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法人処罰(両罰規定)に関する判例

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法人処罰(両罰規定)に関する判例
資料6
法人処罰(両罰規定)に関する判例
最高裁大法廷 昭和 32 年 11 月 27 日判決
【事案の概要】 入場税法違反における両罰規定に係る罪を問われた事業主が、両罰規定は、故意過失なき事業主をして他
人の行為に対し刑責を負わしめたものであり、これは憲法 39 条に違反するかが争われた事例。
「所論は、廃止前の入場税法17条の3(但し昭和22年法律第142号による改正前の条文)のいわゆる両罰規定は、憲
法39条に違反すると主張する。
しかし、同条は事業主たる、人の「代理人、使用人其ノ他ノ従業者」が入場税を逋脱しまたは通脱せんとした行為に対し、
事業主として右行為者らの選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかった過失の存在を推定した規
定と解すべく、したがって事業主において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業主もまた刑責を免れ
得ないとする法意と解するを相当とする。それ故、両罰規定は故意過失もなき事業主をして他人の行為に対し刑責を負わし
めたものであるとの前提に立脚して、これを憲法39条違反であるとする所論は、その前提を欠くものであって理由がない。」
最高裁第二小法廷 昭和 40 年 3 月 26 日判決
【事案の概要】 外国為替及び外国貿易管理法における両罰規定に係る罪に問われた事業主が、同法両罰規定によって、従
業者の選任、監督の過失を推定すること自体が、また、無過失の立証が事実上不可能であることに照らせば、
同規定は結局事業主の無過失責任を認めることと等しく、これは刑罰法における責任主義に反し、しかもこ
の過失推定についての明文を欠いていることから罪刑法定主義に違反するかが争われた事例。
…事業主が人である場合の両罰規定については、その代理人、使用人その他の従業者の違反行為に対し、事業主に右行為
者らの選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかった過失の存在を推定したものであって、事業主
において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業主もまた刑責を免れ得ないとする法意と解するを相当
とすることは、すでに当裁判所屢次の判例(略)の説示するところであり、右法意は、本件のように事業主が法人(株式会
社)で、行為者が、その代表者でない、従業者である場合にも、当然推及されるべきであるから、この点の論旨は、違憲の
主張としての前提を欠き理由がない。」
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