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わが国における トランス脂肪酸問題:現状と対策

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わが国における トランス脂肪酸問題:現状と対策
わが国における
トランス脂肪酸問題:現状と対策
【Key words】
トランス脂肪酸 trans fatty acids
部分水素添加油 partially hydrogenated oils
反芻動物脂 ruminant fats
心疾患リスク risk of coronary heart disease
法的規制 legislation
菅野 道廣
九州大学・熊本県立大学 名誉教授 加工油脂栄養研究会 会長
しかし、1990年代後半からの血清コレステロール
(Chol)
濃度
はじめに
に及ぼすトランス酸の影響に関するヒトでの介入試験の結果、ト
トランス脂肪酸
(トランス酸)
問題は、脂質栄養について正しく
ランス酸はLDL- Cholを上昇させるだけでなく、HDL- Cholを低
理解する格好の事例と思われる。これまで、トランス酸問題はし
下させるという飽和脂肪酸以上の悪影響が明らかにされて
(図1)
ばしばマスメディアの好餌となっては,その都度何とはなしに収
6,7)
束されてきた。諸外国でトランス酸に関する法的規制が行われて
動脈硬化症発症のリスクを高めるという研究結果と相まって9)、欧
いる現状にあって、わが国でも何らかの規制が必要であるという
米諸国を中心にトランス酸摂取量の低減が求められている。いま
声が、マスメディアや消費者団体などから挙げられている。この
では、トランス酸には何ら健康的要素はなく、心疾患に対しては
問題は、国としても避けては通れぬ宿命的な課題であるに違いな
飽和脂肪酸の2倍のリスクがあるとさえ言われる。疫学調査の結
く、今回はまさに、決着をつける時であろう1-3)。
果では、トランス酸摂取量が2%増加するごとに心疾患のリスク
本質的には、トランス酸は摂取する脂質の中ではほんの一角を
が23%増し、摂取エネルギーの3%でも悪影響が見られると言
占める成分に過ぎない。しかし現実には、危機感を募らせる発言
われる9)。しかし、影響発現の
「閾値」
があるはずであり8)、この
が乱れ飛んでいる。しかも、その科学的根拠のほとんどすべてが
点を理解しておく必要がある。この他、ある種の癌、糖尿病、肥
欧米諸国での情報を鵜呑みにしたものである。それらの意見では、
満、肝機能障害、認知症、不妊症あるいは妊婦・新生児での多価
栄養摂取基準は世界中みな同じではなく、わが国の基準が欧米諸
不飽和脂肪酸代謝への干渉作用などの悪影響が報告されている
国のそれとは大いに異なり、しかもきわめて健康的なものである
が、現時点では確定的ではない。あくまでも最大の関心事は心疾
ことは完全に無視されている。
「丸ごとの輸入」
は無意味で、いた
患に対するリスクである。なお、トランス酸はシス酸と同等に代
ずらに混乱のもととなる4,5)。
謝されるので、特異的に体内に蓄積することはないが、この点も
、今日の排斥運動を生むに至っている。そして、トランス酸は
誤解されている。
01 I トランス酸と健康リスク
種々の食品にトランス酸が含まれている。表1に示すように、
少なくとも3種の油脂が対象となるが、健康リスクの面で問題と
なるのは摂取量が多い
(全体の 80%以上)
工業的に製造される部
分水素添加油脂
(マーガリン、ショートニングなど)
である。しか
し、部分水素添加油脂や反芻動物脂中に含まれる多数のトランス
酸位置異性体のうち、どのトランス酸が心疾患リスクの主体であ
るのかはまだ明らかではない。反芻動物脂由来のトランス酸の摂
取量は多くはなく、規制の対象としない国もある。
トランス酸を含む部分水素添加油脂は、20世紀半ば頃から何
かにつけ非健康的と言われてきたが、その優れた嗜好性・物性・
安定性などから、関心はあまり持たれなかった。
図1 血清コレステロール濃度に及ぼすトランス酸の影響
表1 トランス酸の存在と種類
トランス酸の摂取量がエネルギー比で 4%および 5 ∼ 6%以上になると、LDLChol および HDL-Chol 濃度が有意に上昇する(文献8)。
1)総脂肪酸に対する%値。通常のマーガリン、ショートニングの平均的なト
ランス酸含量は 15 ∼ 20%程度であり、最近では次第に低くなってきている。
2)部分水素添加油脂中では、トランス結合は炭素鎖 6 ∼ 16 位に広く分布し、
主成分は 8 ∼ 13 位のモノエン酸である。反芻動物脂では、
11 位のモノエン酸(バ
クセン酸)が主成分で、60%に及ぶこともある。食用精製油のトランス酸は脱
臭工程での高温処理で生成するもので、ジエン、トリエンタイプが主体である。
なお、油脂の加熱によってもトランス酸は精製するが、摂取量的には無視できる。
Nestlé Nutrition Council, Japan Nutrition Review
February, 2008
02 I 海外諸国でのトランス酸規制状況
欧米諸国では、トランス酸の摂取低減を
「摂取エネルギー比の
1%以下
(1日当たり2g以下)
」
あるいは
「できるだけ少なく」
する
運動もあり、業界では自主的にトランス酸含量の低減化に取り組
んでいる。
わが国におけるトランス酸の栄養問題についての科学的情報は
きわめて限られている。日本人の食事摂取基準
(2005年版)
では、
ことが奨められている
(WHO/FAO、U.S. Dietary Guidelines、
「トランス型脂肪酸摂取量の増加は虚血性心疾患のリスクを高め
Health Canada、Health Council of the Netherlands、
るとの報告があるが、日本人での摂取量や、各摂取レベルにおけ
USDA、American Heart Associationなど)
。なお、ほとんどの
る安全性については未知であり、摂取量の推定が困難なため、今
規制において、トランス酸は
「孤立した、すなわち非共役のトラ
回は検討項目としなかった」
としている。
ンス二重結合を一つ以上含む不飽和脂肪酸」
と定義付けられてい
内閣府食品安全委員会は、2004年7月15日付けのファクト
る。この定義は化学的構造に基づくもので、代謝的あるいは機能
シートにおいて、日本人の1日当たり摂取量は1.56g
(摂取エネル
的性質によるものではない。共役型の脂肪酸
(例えば共役リノー
ギーに占める割合0.7%)
であるという生産量から推定した成績11)
ル酸)
は含まれない。
を引用し、
「諸外国と比較して日本人のトランス脂肪酸の摂取量
最初にトランス酸の摂取を規制したのはデンマークであるが
が少ない食生活からみて、トランス脂肪酸の摂取による健康への
(2004年)
、規制の基準は非常に厳しい
(油脂中のトランス酸含量
影響は少ないと考えられる」
と述べている。厚生労働省も同様な
2%未満)
。しかし、
反芻動物由来のトランス酸は除外されている。
見解を出しており、
「食事摂取基準」
との間には意思の疎通を欠い
その理由は十分な科学的根拠に基づくものではないように思わ
ている。生産量から推定した値の妥当性については意見もあり、
れ、酪農製品を多食する国情が優先されているとの指摘もある。
実際に摂取した食事についての分析が不可欠であるが、すでに
欧州食品安全機関
( European Food Safety Authority, EFSA)
2002年、福岡市内の栄養士養成女子大学での学生寮および食堂
は、部分水素添加油と反芻動物脂に含まれているトランス酸の識
での食事分析が行われており、1日当たりのトランス酸摂取量は
別は不可能であり、かつ現時点では両者由来のトランス酸の血清
平均2.6g(1.2 ~5g)
であり、さらに、国民健康・栄養調査の結
Chol濃度への影響に違いがあることを確証する十分な根拠がな
果をもとにして日本人の平均的食事を献立して分析した結果で
10)
いと述べている
。EU内での貿易摩擦を懸念する声もある。
は、1日当たり1.6および2.0gというデータも示されている12)。
2006 年、3年間の猶予期間を経て米国での規制が施行された。
さらに、ごく最近行われた埼玉県の栄養士養成女子大の学生の食
この規制では、1サービング当たりトランス酸を0.5g以上含む
事分析では、1日当たり平均1.2gであったが、2g以上の摂取者
場合には表示が義務化されている。これ以下ならトランス酸ゼロ
が20%にも及んでいた
(川端輝江、未発表データ)
。このような
とされているので、表示義務量以下の食品を数多く摂取した場合
結果から、日本人の平均的トランス酸摂取量は1.5 ~2g /日未
には、かなりの量のトランス酸を摂取する危険性がある。フード
満
(エネルギー比で1%未満)
とみなされよう。
チェーンやレストランなどの飲食サービス業が提供する食品は対
国としてトランス酸の摂取量を明確にするため、平成18年度
象外であるため、ニューヨーク市では2006年末、1食当たりの
には、食品安全委員会だけでなく農水省
(食品安全に関するリス
トランス酸摂取量を0.5g未満とする規制を行い
(2008年までに
クプロファイルシート)
でも、トランス酸の食品中の含量や摂取
段階的規制)
、学校給食も対象となっている。フィラデルフィア
量の分析に着手している。平成19年6月5日開催の食品安全委
市でもこれに倣っている。その他、シカゴ市でも同様な対応を検
員会化学物質専門調査会で、食品中のトランス酸含量分析の結果
討中である
(ただし、年間2,000万ドル以上の売り上げ業者を対
が報告された。表2に示すように、分析値をもとにした摂取量は
象)
。フードチェーンやレストランで提供される食品は多種多様
積み上げ方式で0.7g /日
(エネルギー比で0.3%)
、生産量からの
に及ぶので、トランス酸含量をどのようにして求めるのかが現実
推定で1.31g /日で、平成16年7月に引用された数値
(1.56g /
の問題点であろう。
日)
より低い摂取量となっている。農水省での分析結果はまだ公
カナダでも規制が行われた
(2005年末、食品油脂中のトランス
表されていない。いずれにしても、食事献立の分析値が必要で、
酸含量5%以下を推奨、1サービング当たり0.2g以下ならトラ
日本マーガリン工業会では委員会を設け、検討中である。
ンス酸ゼロ)
。EUでは現在EFSAが検討中であり、英国でも早急
な表示の必要性が提案され、オランダでは企業による自主規制が
表 2 トランス脂肪酸の一人あたりの1日摂取量
行われている。オーストラリア・ニュージーランドではすでに報
告書が取りまとめられているが、トランス酸に比べ摂取量がはる
かに多い飽和脂肪酸をまず低減すべきであるとされている。韓国
では、トランス酸摂取量の低減を目指すと同時に、2007年末に
は表示の義務化が行われる予定であり、台湾でも2008年から表
示義務化
(100g当たり0.3 g以上)
が実施される運びとなっている。
積み上げ方式:食品中のトランス脂肪酸含量と摂取量からの計
03 I わが国のトランス酸事情
算。生産量からの推計方式:食用加工油脂のトランス脂肪酸含量
と生産量をもとに計算。
(2007年6月、内閣府食品安全委員会ト
2003年、米国でトランス酸規制の方針が公表されると、わが
ランス脂肪酸ファクトシートより抜粋、http://www.fsc.go.jp/
国のマスメディアはすぐにその情報を鵜呑みにし、一方的な
「編
sonota/54kai-factsheets-trans.pdf参照)
集」
を加えてトランス酸の悪影響を強調し、センセーショナルな
言葉を用いて一般市民の危機感を煽った。このため、トランス酸
を忌避する動きが散見されたが、大多数の消費者は反応しなかっ
た。しかし、米国のレストランなどでの規制や韓国を含めて近隣
諸国での規制が実施される運びとなると、トランス酸問題は再燃
し、マスメディア特有のリスク論が展開された。そして、消費者
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February, 2008
05 I トランス酸低減策
04 I 心疾患リスクに対するトランス酸の
影響についての考え方
トランス酸問題を解決するためには、油脂中のトランス酸含量
ところで、トランス酸のリスクはどのような脂質摂取状況にお
をゼロないしは低減する必要がある1)。部分水素添加油脂の代替
いても、一律同様であろうか。そして、欧米人での知見を日本人
策が種々検討されているが、美味しさ、物性、利便性および経済
にそのまま適用できるのであろうか。
性などをすべて満たす必要がある。しかし、製品は多種多様であ
まず、血清Chol濃度に対する食事中の個々の脂肪酸の影響に
り、すべてを満足する対応策を見出すことは難しいであろう17)。
ついては、KeysらおよびHegstedらに代表される予測式があり、
いずれにしても、栄養と機能性
(物性)
」
を両立させることが最低
さらに下式のようなトランス酸を組み込んだ式も提示されている
限不可欠である。
13)
(変化量はエネルギー%値)
。
具体的には、トランス酸の生成を抑える水素添加法の開発、分
別油脂の利用、エステル交換法、ブレンディング法、育種あるい
ΔTotal cholesterol
(mmol/L)= 0.01Δ
(12:0)+ 0.12Δ
(14:0)
は遺伝子組み換えによる種実油の脂肪酸組成の改変
(例えば、大
+ 0.057Δ
(16:0)
+ 0.039Δ
(Trans F)
+ 0.031Δ
(Trans V)-
豆油のα‐リノレン酸の低減)
、乳化法、植物ステロールの添加な
0.0044Δ
(18:1)
- 0.017
(18:2, 18:3)
どが検討されてきている18)。トランス酸を含まない油脂として
(Trans VとFはそれぞれ植物油および魚油水素添加物中のトラン
ス酸を示す)
パーム油が広く適用されているが、飽和脂肪酸
(パルミチン酸)
で
置き換えることはリスクを伴なうので、AHAではパーム油の使
用に強く反対している19)。もっとも汎用性の高いのはエステル交
つまり、トランス酸の血清コレステロール濃度上昇作用が摂取
8)
換法であろうが、その場合にはステアリン酸の問題が生ずる20)。
量依存性であるのに加え 、同時に摂取するリノール酸の量に
ステアリン酸の血清コレステロール濃度への影響に関しては、十
よって明らかに軽減されるが、そのことは案外軽視されている。
分な科学的証拠はない。このように、トランス酸低減対策は容易
事実、摂取する脂質のトランス酸/リノール酸比が1以下であれ
ではないが、現実にはいろんな代替油脂が製造され、規制をパス
ば、トランス酸の血清LDL-コレステロールへ濃度の影響は無視
している。
できるとされている14)。日本人の場合、この比は0.1程度に過ぎ
ない。このことに加え、わが国の脂質摂取状況の特異性を考慮す
る必要がある
(表3)
。
おわりに
脂質栄養に関して言えることは、摂取量が最大の健康要因であ
り、
「食事摂取基準」
で示されたエネルギー比20 ~ 25%を守るこ
表3 日米間での脂質摂取状況比較
とがまず必須要件である。その中で、各種の脂肪酸をバランスよ
く摂取することである。この点に関しては、日本人の摂取状況は
最善な状態にあると言えよう
(表3参照)
。トランス酸はわれわれ
が摂取する種々の脂肪酸のなかでは少量成分に過ぎず、それだけ
にアクセントを置くことを避け、脂質栄養全体像の中で理解して
トランス酸の血清コレステロール濃度および心疾患に及ぼす影響は,脂質の摂
取状況によって大きく左右される。*n-3 系多価不飽和脂肪酸欠乏状況に近いと
判断される。
いくべきである。
トランス酸に関しても、リスクアセスメントが必要である。そ
の場合、少なくとも
「100%安全な食品はなく、あるのは安全な
食べ方だけである」
との考えに立ち、費用対効果
(あるいは支払う
日本人の平均的トランス酸摂取量は食事分析の結果では1日当
価値のある代価)
を考慮すれば、トランス酸の安全性に関しても
たり2gを越えないようであり12)、食品安全委員会が採択してい
もっと現実的な対応ができであろう。残念ながら、わが国での発
る値よりは高いが、それでもなお米国における摂取量
(表2参照)
言の多くは完全無欠主義的な主張である。一方、油脂業界は単に
よりはかなり少ない。そして、わが国ではリノール酸の相対的な
企業内だけで解決しようとする姿勢に固執せず、栄養食品学の専
摂取割合が高いだけでなく、n-3系脂肪酸の摂取割合も高いので、
門家はもとより、食品の流通・販売関係者、政府機関などすべて
心疾患に及ぼすトランス酸のリスクはかなり抑えられる状況にあ
の関連分野と協調して、この問題に取り組むべきである。AHA
ると判断できる。虚血性心疾患の多発に悩む米国では、心臓協会
による最近の
「トランス脂肪カンファレンス2006」
は、このよう
(AHA)
などを中心に、1週間に2回程度の魚の摂取を推奨して
15)
いるが
な対応の必要性を如実に物語っている21)。
、その背景には、現時点でのn-3系脂肪酸の摂取量が非
いずれにしても、トランス酸を多く摂取することは避けるべき
常に少なことがある
(表3参照)
。わが国においても、魚の摂取量
だが、基本的には総脂質と飽和脂肪の摂取量により注意が必要で
16)
が多いほど心疾患のリスクは低いことが報告されている
。
あることは言を待たない。
以上のことから、日本人では心疾患に及ぼすトランス酸の影響
は、平均的にはほとんど問題にならないと考えられる。しかし、
トランス酸についての知識がない上に、食生活が乱れている人の
参考文献
割合は結構多く、脂質摂取量がエネルギー比で30%以上の例は、
1)G.R. List, N. Ratanyake & D. Kritchevsky, Trans Fats in
成人では20%前後にも及んでいる
(平成16年度国民健康・栄養調
Foods, AOCS Press(2007)
.
査)
。マスメディアや一部の団体などは、この点を恣意的に強調
2)永田忠博 ,トランス脂肪酸問題の現状 ,日本食品科学工学会
してトランス酸を悪者に仕立てようとしているが、すべての人を
誌 ,54, 509 - 515(2007)
.
対象として対応しなければならないという取り組みは、ある意味
3)平原嘉親 ,食品中のトランス脂肪酸 ,食品衛生研究 ,57(12)
,
では理想論であろう。日本人の栄養摂取の基本となる
「食事摂取
9 -15(2003)
.
基準」
も、基本的には同様な主旨で策定されている。
4)江崎 治,
トランス脂肪酸,
臨床栄養,
110, 240-241(2007)
.
Nestlé Nutrition Council, Japan Nutrition Review
February, 2008
5)菅野道廣 ,
トランス酸問題の考え方.食品衛生研究 ,57(12)
,
17- 23(2007)
.
6)S. Okie, New York to trans fats: you’re out! N. Engl. J.
Med., 356, 2017- 2121(2007)
.
7)O. Kover & M.B. Katan, The elimination of trans fats from
spreads: How science helped to turn an industry around.
Nutr. Rev, 64, 275-279(2006)
.
8)J.E. Hunter, Dietary trans fatty acids: Review of recent
human studies and food industry response. Lipids, 41,
967-992(2006)
.
9)D. Mozaffarian, M.B. Katan, A. Aschereio, M.J. Strampfer
& W.C. Willett, Trans fatty acid and cardiovascular disease.
N. Engl. J. Med., 354, 1601-1613(2006)
.
10)EFSA, Opinion of the Scientific Panel on Dietetic
Products, Nutrition and Allergies on a report from the
Commission related to the presence of trans fatty aicds in
foods and the effect on human health of the consumption of
trans fatty acid, EFSA J., 81, 1-49(2004)
.
11)岡本隆久 ,松崎 寿 ,丸山武紀 ,新谷 勛 ,菅野道
廣 ,国産硬化油中のトランス酸とその摂取量.油化学 ,48,
1411-1414(1999)
.
12)古賀民穂 ,菅野道廣 ,藤瀬朋子 ,太田英明 ,日本人の
ト ラ ン ス 脂 肪 酸 摂 取 量 の 推 定.JOCS-ILSI JAPAN JOINT
SYMPOSIUM 2007,平成19年6月30日 ,シンポジウム要旨集、
p.44(2007)
.
13)J.I. Pedersen, B. Kirkhus & H. Muller, Serum cholesterol
predictive equations in product development. Eur. J. Med.
Res., 20, 325-331(2003)
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14)E.A. Emken, Trans fats – healthy or unhealthy ? Fat and
Nutrition Update, 1, 1- 4(1992)
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15)A.H. Lichtenstein, L.J. Appel, M. Brands, M. Carnethon,
S. Daniels, H.A. Franch, B. Franklin, P. Kris-Etherton,
W.S. Harris, B. Howard, N. Karanja, M. Lefevre, L. Rudel,
F. Sacks, L.V. Horn, W. Winston & J. Wylie-Rosett, Diet
and lifestyle recommendations revision 2006: A scientific
statement from the American Heart Association Nutrition
Committee. Circulation, 114, 82 - 96(2006)
.
16)H. Iso, M. Kobayashi, J. Ishihara, S. Sasaki, K. Okada, Y.
Kita, Y. Kokubo & S. Tsugane, for the JPHC Study Group,
Intake of fish and n3 fatty acids and risk of coronary heart
disease among Japanese. Circulation, 113:195-202( 2006).
17)C. Watkins, Rocky road to trans-free dining. INFORM,
18, 655-656(2007)
.
18)P. Wassell & W.G. Young, Food applications of trans
fatty acid substitutes, Int J Food Sci Technol, 42, 503-517
(2007)
.
19)菅野道廣 ,パーム油の栄養.油脂60, 42 - 44(2007)
.
20)S.K. Gebauer, T.L. Psota & P.M. Kris-Etherton, The
diversity of health effects of individual trans fatty acid
isomers. Lipids, 42, 787-799(2007)
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21)R.H. Eckel, S. Borra, A.H. Lichtenstein & S.Y. YinPiazza, Understanding the complexity of trans fatty
acid reduction in the American diet: American Heart
Association trans fat conference 2006: Report of the trans
fat conference planning group. Circulation, 115: 231- 2246
(2007)
.
Nestlé Nutrition Council, Japan Nutrition Review
February, 2008
Trans fatty acid issues in Japan:
The state of the art and countermeasure
Michihiro Sugano, Ph.D.
【Key words】
trans fatty acids
partially hydrogenated oils
ruminant fats
risk of coronary heart disease
legislation
Emeritus Professor, Kyushu University and Prefectural University of Kumamoto
Chair, The Society for Study of Nutrition of Processed Fats and Oils
There are three dietary sources of trans fatty acids(TFAs),
health. If this balanced feeding pattern is not sustained,
partially hydrogenated vegetable oils(PHVO)
, remnant fats
TFAs may turn into a risky fatty acid.
and refined edible oils. PHVO is the major contributor of
TFAs mainly as trans-octadecenoic acid
(t -18 :1)
, ranging
from 0 to 50 % of total fatty acids. Remnant fats contain
t -18 :1 acid at ∼ 5 % , and edible vegetable oils contain
t -18 : 2 acid at ∼ 2 % . The t -18 :1 type TFA appears
to be more hazardous than saturated fatty acid, as it
increases LDL(bad)
-cholesterol and decreases HDL
(good)
-cholesterol, and enhances incidence of atherosclerosis.
Consumption of TFA is therefore recommended to be less
than 1% of total energy intake.
Because of a high incidence of coronary heart disease,
several industrialized countries legislate against the
contents of TFA in foods, so called "trans fat ban". There
is no legal regulation for TFA contents in Japan, but when
considering the current worldwide trend, an appropriate
legislation may be necessary.
In order to produce low or no TFA products, diverse
techniques are introduced including hydrogenation
under reduced TFA formation, blending, fractionation,
interesterification, breeding or gene manipulation of oil
seeds, emulsification and so on. Using these techniques
appropriately, it is now possible to produce processed fats
and oils with TFA less than legislated levels. However,
preparation of substitutes which are completely equivalent
to the products hitherto used both in terms of health and
functions is indeed a hard task, and only limited settlement
is accomplished by now. In most of above technological
approaches, TFA is replaced by saturated fatty acid,
palmitic and stearic acids, and this gives rise to another risk
issue against heart disease.
The Food Safety Commission of the Cabinet Office of
Japan indicated that supposed TFA intake of Japanese
is 1.3g /day/person(equivalent to 0.7 energy %). So, we
may on average not need to concern about TFA. There is,
however, a considerable bias in the intake of dietary fats
and it is necessary to take care of those people who are
consuming more than 30 energy percent as dietary fats,
because most of them are in common lovers of fast foods
rich in TFA and total fats.
Insofar as lipid nutrition is concerned, TFA is only a fraction
of total fats we consume. It is primarily important to control
intake of total fats and then, saturated fats. Ignorance of
these fundamental principles results in health disturbance.
In this context, our characteristic lipid feeding habits, low
total fat intake, high polyunsaturated fat/saturated fat ratio
and low n-6/n-3 ratio, seem at least to be suitable for our
Nestlé Nutrition Council, Japan Nutrition Review
February, 2008
Nestlé Nutrition Council, Japan Nutrition Review
February, 2008
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