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株式会社いうら(愛媛県)

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株式会社いうら(愛媛県)
四国経済産業局
株式会社いうら(愛媛県東温泉市)
~特許の取れない製品は市場に出さない福祉・介護機器メーカー~
1. 機械部品加工メーカーから福祉・介護機器専門メーカーへ
大手農機メーカーで農機の研究開発に従事していた創業者(現代表取締役会長)が独
立し、機械部品の加工会社「有限会社井浦設計製作所」を設立したのが1973年。主に2
次下請けとして農機部品の製造を行っていたが、創業者の父親と介護に疲れた母親のた
めに「ねがえりベッド」を開発したのがきっかけとなって、1978年から福祉・介護機器
分野に進出した。その後も会社の売り上げは農業部品の下請加工が大半を占める状況が
続いていたが、下請では会社の発展が望めないとの判断から、1983年に福祉・介護機器
の専門メーカーとして脱下請化を図った。
1987年の株式会社化を経て1994年には「株式会社いうら」に名称変更。常に現場の声
を大切にした製品づくりを念頭に、独創的なアイデアをもって独自の「製品」や「技術」
の研究開発に取り組んでおり、現在では日本一のシェアを占める製品も有するなど数々
の福祉・介護機器を市場に送り出している。
2.~特許のとれない製品は市場に出さない!~が製品開発の原点
製品の開発には、営業担当者が家庭や病院から持って帰る現場の声(「情報カード」
として整理)をヒントにしつつ現場でも思いつかないアイデアを付加することにより、
競合他社メーカーの追随を許さない高付加価値製品の開発に努めている。
同社の基本方針の中に「特許のとれない製品は市場に出さない。」という優れた製品
開発の原点とする言葉がある。性能や品質、機能面で高付加価値化・差別化を図り市場
優位性を確保するため、開発された技術や独創的なアイデアは特許等の権利化を行い、
同社製品の防衛を目的に産業財産権を活用している。また、「特許権を取得する」とい
うことが、開発者の開発意欲を高める大きな役割にもなっている。
1996年には福祉機器メーカーとしては日本初のISO9001の認証を取得するなど、意欲的
な製品開発と高い品質管理にユーザーの信頼も厚い。
3.「高齢者や障害者の自立と介護者の労力軽減」への追求が日本一のシェア確保に
同社が日本一の生産を誇るのが、「乗せかえ装置付きストレッチャー」である。ストレッ
チャーとは患者用搬送車のことで、介護や医療の現場では寝たきりのお年寄りや患者の移動
によく利用されるが、患者などの乗せかえは介護者に大きな負担となるほか患者には激しい
動きで患部に影響を与える危険性を持っている。「乗せかえ装置付きストレッチャー」は、
こうした問題を解消した製品で、装備した繰り出しベルトを患者の体の下に敷き、ハンドル
操作でベルトを送り出したり巻きとったりすることで患者を衝撃なく乗せかえることがで
き、また、介護者も抱きかかえることなく患者を介護できるという優れた機能を備えている。
この「乗せかえ装置付きストレッチャー」は同社が独自に開発し特許取得した“オン
リーワン製品”であり、この分野では8割以上のシェアを誇っている。また、同社の製品
別売上構成比の1位を占める「車椅子用昇降機」も国内シェアNo.1(3~4割を占めている)
と推定される。
─ 124 ─
特許活用企業事例集 Vol.2
株式会社いうら
【特許活用製品】
乗せかえ装置付きストレッチャー
車椅子用昇降機
<会社概要>
○代表者名
○本社所在地
○創業
○資本金
○従業員数
○主要製品
代表取締役会長 井浦
忠
代表取締役社長 横畑
幸生
愛媛県東温泉市南野田若宮410-6
1973(昭和48)年
7000万円
116名
福祉・介護機器(車椅子用昇降機・各種車椅子等)の製造、販売
─ 125 ─
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