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マリン事業
自動車以外の事業 環境に配慮した製品で事業参入へ トヨタは自動車技術を活かした新 たな事業として1997年2月、28 マリン事業 ボーデン湖規制に対応した エンジン 「クラウン」などに搭載しているV型 8気筒4 マリーナへの参画に向けて ガソリンエンジンをベー スに「トヨタM1UZ−K」を開発しま トヨタはプレジャーボートの提供 エンジンは、 世界の基準とされるマ した。これに連続可変バルブタイミ とともに、マリンライフを楽しむた ング機構(VVT−i) 、可変吸気シス めのソフトウェアの提供も重要な柱 トヨタが'90年にマリン事業の研 リンエンジンの排出ガス規制 『 ボーデ * ン湖排出ガス規制 (BSO=Bodensee テム(ACIS) 、電子制御燃料噴射方 と考えています。そのため、'95年か 究着手にあたって最も重視したの Schiffahrts Ordnung) 』を指針に 式など、自動車で培った低燃費・静 ら周辺海域の環境アセスメントを実 は「環境」でした。そのため、素材の 開発しました。日本でのマリンエンジ 粛性のための技術を投入していま 調達については、FRP(繊維強化樹 ンの主流であるディーゼルエンジン す。自動車のガソリンエンジンをベ 施しながら マリーナ事業に参画し、 * インフラ整備にも着手しています。 脂)などの熱硬化性樹脂を極力使わ では、ハイラックスサーフなどに 搭 ースにマリナイズした「M1UZ-K」 現在、愛知県蒲郡市で建設中の ない設計を実施しました。 その結果、 載 さ れて い る直 列 4 気 筒 、3 は、その規制範囲をはるかに下まわ 複合型マリーナ「ラグナックスアイラ 総重量の1/4を占めるハル(船体) ィーゼルターボエンジンをベース っています。 ンド蒲郡」 (2003年完成予定)の事 にはリサイクル性にすぐれたアルミ に、燃焼室・噴射系・ターボチャージ フィート級(中型)のキャビンクルー ザー「ポーナム28」の販売を開始し ました。 合金を採用しています。 デ ポーナム28は、日本でマリンエ ャーなどを改良した 「トヨタM1KZ− ンジンを製造し、アルミ製ハルの製 TH」を開発しています。これにより、 造はニュージーランドのメーカーに '97年11月に行われたボーデン湖 生産委託しています。'97年度は、 規制テストを余裕を持ってクリア、 12艇が販売されました。また、デザ 12月に当局から認可されました。 インや環境に配慮した設計などが評 一方、ガソリンエンジンについて 価され、'97年度のグッドデザイン は、 ( 株)豊田自動織機製作所・日野 賞(通産省選定)を受賞しています。 自動車(株) と共同で、 「セルシオ」や 業主体である「蒲郡海洋開発(株) 」 ■ポーナム28 全長/28フィート、総t数/5t未満、燃料容量/560 、定員/12名。 ここでは、法律に従い、大気汚染、 (トヨタM1KZ/ディーゼルエンジン、 160馬力) CO HC NOX スモーク (g/kWh) (g/kWh) (g/kWh) (BSZ) 規制値 20 1.5 10 2.5 結 果 0.87 0.25 3.82 0.60 ●エンジン単体燃費 エンジン ハル(船体)の製造 全負荷燃費(最高出力点) M1KZ 280g/psh/3600回転 M1UZ 330g/psh/5600回転 ※ 船 舶 の 場合、波や風などの気象条件により燃料消 費量が大きく異なり、自動車の10・15モードの ような基準ルールがありません。そのためエンジ ン単体の燃焼効率を示しました。 82 日本の自主規制 *ボーデン湖排出ガス規制 (1) ボーデン湖は、 ドイツ、スイス、オースト リアに接する湖で、 ドイツの地方自治体 が世界で初めてマリンエンジンの排出 ガス規制を制定。エンジンを船体の中 に置くインボード型(ポーナム28はこの タイプ) 、外に置くアウトボード型を問わ ず、 ガソリン&ディーゼルエンジンのHC、 CO、NOx、スモークの排出量を'93年1 月∼(ステージ1) 、'96年6月∼(ステー ジ2)にわたって実施。各国の規制もこ れを基準としている。 (2)各国排出ガス規制の傾向 ●ボーデン湖排出ガス規制でのテスト結果 にトヨタは15.8%出資しています。 ●スイス:政府規制としてボーデン湖と ドイツ規制で実施済み(ステージ1='95 年1月∼、ステージ2='97年1月∼) 。 ●アメリカ:'98年から2006年にかけて、 ガソリン用アウトボード、水上オートバ イなどのPWC(パーソナル・ウォータ ー・クラフト)エンジンを段階的に規制 (9年間でHC+NOxを75%削減) 。 ●ドイツ:ブランデンブルグ州で'98年1 月から全ディーゼル&ガソリンエンジン のHC、CO、NOx、パティキュレートの 規制を計画。 ●欧州連合:プレジャー用マリンエンジン の規制値・実施時期について審議中。構 想では、4サイクルは2002年2月∼、2 サイクルは2003年2月∼。 ●その他:イタリア、オランダ、スウェーデ ン、カナダ、ニュージーランド、日本など で検討中。 水質汚濁、騒音、振動、悪臭、植物 および動物・景観についての環境影 (社)日本舟艇工業会では、日本 響評価を行い、愛知県、蒲郡市など 国内で販売するマリン用ガソリンエ と協議しながら保全対策を進めてい ンジンの排出ガスに関わる自主規 ます。 制を検討しています。規制対象は、 マリン事業を推進するにあたって 船外機、パーソナル・ウォーター・ク の課題は、諸外国に比べて規制の ラフト(PWC) 、2サイクルのジェッ 多いわが国の海域環境の改善、大 トボートから排出するHCとNOxを きな問題となっている使用済み舟艇 2000年∼2006年の間に、'98年 の回収・リサイクルシステムの構築 レベルの75%削減を目標としてい などがあげられます。 ます。 トヨタはこれらの課題に対して、業 4サイクルのジェットボートは、米 界の一員として、放置艇問題や使用 国環境保護局 (EPA) ルールに従い、 済み舟艇の回収システムの構築、法 もともと排出ガス対応の自動車エ 律の整備などに協力し、豊かなマリ ンジンをベースとするため適用除 ンライフの普及・発展に提言してい 外とされ、インボードエンジンも適 きたいと考えています。 用除外となっています。 なお海外では、米国においてガソ リンエンジン事業を展開中です。 *マリーナ事業 ●長崎サンセットマリーナ(トヨタ出資比率19%) (1995年オープン)長崎県長崎市 ●新西宮ヨットハーバー(トヨタ出資比率1%) (1995年オープン)兵庫県西宮市 ●横浜ベイサイドマリーナ(トヨタ出資比率2.5%) (1996年オープン)神奈川県横浜市 83