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(2)自然換気とハイブリッド空調の省エネ効果
2015年度《BEST専門版》講習会 [建築]プログラムの使い方・中級(2015/10/16) 自然換気とハイブリッド空調の省エネ効果 ⼭本 佳嗣(⽇本設計) Agenda 2 1.⾃然換気システムとは 2.BEST専⾨版 ⾃然換気計算機能の特徴 3.⼊⼒上の注意点 中性帯の⾼さ 換気⼝⾯積 ⾃然換気許可条件 4.標準オフィスモデルを使った演習 5.設計で活⽤するための検討例 ハイブリッド空調の省エネ効果 建築要素による室温変動の違い ⾃然換気システムとは 3 <⾃然換気事例:栃⽊県庁舎> 逆流防止窓 (光庭側) 光庭 定風量換気装置 定風量 換気装置 ボイド <高層階> 温度差換気主体 <低層階> 風力換気主体 <地下駐車場> ビル風を導き込み換気 ⾃然換気システムとは 4 <⾃然換気事例:栃⽊県庁舎> ダブルスキンによる熱負荷軽減(西日対策)+自然換気によって中間期 の空調負荷 を削減 ■ペリメーター給気口面積 (手動) 1スパン当たり0.2㎡ 床面積当たり0.0028㎡ (1/350) ■吹抜け換気口(自動) 有効開口面積 7.4㎡/フロア 床面積当たり 0.0088㎡ (1/120) 執務室 外部吹抜 執務室 執務室 バランス式逆流防止窓 執務室 ダブルスキン シングルスキン ⾃然換気計算機能の特徴 5 ・作成した建築モデルに対して、換気⼝⾯積、⾃然 換気許可条件、スケジュールの⼊⼒を⾏うことに より、⾃然換気時の室内環境、処理負荷、時間数 の検討が可能 ・⾃然換気しながら不⾜分を空調機で処理するハイ ブリッド空調の検討が可能 ・中性帯を建物⾼さの2/3に設定する事により、少 ない⼊⼒で温度差換気の検討が可能 ⾃然換気の基本式 6 温度差換気 風力換気 ここで Q:自然換気量[m3/s]、αA:換気口実効面積[m2]、h:給気口と排気口の高低差 [m]、Δρ:室内外密度差[kg/m3]、C1:風上の風圧係数[‐]、C2:風下の風圧係数[‐]、 ρo:外気の空気密度[kg/m3] 7 ③⼊⼒上の注意点 中性帯⾼さについて 8 中性帯⾼さが建物⾼さの2/3の位置になる例 <断⾯図> H -h N P L RFL H‐hNPL 3,000 <前提条件> (1)各階給気開⼝の合計(αA)給気×4フロア と頂部排気⼝の合計(αA)排気が等しい 5FL NPL 吹き抜け h PL hNNPL 3FL 廊下 (αA)給気×4フロア×(hNPL/2)1/2 =(αA)排気×(H-hNPL)1/2 また、給気⾯積と排気⾯積は等しいため 4,200 2FL 1FL (3)無⾵時で温度差換気のみ 温度差換気の基本式より 4FL 自然換気対象室 (2)室内外温度差⼀定で吹き抜け内の温 度勾 配が⼀定 hNPL/2=H-hNPL →hNPL=2/3H 換気⼝⾯積の算出例 9 <必要換気量の算出式> ・ ・・・(2) <換気⼝⾯積の算出式> / 0.33 ・ ・・・(3) ∆ / 2/ ここで q:必要換気量[m3/h・m2]、H:1日における自然換気対象時間の平均空調負荷 [W/m2]、ti:目標室内設定温度[℃]、to:外気温度[℃]、αA:換気口実効面積[m2]、 hNPL:中性帯高さ(建物高さの2/3の位置と想定)、hi:換気口の地上からの高さ[m]、 Q:必要換気量[m3/s]、ΔT:内外温度差[K]、Ti:室内温度[K] 換気⼝⾯積について 10 (αA)2 (αA)3 (αA)1 2 2 2 1 1 1 1 A合 A1 A2 A3 A A合 (αA)1=(αA)2=(αA)3=(αA)の場合 3 A A合 (αA)1=2×(αA)2=(αA)3=(αA)の場合 6 A A合 (αA)1=(αA)3=(αA)の場合(パスがない場合) 2 換気基本式を⽤いて換気量を算出する場合 直列合成の式を⽤いて実効⾯積を求める。 2 ⾃然換気許可条件について 11 ■許可条件実態調査(42物件の⾃然換気事例を調査) ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ② ② ③ ③ ③ ① ③ ② ② ② ③ ② ① ① 1998 1999 2002 2003 2003 2004 2004 2004 2006 2001 2006 2006 2013 2008 2009 2010 2013 2005 2013 2013 2011 2012 1993 1996 東京 93,000 神奈川 24,000 東京 10,000 東京 23,000 東京 9,700 大阪 14,000 埼玉 7,000 岐阜 8,000 東京 17,000 香川 9,000 長野 53,400 中部地方 53,400 東京 16,900 東京 10,200 神奈川 92,100 東京 26,000 栃木 10,000 長野 9,600 埼玉 71,400 大阪 295,000 大阪 187,800 群馬 32,400 東京 7,700 北海道 120,000 宮崎 26 000 31 3 7 7 6 7 4 4 6 12 7 7 17 5 22 4 2 5 5 38 38 6 10 5 9 3 1 1 0 0 1 0 0 0 1 0 0 1 1 2 1 1 0 0 3 3 1 1 2 1 オフィス(テナントビル) 研究所 学校 研究所 研究所 オフィス(自社ビル) 学校 水族館 オフィス(自社ビル) オフィス(テナントビル) 研究所 研究所 学校(大学院) オフィス(自社ビル) オフィス(自社ビル) 官公庁 オフィス(自社ビル) オフィス(自社ビル) 物流施設・事務所 オフィス(テナントビル) オフィス(テナントビル) オフィス、図書館、診療 オフィス(テナントビル) 商業ビル ホテル 12 17 25 15 12 18 9 18 19 17 18 16 15 15 15 10 16 5 10 設定 18 18 15 15 23 26 室温 20 26 27 27 27 21 26 室温 室温 25 26 室温 ● ● ● ● 20 26 20 28 14 28 24 17 20 24 26 28 28 20 5 28 18 16 20 ● ● ● ● ● 19.5 15 室内 19 13 ● ● 19 20 24 30 25 25 90 90 90 80 80 ● ● ● 0:00 ● ● ● ● ● 8:00 9:00 ● ● 9:00 ● 8:00 ● ● ● 9:00 ● ● ● ● 9:00 ● ● 8:00 ● ● 8:00 ● ● ● 6:00 ● ● ● 7:00 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 8:00 ● ● ● ● ● ● ● ● 8:30 ● ● ● ● ● ● ● ● 10:00 ● ● ● ● ● 7 00 ● ● ● ● ● ● ● ● ● 許可条件のタイプ分け 【t-h 型】 絶対湿度[kg/kg] 外 23:00 冬 20 00 季 絶対湿度[kg/kg] 2 物件/42 物件 室内 室内エンタルピ (室内状態により変化) 室内 外気下限 乾球温度[℃] 外気上限 【Lt-h 型】 室内エンタルピ (室内状態により変化) 外気上限 室内 乾球温度[℃] 3 物件/42 物件 室内 室内エンタルピ (室内状態により変化) 外気下限 外気上限 【h 型】 7 物件/42 物件 乾球温度[℃] 室内 乾球温度[℃] 【t 型】 外気下限 露点温度 (絶対湿度) 外気下限 外気上限 乾球温度[℃] 18:00 21:00 18:00 22:00 外 23:00 外 外 外 外 18:00 外 17:10 外 外 5 物件/42 物件 絶対湿度[kg/kg] 外気下限 絶対湿度[kg/kg’] 室内 18:00 【t-h-φ 型】 9 物件/42 物件 室内エンタルピ (室内状態により変化) 0:00 19:00 17:30 18:00 18:00 12 【t-x 型】 9 物件/42 物件 ・空調時間帯 [ ]まで ・空調時間帯 [ ]から □粉塵なし □降雨なし □外部風速≦設定値 □外部エンタルピー<内部エンタルピー □露点温度 □外気温<室温 相対湿度 ≦[ ]% 外気露点温度 ≦[ ]℃ 30 5 26 25 27 [ ]%≦ 相対湿度 室温 ≦[ ]℃ 用途 [ ]℃≦ 外気露点温度 延べ床 地上 地下 面積 [ ]階 [ ]階 (㎡) [ ]℃≦ 室温 所在地 絶対湿度[kg/kg] SIオフィスビル F研究所 N学校 K研究所 S研究所 Yオフィスビル WRPC学校 AG水族館 TB本社ビル Mオフィスビル E研究所 某研究所 某学校 某オフィスビル 某オフィスビル 立川市庁舎 G本社ビル 某オフィスビル 某物流施設 某オフィスビル 某オフィスビル 某複合施設 某オフィスビル S複合施設 Aホテル 調査 方法 竣工年 乾球温度[℃] 絶対湿度[kg/kg] 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 物件名 [ ]℃≦外気温 No. <自然換気許可条件> 外気温≦[ ]℃ <建物概要> タイプ別の許可時間数(東京・⽇中) 13 ■基準条件としての設定値 2000 時間数(h) 1800 t-h型 1600 1278 1400 1200 1266 t-x型 972 1010 999 878 1000 t-h-φ型 800 600 t‐x型 t‐h‐φ型 t型 h型 Lt‐h型 Ⅰ‐①~⑧ Ⅰ‐⑨,⑩ Ⅱ‐①~③ Ⅱ‐④~⑦ Ⅱ‐⑧~⑩ Ⅲ‐①~⑥ Ⅳ‐①,② Ⅳ‐④ 15℃≦外気温≦26℃ 30%≦相対湿度≦90% エンタルピ52.9kJ/kg'以下 15℃≦外気温≦26℃ h型 エンタルピ52.9kJ/kg'以下 Lt-h型 15℃≦外気温 エンタルピ52.9kJ/kg'以下 200 t‐h型 15℃≦外気温≦26℃ 5℃≦露点温度≦19℃ t型 400 0 基準条件設定値 15℃≦外気温≦26℃ エンタルピ52.9kJ/kg'以下 Ⅰ-①〜⑧:各条件共通 Ⅱ-⑧〜⑩:30%以下の低湿度 Ⅱ-④〜⑦:26℃50%エンタルピ以上 露点19℃以下 Ⅳ-①,②:15℃以下の低温 設定値の感度分析(東京・⽇中) 14 15 ④標準オフィスモデルを使った⼊⼒演習 建築モデル 16 <モデル平⾯図> <計算条件> 12300 設定値 標準年EA気象データ (2000年版 東京) 階⾼ 4.0m 建物⾼さ 40m 照明負荷 10W/㎡ 在室者 0.15⼈/㎡ 機器負荷 15W/㎡ 家具類熱容量 15J/(lit・K) 窓 ⾼⽇射遮蔽型Low-ε 複層ガラス +中間⾊ブラインド 窓⾯積率50% N 西 南 インテリア 東 西 インテリア 東 北 24600 地域 12300 ⾃然換気スケジュールの設定(年間) 17 自然換気を行う期間を 4/1~6/30 9/1~11/30 に設定 ⾃然換気スケジュールの設定(時刻別) 18 時刻別スケジュールを記入 ここでは24時間自然換気可能と している ⾃然換気許可条件の設定 19 スケジュールの選択 自然換気許可条件 冷房中の自然換気を「許可する」 にするとハイブリッド空調となる。 ⼀括仕様設定による換気⼝⾯積の設定 20 換気口が設置される外壁の方位を入力 0 :北、90 :東 180:南、270:西 空白の場合は外気風の効果なしとする ①有効開口面積法 →開口面積を設定 ②換気回数法 →一定の換気回数を設定 ゾーン毎の換気⼝⾯積の設定 21 一括仕様設定名と自然換気制御名を設定 し、①有効開口面積法を選択 1ユニットの有効開口面積×ユニット倍数が 有効開口面積αAとなるように設定 計算の実⾏と結果出⼒ 22 自然換気を行う室の設定が終了したら計算を実行します。 計算結果は結果出力でも確認できますが、CSVデータは「BEST‐P ¥work ¥Files_ObjectInfo ¥Object001 ¥Result」フォルダ内にbestNvH/M/Uとして保存さ れています。このデータを利用してグラフ等を作成する事ができます。 計算結果:⾃然換気回数と室変動 23 ⾃然換気におけるインテリアの設定について 24 8ゾーン_北 室温 8ゾーン_西 室温 2ゾーン 室温 自然換気時室温(6/5) 8ゾーン_東 室温 28.5 28.0 27.5 27.0 26.5 26.0 25.5 25.0 24.5 24.0 23.5 室温[℃] 室温[℃] 自然換気時室温(6/5) 8ゾーン_インテリア 室温 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 時刻[時] (a)ゾーン間換気を設定した場合 23 8ゾーン_インテリア 室温 8ゾーン_北 室温 8ゾーン_西 室温 2ゾーン 室温 8ゾーン_東 室温 28.5 28.0 27.5 27.0 26.5 26.0 25.5 25.0 24.5 24.0 23.5 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 時刻[時] (b)ゾーン間換気なし 21 23 25 ⑤設計で活⽤するための検討例 冷房負荷[MJ/㎡] 開⼝⾯積とハイブリッド空調の効果 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 :開口制御 開口制御 :ハイブリッド空調 HV :自然換気 NV 1 16 50 0.0005 開⼝⼩ 9 21 67 0.001 26 48 54 73 19 17 14 98 10 82 82 79 70 0.0035 0.004 0.006 0.01 αA[㎡] 開⼝⼤ ⾃然換気時の室温変動(6/5〜6/7) 温度[℃] 自然換気なし 単板ガラス 30 28 26 24 22 20 18 16 自然換気 外気温度 直天仕上げ 自然換気 27 基準モデル 自然換気 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 (0.0) 0 4 8 12 16 20 24 4 8 12 16 20 24 4 8 12 16 20 24 時刻[時] ケース 開口部仕様 天井・床 仕上げ 高日射遮蔽Low-εガラス 基準モデル 天井・OAフロア・カーペットあり 空気層6mm(t=8mm) 単板ガラス 単板透明ガラス (t=8mm) 直天仕上げ 高日射遮蔽Low-εガラス 天井・OAフロア・カーペットなし 空気層6mm(t=8mm) スラブ露出 天井・OAフロア・カーペットあり ⾃然換気時間数(東京) 500 450 非空調時 400 空調時 時間数[ h] 350 300 250 200 150 100 50 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 28 都市による負荷低減効果の違い 自然換気なし_冷房負荷 29 自然換気_冷房負荷 ハ ハイブリッド空調_冷房負荷 2000 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 250 200 150 100 50 那覇 鹿児島 福岡 高知 大阪 甲府 名古屋 長野 東京 青森 0 自然換気時間数[時間] ハイブリッド空調_時間数 300 札幌 中間期の冷房負荷[MJ/㎡] 自然換気_時間数