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第1節 国際的な構造変化に直面する我が国製造業(PDF

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第1節 国際的な構造変化に直面する我が国製造業(PDF
第2章
我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
第1節
国際的な構造変化に直面する我が国製造業
日本経済は、2002 年以降、息の長い回復を続けてき
産に占める直接、間接の輸出関連生産の割合をみると、
たが、米国の金融危機に端を発した世界同時不況の影響
一般機械、電気機械、輸送機械の輸出比率が高まるとと
を受け、2008 年後半から極めて厳しい環境下に置かれ
もに、化学製品、鉄鋼等の素材産業において、輸出企業
ている。
向けの国内生産である間接的輸出の割合が上昇している
2000 年代以降、一般機械、電気機械、輸送用機械を
ことが確認できる(図 211-3)。これは、我が国製造業
中心として、我が国製造業の国内総生産に占める割合は
が輸出企業のみならず産業全体として輸出と関連性を深
安定的に推移し(図 211-1)、輸出と民間企業設備投資
める構造に変化してきたことを示唆するが、主要国と比
が実質 GDP の成長に大きく寄与してきた(図 211-2)。
較すると、我が国の輸出依存度は、米国に次いで低水準
そうした中で、我が国製造業は、直接・間接的に輸出へ
である(図 211-4)。
の関連性を深めており、産業連関表から主要製造業の生
図 211-1 経済活動別名目国内総生産の推移
図 211-2 実質 GDP 成長率と
設備投資・輸出の寄与度
資料:内閣府「国民経済計算」
資料:内閣府「国民経済計算」
図 211-3 各産業の生産に占める直接・間接の
輸出関連生産の割合(1990 ~ 2005 年の比較)
図 211-4 輸出依存度の国際比較
備考:輸出依存度は、GDP に占める輸出のシェアを計算した値。
資料:OECD 統計
資料:総務省「平成 17 年産業連関表」
「平成 2-7-12 年接続産業連関表」
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我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
我が国の輸出総額の約半分を占めるアジア新興国
は、近年、生産拠点という位置付けから市場としての存
第2章
興国需要の掘り起こしへの取組が十分とはいえなかった
可能性がある。
し、新興国市場は人口増加や所得上昇に伴って拡大し、
勢力関係が変化してきている。例えば、各国製造業が産
世界市場における成長の軸足は変化してきている(図
出する総付加価値の世界シェアの推移をみると、近年、
211-5)。一方、我が国の輸出の拡大の状況をみると、
日本と米国は低減傾向にある一方で、中国をはじめアジ
主要国と比べてもその拡大の程度は小さい上に、先進国
ア新興国のシェアが上昇傾向にある(図 211-7)。また、
の経済規模の拡大に応じた程度の輸出の拡大にとどまっ
日本の競争力が依然強いとされる中間財について、輸出
ており、高い成長を続けるアジア等の新興国経済の拡
特化指数の推移をみると、韓国、中国などが輸入超過か
大をとらえられているとは言い難い(図 211-6)。この
ら輸出超過に転じており、国際分業が進展する中で、こ
ようなことから、我が国製造業は、アジア等の新興国市
れらの地域の産業基盤が高度化し次第に競争力をつけて
場に対し、持てる技術・製品を有効に浸透できていない
きていることがうかがえる(図 211-8)。このような中
ことがうかがえる。アジア新興国の消費市場は、日本の
で、アジアを中心とする新興国との生産面で競合を続け
消費者の求める高付加価値なニーズとは異質のものであ
れば、我が国製造業は果てしないコスト競争にさらされ
り、最近まで、我が国製造業はこれらの地域への進出を
る可能性が高い。
国際的な構造変化に直面する我が国製造業
アジア地域の工業化に伴い、供給面でのグローバルな
第1節
在感を増大させてきており、先進諸国市場の成熟化に対
進めてきたが、生産拠点としての認識が総じて強く、新
図 211-5 世界主要国・地域の名目 GDP シェアの
推移 備考:US ドルベース。中国除アジア主要国・地域は、ASEAN、インド、韓国、台湾。
資料:IMF「World Economic Outlook Database, April 2010」
図 211-7 各国(地域含む)製造業の競争力の変遷
(各国製造業総付加価値のシェアの推移)
図 211-6 アジア新興国の成長と主要国の
輸出金額の拡大
備考:中国・NIEs・ASEAN 及び米国・EU の GDP はドルベースの単純合計値。ASEAN は、
ミャンマー、ラオスを除く8か国としている。
資料:IMF「World Economic Outlook」、内閣府「国民経済計算」
図 211-8 中間財の輸出特化指数の推移
備考:輸出特化指数=(中間財の輸出-輸入)/(中間財の輸出+輸入)
資料:(独)経済産業研究所「RIETI-TID 2009」
資料:US National Science Foundation Statistics
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一方、新興国経済の拡大に伴い、エネルギー等の資
源消費は中長期的に増大することが見込まれ、資源価
図 211-9 売上高原材料費率の高まり
格の上昇が製造原価を押し上げる等により競争環境が
更に厳しくなることも懸念される(図 211-9)。また、
我が国における高齢化の進展(図 211-10)や国内人口
の減少、資源環境制約等の構造的な制約の高まりは(図
211-11)、モノを供給する製造業に対しても、変化する
市場ニーズへの対応を求める局面を迎えている。このよ
うな状況下において、我が国製造業の売上高営業利益率
は主要国との比較で低位で推移しており、その収益構造
は脆弱である(図 211-12)。以上のような外部環境の
変化の中で、我が国製造業各社が競争力を維持・向上さ
せるためには、グローバルな視点で、製造に係る各プロ
セスの収益基盤を見直し、将来を見据えた戦略を再構築
していく必要がある。
図 211-10 主要国における高齢化の進展
資料:財務省「法人企業統計」、
日本銀行「製造業部門別投入・産出物価指数」
図 211-11 資源環境制約の高まり
[石油消費量の推移]
資料:U nited Nations, World Population Prospects The 2008 Revision
Population Database、総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所
「日本の将来推計人口(06 年 12 月推計)」
図 211-12 各国主要上場企業(製造業)の
売上高営業利益率の推移
資料:ブルームバークより作成。
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資料:BP「BP Statistical Review of World Energy June 2009」
[粗鋼消費量の推移]
資料:World Steel Association 統計
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