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人 間 科 学

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人 間 科 学
人
間
科
学
(XVH)
筒 井 健 雄
信州大学教育学部紀要第 4
5
0月
1
9
8
1年 1
人間科学 (
X
V
I
I
)
一 一 「 心 に つ い て の 5つ の 質 問 」 に よ る
横断的な発達心理学的研究一一
筒 井
健 雄
はじめに
1
9
6
8年以来,毎年児童心理学講義の頭初に,次のような 5つの質問を行なって来たことは
既に「人間科学 CX)l)Jによって発表済みである。
l
く大学生用質問項目>
1 心身問題について
ィ ー … す る が … ー る 一 説 )
ロ 死ぬと身体と同様,心もまた消滅する。〈霊魂消滅説〉
ハ
どうしてもきめられない。わからなし、。
E
2 神仏の存在について
桝
M肌
仏t
似…
ロ 神や仏は(外在的に〉存在しない。
イ
ハ
3
どうしてもきめられない。わからない。
タイム・トラベルについて
イ
)
科学がもっと発達すればタイムマシンやタイムトンネルなどによって,過去や未
来の世界へ行ける。
i
ロ
科学がどんなに発達しても過去や未来の世界へは決して行かれない。
どうしてもきめられない。わからない。
4 脳移植が成功したと仮定して
Aさんに Bさんの脳を移植できたとする。移植直後,意識が回復した時のその人の自我
E
意識は誰か。
M …Mん
叫
で
ロ Bさんでで、ある。
イ
ハ
どうしてもきめられない。わからない。
5 科学の進歩により精巧なロボットができたとする。
!イ山進歩一ットでも人間…むは持つこーなし
ロ 進歩したロボットは人間と同じような心を持つことができる。
ハ
どうしてもきめられない。わからない。
この 5つの質問を児童心理学の頭初に行なう理由は次のような点にある。
1 科学的存在観による心(人格の働き〉の説明へと学生を導くため。
8
2
信州大学教育学部紀要 N
o
.45
2 学生はこれまで心身二元論の影響下にあったと考えられるため,その度合を知ること。
学生はこれまで心身二元論の影響下にあったと考えられるため,科学的存在観に基づく心
の説明には抵抗を覚える。しかし,その度合は学生毎に違うといえる。霊魂不滅説に立つ学
生は大きな抵抗を覚えるだろうし,霊魂消滅説を肯定する学生は余り抵抗を覚えないであろ
う。このような多様性を知ることによって,どのように講義してゆくべきかという心構えを
つくることができるのである。
さらにまた,このような資料は科学的存在観が普及する以前の状態がどのようなものだっ
たかという点を知る上で将来貴重なものとなるであろう。
今回は小・中学生用の質問項目をつくり,横断的な調査によって,どのような発達的変化
がみられるかを研究した。
小 学 校 1年生から中学校 3年生に至るまで同ーの質問紙を使ったのであるが,それは次に
示すようなものである。
(
1
) 小・中学生用質問項目
こころ
しつもん
心についての 5つの質問
ところ
Lつもん
こころ
わたくしたちは心をもっていると L、し、ます。心についての 5つの質問をします。それぞれ
しつもん
こたえか
おも
いちばんあ
の質問にはイ,ロ,ハの 3つの答が書いてあります。あなたの思っているのに一番合ってい
こアこえ
る答にOをしてください。
がおいん
〈み
子年
組番号
ばんごう
危まえ
名i
i
i
j
1 あなたはマンガのドラエモンがすきですか。よんでみるとたのしいですね。そのマ γ ガの中にはタ
で
むかしせかいい
せかいい
イムマシンが出てきて,昔の世界へ行ったり,これからの世界へ行ったりします。あなたはこんなタ
おも
イムマシンにのってみたいと思いますか。
ほんとう
むかし
せかい
い
ところで,こんなタイムマシンにのって本当に菅の世界へ行けるようになるでしょうか。
ほんとうい
おも
f
イ 本当に行けるようになると思います。
こたえ
1
ぜったいい
おも
答- i
ロ 絶対に行けるようにはならないと思います。
し
、 わかりません。
しやかい
じんじゃ
てら
かみさま怯主けさま
2 わたしたちの社会には神社やお寺があります。そこには神様や仏様がおいでになるといわれていま
かヨ与さまほ 2
ヒけさまほんとう
おも
す。ところで,あなたは神様や仏様が本当にいると思いますか。
「
イ
とた全
ほん主う
おも
本当にいると思います。
1
ほん之う
し
、
わかりません。
おも
答- i
ロ 本当はいないと思います。
こころ
とこるたましい
ひ主し
たましい
3 わたしたちは,みんな心をもっています。心は魂ともいわれます。人が死んでも魂はなくならない
ひと
舷かひとしたましい
ひと
という人がし、ます。その他に人が死ぬと魂もなくなってしまうと L、う人もいます。
ひ と し た ま し い
おも
し
おも
あなたは人が死んで、も魂はなくならないと思いますか。それとも死んだらなくなると思いますか。
「
イ
こたえ
l
し
死んでもなくならない。
し
答- i
ロ 死んだらなくなる。
し
、
わかりません。
にんげんからだなかあたまたいへんたいせつ
あたまなか
のう
4 人聞の身体の中で頭は大変大切なところです。それは頭の中には脳があるからです。
筒 井 : 人 間 科 学 (XV
I
I
)
やまかわ
こうつうじこ
たいせつのう
8
3
たにかわ
お な じ と の う
たす
山川さんは交通事故でその大切な脳がこわされました。谷川さんは同じ事故で脳だけが助かりまし
いしや
やまかわ
からだたにかわ
の う いU
(
た。お医者さんが山川さんの身体に谷川さんの脳を移殖(¥,、れかえ〉しました。
ほん kう で き
ひとき
kき じ ぷ ん
だれ
おも
これが本当に出来たとして,その人が気がついた時,白分のことを誰だと思うでしょうか。
やまかわ
おも
1
たにかわ
おも
1
、
ノ
わかりません。
[
イ
とたた
答
山川さんだと思います。
1ロ 谷川さんだと思います。
なか
たいへんかっゃく
おな
5 マンガの中ではロボットが大変活躍していますね。ところでロボットはわたくしたちと同じような
こころ
も
心を持つことができるでしょうか。
ひと
ひと
おも
できるという人と,できないという人といますが,あなたはどう思いますか。
おも
I
イ できないと思う。
こたえ
答
l
おも
1ロ できると思う。
し
、 わかりません。
小・中学生用質問項目については大学生に施行する問題をそのまま使っては難かしすぎる
ので,小・中学生向きに改訂をした。なるべく質問の主旨を変えないように心掛けたのでは
l
仏の存在」のように主旨まで変ったのではなかろうかと思うものもある。
あるが,中には 1
f
:
1
t
これを大学生用のと較べると問題の順序や用語の点で違いがある。まず第 1に大学生用の 1
番と 3番が入れ換っている。これは小・中学生にし、きなり死の問題を問うことをためらった
からであり,
ドラエモンなどを出して楽しい雰囲気をつくることをねらったからである。第
2に大学生用では神仏の存在を聞く時に外在的と L、う用語を使っているが,これは小・中学
生には難しいので「本当に」と L、う言葉で代用することにした。第 3に「心身問題」につい
て,大学生用には身体の消滅という言葉ではっきり聞いているが,小・中学生用では身体と
いう言葉を出していなし、。第 4に 5番の「ロボットの心」で精巧なロボットという言葉を出さ
なかった。子どもに対して余り複雑な条件をつけると混乱したり誤解したりするからである。
(
2
) 施行方法
長野市の A小学校においては
2年生から 6年生までの全校生徒について各クラスの担任
が質問紙を配布して一斉に施行した。実施日時 1
9
8
0年 4年 3
0日午前中。 Y小学校においては
1年生のみ担任が質問用紙を読み上げる形で施行。実施日時はクラスによって違い
4月2
6
日から 5月 6日の間であった。 S中学校においては,全学年とも同年 5月1
0日の午前中に各ク
ラスの担任が実施した。なお各学年のクラス数や男女数などは TABLE1に示す通りである。
(
3
) 小・中学生の結果の予想
X
)において述べた。
科学的存在観に立った場合に考えられる正解については既に人間科学 (
ぞれらは 5問ともロが正解となるのである。勿論,心身二元論者はロを正解とすることに
不満を覚えるであろう。心身二元論の立場からみれば, (神仏の存在),
(心身問題),
(ロボ
ットの心〉などではイが正解とされるかそうでなければハとなる他はないということになる
であろう。
本研究で、は科学的存在観の立場に立って研究をすすめているが,児童・生徒はどのような
立場に立っているのか,それを,この質問紙への反応により具体的にとらえることに主眼が
8
4
信州大学教育学部紀要 N
o
.4
5
おかれなければならない。しかも研究を通して,研究者自身の対象に対する予想能力を高め
ることが研究をすることの最も重要な意義なのである。その予想能力を高めるためには板倉
板
のいうように,まず,実験や調査に先立って予想を立ててみることが重要なのである 2) (
0
倉 1969) しかも,ここでは仮説・検証における仮説というような厳密な意味でなく,もう少
し柔軟な意味を持たせて,予想とし、う言葉を使うことにする。
1の「タイム・トラベル」については,イが 1年生の頃は 20%
位で
4年生頃迄やや I
i
i加
してゆき 4年生からは急速に増加すると予想した。理由は 4年生頃から音声言語による内省、
が可能となるから時聞が絶対的なもの独立的なものと受け取られるようになるからである。
2の「神仏の存在」についてはイと答える子どもの割合は余り変らず (50%
位〉ロとハが
相補的に変化して, ロは増加傾向,ハは減少傾向を示すと考えた。
3の「心身問題」については,やはりイが学年と共に減少する傾向にあり,ハがそれに続
き,ロが次第に増えてゆくと考えた。
4の「脳移植後の自我意識」についてはイとハがそれぞれ 10%以内で、あり,
ロは 80%で横
ばい状態と予想した。
5の「ロボットの心」では 1年生頃はロが多く (70%
位〉次第に減少してゆくと考えた。
したがってイは始めは少なく,次第に多くなってゆくと考えたのである。一方ハは 10%位
で変らないと予想した。
以上は学年差であるが,男女聞には意味のある差はないだろうと予想した。
(
4
) 結果
小・中学生の学年・男女別比較
Table1
1組
2組
3組
Table2
4組
5組
総計
│
女
│
計 男│女│計
I
f
t
l
計男
男
│
女
│
計男
│
女
│
計男
│
女
│
計男
6
1
2
13
7
1
1
41
3
1
2
71
6
1
2
03
6
l年生 1
4
6
1
5
41
0
0
総計
1
Ui2組 3組 男子 女子
1
0
0
人 3
7
人 2
7
人 3
6
人 4
6
人 5
4人
会1% 会1%議 会1%会1%会1%
5
1
1
91
7
1
3
61
9
1
1
73
8
1
1
73
6
1
1
91
5
1
3
4
3年生 1
イ5
1同左 9
1
2
4
2
4
1
6
73
0
1
6
52
1
1
3
9
7
1
1
7
41
4
5 タイム
1 .トラ ロ2
7 λy 1
1
1
2
31
5
1
4
13
1
1
19
1
2
51
6
1
3
0
~ノレ
ア
ハ22 ノ
¥
2
23
1
1
11
1
3
1
3
56
18 5
7
1
3
1
7
5
1
6
61
4
1
8
1
1
93
7
1
2
01
8
1
3
81
8
1
2
03
8
4年生 1
5
6
1
5
71
1
3
8
1
1
83
61
6
7
1
1
93
6
1
1
91
8
1
3
71
7
1
1
93
2年生 1
9
1
1
63
51
8
1
1
73
5
1
1
81
7
1
3
51
8
1
1
73
5
5年生 1
3
1
2
14
4
1
2
52
0
1
4
52
5
1
1
94
4
6年生 2
イ75
1
仏の ロ 9
2存事1
在
4
0
7
3
1
6
71
ハ1
6
0
1
1
3
3
7
36
'
1
"1生 1812038118191371811937119181371811937191951186
7
0
1
7
51
4
5
"
1
"2生 181193711917136161203611719136
8
1
1
83
6
1
1
61
9
1
3
51
9
1
1
83
7
1
1
81
6
1
3
4
中 3生 1
4
2
7
1
1
7
11
ル
'
ケ
ノ
1
1
2
1
8
12
1
1
7
6
2
5
1
6
82
8
1
7
83
4
1
7
44
4
1
1
1 14 4
1
1
1 419 519
8
1
2
24
1
1
54
1
1
78
1
1
18
1
1
5
イ53
1
6
1
4
32
2
1
8
11
5
1
4
22
7
1
5
0
6
1
5
72
3心身問 ロ2
8 λy 1
2
1
3
21
141
5
1
4
21
3
1
2
81
5
1
2
8
M
T
I
ハ1
9グ 9
1
2
44
1
1
51
2
1
2
2
1
1
56
1
1
77
ノ
γ
イ27
7
1
1
95
1
1
91
5
1
4
21
4
1
3
01
32
4
5 "1
0
1
2
78
1
3
01
7
1
4
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6
1
3
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93
5
我
後
移
意
の
植
識
自 ロ3
4脳
ノ 2
ハ38 ア
0
1
5
41
4
1
5
24
1
1
11
6
1
3
52
24
1
"
イ4
7
5ロボッ ロ3
6
トの心
ハ1
7
45
22
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1
4
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1
1
52
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1
7
22
3
"1
1
2
1
3
21
6
1
5
98
1
2
21
83
83
91
3
ア
ノ
ア
必
32
4
8
1
2
27
1
2
62
1 6 4 91
筒井:人間科学
(
X
V
I
I
)
Table4
Table3
H丑 2*
丑 H丑 4組
総計
2
8
5
男子 女子
7人 3
6人 7
1人 7
4人
1
4
5人 3
6人 3
6
人 3
│
五
1
%五
1
%会
1
%五
l
語会
会1
%五
1
%会
小
3
5
2
7
1
1
9
タイム
1.トラ ロ 3
9
1
2
71
42
2
1
3
0
3
1
3
69
1
2
51
1
1
3
0
16
1
1
7
1
1
72
""ノレ
ハ 4
1
1
2
81
2
4
2
4
1
3
2
0
1
2
85
6
1
4
41
1
1
4
1
1
0
[
2
8
1
1
7
8
2
9
1
3
28
9
1
2
15
8
1
3
4
1
9
22
8
1
7
8
1
5
4
イ1
1
57
存I仏
在の ロ 1
2利
91
1
1
23
18
1
1
31
8
16 8
3
11 3
3
13
18 3
ハ 1
1 813 8
17 9
13 81010 5
[
1
4
14 6
十
22
46
7
1
4
96
95
0
1
6
8
9
1
5
3 13
49
イ 9
96
81
3心身問 ロ 251
4
1
1
52
11
0
1
1
4
78
1
2
21
0
!
2
8 2 5 51
題
ハ 2
11
9
1 71
01
4
1
1
9
49
1
2
54
1
1
1 l 3 71
1
1
97
イ 2
51
76
1
1
77
1
4
1
1
01
4
4
1
5
9
46
2
1
6
11
7
1
4
72
67
0
1
2
98
1
1
5
07
04
52
4脳
後
我
移
意
の
、
識
植
自 ロ 9
ハ
51
5
!
2
0
2
61
1
2
21
2
1
3
3 41
1
12 6
88
1
1
11
ィ … 川5 f 7 4 9
5ト
ロの
ボd
?
Uロ 4
6
[
3
2
[5
[
1
4
[
1
4
[
3
9
[
1
8
[
4
9
[**2[31[24[32
ハ 1
9
1
1
3
18
1
2
2
13
18
12
15
16
1
1
7
15
17
1
1
4
1
1
9
Table6
Tabl巴 5
総計
小
4
1
1組
1
2組
1
総計
3組│羽子│女子
ι
字
I
詳
矧悶
l
話
剥
│
剥
話
詞
│
蒜
到
│
臨
5
:
:
:
刑
2
叩
目
1
1
f
f
│
日
1
:
肝
l
官
閣
l
日
唱
;
i
1
;
l
│
1
:
:
;
1
:
1
l
;
i
;
j
l
口
:
目
官
;
1
;
官
制
調
閣
l
i
l
:
1
l
口
目
閣
;
;
;
自
主
;
調
1
間
5
l
i
お
:
制
i
『
l
I
t
:
;
1
:
1
l
:
l
j
;
目
:
1
l
l
i
1:
江
子
;
子
4
4
引
市
1組 2*
丑 3*
且 4組 男 子 女子!
3
人 6
7
人│
5
人 3
5
人3
5
人 7
1
4
0
人 3
5人 3
吋
面
五
!
五
;
%画
会1
%会
1
%会
1
%副
両 会1
5
1
4
31
9
1
5
4
イI
5
2
1
3
71
タイム
6
1
3
悶
1・トラ ロ 4
7
1
3
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4
1
4
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2
1
3
41
1
1
3
1
1
1
0
1
2
9
1
2
7
1
3
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1
2
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3
3
9
0
1
!
│
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ハ 4
1
1
2
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1
1
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1
1
11
5
1
4
3
1
1
6
1
4
6
1
2
0
1
2
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1
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5
Table7
総計
小
1組
2組
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3組 男子 女 子
総 計 1組 2~ã 3組 4組 5組 男子 女 子
1
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3
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1
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17
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11 3
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1
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1 9
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1
2 417 2存神仏
ハ 1
61
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3題
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(
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1の「タイム・トラベル」については,小学生においてはイとロが F
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ように互いに重複しながらもイの方がロよりもやや上位にある。ところが中学生になるとロ
が急上昇し,イが次第に下降してゆくのである。
位で
予想としては「イが 1年生の頃は 20%
4年生頃迄やや治加してゆき 4年生からは急
位から次第に減
速に増加する」と考えた。しかし結果はこの予想と違って,イは小 1の50%
位となる。それに反してロは中 3の時60%
位になるのである。
ってゆき,中 3の時には 20%
このことから時間概念が成立すると共にタイム・トラベルが出来るようになると考える子
どもが多くなるだろうという研究者の対象認識は改めざるを得なくされたのである。
2の「神仏の存在」については,小学生においてはイが 60%から 80%の間であまり変化し
ない。予想での r50%
位で余り変らなし、」というのとは少し違った。中学生になるとイは急
速に減少し,ロが増加してゆく。この年令になると神様や仏様は本当はいないと考える子が
忠、速にふえてゆく。この点が結果から明らかになったところである。
3の「心身問題」において,小・中学生についての研究者の予想は「イが学年と共に減少
傾向にあり,ハがそれに続き, ロが次第に増えてゆく」というものであった。しかし結果か
らみると小・中学生の場合はイの「魂はなくならなし、」とする者が 60%位で,ロの「なくな
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首位と安定している (
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. 9~12) 。どうやら,ロを正解と考え
る」ハの「わからなし、」が2
る研究者は自分の願望を投映していたようである。この結果から推測すると,霊魂不滅説は
相当根強くはびこっており,その根強し、影響力を児童・生徒に及ぼしていると考えなければ
ならないのである。
4の「脳移植後の自我意識」については,人間科学 (X) での大学生における年次的変化
の結果と小・中学生の結果が非常によく類似している。小学校 2年生の頃から既に脳が他の
身体部位よりも自我意識の成立にとって重要であると考えられているのである。しかもロの
割合は学年の進むにつれて多少ジグザグしながらも次第に上昇し, 80%
台へと近づいてゆく
のである。研究者の「ロは80%で横ばい状態」とし、う予想は 4年生以上において大休あては
まるといえよう。大学生においては毎年 2年生に行うのだから,年毎の一般的な傾向がロの
優位なことを示し,小・中学生では学年の進むことによってロが優位に立つことを示してい
る。それにしても大脳生理学の発達とその成果が広く伝えられ受け入れられている様子には
焼くべきものがあるのである。
5の「ロボットの心」については,小学生ではイとロがある程度重複しつつイがやや上位
に位置している (
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%台へと向うのである。研究者が最初に予想した「学年と共にイが増加し, ロが減少する」
というのは当ったが
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筒 井 : 人 間 科 学 (XV
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ットがマンガ、の世界でどんなに活躍していても,人間と同じような心を持てるとは小学校低
学年の児童でも考えていないのである。現在,ロボットが人間と同じような心を持ち得ると
は殆んどの人々が考えていない。
この点において心身二元論は圧倒的な優勢を保っているのである。現在のロボットの発達
段階からすれば現状はまさにこの通りでよいのであるが,もし,将来におし、て人間と同じよ
うに感情を持ったり思考したりする高級ロボットが出現した場合には,人々のロボット・イ
メージは大きく変ることであろう。それと同時に人々の死生観(心身問題への見方)も大き
く変化することであろう。
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2において明らかなように,
なお男女差については,小・中学生の場合は Fig.8と F
「神仏の存在」では女子の方が男子よりもイの「神仏はある」と反応する傾向があり
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身問題」においては 4年生以上において女子の方が男子よりもイの「魂は死んでもなくなら
ない」と答える傾向がある。この点女性の方が男性よりも信仰深く宗教的である傾向を暗示
しているようである。
以上を振り返って考察してみると「脳移植後の自我意識」にみられるように自然科学の立
場から発する大脳生理学はその研究の成果についても一般に与える影響についても立派な成
果を収めつつあるようである。
1タイム・トラベル」や「神仏の存在」についても中学生に
なると,はっきりと科学的な方向へと思考が方向づけられるように思われる。
だが
1
心身問題」や「ロボットの心」については研究者の期待する方向とは違った傾向
を示している。つまりイの方がロよりも上位にあり,しかも学年と共に上昇してゆく傾向を
示しているのである。これは「ロボットの心」の方で特に顕著である。このことは人間の心
についての一般の人々の理解が,まだ浅いことを物語っていると思うのである。ひるがえっ
て,また,そのことは心理学研究者自身がまだ人間の心の発達について充分な認識を持って
L、ず,一般の人々に正確な認識を伝え得ていないと考えられるのである。そのことを自覚し
て,一層科学的存在観に基づく人間科学の発展と普及に力をつくさなければならないと思う
のである。
要 約
人間科学 CX) において発表した大学生への「心についての 5つの質問」を小・中学生用
に改訂して施行した。
その結果,横断的ながら発達的な様相が見出された。例えば
1
脳移植後の自我意識」で
はロが小学校 2年生頃からイより多く,学年が進むにつれて増加してゆく。この形は大学生
における年次的変化と類似している。年々,また年令の進むにつれて大脳生理学的研究成果
が諺透しているためと思われる。これと似た傾向にあるのが「タイム・トラベル」であるが,
この方は中学生頃からロがイにまさってゆくのである。小学生時代にはイの方がロにさまっ
ているのである。
信州大学教育学部紀要 N
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「神仏の存在」は小学生の時はイが圧倒的に優位であるが中学生時代にイが急速に下降し,
ロが上昇してくる。
たどっている。
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心身問題」はイが優位で小学校 1年生から中学校 3年生まで平行線を
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ロボットの心」は小学校時代もイがロよりも優位であり,中学生になると
急激にイが上昇し,ロが下降してゆくのである。ロボットは人間のような心は持ち得ないと
考える人々が現在は圧倒的に多く,そうした世論(雰囲気)を形成しているのである。
人間科学を発展させ普及させる上で,以上の点を充分考慮しておく必要がある。
文 献
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筒 井 健 雄 人 間 科 学 (X) 信 州 大 学 教 育 学 部 紀 要 第3
3号
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