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解答・解説 - 大東文化大学
2013年 大東文化大学 オープンキャンパス 入試直前プレテスト【国語】 解答・解説 Ⅰ 教会 劇場 装飾的で壮麗な建築物 (境界線) 身体感覚を変性させる 解釈するしかたを変える 額縁 (例)〈劇場〉「これは芝居だ」という意識 ものを取り囲む 現実生活に持ち込むことができないような 額縁(中で示されるのは「絵」 ) 「現実」 出典:内田樹『修業論』(光文社新書) 語 ●本文の概略 1 国 Ⅱ 「額縁」(自分が無意識のうちに選んだ) 境界線(自分でセットした) 自分が縛り付けられる 固定的な観念 常識 世界の見方のかたくなさ 住む世界が堅牢 定型的な世界の見方に固着 縛られない ゼウキシス「その覆いをはやく取りたまえ」 (例)パラシオスの「覆いの絵」 瞑想的 非瞑想的 「非現実と現実の境界線」にしがみつく ●要旨 教会や劇場の建物の装飾性は、中で示されることが「現実」ではなく「絵」であるという「額縁」の役割を果たしている。それは、触れなければならないのに現 実生活には持ち込むことができないようなものを「額縁」で取り囲むということである。私たちは、この「額縁」を無意識のうちに選び、縛りつけられてしまう。 「額 縁」は、定型的な世界の「切り取り方」に固着して、 「非現実と現実の境界線」にしがみつく、 「非瞑想的」なふるまいに陥らせる。 ●設問解説 問1 文の接続関係を問う設問。 A 「騒ぎ出したら」と呼応して、仮定の働きをしている。 文脈の把握を問う設問。 二人の画家のエピソードから何が言えるかをまとめようとしている。 B 「気が狂うことなしに日常生活を送ることができている」が、その代わり「代償を、私たちは別のかたちで支払ってもいる」という、逆接の関係である。 C 問2 ゼウキシスはパラシオスに対して「勢い込んで」絵を見せろと迫り、覆いをとるように「せかした」時点で「負け」が決まったと説明されている。この精神状 態を示す言葉が正解となる。 問3 内容の読解を問う設問。 傍線部については、直後の文で『「額縁」に、縛りつけられている』と説明されている。「縛りつけられる」とは、制約されるということで、ウ以外は皆このポ 内容の読解を問う設問。 イントから外れている。 問4 傍線部の直前で述べられている「二人の画家たちのふるまい」とは、 「額縁」という「定型的な思い込み」にとらわれないで行動できるかということを指してお り、ア以外は逆の方向性になっている。 問5 内容の読解を問う設問。 ここでの「堅牢さ」とは、 「世界の見方のかたくなさ」と説明されている、融通のきかない頑固さのことである。いったん「額縁」をつくると、そこにできる「非 現実と現実の境界線」にとらわれて柔軟な判断ができないことを指している。イ、ウ、エは、その趣旨から外れており、アは、劇場内の火事という具体例のみの 説明になっている。 問6 内容の読解を問う設問。 ウは、第五段落の内容と合致している。ア「額縁によって飾られるような建物」、イ「芝居の主題や作者の言いたいことをつかむ」、エ「ゼウキシスに軍配が上 がった」、オ「瞑想的」がそれぞれ間違っている。 問7 漢字力を問う問題。 正解は以下の通り。(あ)=卓見、 (い)=過剰、(う)=必須、 (え)=屈伏、 (お)=血相。 2 出典:茂木健一郎『思考の補助線』 (ちくま新書) ↓ (なぜ?) ↓ 実人生……順調ではなかった 幼少期 …… 「奇跡の子ども」 ← X 気配) (限りなく明るい芸術へ) (綱渡りのライフスタイル) 成人後 …… 次から次へと作曲して食いつなぐ (まがまがしく、 人々の好奇心の対象 モーツァルト……明るく、世界を肯定する音楽 ●本文の概略 Ⅰ Ⅱ モーツァルトの音楽……「魂の錬金術」 負のエネルギー 〈転換〉 正のエネルギー Ⅲ 黒魔術 私怨をはらす 白魔術 愛を成就させる 野望を実現する 負の感情の表出 〈悪しき目的〉 美しいものを生み出す 〈良き目的〉 正の感情へ変換 モーツァルトの音楽の 限りない明るさ である。 「まがまがしい」とは、〈いまわしい、不吉だ〉という意味で、これと同じような意味の言葉が に入る。「いかがわしい」は〈疑わしい、信用できない〉という意味である。 X 前段落で、幼少期のモーツァルトは、幼い子どもが巧みに楽曲を弾きこなすことへの「見世物」としての興味でしか見られていなかったと述べられている。 X そのような見られ方が、 「まがまがしく」であり、 X 問1 文脈の把握を問う設問。 ●設問解説 の錬金術」によって生まれたと言える。これは負の感情をそのまま表出する「黒魔術」ではなく、正の感情に変換して表現する「白魔術」にたとえることができる。 作曲家になってからも安定した地位を得られないまま、多作によって生活を立てた。モーツァルトの音楽は、負のエネルギーを正のエネルギーへと転換させる「魂 モーツァルトが、明るく、世界を肯定する音楽を書いたのは、実人生が順調ではなかったことに由来する。幼少期には、奇跡の子どもとして好奇の目を向けられ、 ●要旨 的 目 感情 Y Z には、 〈順調に進 前文に「重力の魔に抗して地球を脱していくロケットのような」というたとえが、幼いモーツァルトへの「尊敬」を説明し、 「その切ない道筋を思っただけで も」が、〈愛しさ〉を説明している。 問2 語彙力を問う設問。 モーツァルトの人生については、第三段落に「その実人生を見れば、決して順調だったわけではない」と述べられている。したがって、 む〉という意味の語が入る。イは〈じゅんぷうまんぱん〉と読み、もともとは船が帆に追い風を受けて進むようすを表している。 問3 内容の読解を問う設問。 モーツァルトの音楽の明るさについては「魂の錬金術」 、すなわち、負から正のエネルギーへの転換によると説明されている。逆境をバネにして明るい音楽が生 内容の読解を問う設問。 み出されたのだと言っている。〈めぐまれない境遇〉について述べているのは、ウだけである。 問4 直後の「人間の心的エネルギーは、決して正の感情の純粋培養から生み出されるわけではない」に注目する。潔癖の度が過ぎて無菌になったら、菌に触れる機 会がなくなり、抵抗力もつかないという意味である。アだけが「抵抗力」にふれ、菌の必要性を述べている。 問5 内容の読解を問う設問。 「この論争」とは、「そもそもその方法論が異なる」とする立場と、「共通の起源にもとづいていながらその目的が違うだけ」とする立場のぶつかりあいである が、直後に「生命の本質が、清濁あわせのむ混淆の中からの動きの表出にある」と述べていることから、方法論は共通の起源にもとづくことがわかる。目的の違 いについては、前段落で説明されている。 問6 内容の読解を問う設問。 エは、第八段落の内容である。ア「『見世物』にするために」、イ「一部の人々には早くから評価されていた」、ウ「著作権が認められる方向へと向かわせた」、 オ「『白魔術』を信じる」がそれぞれ誤り。 問7 漢字力を問う問題。 正解は以下の通り。(あ)=驚嘆、 (い)=変哲、(う)=生成、(え)=連鎖、 (お)=憶測。