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米国コミュニティバンク・協同組織金融機関のガバナンス
米国コミュニティバンク・協同組織金融機関のガバナンス 茨城大学人文学部准教授 内田聡 1. はじめに 1.1 問題の所在 2006 年 12 月公表の内閣府規制改革・民間開放推進会議の第 3 次答申に、「協同組織 金融機関(信用金庫・信用組合)に関する法制の見直し」の項目が盛り込まれ、その「業 務及び組織の在り方について、株式会社組織の金融機関とのバランスを考慮した、抜本 的かつ総合的な視点からの見直しに向けた検討を開始」とされた。これを受けて、08 年 3 月に金融審議会金融分科会第二部会に、協同組織金融機関のあり方に関するワーキン グ・グループが設けられ審議が行われている。 論点は多岐にわたるなかで、ガバナンスが重要なポイントの1つである。金融機関の ガバナンスには、規制当局との関係や預金保険の存在も影響を与えるが 1 、本稿ではと りわけ総会や理事会に焦点をあてる。というのも、協同組織金融機関は、銀行と比べて より地域に密着しており、地域のパブリックプレッシャーは相対的に強いと考えられる ものの、株式公開している多くの銀行とは異なり、株主や株式市場のチェックが効かな いため 2 、総(代)会や理事会のあり方がガバナンスを考察するうえで重要になる。 本稿は、米国金融システムの全体像の理解を前提に、協同組織金融機関(クレジット ユニオン・CU と相互貯蓄金融機関)における総会や理事会の仕組みと実際について述 べ、わが国での論議の参考に供するものである。ただし、これらの機関は住宅ローンな どを主業務とし、事業向貸出を主とする協同組織金融機関は米国には存在しないため、 コミュニティバンクと呼ばれる商業銀行についても併せて考察する必要がある。コミュ ニティバンクは株式会社だが、多くは未上場であり、ガバナンスにおいて協同組織金融 機関と類似の課題を抱えていると考えられる。 これら金融機関の多くはリレーションシップバンキング(リレバン)を行っているが 3 、それは小規模で組織が複雑でなく、融資判断にもちいるソフト情報(経営者の資質 など)が劣化しにくいからである。リレバンの組織形態にかかわる諸問題をコントラク ティング問題と呼ぶが、これはローンオフィサーと銀行経営陣の間ばかりでなく、経営 1 当局との関係なども含む先行研究については、Booth, Cornett, and Tehranian (2002), Adams and Mehran (2003), Macey and O’Hara (2003)などを参照。なお、これらの分析は商業銀行全般を対象と するものである。 2 上場企業・銀行で株主や株式市場のチェックが常に有効に効いていると主張するものではない。こ れに限らず、上場企業・銀行にもガバナンスに関する問題が存在するのは言うまでもない。 3 主にリレーションシップレンディングの意味でもちいる。 1 陣と株主、株主と債権者・規制当局者に及ぶものである(図表 1)。未上場のコミュニテ ィバンク・協同組織金融機関では大規模銀行と比べ、経営陣と株主などにかかわるコン トラクティング問題(利害衝突)は生じにくい一方で、こうした組織のガバナンスの仕 組みと運営がどのようになっているのかは、明らかにされるべき重要な課題であろう。 米国の事例を考察する際、特定の部分だけを取り上げてわが国との比較を行うのには 注意が必要である。それぞれのサブシステムがどのように組み合わさり、金融システム 全体としていかに機能しているのかが重要な視点である。典型的な協同組織金融機関で あるCUは法人税が免除されるのに加え、コミュニティバンクの 34%も、Sコーポレーシ ョンという形態をとり、法人所得税が免除されている。CUの考察に加え、なぜSコーポ が 1996 年に容認され、急速に広がっているのかを理解することにも大きな意味がある だろう。08 年 3 月の財務省のブループリント(後述)で提案された、預金取扱金融機関 の再編案も含めて考察する 4 。 1.2 問題接近への前提 本稿はコミュニティバンク・協同組織金融機関のガバナンスを取り上げるものだが、 その前提となる金融システムの全体像を内田(2008b)によって提示する(図表 2)。コミ ュニティバンク・協同組織金融機関は、以下で言及するメインストリート金融を構成す る主要な金融機関である。 米国の金融システムは、マネーセンターを拠点に全米・国外の資金が取引されるウォ ールストリート金融と、地域を拠点に地域の資金が取引されるメインストリート(地域) 金融から形成されるが、1990 年代の規制緩和でメインストリート金融にもメガバンクの 攻勢が続く一方、通常の認識とは異なり、多くの地域で地元金融機関が事業向貸出で大 きなシェアを持っている(図表 3)。地域経済に意味のある中小企業でも、メガバンクで はその価値を理解して貸し出すにはしばしば採算が合わない。換言すれば、コミュニテ ィに根付き、ソフト情報を人的・組織的に獲得・活用できる地域金融機関が不可欠であ る。地域金融機関は市場経済で活動するが、政策や慣行にも支えられている。この支え は価値観を市場論理以外にも求めるコミュニティの反映でなければならず、地域金融機 関は自己保身だけにこれらを用いればその行き場を失う。 米国の金融システムは市場論理と非市場論理という二面性を持ち合わせ、ウォールス トリート金融が主に市場論理で機能するなかで、メインストリート金融の存在意義は市 場論理とコミュニティの要請を調和させるところにある。先行研究では、ウォールスト リート金融に比べメインストリート金融の分析は必ずしも十分ではないが、このような 理解にもとづいてこそ、米国金融システムの全貌が明らかになる。 4 図表について、すべての金融機関のデータを掲載すると膨大になるため、わが国であまり知られて いないクレジットユニオンのそれを優先的に掲載する。 2 2. 多様な金融機関 2.1 金融機関の全体像 米国には商業銀行、貯蓄金融機関、CU といった預金取扱金融機関が存在し、いずれ の機関の免許種類にも国法(連邦法)と州法があるが、以下特に断りのない限り、金融 機関のデータは 07 年末の両者の合計で、法制度などは国法について述べる。これらの 機関の合計数・合計資産・1 機関あたりの規模は順に以下である。7,282 行・11,176,096 百万ドル・ 1,535 百万ドル、1,251 機関・1,862,669 百万ドル・1,489 百万ドル、8,396 組合・776,588 百万ドル・92 百万ドル。 本稿の直接の対象ではないが、ほかに地域開発金融機関(CDFI)がある。CDFIは財 務省のファンドから資金・技術面で援助を受け、貧困な地域社会の開発を主たる使命と し、当該地域への資金供与に加えて開発に必要な用役を提供する金融機関である。05 年 末に 970 あるとされ、うちCDFI連合が集計した 496 機関の合計資産額は 20,800 百万ド ル、1 機関あたりの規模は 42 百万ドル。商業銀行やCUのなかにも認定を受けCDFIとし て地域開発に特化した活動をするものもあり、(970 のうち)それぞれその数は 100 と 290 である 5 。 2.2 コミュニティバンク 6 商業銀行はすべて株式会社組織であるが、連結総資産 10 億ドル未満のそれはコミュ ニティバンクと呼ばれ、大規模・中規模銀行としばしば区別される。コミュニティバン クは、合計資産額では全銀行のそれの 11.0%を占めるにすぎないものの、行数では 93.0%を占める。多くは未上場の銀行で、所在地域の中小企業を対象にリレバンを展開 している。米国には事業向貸出を中心とする協同組織金融機関がなく、コミュニティバ ンクは株式会社ではあるが、その性格から協同組織性を備えた金融機関という見方もで きる。 「Sコーポ」とは、株主 加えて、前述のSコーポレーション銀行について触れておく 7 。 全員の同意により、連邦税法(内国歳入法)第 1 章第S節(Subchapter S)に規定する 課税方法を選択した法人で、株主数や株式の種類は制限されるものの、法人所得税が免 除される株式会社である。Sコーポは 1958 年に一般の事業会社向けに制定されたが、96 年の法改正で銀行にも認められ(翌年施行)、04 年の適用要件緩和を経て、07 年末には 全銀行数の 32.3%を占めている。(なお、株式会社の貯蓄金融機関にも適用可能で、数 5 CDFI連合ではCDFIを以下の 6 つに分類している。①Community Development Bank, ②Community Development Credit Union, ③Community Development Loan Fund, ④Community Development Venture Capital Fund, ⑤Microenterprise Development Loan Fund, ⑥Community Development Corporations. 6 コミュニティバンクの株式保有状況などについては補論を参照。 7 詳細については内田(2006)を参照。 3 で 10%程度を占める。)Sコーポはそもそも二重課税回避のための手段だが、金融システ ムに与える影響はそれにとどまらない。 2.3 貯蓄金融機関 貯蓄金融機関には貯蓄貸付組合(SA)と貯蓄銀行(SB)があり、これらの原型は英 国から得ておりその誕生は産業革命期に遡れ、SA は労働者階級へ住宅建築資金の積立 と借入の手段を提供し、SB は零細な貯蓄資金を提供していたが、現在では両者の差は 小さくなり、共に住宅ローンを主要業務とする金融機関と言える。80 年代の金融危機に 対して行われた規制緩和は、業態のあり方を大きく変えた。株式会社への転換や業務範 囲の拡大は、銀行との同質化を一層進めることになった。 貯蓄金融機関には株式会社組織と相互会社組織があり、以下は後者について述べると、 その数は 558 で全体の 44.6%を占め(97 年末は同 849・47.7%)、総資産 10 億ドル以 上の機関も 22 存在し、最大は 53.9 億ドルである。一方、合計資産額についてデータの 制約から「連邦法免許」貯蓄金融機関をみると、その合計資産額に占める相互会社のそ れのシェアは 4.0%(06 年末、96 年末は 9.1%)で、連邦法免許の相互会社組織の 1 機 関あたりの規模は 215 百万ドルにとどまる。 相互貯蓄金融機関の会員資格は預金者で、預金者になれるものの範囲に制限はなく、 業務範囲は基本的に銀行と同じで、税優遇はない(図表 4)。 2.4 クレジットユニオン CU は、その誕生を 1900 年代初頭に求められ、加入した組合員の金融相互扶助で、組 合員から資金を預かり組合員へ融資する金融機関で、法人税が免除される。組合数は 8,396(97 年末 11,659)で減少傾向にあるが、組合員数は約 89.3 百万人(同 73.5 百万 人)で増加傾向にある。合計総資産は 776,588 百万ドル(同 360,585 百万ドル)、総資 産 10 億ドル以上は 127 で、最大は 330 億ドル・組合員数 300 万人に及ぶ。伝統的な小 規模 CU との二極化が進行している(図表 5)。 連邦クレジットユニオン法で、連邦CUは、組合員の倹約を奨励し生産的な目的のため の与信を提供することを目的に設立される協同組織とされ、共通の絆(コモン・ボンド) に基づいて設立される必要がある(組合員は自己資本への出資でなく預金(share)をす る)。その種類は 35 種類規定されているが、その主な種類と 07 年末の種類別組合数の分 布は以下である。勤務先などの職域・35.3%、業界団体・職業団体・労働組合・協会など の団体・9.1%、 (複数の職域や団体が 1 つのグループになった)複合・30.7%、地域・22.3% など 8 。活動地域に制限はないが、コモンボンドのとり方で決まる側面はある。業務範囲 8 87 年末には複合はなく、職域 80%、団体 16%、地域 4%であった。 4 は法律で銀行より狭く制限され、預貸業務が中心で、主に自動車担保ローンと住宅ローン に従事している。98 年の法改正で、コモンボンドの緩和(③複合の追認)と 9 、業務範囲 の緩和(一定の条件下での組合員向事業貸出・MBLの容認)が行われた(図表 4)。 3. ガバナンス 3.1 情報開示など 以下ではそれぞれの金融機関のガバナンスについて、総会と理事会を中心に述べるが、 その前提として、米国では業態によって程度の差はあるものの、①参入・退出が珍しく ない、②金融機関の規模が小さく展開地域が狭いため、地域のパブリックプレッシャー が強いといったことが挙げられる。 まず情報(財務)開示だが、商業銀行と貯蓄金融機関は規模の大小にかかわらず、連 邦預金保険公社(FDIC)のホームページで四半期開示が義務付けられている。CU につ いても、全国クレジットユニオン管理庁(NCUA)のホームページで四半期開示が義務 付けられている。また、いずれの業態も資産 5 億ドル以上の機関については、外部監査 が課せられる。 3.2 総会・議決権 商業銀行の規定は基本的に一般の株式会社と同様で、株主総会で取締役が選任される。 議決権は保有株式数によって異なる。 相互貯蓄金融機関では、総会で理事が選任されるが、議決権は預金 100 ドルにつき 1 で 1,000 を上限とする。委任投票は可能で、電話や電子的な手段による投票もできる。 CUでも、総会で理事が選任されるが、議決権は一人一票で、委任投票はできない。 理事選挙には 4 つの類型のいずれかによって行われる 10 。候補者は指名委員会によるほ か、組合員によるものも可能である。また、投票方式は総会での投開票のほか、電子的 方法などによる事前投票・総会での開票も認められている。 9 程度の差はあるが、クレジットユニオンでも 80 年代に金融危機に直面したため、全国クレジット ユニオン管理庁(NCUA)は合併によって対応しようとしたものの、コモンボンドが異なると合併で きないので、複合という手段を持ち出した。当初は法解釈で行っていたが、銀行による訴訟によって 96 年の連邦最高裁判所判決で複合は認められず、98 年に法改正が行われた。複合の他の例では、あ る地域に職域のクレジットユニオンがあって、隣接地域にはクレジットユニオンがない(設立しにく い)場合、たとえば隣接地区の教会をコモンボンドに加えてサービスを提供するなどがある。なお、 複合は原則的に各共通のグループの組合委員数が 3,000 人未満の場合に適用できる。 10 4 類型は以下である。①総会で指名委員会による候補者とフロアーによる候補者に基づき投開票が行わ れる。②総会で指名委員会による候補者と組合員(数)の1%以上の事前申請による候補者に基づき投開票 が行われる。③指名委員会による候補者と組合員の1%以上の事前申請による候補者に基づき、総会の 10 日以上前に、24 時間設置された投票箱か投票機械で投票する。また、事前投票をしていない組合員は総会会 場で総会前に投票を行い、総会で事前投票と合計された結果が発表される。④指名委員会による候補者と組 合員の1%以上の事前申請による候補者に基づき、総会の5日以上前までに、電子的手段(電話や電子メー ル)や郵便で事前投票をして、総会で結果が発表される。 5 3.3 ボード 商業銀行は一般の事業会社と基本的に同じで、株式を上場している場合には、SarbanesOxley Act of 2002(SOX)や当該取引所の規定が別に適用される点も同様である。銀行 規模の大小にかかわりなく、取締役会は 5~25 人と定められ、社外取締役についての規 定は国法にはないが、実際には(一般の企業と同様に)CEOなどの数名以外は社外取締 役となるのが普通である。なお、上場企業・銀行には、たとえばニューヨーク証券取引 所の場合、取締役の過半数は「独立」取締役であることが求められ(03 年施行) 11 、そ の基準はSOXより厳しい。理事会は経営者を選出するが、コミュニティバンクでは President & CEOがChairまで兼任している例もある。委員会については、資産 5 億ド ル超の銀行には社外取締役からなるaudit committeeが必要となるだけだが、銀行の規 模の大小を問わずauditとcompensationは通常ある。そのほかexecutive、loan、ALM、 risk management、fiduciary、nominatingの各委員会がありうる。なお、ニューヨー ク証券取引所の場合、audit、compensation、nominatingの委員会は全員が独立取締役 でなければならない。また、1991 年連邦預金保険公社改善法(FDICIA)の規定で、資 産 30 億ドル超の銀行は、audit committeeに、銀行関連経験者を少なくとも 2 名含まね ばならず、銀行の大口顧客を一切含めてはならない 12 。 相互貯蓄金融機関では、理事会は 5~15 人と定められ、会員のなかから選出され、CEO などの 1・2 名が理事を兼任しているのが普通で、President & CEO が Chair まで兼任 している例も珍しくはない。委員会は executive committee などを設けられる。 CUでは、理事会は 5 人以上の奇数とされ、組合員から選出され、基本的にボランテ ィアである。業務執行をCEOなどに委任できるが、CEOなどは理事会構成員でない(構 成員とする場合でもChairにはできない) (図表 6)。委員会は理事以外の(従業員を除く) 組合員から選出される 3~5 人の委員(1 名は理事も可)によるsupervisory committeeが 必要とされる 13 。少なくとも年 1 回の会計監査を行わねばならず、委員会独自に公認会 計士を雇うことができる。任意だがcredit committee(3~7 人の奇数)がある場合が多 く、同委員会は理事・組合員・従業員からの構成が可能で、ローンオフィサーを任命し て業務執行を委任できる(図表 7)。ほかにexecutive ( 3 人以上の理事)、budget、personnel policies、education、delinquent loanなどがありうる。 11 当該企業・銀行の元従業員、当該企業の独立会計士の従業員、親族は、雇用終了後 5 年経過する までは独立とはみなされず、また取締会は取締役が当該企業、株主、当該企業に関係を持つ組織の役 員と重要な関係を有していないことを宣誓しなければならない。また、当該企業の顧客が取締役にな るのは禁じられていないが、望ましくないとされる。 12 Craig (2004). 13 この委員は後述のcredit committeeとの兼任はできない。 6 3.4 系統上部機関の機能 系統上部機関の機能のうち、 「傘下金融機関の営業支援機能」と「傘下金融機関の信用 確保機能(流動性供給機能を含む)」について、図表 4・図表 8 に依拠して簡単に触れた うえで、検査監督についても言及する。 貯蓄金融機関は両方について固有の組織がない。CU は前者について、全米レベルの US セントラル・クレジット・ユニオン(USCCU)と、州レベルのコーポレート・クレ ジット・ユニオン(CCU)からなり、フエッド・ワイヤー(連邦準備制度理事会(FRB) が運営する決済ネットワーク)に加盟し、組合間の資金過不足を調整する。後者につい てはないが、個別組合の任意出資で運営される NCUA 内のセントラル・リクィディテ ィ・ファシリティ(CLF)が流動性供給機能を提供している。 欧州では系統上部機関内に検査・監督の権限が委任される場合もあるが、米国の CU では監督当局の NCUA にある。この違いは監督当局との関係などから考える必要があ るだろう。 ( 欧州では協同組織金融機関の監督当局は銀行のそれと同じである場合が多い が、)米国の CU には個別の監督当局が存在し、その人員は千人近くに上り約半数が検 査官である。1 つの大まかな例示だが、監督 CU 数/CU の検査官数の値は 11.7 で(06 年)、この数字は連邦預金保険公社(FDCI)で 2.90(07 年)、通貨監督官局(OCC)で は 0.81(同)であり、CU の検査の人員が手薄にも見えるものの、冒頭に示した資産規 模などを考慮すれば銀行当局並みの人員があるとも理解できる。 4. おわりに 最後にガバナンスの仕組み・実態についての業態間の比較をした後に、対ウォールス トリート金融という大きな枠組みからメインストリートの金融機関を取らえて、本稿を 閉じることにする。 3 つの業態について、強いて協同組織性の強弱を付ければ、コミュニティバンク<相 互貯蓄金融機関<CU ということになるだろう。容認業務の範囲や、議決権・ボードの 仕組みだけをみると、コミュニティバンクと相互貯蓄金融機関の間にはあまり大きな違 いはない。両者とも税優遇はなく、地域の金融機関として株式会社組織をとるか、相互 会社組織をとるかは、地域性・経営方針・顧客の志向などによるだろう。 これと比べ、CU には税優遇がある反面、容認業務の範囲も制限される。また、共通 の絆を持つ組合員から構成される必要がある一方、理事選挙方法の選択肢や、意思決定 機関(理事会)と業務執行機関(経営陣)の分離など、 (従業員以外の)組合員が CU の 運営に参画する様々な仕組みがある。しかし、98 年の CU の法改正などを契機に、規模 の二極化が進行し、かつ地域や業務面においてコミュニティバンクとの競合が生じ、税 優遇に対する非難が一層強くなって、州レベルでの法改正をもくろむ動きもみられる。 CU の税優遇の法改正は政治的になかなか難しいため、コミュニティバンクは 04 年の法 7 改正で S コーポの適用要件の緩和を勝ち取ったが、CU は株主優遇や課税損失の問題か ら S コーポ銀行の批判を展開している。 こうしたメインストリート金融 vs. メインストリート金融といった構図があるのも事 実だが、大局的にみればウォールストリート金融 vs. メインストリート金融という大枠 の一部と理解できる。市場原理が強く働くといわれる米国でも、数の上ではあるが、50% 以上が協同組織金融機関であり、コミュニティバンクを加えれば 90%以上が協同組織性 を持った金融機関という見方もできる。市場化やグロバリゼーションの進展は、ウォー ルストリート金融の役割を大きくする一方で、メインストリート金融の存在意義を明確 にする側面もある。メガバンクが積極的に住宅ローンに進出するなかで、メンバーシッ プに制限がなく税優遇のない相互貯蓄金融機関が縮小しているのに対し、独自の仕組み を持つ CU はむしろ勢力を拡大している。また、事業向貸出を担うコミュニティバンク については、1994 年の法律で州内外の支店設置規制が緩和・撤廃され、メガバンクなど との競争が激しくなるなかで、(政治的な妥協の産物でもあるが、)S コーポの仕組みを 容認された。S コーポの適用は、わが国のような協同組織金融機関を持たないシステム において、地域密着を継続するための仕組みの組み替えと理解できるだろう。 一方、総資産 10 億ドル以上のCUは、数では全CUの 1.5%を占めるに過ぎないが、資 産額では 40.0%を占め、そのあり方に議論があるのも事実だ。08 年 3 月末に財務省が 公表した、金融行政の包括的改革案であるブループリントでは、相互や協同の枠組みは 維持されるが、既存の国法銀行、連邦貯蓄金融機関、連邦CUの免許を統一し 14 、法人税 免除には現行より厳しい要件を規定している。要件には、資産規模の制限、営業地域の 制限(たとえば連続する 3 州以内)、意味のあるメンバーシップの制限(たとえば特定 の企業の従業員と退職者のみ)、レンディング・フォーカス・テスト(たとえば一定の地 域に貸出のどの程度があるか)、金融サービスが十分に行き渡らないとされる地域での支 店維持などが含まれる 15 。 米国の特定の部分だけを取り上げて、わが国と比較するのには限界があるが、米国の コミュニティバンク・協同組織金融機関を巡る全体像の理解は、わが国での議論に多く の示唆を与えてくれるだろう。 14 この免許の取得が連邦預金保険加入の条件となる。 米国銀行協会(ABA)は、08 年 3 月 30 日のニュースリリースで、「財務省は金融規制体制の再 編にとっていくつかの重要な提案を行った」とする一方、 「(いくつかの提案に失望したが、)特に貯蓄 金融機関免許の廃止と州銀行免許の放棄は、米国銀行業を弱体化するだろう」と述べている。また、 ICBAは、08 年 3 月末のニュースリリースで、 「このまったく不完全な財務省案は、メインストリート を犠牲にウォールストリートを利するもので、 ・・・ (中略) ・・・二元銀行制度を終焉に追いやるもの だ」と声明を出した。 15 8 補論 コミュニティバンクの株式保有状況など 16 コミュニティバンクの株式保有状況などの把握は難しく分析も多くないが 17 、以下で は 2 つの先行研究を紹介する。まず、Brickley, Linck, and Smith(2003)によるテキサス 州にある 77 の銀行組織(小規模 57、中規模・大規模 20)の分析(1998 年)によると、 取締役・経営陣の株式の保有割合はコミュニティバンク(総資産平均 1.030 億ドル・同 中央値 0.668 億ドル)で平均 67.9%・中央値 62.4%で、中規模・大規模銀行(同 424.106・ 44.470)で同 9.7%・25.8%である。 次に DeYoung, Driscoll, and Fried (2005)による、第 7 連邦準備区(シカゴ)にある 115 のコミュニティバンクの分析(2004 年末)を紹介する。対象金融機関のデータは、平均 総資産は 2.5140 億ドル、設立 10 年未満の銀行数比率 12.0%、S コーポ銀行数比率 31.3%、 (他地域所在の持株会社傘下にある)非独立地元銀行数の比率 12.8%、地方所在行数比率 60.7%、上場銀行数比率 10.4%、平均 ROA1.06%、平均 ROE10.89%である。 株式保有状況をみると、DMO(President や CEO などの日常的にマネージメントに 携わる経営者)の株式保有割合は 10.7%、DMO の個人資産に占める保有自行株式価値 の割合 39.6%、DMO とその家族による株式保有割合 24.6%、 (DMO と家族を含む)取 締役の同割合 40.4%、DMO 家族外で 5%超保有者の同割合 14.0%で、従業員持株制度 (ESOP)がある銀行数の割合 14.8%となっている。 同稿の取締役の状況と報酬をみると、外部取締役の比率 62.6%、年齢 59.1 歳、在任 期間 14.5 年、年間一時払いの報酬 2,724 ドル、一回あたりの会議参加報酬 418 ドル、 会議の出席率 92.7%、DMO 抜きで取締役が集まったことのある取締役会の割合 25.4%、 取締役に訓練を課している銀行数の割合 21.4%、他の取締役になれる数を制限している 銀行数の割合 2.9%となっている 同稿では DMO の状況と報酬も分析しており、DMO が 1%未満の株式のみ持つ「雇われ DMO」である銀行数の割合 41.2%(以下の割合は銀行数) 、在職期間 11.4 年、正式な(DMO の)後継者プランがある割合 54.0%、基本給 146,340 ドル、同キャッシュボーナス 39,110 ドル、契約に業績インセンティブが含まれる割合 43.2%、ストックオプションを過去4年 間に受けた割合 22.1%、株式贈与を過去4年間に受けた割合 11.3%となっている。 ROA と ROE について、銀行規模、S コーポ銀行、MBHC 子会社、新規参入、都市所在、 上場の 6 つの説明変数で回帰分析を行った結果、 6つの説明変数で ROA の変動の約 32%、 ROE の変動の約 40%を説明することができ、銀行の収益性は前半3つの説明変数と正の強 い相関を持ち、後半 3 つのそれらと負の強い相関を持っている。また、正式な後継者プラ 16 以下の論文に加えて、個別のコミュニティバンクの分析については青木(2003)を参照。 銀行が連邦準備銀行に提出する株主レポートは非公開である。FR Y-6(Annual Report of Bank Holding Companies)に株主情報があるが、同レポートは統一した書式ではなくコンピュータ処理も されていない(Brickley, Linck, and Smith(2003))。 17 9 ンを持つ銀行では、そうでない銀行と比べて、ROA が 13%ポイント(たとえば 1.06%か ら 1.20%へ)、ROE が 11%ポイント(10.89%から 12.09%へ)高くなる。DMO ボーナス の 10%の上昇は ROA0.4%ポイント・0.5%ポイントの上昇につながる。取締役の一時払い 報酬の上昇は ROA・ROE を 0.5%ポイント上昇させる。DOM の個人資産に占める銀行株 式の割合が 10%増えると、ROA とは関係はなく、ROE が 0.7%ポイント低下する。 参考文献 Adams, R. and H. 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(協同組織) ・ 市場論理 (注) 枠の大きさは必ずしも勢力の大小を表しているわけではない。 (出所) 筆者作成。 非市場論理 図表3 銀行・貯蓄金融機関・クレジットユニオンの州ごとの状況(06年6月末) 銀行 銀行数 貯蓄金融機関 銀行・貯蓄 Sコーポ比率 小銀行数比率 ROA 貯蓄数 1) コネチカット(CT) デラウエア(DE) メーン(ME) メリーランド(MD) マサチューセッツ(MA) ニューハンプシャー(NH) ニュージャージー(NJ) ニューヨーク(NY) ペンシルバニア(PA) ロードアイランド(RI) ヴァーモント(VT) ヴァージニア(VA) ワシントンDC 東部・合計 23 28 15 64 37 9 70 142 160 7 14 122 6 697 4.35% 3.57% 0.00% 1.56% 2.70% 0.00% 7.14% 4.23% 3.13% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 2.87% 95.65% 53.57% 80.00% 85.94% 78.38% 88.89% 81.43% 72.54% 87.50% 42.86% 85.71% 90.16% 100.00% 82.07% 0.99% 2.07% 1.01% 1.26% 1.04% 1.13% 1.15% 1.25% 0.96% 0.80% 1.24% 1.73% 0.22% フロリダ(FL) ジョージア(GA) ノースカロライナ(NC) サウスカロライナ(SC) 南東部・合計 267 334 76 76 753 23.97% 19.76% 1.32% 6.58% 18.06% 92.88% 95.81% 77.63% 92.11% 92.56% 1.12% 1.26% 1.28% 1.23% インディアナ(IN) ケンタッキー(KY) ミシガン(MI) オハイオ(OH) テネシー(TN) 131 201 156 176 186 64 914 10.69% 21.89% 9.62% 10.23% 23.66% 7.81% 15.32% 90.08% 96.52% 93.59% 91.48% 96.24% 95.31% 93.98% 0.83% 1.32% 1.15% 1.08% 1.44% 1.24% アーカンソ-(AR) イリノイ(IL) アイオワ(IA) ミネソタ(MN) ミズーリー(MO) ウィスコンシン(WI) 中部・合計 152 611 385 433 342 265 2,188 21.05% 36.66% 55.32% 67.90% 32.46% 27.55% 43.28% 95.39% 94.93% 98.96% 99.08% 97.08% 98.11% 97.21% 1.16% 1.10% 1.10% 1.55% 1.20% 1.14% コロラド(CO) カンザス(KS) モンタナ(MT) ネブラスカ(NE) ニューメキシコ(NM) ノースダコタ(ND) オクラホマ(OK) サウスダコタ(SD) ワイオミング(WY) 中西部・合計 159 349 79 247 47 95 265 87 41 1,369 27.04% 48.14% 35.44% 34.82% 55.32% 63.16% 57.36% 42.53% 63.41% 45.73% 93.71% 98.28% 97.47% 97.98% 91.49% 96.84% 98.11% 93.10% 100.00% 97.01% 1.29% 1.21% 1.63% 1.21% 1.36% 1.39% 1.62% 1.86% 1.77% アラバマ(AL) ルイジアナ(LA) ミシシッピー(MS) テキサス(TX) 南部・合計 149 139 93 612 993 20.81% 31.65% 23.66% 42.32% 35.85% 95.97% 97.12% 92.47% 94.93% 95.17% 1.40% 1.12% 1.30% 1.25% アラスカ(AK) アリゾナ(AZ) カリフォルニア(CA) ハワイ(HI) アイダホ(ID) ネヴァダ(NV) オレゴン(OR) ユタ(UT) ワシントン(WA) 西部・合計 5 50 270 7 14 35 37 64 78 560 20.00% 16.00% 8.89% 0.00% 0.00% 14.29% 8.11% 12.50% 10.26% 10.18% 80.00% 88.00% 80.37% 57.14% 100.00% 71.43% 89.19% 78.13% 89.74% 82.32% 1.52% 4.25% 1.24% 1.48% 1.39% 1.50% 1.10% 3.04% 1.36% 7,474 30.53% 93.51% 1.34% ウエストヴァージニア(WV) 中東部・合計 全米 -- -- -- -- -- -- -- CU 貯蓄CU Sコーポ比率 小貯蓄比率 小貯蓄CU比率 CU比率 2) 3) 4) CU数 BL扱いCU数 /CU数 全体金融機関 小銀行 小貯蓄 CU 全小機関 BL/資産 BL額 BL/全BL BL/全BL BL/全BL BL/全BL 5) $billion 34 7 22 48 157 17 64 70 95 6 5 17 1 543 0.00% 0.00% 0.00% 14.29% 2.13% 0.00% 4.55% 6.82% 5.41% 50.00% 0.00% 7.14% 0.00% 5.58% 45.61% 5.71% 56.76% 42.86% 74.74% 61.54% 38.81% 25.00% 32.94% 38.46% 26.32% 7.91% 14.29% 37.82% 85.17% 51.47% 85.45% 72.05% 88.76% 81.13% 77.90% 78.37% 80.63% 80.49% 72.55% 63.64% 91.67% 78.64% 86.86% 54.10% 82.95% 64.64% 86.74% 75.00% 77.20% 78.65% 79.70% 80.00% 69.57% 63.58% 91.55% 77.27% 152 33 73 117 242 27 237 523 628 28 32 213 65 2,370 7.89% 9.09% 42.47% 18.80% 23.55% 29.63% 10.13% 20.27% 11.15% 35.71% 28.13% 18.31% 6.15% 16.67% 0.09% 0.04% 1.62% 0.61% 2.36% 2.31% 1.12% 5.21% 0.99% 4.46% 1.61% 0.38% 0.07% 38 19 33 22 112 34.29% 25.00% 7.14% 0.00% 21.92% 8.85% 5.10% 30.28% 20.41% 11.33% 46.12% 38.08% 67.38% 58.29% 48.07% 44.14% 36.02% 62.00% 53.94% 44.84% 211 188 124 89 612 29.38% 21.28% 14.52% 16.85% 22.06% 53 22 17 102 18 6 218 2.94% 23.08% 0.00% 13.73% 30.00% 0.00% 11.76% 27.72% 9.87% 8.67% 33.09% 8.33% 8.57% 17.93% 66.83% 38.53% 71.68% 74.90% 53.94% 65.22% 64.50% 62.36% 34.10% 71.16% 72.46% 52.06% 64.04% 61.90% 217 104 385 463 202 114 1,485 22.12% 19.23% 31.17% 19.44% 22.28% 7.89% 22.36% 7 94 19 22 31 37 210 57.14% 7.32% 25.00% 44.44% 5.26% 0.00% 17.70% 4.40% 12.91% 4.46% 4.62% 8.04% 10.26% 8.26% 33.62% 47.39% 30.32% 30.34% 36.48% 53.03% 40.38% 31.53% 43.06% 28.04% 27.95% 32.81% 50.93% 37.13% 70 462 150 168 167 275 1,292 7.14% 5.84% 29.33% 36.90% 13.17% 34.91% 19.81% 11 16 3 10 7 3 6 4 3 63 0.00% 37.50% 0.00% 16.67% 33.33% 0.00% 50.00% 33.33% 0.00% 23.68% 5.88% 3.84% 3.66% 3.50% 11.11% 3.06% 1.85% 4.40% 6.82% 3.98% 47.71% 27.18% 46.62% 25.97% 55.14% 37.09% 25.28% 38.30% 46.75% 34.62% 46.10% 25.11% 45.52% 24.00% 53.00% 35.81% 24.29% 36.50% 44.59% 32.89% 136 117 66 78 53 53 85 50 33 671 44.85% 27.35% 43.94% 33.33% 18.87% 43.40% 28.24% 34.00% 51.52% 35.62% 3.38% 27.35% 11.36% 4.34% 1.63% 26.51% 1.98% 4.21% 2.91% 11 27 6 42 86 20.00% 18.18% 100.00% 35.29% 31.58% 5.63% 16.27% 6.06% 5.05% 6.95% 52.22% 66.26% 54.41% 51.18% 54.45% 51.15% 63.90% 53.03% 50.24% 53.12% 156 246 105 618 1,125 25.00% 8.54% 2.86% 17.96% 15.47% 1.41% 0.25% 0.37% 2.07% 2 3 27 2 3 3 2 6 18 66 0.00% 0.00% 7.69% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 33.33% 9.09% 9.26% 28.57% 5.66% 4.71% 0.00% 17.65% 2.63% 5.13% 4.29% 14.58% 6.71% 73.68% 55.75% 66.47% 91.67% 82.05% 44.78% 70.87% 63.39% 64.50% 67.01% 70.59% 54.55% 66.95% 93.40% 81.33% 45.31% 70.40% 63.84% 63.38% 67.14% 12 60 547 99 61 29 88 113 135 1,144 83.33% 21.67% 36.93% 31.31% 19.67% 48.28% 45.45% 38.94% 41.48% 36.89% 1,298 13.62% 13.02% 56.33% 53.79% 8,699 22.45% -1.66% 1.32% 2.44% 0.21% -5.16% 0.74% 1.23% 2.50% 1.63% 1.98% -0.14% 2.37% 4.70% 4.84% 0.37% 8.48% -- -- -4.64% 1.33% 5.50% 2.52% 0.82% 4.52% 3.75% 7.53% 3.76% -3.02% 16.9 43.1 18.1 20.8 30.3 5.0 28.0 233.0 93.7 2.8 2.8 35.3 0.4 530.2 7.69% 1.86% 7.18% 34.13% 12.21% 22.00% 24.29% 3.69% 14.30% 10.71% 25.00% 37.39% 100.00% 11.07% 13.02% 0.70% 12.71% 11.54% 30.69% 22.00% 6.43% 1.42% 2.67% 7.14% 10.71% 2.55% 0.00% 5.02% 0.03% 0.00% 0.37% 0.40% 1.81% 1.66% 0.38% 0.84% 0.25% 5.91% 0.98% 0.55% 0.92% 0.66% 20.74% 2.55% 20.26% 46.07% 44.71% 45.66% 31.09% 5.95% 17.22% 23.77% 36.69% 40.49% 100.92% 16.75% 61.6 101.1 367.3 21.8 551.8 45.29% 33.93% 2.45% 30.73% 14.12% 3.25% 1.19% 0.63% 5.50% 1.21% 1.06% 0.16% 0.15% 0.06% 0.25% 49.60% 35.27% 3.23% 36.30% 15.58% フロリダ(FL) ジョージア(GA) ノースカロライナ(NC) サウスカロライナ(SC) 南東部・合計 31.1 18.5 95.0 292.8 32.1 6.1 475.6 31.83% 60.54% 13.68% 3.28% 44.55% 49.18% 12.83% 7.72% 3.24% 1.37% 0.79% 3.43% 1.64% 1.64% 2.55% 0.18% 0.41% 0.14% 0.58% 0.72% 0.39% 42.10% 63.96% 15.46% 4.20% 48.56% 51.54% 14.86% インディアナ(IN) ケンタッキー(KY) ミシガン(MI) オハイオ(OH) テネシー(TN) 19.9 130.9 26.0 31.0 46.5 61.2 315.5 56.78% 31.93% 80.38% 76.45% 53.55% 34.97% 45.64% 4.02% 1.68% 6.92% 1.94% 2.80% 1.63% 2.44% 0.01% 0.41% 1.01% 2.11% 0.07% 2.21% 0.91% 60.81% 34.02% 88.32% 80.50% 56.41% 38.81% 49.00% アーカンソ-(AR) イリノイ(IL) アイオワ(IA) ミネソタ(MN) ミズーリー(MO) ウィスコンシン(WI) 中部・合計 19.1 21.8 8.6 18.9 7.4 9.1 26.6 10.7 2.9 125.1 54.45% 75.69% 61.63% 56.61% 37.84% 58.24% 50.38% 52.34% 96.55% 58.19% 1.05% 2.29% 0.47% 2.12% 6.76% 2.20% 0.75% 5.61% 3.45% 2.19% 2.15% 0.35% 3.52% 0.60% 1.06% 4.51% 0.49% 0.07% 1.28% 1.30% 57.65% 78.33% 65.61% 59.33% 45.65% 64.95% 51.62% 58.01% 101.28% 61.68% コロラド(CO) カンザス(KS) モンタナ(MT) ネブラスカ(NE) ニューメキシコ(NM) ノースダコタ(ND) オクラホマ(OK) サウスダコタ(SD) ワイオミング(WY) 中西部・合計 86.3 22.3 17.4 86.7 212.7 12.40% 40.81% 36.21% 37.72% 27.64% 0.23% 3.59% 1.15% 1.96% 1.36% 0.18% 0.07% 0.07% 1.17% 1.43% 12.81% 44.46% 37.43% 40.85% 30.44% 2.2 15.7 165.6 8.4 3.4 23.5 14.0 71.9 31.0 335.7 40.91% 24.84% 17.15% 4.76% 88.24% 17.45% 37.86% 8.62% 34.19% 18.71% 36.36% 1.27% 0.60% 0.00% 14.71% 0.34% 0.71% 0.28% 9.03% 1.69% 9.08% 0.97% 3.37% 2.00% 0.70% 0.93% 3.39% 1.16% 2.70% 2.18% 86.35% 27.08% 21.12% 6.76% 103.64% 18.72% 41.96% 10.06% 45.93% 22.58% 21.05% 2.36% 0.85% 24.26% 2,546.6 (平均 49.9) コネチカット(CT) デラウエア(DE) メーン(ME) メリーランド(MD) マサチューセッツ(MA) ニューハンプシャー(NH) ニュージャージー(NJ) ニューヨーク(NY) ペンシルバニア(PA) ロードアイランド(RI) ヴァーモント(VT) ヴァージニア(VA) ワシントンDC 東部・合計 ウエストヴァージニア(WV) 中東部・合計 アラバマ(AL) ルイジアナ(LA) ミシシッピー(MS) テキサス(TX) 南部・合計 アラスカ(AK) アリゾナ(AZ) カリフォルニア(CA) ハワイ(HI) アイダホ(ID) ネヴァダ(NV) オレゴン(OR) ユタ(UT) ワシントン(WA) 西部・合計 全米 (注1)Sコーポ貯蓄金融機関数/株式貯蓄金融機関数。 (注2)小規模貯蓄金融機関数/銀行数+貯蓄金融機関数。 (注3)小規模貯蓄金融機関数+CU数/銀行数+貯蓄金融機関数+CU数。 (注4)CU数/銀行数+CU数。 (注5)事業向貸出(BL)取り扱いCUのみ対象。 (注6) データの制約から、小規模金融機関と同貯蓄金融機関の事業向貸出額には一部所在州外へのそれも含まれるため、また各データの四捨五入のため、合計が100%を超える場合がある。 (注7) 小規模とは単体資産10億ドル未満を指す。CUについてはデータの制約からすべてのCUを対象とした。 (注8) 網掛けは全米平均以上。 (出所) FDIC, Institutonal Directory , Satatisitcs on Banking , CUNA 2006 Busiess Lending Profile などから作成。 図表4:アメリカ協同組織金融機関の概要 業務範囲 基本的に銀行と同じ。 ─ 但し、貸付対象別、投資証券別に上限額が存在。 ─ 住宅ローン分野等での銀行との競合激化を背景として、1980年代以降、業務範囲にかかる規制緩 貯蓄金融機関* 和を漸次実施。 ─ 住宅ローンが総資産の57%を占めるほか、モーゲージ担保証券(14%)、消費者ローン(5%)、 商工業向け貸付(4%)などに運用(2003年末)。 信用組合* 銀行より狭く、預金の受入及び貸出業務が中心。** ─ このほか、特定対象資産への投資(国債・政府保証債、貯蓄金融機関への出資、信用組合にサ ービスを提供する企業への出資等)、他の預金取扱金融機関への預金の預入及 び借入(但し、資 本の50%が上限)が認められている。デリバティブ取引などは明示的に禁止。 ─ 自動車担保ローンのウェイトが高い(貸出全体に占める割合:39%<2003年末>)。 * 州免許金融機関には、別途州法の規制も適用されるが、上表では連邦法の規制内容を中心に記載。 ** 銀行との業務範囲の比較は、員外規制を除いた評価。以下同じ。 税制面の優遇措置等 貯蓄金融機関 信用組合 なし。 ─ 1951年に法人税の免除措置を撤廃。 法人税免除。 会計基準 銀行と同じGAAP(一般に公正妥当と認められる会計原則)。但し、資産残高1,000 万ドル未満の場合、 OTSのルールを適用。 ─ S&Lについては、以前は、GAAPに比べ、貸倒損失の繰延や合併に伴う営業権の償却が長期間 認められるRAP(監督会計原則)が適用されていたが、これが1980年代のS&L危機の一因とされ、 貯蓄金融機関* GAAPに統一。 ディスクロージャーについては、監督当局への四半期毎の報告と年次総会における会員向けの一般的な 報告以外に特別な規制なし。但し、監督当局に提出した情報は、一部を除きFDIC(連邦預金保険公社) のホームページで閲覧可能。 信用組合* 銀行と同じGAAP。但し、資産残高1,000 万ドル未満の場合、NCUA(全国信用組合保険庁)のルール を適用(1998年より)。 ディスクロージャーについては、監督当局への四半期毎の報告と年次総会における会員向けの一般的 な報告以外に特別な規制なし。但し、監督当局に提出した情報は、一部を除きNCUAのホームページ で閲覧可能。 * 連邦法の定めを中心に記載。 監督機関 貯蓄金融機関 銀行と異なる(OTS<貯蓄金融機関監督局>、FDIC<連邦預金保険公社>、州当局)。 ─ 連邦免許のS&L及び savings bank はOTSが監督。州免許のS&L及びsavings bankは、第一義 的には州当局が監督。但し、州免許S&LについてはOTS、州免許 savings bank につい てはFDICもそれぞれ監督権限あり。 信用組合 銀行と異なる(NCUA<全国信用組合保険庁>、州当局)。 自己資本比率規制 貯蓄金融機関* 信用組合* 銀行とほぼ同じ。 ─ 子会社株式の取扱い、適用するリスク・ウェイト等が一部相違。 ─ このほか、資産の1.5%のtangible capital(資本金+剰余金)を維持する必要。 銀行と異なる。 ─ 純資産比率(リスク・ウェイトを勘案せず)。 ─ 2000年、純資産比率を基準とした早期是正措置を導入(7%以上が優良先<well capitalized>)。 ─ 2001年、複雑な業務を営む組合(complex credit unions)に対し、純資産比率を計算する際に、 リスク・ウェイトを勘案することを義務付け。 * 連邦法の定めを中心に記載。 外部監査等 資産5億ドル以上の先に外部監査を義務付け。 資産5億ドル以上の先に外部監査を義務付け(1998 年より)。 資産5億ドル未満の先は、監査委員会の内部監査を受ければ足りる。 会員資格 員外取引規制 会員:預金者(all holders of savings, demand or other authorized accounts)。 預金者になれる者の範囲に制限はなし。 預金:会員。 貸出:員外規制は設けられていないが、商工業向け貸出は総資産の 20%まで可(但し、10%超は中小企業向けである必要)など、 資金使途による規制を賦課。 さらに、適格貯蓄金融機関(qualified thrift)と認められるには、運 用資産の65%が住宅関連貸出や消者関連資産などである必要。 会員:預金者(シェア<share>の購入者)。最低預金額は、組合毎に相違。 職域、地域、協会、低所得者層等の共通の繋がりを有する個人、団体。 預金:会員、他の信用組合、政府職員からの受入のみ可。 但し、低所得者向けに設立された場合は、員外からの受入も可。 預金の員外受入は総預金の20%または50 万ドルのいずれか低 い金額まで可。 貸出:会員、他の信用組合向けのみ可。 member business loan(貸出額が5万ドル以上で居住用不動産等 で担保されない会員向け事業資金貸付。以下、MBL)は、純資産 の1.75 倍又は総資産の12.25%が上限。また、MBLについては、 貸付期間、利息などにかかる規制を賦課。 貯蓄金融機関* 信用組合* ─ 組合の構成は、職域38%、職域(複合)34%、地域16%、諸協会10%、低所得者3%(2003年末)。 ─ 員外預金比率は、金額ベースで0.3%(2003年末)。 ─ 大半は個人顧客中心。MBLの貸出全体に占める比率は2% (2003 年末)。 * 連邦法の定めを中心に記載。 セーフティネット 公的預金保険制度 貯蓄金融機関 信用組合 相互援助制度 FDIC(連邦預金保険公社)内のSAIF(貯蓄金融機関保険基金)ないしBIF(銀行保険基金)。BIFの場合は、 なし。 ─ 但し、マサチューセッツ州には、FDICに加入する州免許の金 銀行と同一ファンド。 連邦免許の場合は強制加入、州免許の場合は任意(但し、州法で別途、FDIC加入を義務付け)。 融機関に対し預金の上乗せ保護機能を提供する民間預金保険 保護上限は10 万ドル。 制度DIF(預金保険基金)が存在。 NCUA(全国信用組合保険庁)内のNCUSIF(全国信用組合預金保険基金)。 連邦免許の場合は強制加入、州免許の場合は任意加入。 保護上限は10 万ドル。 NCUSIF非加入組合に対する代替的な預金保険機能や、NCUSIF 加入組合に対する預金の上乗せ保護機能を提供する民間預金保険 制度が存在(American Share Insurance Corporation<アメリカ預金 保険会社>、Maryland Credit Union Insurance Corporation<メリー ランド州信用組合保険会社> 、Washington Credit Union Share Guaranty Association<ワシントン州信用組合預金保証協会>)。 系統上部機関の機能 貯蓄金融機関 傘下金融機関の営業支援機能 傘下金融機関の信用確保機能(流動性供給機能を含む) 貯蓄金融機関固有の組織はなし。但し、FHLB(連邦住宅貸付銀行)*が、商業銀行向けとともに貯蓄金融 貯蓄金融機関固有の組織はなし。但し、適格貯蓄金融機関であれば、 機関向けにも、資金決済やキャッシュマネジメント等の機能を提供。 商業銀行と同様に、FHLBからの流動性供給を受けることが可能。 * FHLB会員は、商業銀行:5,946先、貯蓄金融機関:1,344 先、信用組合:729 先、保険 会社:82先(20 03 年末)。 USCCU(USセントラル・クレジット・ユニオン)及びCCU(コーポレート・クレジット・ユニオン)* ― FedWire(FRB<連邦準備制度理事会>が運営する決済ネットワーク)に加盟し、組合間 の資金過不 足を調整。 * CCUは、信用組合出資の信用組合で、信用組合向けサービスを提供。 信用組合 CUNA(全国信用組合協会)ミューチュアル・グループ ― 会員に対する生命保険商品の提供、信用組合の貸出に対する信用保証。 NACUSO(全国信用組合サービス機構協会)及び各州のCUSO(信用組合サービス機構) ― 組合出資で設立された社団法人。組合が単体で取組みにくい業務(クレジット・カード業務、ATMサー ビス、貸出金回収等)を提供。 (出所) 日本銀行信用機構局(2004)より抜粋。 なし。 但し、個別組合の任意出資で運営されるNCUA(全国信用組合保険 庁)内のCLF(セントラル・リクィディティ・ファシリティー)が流動性供給 機能を提供。 業界団体 貯蓄金融機関固有の業界団体はなし。 商業銀行や銀行持株会社とともに、ABA(アメリカ銀行協会)、ICBA (米国独立コミュニティ銀行協会)、ACB(アメリカコミュニティ銀行協会) に加入。 ─ I C B A 及びA C B は、もともとは貯蓄金融機関を対象とした業界 団体だが、現在は商業銀行も加盟することが可能。 CUNA及び各州のCUL(クレジット・ユニオン・リーグ) ─ 当局との調整、広報活動、会員向け研修等を実施。 図表5 クレジットユニオンの資産規模別の状況(07年末) 組合規模 組合数 $ millions 全組合 でのシェア 0-0.2 0.2-0.5 0.5-1 1-2 2-5 5-10 10-20 20-50 50-100 100-200 200-500 500-1000 1000 合計 組合数 143 291 378 578 1,117 1,202 1,210 1,410 797 532 429 182 127 8,396 1.70% 3.47% 4.50% 6.88% 13.30% 14.32% 14.41% 16.79% 9.49% 6.34% 5.11% 2.17% 1.51% 100.00% 合計資産残高 $ millions 規模別 前年比 -9.5% -2.7% -7.6% -4.3% -5.7% -5.1% -3.1% -3.2% 1.0% -0.2% 1.4% 3.4% 9.5% -5.2% 残高 16 101 281 850 3,797 8,741 17,429 45,403 56,104 75,082 133,107 124,964 310,711 776,588 (出所) CUNA, Credit Union Report より作成。 全組合 でのシェア 0.00% 0.01% 0.04% 0.11% 0.49% 1.13% 2.24% 5.85% 7.22% 9.67% 17.14% 16.09% 40.01% 100.00% 規模別 前年比 -11.4% -2.7% -8.2% -4.5% -5.6% -5.1% -3.1% -3.1% 1.6% -0.5% 1.6% 4.4% 14.3% 8.0% 図表6 クレジットユニオンの理事会などの構成例 Board Board of Directors Supervisory Committee Chair Chair (Member) Vice Chair Member Vice Chair Member Secretary Credit Committee Director Chair (Member) Director Member Director Member Management Officials President & CEO Vice President ・・・ Loan Officer (出所) 各種資料から作成。 図表7 連邦クレジットユニオンの組織チャート Members Responsibilities: 1 2 3 4 5 6 Elect board of directors and credit committee. Participate in membership meetings. Promote participation in and use of credit union services. Repay loans as agreed. Remove any official for cause. Expel members for cause. Credit Committee Board of Directors Supervisory Committee Responsibilities: Responsibilities: Responsibilities: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 Maintain general direction and control. 2 Meet at least monthly and maintain mainutes. 3 Establish operating policies and procedures. 4 Elect board officers and fix compensation of specified officer(s). 5 If bylwas provide, appoint credit committee or loan officer(s). 6 Appoint supervisory committee. 7 Appoint membership officer, executive and other committees. 8 Hire, fix duties and compensation of employees and set personnel policies. 9 Maintain confidential relations with members. 10 Act on membership applications. 11 Determine classes of accounts and fix maximum individual share limit, 1 Make or cause to be made audits at least annually. 2 submit audit reports to the board of directors and summaries to members at annual meetings. 3 Verify with members their account balances at least once every 2 years. 4 Maintain confidential relations with members. 5 Suspend directors, officers, or credit committee members for cause. 6 Call special membership meetings for cause. 7 Maintain committee's records. 8 Request board approval for compensation of clerical when 12 Fix appropriate. loan policies regarding loan maximums, interest rate, maturity, and security. 13 Establish collection policies and procedures and fix late charges. 14 Designate depository for funds. 15 Authorize investments and borrowing. 16 Declare dividends and interest refunds. 17 Determine surety bond needs at least annually. 18 Authorize necessary insurance. 19 Provide necessary service facilities. 20 Act on loans to directors, credit and supervisory committee members in and auditing assistance. Meet at least monthly and maintain minutes, Appoint loan officer(s) as needed and delegate authority. Counsel members in wise use of credit. Maintain confidential relations with members. Act on applications for loans and lines of credit. Act on requests for release of collateral. Act on requests for extensions and refinancing of loans. Act on requests denied by loan officer(s). Make annual report to members. excess of $20,000. 21 Appoint a security officer and supervise security program. 22 Establish a records preservation program. 23 Request approval of charter and non-standard bylaw amendments. 24 Plan and hold annual meeting, report to members, and maintain minutes. (出所)NCUA, Federal Credit Union Handbook. 図表8 クレジットユニオン業界の組織図 役割 監督当局 最後の貸し手 連邦レベル 州レベル等 CUNA (National Credit Union Administration) ク レ ジ Central Liquidity Facility 緊急時の資金供給 協会 法制・規制面での対役所窓口、 広報、教育、情報提供等 NCUSIF (National Credit Union Share Insurance Fund) CUNA (Credit Union National Association) 資金調整 余裕金賃借、送金、資金決済 U.S.セントラル・クレジット・ユニオン 保険業務 生命保険、信用保証等 CUNA Mutual Group 業務アウトソーシング クレジットカード業務、ATMサービス 資金回収業務等 NACUSO (National Association of Credit Union (出所)永井(2004)。 Service Organizations) ッ 預金保険機構 クレジット・ユニオン・リーグ コーポレート・クレジットユニオン CUSO (Credit Union Service Organization) ト ユ ニ オ ン