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第28期 報告書
(第28回定時株主総会招集ご通知添付書類) 平成26年4月1日から 事 業 報 告 ( 平成27年3月31日まで) Ⅰ 企業集団の現況に関する事項 1 事業の経過およびその成果 (1)全般の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、期初には消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動も あったものの、雇用情勢の持ち直しなどにより、緩やかな回復傾向が続きました。このような 状況の中、当社グループは、「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」のもと、鉄道事業や生 活サービス事業、Suica事業を中心に様々な施策を着実に展開しました。 この結果、当連結会計年度の営業収益は、定期外収入を中心として当社の運輸収入が増加し たことなどにより、前期比2.0%増の2兆7,561億円となり、営業利益は前期比5.1%増の4,275億 円となりました。また、経常利益は、支払利息の減少などにより、前期比8.9%増の3,619億円 となりましたが、当期純利益については、山田線宮古~釜石間の経営移管等に向けた特別損失 の計上や、法人税法等の改正に伴う繰延税金資産取崩しで法人税等調整額が増加したことなど により、前期比9.8%減の1,803億円となりました。 (2)セグメント別の状況 ① 運輸業 鉄道事業では、安全・安定輸送の確保とお客さま満足の向上を前提として、新幹線・在来線 ネットワークの利用促進策の展開などにより収入確保に努めました。 安全面では、 「究極の安全」に向けて、第6次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2018」に基づ く施策を着実に実施しました。具体的には、昨年2月に発生した京浜東北線川崎駅構内での列車脱 線事故を受けて、軌陸車および工事用重機械を建築限界内に進入させる際の取扱いの見直しや、線 路閉鎖工事における関係者間の指揮命令系統の明確化、列車を止める手段の強化など、安全性を向 上させる対策を講じ、同種事故の再発防止に努めました。また、首都直下地震等を想定し、平成24 年度から平成28年度を重点整備期間とする総額3,000億円の耐震補強対策等を着実に進めました。具 体的には、高架橋や橋脚、電化柱のほか、中央線御茶ノ水駅付近盛土などの耐震補強工事を推進し、 当連結会計年度末で全体計画数量の約5割が完了しました。 さらに、地震観測体制の強化を図るため、地震計観測値の高 速伝送化を一部先行開始するとともに、海底地震計のデータ 受信に向けた準備を進めました。加えて、踏切事故対策とし て、4種踏切の1種化や踏切の整理統廃合、踏切支障報知装 置や障害物検知装置の増設などに引き続き取り組みました。 そのほか、ホームドアについては、山手線において、新たに 五反田駅や田端駅など7駅で使用を開始し、当連結会計年度 末の累計設置駅数は18駅となったほか、八高線拝島駅におい て、新たな昇降式ホーム柵を試行導入しました。 山手線ホームドア 2 (単位:億人キロ) サービス品質面では、 「顧客満足度 鉄道 鉄道事業の輸送人キロ 業界No.1」の実現に向けた施策を推進し 平成25年度 ました。輸送品質向上の取組みとして、京 葉線、総武本線、常磐線等で防風柵を使 平成26年度 用開始したほか、昨年2月に発生した大雪 0 300 600 900 1,200 1,500 による大規模輸送障害の振返りを踏まえ、 新幹線および首都圏在来線の体制・設備強 化などの雪害対策を講じました。また、個々のお客さまへのタイムリーな情報提供を目的に、昨年3月 からサービスを開始したスマートフォン用「JR東日本アプリ」については、本年3月には英語版も追 加し、当連結会計年度末の累計ダウンロード数が約110万件に達しました。さらに、列車運行情報サー ビス「どこトレ」については、地方を中心に案内対象線区を拡大しました。加えて、武蔵野線で「サー ビス品質よくするプロジェクト」を継続実施し、ホームベンチや待合室を新設するとともに、サービス 品質向上の取組みに関する情報を発信しました。そのほか、他の鉄道事業者等と連携し、エスカレー ターの安全な利用を呼びかける「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーンを実施したほか、国土 交通省のキャンペーンの一環として、 「ベビーカー利用安全教室inてっぱく」を開催しました。 輸送面では、本年3月のダイヤ改正から、北陸新幹線金沢開業に伴い、速達タイプ「かがやき」 および停車タイプ「はくたか」の運転を開始し、東京~金沢間を最速2時間28分で結びました。また、 新潟~上越妙高・新井間において、えちごトキめき鉄道株式会社と共同で北陸新幹線へのアクセス 特急「しらゆき」の運転を始めるなど、鉄道ネットワークの拡充による地域間の流動拡大に努めまし た。さらに、上野東京ラインを開業し、宇都宮線、高崎線と東海道線との相互直通運転や、品川駅 までの常磐線の直通運転を開始したほか、武蔵野線や京葉線の増発等により、 「東京メガループ」 の利便性向上を図りました。 営業面では、観光流動創出と地域活性化を目的として、新潟および山形の「デスティネーション キャンペーン」や「行くぜ、東北。 」キャンペーンを展開しました。また、昨年3月から全列車で 時速320km運転を開始した「はやぶさ・こまち」の利用促進を図りました。さらに、乗ること自 体が目的となる列車として、足湯を備えた山形新幹線「とれいゆ つばさ」や信越・飯山線での 「越乃Shu*Kura」等を運転するとともに、磐越西線「フルーティアふくしま」や飯山線 「おいこっと」の本年4月の運転開始に向けた準備を進めました。加えて、北陸新幹線金沢開業に 合わせて、 「Japanese Beauty Hokuriku」キャン ペーンを展開するとともに、 「びゅうばす天空の飛騨回廊号」を 運行開始するなど、信越・北陸地方の広域観光周遊ルートの 構築に取り組みました。そのほか、旺盛なインバウンド需要を 取り込むため、グループ会社を通じて台湾現地旅行会社に経 営参画するとともに、台湾・香港向けの「東日本鐵道假期(東 日本鉄道ホリデー) 」や東南アジア向けの「Tokyo Rail Days」の販売促進を図りました。また、新宿駅に「JR EAST Travel Service Center」を新設す るなど、海外からのお客さまの受入れ態勢の整備を進めました。 上野東京ライン 3 Suicaについては、奥羽本線山形駅、信越本線柏崎駅、篠ノ井線松本駅など13線区36駅や、 富士急行線および気仙沼線・大船渡線BRT(バス高速輸送システム)において新たに利用可能 としました。また、平成28年春の仙台市交通局発行ICカード「icsca(イクスカ) 」との仙 台圏における相互利用サービス開始に向けた準備を進めました。さらに、昨年10月より、 「iPh oneTM」からSuicaへの入金を可能とするなど、お客さまの利便性のさらなる向上に取り組 みました。なお、Suicaの発行枚数は、当連結会計年度末で約5,070万枚となりました。 東京駅開業100周年記念Suicaについては、昨年12月の発売当日に、多数のお客さまが 東京駅に来駅されたことから、お客さまの安全を確保するため、同日に発売中止としました。 その後、購入を希望する全てのお客さまに販売することとし、増刷などの対応を進めました。 研究開発面では、鉄道の様々な分野に関する技術革新を推進しました。具体的には、新型通勤 電車(E235系)について、次世代車両制御システム「INTEROS(インテロス) 」および線 路・電力設備のモニタリング装置を搭載するための開発や試験を進め、本年秋頃から山手線での 営業運転を予定しています。また、東京駅において、スマートフォン用アプリ「東京駅構内ナビ」 の実証実験を行いました。さらに、新幹線の時速360kmでの営業運転の実現に向けて、走行性能 の向上および環境負荷低減に向けた研究開発を進めました。加えて、現場第一線の社員による技 術革新を促すため、 「イノベーションリーダー」などを選定し、実務研修や意見交換を実施しました。 地球環境問題への対応については、 「グループ経営構想Ⅴ」で掲げた環境目標の達成に向け、 「創エネ」 、 「省エネ」 、 「スマートグリッド技術の導入」という3つの観点から集中的に取り組んで います。 「創エネ」では、豊かな自然環境を活かして「北東北」を再生可能エネルギーの拠点に することをめざします。 「省エネ」では、様々な環境保全技術を取り入れた「エコステ」モデル 駅として、常磐線湯本駅での整備を完了し、東北本線福島駅で工事を進めました。 「スマートグ リッド技術の導入」では、恵比寿、国分寺、西船橋の3駅において使用電力をコントロールする デマンド制御を開始しました。このほか、環境保護活動として、森の再生に向けて「信濃川ふる さとの森づくり」に引き続き取り組みました。 海外鉄道プロジェクトへの参画については、都市鉄道「パープルライン」(タイ・バンコク) の平成28年営業開始に向けて、車両供給および鉄道システムのメンテナンス業務の準備を進め ました。また、鉄道車両製造事業については、ステンレス 車両「sustina(サスティナ)」のブランド展開を 強化し、国内外からの新規案件獲得・受注拡大に取り組み ました。さらに、昨年9月に世界最大級の鉄道見本市「イ ノトランス2014」 (ドイツ・ベルリン)に出展するなど、 当社グループの技術に関する情報発信に努めました。加え て、今後のグローバル展開を担う人材の育成に向けて、 「グローバル人材育成プログラム Ever Onward」 を推進し、海外留学や海外鉄道コンサルティング業務OJT トレーニーなどを引き続き拡大しました。 デスティネーションキャンペーンのポスター 4 (単位:億円) 東日本大震災により甚大な被害を受け 売 上 高 た太平洋沿岸線区の復旧については、地 平成25年度 域全体の復興やまちづくりの計画策定と 一体となって進めるべく、国や関係自治 平成26年度 体との協議を実施しています。特に、山 0 5,000 10,000 15,000 20,000 田線宮古~釜石間については、三陸鉄道 (単位:億円) 株式会社による南北リアス線との一体運 営業利益 営を関係自治体等に提案しておりました 平成25年度 が、昨年12月に大筋合意し、本年2月に 基本合意書および覚書を締結しました。 平成26年度 また、石巻線については、浦宿~女川間 0 1,000 2,000 3,000 の復旧工事を進め、本年3月21日に全線 で運転を再開しました。仙石線については、 本年5月30日の全線運転再開に向けて、高城町~陸前小野間における復旧工事等を進め、あわせ て東北本線との接続線「仙石東北ライン」の同日の運転開始に向けた整備を行いました。常磐線 については、昨年6月に、福島第一原子力発電所20km圏内を含む広野~竜田間において鉄道運 転を再開するとともに、本年1月より、竜田~原ノ町間で代行バスの運行を開始しました。さらに、 平成29年春の運転再開に向け、相馬~浜吉田間において復旧工事を進めました。なお、福島第一 原子力発電所20km圏内の今後の方針としては、避難指示解除準備区域では、沿線地域の除染や 住民帰還に向けた準備開始など必要な環境整備について国・自治体の協力をいただき、運転再開 の準備を進めます。帰還困難区域では、被災施設の復旧と合わせ、国・自治体の支援・協力のもと、 通行に必要な除染や異常時の利用者の安全確保対策を完了した後、開通させることをめざします。 加えて、BRTによる仮復旧については、鉄道との乗換えの利便性向上を目的に、気仙沼駅にお いて、昨年4月に気仙沼線BRT、本年3月に大船渡線BRTの乗入れをそれぞれ開始しました。 また、岩泉線については、昨年3月31日をもって鉄道営業を終了し、翌4月1日から地元バ ス事業者が路線バス「岩泉茂市線」の運行を開始しました。なお、当社は当該路線バスの運行 に必要な支援を行っています。 バス事業については、「山形デスティネーションキャンペーン」の開催に合わせた観光周遊 バス「びゅうばす」の運行や、東京~成田空港線の設定などにより、利便性向上および利用促 進を図りました。このほか、衝突被害軽減ブレーキシステムや車線逸脱警報装置などの安全運 転支援システムの導入を進めました。 モノレール鉄道業については、開業50周年を記念して特設ウェブサイトを設置し、各種キャ ンペーンを展開するなど、利用促進に努めました。また、昨年7月には、17年ぶりに新型車両 を導入し、お客さまの快適性向上を図りました。 この結果、鉄道事業の輸送人員は前期とほぼ同水準の62億人となり、輸送人キロは前期比 0.8%減の1,300億人キロとなりましたが、運輸業の売上高は前期比1.3%増の1兆9,072億円とな り、営業利益は前期比10.2%増の2,946億円となりました。 5 ② 駅スペース活用事業 (単位:億円) 駅スペース活用事業では、昨年12月の 売 上 高 東京駅開業100周年に合わせて、東京駅を 平成25年度 含む周辺エリアの価値向上に向けた情報 発信や賑わい創出に取り組みました。また、 平成26年度 コンビニエンスストア「NEWDAYS 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 (ニューデイズ) 」においては、新宿駅等 (単位:億円) に新デザイン店舗を開業したほか、カウ 営業利益 ンターコーヒー「EKI na CAFE 平成25年度 (エキナカフェ) 」の新規展開や商品の品 揃え強化など、多様化するお客さまニー 平成26年度 ズへの対応を図りました。さらに、 「地 0 100 200 300 400 域再発見プロジェクト」の一環として、 上野駅などにおいて各地の産直市を開催 し、地産品や観光のPRに取り組みました。加えて、農林漁業の「6次産業化」に向けて、 「十日町すこやかファクトリー」 (新潟)において米粉を用いた菓子の製造・販売を開始しました。 これに加え、 「エキュート東京」(東京)などの好調による増収があったものの、工事支障に よる閉店の影響などにより、売上高は前期比0.9%減の4,119億円となり、営業利益は前期比4.2% 減の345億円となりました。 ③ ショッピング・オフィス事業 ショッピング・オフィス事業では、 「CIAL桜木町」 (神奈川) 、 「nonowa武蔵小金井 (第1期) 」 (東京)および「MIDORI長野」 (長野)を開業するとともに、中央線武蔵境~ 東小金井間では、高架下空間を活用した「ののみち」 (東京)を開業し、一体的な回遊空間を創 出しました。また、 「セレオ甲府」 (山梨)などにおいてリニューアルを実施したほか、既存店 舗の活性化および集客力のあるテナントの導入を図りました。さらに、本年4月に開業予定の 「nonowa国立(第1期) 」 (東京) 、平成28年春完成予定の新宿駅新南口ビル(仮称)や仙 台駅東口開発の建設工事を進めました。加えて、平成28年度開業予定の熱海駅ビル(仮称)や NEWDAYS(新デザイン店舗) 6 MIDORI長野 平成29年度開業予定のJR船橋駅南口駅 ビル(仮称)のほか、東京急行電鉄株式 会社および東京地下鉄株式会社との共同 事業として、平成31年度完成予定の渋谷 駅街区開発計画Ⅰ期(東棟)の建設工事 に着手しました。 これに加え、株式会社ルミネなどの売 上が好調であったことや、前期に開業し た「JR大塚南口ビル」(東京)の増収 効果などにより、売上高は前期比1.8% 増の2,665億円となり、営業利益は前期 比0.4%増の723億円となりました。 売 上 高 (単位:億円) 平成25年度 平成26年度 0 1,000 2,000 3,000 営業利益 (単位:億円) 平成25年度 平成26年度 0 200 400 600 800 ④ その他 ホテル業では、三陸沿岸地域の観光流動の創出をめざし、本年3月に「ホテルフォルクロー ロ三陸釜石」 (岩手)を開業しました。また、北陸新幹線金沢開業や善光寺御開帳に合わせて、 「ホテルメトロポリタン長野」(長野)のリニューアルを進めるとともに、「ホテルメトロポリ タン」 (東京)の客室や婚礼施設を改装するなど、既存ホテルの競争力強化を図りました。 広告代理業では、大型液晶ディスプレイを用いた駅広告媒体「J・ADビジョン」を長野駅 等に新たに設置したほか、車内映像広告「トレインチャンネル」などの販売促進に努めました。 クレジットカード事業では、「デスティネーションキャンペーン」やGALA(ガーラ)湯 沢開業25周年など、各種イベント等に連動した企画を展開し、さらなる利用促進と会員数拡大 を図りました。 Suica電子マネーについては、全日本空輸株式会社の国内線での機内販売や、任天堂株 ホテルフォルクローロ三陸釜石 J・ADビジョン 7 式会社のゲーム機での決済サービスを開 始するなど、さらなる利用の拡大・促進 に取り組みました。これらの取組みの結 果、Suica電子マネーが利用可能な 店舗等の数は当連結会計年度末で約29万 店舗となりました。 売 上 高 (単位:億円) 平成25年度 平成26年度 0 2,000 4,000 6,000 営業利益 このほか、スポーツ事業では、運動型 通 所 介 護施設の2号店として「ジェク サー・プラチナジム武蔵境」 (東京)を昨 年7月に開業するとともに、子育て支援と 高齢者福祉の複合施設「COTONIOR (コトニア)赤羽」 (東京)の本年4月の開 業に向けた準備を進めました。 8,000 (単位:億円) 平成25年度 平成26年度 0 100 200 300 400 この結果、情報処理業や広告代理業の増収などにより、売上高は前期比6.7%増の6,141億円 となったものの、営業利益は、クレジットカード事業の関連経費の増加などにより、前期比 15.9%減の274億円となりました。 (注)1 当社は、 「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関 する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利 益としております。 2 「icsca」は、仙台市の登録商標です。また、「iPhone」は、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。 ⑤ セグメント別の業績の状況 当社グループにおけるセグメント別の業績の状況は、次のとおりです。 運 売 上 業 駅スペース ショッピング・ そ 活 用 事 業 オフィス事業 の 他 合 計 調 整 額 連結損益計 算書計上額 高 外 部 顧 客 へ の 売 上 高 18, 520 3, 963 2, 549 2, 527 27, 561 — 27, 561 セグメント間の内部売上高又は振替高 552 156 115 3, 614 4, 438 △ 4, 438 — 19, 072 4, 119 2, 665 6, 141 32, 000 △ 4, 438 27, 561 2, 946 345 723 274 4, 289 △ 14 4, 275 計 セ 8 輸 (単位:億円) グ メ ン ト 利 益 (3)対処すべき課題 わが国の経済情勢は、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策 の効果もあり、緩やかに回復していくことが期待されます。このような中、当社グループは、 「グ ループ経営構想Ⅴ」のもと、 「変わらぬ使命」と「無限の可能性の追求」という2つの経営の柱を グループ一体で推し進め、具体的な成果を創出していきます。そして、グループ全社員一人ひとり の具体的な行動とチームワークで、 「地域に生きる。世界に伸びる。 」という理念の実現をめざします。 ① 変わらぬ使命 ア 「究極の安全」に向けて 「グループ安全計画2018」のもと、安全意識の徹底、安全に対する日々の行動と挑戦を 通じ、社員一人ひとりが力を伸ばすとともに、職場・系統を越えたチームワークでその力 を結集し、 「究極の安全」をめざします。これまでと同じ原因による「事故の一歩手前の 事象」の再発防止に努めることにより、当社グループに原因があり、鉄道の運行や保守の しくみのレベルアップにより防げる事故の完封につなげます。また、大規模地震などの自 然災害への対策を推進し、計画的にリスクを低減させていきます。さらに、踏切障害や ホームからの転落など「社会との関わりが密接な事故」のリスク低減に向けて、踏切支障 報知装置の増設や山手線以外の駅へのホームドア整備を進めます。 本年4月に山手線神田~秋葉原間で電化柱が倒壊し線路を支障する重大インシデントを 発生させたことを踏まえ、当社管内の全電化柱を対象に緊急点検を実施しました。また、 このような事態を二度と発生させぬよう、鉄道安全推進委員会に鉄道事業本部長を主査と する検討委員会を設置し、事実関係の調査、背後要因を含めた原因の究明を行ったうえで、 対策を実施しております。さらに、全ての現業機関において緊急安全総点検を実施してお り、全社を挙げて安全上の弱点を洗い出し、これを克服すべく取り組んでいます。今後と も、信頼の回復に向け全力を尽くしてまいります。 イ サービス品質の改革 本年からスタートした「サービス品質改革中期ビジョン2017」のもと、輸送障害発生時 の柔軟な対応や情報提供の充実など、「輸送品質の向上」と「お客さまに優しい鉄道サー ビスの追求」に向けた各施策を推進し、選ばれ続ける企業になるために「顧客満足度 鉄 道業界No.1」をめざします。また、平成28年の北海道新幹線新函館北斗開業により地 域間の流動拡大を図るとともに、東京圏ネットワーク充実の一環として、着席ニーズに対 応するため、平成32年頃の中央快速線等へのグリーン車サービス導入の準備を進めます。 さらに、将来の航空旅客の増加に対応するため、羽田空港アクセス線構想の具体化に向け て、既存の鉄道ネットワークなどを活用しつつ、事業スキーム等を検討していきます。 9 ウ 地域との連携強化 「ふくしまデスティネーションキャンペーン」の開催に合わせた観光流動の拡大やBR Tのさらなるサービスの充実など、東日本大震災により被害を受けた地域の復興全般に貢 献していきます。また、観光立国の推進の一環として、クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トランスイートしきしま)」の導入に向けた準備を進めるとともに、 旺盛なインバウンド需要を取り込むために「東日本版ゴールデンルート」構想を具体化し ます。さらに、新潟エリアを楽しむアートカフェ新幹線「GENBI SHINKANSEN (現美新幹線) 」の運転開始に向けた準備を進めます。 当社の地方創生、地域活性化の取組みとして、昨年9月に設立した株式会社JRとまと ランドいわきファームにおいて生産に向けた準備を行うなど、 「のもの1-2-3」プロ ジェクトを積極的に展開し、農林漁業の「6次産業化」を進めます。あわせて、首都圏に て産直市や小規模マルシェなどを積極的に展開し、地産品の販路拡大や情報発信強化に取 り組みます。そのほか、自治体と連携しながら地方中核駅におけるまちづくりを推進します。 新宿駅、渋谷駅および横浜駅などの大規模ターミナル駅における開発を着実に進めると ともに、中央ラインモールプロジェクトをはじめとした「選ばれる沿線ブランドづくり」 に取り組みます。特に品川駅周辺エリアにおいては、当社の車両基地から創出される用地 を活用し、国・東京都・関係区等と連携しながら、まちづくりの検討を進めます。その核 として田町~品川間に新駅を設置し、2020年の暫定開業をめざすとともに、国際的に魅力 のある交流拠点の創出を図っていきます。 ② 無限の可能性の追求 ア 技術革新 「鉄道の進化」の実現に向けて、外部の開発力や知的財産を活用する「オープンイノベー ション」の考え方を取り入れ、さらなる技術革新を図ります。エネルギー・環境戦略として、 「架線レス化」に向けた交流区間乗入れ用の蓄電池駆動電車の導入準備や、余剰電力の有効 活用に向けた研究を進めます。また、昨年11月の青 森県八戸市のバイオマス発電事業会社への経営参画 や、本年3月の秋田県潟上市の太陽光発電所の運用 開始に続き、東北地方を中心として風力発電事業を 展開するJR東日本エネルギー開発株式会社を本年4 月に設立するなど、 「北東北」を再生可能エネルギー の拠点にすることをめざします。さらに、ICT活用 によるメンテナンス業務の革新に向けて、モニタリン グ装置のモデル線区への導入を拡大することにより、 TRAIN SUITE 四季島(イメージ) 10 故障の予兆把握や事前対処を行うとともに、故障発生時の迅速な復旧やコストダウンにつなげ ます。加えて、駅遠隔操作システム導入などにより新たな駅業務体制を構築するとともに、無 線式列車制御システム導入により輸送システムの変革に取り組みます。そのほか、現場第一 線の社員による技術革新を加速させるため、推進体制の充実や人材育成の強化を図ります。 イ 新たな事業領域への挑戦 海外鉄道プロジェクトについては、インドネシア鉄道事業者への技術支援の深度化を進 めるとともに、引き続きアジアを中心とした新たなプロジェクトへの参画に努めます。ま た、国内外を問わず社外の優れた技術・製品の導入にも積極的に取り組みます。さらに、 生活サービス事業においても、グループ会社と連携し、海外展開に挑戦していきます。加 えて、 「経営の第4の柱」と位置付ける鉄道車両製造事業において、昨年4月に実施した 株式会社総合車両製作所への事業統合の効果を最大限発揮し、競争力強化を図ります。 ウ 人を伸ばし、人を活かす企業風土づくり 公募制の人事異動や応募型研修など、社員の意欲に応える機会の拡大に引き続き取り組 むほか、急激に進みつつある世代交代を踏まえ、各系統の中核を担う人材育成を目的とし た研修制度などを整備し、技術・技能の確実な継承を実現します。また、今後のグローバ ル展開を見据え、長期・短期留学や海外研修など、年間600名規模の海外派遣を継続する とともに、多様な人材を積極的に採用するなどダイバーシティを推進します。さらに、将 来に向けて経営基盤を強化するため、グループ一体となった業務の効率性・生産性の向上 に取り組みます。 このほか、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、「安全かつスムーズ・ 快適な移動サービスの提供」、「東京圏の観光流動活性化と地方への誘客」、「ターミナル駅開発 の推進による東京の魅力向上」という3つの観点から当社グループとして準備を進めています。 具体的には、混雑が予想される競技会場最寄駅および 乗換駅等において駅改良工事を実施するほか、海外か らのお客さまの受入れ態勢の充実に向けて、駅や車両 における多言語対応や無料公衆無線LANの拡充を進 めます。 株主の皆さまにおかれましては、当社グループの経 営につきまして何とぞ一層のご理解とご支援を賜りま すようお願い申しあげます。 田町~品川間の新駅(イメージ) 11 2 設備投資の状況 当社グループは、安全対策・安定輸送をはじめ、駅サービス改善、メンテナンスコスト低減 および収益力向上などに重点を置いて設備投資を行いました。当連結会計年度に実施した設備 投資総額は5,221億円であり、主な内容は次のとおりです。 (1)完成した主な工事 ① 運輸業 ・東日本大震災による被災施設の復旧 ・自動列車停止装置(ATS-P、ATS-Ps)の新設 ・大規模地震対策 ・山手線ホームドア整備 ・内方線付ホーム縁端ブロック整備 ・エスカレーター安全対策 ・エレベーターの新設 ・東北縦貫線(上野東京ライン)整備 ・新幹線車両の新造 ・特急車両の新造 ・首都圏通勤用車両の新造 ・地方ローカル線用車両の新造 ・ 「エコステ」モデル駅整備 ・山手線内駅構内共通ネットワーク整備 常磐線、石巻線 一ノ関駅ほか 高架橋柱3,670本ほか 御徒町駅ほか6駅 水道橋駅ほか5駅 200基 代々木駅ほか23駅46基 139両 10両 261両 75両 湯本駅 新宿駅ほか34駅 ② 駅スペース活用事業 ・ステーションルネッサンスによる店舗展開 武蔵浦和駅 ③ ショッピング・オフィス事業 ・ショッピングセンターの建設 MIDORI長野ほか ④ その他 ・ホテルの建設 12 ホテルフォルクローロ三陸釜石 (2)施工中の主な工事 ① 運輸業 ・東日本大震災による被災施設の復旧 ・自動列車停止装置(ATS-P、ATS-Ps)の新設 ・大規模地震対策 ・山手線ホームドア整備 ・内方線付ホーム縁端ブロック整備 ・エレベーター新設 ・無線式列車制御システムATACS導入 ・新幹線車両の新造 ・特急車両の新造 ・首都圏通勤用車両の新造 ・地方ローカル線用車両の新造 ・ 「エコステ」モデル駅整備 秋葉原駅、代々木駅ほか 埼京線 東北新幹線、北陸新幹線 中央線 南武線 新潟地区向け、水戸線 福島駅 ② 駅スペース活用事業 ・ステーションルネッサンスによる店舗展開 ・東京ステーションシティ 千葉駅、新宿駅ほか 東京駅丸の内地下エリア整備 ③ ショッピング・オフィス事業 ・千葉駅ビルの建替 ・渋谷駅共同開発ビルの建設 ・ショッピングセンターの建設 ・オフィスビルの建設 仙台駅東口開発、熱海駅ビル(仮称)ほか 新宿駅新南口ビル(仮称) ④ その他 ・風力発電設備の新設 羽越本線道川~下浜間 13 3 資金調達の状況 有利子負債の償還資金等に充当するため、次のとおり社債の発行および長期借入金の借入れ を実施しました。 区 分 社 長 期 借 入 金 額 債 1, 200億円 金 1, 825億円 合 計 備 考 国内普通社債 1, 200億円 3, 025億円 4 財産および損益の状況の推移 区 分 14 第25期 (平成23年度) 第26期 (平成24年度) 第27期 (平成25年度) 第28期 (当連結会計年度) (平成26年度) 営 業 収 益(億円) 25,321 26,718 27,029 27,561 経 常 利 益(億円) 2,721 3,174 3,325 3,619 当 期 純 利 益(億円) 1,087 1,753 1,999 1,803 1 株 当 た り 当 期 純 利 益( 円 ) 274 443 506 458 総 資 産(億円) 70,604 72,232 74,283 76,056 純 資 産(億円) 18,906 20,481 21,993 23,049 営業収益 (単位:億円) 25,321 平成23年度 0 10,000 20,000 当期純利益 1,087 1,753 1,803 平成26年度 1,000 1,500 総資産 70,604 72,232 平成24年度 74,283 平成25年度 76,056 平成26年度 20,000 40,000 1,000 2,000 60,000 3,000 80,000 4,000 1株当たり当期純利益 (単位:円) 274 443 506 平成25年度 458 平成26年度 0 2,000 (単位:億円) 平成23年度 0 0 平成24年度 1,999 平成25年度 500 3,619 平成23年度 平成24年度 0 3,325 平成26年度 30,000 (単位:億円) 平成23年度 3,174 平成25年度 27,561 平成26年度 2,721 平成24年度 27,029 平成25年度 (単位:億円) 平成23年度 26,718 平成24年度 経常利益 200 400 600 純資産 (単位:億円) 18,906 平成23年度 20,481 平成24年度 21,993 平成25年度 23,049 平成26年度 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 15 5 主要な事業内容(平成27年3月31日現在) 当社グループは、運輸業、駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業およびその他 の事業を行っております。 (1)運輸業 鉄道事業を中心とした旅客運送事業を展開しております。当社の鉄道事業の概況は、次のと おりです。 支 社 名 東 横 八 大 高 水 千 仙 盛 秋 新 長 京 支 浜 支 王 子 支 宮 支 崎 支 戸 支 葉 支 台 支 岡 支 田 支 潟 支 野 支 営業キロ 駅 数 社 社 社 社 社 社 社 社 社 社 社 社 合 計 80 108 95 79 89 112 158 288 206 142 193 115 1, 665 在来線 駅 1 78 . 1 32 7. 9 28 7. 1 3 13 . 0 36 7. 5 4 70 . 1 5 92 . 2 1, 1 22 . 6 8 45 . 2 6 35 . 1 7 76 . 7 34 8. 5 6, 2 64 . 0 新幹線 ㎞ 1 7. 8 ― ― 1 66 . 5 16 5. 5 ― ― 2 23 . 6 3 16 . 3 ― 1 68 . 0 13 6. 5 合 計 ㎞ 1, 1 94 . 2 1 95 . 9 32 7. 9 2 87 . 1 47 9. 5 5 33 . 0 4 70 . 1 5 92 . 2 1 , 34 6. 2 1 , 16 1. 5 6 35 . 1 94 4. 7 4 85 . 0 ㎞ 7 , 45 8. 2 車両数は13, 130両(電車12, 060両、客車125両、気動車527両、機関車94両、その他324両)であります。 このほか、運輸業においては、鉄道車両製造事業、バス事業およびモノレール鉄道業を展開 しております。 (2)駅スペース活用事業 駅において商業スペースを創出し、小売業や飲食業等を展開しております。 (3)ショッピング・オフィス事業 駅および駅周辺の用地を開発し、ショッピングセンターの運営事業およびオフィスビル等の 貸付業を展開しております。 (4)その他 ホテル業、広告代理業、クレジットカード事業等を展開しております。 16 6 主要な拠点等(平成27年3月31日現在) (1)当社 本 社 : 東京都渋谷区代々木二丁目2番2号 本社附属機関 : JR東日本研究開発センター(埼玉)、 海外事務所(ニューヨーク、パリ、ブリュッセル、ロンドン、シンガポール)、 JR東日本総合研修センター(福島)、JR東京総合病院、 JR東日本健康推進センター(東京)、エネルギー管理センター(東京)、 構造技術センター(東京) 支 社 等 : 東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社、 千葉支社、仙台支社、盛岡支社、秋田支社、新潟支社、長野支社 新幹線運行本部(埼玉) 東京工事事務所、東京電気システム開発工事事務所、 東北工事事務所(宮城)、上信越工事事務所(群馬) 山形支店、福島支店、青森支店 (2)子会社 ㈱ビューカード(東京)、ジェイアールバス関東㈱(東京)、日本ホテル㈱(東京)、 ㈱JR東日本リテールネット(東京)、㈱総合車両製作所(神奈川)、 東京モノレール㈱(東京)、㈱ルミネ(東京)、仙台ターミナルビル㈱(宮城)、 ㈱アトレ(東京) 、㈱ジェイアール東日本都市開発(東京)、 ㈱日本レストランエンタプライズ(東京)、㈱ジェイアール東日本情報システム(東京)、 ㈱ジェイアール東日本ビルディング(東京)、㈱ジェイアール東日本企画(東京)、 ㈱東日本環境アクセス(東京)、JR東日本メカトロニクス㈱(東京)、 ジェイアール東日本ビルテック㈱(東京) (注)㈱ジェイアール東日本情報システムは、平成27年4月1日に㈱JR東日本情報システムに商号変更しております。 7 従業員の状況(平成27年3月31日現在) セグメント 運 駅 従業員数 輸 ス ペ ー ス 業 活 用 事 業 シ ョ ッ ピ ン グ ・ オ フ ィ ス 事 業 そ の 合 計 他 51, 652名 ( 2, 539名) 1 0, 328名) 4, 473名 ( 1, 860名 ( 901名) 15, 344名 ( 1 3, 545名) 73, 329名 ( 2 7, 313名) (注)1 従業員数は就業人員数(当社グループ各社において他社への出向者等を除き、他社からの出向者を含む) であり、臨時従業員数は( )内に外数で記載しております。 2 臨時従業員には、派遣社員および短時間労働のパート・アルバイトは含まれておりません。 3 従業員は、前連結会計年度末に比べ、222名減少(臨時従業員は423名減少)しております。 17 8 重要な子会社の状況(平成27年3月31日現在) (1)重要な子会社の状況 会 社 名 ㈱ ビ ュ % 主な事業内容 ジ ェ イ ア ー ル バ ス 関 東 ㈱ 4, 000 100. 0 旅客自動車運送事業 日 ㈱ 4, 000 100. 0 ホテル業 ㈱JR東日本リテールネット 3, 855 100. 0 小売業 ㈱ 総 合 車 両 東 京 モ ノ レ テ ー 当社の議決権比率 5, 000 ホ カ 百万円 ド 本 ー 資 本 金 ル 100. 0 クレジットカード事業 製 作 所 3, 100 100. 0 鉄道車両製造事業 ー ル ㈱ 3, 000 79. 0 モノレール鉄道業 ネ 2, 375 95. 1 不動産賃貸業 仙 台 タ ー ミ ナ ル ビ ル ㈱ 1, 800 ㈱ レ 1, 630 ㈱ジェイアール東日本都市開発 1, 450 100. 0 不動産賃貸業 ㈱日本レストランエンタプライズ 730 100. 0 飲食業、小売業 ㈱ジェイアール東日本情報システム 500 100. 0 情報処理業 ㈱ジェイアール東日本ビルディング 480 100. 0 オフィスビル等の貸付業 ㈱ ジ ェ イ ア ー ル 東 日 本 企 画 250 100. 0 広告代理業 ㈱ 東 日 本 環 境 ア ク セ ス 120 100. 0 清掃整備業 JR 東 日 本 メ カ ト ロ ニ ク ス ㈱ 100 100. 0 設備保守業 ジ ェイア ー ル 東 日 本 ビ ル テック ㈱ 50 100. 0 ビル管理業 ㈱ ル ア ミ ト 99. 5 (2. 9) 92. 1 (0. 6) ホテル業、不動産賃貸業 不動産賃貸業 (注)1 ( )内は、内数で間接所有による議決権比率を記載しております。 2 ㈱ジェイアール東日本情報システムは、平成27年4月1日に㈱JR東日本情報システムに商号変更しております。 18 (2)企業結合の経過および成果 当連結会計年度末の連結子会社は、上記の重要な子会社17社を含めて72社であり、持分法適 用会社は5社です。連結子会社については、当連結会計年度において、㈱ホテルメトロポリタ ン長野の1社が減少しました。また、持分法適用会社については、当連結会計年度において変 更はありません。 なお、当連結会計年度の営業収益は前期比2.0%増の2兆7,561億円、当期純利益は前期比9.8% 減の1,803億円となりました。 9 主要な借入先(平成27年3月31日現在) 借 入 先 株 式 会 社 み ず 借入金残高 ほ 銀 行 117, 000 株 式 会 社 三 菱 東 京 U F J 銀 行 104, 200 株 式 会 社 三 井 住 友 銀 行 87, 905 日 本 生 命 保 険 相 互 会 社 37, 000 第 一 生 命 保 険 株 式 会 社 35, 000 明 治 安 田 生 命 保 険 相 互 会 社 27, 000 農 庫 19, 000 三 菱 U F J 信 託 銀 行 株 式 会 社 19, 000 林 中 央 金 百万円 19 Ⅱ 会社の株式に関する事項(平成27年3月31日現在) 1 発行可能株式総数 1, 600, 000, 000株 2 発行済株式の総数 393, 500, 000株 (注) 1 発行済株式の総数には、自己株式320, 066株を含んでおります。 2 平成26年7月25日付で実施した自己株式の消却に伴い、前事業年度末と比べて1, 500, 000株減少しております。 3 株主数 225, 468名 4 大株主 株 主 名 株 式 会 社 み ず 持 株 数 ほ 銀 行 19, 650, 000 株 5. 00 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 13, 957, 400 3. 55 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 13, 766, 300 3. 50 株 式 会 社 三 菱 東 京 U F J 銀 行 12, 520, 315 3. 18 J R 東 日 本 社 員 持 株 会 11, 211, 900 2. 85 株 式 会 社 三 井 住 友 銀 行 10, 530, 315 2. 68 日 本 生 命 保 険 相 互 会 社 8, 015, 560 2. 04 第 一 生 命 保 険 株 式 会 社 8, 000, 000 2. 03 THE BANK OF NEW YORK MELLON SA/NV 10 5, 180, 073 1. 32 三 菱 U F J 信 託 銀 行 株 式 会 社 5, 000, 000 1. 27 (注)持株比率は、発行済株式の総数から自己株式320, 066株を除いて算出しております。 20 持株比率 % Ⅲ 会社役員に関する事項 1 取締役および監査役(平成27年3月31日現在) 地 位 お よ び 氏 名 担当および重要な兼職の状況等 取 締 役 会 長 清 野 智 東北電力株式会社取締役 取締役副会長 小 縣 方 樹 技術関係(全般)、国際関係(全般) 代表取締役社長 冨 田 哲 郎 代表取締役副社長 深 澤 祐 二 代表取締役副社長 柳 下 尚 道 常 務 取 締 役 森 本 雄 司 総合企画本部長、監査部担当、財務部担当 常 務 取 締 役 原 口 宰 鉄道事業本部副本部長、鉄道事業本部営業部担当、観光振興(全般) 常 務 取 締 役 川野邊 修 鉄道事業本部長 常 務 取 締 役 一ノ瀬 俊 郎 事業創造本部長、人事部担当、厚生部担当 常 務 取 締 役 澤 本 尚 志 鉄道事業本部副本部長、総合企画本部システム企画部担当、 総合企画本部技術企画部担当、鉄道事業本部サービス品質改革部担当 常 務 取 締 役 中 井 雅 彦 鉄道事業本部副本部長、総合企画本部復興企画部担当、 鉄道事業本部信濃川発電所業務改善推進部担当、建設工事部担当 常 務 取 締 役 梅 原 康 義 東京支社長 常 務 取 締 役 高 橋 眞 IT・Suica事業本部長、広報部担当、法務部担当、総務部担当、 オリンピック・パラリンピック担当 常 務 取 締 役 福 田 泰 司 鉄道事業本部副本部長、鉄道事業本部設備部担当、 鉄道事業本部電気ネットワーク部担当 常 務 取 締 役 西 山 隆 雄 国際担当 取 締 役 江 藤 尙 志 東京支社東京駅長 取 締 役 佐々木 毅 オリックス株式会社取締役 取 締 役 濱 口 友 一 株式会社IHI取締役、株式会社クラレ取締役、FPT CORPORATION, Director 常 勤 監 査 役 星 野 茂 夫 常 勤 監 査 役 東 川 一 監 査 役 山 口 俊 明 公認会計士 監 査 役 仁 田 陸 郎 弁護士 住友商事株式会社監査役 監 査 役 石 田 義 雄 (注) 1 取締役佐々木毅氏および同 濱口友一氏は、社外取締役であります。なお、当社は両氏を、上場証券取引所の定める独立役 員として指定しております。 2 常勤監査役星野茂夫氏、同 東川 一氏、監査役山口俊明氏および同 仁田陸郎氏は、社外監査役であります。なお、当 社は4氏を、上場証券取引所の定める独立役員として指定しております。 3 監査役山口俊明氏は、公認会計士の資格を有しており、財務および会計に関する相当程度の知見を有するものであります。 21 4 取締役佐々木毅氏は、オリックス株式会社の社外取締役を兼務しておりますが、同社と当社との間に開示すべき関係はあり ません。 5 取締役濱口友一氏は、株式会社IHIおよび株式会社クラレの社外取締役ならびにFPT CORPORATIONのDirectorを兼務 しておりますが、これら3社と当社との間に開示すべき関係はありません。 6 監査役仁田陸郎氏は、住友商事株式会社の社外監査役を兼務しており、同社と当社とは車両部品等について取引関係があり ます。 2 取締役および監査役の報酬等の額 区 分 人 数 報 酬 等 の 額 取 締 役 21名 806百万円 監 査 役 5名 94百万円 26名 900百万円 合 計 (注) 1 報酬等の額には平成26年6月24日開催の第27回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役3名に対する支給額を含めて おります。 2 報酬等の額には第28回定時株主総会において決議予定の役員賞与191百万円(取締役172百万円、監査役18百万円)を含めて おります。 3 報酬等の額には社外役員6名に対する報酬等105百万円を含めております。 4 取締役の報酬限度額は、平成24年6月22日開催の第25回定時株主総会において月額70百万円以内(うち社外取締役分は月額 4百万円以内)と決議いただいております。 5 監査役の報酬限度額は、平成16年6月23日開催の第17回定時株主総会において月額11百万円以内と決議いただいております。 22 3 社外役員の主な活動状況 区 分 氏 名 主な活動状況 佐々木 毅 当事業年度開催の取締役会の全16回のうち14回に出席(出 席率88%)し、有識者としての豊富な経験をもとに、当社 の経営課題等につき発言を行っています。 濱 口 友 一 当事業年度開催の取締役会の全16回に出席(出席率100%) し、経営者としての豊富な経験をもとに、当社の経営課題 等につき発言を行っています。 氏 名 主な活動状況 星 野 茂 夫 当 事 業 年 度 開 催 の 取 締 役 会 は 全16回 に 出 席( 出 席 率 100%)、当事業年度開催の監査役会は全15回に出席(出席 率100%)し、行政での豊富な経験をもとに、当社の経営 課題等につき発言を行っています。 東 川 一 当 事 業 年 度 開 催 の 取 締 役 会 は 全16回 に 出 席( 出 席 率 100%)、当事業年度開催の監査役会は全15回に出席(出席 率100%)し、行政での豊富な経験をもとに、当社の経営 課題等につき発言を行っています。 山 口 俊 明 当 事 業 年 度 開 催 の 取 締 役 会 は 全16回 に 出 席( 出 席 率 100%)、当事業年度開催の監査役会は全15回に出席(出席 率100%)し、公認会計士としての豊富な経験をもとに、 当社の経営課題等につき発言を行っています。 仁 田 陸 郎 当 事 業 年 度 開 催 の 取 締 役 会 は 全16回 に 出 席( 出 席 率 100%)、当事業年度開催の監査役会は全15回に出席(出席 率100%)し、弁護士としての豊富な経験をもとに、当社 の経営課題等につき発言を行っています。 社 外 取 締 役 区 分 社 外 監 査 役 4 責任限定契約の内容の概要 当社は、会社法第427条第1項の規定により、社外取締役および社外監査役との間に、会社 法第423条第1項の責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく責任の限度額 は、法令が規定する額としております。 23 Ⅳ 会計監査人の状況 1 会計監査人の名称 有限責任 あずさ監査法人 2 当事業年度に係る会計監査人の報酬等の額 (1)当社が支払うべき会計監査人としての報酬等の額 245百万円 (2)当社および当社子会社が支払うべき金銭その他の財産上の利益の合計額 735百万円 (注)当社と会計監査人との間の監査契約において、会社法に基づく監査と金融商品取引法に基づく監査の監査報酬等の額を区分しておらず、実 質的にも区分できないため、(1)の金額にはこれらの合計額を記載しております。 3 非監査業務の内容 当社は、会計監査人に対して、公認会計士法第2条第1項の業務以外の業務である財務 デュー・ディリジェンス調査業務およびコンフォートレター作成業務等についての対価を支 払っております。 4 会計監査人の解任または不再任の決定の方針 当社の監査役会は、会計監査人の職務の遂行が十分ではない場合および会計監査人が社会か ら信用を著しく損なった場合など、会計監査人の解任または不再任が妥当と判断した場合は、 株主総会に提出する会計監査人の解任または不再任に関する議案の内容を決定いたします。 また、当社の監査役会は、会計監査人が会社法第340条第1項各号のいずれかに該当すると 認められる場合、監査役全員の同意に基づき監査役会が会計監査人を解任いたします。この場 合、監査役会が選定した監査役は、解任後最初に招集される株主総会におきまして、会計監査 人を解任した旨と解任の理由を報告いたします。 「 会社法の一部を改正する法律」 (平成26年法律第90号)が平成27年5月1日に施行されることに伴い、平成27年4月27日開催の監査役会に (注) おいて会計監査人の解任または不再任の決定の方針の改正を決議しております。 24 Ⅴ 取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保 するための体制その他業務の適正を確保するための体制 当社における取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制そ の他業務の適正を確保するための体制は次のとおりです。 1 取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制 「グループ会社」という。 ) ・ 法令遵守および企業倫理について、当社と当社の連結子会社(以下、 で構成されるJR東日本グループの企業行動指針である「法令遵守及び企業倫理に関する指針」 を策定し、役員および社員に対して具体的な行動のあり方を示すハンドブックを配付している。 ・ 法務部および総務部が、全社横断的にコンプライアンスに係る業務を統括する。 ・ コンプライアンスに関する相談窓口を設置し、公益通報やコンプライアンス上問題のある事 象についての報告を受け付ける。 ・ 市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは断固として対決することと しており、そのために必要な体制を整えている。 ・ 内部監査については、適法で効率的な業務執行確保のための監視体制を整えている。 2 取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制 ・ 取締役の職務執行に係る文書は、法令および社内規程等に従い、適切に保存および管理する。 取締役および監査役は、必要に応じて常時これらの文書を閲覧できる。 3 損失の危険の管理に関する規程その他の体制 ・ 鉄道の運行に関し、事故・災害等の発生に備えて、輸送指令室を24時間体制とするなど、迅 速かつ適切な対応ができる体制を整えている。また、輸送の安全性および安定性を向上させ るため、社内にそれぞれ専門の委員会を設置している。 ・ 外部からの犯罪行為、当社およびグループ会社内の不祥事、法令違反などの会社の事業運営 に重大な影響を与えるリスクに対しては、業務を管理する各部署においてリスク管理をして いるほか、危機管理責任部署および危機管理に関する規程を定め、問題が発生した際には、 経営トップが関与しながら、迅速に初動体制を構築し情報の収集および迅速な対応等がとれ るよう、危機管理体制を構築している。 4 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制 ・ 会社の効率的な事業運営を確保するため、社内規程により、各部署の権限、役割を定め、権 限分配している。 ・ JR東日本グループが掲げる経営構想の浸透を図るとともに、その達成に向けて部門や施策 ごとに具体的な計画を定め、その進捗状況については定期的にトレースを実施するなど、施 策を効率的に展開する仕組みを確保する。 25 5 JR東日本グループの企業集団としての業務の適正を確保するための体制 ・ 法令遵守および企業倫理に係る当社の企業行動指針として「法令遵守及び企業倫理に関する 指針」を策定し、具体的な行動のあり方を示すハンドブックを当社およびグループ会社の役 員および社員に配付している。また、JR東日本グループとしてのコンプライアンスに関す る相談窓口を当社内および外部に設置している。 ・ グループ会社に対し、危機管理責任部署および危機管理に関する規程等を定め、問題が発生 した際に、迅速に初動体制を構築し、情報の収集および必要に応じた当社への報告ならびに 迅速な対応を指導する。 ・ JR東日本グループにおける業務の適正を確保するため、当社からグループ会社に役員を派 遣するなど経営に関与するとともに、当社の監査部がグループ会社監査を定期的に実施する。 6 監査役の職務を補助すべき使用人に関する事項 ・ 監査役の監査活動を補助する専任スタッフを監査役室に配置し、監査の実効性を高め、監査 活動が円滑に遂行できる体制をとる。 7 監査役の職務を補助すべき使用人の取締役からの独立性に関する事項 ・ 監査役室スタッフは、監査役の命令に関して、取締役・他の使用人等の指揮命令を受けない。 8 取締役および使用人が監査役に報告するための体制その他監査役への報告に関する体制 ・ 取締役会規則に基づいた決議事項の付議基準を定め、適切に取締役会に付議しているほか、 監査役は、取締役会決議事項以外の重要な事項についても、取締役会、常務会等にて、その 内容を確認することができる。 9 その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制 ・ 監査役は、代表取締役社長および会計監査人と、それぞれ定期的に意見交換会を開催する。 (注) 上記は、平成27年3月31日現在の体制を記載しております。なお、「会社法の一部を改正する法律」(平成26年法律第90号)および「会社法 施行規則等の一部を改正する省令」(平成27年法務省令第6号)が平成27年5月1日に施行されることに伴い、平成27年4月28日開催の取締役 会の決議により体制を一部改定しております。 本事業報告中の記載数字の金額につきましては、表示単位未満の端数を切り捨てて表示しております。 26