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第4節 構造

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第4節 構造
LEC中小企業診断士
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考える編
第4節
構造
中小企業診断士に欠かせないスキルは、問題解決力・経営革新力・助言能力である。2次試
験はこれらの能力を問う試験である。合格をするためには、物事の全体像を全体像を見極め、
さらに要素間の関係をわかりやすく整理する「構造化」のスキルが必要となる。
構造とは
「構造」とは、全体を構成するいろいろな
要素と要素の間の関係を指す。ビジネスや産
業の仕組みには、構造が存在している。身近
な例としては、組織図や業務フロー図などが
イメージしやすいであろう。組織構造では、
役職が組織の機能要素となっていて、
役職間
の結合により組織という構造がなりたって
いることを示している。
<図表 2-4-1 構造の例:組織図>
なぜ構造を持つのだろうか?何かが構造をもつ理由は、いくつもの要素が特定の機能を実
行するためのシステムとして集まっているからである。先の組織図は自社のビジネスを遂行
するにあたって、やるべき仕事をある程度の単位で要素として分割し、それぞれが何をすべ
きかを表している。
構造で事象を見ることができると、そのシステムが機能している状況や本来機能すべき状
況を考えることができる。そしてそれは、考えるべき疑問を見つけ、分析すべき問題原因を
見つけることができる。
第2次試験では与件文から企業の状況を読み取り、その企業に適した解答(診断・助言)
を作成することが求められる。ここでは、与件文から解答を導くためのステップの一つとし
て、構造化を学習する。本試験では 80 分という時間の制約があるが、構造の視点で問題を
とらえる事ができれば、すばやく解答を作成することができる。しかしながら、短時間で構
造化を実践できるようにするためにはまた、試験までに日常的なトレーニングが必要となる。
納得するだけでは終わらず、度重なる実践で徹底的に身につけて欲しい。
構造化
「構造化」とは、事象を構造としてとらえられるようにすっきりと整理することである。
言い換えると、
「戦略立案のヒントとなるよう、情報を体系立ててクリアに整理する」ことで
ある。情報をクリアに整理できると、置かれている状況の良し悪しや今後どのようなことが
起こりそうかわかり、これから何をすべきかが自ずと見えてくるのである。なお、構造化の
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ステップは次のように説明することができる。
<図表 2-4-2 構造化のイメージ>
①要素の整理
②全体の把握
③関係の整理
④意味を読む
文中に記載される要素
■□
●
◆
◆■
★
●
☆
○
◇ ◇
□
○ ☆□
○
□
○
○ ●
●
○
□■
□
●
○○
○●
◆
◇
◇ ◆
★
☆ ☆
!
◇◆
◇◆
★
☆☆
文中に記載されない要素
最初のステップは、ある対象の要素を整理することである。これを第2次試験に当てはめ
て考えると、与件文中に書かれている情報を正確に把握するとともに、その背後に隠されて
いる情報を推論によって導き出すのである。
次に、把握した情報を似ている情報や対比関係となっている情報などの観点からいくつか
のグループにまとめていく。そして最後に、整理したグループをフレームワークなどでお互
いの関係を位置づけするのである。その結果、漠然としたひと塊の情報を意味のある情報に
区切ることで、くっきりとした情報に生まれ変わる。それが新しい発見につながり、問題解
決や施策立案の大きなヒントになるのである。
特に第2次試験問題における構造化とは、事例問題を解くための最初の思考プロセスであ
る。具体的には、事例問題に書いてあることから推論で判断できることを洗い出し、その上
で要素ごとに整理した上で全体の把握を行う。その結果、抽象的に事例問題をとらえる事が
可能となり、複雑な事象の関係を正確に認識することができる。
構造化を実践する能力は「合否を分けるキーファクター」で、2次筆記試験を突破するた
めには、構造化の視点で物事をとらえる事ができる必要がある。この後から、構造化するた
めの考え方について記述する。
MECE(ミッシー)
ヌケやダブりがない状態で全体を把握することを、MECE(ミッシー:Mutually Exclusive,
「相互に排他的で、総合的に網羅的」となる。
Collectively Exhaustive)と言う。直訳すると、
もっともシンプルな例としては人間を MECE で整理する、
「男」と「女」である。これは
二者択一の MECE になる。医学的に特殊な例を除いて、人間は男と女に分けられるし、男
と女には同時になれない。この点で ME(Mutually Exclusive)=「相互に排他的(ダブリ
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なし)
」である。また、人間の性別は男と女以外にはないので、CE(Collectively Exhaustive)
「総合的に網羅的(ヌケなし)
」である。
<図表 2-4—3 ヒトの性別分類>
男性
女性
実際の利用シーンとしては、全体を把握するときに構成要素をミッシーでとらえ直すこと
である。例えば、大勢いる顧客を「地域」で分けると、一人のモレやダブりもなく分類でき
る。この作業を「ミッシーで要素分解する」という。
<図表 2-4-4 MECE イメージ図>
◇
◇
○
○
○
○
◇
◇
◇
◇
▼
■
■
■
■
▼
▼
▼
▼
▼
■
■
北海道
○
▼
▼
△
△
△
□
□
□
△
東北・北陸 関東・甲信越
◇
■
東海・近畿 中国・四国 九州・沖縄
▼
△
□
△
ミッシーの利用場面としては、2次試験問題で一見ばらばらに書かれている情報をうまく
整理するために使うことが多い。例えば事例企業の社歴を(1)創業直後~5 年目、(2)創業 5 年
~10 年目、(3)創業 10 年目~現在、などというように区分を作り、それぞれの年代でどのよ
うな変化があったかを洗い出してまとめる。
そうすることで洗い出した構成要素を(1)急成長期、(2)安定拡大期、(3)停滞期などといっ
たようにまとめることができる。その結果、どこにひずみや問題があったのかを時間軸で深
く追求することが可能となる。もちろん、ミッシーは仕事の場面で使うことも有効であるこ
とは言うまでもない。
MECE の整理要素
ミッシーで構成要素を整理するための簡単なコツは、
「反対」を考えることだ。反対を考え
ることで、大きなモレを見つけることができる。たとえば2次試験では、
「外部と内部」
、
「プ
ラス要因とマイナス要因」
、
「ハードとソフト」などが頻出かつ必須の切り口である。
年代や年齢、人口など数字で表現できるものは比較的簡単にミッシーで分解することがで
きる。しかし、数字にできないものは実は難しい。そのコツを整理すると次の 5 種類になる。
1.
対立概念型(賛成⇔反対/質⇔量/外部⇔内部)
反対や表裏を考えて整理する方法である。一番簡単で、ヌケなくダブりのない整理
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方法である。
内部
2.
外部
4.
20 才以上
~
30 才未満
30 才以上
~
40 才未満
40 才以上
~
50 才未満
50 才以上
~
60 才未満
60 才
以上
順序型(バリューチェーン/Plan→Do→See)
順次的なプロセスや時系列で考えるものである。
過去
現在
未来
Plan
Do
See
単純分類型(産業分類/地域)
複数の平行な構成要素を並べた分解方法である
東 海
近 畿
中 国
四 国
関 東
甲 信 越
九 州
沖 縄
東 北
北 陸
北 海 道
5.
弱み
数値線型(短期→中期→長期/低い→高い/少ない→多い)
一つの尺度をいくつかの程度で区切るものである。例に出ているように、
「時間の長
さ」や「物事の大小」
、
「○○未満」
「○○以上△△未満」
「△△以上」といったよう
なものである。数値化できるものは分類化することが可能なので、非常に単純に構
成要素を分解することができる。
20 才未満
3.
強み
異視点型(3C/QCD/4P)
複数の異なる視点を組み合わせ、全体で整合性を確保するものである。この「異視
点型」が後述するフレームワークとして、先人によって整理されている。
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自社
競合
顧客
MECE を使った解答の切り口整理
それでは、第2次試験においてMECEがどのように活用されるかの一例を確認してみよう。
平成 19 年 事例Ⅱ 第2問
B社が店舗数と店舗面積を増やさずに、売り上げを拡大するには、どのような方法がB社
に適していると考えられるか。100 字以内で2つ答えよ。
この問題では、設問要求として「売上の拡大策」が2つ問われているが、どのようにして
2つを選べばよいだろうか。思いつくままに挙げてみよとあれば、
「ハガキ広告を打つ」
、
「セ
ールを行って集客をする」
、
「ポイントカードを作る」など、いくつでも解答することができ
るであろう。
しかし、第2次試験では限られた字数の中で、できるだけ多くの解答要素を盛りこまなけ
ればならない。そのためには MECE を用いて、解答のモレやダブりを省くことが必要とな
る。
さきほどの設問にもどると、売上高は MECE で分解すると、
「客数」×「客単価」となる。
そのためLECの模範解答では、この2つの側面から模範解答を作り上げている
【客数の面から解答】
客 数 を 増 加 さ せ る プ ロ モ ー シ ョ ン を 行 う 。 具
体 的 に は 、 ① 地 元 業 者 と 連 携 し た 販 促 活 動 で
顧 客 情 報 を 共 有 し 新 規 顧 客 を 獲 得 す る ② 過 去
の イ ベ ン ト 参 加 者 に 、 新 し い イ ベ ン ト の 開 催
や 新 商 品 紹 介 な ど を 告 知 し 来 店 頻 度 を 上 げ る。
【客単価の面から解答】
客 単 価 を 向 上 さ せ る 商 品 ・ サ ー ビ ス を 提 供 す
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る 。 具 体 的 に は 、 ① 顧 客 ニ ー ズ に 沿 っ た コ ー
デ ィ ネ ー ト プ ラ ン の 提 案 を 通 し て 、 買 い 上 げ
商 品 数 を 増 や す ② 接 客 ・ 提 案 サ ー ビ ス や 素 材
加 工 商 品 な ど を 提 供 し 、 客 単 価 を 向 上 さ せ る。
ロジックツリー
事象を分析・検討する際に、細かい要素に分解していき、階層化して書き表すことを「ロ
ジックツリー」という。
<図表 2-4—5 ロジックツリー図>
A
A1
A1-1
A2
A1-2
A2-1
A2-2
同じ階層に並んでいる項目は独立関係になっている。たとえば上図で A1 と A2 は重複し
ている部分がなく、MECE な状態になっていることが主である。
上位と下位の階層で、線でつながっている関係は従属関係である。従属関係とは、言いか
えれば親子関係ということになる。A1-1 と A1-2 は A1 の従属関係にあり、A の構成要素は
A1 と A2 に分解できるという意味にある。
ロジックツリーを使う大きなメリットは、大量の情報の整理が可能になることである。そ
れにより経営上の本質的な問題の原因を掘り起こしたり、その課題に対する解決策を具体化
する際に、広がりと深さを追求することができるのである。
ロジックツリーを作成する場合、先で見てきた MECE でとらえて作成することが重要で
ある。モレやダブリをできるだけなくすために、同じ階層の要素には独立関係の項目を意識
して探し、書き出す。たとえば、
「既存」と「新規」は独立関係にあたるので同じ階層に配置
することも可能である。
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<図表 2-4-6 ロジックツリー使用例>
売上
向上
新規
顧客
広告
宣伝
顧客
開拓
既存
顧客
優遇条件
提示
購入量
アップ
販売単価
アップ
来店頻度
向上
また、効率的に MECE で整理するために、先人が編み出した「フレームワーク」を利用
することも有効である。後で改めて解説するが、戦略フレームワーク3C(顧客・自社・競
合)
、マーケティングの4P(製品、価格、チャネル、販売促進)などが試験や実務でも頻繁
に用いられる。
論理思考の重要な要素の一つは、さまざまな構成要素をミッシーとロジックツリーで分解
し把握することである。第2次試験においては、ごく短時間の間に与件情報を構成要素に分
解した上で整理する必要がある。そ短時間で構成要素を見抜いて的確に整理するためには、
日頃から意識して情報を階層に分けて整理するトレーニングが必要である。新聞や雑誌の記
事、または社内文章を素材に、できるだけこの考え方に早く慣れるようにして欲しい
フレームワーク
MECE やロジックツリーを使って分析をすすめる際に、対象の全体を「最適の切り口で切
断する」ということを心がけて欲しい。もう少しわかりやすく言うと、対象とする課題が最
も顕著に見えるような「概念上の断面」を選択すると言うことである。
この「概念上の断面」のことを「フレームワーク」という。フレームワークはポーターや
コトラーのような学者が提唱している「理論」や、実務の中でもまれて精緻化された「ビジ
ネスフレームワーク」などがある。また、自分自身の経験の中からフレームワークをうみだ
すことも経験あるのではないだろうか。
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切り口とは
フレームワークについて見ていく前に、フレームワークの基礎的な考え方となっている概
念上の断面=「切り口」について考えてみよう。最初に、
「概念を“切る”
」とはどういうこ
となのか。切り方によって見え方が異なることについて演習問題を通じて学んでみる。
≪練習問題≫
¶1 A社は創業が 1970 年代初頭の、大都市圏の郊外にあるホームセンターである。バイパ
ス沿いの立地と大規模な駐車場とをかねそろえ、昨年度売上高は5億円であった。
¶2 A店では、業務用需要にも対応できる専門性の高い品揃えと、一般消費者向けの需要
にも対応し、品揃えの拡大を続けている。A 社は顧客のためにさまざまな体験型イベン
トを企画・実施しているほか、従業員による講習会や工具貸出サービスが大きな人気を
呼んでいる。そのような施策を受けてか、近年では一般消費者向け商材の売上成長率が
著しくなっている。
¶3 しかし、A社の商圏内に大型チェーンのホームセンターB社が出店を検討していると
の話が出てきた。A 社以上の品揃えや効率的なオペレーションによる店舗運営で、既存
店の集客力は非常に高い。A 社社長はその対応策に頭を悩ませている。
(設問)A社社長が中小企業診断士であるあなたに相談をしてきた。最初に行う分析につい
て結果をのべなさい。
【MEMO】
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さて、あなたはこの設問にどう対応するだろうか。ここでは便宜的に二つの立場を考えて
みる。
①
B社が進出することにより、A社はドメインの転換が迫られるだろう。今後、あるべ
きドメインについて分析してみよう。
②
まず、何をするにしてもその前に自社・競合・顧客の3つの状況を分析しよう。
最初の立場が使おうとしているフレームワークは「ドメイン設定分析」であり、次の立場
が使用を考えているフレームワークは「3C分析」である。一つの事象を異なるフレームワ
ークで切ってみたときに、事象がどのように整理して見えてくるかを確認していただきたい。
<図表 2-4-7 異なる切り口での分析結果>
<切り口A>
<切り口B>
ドメイン設定分析
3C分析
標的
顧客
周辺住民?
自社
創業 30 年の老舗、
顧客
機能
品揃え?付随サービス?
顧客
独自イベントや工具貸し出し
などで、高い顧客満足
独自
能力
品揃えはB社に負ける。しか
し、サービスのレベルは高い。
競合
自社の品揃えを上回る、効率
的なオペレーション
さて、この分析結果をどのように感じただろうか。それぞれフレームワークを使っている
ためにそれらしい体裁を整えているが、3C分析が納得できるものに対し、
「ドメイン設定分
析」にはあいまいな印象を抱いたのではないだろうか。
次の図は、先に行われた2つの切り口からの分析を図示したものである。
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<図表 2-4-8 切り口のイメージ>
切り口A
切り口B
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
切り口Bはすべてとらえる
ことができている。
●
●
●
●
切り口Aはとらえきれてい
ない対象がある。
●
●
これがフレームワークを使った考え方である。まず、ある一つの対象物に対して「切り口」
がいくつも存在していることがわかるであろう。これは「切り口の選択」を誤ってしまうと、
発見できたりそうでなかったりすることを示している。つまり、切り口の選択によっては、
考える内容に抜け漏れが発生してしまうおそれがあるのである。
これから、いくつかのフレームワークと、それがどのような場合に効果を発揮するかにつ
いて“大まか” に解説する。「大まか」にといったのは、切り口の選択に「こういうときに
これを使えば必ずうまくいく」といった公式や正解があるわけではない。切り口の選択は、
経験や試行錯誤から学ぶ必要がある。
また、フレームワークは絶対でもない。教科書に書いてある通りにフレームワークを当て
はめて現実を分析してみても、うまく分析できることとそうでないことが出てくる。その際
には自分なりにフレームワークをカスタマイズして、現実に適応するようその場で改変する
機転や臨機応変さ必要になる。フレームワークに固執することで、かえって効率が落ちない
ように注意が必要である。
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マトリックス型フレームワーク
マトリックス(matrix)は数学用語で「行列」という意味である。このフレームワークは
縦軸(行)と横軸(縦)に異なる変数(項目)をとって、その交差した部分に要素やデータ
を配置するものである。マトリックス型フレームワークは、コンサルティングにおいて課題
分析などに使われる、用途の広い基本的なフレームワークである。
<図表 2-4-9 フロー型フレームワーク>
YⅡ
YⅠ
XⅡ
XⅠ
XⅡ
YⅠ
⇒
Ⅰ
Ⅱ
X
XⅠ
XⅡ
XⅡ
Y
YⅠ
YⅠ
YⅡ
2次試験では頻出のマトリックス型フレームワークとして、SWOT分析がある。SWO
T分析は内部環境、外部環境をそれぞれ強み、弱み、機会、脅威のマトリックスで分類した
ものである。
<図表 2-4-10 SWOT 分析>
機会
(Opportunity)
脅威
(Threat)
強み
(Strength)
機会を読み取ることが最重要
弱み
(Weakness)
機会に強みが活かせないなら、 回避する。外部環境の変化によ
弱みを強化する
り、機会にできるなら活用する
自社の強みを活かすことを検
討する
内部環境の強みと外部環境の機会を分析し、強みから独自能力、機会から顧客、顧客ニー
ズを推定することができる。さらに、内部環境の弱みを補完し、外部環境の脅威を回避する
という視点から、経営戦略の方向が見えてくる。
この他にある代表的なマトリックス型フレームワークとして、
「PPM分析」や「VRIO
分析」
、
「バランス・スコアカード」などがある。
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フロー型フレームワーク
フロー型フレームワークは、行動、手順、
業務プロセスを時間経過とともに可視化し
たものである。通常、左から右あるいは上か
ら下の順に描かれる。
<図表 2-4-11 フロー型フレームワーク>
A
主な活用例としては、
消費者の行動モデル
を検証したいとき、業務プロセスを明確にし
たいとき、原因と結果の流れなどを検証した
いときなど、
さまざまなシチュエーションで
利用される。
B
D
C
E
時間経過
このタイプの代表的なフレームワークは、
バリューチェーンである。
原材料の仕入れか
ら顧客へのサービスまで、
すべてのプロセス
においてどのような付加価値を生み出して
いるのかを明らかにすることができる。この
ように、
ある一連の活動をフローとして分解
し、
その上で各フローに焦点をあてて分析す
ることにフロー型フレームワークは効果を
発揮する。
<図表 2-4-12 例;バリューチェーン>
全般管理(インフラストラクチュア)
支援活動
調達活動
技術開発
マージン
サービス
造
出荷物流
製
購買物流
なお、代表的なフロー型フレームワークは、
「AIDMA理論」や「特性要因図(フィッ
シュボーンチャート)
」などがある。
販売・マーケティング
人事・労務管理
主活動
要素関連型フレームワーク
要素関連型フレームワークは、要素と要素の相互関係や連動関係を表したフローである。
相互関係を示すフレームワークでは、3つあるいはそれ以上の独立した要素間で均衡が保
たれていることを示している。主従関係があるわけではなく、対等な関係となっていること
が特徴である。
もう一方の連動関係を示すフレームワークは、要素をプロセスとしてとらえて、そのプロ
セス間で流れが循環することが特徴である。より良い方向へ向かう正の循環を作ることを目
標としているフレームワークである。なお、1回限りの流れを表現する場合はフロー型フレ
ームワークの選択が適切である。
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<図表 2-4-13 要素関連型フレームワーク>
A
A
D
B
C
B
C
<図表 2-4-14 例;ドメイン構成図>
右図は、
代表的な例である
「ドメイン分析」
のフレームワーク図である。
標的
顧客
企業は進むべき方向性を明示するために
ドメインを規定する。ドメインとは、企業の
事業活動の展開領域(事業領域)のことであ
る。ドメインを設定することにより、企業活
動の指針が定まり、組織の一体感を高めるこ
とができる。その手順として、図にある3次
元で規定すると考えやすくなる。
顧客
機能
また、他には「7S戦略」や「3C分析」
が代表的な例としてあげることができる。
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独自
能力
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