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最終報告書 別冊 - 科学Tryアングル岡山へ

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最終報告書 別冊 - 科学Tryアングル岡山へ
平成20年度採択文部科学省
大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム
連携拠点「科学Tryアングル岡山」による多角的科学の推進と地域活性化への挑戦
別冊報告書
平 成23 年3月
平成20年度採択
文部科学省 大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム
別冊報告書
連携拠点「科学Tryアングル岡山」による多角的科学の推進と地域活性化への挑戦
平成23年3月
連携機関:岡山大学・岡山理科大学・倉敷芸術科学大学・津山工業高等専門学校・岡山県
1.実施行事一覧(平成22年度)
1. 実施行事一覧(平成22年度) ································································································· 2
2.平成22年度(平成23年1月~3月)活動報告
1. 科学大好き岡山クラブ ········································································································· 6
1-1. 岡山大学会場 ·············································································································· 6
1-2. 倉敷会場 ···················································································································· 10
1-3. 津山会場 ···················································································································· 16
2. 先進科学講義:エコツーリズム技法屋久島実習報告会················································ 19
3. FDワークショップ ··············································································································· 21
4. 産学官連携事業:企業訪問 ······························································································· 23
5. 科学チャレンジコンテスト ······························································································· 26
6. 集まれ!科学好き ··············································································································· 31
7. 理科教員養成・支援プログラム ······················································································· 34
7-1. わくわく理科講座 ···································································································· 34
7-2. 理科教材開発研修 ···································································································· 38
3.連携状況(平成23年1月~3月)
1. 連携教育研究推進事業「平成22年度教育研究連携推進プロジェクト」成果発表会············ 41
1-1. 報告書 ························································································································ 42
1-2. 要旨集 ························································································································ 46
2. 大学間連携支援事業実施のための情報収集・交換(国内) ············································ 88
2-1. 大学教育改革プログラム合同フォーラム参加 ···················································· 88
2-2. 日立理科クラブによる出前授業および情報交換会実施 ···································· 95
4.資料編(平成23年1月~3月)
1. 連携評価委員会
評価結果 ····························································································· 100
2. 運営委員会議事メモ(平成23年1月~3月) ····································································· 106
3. 関連新聞記事紹介 ············································································································· 113
第
実施行事一覧(平成22年度)
1
章
1
1.実施行事一覧(平成22年度)
2
4月18日
『科学大好き岡山クラブ津山会場・第1回』
走れ!黒板チョロQ Ver.3 ほか【⑥関係】
5月15日
『科学大好き岡山クラブ岡山会場(岡大教室)・第1回』
くらしの中の昆虫学-講義-【⑥関係】
5月16日
『科学大好き岡山クラブ津山会場・第2回』
ハイテク犯罪のトラブルに捲き込まれないために ほか【⑥関係】
5月22日
『科学大好き岡山クラブ岡山会場(岡大教室)
・第2回』
くらしの中の昆虫学-昆虫採集・標本作成実習【⑥関係】
6月5日
『科学大好き岡山クラブ倉敷会場・第1回』
「カメラ・オブスクラ」作成&撮影体験!~カメラのしくみと光の関
係を知ろう~【⑥関係】
6月27日
『科学大好き岡山クラブ津山会場・第3回』
身近な不思議について考える ほか 【⑥関係】
7月24日~25日
『科学大好き岡山クラブ岡山会場(岡大教室)
・第3回』
岡山リサーチパーク一般公開「おもしろ体験でぇ~」出展:スピー
カーとマイクを作ろう! 【⑥関係】
7月30日
『科学大好き岡山クラブ岡山会場(理科大教室)・第1回』
超音波を体験しよう【⑥関係】
8月
『KTOサイバースクール モデルコンテンツの作成・公開』【⑧関
係】
8月2日
『科学大好き岡山クラブ岡山会場(理科大教室)・第2回』
矢掛高校「理数系体験実習」
【⑥関係】
8月7日
『科学大好き岡山クラブ岡山会場(理科大教室)・第3回』
わくわく科学の広場ミニ【⑥関係】
8月23-24日
『科学大好き岡山クラブ津山会場・第4回』
夏休み工作教室 その1【⑥関係】
8月25-26日
『科学大好き岡山クラブ津山会場・第5回』
夏休み工作教室 その2【⑥関係】
8月26日
『科学大好き岡山クラブ岡山会場(理科大教室)・第4回』
1万気圧で20度の水が凍る!【⑥関係】
8月27日
『科学大好き岡山クラブ岡山会場(理科大教室)・第5回』
静電気の不思議な体験をしよう!【⑥関係】
実施行事一 覧 平 成 2 2 年 度
2)科学を見つめ楽しむ
⑥4月以降
科学大好き岡山クラブ実施、コンテンツ開発、教科書開発、企業との共催
⑦4月以降
連携校が関係する各種科学公開講座の実施と支援
⑧4月以降
ユビキタスラーニングシステム開発・運営、KTOサイバースクールの充実
8月6日
『南大阪連携6大学3ヵ年活動報告フォーラム参加』【①②関係】
8月29日
『科学大好き岡山クラブ』合同開催【⑤関係】
10月27日
『第三回助言委員会』開催【③関係】
10月28日
『日立理科クラブ視察』【①⑤⑥関係】
11月2-5日
『諸外国(マレーシア)における科学教育並びに留学生事情の視察
と情報収集』【①関係】
12月11日
『最終成果報告会』【②関係】
12月11日
『第三回連携評価委員会』開催【③関係】
2月~3月
『最終報告書作成』【④関係】
章
平成22年度 1)統括関係
①4月以降
更なる基盤整備、月1回連携教育推進センター運営委員会開催、各
部門会議開催
②1月
連携事業成果報告シンポジウム開催
③2月、11月
第三回連携評価委員会、および助言委員会の開催
④1月
最終報告書をホームページに記載
⑤9月
サテライト合同・科学大好き岡山クラブ開催
)
実施行事一覧
(
取組行事一覧(補助金調書より)
第1
2010
1
実施行事一覧
平成22年度
実施行事一 覧 平 成 2 2 年 度
3
4月5日
『平成21年度 屋久島実習報告会』
7月8日
『デジタルマイクロスコープ講習会』 【⑩⑪関係】
7月20日
『産学官連携事業 第1回企業訪問』
(林原生物化学研究所藤崎事業所訪問)
【⑪⑫関係】
7月24日
『大学間連携教育研究推進シンポジウム』【⑫関係】
7月27日
『顕微鏡用冷却加熱延伸観察ステージ講習会』
【⑩⑪関係】
8月9日.8月10-12日.9月27-28日
『先進科学講義:先進科学体験』
(大学コンソーシアム岡山)
【⑨関係】
9月1-6日
『先進科学講義:エコツーリズム技法(屋久島実習)
』
(大学コンソーシアム岡山)
【⑨関係】
9月1-3日
『東広島天文台観測実習』【⑪関係】
11月10日
『産学官学際研究シンポジウム』【⑬関係】
章
3)科学を究める
⑨6月以降
先進的科学教育の実施(本年度より単位化)
⑩5月以降
科学機器共同利用、順次共同利用に向けて科学機器の整備
⑪6月以降
先進的科学教育試行講義(e-ラーニング&&インターンシップ)試行
⑫6&12月
先進的科学教育に関するFDまたはワークショップ開催、先進科学
教
育定義の見直しや講義法などの研修
⑬11月
産学官学際研究シンポジウム開催
⑭2月
連携校合同科学チャレンジコンテスト開催
⑮4月以降
教育研究連携推進プロジェクト実施
第1
10月16日
『科学大好き岡山クラブ倉敷会場・第2回、津山会場・第6回』合同開催
化石発掘&鍾乳洞探検体験!~フィールドワークを通じて大地に残さ
れた地球の歴史を学ぼう!~【⑥関係】
10月19日
『科学大好き岡山クラブ倉敷会場・出張授業』
(会場:山陽女子短期大学附属幼稚園)
体験実習にチャレンジ!~ペットボトルロケットを飛ばそう!【⑥関係】
10月23日
『科学大好き岡山クラブ倉敷会場・第3回』
折り紙ヒコーキ教室&競技会!~手軽に楽しめる折り紙ヒコーキの科
学!~【⑥関係】
10月31日
『科学大好き岡山クラブ津山会場・第7回』
レゴブロックでロボットを作ろう!【⑥関係】
11月8日
『科学大好き岡山クラブ倉敷会場・出張授業』
(会場:倉敷市立連島北小学校)
体験実習にチャレンジ!~ペットボトルロケットを飛ばそう!~
【⑥関係】
11月13日
『科学大好き岡山クラブ倉敷会場・第4回』
スプリンターのスポーツ科学!~ハイスピードカメラでみるスタート
動作~【⑥関係】
11月14日
『科学大好き岡山クラブ津山会場・第8回』
びっくり極低温実験! ほか【⑥関係】
11月21日
『科学大好き岡山クラブ岡山会場』
(理科大教室)【⑥関係】
12月
『KTOサイバースクール モデルコンテンツ2作成・公開』
【⑧関係】
12月19日
『科学大好き岡山クラブ津山会場・第9回』
高専ロボットとつやまロボコン ほか【⑥関係】
1月10日
『科学大好き岡山クラブ倉敷会場・第5回』
スプリンターのスポーツ科学!in津山高専~ハイスピードカメラでみ
るスタート動作~【⑥関係】
1月16日
『科学大好き岡山クラブ津山会場・第10回』
津山高専レゴロボットコンテスト【⑥関係】
3月5日
『科学大好き岡山クラブ倉敷会場・第6回』
体の動きを知ろう~ハイスピードカメラで「走る」を科学する~
【⑥関係】
3月13日
『科学大好き岡山クラブ岡山会場(岡大教室)
』
理科実験体験教室~大きな結晶・小さな結晶~【⑥関係】
)
取組行事一覧(補助金調書より)
(
2010
1
実施行事一覧
平成22年度
7月4日
21 関係】
『広島科学館見学』【○
9月2日-10月7日
『職員対象英会話教室』(岡大会場)
26 関係】
【○
10月2-3日
24 関係】
『留学生研究交流会』
【○
11月3日
23 関係】
『留学生国際シンポジウム』
【○
11月6-11日
26 関係】
『職員対象英会話教室』(津山会場)【○
11月13-14日
22 関係】
『留学生による出前授業』(科学の祭典倉敷会場)【○
11月16日-11月17日
26 関係】
『職員対象英会話教室』(岡大会場)【○
4
実施行事一 覧 平 成 2 2 年 度
5)科学で広げる
21 7月
○
留学生科学館見学実施
22 10月以降
○
留学生による出前授業の実施
23 11月
○
留学生国際シンポジウム開催
24 8月
○
留学生研究交流会開催
25 5月以降
○
留学生情報共有ネットワークの構築
26 7月以降
○
留学生に関わる事務職員の研修(英語研修など)
6月12日
『わくわく理科講座・第1回』エネルギー区分【⑯関係】
7月3日
『理科教育研修講演会』【⑲関係】
『わくわく理科講座・第2回』電気・磁気の世界へ【⑯関係】
8月10日
『理科教材開発研修』
【⑳関係】
9月11日
『わくわく理科講座・第3回』粒子区分【⑯関係】
9月1-6日
『先進科学講義:エコツーリズム技法(屋久島実習)
』(大学コン
ソーシアム岡山)*先進科学部門との合同開催【⑰関係】
10月2日
『わくわく理科講座・第4回』ようこそ粒子の世界へ!!【⑯関係】
10月16日
『理科教育研修講演会』【⑲関係】
11月13日
『わくわく理科講座・第5回』
ようこそ地学の世界へ!!【⑯関係】
12月11日
『わくわく理科講座・第6回』ようこそ気象の世界へ!!【⑯関係】
『女性科学技術者講演会』【⑱関係】
1月29日(土)
『わくわく理科講座・第7回』
生物の環境とかかわりとは?【⑯関係】
2月11日
『理科教材開発研修』
【⑳関係】
3月5日(土)
『わくわく理科講座・第8回』
驚異の小宇宙 人体を科学する!!【⑯関係】
章
4)科学を育む
⑯2月まで
新理科指導要領に対応した教育支援プログラム共同開発と実施
⑰10月以降
次世代理科教員養成プログラム実施(一部、屋久島実習)
⑱12~3月
女性科学技術者講演会開催
⑲11~12月
理数教員研修講演会開催
⑳7~2月
理科教材開発研修および理科授業開発研修開催
第1
11月16日
『デジタルマイクロスコープ講習会』【⑩⑪関係】
1月18日
『産学官連携事業 第2回企業訪問』
(株式会社クラレくらしき研究センター訪問【⑪⑫関係】
1月22日
『平成22年度 屋久島実習報告会』
【⑨関係】
2月5日
『第3回科学チャレンジコンテスト』
【⑭関係】
2月23-24日
『平成22年度第2回FDワークショップ』
【⑫関係】
3月10日
『平成22年度教育研究連携推進プロジェクト成果発表会』
【⑮関係】
)
取組行事一覧(補助金調書より)
(
2010
第
2
平成22年度(平成23年1月~3月)活動報告
章
1 _ 1-1
1.科学大好き岡山クラブ
1-1. 岡山大学会場
第2
事
名
科学大好き岡山クラブ 岡山大学会場(科学先取り岡山コース共催)
理科実験体験教室「大きな結晶・小さな結晶」
科学普及部門・岡山大学
講師
山下信彦(岡山大学名誉教授)
稲田佳彦(岡山大学教授)
開催日時・期間
平成23年3月13日(日)13:30~16:00
会
場
岡山大学教育学部本館
219実験室
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
担当部門・機関
章
行
(
概 要
岡山大学名誉教授の山下信彦先生、またKTO理科教育支援部門長の稲田佳彦先生を講師に、理科実験体
験教室を開催した。
参加者らは結晶の成りたち等について学び、
また肉眼や実体顕微鏡を用いて大小様々
な結晶の観察を行った。長時間に及ぶ教室であったが、実際に結晶を作る体験などもあり、あっという
間の時間であった。
)
参加者
全体36名
内訳:小学校4年生 13名,小学校5年生
中学校1年生 2名,中学校2年生
7名,小学校6年生11名
3名
報告事項
前半は結晶についての説明があり、現物があるものは掲示しながら形状についてなど、話を聞いた。
次に、身近にある砂糖(グラニュー糖)
、食塩、ミョウバンの結晶を実体顕微鏡を用いて観察した。後半
は、様々な体験を行った。まずは、ビスマス(Bi、金属)の結晶作りを体験。参加者自らがビスマスの
入ったガラス管(真空にしたもの)を持ち、結晶作りに奮闘した。ビスマスを融かした後、ガラス管を
回転させながら冷やし、四角い結晶ができるまで、何度も繰り返し作業を行った。次に、氷砂糖とカッ
ターを用い、決まった方向に結晶が割れる性質(へき開)を学習する体験を行った。最後に粉末結晶を
学ぶため、ブラウン管の破片に白色光と紫外線をあて、顕微鏡で違いを学習する体験も行った。
後半については、参加者らはとても楽しそうに、また真剣に様々な体験に取り組んでいたようだった。
6
1 _ 1-1
アンケート集計(回収率100%)
①参加者内訳
第2
章
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
(
②今回の理科実験体験教室をどのようにして
③参加した理由を教えて下さい
(複数回答あり)
知りましたか?(複数回答あり)
)
イベントへの満足調査では、とても満足が24名、満足が7名と参加者全体の約9割にあたり、今回の理
科実験体験教室に対し好意的な回答であった。
また、過去当クラブ開催イベントへの参加の有無を問う質問に対し、
「参加した事がある」が12名、
今回初めて参加したが20名であった。
<<今回の行事の感想(自由記述)>>
 ミョウバンや砂糖のけっしょうが大きくてすごかった。
ビスマスの結晶を作る時むずかしいと思っ
たけど簡単で楽しかった。
(小4)
 ビスマスがキレイな形にならなかったのはくやしかったけどおもしろかった。
(小6)
7
1 _ 1-1
 大きな結晶は人間が入れるような結晶、小さな結晶、自分たちでやろうと思ったら作れると思っ

























8
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告

章

)

(

第2

たのでやってみたいと思いました。塩・さとう、顕微鏡でみるとすごかったです。塩もさとうも、
四角は四角だけどちょっとちがう四角でした。またきたいです。
(小4)
結晶のことがいろいろ分かったし、作り方などもよくわかったのでよかった。
(小6)
顕微鏡でブラックライトと当てながらのぞくのが楽しかったです。
(小4)
結晶にも1㎜くらい小さいものがあるけど、電柱くらい大きいものがあるのがびっくりしました。
とても楽しかったです。
(小4)
いろいろな結晶の実験や説明も分かりやすくてすごくおもしろかったです。
(小4)
砂糖が難しかった。顕微鏡はおもしろかった。
(小4)
実験が豊富にありよく分かり易かった。iPadなどの新しいものを使いながらプレゼンしていたの
でよくわかった。(中1)
ふだんの生活の中や授業ではできないような実験がたくさんできてよかった。
(私は特に最後のブ
ラックライトの実験が楽しかった。
)またやってみたい。
(小6)
塩やさとうを大きくしてみると立方体みたいなかたちをしていて勉強になりました。ビスマスで
はむずかしかったけど楽しかったです。(小4)
いろいろな実験があって楽しかった。家でもやってみようと思いました。(中2)
今まで知らなかったことを今日の理科実験を通してよく分かるようになりました。家でできる実
験はまたやってみたいです。(小6)
氷砂糖をわるのが楽しかったです。
(小4)
いろいろわからないところがわかった。(小4)
顕微鏡を使うことが楽しかったです。
(小5)
結晶などが家で作れる事を知った。びっくりした。わかりやすい。家でも作ろうと思った。
(小4)
話を聞くことだけでなく、見たりさわったりなどして学ぶことができて分かりやすかった。
(小4)
結晶のことについてもっとくわしく知ることができたし、大人になって今、私が疑問に思ってい
ることを調べてみたいとこのことを通じて思いました。とてもおもしろかったです。(小6)
ブラックライトの実験が一番楽しかったです。すごいと思いました。私はやった事がなかった事
だったので、良い経験になりました。砂糖の実験などはやってみたいと思いました。ものすごく
楽しかったです。ありがとうございました。
(小6)
分かりやすかったし、楽しかったです。(小5)
ビスマスの実験はやったことがなかったので楽しかった。ミョウバンを大きくしてみたい。
(中2)
自分たちでふだんできない事ができて楽しかった。特に氷砂糖をわるのはうまくまっぷたつにわ
ることができて満足感と嬉しさがいっぱいあった。知らない事を知る事もできふだんの生活にも
使えないかなと思いさらに興味を持った。
(小6)
ふだん見えないものやふだんできないことを体験させていただけたので良かったです。大学生の
方も優しく教えてくださったので良かったです。また結晶作りもやってみたいです。ありがとう
ございました。また機会があれば参加しようと思います。
(中1)
楽しかった(小4)
ブラックライトでてらしたら、ふつうは色がないのに色が出て来てすごかった。
(小5)
氷砂糖を割ったり、砂糖や食塩を顕微鏡で見たりして、日常でも理科(サイエンス)は使ってい
た。新たな発見がたくさんありました。(小6)
結晶作りでは何度かするうちに成功して楽しかった。勉強になりました。また来たいです(小6)
いろいろな物の結晶を見たり、さわったり、作ったりして、とても結晶について考えることがで
きた。実際に体感することができたことで、分かりやすく実感することができたと思っている。
ありがとうございました。またこのようなことがあったらきてみたいです(小5)
塩でも砂糖でも結晶にすればとてもきれいになることに感動しました(中2)
結晶の不思議について分子のならび方などがおもしろかった(小6)
ブラックライトをあてると色が出ることにおどろいた(小5)
結晶を作ってみたい。また氷さとうを割りたい。またブラックライトで見たい(小4)
1 _ 1-1
 実験などがあっておもしろかった(小4)
 楽しかったです(小5)
 すごい勉強になりいつもとはちがう感じ方ができた(小4)
)
付き、自然が隠し持つ真の姿を見つける作業=「科学」への興味の原点に、参加者各々が近づける授業
を展開して下さった。また、授業中、作業中の参加者の姿をみて、科学に興味を呼び込むには
如何に実際に目で見て、触れて、実際に体験してという作業が必要かを感じた。
9
(
今回の結晶作りを通して、山下先生、稲田先生が、自然界にはいろいろな美しさが潜んでいることに気
実体顕微鏡で結晶観察
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
総括
~ 色々な結晶について学ぶ ~
章
<<活動への要望>>
 なるべく時間内に終わってほしい。
(小6)
 氷砂糖をわったものを持ち帰る用のふくろを用意してほしい。
第2
<<これから「科学Tryアングル岡山」で開催してもらいたい実験教室(自由記述)>>
 他のたくさんの結晶も作ってみたいです(小4)
 水の実験(小4)
 電気に関係がある実験(小4)
 風船で人間が浮くのか?(小4)
 中和実験(小4)
 乾電池の解体(小5)
 生物の実験教室(小6)
 自然(木・植物)の実験教室(小6)
 物の実験(小6)
 もっと光・音のほうをやっていただきたいです(中1)
 にじ色の結晶がほしい
 液体ちっそでいろいろな物をこおらしてみたい。
(小5)
 砂糖や食塩、ミョウバンの結晶作りのキットがあったらいい(小6)
 音を見てみたい。空気の重さや動きなど、ふつうでは見えない事をやってみたい(小5)
 ばくはつ系の実験(小5)
 火の実験(小4)
ビスマスの結晶づくり!!
難しい~
1 _ 1-2
1-2. 倉敷会場
事
名
科学大好き岡山クラブ 倉敷会場
スプリンターのスポーツ科学in津山高専
科学普及部門・倉敷芸術科学大学
開催日時・期間
1月10日(月)13:00~16:00
会
場
津山工業高等専門学校
講師
生命科学部健康科学科講師 枝松千尋
章
担当部門・機関
第2
行
体育館・グラウンド
倉敷会場第4回「スプリンターのスポーツ科学!」の出張科学クラブin津山となった今回、現役陸上部所属
の生徒さんを主とした、陸上短距離走分野に焦点を絞り、科学的に分析することで、スキル向上につなげ
る実践的な科学クラブとなった。
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
概 要
(
具体的には、陸上短距離走のスタート動作をハイスピードカメラと床反力計で記録し、反応時間・力のベ
クトル・動作をフィードバックすることで、スタート動作における問題点・改善点を明らかにするもので
ある。
また、スタート動作のフィードバックと並行して、効率的で力強い走動作獲得のための動きづくりドリル
やコンディショニングのテクニックを学んだ。
また、津山工業高等専門学校からの機器も併せて使用し、2種類のスタート時の反応測定&分析が行われた。
)
参加者
全体
10名
内訳:津山高校陸上部(2年生)3名,津山東中学校(1年、2年生)7名,他
報告事項
◆当日のスケジュール
13:00~ 津山工業高等専門学校原田寛治先生の司会により、枝松
講師から挨拶がなされた後、
本学アルバイト生含む自己紹
介が行われた。
13:05~ 本科学クラブの概要説明がなされ、今回の流れ・機器を用
いての測定方法と解析手法の解説が行われた。実技の前
に、ウォーミングアップとして、グランドを数周回るなど
体を温めた後、参加者を2班に分け、①スタート動作測定
②ドリルを各班で行うこととなった。
①については、動作解析ソフトを用いて、スタート動作を
ハイスピードカメラと床反力計で記録し、反応時間・力の
ベクトル・動作を確認するものである。
②については、①のために効率的で力強い走動作を獲得す
る動きづくりである。②の班は、グラウンドにて、本学陸
上部員が行っている、独自の手法を体験した。
参加者は自身の動作や各種データを客観的に把握するこ
10
引率教職員
1 _ 1-2
とができ、スタート動作における問題点・改善点を明らか
にすることができたと思われる。また、ドリルやコンディ
ショニングのテクニックに触れることで、楽しみながら、
①②終了後全員でコンディショニング(マッサージ)を行
い終了となった。
章
15:25~ 閉会の挨拶後、
アンケートを記入し、
参加の生徒代表より、
第2
動きを確認していた。
講師・学生アシスタントに対し感謝の言葉が述べられ、解
散となった。アンケート結果は以下のとおり。
内アンケート回収10名(回収率100%)
1.
【スプリンターのスポーツ科学!!】の開催
2.
「科学Tryアングル岡山」の活動について、
をどのようにして知りましたか?
ご存知でしたか?
(
参加者合計:10名
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
アンケート集計結果
)
3.
【スプリンターのスポーツ科学!!】に参加
4.参加された理由に近いものをすべて選んで
されてみて、いかがでしたか?
ください。
11
1 _ 1-2
5.
【スプリンターのスポーツ科学!!】の内容について、ご感想をお聞かせください。
 自分の能力を知ることができてよかった。スタートが遅いことがわかった。
 自分の弱点を知れて良かった。スタプロを押す力が強くて良かった。
 自分のスタートの姿勢とかがが見れて、とても勉強になった。ドリルでは、いろんなことを教え
てもらえて、とても楽しかったです。
 スタートダッシュの数値などが分かってよかった。とても楽しかった。
章
 自分のスタート時の動きを見れてよかった。
第2
 初めて自分のスタートの速度を見て、いろいろと勉強になった。ドリルは楽しかったです。
 すごく楽しかったです。参加してよかったと思いました。
 ドリルは難しかったけど、それをすれば足が速くなるので、できるようにしたいと思った。
 自分の動作、動きが細かく分かって、いいところ、悪いところも分かって、今後に生かしたい。
また参加したいです。
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
 スタートが速くて驚いた。面白かった。
(
)
12
1 _ 1-2
行
事
名
科学大好き岡山クラブ 倉敷会場
体の動きを知ろう!~ハイスピードカメラで「走る」を科学する~
担当部門・機関
科学普及部門・倉敷芸術科学大学
講師 生命科学部健康科学科 講師 枝松千尋
開催日時・期間
平成23年3月5(土)13:00~15:10
第2
倉敷芸術科学大学
章
場
グラウンド
倉敷会場第6回「体の動きを知ろう!~ハイスピードカメラで「走る」を科学する~」は、スポーツ科
学に対する興味の喚起と、
「走る」ことを通して、物事を科学的に考えることができるきっかけづくり
を目的として開催された。
普段意識することなく、様々な動きをこなすわたしたちの体。その動きの中から「走る」動作を、ハイ
スピードカメラで撮影し、体の動きについて科学的に分析を行った。姿勢・腕降り・腿上げ・脚のたた
み等の動作を改善することで、Before & Afterでどのような変化があり、改善されたのかを実際に体験
し学んだ。
参加者
参加人数:12名(小学生
1年生1名、2年生2名、3年生2名、4年生1名、5年生1名、6年生5名)
保護者
)
報告事項
◆当日のスケジュール
13:00~ 講師の生命科学部健康科学科
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
概 要
(
会
講師
枝松千尋先生の紹
介後、
アシスタントを務める本学学生による自己紹介が行
われた。科学クラブの内容の説明がなされ、世界トップレ
ベルのスプリンターのビデオを視聴した。
13:05~ 科学クラブスタート
参加者全員でグラウンドを数周回った後、
タスキ取りを行
いウォーミングアップを行った。
その後、低学年~高学年までグループに分かれ、50m走を行った。
13
1 _ 1-2
○自由に走ってみよう。
一人ずつ走りのフォームをハイスピードカメラで撮影し、
その後
iPadを用いてデータを無線転送し、各人のフォームを確認した。
ているか講師やアシスタントの学生から説明を受けた。
○姿勢・腕降り・腿上げ・脚のたたみ等を見直してみよう
章
グループに分かれ、
効率的で力強い走動作を獲得する動きづくり
第2
その際、腕の振りや腿の上げ方・脚のたたみ方がどのようになっ
である「ドリル」と呼ばれるテクニックを学んだ。小学生たちは、ドリルを行う中で、視線を落とさな
いこと、脇を締め腕は曲げたまま伸び切らないこと、腿は胸に引きつけるように上げ、脚はお尻にかか
ドリルを意識し、再度50m走を行った。その後、走りとフォームにどのような変化があったか、再びiPad
を用いてBefore and Afterの動作を検証した。ハイスピード撮影されたデータを比較することにより、
フォームが大幅に改善され、タイム短縮に繋がっていることが大変分かりやすく伝わったようだ。
(
○再度、一人ずつ走りのフォームをハイスピードカメラで撮影
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
とが付くようなイメージで蹴り上げること等、丁寧にテクニックを教わった。
)
15:00
閉会
倉敷サテライトオフィスコーディネータの岡先生より、
閉会の挨拶がなされ科学クラブの終了となった。
ハイスピードカメラで撮影したデータと、
50m走のタイム変化をまとめた資料を後日参加者に配布す
ることとした。
アンケート結果は以下のとおり。
アンケート集計結果
参加者合計:10名
内アンケート回収10名(回収率100%)
1.
【体の動きを知ろう!】の開催をどのように
2.
「科学Tryアングル岡山」の活動について、
して知りましたか?
ご存知でしたか?
14
1 _ 1-2
3.
【体の動きを知ろう!】に参加されてみて、
4.参加された理由に近いものをすべて選んで
いかがでしたか?
ください。
第2
章
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
(
5.
【体の動きを知ろう!】の内容について、ご感想をお聞かせください。
 走るときの細かい動きなどが知れてよかった。
 おもしろかったけど、あまり速くならなかった、
 走る速さが速くなったと思った。スタートダッシュが失敗した。
 走り方がわかったのでよかったです。
 足の速さが速くなってうれしいです。
(多数)
)
 ためになりました。
 ていねいに教えてもらったおかげで、よく理解できたように思う。
 やさしい人に教えてもらえてよかったけどタイムはあまり上がらなかった。
 手の振り方がよくわかりました。
 速くはならなかったけれど、続けていって速くなりたい。
 子どもが走るのが速くなってとても喜んでいました。考え方で変わることがわかったので今後も
考えて動けるようになると思います。ありがとうございます。
15
1 _ 1-3
1-3. 津山会場
名
2010年度第10回「科学大好き岡山クラブ」津山会場
~レゴロボットコンテスト~
科学普及部門・津山工業高等専門学校
開催日時・期間
2011年1月16日(日)14:00~16:30
場
津山工業高等専門学校
マルチパーパスルーム、電気工作実習室、M3HR
概 要
レゴブロックを用いてロボットを作製し、ライントレースを行う「チャレンジコース」と二輪車でバラン
スをとりながら動くロボットでタイムを競う「コンテストコース」の2コースを開設した。さらに参加で
きなかった保護者と子ども向けに「お湯で金属を溶かそう」
、
「木から砂糖を作ろう」の実演を実施した。
参加者
参加者の内訳は小学生50名,中学生5名,保護者約20名総数75名であった。講師は3名,補助学
生16名であった。
報告事項
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
会
章
担当部門・機関
(
事
第2
行
)
小学生低学年を対象にした組立てたレゴブロックにセンサーをとりつけて完成後にライントレースをお
こなうチャレンジコースと中級者以上を対象にした二輪でバランスをとりながら動く倒立型ロボットを組
み立て,完成後にはいくつかの障害物をさけたり,坂道を上り下りしてタイムを競うコンテストコースを
開催した。岡山県北部の全市町村から後援を受け,小中学生全員に募集をかけたので定員40名に対し,
4倍強の270名の応募があった。
当日は大雪で開催も危ぶまれるほどであったが,欠席者は3名でレゴを用いたロボットは子どもたちに
非常に人気が高いことがわかった。初心者が多いため,多くの補助学生を用意して指導に当たらせたので,
参加者全員がくみたてることができた。したがってこれまでになく盛況を呈し,コンテストでは負けて悔
し泣きする子どももいたほどだった。コンテストコースでは到着時間の早いほうから3位までを選び,表
彰した。この模様は新聞にも報道された。 なお,レゴブロックは本事業の予算で購入したものである。
1.アンケート結果
今回は会員のみならず一般の小中学生も対象にしたため,
多くの応募者があり,
そのの中から参加者を絞っ
たので,評価の高いものとなった。したがって満足度も高く,ほぼ全員が満足という結果だった。
①この開催をどのようにして知りましたか。
その他
広報誌
3名
②Tryアングルの活動を知っていたか。
新聞
2名
参加したこ
とがある
聞いたこ
3名
とがある
3名
友人知人
4名 チラシポ
スター
新聞
37名
2名
初めて
34名
16
1 _ 1-3
④参加した理由
その他
3名
勧められた
7名
勉学に役
立てる
2名
非常に満足
 このような機会があればぜひ参加したいです。
(多数)
 夏休みの工作が出来るような体験教室があれば参加させたい。
(保護者)
 2足歩行ロボットは凄い制御をしていると思いますので,少し説明を入れてもいいのではないか













と思いました。
(保護者)
レゴロボットコンテストは面白そうだと思って参加したらおもしろかった。
(多数)
コントロールがうまくできなかったけど楽しかった。
前にやったことがあったけどこんどはくふうしてあっておもしろかった。
中学生が少なかったので中学生の参加が増えて欲しい。
作るのはむつかしかったけど黒い線の上を走るところを見るのが面白かった。
作るための部品がいっぱいあって作ったのが動いてすごく楽しかった。
つくるのはむずかしかったけどおしえてもらっていいようにできた。
こどもはとても喜んで参加していました。科学に興味をもつ入り口になりそうです。
「木から砂糖を作る」,
「お湯で金属を溶かす」はもう少しむずかしい内容でもよいのではないか。
少し期待はずれです。
月1回のペースでして欲しい。
ぼくの小学校にきていろいろな実験をしてほしい。
パソコンがじょうずになったのでうれしい。
学生のひとがわかりやすくせつめいしてくれた。
2.補助学生アンケート
 他人に教える大変さがわかった。
(複数)
 人に教えるという貴重な機会を得ることができてよかった。
 一生懸命やる小学生を見て心が和んだ。
 小学生がいきいきしていた。
 チャレンジコースではもう少し小さい子ども向けにしたほうがよい。
 自分がおしえたことを理解してもらえたことがうれしかった。
 みんな楽しそうだった。
(多数)
 おおぜいが真剣に取り組んでレゴが完成したときの笑顔が見られたことがよかった。
 子どもや親とふれあうことで地域とのきずなを再確認した。
 小学生がとても元気でプログラミングもしっかりできていた。
17
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
<<感想>>
章
興味関心がある
36名
28名
第2
満足
10名
知りたい
1名
)
不満
1名
普通
1名
(
③参加した感想
1 _ 1-3
3.当日の様子
第2
章
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
「木から砂糖を作ろう」で説明を聞く参加者
チャレンジコースでロボットを組み立てる参加者
(
)
障害物をさけながら倒立二輪車ロボットを操縦す
るコンテストコースの参加者
18
2
2.先進科学講義:エコツーリズム技法屋久島実習報告会
名
屋久島実習報告会
担当部門・機関
先進科学教育部門・岡山理科大学
開催日時・期間
平成23 年1月22日(土)
章
事
第2
行
岡山理科大学25号館22544教室
科学Tryアングル岡山では、平成22年度より新しい科学教育科目を開発し且つ単位化した。本報告会
では、平成22年度の屋久島実習参加学生からの実習報告、屋久島実習における「海」実習および「山」
実習指導者からの実施報告および過去3回の屋久島実習を検証して、先進科学講義における今後の屋久
島の自然の、海域と陸域における、教育的活用方法を議論した。
参加者
来場者:約23名(教職員9名、学生12名、一般社会人2名)
報告事項
1.最初に岡山理科大学戦略GPコーディネーターの小野文久客員教授からこの報告会の趣旨について
開会挨拶をいただき、引き続き、次のプログラムで実施した。
13:00-13:15: 開会挨拶波田善夫(岡山理科大学学長)
13:15-13:30: 科学tryアングル岡山による屋久島実習の教育的意義
-屋久島実習3年間のまとめ- 西村直樹(自然植物園)
13:30-13:45: 「海」実習報告(平成22年度屋久島実習生)
13:45-14:15: 屋久島の海域の活用
松本毅(屋久島野外活動総合センター)
-休憩14:30-15:00: 「山」実習報告(平成22年度屋久島実習生)
15:00-15:30: 屋久島の陸域の活用
小原比呂志(屋久島野外活動総合センター)
-休憩15:40-16:25 総合討論
16:25-16:30 閉会挨拶
2.「海」実習報告では参加学生による4件の発表があり、
「山」実習報告では9名の学生が報告を行っ
た。
「屋久島の特殊な環境(汽水域など)での生物観察はとても興味深かった」、
「今回の実習で屋
久島の海の素晴らしさ、生存する生物の特異性を感じた。フィールド(特に海)での安全な活動
の仕方、野外調査の方法を理解することができ、また実践に生かすことができた。野外調査実習
の技術、自然の仕組みを理解でき、エコツアーの在り方を改めて考えさせられたとともに、貴重
な体験ができ良かったと思う」
、「同じ国内とは思えない本物の自然の姿に圧倒された。実際に実
物を見て、感じることの大切さを学んだ」
など、参加学生からは満足度の高い、また達成感の大きい報告が行われた。
19
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
概 要
)
場
(
会
2
3.全体を通して、大変有意義な議論が行われた。結果として、実習フィールドとしての屋久島、また
大学教員と現地実習指導者が協力して行う実習方法は大きな教育効果をもたらすと思えた。また、参
加学生のそれぞれが、自然の中で体験・体感した本能的感動を、知的感動に高めることができるよう
第2
に、今後、方策・プログラムを今まで以上に洗練させていく必要があると思われた。
章
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
(
報告会 概要説明
連携校参加者の報告
)
波田・理大学長のコメント
20
3
3.FDワークショップ
名
平成22年度 第2回FD講演会・ワークショップ
担当部門・機関
先進科学教育部門・岡山理科大学
開催日時・期間
平成23年2月23日(水)16:30~24日(木)11:30
章
事
第2
行
会
場
学校法人加計学園
御津国際交流センター
帝塚山大学を中心とした e-learning システムTIESの概要と、多数の大学連携による組織的・有機的
e-learning実践例と成功のノウハウを講演していただき、これを参考にしながら、本戦略GP連携校
における e-learningの展開とFD推進についてこれまでの総括と今後の方策について1泊2日のワーク
(
ショップで議論した。
テーマ:「大学連携と e-learning、その教育的効果とFD」
参加者
講
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
概 要
師:帝塚山大学 経済学部教授・中嶋航一氏
参加者:岡山理科大学(14名)倉敷芸術科学大学(6名)岡山大学(8名)津山高専(4名)計:33名
)
報告事項
講演会に先立ち、波田善夫・岡山理科大学学長、豊田真司・岡山理科大学副学長はじめ、各連携校戦
略GP・FD責任者からご挨拶をいただいた。
FD講演会では、帝塚山大学 経済学部・中嶋航一教授から「大学連携と e-learning、その教育的効果」
をテーマに、e-learningシステムとしてのTIES(タイズ)の開発について、15年前のプロジェクトの立ち
上げから、同教授を中心としたごく少数のスタッフによるシステムの立案から作成まで、帝塚山大学に
おける講義への利用開始、講義内容の一般への公開などについて詳しい説明を受けた。説明の中で、予
算獲得を含めた大学執行部との関係、
克服した問題点などノウハウをお話いただいた。
さらに5年前のNPO
法人「CCC-TIES」の設立から、過去5年間の飛躍的な学生および教員ユーザー数の増加、それに呼応した
講義数、素材コンテンツ数の増加と公開講義数が昨年度末で295に達したことなど、TIES発展について説
明があった。つぎに、TIES教材開発室の様子から、パソコン演習室での利用、通常の講義における利用、
大教室での利用、黒板とチョークを用いた講義におけるウエブカメラを用いた利用など、TIESの講義画
面とそのデザインについて、ライブシステムによる参加型授業などについて詳しい実例の解説をいただ
いた。最後に全国の国公私立32大学における連携、授業の全国公開と配信、e-learningにおける単位互換
の状況などについても説明を受けた。
FDワークショップ(通算第4回)
「これまでのFD総括」では、引き続き、中嶋航一教授にもそのま
ま参加いただき、まず、
「連携授業とe-learning, これまでの活動と今後」のテーマで各連携校から報
告いただいた。岡山大学の取り組みについては、長瀧寛之・教育開発センター助教から e-learning支
援室の取り組み、ICT活用教育環境の現状から、WebClassの利用状況の説明とサポート体制の貧弱さ、
今後の改善策について説明いただいた。
岡山理科大学の取り組みについては大西荘一・総合情報学部教授から、主として戦略GP[岡山オル
21
3
ガノン]の取り組みにおけるe-learning実施状況についての説明があった。倉敷芸術科学大学からは、
村山公保・産業科学技術部教授から、主に「倉敷まちづくり科目」における双方向ライブ中継を利用し
たバラエテイーに富んだ講師陣による授業展開についての説明があった。
事業で創出し、大学コンソーシアム岡山を通じて連携校間および県内の参加校から単位互換を可能とし
GP事業で創出し、単位互換を可能とした科目「エコツーリズム技法」について岡山理科大学総合情報
章
た科目「先進科学体験」について、その実績と効果について詳しい説明を受けた。続いて同じく本戦略
第2
「連携授業の展開と実績」のテーマでは、大嶋孝吉・岡山大学自然科学研究科教授から、本戦略GP
学部・西村直樹教授からその実績について報告があった。これら本戦略GPで単位化した2つの新しい
けるFD活動の特徴として、学生参画型教育改善、討論型FDフォーラム(桃太郎フォーラム)
、教員
活動評価とのリンクについて詳しい説明と、次年度へのFD活動の展開について説明いただいた。続い
て、滝澤 昇・岡山理科大学FD推進室長から、同大学のFD組織改革案をもとに、現在検討中の内容を
含めて来年度のFD活動の展開の方向を説明いただいた。さらに、小山悦司・倉敷芸術科学大学教育研
究支援センター所長から、同大学における今年度からのFDの組織・運営についての新たな展開につい
て、PDCAサイクルによる循環を高める、単年度だけでなく、中・長期型のFD活動の展開、各学科にF
Dコーデイネーターを配置した教員のFD意識の高揚などについて説明いただいた。
続いて、松田
修・津山高専教授(教育システム改革WG座長)から、同校における今年度のFD活
動の展開とその成果について、学生への冊子「津山高専の勉強方」の配布、組織としての教育力の向上、
公開授業の分析、教員間のFDに関する情報交換などの活動による成果の報告、さらに来年殿FD取り
組み計画などについて説明があった。
さらに、夕食後、帝塚山大学 経済学部・中嶋航一教授および岡山理科大学・波田善夫学長を交え参
加者間で大学連携とe-learningについての議論が夜遅くまで行われた。
2日目午前中は宿泊した参加者間で、
それぞれの大学におけるTIESへの参加の可能性を含めたe-learningの
進展についての検討、今後のFD活動の展開と連携授業などについて終了時間ぎりぎりまで討論を行った。
中嶋航一・帝塚山大学教授の講演
と質疑応答。
2日目 朝食から議論が始まった。
22
2日目 今後のFD活動の展開に
ついて討論した。
)
「FDWSとその成果」のテーマでは、まず、佐々木健二・岡山大学FD委員会委員長から、同大学にお
(
策があるかなどを参加者間で議論した。
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
科目は、
いずれも実習を主体とした科目であり、
これらについてe-learningを活用するにはどのような方
4
4.産学官連携事業:企業訪問
名
産学官連携事業 第2回 企業訪問
担当部門・機関
先進科学教育部門・倉敷芸術科学大学
開催日時・期間
平成23年1月18日(火)14:00~16:00
章
事
第2
行
場
株式会社クラレくらしき研究センター(岡山県倉敷市酒津)
先進科学教育部門の事業の一つとして、平成20年度から実施している産学官学際研究シンポジウムに引
き続き、第2回目となる企業訪問を実施した。これにより、産学官の研究交流の更なる促進が行われ、
次年度卒業予定学生の就職意欲を喚起することを目的としている。第2回目は、株式会社クラレくらし
き研究センターを訪問した。企業の概要や理念について紹介があった後、実際に施設見学を行い、最先
端の研究に触れることができた。
参加者
25名
学生・院生・関係者
岡大(7名)
、理大(2名)、倉敷芸術科学大学(9名)
、津山高専(7名)
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
概 要
(
会
)
報告事項
13:50~ 先進科学教育部門長岡田教授より開会の挨拶の後、センター長の古宮(こみや)様の紹介が
なされた。その後古宮センター長様より、約40分間にわたり、株式会社クラレの企業概要と、く
らしき研究センターの研究内容について説明がなされた。
全クラレ従業員約7,000人のうち、約1割強が研究開発従事者である等研究開発の体制の説明や、
くらしき、つくばの2研究センターは、新技術・新素材の開発を通した事業の創出がミッション
であり、その中で、大学との共同研究は欠かせない取組みであるとの説明がなされた。
14:00~ 食堂にてぜんざいがふるまわれ、古宮センター長様や研究員の方との交流の場にもなった。
14:30~ センター内見学スタート。
3班に分かれ、主に、くらしき研究センターの分析センター内の機器類を見て回った。
研究センター内での技術を高め、縁の下の力持ち的な存在である分析センター内の、数々の分
析機器を見学した。
15:45~ 質疑応答では、学生が直接研究者から生の意見が貰える貴重な時間となり、活発なやりとりが
なされた。予定時間を10分ほどオーバーして、終了となった。
16:10~ 原田センター長より、閉会と御礼の挨拶がなされ終了となった。
第2回目となった今回の企業訪問も、第1回と同様に、各機関から多くの参加希望をいただき、興味・
関心の高さがうかがえた。参加学生・院生は、企業理念に基づく研究内容や開発品に触れ、大きな驚き
と刺激を受けたようである。また見学時には、直接研究員の方に質問できる機会もあり、自身の学びの
意欲向上に繋がるヒントを得ることができたようである。
また、在学時に学んでおくべきことなど、参加者自身が日頃感じ、また、得たいと思っている具体的
な情報を、研究員の方から直接得ることができ、参加者にとって大変有意義であったことがうかがえる。
23
4
当日の様子
第2
章
食堂での交流風景
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
古宮センター長による企業概要の説明風景
(
様々な開発製品。
)
アンケート結果
学生・院生参加者合計:19名
内アンケート回収19名(回収率100%)
問1.
今回の企業訪問をどのようにして知りまし
問2.あなたが参加された理由は何ですか?
たか?(複数回答)
(複数回答)
問3.今回の企業訪問は、自身の研究分野や就職活動等において役立ちましたか?
どのような点が役に立ったか具体的にご記入ください。
 実際に働かれている場所、使われている機器、また、働かれている方々を見ることができたこと。
 働く人の見方、考え方を学ぶ良い機会になった。
 研究センターでの雰囲気を知ることができた。
 個人ではなかなか見に行けない現場の様子を見学できたため。
24
4
 研究センターの中を実際に見学できたこと。
 会社に入って、
どのような資格や知識が必要か知るこ
とができた。





問4.
今後このような企業訪問があれば参加した
問5.
今回の実施時期についてどう思われますか。
いと思いますか。
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告

章

(

実際に働いている人の話を聞くことができた。
いろいろな機材を見せてもらったのもとてもために
なった。
他の学生の質問やその解答などを聞いてとて
も良い刺激になった。
案内してくださった研究員の方のお話しで、大学(で
の研究)と違うことをしたくて入る(就職する)のも
一つの考え方とおっしゃったのが印象深かった。
話を聞くだけでなく、
自分の目で見てみることで知る
ことができたところがやはり一番多く得られるものがありました。
自身の足りないものがわかった。特に考え方など心構えを教えてもらえて嬉しかったです。
企業の見学だけでなく、お仕事の話や、働くということに関しての興味深いお話しが大変参考に
なりました。
実際の研究職の声を聞き参考になった。特に研究の切り抜け方やポテンシャルについては、これ
から意識していこうと思う。
研究している人々の雰囲気が分かった
クラレの研究だけでなく教育や多方面で生の声を聞くことができ大変参考になった。
第2
 クラレの中でどのような物が作られているか分かった。
)
問6.ご感想、ご意見等がございましたら、自由にお書きください。
 もっとイベント自体のアピールをしてほしいです。今回も友人が偶然教えてくれたので、参加する
ことができましたが…。また、研究所だけでなく生産の現場などにも行ってみたいと思いました。
 今回のような、企業訪問はもっとしてもらいたいと思いました。また他大学との話をする機会を設
けていただきたいと思いました。
25
5
5.科学チャレンジコンテスト
名
第3回
科学チャレンジコンテスト
先進科学教育部門・倉敷芸術科学大学
開催日時・期間
平成23年2月5日(土)12:00~17:00
会
場
章
担当部門・機関
岡山理科大学40周年記念館(25号館8階ホール)
本コンテストは、科学の諸領域に対して、主体的にチャレンジする態度や姿勢を育成し、その成果の発
表を通して科学リテラシーとプレゼンテーション能力の向上を目的とするものである。
平成20年度から
始まった本コンテストは本年度で3回目を迎えた。
岡山県内の中学5件、高校11件、大学高専4件から応募があり、選考委員会を経ての開催となった。各発
表者とも、自身の研究分野について約8分程度という短い時間内であったが、趣向を凝らしたプレゼン
手法により、聴衆に分かりやすく、また、興味を大いに惹く発表を行った。
また、会場ロビーでは高校生によるポスター発表や、本事業で導入した先端科学機器、連携機関から各
種ロボット等の展示・実演が行われ、参加者から好評を得ることができた。
参加者
)
小学生
4名、中学生
科学Tryアングル関係者
全参加者
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
概 要
(
事
第2
行
3名、 高校生51名、 学生13名、 一般22名
教職員21名 計114名
39名
153名
当日の様子
学生の部・科学大賞受賞の岡山大学
大学院 岡田さんの発表の様子
審査委員長 NHK解説主幹 室山氏による審査結果発表の様子
26
5
第2
章
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
記念撮影
(
(左)岡山理科大学『カメラを搭載した移動ロボットの遠隔操作』
(右)津山工業高等専門学校『人力車ロボット「リクシャマン」
』
第3回科学チャレンジコンテスト
)
科学Tryアングル岡山
(1)審査結果
No
中学生
高校生
学生
科学
大賞
発表者(チーム)
1
アルキメデスの原理を応用して5円玉の組成を測定する
岡山県立倉敷天城中学校 三宅 大和
2
「たまごを守ろう!」 岡山県立岡山操山中学校 蓮池 舞香
3
カキ殻を利用した魚礁ブロック・アマモ板の研究
岡山県立笠岡工業高等学校環境土木科スーパーエンバイロメントグループ
田中 拳斗,佐藤 徳洋,高木 郁弥,高橋 拓也, 中原 孝,
西江 淳,藤井 竣平,藤井 佑樹,藤井 勇太,光枝 直也
4
他感作用を利用したうどんこ病菌の省エネ防除
岡山県立玉島高等学校
他感作用実験班
中野 泰斗,石原 航太,田原 幸太,笠原 優一
5
「センター虫」と呼ばれるプラナリアの謎
岡山県立玉野高等学校 岡山県立玉野高等学校サイエンス部
的場 一智,山名 克徳,久富 崇弘
6
玉野高校おもしろ科学佒験講座バージョンアップ編
岡山県立玉野高等学校 玉野高校2年生理系物理選択チーム
小林 直人,立石幸一郎,西山 雄飛,三宅 達也,依田 直也,
木村 朝子,佐藤 絵理香,渡邉 佳恵
7
畜糞からクリーンエネルギーと化学肥料を採取できるだろうか?
岡山県立高松農業高等学校 畜産科学科 小家畜専攻生
前原 利光,島村 佳宜,浅野 里佳,安倍 有美,桐山 華澄,
鈴木 竜馬,坪田 英里,守安 麻実
○
8
薬を運ぶ新素材 ~油~
岡山大学大学院(博士後期課程)
○
9
酢酸によるオニヒトデの駆除について
岡山理科大学 島袋 弘子
10
地球の救世主!! ケイ素の研究
倉敷芸術科学大学 仲 章伸 研究室
岸本 理佐,山下 由希子,梶原 智仁,西谷 勇太,謝花 喜史
11
人力車ロボット「リクシャマン」
津山工業高等専門学校 津山高専 情報総合研究部
志摩 翔太,森 雅之
科学
科学
チャレンジ賞 プレゼン賞
ベスト
応援賞
○
○
○
○
岡田 将史
○
○
○
○
○
27
○
5
アンケート結果
参加者合計:153名 内アンケート回収61名(回収率40%)
①あなたの所属校種やご職業など
②あなたのお住まい
第2
問1.あなた自身についてお伺いいたします。
章
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
(
知りましたか。
「連携機関のポスター・チラシ」、また「ホームページを見
て」の来場者が38%となった。この割合は昨年度にくらべ
4ポイントの増加している。
情報発信のツールとして、ターゲットを意識した、チラシ・
HP等のいっそうの活用が望まれる。
また、その他は所属する高校や大学の先生から勧められた
という回答がほとんどであった。
問2.あなたが参加された理由は何ですか。
問3.
今回のイベントで関心を持ったプログラム
は何ですか。(複数回答)
学校から「参加を進められた」が33%と一番多かったが、
「勉学・仕事に役立てるため」30% 「科学Tryアングル
岡山の取組について知りたかった」
7% 「興味・関心があっ
た」29%など、意欲的に参加したことが伺える回答が7割
近くあった。
メインのコンテストへの関心も強いことが分かるが、実際
に目で見て体感できるコーナーへの関心も同様に高いこと
が伺える。本イベントでの集客に大いに効果があったと思
われる。
28
)
③今回のイベントが開かれることを何によって
5
問4.次回も科学チャレンジコンテストに参加
問5.
今回の開催時期についてどう思われますか。
したいと思いますか。
第2
章
1中学生
 貴重な体験ができた。機会があればまた参加したい。
2高校生
 科学チャレンジコンテストに参加することで、何らかの収穫を得ることができた。
 いろいろな研究の過程や成果を見たり聞いたりできてとてもよかった。
 とても楽しかったのでまた参加したい。
 できれば交通の便が良いところでやってほしい。無料バスを出してほしい。
 今回のチャレンジコンテストに参加できて、非常に光栄に思っています。次回も参加できるよう




一生懸命頑張りたいと思います。
中・高・大が合同で行われるものは少ないので、今後も続けてほしい。午前中から行ってもよい。
今回使用していたクリッカーですが、
これは本当に皆さんの考えが見られるのでとてもよいと思った。
おもしろかった。
貴重な体験ができた。機会があればまた参加したい。
3学生
 中学生が一人で見事な発表をしていたのが印象的。
4中・高等学校教員
 「科学チャレンジ」と「科学大好き発表会」を同日開催にしてほしい。
5大学・高専教職員
 より多くの中高大生に研究発表を聞いてもらいために、
他のイベントとの同時開催を検討しては。
 スポーツ等科学以外のイベントとの同時開催も新たな参加者の開拓になるかと思います。
 一生懸命発表している生徒の向学心を刺激するためにも検討をお願いします。
大学祭のアカデミッ
クイベントとしてもよろしいかと。
29
)
問6.ご感想、ご意見等がございましたら、ご自由にお書きください。(原文のまま)
(
昨年度同様に2月第1土曜日に実施した。
「よい」が増加し、
約8割を占めた。一部、大学の試験と重なっていて、参加
しにくいという声もあった。
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
「参加したい」、
「都合が合えば参加したい」が全体の約9
割弱との前向きな回答を得た。中・高校生の発表者では、
次回も参加したいう回答の割合が高く、科学にチャレンジ
する意欲を伺わせるデータを得ることができた。
5
 中・高・大とテーマは様々であるがその違いも分かり楽しかった。中学生は高校生の、高校生は
第2
大学生の発表を聞きいろいろな面で勉強になったのでは。
 今日初めて参加したが、サイエンスを学び知る良き機会になると思います。
 これからもぜひ続けてください。
 高校生はよく研究しており、
このようなクラブ状況が盛んになれば理科離れも解消されるので各
学校でも各学校でもこのような活動に力を入れて欲しい。
章
6一般・企業関係者
 大学生はもちろん、中学生・高校生もよく研究し、一生懸命発表できて、良い経験になったので
7その他
 素人の私には難しい話も多かったのですが、環境問題の研究には興味がありました。
(保護者)
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
はないかと思います。
 もっとたくさんの学生がこのような活動ができれば、将来の自信になると思います。
(
)
30
6
6.集まれ!科学好き
名
「集まれ!科学好き」発表会
「集まれ!科学好き」講演会
先進科学教育部門
開催日時・期間
平成23年2月6日(日)9:40~16:30
会
場
岡山国際交流センター
1 概要
日頃発表の機会が少ない科学系のサークル活動を行う生徒等に、
研究成果の発表と交流の場を提供
し、科学への意欲の高揚を図ることを目的に、ポスター発表による研究発表会を開催するとともに、
第一線で活躍する科学者を講師に迎え、科学の楽しさや面白さを伝える講演会を開催した。
2 主催 岡山県
岡山県教育委員会・科学Tryアングル岡山
3 スケジュール
9:55
開会式
10:00~12:00
発表会
13:30~15:30
講演会
15:45~16:30
表彰式
)
9:40~
参加者
発表者:99名
見学者:50名
報告事項
●「集まれ!科学好き」発表会
発表形式はポスター形式とし、ブース内では研究記録、標本、装置、模型等の展示・実演等をすること
ができる。発表会は「物理分野」
「化学分野」
「生物分野」
「地学・数学・環境・広領域分野」の4つの分野
に分かれて発表・選考を行う。審査は、選考委員が科学的思考力、観察力、創造力、コミュニケーション
能力、プレゼンテーション能力等をもとに行う。今年度の応募は78件(高校9校71件、中学2校7件)
の応募があり、その中から選ばれた32件(高校9校27件、中学2校5件)が発表を行った。
アンケート結果(抜粋)
1
発表会に参加(見学含む)した感想はどうでしたか。
 得るところが多かった…………81%
 得るところがあまりなかった…19%
2
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
概 要
後援
章
担当部門・機関
(
事
第2
行
参加者や研究グループとの交流はできましたか。
 十分できた………………………10%
 ある程度交流できた……………65%
 交流はあまりできなかった……25%
31
6
3
発表会に参加した感想について
 初めてポスターという形で発表をして、この発表のやり方の楽しさと難しさに気づいた。
 今後、研究を進めていく上での適確なアドバイスをいただいた。
章
ができそう。
 普通は体験できないプレゼンテーションのようなものを体験できた。
 自分たちの実験での新しい方法があったことが分かった。
第2
 初めて校外で発表し、経験を積むことができた。また、アドバイスを得て、今後に役立てること
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
(
)
●「集まれ!科学好き」講演会
テーマ:チンパンジーの心を探る
講
師:(株)林原生物化学研究所
類人猿研究センター
平田
聡 氏
概
要:ヒトに最も近い生き物であるチンパンジーが他者との関わりの中で発揮する知性など最新の
研究成果を通じて、ヒトの心や行動の成り立ちに迫るもの。
参加者:150名
アンケート結果(抜粋)
1
「チンパンジーの心を探る」はどうでしたか。
 得るところが多かった………………97%
 ある程度得るところがあった…………3%
 得るところがあまりなかった…………0%
 得るところがなかった…………………0%
2
講演会を聴いた感想
 実際の研究の様子をビデオで見られたのが面白かった。ゼロの概念を理解したり、協力して何か
をするために仲間を呼んだりと、これまで想像していた以上にチンパンジーにはできることが多
かった。
32
6
 チンパンジーの本質を理解するための研究事案がたくさん紹介され、
人間より優れている点が多
くあることが分かった。また育児についての研究が面白いと思いました。
す。チンパンジー同士でコミュニケーションを取らないということに関して興味を持ちました。
第2
 チンパンジーの心を探るということでしたが、我々ヒトと比較したお話がもっと聞きたかったで
章
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
(
)
33
7 _ 7-1
7.理科教員養成・支援プログラム
7-1. わくわく理科講座
第2
事
名
わくわく理科講座
(第7回開催)
「生命領域(生物と環境)」
章
行
「科学Tryアングル岡山」理科教育支援部門(担当:稲田 佳彦)、
岡山大学教育学部附属小学校理科部、
岡大教育理科教育講座
開催日時・期間
平成23年1月29日(土)10:00~12:00
会
場
岡山大学教育学部附属小学校(岡山市中区東山)
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
担当部門・機関
(
「わくわく理科講座」は、現役教員、附属小学校スタッフ、教育実習生がともに学び合い、理科の授業
づくりの手助けと、参加者どうしのネットワークを築くことを目指している。
第7回は、生物区分において、自然の観察を行うフィールドワークを中心とした活動となった。
《 講座内容 》
身近な自然の観察(フィールドワークと講義) 【岡山大学
内貴 章世
講師】
《 使用物品 》
ニコン小型双眼実体顕微鏡、剪定鋏ほか
参加者
計29名 《 内訳 》教職員11名、学生18名(教職員に担当者・講師含む)
 「CST養成拠点構築事業」からは、山崎委員、入江委員、荒尾委員、安原委員、内貴講座開発実
施班員、事務・守安(以上、岡山大学)が参加した。
報告事項
マツの解説。改めて見ると・・・不思
議な形をした葉の持ち主です
子供時代に戻って、
さぁみんなでド
ングリ探し♪
スイトピーと菊を分解し顕微鏡に
て観察。
肉眼では味わえない世界に
感動!
今回は、会場の附属小学校内に植えられている、親しみある植物を利用したフィールドワークを中心
に講座が展開された。
始めに、配布された資料についての簡単な説明の後、屋外にてマツやスギ、たんぽぽやハコベなど、
34
)
概 要
7 _ 7-1
実に様々な植物教材を観察してまわる参加者たち。講師の内貴先生からは、図鑑より膨大な種類の植物
を識別するのは難しいとの前置きの上、見分けるポイントとその構造について解説が行われた。これら
を元に、葉や芽・樹皮や果実などを改めて見ると、決して初めて見るはずではない草木であるものの、
点でもって捉えることができる。
味は?トゲ状や粘質といった様々な形態の種が存在するのはどうしてなのかなど、
植物識別に必要な着
章
また、植物の組織がそれぞれどういう目的を持つのか、なぜダニが葉に棲むのか、閉鎖花をつける意
第2
何気なく目にしていたこれまでとは異なり、受粉や発芽・器官の仕組みなど、しっかりとした科学的観
目点を知ることで生まれる疑問は、
子供たちの生物領域へ対する興味を刺激する格好の材料となるだろ
講座修了後に行ったアンケートでは、
『フィールドワークは手が出しにくいと思っていたが、自分が
体験してみて楽しかったので、子供たちを外に連れ出したいと思った』や『実際に植物を見ながらの説
明は新鮮だった』、また『専門的で難しい部分もあったが、少なくとも愛着と興味の湧く内容であった』
等々の意見が寄せられ、自然の感動を味わえる野外授業そのものの価値を高く評価していた。
(
また子供が喜びそうなテーマの設定や自然史博物館の活用が提案された。
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
う。事後解説においては、フィールドワークで学んだ知識のおさらいと共に、顕微鏡を使った花の観察、
)
35
7 _ 7-1
事
名
わくわく理科講座
(第8回開催)
「生命領域(動物)」
開催日時・期間
平成23年3月5日(土)10:00~12:00
場
章
会
岡山大学教育学部附属小学校(岡山市中区東山)
「わくわく理科講座」は、現役教員、附属小学校スタッフ、教育実習生がともに学び合い、理科の授業
づくりの手助けと、参加者どうしのネットワークを築くことを目指している。
第8回は、生命区分において、主に人を題材に動物の体について学んだ。
《 講座内容 》
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
概 要
(
動物の体のつくりと運動
第2
担当部門・機関
「科学Tryアングル岡山」理科教育支援部門(担当:稲田 佳彦)、
岡山大学教育学部附属小学校理科部、
岡大教育理科教育講座
【旭東小学校
高原 芳明 教諭】
【岡山大学附属小学校
【岡山大学
安藤 元紀
辻本 真治
教諭】
教授】
参加者
計32名 《 内訳 》教職員16名、学生16名(教職員に担当者・講師含む)
 「CST養成拠点構築事業」からは、稲田委員、山崎委員、入江、安藤講座開発実施班員、事務・
守安(以上、岡山大学)が参加した。
報告事項
筋肉の伸縮は表裏一体。2人で呼
吸を合わせ腕を動かします。
ネズミの筋肉のプレパラート。本日
のお土産教材です。
脈拍を測定中。途中驚かされる場面
があり、数値が上下する様を観察。
前半は、主に人を中心とした動物の体のつくりと運動をテーマとして、2人の現役教員より実際の授
業づくりについて紹介があった。
まず、高原先生からは、授業を行うにあたって、教材を選定するまでの過程が説明された。身近なも
のとして、自分の体・友達の体があるものの、中身が見えないため、それを補うものとして、教科書・
模型・映像・飼育動物、はたまた食卓に並ぶ手羽先などの選択肢が候補として挙げられる。子供たちに
関節・筋肉の存在や仕組みといった難しい概念を形成させる点において、また精神的配慮の面からいず
れも不十分・不適切とし、最終的には、人の腕の動きを再現するロボットの制作を選んだという。また、
ストローや包帯、整髪用のゴムなど、様々な材料で行った試作段階の工夫が紹介され、強度や扱いやす
36
)
行
7 _ 7-1
さの観点から素材を選択していった過程がよく理解できた。
ここで、参加者たちは実際に出来上がった教材の骨に、筋肉に見立てた手芸用ゴムをつけることに挑
戦する。改めてやってみると、案外と分からないもので、自らの腕を触って確認しながら、筋肉を付け
最後に、高原先生が実際の授業で行った際の子供たちの反応や、体の構造に対する理解形成に至るま
初めの内はゴム(筋肉)を輪にする、腕の側面につける、あるいは関節部分に付ける等々、筋肉の伸縮
章
での道筋が映像にて発表された。筋肉が骨を引っ張るというヒントを与えないで実験をさせたところ、
第2
る位置や長さを何度も調整する風景が見られた。
と骨の関係性に気づくまで相当な時間がかかるものの、最後には、内と外の双方の筋肉をバランス良く
さらに、本領域を取り扱う時の注意点として、骨折した子供・障害児がいる場合には行わない、体型
を気にする児童の場合は発言に気をつけるなどの喚起が付け加えられた。理科教材を利用する際、教え
る側はともすれば生命を物扱いしがちだが、気をつける必要がある。
続けて、辻本先生より、高原先生の考案を踏襲した手作りの教材が紹介される。人工の筋肉には風船
をみかんネットで覆い、注入器により空気を送り、その伸び縮みを再現。また筋肉の位置が自由に付け
替えられるよう、全体にマジックテープを貼付したり、腕の様々な動きを試せるようフレキシブルスタ
ンドを使用するなど、本物に近い姿で伝えようとする点、また子供たち自らが色々と試して実行できる
よう仕掛けが施されている。参加者からは、
『要点だけ単純化しており非常に分かり易い』
『既成の教材
ではここまでの想像力は引き出せないだろう』
『腕の裏表が連動するのが良い』などといった意見が出
(
つくりと運動を関連付けさせることに成功したことが分かる。
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
使い、字を書く・うちわで扇ぐ・ボールを投げるなど複雑で繊細な筋肉の機能を理解させ、また、体の
)
され、大変好評であった。
また、本区分における導入部分として、段ボールで制作したロボットスーツを子供たちに装着させ、
体が自由に動くかを体験させる試みが披露された。これにより、子供たちは人間の体が骨のみならず、
筋肉や関節をも必要だと分かるようになり、また目に見えない人の体の中身に興味関心を抱き、結果的
に体のつくりに対する理解を深めていくこととなるだろう。
最後に、安藤先生より、骨格筋・心筋の構造と機能について講義が行われた。まず筋肉全般の話とし
て、ゴムに例えられることが多いものの、実際は弛緩状態(自由な長さで静止でき、かつエネルギーを
消費しない)が保てることや決まった初期長がないことなど、筋肉が持つ優れた特徴が説明された。次
に、ネズミの骨格筋のプレパラートを使い顕微鏡観察を行った上で、横縞模様の走る横紋筋の解説が行
われる。最後に、心筋の機能と骨格筋との違い、
心拍と脈拍・心臓の動きと血液の流れの関係について知見が披露された。専門的な話ながら、ここで
は実際に医療現場などで使用されている動脈血中の酸素飽和度と脈拍数を測定する機器を使い、
その数
値を目で確認することで参加者たちは実感を得たようであった。
受講後のアンケートでは、
『現場教員の実践発表と大学教員の専門的講義のバランスがとても良い』
『知識と授業化の双方が得られる』などという感想があり、本講座の目指すところがかなりの度合い
で達成できていることを実感した。
37
7 _ 7-2
7-2. 理科教材開発研修
名
第3回理科教材開発研修
理科教育現場で役立つ岡山県内で採集する岩石標本の作成
理科教育支援部門・岡山理科大学
開催日時・期間
平成23年2月11日(金)9:30~17:00
会
場
章
担当部門・機関
岡山県内(真庭市久世、新見市など)
第3回の研修では、変成岩標本を作製する。岡山県内には種々の地質時代の変成岩が産出するが、その
中で代表的な広域変成岩である泥質片岩や緑色片岩と接触変成岩である大理石やホルンフェルスを採集
する。現地で変成岩の露頭を観察・記録し、岩石を採集して岩石標本を作製し岩石学習の教材を開発す
る。特に緑色片岩や泥質片岩にはさまざまな構造があり、日本列島の地史を考える勉強ができる岩石学
習教材を開発できた。
参加者
参加者:岡山県内中学校教員と高等学校教員,理科教員希望の大学生(岡山大学、岡山理科大学)など、
野瀬重人,山口一裕,
)
引率者:岡山理科大学理学部
報告事項
中学校・高等学校教員などの参加者は6名、岡山大学・科学tryアングル関係3名、岡山大学学生2名、
岡山理科大学学生9名、引率者2名、の合わせて22名で研修を行った。今回の研修の目的は、岡山県内の
変成岩を採集して、現場で役立つ岩石標本を作製すること、現場の教員と教職を目指している学生との
交流を図ることである。標本としては、付加体で生成した泥岩がより地球深部で高圧で変成されてでき
た泥質片岩、同じく玄武岩質火山灰や溶岩が高圧で変成された緑色片岩、マグマの熱で石灰岩が再結晶
した大理石と砂岩・泥岩が再結晶をしたホルンフェルスの4種類である。
岡山県中部には結晶片岩が広く分布しているが、その中の黒色片岩は、米子道の久世ICを降りてすぐ
にあり、交通の便もよく、露頭が会社の空き地にあるため会社の許可を取っていれば自由に採取できる
地点であった。参加者が露頭で岩石採集を行った。岩石
採集の方法は、参加してくれた経験者が初心者を指導し
てくれて円滑に行うことができた。
今回も岩石について
の資料を作成、配布して、バスの中で簡単な説明を行っ
た。黒色片岩は、3億年くらい前の海底に堆積した泥が
地下20kmの深さまでプレート運動とともに沈み込まされ
て高い圧力を被って1億8千万年前にできた岩石で、岩石
の歴史を思いながら採取することができたと思う。岡山
大学から提供されたi-Padに岩石の図鑑や地質図をpdf
ファイルとして登録していたので、
それらを現地で活用
38
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
概 要
(
事
第2
行
大理石採取の様子
7 _ 7-2
して分かりやすい説明ができた。次に、新見の大理石を採取した。白色の、方解石の結晶がはっきり見
える大理石が採取できた。大理石を知っていても、初めて露頭を見た人が多くて、参加者のみんなが一
生懸命岩石を破砕してきれいな標本を採取していた。次は、最初の地点と同じく結晶片岩である緑色片
成を被ってできた緑色のきれいな岩石である。この場所では連続して観察・採取できるので緑色片岩の
た。砂岩・泥岩がマグマの熱で再結晶して硬くなったものがホルンフェルスである。いろいろな場所で
章
成因を観察するには良い露呈である。最後は理科大学の構内にあるホルンフェルスを観察・採取を行っ
第2
岩を採取した。この岩石は、海底火山から噴火で噴出した火山灰や溶岩が源岩であり、それらが高圧変
砕石として使われている石であるが、この岩石も実際に露頭を見た人は少ない。ハンマーで割ったり、
た。」
「大理石の露頭が見られて、きれいな大理石が採取できて楽しかった。
」
「早速、緑色片岩の研磨標
本を作製したい。」
「自分の地元の県でも同じように岩石を採集して、地元に根ざした生徒に親しみやす
い岩石教材を作りたい。
」
「i-padをはじめて操作して、地質図などが入っていると現場で役に立つこと
が分かった。
」などの感想が寄せられた。バスの中や露頭では、地学に詳しい現職教員から、専門が他
分野の教員や学生とが岩石について指導を受けたり、
個人が採取してきた珍しい鉱石をプレゼントして
いただいたり、お互いに交流を図ることができた。
郷土の岩石標本を作製する目的で、火成岩、堆積岩、変成岩の標本を作成するための研修を行ってき
たが、毎回参加者からの評判が良く、次回を期待する意見が寄せられた。
一応、3回の研修で岩石標本はできたので、現職教員の人は、現場で有効に使用していただければ幸
いであると思います。科学Tryアングルの事業として、今後も継続を考えているので、次回は鉱石や鉱
物などの標本を作製する研修を計画したいと考えています。
39
)
ですぐに役立てると思う。
」変成岩にはあまりなじみがないが、きれいな緑色片岩が採取できて良かっ
(
参加者は、
「このような専門家のいる研修に参加すると岩石について詳しく知ることができて、現場
平 成 2 2 年 度 平 成 2 3 年 1 月 ~ 3 月 活動報告
シュミットハンマーで硬さを調べも行った。
第
連携状況(平成23年1月~3月)
3
章
1 _ 1-1
1 . 連携教育研究推進事業「平成22年度教育研究連携推進プロジェクト」成果発表会
第3
章
連携状況 平成23年1月~3月
(
)
41
1 _ 1-1
1-1. 報告書
名
「平成22年度教育研究連携推進プロジェクト」成果発表会
先進科学教育部門
開催日時・期間
平成23年3月10日(木)12:50~15:40
会
場
岡山大学自然科学研究科棟
2階大講義室
本年度取り組んできた「教育研究連携推進プロジェクト」の成果を発表するとともに、事業終了後にお
いても発展的な共同研究が継続できる様、情報を共有する事を目的として開催した。
本プロジェクトの目的は、連携機関間の積極的な連携を推進し、人材育成の推進などを通じて機関の連
携をより一層活発にすることである。
参加者
全88名
)
連携機関教職員
51名,
37名
報告事項
◆当日のスケジュール
12:50-
連携状況 平成23年1月~3月
概 要
内訳:大学生・大学院生・高専生
章
担当部門・機関
(
事
第3
行
開会の挨拶
先進科学教育部門長の岡田賢治教授より挨拶がなされ、発表会の開会となった。
13:00-14:35 ■プロジェクト成果発表(11プロジェクトは別紙参照)
■先端科学機器を活用した成果発表(8つの研究内容は別紙参照)
11のプロジェクトの代表教員または、代表学生により研究概要の説明がなされた。約5分
間という短い時間内であったが、連携機関間において、1年間取り組んできた共同研究の
概要について分かやすくまとめられた発表を行った。
引き続き、SEM等を用いた先端科学機器を活用した8つの研究成果について、司会の大嶋
教授によるQ&A方式等により概要説明がなされた。
14:35-15:30 ■ポスター発表
口頭発表に引き続き、より詳しい研究内容や、研究成果をポスター形式にて発表した。発表
については、個別の発表時間は設けず、ブースに来られた方に随時説明を行う方式とした。
15:30-15:40 閉会の挨拶
連携教育推進センター原田勲センター長より閉会の挨拶がなされた。
本プロジェクトは本年度で終了となるが、今後も本プロジェクトをきっかけとした、連
携機関間で更なる知の交流が活発化されることを期待するとの今後の展望が述べられた。
司会進行:大嶋孝吉(先進科学教育部門
42
岡山大学大学院自然科学研究科教授)
1 _ 1-1
アンケート結果
①内容についての感想(自由記述)
 今回の連携推進プロジェクトに参加し、有意義であった。
 1件あたりの発表時間が短い。コメントを聞く時間も欲しい。
 「研究者の連携による成果がどこにあったのか?」が、はっきりわからない。発表が多いと感じた。
 自分の学んだ分野以外の研究をみる事ができておもしろかった。
章
 多様な内容の報告を聞く事ができ、興味深かった。
第3
 ポスターとの変容で概略と詳細と伝達しやすくなっている。
 大学間の研究における連携の重要さを理解できた。教育分野での連携も必要だと思う。
 成果発表の最後の方がグダグダで良くないと思う。頑張った学生に申し訳ない。
 先端科学機器を活用した発表のQ&Aスタイルは、ダレテいた。また、岡山大のみの研究であった









ので、他機関から来ている者にとっては、あまり良くない会に感じた。後でポスターがあるので、
興味がある人はそこで聞けば良いと思う。
成果発表という形で学生他が準備を行ってきているのに、
後半のような発表形式は良くないと思う。
高専から大学院まで、広い分野の発表で良かった。
友人の発表を見に来たが、思った以上に幅広い分野の研究があって、楽しませていただきました。
1-10番の発表は、多少難しかったものの、様々なテーマがあり、各テーマが面白かったので、楽
しんで聞く事が出来た。11-19番は専門的すぎて難しく思った。
色々な成果を一つの場に合わせて頂いて、みんなと交流して情報を交換でき、良い学び場であっ
たと思う。
他分野の研究者の話が聞けて良かったです。
今後もこのような機会があれば参加したい。
難しい内容の研究もあったが、面白いものばかりでした。
支援を受けたテーマの講演発表を長くして、先端科学機器についての発表は無くても良かったと
思います。でもポスターは良かったと思います。
②今後の活動への意見・感想(自由記述)
 次年度以降も続けて欲しい
 この連携推進プロジェクトはぜひ継続していただきたい。
 時間が短いと思いました。
 後半の人の話がもっと聞きたかったです。
 もう少し余裕のある発表時間があれば良いと思う。
教育研究連携推進プロジェクト【発表順:プロジェクト名
代表教員(所属)
】
1. クマムシの分類と形態学的解析、およびクマムシとコケ類での極限環境耐性の発現
三枝誠行(岡山大学大学院自然科学研究科 准教授)
2. 新規な機能性金属錯体の開発とその機能発現メカニズムの解明
赤司治夫(岡山理科大学自然科学研究所 教授)
3. 超高圧下の小動物乾燥卵や植物種子の生命探索
森嘉久(岡山理科大学理学部基礎理学科 教授)
4. 硬質性窒化炭素化合物の高温・高圧合成
財部健一(岡山理科大学理学部 教授)
5. 二関節筋の機能をサポートするボディスーツの開発
川上雅之(倉敷芸術科学大学大学院人間文化研究科人間文化専攻 教授)
43
)
 他機関の研究を知ることができ、有意義でした。
(
 ポスターセッションの時間をもう少し延ばして欲しい。もう少し広い場所で開催してほしい。
連携状況 平成23年1月~3月
 様々な分野の話を聞く事ができ、新しい知識を得ることが出来、良かったと思う。
1 _ 1-1
6. 理科教育の教材としての自然観察コースの開発
加藤敬史(倉敷芸術科学大学生命科学部健康科学科 准教授)
7. 動物福祉の未来を考える
8. 太陽を測る-その質量と直径を求めて-
佐藤誠(津山工業高等専門学校一般科目/物理 教授)
章
9. 生体の視覚モデルに基づく動画像処理用電子回路の構築
第3
古本佳代(倉敷芸術科学大学生命科学部生命動物科学科 講師)
西尾公裕(津山工業高等専門学校電気電子工学科 准教授)
10. 単膜化した鉄シリサイド薄膜の電気的・光学的測定
11. 組合せ最適化アルゴリズムの高度化とその応用研究に関するプロジェクト
舩曵信生(岡山大学大学院自然科学研究科 教授)
連携状況 平成23年1月~3月
中村重之(津山工業高等専門学校電気電子工学科 准教授)
(
【発表順:研究タイトル
代表学生(所属グループ)】
12. 新鉄系超伝導体Ca-Fe-Pt-As系の組成分析
垣谷知美(岡山大学大学院自然科学研究科
野原グループ)
13. 機能性物質の創製と特性評価
平松千明(岡山大学大学院自然科学研究科
村岡グループ)
14. 硫酸ガドリニウムによるスーパーカミオカンデ検出器の材料および性能に対する影響
豊田英嗣(岡山大学大学院自然科学研究科
作田グループ)
15. 超臨界状態を用いた遷移金属酸化物の水熱合成と物性
奥迫俊樹(岡山大学大学院自然科学研究科
花咲グループ)
16. コヒーレント電子揺らぎ型誘電体の研究
永田知子(岡山大学大学院自然科学研究科
池田グループ)
17. 有機伝導体結晶の表面分析
金美淑(岡山大学大学院自然科学研究科
大嶋グループ)
18. 磁性ガーネット薄膜の表面観察
山本陽介(岡山大学大学院自然科学研究科
味野グループ)
19. 空間対称性の破れた超伝導体の組成分析
包桂芝(岡山大学大学院自然科学研究科稲田グループ)
【先進科学教育部門長
コメント】
11件の研究発表が行われ、いずれの発表とも各機関の得意とする分野の研究がうまく連携した内容
であった。特に印象に残った発表は、津山高専の電子工学科と倉敷芸科大の生命動物学科が連携し
た“生体の視覚モデルに基づく動画像処理用電子回路の構築”であった。このプロジェクトに参加
した学生からも他分野の機関と連携することで視点が広がり非常に役に立ったという感想が聞かれ
た。本事業は最終年度での実施であったがよい成果が得られたと考える。
【連携教育推進センター長
コメント】
「科学Tryアングル岡山」の重要なミッションの1つは、連携機関間の研究・教育での協力と相互啓
発である。今回の発表会は、そのような目的を確かめるために開かれた発表会であった。この発表
会は、私たち主催者の期待を十分に満たすもので、様々なテーマの下多くの学生や教員が関わり、
楽しく研究・教育に協働した跡がうかがえた。今後、財政支援はなくなるが、連携機関関係者はこ
の慣性を生かして、共同研究や共同教育をますます盛んにされることを願っている。
44
)
先端科学機器を活用した成果
1 _ 1-1
第3
章
ポスター発表の様子
連携状況 平成23年1月~3月
口頭発表の様子
(
)
先端科学機器(SEM)の活用についてポスター発表
45
1 _ 1-2
1-2. 要旨集
第3
章
連携状況 平成23年1月~3月
(
)
プロジェクトの目的
連携機関間の積極的な連携を推進し、人材育成の推進などを通じて機関の連携をより一層活発に展開す
ることを目的としています。
プログラム
12:50-
開会の挨拶 岡田賢治
(科学Tryアングル岡山先進科学教育部門長、
倉敷芸術科学大学教授)
13:00-14:30
■プロジェクト成果発表
■先端科学機器を活用した成果発表
≪口頭発表≫5分
14:30-15:30
■ポスター発表 ※個別の発表時間は設けず、
ブースに来られた方に随時説明を行います。
15:30-
閉会の挨拶 原田勲(連携教育推進センター長、岡山大学名誉教授)
司会進行:大嶋孝吉(先進科学教育部門 岡山大学大学院自然科学研究科教授)
46
1 _ 1-2
教育研究連携推進プロジェクト 要旨集
【発表順:プロジェクト名 代表教員(所属)
】
1. クマムシの分類と形態学的解析、およびクマムシとコケ類での極限環境耐性の発現 ···· 48
2. 新規な機能性金属錯体の開発とその機能発現メカニズムの解明 ······················ 52
赤司治夫(岡山理科大学自然科学研究所 教授)
章
3. 超高圧下の小動物乾燥卵や植物種子の生命探索 ···································· 54
第3
三枝誠行(岡山大学大学院自然科学研究科 准教授)
森嘉久(岡山理科大学理学部基礎理学科 教授)
川上雅之(倉敷芸術科学大学大学院人間文化研究科人間文化専攻 教授)
6. 理科教育の教材としての自然観察コースの開発 ···································· 60
加藤敬史(倉敷芸術科学大学生命科学部健康科学科 准教授)
7. 動物福祉の未来を考える ························································ 62
古本佳代(倉敷芸術科学大学生命科学部生命動物科学科 講師)
8. 太陽を測る-その質量と直径を求めて- ·········································· 65
佐藤誠(津山工業高等専門学校一般科目/物理 教授)
9. 生体の視覚モデルに基づく動画像処理用電子回路の構築 ···························· 67
西尾公裕(津山工業高等専門学校電気電子工学科 准教授)
10. 単膜化した鉄シリサイド薄膜の電気的・光学的測定 ································ 69
中村重之(津山工業高等専門学校電気電子工学科 准教授)
11. 組合せ最適化アルゴリズムの高度化とその応用研究に関するプロジェクト ············ 71
舩曵信生(岡山大学大学院自然科学研究科 教授)
先端科学機器を活用した成果 要旨集
【発表順:研究タイトル 代表学生(所属グループ)】
12. 新鉄系超伝導体Ca-Fe-Pt-As系の組成分析 ········································· 73
垣谷知美(岡山大学大学院自然科学研究科 野原グループ)
13. 機能性物質の創製と特性評価 ···················································· 75
平松千明(岡山大学大学院自然科学研究科 村岡グループ)
14. 硫酸ガドリニウムによるスーパーカミオカンデ検出器の材料および性能に対する影響 ·· 76
豊田英嗣(岡山大学大学院自然科学研究科 作田グループ)
15. 超臨界状態を用いた遷移金属酸化物の水熱合成と物性 ······························ 78
奥迫俊樹(岡山大学大学院自然科学研究科 花咲グループ)
16. コヒーレント電子揺らぎ型誘電体の研究 ·········································· 80
永田知子(岡山大学大学院自然科学研究科 池田グループ)
17. 有機伝導体結晶の表面分析 ······················································ 82
金美淑(岡山大学大学院自然科学研究科 大嶋グループ)
18. 磁性ガーネット薄膜の表面観察 ·················································· 84
山本陽介(岡山大学大学院自然科学研究科 味野グループ)
19. 空間対称性の破れた超伝導体の組成分析 ·········································· 86
包桂芝(岡山大学大学院自然科学研究科稲田グループ)
47
)
5. 二関節筋の機能をサポートするボディスーツの開発 ································ 58
(
財部健一(岡山理科大学理学部 教授)
連携状況 平成23年1月~3月
4. 硬質性窒化炭素化合物の高温・高圧合成 ·········································· 56
1 _ 1-2
プロジェクトの名称
クマムシの分類と形態学的解析、およびクマムシとコケ類での極限環境耐性の発現
第3
代表教員
三枝誠行(岡山大学大学院自然科学研究科 准教授)
章
協力教員
西村直樹(岡山理科大学自然植物園)
、西平直美(岡山コケの会幹事)
学部/研究科等名
学年
氏名
自然科学研究科
M2
藤井暁子
自然科学研究科
M1
沓名亨
自然科学研究科
M1
細川雄平
マッチングプログラムコース
4年
高畑知枝
マッチングプログラムコース
4年
田中佐季
計画概要
(
指導学生
連携状況 平成23年1月~3月
三宅剛史(岡山県工業技術センター)
)
1.中国地方のクマムシ類(真クマムシおよび異クマムシ)の分類と系統解析
中国地方や九州地方においては、
どのような環境にどんな種類のクマムシが生息しているのか全く分
かっていない。修士課程では、岡山県を中心に、中国地方6県に分布する真クマムシおよび異クマムシ
を採集し、種類を同定するとともに、生息環境についても調査したい。多くの環境を調査することによ
り、中国地方で初記載となる種や未記載種さえも発見できることが期待される。クマムシでは、どの形
質が古いのか、新しいのかが分からないため、形態からは系統関係が把握しにくい。mtDNAの部分的塩
基配列から、クマムシ類の系統関係を研究することができる。
さらに、季節変化の実験中に気付いたことであるが、雤の日と雤の降った数日後でクマムシの個体数
に変化が見られるように感じられた。クマムシ出現数と湿度の変動との相関についても研究したい。
2. 異クマムシの生活史サイクルの解明と「墫」の極限環境耐性の解析
オニクマムシの生活史サイクルは、Suzuki(2003)によって初めて明らかにされた。しかし、異クマ
ムシの生活史サイクルは全くの不明である。真クマムシと異クマムシでは、生活場所の好みがよく似て
いるのか、あるいは大きく異なるのか、を調べてみたい。それらの中で、個体数の多い種類について飼
育を試み、生活史サイクルを明らかにしたい。
もし飼育と生活史サイクルが成功すれば、
「墫」になるかどうかを確かめた上で、真空、窒素置換し
た空気、超高圧、ならびに放射線に対する耐性を研究することが出来るだろう。なお、放射線に対する
耐性実験は、岡山理科大学以外にJAXAと共同研究として実施する。
3. 科学Tryアングル岡山で購入した顕微鏡を使ったクマムシの体内にあるグルコース顆粒の分析
クマムシの体内には、直径5μmほどの小さな顆粒が沢山含まれており、最近の研究では、この小さな顆粒には
グリコーゲンでできており、極限環境耐性の発現に不可欠であるとされている。オニクマムシを用いて、こ
の顆粒が耐性発現の際に増えるのかどうかを計測する。
48
1 _ 1-2
4. 真空耐性や高圧耐性の生理学的機構に関する実験
植物に真空耐性があるのは、長期間呼吸を止める機構が備わっているのかどうか、光合成の有無、呼
吸量の測定など、昨年に続いて予実験を行う。多くのコケ類において、極限環境耐性がどのような機構
分子生物学的研究の足がかりを作ることも目指している。
第3
で発現するのか、その生理学的機構の解明とともに、特にコケ類を用いてトレハロースの合成に関する
章
実施経過
1.中国地方のクマムシ類の分類と系統解析
また、クマムシの出現率を各地点で比較することで、真クマムシと異クマムシそれぞれの分布特性や
生息する蘚苔類の着生基物の傾向を調べた。クマムシの出現数と湿度の違いについての相関は、地域に
おける降雤の量と頻度によるものとして見た場合に、
過去にクマムシの研究が行われている地域と今回
の岡山県の出現数を比較した。
mtDNAを用いた系統的解析はクマムシが材料として微小であることに加えて、種を同定するために封
入しなければならず、この実験に必要な量のクマムシを用意することが出来なかった。また、同親から
産まれた複数の卵を得ることは出来たので、1匹を種の同定に使い、他を飼育して増殖させ、実験に使
おうと試みたが、飼育方法が確立していないこともあり、やはり必要量まで増殖させることが困難であ
り実施できなかった。
2. 異クマムシの生活史サイクルの解明と極限環境耐性の解析
異クマムシの飼育を試験的に行ったが、真クマムシと同様に効率の良い飼育方法の確立が難しく、生
活史サイクルを解明することは出来なかった。
クマムシの極限環境耐性を調べるために、7.5GPaの超高圧をかける実験を行ったが、どの結果でも全
てのクマムシが死滅した。この実験では、最適なクマムシの墫の状態やその方法など、また材料として
のクマムシの飼育も含め、実験方法自体を検討中である。
3. クマムシの体内にあるグルコース顆粒の分析
クマムシの体内の小さな顆粒については、
岡山理科大学のデジタルマイクロスコープを用いて観察が
出来ることが分かったが、他のクマムシの実験と同様、
材料としてのクマムシの確保に困難があるため、
結果を出すには至らなかった。
4. 極限環境耐性の生理学的機構に関する実験
極限環境耐性についての実験は今までコケを扱って行ってきたが、
今回新たにモデル植物であるシロ
イヌナズナも用いて行った。岡山理科大学の高圧力発生装置キュービックアンビルプレスを用いて、シ
ロイヌナズナの超高圧に対する耐性実験を行った。
またコケ類では、
凍結や乾燥に対する耐性と、
その機構の要因として糖があげられていることを基に、
乾燥耐性と糖の関係を採り上げて調べた。コケの実験では、糖量の測定や乾燥耐性の強度の測定に、重
荷岡山県工業技術センターの機器を使用した。
49
)
抽出した。計53地点において蘚苔類を採集し、229匹のクマムシを分類することが出来た。
(
採集となった。クマムシは蘚苔類に多く見られることから、各地点で蘚苔類を採集し、その中のクマムシを
連携状況 平成23年1月~3月
クマムシ類の分類では、中国地方6県から採集する計画であったが、時間的制約のためにほぼ岡山県のみの
1 _ 1-2
教育研究上の成果
1. 岡山県とその周辺におけるクマムシの分布特性
岡山県とその隣県から蘚苔類などの試料を計288点採集し、クマムシの抽出を行ったところ、103点の
で初記録種に、そのうち5種は日本初記録種となった。
われた調査結果と比べ、最も低い出現率となった。このことは岡山県の年間降水量の尐ないことが、活
章
岡山県のクマムシの出現率は35.8%と、過去に富山県(宇津木, 1997)と高知県(石田, 2008)で行
第3
試料でクマムシが発見された。6科11属31種のクマムシを見つけることができ、そのうち19種は岡山県
動に水を必要とするクマムシの個体数と関係すると考えられる。
なく生息することが分かったが、異クマムシは標高1000m以上では見られず、着生基物も圧倒的に樹表
であり、異クマムシの分布特性が判明した。
連携状況 平成23年1月~3月
真クマムシは標高別でも、生息する蘚苔類の着生基物(樹表や土壌、コンクリートなど)別でも偏り
(
高圧力発装置キュービックアンビルプレスを用いて、モデル植物のシロイヌナズナのCol-0系統の種
子を7.5GPaという超高圧に曝露した。1~2時間7.5GPaの圧力をかけても、60-80%の種子が発芽したこと
から、高等植物の種子がこのような超高圧に対してもある程度の耐性を示した。しかし、発芽後の生長
は7-10日で停止し枯死することや、7.5GPaを5時間以上かけると発芽さえしないことも分かった。そし
て詳細な観察と、GUSレポーター遺伝子を用いた実験から、1-2時間7.5GPaをかけた種子の発芽した個体
で、分裂組織での細胞分裂を起こしていないことが確認された。
また、4倍体の種子に超高圧をかけても発芽後の生長において、野生型よりも高い耐性を示し、1時間
7.5GPaをかけた個体では花や種子を形成するまでに至った。このことは4倍体で見られるゲノムの倍加
や組織サイズの拡大などが超高圧耐性をもたらす要因になる可能性を示している。
3. コケ類の乾燥耐性の生理学的機構の解明
乾燥頻度の異なる環境に生息するコケ複数種を用いて、
その乾燥耐性の強度と乾燥に曝したときのコ
ケに含まれる糖量を測定し、乾燥に強いコケと弱いコケで、含まれる糖量にどのような違いがあるか、
また乾燥に伴いどのように変化するかを調べた。コケの乾燥耐性の強度を調べるために、漏出電気電解
質量を使った方法を用いた。
最も興味深い点は、通常は湿潤な環境に生息するコケ2種が、急な乾燥には耐えられなかったが、緩
やかな乾燥は耐えられたこと、そして、緩やかな乾燥時には糖量が増加していたことである。このこと
から、細胞内の糖濃度の上昇と、乾燥耐性能力の上昇が強く関係していることが考えられる。一方で、
乾燥に強いコケとしたうちの1種であるヒジキゴケでは、乾燥する前後でほとんど変わらず、同時に他
のコケと比べてそれ程高くない糖濃度を維持していた。このことは、この糖濃度がこのコケを乾燥に耐
えさせるということを意味するかもしれないが、
ヒジキゴケの他の機能が乾燥耐性の要因となっている
ことも考えられる。
今後の展望
1. クマムシ類の飼育方法の確立
クマムシの研究において、飼育方法の確立が最も優先されるべき事項である。その確立により、生活
史サイクルを含めた生態の解明から、極限耐性機構に関する生理学的実験、mtDNAを用いた系統解析ま
50
)
2. シロイヌナズナを用いた極限環境耐性の解析
1 _ 1-2
で多くの実験が可能になると考えられる。全ての点で、真クマムシと異クマムシの違いは興味深いとこ
ろであり、
そこに注目した上で研究を進めることが両クマムシの系統的な関係を解明することにつなが
ると考えられる。
第3
2. クマムシ類の分布特性
や乾燥頻度の異なる地域で調べることで、日本新記録種が多く見つかることが期待される。
章
分布特性については、日本の尐ない地域でしか行われていないため、気候、特に降雤による湿潤頻度
異クマムシでは生息する蘚苔類の着生基物と、生息する標高が偏ることが判明した。これらのことは
3. シロイヌナズナの超高圧耐性
今回の実験では、超高圧がシロイヌナズナの発芽・生長において分裂組織の活性を抑制することと、
4倍体では比較的に、その抑制がかからないことが判明した。次の段階として、抑制のかかる要素を蛋
白質と遺伝子まで特定することが期待される。また、他の高等植物においても、超高圧耐性を調べるこ
とで、種子の成分組成の違いなどと超高圧に対する強さの違いを求めることにより、その耐性の機構の
要因を探ることが期待される。その結果は、クマムシやコケの極限環境耐性の発現機構のための情報と
もなりえるだろう。
(
だ明らかになっていない異クマムシの生態に関する研究の足がかりになると考えられる。
連携状況 平成23年1月~3月
異クマムシの真クマムシとの生態的な違いに関して重要なことであり、同様の情報が増えることで、未
)
4. コケ類の乾燥耐性の機構
ヒジキゴケの結果からは、単純に糖が乾燥耐性の要因だと断定することはできない。この点から、他
の乾燥耐性をなす要因が存在する可能性があり、生息する環境や形態の異なる他のコケについて同様に
調べることで、他の乾燥耐性に関わる要因を特定でき、より詳細な糖の乾燥耐性に及ぼす影響を解明で
きると考えられる。また、コケ類は真空や窒素置換した空気への曝露に耐えられることが分かっている
が、乾燥耐性の研究が、これらの極限環境耐性の機構の解明にもつながると考えられる。
今回の実験では、全てのコケでスクロースの量が多く、特定の糖が乾燥に対して保護の効果があるか
について実験しえなかった。しかし、モデル植物でもあるヒメツリガネゴケでは、三糖のテアンデロー
スが凍結耐性を最も高めることが示されているので(Nagao et al., 2006)、今回扱ったコケでテアン
デロースが含有されているかを調べることで、コケで普遍的にみられる糖であるか、また乾燥に対する
効果の有無も検討できるであろう。
参考文献
宇津木和夫,平岡照代,布村昇.(1997) 富山県のクマムシ類の分布とコケ類.富山市科学文化セン
ター研究報告,20,57-71
石田観佳子.(2008) 高知県蘚苔類から確認された陸生クマムシ類の分類・生態学的研究.高知大学
大学院修士論文.41pp
Manabu Nagao, Kazuyuki Oku, Anzu Minami, Kaoru Mizuno, Minoru Sakurai, Keita Arakawa,
Seiko Fujiwara, Daisuke Takezawa. (2006) Accumulation of theanderose in association
with development of freezing tolerance in the moss Physcomitrella patens.
Phytochemistry, 67, 702-709
51
1 _ 1-2
プロジェクトの名称
新規な機能性金属錯体の開発とその機能発現メカニズムの解明
第3
代表教員
赤司治夫(岡山理科大学自然科学研究所 教授)
章
協力教員
柴原隆志(岡山理科大学理学部 教授)
、鈴木孝義(岡山大学大学院自然科学研究科(理学系)
・
学年
氏名
岡山理科大学大学院理学研究科
博士(後期)1年
吉田諒一
岡山理科大学大学院理学研究科
修士課程2年
辻井亮人
岡山理科大学大学院理学研究科
修士課程1年
川本圭祐
岡山理科大学大学院理学研究科
修士課程1年
政木翔悟
岡山大学大学院自然科学研究科
博士(前期)2年
山根優希
岡山大学大学院自然科学研究科
博士(前期)2年
高山明日香
岡山大学大学院自然科学研究科
博士(前期)1年
菊間淳志
岡山大学大学院自然科学研究科
博士(前期)1年
横井梓
計画概要
本プロジェクトでは,岡山理科大学および岡山大学の錯体化学関連研究室が連携し,新規な機能性物質の
開発とその機能発現メカニズムの解明をめざした研究を通して,所属している学生および大学院生の視野と
可能性を拡げ,相互の研究室における研究教育活動の充実を図る。
両大学の研究室が取組んでいる研究は、化合物の合成からその物性および反応性の評価までの一連の研究
を,自らの手で行うことができる研究分野であり,物質関連の研究者養成の立場からも最適かつ重要である。
本申請の計画では,お互いの研究室が所有している合成および測定装置を共有し,可能な範囲で共同利用
分析機器についても相互利用を行う。上記記載の指導学生(岡山理科大学大学院生)は,岡山大学にて原子
吸光スペクトルや円二色性スペクトル,元素分析等の測定指導を受ける。一方,岡山大学の大学院生は,岡
山理科大学にて発光スペクトルおよび磁気特性の測定を行い,その測定および解析の指導を受ける。また,
合同のセミナーや研究発表会を年に数回開催し,研究室間の交流を活発に行うとともに,相互の大学院生の
個別研究指導も随時行い,協同指導体制を構築する。
実施経過
本プロジェクトは、概ね計画概要の通りに進行することができた。日常的には共同利用可能な分析装
置の相互利用などにより、個々の学生の研究・教育に大きな成果を挙げることができた。
また、外部からの講師を招いて行った合同セミナーや、合同研究発表会などは、プロジェクトに参加
した学生のみならず、研究室に所属している多くの学生にとっても非常によい勉強の場となった。これ
らのプログラムを通して、学生同士の間でも活発な交流が生まれたことが、本プロジェクトの最も大き
な成果といえる。
52
)
学部/研究科等名
(
指導学生
連携状況 平成23年1月~3月
准教授)
、砂月幸成(岡山大学自然生命科学研究支援センター 助教)
1 _ 1-2
合同セミナー:
加藤昌子先生 (北海道大学)「発光性クロミック金属錯体」7月5日 岡山大学
御厨正博先生 (関西学院大学) 「カルボン酸架橋ルテニウムに基づく分子磁性化合物の探索」
合同研究発表会:
9月21日 岡山理科大学 (プログラムは資料1参照)
第3
1月21日 岡山理科大学
章
教育研究上の成果
領域は各々異なっているため,チームとして連携した場合には,より広範な研究領域をカバーできるこ
とになる。さらに、合同セミナーや研究発表会を計3回開催するなど、協同指導体制の利点を活用した
より多面的な研究指導が行えたことは,効果的に研究を推進するという観点からだけではなく、学生の
連携状況 平成23年1月~3月
本プロジェクトの代表および協力教員はいずれも錯体化学を専門分野としているが,得意とする研究
(
本プロジェクトの活動を通して、各研究室に所属している学生間で研究を通じての自発的交流が活発
になされるようになった。このことは、本プロジェクトによって得られたもう1つの大きな成果であっ
たということができる。
今後の展望
本プロジェクトを実施した結果明らかになったことは、
比較的近い分野で研究を行っている研究室が
連携して学生の教育と研究指導に取組むことによって、
効果的に研究を推進することが可能であること、
広い視野を持った学生の教育が効果的に行えること、などであった。さらに、学生同士が刺激しあう自
発的交流を通して、勉学や研究に対する意欲が高められることも明らかになった。
本事業に参加している岡山大学,岡山理科大学,倉敷芸術科学大学,津山工業高等専門学校内には,
我々の研究室間と同じように比較的近い分野で研究を行っている研究室がいくつか存在していると推測
する。今回のプロジェクトの成果は、これらの研究室の間で連携を益々推進することによって、より効
果的に学生の教育や研究指導を進めていくことの重要性を示したものといえる。
53
)
視野を広げるという点からも有効であった。
1 _ 1-2
プロジェクトの名称
超高圧下の小動物乾燥卵や植物種子の生命探索
第3
代表教員
森嘉久(岡山理科大学理学部 教授)
章
協力教員
小野文久(岡山理科大学 客員教授)、三枝誠行(岡山大学大学院 自然科学研究科 准教授)
氏名
学年
理学部
4年
津尾紀寛
理学部
4年
南部陽大
理学部
4年
横田征爾
計画概要
高圧力下の生物関連物質および生命探索に関する研究は、潜水艇“しんかい”や“かいこう”による海
底6000~7000mの探索に始まり、0.06~0.07GPa(600~700気圧)において新種のプランクトンが次々と発見
されてきた。続いて、たんぱく質、生体関連物質が変質を始める0.3GPa(3,000気圧)以上で、0.6GPa(6,000
気圧)までの範囲の高圧力は食品の高圧殺菌などに利用されるようになってきた。しかし、これらの圧力
をはるかに超えた超高圧領域における生命探索実験はほとんど行われていない。
本研究では、岡山理科大学・理学部4年生(卒業研究)を中心として岡山大学理学部および自然科学研
究科の学生、大学院生の物理系と生物系の学生を交えて研究グループを組織し、プランクトンの乾燥卵や、
コケ類胞子、植物種子などについて超高圧下極限状態における生命維持活動の探索を行う。超高圧を発生
させるにはキュービックアンビルプレスを用い、圧力の静水圧性を保つために液体の圧力媒体として、生
物に無害なフロリナートを使用する。なお、高圧発生装置の指導には協力教員の小野が担当する。プラン
クトンの乾燥卵や国内で身近に生育しているコケ類の胞子や植物の種子を採集し超高圧印加実験を行う。
隕石など宇宙空間の状態を想定して液体窒素を使用した低温における超高圧下生命探索の実験も行う。低
温実験の指導には協力教員の松島が担当する。
加圧後の胞子の発芽状態の観察から、さらにその後の生育状態などを調べて行く。これらの研究により、
非常に強い耐環境性の発現と小動物や植物種子の乾燥状態との関係を対比しながら、超高圧下における動
物や植物の生命探索と、生命維持のメカニズムの解明を目指した研究を行って行く。本研究に対する生物
の試料提供や、実験結果に関する生物学的な考察を三枝が担当することで、物理と生物の境界領域の研究
を進めていく。
実施経過
4年生が配属され、
前期はキュービックアンビルプレスの使用方法や高圧技術や低温技術などの習得を中
心に教育した。またこれまで当研究室にて行ってきた高圧環境下での生物研究の内容を理解させるととも
にその延長上にある実験を行い、その再現性を確かめるとともに更に理解を深めてきた。特に1GPa以上の
54
)
学部/研究科等名
(
指導学生
連携状況 平成23年1月~3月
松島康(岡山大学大学院 自然科学研究科 講師)
1 _ 1-2
超高圧領域では水が氷に転移するため、
内部の組織が破壊されてしまう可能性が示唆されていたが、
クローバー
の種は見事に発芽した。
そこで今回は、新たに普通の種を実験対象に加えた。それは水菜、小松菜、ブロッコリーの野菜の種である。
て、5.5GPaの圧力印加実験を行った。発芽率や成長速度を観察した結果、コントロールと比較すると発芽率は
液体窒素を使用した低温実験の基本的な技術を学生に習得させることを目的に、低温高圧容器を用いて、7.5
章
尐し低くなったが、発芽したものに関してはコントロールと比較しても遜色なく成長している。
第3
これはホームセンター等で買ってきたものであり、水分などの処理はされていないものである。それらに対し
GPaの超高圧を発生させた状態で室温から77 Kまで温度変化させる実験を行った。
温度検出には半導体素子の電
専門の先生方との連携が不可欠なものであった。そのため、指導学生は通常の卒業研究以上に多くの先生
方からアドバイスをもらうことになったので、プロジェクトに参加した学生にとっては非常に教育的なも
のになったと思われる。本研究の実施過程で、岡山大学・三枝研究室の藤井暁子さん、沓名 亨君(大学院
自然科学研究科・博士前期過程2年生および1年生)や、田中佐季さん(MPコース4年生)も動員した。
これらの学生に関しても、高圧下の生命という新しいテーマについて関心を深め、高圧技術を習得させる
ことができた。
本プロジェクトで実験した研究の成果のいくつかは、すぐに学会で発表するに値するものとなり、後述
するように協力教員の連名で数回の学会発表を行った。またその中の1件は、本研究を中心的に行ってき
た学部生の横田君が発表するまでに至った。
4年生が学会発表することは教育上非常に重要な経験であり大
きな成果である。さらに、同君は教員採用試験に合格しており、来年度から高知県の小学校教諭として教
育の現場に立つことになっている。今回の実験を通して、
「生命の起源を考える」ことを中心に、生物学の
手法、超高圧発生に関する物理学的手法、さらに地球深部科学から宇宙空間といった幅広い範囲を視点と
した考察力を養い、物理分野と生物分野、宇宙分野といった複合領域の研究を実施することで「科学の面
白さ」を十分認識出来たので、理科離れがささやかれている小学校現場において児童に科学の魅力を教授
する上で非常に有益な経験であったと確信している。
今後の展望
本プロジェクトにおいて、生物と圧力をキーワードにして研究を行ってきたが、想像以上に生命の不思議
な能力を感じる結果となった。特に今回新たに加えた野菜の種は、現在も成長しており、出来ればそのまま
生育させて種を収穫したいと考えている。そうすれば、高圧環境を耐えてきた次世代の種と普通の種が比較
できるようになり、ますます広がりが出てくると思われる。
これまで高圧実験を行ってきた生物は、クマムシ、アルテミア、チヂレゴケ、クローバー、水菜、小松菜、
ブロッコリーである。高圧容器が非常に小さいため、身の回りにあるもので小さい卵・種子を中心に研究を
せざるを得ないのが現状であるが、ある程度データが揃い出してきたので、今後新たに研究対象として加え
るものとしては、高圧容器の大きさに制限を受けつつも計画的に品種等を選択することが必要である。その
あたりは、今回のプロジェクトによって築かれた岡山大学の先生方との連携を生かして、引き続きアドバイ
スを求めながら物理学と生物学の境界領域の研究を遂行していきたいと考える。さらに圧力の効果を評価す
る方法も、現在の初歩的な手法から分子生物学的な評価方法を取り入れることも考えていきたい。
55
)
本研究は、当高圧科学研究室において物理的・生物的な研究をすることになるので、それぞれの分野の
(
教育研究上の成果
連携状況 平成23年1月~3月
気抵抗を4端子法で測定する方法を用いた。77 Kまでの降温に4時間、室温までの昇温に12時間を要した。
1 _ 1-2
プロジェクトの名称
硬質性窒化炭素化合物の高温・高圧合成
第3
代表教員
財部健一(岡山理科大学理学部 教授)
章
協力教員
山崎大輔(岡山大学地球物質科学研究センター 准教授)
氏名
材質理学専攻博士課程
4年次
寒川匡哉
総合理学専攻修士課程
2年次
隅谷隆洋
計画概要
窒素と炭素の化合物であるβ-C3N4、α-C3N4などはダイヤモンドと同等かあるいはそれ以上の硬度を有す
ると理論予測されている仮想物質である。この理由は、C-N単結合がダイヤモンドのC-C単結合と比較し
て結合長が短いためであると直感的に考えることができる。
このポストダイヤモンド材料として期待さ
れている窒化炭素化合物(β-C3N4、α-C3N4)は、20年にも及ぶ研究にも関わらず、未だ世界的に合成が成
功していない。
最近、我々は大気圧窒素プラズマ法でC3N4HxOyナノ粒子の合成し、そのナノ粒子を高温高圧処理する
ことにより新窒化炭素化合物の合成が可能となることを見出した。この新化合物は、放射光を用いたX
線構造解析、TEM/EDS分析などの基礎物性評価により、斜方晶で、格子定数a=7.6253 Å, b=4.4899 Å,
c=4.0471 Å、空間群Cmc21、化学式はC2N2(CH2)であること、部分的にβ-C3N4で期待されている四面体構
造を持つことが明らかとなってきた。本高温高圧合成はレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル実験装
置(東大・物性研)により実施しており、合成試料サイズは直径100μm、厚み30μm程度と小サイズであ
る。ミリメートルサイズの試料合成が実現となれば、工学的応用を考えた形状加工(バイトなど)
、工
学的硬度(ヌープ硬度、破壊特性など)を視野に入れた研究が可能になると思われる。
岡山大学地球物質科学研究センターではマルチアンビル型高温高圧装置を用いた地球物質の研究、
新
規物質合成が推進されている。本装置を用いることで、ミリメートルサイズの試料合成が原理的には可
能である。現在、我々が目標としている40万気圧、1500度程度の合成環境の実現は、マルチアンビル型
装置にとっても挑戦的目標に入るが、本センターの山崎准教授の指導の下、本試料の合成に挑戦するも
のである。
実施経過
マルチアンビル装置を用いることで、温度・圧力制御ともに安定して実験を行うことが可能になる。
またレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル実験と比較して、試料の増量化も見込める。そこで、高温・
高圧条件の検討、合成試料の増量化を目的に、
これまで数回にわたり岡山大学地球物質科学研究センター
所属の山崎氏の協力の下、マルチアンビル装置を用いた高温高圧実験を行ってきた。結果、30万気圧ま
での圧力領域の実験は再現性良く行うことが可能となり、20万気圧以上、1200度以上の条件で高温高圧
56
)
学年
(
学部/研究科等名
連携状況 平成23年1月~3月
指導学生
1 _ 1-2
処理を行うと、大気圧下にクエンチ可能な結晶性化合物の合成が可能になることがX線回折測定により
明らかとなり、温度圧力条件が次第に明らかになってきた。しかし、合成試料がレーザー加熱ダイヤモ
ンドアンビルセル実験で得られている窒化炭素化合物と同一のものであるかの判定は出来ていない。
現
境を実現するまでには至っていない。これは、実験に使用しているアンビルの素材がタングステンカー
これらのことから、40万気圧の環境を実現するためには、焼結ダイヤモンドアンビルの使用、装置の工
章
バイド(WC)であり、
アンビルの耐久性から考えれば30万気圧はマージナルな環境であることに由来する。
第3
在、合成試料の組成比評価、結晶構造解析などを実施中である。また、我々の目標である40万気圧の環
夫など、より高いノウハウと技術が要求される。現在、この40万気圧の環境の実現を目指して実験を遂
であり、これまで先進的成果を数多く挙げている。この最先端の研究施設において、当該研究センター
所属の教員、ならびに訪問研究者といった有識者から直接指導を受けることができたことは、本研究に
おける目的達成の為の技術習得だけではなく、
研究に対するモチベーションの向上にも繋がる有意義な
ものであった。また、本プロジェクトに参加し、当該研究センターとの共同利用実験を通じて得られた
成果は、これまで幾つかの会議で発表を行っている。これら会議への参加は、県内諸機関の研究者との
交流・コミュニケーションを深め、本研究の意義を強く意識できる絶好の機会となった。
今後の展望
マルチアンビル装置を用いた実験により、次第に試料合成の温度・圧力条件が明らかなものになって
きた。今後、さまざまな条件で実験を行うことで、温度・圧力条件の理解が深まると同時に、合成試料
の増量化も期待できる。なお、ミリメートルサイズの試料合成に成功した際は、ヌープ硬度、破壊特性
などの工学的評価も実施する予定である。
しかしながら、目標とする実験条件の実現、合成試料の評価を行うためには、アンビル装置の工夫な
ど課題も多く残っている。
以上のことから、今後もマルチアンビル装置を用いた系統的な実験を継続的に行いたい。
57
)
岡山大学地球物質科学研究センターはマルチアンビル装置を中心とした高温高圧科学の研究センター
(
教育研究上の成果
連携状況 平成23年1月~3月
行中である。
1 _ 1-2
プロジェクトの名称
二関節筋の機能をサポートするボディースーツの開発
川上雅之(倉敷芸術科学大学大学院人間文化研究科人間文化専攻 教授)
第3
代表教員
章
協力教員
枝松千尋(倉敷芸術科学大学生命科学部健康科学科 講師)
学年
氏名
倉敷芸術科学大学
修士2年
福田克幸
人間文化研究科
修士1年
藤岡亮一
人間文化専攻
計画概要
動物やヒトの四肢に配置されている骨格筋は、1つの関節を跨ぎ1つの関節のみに作用する単関節筋
だけでなく、2つの関節を跨ぎ2つの関節に同時に作用する二関節筋が存在する。二関節筋の機能につい
ては、その冗長性のために近年まで明らかでなかった。しかし、ロボット工学分野におけるコンピューターシュ
ミレーションやモデル実験による検討によって、二関節筋の機能が明らかとなりつつある。現段階では、二関
節筋の役割としては①動力伝達と②力の方向制御が考えられている。一方、スポーツ科学の分野におい
ては速く走るためには臀部及び大腿後面(大殿筋・ハムストリングス)の筋力を鍛えることが有効であること
が知られている。しかし、短距離疾走中の下肢3関節の発揮トルクは足関節が最も大きなトルク発揮を
する。このことは二関節筋の存在から考えると、大殿筋・ハムストリングスの動力が膝関節を経由して足関節
の伸展力へ伝達しているためであると考えられる。
そこで本プロジェクトでは、高齢者の快適な日常生活およびスポーツの競技力向上へ貢献する二関節
筋機能をサポートするボディースーツを開発することを目的とした。腓腹筋機能(膝関節と足関節を跨
ぐ)をサポートするプロトタイプを作成し、その効果について連続ホッピングを行わせて検討したとこ
ろ、RDJindex(ジャンプにおけるバネ指数)が有意に11%向上し、その際のパワー発揮も有意に向上
していた。以上のことから、二関節筋機能をサポートするボディースーツの有効性が実証された。
実施経過
4月~7月
ダイヤ工業担当者とプロトタイプ開発の方向性を検討し、試作した。
7月~8月
プロトタイプを用いて実験データの収集・解析を行った。
8月~10月
プロトタイプの改良を行い、実験データの収集・解析を行った。
第65回日本体力医学会にて他機関の研究者と意見交換を行い、方向性の修正を行った。
58
)
学部/研究科等名
(
指導学生
連携状況 平成23年1月~3月
藤本真作(岡山理科大学工学部知能機械工学科 准教授)
1 _ 1-2
10月~12月
プロトタイプの改良を行い、実験データの収集・解析を行った。
OUSフォーラム2010にて研究発表を行った。
科学トライアングル岡山の教育研究成果中間報告会にて途中経過を発表した。
修士論文の作成を行った。
第3
12月~2月
章
2月~3月
科学トライアングル岡山の教育研究成果発表会にて研究結果を発表した。
この成果は、
近年のマラソンブームにおいても市民ランナーの快適な走りの実現をサポートすることが
できるであろうし、さらに、中高齢者の日常生活においても、よりアクティブな健康生活をサポートす
ることができると考える。
教育研究連携推進に関する効果としては、
今まで倉敷芸術科学大学の川上研究室と岡山理科大学の藤
本研究室は、それぞれが(株)ダイヤ工業との産学連携のプロジェクトを進行していた。今回の科学ト
ライアングル岡山の本プロジェクトによって、
(株)ダイヤ工業を軸としたそれぞれの研究室の連携を
図ることができ、教育研究の融合を推進することで健康・スポーツ分野とロボット工学分野の知見を両
研究室で共有し、人々に役に立つ研究テーマの樹立に貢献できる礎が構築できたと考えている。
また、本プロジェクトを修士論文のテーマとして担当した大学院生にとっては、実際のボディースー
ツ開発に携わることで、ものづくりの最前線で多くのことを学ぶことができた。
今後の展望
今後の研究の方向性としては、ボディースーツの有効性を様々な視点から検証するために、走動作中
のエネルギー代謝や筋活動を計測する。
今後のボディースーツ開発の方向性としては、素材と構造をさらに検討することで、装着しやすく、
より有効なボディースーツの開発を目指す。
平成23年度中にダイヤ工業から商品として発売する予定で
ある。
今後の教育研究上の展望としては、
(株)ダイヤ工業を軸として川上研究室と藤本研究室の連携をさ
らに強め、人々に役に立つ研究テーマの樹立を目指す。そして、学生にものづくりの最前線を経験させ
ることで、問題解決能力の向上を狙うだけでなく、就労意識の向上につながればと考えている。
59
)
に適った構造であるので、
そのパフォーマンスを無理なくサポートすることができることが実証された。
(
本プロジェクトの結果から、
二関節筋の機能を強化する新発想のボディースーツはヒトの動きの原理
連携状況 平成23年1月~3月
教育研究上の成果
1 _ 1-2
プロジェクトの名称
理科教育の教材としての自然観察コースの開発
加藤敬史(倉敷芸術科学大学生命科学部健康科学科 准教授)
第3
代表教員
章
協力教員
高橋亮雄(岡山理科大学総合情報学部生物地球システム学科 講師)
学部/研究科等名
生命科学部 健康科学科
学年
氏名
4年
中井倫太郎
4年
平塚郁美
4年
三好雅之
計画概要
(
指導学生
連携状況 平成23年1月~3月
妹尾護(倉敷芸術科学大学生命科学部健康科学科 教授)
)
本プロジェクトでは,岡山県高梁市成羽町周辺を研究対象として,地形や,地質,化石,野生動物の
観察が可能な,自然観察コースを開発することを目的としている.現行の学習指導要領では,理科教育
の中で,野外に出て自然に触れる体験を取り入れる事を指導しているが,実際の教育現場では,自然観
察のための魅力的素材の開発と,観察可能な場所の選定に大変苦労している.このような教育現場の要
請に応えるため,本申請プロジェクトの対象地域は,高速道路の整備等で岡山県内のどこからでもアク
セスが容易であること,日帰りの観察が可能で,危険の尐ない地域を選定の条件として,自然観察コー
スの開発を計画している.研究対象地域は,
古生代〜新生代までの3億年にわたる地層が分布しており,
石灰岩地帯に特有な化石や地形,
生物など自然観察のための魅力的な素材が豊富に得られる高梁市成羽
町を選定した.本申請では,申請者代表の所属する倉敷芸術科学大学の妹尾教授と,岡山理科大学の高
橋講師と連携して学生を指導し,成羽町羽根を中心に自然体験のためのモデルコースを開発する.モデ
ルコースはこの地域でも特に地形や地層の変化に富み,小規模ながら野生動物の観察ができる鍾乳洞が
分布する羽山渓添いのルート約8kmを中心に作成する.実際には羽山渓に沿って詳細なルートマップを
作成し,周辺の地質と岩石,化石,地形の見所などをピックアップしていく.開発されたモデルコース
は,採集された岩石や化石の標本などとともに,教育委員会や学校へと公開することを計画している.
実施経過
平成22年9月より,本プロジェクト対象地域の羽山渓にて,詳細なルートマップを作成し,岩石薄片
の作成と化石・岩石の同定作業を行い,ガイドマップ作成の基礎資料とした.なお,この調査は現在も
継続している.これまでの取り組みの結果,羽山渓の特徴的な地質現象の観察地点を選定できた.観察
できる地形および地質現象等は,石灰岩地形(鍾乳洞,峡谷),岩脈,逆転構造,不整合,走向傾斜の
測定,石灰岩中の化石(古生代)
,中生代の植物及び貝化石などである.また,その他の自然観察の対
象として,鍾乳洞内に生息する3種の野生動物(翼種目)が観察できる.以上の観察や採集の項目は,
小・中・高校の「地球の成り立ち」または「大地の成り立ち」についての野外授業に利用可能である.理
60
1 _ 1-2
科教育の教育指導要領では,
「地質時代における地球環境については地層に関する野外観察や,実験な
どを行い,地層や化石の調べ方,地層の対比や古環境を推定する方法を扱う.その際,年間計画の中で
は適切な時期に位置付けて行い,その指導に当たっては安全と露頭の保護に留意する.地殻変動では断
分野においては教科書のみでの学習や,実験による演示は難しいが,我々の調査によって,羽山渓周辺
章
には上記の条件の多くの部分を満たす地質現象が観察できる事が明らかになった.
第3
層,褶曲,不整合,岩脈などによって,過去の地殻変動の歴史が推定できることを扱う」とある.この
教育研究上の成果
けることを計画している.自然観察のモデルコースの開発によって,理科教育の現場でこのモデルコー
スが活用され,化石や岩石の採集,地形,野生動物の観察を通して,地球科学の様々な魅力を多方面か
らアピールし,地球科学分野への興味関心が高まることを期待している.また,モデルコースの開発を
通して大学教育の社会還元へつなげていくことが可能である.
教育研究連携に関する効果として,本申請プロジェクトに参加する学生は,両大学の教員の指導によ
り,自然観察の手法と,科学を平易に伝えることについて豊富な知識と経験を得た.また,本研究によっ
て開発した自然観察コースは,倉敷芸術科学大学の加藤・妹尾両研究室が行っている理科教員免許の地
学分野の教育と,岡山理科大学の高橋研究室が行っている博物館学芸員課程の教育に活用可能である.
さらに,
科学Tryアングル岡山の本プロジェクトによって各研究室の設備の共用や人的交流が活性化した.
今後の展望
これまでピックアップできたそれぞれの地質現象に詳細な解説を加え,
自然観察コースのガイドマッ
プとして仕上げ,出版することを計画している.また,作成したガイドマップを使用して,理科教育の
指導者や児童・学生に活用してもらい,アンケートでデータを収集して,分かりやすく,興味がわく内
容に改訂していくとともに,
不足した項目の充実や安全性などについてより詳細に検討を行っていく事
を計画している.
61
)
資する.本プロジェクトの成果は,最終的には教育委員会や県内の学校などに配布し,教育の現場に届
(
ことは,科学Tryアングルの「科学による地域の活性化」
,
「科学を育み,楽しみ,広げる」という目標に
連携状況 平成23年1月~3月
本プロジェクトによって,理科教育の現場で活用可能な自然観察のモデルコースを提示できた.この
1 _ 1-2
プロジェクトの名称
動物福祉の未来を考える
第3
代表教員
古本佳代(倉敷芸術科学大学生命科学部生命動物科学科 講師)
章
協力教員
樅木勝巳(岡山大学自然生命科学研究支援センター 動物資源部門 准教授)
佐々木崇了(倉敷芸術科学大学生命科学部生命動物科学科 助教)
指導学生
連携状況 平成23年1月~3月
古川敏紀(倉敷芸術科学大学生命科学部生命動物科学科 教授)
(
生命科学部
生命動物科学科
学年
3年生
氏名
阿部友紀、井口亜弥乃、今井正大、岩木孝幸、
大西徹哉、金丸大樹、日下愛美、小坂恵
柴原利江、島田詩織、清水彩花、住吉淳
高木あさみ、竹下竜平、野口可奈、藤田昌弘
藤村舞、古田望美、森本真代、守屋真琴
計画概要
生命科学、医歯薬学、獣医学等の教育、研究ならびに試験のためには動物実験は不可欠であり、
「3Rの原
則」は国際的に普及・定着している実験動物の福祉の基本理念である。我が国においても「動物の愛護お
よび管理に関する法律」に3Rは明文化されており、Replacement(動物実験の他手段への置換)、Reduction(使
用動物数の削減)、Refinement(苦痛の軽減・除去や動物の習性に配慮した飼養)に則って動物実験を実施す
ることが適正な動物実験の実施および実験動物の福祉向上につながると論じられている。動物実験を実際
に行う際にはRefinementに十分に配慮する必要があり、これは実験動物の福祉の中核となる理念である。
一方、近年では愛玩動物を家族の一員とする考え方の普及に伴い、より高度な動物医療が望まれている。
動物医療の現場には、3Rの原則のRefinementの理念に近い動物看護、
「疾病で苦しんでいる動物に生きる希
望と力を動物に与え、生まれたそのときから最期の瞬間までその動物種らしく生きることを支援する」と
いう理念が存在しているが、我が国では「実験動物=非終生動物」と「愛玩動物=終生動物」という認識
の違いからか、それぞれの動物福祉への取り組みは違うものとして取り組まれてきたように見受けられ、
動物実験領域に動物看護的な発想や技術が広く浸透しているとは言い難い状態となっている。
そこで本プロジェクトでは実験動物と愛玩動物の2つの分野における動物福祉の考え方を比較検討し、
横
断的に考える。これにより動物実験領域に動物看護的な視点が持ち込めるのか否かを検討すると共に、実
験動物および愛玩動物にまたがる動物福祉への取り組みに関する共通項を見出し、実験動物の福祉を向上
させることを目的とする。
実施経過
本プロジェクトはグループによる調査、発表、ディスカッションを中心に進めた。調査内容は①人と
動物の歴史、②終生飼育動物の福祉、③非終生飼育動物の福祉とし、3グループとした。調査内容はス
ライドにまとめ、発表し、相互のグループ間で意見を出し合った。この意見を元に次の調査を進め、発
62
)
学部/研究科等名
1 _ 1-2
表し、意見を出し合うという取り組みを繰り返し実施した。
この取り組みの中で、
動物実験領域に動物看護的な視点が持ち込めるのか否かを検討するにあたって
課題となる事柄を抽出した。この課題解決のため愛玩動物、実験動物、畜産動物、使役動物、展示動物
岡山大学、岡山理科大学、千葉科学大学、九州保健福祉大学、岡山理科大学附属専門学校、広島アニマ
回収したアンケートは設問内容別に集計し、グループによる解析を行った。有効回答数は597枚
章
ルケア専門学校の学生とした。
第3
に対する動物福祉の考え方についてアンケート用紙を用いて調査した。
調査の対象は倉敷芸術科学大学、
(73.8%)であった。その後グループ別に解析結果を元に発表資料を作成し、考察の異なる部分につい
いう関係がより一層強くなっているのが現在の特徴であり、動物を「まもる」ことで「より良い関係」を
築きながら共生していくことが望まれていることが考えられた。
終生飼育動物の福祉に関する資料の調査では、
「動物の保護・福祉及び行動学に関する指針」では5つの
自由(飢えおよび渇きからの解放、肉体的不快感および苦痛からの解放、傷害および疾病からの解放、恐
怖および精神的苦痛からの解放、本来の行動様式に従う自由)が規定されており、生命維持にかかわるこ
とだけでなく、疾病や精神的苦痛からの自由なども存在することが分かった。したがって、疾病動物の生
活支援たる、動物看護概念「健全な生活環境を整え、日常生活が支障なく送れるよう配慮すること」も福
祉と考えられた。このようなことから、終生動物の福祉の概念は、生命の根源にかかわる部分から、健康
維持、豊かな生活の保障に至るまでの幅広いものであり、福祉の捉え方は様々であると考えられた。
非終生飼育動物の福祉に関する資料の調査では、産業動物および実験動物に対する福祉の考え方には具
体的な内容は異なるものの、
「非終生飼育動物の存在目的が損なわれない範囲内で5つの自由が損なわれる
ことないように配慮する」という共通した考え方が存在していた。産業動物や実験動物は必ずといってよ
いほど殺処分されるため、
これらの動物に対して配慮する福祉は終生飼育動物の福祉とは異なっており、
「動
物の命を尊重する心構えに基づいた対応」を意味するところが大きいのではないかと考えられた。
こられの調査から5つの自由を観点にすると終生飼育動物および非終生飼育動物の福祉には共通している
ことが多いことに気付いた。にも関わらず、調査を通して同じ動物でありながら動物の役割によって「福
祉」の捉え方がポジティブとネガティブに別れた。これは「役割が違う=福祉も違う」という考え方を調
査時に無意識に反映させていたのではないかと考えられた。
アンケート用紙を用いた愛玩動物、実験動物、畜産動物、使役動物、展示動物に対する動物福祉の考え
方の調査では、終生飼育動物および非終生飼育動物いずれにおいても必要であると多くの人が回答したも
のには5つの自由に該当する項目が入っていた。
しかしながらアンケート実施前に行った調査では上記項目
においても動物間に差があったことから、その差の是正が動物福祉向上につながると考えられた。
また非終生飼育動物(実験動物、畜産動物)においては必要ではないとの回答が多かった項目について
は、既に取り組みはされているものの認知度が低い項目と、まだ実施されてはいない項目があった。今後
これらの項目を認知させる、あるいは実施の検討を行うことが福祉向上に動物福祉向上につながるのでは
ないかと考えられた。
63
)
人と動物の歴史の調査では、これまでのような人が動物を「つかう」という関係に加えて、
「まもる」と
(
教育研究上の成果
連携状況 平成23年1月~3月
てディスカッションを繰り返し実施し、本プロジェクトのまとめとした。
1 _ 1-2
今後の展望
本プロジェクトの結果から、終生動物、非終生動物における福祉的取り組みの認識および実際の違いが
明らかとなり、これら具体的な取り組みの中には非終生動物の福祉の向上につながるものもあると考えら
と考える。本プロジェクトをきっかけにはじめる連携をプロジェクト終了後も続け、動物実験分野に新た
章
な考え方を導入できれば、実験動物の福祉向上に広く貢献できる意義を有するものと考えられる。
第3
れた。しかしながら、これはあくまで思索であり、今後は実行と評価を繰り返していかなければならない
連携状況 平成23年1月~3月
(
)
64
1 _ 1-2
プロジェクトの名称
太陽を測る―その質量と直径を求めて―
第3
代表教員
佐藤誠(津山工業高等専門学校一般科目/物理 教授)
章
協力教員
川口建太郎(岡山大学理学部化学科 教授)
生命科学部
学年
3年生
生命動物科学科
氏名
阿部友紀、井口亜弥乃、今井正大、岩木孝幸、
大西徹哉、金丸大樹、日下愛美、小坂恵
柴原利江、島田詩織、清水彩花、住吉淳
高木あさみ、竹下竜平、野口可奈、藤田昌弘
藤村舞、古田望美、森本真代、守屋真琴
(
学部/研究科等名
連携状況 平成23年1月~3月
指導学生
)
計画概要
チャレンジ・ゼミナールは津山高専独自の自発的学習科目で高校の理科探求活動などに類似する.教
員と学生が一緒に未知の内容に挑戦し,研究活動を通じ,論理的な思考,情報の統合・整理,表現の工
夫を学ぶ.
提案プロジェクトは,太陽の質量と直径を,自分で計測確認できる物理量のみを用いて2桁の精度で
求めることを目標とする学生の探求活動である.太陽の質量と直径は,理科年表を開けば高い精度で記
載されている.その値は一体どのようにして知り得たものなのか,先人の智慧と努力を調査し,その知
見と現代のツールを駆使して,目的を達成するためには何を求め,どのような論理の梯子をかけていく
かを自ら計画し,自らの手で測定することで,知の獲得の歴史の一部を追体験する.
計画は前期(4月~9月)の調査と実験計画立案,後期(10月~2月)の計測,分析と報告からな
る.調査をもとに研究の筋道を立てると共に,2桁の精度を達成するために各自の測定に必要な精度を
見積もり,計測器を自ら製作する.
指導教員の予測として,
地球直径の計測と万有引力定数Gの計測が欠かせないものとなると予想して
おり(この他に地球-太陽間距離の直接計測の道筋もある),大仙山頂からの水平線俯角測定のための
フィールドワーク,西播磨天文台での天体観測合宿研修を計画している.万有引力定数Gの決定に関し
てはキャベンディッシュの方法以外の可能性を協力教員の指導のもとで探索する.
実施経過
6月 太陽の質量と直径を求めるためのシナリオを作成.川口研究室を訪問.シナリオを説明し,助
言をもらう.シナリオの修正と方法の再検討を実施.
8月 西播磨天文台で太陽物理の講義を受ける.朝夕の太陽光の周波数シフトから地球半径を求める
ことは困難と判断.
65
1 _ 1-2
9月 水平線俯角測定の準備計測法の確認とツールの開発
11月 大山登山による水平線俯角測定.予想より俯角が小さいことが判明.
12月 GPSによる緯度経度測定と直線距離から地球半径を測定.誤差-2%
1月 半月の写真から読み取った太陽光の角度と月軌道半径から地球の公転半径を推定
2月 得られた結果から,太陽の質量と直径を推定.質量は1桁低く見積もられ,直径のオーダーは
章
キャベンディシュの実験による万有引力定数Gの測定
第3
月食の写真から月軌道半径を測定
一致.目標の精度には遠く及ばなかったが,シナリオに沿った一連の計測を完了した.
径)が如何にして得られたのか,先人の工夫や努力を同じ目的意識を持って自ら調べる中で学び,現代
の技術を活用し自らの工夫を加えることで,単に先人の真似をするに留まらずに,独自性のある手法で
目標に近づく姿勢を体得できたものと評価している.
最終目的である太陽の質量と直径を求めるには,どのような物理量が必要で,どの程度の精度で測る
必要があるのか,
そのためにはどのような計測器が必要か,
そのためには何を準備すれば良いのかといっ
た段取り(実験計画)を立てることで研究デザイン能力を育むことができた.
いつもは教室や実験室に閉じこもる物理の学習も,場合によっては,フィールドワークが必要である
ことを本プロジェクトにより体験的に学んだ.天文台での合宿研修により,太陽や惑星についてより身
近に感じ,最前線の研究者による講義からさらなる興味が湧いたものと思う.
星間物質の専門家である岡大・川口教授からの講義,助言,研究室紹介により参加学生のスペクトル
分析についての学習が進んだ.
今後の展望
太陽質量と直径を2桁の精度で推定することを目標にしていたが,
実際に計測を行うと,
月軌道半径,
地球軌道半径の決定が極めて難しいことに気付いた.これらの距離の測定に関しては,今年度考案した
方法の精度を高めるとともに,新たな方法の創出も必要と考えている.水平線が高度による空気密度の
変化の影響で高く見えることが判り,今後,角度の補正方法を確立し,再度測定にチャレンジする予定
である.万有引力定数の測定は市販の実験装置によるが,今年度は時間的な制約で計測方法の検討が足
りなかった.次年度の取組で誤差を減らす工夫を行い,2桁の精度で求めることを目指す.また,万有
引力定数の他の測定方法についての検討も継続する.23年度の活動で,最終目標である2桁の精度で太
陽の質量と直径を求める.
66
)
参加した学生は,教科書やハンドブックに掲載されている数値(本プロジェクトでは太陽の質量と直
(
教育研究上の成果
連携状況 平成23年1月~3月
3月 津山高専学内および大阪府立高専での成果報告.連携推進プロジェクト成果報告会.
1 _ 1-2
プロジェクトの名称
生体の視覚モデルに基づく動画像処理用電子回路の構築
西尾公裕(津山工業高等専門学校電気電子工学科 准教授)
第3
代表教員
章
協力教員
古川敏紀(倉敷芸術科学大学生命科学部生命動物科学科 教授)
氏名
電気電子工学科
本科5年生
山崎匠弥
電気電子工学科
本科5年生
近藤康之
計画概要
本研究では、網膜・脳の情報処理に基づき、瞬時に動画像を処理する電子回路を考案する。これまで
は、初期視覚モデルに学んだ電子回路であり、簡単な機能を実現してきた。本研究では、これを基に、
より高度な機能(対象物の追跡や衝突防止など)を追加する。そこでは、生体の優れた情報処理と同様な
処理を行う電子回路を構築することを目指す。よって、電子回路化が可能な視覚に関するモデルを検討
し、電子回路化・システムの構築を行う。以上の研究を以下のような計画で行う。
5月
第1回打ち合わせ会 (これまでの研究内容や視覚モデルについて)
視覚モデルの検討・決定
6月
電子回路の提案 (電子回路シミュレータによる評価)
8月
第2回打ち合わせ会 (提案回路の進行状況と検討、回路と視覚モデルの比較)
9月-2月 テスト回路の作製と評価
(10月,11月に学会発表予定
回路のシミュレーション評価までを発表予定: 第3回打ち合わせ会)
3月
第4回打ち合わせ会 (まとめ)
学会発表 (全国大会)
実施経過
以下、実施内容である。
5月25日
打ち合わせ会
これまでの研究内容および視覚システムについて
6月-7月
打ち合わせ会の内容をもとに電子回路化
シミュレーションによる評価、回路の作製および実験
8月
第12回IEEE広島支部学生シンポジウム(HISS)の原稿作成
9月-10月
回路とロボットを接続したシステムの構築
11月6日
第12回IEEE広島支部学生シンポジウム(HISS)で発表 (発表者:近藤 康之)
11月-12月 システムの実験
国際会議 (16th International symposium on artificial life and robotics)の原稿作成
67
)
学年
(
学部/研究科等名
連携状況 平成23年1月~3月
指導学生
1 _ 1-2
1月29日
16th International symposium on artificial life and roboticsで発表
(発表者:山崎 匠弥)
2月
研究内容のまとめ
打ち合わせ会の回数を減尐し、e-mailでのやり取りを数回行った。これはお互いの時間の都合がうま
第3
計画を変更した点は以下のとおりである。
く合わなかった点と、第1回の打ち合わせ会で、十分な成果を得ることができる打ち合わせを行うこと
章
ができたからである。
3月に予定していた学会発表を中止し、1月に国際会議で発表した。これは予定より早く研究が進んだ
打ち合わせ会では、まず、指導学生にこれまでの研究内容を協力教員の前で報告させた。このような
発表の機会を設けることで、
プレゼンテーション能力が向上したと考えられる。打ち合わせ会において、
協力教員には、視覚に関する内容について話をしていただいた。高専学生にとっては、新鮮な内容であ
り、学生の視野を広げることができた。また、視覚に関する新鮮な内容を聞くことにより、モチベーショ
ンが向上したため、今年度はスムーズに研究を進めることができた。
本研究がスムーズに進行したため、国内学会や国際会議で発表することができた。これにより、学生
(
教育研究上の成果
連携状況 平成23年1月~3月
ためである。
のプレゼンテーション能力が向上した。また、国際会議で発表することで、英語の勉強にもなったと考
と考えられる。
今後の展望
本研究では、基本的な電子回路を構築することができた。その機能は、物体の方向検出である。今後
は与える画像の解像度を上げても良好に動作するように回路を設計し、検証する予定である。
本研究では、考案した電子回路をロボットの視覚センサとして使用できることを示した。本回路は移
動体の衝突防止システムや対象物追跡システムなどさまざまな分野での応用が期待できる。
今後はこの
ような応用でも適用できることを示していく予定である。
本研究では、新しい電子回路が考案できた。このような新しい電子回路を今後、授業などで紹介して
いく予定である。
68
)
えられる。本研究で、学生にある程度の成功体験をさせてやることができたので、今後のためになった
1 _ 1-2
プロジェクトの名称
単膜化した鉄シリサイド薄膜の電気的・光学的測定
中村重之(津山工業高等専門学校電気電子工学科 准教授)
第3
代表教員
章
協力教員
財部健一(岡山理科大学理学部 教授)
氏名
電子情報システム専攻
2年
林潤一
電気電子工学科
5年
鑓屋竜
計画概要
β-FeSi2は、
無毒で豊富な鉄とシリコンを原料とする化合物半導体で、
シリコン基板上へエピタキシャ
ル成長が可能であるのでSi基板上の発光・受光素子材料として期待されている。しかし、Si基板上へ成
長したFeSi2本来の特性は、シリコン基板の影響を受けるため、知ることが困難であった。申請者らは、
シリコン基板をエッチングによって取り除き、FeSi2だけを取り出すこと(以下、単膜化という)に成
功し、このことによってシリコン基板に成長させたFeSi2の、FeSi2だけの特性の測定が可能となった。
本研究の目的は、単膜化したFeSi2の特性を測定することによって、シリコン基板上へ成長したFeSi2の
本来の物性を知り、今後の応用に向けての基礎データを得ることである。電気的特性については、測定
温度を極低温から室温程度にまで変化させながらホール測定を行い、キャリア密度、移動度、抵抗率の
測定温度依存性から、
不純物準位やキャリア散乱機構などのキャリア輸送メカニズムを明らかにするこ
とが目的である。光学的測定では、Si基板発光の影響のないβ-FeSi2発光特性や、透過率の測定を行い、
禁制帯幅や光吸収係数を見積もり、
試料が直接遷移型半導体か間接遷移型半導体かを明らかにすること
が目的である。薄膜の作製方法には、対向ターゲット式スパッタ法とMBE法を用いる。これらの装置
の内、光学測定装置と対向ターゲット式スパッタ装置は協力教員が所有しているので、指導学生は提携
機関に出向いて成膜や測定を行う。
MBE法によって作製された鉄シリサイド膜は筑波大学から提供い
ただける。
実施経過
4月-7月
ターゲットを購入し、岡山理科大学所有の対向ターゲット式スパッタ装置に取り付け、製膜実験を
行った。
作成した薄膜から基板をエッチングすることによって鉄シリサイド膜だけを取り出し
(単膜化)ホー
ル測定を行った。得られたホール電圧からキャリア密度と移動度を計算した。
ホール電圧が磁束密度に比例することを確認したのち、
測定温度を50Kから室温まで変化させてホー
ル電圧を測定し、キャリア密度と移動度の温度特性を計算した。
これまでの成果をシリサイドの国際会議(APAC-Silicides2010,Tukuba,July 24-27)発表した(林)。
69
)
学年
(
学部/研究科等名
連携状況 平成23年1月~3月
指導学生
1 _ 1-2
8月―2月
製膜条件を変更し、組成比(薄膜に含まれる鉄とシリコンのモル比)を変更したいくつかの膜につ
いて前半と同様な測定を行い、キャリア密度と移動度の温度特性の組成比依存性を得た。
表した(鑓屋)。
第3
得られた成果を計測自動制御学会中国支部津山地区計測制御研究会平成22年度学術講演会にて発
章
教育研究上の成果
本プロジェクトでは、以下のような教育上、研究上の成果があった。
1.本校では教育不可能な技術の習得
岡山理科大学と提携することによって本校には無い装置を利用でき、そのことによって本校では
教育が不可能な技術の習得が可能となった。
連携状況 平成23年1月~3月
教育上の成果
(
2.協力教員による高度な教育
協力教員による半導体物性に関する高度な教育。
3.外部の期間と協力することによるコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力の向上
外部の研究者と研究に関して密接に連絡しあい、そのことを通じて、コミュニケーション能力、
プレゼンテーション能力の向上が見られた。
)
研究上の成果
本研究で、これまで明らかにされてこなかったSi基板上のFeSi2のキャリア密度と移動度の温度特性
が明らかになった。禁制帯幅が0.16eVと見積もられた。
今後の展望
ホール電圧の温度依存性が得られたが、そのデータから不純物準位の特定までには至らなかった。そ
の理由は、不純物領域まで測定温度をさげることができなかったからである。今後は、より低温で測定
できるよう冷凍機を改良し測定する予定である。
高温領域での測定から禁制帯幅が0.16eVと見積もられたが、この値はバルクのβ-FeSi2の値(0.87eV)
に比べ、非常に小さいので、その理由を考察する。
移動度の温度変化から散乱機構の見積もりを試みたが、理論と大きくかけ離れているので、その理由
を考察する。
70
1 _ 1-2
プロジェクトの名称
組合せ最適化アルゴリズムの高度化とその応用研究に関するプロジェクト
第3
代表教員
舩曵信生(岡山大学大学院自然科学研究科 教授)
章
協力教員
片山謙吾(岡山理科大学工学部情報工学科 准教授)
学部/研究科等名
学年
氏名
岡山大学・
修士2年
河野広貴
大学院自然科学研究科
修士2年
松島由紀子
修士1年
清水淳基
修士1年
福山裕輝
学部4年
谷口詩歩
(
指導学生
連携状況 平成23年1月~3月
中西透(岡山大学大学院自然科学研究科 准教授)
)
計画概要
岡山大学・舩曵研究室では,ネットワーク分野,生活支援分野などにおける現実的問題のモデル化・
組合せ最適化問題としての定式化と,そのシミュレーションモデルによる評価,Webを用いた実証シス
テムの開発・運用を行っている.岡山理科大学・片山研究室では,様々な組合せ最適化問題に対するア
ルゴリズム,特にヒューリスティックと呼ばれる,高速に高精度の近似解を求めることが可能な解法の
研究を行っている.本手法は,対象とする問題に応じて柔軟な適用が可能であり,現実的問題における
複雑な制約条件や評価関数に対して対応可能である.
本プロジェクトでは,上記に示す,両者の長所を互いに生かすことで,シナジー効果を生み,組合せ
最適化アルゴリズムの更なる高度化,その工学分野・生活支援分野などでの応用に関する研究を飛躍的
に発展させることを狙いとしている.すなわち,①舩曵研究室では現実的問題のモデル化,組合せ最適
化問題としての定式化を行う.それに対して,②片山研究室では従来より提案しているアルゴリズムの
改良・発展により,そのアルゴリズムを提案する.そして,その結果を受けて,③舩曵研究室で実証シ
ステムの開発を行う.このサイクルを確立することで,本目的を達成する.
本プロジェクトの具体的な推進方法として,以下の3項目を推進する.
(1)定期的研究交流会の開催
(2)研究会・シンポジウムでの発表
(3)学生の研究室派遣
実施経過
事業計画書に記載した本プロジェクトの3項目の推進方法について,実施経過を記載する.
(1)定期的研究交流会の開催
舩曵研究室・片山研究室の研究交流会を計3回開催した.
71
1 _ 1-2
1回目:6月21日(岡山理科大学)
2回目:9月7日(岡山大学)
3回目:12月17日(岡山大学)
以下のその他(論文や学会発表等の成果)に示すように,第12回IEEE広島支部学生シンポジウム(11
通信学会・ネットワークシステム研究会(12月16日~17日岡山大学)の3つの研究会・シンポジウムに
章
月6日~7日島根大学)
,電子情報通信学会・人工知能と知識処理研究会(11月19日九州大学)
,電子情報
第3
(2)研究会・シンポジウムでの発表
おいて,研究成果の発表を行った.
究費獲得のための申請」に関しては,現在のところ,具体化できていないことが課題である.
教育研究上の成果
岡山大学・舩曵研究室および岡山理科大学・片山研究室の両者間で,教員間のみならず,学生間の直
接的な研究交流・共同研究を行うことで,異なる大学,異なる研究室間の交流による,互いに切磋琢磨
する環境の構築できたと考える.
同一研究室内での活動のみでは,
慣れと共に惰性的になりがちである.
それに対して,異なる研究室間の交流を定期的に持つことは,その機会毎に異なる視点からの大きな刺
激を受け,惰性の打破に有効であった.同時に,学生が卒業後,実社会で重要となる,異なる組織間で
の協調性を身に付けることも実現できた.
今後の展望
本プロジェクト終了後も引き続き,岡山大学・舩曵研究室および岡山理科大学・片山研究室間の研究
交流活動を継続し,本プロジェクトで得られた研究成果の更なる発展や新しいテーマの発掘,それらを
ベースとした,共同での財団・科研費など研究費獲得のための申請などに取り組んでいく予定である.
72
)
以上,ほぼ計画通りに順調にプロジェクトを進めることができたが,共同での「財団・科研費など研
(
上記研究交流会の後に,個別の研究指導も行った.
連携状況 平成23年1月~3月
(3)学生の研究室派遣
1 _ 1-2
先端科学機器を活用した研究の名称
新鉄系超伝導体Ca-Fe-Pt-As系の組成分析
第3
代表教員
野原実(岡山大学大学院自然科学研究科 教授)
章
協力教員
工藤一貴(大学院自然科学研究科 助教)、卞舜生( 大学院自然科学研究科 助教)
連携状況 平成23年1月~3月
指導学生
氏名
大学院自然科学研究科
M2
檀浦匡隆
大学院自然科学研究科
M1
垣谷知美
大学院自然科学研究科
M1
西窪義博
理学部物理学科
B4
小林正和
理学部物理学科
B4
高須賀政哉
理学部物理学科
B4
中野誠也
理学部物理学科
B4
松村純一
)
学年
(
学部/研究科等名
計画概要
東京工業大学の細野らによるLaFeAsO1-yFx(ZrCuSiAs型)における
転移温度Tc = 26 Kの超伝導発見を契機に、様々な型の鉄系超伝導
体が開発された。例えば、(Ba,K)Fe 2As 2 (ThCr 2Si 2型)、LiFeAs
(CuSb2型)等である。
これらは共通してFeの二次元正方格子を持ち、
Fe面で超伝導を発現する。
我々は、より高い転移温度を得るため新しい型を持つ鉄系高温
超伝導体の開発を試み、Ca、Fe、Pt、Asの4元系においてTc = 38
Kの超伝導を発見した(図1)。粉末X線回折の結果は、この超伝導
体が鉄系超伝導体のどの型にも属さない新しい型であることを示
唆した。本研究では、SEM-EDXを用いて組成分析を行い、この新超伝
図1:Ca-Fe-Pt-As系新超伝導体に
おける磁化の温度依存性.
導体の組成を決定する。
実施経過
(1)新鉄系超伝導体の組成の決定
1 mm×1 mm×数100μm程度の単結晶試料を合成し、SEMによる表
面観察とEDXによる組成分析を行った。図2はTc = 38 Kを示す単
結晶試料のSEM像である。結晶表面で組成分析を行った結果、試料
の組成比をCa : Fe : Pt : As = 2 : 2 : 1 : 4と決定すること
が出来た(表1)。この組成比を持つ鉄系超伝導体はこれまで報告
されていない。
図2:Tc = 38 Kを示す単結晶
のSEM像.
73
1 _ 1-2
(2)鉄系超伝導体の新しい型
SEM-EDXによる組成分析、電子顕微鏡観察、X線構造解析の結果をあわせて検討した結果、化学式を
[Ca2PtAs2][Fe2As2]と決定することが出来た。さらに、この化合物はこれまで報告された鉄系超伝導体
SEM-EDXによる組成分析の結果をフィードバッ
表1:Ca-Fe-Pt-As系新超伝導体の組成比とTc.
Ca
Fe
Pt
As
Tc
A
22.65
21.36
10.57
45.42
15 K
B
22.44
21.38
11.66
44.51
29 K
C
21.67
23.69
11.02
43.64
38 K
クして合成を進めた結果、[Ca2PtAs2][Fe2As2]系
には、尐なくともTc = 15 K、29 K、38 Kを示す
3つの相が存在することが分かった
(表1)
。
連携状況 平成23年1月~3月
サンプル
章
(3)Tcの異なる3つの相
第3
のどの型に属さない新しい型の結晶構造を持つことが分かった。
(
教育研究上の成果
研究の一部にSEM-EDXを使用した大学院生が下記の学会講演、論文発表を行った。
・物理学会での講演:3件
・第一著者として発表した学術論文:1件
研究の一部にSEM-EDXを使用した学部学生、大学院生が下記の学位を取得見込みである。
・修士:1名
)
・学士:4名
今後の展望
さらに高い転移温度を示す鉄系超伝導体を開発するために、下記2つについて取り組む。
(1)[Ca2PtAs2][Fe2As2]へ元素ドープしてキャリア濃度、結晶構造を最適化する。
(2)[AE2TMAs2][Fe2As2](AE:各種アルカリ土類金属、TM:各種遷移金属)を合成する。
共に、SEM-EDXによる組成分析を行って合成にフィードバックさせることが必須である。
74
1 _ 1-2
先端科学機器を活用した研究の名称
機能性物質の創製と特性評価
村岡祐治(岡山大学大学院自然科学研究科 准教授)
章
指導学生
4年
氏名
平松千明
計画概要
我々は新物質開発研究の一環として、薄膜作製装置を独自に建設し、この装置を用いた物質作製を行っ
ている。本研究計画では、最近立ち上げたホットフィラメント化学気相法装置を用いて作製したダイヤモ
ンド膜の品質評価を、SEMなど先端科学機器により行うことを目的とする。
また、ホウ素をドープしたダイヤモンド膜の、ホウ素量に伴うダイヤモンド粒形状の変化についても調
べる。
連携状況 平成23年1月~3月
理学部
学年
(
学部/研究科等名
第3
代表教員
)
実施経過
立ち上げたホットフィラメントCVD法装置では、
不純物の原料として気体のみならず溶液の使用が可能と
なっている。これにより、ドープする不純物元素の種類が増えるように工夫がされている。本研究ではメ
タンガスを用いて作製した純粋ダイヤモンド膜と、ホウ酸トリメチル溶液を原料にして作製した高濃度ホ
ウ素ドープダイヤモンド膜について実験を行った。なお、用いた基板はSi(100)およびダイヤモンド(111)で
ある。これらの膜について走査顕微鏡観察により粒形状、大きさ、等の観察を計画通りに実施した。
教育研究上の成果
走査顕微鏡観察により我々の装置で作製した純粋ダイヤモンドは2-3ミクロンの粒子サイズを持つことが
わかった。また、ホウ素ドープ量の増加に伴い、ダイヤモンドの粒径は小さくなることがわかった。これ
より粒子サイズを評価することでダイヤモンドにホウ素がドープされているかどうかを判定することがで
きることがわかった。
本プロジェクトにより走査顕微鏡の取り扱い方を習得したことで、学生の研究の幅が広がった。学生が
この装置を用いて自为的に研究を遂行できる能力を身につけたことが、一番大きな成果である。
今後の展望
今後も立ち上げた装置を用いて作製したダイヤモンド膜の評価を走査顕微鏡観察により行う。
最近、ホウ素を高濃度ドープしたダイヤモンドで超伝導が現れることが報告された。その後、マイクロ
波プラズマ化学気相法により、より高濃度ホウ素ドープに成功し超伝導温度が10Kを超えるに至った。と
ころが最近、ホットフィラメント化学気相法により作製されたダイヤモンド超伝導膜では、マイクロ波プ
ラズマ化学気相法製の膜よりも低キャリア濃度で高い超伝導転移温度が現れることが報告された。ホット
フィラメント化学気相法製の膜とマイクロ波プラズマ化学気相法製の膜の走査顕微鏡観察を行い、粒子形
状などから特性の違いについて知見が得られるかどうか調べたい。
75
1 _ 1-2
先端科学機器を活用した研究の名称
硫酸ガドリニウムによるスーパーカミオカンデ検出器の材料および性能に対する影響
第3
代表教員
作田誠(岡山大学大学院自然科学研究科 教授)
章
指導学生
学部/研究科等名
修士2年
氏名
豊田 英嗣
数理物理科学専攻(物理系)
連携状況 平成23年1月~3月
自然科学研究科前期課程
学年
(
計画概要
超新星爆発によりニュートリノが発生する。
過去に起こった超新星爆発により発生し,現在も宇宙を飛び交っているニュートリノを
)
超新星背景ニュートリノと呼ぶ。 スーパーカミオカンデ(SK)で観測を目指している。
図に示したプロセスでニュートリノを観測する.このとき硫酸ガドリニウムを使用するが,その
成分分析に SEM/EDX を用いる.
実施経過
SEM/EDX装置により硫酸ガドリニウムの分析,観察を行い,ベストの使用形態を探索した.
以下に示すのは,SK 実験の予備実験システムである 200トン検出器である.
76
1 _ 1-2
教育研究上の成果
化合物の決定
ガドリニウムは全元素中、中性子捕獲断面積が一番大きい。
第3
Gd(NO3)3
Gd(C2H3O2)3
GdF3
調査中
ステンレスの腐食
吸光
吸光
吸光
レーション結果。濃度の検証が必要(目安は0.2%)
参考:三野修士論文
図に示すようにGd中性子捕獲確率をシミュレーション決定できた.
今後の展望
ガドリニウム使用に関して以下のような結果が得られている,
すなわち硫酸ガドリニウムの濃度は0.1%
付近で一番吸光度が高いので,吸光度の尐ない0.2%程度が望ましい。
これらの結果をもとに 今後 200トン検出器による実証実験により最終確認を行う。
77
連携状況 平成23年1月~3月
Geant4によるガドリニウムの中性子捕獲確率のシミュ
)
GdCl3
章
Gd2(SO4)3
(
使用するガドリニウム化合物は硫酸化合物が最有力候補。
1 _ 1-2
先端科学機器を活用した研究の名称
超臨界状態を用いた遷移金属酸化物の水熱合成と物性
花咲徳亮(岡山大学大学院自然科学研究科 准教授)
章
指導学生
学年
氏名
修士2年
奥迫俊樹
理学部
学部4年
徳山達郎
計画概要
連携状況 平成23年1月~3月
自然科学研究科
(
遷移金属酸化物は、高温超伝導や磁気抵抗等の巨大応答等が実現されてきた物性の宝庫である。この遷
移金属酸化物の合成と物性探索を通じて、学生に物づくりの楽しさを味わってもらうことを教育・研究の
目標としてきた。物質合成には失敗が付き物である。失敗に際して、なぜ失敗したかをしっかり考えても
らう事は不可欠である。そのためにも、出来た物質の情報を客観的に調べて、判断する姿勢を養うことが
重要となってくる。
“
「科学Tryアングル岡山」で整備されたSEM、EDX”は、上記の観点において極めて強力
な装置であり、合成した物質を評価する上で大変役立った。次に合成条件をどのようなものにするかを学
生が自分で決める上で貴重な指針を与えてくれた。合成→“物質評価”→条件の改良→合成 のサイクルを
繰り返していくうちに、学生の予想通りに物質ができた時に、彼らなりに喜びを感じてくれたと思う。こ
のような小さな成功体験が、今後の彼らの自信につながっていくのだと思う。
本研究では、熱電効果を巨大化する事および、超伝導状態を向上させる要因を見出す事を目標としてい
た。これらの目標を達成する上で、軌道自由度を活用する事、バンドフィリングを操作する事は極めて有
効である。また、三角格子系等の対称性が高い結晶系を作成することで、フラストレーション効果の活用
も期待される。具体的には、水熱合成によってタングステン系やバナジウム系の遷移金属酸化物を作成し
て、輸送特性を調べる事を本研究では行った。
実施経過
本研究では、水熱合成によって遷移金属酸化物を作成して、物性開拓を行った。水熱合成の利点として
は、高温高圧下で合成することにより、三角格子等の物質を作成しやすい事、水の超臨界相を用いる事で
良質かつ比較的大きな単結晶を育成できる事、2000気圧・800度という極端条件であることから新
物質も期待できる事、貴金属の封管中で合成する事から還元雰囲気下の合成が可能であり、特に、軌道縮
退効果が期待されるt2g系の遷移金属酸化物の合成が容易となる事が挙げられる。さらに、アルカリ金属は
飛散しやすく、一般的に扱いが厄介であるが、アルカリ金属の水酸化物を用いることで容易に合成できる
事も大きな特徴である。
本研究では、t2g系の遷移金属酸化物として、タングステン系等の物質を合成した。タングステン系酸化
物では、カゴメ格子を有する物質を得た。カゴメ格子の6角形の空間にアルカリ金属を導入することで電
子ドープを行い、試料を金属化することができた。その際、アルカリドープ量を「科学Tryアングル岡山」
のEDX装置で高精度で評価した。熱電特性は、ゼーベック係数の測定を行うとともに、ハーマン法を用いて
性能指数ZTの測定を行った。また、7K付近において超伝導転移を観測したが、これは以前の報告とほぼ一
致するものであった。
78
)
学部/研究科等名
第3
代表教員
1 _ 1-2
教育研究上の成果
タングステン系酸化物では、アルカリドープによって金属化している。試料に含まれているアルカリ
金属元素の量を「科学Tryアングル岡山」のEDX装置で精密に評価したが、ドープ量がこれまでの報告に
減らして、フェルミレベルをバンド端に近づけるにつれて熱電効果が増幅されることを見出した。この
であり、実用に供するほど効率ではなかった。
章
増加は、バンド端付近で状態密度が大きくなるためと考えられる。ただ、性能指数ZTは最大で0.03程度
第3
比べて、水熱合成による試料では広い範囲でドープ量を制御できる事が分かった。アルカリ金属の量を
また超伝導転移が7K付近で観測されるが、この超伝導状態は水分に極めて敏感であり、水分が超伝導
きたと思う。超臨界状態という極端条件下における水熱合成ということで、最初のうちはなかなか合成
に成功しなかった。その際、EDX等のデータを用いて、なぜ失敗したかをしっかり学生に考えてもらう
事を通じて、次へのステップを踏み出せる胆力が学生に付いてきたと感じる。
今後の展望
今回の研究で合成したカゴメ格子を有するタングステン酸化物では、
超伝導転移温度が水分に敏感で
あった。水分が電子構造にどのような影響を与えているかを精査する必要がある。まず、水分を含む状
態と含まない状態における結晶構造の差異を詳細に調べていきたい。また、キャリアーが変化している
かを調べるために、ホール効果とゼーベック効果を測定していきたいと考えている。カゴメ格子では六
角形の空孔があり、そこに水分子が物理的に吸着されると考えられる。水以外の分子も空孔に吸着され
る可能性がある。酸化性・還元性を有する分子を化学的に吸着させることで、フィリングをより自由に
制御できる可能性もある。
今回の研究では、タングステン系酸化物を水熱合成してきたが、その他のIV~VI族の遷移金属酸化物
も有望な研究対象である。最近、マグネトプランバイト構造を有するバナジウム酸化物の新物質も実際
合成できており、今後の研究展開に期待が持てる。
大学卒業後に、学生皆が物理に関係する職業につくわけではない。しかし、装置作り、物質合成の経
験によって培われた(広い意味での)経験・自信は、社会に出た後に出くわすであろうハードルを克服
する上で、役立つはずであると考えている。
79
)
この遷移金属酸化物の合成と物性探索を通じて、学生に物づくりの楽しさを味わってもらうことがで
(
尐するが、室温で試料を水につけると転移温度が元の高い転移温度に戻るのである。
連携状況 平成23年1月~3月
転移温度を向上させる場合がある事を見出した。大気中100度で試料をアニールすると転移温度が減
1 _ 1-2
先端科学機器を活用した研究の名称
コヒーレント電子揺らぎ型誘電体の研究
池田直(岡山大学大学院自然科学研究科 教授)
第3
代表教員
章
協力教員
狩野旬(岡山大学大学院自然科学研究科 講師)
修士2年
氏名
永田知子
大石大輔
福山諒太
理学部
4年
深田幸正
計画概要
我々のグループは,電子相関効果を繰り込む形による誘電体物性研究を行っている。ここでは,
1) 電荷競合による極性な電荷秩序を示す物質
2) フォノンソフト化で自発分極が生成される物質の分極緩和状態において,特異な電子揺動状態
を探り,そこに見られる特異な物性を見いだすこと,それを引き出す応用の提案,またミクロ
な電子状態の解明を目的とした。
実施経過
本年のうちに,以下の知見を得た。
1) 鉄スピンー軌道—電荷フラストレーション系であるLuFe2O4について,良質な単結晶の合成手順
を確立した。
2) 1物質において,特異な電気磁気効果が存在することを確かめた。
3) 2において,磁場中中性子回折実験により,スピン秩序の発達が誘電性を直接変調する証拠を
得た。
4) LuFe2O4と構造類縁系であるLu2Fe3O7の単結晶合成手順を確立した
5) 4において,磁場中誘電率が特異な応答を示すことを見いだした。
6) RFe2O4の極性な電荷秩序状態は,可視光吸収が特異的に大きく,また光照射に伴う電導度変化
を示すことを見いだした。
7) 6の現象に対し電導モデルを構築することで,酸化鉄太陽電池の基本設計を得た。
8) イオン変位型誘電体の電導機構を考察し,ナノ金属粒子との接合状態は,新奇な触媒材料とな
ることを見いだした。
教育研究上の成果
幾何競合系遷移金属酸化物におけるスピンー軌道ー電荷のフラストレーション現象は,
現在の物性科学
における中心課題の一つである。この特異な状態が,どのような物性を示すか,またそのミクロな機構
を如何に解明するかというテーマは,大学院学生育成にとって重要なテーマである。
80
)
自然科学研究科
学年
(
学部/研究科等名
連携状況 平成23年1月~3月
指導学生
1 _ 1-2
われわれは RFe2O4の電気伝導機構を明らかにすることを目標とした研究を実施した。
これまで 鉄2価
が電子,鉄3価がホールとして振る舞うと考えていたが,本研究の結果,ホールの役割は酸素1マイナ
スではないかと考えられる根拠が得られる,この考え方にそった伝導性のアイデアを提案した。また,
て,電子とホールが共存した系であることは間違いなく,これを活かせば基本的に同じ構造でもP型と
N型を作り分けられると考えられる。
第3
磁気転移点より低温側では鉄スピンが秩序化して電子による伝導性は減尐すると考えられる。
したがっ
章
連携状況 平成23年1月~3月
(
)
今後の展望
今後は提案したモデル実証を試みる。このため,
 酸素欠損量のみ変化させた試料におけるXAS測定,
元素分析WDX等を実施してゆく。 これらを通じ
て,普通の伝導性酸化物と違う特性を明らかにしたい
 通常の伝導性酸化物では波動関数の混成がないためP型にはなりにくいことが知られているのでこ
の研究は,新しい伝導性酸化物を開拓できる可能性がある。
81
1 _ 1-2
先端科学機器を活用した研究の名称
有機伝導体結晶の表面分析
第3
代表教員
大嶋孝吉(岡山大学大学院自然科学研究科 教授)
章
協力教員
味野道信(岡山大学大学院自然科学研究科 准教授)
自然科学研究科前期課程
学年
氏名
修士2年
金美淑
数理物理科学専攻(物理系)
計画概要
SEM を用いて,有機伝導体の表面観察を行う.電子顕微鏡では,電子線の持つ波長が可視光線のものよりずっ
と短いので理論的には分解能は0.1ナノメートル程度にもなって,光学顕微鏡では知ることのできない微細な
対象を観察できるのが利点である.
(
学部/研究科等名
連携状況 平成23年1月~3月
指導学生
)
TMTSF(テトラメチルテトラセレナフルバレン)は有機ドナー分子で,そのままでは電流が流れない.それで,
陰イオンとなる分子と組み合わせ
(TMTSF)
ドナー
2 Xという錯体を作ることで伝導性の結晶を得ることができる.
と陰イオンが規則正しく配列して,ドナーが電子を提供し,陰イオンがそれを受け取る電荷移動が起こること
によって,ドナー上に電子の抜け穴であるホールが生成され,電流が流れるようになる. SEMによる表面観察
の具体例を示したい.この系は圧力下ではあるが,最初に超伝導が発見された系であるため興味深い.
SEMにはオプション装置として,電子照射による試料からの特性X線により,元素分析ができ装置
EDX(energy dispersive X-ray spectrometry)
が含まれている.SEM利用法のよく知られてた典型的な手法であり,有機物の混晶系にも適用できるが,利用
初期の段階で有機物特有の現象が見出された.EDX測定による試料ダメージである.この点を明らかにするため
に研究を行う.
実施経過
SEM/EDX装置により観察を行い,観察手法により試料に対する影響が異なることがわかった.
実際 EDX分析時,スポット観察,面観察,線観察により影響は異なっている.
白く見える領域が電子線が照射された部分
(TMTSF-PF6単結晶)
82
1 _ 1-2
教育研究上の成果
観察倍率をあげて定性・定量分析を行った結果,結晶表面にウイスカーの成長を初めて観測した
ウイスカーの成長の他に結晶表面には線分析で生じた
ではEDX 装置によって,成形が可能であり,新しいタイ
STMにより伝導性の確認などの方向に研究が発展してお
章
プの 結晶生成も可能になることがわかった.
この研究は
第3
平行線が観測できる.このことにより,有機伝導体結晶
り,人為的な構造の有機物伝導体上への成長は,あらた
これらは,単結晶試料のヨウ素ドープ効果の研究につながり,修士論文の結果につながった.
今後の展望
ヨウ素化の効果は BEDT-TTFヨウ素塩に対しドラスティックに影響が表れることが明らかにされたが,
三次元SEM観察オプションなどを活用することで,形状変化をより詳細に知ることができることを予備
的な実験で明らかにしてきたが,これを系統的に行い,EDXによるヨウ素濃度と,形状変化(I3塩では
ヨウ素は層間に侵入し,電荷移動の効果もあると考えられる)を系統的に分析し,ヨウ素化と超伝導の
関連を明らかにすることを試みたい.
83
)
見が得られた.また,ヨウ素ドープの効果により超伝導性があらわれることを発見した.
(
BEDT-TTF塩の研究で,新たな塩のSEM-EDX塩の表面構造を観察し,結晶の経時変化に関する新たな知
連携状況 平成23年1月~3月
な応用が考えられる.
1 _ 1-2
先端科学機器を活用した研究の名称
磁性ガーネット薄膜の表面観察
第3
代表教員
味野道信(岡山大学大学院自然科学研究科 准教授)
章
協力教員
大嶋孝吉(岡山大学大学院自然科学研究科 教授)
氏名
学年
(
岡山大学大学院
自然科学研究科前期課程
修士2年
山本陽介
数理物理科学専攻(物理系)
計画概要
光磁気デバイスとしても有用な強磁性ガーネット薄膜は,通常は迷路状の磁気構造を持つ.この構造の
場合,外部から周期的に変動する磁場を加えると,光磁気効果によって得られる透過光強度も周期的に変
化する.ところが,加える交番磁場の周波数と強度の二つのパラメータを変化させると,周期的な磁場変
化にも関わらず,非周期的な透過光強度変化が見られる領域が存在する.この領域では,磁区構造の変化,
つまり磁壁の移動に異常が見られる.この時に重要なのが,ピン留め点とよばれる磁壁の移動を妨げる部
位である.この点が,不規則振動を示す試料では,どの様な構造を持っているかを明らかにするために,
SEMを用いた試料表面の観察を行う.
実施経過
SEMによる観察を行ったところ、数マイクロメートルから数百ナ
ノメートル程度の点が、試料全体に一様に分布していることが分
かった.これは,光学顕微鏡により磁区構造を観察するときに見
られる、ピン留め点となるような黒点と一致する.この黒点を詳
しく調べるためにSEMによる3D解析を行った.
教育研究上の成果
3D解析を行った全ての黒点において、
その黒点の領域内で周り
より高さが低くなっている領域があることが分かった。これは,
エピタキシャル成長過程で生じたことでできた窪みであると考え
られる.これらの結果をもとに,
「ガーネット薄膜における磁区成
長過程の振動磁場依存性」として修士論文とした.
84
)
学部/研究科等名
連携状況 平成23年1月~3月
指導学生
1 _ 1-2
今後の展望
強磁性ガーネット薄膜の不規則な磁化応答に関与するピン留め点に,磁性面の窪みが深く関与している
事が確認できた.今後,ピン留め効果の大きさと,欠陥の形やサイズを関連づける事を試みたい.また,
ので,SEMによる端面の観察などからその機構に関しても研究を進めたい.
第3
磁区が平行にそろったストライプ構造に,試料端から欠陥やドリフトの発生などの現象が見つかっている
章
連携状況 平成23年1月~3月
(
)
85
1 _ 1-2
先端科学機器を活用した研究の名称
空間対称性の破れた超伝導体の組成分析
第3
代表教員
稲田佳彦(岡山大学大学院教育学研究科 教授)
章
指導学生
教育学研究科
学年
2年
氏名
包桂芝
自然教育学系
計画概要
連携状況 平成23年1月~3月
学部/研究科等名
(
空間反転対称性のない結晶構造で発現する超伝導の研究を進めた。特に、Li2(Pd1-xPtx)3Bは、スピン一重
項が支配的な超伝導を示すLi2Pd3 Bとスピン三重項が支配的な超伝導を示すLi2Pt3 Bの混晶系でかつ超伝導
を示すので、スピン一重項とスピン三重項の超伝導の混成状態という、今までにない物理を研究するのに
適した系である。
本研究では、混晶系のPdとPtの比率を、SEM-EDXを用いて求め、その比率の違いと超伝導特性の相関を明
らかにすることを目的としている。
)
実施経過
PdをPtに置換した系(Li2(Pd1-xPtx)3B)の置換率をEDXで測定した。右図に示すように、試料合成後に表面
にリチウムの酸化物が析出する特徴があることがわかった。試料を取り扱う場合に酸化に気を付けながら
行なう必要がある。
xの比率で超伝導状態を調べてみると、左図に示すように、全ての領域でバルクの超伝導状態が実現して
いることがわかる。また、x=0.8以上では転移温度が殆ど変化していないことから、スピン三重項超伝導状
態が0.8を境に、それ以下では急激に弱まり、スピン一重項が支配的に変化することが期待できる。
PdをPtに置換したときの超伝導特性の変化。Ptが多い領域で
は、
スピン三重項状態があまり変化しないことが期待される。
Pd, Pt, Oのマッピング。右端は表面を研磨し
ていない領域で、酸素が多く、Liの酸化物が
表面に析出しやすい物質であることがわかる
教育研究上の成果
xの比率で超伝導状態を調べてみると、x=0.8以上では転移温度が殆ど変化していないことを明らかに
した。スピン三重項超伝導状態が0.8を境に、それ以下では急激に弱まり、スピン一重項が支配的に変
化することが期待できる。
86
1 _ 1-2
今後の展望
Li2(Pd1-xPtx)3Bのx=0.8近傍で、
スピン三重項が支配的な状態からスピン一重項が支配的な状態へ急激
に変化する原因を探る。
裂の大きさが変化し、特定のフェルミ面が生成消滅することが0.8近傍で起こっていると考えている。
Bではぎりぎり過るという状態が期待されている。x点近傍のフェルミ面が、スピン三重項超伝導の発現
章
バンド計算の結果から、Li2Pd3 Bではx点近傍のバンドはフェルミエネルギーを過っていないが、Li2Pt3
第3
一つの仮説として、PdからPtへの置換効果が、スピン軌道相互作用の変化を生じることで、バンド分
に深く関係するフェルミ面であることが期待される。
与える可能性がある。
連携状況 平成23年1月~3月
このフェルミ面の果たす役割を詳しく調べることで、
スピン三重項超伝導の発現機構解明のヒントを
(
)
87
2 _ 2-1
2.大学間連携支援事業実施のための情報収集・交換(国内)
1-1. 大学教育改革プログラム合同フォーラム参加
第3
事
名
平成22年度
大学教育改革プログラム合同フォーラム参加
「科学Tryアングル岡山」連携教育推進センター
開催日時・期間
平成23年1月24日(月)-1月25日(火)
場
秋葉原コンベンションホール他周辺会場(東京都千代田区神田)
(
会
概 要
平成22年度
大学教育改革プログラム合同フォーラムに各機関の代表が参加した。
各機関とも将来の教
育改革に取り組む方向性,教育改革における連携事業の役割,また継続的な連携事業に対する資金面に
ついての情報を収集し,今後の連携活動への有用な基礎付けデータを得た。
特に,教育GPを実際に行っている他機関の方々との生の接触を通して,彼らもまた将来の事業展開に対
して強い関心と不安を持っていることを知ることができ,大変刺激を受けた。
)
参加者
連携教育推進センター
原田
勲(センター長 岡山大学),米田稔,小野文久,山口一裕(岡山理科大
学)
,國上巧一,逢坂健太郎,上野久美子(倉敷芸術科学大学)原田寛治,柴田政勝(津山工業高等専門
学校),担当事務から,高岡(岡山大学)
報告事項
金沢工業大学の黒田先生による基調講演,
「大学教育改革の意義と必要性」において,今なぜ教育改革
かに対する理論的基礎付けがなされ,その後,各分科に分かれてそれぞれの範疇における講演・事例報
告がなされた。それらと並行して,ポスターによる事例発表もなされ,私たちは様々な事業担当者との
じかの接触により,多様な情報交換を行った。これらのことより,各参加者は,文部科学省のこれから
の大学教育改革施策の方向を読み取ったほか各大学から発信される様々な情報を収集,
次年度以降の連
携事業活動や新たなGP申請のための貴重な基礎データとして活かせてゆくであろう。
以下,参加者からそれらについてのコメントや感想を述べて戴こう:
参加者からの報告・感想
≪原田
連携状況 平成23年1月~3月
担当部門・機関
章
行
勲:岡山大学 連携教育推進センター長≫
基調講演から,
文部科学省の大学教育改革施策の方向性の根拠となる歴史的背景や外的要因について
知見を得,今後の私たちの事業継続に際しての手掛かりを得た。また,分科会「大学院教育改革の現在」
での講演や事例報告から,新しい時代の大学院教育の方向を見極め,岡山大学での大学院教育改革の試
みに結び付ける可能性を見た。一方,分科会・大学教育の国際化では,グローバルな時代の大学教育の
在り方や国際コミュニケーション力強化に向けた教育改革について語られたが,
これらは否応なく私た
ちが現在直面している問題であり,
私たちの連携教育事業でもぜひ取り上げたいテーマと感じさせるも
のであった。
88
2 _ 2-1
≪米田
稔:岡山理科大学≫
平成22年度大学教育改革プログラム合同フォーラムが秋葉原コンベンションホール等で開催され,
大学等が実施する教育改革から文部科学省にて選ばれた優れた取組みが一同に会して,大学教育の現状
育の質の保証の現状と今後の展開,3。大学院教育と学部教育の連携について聴講した。金沢工業大学
て行われ,大学の機能別分化促進と大学教育の質保証,教育情報の公開による教育の可視化,大学のグ
章
の黒田壽二氏より「基調講演:大学教育改革の意義と必要性―その質保証と情報開示の在り方―」つい
第3
が広く社会に情報発信された。本フォーラムを通じて,1。他機関の教育改革への取組み,2。大学教
ローバル社会への対応など,
国際的に通用する人材育成のために日本の大学等高等教育機関の歩むべき
り教育目標に加えて"到達目標"を記した教育カリキュラムを作成して,
各年次生に指導していているこ
とが報告された。但し,いずれの教育機関も教える側の指導力の質保証までは行き届かず,先進私的な
教育改革を進めている機関でさえも従来のFD&SD活動に頼らざるを得ない現状を垣間見た。「大学間連携
の展開」分科会では3件の事例紹介が行われた。地域人材育成に取り組む旭川医科大学を代表校とする
事例では多種多様な企画を展開しているが,
本GPを通じて立ち上げた授業科目の単位化は実現できてい
ないことなど,連携事業における各組織的からの支援を得る難しさをお聞きした。また,「大学院教育
改革の現在」分科会ではグローバルCOEプログラムから北海道大学の<触媒が先導する物質科学イノベー
ション>の事例報告の中で国際的に通用する博士課程学生の育成を目指して,北京大,台湾大,ソウル
国立大と国際連携大学院を設置し,
アジア各地から優れた人材を募って手厚く修学させることで大学院
の国際化を図っていることが紹介された。また,有信氏(東大
監事)からは,急速なアジア諸外国の
経済成長や日本の社会構造変化に伴う国内経済成長の鈍化が,国内企業が市場を海外に求めなければな
らない状況を生み出し,それに伴って,あらゆる国内企業が国外から人材採用を進めており,日本の大
学院教育改革に時間的余裕は残されていないことが論じられた。また,「質の高い大学教育の展開」分科
会では,立命館大学の教育の質保証を目指した教員職能開発を目指したFDプログラムが一定の成果を挙
げていることを伺った。一方,東京大は円滑且つ永続的な教育改革を実現するために,諸外国の教育改
革事例から教育モジュール(学習プログラム,物理的環境整備,新たな教育ツール他)を導入して,ス
タッフ自身がFDを考える環境整備に取り組んでいることが紹介された。その他,多数のポスター講演を
通じて全国各地の大学教育改革事例を聴講し,合同フォーラム参加は戦略GP「科学Tryアングル岡山」の
事業展開のみならず,
今後の大学教育改革の必要性を認識する上で大変有用であったことをご報告申し
上げます。
≪小野文久:岡山理科大学 コーディネータ≫
基調講演の冒頭に鈴木文部科学副大臣から挨拶があり,来年度の予算について,政府予算が厳しい折
から,他省庁の予算減額に対し,省庁で2番目となる過去最大の規模の額を獲得できたこと,さらに一
般から当省へのコメント36万通のうち28万通という強い反響を得ているとの説明があった。
形を変
えた大学教育プログラムや科研費を含め,今後の各種予算申請についてウエブのチェックなど,怠らな
いようにして行く必要がある。
金沢工業大学・黒田総長による基調講演では,日本の高等教育に対し私学が果たす役割は大きく,学生
数総数の大半(約80%)を私学教育がまかなっていること,したがって私学教育において国際的な質保証,
しっかりした基礎力,学士力の修得が必要であり,そのためには明確な基礎データをもとに,GPA制な
89
)
を得られない可能性があることが伺えた。また,「大学教育の質保証」分科会では,中央大学他2大学よ
(
月に迫った大学情報開示後は教育の質保証を実現するために大学の機能を明示しなければ社会的な信頼
連携状況 平成23年1月~3月
道について提言があった。また,従来から大学の機能分化の必要性が論じられてきたが,平成23年4
2 _ 2-1
ど成績評価を組織的に行うことが強調された。また,専門分野を越えた教育・研究の展開が必要であるこ
とが示された。
大学教育の国際化のセッションでは,キャンパスアジア構想の説明が文部科学省からあり,続いて,
国からの学生が優秀であり,採用を増やしていること,日本人学生の場合,長期の外国留学経験が有効
に,採用者の2/3は留学経験があり,さらに1/3は留学経験を持つことなどが示された。さらに,筑波大
章
であり,このような経験者は優先的に採用したいということなど,企業人材開発の立場が示された。特
第3
企業の立場からソニー(株)の人材開発部からの報告があった。採用してきた人材のうち,インド,中
学の事例では,留学生受け入れは現在2,000名のところ,10年後には4,500名へ,また学生の海外派遣も
は留学生からの授業料徴収に関しては特別な配慮はなく,文系留学生は他大学の約1。5倍となる額を徴
収しているが,特に問題はないとのことであった。
大学院教育改革の現在のセッションでは,3つの事例報告があり,そのうちの1つはグローバルCOE
プログラムに属するもので,北海道大学と北京大学,ソウル国立大学を結び,物質科学・触媒化学分野
を中心とした国際連携大学院を新設し,大学院博士課程と若手研究者育成を行い,外国人留学生・外国
人研究者数が大幅に増加してきたことが紹介された。
他の2つは組織的な大学院教育改革推進プログラムに関するもので,一橋大学・社会学研究科の高度
職業人養成科目とキャリアーデザイン支援を組み合わせて総合的に提供し,
院生の主体的参画による相
乗効果を引き出したことが報告された。さらに,福井大学工学研究科による博士前期課程におけるカリ
キュラムのオーダーメイド化による計画的な科目履修と修士論文研究の遂行が可能となった例が報告さ
れた。
その他,ポスターを含めて,大学院教育改革推進プログラムによ
り,年間10数名程度の国外留学支援が行われていること,さらに多
数の外国人留学生の受け入れが進んでいることで,研究室内での交
流を通して大学教育も含めて国際化が進んでいる現状が伺えた。
今回のGPフォーラムに参加して,
大学における実質的な留学生
派遣,
および海外からの留学生受け入れについて検討する必要があ
ソニー(株)岸本 治・グローバル人材
開発部門長の講演
ることを感じた。
≪山口裕一:岡山理科大学≫
基調講演では,金沢工業大学の学園長の黒田先生が,大学教育改革の意義と必要性について話をされ
た。
大学の機能分化と学位プログラムの質の保証の必要性など,教育の改革の必要性は十分理解できた。
大学がどの方向に向かうべきかをまとめとして示されたが,
「地域社会でリードする大学」,
「社会から
親しまれる大学に」という目標に科学Tryアングルでの事業は大いに貢献できていると思ったが,大学
生を育てる取組にするためにはもっと運営から学生主体の事業展開をして,事業を大学教育に取り組ん
でいく方法もあると思った。最終年度のGPの発表をもっと増やせば,支援が終わった後の事業展開につ
いても情報が集められたと思い,残念でした。それでも,教育改革に取り組んでいる大学が多く,次々
教育に関する新しい取組が生まれてきていることに驚いた。
合同フォーラムに参加して,大学教育に関する知識が増え,今後の科学Tryアングルの事業をより多
くの学生教育のためになるよう展開してみようかという意欲が湧いてきたと思います。
90
)
ジアを中心として約4,000名の外国人留学生の受け入れを行っていることが報告された。早稲田大学で
(
事例では,留学生の派遣および受け入れを積極的に進め,中国に年200名の留学生を1年以上派遣,ア
連携状況 平成23年1月~3月
現在約300名のところ10年後に1,000名にまで拡大する計画であることが示された。また,早稲田大学の
2 _ 2-1
≪國上巧一:倉敷芸術科学大学 教育研究支援センター≫
参加目的および結果:
1) 大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラムをはじめ,合同フォーラムでのポスター発
報告:ポスター発表では,分科会等の参加,移動に時間を費やしたため,ブース発表者との面談
の機会が得られませんでした。唯一展示会場に用意してあったパンフ等で「見た目」で気になる
章
ものをチョイスし持ち帰った。
第3
表において,今後の活動のヒントとなる情報を収集する。
2) 基調講演および各種分科会において,最新の情報を収集する。
報告:1日目:基調講演
分科会7.質の高い大学教育の展開
分科会10.高度専門人材の基盤的教育の推進
基調講演では,金沢工業大学
黒田学園長より,パブリックコメントの力により,厚労省に次ぐ全省
庁の中で2番目の多い予算を確保できたこと,GP事業については,新規は公募ななくなったが,継続
分については確保できたとの情報が発表された。引き続き,大学改革の必要性について,国際事情,国
内事情の説明,規制から政策誘導への転換,大学の機能別分化の促進と大学教育の質保証,情報公開の
促進などの話題が提供され,大学の個性化について言及された。
大学間連携の展開では,旭川医科大学を中心とした異分野大学間の連携,同志社大学を中心にネット
ワークを活用した相互評価に基づく学士課程の質の保証への取り組み,
仙台高専を中心とした沖縄高専
を含む10の高専の連携したスキル標準化への取り組み事例が発表された。大学間連携の難しさとして,
実施結果に対する評価で共有できる部分とそうでない部分がある。単価大学同士の集合では,評価の尺
度が違うので共通化は難しい。共通の尺度を探すうちに英語教育にたどり着いたなど,連携での問題点
をうかがい知ることが出来た。
この他,複数の分科会へ参加して,事例発表を聴くことが出来,今後の取り組みに参考となった。
≪逢坂健太郎:倉敷芸術科学大学 教育研究支援センター≫
基調講演
 大学改革のヒントになる事案があるかどうかという視点で拝聴する。
これからの高齢化社会を考え,社会人の学び直しに繋がる改革を大学それぞれの個性を生かしなが
らも,大学単体ではなく,大学間連携や地域連携の中で改革をしていくことが重要である。
分科会
「大学教育の質保証」
 学士力とはどのような能力かを具体的に思考する。
 社会に対していかに学士力を保証し,どう公表していくかを思考する。
学士力とは,各大学の特長ある学問を,修め自立して社会人として幅広く世の中を生きていける能力。
社会に分かりやすく公表していくには数値化もしくは可視化し,公表することが望ましい。
ただし,
企業が望んでいる即戦力の人材と学士力を身に付けた人材とは異なる。発表された大学の可視化シ
ステムはすばらしいが,もう少し簡単なシステムを構築できればと考える。
「大学間連携の展開」
 最新の大学間連携の状況を把握し,大学間連携のこれからの可能性を思考する。
地方私立大学が生きて行く道として,大学間の中で特長が重ならないようにし,うまく連携を行っ
ていくことが重要である。
91
)
2日目:分科会5.大学院教育改革の現在
(
分科会2.大学間連携の展開
連携状況 平成23年1月~3月
分科会1.大学教育の質保証
2 _ 2-1
「大学院教育改革の現在」
 最新の大学院改革の状況を把握し,自学改革の未来を思考する。
発表事例でカリキュラムをオーダーメイド化している大学があった。
本学の大学院の規模であれば,
「質の高い大学教育の展開」
 質の高い大学教育状況を把握し,自学改革の未来を思考する。
章
東京大学や大手私立大学と本学の環境は異なるので地域を巻き込んだ取り組みが必要であると再認
第3
システムを考えれば対応の可能性を感じた。
識した。
また学生自身に大学へ来て何が出来るようになるのは具体的な分かりやすい目標を工夫し
て公表することが必要であると感じた。
つくような「質保証のできる力」ではないと考えるので,大学の発表にあったように,まずシステ
ムをつくり,学生が直接社会と触れ合う機会をどのような形で作り出すかが重要であると感じた。
ポスター展示
大学教育・学生支援テーマA
日本大学「気づかせ教育による社会還元力と学士力保証」
 どのような方法を用いて気づかせ教育を行っているかを検証する。
武蔵大学「学部横断「横のつながり」育成プロジェクト
 学部横断をどのような方法を用いて実施しているかを検証する。
その他ポスター展示より今後の活動の情報収集を行う。
いずれの大学のポスター展示も「学士力の保証」を課題としており,現在の社会より大学に問われ
ていることを再認識した。日本大学の「気づかせ教育による社会還元力と学士力保証」
,武蔵大学
「学部横断「横のつながり」育成プロジェクトともに従来のカリキュラムにとらわれないプロジェ
クト形の課題を学生と地域を巻き込んで行っており,
外部資金の調達は不可欠であると感じるとと
もに外部資金が切れた後,通常の正課や正課外活動に落とし込む課題があるように感じた。
まとめ
学士力の保証,学生支援などは学生,地域を巻き込むことが重要で,いかに通常の業務の中に落と
し込むことが課題である。またさまざまなプロジェクトに参加することが,教職員の能力を活性化
させ,広義の意味でのFD・SD活動であるという認識を持つことができた。日々の業務の中では
なかなかじっくり考える時間を持つことが困難な状況であるので,
私にとっては有意義な時間を過
ごすことができた。
≪上野久美子:倉敷芸術科学大学 教育研究支援センター≫
大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラムを中心に,
各プログラムの事例発表や,
ポスター
展示に参加した。
事務方の立場から,連携事業を進めていく上での,ヒントを探るべく,基調講演,分科会「大学教育
の質の保証」
,
「大学間連携の展開」,
「総合的な学生支援」,
「大学院教育改革の現在」,
「質の高い大学教
育の展開」に参加した。特に「大学間連携の展開」では,大学と市等の連携による教育振興が取組みを
通して,地域振興に発展した旭川医科大学の事例,総合大学の連携において,共通項を「英語科目」に
定め,学生調査を基に,連携大学共通のシステムを構築したノウハウ,仙台高専を中心とした10高専の
教育の質保証を「組込みスキル」を軸とし,スキルの標準化を可視化した事例に加え,会場を含めた質
疑応答から,当初の目的であった大学間連携における地域との連携の推進あり方や,事業の成果につい
て示唆を得ることができた。なお,何れも次年度も継続事業であったことから,事業終了後の展開方法
92
)
文部科学省の方の発言では,
「直接就職につながる力をつけさせてほしい。」と感じたが,すぐ力が
(
 学生支援と出口保証をどのようにおこなっていくかを思考する。
連携状況 平成23年1月~3月
「総合的な学生支援」
2 _ 2-1
については,十分な情報を得ることができなかった。また,各大学の事例から今後の参考となる,事案・
手法や,実践的な人材育成のための学生支援の在り方を考える機会となり,大変有意義であった。ポス
ター展示については,主に表現方法を参考とすることを目的に,事業の目的や取組みが分かりやすく明
章
≪原田寛治:津山工業高等専門学校≫
第3
記されていると思われるパンフレット等を収集し,参考とすることとした。
①継続的な連携事業方法
継続的な連携のためには,各大学による「優れた学士を育成するシステム」が重要です。金沢工業大
が学士の定義であると言われていました。講義や演習で国際的に通用する知識を身につけ,課外活動
や「科学Tryアングル岡山」の各種行事などにより人間力を高めるシステムや環境が重要であると理
解しました。
②津山市との連携方法
現在,津山市生涯学習課と連携し,津山市少年少女発明クラブの工作教室と「科学大好き岡山クラブ」
津山会場の実験教室を合同で実施する方法を検討しています。鈴鹿高専の「CATV局と連携した創造設
計力発現の支援」ではCATV局と連携し,学生による専門に関するアカデミックな番組の企画・制作と
放映の実践をしていました。
このような連携は津山CATV局でも可能であるので今後取り入れたいと思っ
ています。
また,津山市にある洋学資料館を活用し,津山市ならではのアカデミックな内容を検討し,CATV局に
売り込めれば思っています。
③学生や大好きクラブに参加する子供たちの工学的センスの育成方法
大阪府立高専による「総合的な科学技術力を育成する実験実習」と福島高専による「異学年協同によ
るループ型創造性実践教育」がありました。どちらも,多学年や他学科による学生同士による教育実
践でした。このような取り組みは大好きクラブでも大切であると感じています。具体的には,子供た
ちは教えられるだけではなく,お互いに教えあうことや,高学年の子供たちが,低学年の子供たちに
教えるシステムを入れたいと思っています。
これが実現できれば,基本的な現象の理解が進み,工学的センスが育成できると思っています。
≪柴田政勝:津山工業高等専門学校 コーディネータ≫
①補助金終了後の事業継続のための運営資金調達方法
パネル展示している機関にいくつか尋ねたが,いずれも県,市など公的機関からの補助および国の補
助事業への申請などでとくに参考になることは聞かれなかった。
②連携事業の場合の補助金受領と終了後の事業規模の比較
①と同様の機関にたずねたが,ある機関では半分程度の継続を予定しているが,それも予算次第であ
るとの答だった。
③留学生支援のあり方
ソニーでは採用にあたって国籍に関係なく優秀な人材を考えており,本校への留学生にもぜひ伝えた
いと思った。グローバル30に選定された筑波大,早稲田大よび九州大はいずれも今後10年間に全
学生の4分の1程度を外国からの留学生にすることを計画しており,
高専でも留学生が増加すること
が予想されるので今から考えておく必要がある。また,これに伴い,留学生に対する支援対策もいろ
93
)
学士力(課程教育)+人間力(課外教育)=学士
(
出来るようになっているか。これが学士の証明になる。また
連携状況 平成23年1月~3月
学総長の黒田壽二による基調講演では,学士の定義を強調されていました。学士とは,卒業時に何が
2 _ 2-1
いろと増えているが,筑波大は論文作成のために指導者を配置しており,もともと留学生は日本語が
不得意なことを考えると参考になった。
④科学普及活動の方法
会を行っており,イベントを通じて学生教育にもかなりの重点をおいていたことは参考になった。
⑤今後の短期大学(高専)における教育のあり方
章
推薦入学者に対してIT機器を貸与し,e-ラーニングなどの入学前教育を実施している大学の事例が多
第3
我々の事業に類似した科学普及活動を実施した福島大学では,学生主体の事業計画発表会や中間発表
く見られ,参考になった。また,福島高専における「異学年協同によるループ型創造性実践教育」は
専門教育の向上のみならず希薄になっている上下級生間の交流を増やし,
人間形成にも大きく寄与す
校とする取組の事例発表から,活動(行事開催後)の課題についても述べられ,今後の参考となる話を聞
く事が出来た。また,今回の参加目的であった,補助金事業終了後の展開等については,21年度採択校
の事例発表であったため十分に情報を得られなかった。ポスターセッションでは,ブースを回り,事務
の方へ私自身直面した問題である広報活動についてより良い方法があるかを伺ったが,どこも広報(イ
ベントへの参加者集め)には苦労しているとの話で,現在行っている主だった方法は,学内への掲示や
関係教員を介した周知との事であった。他の大学では,学内の学生や教員へ連携機関の事を知ってもら
うため,関係教員の紹介(専門分野等)をイラスト等交えたチラシを作成し,連携機関内で配布してい
るとの話であった。なお,今回同会場に設けられたGP紹介コーナーへ,本事業のパンフレットを置か
せていただき,多くの方の目に触れ,多数持ち帰っていただいた様子であったことを報告する。
サテライト会場「大学間連携の展開」(中継)
アキバホールにて
ポスター展示会場
アキバ・スクエア(2F)
ポスター展示会場にて、取組担当者との情報交換
(柴田コーディネータ)
展示ポスターから取組内容等の情報収集
(原田連携
教育推進センター長)
94
)
分科会:大学間連携の展開の聴講とポスターセッションへ参加した。分科会では,旭川医科大学を代表
(
≪高岡明生子:岡山大学 学務部学務企画課≫
連携状況 平成23年1月~3月
るものと考えられ,本校としても今後大いに参考になった。
2 _ 2-2
2-2. 日立理科クラブによる出前授業および情報交換会実施
名
日立理科クラブによる出前授業及び情報交換会
担当部門・機関
「科学Tryアングル岡山」連携教育推進センター
開催日時・期間
平成23年2月16日(水)9:40~17:00
章
事
第3
行
場
岡山大学教育学部附属小学校(岡山市中区東山2-13-80)
昨年10月28日、センター長をはじめ、KTO関係者7名が日立市に訪問し、
「理科室のおじさん」の活動
状況を視察、助川小学校での理科授業参観及び日立市での取組みについて情報交換を行った。この時、
日立理科クラブの活動は学校教育の支援であり、私たちの今後の活動に有益な示唆を含むものであった
ため、今回日立理科クラブの方に岡山で出前授業を行っていただき、前回日立理科クラブを視察出来な
かったKTO関係者を含め、授業参観及び情報交換会を開催した。
日立理科クラブの授業を参観する事で、より詳細な授業支援内容を確認し、KTOとしての教育現場で
の支援のあり方等の考察を行った。情報交換会では、小・中・高校での理科教育に対し、KTOはどの
連携状況 平成23年1月~3月
概 要
(
会
ような支援ができるか、また、組織はどのような形が有効か、資金調達方法など、先駆者の日立クラブ
いに紹介し、情報交換を行った。
参加者
出前授業実施者:日立理科クラブ
加藤洋明(副代表理事)
、荒木昌三(理事(授業支援担当)
)、松本宏(科学エキスパート)
参加者:科学Tryアングル岡山関係者、岡山県内教育委員会関係者計15名
報告事項
1)授業支援
理科授業支援9時40分~14時20分
実施場所
多目的教室(第2理科室)
5年生「電磁石の仕組みと応用」*各時限授業内容は同じ。
2限( 9:40~10:25)
5年い組
3限(10:50~11:35)
5年ろ組
4限(11:45~12:30)
5年は組
5限(13:35~14:20)
5年に組
まず、「電磁石とは・・・」の説明から始まり、実生活上どのような形で利用されているか具体的
に関連付けての説明があり、電磁石を応用して日立理科クラブの手作りによる器具を実際に手にと
り体験学習を行った。
1.水力発電の仕組みがわかるもの
2.方位磁石の違いによる磁場のはたらきがわかるもの
3.電流が生み出す力がわかるもの
95
)
での経験を踏まえた話を伺い意見交換を行うとともに、
児童向けのイベント等で使用している教材を互
2 _ 2-2
児童は上記の実験を3グループに分かれ、ローテーションにて体験学習をした。
各ブロックにて説明を受けながら体験し、各テーブルでは児童からの歓声が沸きあがっていた。
授業後、児童からの感想では、
「滅多にない機会だったので楽しかったです。
」
「モーターの作り方
い家電はありますか?」
「地球の磁力はどれくらいですか?」など、反応の良い質問に講師の方を
章
驚かせる児童もいた。
第3
が分かった。
」
「色んなことが分かった。」などの声があり、また、質問では、
「電磁石を使っていな
連携状況 平成23年1月~3月
(
荒木氏による電磁石の原理と応用製品についての
説明
加藤氏から水力発電に関する説明を熱心に聞く児
童達
)
クリップモータを体験する児童達
2)情報交換会(15時30分~17時)
日立理科クラブ実施者と科学Tryアングル岡山関係者の情報交換会では、授業で行った取組み
以
外で、児童・生徒向けに実施している行事にて使用している教材について、現物を用いお互いに情
報交換を行った。
「科学Tyrアングル岡山」からの教材紹介
 岡山大学:塩水モーター
 岡山理科大学:岩石標本
 倉敷芸術科学大学:カメラオブスクラ
シリコンチューブ・折り紙ヒコーキ・木製てんびん
 津山工業高等専門学校:モデルロケット・ウィンドカー
96
2 _ 2-2
情報交換会の様子
第3
章
ウインドカーの説明をする柴田コーディネータ
今後の理科授業のあり方等の意見交換
(
岡コーディネータからの教材紹介を聞く日立理科
クラブの方々
連携状況 平成23年1月~3月
音の伝わり方を長風船と紙コップを使用して体験
)
3)参加者からの意見・感想
【出前授業への意見・感想】小学校の理科の発展に対応する教材が多く、5、6年生には 現象として
興味を引く教材が良く準備されていた。45分の授業時間だと短いので、2時間続きの授業などが 適
していると思われる。日常で使用している電気の利用に目を向けさせる良い内容だと思う。ただし、5
年生が原理も含めて納得するまでは難しいかもしれない。
(科学Tryアングル岡山 理科教育支援部門長(岡山大学)
・稲田佳彦)
【全体を通しての意見・感想】学校の授業とリンクし、また日常生活にもリンクさせた豊富な内容で、
児童たちの理科に対する動機付けなど非常に参考になりました。現在の私の仕事においては、理科とい
う分野に限らず、子ども達の健全育成また、人材の活用、地域への貢献等を目的に、こういった授業や
連携のしくみを作ることだと思っており、いくつものヒントをいただいたと思います。どうもありがと
うございました。
(津山市地域振興部・灰原佳典氏)
97
2 _ 2-2
【全体を通しての意見・感想】45分の授業の中で、むだがひとつもなくすごくわかりやすく準備され
ていたことに感心しました。はじめの全体説明で、電磁石が私たちの社会にいかに多く利用されている
かとても興味を持ちました。
(子どもたちも同じです。
)次に3つの班に分かれて、3人の指導者が実物
から応用のコーナーまで本当によく準備されていると思いました。私自身が初めて知ったことは、水力
止策として発電機に落とす水量を減らす工夫がしてあるとのこと。
このことは手回し発電機でショート
章
発電の発電機がカミナリなどで停電になったときは発電機が空回りふうになって故障するので、
その防
第3
で説明してくれて、実際にさわったり体験できたりしたのがよかったと思います。セットの内容も基本
させたら空回りになることは十分知っていたはず。実生活にまでは、考えがおよびませんでした。出前
(岡山理科大学科学ボランティアセンター・内田正夫氏)
【出前授業への意見・感想】私の専門分野は高校化学の教材の研究ですが,教材の研究を専門に行っ
ている研究者は少ないと感じています。このたびの出前授業を拝見して,この企画を担当された方々
は正に教材の研究を専門に行っている人たちだと実感しました。本来ならば,教材の研究は現職の教
員がするべきものですが,現実は教育の現場が忙しすぎて時間的なゆとりがありません。したがっ
て,現状では教材の研究は,現職を退いて,時間の余裕があり関心も深い人が行うのが最善ではない
かと考えています。そういう意味で,この日立理科クラブの取り組みが全国に広がっていけばよいと
思いました。
(岡山大学客員研究員・東
俊一郎氏)
【情報交換会への意見・感想】情報交換会で演示実験をされたうちには,演示が期待されたようにいか
ず,
「うまくいったらこうなるはずだ。」というのがあったと思います。これを批判するものではありま
せんが,
「うまくいくとこうなるはずだ。
」だったら,その実験はしない方がよいのではないでしょうか。
教材の研究で最も難しいのがこの箇所です。
「百発百中うまくいく実験をみつける」が,教材実験の開
発だと思います。教材として演示または生徒実験を行うとき,その原理は非常に基本的なことで,頭の
中ではうまくいくものばかりです。しかし,それを簡単な方法で正しい結果を出すのはかなり難しい作
業です。前の項の感想と重複しますが,教材の研究に専門的に取り組める人がいなければ,本当によい
教材はつくれないように思いました。
(岡山大学客員研究員・東
98
俊一郎氏)
)
ました。
(
に興味関心を持たせようというスタンスなので、大変すばらしいと敬意を表します。ありがとうござい
連携状況 平成23年1月~3月
授業のねらいが、
「理科がいかに社会生活に役だっているか、つながりがあるか。
」をキーワードに理科
第
資料編(平成23年1月~3月)
4
章
1
1.連携評価委員会
評価結果
第3回「科学Tryアングル岡山」連携評価委員会事業評価結果(平成22年度)
第4
項目
評価項目内容と評価結果
評価者からのコメント
章
評価
番号

1
十分に目的に沿った企画、活動である
センター及び4部門とも大学生,児童生徒,学校教員,留学生,社会人等が参加し、
科学による地域活性化の取り組みができている
連携教育推進センター主催事業をはじめ、科学普及、先進科学教育、理科教育支援、
国際交流の各部門で毎月何らかの行事が複数にわたって実施されており、
科学に対す
る県民の関心を高める原動力となったとみられる。中でも実験、フィールドワークな
ど実際に体験ができるイベントは、次代を担う子どもたちを中心に非常に貴重な時間
となり、裾野拡大に貢献したといえる
 3年目に入り,各事業は適切に実施されていると考える
(B評価コメント)
■本年度の事業内容が、目的に沿って適切に
企画・実施されているか

2010年中に55回のイベントが実施されており、
今後も10回以上の実施が予定されてい
る。非常に活発な活動を行ってきたと評価できる。科学大好きクラブが頻繁に開催さ
れ、科学への興味を抱かせることに貢献できていると考えられる
(


資料編 平成23年1月~3月
(A評価コメント)
)
(A評価コメント)



非常に機関間の連携が良
大学、高専、研究所及び各事業の連携ができている
欲を言えば、実験機器の共有化がどの程度図れたか、また実施機関間の情報交換、情
報共有が具体的にどのように行われ、
どんなメリットがあったかなどをより明らかに
し、今後の活動に生かしてほしい

各校の人的・物的教育資源を持ち寄った「科学大好き岡山クラブ」合同開催や、連携
校の学生が他校の先端研究機器を利用した授業を受けれることを可能とするなど、
連
携を生かした事業が積極的に実施されている
(C評価コメント)
2

■事業や実施機関間の連携が適切に実施され
ているか
科学大好き岡山クラブに関する提示実験のレベルアップに関しては、取り組みがやや
不足しているのではないかと考えられる。学校教育における理科教材に関する研修は
実質的に成果をあげていると考えられるが、継続的な実施が可能であるような、コン
セプトの確立が求められる
(A評価コメント)


目標を適切に実施しており、有効な効果を得ている
第2回合同開催「科学大好き岡山クラブ」での定員を超える参加及びアンケート結果内
容、留学生研究交流会のアンケート結果内容等から成果を挙げていると考える

一つ一つの事業は、硬軟を織り交ぜ、狙いを明確に定めて実施されていたようだ。
「県
民運動」というまでの盛り上がりには至っていないが、いくつかの行事の盛況ぶりから
は運動の「芽生え」を感じ取れる。引き続き、課題を検証して次のステップに進んでほ
しい
(B評価コメント)
3

■3年間を通した事業が目標に向かって適切
に実施され、かつ有効な効果を生みだしたか

科学普及部門の事業による「科学の裾野の拡大」や先進科学教育部門における連携による
単位互換授業(大学コンソーシアム岡山に提供)の実現など,
連携の成果は上がっている
と感じる。ただ,理科教育支援部門の「小中高教員の理科授業を支援する事業」や「産
学官の連携に向けた取り組み」については、より積極的であってもよかったと考える
多様な実施内容は、
地域における科学振興の雰囲気を形成することに効果を上げつつあ
ると評価できよう。今後、このような流れが継続されることが望まれる
100
1
項目
評価項目内容と評価結果
評価者からのコメント
番号
章
(A評価コメント)
第4
評価

■“NEXT10年”の連携事業が実施可能
な形で企画されているか
■その他、将来計画についての提言、指導など
3年間で構築した連携組織を維持し,岡山県の科学教育の拠点として活動を継続して
いただきたい
(C評価コメント)
※別紙参照
(その他)






5
10年先を見据えた取り組みができている



正確には、まだNEXT10の内容が明確になっていないのが実態。しかし、やること、
できることは暗黙の中でほぼ明瞭なのではなかろうかと思われる。
それを前提として、
これまでの3年間の事業実施の中で、大学・高専間の連携は、参加校相互あるいは社
会との間で、既にあるべき姿として認知されたものとなってきたと認識している。参
加校が相互に連帯し、地域社会に貢献することが強く求められており、大学の社会的
責任であるといえよう。今後、いくつかの補助事業との総合化をも視野に入れ、また
大学コンソーシアム岡山などの連携との組み合わせを行いつつ、
トライアングルで形
成された資産をより効率的に運営していかなければならない
本事業については,今後も継続する必要があると考える
今までの積み重ねられた実績の中では、
子供たち相手の科学教室と教師を対象にした
実験を中心とした教材開発の有効性が高いと思われる。
これからを確実に実施できる
システムの構築が望ましい
※別紙参照
企業との連携を強化して、社会全体で将来運営すべきと思われる.また、OB人材の活
用が期待される。
将来活動計画に「科学人材供給源として、産業・企業会との連携」が挙げられており,
事業が具体化される際には,県として可能な支援を行いたい
岡山県の活性化・発展のために、科学教育活動を通じて、創造性・夢を持つことがで
きる人材を育成してほしい
※別紙参照
昨年、岡山理科大、倉敷芸術科学大で教壇に立ち、岡山にゆかりのある鈴木章北海道
大名誉教授がノーベル化学賞を受賞されたことは、理科への関心の有無にかかわらず
県民の大きな話題を呼んだが、こうした「時の人」たちの力を借りることも、
「県民
運動」実現には効果的と思われる。県内に拠点を置く理系企業にバックアップを求め
るなど産学連携もより強化すべきだろう。また、子どもたちが理科に触れることで関
心を抱くことは、KTOの多様な事業で実証されており、理系人口の底上げへ、これ
まで以上に「現場」へ出ていく姿勢を強めてほしい
101
)
4
参加機関の連携事業が無理のない範囲で企画されている
(



資料編 平成23年1月~3月
国の支援が終了する中で事業を継続していくには相当な熱意や綿密なプランが必要と
思われる。計画の見直し、民間を巻き込んだ活動の輪の拡大など不断の努力を続けて
ほしい
(B評価コメント)
1
(別紙)提言
「科学トライアングル岡山」のいままで積み上げた実績を利活用し、地域の活性化を図るための特定非
営利活動法人(NPO)の設立について
1) 岡山県では岡山オルガノンの構築、大学コンソーシアム等の名称のもとに、各大学が連携して学士
力、社会人基礎力、地域発信力の融合を目指した人材育成教育、産学官連携による「活力ある人づ
章
くり・街づくり」としての大学教育事業(単位互換、Eラーニング)生涯学習講座、企業出身者等
第4
1. 経緯
によるキャリア形成講座等を開設し,将来を見据えた新しい知の拠点作りを目指してきました。こ
れらは文部科学省の「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」の一つとして採択さ
されたものです。これを機に、関係者は、この事業を10年間続け実のあるものにしようといき込ん
でいます。そのために事業終了後はNPOを立ち上げ実質的な活動を始める事を提言します。
2.このNPOの特徴
1) 一番大きいことは、この事業は[地域の科学を創る]
,
[科学で地域の活性化を図る]、更に[それ
を全国に発信する]ということ
2) 産官学の知識経験の豊富なシニアの特徴を集約すること
です.以下に説明を加えます.
その具体的方法は,ホロンの概念でこの内容をとらえる事にしています。すなわち,全体は部分の集ま
りから出来ており、その部分は[個]の集まりから出来ている.その部分はお互いに自律している(丁
度人間の体を考えればよい)事です.
従来のような、組織づくりだけでなく、産官学連携し、その「個」として参加した人は,その経験や知
識を生かし、一緒になって、新しいものを作るという「創生」、「共創」に力を入れる。岡山らしい特徴
のあるものを創り出しそれを全国へ発信します.すなわち、
参加する人は,教える人と学習(実践)する人は、一緒になって密接に結びつき,ネットワークを作っ
ていることです.丁度、池に石を投げるとその石の輪が拡がるように習う人はその輪を広げる役目を果
たします.
そしてそれぞれの立場で科学による活性化のための共同研究とその実践を支援することにな
ります.
このように,この[科学トライアングル]は、産官学シニアが一体となり,この「個」から出発してそ
れを積み上げ,集積して岡山にハード、ソフトを通して,科学的創生、共創事業を興し,地域の活性化
を図ろうとしているところに大きな特徴があります.
従来と違って10年目標です.資金が必要ですがあくまでも行政に頼らず民主導で出来るように工夫しよ
うと思います。
したがって、産官学の現職にこだわらず、定年を迎えシニアになった人たちに今までの知識と経験を生
かし、いままで縁のなかった地域のために力を発揮してほしいと思います。
従来と違うところの具体的な説明.
(注)生涯学習センターや教育センターの案内を見ると、各自の知的レベルの向上、地域の活性化のた
めのため大学等の協力を得ていろいろな講座を開設されていることがわかります。その数おおよそ400
あります。
しかし,気になることは、教える人と学習する人との交流(コミュニケーション)が出来ているかとい
うことです。対象が社会人の場合は、予備知識がまちまちですから、大学の講義のように先生が、受講
生を前にした一方向の講義方式では意味がありません.
「個」を大事にし、
[個]は何を必要としている
102
)
大学連携支援プログラムとして「多角的科学の推進と地域の活性化への挑戦」というテーマで採択
(
2) ここで述べる[科学トライアングル岡山]は平成20年度に採択された大学教育充実のための戦略的
資料編 平成23年1月~3月
れたものです.
1
か双方向の対話形式で行なわれなければなりません。
そのニーズにあった対応をする必要がありますの
で授業にはいろいろきめの細かい工夫が必要です。知識の伝達だけでは長続きしないと思います.
IT関連の学習人口を増やし,地域の活性化を図るためには事業に対してどのようなきめの細かい配慮
をしているか.
章
例えばパソコン講座に例をとりましょう.
第4
(注)NPOの従来のものと格段の違い
今までの資料を見ると、パソコン講座は、一般に4回単位で開講しています.これには内容、レベルの
面で大学で云うシラバスが必要です.受講生は一回切りでしょうか。例えばワードとありますが,①誰
インターネット等についてどの程度まで行なうのか,ある程度4回で何をするのか分からないと習う方
にもとまどいがあると思います.年寄りは忘れるのが得意ですから。
したがって例えばパソコン教室は「高齢者を蘇らせる高齢者のための対話型パソコン教室」というような
テーマの立て方が必要ではないでしょうか。それを元に、パソコン人口を増やすことは、IT化を推進
する上で大事ですから、学習した人からの口コミが大事です。
大学は教職員学生が一体となってますます実力を発揮するように、
社会はそれぞれの分野でそれに参加
する人が増えることによって活力が生まれてくると思います.
産官学「個」が連携し、岡山らしい新しい物作りに挑戦する。
科学とは経験や研究によって得られた知識、オカルトでなくて,論理的にものを考える,
哲学的には、科学は[関数]を、芸術は「知覚」
「情動」を,哲学は[概念]を創造(クリスチャンデ
カン).芸術と科学は哲学を介して結びつく.
● 芸術科学(科学に支えられた芸術、コンピュータを介した芸術と科学の融合、メディアデザインの
村、電子コミックの村、建築デザイン装飾の村、演劇ロボットの村(阪大、文藝春秋23,1月)スペ
インのバレンシアのような村、村はグループのこと)
)
● サービス科学(科学に支えられたサービス、生産者と消費者の一体化村、
(一橋大)
1) 本を売りに古本屋へいくと店主はその内容を見て値段を付け店頭に飾る。しかし,BOOK OF
Fは古本は目方で買い、店頭に並べる。一週間前に500円だった本は一週間もたてば105円で売りに
出される。回転が速い。
2) 電化量販店で電気自動車を売るようになった。そうすれば、店には整備士が必要、しかし普段はテ
レビなど電化製品も売る必要がある。店員はサービスと整備技術を持つ必要が出てくる。
3) 医療観光(岡山の特長を生かした、透析患者の受け入れ、体質改善のための療養観光者の滞在中の
魅力ある観光ガイド、体験学習等)
4) 産官学の「個」の豊かな経験知識を集約して
● インターンシップ・キャリア村(過年度の学生が気楽に職をさがす手管、新卒者が40回も50回も入
●
●
●
●
社試験を受けなくてもすむ方法)
余暇有効利用実践報告会(個が体験を談語り合う会、ひとり10~15分程度)
デジカメ散歩(ボケ防止,パソコン教室と連携して、テーマを決めて行なう。例えば地蔵さん,マ
ンホールの蓋等)
男の料理教室
居酒屋コンパ
福祉ささやか支援事業(生き甲斐)等
103
)
うなるのか⑥具体的に,初歩といっても文章入力、印刷程度か、クリップアート、表、差し込み印刷、
(
象は誰か,高齢者か⑤4回では何も出来ないのではないでしょうか。それが終わった後、その続きはど
資料編 平成23年1月~3月
が②どういう資料を使って(内容)③どのような形で教えるのか、④サポーターはいるのか,⑤受講対
1
(科学に支えられた健康県)」岡山の良さをアピール
第4
科学トライアングル岡山の持続的発展の一事業案(具体例)
中四国で唯一の旧制医科大学をもった岡山の歴史と伝統を生かした地域活性化への取り組みとし
て提案します.
● 肥満予防科学実践道場
(目的)近年、肥満児、生活習慣病・成人病が多い。岡山の伝統ある「学」の特長を生かし「健康科学
章
(方法)県下を挙げての取り組み方
対象(各分野とも少人数から始める)
熟年の部
シニアの部
糖尿予備軍の部
(
国際化(観光医療)の部
参加産官学(気心の分かった人,発起人として6~10名程度)
官庁
資料編 平成23年1月~3月
児童の部
市、県の保険福祉部、厚生労働、医師会、歯科医師会等
市民病院小児科、成人病関連診療科、カウンセリング
産業
スポーツクラブ、食料関連、合宿施設、金融関連,交通公社等
学
大学、専門学校
)
報道 マスコミ、広報
サポーター
婦人会
市社会福祉協議会
民生委員
商工会議所
経済同友会
学生(「個」としての参加)
(別紙)コメント
1.
“NEXT10年”の連携事業が実施可能な形で企画されているか
コメント:
3年間の活動に参加した生徒・学生・院生にとってはもちろんのこと、各連携機関の関係者にとって
も大変充実した活動であったと思います。その意味で、1,2,3全てにAの評点をつけました。ただ
し、NEXT10年の企画に対しては若干の不安を感じます。
1. 参考資料「資料3」②補助金が無ければどうなっていたか、および③途中で補助金が打ち切ら
れた場合の対応等、を読ませていただくと、仕分け対策向けという側面はあるものの、金の切
れ目が縁の切れ目という本音も多少混じっているように見受けられます。
2. 最終成果報告会での添田喬倉敷芸術大学長のコメントで、このプロジェクトの認知度に関する
アンケート結果が示されましたが、それによると認知度が非常に低いと感じられます。これか
らも継続していくに当たっては、応援者を少しでも増やしていくことが大切だと思います。
3. 継続に当たって、今までの事業を基本的に全てそのまま継続するという基本方針ですが、多少
的を絞った方が良いかなという印象をもちます。
104
1
2. その他、将来計画についての提言、指導など
大学の使命は、教育と研究であり、有為な人材を育成し、文化の発展や技
術革新に貢献する研究
いわゆる象牙の塔にこもるのではなく、社会と連携して時代時代に対応した教育・研究を推進すること
が大切なのだと思います。社会と連携してということがなおざりにされてきたため、大学の使命の第3
章
の柱として社会貢献が声高く取り上げられるようになったのだと思いますが、本来の使命を忘れて、や
第4
を推進すること自身が立派な社会貢献であると考えます。そして、その教育・研究の推進に当たっては、
れ産学連携だ、公開講座だ、出前講義だ、ということは必要ないような気がします。重要なことは、各
確にすることです。そして、その社会連携(社会貢献)は、大学人にとって決して余分な業務ではなく、
教育・研究という本来の業務の一部なのだという意識を、学長のリーダーシップのもと構成員全体で共
資料編 平成23年1月~3月
大学がそれぞれの教育・研究の目標を掲げ、それを実現するためにはどのような社会連携が必要かを明
(
有していくことが大切なのだと思います。
教育は、初等教育、中等教育、高等教育、生涯教育まで一連なりのもので
あり、それぞれが独立
して存在し得るものではありません。その意味において、小学校・中学校・高等学校の教育に責任をも
つ地方自治体と大学が連携して取り組むこのプログラムは大変画期的なものであり、是非とも所期の目
的が達成されることを期待いたします。
)
105
2
2.運営委員会議事メモ(平成23年1月~3月)
「科学Tryアングル岡山」第22-9回連携教育推進センター運営委員会議事メモ
場
所:岡山大学自然科学研究科棟2階小会議室
章
時:平成22年1月5日(水)15時30分~17時10分
第4
日
出席者数:7/9
欠 席 者:佐藤委員,岡田委員
(岡山大)石井,原田,簑島,高岡
● 議事メモ確認:前回(12月1日(水)開催)の議事メモについて確認し,了承された。
議題
1. 日立理科クラブによる“科学大好き岡山クラブ”開催と同クラブとの懇談会等について
議長から,当初は,日立理科クラブの方々を講師として,科学大好き岡山クラブを開催する予定
であったが,期日が迫っていることや先方からの要望もあり,岡山大学教育学部附属小学校の児童
を対象とした授業の中で講義を行っていただくこととしたとの報告があり,開催について,了承さ
れた。当日は,教育委員会などの関係者にも授業を参観していただき,岡山での科学教育の在り方
を共に考える機会とするため,日立理科クラブの方々との懇談会の開催も予定しているので,運営
委員も出席いただくよう要請があった。ただ現在,日程調整中であり,決定次第,運営委員に周知
することとした。
2. 第3回理科教材開発研修について
議長の指名により,米田委員から,資料1に基づき,内容についての説明があり,種々検討の結果,
原案のとおり,了承された。2月に実施予定であるが,日程の詳細は未定で,決定次第,運営委員
に周知することとした。
3. 次年度「科学Tryアングル岡山」運営について
議長から,次年度「科学Tryアングル岡山」
(KTO)の運営について,各機関,次年度の活動
計画を,次回運営委員会(2月2日開催)に向けて資料2の様式にて作成し,提出することの提案があ
り,検討の結果,提案のとおり了承された。また,KTOに関わる次年度の各機関の責任者につい
ても明記いただきたい旨,依頼があった。
関連して,米田委員から,現在のKTO活動の幅が広いため,各機関内において,事業内容の周
知及び事業継続への理解を得るため,センター長から各機関長あてに,次年度以降のKTOの活動
内容と要望事項を文書にて発信してほしい旨の要望があり,センター長からは前向きに検討すると
の発言があった。
4. その他
 次年度「科学大好き岡山クラブ合同開催」について
議長から,次年度以降の「科学大好き岡山クラブ合同開催」の日程について,次回を本年8月28日
106
)
(岡山県)綱島
(
(津山)山下
(芸科大)岡,國上,上野
資料編 平成23年1月~3月
陪 席 者:(理科大)小野,荒木,齋藤,蟻正,横溝
2
(日)とし,同様に,再来年度以降も,8月の最終日曜日を定例としてはどうかとの提案があった。
報告事項
第4
検討の結果,開催場所も含めて次回以降へ持ち越すこととした。
章
1. 最終成果報告会について
議長から,資料3に基づき,最終成果報告会の報告と関係各位への謝辞が述べられた。
営委員会に報告する旨,説明があった。
3. 本年度GPフォーラム参加について
議長から,1月24-25日,東京秋葉原にて開催の大学教育改革プログラム合同フォーラム参加につ
いて,教員や事務職員にとって,文部科学省の大学施策を勉強する良い機会なので,各機関2名を上
限として参加することの提案があり,了承された。その上で,各機関は参加者名簿を事務局まで提
出し,その中で参加目的を明らかにすることが求められた。さらに,参加後は,事前の参加目的に
沿った報告書を提出するよう依頼があった。
4. 2本目のVODモデルコンテンツ作成について
議長の指名により,大西委員から,2本目のVODモデルコンテンツ作成について報告があった。
モデルコンテンツは年末に編集作業を済ませ,
KTO関係者へ内容の確認について依頼していたが,
修正等の要望がなかったため,それを完成版とし,ホームページへ掲載するとの報告があった。
5. 作成したVODモデルコンテンツの著作権取扱いについて
議長の指名により,事務局から,前回本委員会の課題となった,KTOが作成したモデルコンテンツ
の著作権の取扱いについて報告があった。岡山大学研究交流部に相談した結果を踏まえ,次年度か
らのモデルコンテンツの著作権は,当面,KTOの主幹事機関,岡山大学とすることで支障のない
ことが確認された。
(KTOホームページのサイバースクール掲載ページに,コピーライトが岡山大学
であることを明記する。
)
6. 各部門からの報告
議長から指名を受けた各部門長及び担当者から,前回本委員会以降における事業の推進・進捗状
況について報告があった。
<科学普及部門>
 大西委員から,1月27日に経済同友会の情報・観光委員会と教育委員会合同の委員会で、オル
ガノン岡山とKTOの取り組みを説明する。特にe-Learningについて,事業継続を目的に詳しく
説明するとの報告があった。
<先進科学教育部門>
 小山委員から,
「第3回科学チャレンジコンテスト」選考委員会について報告があった。
107
)
る3人からの評価票についての説明があった。残りの方々の評価票が集まり次第,集計し,結果を運
(
議長から,12月11日に開催した第3回連携評価委員会についての報告と,現在までに提出されてい
資料編 平成23年1月~3月
2. 第3回連携評価委員会について
2
 小野コーディネータから,「教育研究連携推進プロジェクト成果発表会」の開催について,資料4
 柴田委員から,資料5に基づき,津山会場第8回(11/14)の実施報告並びに第10回(1/16,チラシは
机上配付)の開催案内があった。
8.その他
 小野コーディネータから,
FDWSについては2/23-24に開催することが決定し,先進科学教育部
門長から関係各位へメールにて周知している旨,報告があった。関連して,各機関から発表者を
選出し,1/21までに岡山理科大学まで提出願いたい旨,依頼があった。また,次年度以降は,各
機関が開催しているFD研修へ,本事業関係者等の他機関所属教職員も参加できるように,各機
関,積極的に働きかけを行っていただきたい旨,依頼があった。
 綱島氏から,当日配付資料に基づき,集まれ!科学好き(2/6)の開催案内があった。
 議長から,最終報告書作成の進捗状況について,当初の計画どおり冊子にはせず,KTOホーム
ページへ掲載する。また,本年度12月までの活動をまとめ,2月初旬にホームページへ掲載すると
の報告があった。報告書作成については,引き続き協力をお願いするとの発言があった。
● 次回開催予定
次回の運営委員会は,平成23年2月2日(水)15時30分から,岡山大学一般教育棟D棟6階大会議室
において開催することとなった。
108
)
7. 「科学大好き岡山クラブ」各会場からの報告
資料編 平成23年1月~3月
 原田美樹部門員代理から,資料4-3に基づき,英会話研修岡山大学会場での実施報告があった。
章
(1/29),第8回(2/26→3/5)の開催案内があった。なお,第8回の開催日について,添付資料訂正の
説明があった。
<国際交流部門>
(
 稲田委員から,資料4-2に基づき,わくわく理科講座について、第5回(11/6)実施報告と第7回
第4
-1に基づき,プログラム等の報告があった。
<理科教育支援部門>
2
「科学Tryアングル岡山」第22-10回連携教育推進センター運営委員会議事メモ
時:平成23年2月2日(水)15時30分~17時35分
場
所:岡山大学一般教育棟D棟6階大会議室
第4
日
章
出席者数:6/9
欠 席 者:佐藤委員,大西委員,岡田委員
(岡山県)綱島
(岡山大)石井,簑島,高岡
● 議事メモ確認:前回(1月5日(水)開催)の議事メモについて確認し,修正を含め了承された。
議題
1)次年度以降の事業継続について
1. 運営委員会について
議長から,平成23年度以降における「科学Tryアングル岡山」の組織形態は本年度までのものを
(
(津山高専)山下
(芸科大)國上
資料編 平成23年1月~3月
陪 席 者:(理科大)小野,山口,齋藤,蟻正,横溝
継続するが,運営委員会は次年度について2カ月に1回開催することとするとの提案があり,資料1
後,了承された。開催会場については,これまでと同様年に1回程度,各機関が持ち回ることが提案
され,了承された。また,次年度の体制を明確にする目的で各種委員会名簿の作成が提案され,各
機関とも3月末日までに事務局まで提出することが了承された。
2.活動計画について
議長の指名により各機関運営委員から,資料2に基づき,次年度の活動計画(案)について説明が
あった。種々意見が交わされ,活動計画(案)中,理科大で検討中の女性科学技術者講演会及び理
科教材開発研修については,CSTの事業としてお願いすることが了承された。また,活動に関わる人
件費の計画についての質問があり,議長から,KTO事業を各機関がどこで所掌するかによるとの返答
があり,岡山大学の継続体制を例にあげて説明した。
3.
JST科学コミュニケーション連携推進事業「地域ネットワーク支援」への応募とNPO法人格の取得に向けて
議長から,資料3に基づき,JST科学コミュニケーション連携推進事業「地域ネットワーク支援」へ
の申請について提案があり,種々検討の結果,申請する方向で準備する事が了承された。議長から,
申請書作成にあたっては,アイデアを寄せるなど,積極的な協力が求められた。
また,議長の指名により,小山委員から,NPO法人格の取得に向けて,NPO法人団体との意見交換
会の開催について説明があった。また、開催日について検討し、候補日を第一候補3月2日運営委
員会時,第2候補2月24日午後と決定し、小山委員が先方と調整することが了承された。なお,
日程が決定次第,各機関へ周知するとした。
報告事項
1. GP合同フォーラム(1/24-25)参加報告
参加者から,GP合同フォーラムについて,口頭にて参加報告があった。
109
)
に基づき,平成23年度以降もこれらの要項に基づき科学Tryアングル岡山を運営する等の再確認の
2
2.連携教育推進センター及び各部門からの報告
 議長から,資料4に基づき,
「第3回連携評価委員会」事業評価結果について,報告があった。
 議長から,資料5に基づき,日立理科クラブによる出前授業と情報交換会の開催案内があった。
<先進科学教育部門>
資料編 平成23年1月~3月
た。同時に大西委員からも,岡山県におけるインターネットを使用した教育の現状,また基盤整
備をどの様に行う必要があるかなどについて説明を行った。今回は経済同友会に,KTOの大学連携
やその中におけるインターネット使用の現状を知ってもらう良い機会ではあったが,それがすぐ
に財政支援に結びつくかは不明だとの感想が述べられた。
章
 議長から,
1月27日開催の経済同友会委員会において、
KTO事業内容の説明を行った由の報告があっ
第4
<連携教育推進センター>
(
あった。また,岡山オルガノンを後援とする旨報告があった。また,3月10日開催予定の教育研究
連携推進プロジェクト成果発表会への参加学生の確保について,早い時期でのアナウンスが依頼
された。
 國上氏から,
第2回企業訪問(㈱クラレくらしき研究センター)について,口頭にて実施報告があっ
た。
 米田委員から,
資料7に基づき,大学コンソーシアム提供科目,平成23年度「エコツーリズム技法」
「先進科学体験」開講案内を,理科大では2月7日(月)夕方より,1・2年生を対象として行うとの報
告があった。
<理科教育支援部門>
 山口准教授から,資料8に基づき,
「第3回理科教材開発研修」について,開催案内があった。
3.
「科学大好き岡山クラブ」各会場からの報告
 國上氏から,口頭にて倉敷会場(津山高専への出前授業)(1/10開催)の実施報告があった。
 柴田委員から,資料9に基づき,第9回津山会場(12/19開催)の実施報告があった。
4.その他
 議長から,経費執行について,計画的に行うよう注意喚起を行った。
 國上氏から,科学チャレンジコンテスト(2/5開催)の準備状況の報告があった。
 綱島氏から,集まれ!科学好き(2/6開催)の準備状況の報告があった。
● 次回開催予定
次回の運営委員会は,平成23年3月2日(水)15時30分から,岡山大学一般教育棟D棟6階大会議室にお
いて開催することとなった。NPO法人化に向けた研修会及び意見交換会が開催される場合は,時間調
整を行うとした。
110
)
 小野コーディネータから,資料6に基づき,
「第2回FDワークショップ」について、開催案内が
2
「科学Tryアングル岡山」第22-11回連携教育推進センター運営委員会
時:平成23年3月2日(水)15時30分~17時30分
場
所:岡山大学一般教育棟D棟6階大会議室
第4
日
議事メモ
章
出席者数:6/9
欠 席 者:佐藤委員,稲田委員,岡田委員
(芸科大)岡,上野
(岡山大)石井,簑島,高岡
● 議事メモ確認:前回(2月2日(水)開催)の議事メモについて確認し,了承された。
資料編 平成23年1月~3月
陪 席 者:(理科大)小野,齋藤,蟻正
(
1)次年度の「科学Tryアングル岡山」運営について
 運営委員会開催日について
議長から,次年度の運営委員会の開催日程について,前回運営委員会で了承された開催頻度(2カ
月に1度)を基に,偶数月(4・6・8・12・2月)に行うことの提案があり,議題等の有無により変動
することもあり得ることを含めて,了承された。ただし,開催日については,次年度以降の各機関
委員が決定していないため,まずは4月運営委員会(第23-1回運営委員会)を,現委員の都合等から
検討した結果,4月18日(月)15時30分からに決定した。2回目以降は,現委員の予定等から検討し,
定例開催日の候補を「第1候補:毎月第3木曜日15時30分から」,
「第2候補:第3月曜15時30分から」
と絞り,後日各機関に照会後,4月の運営委員会で決定することとした。なお,開催場所については,
前回の運営委員会で持ち回り開催することで了承されているが,まずは4月を岡山大学と決め,以降
は次回の運営委員会で開催日時とともに,検討することとした。
 次年度の委員の選出,開催行事について
議長から,次年度の運営委員について,各機関から2名(機関代表と部門長)を選出いただきたい
旨依頼があった。なお,センター長,部門長は任期が3年(センター要項より)であることから,4
月の運営委員会でそれぞれ選出することとした。また,議長から各機関の担当部門について,変更
希望の有無について確認したところ,特に変更希望の意見は無かったが,今後希望があれば,事務
局まで申し出ていただくこととした。その他,各種委員については,今まで同様に各機関で選出し,
3月末までに名簿を事務局へ提出することとした。
(提出先:[email protected])
また,評価委員の任期について質問があり,事務局から要項に定めがない旨説明があり,このこ
とについて議長から,4月に改めて各人へ継続の依頼をすることが提案され,了承された。また,次
年度の開催行事について,各機関で詳細な行事予定表を作成し,委員名簿同様,3月末までに事務局
まで提出することとした。
2)
「第16回FD講演会」への後援について
議長の指名により,小野コーディネータから,資料2に基づき,岡山理科大学FD推進室・科学ボ
ランティアセンター主催「第16回FD講演会」への後援について,提案があり,了承された。
なお,プログラム第1部の公開研究授業の対象は,大学生及び教職員であり,議長からKTO関係者
で興味のある方は是非参加いただきたいとの依頼があった。
111
)
議題
2
報告事項
 岡コーディネータから,資料3-4に基づき,第3回科学チャレンジコンテスト(2/5)について,実施
報告があった。また議長及び委員から,次年度以降,今回同日の開催が出来なかった岡山県主催の
集まれ!科学好きとのコラボレーションができれば,参加する生徒,学生にも良い影響があり,盛
り上がるのではないかと意見があった。
岡コーディネータからは,
次年度の開催日時は,2月4日
(土)
岡山大学50周年記念館と決定しており,岡山県とも調整している旨報告があった。
 小野コーディネータから,
平成22年度第2回FDワークショップ(2/23-24)について,
実施報告があり,
開催協力について謝辞が述べられた。
 倉敷サテライトオフィスから,机上配付資料に基づき,教育研究連携推進プロジェクト成果報告会
(3/10)についての開催案内があり,配布資料(ポスター)については,KTOホームページからダウ
ンロード願いたいとの依頼があった。なお,学生の口頭発表時間が各5分と限られているため,時
間の管理をしっかり行う必要があることを確認した。
<理科教育支援部門>
 事務局から,資料3-5に基づき,わくわく理科講座(1/29)について,実施報告があった。
 米田委員から,資料3-6に基づき,第3回理科教材開発研修(2/11)について,実施報告があった。ま
た,同行した,議長と齋藤氏(理科大サテライトオフィス)からそれぞれ参加した感想が述べられ
た。
2.
「科学大好き岡山クラブ」各会場からの報告
 事務局から,資料4-1に基づき,岡山会場,岡山大教室(3/13)について,開催案内があった。
 倉敷サテライトオフィスから,資料4-2に基づき,倉敷会場(3/5)について,開催案内があった。
 柴田委員から,資料4-3に基づき,津山会場(1/16)について,実施報告があった。また,今回は津
山市全域にチラシを配布したことから,申込みが定員の4倍となった旨の報告があった。
● 次回開催予定
次回(平成23年度)の運営委員会(第23-1回)は,平成23年4月18日(月)15:30から,開催するこ
ととなった。場所については,開催案内通知の際に連絡するとした。
112
資料編 平成23年1月~3月
報告があった。
 議長の指名により,小山委員から,第7回将来検討WG(2/24開催)での検討内容について説明があっ
た。すなわち,招へいした徳島のNPO法人の方との意見交換の中で,将来NPO立上げの際には,まず
一番に市や県からの財政面等の支援や人材の確保が必要であり,継続して活動を行うには,共通の
理念を掲げ,活動メンバーで共有することが不可欠であるとの助言をいただいた旨報告があった。
 事務局から,資料3-3に基づき,最終報告書が完成し,ホームページへ掲載した旨報告があり,冊
子及び印刷用データの配布について説明があった。なお,本年度1月~3月までの活動内容の報告を
別冊としてまとめ,同様にホームページへ掲載する予定であるとの説明があり,データの提出につ
いて依頼があった。
<先進科学教育部門>
章
 議長から,資料3-2に基づき,日立理科クラブによる出前授業と情報交換会(2/16)について,実施
)
 議長から,資料3-1に基づき,GP合同フォーラム(1/24-25)について,報告書完成の報告があった。
(
<連携教育推進センター>
第4
1.各部門からの報告
3
3.関連新聞記事紹介
第4
章
資料編 平成23年1月~3月
(
)
山陽新聞掲載記事 2011年1月18日 掲載
山陽新聞掲載記事 2011年2月8日 掲載
山陽新聞掲載記事 2011年2月6日 掲載
113
平成20年度採択・文部科学省「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」
連携拠点「科学Tryアングル岡山」による多角的科学の推進と地域活性化への挑戦
別冊報告書
発
行
編集・発行
平成23年3月
「科学Tryアングル岡山」連携教育推進センター
連携機関
岡山大学
岡山理科大学
津山工業高等専門学校
発行責任者
連
絡
先
倉敷芸術科学大学
岡山県
連携教育推進センター長(取組担当者)原田
勲
「科学Tryアングル岡山」連携教育推進センター事務局
〒700-8530
岡山市北区津島中2-1-1(岡山大学内)
電話番号
086-251-7248
E-mail
kto-office@kto.cc.okayama-u.ac.jp
URL
http://kto.cc.okayama-u.ac.jp/
平成20年度採択・文部科学省「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」
連携拠点「科学Tryアングル岡山」による多角的科学の推進と地域活性化への挑戦
連携機関
岡山大学
岡山理科大学
倉敷芸術科学大学
津山工業高等専門学校
岡山県
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