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資料5-1 プロジェクトの概要(PDF形式:4976KB

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資料5-1 プロジェクトの概要(PDF形式:4976KB
第1回 スラグ利用に係る研究開発
プロジェクト等事後評価検討会
資料5−1
スラグ利用に係る研究開発
サブテーマ
1−1 鉄鋼スラグ水和固化体による直立護岸用環境修復技術の開発
1−2 鉄鋼スラグ水和固化体の適用拡大技術の開発
2
石炭灰等を用いた製鋼スラグ安定化技術の開発
3
製鋼スラグを海域に利用するための安全性・環境改善効果の検討・評価
平成21年3月18日
(社)日本鉄鋼連盟
芙蓉海洋開発(株)
新日本製鐵(株)
1
1.事業目的
本事業では、製鋼スラグの海域利用を拡大し、
セメント製造エネルギーの削減、天然石砂の採
掘等の製造エネルギーの削減を図るとともに、
閉鎖性水域の赤潮・青潮の抑制をはじめとする
環境修復に向けた技術開発、並びに製鋼スラ
グを海域に安全に利用するための安全性・環境
改善効果の評価・検討を目的とする。
2
1
2.鉄鋼の製造工程と鉄鋼スラグ
製銑工程
製鋼工程
鉄鋼スラグとは?
高
炉
鉄鋼生産工程で、鉄鉱石
等の原料に含まれる鉄以
外の成分を分別・冷却して
製造される副産物。
転
炉
溶銑予備処理
高炉スラグ(水砕・徐冷)
転炉系製鋼スラグ
鉄鉱石(焼結鉱)とコークスを高炉に投入
し銑鉄をつくる工程で生成
転炉や予備処理炉で銑鉄から不要分を取り
除き鋼片を製造する工程で生成
3
3.転炉系製鋼スラグの特徴
①天然の石と同様な外観 (粒度は調整可能)
②天然石に比べて、カルシウム分が多いため
溶出水のpHが高い。
③セメント反応による水硬性(浚渫土と化学反
応)
④鉄分を多く含むため、海藻生育等の効果あり。
⑤化学成分からリンや硫化水素を吸着する性質
4
2
4.製鋼スラグ(転炉系)の販売状況と需給見通し(全国)
その他利用 埋立
0.8%
0.8%
需要の減少
平成17年度実績
①建設投資の減少
再利用
16.7%
建設投資
道路
22.2%
市場増減 率(%)(H10FYを
100%)
地盤改良材
0.2%
肥料
0.8%
銑鉄生産
140
加工用原料
2.7%
総使用量
11,451千㌧
セメント
4.0%
土木
51.8%
◆高強度⇒道路路盤材、地盤改良SCP材
◆重量大⇒載荷盛土材、中仕切堤
◆化学成分⇒肥料、クリンカー原料
◆硬質 ⇒アスコン骨材
120
100
80
60
40
20
0
H10FY H11FY H12FY H13FY H14FY H15FY H16FY H17FY H18FY
②競合リサイクル材の台頭
新たな用途・市場開拓(技術開発)が必須
製鋼スラグの特性(海域環境修復効果)を
生かした用途の開発
リサイクル材活用による省エネルギー
5
5.研究開発テーマの設定について
(技術上の課題とテーマ設定)
海域利用拡大に関する課題の抽出とテーマ選定フロー
利用場所の
選定
・鉄鋼スラグには高炉スラグと製鋼スラグがあり、高炉スラグは主にセメント分野で有
効利用されている。今回の国プロでは、製鋼スラグの開発を主として実施。
・製鋼スラグの「リン等の吸着」「固結する」「鉄分等の供給」といった特長から用途を検
討すると、 「海域環境修復用途」が適すると考えれる。
(リン吸着⇒赤潮防止、固結性⇒浚渫土の改良による有効利用、鉄分等供給⇒藻場等の造成)
利用形態の
選定
◆赤潮防止、浚渫土改良⇒石砂状スラグおよび浚渫土混合材料
◆藻場造成等
⇒ブロック(海藻着生基質)
海域適用には、高pH溶出等の課題あり。鉄鋼スラグ水和固化体等の要素技術は持つ
ものの、用途開拓とその評価、安全性の評価・検証が必要である。
開発すべき技術的課題
開発課題の
抽出と
テーマ選定
対策と今回の国プロでの取り組み
①ブロック化に関する課題
・利用技術開発(サブテーマ1−1)
・用途拡大
(サブテーマ1−2)
②安定化処理に関する課題
・製鋼スラグの製造技術開発(サブテーマ2)
・浚渫土混合利用技術開発 (サブテーマ3)
③製鋼スラグの海域への適用性
検討・評価および利用技術確立
・製鋼スラグの海域への適用性評価およ
び利用マニュアルの作成 (サブテーマ
3)
6
3
6.国の関与の必要性
○海域におけるスラグの大量使用に関しては、公共財的性格を持つ領域
であり、民間でバラバラに対処したのでは、信頼性、安全性等での統一
性が取れなくなる。実用に供するためには、国の指導の下で開発や評
価を行うことが不可欠である。
○スラグは多様な成分を含み、成分的にもバラツキを有する面もあり、公
共に使用するためには、国の指導の下で確かな技術を確立していくこ
とが不可欠である。
○スラグの公共財的な利用を進めるためには、環境対策としての側面も
大であり、コスト競争などの市場原理が働かない分野でもあり、国の関
与が不可欠である。
7
7.政策的位置付け
○平成13年経済産業省令第55号第3条で 事業者は、技術の向上その
他の鉄鋼スラグの発生抑制等のために必要な技術の向上に計画的に
取り組み、有効再利用が要請されている。三項では、港湾施設用の資
材用、水質改良剤用その他の鉄鋼スラグの利用に係る新規の用途の
開発が記されており、本事業はこの目的に沿ったものである。
○3R分野の技術戦略マップの中にある最終処分量削減技術の確立、資
源有効利用技術の確立、地球温暖化対策を意識した3R技術の確立に
対応する。中でも、温室効果ガスであるCO2の削減は我国として重
要課題である。
○本事業の技術開発結果から、セメント使用時のエネルギー削減や自然
の浄化効果によるエネルギー削減に寄与し、国策に貢献する。
8
4
8.全体の研究推進体制
経済産業省 製造産業局
鉄鋼課 製鉄企画室
「スラグ利用に係る研究開発補助事業調整会議」
プロジェクトリーダー
三宅 隆夫((社)日本鉄鋼連盟)
メンバー
戸澤 宏一(JFEスチール㈱)
日比 政昭(新日本製鐵㈱)
杉戸 俊一(芙蓉海洋開発㈱)
「スラグ利用に係る研究開発合同委員会」
プロジェクトリーダー
三宅 隆夫((社)日本鉄鋼連盟)
委員
福崎 良雄(㈱神戸製鋼所)
戸澤 宏一(JFEスチール㈱)
日比 政昭(新日本製鐵㈱)
正保
剛 (住友金属工業㈱)
山本 毅洋則(日新製鋼㈱)
杉戸 俊一(芙蓉海洋開発㈱)
委員(各サブテーマ主査)
杉戸 俊一(芙蓉海洋開発㈱ サブテーマ1-1)
戸澤 宏一(JFEスチール㈱ サブテーマ1-2)
松尾 充高(新日本製鐵㈱ サブテーマ2 )
中川 雅夫(新日本製鐵㈱ サブテーマ3 )
技術検討委員会
芙蓉海洋開発㈱(サブテーマ1−1)
徳島大(共研)、広島大(共研)、前橋工大(共研)、大阪府大(共研)、神戸
大(共研),産総研(共研)、(財)国際エメックスセンター(共研)、JFE技研㈱(委託)
広島工大・上嶋教授、他
技術委員会
(社)日本鉄鋼連盟(サブテーマ1−2)
徳島大(共研)、東工大(共研)
東工大・大即教授、他
技術委員会
新日本製鐵㈱(サブテーマ2)
九大(共研)
九大・中島教授、他
(社)日本鉄鋼連盟(サブテーマ3)
技術委員会
水産総研/中央水産研(委託)、国土環境㈱(委託)、㈱大林組、
五洋建設㈱(委託)、東亜建設㈱(委託)、帝京科学大(共研)
港湾技研・中村領域長、他
9
9.研究開発スケジュール
(年度計画表)
・環境修復用新規構造体の開発
・実海域試験による構造体の性能評価
(1)水槽試験
(2)実海域における性能評価
(1)
(2)
10
5
10.事業化の見通し
【サブテーマ1−1】「鉄鋼スラグ水和固化体による直立護岸用環境修復技術」
さらに実機レベルでの中長期的な環境影響等調査が必要であり、2∼3年間の実
海域での調査を実施して実使用の具体的な設置場所・設置検討を行なって実海域で
の継続調査実施の見通しが得られれば、実機規模での検証(4年以上)を行う。
【サブテーマ1−2】「鉄鋼スラグ水和固化体の適用拡大技術」
今後継続する自社技術開発の成果、国による基準化策定の状況をみつつ、将来の
事業化の可能性を検討する。継続的に研究開発が行われれば、6∼7年間の実用化開
発を経て、2015年頃に本技術が護岸の修復等実海域への導入が可能になると考えら
れる。
【サブテーマ2】「石炭灰等を用いた製鋼スラグの安定化改質技術」
継続して改質スラグの品質とフィージビリティスタディーが行われており、ス
ケールアップの見通しが得られれば、実機規模による実用化開発へ移行する。その
場合の実用化開発期間は2年間程度と考える。
【サブテーマ3】「製鋼スラグを海域に利用するための安全性・環境改善効果の検討・評
価」
浚渫土改良工法は、設計法・施工法の確立に向けた実用化技術開発や、国土交通
省が主管する試験施工のモニタリング評価等が行なわれており、今後2∼3年程度
で公共事業への適用が期待できる。
11
11.波及効果
本開発成果の展開によるスラグの需要見込
サブテーマ
2020年
2030年
1−1
1−2
2
3
30万t
60万t
55万t
100万t
70万t
100万t
55万t
150万t
合計
245万t
375万t
<原油換算6.7万kL
/23.5億円>
<原油換算10.2万kL
/35.7億円>
12
6
12. 特許、発表論文等
(件数)
サブテーマ
特許
論文
1−1
(出願予
定)
口頭発表
1
2
1−2
22
7
1
2
4
1
3
3
1
合 計
27
9
9
15
13
スラグ利用に係る研究開発
サブテーマ1−1
「鉄鋼スラグ水和固化体による
直立護岸用環境修復技術の開発」
平成21年3月18日
芙蓉海洋開発株式会社
1
7
1. 研究開発目標
<サブテーマ1−1「鉄鋼スラグ水和固化体による直立護岸用環境修復技術の開発」>
【研究開発目標】;
大都市周辺の直立護岸で被われた港湾域において、直立護
岸の形態は変えずに生物量を増やして浄化能力を発揮させる
技術の開発を行うため、予備的な実験で良好な生物付着が確
認されている、製鋼スラグを主とした鉄鋼スラグ水和固化体を
用いた環境修復技術の開発を行うものとし、
(1)環境修復用新規構造体の開発
(2)実海域試験による構造体の性能評価
2-1 水槽試験による性能評価
2-2 実海域による生物付着量評価
を行って、鉄鋼スラグ水和固化体の効率的な利用を図ることを
目標とする。
2
2.個別要素技術の目標設定
<サブテーマ1‐1:「鉄鋼スラグ水和固化体による直立護岸用環境修復技術の開発」
>
背 景
目 標
1.製鋼スラグを主とした鉄鋼スラグ水和固化
体には海域環境修復効果が期待できる。
海域利用の観点から、
・藻類の育成効果、生物の付着効果を持つ素材の活用
・生物量の増加と落下防止に着目した構造体の開発
が望まれる。
2.直立護岸周辺の海域環境悪化が懸念
されている。
・大都市周辺の直立護岸で被われた海岸部では富栄
養化が進み水質が悪化すると共に、汚染に強い生物
を中心とした単調な生物相となっている。
・こうした港湾域の環境修復には生物の持つ水質浄
化能力を効果的に利用する技術が求められている
・これまで浅場造成や干潟域の創出などが実施され
たが、直立護岸域を浅場にするような事業はない。
3.鉄鋼スラグ水和固化体を利用していくた
めには、海域での性能評価が必要。
・対象海域の環境悪化のメカニズムを踏まえた環境
修復技術として生物付着や生育状況等に関する性能
を評価が必要である。
海域に適用するため、鉄鋼スラグ水和固
化体を用いた新たな構造体の開発が必要。
また、その性能評価のために、水槽試験及
び実海域試験を行う。
(1)環境修復用新規構造体の開発
将来の実用化を図る観点から、
①既存の直立護岸に直接設置する型式の構造体
②護岸の海底部に据え付ける型式の構造体
を開発する。
(2)実海域試験による構造体の性能
評価
2-1 水槽試験による性能評価
既存材料であるコンクリートとの比較のため、生物
付着や生育の速度の評価を水槽試験を実施し、鉄
鋼スラグ水和固化体の生物付着機能(生育の速度
や生物量)を評価する。
2-2 実海域による生物付着量評価
性能比較用に開発した構造体の形状と設置方法
により、生物付着や生育状況等に関する性能を評
価する。
3
8
サブテーマ1-1 「直立護岸用環境修復技術の開発」のコンセプト
補足説明(1)
直立護岸周辺の海域環境悪化のメカニズム(低透明度、流れの停滞、底泥の悪化)
海水交換や鉛直混合が起こりにくいため、
有機物の海底堆積により貧酸素状態
ムラサキイガイ等の少数種
が多量に付着
青潮の発生により生態系が損傷
貧酸素水の上昇
により生物が死亡
多くの生物死滅することで
生態系のサイクル停止
酸素消
費
海域環境の悪化
貧酸素海底
写真(東京湾の例):
・貧酸素海底には海草や魚介類
は生息出来ない
・白い部分は嫌気状態で増殖す
るバクテリアマット
直立護岸からの脱落生物
などの有機物が海底に堆積
期待する将来の姿:E-パネル及びE-ボックスの設置による環境修復
酸素の多いゾーンに
生物生息空間を創出
環境修復に向けた国の動き
<自然再生推進法(H15)>
⇒ 再生行動計画の策定
東京湾再生プロジェクト(H15)
大阪湾再生プロジェクト(H16)
伊勢湾再生プロジェクト(H17)
広島湾再生プロジェクト(H17)
緊急の課題
温暖化対策への寄与
・省エネルギー
・CO2削減対策
・天然素材の保護
解決方法として鉄鋼スラグ水和固化体の利用
効果的な構造物の形状並びに評価マトリックスの考案
Cas
e1
多種多様な生物による
安定した生態系
Cas
e2
Cas
e3
Cas
e4
Cas
e5
Cas
e6
Cas
e7
Cas
e8
Evaluatio
nA
LC CO2
[g-CO2]
↓
コスト
EF [gha]
Evaluatio
nB
LCコス
ト[¥]
高次捕食者による
有機物の系外排出
Case 5 C-Box O, C-Box U
Evaluatio
nC
生物生
産 [g-C]
↓
Case 6 E-Box O, E-Box U
Biocapacit
y [gha]
Evaluatio
nD
利益
系外除
去 [g-C等
]
↓
下水処理
経費 [¥]
有機物堆積量の削減
Evaluatio
nE
再利用
[g-C等]
↓
資源価値
[¥]
Case 7 C-Box Y
Case 8 E-Box Y
直立護岸海域の環境修復
Total Evaluation
4
「直立護岸用環境修復技術の開発」の実証試験概要
補足説明(2)
KA
KC
KO
SS
SC
神戸地区
尼崎地区
ボックス区域
Box-U
Box-Y
既設(E)
Box-O
既設(E)
尼崎海域
神P
尼B
パネル区域
尼A
既設(E)
設置例:E-パネル置直前
パネル区域
SC
SS
KA
設置例:E-ボックス設置直後
KO
設置後約1ヶ月で海藻が繁茂
設置後約1年半後付着状況
約6ヶ月後の魚類蝟集
体長27cmのクロダイと胃内容物
20cm
E-パネルKO
設置例:尼崎E-パネル設置状況
のポーラスボール
ムラサキイガイ
5
9
5.成果概要
学術成果(論文、口頭発表) 3件
要素技術
開発目標
達成度
産学官連携による効果的な
新規構造体の開発により、
目標を達成
サブテーマ1−1
鉄鋼スラグ水和固化体による直立護岸用環境修復技術の開発
(1)環境修復
用新規構造
体の開発
鉄鋼スラグ水和固化体はコンク
リートと同様に型枠に流しこんで
構造体を製作することが可能であ
ることから、様々な形の構造体を
作ることが可能である。
そこで、将来の実用化を図る観
点から、次の開発を行った。
①既存の直立護岸に直接設置
する型式の構造体
②護岸の海底部に据え付ける
型式の構造体
(2)実海域試験
による構造体
の性能評価
2-1水槽試験による性能比較
2-2実海域による生物付着量
評価
構造体の開発に際し、①既存の直立護岸に直接設置
する型式の構造体をE−パネル、②護岸の海底部に据
える型式の構造体をE−ボックスと呼び、それぞれ世界
で初めて直立護岸そのものへ設置する構造体を考案し
た。以下に、主な機能を示す。
達成
①E−パネルの機能
・ 生物の付着を促進する突起物の設置
・枯死した生物の落下防止用の棚の設置
②E−ボックスの機能
・海藻の生育をねらい岩礁域を模擬
・製造や設置の簡便性と稚魚の育成を考慮
2-1水槽試験結果:藻類による一次生産量を推定した
結果、付着藻類と大型藻類を含めた藻類群の純一次
生産量は、スラグパネル上ではコンクリートパネルに比
べて1.5∼1.7倍の高い生産性が認められた。
2-2実海域試験結果:E-パネル設置約1年後でみると、
既存護岸に比べ尼崎地区では約3倍、神戸地区では
約2倍の生物量が確認された。
E-ボックス(尼崎地区のみ)設置後約1年では、既存
護岸に比べて約2倍であった。
達成
6
6..成果その1
<サブテーマ1−1>
実海域試験による構造体の性能評価
試験目的・試験条件方法
目的:目的:性能比較に考案した構造体の形
状と設置方法により、生物付着や生育状況
等に関する性能を評価する
試験条件・方法:
①試験場所:実海域(尼崎、神戸空港)
②E−パネル:タイプKA、KO、SS
③E−ボックス:タイプO、U、Y
④比較試験内容:E−パネルと既存護岸の
生物付着状況比較
ポーラス
ボール
E−パネルSS
E-パネルKA
回 収
カゴ
E-パネルKO
試 験 結 果
①E−パネルについて
尼崎地区の藻類を含む生物量を、E-パネル設置約1年後でみると、
E-パネル
6.8kg/㎡
2.2kg/㎡
既存護岸
であり、既存護岸に比べE-パネルで約3倍の生物量が確認された。
神戸地区の全体の生物量を同様に1年後でみると、
E-パネル
6.1kg/㎡
2.9kg/㎡
既設護岸
であり、既存護岸に比べE-パネルで約2倍の生物量が確認された。
なお、タイプKOのポーラスボールの生物量は湿重量で47.2kg/
㎡(上)、26.8kg/㎡(下)でパネルの7倍程度高い値を示した。
②E−ボックスについて
各タイプとも付着生物の生息状況が良好であったが、代表として
E−ボックス Oタイプの生物量をみると、
E−ボックスO 年間約6,000∼6,800 g/m2
既存護岸
年間約2,100∼2,900g/m2
であり、E−ボックスOは既存護岸に比べて約2倍であった。
試験結果まとめとその評価
・E-パネル設置約1年後でみると、既存護岸に比べ尼崎地区では約
3倍、神戸地区では約2倍の生物量が確認された。
・E-ボックスでは、既存護岸に比べて約2倍であった。
・E−パネル、ボックスとも魚介類の良好なエサ場となっており、
クロダイ、キュウセン、タコなどの魚介類の蝟集・棲息が確認された。
E−ボックスO
E−ボックスU
E−ボックスY
7
10
<サブテーマ1−1>
6..成果その2
新規構造体に付着する生物量を幾つかの評価項目(環境への負荷、経済性、生物生産性、環境改善効果等)で、総合
的に評価する手法の考案(H20年度自主研究で引き続き検討中)。
C
a
s
e
1
Eval
uation
A
LC
CO2
[gCO2]
↓
コスト
EF
[gha]
Eval
uation
B
LC
コス
ト[¥]
Eval
uation
C
生物
生産
[g-C]
↓
E-PanelKA, KO
Biocap
acity
[gha]
利益
Eval
uation
D
系外
除去
[g-C等
]
↓
下水
処理
経費
[¥]
E-Box O,E-Box U
Eval
uation
E
再利
用 [gC等]
↓
資源
価値
[¥]
Total Evaluation
C
a
s
e
2
C
a
s
e
3
C
a
s
e
4
C
a
s
e
5
C
a
s
e
6
C
a
s
e
7
C
a
s
e
8
開 発 内 容
①Evaluation A(地球環境への負荷)
評価指標:Life Cycle CO2排出量[g-CO2](広義のコスト)
評価量:各構造物と同量のコンクリート製作時のCO2発生量。
②Evaluation B(経費)
評価指標:Life Cycleコスト[¥]
評価量:設置と製造に関わる費用。
③Evaluation C(生物生産力)
評価指標:生物生産量[g-C](広義の利益)
評価量:基礎生産量、付着生物量、など。
④Evaluation D(環境改善1)
評価指標:CNP系外除去量[g-C](下水処理経費の削減(利益))
評価量:生産量に相当するCを下水として処理する時の費用。
⑤Evaluation E(環境改善2、バイオマス利用を行う場合のみ)
評価指標:CNPリサイクル量[g-C、 g-N、 g-P](資源価値(利益))
評価量:検討中
⑥Total Evaluation(総合評価):検討中
評価指標1:C/A(生態学的持続可能性)
評価指標2:(D+E)/B(経済的持続可能性)
H19年度の検討状況と評価
現段階の情報から総合評価を試み、生態学的評価の一部につい
て試算を実施。製造・設置コストと生物浄化効果を対比させて評価す
る新たな手法を開発できたことは、本研究開発の成果である。
8
<サブテーマ1−1>
7.将来の実用化について <海域特性を考慮した施工技術>
実用化を図る観点から考案した施工技術
海域特性によるE−パネル等の配置に関しては、環境の良好な垂水地区から富
栄養化の進む堺地区にかけての環境勾配の調査結果から、大阪湾周辺は大きく3海
域に分けて考えるべきであることが把握できた。
この3海域の海域特性に応じた環境修復のためのE−パネル等の配置は、比較的
水質が清浄で流れもある垂水地区ではE-ボックスO、UやE-パネルKOが適しており、
水質の悪化の進む他の2海域ではE-パネルKAとE-ボックスYとの併用が効果的であ
る。
実用化時における環境修復効果の検討
実用化時の環境修復効果の概要を知るため、100m×100mのモデル海域で、EパネルやE-ボックスを組み合わせて浄化機能を試算した結果、下水処理費用に換算
して年間98万円の節約が図れることが分かった。
これを、大阪湾に当てはめ、1年で4kmの護岸にE−パネル等を設置した場合を単
純計算すると、約1,300万円の節約となると試算された。
9
11
付
[大阪湾の海岸状況]
録
大阪湾の海岸線にしめる人工海岸の割合
自然海岸
半自然海岸
人工海岸
河口部
総延長
海岸(汀線)が人工によって改変されな 道路、護岸、テトラポット等の人工構築 港湾・埋立・浚渫・干拓等により人工的 河川法の規定(河川法適用外の河川に
いで自然の状態を保持している海岸
物で海岸(汀線)の一部に人工が加えら につくられた海岸等、潮間帯に人工構 も準用)による「河川区域」の最下流端
(海岸(汀線)に人工構築物のない海岸) れているが、潮間帯においては自然の 築物がある海岸
を陸海の境とする
状態を保持している海岸
(汀線に人工構築物がない場合でも海
域に離岸堤等の構築物がある場合は
半自然海岸)
1.9km
10.9km
224.9km
5.2km
0.8%
4.5%
92.6%
2.1%
144.0km
123.8km
382.9km
5.1km
22.0%
18.9%
58.4%
0.7%
大阪府
兵庫県
242.9km
655.8km
尼崎地区の人工海岸延長距離
構造物設置不可域の
構造物設置可能域の
距離(係船岸壁等)
距離
9.55km
6.98km
16.53km
57.8%
42.2%
−
尼崎地区
総延長
10
H19年度における評価マトリックス計算状況
構造物種類
単位
コスト
EvaluationA CO2削減量:
計算
C-Panel
E-Panel
KA,KO
KA,KO
0
g-C/㎡
△ 11,739
C-Box O
E-Box O
C-Box Y
0
△ 15,561
0
E-Box Y
備考
尼崎・神戸平均
△ 19,383 コンクリート不
使用分として
計算
EvaluationB コスト:千円
設置分
210
210
40
40
110
110
(/㎡)
製造分
39
39
38
38
44
44
総量
532
(2080)
3,000
(396)
566
コンクリートと
同額とした
尼崎・神戸平均
利 益 EvaluationC 生物生産
774
E-Boxの0.7とし
て
g-C/m2/yr
EvaluationD 系外除去
gC/m2/yr
取り出し
高次生産分
下水処理経費
1,900
( )内はムラサ
キイガイの5%を
摂餌とした
(15)
ムラサキイガイの摂 ムラサキイガイの摂
餌による除去分 餌による除去分
106
155
416
600
79
113
485
709
1,903
2,745
361
518
−
-19%
−
-3%
生物生産量の
2割とした
直接取出含ま
ず
削減(円/㎡)
EvaluationE 再利用
(11)
E-Boxの0.7と
して
バイオマス
利用
資源価値
Total Evaluation
生態学的評価
経済性評価
C/A
−
-7%
(D+E)/B
H20年度の継続調査で主に系外搬出の算定と見直しを予定
11
12
スラグ利用に係る研究開発
サブテーマ 1−2
「鉄鋼スラグ水和固化体の
適用拡大技術の開発」
平成21年3月18日
社団法人 日本鉄鋼連盟
25
1. 研究開発目標
鉄鋼スラグを、セメントコンクリート代替として海域にて
大量に利用し、省資源化、省エネルギー化を進めるため、
①マスコンクリート代替材料としての適用技術の開発
②鉄筋コンクリートへの適用性評価検討
③上記①、②に関わる各種施工技術の開発
を行うことにより、鉄鋼スラグの海域利用を拡大し、セメン
ト製造エネルギーの削減、天然石砂掘削等の製造エネル
ギー削減等の省エネルギー化をはかることを目標とする。
26
13
鉄鋼スラグ水和固化体とは
高炉スラグ微粉末と製鋼スラグを混合した
セメントコンクリートの代替製品
特徴
① 環境負荷低減
・ CO2排出抑制
・天然骨材採取削減
② リサイクル材で構成27
鉄鋼スラグ水和固化体の製造方法
原材料
骨材
結合材
混和材
アルカリ刺激材
石灰ダスト,
セメントなど
製鋼スラグ
(砂利、砂代替)
練混ぜ*
高炉スラグ微粉末
フライアッシュ
水
(セメント代替)
養生
打込み
固化体
*生コンクリート製造設備使用
28
14
鉄鋼スラグ水和固化体の適用可能範囲
従来検討・使用範囲
・中小型の無筋ブロック、被覆ブロック、石材に限定
・消波ブロック:小型品
・被覆・捨ブロック:小型品
・上部コンクリート:ポンプ施工以外
・捨石
上部コンクリート
消波ブロック
ケーソン
被覆・捨ブロック
基礎捨石
捨石
青部:適用可能部位
さらなる利用拡大・特性を生かすためには
・大型の無筋ブロックや有筋部材への適用範囲拡大
29
・大量使用時の一般的な施工方法の適用
2. 研究開発スケジュール
鉄鋼スラグ水和固化体の適用拡大技術の開発 <サブテーマ 1-2>
項 目
H16年度
H17年度
H18年度
H19年度
・マスコンクリート代替材料としての
適用技術の開発
・鉄筋コンクリートへの適用性
評価検討
・施工技術の開発
30
15
全ての目標を達成。
3. 成果概要
1.マスコン代替材料
学術成果(論文、口頭発表)
8件、特許 22件
・厳冬期でも、 1.8m角マスコンでクラック発生しない配合を提示。
・副産物系の固化体で初めて、施工時の各種物性値を実計測。
2.鉄筋コンクリート部材への適用
・海洋環境の耐久性は、普通コンクリートの3倍と極めて優れる。
【東工大との共同研究】
(スラグ骨材に犠牲電極効果があることを初めて見出す)
3.施工技術(ポンプ施工)
・副産物系のコンクリート代替材料として、スランプ18cm以下で
初めて100mのポンプ圧送成功。
・モルタル特性から施工時の圧力損失を予測する方法を提案。
【徳島大への委託研究】
31
研究成果 個別要素技術の成果まとめ
目標
成果
達成度
① -(1)最大部材厚 80cmに おいても温度ひび
割れを生じない配合範囲の提示
・ペースト分の少ない配合を適用範囲として提示
・1.8×1.8×1.8m3のマスコン相当品の施工確認
・温度上昇式を提案
達成
①マスコンクリート
代替材料としての ①-(2)上記の配合範囲において、製造・施工
コストを考慮した上での最適配合例の提示
適用技術の開発
・最大部材厚1.8mにおいても温度ひび割れを生
じない配合の考え方、配合例を2種類提示した。
達成
要素技術
①-(3)最適配合例において、施工季節に応じ
た脱枠、転置の材齢を提示
・若材齢期の各種物性を測定。
・施工条件として、高炉セメントを用いたコンク
リートと同様な脱枠、転置を明確にした。
達成
② -(1) 普通コンクリートと同等の塩化物イオ
ン拡散性 および 中性化速度程度となる配合
条件の提示
・Clイオン拡散は、コンクリートの約1/10と優。
・中性化速度係数は,コンクリートよりも劣る。
・海域利用では腐食開始を3倍程度に延長。
達成
②鉄筋コンクリート ②-(2) 鉄鋼スラグ固化体内部に存在する鉄 ・促進試験で良好な不動態皮膜を確認。
への適用性評価検 筋表面の不動態被膜の有無の確認(分極曲 ・鉄筋質量減少量は、コンクリートの1/15∼1/20
討
・クラック等導入条件でも腐食抑制傾向を確認
線,腐食速度,自然電位など)
②-(3) 鉄鋼スラグ固化体に対し鉄筋補強を ・大型力学試験(曲げ、せん断)により、コンク
リートと同等設計可能なことを確認。
行う際の適用基準の提示
③施工技術の開発
③-(1) 設計基準強度18N/mm2以上の配合に ・100mの実ポンプ車による圧送を達成。
おいて、管径125mm、吐出量50m3/h、水平換 ・圧力損失等、普通コンクリートと異なる点につい
算距離100m以上のポンプ施工ができること
て、レオロジー特性から評価。
達成
達成
達成
・全要素技術の目標を達成
32
・実用を考慮した耐食性評価、レオロジー解析等、追加達成
16
鉄鋼スラグ水和固化体の適用可能部位
−開発後−
・消波ブロック:小型∼大型
・被覆・捨ブロック:小型∼大型
・上部コンクリート
・捨石
・ケーソン:さらに詳細な検討をすることが望ましい
上部コンクリート
・ポンプ施工可能
消波ブロック
ケーソン
被覆・捨ブロック
基礎捨石
捨石
33
青部:適用可能部位
4.波及効果/省エネルギー効果の検討
本研究開発で得られた成果に基づき、
ケーソン型係留設備を例にとり、普通コンクリートに替えて
鉄鋼スラグ水和固化体を用いて設計し、
①港湾構造の変化
②天然資材の削減量
③CO2排出量の削減量
を検討
34
17
省エネルギー効果のまとめ
普通コンクリートに替えて鉄鋼スラグ水和固化体を使用
した場合のケーソン型係留設備を設計し、
1)ケーソン幅の縮減
(軟弱地盤の場合は地盤改良エリアが拡大)
2)天然資材量の削減
3)排出CO2量を55∼65%程度の削減
が見込めることを明らかにした。
地盤が良好であるほど、効果が大きい。
35
5. 研究成果 学術成果、知的財産成果
学術誌論文 1件、 研究論文・学会発表 7件
No.
テーマ
タイトル
発表者
(代表)
発表先
発表時期
(投稿期限)
1
耐食性
Study on Applicability of Steel Slag Hydrated Matrix to
Steel Reinforced Members Under Marine Environment
東京工業大
大即信明
ACI S'pore
Chapter
2007.8
2
反応
The Effect of Curing Temperature and Water to Powder Ratio
on the Reaction of Steel Slag Hydrated Matrix
東京工業大
大即信明
(斎藤豪)
ACI S'pore
Chapter
2008.8
3
耐食性
ひび割れおよび打ち継ぎ目を有する鉄筋補強
スラグ固化体の耐海水性
東京工業大
大即信明
(木村祥平)
アップグレード
シンポジウム
2008.10
4
耐食性
海洋環境下における鉄鋼スラグ水和固化体のRC部材への
適用可能性に関する研究
東京工業大
大即信明
(社)土木学会
土木学会論文集
2008.2
5
施工性
変形性評価試験による鉄鋼スラグ水和固化体の
圧送性に関する基礎的研究
徳島大
橋本親典
(御領園悠司)
コンクリート工学年
次論文集 Vol.30
2008.7
6
ポンプ
圧送
鉄鋼スラグ水和固化体のポンプ圧送性に関する
実験的検討
東亜建設
羽渕貴士
(田中亮一)
コンクリート工学年
次論文集 Vol.30
2008.7
7
力学
性能
鉄鋼スラグ水和固化体の梁載荷試験による
力学的性能評価
五洋建設
内藤英晴
(田中英紀)
コンクリート工学年
次論文集 Vol.30
2008.7
8
マスコン
鉄鋼スラグ水和固化体のマスコンクリートへの適用
JFEスチール
松永久宏
新日鐵
高野良広
コンクリート工学年
次論文集 Vol.30
2008.7
出願特許 22件
36
18
スラグ利用に係る研究開発
サブテーマ2
「石炭灰等を用いた製鋼スラグ安定化改質技術の開発」
研究成果報告
平成21年3月18日
新日本製鐵㈱
1
研究開発の目的
<目的>製鋼スラグの海域での用途拡大(天然石代替)
・製鋼スラグのf・CaOの低減 → 膨張性抑制
・製鋼スラグの強度向上
→ 脱泡、均一化
<技術のポイント>
【考え方】
・組成制御;改質材添加により → ①完全溶融 反応速度向上
低融点、低粘性、
均一化
f・CaO低減
②粘性低減 脱泡性向上
【プロセス】
・改質材として石炭灰利用
・改質材添加方法として溶射バーナー適用による熱効率向上
品質を評価するために必用最低限(200kg規模)の規模での実験
2
19
溶融改質技術の技術ポイント(技術の新規性)
温度
排出直後の半溶融製鋼スラグを改質!
+
改質材として副生物(石炭灰)活用
1600∼
1700℃
この温度で処理
1200∼
1500℃
溶射バーナー
・石炭灰溶融添加
・熱効率向上
融点低下
粘性低下
完全溶融
(均一化)
300∼500℃
常温
改質処理実施
転炉
時間
九大中島教授との共同研究
<高FeO濃度データは従来無し>
製鋼スラグ排出
水冷
粉砕・鉄分分離
3
溶融改質プロセスの概要
①溶融改質処理
(改質剤;石炭灰)
②溶融改質スラグ゙品質評価
(200kg規模)
溶射バーナー(灯油+O2+空気+石炭灰)
O2バブリング
徐冷 or 急冷
①
凝固・冷却
スラグ改質
②
溶融改質状況(初
期)
溶融スラグ
凝固スラグ
改質スラグ注入
溶融改質状況(中期)
溶射バー
ナー
攪 拌ランス
溶融スラグ
改質ポット内徐冷
4
20
研究開発成果
石炭灰を用いた溶融改質技術により高強度の石材を
製造する基盤技術を確立(天然石最硬レベル)
【石炭灰添加による溶融改質有り】
【改質無し】
粒鉄の巻き込み
粒鉄・地金の大部分は沈降するが一部は残留
未滓化石灰
スラグパン(急冷)
溶融改質処理徐冷
5
改質スラグの強度評価
80
●:急冷試験
●:徐冷試験
硬石
一軸圧縮強度
2
(N/mm )
70
60
50
溶 融 改 質 スラ グ
40
( サ ミ ッ ト モ ール ド 鋳 造 ま ま)
30
凝固収縮孔大
準硬石
20
10
0
0.6
0.7
0.8
0.9
1
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
処理後 CaO/SiO2
溶融改質スラグの一軸圧縮強度は硬石の水準
6
21
まとめ
【成果】
(海洋用途割栗石代替)
・膨張性(f・CaO)
・強度
・pH
【発展性】
・強度
・pH
達成
当初目標の準硬石相当を上回る
世界最高水準の天然石硬石相当達成
達成
(陸上用途の天然石代替)
天然石硬石相当であるので問題無し
今後の評価が必要
7
実用化の見通し
・本研究開発成果により実用化に必要なスケールアップ試験
実施のための基盤技術が得られた。
・品質的には事業化の水準達成。但し、次ステップとして実用化(20t規模)に向け
たパイロット規模試験実施の必要が有る。スケールアップの見通しが得られた後に、
実用化開発への移行を検討する。
8
22
サブテーマ3
「製鋼スラグを海域に利用するための
安全性・環境改善効果の検討・評価」
平成21年3月18日
社団法人 日本鉄鋼連盟
研究開発課題と成果
1.
用途の検討と用途開発 ⇒浚渫土混合改良工法の新規開発
2.
安全性の検証
効果の検証
1)重金属溶出
⇒ 混合材料の溶出安全性を確認
2)pH水による水質影響
⇒ 混合によるpH低減の確認と
pH評価手法確立
1)底質改善効果
⇒ リン、硫化物の吸着効果を確認
2)浚渫土の強度改善
⇒ 強度改善効果を確認
3)生物影響 ⇒ 生化学的安全性を確認
3.
4.
施工技術開発と実海域実験 ⇒ 実海域での安全性・効果確認
利用技術マニュアルのとりまとめ
46
23
用途の検討と用途開発
製鋼スラグの特長
軟弱浚渫土との混合利用効果
①化学成分による底質改善効果
・赤潮抑制 (リン吸着)
・青潮抑制 (硫化物吸着)
②弱浚渫土の強度調整効果
・固結作用による強度改善
・礫分、砂分による粒度改善
軟弱浚渫土を
浄化・強度改良し
自然再生事業へ活用
47
室内試験による
浚渫土・スラグ混合効果の確認
浚渫土
強度の向上
[qu=0kN/m2]
Ca
スラグのCa
Si、水
浚渫土のSi
水
C-S-H
白濁発生
pH低減
pH低減
混合
混合材を
海水に浸漬
製鋼スラグ[高f-
リンの吸着
室内実験結果
PO4-P
CaO]
pH=8.7
混合なし
(スラグのみ)
pH=11.8
スラグ混合 砂混合
浚渫土のみ
室内試験では技術の適用性を確認
48
24
重金属溶出に対する安全性
(海洋汚染防止法水底土砂基準への適合性)
①製鋼スラグのみ(5種類)
②混合材料(10種類) スラグ30:浚渫土70(Vol.%)
単位:mg/L
(有機塩素化合物は
mg/g)
①
②
判定基準
試験項目
①
②
判定基準
アルキル水銀化合物
水銀又はその化合物
−
不検出
不検出
不検出
検出されないこと
ニッケル又はその化合物
バナジウム又はその化合物
−
−
不検出
不検出
1.5以下
カドミウム又はその化合物
鉛又はその化合物
不検出
不検出
不検出
不検出
0.1以下
−
−
不検出
不検出
40以下
0.2以下
有機りん又はその化合物
六価クロム化合物
砒素又はその化合物
シアン化合物
−
不検出
不検出
−
不検出
不検出
不検出
不検出
有機塩素化合物
ジクロロメタン
四塩化炭素
1.2-ジクロロエタン
1.1ジクロロエチレン
シス-1.2-ジクロロエチレン
−
−
−
−
不検出
不検出
不検出
不検出
0.02以下
0.04以下
0.2以下
0.4以下
−
−
不検出
不検出
亜鉛又はその化合物
ふっ化物
−
0.1∼2.3
不検出
0.1∼1.4
1.1.1トリクロロエタン
1.1.2トリクロロエタン
1.3-ジクロロプロペン
チウラム
−
−
−
−
不検出
不検出
不検出
不検出
3以下
0.06以下
0.02以下
0.06以下
トリクロロエチレン
テトラクロロエチレン
−
−
不検出
不検出
0.3以下
ベリリウム又はその化合物
クロム又はその化合物
−
−
不検出
不検出
2.5以下
シマジン
チオペンカルブ
ベンゼン
セレン又はその化合物
−
−
−
−
不検出
不検出
不検出
不検出
0.03以下
0.2以下
0.1以下
0.1以下
試験項目
PCB
銅又はその化合物
0.005以下
0.1以下
1以下
0.5以下
0.1以下
1以下
0.003以下
3以下
5以下
15以下
0.1以下
2以下
1.2以下
浚渫土との混合利用でも、重金属の溶出は見られない
49
生物に対する安全性検討
(独)水産総合研究センターに委託
pHを調整したスラグの設置環境下で魚介類・藻類を飼育し、影響を評価
急性毒性・慢性毒性試験
魚介類可食部への重金属蓄積
①キス:4尾
②ネズミゴチ:6尾
③マミチョグ:5尾
④ヒラメ:20尾
⑤ヒトデ:5匹
⑥イソギンチャク:適当数
⑦アサリ20個×3箇所
⑧カキ:2個×2箇所
製鋼スラグを敷設した
水槽で魚類(ヒラメ)、
貝類(アワビ、タカニ
シ)、棘皮動物(ウニ)を
長期間(4∼6ヶ月間)飼
育。可食部の重金属含
有量を測定
魚介類への生体影響詳細調査
藻類(スサビノリ)成長への影響
100リットル水槽にヒラメ20尾を長期(4ヶ月)飼育
⇒ ①生育状況
②体成分組成(重金属蓄積)
③ストレス誘導性遺伝子発生
2トン水槽に製鋼スラグを
80kg敷設。海水掛流し条
件(2t/hr) でスサビノリの
スラグ
生長観察 (15-16℃)
対照
(石砂)
異常は見られず(コントロール(天然石砂設置)と差異なし)
50
25
水質浄化効果の評価
スラグによるリン酸・硫化物吸着効果の確認
リ ン 酸 P O 43-
硫 化 物 S 2人 工 海 水 120 ミリリットル
無 酸 素 条 件
硫 化 物 初 期 濃 度
1 0 m g /L
人 工 海 水 1リットル
リン酸初期濃度
5 5 0 , 4 5 0 , 1 0 0 m g /L
ス ラ ク ゙5 g
ス ラ ク ゙1 0 g
振 とうしてリン酸 濃 度 を経 時 測 定
振 とうして 硫 化 物 濃 度 を 経 時 測 定
10
600
リ ン 酸 初 期 濃 度 55 0mg/ L
リ ン 酸 初 期 濃 度 45 0mg/ L
400
リ ン 酸 初 期 濃 度 10 0mg/ L
300
200
T-S
D- S
T-S 平 均
D- S 平 均
6
4
2
100
0
8
硫化物濃度(mg/L)
リン酸濃度(mg/L)
500
0
1
2
4
7
14
0
0
3
24
6
試 験 日 数 ( d ay)
48
試 験 時 間 ( H r)
リン吸着効果を確認
硫化物吸着効果を確認
51
流速1cm/s
移流拡散計算+発生量の付加
時 間 ステップ
の更新
流速
0.2m×5=1m
[ M g 2+ ] n , [ C a 2+ ] n, [ A L K ] n
[ M g 2+] * , [ C a 2+] * , [ A L K ] *
海 底 を材 料 で 被 覆
緩衝効果による修正
1 00 m
[M g
2+]n+1
,[C a
2+ ] n+ 1,
6 00 m =
水深4mを30層に分割
5m×12 0格子
鉛直2次元シミュレーション
混合土(30%Vol.%)
高pHスラグ
pH8.5
[A L K
]n+1
0.1m×10=1m 0.4m×5=2m
大規模利用時の
pH影響シミュレーション
pH8.6
pH8.5
pH8.7
pH8.9
浚渫土混合により、大規模利用時でもpH上昇を防止
52
26
事業化イメージ
干潟・浅場造成用マウンド材
深掘れ部埋戻し材
良質土
良質土
生 分 解 性シート
軟弱浚渫土+製鋼スラグ
潜 堤 (捨 石 )
良質浚渫土
軟弱浚渫土
地盤改良
従来
・浚渫土砂の強度改善⇒安価施工
浚渫土砂の浄化効果
・浚渫土砂の浄化効果
大阪湾、東京湾、伊勢・三河湾等の海域自然再生事業に展開
53
実海域実験
連続式混合・投入工法の新規開発と試験施工
実験位置(堺浜)
揚土船での浚渫土と製鋼スラグの定量切出し(7:3)およびトレミー船
へ搬送と、トレミー船での連続式ミキサ混合および海中投入を連続的
に行い、マウンド(右立体図参照)を造成
揚土船
①揚土船にて、浚渫土と
製鋼スラグを土運船から揚土
実海域実験位置
トレミー船
②ベルトコンベアにて、浚渫土と
製鋼スラグをトレミー船へ搬送
立
体
図
1 0 .0
揚土船
現場管理基準(pH9)
施
9 .5
連続ミキサ
pH
9 .0
8 .5
1.0m上
(青)
【混合度直上のpH測定結果】
10/24 12:00
10/24 06:00
10/24 00:00
7 .5
③連続式ミキサにて、
トレミー管
浚渫土と製鋼スラグを
混合し、トレミー管で
混合土
海底に投入
10/23 18:00
スラグ
10/23 12:00
浚渫土
0.1m上
(赤)
工
8 .0
54
27
「転炉系製鋼スラグ 海域利用の手引き」 および
「別冊 転炉系製鋼スラグと浚渫土との混合改良工法」を刊行
55
「転炉系製鋼スラグ 海域利用の手引き」
1.目的
2.転炉系製鋼スラグの基本的な性質・特徴
2.1転炉系製鋼スラグとは
2.2転炉系製鋼スラグの物理的・化学的特性
周辺海水に影響(pH,白
濁)を与えないための利
用方法を提示
(浚渫土との混合利用等)
3.転炉系製鋼スラグの法的取扱い
4.転炉系製鋼スラグの海域利用
4.1転炉系製鋼スラグの海域用途への適用
4.2海水に接する用途への適用
4.3海水に接しない用途への適用
5.海水に接する用途に適用する転炉系製鋼スラグ
5.1一般
5.2満たすべき品質および性能
5.3転炉系製鋼スラグの生物に対する安全性と生育効果
5.4モニタリング調査
海水に接する用途に利
用する転炉系製鋼スラ
グを規定
①種類
②有害物質の溶出
③pH・白濁
56
28
Fly UP