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講演(2) 黒川清流公園にかかわる日野の昆虫について

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講演(2) 黒川清流公園にかかわる日野の昆虫について
講演(2) 日野の昆虫
講演(2) 黒川清流公園にかかわる日野の昆虫について
日野の自然を守る会 森川正昭
私達の住む日野市内には、何種類くらいの昆虫が生息しているのだろうか。しかし、蝶・
蛾などの一部の昆虫以外は十分調査されておらず、まだ分かってはおりません。日本国内
には、分かっているだけでも 23,000 種類程の昆虫が記録されており、その内で東京都では
10,000 種類余が確認されております。その中で蝶は 140 種類、蛾は 2,000 種類程が知られ
ております。日野市内では蝶は 70 種類、蛾は 1000 種類程の生息が確認されておりますの
で、東京都の半分程の種類が生息していることになり、この割合から単純に見た場合、日
野市内には 5,000 種類程の昆虫が生息しているものと思われます。このように、日野市内
には非常に多くの昆虫が生息しておりますが、今回、その中で、黒川清流公園にも生息し
ている昆虫を中心に、市内で見られる幾種類かの昆虫についてお話したいと思います。
日野市の昆虫を調べた研究者たち
日野市の昆虫についてお話をする前に、日野市の昆虫を調べた 4 人の研究者について、
ご紹介いたします。
片岡尤二氏
日野の自然を守る会の元会長で、蝶の研究者として市内の蝶を
調査、また市内で少なくなっていく蝶を絶やさない為に放蝶研
究所を設立し、市内の蝶の保護に努めた。
神保一義氏
元日本蛾類学会の会長で、特に山岳地帯で見られる高山蛾の
研究者として有名。また、市内の蝶、蛾を調査して、蛾は 1,000
種類以上を記録し纏めた。
矢島
稔氏
元多摩動物公園園長で、現ぐんま昆虫の森名誉園長。昆虫学者
としてあまりにも有名。昆虫学者になった原点は、高校 2 年
生の時に東京昆虫祭で発表したマダラミズメイガの研究が入
賞したことによる。
岡崎常太郎氏
学習院大学の教授で、多摩丘陵に生息するハエの研究者。か
つて平山城址公園にあった平山資料館の開館に尽力、多くの
昆虫標本を残した。矢島稔氏の恩師でもある。
日野市内や黒川清流公園に生息していたが、今は絶滅した蝶、新しく増えた蝶
日本国内には 260 種類程の蝶が生息しておりますが、東京都には、今お話をしました様
に、140 種類程が記録されております。その中で日野市内では、現在 70 種類程が知られて
おりますが、この半世紀の間に、市内の蝶の種類も変わってきました。環境の変化により、
市内では絶滅した蝶や絶滅が危惧される蝶もいます。黒川清流公園で見られたミドリシジ
ミも今は殆ど見られなくなり、市内での絶滅が危惧される蝶の一種です。しかし、その反
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講演(2) 日野の昆虫
面、温暖化等の原因により、昔は見られなかった亜熱帯性の蝶や山地から分布を広げてき
た蝶も見られる様になりました。
市内で絶滅した蝶や絶滅が危惧される蝶、
シルビアシシミ、ミヤマシジミ、クロシジミ、ツマグロキチョウ
オオムラサキ
アサマイチモンジ、
、
ミドリシジミ
この 10 年の間に新しく棲みついた蝶や山地から分布を広げてきた蝶
アカボシゴマダラ、ナガサキアゲハ、クロコノマチョウ、ツマグロヒョウモン、ムラサキツバメ
ウスバシロチョウ
コムラサキ
日野市内や黒川清流公園で見られるホタルの仲間
黒川清流公園では、6 月中旬より下旬にかけて、数は多くはありませんが、ゲンジボタル
を見る事が出来ます。しかし、黒川清流公園で見られるゲンジボタルは、もともと、ここ
で発生していたものではなく、他の産地から持ち込まれたものの様です。
日野市内には、ゲンジボタル以外にも、ムネクリイロボタル、スジグロボタル、オバボ
タル、カタモンミナミボタル、クロマドボタル等も生息しており、これらのホタルも僅か
ながら光を放つことが知られております。黒川清流公園にはその内のムネクリイロボタル、
スジグロボタルが生息しております。また、市内ではヘイケボタルの記録もありますが、
私はまだ確認をしておりません。
ゲンジボタル
クロマドボタル
ヘイケボタル
オバボタル
ムネクリイロボタル
スジグロボタル
カタモンミナミボタル
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講演(2) 日野の昆虫
日野市内や黒川清流公園で見られるタマムシの仲間
夏の暑い日に、エノキの樹冠に飛ぶタマムシを見たことがあると思います。そのタマム
シは日本には 220 種類程が知られておりますが、日野市内でも 42 種類程の生息を確認して
おります。その中で、皆さんが良く知っているタマムシはヤマトタマムシと言われ、日本
のタマムシの中で最も大きい種類です。しかし、殆どは 10mm にも満たない小さな種類で、
気をつけて探さないと見つかりません。黒川清流公園でも、ヤマトタマムシ、ムツボシタ
マムシ、ホソアシナガタマムシ、オオウグイスナガタマムシ、ダイミョウナガタマムシ、
マメチビタマムシ、ヤノナミガタチビタマムシなどが見つかります。また、多摩川の河川
敷にはホソツツタマムシ、クロケシタマムシなどの河川敷でしか見られないタマムシが生
息しております。
ヤマトタマムシ
ムツボシタマムシ
ダイミョウナガタマムシ
ホソツツタマムシ
日野市内や黒川清流公園で見られるウスバカゲロウの仲間
ウスバカゲロウをご存じですか。幼虫はアリジゴクと言います。アリジゴクは誰でも知っ
ている虫で、子供の頃に家の縁の下やお宮の境内ですり鉢型の巣を見つけて、中にいるア
リジゴクを見つけたことがあるのではないでしょうか。その成虫がウスバカゲロウです。
夏の夕方、家の中にひらひら飛んで来たのを見たことがある人も多いのではないでしょう
か。しかし、このウスバカゲロウにも色々な種類がいるのを知っている人は少ないと思い
ます。日本国内には17種類程の種類が知られておりますが、その内、日野市内には 5 種
類いる事が分かりました。多摩丘陵の林には、ウスバカゲロウ、コスウバカゲロウ、ホシ
ウスバカゲロウの 3 種類、多摩川の河川敷にはクロコウスバカゲロウ、カスリウスバカゲ
ロウの 2 種類が生息しております。黒川清流公園ではウスバカゲロウ 1 種類を確認してお
ります。
ウスバカゲロウ
クロコウスバカゲロウ
コウスバカゲロウ、
ホシウスバカゲロウ
カスリウスバカゲロウ
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講演(2) 日野の昆虫
黒川清流公園や日野市内で見られる幾種類かの昆虫
絶滅が危惧されるミドリシジミの成虫と卵と幼虫
ミドリシジミの♂
食樹のハンノキ
卵
幼虫の巣
幼虫
黒川清流公園や多摩丘陵で見られるホタルの仲間
ゲンジボタル
オバボタル
スジグロボタル
クロマドボタル
ムネクリイロボタル
カタモンミナミボタル
黒川清流公園や多摩川河川敷で見られるタマムシの仲間
ヤマトタマムシ . ムツボシタマムシ
ダイミョウナガタマムシ
ホソツツタマムシ
クロケシタマムシ
黒川清流公園や多摩丘陵、河川敷で見られるウスバカゲロウの仲間
カスリウスバカゲロウ
同上
ウスバカゲロウ クロコウスバカゲロウ ホシウスバカゲロウ コウスバカゲロウ
同上
同上
同上
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