントポール大学マニラ校
経費負担区分:パターン2
5.研究交流目標
5-1.全期間を通じた研究交流目標
東南アジア海域はサンゴ礁、マングローブをはじめとする多様な沿岸生態系のほか、水
深 4000m を超える半閉鎖的な海盆を含み、世界の海洋の中で最も種多様性が高いことで知
3
られる。また豊かで多様な水産資源の供給源として、約 6 億人の人口を擁する沿岸諸国の
経済や国民生活にとっても重要な場である。一方この海域では陸域からの汚染物質の流入
負荷や漁業・リゾート開発等の人間活動にくわえ、地球規模の気候変動の影響による深刻
な沿岸環境の悪化が進んでいる。
平成 13 年度から実施されている日本学術振興会の多国間拠点大学交流事業「沿岸海洋科
学」は、我が国と東南アジア五ヵ国の協力によりこれらの問題に取り組み、この海域にお
ける物質循環、有害藻類、生物多様性、汚染物質の現状と動態について多くの成果を得て
きた。10 年間の大学交流事業によりこの海域の海洋科学に関する知見を統合する学際的な
研究・教育体制が形成されつつあり、若手研究者も育ってきている。
本研究交流課題では、上記事業を基盤として構築してきた沿岸海洋学のネットワークを
維持・強化するとともに、学際的協力による参加各国における最先端の沿岸海洋学の拠点
形成により、地球規模の国際的取り組みにも貢献しうる研究教育ネットワークを構築する。
さらに、若手研究者をネットワークに参加させることにより、次世代を担う研究者育成を
目指す。
以上の目的のため、本研究交流課題では、平成 23〜27 年度の 5 年間、インドネシア、マ
レーシア、フィリピン、タイ、ベトナムおよび日本の 6 ヵ国の研究者が連携して、ユネス
コの IOC(政府間海洋委員会)/WESTPAC(西部太平洋委員会)の中でも重要視されている
下記の3課題について7つの研究グループにより共同研究を実施する。
課題1.東南アジアの沿岸海洋学:物理過程(G1)
課題2.東南アジアの沿岸海洋学:生物多様性(G2H, G2P, G2M, G2F, G2B)
課題3.東南アジアの沿岸海洋学:環境汚染(G3)
一方海草群集をはじめとする沿岸生態系については、個別課題の研究者を組織した研究
グループにより、海域を特定した総合的調査を実施する。さらに、参加国および研究分野
相互の研究交流を促進する目的で、毎年1回、国際セミナーを開催する。
5-2.平成26年度研究交流目標
いずれの課題とも、過去3年間の活動(現場調査、研究打ち合わせ、国際ワークショッ
プ)を通じて研究協力体制を構築してきたが、
H26 年度は以下に述べる課題毎の学術的活動、
分野間協力によるアマモ場生態系の統合的調査の継続、および国際セミナー(IOC /
WESTPAC との共催シンポジウム)を通じてこの協力体制の充実を目指す。同時にこれらの
活動の中で現場調査、試料の分析・解析、セミナーでの発表・論議に積極的に若手メンバ
ーを参加させることにより研究者の育成を図る。
課題1:物理過程(G1)
タイ、インドネシア、ベトナムなど各国の湾で大きな環境問題となっている貧酸素水塊
の発生と挙動を解明するため、船舶や係留系を用いた現地観測と数値モデル実験を行う。
また、沿岸生態系にとって重要な藻場の分布と分布域の変化をリモートセンシング及び現
4
地観測により研究する。各国を訪問しミニセミナーなどを実施し新たな共同研究計画を策
定する。
課題2:生物多様性(G2)
G2H:東南アジア全域に分布する微細藻類の出現情報収集を継続し、含まれる有害藻類の
分布調査を行う。微細藻類の同定には出版した図鑑を配布することで活用する。昨年度ま
でに実施してきたアマモ場生態系共同調査を継続し、マレーシア沿岸域の海藻と海草の付
着藻類を中心とした底生性微細藻類の分析を実施する。
G2P:各国間の協力により、引き続き東南アジア全域に亘る以下の研究を実施する:クラ
ゲ類の生物・生態学;動物プランクトンの分子系統地理;カイアシ類の形態・分子分類学;
動物プランクトン同定マニュアルの編集;アジア・太平洋海域の動物プランクトンデータ
ベースの拡充と解析。また、H24、25 年度に実施したアマモ場生態系共同調査の試・資料に
基づく解析を進める。教育面ではマレーシアでの動物プランクトン分類・同定トレーニン
グコースを実施する。
G2M:G1 と協力し海草・海藻藻場のハビタットマッピングを行う。各国間の協力により、
東南アジア全域に亘る以下の研究を実施する:分子遺伝と飼育実験による小型海草分類の
再検討;海藻・海草の安定同位体を用いた環境評価;藻場の生産力解析;タイ南部アンダ
マン海の海産植物フィールドガイド作成。また、昨年度実施したアマモ場生態系共同調査
について継続して調査、分析を実施する。教育面では,相互交流により学生・若手研究者
の分類・分子遺伝・生産力解析・安定同位体分析各分野のトレーニングを実施する。
G2F:マレーシア南部のジョホール水道西部水域で行った魚類調査に基づいて、この海域
の魚類図鑑を出版する。ベトナムについては本年度より北部あるいは中部の海域における
魚類調査を行い、魚類図鑑の作成を進めていく。
G2B:各国との共同で、造礁サンゴの回復に関する研究、貝類の生物地理学的研究、八放
サンゴ類ならびに棘皮動物の分類学的研究、アマモ場におけるベントス相の研究を実施す
る。また、これらの研究に関連して、海洋底生生物研究への分子系統解析の適用方法に関
するワークショップ、ならびに八放サンゴ類の分類学的研究に関するトレーニングを実施
し、各国の若手研究者への指導を行う。
課題3:環境汚染(G3)
経済発展が著しい参加各国の環境汚染の実態を継続的に把握することを目的として、参
加各国の沿岸における堆積物や生物試料の採取と現地および日本での試料分析を実施する。
試料採取は東南アジア各国のメンバーが主導して計画し、そこに日本側研究者が参加する。
とくに、マレーシアにおけるアマモ場調査とインドネシアにおける河口域調査に重点を置
く。試料分析は、現地研究機関への日本側研究者の派遣、および現地研究者の日本への招
聘により実施し、分析活動を行いつつ技術指導をはかる。
一方、生物を利用した汚染調査手法について研究を進める。小型魚類や貝類を用いての
汚染物質調査や生物影響調査の方法を、各国に分布する種を材料として検討する。遺伝子
ノックアウト技術などの先端技術の導入も検討する。
5
適宜ワークショップを開催、あるいは現地で主催されるシンポジウムに参加することに
より、成果の発信や人的交流の促進を図る。
6
6.平成26年度研究交流成果
6-1 研究協力体制の構築状況
第9回 IOC/WESTPAC 国際科学シンポジウム(H26 年 4 月)を共催した。本シンポジウ
ムにより本事業の貢献が広く認知され、今後の連携促進にも大きく寄与することが期待さ
れる。本事業からは約 70 名のメンバーが Asian CORE ワークショップをはじめとする多く
のセッションにおいて研究成果を発表するとともに、今後の活動計画への意見・情報交換
を行った。本シンポジウムのプロシーディングスは現在編集中である。また、活動情報の
社会への発信と協力研究者間の情報共有のため英和両分でのウェブサイトを運営し逐次新
情報の掲載に努めた結果、多くのアクセス(2014 年には約 18,000 回)があった。拠点の拡
充について特筆すべき成果として、本プロジェクトの活動(課題3)を契機として、イン
ドネシアに豊富に存在するメダカ類の環境研究等への適用を目指す「メダカ研究センター」
がスラウェシ島のハサヌディン大学に設置され、フィリピンでのワークショップ(課題2:
G2P)を契機として「The Plankton Society of the Philippines」が設立された。
6-2 学術面の成果
課題1
北部タイランド湾全域をカバーする観測点で船舶観測を実施し、貧酸素水塊の分布の季
節変化と、海底直上での酸素消費速度の季節変化を明らかにした。また、詳細な溶存酸素
濃度の時間変化を、湾北東部に位置するチョンブリ沖に観測機器を係留することにより明
らかにした。タイ、マレーシアにおいて藻場の現場観測を実施することにより、そのデー
タを検証データとして人工衛星によるハビタットマッピングを実施し、藻場の時間変化を
捉えることに成功した。
課題2
G2H:底生性渦鞭毛藻 Amphidinium の試料を東南アジア各国沿岸域より採集して種レベル
での分布調査を進め,3 未記載種を確認した。タイのチャン島南部で Ostreopsis を採集し、
形態的・遺伝的特徴づけを行った。インドネシア・ランプン湾では昨年度出現情報を入手
した Cochlodinium の調査を行い、C. polykrikoides と同定して報告した。調査を行っているジ
ョホール海峡では赤潮による魚類斃死が報告され、この原因種を渦鞭毛藻 Karlodinium
australe と同定した。G2P:形態観察と遺伝子解析により、インドネシアで 20 年以上漁獲さ
れている食用クラゲが未記載種であること、また、フィリピンで採集された極めて毒性の
強いアンドンクラゲにカイアシ類が共生していることを初めて見いだし、これらを新種と
して記載・公表した。マレーシアではサンゴが分泌する粘液がサンゴ礁の物質循環と食物
網において重要な役割を果たすことを明らかにした。上記も含め計 10 編の論文を国際誌に
発表した。G2M:G1 と共同で、マレーシアにおいて海草藻場のハビタットマッピングを時・
空間的に広げて行うため、方法論の再検討を詳細に行い、LANDSAT 画像解析方法を改良し
た。タイ・アンダマン海南部で得た標本を整理し、海産植物のフィールドガイド出版の準
備を進めた。マレーシアの人為的影響の程度が異なる2つの海草藻場生態系から得られた
7
エンドメンバーの安定同位体分析を進めており、両者の特性と差異の概要を得た。G2F:ベ
トナム・ハロン湾の魚類調査により、ベトナム未記録種や未記載種を含むおよそ 200 種 800
個体を採集し、魚類多様性の概要を明らかにした。現在同定作業を進めるとともに、同海
域における魚類図鑑の出版準備を進めている。また,前年度までに行ったメランボンショ
ールを含むジョホール水道北西部海域で採集された魚類についてのフィールドガイドを平
成 27 年 3 月にプトラマレーシア大学出版会から発行した.G2B:アンダマン海において八
放サンゴ類に多数付着するニシキクモヒトデの個体群の維持には無性生殖が大きな役割を
果たしていることを明らかにした。また、タイにおける造礁サンゴの回復のための共同研
究の一部として遺伝的な解析を行った。インドネシアでは、マカッサル海峡の深海産クモ
ヒトデ類の共同研究を行った。
課題3
汚染調査については、マレーシアのメランボンおよびティンギのアマモ場共同調査で採
集した試料の有機スズ分析を引き続き実施した。インドネシアでは、ジャワ島のプロボリ
ンゴおよびタンゲランの河口域において、LIPI の研究員が堆積物および魚類を採集し有機
スズ化合物を分析した。生物利用による汚染調査手法検討のため、ジャワ島のプロボリン
ゴ、タンゲランおよび、スラウェシ島のマカッサル近郊でメダカ属魚類を採集し、遺伝子
解析により前者をジャワメダカと同定した。これらの魚類を継代飼育して、毒性試験等を
実施できるように、LIPI およびハサヌディン大学に飼育設備を設置した。ハサヌディン大
学の設備は、
「Medaka Study Center」として、学内センターとして組織化された。
課題間連携(アマモ場総合調査)
統合的アマモ場生態系調査のワークショップを開催した(2014 年 12 月 16〜18 日、プト
ラマレーシア大学海洋科学センター)。本ワークショップはマレーシア及び他の東南アジ
ア諸国で 2012~2014 に亘ってアマモ場統合的生態系調査の枠組みに基づき行われた研究の
成果を、 2015 年度中の取りまとめを目指し発表・議論することを目的とした。約 50 名が
参加し、25 件の研究成果が発表・論議された。
6-3 若手研究者育成
課題1
北部タイランド湾の船舶観測では、6-8 人の大学院生および学部生が参加し、3 日間の
観測を共同で行い、観測方法、取得したデータの解析方法について指導した。タイ、マレ
ーシアでの藻場現地調査には若手研究者が参加し、日本の研究者と共同で観測を実施し、
観測機器の使い方を理解した。IOC/WESTPAC のプロジェクトと共同でリモートセンシング
のトレーニングワークショップをベトナム国立海洋研究所で開催し、タイ、マレーシア、
イエメン、カンボジア、ベトナムの若手研究者と大学院学生に衛星画像処理の経験を積ま
せることができた。
課題2
G2H:タイ・チャン島調査にはチュラロンコン大学と山形大学の大学院生が、インドネシ
8
ア・ランプン湾の調査には山形大学の大学院生と LIPI の若手研究者が参加し、共同研究を
通して採集と観察の指導を行った。マレーシア・バチョで開催したトレーニングワークシ
ョップには大学院生を含めた若手研究者が参加した。マレーシア・マラヤ大の若手研究者
が日本に 2 週間滞在し、東南アジアに出現する有害赤潮原因ラフィド藻 Chattonella の同定
に関する共同研究を行い,特に電子顕微鏡観察に関する指導を行った。G2P:マレーシアに
おける海洋動物プランクトンの分類・生態に関する能力向上と研究者育成を趣旨としてト
レーニングワークショップ「海洋動物プランクトンの多様性と分類」をプトラマレーシア
大学海洋研究センターで実施し、大学教職員、大学院生、環境関連の省庁・企業の研究者
等を含む計32名が参加した。G2M:ベトナムにおいて G1 と共同で参加各国の若手研究
者・大学院生に衛星画像解析のトレーニングを行った。安定同位体分析に大学院生を参加
させるとともに、データ解析を指導した。G2F:ベトナムのハロン湾での調査を、海洋環境
資源研究所に所属する若手研究者や大学院生と共同で行った。G2B:マレーシアで開催した
ワークショップには、マレーシア、タイ、日本の学生および若手研究者が多数参加し、分
子の技術も含む系統分類学的手法や生物地理学的手法を指導するとともに、研究者間のネ
ットワーク作りを行うことが出来た。マレーシアの大学院生メンバーを留学生として日本
に迎え入れナマコ類の系統分類学的研究を指導した。タイでの共同研究における野外調査
やデータ解析を、タイの学生や若手研究者を加えて行い、海洋生物学における基本的な手
法を指導した。
課題3
マレーシアではアマモ場共同調査ワークショップの場を利用して、若手研究者と交流し
た。また、プトラマレーシア大学の卒業生 1 名を大気海洋研に大学院生として受け入れる
ことになった。この学生の学部時の指導教員は、本プログラムの前身である拠点大学交流
の時期に東京大学海洋研究所で学位を取得した Syaizwan Zulkifli 博士であり、継続的な交流
の成果が着実に表れている。インドネシア(LIPI)の若手研究者を大気海洋研究所に招聘し、
DNA による種同定技術について研修した。神戸女学院での有機スズ化合物分析にも LIPI の
研究者を招聘して技術研修を行った。また、メダカ属魚類などの生物を用いる汚染研究法
に関して、日本から 2 名をインドネシアに派遣して、継代飼育や、汚染検査に使う卵の取
り扱いの方法について、LIPI の若手研究員や、ハサヌディン大学の学生に実技講習を行っ
た。
6-4 その他(社会貢献や独自の目的等)
課題1
北部タイランド湾では、底引き網など多くの漁船が操業しており、貧酸素水塊の分布と
その変化を把握することは、北部タイランド湾の漁業に対し重要な情報となる。また、海
洋生態系の保全において重要な藻場分布の把握は、持続的な水産業の維持のための重要な
情報となる。
課題2
G2H:図鑑「Marine Phytoplankton of the Western Pacific」を国外研究者に配布することで交
9
流を図っている。IOC/WESTPAC-HAB プロジェクトとの連携をとりながら東南アジアにお
ける有害藻類研究者国際ネットワークを強化しており、各国でのトレーニングコース開催
の際には有害藻類同定の資料としての図鑑の配布を申し出たこともあり、今年度はマレー
シアでトレーニングワークショップを開催した。G2P:上記学術的面での成果に示したイン
ドネシアでの食用クラゲの新種記載は、水産重要種でも未だ分類学的に未知の領域が大き
いことを如実に示した事例として、社会的にも大きな反響を呼んだ
。G2M:参加各国で海藻・海草有用成分の
(http://www.at-s.com/news/detail/1174143847.html)
検索と利用法の検討が盛んに行われており、海産植物資源を用いた新規産業創出の可能性
があること、また、その基盤としての藻場生態系の保全が社会的に重要であることを示し
ている。G2F:マレーシアの魚類調査で得られた標本に基づき、ジョホール海峡の魚類フィ
ールドガイドを一般向けにプトラマレーシア大学出版会から出版した。G2B:各国の研究機
関で、生物標本の保管の重要性についての議論が高まっており、今後は国立科学博物館等
の博物館との連携を深め、博物館的な機能の導入について検討していくことへの要望が出
されている。
課題3
ハサヌディン大学に設置した魚類飼育設備が Medaka Study Center として大学内組織化さ
れた。メダカ類は日本が主導して世界に提案してきた実験動物であり、東南アジアに多く
の種が分布している。本センターに日本のノウハウを伝えていくことにより、東南アジア
各国の環境学や生物学の発展、および生物学教育に貢献したい。
課題間連携(アマモ場総合調査)
マレーシアのジョホール海峡におけるアマモ場生態系調査により、現在進行している埋
め立てによって海草藻場が減少していることを明らかにした。これらの結果から、今後行
われる埋立では、環境に配慮することがマレーシア環境省から埋立事業者に工事の条件と
して申し渡された。
6-5 今後の課題・問題点
現在各国で ABS(Access to genetic resources and Benefit Sharing)問題へ対応するための法
整備をはじめとする様々な取り組みが進行中である。本事業に限らず、国際的な連携のも
とでの現地調査が重要な位置を占める日本学術振興会の国際協力事業全般におけるこの問
題への対策が喫緊の課題である。
6-6 本研究交流事業により発表された論文
平成26年度論文総数
46本
相手国参加研究者との共著
13本
(※ 「本事業名が明記されているもの」を計上・記入してください。)
(※ 詳細は別紙「論文リスト」に記入してください。
)
10
7.平成26年度研究交流実績状況
7-1 共同研究
整理番号
R-1
研究課題名
研究開始年度
平成23年度
研究終了年度
平成 年度
(和文)東南アジアの沿岸海洋学:物理過程
(英文)Coastal marine science in Southeast Asia: Physical processes
日本側代表者
(和文)森本昭彦・名古屋大学地球水循環研究センター・准教授
氏名・所属・職
(英文)Akihiko Morimoto・Nagoya University・Associate Professor
相手国側代表者
(英文)Zainal ARIFIN・Research Center for Oceanography, Indonesian
氏名・所属・職
Institute of Sciences (LIPI)・Director
Thaithaworn LIRDWITAYAPRASIT ・ Faculty of Science, Chulalongkorn
University ・Associate Professor
TRAN Dinh Lan・Institute of Marine Environment and Resources (IMER)・
Director
Mazlan Abd. HASHIM・Universiti Teknologi Malaysia・Professor
Miguel D. FORTES・University of the Philippines, Diliman・Professor
参加者数
日本側参加者数
15名
インドネシア側参加者数
7名
タイ側参加者数
3名
ベトナム側参加者数
5名
マレーシア側参加者数
3名
フィリピン側参加者数
0名
26年度の研究
北部タイランド湾において、8,9,11,12,2 月の計 5 回、貧酸素水塊
交流活動
の分布を把握するための船舶観測をタイのブラパ大学の研究者および
学生と共同で実施した。また、タイとマレーシアにおいて藻場の分布調
査をそれぞれの国の共同研究者と共同で実施した。インドネシアのジャ
カルタ湾の環境問題に対応するための研究計画の策定を行った。ベトナ
ムのニャチャンにあるベトナム海洋研究所において 2014 年4月に
IOC/WESTPAC の Ocean Remote Sensing Project と共同で若手研究者向け
の衛星画像解析による藻場マッピングのワークショップを開催し、ベト
ナム、タイ、カンボジア、マレーシア、イエメン、日本の若手研究者が
参加した。
11
26年度の研究
北部タイランド湾では、チャオプラヤー川の河口域で酸素消費速度が大
交流活動から得
きく、河川流量が増加する 8 月にチャオプラヤー沖で貧酸素水塊が見ら
られた成果
れ、9 月は北部タイランド湾北東部の広域で貧酸素となり、10、11 月に
は北東部の貧酸素は解消され、一方北西部で貧酸素化することが分かっ
た。このように貧酸素の分布が大きく変わることと、酸素消費速度の時
間変化を示したのは初めてのことである。藻場分布については、タイ、
マレーシアで現場観測を実施し、衛星データから藻場の変遷を明らかに
した。ベトナムのニャチャンにあるベトナム国立海洋研究所において
IOC/WESTPAC と共同でワークショップを開催し、ベトナム、タイ、カン
ボジア、マレーシア、イエメン、日本の若手研究者が参加したことによ
り、ネットワークに A-CORE の若手研究者のネットワークが形成された
だけでなく、A-CORE のメンバー国以外の若手研究者を含むネットワーク
も形成することができた。
12
整理番号
R-2
研究課題名
研究開始年度
平成 23 年度
研究終了年度
平成 27 年度
(和文)東南アジアの沿岸海洋学:生物多様性
(英文)Coastal marine science in Southeast Asia: Biodiversity
日本側代表者
(和文)西田周平・東京大学大気海洋研究所・教授
氏名・所属・職
(英文)Shuhei Nishida・Atmosphere and Ocean Research Institute・Professor
相手国側代表者
(英文)Zainal ARIFIN・Research Center for Oceanography, Indonesian
氏名・所属・職
Institute of Sciences (LIPI)・Director
Thaithaworn LIRDWITAYAPRASIT ・ Faculty of Science, Chulalongkorn
University ・Associate Professor
TRAN Dinh Lan・Institute of Marine Environment and Resources (IMER)・
Director
Fatimah Md. YUSOFF・Universiti Putra Malaysia・Professor
Miguel D. FORTES・University of the Philippines, Diliman・Professor
参加者数
26年度の研究
交流活動
日本側参加者数
41名
インドネシア側参加者数
26名
タイ側参加者数
24名
ベトナム側参加者
30名
マレーシア側参加者
29名
フィリピン側参加者
28名
G2H:マレーシア・バチョでのトレーニングワークショップと現地調
査をマラヤ大学、タイ・チャン島での底生性渦鞭毛藻類調査をチュラロ
ンコン大学、インドネシア・ランプン湾での有害赤潮原因種調査を LIPI
と BBPBL の大学院生や研究者と共同で実施した。
G2P:以下の共同研究のためメンバーを派遣・招聘した。マレーシア
およびフィリピンにおけるクラゲ類の生態;フィリピンにおける動物プ
ランクトンの分子系統地理と食物網解析;インドネシア、タイにおける
カイアシ類の形態・分子分類学。また、アマモ場生態系共同調査で得た
試料の分析・解析を継続した。教育面ではマレーシアで動物プランクト
ンの分類・生態に関するトレーニングコース実施のため講師を派遣した。
G2M:ベトナムでのリモセン・トレーニングコース(G1)に講師を派遣、
また、藻場のリモセン・同位体比によるレトロスペクティブ解析の研究
打合せと、若手研究者への分析指導を行った。昨年度実施したタイのト
ラン沿岸環境調査結果の解析を大学院生に指導した。アマモ場生態系共
同調査で得た試料の安定同位体比分析・解析を継続した。
G2F:ジョホール水道北西部海域魚類フィールドガイド制作のための
会議を行い、その後日本とマレーシアのメンバーが編者となり、プトラ
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マレーシア大学から出版、発行した.ベトナム・ハロン湾において海洋
環境資源研究所の研究者や学生と共同で魚類の採集調査を行った。
G2B:八放サンゴ類と棘皮動物を中心とした現地調査をアンダマン海
にて行った。タイの造礁サンゴ類で得られた遺伝的データについて共同
で解析を行った。インドネシアのマカッサール海峡から採集されたクモ
ヒトデ類標本の分析を実施した。マレーシアにおいて、分類と分子系統
に関するワークショップを開催した。
26年度の研究
G2H:図鑑「Marine Phytoplankton of the Western Pacific」を国外研究者
交流活動から得
に配布することで研究交流を進めている。渦鞭毛藻 Amphidinium の分布
られた成果
を明らかにする中で未記載の属内系統群を識別し、これらより未報の形
態形質を発見した。インドネシアのランプン湾に新たに出現した
Cochlodinium polykrikoides の種内個体群を明らかにした。ジョホール海峡
に出現した有害赤潮の原因種を Karlodinium australe と同定して報告し
た,これは本種による初めての被害報告となる。Ostreopsis siamensis のタ
イプ産地より採集した試料の遺伝的形質を明らかにし、所属クレードを
見いだした。ベトナム産浮遊性渦鞭毛藻 1 種が未記載であることを確認
し,記載報告準備中である。
G2P:H25 年度に引き続き、交流の成果としての学術論文の投稿・出版
が順調に進んでいる。H26 はとくにインドネシアの食用クラゲの新種記
載、フィリピンの強毒アンドンクラゲの共生生物の発見、サンゴ粘液の
新たな機能の発見をはじめとするインパクトの大きい論文を相手国メン
バーとの共著論文として出版できたことは大きな成果である。
G2M:G1 と共同の藻場調査研究の成果として、マレーシアメンバーに
より学術論文が出版された。安定同位体比分析等による藻場環境および
生態系評価に関して国際学会・研究集会で発表を行った。タイ・アンダ
マン海南部における海産植物フィールドガイドを出版準備中である。
G2F:前年度までに採集した魚類に基づき,メランボンショールを含
むジョホール海峡北西部海域魚類フィールドガイドを作成、プトラマレ
ーシア大学出版会から発行した。ベトナム・ハロン湾における魚類調査
の結果、この水域から約 200 種を記録した。現在これらの標本の同定作
業を行っており、すでにベトナム未記録種や未記載種と思われる個体が
みつかっている。これらの標本に基づいて、現在個別の論文を作製する
とともに、ハロン湾の魚類を網羅したフィールドガイドを作成中である。
G2B:タイにおける八放サンゴ類に付着するニシキクモヒトデ個体群
の研究では、個体群の構造を解析し色彩型や繁殖方法の違いがあること
を明らかにし研究集会で発表した。また、造礁サンゴの保全のための移
植を行う上で、遺伝的解析が重要であることを明らかにした。マカッサ
14
ール海峡のクモヒトデ類について同定作業を行い、10 種以上のクモヒト
デ類が含まれていることが明らかとなった。マレーシアで行ったワーク
ショップでは 30 名近くの参加者に指導を行った.
15
整理番号
R-3
研究課題名
研究開始年度
平成 23 年度
研究終了年度
平成 27 年度
(和文)東南アジアの沿岸海洋学:環境汚染
(英文)Coastal marine science in Southeast Asia: Environmental pollution
日本側代表者
(和文)井上広滋・東京大学大気海洋研究所・教授
氏名・所属・職
(英文)Koji Inoue・Atmosphere and Ocean Research Institute・Professor
相手国側代表者
(英文)Zainal ARIFIN・Research Center for Oceanography, Indonesian
氏名・所属・職
Institute of Sciences (LIPI)・Director
Thaithaworn LIRDWITAYAPRASIT ・ Faculty of Science, Chulalongkorn
University ・Associate Professor
TRAN Dinh Lan・Institute of Marine Environment and Resources (IMER)・
Director
Ahmad ISMAIL・Universiti Putra Malaysia・Professor
Miguel D. FORTES・University of the Philippines, Diliman・Professor
参加者数
26年度の研究
交流活動
日本側参加者数
4名
インドネシア側参加者数
9名
タイ側参加者数
7名
ベトナム側参加者
4名
マレーシア側参加者
7名
フィリピン側参加者
4名
マレーシアでのアマモ場共同調査の試料について、有機スズ等の分析
を引き続き実施した。同じ地域で採集した試料についてマレーシア G3
メンバーが安定同位体比解析を行った。インドネシアジャワ島のプロボ
リンゴ、タンゲランでも堆積物および生物試料の採集を行い、その試料
についてインドネシア研究者 1 名が来日して有機スズ分析を行った。
汚染物質の生物影響を調べる材料として、海水適応できるメダカ類の
探索をベトナム、インドネシアで行い、ベトナムのニャチャン近郊、イ
ンドネシアのプロボリンゴ、タンゲラン、マカッサルで採集することが
できた。ジャワ島の試料についてインドネシアの研究者 1 名が来日して
DNA による種同定を行った。また、ジャカルタの LIPI およびマカッサル
のハサヌディン大学にメダカ類の継代飼育設備を設置した。並行して、
日本でゲノム編集技術のジャワメダカへの応用の可否を検討した。
ベトナムでの IOC/WESTPAC シンポジウム、マレーシアでのアマモ場共
同調査ワークショップ、インドネシアでの国際シンポジウム等に日本メ
ンバーを派遣し、成果発表を行うとともに、LIPI およびハサヌディン大
学でセミナーを実施した。
16
26年度の研究
マレーシアの合同アマモ場調査の試料については、有機スズ分析の結
交流活動から得
果と安定同位体比分析の結果を照合しながら汚染物質の移動について考
られた成果
察したが、結果は単純ではなく、より分析データを増やしたい。
インドネシアジャワ島で採集された堆積物試料の分析のために LIPI か
ら招聘した研究員は、神戸女学院で技術を習得した。
ベトナムのニャチャン近郊、インドネシアのジャワ島およびマカッサ
ル周辺で、海水への適応力を持つメダカ類を採集した。海水中での汚染
物質の影響を調べるために、これらを継代飼育できる設備を LIPI とハサ
ヌディン大学に設置し、後者は大学内センターへと組織化された。
DNA 分析による種同定技術について、LIPI から招聘した研究員に東京
大学大気海洋研究所で講習を行い、ジャワ島で採集したメダカ類をジャ
ワメダカと同定した。
ジャワメダカへのゲノム編集技術を検討し、CRISPR/Cas9 系が応用で
きることを確認した。
17
7-2 セミナー
整理番号
S-1
セミナー名
(和文)第9回 IOC/WESTPAC 国際科学シンポジウム
(英文)9th IOC/WESTPAC International Scientific Symposium
開催期間
平成26年4月22日 ~
平成26年4月25日(4日間)
開催地(国名、都市名、 (和文)ベトナム、ニャチャン、ニャチャンシェラトンホテル
会場名)
(英文)Vietnam, Nha Trang, Nha Trang Sheraton Hotel
日本側開催責任者
(和文)西田周平・東京大学大気海洋研究所・教授
氏名・所属・職
( 英 文 ) Shuhei Nishida ・ Atmosphere and Ocean Research
Institute, The University of Tokyo・Professor
相手国側開催責任者
(英文)Tran Duc Thanh・Institute for Marine Environment and
氏名・所属・職
Resources (IMER)・Principal Researcher
(※日本以外で開催の場合)
参加者数
セミナー開催国
(ベトナム )
派遣
派
日本
<人/人日>
インドネシア
<人/人日>
タイ
<人/人日>
ベトナム
<人/人日>
マレーシア
<人/人日>
フィリピン
<人/人日>
合計
<人/人日>
A.
B.
A.
B.
A.
B.
A.
B.
A.
B.
A.
B.
A.
B.
24/ 187
6/ 24
10/ 40
12/ 48
13/ 52
8/ 32
73/ 383
A. 本事業参加者(参加研究者リストの研究者等)
B. 一般参加者(参加研究者リスト以外の研究者等)
※日数は、出張期間(渡航日、帰国日を含めた期間)としてください。これによりがたい
場合は、備考欄を設け、注意書きを付してください。
18
セミナー開催の目的
本シンポジウムは IOC/WESTPAC の主要な活動の一環として 3 年ご
とに開催され、毎回約 20 ヵ国から 400〜500 名が参加するアジア地
域の海洋学分野では最大規模の集会である。今回の主催はベトナム
科学技術院と IOC/WESTPAC であるが、本事業はこのシンポジウム
の共催団体として参加し、日本メンバーの渡航費を助成するととも
に、多くのメンバーが運営委員(5 名)あるいはセッションコンビ
ーナー(9 名)として運営にあたっている。本事業では、アジア太
平洋海域の研究者が一堂に会する本シンポジウムで多くのメンバ
ーが研究成果を発表・討論するとともに、関係諸国の研究者との交
流を通じて研究・教育のネットワークを拡充すること、また、Asian
CORE のセッションでは事業最終年度に向けた成果の総括と将来
展望について討議することを目的とした。
セミナーの成果
シンポジウムにはアジアを始めとする 21 ヵ国から研究者、研究組
織管理者、政策担当者、沿岸海洋学に関するプロジェクトの担当者
等、約 550 名が参加し、初日の開会式に引き続き、
「Understanding
Ocean Processes in the Indo-Pacific Region」
、
「Ensuring Marine
Biodiversity, Food Safety and Security」
、および「Maintenance of
Ocean Health」の3つの副題のもと、14 のセッションで約 450 件
の研究成果(口頭およびポスター)が発表された。このうち Asian
CORE からは約 70 名が参加・発表した。また、会期中には
WESTPAC に関連した 8 つのプロジェクトのワークショップも開
催された。Asian CORE ワークショップでは本事業における課題ご
との研究と分野間連携による生態系総合調査の成果総括に向けた
実施計画に加え、事業終了後のネットワークの拡充についても具体
的方針が論議された。本シンポジウムは、若手研究者が論議に加わ
ることにより、国際的な場で活躍できる研究者の育成にも寄与する
とともに、多くのベトナム研究者にまたとない発表の機会となっ
た。
19
セミナーの運営組織
国内運営委員
Dr. Tran Duc Thanh, Institute of Marine Environment and Resources
Dr. Nguyen Ngoc Lam, Institute of Oceanography
Dr. Dao Viet Ha, Institute of Oceanography
国際科学運営委員
Dr. Shuhei Nishida, The University of Tokyo, Japan
Dr. Zainal Arifin, Research Center for Oceanography-LIPI, Indonesia
セッションコンビーナー
Dr. Mitsunori Iwataki, The University of Tokyo, Japan
Dr. Suchana Chavanich, Chulalongkorn University, Thailand
Dr. Zainal Arifin, Research Center for Oceanography-LIPI, Indonesia
Dr. Che Abd Rahim Mohamed, Universiti Kebangsaan Malaysia,
Malaysia
Dr. Dao Viet Ha, Institute of Oceanography, Vietnam
Dr. Lim Po Teen, Universiti Malaysia Sarawak, Malaysia
Dr. Zulfigar Yasin, Universiti Sains Malaysia, Malaysia
Dr. Nguyen Ngoc Lam, Institute of Oceanography, Vietnam
Dr. Teruhisa Komatsu, The University of Tokyo, Japan
開催経費
日本側
内容 外国旅費
分担内容
外国旅費に係る消費税
と金額
合計
ベトナム側
20
内容 会議費等
金額
4,239,532 円
296,813 円
4,536,345 円
金額
200,000 円
7-3 研究者交流(共同研究、セミナー以外の交流)
平成26年度は実施していない。
7-4 中間評価の指摘事項等を踏まえた対応]
※中間評価の指摘事項等を踏まえ、交流計画等に反映させた場合、その対応について記載
してください。
指摘された事項のうち、論文の国際誌への掲載が少ない点については、H25, 26 年度には
眼に見える進展があった。実際には本プロジェクトのネットワークにより実施された研究
の成果論文の多くが国際誌に掲載されているが、実際の調査・研究のほとんどが相手国の
マッチングファンドで実施された場合などに、謝辞に「Asian CORE」と明記することを躊
躇する相手国研究者も多い。これが論文リストに国際誌への掲載論文が少なくなっている
主因である。しかしネットワークの役割を重視する本プログラムでは、直接の資金援助が
無い場合でも、ネットワークとしての研究への貢献は重要である。そこで、セミナー、ワ
ークショップ、メール連絡などの様々な手段で、メンバー全員に、可能な範囲内でできる
だけ Asian CORE への謝辞を論文に含めるよう通知している。
日本への派遣が少ないことについては、その多くは事業規模と本事業の制度に由来する
制約による。H26 年度には、他の競争的資金により改善を図った。参加国間のネットワーク
構築も本事業の制約によるところが大きいが、日本と協力国間の2国間の活動とネットを
通じての情報交換の併用により改善を図る。十分なマッチングファンドの確保については、
各国コーディネータの努力により改善されつつあるが、各国の各課題班における新規事業
の提案や申請書の作成補助を通じて一層の改善を図る。
21
8.平成26年度研究交流実績総人数・人日数
8-1 相手国との交流実績
派遣先
四半期
1
2
日本
3
4
計
1
2
インドネシア
3
4
計
1
2
タイ
3
4
計
1
2
ベトナム
3
4
計
1
2
マレーシア
3
4
計
1
2
フィリピン
3
4
計
1
2
合計
3
4
計
日本
派遣元
インドネシア
3/ 19
3/ 19
0/ 0
0/ 0
0/ 0
2/ 12
1/ 22
3/ 34
1/ 44
1/
3/
0/
1/
0/
4/
44
56
0
22
0
78
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
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(
(
(
(
(
(
(
(
0/ 0
0/ 0
0/ 0
1/ 24
1/ 24
0/
0/
1/
0/
0/
1/
0
0
24
0
0
24
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)
)
(
(
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(
(
0/ 0
タイ
)
)
)
)
)
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
4/ 33
2/ 12
6/ 45
0/ 0
0/ 0
0/ 0
0/ 0
0/
0/
0/
3/
0/
3/
0
0
0
19
0
19
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
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0/ 0
0/ 0
0/ 0
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0
0
0
0
0
0
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)
)
)
)
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)
)
)
)
)
)
)
)
ベトナム
0/ 0
0/ 0
23/
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
4/
2/
29/
0/
0/
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
0/ 0
0/ 0
0/
0/
0/
4/
2/
6/
0
0
0
33
12
45
0/ 0
0/ 0
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0
0
0
0
0
0
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
マレーシア
178 ( 1/ 9
(
35 (
12 (
225 (
(
(
(
(
0 (
(
(
(
(
0 (
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
1/ 9
6/ 24
6/ 24
40
10/
10/
40
13/
52 )
)
)
)
52 )
32 )
)
)
)
32 )
157 )
0 )
0 )
0 )
157 )
6/ 42
9/ 54
15/ 96
0/ 0
0/ 0
0/ 0
0/
0/
23/
0/
4/
2/
29/
(
(
(
(
0 (
(
(
(
(
0 (
178 (
0 (
35 (
12 (
225 (
13/
8/
8/
38/
0/
0/
0/
38/
0/
0/
6/
9/
0/
15/
0
0
42
54
0
96
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
フィリピン
0/ 0
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
0/
0/
1/
0/
0/
1/
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
1/ 7
1/ 7
0/ 0
0/ 0
0
0
7
0
0
7
合計
0/ 0
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
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(
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(
(
0/ 0
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
0/
0/
0/
0/
0/
(
(
(
(
(
0/
0/
0/
0/
0/
)
)
)
)
)
0/ 0
0/ 0
0/ 0
0/ 0
0
0
0
0
0
0/ 0
0/ 0
0/ 0
0/ 0
0
0
0
0
0
23/
6/
20/
4/
53/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
2/
0/
1/
0/
3/
1/
0/
0/
0/
1/
26/
6/
21/
4/
57/
※各国別に、研究者交流・共同研究・セミナーにて交流した人数・人日数を記載してくだ
さい。
(なお、記入の仕方の詳細については「記入上の注意」を参考にしてください。
)
※相手国側マッチングファンドなど、本事業経費によらない交流についても、カッコ書き
で記入してください。
8-2 国内での交流実績
1
3/ 6
22
(
2
)
(
3
)
4/ 5
(
合計
4
)
4/ 4
(
)
11/ 15
( 0/ 0 )
178 (
42 (
141 (
24 (
385 (
0 (
0 (
0 (
0 (
0 (
0 (
0 (
0 (
0 (
0 (
0 (
0 (
0 (
0 (
0 (
12 (
0 (
22 (
0 (
34 (
44 (
0 (
0 (
0 (
44 (
234 (
42 (
163 (
24 (
463 (
1/
1/
0/
0/
2/
6/
0/
0/
0/
6/
10/
0/
0/
0/
10/
0/
0/
0/
0/
0/
13/
1/
0/
0/
14/
8/
0/
0/
0/
8/
38/
2/
0/
0/
40/
9
7
0
0
16
24
0
0
0
24
40
0
0
0
40
0
0
0
0
0
52
24
0
0
76
32
0
0
0
32
157
31
0
0
188
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
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)
)
)
)
)
)
)
)
)
9.平成26年度経費使用総額
(単位 円)
経費内訳
研究交流経費
金額
国内旅費
備考
260,570 国内旅費、外国旅費の合計
は、研究交流経費の50%以
9,080,302 上であること。
外国旅費
謝金
0
備品・消耗品
購入費
26,659
その他の経費
20,656
外国旅費・謝
金等に係る消
費税
619,813
研究交流経費配分額以内であ
ること。
研究交流経費の10%を上限
とし、必要な額であること。
1,000,800
また、消費税額は内額とす
る。
計
10,008,000
業務委託手数料
合 計
11,008,800
10.平成26年度相手国マッチングファンド使用額
相手国名
平成26年度使用額
現地通貨額[現地通貨単位]
日本円換算額
インドネシア
245,000,000 [ルピア]
2,262,000 円相当
タイ
1,850,000 [バーツ]
6,807,000 円相当
ベトナム
431,842,000 [ドン]
2,391,000 円相当
マレーシア
1,543,359 [リンギッド]
51,294,000 円相当
フィリピン
1,249,210 [ペソ]
3,376,000 円相当
23
※交流実施期間中に、相手国が本事業のために使用したマッチングファンドの金額につい
て、現地通貨での金額、及び日本円換算額を記入してください。
24
Fly UP