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学生実験で活用する解析ソフトの開発

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学生実験で活用する解析ソフトの開発
学生実験で活用する解析ソフトの開発
1.緒言
若者の中に理科離れが見られることに危惧されるようになってから,それぞれの大学・学校等
の教育現場では様々な取り組みがなされている.その中でも大きく変化したのが講義や実験に情
報技術を活用されるようになったことであろう.現在,当学科の物理学実験では,10 種類程度の
実験を行っており,その物性値を導くためには,データをグラフ化してその直線の傾きを最小二
乗法により求めることが多い.グラフ化することによりその実験データがどんな結果を導くのか
を思考しながら理解するところに理科の面白さがあるのだが,実際受講している学生は,データ
をプロットして傾きを求める作業のみに労力を使っているため,面白さを理解する状態に到達す
るには程遠いのが現状である.
一方,情報化社会と教育現場の現状に目を向けてみると,数多くのデジタルコンテンツがネッ
ト上に掲載され,自由に閲覧・使用できるようになった.デジタルコンテンツによる勉強は,自
分の理解のペースに合わせて学習が可能で,手軽に自宅からでも予習・復習することが可能にな
るなどその教育効果は大きい.その際使用する個人の情報端末は従来のデスクトップパソコンか
らノートパソコン,ネットブック,タブレット PC など情報技術の進化とともに年々軽量化され,
今後はさらに軽量化したスマートフォンなどの携帯端末が主流となってくると予想される.
それら携帯端末を教育現場に活用することで,理科の実験や英語の発音など動画や音声で学習
すると効果が上がるデジタル教材をデジタルブック形式で簡単に制作することが可能で,さらな
る教育効果の向上が見込まれる.そこで本研究の目的は,それら携帯端末を学生実験で使用でき
るようなソフトの開発をすることとした.
2.研究方法
2-1 開発環境
・Windows 7 Home Premium Microsoft 社
・Android SDK
ver.2.3.3
http://developer.android.com/sdk/
・JDK
ver.6
http://java.sun.com/javase
・Eclipse
ver.3.4(Ganymede)
http://www.eclipse.org
2-2 タブレット端末の特徴
スマートフォンや IPad のような平板型でキーボードが付いておらず、液晶の画面に指先を当てな
がら操作するタッチパネルが採用されている端末の総称。
メリット:①現在、幅広く復旧しておりほとんどの人が所持している
②プロセッサのデュアルコア化や高速化,WiMAX などの通信完了の高速化など,OS だけでなくハ
ードウェアの改善も急速に進んでいる.
③開発環境が容易に準備できるオブジェクト指向言語の Java を用いて Android アプリを作成可能.
2-3 研究内容
Eclipse を用いて物理学の学生実験データの解析に今回の研究で作成したソフトを用いること
ができるか検証する。
3.開発
3-1 物理実験での現状
物理学実験では,インターネットを介して
Excel のワークシートを活用している.Fig. 1 に
物理実験で使用している Excel のワークシートを
示す.このシートは学生に表計算をしっかり理解
させるために,あえて簡易に作成されたものであ
るが,その効果が出ていないのが現状である.こ
のシートは Excel で作成されているため,実験室
では整備された PC を使用すれば解析できるが,
自宅などで解析する場合には,学生個人が Excel
をインストールした PC が使える環境にないとで
きない.また,数値入力したものがそのままグラ
Fig. 1 物理実験で使用している Excel のワー
クシート
フ化されないので,数値入力しながら実験結果を
考察するといった状況にはならない.
3-2 開発方法
図 2 に Eclipse の開発画面を示す.Eclipse を
使用して開発を行うことで,プログラムの構文エ
ラーやコンパイル時のエラーなどが確認できる.
エラーがなければ実行し,Java のソフトで動作を
確認する.
Fig. 2.Eclipse の開発
3-2 Java による開発
物理学実験のデータ解析に使用している公式をテーマに解析とグラフ表示プログラムの開発を
進めた.
3-2 実験結果
最小二乗法を計算するプログラムの作成に成功し,解析回数に応じた計算を行えるプログラムの
開発に成功した.
4.考察と今後の課題
今回の研究で,Javaを用いてパソコンでのみ使用できるアプリのタブレット化に近づけることは可
能だと理解できた.
今後の課題として,グラフ表示がされないので解析結果とグラフの相関が理解し実験によって傾きと
切片は異なってくるのでそれぞれの実験に対応したグラフ表示が可能になれば興味深いものになる
と考えている.
5.参考文献
・作ればわかる!Android プログラミング 著者:金宏和實 発行所:株式会社 翔泳社
・Google Android アプリケーション開発入門 著者:木南英夫 発行所:日経 BP 社
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