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地域住民が開催するイベントとその集客効果

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地域住民が開催するイベントとその集客効果
明治学院大学経済学部経済学科
卒業論文
地域住民が開催するイベントとその集客効果
―A study on local events and their effect on attracting people―
02EE1063 内野裕子
2006 年 1 月 10 日提出
指導教員 服部 圭郎先生
i
要約
学籍番号
02EE1063
氏
内野
名
指導教員
論文表題
裕子
服部 圭郎
助教授
地域住民が開催するイベントとその集客効果に関する調
査研究
要約
本研究では、イベントによって集客が異なる原因を追究するため、取材調査をもとに事例を
取り上げ、その土地の地域住民が街へ及ぼす効果を期待して開催している 15 のイベントの実
態を分析してきた。
その結果、イベントには 4 つの大きな目的があることが明らかとなった。一つ目は、街のブ
ランドづくり、イメージづくり、街の知名度の向上であり、二つ目は、地域住民や街の利用者
へ、楽しむ場の提供、三つ目は、街の活性化、そして四つ目は、街への集客である。それぞれ
の目的は、集客という大きな目的に結びつく。
さらに、イベント内容も 3 つに分類された。大規模で様々な企画を組み合わせた『テーマパ
ーク型イベント』である。そして、街のイメージづくりがしやすい『テーマ型イベント』であ
る。最後に、地元住民向けで小規模な『地域コミュニティー型イベント』がある。
集客効果については、予算額を多くすればそれだけ規模も大きくなり、集客数も増えやすい
がことが分かったが、ある一定の規模になると、それ以降は予算以外の要因で集客数が左右さ
れることが判明した。その要因というのは、5 つある。イベント規模、イベント内容、イベン
ト対象者、広告宣伝方法、そして開催期間である。
この研究では、集客数の増減は、規模の大きさで決まること多いという結論が出た。規模は、
予算であり、イベント内容に対応した一度に収容できるイベント空間の広さであり、来場者の
居住範囲や開催日数である。しかし、集客数の多さは、集客率(予算や日数などのコストに対
する集客数の比率)の高さとは関係が薄い。各々目的にあった適度な集客数があるが、そのイ
ベントに適したコストと集客数のバランスが取れるような集客率を目指し、本来の目的を果た
すことが理想である。
ii
目次
1.
2.
調査の概要 .................................................................................................................... 1
1.1
調査の背景と目的 .............................................................................................. 1
1.2
調査の方法 ......................................................................................................... 2
1.3
調査の内容 ......................................................................................................... 2
事例 ............................................................................................................................... 4
2.1
第 10 回新橋こいち祭 ....................................................................................... 4
2.2
第 6 回エコフェスタ in法政第一弾夏の小杉の風物詩全長80m台流しそうめん 8
2.3
第 6 回エコフェスタ in法政第三弾
2.4
第 20 回三茶フェスティバル 2005
2.5
世田谷アートタウン 2005 「三茶 de 大道芸」 ........................................... 19
2.6
麻布十番納涼祭り ........................................................................................... 22
2.7
麻布十番秋祭り ............................................................................................... 26
2.8
自由が丘ファミリーフェスタ ......................................................................... 28
2.9
マリクレール祭り ........................................................................................... 32
2.10
自由が丘盆踊り ............................................................................................... 34
2.11
第 33 回自由が丘女神祭り............................................................................. 35
2.12
第 27 回目黒区民祭り
2.13
第 34 回神楽坂まつり .................................................................................... 41
夜みこし&ストリートライブ .............. 13
Sancha de Sanba ............................. 15
目黒の SUN まつり ............................................... 38
iii
3.
4.
5.
2.14
上野さくらまつり ........................................................................................... 46
2.15
第 54 回江戸趣味納涼大会
うえの夏まつり ............................................... 50
イベント事業の分析................................................................................................... 54
3.1
目的の分析 ...................................................................................................... 54
3.2
内容の分析 ...................................................................................................... 61
3.3
イベント問題点の分析 .................................................................................... 67
集客効果 ..................................................................................................................... 72
4.1
集客数と予算................................................................................................... 72
4.2
集客数と内容................................................................................................... 78
4.3
集客数と開催日 ............................................................................................... 79
4.4
集客数と広告宣伝 ........................................................................................... 82
4.5
成功事例の集客効果
84
まとめ ......................................................................................................................... 86
91
付録
参考文献・参考資料 .......................................................................................................... 116
謝辞 .................................................................................................................................... 118
iv
1. 調査の概要
1.1
調査の背景と目的
現在、様々な地域が、集客を目的としたイベントを開催している。観光客を求めて、地
元の地域色を出したイベントを開催したり、新たな企画を立案し実行したり、既存の大型
イベントの誘致に挑んだりと、各地で様々な努力をしている。しかし、その努力が必ずし
も集客の成功に結びつくわけではない。出資額に見合わない効果しか得られなかったり、
お金はかけていないのに多大な効果をもたらしたりした企画もある。
本研究では、イベント会社が主催しているものではなく、その土地の地域住民が街へ及
ぼす効果を期待して開催している 15 のイベント事例を取り上げ、調査・比較する。イベ
ントによって集客が異なる原因を追究し、集客効果につながる成功の秘訣やキーワードを
見つけることを目的とする。
1
1.2
調査の方法
調査は、全て取材をもとに行い、表 1 にまとめた。調査日は、全て 2005 年である。
表1
調査方法表
日付
場所
取材方法
7月22日(金)
新橋
直接取材
7月28日(木)
武蔵小杉
直接取材
8月29日(月)
三軒茶屋
直接取材
10月21日(金) 麻布十番
伺った方
法政通り商店街振興組合 エコフェスタin法政 第一弾
川島 邦博 氏
エコフェスタin法政 第三弾
三軒茶屋銀座商店街進行組合副理事長事業部長 三茶フェスティバル
遠藤 久一郎 氏
世田谷アートタウン
直接取材 麻布十番商店街振興組合
直接取材
新橋こいち祭
越村 良久 氏
自由が丘商店街振興組合事務長 10月24日(月) 自由が丘
イベント名
新橋こいち祭実行委員
中山 雄次郎 氏
麻布十番納涼祭り
麻布十番秋祭り
自由が丘女神祭り
マリクレール祭り
自由が丘ファミリーフェスタ
自由が丘盆踊り
10月25日(火) 中目黒
10月29日(土) 神楽坂
10月31日(月)
上野
直接取材
メール
取材
目黒区役所地域振興課 おざわ氏
神楽坂通り商店会 副会長(渉外担当)
石井 要吉 氏
上野観光連盟 副会長兼事務総長
直接取材 上野中通商店街振興組合 理事長
目黒SUN祭り
神楽坂まつり
うえの夏祭り
上野さくらまつり
木村 雄二 氏
1.3
調査の内容
以下のことを調査、取材した。
・主催、後援、協賛、協力
・開催趣旨・目的
・来場者数とその特徴
・会場
・運営スタッフ人数
・広告宣伝方法
・開催期間
・屋台等の出店数
・現在の問題点
・イベント内容
・予算(収支状況)
・今後の展開の抱負
2
なお、本論文にて出展を明らかにしていない図・表は、本調査で得たデータを元に作成
している。
3
2. 事例
以下では、それぞれの街で行われているイベントを、事例として紹介する。
2.1
第 10 回新橋こいち祭
新橋こいち祭は縁日、屋台、伝承遊び、古本市、盆踊り(パレード )、 ビアガーデン、
ゆかた美人コンテスト、打ち水、大道芸、コンサートなど、様々な催し物を開催し、新橋
のサラリーマンに、小一時間 (
‘ こいち’じかん)一休みしていきませんか ? というキャ
ッチフレーズで行われるお祭りである。新橋、愛宕地区の商店会、町会等が結成した新橋
こいち祭実行委員会が
図 1-1
新橋周辺の地図
主催し、港区、ラ・ピ
スタ新橋地元連絡協議会、
愛宕一之部連合町会、愛
宕・新橋地区 12 商店会、
東京商工会議所港支部、
Kissポート財団後援、キ
リンビール株式会社、マ
リアナ政府環境局協賛、
ハクビ京都きもの学院
銀座校協力のもと、開催
出 典 :Yahoo! 地 図 情 報
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4
された。会場は東京都港区の新橋で、新橋駅前 SL 広場、桜田公園、ニュー新橋ビル周囲
歩道、ニュー新橋ビル 4F テラス、柳通りだ。
新橋は、図 1-1 にあるように、 JR 山手線、京浜東北線、東海道線、横須賀線、そして
東京メトロ銀座線、都営地下鉄浅草線、ゆりかもめの駅があり、通勤乗り換えには最適な
駅である。駅前西口は広場になっており、テレビ局のサラリーマンへの街頭インタビュー
は、よくここで行われている。駅の西側となる烏森口方面は、雑居ビルが建ち並び、ビジ
ネスマンの集う繁華街である。新橋は、観光の街というよりサラリーマンの街というイメ
ージが強いが、お台場や臨海副都心に続くゆりかもめの発着駅として、観光客の利用度は
高い。反対に、駅の東側である汐留地区は土地区画整理事業による再開発が進んでおり、
ビジネス街として近代的で大きな建物が並ぶ。電通や日本テレビなどの会社が本社機能を
移転させたりし、汐留シオサイトの登場で、それまでのサラリーマンの街としてのイメー
ジも変わりつつあり、駅をはさんだ両サイドの印象はだいぶ差が出てきた。また、年々減
少していた人口を増やすため、汐留地区では居住空間の拡大を図っている。
新橋周辺には、ニュー新橋ビル地下商店会、ニュー新橋ビル 1 階商店会、ニュー新橋ビ
ル 2 階商店会、ニュー新橋ビル 3 階三栄会、ニュー新橋ビル 4 階商店会、新橋西口通り共
栄会、烏森商店会、新橋三丁目柳通商店会、新橋二丁目烏森通り商店会、新橋赤レンガ通
り発展会、新橋仲通り商店会、烏森通り商店会という 12 の商店会がある。
新橋こいち祭は、 7 月 21 日(木 )、 22 日(金)の 12 時から 21 時まで行われ、 8
∼ 10 万人のサラリーマンや地元住民、観光客が訪れた。小学校が 7 月 20 日頃には休み
になるため、 8 月にどこかへ出かけてしまう前に、家族そろって遊んでもらえるよう、こ
5
の日に設定した。今年は、最終の木・金が月末と重なってしまうため、人がいなくなって
しまうことを不安に思い、一週前にずらした。新聞折込みや、インターネット、数千枚の
ポスター配布で広告宣伝した。
運営は、各町会長 13 名、スタッフ 30 名、アルバイト 30 名、ボランティア 50 人で
賄う。町会予算、競輪売り上げ、企業のスポンサー収入で、運営する。屋台村として開い
ている桜田公園には、町会で出店している焼きそばやカキ氷など 11 店の屋台と、協賛の
キリンビールの屋台 2 店、そして駅前にあるニュー新橋ビルを囲み、 SL 広場に広がるよ
うに、 30 店ほどの屋台や古本屋、縁日の店が連なる。
新橋は、下町として有名な町だった。こいち祭りの実行委員長は、新橋 3 丁目の新 3 町
会の会長である。 22 年間、町会で盆踊りを行っていた。しかし、参加者も減少し、役員
もバラバラになり始めてしまう。このまま無くすのは惜しい、今まで作り上げてきたもの
を何とか活かせないかと、各町会長に呼びかけた。ちょうど、新橋には駅前に旧桜田小学
校のグランドもあり、その場を活用しイベントを行うことで、街の活性化へとつなげた。
実施し続けていくと段々大きくなるもので、もとは盆踊りだけだったのが、ゆかたコン
テストも行うようになった。食べ物も必要ということで、各町会が出店するようになる。
各町会が好きなものを出すようにし、手作りで、内輪な感じを出した。お金も各町会負担
のため、全て自分たちで行うのは大変だが、その方がやりがいを感じられ楽しめた。地元
の奥様方は、みな踊り関係で活躍してもらう。踊りの会の方々を呼び、 100 人くらいの踊
り手が集まる。一般の参加者も増えた。初めは、 3 ∼ 4 万人ほどの来場者だったが、今は
8 ∼ 10 万人にのぼる。
6
5 年くらいたってから、キャラクターを作った。受付で配布されるウチワにも、そのキ
ャラクターは起用されている。また、ポスターも受付で配布されているが、そこには縁日
共通利用券が付いており、この券 1 枚で縁日のアトラクションを 1 回無料で利用できる仕
組みとなっている。
祭りといえど大きくなると、イベントとして組み立てなければならなくなる。ステージ
上で行われるものは設営できないため、イベント業者に依頼するようになる。有名人を呼
べば、お金がかかる。しかし、駅前ステージで行われているような、観光客向けのイベン
ト的な要素の強い企画(図 1-2,1-31-4 参照)は、客をひきつけられるように時代に合わせ
て少しずつ変えていくため、仕方がない。ただ、盆踊りをメインにする桜田公園のほう
(図 1-5 参照)は、内輪な雰囲気を保ち、変えていくことはしない。
今後も続けていくことが大切であるため、飽きられないように、少しずつ、一つずつ催
し物を増やしていき、喜んでもらえるお祭りにすることを目標としている。
図 1-2 (左上) SL 広場会場
図 1-3 (中) SL 広場特設ステージにて浴衣コンテスト
図 1-4 (右) SL 広場横の駅前ハイビジョン
図 1-5 (左下)盆踊り舞台
7
写 真 : 筆者 撮影
2.2
第 6 回エコフェスタ in 法政 第一弾 夏の小杉の風物詩 全長 80 m 台そうめん流し
エコフェスタ in法政第一弾のそうめん流しは、法政通り商店街振興組合が主催し、小杉
駅前通り商店街、むさしこすぎ商店街が協賛という形で協力している夏祭りである。場所
は、法政通りという、神奈川県川崎市中原区武蔵小杉にある商店街である。武蔵小杉は、
神奈川県川崎市中原区の中心に位置する街である。立川と川崎を結ぶ JR 南武線と、渋谷
と横浜を結ぶ東急東横線、東京メトロ日比谷線が交差しているため乗換えが可能であり、
東急目黒線もこの街の武蔵小杉駅から発車する。東急目黒線は、埼玉へ向かう東京メトロ
南北線、西高島平へ向かう都営地下鉄東西線へと繋がる。交通の便はよく、都心にもアク
セスしやすいのが特徴だ(図 2-1 参照 )。
図 2-1
周辺には事業所も
武蔵小杉周辺の地図
多いが、東急東横線
南口方面には商業施
設も集積しており、
その周りには住宅地
が広がる。中原区役
所、中原市民館、中
原図書館、中原警察
署などの公共施設も
充実している。
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出典:Yahoo!地図情報 縮尺 1/ 1/8000 Copyright○
8
現在、再開発事業も進んでおり、県内最高の 50 階を越える高層マンションが建つ予定
や、川崎市営地下鉄や JR 横須賀線の駅の開設計画があり、今後、この街の需要は高まる
と見込まれる。
武蔵小杉には、武蔵小杉駅前通り商店街
杉町 )、 法政通り商店街
振興組合(小杉町 )
、 武蔵小杉北一番街(小
振興組合(小杉町、市ノ坪、今井南町 )、 銀座通り会(小杉町、
市ノ坪 )、 区役所前通り会(小杉町 )、 市民館通り会(小杉町 )、 不動前通り会(市ノ坪、
新丸子東 )、 サライ通り会(今井南町、今井仲町、今井西町 )、 イマイ通り会(今井南町、
木月伊勢町)と、 9 つの商店街がある。その中で、一際目立つのは法政通り商店街である。
東急東横線南口より徒歩 3 分の場所に、全長 250m 、店舗数 85 店の商店街がある。 50
年ほどの歴史があり、商店街の中央を、二ヶ領用水が流れる。
平成 5 年に振興組合として法人化し、平成 7 年度にはカラー舗装・街路灯整備などモー
ル化を実現した。また、年間を通して小さなイベントをいくつか行うなど、地域密着型の
商店街として、街の賑わいのために活発な活動を行っている。
その商店街で、 2005 年は 9 月 22 日(金)の 16 時から 18 時の間に、エコフェスタ
in法政第一弾が行われた。イベント内容は、全長 80 mの流しそうめん(写真 2-1 参照)
である。同時に、なかよしスタンプ会抽選会を開催する。近隣の銀行員を含む、商店街の
スタッフ 20 名ほどで運営する。
開催主旨は、商店街というものを忘れないためであり、商店街の存在価値を高めること
である。しかしながら、この商店街は、お金をかけずに人がやっていないことをやりたい
という考えがある。一般的であるという考え方から、カラオケや福引抽選などは行わない
9
が、人がやらないことは人手がかかるという難点がある。しかし、人手はかけたくない。
そこで、流しそうめんにたどり着いた。そうめんは、低予算でなおかつ効果がある。法政
通り商店街は流しそうめんを過去 13 回開催したが、その効果は立証されている。現在は、
流しそうめんといったら法政通りというようなイメージを、人に持ってもらうことを目的
としている。
予算は、助成金(川崎市地域活性化事業援助費)を活用したり、役員が店を回り、一口
3 千円でそうめん券を買ってもらえるように頼んで調達したりする。年によっては、そう
めん券が一口千円のときもあるという。ただ、店主にとって祭りのお金は直接商売にかけ
るお金とは違うので、無駄な出費と認識されやすく、引き受けてくれない店もある。
川崎市の助成金は、一貫性のあるものしか予算がおりない。イベントというものは単発
で終わることが多いが、 50 万以上使わないとおりない仕組みとなっている。しかしなが
ら、 50 万円というのは法政通り商店街のイベントの規模的には、一回で使い切るのはも
ったいない額である。そこで、法政通り商店街はエコロジーというテーマを掲げ、テーマ
を共通させた 3 回のイベントに分ける方法で対応した。つまり、 3 回に分けられたイベン
トは、開催日は違うが「エコフェスタ」として一つのイベントという扱いを受ける。エコ
ロジーがテーマのため、参加料として牛乳パック 10 枚、または 100 円を徴収し、社会福
祉協議会の募集に充てる。ただ、浴衣を着ていると参加料が無料になるという仕組みを作
ったため、浴衣姿の来場者が夏祭りに風情を加える。
参加者の特徴として、小学生や幼児連れの母子が多い。基本的には、自転車で来られる
範囲の近隣の住民だが、近年は住民の口コミで徐々に範囲が広くなってきている。子供が
10
ターゲットという利点は、小学生を対象としても、年々歳を重ねるにつれ学年が上がり、
また次の子供たちがやってくるということである。毎年開催しても子供が入れ替わってい
くため、飽きられることがない。エコフェスタとしての回数は浅いが、流しそうめん自体
が 13 回続いている理由はそこにあると思われる。
流しそうめんの指導は、商店街の蕎麦屋が行う。茹で
る人は決まっているが、年一回だとやり方を忘れてしま
うため、蕎麦屋の指導があるということで、手伝う側も
安心して茹でられる(図 2-2 参照 )。 その点のサポート
は万全にしてある。そうめん台やすくう道具は自作であ
図 2-2
そうめん茹で作業
写真 : 筆者撮影
り、前夜の 19 時から 21 時に準備をする。商店街全体で盛り上げた
い気持ちがあるため、多くの人が協力している。手作り感たっぷりの、アットホームなイ
ベントである。
来場者数は 600 人程度と少なめだが、規模が小さいため、受付場所には長蛇の列ができ
るくらい会場は盛況である(図 2-3 参照 )。 80 mの流しそうめん台と商店街の広さを考
慮すると妥当な来場客数であり、全員が楽しめる余裕はある。参加者は増加の傾向にある。
運営側はその理由を、若い母親が家庭で昼ごはんを作らないことが多くなったためか、家
庭では流しそうめんができないからではないかと、推測している。
通りの真ん中で開催していたときは、店の邪魔になってしまったが、この 2 年間は商店
街の奥のほうで開催するなど、通行人や店主にも考慮する(図 2-4 参照 )。 また、少しず
つ流しそうめんを長くしているが 80 mが限界であり、今後はこの長さを維持する予定で
11
ある。
広告宣伝方法は、業者に頼んだ立て看板を街の 7 箇所に立てかけたり、ポスターを道路
や店頭に貼ったりしている。道路に貼るというのは、歩行者が通りそうな場所のアスファ
ルトの上に貼るという、珍しい方法だ(図 2-5 参照 )。 とても目に付きやすい。また、武
蔵小杉にある商店街の中で唯一 HP を開設しているため、そこでの情報掲示も積極的に行
っている。
問題点として、手助けは多いが、考える人が少ないということが挙げられた。そして、
年々若手不足の傾向が強まる。祭りは、非日常的なものという認識があるため、今後は
「あっと驚くような新しい事を行ないたい。子供を遊ばせるのが楽しく、子供好きな店主
多いので、子供向けのイベントで、何もない寒い時期にでも行いたい 。」 と語る。
図 2-3
受付前の行列
図 2-4
商店街の様子
図 2-5
道路のポスター
写真 : 筆者撮影
12
2.3
第6回エコフェスタ in 法政 第三弾 夜みこし&ストリートライブ
エコフェスタ in法政第三弾夜みこし&ストリートライブは、法政通り商店街振興組合で
主催し、神奈川県川崎市武蔵小杉の法政通り商店街で行う、この商店街最大のイベントで
ある。武蔵小杉、法政通り商店街については、 2.2 エコフェスタ in法政第一弾を参照して
いただきたい。
開催日時は 9 月 3 日(土)であり、毎年 9 月の第 1 土曜に開催している。 10 人の商店
街役員と、近隣の銀行員、店の方々 10 人ほどで運営している。商店街を忘れないため、
また、法政通り商店街という名前のイメージ付けのため、みこし祭り、手作りねぶた祭り
を行う。内容は、 15 時よりストリートライブを 4 組開催し、 18 時より夜みこしに入る。
大人みこしが 2 台、針金ハンガー・リサイクルねぶた(鯛、たまちゃん、ザリガニ )、 ペ
ットボトル・リサイクル竿燈が登場し、集まった来場者は担いで汗を流した。来場者数は
不明だが、流しそうめんより来場者は多いとのことで、 600 人以上と推測される。主に、
近隣の家族連れの方や商店街の人々が参加する。
予算は、お祝い金として、店から 5 千円、または 1 万円を徴
収し、これで飲食代や、子供用のお菓子をまかなう。足りない
分は、本部の会計、補助金から充てる。
広告宣伝は、法政通り商店街特有のポスターの道路貼り(図
図 3-1
3-1 参照)を始めとし、店頭ポスターや HP 、そして立て看板
で宣伝する。
13
道路のポスター
写 真 : 法 政 通 り 商 店 街 HP よ り
図 3-2 ( 左 )
夜みこし
図 3-3 ( 中 )
ザリガニねぶた
図 3-4 ( 左 )
新作
写 真 : 法 政 通 り 商 店 街 HP よ り
ペットボトル竿灯
みこしの一つは、本物のみこしである。以前、担ぎたいという希望から、趣味でみこし
を作っている人に 10 万円ほどで作製を依頼した。毎年一回は担いでいる(図 3-2 参照 )
。
また、もう一つ、この祭りの目玉には手作り作品がある。意外性を求めて、毎年様々な作
品が登場する。初年は、中に懐中電灯を入れたペットボトルで、照明入りの手作りみこし
を作った。翌年は、空き缶でのみこし制作に挑戦した。その翌年は、針金ハンガーでねぶ
たを制作した。ねぶた制作は 3 年続くこととなり、初めは鯛、その翌年は当時多摩川に出
没していたアザラシのたまちゃん、その翌年は二ヶ領用水を象徴するザリガニを制作した
(図 3-3 参照 )。 ねぶたはリアカーに乗せて山車にし、主に子供が引っ張る。ねぶたの仕
組みは、骨組みを木材で作り、その周りに針金ハンガーで体を作る。そして、体に障子紙
をボンドで貼り付けていく。最後にペンキでペイントして完成となる。一年に一度しか使
わないので、保管している間に障子紙がボロボロになるが、それは修復することが可能で
ある。翌年も修復して使用するため、年を重ねるごとに一つずつ作品が増え、祭りが賑や
かになる。今年は、秋田の竿燈祭りをイメージして、これをペットボトルで作った(図
3-4 )。 ペットボトルの中には電球を入れる。
14
後片付けは、祭りの翌日の午前中に行う。鯛ねぶたは、 4 年間の役目を終え、今年で解
体した。使い終わったその他のねぶたは、翌日から商店街に飾り、 18 時半から 21 時く
らいまでライトアップし、夜の商店街に賑わいを加える。
この祭りは 15 年続いているが、現在は店主の 2 代目となった子供たちが協力してくれ
ている。
2.4
第 20 回三茶フェスティバル 2005 Sancha de Sanba!!
三茶フェスティバルは、三茶しゃれなーど、三軒茶屋銀座商店街振興組合が主催し、世
田谷区が後援している夏祭りである。縁日や地元で活動しているアーティストの音楽ライ
図 4-1
ブ、サンバコンサートを
三軒茶屋周辺の地図
行っている。
会場となっている三
軒茶屋のふれあい広場、
茶沢通り歩行者天国は、
東京都世田谷区に位置
する場所である。三軒
茶屋は、平成 8 年にオ
ープンしたキャロット
タワーが目立つが、下
出典:Yahoo!地図情報
c AlpsMappingK.K.
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15
町らしさの残る街である。世田谷区の中では盛況な商業地区でもあり、通称‘三茶(さん
ちゃ )’ と呼ばれ、住みたい街としても人気がある。細い路地の飲み屋街、古い映画館、
バッティングセンター、釣堀など、レトロな雰囲気が漂うところも多く、再開発されたキ
ャロットタワーとは対照的である。キャロットタワーは、商業施設と公共施設、オフィス
フロアーからなる、にんじん色の高層ビルであり、市街地再開発事業で建設された。この
街は、東急田園都市線と東急世田谷線が乗り入れ、渋谷から近いところも魅力の一つであ
る。バス便も多く、かなりの路線が三軒茶屋経由で運行される。公営の 24 時間利用可能
な貸し自転車システムもあり、平坦な街並みならではの取り組みも行っている。茶沢通り
は、国道 246 号三軒茶屋交差点から下北沢に一本に続く道で、そこの商店街が三茶しゃれ
なーどである(図 4-1 参照 )。 その商店街の途中にふれあい広場がある。
開催日時は、 8 月 20 日土曜日、 21 日日曜日の 12 時から 19 時までで、このイベン
トの目玉であるサンバパレードは、 21 日の 14 時から三茶しゃれなーど歩行者天国で開
催されている。
運営は、商店街の役員 18 人と、アルバイト 25 、 6 人(土 )、 30 人(日)で賄われ、
商店街の人 20 人くらいで、屋台を出店している。サンバは、商店街の予算と世田谷区補
助金を充てる。三分の一は区の助成金、もう三分の一は都の助成金(元気を出せ商店街事
業 )、 残りの三分の一は商店街の予算である。
夏休みの最後の頃の土日、地元向けに楽しめる場所を提供したいという趣向からか、参
加者は地元の人が多い。また、数ヶ月前からの問い合わせをみると、外来者も多いかもし
れないが、内わけは不明である。三軒茶屋を知ってもらうためにサンバを開催していると
16
いう目的もあるので、主催側は住民以外の参加も望んでいる。
イベントのスケジュールは、 FM 三軒茶屋が組む。 FM 三
軒茶屋は、第 4 日曜に歩行者天国でミニイベントを開催して
いる。ふれあい広場のステージ(図 4-2 参照)や、世田谷テ
レビで放映するサンバの放送も担当する。商店街に出場希望
ステージ
がきたものも FM 三軒茶屋に伝え、イベントの中に組み込ん
図 4-2
ふれあい広場
写真:筆者撮影
でもらう。地元の演歌歌手、歩行者天国の演奏者など、三茶
になじみの人たちが参加する。
サンバチームは、浅草のサンバに出場する人たちと同じで、
毎年参加してくれる。当初 3 チームだったのが、今では 6 チ
ームになった。 20 年前、直線で歩行者天国の場所が少なか
図 4-3
サンバパレード
写 真 : 三 茶 し ゃ れ な ー ど 商 店 街 HP よ り
ったため、サンバには最適で評判がよかった。 3 年前からコ
ンテスト形式になり、どのチームがよかったか投票してもらうようになった。投票用紙は
HP でプリントアウトするか、商店街各店の店頭、前日の新聞折り込み、または当日配布
しているポスターの下の部分を切り取って記入するか、どれかの方法で投票する。ふれあ
い広場入り口と、サンバパレード最後尾に投票ボックスを配置し、一番いいと思ったチー
ムのボックスに投票用紙を入れる形式だ。その投票用紙には、氏名と住所またはメールア
ドレスを記入する欄があり、記入した人の中から抽選で 50 名に、 500 円分の世田谷共通
商品券が当たる仕組みになっており、観覧型ではなく、参加型のイベントとして実施して
いる(図 4-3,4-4 参照 )。
17
広告宣伝は HP 、世田谷区の 8 月中の広報(月 2 回・
何十万 )、 ポスター駅貼り、世田谷線沿線での告知、そ
して新聞折り込み 2 万部である。世田谷区 300 箇所の掲
示板でも情報を流す。来場者数は 2 、 3 万人と見込む。
図 4-4
サンバ表彰式
図 4-5
路 地 に 並ぶ 屋 台
そもそものイベントのきっかけは、キャロットタワー
を造るとき、一緒に街おこしをしましょうということで、
いくつかのイベントが開催されたが、その中の一つのイ
ベントとして、始まった。 4 つぐらいの商店街が、合同
で始めたイベントは、約 10 年続く。そしてそれは現在、 写 真 : 三 茶 し ゃ れ な ー ど 商 店 街 HP よ り
10 月末の土日に今は 6 つの商店街で行っている世田谷
アートタウン 2005 「三茶 de 大道芸」( 2.5 世田谷アートタウン 2005 「三茶 de 大道
芸」参照)に引き継がれている。そこから独立したのが、三茶フェスティバルなのである。
現段階のイベントの問題点は、イベントをするときは、地元で買い物をしてくれるかと
いうことである。開催中は、逆に普段より暇だったりする。後の買い物でも効果があるよ
うになることが、開催する側の商店街の人にも支持されることに繋がる。
今後の抱負として、子供向けの催しものの充実が挙げられた。小学生の交流があると、
商店が交流するという視点からの意見である。そして、三軒茶屋にある大人でも楽しめる
模擬店の充実も挙がった。商店街にお願いすると、模擬店は若干出店してくれる(図 4-5
参照 )。 しかし、物産展を開催できるのが一番よいと考えているようだ。ただ、夏は物が
少ないからできない。秋の大道芸のときは、岩手県千厩(せんまや)の物産展を開催して
18
いる。主催側は、そのような感じのものを、三茶フェスティバルでも行いたいと願ってい
る。また、企業参加を考えている。規模の維持が大変なため、資金組みを協賛でまかなう
ことを思案中で、商店街の街頭に吊ってあるフラッグに企業名を掲載するなど、今後の展
開を模索している。
イベントの印象は、外部宣伝も重要視している祭ではあるが、地元の夏祭りの色が濃く、
手作り感がたっぷりのお祭であった。
2.5
世田谷アートタウン 2005 「三茶 de 大道芸」
世田谷アートタウンは、主催が世田谷アートタウン実行委員会、(財)せたがや文化財
団であり、共催が東京都・ヘブンアーティスト運営実行委員会、後援は世田谷区、世田谷
区商店街連合会、世田谷区商店街
振興組合連合会の、大道芸のお祭りである。各国の一
流パフォーマーが結集して行う大道芸は、東京都世田谷区三軒茶屋にある、世田谷線三軒
茶屋駅周辺、NTT世田谷大駐車場をメインに駅前広場やマ
クドナルド前、栄通り、茶沢通り、世田谷通りの各商店街に
も飛び出して街全体に広がる。(三軒茶屋については、 2.4
第 20 回三茶フェスティバル 2005
Sancha de Sanba!!を参
照)このイベントは、 10 月 22 日(土 ) 、 23 日(日 )、
12 時から 18 時に開催された。
図 5-1
アートタウンは、三軒茶屋駅前のキャロットタワーを中心
19
キャロットタワー前
に、劇場と街とが一緒に開催している秋恒例の地域のお祭りであ
る(図 5-1 参照 )。 世界各国の大道芸人によるパフォーマンス、
アート楽市などで三軒茶屋をとびっきりの空間にするお祭りだ。
物販が難しいのが悩みだが、飲食は多く、大道芸を見ながら食べ
られる秋風のレストランでは、生ビール、焼鳥、焼きそば、フラ
図 5-2
せんまや物産展
図 5-3
しゃれなあど通り
図 5-4
ウォーキングアクト
ンクフルト、おでん、イカ焼き、おしるこなどが揃っている。
また、ふれあい広場にある、みちのく岩手せんまや町産地直送
農産物卸売りコーナー(図 5-2 参照)では、新米(ひとめぼれ )、
りんごのほか、当日早朝に到着した新鮮な秋野菜が安い価格で盛
り沢山並んでいる。売切れ次第終了する。そして、せんまやの特
製すいとんや地酒の試飲販売、日本一にがい地ビールなど、せん
まやをまるごと味わえるブースもある。さらに、警察防犯コーナ
ーでは、日常の防犯のノウハウを PR している。
三茶しゃれなあど商店街は、日曜日には歩行者天国となり、
写 真 : 三 茶 し ゃ れ な ー ど 商 店 街 HP よ り
大道芸の路上パフォーマンスを見ながらゆっくり買い物が楽
しめる(図 5-3 参照 )。 西友前では岩手せんまやの「黄金太鼓」の実演も行われている。
また、三茶 de 大道芸の目玉の一つにウォーキングアクトがある。街じゅうを舞台にパ
フォーマンスする“大道移動芸”だ(図 5-4 参照 )。 定点パフォーマンスは観客に限りが
あるが、会場を縦横無尽に移動するウォーキングアクトは、 16 万人の来場者により多く
見てもらうことが出来る。来場者と会場をつなげ、アートタウンの街をさらに盛り上げる
20
のに重要な役割を演じているのがウォーキングアクトである。
同イベントは 10 万人を越える来場者があり、その来場者は近隣の方から電車での来場
者まで様々だ。三軒茶屋を知ってもらうため、という街おこし的な目的で始まっているの
で、この来場者数は、三軒茶屋の街おこしとしてはとても大きな存在である。
イベント告知は三茶フェスティバル同様、 HP や世田谷区の 8 月中の広報(月 2 回、何
十万 )、 ポスター駅貼り、世田谷線沿線での告知、新聞折り込み 2 万部、そして世田谷区
300 箇所の掲示板で行われている。
予算は世田谷区が出資し、商店街ごとに出店している自前ブースはそれぞれ自腹で行う。
そして、大道芸をするアーティストは 30 から 40 人いるが、出演料はない。ただし、外
国人の飛行機代は負担する。現在は、野毛の大道芸を立ち上げた人が出演者を決めている。
昼から 30 分ずつ演技を行い、一会場 10 数チームが出演する。合計 6 会場ある。運営は、
ボランティアスタッフ限定で、付き人や通訳も実行委員の中から募集する。スタッフは、
大道芸大会の事前準備から当日の運営補助を行い、ものづくり、街の装飾、記録写真撮影、
音響操作など、得意なものを活かした活動を行う。三茶に根づいた、三茶の人が作る、三
茶のスタッフイベントにしたいという希望があるが、実際は地元スタッフが少ないのが悩
みである。
21
2.6
麻布十番納涼祭り
麻布十番納涼祭りは、開催時に 50 万から 60 万人もの人が
小さな商店街に集まる、毎年人気のお祭りである。東京都港区
麻布十番一帯にて、おはやし、国際バザール十番商店街周辺の
大使館 31 ヶ国の協力による名産物販売、国自慢バザー、骨董
図 6-1
麻布十番商店街入口
市、寄席、ステージ(子供向け、大道芸、三味線、ハワイアン、
写真:筆者撮影
お笑い )、 盆踊り、チャリティーなどが行われ、商店街には約
300 店もの屋台がひしめき合う(図 6-1 参照 )。
図 6-2
麻 布十番周 辺の地図
麻布十番は、古くか
ら営業している老舗の
店が軒を連ね、麻布十
番の名物がここから数
多く生み出されている。
商店街に連なる庶民的
な店から下町の雰囲気
が漂うが、しっかり舗
装された道や、近年見
え始めた今どきのショ
出 典 :Yahoo! 地 図 情 報
c AlpsMappingK.K.
縮 尺 1/ 1/8000 Copyright ○
22
ップと混ざりながら、オシャレな街としても注目を集める。都営大江戸線と東京メトロ南
北線が重なり合うこの街は、商店街を抜けると六本木ヒルズに繋がり、六本木駅も徒歩圏
内である(図 6-2 参照 )。 周りには大使館が多いためか、外国人も多い。商店街を離れる
と坂道も多く、閑静な住宅地へと続いていく。
麻布十番商店街振興組合主催、港区協賛、東京都、港区観光協会後援、商店街の建築会
社協力のもと開催されるこの祭りは、 8 月 19 日(金 )、 20 日(土 )、 21 日(日)の
3 日間、 15 時∼ 21 時の間に行われた。スタッフ 20 人、アルバイト 60 人、ガードマ
ン 100 人、ごみ処理者 30 人で運営する。予算は、組合員の寄付である 1,500 万円とその
他融資、そして企業の一企業 5 万から 10 万の寄付金を利用する。商店街には 280 店舗あ
り、 1 軒 5 千円∼ 1 万、多くて 3 万の寄付が集まる。 2000 年頃に、一度しか使えない助
成金を申請して使ってしまったため、現在は別の名前の補助金を探している。
来場者は、ほとんど観光客である。日本中から訪れる。お断りしているにも関わらず、
バスで乗りつけようとする人もいるという。このイベントは、大変な知名度がある。その
ため、人が集まりすぎてしまい、多すぎて身動き取れないほ
どであるが(図 6-3 参照 )、 元は 38 年前、地元住民向けに、
着物を着て大名行列をしていた。それが、だんだん規模が大
きくなって、着物を洗うのにお金がかかるため、今のような
納涼祭り的なイベントになった。昨年はお化け屋敷もあった。
現在のプログラムは以下の通りである。
図 6-3
商店街の人混み
写 真 : HP 麻 布 十 番 未 知 案 内 よ り
23
・昔懐かし夜店
国際バザール(図 6-4 参照 )。 今年はさらに拡張し、
新一ノ橋公園、船の広場両会場で開催している。十番
商店街周辺の大使館 30 カ国ほどの協力で世界各国の
図 6-4
名産や、美味、珍味が楽しめる。
国際バザール
写真:筆者撮影
・おらがくに自慢
全国より 14 市町村が自慢の名産品、隠れた一品、
地方ならではの味を披露・販売。
・納涼祭特別企画
東京演芸協会
麻布十番寄席
8 月 20 日(土)・ 21 日(日)
図 6-5
ス テ ー ジ 10BANG
写 真 : HP 麻 布 十 番 未 知 案 内 よ り
会場/麻布十番会館 2 階
開場/ 15:00
開演 15:30
入場料/ 1,500 円(特別料金)
・おはやし
19 日(金)
17:30 ∼ 18:30
子供ばやし
20 日(土 )、 21 日(日) 17:30 ∼ 18:30
子供ばやし
19:00 ∼ 20:00
先生方の南京玉すだれ、獅子舞、伊勢
音頭、奴さ、深川、藤八拳、盆踊り
・骨董市
・ステージ10BANG(図 6-5 参照)
15:00 ∼ 18:00 子供ステージとしての大道芸
24
18:00 三味線・ジャズ・ハワイアン、お笑いコントなどのチャリティーコンサート
・郵便局臨時出張所開設
広告宣伝は、ポスター地下鉄の駅貼り 200 枚と、店貼りを行っている。以前は車内にも
掲示していたが、現在はそこまではしない。これは必要がないからである。その他、新聞
や雑誌で取り上げられ、それが宣伝となったりする。
商店街の店主は、どちらかというとイベント開催に協力的なほうである。店前が汚くな
るから嫌だという店主も一部いるが、毎年行う行事の一つとして定着しており、今年も行
うものという意識が強いため、そこまで反対するような考え方は浸透していない。
同イベントは、車で来る人のために、六本木ヒルズ駐車場 2 時間無料のサービスを行っ
ている。帰りの際(精算前)に、六本木ヒルズ駐車場立ち寄り、「駐車券」と「お祭りの
思いでの品」をスタッフに提示すると、当日のみ有効の2時間無料券を配布する。お祭り
の思い出の品とは、「十番だより( 8 月号)」
、「うちわ 」、 「ちらし 」、 「夜店で買った
もの」などでよい。着用している浴衣も、思い出の品に含まれる。引き換えは 1 台 1 回の
利用につき 1 枚のみとされる。
同イベントは、大きくなってしまったがゆえの問題点がある。一つ目は、警察から夜店
の数を減らすように言われていることである。警察からは、 50 店くらいにしてほしいと
の要望がある。組合員ではないと出店できないようにしており、他の商店街の方の出店要
望は受け付けてはいないのだが、実際は 350 店以上ある。
二つ目は、ごみ問題である。ごみ処理に 200 万円以上かかってしまう。ビンの販売は禁
25
止しているが、ごみの業者やアルバイトが夜通し作業して、朝には何とか片付いている状
態である。祭りが終わった直後のごみの散乱状態は、想像を絶するものがある。以前は都
の清掃局が協力してくれていたが、区が管理するようになってからは、協力がなくなって
しまったため、負担が大きくなった。
三つ目は、騒音問題である。住民による苦情が来るが、未だ解決策はない。住民の祭り
開催の意見は賛否両論ある。今年の苦情は 2 、 3 件だった。
この問題点の根源は、やはり過剰な来場者であると思われる。そして、その盛況ぶりと
普段の客とはつながらず、一過性のイベントになっている。イメージ先行で、人が多く来
場し過ぎる傾向があるが、今後は規模を小さくして、ゆっくり楽しめるようにするのが希
望だという。交通規制や安全対策をしっかり行わないと、いずれは事故につながるかもし
れない。大々的な宣伝はしないのに人が集まってしまうほど、定着している夏祭りである。
2.7
麻布十番秋祭り
9 月 17 日(土 )、 18 日(日)に行われた麻布十番秋祭りは、麻布十番 9 町会が主催
し、麻布十番商店街振興組合が後援する秋祭りである。麻布十番商店街を、威勢の良いみ
こしが駆け回る(図 7-1,7-2,7-3 参照 )。 9 月の第 2 土日に行うことが多いが、毎年の日程
決定は、町会長会議で行う。
山車や交通整理を行う商店街スタッフが 20 人と、 1 町会 10 人ほど集まる町会役員
60 人が、運営を担当する。 3 ヶ月前から準備をする。警察、保健所、区役所、消防署な
26
どの許可取りから始める。屋台などの露店はなく、 20 万円ほどの予算で、参加型の伝統
行事として開催。町会の呼びかけで、地元住民や外国人が数多く参加する。
秋祭りには、各町内からおみこしや山車(図 7-4 参照)が出る。今は麻布十番、元麻布
の地名だが、おみこしは旧町名の町会ごとに保存されている。それぞれの 6 町会に子供み
こし、大人みこし、そして山車がある。 1 7 日(土)は各町会での山車の巡行、子供みこ
しが出る。担ぎ終わるとお菓子がもらえる。 18 日(日)は、大人みこしのパレードのみ
である。
また、近隣の神社の例祭もこの日であり、氷川神社では例年お神楽が行われる。十番稲
荷神社の例祭もこの日である。宮神輿は平成 12 年に新調されたが、 3 年に 1 度しか宮出
ししないため、今年は使用しない。
具体的なスケジュールは、 9 月 17 日(土 )、 子供みこしや山車のパレードが行われる。
図 7-1 (左上)
みこし
図 7-2 (中)
きみちゃん像(写真左の像)の付近で
図 7-3 (右)
パティオン付近で
図 7-4 (左下)
山車
写 真 : HP 麻 布 十 番 未 知 案 内 よ り
27
参加者全員にお土産つきである。 14:15 集合で、 14:30 に出発する。 9 月 18 日(日 )、
山車は、 14:15 集合、 14:30 に出発する。同時刻の 14:30 、パティオ十番に 6 町会のおみ
こしが集合する。みこしパレードの出発は 14:45 である。連合みこしパレードが始まる。
網代会、新二会、宮下会、山元会、坂下会、宮村会の順である。お祭りの最後に、青年
会・王美会が担ぐみこしは、 18 時パティオ出発である。十番を練り歩く。
現在の問題点は、子どもの数が減っているということだ。永坂町、一本松町、西町は担
ぎ手が少なく、今年はおみこしを出さなかった。
2.8
図 8-1
自由が丘ファミリーフェスタ
自由が丘ファミリー
自由が丘周辺の地図
フェスタは、自由が丘
商店街振興組合主催の
もと、自由が丘商店街
で行われているイベン
トであり、企業も 2 社
ほど協賛として参加し
ている。
東京都目黒区にある
自由が丘の街は、駅の
c AlpsMappingK.K.
出典:Yahoo!地図情報 縮尺 1/ 1/8000 Copyright○
28
周りに商業地、その周りに住宅地が広がっており、ショッピングにも住宅地としても人気
の街である。カフェ、レストラン、インテリアショップ、美容院、ケーキ店や和菓子店な
ど女性に人気の出るような店が多く、おしゃれな街として定着している。渋谷と横浜をつ
なぐ東急東横線急行と、東急大井町線の 2 線が交差するところだ。環状 8 号線や第 3 京浜、
東名高速のインターなども近いため、車を利用する人々にも便利な街である(図 8-1 参
照 )。 自由が丘商店街振興組合は、街づくりにとても積極的で、インフォメーションセン
ターの運営、街の清掃や花壇の手入れ、夜間の自警団組織、事業所の夜間ごみ収集システ
ムなど、独自の活動を行っている。
同イベントは、ゴールデンウィークに自由が丘全域のお菓子屋を中心として開催するお
祭である。運営しているのは、およそ 30 人である。予算を 70 万円ほど使用しており、
そのうちスポンサーで 20 ∼ 30 万円を賄う。
同イベントの目的は、自由が丘には年間を通しての来客はあるが、高級住宅地であるた
め、ゴールデンウィークに住民が海外等に行ってしまう。そのため、人が少なくなってし
まうその時期を狙って、人を集めようというところから始まっている。自由が丘で一番集
客力のあるものを前面に押し出し、街への来場を図る。自由が丘駅正面口側を中心に、ゲ
ストを招いてのイベントや青空市などで賑わいを見せる。
今年は「スイーツの自由が丘」をテーマに、レッツ(自由が丘青年部)のメンバーが自
由が丘中のスイーツ屋さんのマップ付パンフレットを配ることから端を発し、スイーツを
求めて街中を歩きながらショッピングをして、楽しいことも見つけてもらおうという企画
である(図 8-2 参照 )。 お菓子屋 10 店舗、ワゴンセール 40 店の参加である。また、駅
29
前中央会ではオープンステージでのミニコンサート、大人達を楽しませるのに充分な、洒
落たムードの演劇や映画などが催され、観光客が 75 万人ほど来場した。以下に詳しい内
容を記載する。
・フード&ドリンク・コート
5 月 3 日(火 ) ∼ 5 月 5 日(木)
14:00 ∼ 18:00
綿アメ、フランクフルト、ソフトドリンク、コーンスープを各 100 円で販売。ホット
ドッグ 200 円、生ビール 300 円、ボトルワイン 1000 円や、その他多国籍料理、カク
テルも販売している。
・ひかり街
春のワゴンセール
4 月 23 日(土 ) ∼ 4 月 26 日(火)
・駅中会
春の芸術祭
図 8-2
5 月 3 日(火)∼ 5 日(水)
午後 3 回
街を歩く来場者
写 真 : 自 由 が 丘 商 店 街 振 興 組 合 HP よ り
オープンライブミニコンサート&カフェ
場所/みずほ銀行駅前支店駐車場
・睦会
あおぞら市
5 月 1 日(日) 10:30 ∼ 16:30
・フリーマーケット
場所/熊野神社境内
図 8-3
ス イー ツフ ォレス ト
写 真 : ( 株 ) 都 市 設 計 ア ト リ エ ・ ア イ HP よ り
30
・駄菓子つめ放題
5 月 5 日(水)
場所/みずほ銀行(旧第1勧銀 ) 駐車場
・駅中会・銀座会・中央会
・南口商店街
それに面した通りで
合同ワゴンセール
花と緑と南仏マルシェ
5 月 3 日(火)∼ 5 日(水)
場所/南口駅前
メルサⅡ横で花と植木とプロヴァンス市
・スイーツフォレスト(図 8-3 参照)
スイーツ各店で、期間限定特別メニュー
・母の日に贈る旅行券プレゼント
5 月 3 日(火)から 5 日(水)各イベント会場
自由が丘各イベント会場で配布の券での応募者の中から抽選で 50 名様に日帰り旅行
券、ペア旅行券、特賞・韓国ソウルの旅が当たる。
協賛:東京飲食生活衛生同業組合
広告宣伝は、 B3 サイズの折り込みチラシを 2 つ折りで 10 万部印刷した。 4 月 28 日
(木)に 8 万 6 千 5 百部新聞に折り込み、 4 月 29 日(金)から 5 月 5 日(水)までの
13 時∼ 15 時に駅前で手配りした。その他に、 4 月 25 日(月)に携帯やパソコンの
WEB サイトに詳細を掲載した。また、神奈川県中心のポスター駅貼り、マスコミへのニ
ュースリリースを行った。 4 月 27 日(水)にメールマガジンも 4,000 件配信した。
31
課題として、 2003 年からスタートした新しいイベントのため、今の成功が長く続くよ
うに、アレンジをしていこうかと検討している。
2.9
マリクレール祭り
マリクレール祭りは、主催が自由が丘の 12 の商店会の一つである南口商店会、後援自
由が丘商店街振興組合、協賛は主に地元企業、協力自由が丘商店街振興組合、目黒区とい
うかたちで行われる。
この祭りは、新しい商店街である自由が丘駅南口で開催される。南口を作り、川を埋め
立て緑道に整備し始めた頃、講談社のマリクレールと商標登録し、マリクレール通りとい
う道ができた(図 9-1 参照 )。 せっかくなので、スペースに余裕もあるこの通りで何かし
ようかということになり始まったこのイベントは、石畳やおしゃれなイメージのフランス
の雰囲気を味わうことを目的とし、開催された。シャンソン、ワイン・チーズの飲食、ワ
ゴンショッピング、大道芸などで、通りはとても賑わう(図 9-2 参照 )。 ワゴン販売、飲
食販売など、 60 もの店舗が通りに連なり、 20 ∼ 30 万人の来場者が祭りを楽しんでい
く。この祭りは地域密着型で、自由が丘周辺の人々が集まるのが特徴である。
ここでは、チャリティオークションも開催されている。南口商店会では、 1981 年より
マリクレール・フェスティバル等で集めたチャリティー収益金を、 NHK 厚生文化事業団
を通して社会福祉事業に寄付を続けてきた。南口商店会 17 年度総会の会場に NHK 厚生
文化事業団から山下頼充副理事長が見えて、感謝の言葉と共に感謝状が高橋克美・自由が
32
丘南口商店会会長に手渡された。
開催日は 5 月最終金、土、日であり、 2005 年は 5 月 27 (金 )、 28 (土 )、 29 日
(日)に行われた。予算を 600 万円ほど投入し、 50 ∼ 80 人の商店主が運営にあたって
いる。
広告宣伝方法は、自由が丘ファミリーフェスタと同じである。 B3 サイズの折り込みチ
ラシを 2 つ折りで 10 万部作成し、主に新聞に折り込む。その他には HP に詳細を掲載し、
マスコミにニュースリリースもする。駅にポスターを貼るが、範囲としては自由が丘の駅
のみである。自由が丘を中心とする宣伝しか行わないためでる。
課題として挙げられるのは、ボランティアスタッフの高齢化である。もっと、若い世代
の協力を必要とする。だが、イベントの内容的には開催側も満足しており、雰囲気が自由
が丘らしいと来場者の評判もよい。今の感じを続けていきたいという。
図 9-1
マリクレール通り
図 9-2
街角の大道芸
写 真 : 自 由 が 丘 振 興 組 合 HP よ り
33
2.10
自由が丘盆踊り
自由が丘盆踊りは、自由が丘商店街振興組合主催の夏祭りである。 2005 年は 8 月 4 日
(木)∼ 7 日(日)に行われたが、 8 月第 1 木金土日曜日に開催されるのが慣わしとなっ
ている。自由が丘駅前ロータリーに大きな櫓を建て、その周りで踊れるスペースを作る。
浴衣を着た人々が、櫓を中心に円を作り舞う(図 10-1,10-2 参照 )。
夜店などは何もなく、主催者は地元の人々の交流の場としてこのイベントを提供する。
予算は 150 万と少額だが、 50 人ほどのスタッフと共に‘地元のお祭り’を作り上げた。
マリクレール祭り以上に地域密着のため、来場者の大部分は地元の方々となる。広告宣伝
も、手作りの白黒チラシ 5 万部を近隣にまく程度である。会場には、小さな子供連れのフ
ァミリーも多い。参加者は 1 日 500 人ほどで、 4 日間を通して延べ 2,000 人にのぼるが、
この数は年々増加している。
盆踊りは、審査員 2 名を前にコンテストも行っており、 8 月 6 日(土) 7 日(日)各日、
最優秀賞(賞品:浴衣1反) 1 人が選出される。また、各賞(賞品:区内共通商品券
3,000 円分)が4人分ほど用意されている。また、特徴としてこの街の盆踊りには事前練
習日があり、7月 14 日(木 )、 21 日(木 )、 28 日(木)には、自由が丘会館で夕刻
に、 「 やる気で音頭 」 、 「 大東京音頭 」 を練習していた。当日の、踊りへの参加に対する
抵抗が少なくなるよう、主催者側からの計らいである。
盆踊りのほかにも、 8 月 6 日(土)午後 6 時∼ 7 時にはチャリティビンゴ大会などの催
し物もあり、盛り上がった。
34
自由が丘商店街振興組合は、落ち着いた街、高級感、大人の街という自由が丘のイメー
ジに合ったイベントになっているため、このまま続けていきたいという。自由が丘が主催
する中でも、一番地域密着型であるこのイベントは、地域振興に大きな役割をもたらす。
しかし、駅前ロータリーに大きな櫓が組まれると、駅のホームからも見え、地元の方でな
くても祭りの印象は強く残るイベントである(図10-3参照 )。
図 10-1 (左上)
盆踊りの様子
図 10-2 (右)
巨大な櫓
図 10-3 (左下)
自由が丘駅のホーム前
写 真 : 自 由 が 丘 商 店 街 振 興 組 合 HP よ り
2.11
第 33 回自由が丘女神まつり
自由が丘女神祭りは、ある有名な方が自身の作品の像を、自由が丘の駅前ロータリー寄
贈したことがきっかけで始まった。像の名前は「あおぞら 」、 通称女神という。そこから、
女神祭りと名づけられた。
同イベントは、駅前にステージを設置し、音楽ライブやショーを開催したり(図 11-1 参
照 )、 ワゴンセール、カフェ、占い、子ども向け遊具場、パレード(図 11-2 参照)があっ
35
たりし、様々な要素を組み合わせた自由が丘最大のイベントである。自由が丘商店街振興
組合が主催し、目黒区、目黒区商店街連合会、東京商工会議所目黒支部が後援、東京自由
が丘ライオンズクラブが協賛となる。会場は、駅前ロータリーを中心に自由が丘全域に渡
る(図 11-3 参照 )。 開催日は、 10 月 9 日(日 ) 、 10 日(月 ・ 祝 ) で、体育の日のハッ
ピーマンデーとその前日の日曜を使用する。来場者は、地元の人も観光客も共に集まり、
ファミリーを中心に 50 万人ほど来場する。
実行委員 15 人とその他 500 人ものスタッフが運営を賄うが、同イベントは自由が丘の
12 の会がそれぞれ開催しているものをまとめ、ひとつのテーマパークのようにするのが
狙いである。そのため、それぞれの会にはこのイベント自体の実行委員とは別の実行委員
と運営スタッフをもうけている。交通規制も自ら行い、ガードマンをかける。
予算は 1,700 万円を投入し、そのうち商店街 500 万(うち 300 万は補助金)で、残りは
スポンサー収入に頼る。そのため、その年のスポンサー料によって、アーティスト等のス
テージ内容が変わる。商店街から出るお金は、月々の会費を組合費に当てたお金のため、
イベントのためには集金していない。
イベント内では、エコ企画を組み込んだ。エコカップを販売し、利用者には飲み物 1 杯
につき 1 枚のシールを配布する。 3 枚集めると豪華商品のあたる抽選会に参加できる仕組
みとなっている。このような盛大なイベントであっても、ごみに関する問題はない。
広告宣伝方法は、新聞折り込みチラシ 10 万部と HP 掲載、マスコミリリース、ポスタ
ー東急全線に中吊り、駅貼りを行う。
現状の問題点として、維持が大変であるということが挙げられる。ほとんど手作りだが、
36
スタッフは仕事をもっている人ばかりであるのが現状だ。両立は困難であるそうだ。そし
て、ボランティアの高齢化が進んでいる。しかしながら、それに反して規模が大きくなっ
てきているので、運営が難しい。ステージの台本等技術的なことはイベント会社に任せる
が、計画・予算に関しては商店街が自らの手で作り上げるため、規模の拡大に伴わないス
タッフ負担の分担のあり方は、今後の課題である。
自由が丘のイベントは街のブランドづくりが目的なので、地元住民より観光客をターゲ
ットとした構成になっている。儲けは考えていない。あくまでも自由が丘というブランド
を確立させることが目的である。自由が丘に行けば、絶えず何か楽しいことがやっている、
治安も安心というイメージづくりを強化している。自由が丘商店街振興組合は、自分たち
は街のイメージづくりをがんばるから、売り上げは自分たちでがんばってと、個人営業は
店任せにするのが特徴だ。
自由が丘の乗降者数は伸びている。東急線で比べても、他の駅は微減だが、自由が丘駅
は微増だという。マスコミに取り上げられる頻度も増えているため、街の露出度も高まり、
知名度が向上しているものと思われる。
図 11-1 (左上)
図 11-2 (右)
図 11-3 (左下)
ステージイベント
パレードの様子
駅前ロータリー
写 真 [ 図 11-3 ] : 自 由 が 丘 デ パ ー ト HP よ り
写 真 [ 図 11-1,2 ] : 自 由 が 丘 振 興 組 合 HP よ り
37
2.12
第 27 回目黒区民祭り 目黒の SUN まつり
目黒の SUN まつりは、東京都目黒区の区民祭りの一部である。主催は第 29 回目黒区
民まつり実行委員会、後援は目黒区、目黒区教育委員会のもと、目黒駅近くにある、田道
広場公園、目黒区民センター、田道ふれあい橋、下目黒小学校で行われる。
目黒というと、 JR 山手線などの目黒駅周辺が一般的だが、目黒駅エリアは目黒区と品
川区にまたがる区域である。 JR 山手線が通っており、また、共に相互乗り換えをしてい
る東急目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線の始発駅でもある。渋谷にも近く、恵比寿
や白金には徒歩で行ける距離にある。目黒駅前には駅ビルがあり、オシャレな商業施設が
テナントとして入っている。また、周辺には居酒屋などの飲食店も多く、飲み屋には事欠
図12-1
かない。目黒は歴史ある坂
目黒周辺の地図
が多い。桜の季節の目黒川
は両岸がきれいに染まる。
国立科学博物館付属自然教
育園や水生植物園やなど、
自然が残っている区域があ
るが、その中にある東京都
庭園美術館で緑溢れる庭園
も堪能できる(図12-1参
照 )。
出 典 :Yahoo! 地 図 情 報
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縮 尺 1/ 1/8000 Copyright ○
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目黒といえば、古典落語「目黒のさんま」が有名である。あらすじは次のようである。
時は江戸時代、将軍様が鷹狩りに目黒へやってきた。その時立ち寄った茶屋でさんまを食
べることになった。焼いただけの素朴な料理、でも脂ののった旬のさんまは、普段手の込
んだ料理しか食べていない将軍様にとって大変おいしく感じられた。お城に帰った将軍様、
目黒で食べたさんまの味が忘れられず、家来にさんまを出すよう命ずる。ところが、お城
の料理方、庶民が食するさんまなど将軍様に出したことがない。でも気を利かし、
さんまを油抜き・骨抜きにして蒸し、食べやすいようにしてお出しした。それを食べた将
軍様、何だかちっともおいしく感じられない。そこで一言、「さんまは目黒に限る」と言
ったという。そんな落語が存在するこの街では、その噺にちなんでさんまを無料配布する、
SUN まつりというイベントが行われている(図12-2参照 )。 もともと、区民祭りとさん
ま祭りの 2 つは別々のイベントであった。区民祭りは昭和 52 年に始まった、パレード中
心の祭りであった。時代に合わないとして、平成 17 年にイベント的なものに変化した。
さんま祭りは、平成 7 年「目黒のさんま」という落語に引っ掛けて、宮城県気仙沼市の気
仙沼を目黒で PR させてくれないかと、話を持ちかけられた。気仙沼の親交と PR をかね
て開催し始めたのがきっかけだ。初めは場所の提供だけであったが、続けていく中で気仙
沼は金銭的に困難な状態になり、目黒区に協力を呼びかけた。そこで、平成 12 年に区民
祭りと合体した。平成 13 年には、災害時の相互協力の提携
を行うようにもなった。
2005 年は、次の日がハッピーマンデーとなる 9 月第 3 日
曜で、 9 月 18 日(日) 10:00 から 16:00 (開会式 9:30 か
39
図 12-2
さんまの炭火焼
ら)に行われた。宮城県の気仙沼産さんまの炭火焼(無料配布 )、 ふるさと物産展、おま
つり広場(世界の民族舞踊、落語ほか、飲食コーナー、物販店 )、 子ども広場(ミニSL、
ミニ縁日 )、 スタンプラリー、阿波踊り、小学生絵画展、目黒のさんま祭 10 周年記念パ
レードを、住民、PTA連合会長、商店街の人など実行委員が 29 人その他各部門 10 人ほ
どのスタッフで運営する(図 12-3,12-4,12-5 参照 )。 予算は
1,000 万円程度である。 4 月の区報で募集した 56 団体が出店
し、会場を盛り上げた。
開催の目的は、自治体が主体となり、地域を活性化させると
いうこと、区民の日( 10 月 1 日)に区民として、いろいろ
図 12-3
ふるさと物産展
図 12-4
おまつり広場
な方々とイベントをし、区民としての意識を高めようというこ
との 2 つが挙げられる。ポスター 5 千部を掲示板、 4 万部を区
の施設の窓口に設置、その他に小中学校の生徒に配布、町会の
回覧をし、来場を呼びかける。しかし、45,000人ほどの来場
者が半分以上は区外の人である。それは、雑誌( Tokyo
walker 、ぴあ )、 新聞、地下鉄のパンフに載せる記事の取材
依頼が来るためだ。こちらの方が、宣伝効果があるという。当
日は、駐車場を設けないため、午前中は会場までの無料シャト
ルバスを運行させる。 5 つのルートを設定し、自由が丘、洗足、
駒場や駒沢通りなど、目黒区内を満遍なく走る。 8 時半から
図 12-5 子 ど も 広 場
写 真 [ 図 12-2,4 ] : 目 黒 の さ ん ま 祭 気 仙 沼 実 行 委 員 会 公 式 サ イ ト よ り
写 真 [ 図 12-3,5] : 目 黒 区 公 式 HP よ り
40
12 時まで 30 分に 1 本の目安で運行している。事前申込があれば、車椅子の方用にリフ
トつきの車を運行する。
現在の問題点は、三つある。一つ目は、実行委員会の入れ替わりはあることはあるが、
後継者がいなくなってきている問題がある。二つ目に、イベントが大きくなっているので、
安全の確保が挙がる。地震等の危機管理体制はしているが、来場者全員を守れるかという
不安はある。三つ目は、ごみ処理の問題がある。‘ゴミゼロに挑戦’と称し、生ごみを堆
肥化、リ・リパックというリサイクル容器の使用、ごみ分別をするエコステーションを設
置や、マイバッグ、マイお箸持参の呼びかけを行ったりしている。ごみは 2,600kg から
1,400kg にはなったが、より多くの減少を望む。
今後の抱負としては、今の形が定着しつつあるので、このまま続けていきたいと願う。
ただ、このイベントが認知されつつあり、来場者が増えてきているので、本来の区民祭り
の意図とはかけ離れた大きなイベントと化してしまった。しかし、それをマイナスに捉え
るわけではなく、安全であれば問題ないと考えているようで、地元の人以外の多くの人に
も楽しんでもらえる場を提供するイベントとなっている。
2.13
第 34 回神楽坂まつり
神楽坂まつり、は東京都新宿区神楽坂で行われている夏祭りである。
神楽坂は、飯田橋駅、神楽坂駅、牛込神楽坂駅など密集している場所で、東京メトロ東
西線、都営大江戸線、 JR 中央線、東京メトロ南北線・東京メトロ有楽町線と多くの線が
41
使えるので、新宿、東京、六本木、大手町へ行くときなど、交通の便が大変良い街である。
車を利用するときも、首都高速度道路 5 号線、池袋線の飯田橋インターも近く、便利な
場所だ(図 13-1参照 )。 住宅地としての需要も高い。多くの商店街が集まり、石畳の坂道
も含め、地形的に 20 以上の坂がある街である。神楽坂通りを飯田橋から早稲田方面へ歩
くときは、長い上りとなる。そのメイン通りの両脇や、路地に入った小道には、粋な料亭
も軒を連ねる。江戸時代に武家屋敷として栄えたこのあたりは、大正時代には花街として
繁栄していった。置屋、料亭、髪結い屋や履物屋などが並び、今でも当時の名残が残る街
並みである。最近では、新しいタイプの珍しい飲食店やクラブも登場し、こうした粋な雰
囲気も変わりつつある。
図 13-1
神楽坂の街づくりは、
神楽坂周辺の地図
「伝統と現代がふれあう
粋なまち神楽坂」という
提言のもとで行われてい
るが、歩行者天国に変わ
る休日の神楽坂通りは散
策目的の観光客も目立ち、
この街の古き良き雰囲気
を求めに来る人はまだま
だ多い。
出 典 :Yahoo! 地 図 情 報
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42
神楽坂通りの真ん中にあ
る善国寺の毘沙門天は、この街のシンボル的存在で、毎月 5 日、 15 日、 25 日には縁日
の夜店が出る。神楽坂の商店街は、街づくりに熱心で、
9 月から 10 月にかけては街中の各所で野点やコンサー
ト、落語会、物産展などが開かれる。
この神楽坂まつりは、神楽坂通り商店会主催、神楽坂
商店街振興組合、本多横丁商店会、神楽坂仲通り商店会
図 13-2
ほおずき市
共催、東京神楽坂組合、神楽坂料理飲食業組合協賛、新宿
区後援のもと、神楽坂通り 1 丁目∼ 6 丁目で行われた。た
だし、 1 ∼ 5 丁目は神楽坂通り商店会が担当し、 6 丁目は、
神楽坂商店街振興組合が担当した。神楽坂通り商店会の役
図 13-3
通りの様子
図 13-4
阿波踊り
員数は現時点で 17 名であり、その中から神楽坂まつり実
行委員会メンバーを 5 名選出し、まつりの運営にあたって
いる。
この祭りは、 2 部制である。第 1 部はほおずき市(図
13-2,13-3 参照)で、 2005 年は 7 月 20 (水 )、 21 日
(木)に行い、第 2 部は阿波踊り大会(図13-4参照)で、
7 月 22 日(金 )、 23 日(土)に行われた。来場者数は、
延べ 5 ∼ 6 万人にのぼる。
第 1 部のほおずき市は、昨年までは露店商が出店してい
図 13-5
ポスター
写 真 [ 図 13-2,3] : 神 楽 坂 エ リ ア の 商 店 街 の 公 式 HP よ り
43
写 真 [13-4,5] : 筆 者 撮 影
たが、 2005 年から近隣のボランティア団体・商店の自主参加方式に変更した。変更した
理由は、露店商が暴力団の資金源になっているとの警察の指摘があったため、「安心・安
全なまちづくり」の観点から、今までの運営方法は好ましくないと判断したためだ。
第 2 部の阿波踊り大会は、今回で 34 回目を向かえる。単なる商店会のイベントという
よりは、神楽坂地域全体のイベントへと発展していった。教育行政の学区割りからいうと、
神楽坂周辺は牛込 A 地区で、同地区には区立の小学校が 6 校ある。近年の神楽坂阿波踊り
大会では、津久戸小学校・江戸川小学校・市谷小学校・愛日小学校の 4 校に加えて、鶴巻
小学校が参加する様になった。各校ともほぼ全校生徒及び教員・保護者の方々も参加する。
また地元の「かぐら連」も、毎年 4 月より練習会を重ね、大会当日に臨んでいる。この練
習会は公募制になっているがかなり人気が高く、 5 月頃には定員をオーバーし募集終了と
なる。更に、公共団体である新宿区役所、静岡県浜松市役所や、聾唖者の団体、その他セ
ミプロでもある各地の阿波踊りの任意団体も参加している。
神楽坂では、都心にあって、どこか落ち着きのある街の風情、路地に入ると石畳が敷か
れ、黒練塀に囲まれた料亭があり、どこからか三味線の音が聞こえてくる、この様な街の
イメージを、「伝統と現代が触れ合う粋なまち
神楽坂」と表現している。「粋なまち
神楽坂」の夏の風物詩として、前半は「静」のイメージで風鈴の値になぞらえて「ほおず
き市」を、後半は「動」のイメージで阿波踊りの賑やかなお囃子・踊りをイベント内容と
して構成した。よって、神楽坂まつりは神楽坂の街のイメージを向上させていくというの
が、神楽坂まつり開催の目的である。商店会会員の売上向上に、ダイレクトに寄与する事
を目的としたイベントではない。
44
予算は 1,000 万円ほどである。商店会の行事として、定時総会で予算額を計上しそれを
承認してもらい、執行する。 2004 年度は、補助金が交付された。補助事業名「ふれあい
元気あふれる商店街支援事業」(東京都の制度)を利用した。補助金交付金額は上限いっ
ぱいの 200 万円だった。
広告宣伝方法は、神楽坂通り商店会が年 2 回発行し、一般消費者等を対象としたパンフ
レット形式のニュース版である神楽坂ニュースを毎年 6 月下旬に発行し、神楽坂まつりの
詳細を紹介する。そして、神楽坂通り商店会公式 HP にて、神楽坂まつりの全容を紹介す
る。他にも、 NTT のハローダイアルで神楽坂まつりに関する問合せに対応したり、該当
放送で、毎年 7 月初旬より商店会が設置した街路灯に内蔵されているスピーカーを通じて、
イベント内容の紹介をしたりする。その他、ポスター各種(図13-5参照 )、 横断膜、各種
看板がある。
主催者は、街のイメージづくりはイベントを1回開催したから即その効果が現れるとい
うものではないと考えている。長い歳月を掛けて、多くの人々の心の中に醸し出されてい
く神楽坂へのプラスイメージを創造していく事が、大切であろうと考える。 2005 年で
34 回だったので、 34 年間続けてきたことになる。毎年、多額の予算を執行して 30 年
以上に亘り続けてきたのだから、神楽坂まつりが神楽坂のイメージアップに寄与している
のだという思いがコンセンサスとして存在すると考える。
来街者の増加傾向は、近年顕著になっているようだ。しかし、この傾向の原因が神楽坂
まつりのみに帰する事は出来ない。色々な要因が絡み合っての結果ではないかと、主催者
側は推測している。商店会という組織として成し得る事は、歩道等の整備といった「ハー
45
ド面」と、神楽坂まつりのようなイベント開催という「ソフト面」があるだろうが、商店
会として為し得る限界もある。街のイメージアップを図って行くためには、商店会を構成
する各店舗が各自で営業努力を重ねて行く事も重要である。商店会と各店舗がそれぞれ努
力を重ねる事により、そのシナジー効果として商店街、更には街が良くなって行くもので
はないか、と商店会は考えている。
現段階での課題は三つある。一つ目は、ほおずき市出店者の充実である。前述したよう
に、ほおずき市は実質的に露店商による運営であったものを、商店会による自主運営とい
う形態に変えた。より活気のある、また魅力のあるほおずき市としていくためには、出店
する店舗の充実を図って行く必要があると考える。二つ目は、阿波踊り出場連の充実であ
る。今よりも多くの阿波踊りの連が出場し、切れ目の無い各連の行進が続くこと、また各
連の踊り・お囃子の技術向上を図っていくことが必要である。三つ目は、主催組織の在り
方の問題である。祭りの開催規模が大きくなればなるほど、神楽坂まつりの主催組織の在
り方が検討課題となっていく。意思疎通が良く図れると伴に、効率的な運営が図れる組織
としては、どの様な形態のものが望ましいのか、主催組織の在り方を再考していく必要が
あると考える。
2.14
上野さくらまつり
上野さくらまつりは、東京都台東区上野、上野公園、不忍池付近で行われているもので
ある(図14-1参照 )。
46
図 14-1
上野は、 JR 京浜東
上野周辺の地図
北、根岸線、 JR 山手
線、 JR 常磐線、東京
メトロ銀座線、東京メ
トロ日比谷線が通って
おり、特に東北新幹線
をはじめ東北線、高崎
線、宇都宮線などが乗
り入れ北の玄関として
名な街である。
出 典 :Yahoo! 地 図 情 報
c AlpsMappingK.K.
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上野といえば、ア
メヤ横丁が有名である。普段から威勢のよい掛け声が飛び交うが、年末ともなると正月用
品や食料品の買出し客で、よりいっそうの賑わいを見せる。アメ横と呼ばれ、人情味溢れ
る下町の通りは人気のスポットだ。
また、上野恩賜公園も上野の魅力の一つである。その中には 、 東京ディズニーランドが
できる以前は、パンダブームを支え、子供たちの人気スポットだった上野動物園、そして
蓮が青々と生い茂る不忍池、そして美術好きな人々の話題を集める国立西洋美術館や東京
国立博物館が点在する。文化に触れたり、自然の中を散策したり、ゆったりとした楽しみ
も満喫できる街である。
上野さくらまつりは、上野の自然を存分に活かしたものである。上野観光連盟主催、東
47
京都東部公園緑地事務所協力のもと、上野恩賜公園で行われる。
同イベントは、さくらまつりと称されるが、実際は花見の場所を提供しているものであ
る。よって、開催期間は開花から散るまでだが、 2005 年は 3 月 19 日 ( 土 ) ∼ 2005 年
4 月 10 日 ( 日 ) であった。運営は、こちらも観光連盟の 10 人のスタッフが行う。骨董
屋も含めた屋台が 100 店ほど立ち並び、お茶会なども開催される(図14-2参照 )。 池の周
りに簾立てて店を構えている屋台は許可があるが、リヤカーなどの簡易設備のところは、
不法である。しかし、取り締まりは難しいのが現実だ。
予算は 1,000 万ほどあるが、ほとんどが電気代として使用される。それは、夜桜用の堤
燈が設営されるためである。花見の期間、園内には 22 時位まで照明が設けられ、夜桜を
楽しむことが出来る。ぼんぼり 1 つに一企業の名前が入る。 1 つ 6,000 円だ。夜桜目的だ
けでなく、置き引きなどの防犯のためにも照明は設けられている。
広告宣伝費の予算はない。パンフレット 16 万部は公園入り口
に設置する案内所、博物館、手配りで配布されるが、財団法人東
京観光財団の地域振興助成金事業助成金で作成している。その他
は、マスコミ (TV 、新聞 ) がニュースとして大々的に取り上げて
図 14-2
花見会場
図 14-3
満開の桜並木
くれるもののみだ。だが、開花宣言のときは園内 TV 局だらけで
ある。各局こぞって、中継を行っている。
マスコミの影響もあってか、 26 万人× 10 日間で、 260 万人
もの人が来園する。これも、割合的には東京 23 区が 40 %、台
写 真 : HP レ ッ ツ エ ン ジ ョ イ 東 京 よ り
48
東区が 10 %、埼玉・千葉・神奈川・栃木が 50 %を占める。ピーク時は過剰な混雑ぶり
で、危険なほど集まる。仕事帰りのサラリーマンやグループ、カップルが多い。そして最
近、アジア系外国人も 5 ∼ 6 %ほどみられるようになった。
開催の目的は、上野公園は歴史 ・ 文化では取り上げられるが、自然的なものはあまり知
られていない。 50 種類の桜を目当てに、桜には他の見方もあるということを打ち出し、
上野への来街を誘う。咲く時期がずれるため、 1 ヶ月は咲き続けることが、強みである。
上野の桜の歴史は寛永元年( 1642 年)以降の寛永寺の建立に始まる。現在の上野公園、
竹の台辺りを中心に堂塔、堂宇が立ち並び、その周辺に多くの大名、僧侶がさくらを寄進
し、植えたのが起源とされている。一方、忍ヶ岡(西郷像周辺)の桜峯塾周辺にも、同じ
頃にさくらが植えられたという。それらが 30 年もたつと立派な木となり、以降、花見の
客で大変賑わい、上野の花見の歴史は現在へと引き継がれている。
見所は、上野広小路方面より上野動物園に向う緩やかなグリーンパーク沿いの両側の桜
が、満開の時期には桜のトンネルのようになるところだ(図 14-3参照 )。 数年前は、並木
道いっぱいに宴会のシートが敷かれ、来場者が通路を通れない状態であったが、近年規制
により通路が広げられ、散策もしやすくなってきている。
上野公園の花見は、広小路口から竹の台にかけて桜並木があり、その両側にロープで花
見スペースを作る。 10mおきに分別ごみ箱を設営し、 8 種類の分別(ビン、カン、生ゴミ、
ペットボトル、ビニールプラスチック、発砲スチロール、ダンボール、新聞)を行う。ご
みは東京都が処理する。仮設トイレも設置される。
現在の悩みは、酔っ払いが多すぎることである。しかし、井の頭公園などに比べると、
49
上野は静かなほうだという。それは、若者が少ないということもあるからだそうだ。
今後は、木の手入れを充実させていくことを望んでいる。基金を作って、手入れをしな
がら良い木を植えていきたい。そして、東京都の担当者が 3 年くらいで変わることで、継
続できないことが多い現状で、行政に任せっきりにせず、地元がはっきり意見を伝えてい
けるような体制を整えていきたいという。
写真 14-3
西洋美術館付近
写真 14-4
上野公園の桜模様のマン
ホール
写 真 : HP レ ッ ツ エ ン ジ ョ イ 東 京 よ り
2.15
第 54 回江戸趣味納涼大会 うえの夏まつり
うえの夏まつりは、東京都台東区上野、上野公園、不忍池で行われている夏まつりであ
る。東京都、台東区、上野観光連盟主催で、 7 月 17 日(日)∼ 8 月 7 日(日 )、 併設さ
れた蓮見茶屋(図15-1参照)は 7 月 16 日(土)∼ 9 月 30 日(金)まで開催された。蓮
見茶屋、ライブ、演歌、寄席、踊り、灯篭流し、大道芸、
縁日、骨董市、植木市、氷の彫刻、ゆかた撮影会、ジャズ
コンサートが企画され、上野観光連盟のスタッフ 10 人ほ
どで企画運営を賄い(図 15-2,15-3,15-4 参照 )、 警察、
図 15-1
蓮見茶屋
写 真 : 上 野 商 店 街 連 合 会 公 式 HP よ り
50
警備会社、 100 人の地元警備協力のもと、行われた。 300 ∼ 500 人の方々も、現場スタッ
フとして活躍した。予算は 3,000 万円である。内訳は、台東区の補助金が三分の一、観光
連盟 ( 協賛、町会、商店 ) からのお金が三分の一、残りの三分の一は協賛で補う。
来場者数は、期間が長いということもあるが、 100 万人に上る。そのうちの東京 23 区
が 40 %、台東区が 10 %、埼玉・千葉・神奈川・栃木が 50 %となる。上野は男性が多
いため、 4 : 6 の割合で男性が多いのが目立つ。子ども連れが少ないのは、住民にも少な
いからだろうかと、上野観光連盟は推測している。
うえの夏まつりは、昔不忍池を巨人の球場にする計画があがったことがきっかけで始ま
った。しかし、観光連盟の反対に合い、取りやめになった。そのとき、池に記念碑として
水上音楽堂を造った。夏の間、内容の充実した池として活用するため、 2 ∼ 3 週間の夏ま
つり(縁日)を続けたのが発端である。それが、今日のような大きなイベントとなった。
イベント自体は、昭和 23 、 4 年ころに始まった。当時、戦争が終わったばかりで、娯
楽がない時期であった。上野は成長期にあり、不忍池縁日一つとっても、みんなにとって
の楽しみであった。ただ、後に東京ディズニーランドができたり、その他にもテーマパー
クができたりと娯楽が増えたため、上野の賑わいが激減した。
イベントの目的は、上野というところを、古い東京(江戸情緒)が残っている場所とし
て打ち出していきましょうということだ。他の街ではやらないため、浅草や上野で江戸情
緒を残していかなくてはいけないという、使命感もあるという。繁華街ではあるけれど、
上野は古い街である。
大きいスポンサーは少ないが、イベントは住民の協力により続いている。 JR や私鉄駅
51
にポスターを 500 枚貼る。また、チラシは上野の店、行政の窓口、駅に 12 万枚設置した。
ポスター、チラシを置いてくれる駅は 20 年の流れにより常連と化しているため、協力的
だ。その他に、雑誌の取材や HP での宣伝でも、来場者獲得に努める。
観光連盟は、商店街、町会と合同で運営している。商店街の中には町会と重なっている
ところもあるが、商店街は商売中心、町会は住民の意見を取りまとめているところと、行
政から見ても、両者を補えられるところが利点である。
例年、この祭りの目玉にパレードがあった。戦前戦後を通じて上野駅が東北方面への玄
関駅であった事から、昔からの東北まつり踊りが中心となり、通りを賑やかにする。特に、
盛岡のさんさ踊りが有名である。周辺の企業や小中学校が参加する。しかし 2005 年、来
年の上野中央通でのパレードは、上野地下駐車場工事のため中止となった。工事が終わっ
ても、パレードを再開するかどうかは未定である。その代わり、 2005 年はパレードの予
算を初の蓮見茶屋に充てた。
現在の問題点は、三つある。一つ目は、金銭面の問題、予算不足の問題。二つ目は、子
供が少ないという問題。三つ目は、東京ディズニーランドのようなところへ行く若い人た
ちに、どう対応するかという問題である。
これをふまえた今後の展開として、一つ目はスポンサーをつけたいという思いがある。
二つ目は、歴史が深いという、上野の強みを活かしていきたいということである。三つ目
は、江戸情緒を強調しながらも上野ということにこだわりすぎず、ある程度、若い人が自
発的に参加できるようなイベントにしたいという思いがある。
住民は、特に小学生や幼稚園児が少なく、お年寄りが多い。年配者向けにしたほうが成
52
功する。しかしながら、新たな上野の魅力を伝えていかなければ、問題点は解消できない。
そのため、できるだけ古い上野を継承していきつつ、新たな若者向けの魅力を付け出して
いくことが求められる。
写 真 : う え の な つ ま つ り HP よ り
図 15-2 (右)
骨董市
図 15-3 (中)
灯篭流し
図 15-4 (右)
みずどりのステージ(水上音楽堂)
53
3. イベント事業の分析
3.1
目的の分析
これら 15 のイベントは、主催者の様々な想いから作り上げられた企画だが、その中で
もいくつかの共通する想い、つまりイベントを行う目的が見受けられる。なぜ、地域住民
がイベントを主催するのかを調査すべく、いくつかの目的を分析してみた。
目的は、大きく 4 つに分類できると考えられる。
■地域住民がイベントを主催する目的
①街のブランドづくり、イメージづくり、街の知名度の向上。
②地元住民や街の利用者へ、楽しむ場の提供。
③街の活性化。
④街への集客。
①街のブランドづくり、イメージづくり、街の知名度の向上
まずは一つ目、街のブランドづくり、イメージづくリ、また街の知名度の向上という、
街の外へ影響を及ぼすことを目的としているイベントについて述べる。これらは、街の特
色を活かすようにイベントを組み立てたり、または、地域住民の望む‘街のイメージ’を
組み込んでつくり上げたりすることで、イベントを通して、外部の人間にその街のイメー
54
ジを浸透させることを目的としている。例えばイベントを開催することにより、○○街は
□□のイベントを行っている、という印象をうえつける。そしてそのイベントを利用して、
来場者やイベント広告宣伝を見た人に、○○街といったら□□と発想させるようなイメー
ジづくりを行う。結果的に、イベントをきっかけとして街の知名度もあがり、具体的な街
のイメージが思い浮かぶようになる。 15 の事例の中で一番多かったのが、この目的であ
る。
武蔵小杉で行われたエコフェスタ第一弾、第三弾でも、法政通りという商店街の名前を、
人々にイメージ付けるために行われている。常に、何かしらのイベントを発信し、商店街
の名前を住民の記憶に残す。特に第一弾では、「流しそうめんといったら法政通り」とい
うイメージ作りを追及し、定着することを望んでいる。
また、三軒茶屋では三茶フェスティバル、世田谷アートタウン共に、‘三茶’を知って
もらうためという目的があった。もともと、この二つは三軒茶屋の街おこしイベントのひ
とつとして始まったものである。主催者も、三茶になじみのある人々が出演・参加したり、
スタッフも三茶の人が担ったりすることを強くこだわっており、「三茶に根付いた、三茶
の人がつくる、三茶スタッフのイベントにしたい」という想いがある。三茶という街をこ
れらのイベントで表現し広めることで、街の知名度を高めていると考えられる。
自由が丘は、街のブランドづくりに特化している。まずは、自由が丘ファミリーフェス
タだが、これは自由が丘で一番集客のあるものを前面に推しだして開催しているイベント
である。今年は、お菓子屋が数多く連ねる自由が丘の特色を活かし、「スイーツの自由が
丘」をテーマにした。このイベントを通して、人々の頭の中でさらに自由が丘とスイーツ
55
の結びつきを強くし、スイーツを目的に街へ来る人の増加を図る。マリクレール祭りも、
お洒落な街自由が丘として、駅の南口の石畳を活かしたフランスらしい雰囲気をつくり出
し、チーズやワインでもてなした。来場者には、自由が丘らしいと評判である。盆踊りも、
落ち着いた街、高級感、大人の街自由が丘としてのイメージに沿うように、仕上げている。
自由が丘女神まつりは、自由が丘のシンボルである女神像をイベントタイトルとし、この
街で行われていることを強調する。
自由が丘のイベント開催目的は、全て共通している。当日の売り上げなどではない。
「自由が丘に行けば、絶えず楽しいことが行われている 」、 「治安も安心」というイメー
ジを広めることが、目的なのである。
神楽坂では、「伝統と現代が触れ合う粋なまち
神楽坂」というイメージを、イベント
の中で表現している。粋な街というイメージに合うような、ほおずき市と阿波踊りを構成
する。直接的な売り上げは求めず、あくまでも神楽坂のイメージ向上に努める。
そして、上野は、古い東京が残っている街、江戸情緒が溢れる街としての誇りをかけた
イメージ戦略が行われている。地元住民の協力のもと、江戸情緒を残していくことをなか
ば使命感に感じながら、タイトルどおり、江戸趣味納涼まつりとしてのイベント設計を行
っている。
②地元住民や街の利用者へ、楽しむ場の提供
二つ目に、地元住民や街の利用者へ、楽しむ場の提供を目的としているイベントについ
て述べる。これらのイベントでは、街の中に非日常的な空間を創り出し、地元住民や日常
56
的に街を利用している人が普段の街では出会えない、楽しい場面を提供することを目的と
している。また、普段は街を利用していない人でも、イベントを開催している場所として
認識し、楽しそう、面白そうという感情を抱き来場していると思われる。
代表的な事例は、新橋のこいち祭である。この祭りは、新橋を利用するサラリーマンを
対象にし、彼らにとっての勤務地に、小一時間一休みするための憩いの場をつくった。ま
た、地元の小学生を対象にした縁日を設けたり、開催日を子供たちの夏休みを考慮した日
にちにしたりし、家族揃って遊べるように配慮している。これが、楽しむ場の提供を目的
としたイベントである。そして、同イベントでは町会ごとに責任を持たせて屋台を出店す
る。主催者は、地域住民側もイベントをつくり上げることを楽しむ場として捉えられるよ
うに、考慮している。
同イベントには、ステージや屋台を中心としたサラリーマンが対象の部分と、町会の屋
台や盆踊りを中心とした地域住民が対象の部分がある。二つの対象者がそれぞれ楽しめる
ように、イベントの構成も二つに分かれている。
三軒茶屋にも、楽しむ場の提供という目的はある。一つには、街の外に住んでいる人々
に街の認知度を高めるという目的がある。しかし、三茶フェスティバルでは、地元住民向
けに、夏休みの最後の土日を楽しめる場所を提供するという二つ目の目的もあり、楽しむ
場の提供としての役割も担う。
麻布十番では、秋祭りがこの目的をもつイベントに該当する。参加型のイベントとして、
地域住民が共に楽しむことを目的としている。
ブランド戦略の色が強い自由が丘だが、根本的には楽しめる街自由が丘というイメージ
57
づくりを主としている。そのため、楽しむ場の提供という目的にも通ずる部分がある。マ
リクレール祭りは、範囲を広く設定した地元の住民に、フランスの雰囲気を漂わせるマリ
クレール通りで、その雰囲気を味わいながら楽しんでもらうことを目的としている。盆踊
りに関しては、マリクレール祭りよりももう少し範囲を狭めた地元住民が対象の、地域密
着型の祭りである。イベントを楽しみながら、住民同士の親交を深めることを一番の目的
としている。
③街の活性化
三つ目に、街の活性化を目的としているイベントについて述べる。
新橋のこいち祭は、これを目的としている。このイベントの原形である盆踊りは、街の
人離れに歯止めをかけようとしたことがきっかけで始まった。各町会に声をかけ、使われ
なくなった小学校のグランドを活用してイベントを実現させることで、街の活性化を図っ
た。そのため、規模が大きくなった現在も、地域住民が主催者側として参加することに重
きを置いている。
また、三軒茶屋の三茶フェスティバル・世田谷アートタウンも、街おこしという観点か
ら、街を活性させたいという思いを含んでいる。地元のスタッフや出場者を取り入れるこ
とにこだわりを持ち、地域全体で盛り上げたいという気持ちが強い。
自由が丘のマリクレール祭りは、新しくできた南口商店街を活性させようとしたことが、
根本的な目的となっている。そこから、具体化されたものとして、イメージづくりや、楽
しむ場の提供という目的に発展している。
58
目黒の SUN まつりは、「目黒のさんま」をもじり、その特色を活かすイベントを開催
することで、自治体中心の地域活性化を図る。
④街への集客
四つ目の目的は、街への集客である。
代表的な事例は、自由が丘のファミリーフェスタである。同イベントは、高級住宅地と
しての自由が丘では閑散期となってしなうゴールデンウィークに、人を集めようというの
が本来の目的である。そして、その集客を利用した街のイメージづくりも兼ねる。同イベ
ントは、開催当日の集客と、そのとき植え付けられたイメージが影響する、その後の街の
集客、両方を兼ね備える。
また、上野のさくらまつりも、桜という上野の魅力を打ち出し、この街への集客を目的
としている。特に、このイベントは自然の特性を活かしていることが特徴で、様々な種類
の桜を植えているため、一ヶ月間ほどは桜が楽しめるようになっている。この長期間に亘
る桜の開花を利用して、長い間来場者が絶えないことを望んでいる。
この目的は、どのイベントにも共通するものであることに、変わりはない。集客しなけ
れば、それぞれの目的は果たせないからである。例えば、一つ目で述べた街のブランドづ
くり、イメージづくり、街の知名度の向上という目的のみのイベントがあったとする。
‘○○イベントを開催していた街’として、来場者に街の知名度を高めるためだけに開催
することも考えられる。しかしこれは、当日来場していない人にも効果はあり、いずれ街
を利用してもらうときに、この知名度向上効果は活きてくると思われる。このように、イ
59
ベントで高めた街の知名度は、イベントへの来場の有無に関わらず、開催後の街への集客
につなげることが望ましいと考えられる。
イベントで集客をし、来場時に街の印象を付ける。そして、次の機会への集客を図る。
逆に、次の機会への集客を図る目的で街の印象を人々に付けるためには、そのイベント自
体への集客も怠ってはいけないのである。
また、二つ目に述べた楽しむ場としての提供という目的も、集客がキーワードとなる。
来て楽しい、楽しそうだから行く、といった来場者の思いは、人がそのイベントに集まる
からこそ生まれる思いである。イベントで集客しなければ、楽しんでもらうことはできな
い。
そして、三つ目に述べた街の活性化という目的も、イベントによって活性化された街へ、
今よりも多くの集客につなげるために、この目的でイベントを開催していると思われる。
四つの目的は、お互いに組み合わさり、この集客という大きな目的に繋げていると考えら
れる。
ただ、麻布十番納涼祭りは例外である。この祭りは、すでにイベントとして確立されて
おり、宣伝をしなくても望む以上の集客が得られる。そのため、特に目立った目的もなく、
毎年の恒例行事という目的のみで開催できているのは、麻布十番納涼祭りだからこそ、と
いうのがある。反響が大きいイベントだからこそ、惰性でも続けられているのである。た
だ、このイベントは普段の集客には影響していない。しかしながら、主催者側もイベント
は一過性のものという認識が高く、街のイメージづくりやその後の影響については固執し
ていないのが特徴である。
60
また、麻布十番秋祭りのように、みこしなどの日本の伝統行事的な要素が入ると、伝統
を継承するために開催するという、集客とは離れた目的も現れる。
表 2 にて、目的別に行った事例の分類を記す。
表2
イベントの目的と事例
目的
事例
街のブランドづくり
イメージづくり
街の知名度の向上
エコフェスタ第一弾 流しそうめん、エコフェスタ第二弾 夜みこ
し、三茶フェスティバル、世田谷アートタウン、自由が丘ファミ
リーフェスタ、マリクレール祭り、自由が丘盆踊り、自由が丘女神
まつり、神楽坂まつり、うえの夏まつり
地域住民や街の利用者
へ、楽しむ場の提供
新橋こいち祭、三茶フェスティバル、麻布十番秋祭り、マリクレー
ル祭り、自由が丘盆踊り
街の活性化
新橋こいち祭、三茶フェスティバル、世田谷アートタウン、マリク
レール祭り、目黒のSUNまつり
街への集客
自由が丘ファミリーフェスタ、上野さくらまつり
3.2
内容の分析
イベントというくくりの中でも、それぞれが様々な趣向を凝らして、内容を企画し、開
催している。 15 の事例のイベント内容に共通する、いくつかの特徴をもとに、三つのイ
ベントタイプに分類した。それは、『テーマパーク型イベント 』、 『テーマ型イベント 』、
『地域コミュニティー型イベント』の三つである。
61
①テーマパーク型イベント
まずは、『テーマパーク型イベント』について述べる。これは、いくつのもブースを組
み合わせたイベントであり、特に目玉企画はないイベントである。様々な企画が、同じよ
うな位置づけで構成されている。新橋こいち祭、麻布十番納涼祭り、自由が丘女神祭り、
うえの夏まつりがこれにあたる。
これらのイベントの中で共通しているのは、いくつかある企画の中の一つとして、ステ
ージを利用した、観客に‘見せる’イベントを組み込んでいるということである。このス
テージ企画は三茶フェスティバルでも実行しており、ステージ上では様々なショーやコン
サートを行っている。
この『テーマパーク型イベント』の利点は、一度にたくさんの人を楽しませることがで
きるということである。また、ステージに限らず、イベント全体の設営に手をかけるほど、
豪華で規模の大きなイベントというイメージがつけられること、手作り感が売りのイベン
トでは味わえないような、非日常的な楽しみが味わえるということである。
しかし反対に、お金がかかるという難点もあり、ある程度の予想来場者数・規模・予算
がなければ、行うことはできない。実際に、このステージ企画を含む『テーマパーク型イ
ベント』はどれも大規模なものが多い。業者に依頼するステージ設営費用、そして出演者
への出演料に多額の予算をつぎ込まなければならず、少額の限られた予算内で実行してい
る団体が行うことはまずない。
ステージ企画は、有名人を呼んで、その人気で集客へ繋げようとしてしまうと、予算に
上限がなくなる。各主催者は、その年の予算と街の来場者層の嗜好に合わせた出演者を決
62
定し、スケジュールを組み立てている。地元で活躍するアーティストを活用したり、地元
の発表会の場にしたり、ダンスや大道芸などの万人受けする項目を組み入れて構成したり
と、各自様々な趣向を凝らす。ただ、うえの夏まつりのように、既に街に存在しているス
テージを活用できる場合は、他のイベントより費用負担が軽減するかもしれない。
そして、『テーマパーク型イベント』の特徴として、街全体、広い区域を活用すること
が挙げられる。通りを一つ利用して行ったり、グランドを一つ占領したりして行うもので
はなく、点在したり、街全域を利用したりする。街の中に、それぞれ企画ごとのエリアを
設定し、様々な場所で楽しんでもらううちに広範囲を回遊できる仕組みとなるケースも多
い。事例イベントでは、自由が丘女神まつりがこれに代表される。意識的に活用している
のか、場所の確保の問題にそうなってしまったかは定かではないが、来場者の街の回遊を
促すイベントは、結果的に街全体の活性化に繋がると思われる。また、うえの夏まつりも、
上野の街の半分を占める公園を有効的に利用しており、不忍池という上野の名所を、広範
囲に渡り楽しんでもらえる配置になっている。
また、このようなイベントは多数の来場者を見込むため、様々な客層を想定する。その
ためか、子供向けの対応が充実していることも特徴の一つとなっている。新橋こいち祭で
は、従来街の神社で行われる一般的な夏まつりのように、縁日や伝統遊びなど子供が楽し
めるような遊びを、多数揃えている。また、会場で配布されているチラシに添付された縁
日共通利用券で、 1 回分は無料になるところも、子供への配慮が見られる。麻布十番納涼
祭りでは、ステージを 15 時から 18 時は子供ステージとして設定し、大道芸を開催する。
そして、 18 時からは三味線やジャズなど大人向けに変更するなど、時間の配慮を行って
63
いる。自由が丘女神まつりでは、キッズ・フィールドというエリアを設置しており、 7m
の高さから一気に滑り落ちるジャンボスライダーが子供たちに人気である。また、ステー
ジイベントでも、子供向けのアンパンマンショーを組み込んでいる。
②テーマ型イベント
次に、『テーマ型イベント』について述べる。これは、『テーマパーク型イベント』と
は対照的で、一つの企画を前面に押しだし、それを目当てに来る来場者の獲得に努めるイ
ベントであり、企画一点主張型とも言える。事例では、武蔵小杉のエコフェスタの流しそ
うめん、三茶フェスティバルのサンバ、世田谷アートタウンの大道芸、自由が丘マリクレ
ール祭りのフランス、自由が丘ファミリーフェスタのスイーツ、目黒の SUN まつりのさ
んま、神楽坂まつりの粋な街(ほおずき、阿波踊り)がこれにあたる。
『テーマ型イベント』の利点は、街とイベント内容のイメージ付けがしやすいという点
である。武蔵小杉エコフェスタ第一弾では、「流しそうめんといったら法政通り」という
イメージが定着することを願うように、これらのイベントを行う主催者側の目的はそこに
あることが多い。具体化したイメージ戦略イベントとしては、自由が丘のマリクレール祭
りとファミリーフェスタも同じである。これらは、イベントと街をリンクさせるときに、
より具体的なイメージづくりを目指し、テーマを決定している。神楽坂まつりもこれに近
いものがあり、粋な街としてのイメージをつくリあげるために、ほおずきと阿波踊りを選
んだ。逆に目黒は、もとから街のイメージとしてリンクされているさんまを、イベントの
テーマに利用している。
64
そこで、違いが出てくるのが三軒茶屋の二つのイベントである。これらは、このイベン
トを通して三軒茶屋を知ってもらうという、イベントの内容ではなく、イベントが開催さ
れる事実とその街の存在をリンクさせたイメージの定着を図る。知名度を高めるために目
立つテーマを選ぶ三軒茶屋のイベントは、街のイメージを伝えるテーマを選ぶイベントと、
若干の違いがある。しかし、イベントと街をリンクさせる点では同じであるので、この分
類に入れるとする。
これら『テーマ型イベント』の特徴は、対象者を地元と観光客の両方をターゲットにす
ることである。一見、観光客向けのイベントのように見えるが、地元住民に自分たちの街
のイメージを再確認させる要素をもつことや、すでに街のイメージを持つ住民が、そのイ
メージがふんだんに盛り込まれている企画で楽しむことを求める傾向にあることが、この
イベントの特徴である。
③地域コミュニティー型イベント
最後に、『地域コミュニティー型イベント』について述べる。これらは、イメージ戦略
などは一切考えない、昔からある地域密着型の祭りや慣わしを、新たにイベントとして形
作ったものである。これらの開催目的は、地域住民の親交を深めたり、その土地の自然を
楽しんだりと、その地域に根付いたものを中心としたイベントになっている。事例では、
武蔵小杉のエコフェスタ第三弾、麻布十番秋祭り、自由が丘盆踊りが、このタイプにあた
る。武蔵小杉のエコフェスタ第三弾の夜みこしなどは、手作りのねぶたも活用するなど、
伝統行事という固さのあるイベントに、路線を外さない親しみやすさをくわえたイベント
65
に仕上がっており、好評を得ている。これらの分類は、表 3 でまとめた。
表3
イベント内容の分類と目的との関連性
分類
テーマパー
ク型イベン
ト
内容
目立った目玉企画はな
く、様々な企画が多数
存在するイベント。街
に多様な企画ブース、
エリアが点在する。
特徴
・ステージイベ
ントがある
・大規模
・街全体を活用
する
・子供向けの対
応が充実してい
る
・お金がかかる
利点
・一度に多くの来
場者を楽しませる
ことができる
・設営に手をかけ
ると、豪華で規模
の大きなイベント
になる
・来場者が街を回
遊しやすい
目的との関連性
・大規模なため、
街のブランドづく
りや知名度の向上
に役立つ
・多数来場者を見
込めるため、多く
の人に楽しむ場を
提供できる
事例
・新橋こいち祭
・麻布納涼祭り
・自由が丘女神祭
り
・うえの夏まつり
テーマ型イ
ベント
一つの企画を前面に押
しだし、それを目当て
に来る来場者の獲得を
狙うイベント。企画一
点主張型。
・地元住民と観
光客の両方を
ターゲットとす
る
・地元住民
→自分たちの街
のイメージを再
確認。自分たち
の街のイメージ
が盛り込まれた
イベントで楽し
む。
・観光客
→街のイメージ
付け
・街=テーマのイ
メージ付けがしや
すい
・テーマで、街の
イメージを作る
・目立つテーマを
選ぶと、街の知名
度を上げることが
できる
・イベントのテー
マを一つに絞った
分、街のブランド
づくり、イメージ
づくりが行いやす
く、知名度の向上
にも繋がる
・地元住民と密着
している要素もあ
り、楽しむ場の提
供としての目的も
果たしている
地域コミュ
ニティー型
イベント
昔からある地域密着型
の祭りや慣わしを、新
たにイベントとして形
づくったもの。
・イメージ戦略
などは考えてい
ない
・伝統の継承
・地域内の親交を ・地元住民の親交
深めることができ を深めたり、その
土地の自然を楽し
る
んだりすることが
目的のため、楽し
む場の提供の役割
を果たす
・エコフェスタ第
一弾 流しそうめ
ん
・三茶フェスティ
バル
・世田谷アートタ
ウン
・マリクレール祭
り
・自由が丘ファミ
リーフェスタ
・目黒のSUNまつ
り
・神楽坂まつり
・上野さくらまつ
り
・エコフェスタ第
三弾 夜みこし
・麻布十番秋祭り
・自由が丘盆踊り
しかし、事例の中で挙げたこれらのイベント以外にも、こういった伝統的要素が組み込
まれるイベントがある。それは『テーマパーク型イベント』だ。それをイベントの目玉と
まではしないが、縁日や盆踊りとして一つの企画にし、取り入れていることが多い。それ
は、イベントの対象者に地域住民が含まれているためだと推測される。これらの伝統的要
素には、地域のコミュニティーが欠かせないものとなっており、観光客のみで成り立つイ
66
ベントに存在することはないと考えられる。
『テーマパーク型イベント』は、様々な人にテーマパークのような多様な要素で楽しん
でもらうことから成り立つイベントのため、対象者はすべての人となる。そのため、新橋
こいち祭りのように、観光客に対応した街アピールとしてのイベント要素と、地元新橋と
いう同じコミュニティー内の人が楽しめるというイベント要素が、同じ空間に共存すると
いう事態が発生する。これは、二つの目的を持つがゆえの結果である。
ただ、上野さくらまつりには、若干異なる点がある。従来のお花見イベントは、日本人
の習慣である花を愛でるということを目的とした楽しみを、イベントとして仕立てあげた
ものである。しかし、上野さくらまつりは、その楽しむべき対象となる桜を、上野の目玉
として売り出すことで、街への集客を行っている。一般的に、地元住民に向けたお花見で
あれば、地域コミュニティー内のイベントとしてこの部類に入るが、このイベントに関し
ては観光客向けの要素が強いため、例外的に『テーマ型イベント』に分類されると考えた。
3.3
イベント問題点の分析
イベントを運営することは難しく、結果的にさまざまな問題点を生ずる。その中で、い
くつか同じような問題に対面しているイベントがあるので分析した。すると、大きく四つ
に分けられた。一つ目は、運営者問題。二つ目は規模の維持の問題。三つ目は、ごみ問題。
四つ目は、イベントが開催日とその後に影響を与える集客効果の問題である。
67
①運営者問題
一つ目の運営者問題について述べる。武蔵小杉エコフェスタ第三弾では、若手不足、自
由が丘女神祭りとマリクレール祭りでは、ボランティアの高齢化、目黒 SUN まつりでは、
後継者問題が挙がった。これらに共通することは、運営に対する若者の参加が消極的だと
いうことである。イベントへの興味の有無ということに関しては不明だが、結果的には参
加していない。つまりそれは、商店街や町会を運営している人々の年齢層が高いため、必
然的に若者のイベント運営への参加率が低くなるのではないかと考えられる。
②規模の維持の問題
二つ目の問題は、規模の維持についてである。これは、三軒茶屋の三茶フェスティバル、
麻布十番納涼祭り、自由が丘女神まつり、目黒 SUN まつり、うえの夏まつりで対面して
いる問題である。これらのイベントは、 15 の事例の中では比較的規模が大きく、予算
1,000 万円以上の大型イベントであるということが共通している。
規模が大きくなるにつれて、来場者数と共に、広さ、内容量など、全ての要素の単位が
大きくなるが、それらの制限は予算にかかっている。つまり、規模の維持が大変というの
は、大きくなっていく(大きくした)イベントと予算の不釣合い、イベント規模が予算を
超えていく(超えている)予算不足のことをさす場合が多い。予算の捻出も頭を抱える問
題である。補助金制度を利用するにしても、額には上限があるため、主催者側の出費は拒
めない。大規模イベントは、反響も大きい変わりに、負担するものも大きいということで
ある。現在、これらの問題点には、より多くの企業の協賛やスポンサー導入で対応しよう
68
としている。
しかし、目黒のケースは若干観点が異なる。大きくなったイベントに予算を対応させる
ことが大変であるという他のイベントとは異なり、大規模イベントと化してしまったが故
の、安全維持の不安を感じている。つまり、予想外に大きくなってしまったイベントに、
安全対策が付いていけているかという不安である。しかし、上記の例は、あくまでもこの
規模の巨大化には、マイナスのイメージを持っていないというところに注目したい。
それに比べて、麻布十番納涼祭りは特殊である。こちらも、イベントの規模が一人歩き
してしまったケースで、人が多すぎて身動きが取れないという事態が毎年発生する。主催
者は、希望以上の来場者数に頭を悩ませているのが現状である。規模の拡大には難色を示
し、大規模化したイベントの維持よりも、もっと規模を小さくして、ゆっくりと楽しめる
ようなイベントに戻したいと願っている。
③ごみ問題
三つ目の問題として、ごみ問題が挙げられる。これは、麻布十番納涼祭りが一番頭を抱
えている問題である。ごみ処理だけで 200 万円も費やさなくてはならないこのイベントは、
業者やアルバイトの手を借り、夜通しごみ処理に追われる。しかし、同じく目黒 SUN ま
つりもごみ問題を抱えるが、ごみの減量に成功したうえで、もっと減らしたいということ
で現在の問題点に掲げているだけであり、麻布十番納涼祭りとは現状が異なる。
現在ごみに対する意識は高く、‘エコ’を活用しているイベントは多い。自由が丘女神
まつりでは、エコ企画を組み込み、「もったいない」をエコテーマにする。エコカップを
69
販売し、利用者には飲み物一杯につき一枚のシールを配布する。三枚集めると豪華賞品の
当たる抽選会に参加できるという仕掛けを作る。また、主催している自由が丘商店街振興
組合は日常的にごみ問題に取り組んでおり、真っ赤なつなぎに、野球チームのようにスポ
ーティーなロゴマークをつけた「ダスターズ」という名の清掃スタッフを雇っている。イ
メージだけの「お洒落できれいな街」ではなく、本当にクリーンで環境的にも整った街に
するため、力を尽くす。イベント内では清掃作業のほか、携帯灰皿の配布なども行ってい
る。このイベントでは、現在ごみの問題は発生していない。
同じく目黒の SUN まつりでも、「ごみゼロに挑戦!」と呼びかけ、環境保護への協力
を訴える。焼きさんまを乗せるトレーを、リパックというリサイクル可能な容器に変え、
食べ終わったら「エコステーション」での分別処理を求める。その他にも、「マイバッ
グ」や「マイお箸」を持参するよう求め、ごみの減量化に取り組む。その結果、 2,600kg
から 1,400kg と、 1,200kg の減量に成功した。しかし、これで満足はしていないようで、
更なるごみ減量化への策を練っている。
上野さくらまつりは、減量化ではないがごみを分別する環境を整え、徹底させる。 10m
おきに分別ごみを設置、 8 種類の分別を行わせる。
④集客効果の問題
四つ目の問題は、集客効果である。これは、イベントが一過性のものになりやすく、当
日の来場者数と街への集客数が、比例しにくいことを示す。三茶フェスティバルは、イベ
ント開催時の来場者が、商店街の買い物客には繋がりにくいことを問題点としている。逆
70
に、その日は暇であったりするため、今後は店への集客にも繋げ、商店街の人にもイベン
トを支持される必要性があるとしている。麻布十番納涼祭りも、特に問題点としているわ
けではないが、一過性のイベントになっており、普段の集客には繋がっていない。
また、当日のみの集客数に焦点をあてると、来場者数の確保は、上記したようにイベン
ト開催の大きな目的に繋がるため、とても大事なことである。この問題点は、どのイベン
トも抱える大きな問題である。今後同じイベントを開催するにあったって、人々に飽きら
れないように、少しずつ変化をつけて対応しているイベントもある。新橋こいち祭や自由
が丘ファミリーフェスタなどは、集客とイベントの関係性について、内容の変化にこだわ
っているが、中でも一番著しいのは、うえの夏まつりである。このイベントは、上野の強
みである江戸情緒を活かし、年配者が多い地元住民への来場を図る。しかし、それだけで
は現代向けの遊びが好きな若者への来場は見込めていない。歴史の古い上野の強みを残し
つつ若者が自発的に参加できるような、上野の江戸情緒にとらわれない要素も合わせ持つ
イベントを目指すことで、より多くの集客数を狙っている。
71
表4
イベントの問題点と事例
問題点
運営者問題
規模の維持の問題
ごみ問題
集客効果の問題
具体的内容
・若手不足
・ボランティアの高齢化
・後継者問題
事例
・エコフェスタ第三弾 夜み
こし ・マリクレール
祭り
・自由が丘女神まつり
SUN
・三茶フェスティバル
・予算不足
・麻布十番納涼祭り
・規模の巨大化に伴う予算の確保が困難
・自由が丘女神まつり
・安全維持
・規模の巨大化に歯止めをかけて、縮小したい ・目黒のSUNまつり
・うえの夏まつり
・ごみ処理の費用削減
・麻布十番納涼祭り
・ごみの減量
・目黒のSUNまつり
・イベントの来場者が、商店街の集客に繋がりに ・三茶フェスティバル
くい ・ (・麻布十番納涼祭り)
以上のことを、表 4 にまとめた。
以上のイベント事業の分析を終えたうえで、どのイベントにも共通する集客効果につい
て、次章で詳しく分析する。
72
4. 集客効果
この章では、どの要素が集客数を左右しているのか、様々な観点から分析を行い、その
効果を検証した。
4.1
集客数と予算
①集客数の増加と予算額の関係
予算をかければ集客数を増やせるのだろうかということを確かめるため、予算と集客数
について検証した。
図16 集客数と予算
3500
集客数(単位:千人)
予算(単位:万円)
3000
3000
2600
2500
2000
1700
1500
1500
1000
1000
神楽坂まつり
上野さくらまつり
1000
1000
1000
750
650
600
550
500
500
250
90
55
100
55
45
うえの夏まつり
目 黒 の S U Nま つ り
自由が丘女神まつり
2
自由が丘盆踊り
マリクレール祭り
73
150
70
自由が丘ファミリーフェスタ
0.25 20
麻布十番秋祭り
麻布十番納涼祭り
世田谷アートタウン
25
三茶フェスティバル
エコフェスタ 夜みこし
エコフェスタ 流しそうめん
新橋こいち祭
0
0.6 25
図17 集客数と予算
3000
上野さくらまつり
2500
︵
集 2000
客
︶
単
位 1500
:
千
人
1000
うえの夏まつり
自由が丘
ファミリーフェスタ
麻布十番納涼祭り
500
自由が丘女神祭り
マリクレール祭り
三茶フェスティバル
エコフェスタ
自由が丘盆踊り
0
麻布十番秋祭り
0
5
0
0
神楽坂まつり
目黒のSUNまつり
1
0
0
0
2
0
0
0
1
5
0
0
2
5
0
0
3
0
0
0
予算(単位:万円)
図 16 を見ると、集客が一番多いイベントは上野さくらまつりであるが、予算を一番使
っているのはうえの夏まつりである。ただ単純に、予算を一番投入していたイベントが、
一番の集客数を記録していたわけではなかった。
だが、指数近似曲線も示してある図 17 では、若干の数字の前後はあるものの、全体的
な傾向として予算を増やせば集客数も増加しているように見られる。そして、さらに表 5
で細かい数字を見比べてみると、低予算のイベントは集客数も少ないことが多いと分かっ
た。ただ、表 5 で自由が丘マリクレール祭りより上部に並んでいる集客数の多いイベント
は、必ずしも集客数が予算の額に比例してはいない。
74
こういった点に着目した結果、予算額を多くすればそれだけ規模も大きくなり、集客数
も増えやすいが、一定の規模まで達すると、その後は違う要因がからみ、集客数を左右し
ているのではないかということが考えられる。
②コストとしての集客数と予算の関係
表 5 には、来場者を一人集めるのにいくらの予算を使ったことになるのかを表す「一
人あたりの予算」という数字がある。これより、少ない予算で多くの集客数を得られてい
るイベント、また、集客数の割にはコストがかかりすぎているイベントが明らかになる。
表5
集客数と予算
イベント名
集客数
予算
一人あたりの予算一円あたりの集客数
上野さくらまつり
260万人
1,000万円
4円
0.26人
うえの夏まつり
100万人
3,000万円
30円
0.0333人
75万人
70万円
1円
1.0714人
麻布十番納涼祭り
50∼60万人
1,500万円
27円
0.0367人
自由が丘女神祭り
50万人
1,700万円
34円
0.0294人
20∼30万人
600万円
24円
0.0417人
不明
不明
自由が丘ファミリーフェスタ
自由が丘マリクレール祭り
世田谷アートタウン
10万人
260万円(宣伝費)+α
新橋こいち祭
8∼10万人
不明
不明
不明
神楽坂まつり
5∼6万人
1,000万円
182円
0.0055人
目黒のSUNまつり
4万5千人
1,000万円
222円
0.0045人
三茶フェスティバル
2∼3万人
650万円
260円
0.0038人
2千人
150万円
750円
0.0013人
600人以上
55万円
エコフェスタ 流しそーめん
600人
25万円
417円
0.0024人
麻布十番秋祭り
250人
20万円
800円
0.0013人
自由が丘盆踊り
エコフェスタ 夜みこし
917円以下 0.0011人以上
注 1:一人あたりの予算、一円あたりの人数は、集客数の平均値から計算した。
注 2:一人あたりの予算は小数点以下を、一円当たりの人数は少数第五位以下を四捨五入した。
75
図18 集客数と一人あたりの予算
900
800
麻布十番秋祭り
自由が丘盆踊り
︵
一 700
人
あ
た 600
り
の 500
予
算
400
単
位 300
:
円
200
エコフェスタ流しそうめん
︶
三茶フェスティバル
目黒のSUN まつり
神楽坂まつり
100
0
麻布十番納涼祭り
自由が丘女神祭り うえの夏まつり
マリクレール祭り 自由が丘ファミリーフェス
タ
0
5
0
0
上野さくらまつり
1
5
0
0
1
0
0
0
2
0
0
0
2
5
0
0
集客数(単位:千人)
集客数が少ないイベントというのは、このくらいの予算額でも集客数の多いイベントと
比べると小額であるように感じ、妥当のように思える。しかし、実際は表 5 や図 18 でも
見られるように、集客数が少なければ少ないほど、一人あたりにかかる予算が多くなる傾
向がある。反対に、集客数が多いイベントは多額の予算をつぎ込んでいるように見えるが、
一人あたりにかかる予算はたいして多くはないのである。
表 5 から、低コスト高集客のイベントは自由が丘のファミリーフェスタ、そして、上野
さくらまつり、高コスト低集客イベントは麻布十番秋祭り、自由が丘盆踊りなどが当ては
76
3
0
0
0
まると考えられる。
イベントを開催するときは、予算を増やして規模を大きくすることで、ある程度までは
集客数が見込めることが分かった。そのため、低予算の場合、それなりに予算に見合う集
客数を得なければ、一人あたりにかかるコストが急激に大きくなってしまう。そのため、
限られた予算でいかに多くの人を呼べるかがキーポイントになってくるのである。そして、
図 19 で表されるように、自由が丘ファミリーフェスタやマリクレール祭りといった低予
算で多くの集客数が見込めるイベントがある以上、それは可能なのである。
図19 予算と一円あたりの集客数
3500
1.2
1.0714
集
客
数
3000
3000
︵
1
一
円
あ
0.8 た
り
の
集
0.6 客
数
2600
単
位
:
千
人
2500
︶
2000
1700
1500
1500
1000
1000
1000
1,000
0.26
単
0.4 位
:
人
1,000
︶
単
位
:
万
円
︵
︵
・
予
算
750
550
︶
500
650
600
0.2
500
250
0.0333
0
0.0367
70
0.0294
0.0055
100
90
150
55
0.0055
45
0.0045
25
0.0038
0.0013
2
55
25 0.6
0.0024
200.25
0.0013
エコフェス エコフェス
自由が丘
麻布十番秋
麻布十番納 自由が丘女 マリクレー 世田谷アー 新橋こいち 神楽坂まつ 目黒のSUN 三茶フェス 自由が丘盆
上野さくら うえの夏ま
タ 夜みこ タ 流しそ
ファミリー
祭り
涼祭り
神まつり
ル祭り
トタウン
祭
り
まつり
ティバル
踊り
まつり
つり
うめん
し
フェスタ
予算
1000
3000
70
1500
1700
600
不明
不明
1,000
1,000
650
150
55
25
20
集客数
2600
1000
750
550
500
250
100
90
55
45
25
2
0.6以上
0.6
0.25
一円あたりの集客数
0.26
0.0333
1.0714
0.0367
0.0294
0.0055
不明
不明
0.0055
0.0045
0.0038
0.0013
不明
0.0024
0.0013
予算
集客数
一円あたりの集客数
77
0
4.2
集客数と内容
次に、集客数とイベント内容について検証する。
表 6 では、 3. イベント事業の分析の章で行ったイベント内容の分類を、集客数と照らし
合わせてみる。すると、『テーマパーク型イベント』は集客数が多く、『地域コミュニテ
ィー型イベント』は集客数が少ないという傾向が見られた。
表6
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
集客 数とイ ベント内 容の 分類
イベント名
上野さくらまつり
うえの夏まつり
自由が丘ファミリーフェスタ
麻布十番納涼祭り
自由が丘女神祭り
自由が丘マリクレール
世田谷アートタウン
新橋こいち祭
神楽坂まつり
目黒のSUNまつり
三茶フェスティバル
自由が丘盆踊り
エコフェスタ 夜みこし
エコフェスタ 流しそーめん
麻布十番秋祭り
集客数
260万人
100万人
75万人
50∼60万人
50万人
20∼30万人
10万人
8∼10万人
5∼6万人
4万5千人
2∼3万人1
2千人
600人以上
600人
250人
イベント内容の分類
テーマ型
テーマパーク型
テーマ型
テーマパーク型
テーマパーク型
テーマ型
テーマ型
テーマパーク型
テーマ型
テーマ型
テーマ型
地域コミュニティー型
地域コミュニティー型
テーマ型
地域コミュニティー型
『地域コミュニティー型イベント』は予算的にも規模が小さい。そして、『テーマパー
ク型イベント』と『テーマ型イベント』を比べると、『テーマ型イベント』の方が規模が
小さいことが多い。図 20 にあるように、『テーマパーク型イベント』や『テーマ型イベ
ント』のような対象者を観光客としているイベントは、観光客の居住範囲が広くなれば広
78
くなる分対象者数が増え、『地域コミュニティー型』のイベントは、地域住民のみを対象
としているため対象者が少ないことが、集客数を左右していると推測される。
図 20
イベント形態と対象者の居住範囲と集客数の大きさの関係
テ ー マ パー ク型 イ ベ ン ト
→広範囲観光客
テ ー マ 型イ ベ ン ト
開催地域
→地元周辺の観光客
地 域 コ ミュ ニ テ ィ ー 型 イ ベ ント
→地元住民
4.3
集客数と開催日
①開催日と曜日
図 21
金
16%
次に、イベントを開催する日を検証してみた。
イベントを開催するときには、集客を見込める日
を選ぶことが大切であり、曜日にも関係してくる。
図 21 は、 15 ある事例の開催日を、曜日別に
分類したものである。 43 %という約半分が週末
開催 曜日の 比率
木
13%
他
43%
水
11%
火
9%
土
20%
日
22%
月
9%
に集中することが分かる。一番多いのは日曜日、そして土曜日、金曜日と続く。週末の利
79
月
火
水
木
金
土
日
用法は、土日しか使わないパターン、金曜日から土日に続けるパターン、ハッピーマンデ
ーとなった祝日の月曜日を土日とつなげるパターンがある。その他にも、平日を使用して
いるときは夏休み期間や祝日を利用するなど、全体的に休日に開催するイベントが多いこ
とが伺える。
②開催日と日数
次は日数について分析する。表 7 は、集客数と開催日、そしてその日数を表したもので
ある。その表によると、上野の 2 つのイベントは、いずれも 20 日以上の長期開催イベン
トであり、それが多くの集客数に反映していると考えられる。集客数と日数をグラフで表
した図 21 を見ると、日数は集客数に比例していることが分かる。
表7
順位
集客数と開催日
イベント名
集客数
日にち
日数
一日あたりの集客数
1 上野さくらまつり
260万人
3月19日(土)∼4月10日(日)
23日間 11万3千人
2 うえの夏まつり
100万人
7月17日(日)∼8月7日(日)
22日間 4万5千人
3 自由が丘ファミリーフェスタ
75万人
5月3日(火・祝)4日(水・祝)5日(木・祝)
3日間
25万人
4 麻布十番納涼祭り
50∼60万人
8月19日(金)20日(土)21日(日)
3日間
17万∼20万人
5 自由が丘女神祭り
50万人
10月9日(日)10日(月・祝)
2日間
25万人
6 自由が丘マリクレール
20∼30万人
5月27日(金)28日(土)29日(日)
3日間
7万∼10万人
7 世田谷アートタウン
10万人
10月22日(土)23日(日)
2日間
5万人
8 新橋こいち祭
8∼10万人
7月21日(木)22日(金)
2日間
4万∼5万人
9 神楽坂まつり
5∼6万人
7月20日(水)21日(木)22日(金)23日(土) 4日間
1万3千人∼1万5千人
10 目黒のSUNまつり
4万5千人
9月18日(日)
1日間
4万5千人
11 三茶フェスティバル
2∼3万人
8月20日(土)21日(日)
2日間
1万∼1万5千人
12 自由が丘盆踊り
2千人
8月4日(木)5日(金)6日(土)7日(日)
4日間
500人
13 エコフェスタ 夜みこし
600人以上
9月3日(土)
1日間
600人以上
14 エコフェスタ 流しそーめん
600人
9月22日(金)
1日間
600人
15 麻布十番秋祭り
250人
9月11日(土)12日(日)
2日間
125人
注: 1 日あたりの集客数は、集客数の平均値から計算した。
80
図22 集客数と一日あたりの集客と開催日数
25
3000
260023
2500
集客数
22
一日あたりの集客数
開催日数
20
集
客 2000
数
1500
一
の
15 集 日
あ
客
た
数
り
10
1000
1000
750
550
500
3
2
0.0294
0.0055
1002
90 2
55
0.0055
4
45 1
0.0045
2
25
0.0038
2
0.0013
0.0024
0.6 1
しかし、一日あたりの集客数が一番多かったのは、自由が丘ファミリーフェスタと、自
由が丘女神まつりであった。うえの夏まつりは 100 万人の集客数があるが、一日あたりの
集客数は 4 万 5 千人である。これと同じ値を出しているのが新橋こいち祭だ。ただ、新橋
こいち祭は 8 ∼ 10 万人の集客数しかなく、うえの夏まつりの 10 分の 1 以下である。こ
のように、集客数や日数が多いからといって集客率(予算や日数などのコストに対する集
客数の比率)が高いわけではない。これは、集客数が多いイベントは、開催日数で伸ばす
タイプと、短期間で一度に大きく伸ばすタイプがあると考えられる。
81
2
0.0013
0.25
麻布十番秋祭り
自 由 が丘 盆 踊 り
三 茶 フ ェス テ ィ バ ル
目 黒 の S U N ま つり
神 楽 坂 ま つり
新 橋 こ いち 祭
世 田 谷 アー トタ ウ ン
マリ ク レー ル祭 り
自 由 が 丘 女 神 ま つり
麻布十番納涼祭り
1
エ コフ ェス タ 流 し そ う め ん
0.0367
自 由 が 丘 フ ァ ミ リ ー フ ェス タ
う え の 夏 ま つり
上 野 さ く ら ま つり
0
3
1.0714
0.0333
4
2503
エ コフ ェス タ 夜 み こ し
0.26
5
500
0
4.4
集客数と広告宣伝
広告宣伝というのは、イベントを広めるためにはとても重要なもので、開催日までのイ
ベント認知と、人々の興味を高めるためには、様々な工夫を凝らさなければならない。
イベントの告知方法として、多くのイベントで使用されているのは、チラシ、ポスター、
HP である。ポスターは、新聞に折り込んだり、特定の場所に配置したりすることが多い。
ポスターは、駅貼りが多く、電車で来場する人々へ向けたイベント告知を行う。また、地
域の掲示板で、住民に知らせる。武蔵小杉のエコフェスタは、道路にポスターを貼り、商
店街の歩行者の注目を集めるなど、趣向を凝らす。 HP は、それぞれ主催側の団体で開設
しているページに、具体的なイベント詳細を載せて対応している。また、三茶フェスティ
バルや世田谷アートタウン、目黒の SUN まつりのように、区報で地域住民に知らせるイ
ベントもある。
表 8 は、集客数と広告宣伝方法をまとめたものである。チラシ、ポスターの部数は、全
ては明らかではないが、集客が多いイベントほど部数が多いことが分かる。
また、集客数の多いイベントはみな、マスコミを通して外に情報を流している傾向があ
る。これらは、取材の申し込みにより行われるもので、主催者側にコストはかからない。
そして、同じような時期に開催されるイベント同士で特集が組まれる中、イベントに興味
のある多くの消費者がその情報を目にするため、反響が大きい。
規模の小さなイベントや認知度がそもそも低いイベントは、マスコミには目をつけられ
ず、大々的に外に広まることが少ない。よって、規模の大きなイベントはマスコミにより
82
多くの人に認知され、規模の小さなイベントは広告宣伝を行った範囲にいる人のみに認知
されていると考えられるため、この認知度の範囲は集客数を左右すると推察される。しか
し、規模の小さなイベントは地域住民向けであることも多く、マスコミによる広報を必要
としない傾向が強い。マスコミを利用し集客を狙う方法は、観光客が対象のイベント向き
である。
表8
順位
集客 数 と広 告 宣伝 方 法
イベント名
集客数
広告宣伝方法
パンフレット[案内所、博物館、街頭配布](16万部)マ
スコミ[TV中継、新聞]
チラシ[店頭貼り、行政窓口、駅](12万部)、ポスター
[駅貼り](500部)、HP、雑誌
チラシ[新聞折込、街頭配布](10万部)、ポスター[駅
貼り]、HP、マスコミリリース
1
上野さくらまつり
260万人
2
うえの夏まつり
100万人
3
自由が丘ファミリーフェスタ75万人
4
麻布十番納涼祭り
50∼60万人ポスター[駅貼り、店頭貼り]、新聞、雑誌
5
自由が丘女神祭り
50万人
6
自由が丘マリクレール
7
世田谷アートタウン
8
新橋こいち祭
8∼10万人 チラシ[新聞折込]、ポスター、HP、
9
神楽坂まつり
5∼6万人
10 目黒のSUNまつり
11 三茶フェスティバル
チラシ[新聞折込](10万部)、ポスター[電車中吊り、
駅貼り]、HP、マスコミリリース
チラシ[新聞折込](10万部)、ポスター[駅貼り]、
20∼30万人
HP、マスコミリリース
チラシ[新聞折込](2万部)、ポスター[駅貼り]、
10万人
HP、世田谷区報(月2回)、世田谷区掲示板(300箇所)
ポスター、HP、ハローダイアル、商店会パンフレット、横
断幕、各種看板、商店街街頭スピーカー
ポスター[掲示板貼り](5千部)[区の施設、小中学校、
4万5千人
町会配布](4万部)、新聞、雑誌、地下鉄パンフ
チラシ[新聞折込](2万部)、ポスター[駅貼り]、
2∼3万人
HP、世田谷区報(月2回)、世田谷区掲示板(300箇所)
12 自由が丘盆踊り
2千人
13 エコフェスタ 夜みこし
600人以上 ポスター[道路、店頭貼り]、HP、立て看板(7箇所)
チラシ[地域内配布](5万部)
14 エコフェスタ 流しそーめん600人
ポスター[道路、店頭貼り]、HP、立て看板(7箇所)
15 麻布十番秋祭り
町会の呼びかけ
250人
83
4.5
成功事例の集客効果
15 の事例の中で、上記した集客を見込める一般的な要素とは別の要因で、集客率を高
めたイベントが一つある。それは、自由が丘ファミリーフェスタだ。このイベントのどこ
にその要因が隠されているのかを分析した。
このイベントは、街のイメージ付けと集客を目的といている『テーマ型イベント』であ
り、スイーツの自由が丘を全面的に押し出している。 2 日間の開催イベントが多い中、自
由が丘ファミリーフェスタはゴールデンウィーク 3 日間に開催されているため、一日多い
分集客が見込める。そして、予算額で多くの集客効果を得られたため、一人を集客するの
にかかるコストも少なくて済んだ。その原因は、街に存在するお菓子屋を、イベントのメ
インに持ってきたことによるためだと思われる。コストがかかるものは、各商店街がそれ
ぞれ行うワゴンセールや屋台、フリーマーケットの出店費用だけであり、その他は、お菓
子屋をマップつきパンフレットで紹介することがメインのため、多くの予算は必要ない。
来場者の目的は、自由が丘のスイーツを買うことや食べること、また、美味しそうな新た
なスーツを探すことである。街はそのような来場者に、有名店も、今まで目立たなかった
店も紹介し、街中を歩きながらショッピングをして、楽しいことも見つけてもらおうとい
う企画をたてた。来場者に街を回遊させる仕組みを作ったことで、低予算のイベントが街
に大きな経済効果をもたらしていると考えられる。
自由が丘ファミリーフェスタは、街のイメージづくりを行なう『テーマ型イベント』で
ありながら、街全体を活用し、大人数を収容できる『テーマパーク型イベント』の要素も
84
併せ持つ。しかしながら、街全体を活用すると言ってもたんに場所としてではなく、街並
みごと利用するところに、低予算で行える要因がある。そこが、ステージや大掛かりな設
営で多額の予算を使いがちな『テーマパーク型イベント』とは違う要素である。『テーマ
型イベント』と『テーマパーク型イベント 』、 それぞれの利点を取り入れたところに、低
予算で開催期間が長期のイベントに負けないくらいの高い集客効果を得られた要因がある
と考えられる。
85
5. まとめ
イベントによって集客が異なる原因を追究するため、取材調査をもとに事例を取り上げ、
その土地の地域住民が街へ及ぼす効果を期待して開催している 15 のイベントの実態を分
析してきた。
その結果、これら 15 のイベントには、四つの大きな目的があることが明らかとなった。
一つ目は、街のブランドづくり、イメージづくり、街の知名度の向上である。二つ目は、
地域住民や街の利用者へ、楽しむ場の提供である。三つ目は、街の活性化である。四つ目
は、街への集客である。それぞれの目的は、集客力があるイベントでのみ達成される目的
のため、四つは集客という大きな目的に結びついている。
さらに、イベント内容も三つに分類された。一つ目は、様々な要素を組み合わせた『テ
ーマパーク型イベント』である。これは、大規模なものが多く、街全体や広い区域を活用
し、一度に多くの人を楽しませる要素をもつ。そして、二つ目は『テーマ型イベント』で
ある。これは、街とイベント内容のイメージ付けがしやすい要素を持つ。そして最後に、
『地域コミュニティー型イベント』がある。これは小規模なものが多く、同じ地域内の人
が楽しめるような地元向けの要素を持つ。
それぞれのイベントが抱えている問題点も浮き出てきた。一つ目は、運営者・後継者問
題であり、二つ目は、規模の維持の問題であり、三つ目はごみ問題であり、四つ目は、集
客効果の問題である。
集客効果については、まずは予算との関係から検証してみた。その結果、低予算のイベ
86
ントは、額が減るにつれて集客数も少なくなるが、予算が多いイベントは全体的に集客数
も多いということが分かった。しかし、集客数が多くなればなるほど、集客数が予算の額
に比例しなくなる傾向が見られた。すなわちこれは、ある一定の規模までは予算が増える
ほど集客数も増えるが、その規模に達すると、あとは予算以外の要因で集客数が左右され
ると考えられる要因となる。
さらに、集客数が少なければ少ないほど、一人あたりにかかる予算も多くなる傾向が見
られ、こういったイベントは低予算の割には規模に対するコストがかさんでいると思われ
る。つまり、低予算で行う小規模イベントは、予算をかけた大規模なイベントより一円で
集められる来場者数が少なく、予算に見合った集客数が見込めていない。しかし、ある程
度規模が大きくなると、一人あたりにかかる予算も、一円分の集客効果も、予算の額とは
関係なくなり、集客数の多さには他の要因が関係してくる。
その集客数を左右する予算以外の要因には、五つのものが挙げられる。イベント規模、
イベント内容、イベント対象者、広告宣伝方法、そして開催期間である。
集客数が多く見込め、街全域を利用する大規模な『テーマパーク型イベント』は、多く
の観光客と地域住民を対象とし、マスコミを通して広範囲に情報を発信することが多い。
また、ある程度の集客が見込める大規模・中規模な『テーマ型イベント』は、『テーマパ
ーク型イベント』より若干範囲を狭めた観光客と地域住民を対象とし、規模の大きい一部
のイベントのみ、マスコミを通して広範囲に情報を発信していることが多い。小規模な
『地域コミュニティー型イベント』は、地域住民を対象としているため集客数も少なく、
広告宣伝も地域住民の居住範囲でのみ行われることが多い。
87
そして、規模は予算の多さと関係しており、『テーマパーク型イベント』のように多額
の予算を投入すると規模は大きくなり、予算も少ない『地域コミュニティー型イベント』
になると、規模も小さくなるということが分かった。
イベントを開催する時期は、どのイベントも休日が多いことが特徴である。その上で、
長期開催イベントは、日にちが多い分だけ集客数に反映していると考えられる。しかし、
一日あたりの集客率(予算や日数などのコストに対する集客数の比率)に、日数の多さが
直接関係しているわけではないことが明らかとなった。つまり、集客数が多いイベントが
必ずしも長期間開催しているイベントとは限らないということである。
本研究結果から、集客数は規模の大きさによるものが多いということが判明した。規模
は、予算であり、イベント内容に対応した一度に収容できるイベント空間の広さであり、
来場者の居住範囲や開催日数である。しかし、集客率との関係性は高くない。自由が丘フ
ァミリーフェスタのように、低予算で、開催期間も長期ではないイベントに集客効果があ
る要因は、それぞれのイベントのタイプにある利点をつなぎ合わせた結果なのではないだ
ろうかと考えられる。
イベントには、イメージづくりや地域活性など、それぞれの開催目的がある。各々目的
にあった適当な集客数というものがあるが、予算的にも日数的にもそれに見合った集客率
を目指し、本来の目的を果たせるイベントが開催されることが望ましい。
本研究では、集客という観点からイベントを分析してみたが、何気なく作り出されたよ
うに見えるイベントにも、いくつの法則性があることが分かった。そして、その法則を上
手に利用すれば、自由が丘ファミリーフェスタのように、少ない予算でも多くの集客数が
88
得られる事例が増えるかもしれないと思われる。本研究はイベント形態の分析から見た集
客力の比較で終わってしまったが、来場者の嗜好から分析すると、より集客力に影響のあ
る要素が見つかるかもしれないと考えている。
表9
イベント事例のまとめ
イベント名 日にち
7月
新橋こいち祭 21日(木)
22日(金)
エコフェスタ 9月
流しそうめん 22日(金)
エコフェスタ
夜みこし
9月
3日(土)
三茶フェス
ティバル
8月
20日(土)
21日(日)
10月
世田谷アート
22日(土)
タウン
23日(日)
麻布十番納
涼祭り
8月
19日(金)
20日(土)
21日(日)
麻布十番秋
祭り
9月
11日(土)
12日(日)
5月3日
(火・祝)
自由が丘ファ 4日
ミリーフェスタ (水・祝)
5日
(木・祝)
イベントの特徴
街のサラリーマンに、小一時間一
休みしていきませんか?というキャッ
チフレーズで、こいち祭を開催。縁
日、屋台、古本市が駅前広場に並
び、コンサートや浴衣美人コンテス
ト、盆踊りも行われる盛大な夏祭
り。
川崎市の武蔵小杉法政通り商店
街で開催。年3回あるエコフェスタ
の第一弾。全長80mの流しそうめ
んを、商店街を使用して行う。子供
連れの親子が多い。アットホームな
手作りイベント。
エコフェスタの第三弾。法政通り商
店街最大のイベント。みこしを担い
だり、手作りのねぶたと練り歩く夏
祭り。手作りねぶたは、針金ハン
ガーを使った自作。今年は、ペット
ボトルで竿灯も作った。
三軒茶屋では、地元向けに楽しめ
る場所を提供したい、また、三茶を
知ってもらいたいと、サンバを開催
する。地元の演歌歌手が出演する
ステージなどもあり、三茶のスタッ
フが作るイベントということにこだわ
る。
三軒茶屋で開催される、大道芸の
イベント。劇場と街とが一緒に開催
している秋恒例の地域のお祭り。
世界各国の大道芸人によるパ
フォーマンス、アート楽市などで三
軒茶屋の街全体をとびっきりの空
間にする。
国際バザールという、十番商店街
周辺の大使館31ヶ国の協力による
名産物販売や、ステージ、盆踊りな
ど、多くのブースがひしめきあう。
ほとんどが観光客で、身動きが取
れないほど会場には人が溢れかえ
る。
6町会のみこしや商店街の山車な
どを取りまとめたパレードを、麻布
十番商店街で行う。屋台なども一
切無い。地元住民や外国人も多数
参加する、伝統行事。子供みこしも
あり、お菓子が配られる。
自由が丘で一番集客力のあるもの
を前面に押し出し、集客を図るイベ
ント。今年は、『スイーツの自由が
丘』がテーマ。手製スイーツマップ
を元に、街中を歩きながらスイーツ
の買い物で楽しんでもらうのが狙
い。
イベント
タイプ
目的
集客
数
予算
宣伝広告方法
テーマ
パーク型
・地域住民や
街の利用者
へ、楽しむ場
の提供
・街の活性化
8∼10
万人
不明
テーマ型
・街のブラン
ドづくり、イ
メージづく
り、街の知名
度の向上
600人
ポスター[道路、店頭
25万円 貼り]、HP、立て看
板(7箇所)
地域コ
ミュニ
ティー型
・街のブラン
ドづくり、イ
メージづく
り、街の知名
度の向上
600人
以上
ポスター[道路、店頭
55万円 貼り]、HP、立て看板
(7箇所)
テーマ型
・地域住民や
街の利用者
へ、楽しむ場
の提供
・街の活性化
チラシ[新聞折込](2万
部)、ポスター[駅貼
2∼3万 650万
り]、HP、世田谷区報
人
円
(月2回)、世田谷区掲
示板(300箇所)
テーマ型
・街のブラン
ドづくり
イメージづく
り
街の知名度の
向上
チラシ[新聞折込](2万
260万
部)、ポスター[駅貼
円(宣
り]、HP、世田谷区報
10万人
伝費)
(月2回)、世田谷区掲
+α
示板(300箇所)
テーマ
パーク型
・毎年行うも
の(惰性)
50∼60 1,500
万人
万円
地域コ
ミュニ
ティー型
・地域住民や
街の利用者
へ、楽しむ場
の提供
250人
テーマ型
・街のブラン
ドづくり、
メージづく
り、街の知名
度の向上
・街の活性化
・街への集客
チラシ[新聞折込、街
頭配布](10万部)、ポ
75万人 70万円 スター[駅貼り]、
HP、マスコミリリー
ス
89
チラシ[新聞折込]、
ポスター、HP、
ポスター[駅貼り、店
頭貼り]、新聞、雑誌
20万円 町会の呼びかけ
5月
27日
マリクレール (金)
28日
祭り
(土)
29日
(日)
自由が丘盆
踊り
8月
4日(木)
5日(金)
6日(土)
7日(日)
7月
20日(水)
神楽坂まつり 21日(木)
22日(金)
23日(土)
自由が丘駅南口商店街で開催。
・街のブランド
石畳やおしゃれなイメージを活か
づくり、イメー
し、フランスの雰囲気を味わうこ
20∼30
テーマ型 ジづくり、街の
とを目的とする。シャンソン、ワイ
万人
知名度の向上
ン・チーズの飲食、ワゴンショッピ
・街の活性化
ングが楽しめる。地元密着型。
自由が丘の駅前ロータリーに大
きな櫓を建て、浴衣を着た人たち
の踊りの輪が広がる。来場者は
地元の方が多く、地域住民同士
の親交の場として成り立つ。踊り
の事前練習も開かれる。ビンゴ
大会あり。
4日間行われるうち、最初の2日
間は第一部のほおずき市、残り
の2日間は第2部の阿波踊り大会
が行われる。この祭りは、『粋な
街神楽坂』として神楽坂の街のイ
メージを向上させるのが目的。
・街のブランド
づくり、イメー
ジづくり、街の
地域コ
2千人
知名度の向上
ミュニ
ティー型 ・地域住民や街
の利用者へ、楽
しむ場の提供
・街のブランドづく
り、イメージづく
り、街の知名度
5∼6万
テーマ型 の向上 ・地域
人
住民や街の利用
者へ、楽しむ場
の提供
花見、お茶会。上野公園は、歴
史・文化では取り上げられるが、
3月
自然的なものは知られていない。
上野さくらま 19日(土)
50種類の桜を目当てに上野への テーマ型
∼4月
つり
来街を求める。咲く時期がずれる
10日(日)
ため、1ヶ月は咲く。開花宣言時
はTV局だらけ。
蓮見茶屋、ライブ、演歌、寄席、
踊り、灯篭流し、大道芸、縁日、
7月
骨董市、植木市、氷の彫刻、ゆ
うえの夏まつ 17日(日)
テーマ
かた撮影会、ジャズコンサートな
∼8月
り
パーク型
どが行われる。上野の強みであ
7日(日)
る古い東京、江戸情緒を打ち出
す。
90
・街への集客
チラシ[新聞折込](10
万部)、ポスター[駅貼
600万円
り]、HP、マスコミリ
リース
150万円
手作り白黒チラシ[地
域内配布](5万部)
1,000万
円
ポスター、HP、ハローダ
イアル、商店会パンフ
レット、横断幕、各種看
板、商店街街頭スピー
カー
1,000万
260万人
円
パンフレット[案内所、博
物館、街頭配布](16万
部)マスコミ[TV中継、新
聞]
・街のブランドづく
り、イメージづく
3,000万
100万人
り、街の知名度
円
の向上
チラシ[店頭貼り、行政窓
口、駅](12万部)、ポス
ター[駅貼り](500部)、
HP、雑誌
付録
■第 10 回新橋こいち祭
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
夏祭り
新橋こいち祭実行委員会
港区、ラ・ピスタ新橋地元連絡協議会、愛宕一之部連合町会、愛宕・新橋地
区12商店会、東京商工会議所港支部、Kiss ポート財団
キリンビール株式会社、マリアナ政府環境局
ハクビ京都きもの学院 銀座校
新橋駅前 SL 広場、桜田公園、ニュー新橋ビル周囲歩道、ニュー新橋ビル4
F テラス、柳通り
2005.7.21(木)22(金)12:00∼21:00
各町会長 13 名、スタッフ 30 名、アルバイト 30 名、ボランティア 50 人
町会出展 13 店、その他 30 店
町会、競輪売り上げ、企業
サラリーマン、住民、観光客(遊びに来た人)
新橋は、サラリーマンの方が多い。一時間一休みしていきませんか?という
キャッチフレーズで、こいち祭を開催。
縁日、屋台、伝承遊び、古本市、盆踊り、ビアガーデン、ゆかた美人コンテ
スト、打ち水、大道芸、コンサート
8∼10 万人
新聞折込み、インターネット、ポスター(何千万枚)
新橋は、下町で有名な町だった。実行委員長さんは、新橋 3 丁目の新3町
会の会長さん。22 年間盆踊りを町会で行っていた。しかし、人もいなくな
ってきて、役員もバラバラになり始めた。このまま無くすのは惜しい、今ま
でを何とか活かせないかと、各町会長に呼びかけた。ちょうど、新橋には旧
桜田小学校のグランドもあり、街の活性化へとつなげた。
やれば段々大きくなるもので、もとは盆踊りだけだったのが、ゆかたコン
テストも行うようになった。食べ物もないということで、各町会が出店よう
になる。各町会が好きなものを出すようにし、手作りで、内輪な感じを出し
た。お金も各町会負担だし、全部自分たちでやるのは大変だが、そのほうが
喜ぶ。奥様方は、みな踊り関係で活躍してもらう。踊りの会の方々を呼び、
100 人くらいの踊りの人たちが集まる。一般の参加者も、増えていく。
初めは、3、4万人ほどの来場者だったが、今は8∼10 万人にのぼる。
年に一回開催される。小学校が 7 月 20 日頃には休みになるから、8 月に
どこかに行ってしまう前に捉まえて、家族そろって遊んでもらう。今年は、
最終の木・金が月末と重なってしまうため、いなくなってしまうことを不安
に思い、一週前にずらした。
5 年くらいたってから、キャラクターを作った。大きくなると、イベント
として組み立てなければならなくなる。イベント屋に依頼。有名人を呼んだ
りして、お金がかかる。しかし、盆踊りをメインにする桜田公園のほうは、
内輪な感じを保ち、変えていくつもりはないらしい。しかし、駅前などのイ
ベント的な要素の強いほうは、客をひきつけるために、時代に合わせて少し
ずつ変えていくつもりだ。
91
今後抱負として、続けていくことが大事であるため、飽きないように、少し
ずつ、一つずつやることを増やしていき、喜んでもらえるお祭りにしたい。
自分の感想
・配布グッズ:ウチワ、ポスター
サラリーマンが多かった。スーツを着たおじさんや、OL の方が多い。年齢
層は、若干高め(夜)。キャッチフレーズが、マッチしている。夜のためか、
家族連れや、若者の姿はあまりなかった。
92
■第 6 回エコフェスタ in 法政
第一弾 夏の小杉の風物詩 全長 80m台そうめん流し
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
夏祭り
法政通り商店街振興組合
小杉駅前通り商店街、むさしこすぎ商店街
法政通り(神奈川県川崎市武蔵小杉)
2005.9.22(金)16:00~18:00
20 人のスタッフ、近隣の銀行員含む
―
25 万円。
役員が、店を回って一口3千円でそうめん券を買ってもらえるように頼む。
(千円の年もあり)店主にとって、祭りのお金は無駄なお金と認識しやすい
ため、引き受けてくれない店もある。残りの三分の一は、助成金(川崎市地
域活性化事業援助費)。
助成金:一貫性のあるものしかくれない。単発で終わることが多いが、50
万以上使わないとおりない。だが、規模的には一回で使い切るのはもったい
ない。エコで共通させ、3回のイベントに分ける。
小学生や幼児連れの母子が多い。自転車で来られる範囲の近隣の方。最近は、
徐々に範囲が広くなってきている。
商店街を忘れないため。名前のイメージ付け(流しそうめんといったら法政
通り)
。社会的な格好づけ(牛乳パック)
全長 80mの流しそうめん。同時に、なかよしスタンプ会抽選会を開催。
約 600 人
ポスターを道路・店頭に貼る。HP。立て看板 7 箇所(プロに頼む)。
参加料:牛乳パック 10 枚、または 100 円。浴衣着ていると無料。→社会福
祉協議会の募集に充てる。
川崎中原地区はサンバが多い。それは、集客が一番多いから。祭りは、非日
常的なこと。
春は、桜まつり花見市を開催。夜店も出るが、ある程度の広場を利用して、
2 万人集める。講堂を借りての催しもの。お金をかければ集まる。かけない
で集めるのは大変。
この商店街は、お金をかけずに人がやっていないことをやりたい。(カラオ
ケや福引抽選などは、一般的になっている。)しかし、人がやらないことは、
人手がかかる。しかし、人手はかけたくない。
そうめんは、低予算で、効果がある。
(過去 13 回開催)
。開催者は飽きても、
参加者(小学生など)は循環するため、飽きない。
通りの真ん中で開催していたときは、店の邪魔になってしまった。
この 2 年は、商店街の奥のほうで開催した。
参加者が増加している。
93
→若い母親が、家庭で昼ごはんなどを作らない人が多くなったから?
家庭では、流しそうめんはできないから?
流しそうめん指導→蕎麦屋。手伝い者も安心して茹でられる。茹でる人は決
まっているが、年一回だとやり方を忘れてしまう。その点、サポートは万全
にしてある。
少しずつ、流しそうめんを長くしているが、80mが限界。
盛り上げたい気持ちがあるため、みんなが協力している。
そうめん台、すくう道具は、自作。
前夜、19 時から 21 時で準備。
問題点:手助けは多いが、考える人が少ない。年々、若手不足。
自分の感想
今後:新しい事をやりたい。あっと驚くこと。子供を遊ばせるのが楽しい。
子供好きな店主多し。寒い時期にでも行いたい。
アットホームな、小規模イベントであった。
94
■エコフェスタ in 法政
第三弾 夜みこし&ストリートライブ
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
夏祭り
法政通り商店街(振)
法政通り(神奈川県川崎市武蔵小杉)
2005.9.3(土)9 月の第一土曜。
10 人の役員、近隣の銀行員・店の方人 10 人
―
宣伝費は 260 万円。
お祝い金:店から 5 千円、1 万円(これで飲食代をまかなう。子供にはお菓
子)
。足りない分は、本部の会計。
近隣の家族連れの方。商店街の方
商店街を忘れないため。名前のイメージ付け。社会的な格好づけ(エコ)
みこし祭り、手作りねぶた祭り。
不明(一年で最大のイベント)
ポスターを道路・店頭に貼る。HP。立て看板。
一つは、本物のみこし。担ぎたい→興味でみこしを作っている人に10万で
作ってもらった。
毎年一回担ぐ。15年続いているが、店主の子供たち(2代目)が、今、地
域の手助けとして協力してくれている。
竿燈:ペットボトルの底を切って、中に電球を入れる。制作者の中に、実際
見たことがある人はいないが、それでも何とかなる。
以前:初年→ペットボトルでみこしつくって、中に照明
翌年→空き缶でみこし
その翌年→針金ハンガーでねぶた(鯛→たまちゃん→ザリガニ)
一年で一番、人が集まるイベント。
使い終わったねぶたは、翌日から商店街に飾り、18:30から21:00
ぐらいまでライトアップする。
自分の感想
ねぶたは一年に一度しか使わないので、保管している間に障子紙がボロボロ
になる。それを修復して、翌年使用。
アットホームな、小規模イベントであった。
95
■ 第 20 回三茶フェスティバル 2005
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
Sancha
de
Sanba!!
夏祭り
三茶しゃれなーど、三軒茶屋銀座商店街振興組合
世田谷区
ふれあい広場、茶沢通り歩行者天国
2005.8.20(土)、21(日)12:00~18:45
商店街の役員 18 人。アルバイト 25,6 人(土)30 人(日)
20 人くらい(商店街の人)
サンバは商店街のお金と、世田谷区補助金。
1/3 は区、1/3 は都、1/3 は商店街。商店街の 2/3 が助成金。元気を出せ商店
街助成事業。
地元の人。数ヶ月前から、問い合わせもあるので、外来者も多いかも。
夏休みの最後の頃の土日、地元向けに楽しめる場所を提供したい。三茶を知
ってもらうためにサンバ開催。
音楽ライブ(地元で活動している人たち)、サンバコンサート
スケジュールは、FM 三軒茶屋が組む。
2∼3 万人。
HP。世田谷区の 8 月中の広報(月 2 回・何十万)
。ポスター駅貼り、世田谷
線沿線。新聞折込 2 万。世田谷区 300 箇所の掲示板。
イベントのきっかけ:キャロットタワーを造るとき、一緒に町おこしをしま
しょう。その中の一つのイベントとして、始めましょう。
→4 つぐらいの商店街が、合同で始めた。10∼11 年続く。
→大道芸に引き継いでいる 10 月末の土日。今は 6 つの商店街で行っている。
→独立して始めた。
第 4 日曜に歩行者天国でミニイベントを開催している FM 三軒茶屋が、流れ
をくむ。ステージや、サンバの放送も担当。商店街に出場希望がきたものも、
組み込んでもらう。地元の演歌の人、歩行者天国の演奏者など、三茶になじ
みの人たちが参加。
サンバチームは、浅草の人たちと同じで、毎年参加してくれる。3→6 チー
ム。20 年前、直線で歩行者天国の場所がすくなかったため、サンバには最
適で、ウケた。3 年前からコンテスト形式。
問題点:子供向けの充実。小学生の交流があると、商店が交流する。
三茶にある模擬店(大人でも楽しめる)の充実。お願いして、模擬店は若干
出店してくれる。物産展はやりたいけれども、夏は物が少ないからできない。
EX)秋の大道芸の岩手県千厩(せんまや)物産展。
イベントをするときは、地元で買い物をしてくれるかということ。開催中は、
逆に暇だったりする。後の買い物でも効果があるように、商店街の人に支持
されるように。
今後:企業の参加。協賛を考えている。規模の維持が大変なため。
→フラッグに企業名など。
96
自分の感想
春にもう一つイベントを行いたい。
設備は整っているが、地元の夏祭りのような、手作り感がたっぷりだった。
97
■世田谷アートタウン 2005
イベントカテゴリー
主催
共催
後援
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
「三茶 de 大道芸」
祭り
世田谷アートタウン実行委員会、(財)せたがや文化財団
東京都・ヘブンアーティスト運営実行委員会
世田谷区、世田谷区商店街連合会、世田谷区商店街 振興組合連合会
世田谷線三軒茶屋駅周辺、三軒茶屋の各商店街(NTT世田谷大駐車場をメ
インに駅前広場やマクドナルド前、栄通り、茶沢通り、世田谷通りの商店街
にも飛び出して町全体)
2005.10.22(土)
、23(日)12:00∼18:00
商店街ごとに、自前ブース。
すべて、持ち前。
近隣の方から、電車で来る人まで。
三茶を知ってもらうため。
大道芸
10 万人
HP。世田谷区の 8 月中の広報(月 2 回・何十万)
。ポスター駅貼り、世田谷
線沿線。新聞折込 2 万。世田谷区 300 箇所の掲示板。
アートタウンは、世田谷区三軒茶屋駅前のキャロットタワーを中心に、劇場
と街とが一緒に開催している秋恒例の地域のお祭り。世界各国の大道芸人に
よるパフォーマンス、アート楽市などで三軒茶屋をとびっきりの空間にする
お祭り。
大道芸は、街おこしとしては大きい。
30∼40 人のアーティスト。出演料はなし。外国人の飛行機代は負担。野毛
の大道芸を立ち上げた人が、出演者を決める。
昼から 30 分ずつ。10 チームちょっと。6 会場。ボランティアスタッフ限定。
通訳も、実行委員の中から募集。三茶に根づいた、三茶の人が作る、三茶の
スタッフイベントにしたい。
スタッフの働き:大道芸大会の事前準備から当日の運営補助
大道芸人の付き人・通訳(特に韓国語)
その他自分の得意分野を活かした活動
例)ものづくり、街の装飾、記録写真撮影、音響操作など。
「三茶 de 大道芸」の目玉の一つであるウォーキングアクト。町じゅうを舞
台にパフォーマンスする“
大道移動芸”
。定点パフォーマンスは観客に限りが
あるが、会場を縦横無尽に移動するウォーキングアクトは 16 万人の来場者
により多く見てもらうことが出来る。来場者と会場をつなげ、アートタウン
の街をさらに盛り上げるのに重要な役割を演じているのがウォーキングア
クト。
問題:地元スタッフが少ない。
飲食は多いが、物販は難しい。
98
■麻布十番納涼祭り
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
夏祭り
麻布十番商店街振興組合
東京都、港区、港区観光協会
商店街の建築会社
麻布十番一帯
2005.8.19(金)、20(土)
、21(日)15:00∼21:00
スタッフ 20 人、アルバイト 60 人、ガードマン 100 人、ごみ処理者 30 人
300 店
1,500 万円。組合員の寄付(商店街には 280 店舗あり 1 軒 5 千円~1 万。多
くて 3 万)
、その他有志。企業の寄付(5 万や 10 万が多い)
5、6 年前に助成金を申請して使ってしまった。一回しか使えないので、別
の名前の補助金を探し中。30 万が限度だが…。
ほとんど外から。日本中から訪れる。バスを乗りつける人も。→お断り
毎年の恒例。38 年前に、着物を着て大名行列をしていた。規模が大きくな
って、着物を洗うのにお金がかかるため、今のようなイベントになった。
おはやし、国際バザール十番商店街周辺の大使館 31 ヶ国の協力による名産
物販売、国自慢バザー、骨董市、寄席、ステージ(子供向け、大道芸、三味
線、ハワイアン、お笑い)
、盆踊り、チャリティー
昨年はお化け屋敷も。
50 万から 60 万人
ポスター地下鉄の駅貼り 200 枚、店貼り、以前は車内も。新聞。雑誌。
六本木ヒルズ駐車場2時間無料
→帰りの際(精算前)に、六本木ヒルズ駐車場立ち寄り、「駐車券」と「お
祭りの思いでの品」をスタッフに提示。当日のみ有効の2時間無料券を配布。
お祭りの思い出の品・・・
「十番だより(8 月号)
」、
「うちわ」、
「ちらし」、
「夜
店で買ったもの」等。浴衣を着ている方も。引き換えは 1 台 1 回の利用につ
き 1 枚。
課題:①警察から夜店の数を減らすように言われている。
50 店くらいにしてほしい。組合員ではないと出せないようにしているが、
実際は 350 店以上ある。他の商店街の方の出店要望は受け付けない。
②ごみ問題。処理に 200 万以上かかる。ビンの販売は禁止しているが。ごみ
の業者やアルバイトが、夜通し作業して朝は何とか片付いている状態。以前
は都の清掃局が協力してくれていたが、区が管理するようになって、協力は
なくなった。
③騒音問題。住民による苦情。いまだ解決策なし。
→住民の祭り開催の意見は賛否両論。今年の苦情は 2,3 件だった。
イベントは一過性。普段の客にはつながらない。
商店街の店主は、どちらかというと協力的なほう。店前が汚くなるからいや
だという方もいる。そこまで、反対するような考え方は繁栄していない。
イメージ先行で人が多すぎる。今後は、規模を小さくしてゆっくり楽しめる
ようにするのが希望。
99
自分の感想
人が多すぎて身動き取れない。交通規制や安全対策をしないと、いずれは事
故につながるかもしれない。今では、宣伝はしないのに人が集まってしまう
ほど、定着している夏祭り。
100
■麻布十番秋祭り
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
秋祭り
麻布十番 9 町会
麻布十番商店街振興組合
麻布十番商店街
2005.9.11(土)、12(日) 9 月の第 2 土日。町会長会議で決める。
商店街スタッフ 20 人→山車、交通整理。町会役員 60 人。1町会 10 人ほど。
屋台なし。
20 万円
地元住民。外国人も多数参加。
伝統行事継承。参加型。
十番稲荷神社、氷川神社と秋祭り。6 町会がみこしあり。商店街も山車を持
っている。これらをとりまとめたパレード。子ども神輿もあり。お菓子がも
らえる。
9 月 11 日(土)
十番中央より子供みこし。山車のパレードもあり。参加者全員にお土産つき。
インターナショナルおみこし。
14:15 集合
14:30 出発
9 月 12 日(日)
連合みこしパレード。宮村町→網代町→新二会→十番睦→山元町→坂下町。
14:30 パティオ十番集合
14:45 出発
来場者数
広告宣伝方法
その他
先立って
8:00 集合
9:00 出発で十番稲荷神社の宮みこしが麻布十番商店街を練る
11:45 帰社の予定
18:00 十番青年会のみこしが十番を練り歩く
山車 約 150 人。神輿 6 つ担ぐくらい
町会の呼びかけ
3 ヶ月前から準備。警察、保健所、区役所、消防署などの許可取りから始め
る。
課題:子どもの数が減っている
101
■自由が丘ファミリーフェスタ
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
春祭り
自由が丘商店街振興組合
企業 2 社
自由が丘商店街
自由が丘全域のお菓子屋中心
G.W
30 人
お菓子屋 10 店舗、ワゴンセール 40 店
70 万円(スポンサー20∼30 万)
観光客多数
年間を通しての来客はあるが、高級住宅地としての自由が丘は、住民がゴー
ルデンウィークに海外等に行ってしまうため、人が少ない。その時期を狙っ
て、人を集めよう。
自由が丘で一番集客力のあるものを、前面に押し出し、来てもらう。自由が
丘駅正面口側を中心に、ゲストを招いてのイベントや青空市などでにぎわ
う。
今年:「スイーツの自由が丘」をテーマにレッツ(自由が丘青年部)のメン
バーが自由が丘中のスイーツ屋さんのマップ付パンフレットを配ることか
ら端を発した春の祭りは、スイーツを求めて街中を歩きながらショッピング
をして楽しいことも見つけてもらおうという企画。駅前中央会ではオープン
ステージでのミニコンサート、大人達を楽しませるに充分な洒落たムードの
演劇、映画などが催された。
5/3(火)∼5/5(木)14 時∼18 時
綿アメ、フランクフルト、ソフトドリンク、コーンスープ各 100 円ホットド
ッグ 200 円生ビール 300 円 ボトルワイン 1000 円
ひかり街 春のワゴンセール
4/23(土)∼4/26(火)
駅中会 春の芸術祭
5/3,4,5 午後 3 回オープンライブミニコンサート&カフェ
みずほ銀行駅前支店駐車場
睦会 あおぞら市
5/1 日 10:30∼16:30
熊野神社境内にてフリーマーケット
特別参加 目黒区東が丘福祉工房:コライフめぐろ推進委員会:再生品普及
コーナーETC
フード&ドリンク・コート
5/3,4,5 の 3 日間(多国籍料理)
(生ビール・カクテル・ワイン)
5/5 子供の日には「駄菓子つめ放題」
みずほ銀行(旧第1勧銀) 駐車場
それに面した通りで
102
来場者数
広告宣伝方法
その他
自分の感想
駅中会・銀座会・中央会
合同ワゴンセール
南口商店街 花と緑と南仏マルシェ
5/3,4,5 の 3 日間
場所は南口駅前 メルサⅡ横で花と植木とプロヴァンス市
スイーツフォレスト
スイーツ各店で、期間限定特別メニュー
母の日に贈る旅行券プレゼント
5/3,4,5 各イベント会場で。自由が丘各イベント会場で配布の券での応募者
の中から抽選で 50 名様に日帰り旅行券、ペア旅行券、特賞・韓国ソウルの
旅が当たる。
協賛:東京飲食生活衛生同業組合
75 万人。いつもの乗降者数 10 万人×1.5 倍×5 日間
折り込みチラシ B32つ折りで 10 万部。新聞に折り込む。HP。ポスター駅
貼り。神奈川県中心に撒く。マスコミにニュースリリース。
チラシは 4 月 28 日に 8 万 6 千 5 百部新聞に折込、4 月 29 日から 5 月 5 日
迄の午後 1 時∼3 時に駅前で手配り。4 月 25 日に携帯、WEB サイトに詳細。
27 日メルマガ 4000 件配信。
課題:立ち上がったばかり(2003 年からスタートした新しいイベント)。今
は成功しているので、これが長く続くように、アレンジをしていこうかと検
討。
成功例のようだ。完全な、街の戦略イベント。
103
■マリクレール祭り
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
自分の感想
春祭り
南口商店会(自由が丘の 12 の商店会の一つ)
自由が丘商店街振興組合
企業 5 社(地元が多いが、小さいところを入れるともっと)
自由が丘商店街振興組合、目黒区
自由が丘駅南口周辺
5 月最終金・土・日。2005.5.27(金)28(土)29(日)
50∼80 人。主に商店主。
60 店。(ワゴン販売、飲食販売)
600 万円
地元密着型。
南口は新しい商店街。南口を作り、川を埋め立て緑道に整備し始めた頃、講
談社のマリクレールと商標登録し、マリクレール通りができた。せっかくな
ので何かしようかということで始まった。新しいのでスペースに余裕もあ
り、石畳やおしゃれなイメージのフランスの雰囲気を味わうことを目的とす
る。
シャンソン、ワイン・チーズの飲食、ワゴンでショッピング。チャリティオ
ークション
20∼30 万人
折り込みチラシ B3、2 つ折りで 10 万部。新聞に折り込む。HP。自由が丘
の駅にポスター貼り。自由が丘中心に宣伝。マスコミにニュースリリース。
課題:ボランティアスタッフの高齢化。
雰囲気が自由が丘らしいと評判。今の感じを続けて生きたい。
南口商店会では、1981 年よりマリクレール・フェスティバル等で集めたチ
ャリテイ収益金を、NHK厚生文化事業団を通して社会福祉事業に寄付を続
けてきた。南口商店会 17 年度総会の会場にNHK厚生文化事業団から山下
頼充副理事長が見えて、感謝の言葉と共に感謝状が高橋克美・自由が丘南口
商店会会長に手渡された。
自由が丘のブランド戦略イベント。
104
■自由が丘盆踊り
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
自分の感想
夏祭り
自由が丘商店街振興組合
自由が丘駅前ロータリー
2005.8.4(木)∼7 日(日)8 月第一木金土日
50 人
出店なし
150 万
地元の方。マリクレール以上に地元密着。
地域親交。
駅前ロータリーに櫓が組まれ、浴衣に身を包んだ人々の踊りの輪が広がる自
盆踊り。ビンゴ大会などの催し物もあり。
チャリティビンゴ大会 :8 月 6 日(土)6 時∼7 時
盆踊りコンテスト :8 月 6 日(土)7 日(日)
各日、最優秀賞【浴衣1反】1 人×2 日
各賞【区内共通商品券¥ 3000 分】4 人×2 日
審査員:地域振興部長(審査委員長)佐竹先生、石井登氏
2,000 人(1 日 500 人×4 日間)
手作りの白黒チラシ 5 万部近隣にまく
練習日:7月 14 日(木)21 日(木)28 日(木)
自由が丘会館 3F 18 時 45 分集合 「やる気で音頭」・「大東京音頭」を練習
していた。参加者は増えている。小さい子供連れのファミリーなど多数。
落ち着いた街、高級感、大人の街というイメージに合ったイベントになって
いる。このまま続けて生きたい。
自由が丘が主催する中でも、一番地域密着型。しかし、駅前ロータリーに大
きな櫓が組まれると、駅のホームからも見え、地元の方でなくても祭りの印
象は強い。
105
■第 33 回自由が丘女神まつり
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
祭り
自由が丘商店街振興組合
目黒区、目黒区商店街連合会、東京商工会議所目黒支部
東京自由が丘ライオンズクラブ
自由が丘全域
2005.10.9 (日)、10 (月・祝)
体育の日のハッピーマンデーと、その前日の日曜。
実行委員 15 人、500 人スタッフ
自由が丘の 12 の会がそれぞれ、独自に開催する。
1,700 万円(商店街:500 万うち 300 万は補助金、残りスポンサー)
月々の会費が組合費になっている。イベントのためには集金していない。
地元の人と観光客。ファミリー多数。
ロータリーの像を、ある有名な方が自身の作品を寄贈してくださって、それ
をきっかけに始めた。像の名前は「あおざら」。通称女神。
音楽ライブ、ショー、ワゴンセール、カフェ、占い、子ども向け遊具。そ
の年のスポンサー料によって、アーティスト等のステージ内容変わる。
50 万人
新聞折込チラシ 10 万部。HP。マスコミリリース。ポスター東急全線に中吊
り、駅貼り。
自由が丘最大規模イベント。
12 の会がそれぞれ開催しているものをまとめ、ひとつのテーマパークのよ
うにするのが狙い。
それぞれに実行委員がいる。
エコ企画を組み込む。エコカップを販売し、利用者には飲み物一杯につき一
枚のシールを配布。三枚集めると豪華商品のあたる抽選会に参加できる。
ごみ問題なし。
交通規制は自分たちで。自分たちでガードマンをかける。
課題:維持が大変。ほとんど手作りで、ボランティアも高齢化。そして、仕
事をもっている人ばかり。しかしその割には、規模が大きくなってきている
ので大変。
ステージの台本等技術的なことはイベント会社に任せるが、計画・予算に関
しては商店街が手がける。
自分の感想
自由が丘の乗降者数は伸びている。東急線で比べても、他の駅は微減だが、
当駅は微増。マスコミに取り上げられるのも増えている。
儲けは考えていない。あくまでもブランディング目的。イメージ作りをがん
ばるから、売り上げは自分たちでがんばってと、店任せ。自由が丘にいけば、
絶えず何か楽しいことがやっている、治安も安心というイメージ作り。
ブランディング目的なので、地元住民より観光客をターゲットとした構成に
なっている。
106
■第 27 回目黒区民祭り
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
目黒の SUN まつり
区民まつり
第 27 回目黒区民まつり実行委員会
目黒区、目黒区教育委員会
田道広場公園、目黒区民センター、田道ふれあい橋、下目黒小学校
2005.9.18(日)10:00 から 16:00(開会式 9:30 から)9 月第 3 日曜ハッピー
マンデー
実行委員 29 人(住民、PTA連合会長、商店街の人)各部門約 10 人
56 団体出店。4 月の区報で参加者募集。
1,000 万円
半分以上は区外(オペラは区民のみ)
区民の日に(10/1)に区民として、いろいろな方々とイベントをして、区
民としての意識を高めよう。江戸の古典落語「目黒のさんま」をもじったお
祭りで、自治体が主体となり地域を活性化させるために行っている。
宮城県の気仙沼産さんまの炭火焼(無料配布)、ふるさと物産展、おまつり
広場(世界の民族舞踊、落語ほか、飲食コーナー、物販店)、子ども広場(ミ
ニSL、ミニ縁日)、スタンプラリー、阿波踊り、小学生絵画展、目黒のさ
んま祭 10 周年記念パレード
45,000 人
ポスター5千部 掲示板、4万部 区の施設の窓口、小中学校の生徒に配布、
町会の回覧
雑誌(ぴあ、Tokyo walker)
、新聞、地下鉄のパンフに取材依頼が来る。
当日午前中は会場までの無料シャトルバスを運行。駐車場なし。
※区民祭り
S52 に始まった。パレード中心だった。
時代に合わないとして、H17 イベント的なものに変化。
※さんま祭り
H7「目黒のさんま」という落語に引っ掛けて気仙沼を目黒でPRさせてく
れないかと話を持ちかけられた。気仙沼の親交と PR をかねて開催。
しかし続けていく中で、金銭的に困難な状態になり、目黒区に協力を呼びか
けた。そこで、H12 区民祭りと合体。H13 には、災害時の相互協力の提携
を行うようにもなった。
課題:
①実行委員会の入れ替わりはあるが、後継者問題。
②イベントが大きくなっているので安全の確保。地震等の危機管理体制はし
ているが・・・。
③ごみ処理‘ゴミゼロに挑戦’生ごみを堆肥化、リ・リパックというリサイ
クル容器、ごみ分別をするエコステーション。マイバッグ、マイお箸持参の
呼びかけ。2,600kg から 1,400kg にはなったが、もっと減らしたい。
今の形が定着しつつあるので、このまま続けていきたい。ただ、認知されて
いて来場者が増えてきているので、区民祭りではなく大きいイベントと化し
てしまった。しかし、安全なら問題ないと考えているようだ。
107
自分の感想
区民のためにアットホームなイベントというより、認知度が高まり、みんな
が楽しめればという方向に向かっている。一人歩きしかけたイベントになり
つつあるが、そのまま大きくなってもよいという(むしろ願っているのか)
印象を受けた。
108
■第 34 回神楽坂まつり
イベントカテゴリー
主催
共催
協賛
後援
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
夏祭り
神楽坂通り商店会
神楽坂商店街振興組合、本多横丁商店会、神楽坂仲通り商店会
東京神楽坂組合、神楽坂料理飲食業組合
新宿区
神楽坂通り 1 丁目∼6 丁目、*1∼5 丁目は神楽坂通り商店会が担当し、6 丁
目は、神楽坂商店街振興組合が担当。
第 1 部 ほおずき市 2005.7.20(水)
、21(木)
第 2 部 阿波踊り大会 2005.7.22(金)、23(土)
神楽坂通り商店会の役員数は現時点で 17 名。
その中から「神楽坂まつり実行委員会」メンバー(5 名)を選出して
当該まつりの運営に当たっている。
1,000 万円。商店会の行事として、定時総会で予算額を計上しそれを承認し
てもらい、執行する。
補助金は、昨年度交付された。補助事業名「ふれあい元気あふれる商店街支
援事業」(東京都の制度)を利用。補助金交付金額は上限いっぱいの 200 万
円。
参加者の特徴
開催主旨・目的
都心にあって、どこか落ち着きのある街の風情、路地に入ると石畳が敷かれ、
黒練塀に囲まれた料亭があり、どこからか三味線の音が聞こえてくる、この
様な街のイメージを、「伝統と現代が触れ合う粋なまち 神楽坂」と表現し
ている。
「粋なまち 神楽坂」の夏の風物詩として、前半は「静」のイメージで風鈴
の値になぞらえて「ほおずき市」を、後半は「動」のイメージで阿波踊りの
賑やかなお囃子・踊りをイベント内容として構成。よって、神楽坂まつりは
神楽坂の街のイメージを向上させていくというのが、神楽坂まつり開催の趣
旨。
イベント内容
商店会会員各位の売上向上にダイレクトに寄与する事を目的としたイベン
トではない。
第 1 部 ほおずき市
本年より、近隣のボランティア団体・商店の自主参加方式に変更。
昨年までは、露店商が出店。変更した理由は、露店商が暴力団の資金源にな
っているとの警察の指摘があったため、「安心・安全なまちづくり」の観点
から、いままでの運営方法は好ましくないと判断したため。
第 2 部 阿波踊り大会
今回で 34 回目を向かえる阿波踊り大会は、単なる商店会のイベントという
よりは神楽坂地域全体のイベントへと発展。教育行政の学区割りからいう
と、神楽坂周辺は牛込A地区。同地区には、区立小学校が 6 校ある。
近年の神楽坂阿波踊り大会では、津久戸小学校・江戸川小学校・市谷小学校・
愛日小学校の 4 校に加えて、鶴巻小学校の参加する様になった。各校ともほ
ぼ全校生徒及び教員・保護者の方々も参加。また地元の「かぐら連」も、毎
109
年 4 月より練習会を重ね大会当日に臨んでいる。この練習会は公募制になっ
ているが、かなり任期が高く 5 月頃には定員をオーバーし募集終了となる。
更に公共団体である新宿区役所、静岡県浜松市役所や、聾唖者の団体等も参
加。その他、セミプロでもある各地の阿波踊りの任意団体も参加している。
来場者数
広告宣伝方法
その他
延べ 5∼6 万人
①「神楽坂ニュース」
当商店会が年 2 回発行している一般消費者等を対象としたパンフレット形
式のニュース版を毎年 6 月下旬に発行し、神楽坂まつりの詳細な紹介する。
②ホーム・ページ
当商店会の公式HPに於いて神楽坂まつりの全容を紹介する。
③ハローダイアル
NTTのハローダイアルで神楽坂まつりに関する問合せに対応する。
④該当放送
毎年 7 月初旬より商店会が設置した街路灯に内蔵されているスピーカーを
通じて、イベント内容の紹介をする。
⑤ポスター各種
⑥横断膜
⑦各種看板
街のイメージづくりはイベントを 1 回開催したから即その効果が現れると
いうものではないと考える。
長い歳月を掛けて、多くの人々の心の中に醸し出されていく神楽坂への
プラスイメージを創造していく事が大切であろうと考える。
今年で 34 回でしたので、34 年間続けてきた。
毎年、多額の予算を執行して 30 年以上に亘り続けてきたのですから
神楽坂まつりが神楽坂のイメージアップに寄与しているのだという思いが
コンセンサスとして存在すると考える。
来街者の増加傾向は、近年顕著になっている様に思われる。
しかし、この傾向の原因が神楽坂まつりのみに帰する事は出来ない。色々な
要因が絡み合っての結果と理解する。
商店会という組織として成し得る事は、歩道等の整備といった「ハード面」
と、神楽坂まつりの様なイベント開催という「ソフト面」があろうかと思い
ますが、商店会として為し得る限界もある。
街のイメージアップを図って行くためには、商店会を構成する各店舗が
各自で営業努力を重ねて行く事も重要。
商店会と各店舗がそれぞれ努力を重ねる事により、そのシナジー効果として
商店街、更には街が良くなって行くものではないか。
現段階での課題
①ほおずき市出店者の充実
前述した様に、ほおずき市は実質的に露店商による運営であったものを、商
店会による自主運営という形態に変わった。
より活気のある、また魅力のあるほおずき市としていくためには、出店す
る店舗の充実を図って行く必要があると考える。
②阿波踊り出場連の充実
いまよりも多くの阿波踊りの連が出場し、切れ目の無い各連の行進が続く
110
こと、また各連の踊り・お囃子の技術向上を図って行くことが必要である。
③主催組織の在り方
まつりの開催規模が大きくなればなるほど、神楽坂まつりの主催組織の在
り方が検討課題となっていく。
意思疎通が良く図れると伴に、効率的な運営が図れる組織としては、どの
様な形態のものが望ましいのか、主催組織の在り方を再考していく必要があ
る。
自分の感想
しっかりとした街づくりに対する方向性が伝わるイベントである。
111
■上野さくらまつり
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出店参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
花見
上野観光連盟
東京都東部公園緑地事務所
上野恩賜公園
2005.3.19 日(土)∼2005.4.10 (日) 開花から散るまで
10 人(観光連盟)
100 店 屋台で、池の周りに簾立てて店を構えているところは許可あり。リ
ヤカーなどの簡易設備のところは、不法。取り締まりは、難しい。骨董屋も
あり。
1,000 万 電気代
100 万人のうちの東京 23 区−40%、台東区−10%、埼玉・千葉・神奈川・
栃木−50%。仕事帰りのサラリーマンやグループ、カップルが多い。最近、
アジア系外国人も 5∼6%くらいみられる。
上野公園は、歴史・文化では取り上げられるが、自然的なものは知られてい
ない。桜の他の見方もあるということを打ち出し、上野に来てもらう。50
種類の桜を目当てに。咲く時期がずれるため、1 ヶ月は咲く。
花見、お茶会
26 万人×10 日間=260 万人。ピーク時は危ないくらい集まる。
予算はない。マスコミ(TV、新聞)がニュースとして大々的に取り上げる。開
花宣言のときは、TV 局だらけ。
パンフレット→16 万部、公園入り口に設置する案内所、博物館、手配り(財
団法人東京観光財団の地域振興助成金事業助成金で作成)
なりたち:
野の桜の歴史は寛永元年(1642 年)以降の寛永寺の建立に始まると言われ
ています。現在の上野公園、竹の台辺りを中心に壮大な堂塔、堂宇が立ち並
び、その周辺に多くの大名、僧侶がさくらを寄進し、植えました。一方、忍
ヶ岡(西郷像周辺)の桜峯塾周辺にも同じ頃、さくらが植えられたといいま
す。それらが 30 年もたちますと立派な木となり、以降、花見の客で大変賑
わい、現在へと上野の花見の歴史は引き継がれています。
(HP:レッツエン
ジョイ東京)
上野公園の花見は、広小路口から竹の台にかけて桜並木があり、その両側に
ロープで花見スペース。
10m おきに分別ごみ箱を設営。8 種類の分別。ビン、カン、生ゴミ、ペット
ボトル、ビニールプラスチック、発砲スチロール、ダンボール、新聞。東京
都がごみを処理する。
仮設トイレあり。
夜桜用に堤燈が設営。
花見の期間園内に 22 時位まで照明も設けられ、夜桜を楽しむことが出来る。
ぼんぼり 1 つに一企業の名前入り。一つ¥6,000。夜桜目的だけでなく、置き
引きなどの防犯のためでもある。
課題:
酔っ払いが多すぎる。
(それでも、上野は静かなほうだが・・・。井の頭公園よ
112
りも)=若者が少ない。
今後の展開:
①木の手入れ。基金を作って、手入れをしながら、良い木を植えていきたい。
②東京都の担当が 3 年くらいで変わるから、継続できない。任せっきりにし
ないで、地元が意見を言っていくように。
http://www.dentan.jp/saijiki/index.html
113
■第54回江戸趣味納涼大会
イベントカテゴリー
主催
後援
協賛
協力
会場
開催期間
運営数
出展参加者数
予算
参加者の特徴
開催主旨・目的
うえの夏まつり
夏祭り
東京都、台東区、上野観光連盟
台東区上野 上野公園、不忍池
2005.7.17(日)~8.7(日)蓮見茶屋は 7.16(土)∼9.30(金)
企画運営 10 人(観光連盟)警察、警備会社、100 人の地元警備。
300∼500 人の参加者
3,000 万円 台東区の補助金1/3、観光連盟(協賛、町会、商店)1/3、協賛 1/3
100 万人のうちの東京 23 区−40%、台東区−10%、埼玉・千葉・神奈川・
栃木−50%。上野は男性が多いため、4:6 の割合で男性が多い。子連れ少
ない(地元にも少ない)
。
S23、4 年スタート。当時、戦争が終わったばかりで、娯楽がない時期。上
野は成長し、不忍池縁日一つとっても、みんなにとって楽しみだった。ただ、
後に東京ディズニーランドができたり、テーマパークができたり、娯楽が増
えてきたため、賑わいが激減。
池に巨人の球場にする計画あったが反対に合い取りやめ。記念に池に水上音
楽堂を造った。夏の間、内容の充実した池として、2∼3 週間夏まつり(縁日)
を続け、それが今日のような大きなイベントとなった。
イベント内容
来場者数
広告宣伝方法
その他
上野というところを、古い東京(江戸情緒)が残っている場所として、打ち
出していきましょう。(浅草や上野で江戸情緒を残していかないと、他はや
らないため、使命感もある)
蓮見茶屋、ライブ、演歌、寄席、踊り、灯篭流し、大道芸、縁日、骨董市、
植木市、氷の彫刻、ゆかた撮影会、ジャズコンサート(昨年まではパレード
も行っていた)
100 万人
ポスター、駅(JR・私鉄)→500 枚 地元向けなので貼ってくれる。
HP。チラシ→上野の店、行政の窓口、駅に 12 万枚。雑誌(取材がくる)
。
ポスター、チラシをおいてくれる駅は 20 年の流れにより常連と化している。
繁華街ではあるけれど、古い街。大きいスポンサーは少ないが、住民の協力
により続いているイベント。
観光連盟は、商店街、町会と合同で運営している。商店街の中には町会とか
ぶっているところもあるが、商店街は商売中心。町会は住民の意見を取りま
とめているところ。行政から見ても、両者を補えるところが利点。
ごみ問題なし。
今年、来年の上野中央通でのパレードは、上野地下駐車場工事のため中止だ
が、戦前戦後を通じて上野駅が東北方面への玄関駅であった事から、昔から
の東北まつり踊りが中心。盛岡のさんさ踊りが有名。企業、小中学校が参加。
だが、工事が終わっても、パレード再開は未定。
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課題:
①金銭面の問題。予算不足。
②子供が少ない。
③東京ディズニーランドのようなところへ行く人たちに、どう対応するか。
→できるだけ古い上野を継承していこう+新しいもの
今後の展開:
①スポンサーをつけたい
②歴史が深いという、上野の強みを活かしていく。
③ある程度、若い人が自発的に参加できるようなイベント。(上野というこ
とにこだわらず。
)
住民は、特に小学生や幼稚園児が少なく、お年寄りが多い。年配者向けにし
たほうが成功する。この 2 点をふまえて、新たな若者向けのものを付け出し
ていく。
自分の感想
上野は、イベントを含めた街の今後の方向性について、街への集客を観点に
考えている。
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参考文献
[ 1 ]鶴見俊介
小林和夫
編, 1988 ,『祭りとイベントのつくり方』晶文社
[ 2 ]岡本包治
編, 1992 ,『現代生涯学習全集 7
まちづくりと文化・芸術の振興
[創造・継承・発展 ]』 ぎょうせい
参考資料
[ 1 ]第 10 回しんばしこいち祭り
http://www.shinbashi.net/top/koichi/
[ 2 ]武蔵小杉法政通り商店街
http://www.kosugi-houseidori.net/
[ 3 ]三茶しゃれなあど商店街
http://www.sancha-st.com/
[ 4 ]麻布十番公式ホームページ
http://www.azabujuban.or.jp/
[ 5 ]麻布十番(麻布十番未知案内)http://jin3.jp/juban/top.htm
[ 6 ]上野商店街連合会公式サイト
http://www.ueno.jp/
[ 7 ]自由が丘商店街振興組合(自由が丘オフィシャルガイドウェブ)
http://www.jiyugaoka.or.jp/
[ 8 ]目黒区役所ホームページ(目黒区目黒のさんま)
http://www.city.meguro.tokyo.jp/info/sanma/index.htm
[ 9 ]目黒のさんま祭気仙沼実行委員会
公式サイト
http://www.k-macs.ne.jp/~sanma/
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[ 10 ]神楽坂エリアネットワーク
[ 11 ]うえのなつまつり
[ 12 ]上野観光連盟
[ 13 ]江戸下町情緒
http://syoutengai-web.net/kagura/
http://www.ueno.or.jp/summer-fest_05/
http://www.ueno.or.jp/index01.htm
http://www.dentan.jp/saijiki/hanami/hanami.html
[ 14 ]レッツエンジョイ東京
http://www.enjoytokyo.jp/OD004Detail.html?EVENT_ID=13717
[ 15 ]目黒区, 2005.9.5 ,『めぐろ区報 No.1501 』
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謝辞
本論文の作成にあたり、指導教官の服部圭郎先生には終始暖かくご指導いただきまし
たことに、深く感謝申し上げます。また、西尾敦先生にも、お忙しい中ご指導いただき
まして、厚く御礼申し上げます。
そして、取材の協力していただいた新橋こいち祭実行委員
店街振興組合
越村良久様、法政通り商
川島邦博様、三軒茶屋銀座商店街進行組合副理事長事業部長
郎様、麻布十番商店街振興組合様、自由が丘商店街振興組合事務長
黒区役所地域振興課
中山雄次郎様、目
おざわ様、神楽坂通り商店会副会長(渉外担当)
上野観光連盟副会長兼事務総長
兼
上野中通商店街振興組合理事長
遠藤久一
石井要吉様、
木村雄二様には、
お忙しい中の貴重なお時間を頂き、また快く取材に協力してくださいましたこと、この
場を借りて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
2006 年 1 月 10 日
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