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1520年ビルバオ海上保険条例(案) : 先駆的大西洋条例
近見, 正彦
損害保険論集 : 創立六十周年記念: 709-742
1994-02
Book
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/10086/17888
Right
Hitotsubashi University Repository
7
09
1
5
2
0
年 ビルバオ海上保険条例 (
莱)
-
先駆的大西洋条例 -
近
Ⅰ
I
Ⅲ
Ⅳ
Ⅴ
Ⅵ
見
正 彦
序
1
5
20
年 ビルバ オ海上保険条例 (
莱 )の意蔑
同条例 (
莱 )のテクス ト・試訳
制定機 関 ・不裁可理由 ・起草理由
諸規定
結
Ⅰ 序
本稿 は,わが国 をは じめ,多 くの国々において,今 なおその存在があま
り知 られていない1
5
20
年 の ビルバ オ海上保険条例 (
莱 )を紹介 し,同時に,
その意義お よび内容 につ いて,若干 の考察 を してお こうとするものである。
1
369
年1
0月22日にジェ ノヴァの ド-ジュ (
doge)Gabr
i
e
l
eAdor
noに
1
)
4世紀か ら15
世紀 中
よって定 め られた保険条例 を最古の ものと し,以後,1
葉 にかけて多 くの海上保険条例 が ジェノヴァ, フ ィレンツェ, ヴェネツ ィ
ア等の イタリア諸都市 において定 め られたことは,周知のところであ り,
たとえば,1
39
0
年頃のジェノヴァ条例,1
39
3
年 5月 9日付 フィレンツェ条
例,13
9
4
年 3月1
7日付 同条例 ,1
401
年 2月 2日付 ジェノヴ ァ条例,1
405
年
1
2月のフィレンツェ条例,1
407
年1
2月31日付同条例 ,1
408
年 1月23日付 ジ
1) テ クス ト,試訳 お よび内容 につ いて は,拙 稿 「
1
369年 1
0月 2
2日 Ga
br
i
e
l
e
Ador
noの条例- 最古 の保険条例-
Jインシュアランス第3000号,昭和56
年,p.
27
以下 および由 「イタリア初期 の保険条例」 『
保険学雑誌』第496
号,昭
和5
7年,p.
55
以下 を参照。
71
0
ェノヴ ァ条例 ,1
419年 12月23目付 フ ィレンツェ条例,1
420年頃の ジェノヴ
ァ条例, 1
421
年 5月15日付 ヴェネツ ィア条例 ,1
424年 6月 8目付 同条例,
2
)
1
434年 8月27目付 ジェノヴァ条例等 を挙 げることができる。そ してまた,
1
4世紀 にイタリアで生 まれた海上保険が,地 中海 を東西 に渡 り,漸次スペ
インのバ ルセロナ等 に伝 わってい くのに歩調 を合 わせて,次第 に海上保険
条例 がバ ルセロナを始 めとす るスペ インの各都市 において多 く定 め られる
ようになったことも,広 く知 られている。
従来, スペ インで定 め られた海上保険条例 と しては, 1
435年,1
43
6年,
1
458年, 1
461年 お よび1
484年 のバ ルセロナ条例,1538年のブルゴス条例,
1556年 のセ ビリア条例 , 156
0年の ビルバ オ条例 が よく知 られているが,そ
3
)
4
)
の他 にも1
432年 および1
452
年 のバ ルセロナ条例 を始 め,幾つかの ものがあ
り, 15世紀 中葉か ら16世紀 にか けては, イタリアにおけると同 じように,
スペ インで も保険条例 が百花練乱 の ごとく定 め られるに至 るのである
0
ところで,かかるスペ インの諸条例 は,詳細 な検討 は今後 の研究 を待っ
に して も, と りあえず大 き く 2つの条例群,すなわち1
432年 ない し1
484年
のバ ルセロナ諸条例 の地中海条例群 と1538年 ブルゴス条例, 1556年 セ ビリ
ア条例 ,1560年 ビルバ オ条例等 の大西洋条例群 に分 けることができるだろ
う。
その理 由は, まず第 1に,上掲の ように,一方 は15世紀,他方 は1
6世紀
と,定 め られた年代 に明確 な線引 きが可能 だか らであ り,第 2には,定め
られた地 が,一方 は地 中海沿岸都市 であるのに対 し,他方 は,正確 には大
2) 各条例 の内容等 について は,拙稿 ,前掲 イタ リア初 期 の保 険条例 ,p.
5
5
以下
を参 照。
3) 本条例 の テクス ト,試訳 お よび内容 につ いて は,拙稿 「
1
4
3
2
年バ ルセ ロナ最
一橋論叢』第 1
0
0
巻第 5号,昭和 6
3
年 ,p
.1以下 を参照O
古 の海上保険条例」 『
4) 本条例 の テクス トお よび試訳 につ いて は,拙稿 「
資料 ・1
4
5
2
年バ ルセ ロナの
損害保険研究』第 5
0
巻第 3号 , 1
9
8
8
年 ,p
.
1
1
3
以下 を参照。な
海上保険条例 」 『
お,バ ルセロナの一連 の諸条例 につ いて は,拙稿 「
1
5
世紀 バ ルセ ロナにおける
海上保険契約 (Ⅰ)
, (Ⅱ-完)」一橋大学研究年報 『
商学研究』2
9および3
0.
1
9
8
9
年 および1
9
9
0
年,p
.
1
9
以下 お よびp
.
7
9
以下 を参 照 されたい
。
1
5
20
年 ビルバオ海上保険条例 (
莱 )(
近見)
7
1
1
西洋沿岸都市 ということはできないに しても,いずれも地中海 よりはむ し
ろ大西洋 により密接 な関係 を有 していた都市であって,その ことは何 らか
の形で条例の規制 ・整内容 に深 く影響 を与えたと思 われるか らである0
セ ビリアは,いうまでもな くイベ リア半島南西部,グァダルキ ビル川 を
8
0k
n ばか り下れば大西洋に通 じ, ど)
I
,
パオもまた,イベ リア半島北部,
.
ネ
)
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'ビオン川を11
n ほど下ればビスカヤ湾,そ して大西洋 に通ずる都市 であ
k
1
1
nの内陸都市 ではあるが,
k
る。 さらに,ブル ゴスは,マ ドリッ ドの北 2
中世 スペ インの主要な輸出品であっT
=羊毛の一大集積地であ り, この地 に
集 め られた羊毛 は,主 にビルバオか らビスカヤ湾,そ して大西洋 を経て,
フラン ドル等へ輸出 されゼいたか ら, これもやはり大西洋 により密接な関
連 を有 していたのである。
かかる大西洋 に密接 な関係 を有 していた都市で定 め られた条例群,つ ま
り大西洋条例群 は,地中海条例群がその規制 ・整対象 を主 と して地中海 を
航行する船舶 およびそのような船舶 に積載 される貨物 に関する保険と して
いたのに対 し,おおむね大西洋 を航行する船舶 およびそれに積載 される貨
物の保険を規制 ・整対象 と していた。規制 ・整対象たる保険の被保険船舶
・貨物の航行 ・運送領域が,内海たる地中海であるかあるいは外海 たる大
西洋であるかは,条例 の規制 ・整内容 に大 きく影響 したであろうこと,そ
して場合 によっては規制 ・整内容が後者 において一段 と進化 したことは,
4
3
5
年バルセロナ条
容易 に想像 しろるところであ り,今 日の委付制度が ,1
5
条 および第 1
2
条 に本制度 の前身たる推定 ない し擬制制度 (
Sys
t
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例第 1
5
)
YonPrasumt
i
onenbezw.Fi
kt
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onen) が定 め られていたにせ よ,条例
史上初めて規定 されたのが,
_1
5
3
8
年 ブルゴス条例であったこと,その一事
のみをとっても,上記想像の妥当性 について,大方の納得 を得 ることがで
きるのではないだろうか。
5) Go
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7
7
.
1
8
9
1
71
2
やや もす ると, これ までバ ルセ ロナの諸条例 が あま りに高 く評価 された
ためか,大西洋条例群 の研究 はないが しろにされが ちであった
。
どち らか
といえば,バルセロナの諸条例 にスポ ッ ト・ライ.
トが あま りにあて られす
ぎたため に,大西洋条例群 はその影 に隠 されて しまったき らいがなきに L
もあ らずである。 しか しなが ら,近代海上保険立法 と して誉が高 く,かっ
8
世紀 ヨーロ ッパ海上保 険立法 にきわめて大 きな影響 を与 えた1
6
81
年
また1
4世の海事勅令 にほとん ど同 じ形 で受 け入 れ られ たギ ドン ・ドゥ ・ラ
ル イ1
・メールの編 さん され たルア ンが,直接 にあるいはブ リュー ジュを介 して,
6
)
スペ イン, と りわ けカステ イリアと強 く結 びっ いてお り, さらに何 よりも
ギ ドン ・ドゥ ・ラ ・メールの編纂者 とされ ている Ant
oi
neMas
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i
asがル
7
)
アンに移住 したスペ イン人の 1人 であった ことを考慮 すれ ば,海上保険法
の継受 関係上 ,大西洋条例群 の有 す る地位 は,バ ルセ ロナ諸条例 に勝 ると
も劣 らない重要 さを有 するのであって,大西洋条例群 の研究 をおろそか に
す ることはできない。
大西 洋条例群 の中で最 も古 いと されている条例 は, これまでの ところ,
8
)
1
53
8年 の ブルゴス条例 である。 しか しなが ら,公 に施行 されたわけではな
52
0
年 の ビルバ オ海上保険条例 (
莱 )が存在 するか ぎ り,大西洋条
いが, 1
例群 の研究 を始 めるに当 たっては, まず これ につ いて検討す る必要 があろ
53
8
年 ブル ゴス条例 の意義 を正 当 に評価 しえないばか
う。 さもなければ, 1
りでな く,大西洋条例群 の研 究, ひいては海上保険条例史 の研究 に重大な
遺漏 をもた らす結果 になって しまう。
本稿 は,上記 の ような理 由で, と りあえず,1
5
20
年 ビルバ オ海上保険条
6) スペ イ ンとル ア ンの 関係 につ い て は, Sadour
ny,A.
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M.
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9
79,p.
9
9ets
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v.を参照。
7) Sadour
ny,op.°
i
t.
,p.1
5
7.
8) 1
5
3
8年条例 の冒頭部分 に よれ ば,同年以前 にブルゴスで保 険条例 が定め られ
ていた ら しい ことを知 りうるが二現在の ところ,その ような条例 の内容 を明ら
かに しうる史料 は発見 されていない ようであるo
1
52
0
年 ビルバオ海上保険条例 (
莱 )(
近見 ) 7
1
3
例 (
莱 )を紹介 しつつ,その内容等 について若干の考察 を してお こうとす
るものであ り,筆者の大西洋条例群研究の第一段階 を成す ものである。
I 1520年 ビルバ オ海上保険条例 (莱 )の意義
1
5
2
0
年 ビルバ オ海上保険条例 (
莱 )は,わが国はもとより,多 くの国々
)
2)
3
)
4
)
1
で今 なおほとんど知 られていない。 Pardessus,
Reatz,Be
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5
)
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等,海上保険法史研究 の先達 たちの著作 に触 れ るところは
)
7
)
8
)
9
)
な く, また最 近 の Capma ,Boi
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eux,Spagnes
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1
0
)
Sanzおよび Ferrer i M al
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ol 等 にも,本条例 (
莱 )への言及 はない。
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)
そ もそ もこ,
の条例 (
莱 )は, 1913年 Te6f
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7
0;加藤著訳 『レアツツ欧州海上保険法史』 昭和 1
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年。
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塙訳
「
E ・ベ ンサ 『中世 における保険契約の研究』日 ,⊂
)
」 『産大法学』第 16
巻第 4号および第17
巻第 1 ・2号,昭和5
8年,p.
1
0
1
以下およびp.
25
6
以下 ;同
訳
「
E ・ベ ンサ ー
『
中世 における保険契約 の研究- 資科一一月 」 『
神戸法学雑
誌』第33
巻第 3号,1
9
8
3
年,p.
45
7
以下。
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6) Capmany,A_
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aに, これ を収 録 .
して, 世 に知 れ る と ころ に
な ったの だが, しば ら くは本 書 が海 上 保 険法史 研 究 者 にひ もとか れ る機 会
はな か った ら しい。
9
40年 デ ュ ー ク大 学 の 経 済 史 助 教 授 RobertSi
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しか しな が ら, 1
1
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iに基 づ き, これ に触 れ る ことに
9
5
7
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な っ た 。 た だ し, そ れ は わ ず か 数 行 の こ と で あ っ た。 そ して, 1
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o XⅥ と題 す る論 文 の第 6章 を この条 例 (
莱 ) に当 て, や や ま
とま った言 及 を した もの の, や は りそれ もわ ずか 3頁 の ことで しか なか っ
た。 その後 , 多 くの斯 学 研 究 者 が本 案 を見落 とす こと にな っ たの は,かか
る ため で あ ったか も しれ な い 。
本 条例 (
莱 )の意 義 は, す で に地 中海 沿岸 都 市 で は, 1
48
4
年 のバ ルセ ロ
ナ条例 の よ うに, きわ め て ま とま った海上 保 険条 例 が定 め られ て いたに も
か か わ らず ,大西 洋 に よ り密接 な関係 を有 す る諸 都 市 で は,未 だ海上保 険
条 例 が 定 め られ る こと は な く, Smi
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h や Basasが 言 う よ う に, これ が
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で あ る ことで あ る。
商業 の 中心 が地 中海 世 界 か ら大西 洋 世 界 に移 る につ れ ,海 上保 険 の中止、
1
2) Smi
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3
0
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qq.本論文 は,Ba
と題 する学位請求論文 にお ける1
6
世紀 スペ イ ンの海 上保 険 を扱 った第 3部 の初
めの 2章部分 で あ り, また, この論文 は, l
bi
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,EIs
e
gur
omar
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6
3の第 1章 および第 2章 に転載 されている0
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8
.
15
20年 ビルバ オ海上保険条例 (
莱 )(
近見 )
7
1
5
も後者 に移動 していく。あるいはブルゴス,セビリア, ビルバ オといった
スペ イン諸都市 であ り,あるいはブ リュージュであ り,またあるいはロ ン
ドンであって,スペ インの大西洋条例群 はもとより,かか る大西洋世界 の
中で,今 のところ,最 も古 い海上保険条例が この1
5
2
0
年の ビルバ オ海上保
険条例 (
莱 )なのである。
大西洋条例群 が地 中海条例群 に比べ,一段 と発展 した内容 を有 していた
であろうことはすでに触 れた。 この ビルバ オ海上保険条例 (
莱 )は,その
ような大西洋条例群 の先駆 であ り,以後の大西洋条例群 は,いわばこれの
延長線上 に位置するのであって,本案の意義 につ いて, これ以上の ことを
殊更述べ る必要 はおそ らくないだろう。
ただ し,本条例 (
莱 )は案 であって,条例 その ものではない, という批
判がな されるか も しれない。 しか し, これはおそ らくブルゴスとのあつれ
きか ら国王 の裁可 を得 られず,条例 と して正式 に公布 ・施行 されるには至
らなか ったが,実 質的 に は, ど)
i
,
パ オの商 人組 合 (
uni
be
r
s
yda
d)にお
いて,十分 にその機能 を果 た していたのであ り,その限 りにおいては,公
式 の条例 とほとんど変わ りのないものであったのである。本条例 (
莱 )の
内容が,1
5
3
8
年 ブルゴス条例 に若干の例外 を除いて,ほとんどそのまま受
け継がれた事実 は,実際の海上保険契約 にこの条例 (
莱 )の規定が実質的
に適用 されていた何 よりの証左 となろう。 したがって, これは実質上大西
洋条例群 そ して大西洋世界最古の海上保険条例であ り,その意義 につ いて
疑問を差 しはさむ余地 はほとんどない, と思 われるのである。
Ⅲ 同条例 (莱 )のテクス ト・試訳
1
)
まず本条例 (
琴 )のテクス トおよび試訳 を掲 げよう。
1
5
2
0
年 ビルバ オ海上保険条例 (
莱)
1) Gui
ar
dyLar
r
aur
i
,o
p.°
i
t
.
,p.
5
7
9e
ts
e
qq.による。ただ し,試訳のキ ッ
コ-内は訳者の挿入 である。
7
1
6
En l
a nobl
e vi
l
l
a de bi
l
vao
dent
r
oenl
acasade
lc
ont
arde
我 らが イエ ス ・キ リス トの生 誕
1
5
2
0
年 2月,誉高 きビルバ オ市 の,
l
asa
ver
i
asquees
t
aJ
unt
Oenl
a
i
ade
lse
負orsantant
ondel
a 折 に触 れて上記 ビルバ オ市 の聖 ア ン
ygl
dha vi
l
l
a a di
as de
l mes de トニ ウ ス教 会 に集 う 1
acasade
l
f
e
br
er
o a缶Ode
lnas
c
i
mi
ent
o de
ont
ardel
asa
ver
i
asにお いて,
nr
o sal
bador xpr
o de mi
l
le c
qui
ni
e
nt
os e ve
ynt
e a丘os est
e 本 日,慣例 お よび慣 習 に したが って,
di
a es
t
ando J
unt
OS en l
a dha
uni
上 記 ビ ル バ オ市 の 商 人 組 合 (
o
casa de a
ver
i
as s
e
gun que l
s
ydad)の船 長 衆 ,船舶 所 有 者
ham deus
o edec
os
t
umbr
el
os ber
s
e丘oresdi
egor
odr
i
godet
rauc
o 衆 および商人衆の参事 (
f
i
e
l
)Di
e
go
f
i
e
ldel
oscapl
t
aneSe maeS
t
r
eS
i
godeTrauc
o閣下 な らびに
emer
cader
esdel
auni
ber
s
ydad Rodr
de l
a dha vi
l
l
a de bi
l
vao e 上記組 合 の代議 員 衆 (
di
put
ados)
ant
onyo de Gabal
l
a e myn de
Ant
onyodeCabal
l
a閣下 お よび
sal
bat
i
err
adi
put
adosdel
adha
bat
i
er
ra閣下 の臨席 の
uni
ver
s
ydad e e
n pr
es
enc
i
a de MyndeSal
ml myn ur
t
l
Z de yr
ui
xt
a 下,閣下衆 の記録官 ,王 国議会 およ
es
cr
i
bano des
us mages
t
adese
び全王 国領 ・所領 にお ける公証人か
not
ar
i
opubl
i
c
oenl
as
uc
or
t
ee
e
n t
odos l
os s
us r
e
i
nos e つ上記 ビルバ オ市 お よび下 に記 され
s
e
負ori
osees
cr
i
banopubl
i
c
ode
l
た証 人衆 の正式 な公的記録官 である
numer
odel
adhavi
l
l
adebi
l
vao
t
i
zdeYr
ui
xt
aの面
edel
ost
es
t
i
gosdeyus
oes
cr
i
p- 私,Myn Ur
t
os l
os dhos se
氏Ores f
i
e
l e
前 で,上記組合 の参事 お よび代議員
di
put
adosdel
adhauni
ber
s
ydad
di
xi
er
on que mandaban e 閣下衆 は, そ こに参列 していた上記
mandar
onaj
uanpzdebec
ique 組 合 の 執 達 吏 (
andador)Juan
e
ndepr
es
e
nt
ees
t
abaeandador
PzdeBec
iに,神 と殿下 衆 そ して
que es de l
a dha uni
ber
s
ydad
qua l
uego l
l
amas
e al
os capi
- その利益 に奉仕 し,上記組合 とその
t
anesemaes
t
r
esemer
cader
ese
a
l
gunos
商 人 衆 の た め の諸 条 例 (
t
r
at
ant
es de l
a dha vi
l
l
a de
t
ol
sehor
de
nanzas) の起 草
bi
l
vao para que l
ue
go s
eJ
un- capi
t
as
en e
n l
a dha casa de ユ
as を開始 ,検討,決定 す る ことを望 ん
a
ver
i
aspor
quequer
i
an abi
are
acasa 〔
de
lc
ont
ar
〕de
esami
narec
oncer
t
arde hacer で,上記 1
asa
ver
i
asに直 ち に集 うべ く,上
al
gunoscapl
t
ul
osehor
de
nanzas l
15
20
年 ビルバ オ海上保険条例 (
莱 )(
近見)
quef
ues
en as
er
vi
c
i
o dedi
ose
des1
1
S■
al
t
ezasedelbi
e
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adhauni
ver
s
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os
c
ont
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ant
ese
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l
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uan
pzdevec
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ni
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ones
e
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ar
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adhacasadel
as
a
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i
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l
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l
l
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,de
l
adhavi
l
l
aef
r
anc
i
s
c
ol
opede
ar
vi
e
t
o e myn xeme
ni
s de
ver
t
e
ndonaeochoamar
t
i
ne
zde
7
1
7
記 ビルバ オ市 の船長衆,船舶所有者
衆,商人衆 および家畜商人衆 を即時
召集す ることを命 じ,命ずべきこと
を命令 した。 したが って,執達吏の
上記
JuanPzdeV〔
B〕ec
iの召
acasa 〔
de
l
集 によ り,直ちに上記 l
c
ont
ar
〕del
asa
ver
i
as に,上 記
r
i
a
gaAl
l
d,
」二
記
市 の MyndeAr
gondraemyns
zdevarraondoe ビルバオ市 の船舶所有者衆 および商
hurt
O.deara
naej
uanl
opezde
anc
i
s
c
oLopedeAr
vi
et
o,
人衆,Fr
e sanc
ho mar
t
i
ne
z de bi
l
vao e
∼I
ochoapzdeur
i
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gOde
t
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・
c
oeJ
u
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uan pZ
l
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gol
l
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J
_
ua
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l
i
nagaeandr
es
de verme
o eJ
uan de ar
i
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l
e
l
a e pedr
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no
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a e pedr
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j
ua
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t
aej
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t
e
ndona e pe
dr
o de
agui
r
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nans
zdel
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i
bas
■■
I
esa
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uandeherqulnl
gOemyn
mynesdepga
o edi
ego devaト
Z
e
naedi
e
godearanamaes
t
r
es
emer
cader
esdel
adhavi
l
l
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bi
vao /
/ el
ue
go es
t
ando ans
y
e
ndej
unt
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oss
obr
e
dhos
e
n ayunt
ami
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al l
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dhos s
e
免Ores f
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e
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put
ados
di
xi
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on e hi
z
i
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l
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OmO
e
l
l
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l
Sadeユ
as
Myn Xeme
ni
s de Ver
t
endona,
Oc
hoa Mar
t
i
nez de Gondra,
Myn Sz de Var
ra
ondo, Hur
t
.
de Arana, Jua
n
Lopez de
,PoDi
azdeAr
bol
anJaur
e
gui
c
ha,Sanc
hoMar
t
i
nezdeBi
l
vao,
Oc
hoaPzdeUr
i
ondo,Y丘i
gode
Trauc
o,Juan Mi
xaot
,JuanPz
Landacabal Myn deGor
gol
l
o,
,
Jua
n
Saez de Ca
t
e
l
i
naga,
Andr
es de Verme
o, Juan de
Ar
t
l
Z,Andr
esdeVi
l
e
l
a,Pedr
o
o deAr
e
xmedi
,
deNovi
a,Pedr
Jua
n Pz de Yba
ye
t
a, Juan
Oc
hoadeVer
t
endona,Pedr
ode
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n Sz de l
a§
Agui
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e, Fer
pol
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case s
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, Sant Jua
n de He
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一
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ose
di
f
er
enc
i
asepor
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l
l
S 色l
gO
,MynMynesdePgao,Di
e-
718
al
t
ezasf
ues
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er
vi
dosepor
que godeVar
ze
naな らびに Di
e
gode
l
os dhos pl
e
yt
os e di
f
er
enc
i
as
Aranaが来集 し, しか して,一般
nonovi
es
ec
er
cade
l
l
osdi
xi
er
on
ayunt
ami
e
nt
oge
ner
al
)に
ques
er
i
abue
noques
ef
ez
i
es
en 議 会 (
e hor
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nas
e
n ca
pi
t
ul
os e hor
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nanGa c
er
ca de
l
l
o para que
c
onf
ormeal
osd♭oscapi
t
ul
osy
hordenanGa ayan de pasar l
os
dhoss
egur
osecadal
l
nOSabr
i
a
l
af
ormade
l
l
ospor
quesa
vi
dal
a
ver
dad c
onf
or
me a l
as dhas
上記諸衆全員が直ちに集 い,上記参
事 および代議員閣下衆 は,上記諸衆
全 員 に,周 知 の ごと く,保 険 証券
(
pol
i
Ga) お よ び保 険 (
s
e
gur
o)
を原 因 と して訴 訟 な らびに争 いが
hordenanG
aS e capl
t
ul
os s
e 〔
過去 において〕生 じ, 〔
現在 にお
j
uz
gar
i
a e de
t
ermi
nar
i
a cer
ca
将来 において も〕
de
l
l
oeal
acausanon a
vr
i
al
os いても〕生 じ, 〔
per
j
ui
z
i
os e di
f
er
e
nc
i
as y pot 生ずべ きことが予想 される旨を示 し,
e
nde que e
l
l
os qui
s
i
es
en nom知 らしめ,そ して神 と殿下衆の御心、
br
araal
gunosdel
oss
us
odhos
par
a可uel
osqueans
ys
enom- に したがい,上記訴訟 お よび争 いが
br
as
en e
n uno c
on l
os dhos
保険証券 および保険 につ いて生 じな
s
e丘Ore
sf
i
e
ledi
put
adosf
ez
i
er
e
n
ehor
denas
enl
osd♭oscapl
t
ul
os いよう,条例が,それに したがって
ehordenanGaSe a
nS
y eC
hass
e 保険が行われるべ く,起草 され,命
l
es demos
t
rar
i
a de que f
orma
Gられ,そ して周知の通 り,真実が,
es
t
aban ec
has' para que s
e
pr
o
ve
ye
s
es
obr
ee
l
l
ol
o que s
e 同条例 に したが って,審理 ・判決 さ
de
bi
adep一
over//el
uegot
odos れ,それが原因で偏見 ・争 いが生 じ
l
os s
obr
e
dhosdi
xi
er
on que e
n
baz
erl
os
us
odho hera s
er
vi
c
i
o ないよう,各 自が保険の方式 を熟知
dedi
osedes
usal
t
ezasevi
e
n することが望 ま しい旨を宣言 した。
epr
oc
omun del
adhauni
ber
したがって,上記閣下衆 は,上記参
s
ydadedel
ost
rat
ant
esde
l
t
a/
/
ye
ndedi
xi
er
onquepar
ahaz
e一 事 および代議員 閣下衆の同意 を得て,
l
os d♭os ca
pi
t
ul
os e hor
de- 被任命者衆が同条例 を起草 し,命ず
nanGaS e
n uno COn l
os dhos
s
e負ore
sf
i
e
l e di
put
ados non- るために,上記諸衆の若干名を任命
braban e nombr
ar
on a f
ran- しなければな らないこと,そ して こ
c
i
s
c
ol
opezde ar
vi
e
t
o e a myn
xemeni
s▲
de ver
t
endona e a の ことが,裁決 されるべ きが 〔しか
f
er
nans
zdel
asr
i
base a mi
n るべ く〕裁決 されるよう,従来の方
1
5
2
0年 ビルバオ海上保険条例 (
莱 )(
近見)
de gor
gol
l
o eaj
ua
L
nl
ope
z de
J
aur
eguiea]
uanpzdeybe
ye
t
a
eaj
uanochoadever
t
e
ndonae
aj
uan mi
xaot//quee
ndel
og
s
u
_
s
odhos e
nu
.
no c
on l
o§ dhos
s
enores f
i
e
l e di
put
ados hor
de
ne
n e hagan l
o§ dhos capi
t
ul
os e hor
de
nanzas s
egun a
e
l
l
osvi
e
nvi
s
t
ol
esf
u
.
er
equ
_
es
ea
s
er
vi
c
i
odedi
osedes
usal
t
e
zas
edevi
e
nepr
odel
adhau
ni
ver
s
ydadedel
ost
rat
ant
esde
l
l
a//
al
osqua
l
esdhosnombr
adose
n
unocon l
osdhoss
e
丘oresf
i
ele
7
1
9
法で,彼 ら 〔
被任命者衆〕 に通知 さ
れることを命 じ, さらに,直ちに,
上記条例の起草が,神 と殿下衆の御
心 に したがい,商人組合 と同組合の
家畜商人衆の共同の利益 に奉仕する
ことを宣言 し, しか して,上記参事
および代議員閣下衆の同意 を得 て,
Fr
anci
s
c
o
条例 を起草 す るため に,
LopezdeAr
vi
e
t
o,Myn Xemens
i
s de Ver
t
endona,Fer
nan Sz
di
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ado.
sdi
xi
er
onquedabane deユ
asRi
bas
,Mュ
ndeGor
gol
l
o,
di
er
on po°er e f
ac
l
l
l
t
ad en l
a
Jua
n LopezdeJaur
e
gui
,Jua
n
meJ
Or f
orma e maner
a que
yet
a,Jua
n Oc
hoade
podi
an e de
bi
an y l
os qual
es PzdeYbe
s
obr
e
dhos nombrados di
xi
er
on
Ver
t
e
ndonaお よび JuanMi
xaot
queac
et
aban eace
t
ar
on e
ldho
car
gos
egundhoes/
/yf
uer
on を任命 し,任命すべきことを命 じ,
pr
es
e
nt
es por t
es
t
l
gOS ]
uan P2
: 上記 〔
被任命者〕諸衆が,上記参事
devec
ie sanc
ho de Gabal
l
ae
および代議員閣下衆の同意 を得て,
J
uandesaut
uol
a.
十分考慮 したように,神 と殿下衆の
御心 に したがい,商人組合 と同組合
の家畜商人衆の利益 に したがって,
ノ
上記条例 を起草 し,命ずることを命
令 した。 〔
上記閣下衆 は,〕同被任
命者衆 に,上記参事 および代議員闇
下衆の同意 を得て,かつて行 うこと
ができ,今後行 うべ きよ りも適切 な
方式 および方法で,権限 と権能 を与
えたことを宣言 し,上記被任命者衆
は,宣せ られたところに したがい,
72
0
同職務 を引 き受 けた ことを宣言 した。
証 人 と し て,Juan Pz de Ve
ci
,
Sanc
ho deCabal
l
a お よび Juan
deSaut
uol
aが同席 した。
l
osqual
ess
obr
e
dhosse
負Ores 商人組合の上記参事 お よび代議員
f
i
e
l e di
put
ados de l
a dha
閣下衆 は,上記被任命者衆 と共 に,
uni
ver
s
ydad en uno c
on l
os
s
obr
edhosnonbradosf
ez
i
er
on e 上記事項 に関 して,以下 の条例 を起
hor
denar
oncer
cadel
os
us
odho 草 し,命令 した。
l
oscapl
t
ul
oss
l
gui
e
nt
es.
Pr
i
mer
ame
nt
e di
xi
er
on que
hor
denaban e mandar
on que
qual
qui
erper
s
onadequal
qui
er
cal
i
dad ques
eaques
iqui
s
i
er
e
as
e
gurar en qua
l
qui
er manera
que s
ea agor
a pors
obr
e mer
Cader
i
asc
omo s
obr
enao f
l
e
yt
e
e apar
ej
os del
l
a c
omo s
obr
e
qual
es
qui
ermer
cader
i
asques
e
hi
z
i
es
ee
l dho s
egur
o a
ya de
c
or
r
erdi
e
zporc
i
ent
o de r
i
s
go
s
obr
e l
a dha nao f
l
e
yt
e e
apar
e
j
os de
l
l
alo s
obr
e l
as
mer
cader
i
as s
obr
e que s
e
hi
z
i
er
ee
ldho s
e
gur
o e dende
arr
i
ba l
o que l
a vol
unt
ad de
l
d♭o as
e
gurado qui
s
i
er
ec
on t
al
que f
l
on c
or
ra memos de l
os
dhosdi
e∑porc
i
e
nt
o/
/es
ipor
cas
°deques
eas
ihi
z
i
er
es
obr
e
l
e
yt
e e apar
e
J
OS
l
a aha na
o f
de
l
l
ao s
obr
el
as mer
cader
i
as
〔
第 1条〕
まず最初 に, いかな
る国籍 であると, いか なる方法 であ
れ,保 険 されるいか なる貨物 につい
てと同様,貨物 な らびに船舶,運送
賃 および船舶の革具 につ いて,保険
されることを望 む者 は,保 険 される
同船舶,運送賃 お よび船舶 の属具 ま
たは貨物の危険の10/100を負担 しな
ければな らず, また,上記 10/loo壱
下回る 〔
危 険 を〕負担 す ることにな
らないか ぎ り,被保 険者 の意思が望
の
むな らば, 10/100を超 える割合 〔
危険〕 を負担 しうることを命令 した。
保険 される船舶 ,運送賃 および船舶
の属具 または貨物 につ いて, 〔
保険
が〕か く行 われ る場合 において, 〔
被
qu
.
es
eas
egurar
en non c
orr
i
er
e
l
osdhosdi
e
zporci
e
nt
oquede
l 保険者が危険の〕10/100を負担 しな
t
al s
e
gu
_
r
os
e puedan r
e
par
t
i
r
けれ ば,かか る保険か ら,金額上,
has
t
a en cant
i
dad que e
ld♭o
同被 保 険者 が か く付 保 した全額 の
as
e
guradopl
er
dal
osdi
ezpor
1
520年 ビルバ オ海上保 険条例 (
莱 )(
近見) 7
21
C
i
ent
o de t
odo l
o ql
l
e anS
y
as
e
gur
o e que aqu占
l
l
os s
e
r
epar
t
anal
osas
e
gurador
esque
hi
z
i
er
on el dho s
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gl
l
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O S
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gu
_
n
cada uno her
e
da en e
l dl
l
O
s
e
gur
o y por
que l
os que s
e
as
e
gurar
en t
enga
n c
ui
dado e
vi
gi
l
anc
i
adeponerver
dad ans
y
e
nl
at
alnaoc
omoe
nl
ast
al
es
mer
cader
i
as s
obr
e que s
e
hi
z
i
er
ee
ldhos
egur
o.
10/1
00を失 うまで控除 し,その金額
は,同保険 を行 った保険者衆 に,同
保険において引 き受 けた各 〔
引 き受
け〕額 に したがって配分 されること
とする。けだ し,保険 される衆 〔
被
保険者衆〕 は,同保険がなされたか
かる船舶 および貨物 に,誠実 さを付
与すべ く,細心の注意 を払 わなけれ
ばな らないか らである。
yt
e
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Ga
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e
gurador
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ho mes
es
〔
第 2条〕
さらに,かかる保険
が行われ,神の望 まない こと, 〔
す
なわち〕 なん らかの危険が,か く保
険 された船舶 もしくは貨物 またはそ
れ らの一部 に生ずるな らば,同保険
者衆 は,被保険者衆 に,保険証券 に
記載 されている方式 および方法で,
保険者衆が保険証券 に署名 した日か
ら続 く最初の 8ケ月以内に 〔
保険金
を〕支払 う義務 を負 う旨を命 じたこ
pr
l
mer
OSS
e
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guna とを宣言 しかつ また命令する。 も し,
es
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e
争 いもしくは紛争 または口論が,保
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gu- 険 されたことにつ いて生ず るな らば,
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Ga S
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gund f
ee /
/equees
t
o
かかる保険者 は,宣誓 して,保険証
券 に記載 されたところに したがい,
上記 8ケ月の終 りに,判決 されるべ
き金額 を法律上当然 に支払 うべ く,
被保険者 に無条件かつ信用 ある法的
担保 を提供せ しめて,保険 した金額
722
echo l
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us
t
i
ci
a.
〔
保 険金額〕 を被保 険者 に支払 わな
けれ ばな らない。 しか して,裁判官
衆 は,正義 に基づ き, この ことを裁
判 しな けれ ばな らない
。
〔
第 3条〕 さらに,船舶 ,運送
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on
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egur
osqussehazen 賃 お よび属具 につ きな された保 険 に
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t
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ese 方法 であれ,同保 険がな され たかか
as
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osmaes
ト
る船舶 の属具 の腐敗損害 につ いて,
r
es pi
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保険金〕請求 を行 う場
al
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dasde 保険者衆 に 〔
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合 は, 日々船舶所有者衆 と保険者衆
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or
dado そ して同争 いを避 け,問題 を明瞭 に
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as
するために,船舶 お よびそれ に積載
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eva
l
ga され た貨物 を救助 すべ く属具 を切断
s
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し, それ を船舶 か ら投棄 した損害 を
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l
l
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保険
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a dha nao por 除 き, その他 いかなる損害 も 〔
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金 の〕請求 を行 うことがで きず, た
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i
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l
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保 険金 の〕請求があって も,
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l
l
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vydo e aya とえ 〔
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i
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uesa al
a nao e a それ は無効 である旨了解 され たこと
l
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i
as en el
l
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一
を命令 した。 〔
かかる属具 の切断の場
gadas e non ot
ra casa al
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sal
bo aquel
l
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el
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er
e 合 は〕船舶 お よびそれに積載 された
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ala
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i
a gr
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ldho 貨物 の共 同海損 (
aver
i
agr
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maest
r
eo mer
cader
es.
と して処理 され るが,船舶所有者衆
または商人衆 にとって,かか る共同
海損 に含 まれ る場合 を除 けば,その
他 いか なる 〔
属具 の腐敗損害 も,保
険者 は責 めを負わない
〕 。
1
5
2
0年 ビルバオ海上保険条例 (
莱 )(
近見)
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Ga.
〔
第 4条〕
7
2
3
さらに,冒険貸借 に
おいて も,かかる船舶 に関 してなさ
れた保険においても,船舶所有者衆
が,自己の船舶 につ いて,船舶およ
び運送賃 が有 しえない程の金額 を取
得する場合が,往 々に して生ずるの
で,かかる場合 には,同船舶所有者
衆 は, 自己の船舶 につ き, 〔
危険の
1
0
/
1
0
0の〕責任 を負 い,〔この1
0
/
1
0
0
を控除 した〕かかる船舶の有 する全
価値 を付保することと し,そ して 〔
運
送賃 についてはその〕猪 を付保する
ことと して,その ような場合 に,船
舶 に神の望 まないこと 〔
すなわち危
険〕 が生ずるな らば,保険者衆 は船
舶所有者の負担 すべ き危険の1
0
/
1
0
0
を控除 し,〔
その1
0
/1
0
0を控除 した〕
かかる船舶の有する価値 および運送
賃の兄 を超 える額 を〔
保険金 と して〕
支払 う義務 を負わない旨を命令 した。
しか して,同船舶所有者が,保険の
か くなされた保険証券 に, 自己の船
舶の有する価額 を記載 し,保険者衆
が,保険証券 に記載 された価額 を了
解するな らば,同保険は,記載 され
たその価額で有効 であるとす る。
Ot
r
os
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denar
on emandar
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qui
er per
s
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〔
第 5条〕
なおまた,現在本市
の市民 であると,外国の地域の市民
72
4
qual
qui
er cal
i
dad que s
ea que であると,いかな る国籍 で あれ,本
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市 において保険 を行 う者 は,常 に,
一
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eque 本市 の この条例 な らびに参事 お よび
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t
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de代議員衆 の裁決 に したが って,保険
nanGaS e a
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uz
gado de f
i
e
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証券 を作成 し,かつ,上記条例 に し
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- たが い,証人 によ り証 明 され,保険
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者衆 に よ り署 名 され た同保険証券 ま
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gura- たは証書 を呈示 して,かか る保 険 〔
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gOS C
OmO S
y f
ues
e hecha
i
c
o.
pores
cr
i
vanopubl
内容〕 につ いて, 〔
被保 険者 に〕 了
知 させ なけれ ばな らない ことを命令
した
。
そ して, 〔
その ように して作
成 された保 険証券 は〕 あたか も公証
人 の面前 でな されたと同様 な価値 を
有 し,かつ , あたか も公証人の面前
で作成 され たと同様 な効 力 を有する
ことを命令 す る。 各 自が,証人の面
前 で,証 明書 と して または証書 と し
て, 〔
いず れ と して も〕,保 険証 券
を作成 す るの は, 自由であ り,保険
者 または証人衆の署 名 は,かか る保
険証券 ,証書 ,証 人か ら判断 される
べ きと ころに したが って, あたか も
公証人 に よ り作成 された と同様 な効
力 を有 す る, と判断 され ることとす
る。
〔
第 6条〕 さらに,ぶ どう酒 お
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on
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ascar
gaz
onesques
e よびオ リーブ油か ら成 る積荷 におい
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i
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on て, いか なる方法 であれ,かか るぶ
1
5
2
0年 ビルバオ海上保険条例 (
莱 )(
近見) 7
25
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一
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umpl
i
rs
e
gundhoes・
どう酒 またはオ リーブ油 に,漏損 ま
たは積 み付 け 〔
不良 による漏損〕 が
生 ずるな らば,同保険者衆 は,かか
る貨物 に生ずるかかる漏損 につ いて,
いかなるもの も支払 う義務 を負 わな
い ことを命令 した。ただ し,保険 さ
れた 〔
被保険者〕が,漏損 または 〔
そ
の ような〕損害が,偶然 な出来事 に
よ り同貨物 に生 じたことを証明 した
場合 を除 く。かか る場合 には,保 険
者衆 は 〔
上 に〕定 め られたところに
したがい, 〔
義務 を〕履行 しなけれ
ばな らない。
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dho as
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gurador non s
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l
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i
gado puesnon espotcas
°
f
or
t
uyt
o.
〔
第 7条〕
さらに,保険 され る
べ き果実,秩,羊毛,石 けん,織物 ,
毛織物 および, いかなる種類 であれ,
保険 され るべ きその他一切 の貨物 に
つ いて,かかる保険者衆 は, この よ
うな損害が偶然 な出来事 によ り同貨
物 に生 じないか ぎり,保 険 されたか
かる貨物 に生ずる損害 に対 して,何
ら支払 う義務 を負わない ことを命令
した。 けだ し,同貨物 は,積 み込 ま
れている長 い時間の経過 によ り,損
害 を被 ったか らであ り,かか る損害
に対 しては,保険者衆 は責任 を負 わ
ない。ただ し,偶然 な出来事 による
場合 は,そ うではない。
7
26
0t
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t
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e一des
pues.
〔
第 8条〕
なおまた,船舶,逮
送賃 お よび属具 に関す る保険 は,月
単位 お よび年単位 でな されるので,
かか る保険 は,保険者衆 の署名 した
一切 の ことな らびに保険の書面 〔
す
なわ ち保険証券〕 および保険の書面
の解釈 それ 自体か ら判断 されるべき
一切 の ことを負担 する旨を了解 する。
ただ し,後 になされるべ き解釈 が異
なる場合 は, これ を除 く
。
ot
r
os
yhor
denar
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on
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qui
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GaO Ce
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yc
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if
uese
n
sent
enc
l
aS paSadas en c
osa
j
uzgada.
〔
第 9条〕
なおまた,宣誓供述
書 におけるように,証人の面前 で,
か く作成 されるいかなる保険証券 ま
たは保険の書面 も しくは証書 は, こ
れ らの内のいかなるもの とも異 なる
名称 および他 の 〔
様式〕 で作成 され
ようとも,有効 であ り, あたか も訴
訟物 において判決がな され たかのよ
うに,可能 な最善の方式 および方法
で,正 当かつ適切 な執行 〔
力〕 を有
す ることを命令 した。
Ⅳ 制定機関 ・不裁可理由 ・起草理由
本条例 (
莱 )は.上掲の ように,商人組合の一般議会 (a
yunt
ami
ent
o
gener
al
) において,参事 (
f
i
el
)Di
egoRodr
i
godeTraucoと代議員衆
(
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put
ados)Ant
onyodeCabal
l
a以下 2名 によ り任命 され た Fr
aci
s
c
o
1) a
yunt
ami
e
nt
oは市吏員 団 と訳 されることもある。井上編 『
南欧史』 (第 7
版 )世界各国史 5,昭和 4
5
年,p
.
2
4
1を参照。
1
5
2
0年 ビルバオ海上保険条例 (
莱 )(
近見 )
7
2
7
LopezdeAr
vi
et
o以下 8名の者 が起草 し,上記参事 お よび代議員衆 が命
令 を下 したものである。
保険条例 ではないが,当時 ビルバ オにおいて定 め られ,かつ国王 の裁可
2
)
を得 て公布 ・施行 された1531年の条例 と比較 するか ぎ り,本条例 (
莱 )は,
組合 内において,正式 な手続 きを経 てお り,その限 りでは,公式 の条例 と
何 ら異 なるところはなか った。ただ国王の裁可がな されたか否 かの相違が
あるにす ぎない。
イタ リア初期 の保険条例 には,ドージェ (
doge)
,ポデス タ (
podest
a)
等の コムーネあるいは都市 の首長 により定 め られたものと商業 団体 (
c
oレ
poraz
i
onem er
cant
i
l
e) によ り定 め られたものが あるが,1
432年 ない し
1
484年 のバ ルセロナ条例 が前者 に属す るのに対 して,15
20年 ビルバ オ海上
保険条例 (
莱 )は後者 に属 している。
王 の裁 可 が得 られ れ ば,上 記 1531年 条 例 の よ うに, "e
lmuy nobl
e
s
e丘oll
i
cenci
adoDi
egodeVar
gasc
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e
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doreveedorenest
em uy
3
)
4
)
nobl
eemuyl
eaユcondado'
'といった,王 国の官職 "
cor
r
egi
dor
" の者
の名が付加 されただろうが,不幸 に して裁可 を得 ることができなか ったた
め,"c
or
r
egi
dor" の者の名 は見当た らない。
ところで,本条例 (
莱 )が裁可 を得 られなかったことについては,次の
5
)
ような背景 が存在 した。
ビルバ オは,スペ イン北部, ビスカヤ湾 か らネル ビオン川 を11k
mほどさ
2) Gui
ar
dyLar
r
aur
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dorは,通常都市 に任命 された as
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であり,任期 は一年,ただ し重任が認 められていた。SuAr
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2,p.
1
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.なお,井
上編,前掲書,p.
2
41
では都市総督 と訳 されているが,ここでは原語のままとした0
5) 1
5
2
0
年条例 (
莱 )が裁可 されなかった背景 については,Smi
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h,op.c
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が詳 しいO
6
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7
2
8
かのぼった地 に位置 する,古 くか ら外敵の襲撃 に対す る防御 に適 した天然
の良港 と して栄 えた都市 である。 しか し, この都市 の繁栄 は,その後背地
にあった中世 スペ イン最大 の都市 の一つ,ブ)
I
,ゴスの繁栄 に大 きく依存 し
ていた。
中世 スペ イン有数の輸出品であった羊毛 は, カステ イリア内陸部 で市場
di
nade
lCampo等 の定期市 で商人 に売 られて,そ
向 けに用意 され, Me
れか ら中心 的な集積地 であったブル ゴスヘ運 ばれたが,ブル ゴスは内陸都
市 であったため,荷馬車 によ りビルバ オに運 ばれ, そこか ら年 に-,二 回
編成 され る輸送船団で, ブ リュージュ等へ積 み出 されていたのであるo
当時,ブルゴスは羊毛集積地 と して最 も勢力 を有 していた。 この地が こ
484
年以来,財政 が逼迫 していた王室が,
の ように隆盛の域 に達 したの は, 1
羊毛貿易 に一つの光 明を見, これ を特 に保護育成す る政策 をとったためで
あった 実際,羊毛貿易 は,やがて王室のか けがえのない収入源 とな り,
。
王室 と牧羊業者 は,互 いにその利益 を享受す ることになる。 かかる羊毛貿
易の中心 が,他 な らぬブルゴスその地 であ り,その意味で,ブルゴスは王
室の期待 の都市 であったのである。
ビルバ オは,かかるブル ゴスのいわば外港 で しかなかった。 そのために,
これ ら二都市 は.明 らかに主従 の関係 にあった
。
しか しなが ら, 1
49
2
年の
ユ ダヤ人追放 による羊毛市場 の混乱後, この輸出体制 の建て直 しのために
49
4年 コンス ラー ド (
c
ons
ul
a
do)の設立が認 め られた頃にな
ブル ゴスに1
ると,鉄 山の開発 による鉄鋼業業 にす ぎないが-
といって も,描,鉄索,針 などの製造
これの繁栄 とともに,ブル ゴスの商人資本 は, ビルバ
オに移 ってい くこととな り,両者の関係 は悪化 してい く。
もともとバ スクとカステ イリヤと民族 を異 に していたため,表面上,輿
力関係 に明白な差が存在 したか ぎ り,関係 は良好 であったが, これが互い
に括抗 するようになると,互 いの反 目精神がに じみ出て くるのである そ
。
5
世紀 中葉 に,ブ リュージュにおいて,両者 それぞれが独 自の教会,
れ は, 1
独 自の商人組合 を有 していた ことに如実 に示 されている
。
15
2
0年 ビルバオ海上保険条例 (
秦 )(
近見 ) 7
29
ブルゴスは, ど)
t
'
パ オの台頭 に危機感 を抱 き,いち早 くコンスラー ド設
立の願 いを提 出 し,その願 いはかなえ られた。それ は,1
492
年 のユ ダヤ人
追放 による羊毛市場 の混乱 を建 て直 し,羊毛輸出体制 を再 び再滑 に機能 さ
せ, もってブルゴス商人衆の利益 を確保すると同時 に,ブルゴス商業 そ し
て王国の繁栄 を期するためであった。
コンスラー ドの設立 により,ブルゴスは,一定の条件の下で,一切 の ビ
スカヤ湾沿岸諸港か らの船舶 の航行 に認可 を与 える権限を有することにな
ったが,それ はもちろん ビルバ オ等の諸都市 の受 け入れ られるところでは
ない。そ こで,1
49
4年条例 の改正 を請願 する こととな り.それが認め られ
て1
495
年 お よび1
49
6
年の二度 にわたって1
49
4年条例 は改正 され る土とにな
る。その後,暫時,見かけ上 は,ブルゴスとビルバ オの関係 は良好 であっ
た。
ブルゴスと ビ ルバ オがその間に生 じる紛争 を解決するために締結 した一
連の書面 による協定 の最初の ものは,1
499
年 ブルゴスに, フラン ドル,ナ
ン ト, ラ ・ロシュルおよびイギ リス向 けの羊毛積載船舶 に認可 を与 える独
占的権限を認 めたそれである。 当時,フラン ドル向 けの羊毛積載船舶 は,
年 に一度船団 を組 んで航海 していたが,本協定 によりブルゴスの コンス ラ
ー ドの pr
i
orお よび c
ons
ul衆 は,船団 を組 む諸船舶 を選択 する権限 を有
することになった。ただ し,彼 らはビルバ オ船舶 を数隻 は選択 しな ければ
な らなかった。一方, ビルバ オは,ブルゴス商人のために船腹 のy
3は留保
しなければな らなかったが,鉄鉱石 および /または鉄製品の運送 につ いて
は完全な自由を得 た。
この協定 は思 いの外,直ちに新 たな紛争の火種 とな り,1
5
05
年 ビルバ オ
は,ブルゴスが ビルバオ船舶 を排除 しようと している旨を訴 え,国王 はそ
れを容れて,ブルゴスにその ような独 占的な仕方 を思 い止 まるよう命令 す
ることになる。
ブル ゴスと同様 に,商人の利益の確保 と商業の隆盛のために, コンス ラ
ー ドを設立 することはビルバ オの悲願 とするところであった。それは,ブ
73
0
ルゴスに対 する対抗策 の最 も有効 な方法で もあった。ブルゴスにコンスラ
ー ドの設立が認め られた後 , ビルバ オは,その設立 の請願 を行 ったものの,
国王 が認 めるには至 らなか った
。
しか し,1
51
1
年,やっと悲願 は達成する。
ビルバ オにとって,それ は, ブル ゴスへの対抗上, と りわけ大 きな成果で
あった
。
しか しなが ら,喜 びもつかの間,翌 1
51
2
年 国王 は,ブルゴスに,
フェンテラビアか らコルニナの間 にある ビスカヤ湾沿岸諸港 の一切か ら羊
毛 を船積 みするにつ いての独 占権 をカステ イリア商人 に与 えるという,新
たな特権 を認 めることになる
。
この特権 の授与 は, ビルバ オにとって死活
問題であった。 そこで, ビルバ オは, ブルゴスによるその特権 の適用 が破
滅的な影響 をもた らさないよう,その厳格 な行使 を緩和 すべ く,ブルゴス
5
の提案 す るほとんどすべての和解条件 を受 け入れることと したのだが,1
20
年海上保険条例 (
莱 )は,かかる状況 の中で,定 め られたのである。
この条例 (
莱 )には,ブル ゴスに対する ビルバ オのせめて もの抵抗 の意
味が込 め られていた。 ビルバ オの コンスラー ド設立 の悲願 の基礎 の一つ に,
商事裁判権 の確保 があった ことを考 えれば,その最 たるものは,裁判権が
ビルバ オの コンス ラ- ドにあることを定 めた規定 (
第 5条 )にうかがうこ
とがで きる。 しか し,当然の ことなが ら, この条例 (
莱 )をブルゴスが認
めるわけにはいかなかった。おそ らく,国王 に裁可 を与 えないように働 き
か けることとな り,つ まるところ, この条例 (
莱 )は.公式的 には裁可 を
得 られず,その効力 を有 す ることのないまま廃案 の憂 き目に遭 うに至 るの
である
。
といって,前 にも触 れ たように,本条例 (
莱 )が単 なる案で しかなかっ
538年 ブル ゴス条例
たわけで はない。本条例 (
莱 )の規定 の多 くが,後 の1
に採 り入 れ られた事実 を考慮 すれば,本条例 (
莱 )の諸規定 は,公には施
行 されなかったものの,現実 には,おそ らく適用 され,当時の ビルバ オに
おける海上保険契約 は,本条例 (
莱 )に則 って行 われていたのである。そ
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の点 で,本条例 (
莱 )は,Smi
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年 ビルバ オ海上保険条例 (
莱 )(
近見 ) 7
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古の海上保険条例であり,かつまた大西洋世界最初のそれでもあったのである。
保険証券 (
pol
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ca)お よび保険 (
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本条例 (
莱)
の起草理由は, 「
を原田 と して訴訟 な らびに争 いが 〔
過去 において〕生 じ, 〔
現在 において
も〕生 じ,
〔
将来 において も〕生ずべきことが予想 される」 ために, 「
上
記訴訟 および争いが,
保険証券および保険 につ いて生 じないよう」に, 「各
自 〔
■
に〕保険の方式 を熟知」 させ ることであった。
イタリア初 期 の保険条例 を-ベつすると,一般的な制定理 由を掲 げてい
407
るもの とより具体的な制定理 由 を掲 げているものがある。 たとえば,1
年 の フィレンツェ条例 は 「コムーネおよび商業 団体の明 らかな利益のため
6
)
421
年 お よび
に」 と し,一般的な制定理由を掲 げたものの一つ だが,他方 1
1
42
4
年 の ヴェネツ ィア条例 は,それぞれ 「
保険者 は,外国船舶の状態 さら
にそれに積載 された商品 につ いて,情報 を有 さず, 〔これの〕保険 はただ
支出のみで,決 して利益 を生 じず,かか る保険 は市民 および臣下の損害 に
堕 し,すべての者が危険および損害 〔
をもた らす〕 と考 え うる外国船舶 に
関する保険 をヴェネツ ィア市民 が行 うことは,市民 の とりわけ有害 な慣習
7
)
〔
である〕
」 , 「ジェノヴ ァ人 とカタロニア人 およびフ ィレンツェ人 とジェ
ノヴ ァ人の問 に, 〔
それぞれ〕争 いがあ り,その 〔
影響〕 力 は特 に海上 に
広が っているので,
〔これに〕 かかわ らない配慮 が望 ま しい。 したが って
かかる保険 は〕全 く回避
関与の原巨
馴こな りうる外国人 の保険 につ いて, 〔
8
)
されるべ きである」 と して, より具体的な制定理由を掲 げている。
3
6
9
年 ジェノヴ ァ条例 ,1
3
9
3
年 フ ィレ
これ ら両極端の ものに比べれば,1
6) Bono
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8
9
8
,p.321;拙稿,前掲イタリ
ア初期の保険条例,p.62.
7) St
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es
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,1956,p.229;拙稿,前掲イタリア初期の保険条例,
p.
63.
.,
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ani
,op.°
i
t
.
,p.
23
0;拙稿,前掲イタリア初期の保険条例,p.
63.
8) St
7
3
2
9
)
408
年 ジェ ノヴ ァ条例 な どは, どち らか といえば中間的 な制
ンツェ条例 , 1
定理 由 を掲 げてお り,制定理 由一 つ とってみて も興 味 は尽 きない。
条例 がなぜ定 め られ たか は,当該条例制定 時 にお けるその地 の保 険取 引
の状況 を反映 してお り, 1
369
年 の最古 の ジェ ノヴ ァ条例 の制定理 由 (
「
〔
カ
ム ビオお よび保 険契約 が,不法 またはウス ラ的 で あると主張 され る ことに
よって,履行 されな けれ ば〕一般 に同 じような契約 を行 って いるジェ ノヴ
ァ市民 お よび商人 に大 きな損失 お よび不利益 を生 じ, あるいはいかなる取
引 も行 われえず,船舶 が航海 しえない ことを考慮 して」)をみれ ば,当時,
保 険 はジェ ノヴ ァ市民 ・商人 にか な りの程度浸透 し,取引上不可欠 な制度
になっていた こと, に もかか わ らず, ウス ラ的 とい う理 由で,履行 を拒絶
す る保 険者 が絶 えなか った こと, それ ゆえ保険契約 が有効 な契約 と して広
く認 め られ るには未 だ至 って いなか った こと, したが って,本条例 は,保
険条例 の歴 史 の中で もか な り早 い段 階で定 め られ たと考 え うる ことな どを
知 りうる し, 1
39
3
年 の フ ィ レンツ ェ条例 の制 定理 由 (
「
商人 が非常 に しば
しば大損失 を被 っている ことへの配慮 と,商人 の信用 と利益 を入念 に保護
す るため に」
)を読 め ば,当 時 フ ィ レンツ ェで は,す で にか な りの程 度 の
保 険取引 が行 われていた こと, しか しそれ は商人 にと り必 ず しも利益 を得
る取 引 で はな く,往 々に して きわめて大 きな損害 をもた ら して いた ことな
どをうかが うことがで きる。
スペ インでど うで あるか といえば, スペ イン最古 の1
43
2
年バ ルセ ロナ条
例は 「
公益 な らびに同市 の市民 ,住民 お よび同市 において取引 を行 う商人
1
0
)
の保障 のため に」 と して いるか ら,や は りバ ルセ ロナ において も,保 険取
9) 拙稿,前掲 イタリア初期 の保険条例,p.
62
以下 を参照。
1
0) Pe
l
aez,M.J.
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egur
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i
mosender
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9
8
4, p.1
27 ; Per
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agon,Re
1
9
45,p.
2
8
4e
tsui
v.;拙稿,前掲 1
432年 バ ルセ ロナ最古 の海上保険条例,p・
以下.
5
85
15
20
年 ビルバオ海上保険条例 (
莱 )(
近見)
7
3
3
引 は しば しば商人 に損害 を与 えていた し,また当地 ではバルセロナ商人 に
限 らず,外国商人が この地で広 く保険取引を行 っていたことが分 る。なぜ
商人が損害 を被 ったかについては,1
435
年条例 が明 らかに示すところであ
り,同条例 は 「
船舶 およびその他の小船舶 を保険 しな らびに商品,物品お
よび財物 を保険するについて,同市 において引 き続 き生 じうる一切 の詐欺
および害悪,疑義 な らびに論議 を一掃するために, したがって被保険者の
l
l
)
みな らず保険者の保護のために」定め られた,と している。
スペ インの保険条例 は,保険契約 に寄生する詐欺 との闘いであったとい
われる。確かにそ うであった。1
435
年バ ルセロナ条例 のみな らず1
46
1
年同
条例 においても, 「
乱用が間接的方法 および脱法 .
〔
行為〕 によりなされ,
かかる乱用の結果,同市の市民,商業団体の商人およびその他 の者 に大 き
1
2
)
な損害 と不利益 をもた らしているので--」 とされている。
しか しなが ら,1
52
0
年 ビルバオ海上保険条例 (
莱 )をみるかぎり,保険
契約 を原因 とする訴訟 ・争いはあったものの,詐欺的行為が広 く行 われて
いたかどうかは分 らない。む しろ,衣条例 (
莱 )は,裁判権の確立 と,敬
締法規 と してい くつかの事項 について規定することが主 たる目的であ り,
詐欺 や ビルバオ商人の被 っている損失のために制定が急がれたものとは思
われない。
Ⅴ 諸 規 定
本条例 (
莱 )の諸規定 を通読すれば, これ をおよそ①付保制限ない し強
制的 自己保有 に関する規定,②性質損害 に関する規定,③保険金支払義琴
の履行期 に関する規定,④保険証券の効力 に関す る規定および⑤その他の
規定の 5つ に分類することができる。
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l) Capmany y de Monpal
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9
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,p.448.
1
2) CapmanyydeMonpal
au,Memor
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,p.5
7
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73
4
まず第一 に,付保制 限 ない し強制 的 自己保有 (
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1
)
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t) に関 す る規 定 と して,第 1条 お よび第 4条 の規 定 を挙 げる こと
がで きるだろ う。
obl
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or
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付 保 制 限 な い し強 制 的 自己保 有 は,強 制 的一 部 保 険 (
2
)
3
)
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)ある い は強 制 的 不 担
4
)
5
)
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gat
or
i
o) と もい わ れ, 古
432
くか ら条例 上法定 されていた ところであるが, スペ イ ンで は,最古 の 1
年バ ルセ ロナ条例 にこそ, その ような規定 はなか った ものの, 1435年条例
6
)
458年 , 1484年 の各条例 には定 め られて いた し, さ らにイ
以後 , 1452年 , 1
7
)
タ リアで は, 1420年 頃の ジェ ノヴ ァ条例 に もかか る規定 を見 る ことがで き
る。 Bosco の伝 え る と ころで は 1380年 頃 の ジェ ノヴ ァ条例 にす で に定
8
)
め られていた らしいが,本条例 の テクス トを見 る ことので きない今 で は,
,
この点 を確認 す る ことはで きない。
また
,
9
)
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0.
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97
3, p.1
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,p.
1
8
0.
5) Pe
l
aez,Cambi
5
世紀 バ ルセロナにおける海上保険契約 (Ⅰ)
,p.
8
4以下を参照。
6) 拙稿,前掲1
7) Bens
a,I
Icont
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cur
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one°
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.
,p.
1
5
9;拙稿 「
1
42
0年 頃 の ジェ
ノヴァの保険条例 」 『
一橋 大学社会科学古典資料 セ ンター年報』No4,1
9
84年,
p.1
0.
8) Boi
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,p.1
88.
9) Gar
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0年 ビルバ オ海上保険条例 (
莱 )(
近見 ) 7
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7
年 を境 に して,以後付保制限が契約当事者の合意 により行 われた ら
しく,例 と して,1
3
97
年 9月 6日 1
3
9
9
年 9月1
0日および同年 1
0月 1日付
,
の三契約が掲 げ られている。
ところで,条例 における付保制限規定 を年 を追 って見 てい くと,はなは
だ興味 ある事実が浮かび上がって くる。すなわち,1
3
80
年頃の ジェノヴ ァ
条例では,船舶の価額の%を船舶被保険者 は保有 しなければな らなかった
が,1
42
0
年頃の同条例 では,それが% に下 げられている。そ して,1
435
年
バルセロナ条例 は,詳細 な付保制限規定 を置 き,内国船舶 につ いて易,外
国船舶積載内国貨物 について%,内国船舶積載内国貨物 については兄を,
各被保険者の強制的 自己保有 と したけれども,1
43
6
年条例 は,内国船舶,
内国船舶積載内国貨物 および外国船舶積載 内国貨物の付保制限 を緩和 し,
前 2者 については被保険者 に何 も強制的 自己保有 を課 さず,外国船舶積載
内国貨物 につ いてのみ,兄の保有 を課 した。 しか し,1
4
5
2
年条例 は,原則
435
年条例の立場 に戻 り,1
45
8
年条例 は,1
45
2
年条例の規定 を受 け継
的に1
いでい く。そ して,1
48
4
年条例 になると,船舶および貨物のいずれである
と,内国人 については-率 にその価額のy
8(
ただ し,外国人については3
/
4)
を被保険者の強制的 自己保有 とするに至 るのである。
一方,われわれは,ルイ1
4世の海事勅令第18条 に,被保険者 は原則 とし
て財物の宛の危険を常 に負担する旨定 め られていること,そ して その規定
1
条 および第15
章第 3条の規定 を
は,ギ ドン ・ドゥ ・ラ ・メール第 2章第 1
継受 したことを知 っている。
48
1
4年バルセロナ条例ではV
8
かかる規定の継受関係 を考 えるとすれば,1
(
外国人 については%)であったか ら,ギ ドン ・ドゥ ・ラ ・メールの当該
規定が,1
48
4年条例 を受 け継 いだとはいい難 い。 しか しなが ら,前節のテ
クス トを見れば分 るように,1
5
2
0年の この条例 (
莱 )では,実 に1
0/1
00,
。 してみ
したがって‰が被保険者 の保有 とされているのである (
第 1条 )
ると,少な くともかかる付保制限規定 に関するかぎりでは,ギ ドン ・ドゥ
48
4年の
・ラ ・メール,そ して海事勅令の当該規定 に影響 を与 えたのは,1
7
3
6
バ ルセロナ条例 ではな く,む しろこの1
520年の条例 (
莱 )であったと思 わ
れるのであ り, この ことは,かか る規定 のみな らず,ひいては海上保険法
の継受関係 を考 えるとき, きわめて興味深 い点 といえるだろう。
バルセロナでは,付保制限 を超 えて付保 した場合,その超過部分 は無効
5
20年 の条例 (
莱 )第 1条が 「
貨物 な らびに船舶,運
であった。 しか し,1
送賃お よび属具 につ いて,保 険 されることを望 む者 は,保険 される同船舶,
運送賃 お よび船 舶 の属具 また は貨物 の危 険の 10/100を負担 しな けれ ばな
ら」 ないとする一方, 「
金額上,同被保険者 がか く付保 した金額 の10/100
を失 うまで,控除」 すると しているか ら,バルセロナ にお けると同様 に,
ビルバ オにおいても超過部分のみが無効 とされていたのか どうか,必ず し
も判然 と しない。
000,付保制限 を‰ と した場合 に,バ ルセロナで
たとえば,保険価額 を1
0の保険金額 で保険契約 を締結 すれ ば, 5
0が無効 と され
は,被保 険者 が95
るのに対 し, ビルバ オで は,規定 を文字通 り読むか ぎ り,付保 した全額の
950の施 ,すなわち95が控除 され,保険契約 は855につ いてのみ有効 に存在
するにすぎないと解 される可能性 があるのである。
1
0
)
l
l
)
153
8年 ブル ゴス条例第 5
0条 (
Pardess
usで は第 2条 )が,超過 部分 を
無効 と した上 に, さらに価額 の拓の罰金 を科 し,単 に超過部分 を無効 とす
るよ りも一層厳 しい扱 いを していることに照 らせば,その可能性 が高 いか
と思 われるが,果 た してどうであろうか。
また,本条例 (
莱 )は,第 4条 において も,船舶 お よび運送賃 について,
付保制限ない し強制的 自己保有 を定 めている。船舶 につ いては,第 1条 と
大 き く異 なる点 はないが,運送賃 につ いては,第 1条 を修正 し,あ らため
て%を付保制限ない し強制的 自己保有 と定 めているのである。 とすれば,
第 1条の適用 されるのは貨物保険および船舶の属具 に関する保険で,船舶
1
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1
52
0年 ビルバオ海上保険条例 (
莱 )(
近見) 7
37
保険および運送賃保険 には, もっぱ ら第 4条が適用 されることにな り,第
4条の規定 は,第 1条 に対する特別規定 としての地位 を占めることになる。
なお,付保制限ない し強制的 自己保有 について,複数の保険者が関与 し
ている場合 には,その無効ない し控除 されるべき部分 をどの ように各保険
者 に配分するかが問題 となるが,第 1条 によれば,あたか も重複保険 にお
ける保険金額比例主義の ごとく,各保険者の引き受 けた保険金額 に応 じて,
控除 されることになっている。
また,当時の ビルバオでは,すでに船舶 の評価済み保険が行 われていた
こと, さらに船舶保険および運送賃保険 は,それぞれ価額 の‰および易 を
保険金額 と して,締結 されていたことは,第 4条の示す通 りである。
ところで,付保制限ない し強制的 自己保有 を設 ける理由と して, 「
被保
1
2
)
険者の利益 を損害の防止 に c
oi
nvol
ger
eす」ること,あるいは 「
貨物 の
1
3
)
保存 に対する被保険者の利益」などが掲 げられる。本条例 (
莱 )第 1条 に
おける 「
保険がなされたかかる船舶および貨物 に,誠実 さを付与すべ く,
細心の注意 を払わなければな らないか ら」という付保制限理由は,まさに
上記理由と,主旨において同一であり,かつての1435年バルセロナ条例 に
おけるような,詐欺 の防止 ・排除というあま りに中世的な理由をと りあえ
ず払拭 しているものの,未だ完全 に払拭 したとはいえない。けだ し,第 4
条 は,被保険者が保険価額以上の保険金 を受領するケースが多かったこと
を,理由と して挙 げているか らである。
莱 )の第 3条,第 6条 および
第 2の性質損害 に関する規定 は,衣条例 (
第 7条の三規定であるO
第 3条 は属具の腐敗損害,第 6条 はぶどう酒等の液体貨物の漏損,そ し
て第 7条は果実 などの,偶然 な出来事 なくして時間の経過 により生ず る損
害に対する保険者の免責 を定 めている。
1
2) Si
l
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1
3
3
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1
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1
3) Pe
l
i
e
z
73
8
奴隷 に関する海上保険で,その死亡 および疾病 に対 して,保険者が責任
を負わなか った規定 が性質損害 に関す る規定 であるとの主張 もあるが,人
間の肉体以外 の財物 が保険の 目的 とされた保険 において,性質損害 に対す
る保 険者 の免責 を定 め た規 定 の最 も古 い ものの一つ とされていたの は,
1
4
)
1
5
)
1
53
8年 の ブル ゴス条例 第 78条 (
Pardessusで は第 2
9条 )で あ り,本条 に
はぶ どう酒等 の易損性貨物 の損害 に対す る保険者の免責 が定 め られていた。
5
2
0
年条例 (
莱)
しか し,かか る保険者の免責 につ いて定 めを置 いたの は,1
の方 が古 い。その上,本条例 (
莱 )第 3条 お よび第 7条 に掲 げ られた免責
53
8年条例第 29
条 に くり返 されている点 で,後者
理 由がほとんどそのまま1
は前者 を継受 した もの と見 ることがで きる。
第 3の保険金支払義務 の履行期 に関する規定 には第 2条のそれが妥当す
る 本条 によれば,同義務 の履行方法 ない し方式 は,保険証券 に記載 され
。
ている通 りとされ, これの履行期 は,保険者が保 険証券 に署名 した 日か ら
8ヵ月以 内 とされている。
1
435
年バ ルセロナ条例 は,保険金支払義務 の履行期 につ いて比較的詳細
な規定 を置 いた。すなわち, 「同評議員 ・長老衆 は,一切 のお よび各保険
者 は,バ ルセロナで保険 されたそれぞれの者 に,保険がなされた船舶 も し
くは小船舶 または物品,商品 もしくは財物 に生 じた損害,災厄,事故の確
かな情報 がバルセロナに達す る 〔
日数〕 を考慮 して,それぞれ慣習的方法
による諸地域の距離 に応 じて, 4または 3 ヵ月以内に,請求 された保険金
の額 またはその一部 を支払 う義務 を負 い,支払 わなければな らない ことを
1
6
)
命令す る
。
--」 (第12条 )と
。
情報伝達手段 が未発達であ,
;た1
5
世紀 においては,保険者が損害てん補
義務の有無 および範囲 を確認す るのに時間が必要 であったこと言 うまでも
ない。ために, この ように定 め られることになったのであるが,どの地 に
1
4) Gar
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45
0.
1
6) CapmanyydeMonpal
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1
5
2
0年 ビルバ オ海上保険条例 (
莱 )(
近見 ) 7
39
つ いて 「4または 3ヵ月」のいずれの期限が適用 されるかは,慣習 による
とされていたものの,実際上問題がなかったわけではない。バ ルセロナに
ごく近 い地域では, 3ヵ月 というのはあま りに長かった し, また場所 によ
っては, 3ヵ月および 4ヵ月のどちらを適用すべ きか問題が生ずる場合 も
少 な くなか った。そこで,1
452
年条例 は,一方 で最短期限 と して 2ヵ月 を
設 けると同時 に,それぞれの期限の適用地域 を明現 して, 「
同評議員 ・長
老衆 は,一切 および各保険者 は,バ ルセロナで保険 された者 に,本条例 の
フォームに従 い,保険 された物 に生 じた損害 または事故の確かな情報がバ
ルセロナに達する日数 を考慮 して,保険 された物が運送 されまたは輸送 さ
れるべ き地の距離に応 じて, 2, 3または 4ヵ月以内に,請求 される保険
金額 またはその一部 を支払 う義務 を負い,支払 わなければな らないことを
命令する。すなわち,保険 された物がカタロニ ア,バ レンシアまたはマ リ
ョルカ王 国,メノルカおよびエ イピサ内を運送 され,輸送 されるべ き場合
には,同保険 〔
金〕 の支払 は 2ヵ月以内に行われ,保険 された物 が同諸地
域か ら〔
他 の諸地域 に〕運送 され,輸送 されるべ き場合 には,同保険 〔
金〕
の支払 は 3ヵ月以内に行 われ る。ただ し,ナポ リ王国, シチ リア王国,パ
ルバ リアの王国またはマ ラガ王国を越 えてはな らない。同 〔
保険 された〕
物が さらに遠 いいかなる地域 であれ.同諸地域か らはるか以遠 に運送 され,
輸送 されるべ き場合 には,同保 険 〔
金〕 の支払 は 4ヵ月以 内に行 われる。
1
7
)
--」 (第10条 )とすることになる。そ して本規定 は,1458年条例第21条
および第22条,1
48
4年条例第1
9
条 および第23
条 にほぼその まま受 け継がれ
てい くことになるのであった。
かかる期限の起算 は,今 日とは異 な り,バ ルセロナに損害の情報が達 し
た日か ら原則 と してなされた。おそ らく,保険者 または保険者衆の内の一
人 にその ような情報が達 した日をもって,バ ルセロナに情報が到達 したと
みなされたであろうが,それでは保険者の悪意的要素 を排除 し難 く,客観
1
7) 拙稿,前掲資料 ・1
45
2年バルセロナの海上保険条例,p.1
2
5以下.
740
性 を保 ちえない。 しか して, 1
48
4年条例 は,従前の慣習 を廃 し, 「
保険者
1
8
)
衆 またはその大多数の者 に了知 された 〔とみな される〕 時」 をもって起算
時 とす ることになるのである。
しか しなが ら, ビルバ オにおいては,保険証券 に保険者が署名 した日か
ら 8ヵ月以 内とされた。今 日の状況か らいえば, きわめて珍妙 であるが,
0月の定期市 で
ビルバ オ船舶積載の主 たる貨物 であった羊毛が 5月および1
0月の定期市 の時になされていたため
売買 され,決済が同 じく 5月 お よび1
に, この ような ことになったのであろう。
なお,訴訟 にあた り,被保 険者 に担保 を提供 させて,保険者が保険金 を
支払 うのは,すでにバルセロナの諸条例 にも認 め られていたところである。
第 4の保 険証券 の効力に関す る規定 と しては,第 5条 および第 9条の規
定 を掲 げることができる。
海上保険契約の創成期 において,すでにこれ は仲立人 を介 して締結 され
てお り, さらに公証人の手 に成 る公正証書 により結 ばれていたことが指摘
1
9
)
36
9
年条例 に見 られ るように,書面 な しに本契約
されている。 もちろん, 1
を締結 することは可能 であったが,多 くの商人衆 は,契約 の履行 の確保 お
2
0
)
よび公正証書が種 々の義務 ,ある場合 には課税 さえ免 じられていたために,
かかる公正証書 を頻繁 に利用 していた。
452
年条例第 7条
と りわけ,詐欺 の撲滅 に腐心 していたバ ルセロナは, 1
〔
保 険 は〕バ ルセ ロナの公証人の権 限で作成 され る公正証書 の
において 「
下 でなされなければな らない ことを命令す る。違反がな される場合 には,
同保険証券 もしくは私署証書 によるまたはその他 の方法で 〔
な される〕か
かる保険 は,裁判上であると裁判外 であると,何 も証明 されず,それによ
って,保険 される者 は,保険が 〔
締結 される〕原因 となる物 が全部滅失 し
または一部損傷 す ると して も,バルセロナまたはその他 のいかなる地 にお
1
8) 拙稿,前掲 1
5
世紀バルセ ロナにお ける海上保険契約 (Ⅱ一完 )
.p.1
99
.
i
t,p.
5
8e
ts
eqq.ep.
6
2ets
eqq.
1
9) Be
nsa,op.°
.
2
0) Be
nsa,op.°
i
t
.
,p.
6
2.
1
5
2
0年 ビルバオ海上保険条例 (
莱 )(
近見)
7
41
いて保険者 に訴求することはできない。保険証券 もしくは私署証書 により
またはその他の方法で同保険 を引き受 ける者 は,保険すべき額 と同等の額
の罰金, さらに同保険 をなす ことにより受 け取 るべ き 〔
保険料の〕額 と同
2
1
)
等の罰金 を科せ られ る」 と し,保険契約 は公正証書 をもってなすべきこと,
私署証書でなされた保険契約 は無効 であることおよび違反の場合 には,保
険者 に保険金額 と保険料の額 を足 した多額 の罰金 を科す ことを定 めている
(
本条 は1
458年条例第 5条 〔
第 7条〕1484年条例第 7条 に継受 されている)
0
それゆえ,15世紀後半のバルセロナでは,保険契約 は,公正証書 をもって
なされなければな らなかったが,やがて私署証書, とりわけ保険証券が こ
秦 )は,条例史上,
れに取 って代わることになるのであって,1520年条例 (
まさにスペ インにおけるかか る契機 となるものであった。
公正証書の作成 には,各種の面倒がつ きまとった。 しか し,その反面,
これは執行力 を有す るという,何 ものにも代 え難 い大 きな価値 を有 してい
た。公証証書 にのみ,執行力があるのであれば,慎重 な保険者衆 は,面倒
をいとわず,契約の確実 な履行 を強制するために, これを利用 し続 けただ
ろうが,私署証書,特 に保険証券 に執行力が付与 されれば,公正証書 は完
全 に廃用 に帰す ことになる。
本条例 (
莱 )第 5条および第 9条 は,保険証券のみな らず,他の私署証
書 にも執行力を付与することと し,条例 の上で,従前 の公正証書 による契
約か ら私署証書特 に保険証券 による契約へ道 を拓 いた一つの画期的な規定
であったのである。
同時 に,1520年条例 (
莱)
第 5条 は,保険者 は保険証券 を作成 し, これを
呈示 し,被保険者に契約内容 を了知 させなければな らないとしている。 こ
れは,訴訟原因 となるべ き契約内容の理解の齢酷 を防止するためであった。
本条例 (
莱 )第 5条が, ビルバ オにとり悲願 であった商事裁判権 の確保
を意図 した保険に関する裁判権 に関する定めを置 いていた点 については,
21) 拙稿,前掲資料 ・1
45
2
年バルセロナの海上保険条例,p.
1
23
以下.
742
すでに触 れた。同条 は 「
現荏本市 の市民 であると,外国の地域の市民 であ
ると,いかなる国籍 であれ,本市 において保険 を行 う者 は,常 に,本市 の
この条例 な らびに参事 および代議員衆 の裁決 に したが」 う, と している。
最後 に,第 5その他 の規定 と して,第 8条 に触 れなければな らないが,
同条の規定 は,それ程重要性 を有す るものではない。本規定 によ り,当時
ビルバ オにおいては,船舶保険,運送賃保険および属具 に関す る保険 は,
期間保 険 と して行 われていた ことを知 ることができるにす ぎない。
Ⅵ
結
以上述 べ た ことか ら理解 しうるように, 1
5
2
0年 ビルバ オ海上保 険条例
(
莱 )は,私法的規整 とい うよ りは取締法的規制 と しての性格 を強 く有 し
ている。 したが って,海上保 険条例 の発展段 階か らすれば,かな り早期の
段階 にあるといわねばな らない
。
しか しなが ら, イタリア初期の保険条例
やバルセロナの諸条例 がそ うであるように,保 険条例 は,当初 の取締法的
規制か ら私法的規整へ と少 しずっ進化 するのであって,その点では,大西
洋条例,そ して大西洋世界 における先駆 たる本条例 (
莱 )が,未 だそのよ
うな取締法的規制 に留 まっていたのは,当然 といえば, あま りにも当然の
ことなのである
。
しか し,それだか らといって,本条例 (
莱 )の意義 を過
少評価 してはな らない。付保制限ない し強制的 自己保有規定 に典型的に見
42
0年 ビルバ オ海上保険条例 (
莱 )がギ ドン ・ドゥ ・ラ ・
られるように,1
メール,そ してル イ1
4世の海事勅令 古
手与 えた影響 には,小 さか らずの もの
があるか らである。 もちろん,本条例 (
莱 )が直接影響 を与 えたわけでは
ないこと,いわず もがなであって, ブルゴス, ビルバ オ,セ ビ リア等の諸
条例 を介 して影響 を与 えたと考 え られるのであ り,本条例 (
莱 )とこれ ら
の諸条例 ,そ して後者 とギ ドン ・ドゥ ・ラ ・メールとの関係 などにつ いて
は,別の機会 に明 らかに したいと思 う。
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