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DDIポケット株式会社

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DDIポケット株式会社
Oracle9i Real Application Clusters 導入事例
DDI ポケット株式会社
2003 年 4 月にサービスが始まった DDI ポケットの「 AirH"
PHONE」。このシステムインフラとアプリケーション開発を担
当したのが日本HPである。注目すべきポイントはスケールア
ウト構成を積極的に採用していること。最も重要な役割を果た
すデータベースサーバには、Oracle9 i Real Application
Clusters(RAC)が利用されている。これによって高い可用性
と拡張性を確保すると共に、投資効果の高いシステムを実現
しているのだ。
Oracle9i Real Application Clusters 導入事例
DDI ポケット株式会社
PDA の利便性と PHS の手軽さを融合した
ることで、有料コンテンツを利用できる。もちろんPHSなので高品
新世代のブラウザフォンが誕生
質な音声通話もサポート。さらにUSBケーブルなどでPCと接続す
いつでもどこでももっと手軽にインターネットを活用したい。ビジ
れば、AirH" のデータ通信サービスの利用も可能なのだ。
ネスのIT化や一般家庭におけるインターネットの普及が進むにつ
このように様々な魅力を持つAirH"PHONEだが、その最大の特
れて、このようなニーズが急速に高まっている。
長は「標準への対応を徹底していること」だと、DDIポケット サー
たとえばコミュニケーション手段としてインターネットメールを
ビス開発部で課長補佐を務める遠藤氏は説明する。同社ではこ
使っているユーザーにとって、オフィスや自宅だけではなく外出
れまでにも「 H"LINKセンター」によるPHS端末向けサービスを
先でもメールのやり取りを行いたいというのはごく自然な要求で
提供しており、メールサービスはユーザーから高く評価されてい
ある。また情報収集の手段としてインターネットを活用する場合
た。しかしインターネットコンテンツの閲覧は独自プロトコルを採
でも、交通手段の選択やホテルの予約、出張先の地理などは、外
用していたために、なかなか市場に受け入れられにくかったと振
出先でこそ利用したいサービスだといえるだろう。もちろん携帯 り返る。今回は標準への対応を徹底することで、このような問題
電話によって電子メールや各種情報サービスにアクセスすること を根本から解決。極めて幅広い適用エリアをカバーできる端末に
もできるが、やり取りできる情報量の制限やプロトコル上の制約
仕上がったのだ。
などがあり、必ずしもインターネットをフルに活用できるものだと
は言い難い。そのため外出先でもインターネットを活用したい
インフラとアプリ開発は日本 HP が担当
ユーザーは、
ノートPCやPDAといった、決して手軽とはいえない
わずか 4ヶ月でシステム構築を完了
端末を持ち歩いているのではないだろうか。
この AirH"PHONE の実現に向けた検討が本格的に始まったの
しかし2003 年 4 月、
このような悩みを解消できる端末がついに
は 2002 年 5 月。サービス内容の詳細を詰めていくと共に、必要
登場した。それがDDIポケットの「AirH"PHONE(エアーエッジ
となるシステムの要件定義や設計が進められていった。そして同
フォン)」である。
年9月には経営陣からの“ゴーサイン”が出され、サービスを支え
D D I ポケットではこれまでにも、インターネット接続が可能な るシステムの構築も本格的に動き出すのである。
「AirH"」と呼ばれるサービスを提供しており、高速なデータ転送 「今回のシステム構築では、大きく3つの要件がありました」と遠
速度や定額制の料金設定、多様なPCやPDAに対応した通信アダ
藤氏はいう。まず第1は大量なトランザクション処理を低コストで
プタの提供などによって、数多くのユーザーを獲得してきた。 実現すること。システムコストの抑制は競争力のあるサービス価
AirH"PHONE はこの AirH" に対応したブラウザフォンである。 格を実現する上で、避けて通れない課題だからである。第2は拡
PHSに標準メーラーと標準ブラウザを搭載することで、PDAの利 張性の確保だ。AirH"PHONEのようなサービスは将来の需要を
便性と PHS の手軽さを兼ね備えた端末なのである。
読みにくい。小さなシステムからスタートすることで初期投資を
まず電子メールに関しては POP3と SMTP に対応したメーラーを
抑えると共に、急な需要の伸びにも対応できる必要がある。そし
搭載。DDI ポケットが提供するメールサービスに加えて、POP3/
て第3がミッションクリティカル性の実現である。システムで扱う
SMTP を採用しているインターネットプロバイダーや、企業のリ データの一貫性を確保することはもちろんだが、24時間365日
モートアクセスサーバのメールサービスを利用できる。Webサイ 停止しないことも重要な要件になったのだ。
トへの接続機能としてはCompact HTMLブラウザを搭載しており、 システムインテグレータとしてこの要求に応えたのが、大和総研
一般的な携帯向けサイトへのアクセスが可能。さらにDDIポケット と日本 HPである。プロジェクト全体のマネジメントとバックエン
では情報料の回収が可能なオフィシャルサイトの提供もサポートし ドシステムとの連携を大和総研、
システムインフラの設計・構築と
ており、ユーザーはポータルサイト「 CLUB AirH" 」にアクセスす
アプリケーション開発を日本HPが担当した。システムインフラと
アプリケーション開発に日本HPを採用した理由について「すでに
H"LINKセンターの構築で日本HPが全面的な協力を行っており、
24時間365日の可用性が求められるシステムをほとんどトラブ
ルなく運用してきた実績があったから」と遠藤氏は説明する。顧
客の要求に対して迅速かつ的確に動く
“打てば響く”人材の存在
と、ITに関する高い技術力、そして一緒に難局を乗り越えていこう
という企業姿勢を高く評価しているのだという。
「特に今回は短
期開発が要求されました。信頼できるパートナーの存在が不可欠
だったのです」
日本 HP はこのような期待に、今回も高いレベルで応えている。上
DDIポケット株式会社
サービス開発部 課長補佐
遠藤 靖志 氏
日本ヒューレット・パッカード株式会社
コンサルティング統括本部
プロジェクトマネージャ
高田 竜治 氏
記の要件を満たすシステムの構築を実質 4ヶ月という短い期間で
完了し、
2003年1月には総合テストにこぎつけているのだ。そして
ケールアウト可能なシステム構成を採用することでした」という
2003 年 4 月にはサービスインを開始。検討開始からわずか 11ヶ のは、今回のシステム構築に参画した日本HPコンサルティング統
月という、スピーディな新サービス投入を成功させるのである。
括本部の高田マネージャである。これによって“小さく始めて大
今回構築されたシステムの構成は図に示すとおり。認証DB(デー
きく育てられるシステム”の実現が目指されたのだ。例えばポ
タベース)、ポケットサイト、課金DB、
コンテンツゲートウェイとい
ケットサイトやコンテンツゲートウェイでは、ロードバランサを利
う、4 種類のサービスが連携して動くようになっている。
用したネットワーク負荷分散が採用されており、サーバ数を追加
まず認証DBはAirH"PHONEからのアクセス時にユーザー認証
することで処理能力を拡張できるようになっている。またこの構
を行うためのデータベースであり、ポケットサイトとコンテンツ
成は、1台のサーバがダウンしても他のサーバでサービスを継続
ゲートウェイに認証情報を提供する。このデータベースがダウン
できるため、可用性の向上という効果もある。
するとAirH"PHONE からのアクセスが行えなくなるため、極め
特に注目すべきなのが認証DBの構成だといえるだろう。これま
て高い信頼性が要求される。ポケットサイトは有料コンテンツへ
でのデータベースサーバでは、高い処理能力を確保するために
のサインアップや“お気に入りサイト”を管理するためのもので、 スケールアップのアプローチを行うケースが多く、可用性向上も
Oracle9i AS 上で JSP とサーブレットを利用したアプリケーショ Active/Standby 型の HA クラスタを採用するのが一般的だっ
ンが稼働している。有料コンテンツアプリケーションへの実際の
た。しかしこの認証 DB では Oracle9i Real Application Clus-
アクセスは、
コンテンツゲートウェイを経由して行われる。そして
tersを採用しており、スケールアウトによって処理能力拡張と可用
有料コンテンツの課金情報は、課金DBによって管理されている。 性向上を実現しているのだ。
高田マネージャによれば、
「最初のシステム構成はサービスイン
可用性と拡張性の両立を実現するために
から約6ヶ月間のユーザー数を想定したキャパシティになってい
スケールアウトの構成を積極的に採用
る」という。これは一般的なシステム構築の常識で考えれば、決し
それでは DDI ポケットが提示した要件は、どのような形で満たさ
て十分なキャパシティだとはいえないだろう。しかしスケールア
れているのだろうか。
「今回最も意識したのは、できるだけス ウトの構成を積極的に採用することで、拡張性は十分に確保され
AirH" PHONE Center システム概要図
ポケットサイト
サインアップ・お気に入りサイト
Load Balancer
WEBアクセス(http)
認証DB
HP rp5470
Server
POP/SMTP
AirH"
交換機
認証情報
HP rp5470
Server
FC SW
FC SW
HP StorageWorks
disk Array VA7100
HP StorageWorks
disk Array VA7100
WEBアクセス(http)
ユ
ー
ザ
ー
認
証
Oracle 9i RAC
HP MC/ServiceGuard
HP-UX 11i ×2
ユ
ー
ザ
ー
認
証
HP ProLiant
DL360 G2
HP ProLiant
DL360 G2
Oracle9i AS×2
Linux ×2
ユーザー情報
ユーザー管理
システム
課金DB
HP rp2470 Server
FC SW
HP StorageWorks
disk Array VA7100
HP rp2470 Server
Oracle9i AS×2
HP MC/ServiceGuard
HP-UX 11i ×2
FC SW
HP StorageWorks
disk Array VA7100
コンテンツGateWay
課
金
デ
ー
タ
Load Balancer
HP-UX 11i ×2
AirH"PHONE
メールGW
HP rp2470 Server
HP rp2470 Server
WEBアクセス(http)
有料
コンテンツ
サイト
ている。そのためユーザー数の急増にもすぐに対応できるので
高い可用性を実現する上で大きな効果があったといえるだろう。ス
ある。もちろんOracle9i RACの採用によって可用性も高まって
ケールアウトはシステム能力の拡張にも大きな貢献を果たすが、
こ
いる。認証DBでサーバダウンが発生しても、30秒以内にサービ
のメリットを活かすには新規ハードウェアの調達が容易なことも重
スを再開できることが検証されているという。
要なポイントだ。そのためにDDIポケットでは、
サーバレンタルを行
その一方で課金 DB ではActive/Standby 型の HAクラスタが利 う日本HPのファイナンスサービスを活用。AirH"PHONEだけでは
用されており、必ずしもすべてのサーバでスケールアウトが採用
なくH"LINKセンターのシステムも含め、
DDIポケット全体で必要な
されているわけではない点も注目に値する。データベースとして
予備サーバの確保が行われているという。
の利用機能や、スケーラビリティ、障害時のリカバリ方式など、 AirH"PHONEはユーザーからの評価も高く、サービス加入者数
データベースに求められる要求は認証DBと課金DBでは当然異
も着実な伸びを見せている。なかでも今後大きな伸びが期待され
なる。それらの要求と Oracle9i Enterprise Edition の HA クラ
ているのが法人ユーザーによる活用である。AirH"PHONEは企
スタ構成とRAC 構成の適性を検討した結果、課金DBではHA構
業にとって、大きな魅力をもつソリューションになり得るからだ。
成、認証 DB では RAC 構成を採用することになった。単純にひと
たとえば Compact HTML に対応した企業システムなら、すぐに
つのアプローチを採用するのではなく、適材適所の発想で使い分
AirH"PHONEを端末として利用することができる。また利用可
けているのである。
能なメールサービスも、DDI ポケットが提供するものを含めて 3
適材適所の発想は、プラットフォームの選択にも現れている。認
つのアカウントを設定可能なため、会社のメールと個人のメール
証DBと課金DB、
コンテンツゲートウェイにはHP-UX 11i、ポケッ を1台のAirH"PHONEで利用することが可能だ。さらに定額料
トサイトにはLinuxを採用しているのだ。これは求められる信頼性
AirH"PHONE Center を構成する、Web
コンテンツ、認証、課金、
コンテンツゲート
ウェイの各 HP サーバ群
金を選択することもできるため、通信費用を“固定費”として扱う
のレベルに合わせた結果だという。高い信頼性が必要なものは ことも可能になる。投資や運用コストを抑えながら従業員の利便
実績の高いHP-UX 11i、
システム的なチャレンジが許される部分
性を高める手段として、大きな威力を発揮するのである。
には Linux によってコストダウンを図っているのである。
このようにAirH"PHONEは、小さなボディに数多くの魅力を盛り
「これだけの工夫を凝らしたシステムを、わずか 4ヶ月で構築で
込んだ、非常にポテンシャルの高い端末である。ユーザー数が今
きたのは素晴らしいと思います」と遠藤氏。また設計時点では
後さらに急速な伸びを見せていくことは、間違いないといえるだ
Oracle9i RACが登場してからまだ間もないにもかかわらず、日 ろう。そして“いつでもどこでももっと手軽に”インターネットに
本 HP の技術者が Oracle9i RAC の検証データを用意していた
アクセスできるようになることで、私たちの仕事や生活のスタイ
点も高く評価しているという。
「新しいテクノロジーの採用も、日
ルも大きく変わっていくはずだ。
本 HP なら安心して任せることができますね」
企業ユースでも威力発揮する AirH"PHONE
通信コストを固定費化できるという魅力も
2003 年 4 月にサービスを開始して以来、約 6ヶ月が経過している
がシステムは安定稼働しており、順調にサービス提供されてい
DDI ポケット株式会社
所在地 / 東京都港区虎ノ門 3 丁目 5 番 1 号 虎ノ門 37 森ビル
代表取締役社長 / 山下孟男
資本金 /752 億 5100 万円
事業 / 第一種電気通信事業
る。スケールアウトを活用したシステム構成は当初の目論見通り、
お問い合わせはカスタマー・インフォメーションセンターへ
03-5304-6660
月∼金 9:00 ∼ 19:00 土 10:00 ∼ 18:00(日、祝祭日、年末年始および 5/1 を除く)
HP 製品に関する情報は http://www.hp.com/jp/
HP & Oracle 製品に関する情報は http://www.hp.com/jp/oracle/
Microsoft 、Windows および Windows NT は、米国における Microsoft Corporation の登録商標です。
UNIX は、The Open Group の登録商標です。
Oracle は、米国における Oracle Corporation の登録商標です。
記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
記載事項は 2003 年 9 月現在のものです。
本カタログに記載された内容は、予告無く変更されることがあります。
© Copyright 2003 Hewlett-Packard Development Company,L.P.
日本ヒューレット・パッカード株式会社
〒140-8641 東京都品川区東品川 2-2-24 天王洲セントラルタワー
JSL3228-01
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