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女性管理職の平均割合は 5.4%、増加見込みは 22.7%

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女性管理職の平均割合は 5.4%、増加見込みは 22.7%
2015/9/9
松本・長野・飯田支店
【問い合わせ先】松本支店
住所:松本市中央 2-1-27
TEL:0263-33-2180
URL:http://www.tdb.co.jp/
特別企画:女性登用に対する長野県内企業の意識調査
女性管理職の平均割合は 5.4%、増加見込みは 22.7%
女性の活躍促進、社会・家庭・職場における環境整備で業績改善に
はじめに
生産年齢人口の減少や共働き世帯の増加などにより、職場における女性の存在感が次第に高ま
っているが、政府は女性の活躍促進を成長戦略と同時に、地方創生の一環としても重要政策とし
て打ち出している。また、企業においては新しい視点の取り入れや男性の働き方改革としても位
置づけられるなど、人手不足に対する労働力確保という観点だけでなく、企業の成長に女性の活
躍が不可欠という認識が高まっている。一方、政府は「すべての女性が輝く社会づくり本部」に
おいて「女性活躍加速のための重点方針 2015」を決定したほか、6月 30 日には女性の活躍促進を
柱のひとつとする「
『日本再興戦略』改訂 2015」
(成長戦略)と「経済財政運営と改革の基本方針
2015」
(骨太の方針)が閣議決定されている。
県内でも、女性の活躍の場を広げる目的で組織改革を行う企業が出てきているが、女性登用を
進めるためには克服しなければならない環境の整備や意識改革も残される。帝国データバンクで
は今回、女性の活用や登用に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は TDB 景気動向
調査 2015 年7月調査とともに行っている。調査期間は 2015 年7月 17 日~7月 31 日。調査対象
は全国2万 3176 社、長野県 479 社、有効回答企業数は全国1万 1008 社(回答率 47.5%)
、長野県
229 社(同 47.8%)
。
調査結果(要旨)
■女性割合の平均、従業員 23.5%、管理職 5.4%、役員 7.8%
県内企業の女性割合を従業員、管理職、役員別に尋ねたところ、平均は従業員 23.5%、
管理職 5.4%、役員 7.8%となった。いずれも前年から大きな変化はない。
■女性管理職の増加を見込む企業は 22.7%、女性役員の増加は 7.0%
女性管理職割合が今後「増加する」と見込む企業が 22.7%だったのに対し、女性役員が
「増加する」は 7.0%。女性役員の増加は鈍化する可能性も生じている。
■女性の活用や登用を進めている企業は 42.4%
女性の活用や登用を「進めている」企業は 42.4%。女性の活用や登用の効果としては、
「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」が 68.0%で最も多かった。
■女性が活躍するためには家庭における負担軽減が重要
女性の活躍を促進するために重要なこととしては、
「仕事と子育ての両立支援」(56.8%)、
「妊娠・出産・子育て支援の充実」(55.9%)、「保育サービスの充実」(41.9%)と家庭にお
ける負担軽減に関する項目が上位に並んだ。
©TEIKOKU DATABANK,LTD
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2015/9/9
特別企画:女性登用に対する長野県内企業の意識調査
1.女性管理職がいない企業 62.0%、女性役員がいない企業 64.6%
社内に占める女性の割合を、従業員、管理職(課長相当職以上)
、役員(社長含む)別に尋ねて
みた。まず、従業員に占める女性の割合は、「30%以上」が 26.2%だったのに対し、「10%未満」
は 23.1%、
「0%(全員男性)
」は 6.1%。
「10%未満」と「0%」を合わせると、29.2%と3割近
くが 10%未満ということになる。
管理職に占める女性の割合は、
「30%以上」が 6.1%。
「10%未満」
(21.4%)と「0%」
(62.0%)
の合計は 83.4%。また、役員に占める割合は、
「30%以上」が 12.2%で、「10%未満」(13.1%)
と「0%」(64.6%)の合計は 77.7%。管理職・役員とも 10%未満が8割前後、このうち女性ゼ
ロ(すべて男性)が6割以上に達している。
規模別にみると、従業員の女性割合が「30%以上」と回答したのは「大企業」の 7.7%、
「中小
企業」の 30.0%。女性管理職「30%
以上」は「大企業」7.7%、「中小
企業」5.8%。女性役員「30%以
上」は「大企業」5.1%、
「中小企
業」13.7%。管理職を除き、「中
小企業」が「大企業」を上回って
いるが、特に従業員は「中小企業」
と「大企業」の格差が大きい。
なお、女性従業員の平均割合は
23.5%、女性管理職の平均割合は
5.4 % 、 女 性 役 員 の 平 均 割 合 は
7.8%。いずれも前年から大きな
変化はない。
2.女性管理職割合の増加を見込む企業は 22.7%
今回の調査時点で、女性管理職の平均割合は平均 5.4%だったが、各社の女性管理職割合はこれ
までどのように変化し、今後どのように変化するとみているのだろうか。5年前と比較した現在
の状況について、
「増加した」と回答した企業は 16.6%にとどまり、「変わらない」が 74.7%と全
体の4分の3近くを占めた。
「減少した」は 4.4%。一方、現在と比較して今後どう変わるかにつ
いて、
「増加する」が 22.7%、
「変わらない」が 58.5%、
「減少する」が 2.6%。極端な変化はない
ものの、管理職登用が徐々に拡大
していくと考えている様子が窺
える。
平均割合が 7.8%だった女性役
員は、5年前と比較して「増加し
た」が 7.4%だったのに対し、今
後「増加する」は 7.0%とさらに
下回り、女性役員増加のスピード
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が緩慢になっている可能性が示唆される。
規模別では、女性管理職割合が今後「増加する」と回答した「大企業」は 23.1%、「中小企業」
は 22.6%。女性役員割合が「増加する」は「大企業」2.6%、「中小企業」7.9%。
3.女性の活用や登用を進めている企業は 42.4%
女性の活用や登用を「進めている」と回答した企業は 42.4%、
「進めていない」は 30.6%、
「分
からない」は 27.1%。規模別では、
「大企業」の 38.5%、
「中小企業」の 43.2%が「進めている」
と回答、
「中小企業」が「大企業」を上回った。
女性の活用や登用を進めている企業にその効果を尋ねたところ(複数回答)、「男女にかかわら
ず有能な人材を生かすことができた」が 68.0%で他を大きく引き離し、以下「従業員のモチベー
ションが上がった」
「女性の労働感が変化してきた」
(各 32.0%)などと続く。
女性の活用や登用に関
し、各企業からは「能力
ややる気があれば、男女
関係ない」「技術部門な
どでも女性を育成した
い」といった声があがる
一方、「女性の活用とい
った言葉ばかりが先行し
ている」「女性側の意識
や挑戦意欲が必要」との
指摘もあった。
4.女性の家庭における負担軽減がポイントに
女性の活躍推進のために、どのようなことが重要
と考えるかを尋ねたところ(複数回答)
、
「仕事と子
■女性の活躍促進のために重要なこと(複数回答)
(%)
育ての両立支援(育休復帰支援など)」が 56.8%で
1
最多、
「妊娠・出産・子育て支援の充実」
(55.9%)
仕事と子育ての両立支援(育休復帰支援など)
56.8
2
妊娠・出産・子育て支援の充実
55.9
3
保育サービスの充実(待機児童や保育士不足
の解消など)
41.9
4
介護の支援
35.8
5
税・社会保障制度の見直し(個人所得課税、被
用者保険の適用拡大など)
32.3
6
男性の育児・介護休業取得、育児参加の促進
27.9
7
働き方の改革(長時間労働の削減など)
26.2
り組みを宣言してもらう「社員の子育て応援宣
8
ワーク・ライフ・バランスを推進する企業を幅広く
評価する枠組みの導入
23.6
言!」の周知・拡大に力を入れてるが、2015 年9月
9
女性の採用拡大・女性職員のキャリア形成支援
17.0
1日現在、761 事業所が登録している。
10
女性にとって快適・安全となる空間づくり(公共ト
イレの改善など)
16.6
が僅差で続いた。「保育サービスの充実(待機児童
や保育士不足の解消など)」
(41.9%)も4割を超え
るなど、女性の家庭における負担軽減に関する項目
が目立つ。
なお、長野県は企業・事業所のトップに仕事と子
育てを両立できる働きやすい職場環境づくりの取
注:母数は有効回答企業229社
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特別企画:女性登用に対する長野県内企業の意識調査
5.女性の活躍は社会の制度拡充、家庭の負担軽減、職場の働き方見直しがカギ
前段における女性の活躍を推進するために重要なこと「企業の重視項目」について、これらの
実施が企業の業績(売り上げ)に与える影響を分析した。その結果、女性の活躍が進むことで、
企業の重視項目の実施→女性管理職割合の上昇→売り上げ増加確率の上昇というプロセスを経て、
企業の業績改善につながることが明らかとなった。企業の重視項目は「社会の制度拡充」「家庭の
負担軽減」「職場の働き方見直し」の3因子にまとめることができ、これらは今後の女性活躍を促
進するためのキーポイントとなる。
女性管理職割合に対し3因子を説明変数として回帰分析を行ったところ、各重視項目を実施す
ると女性管理職の割合が上昇することが確認できた。ただし、その影響度は項目により異なって
おり、
「職場の働き方見直し」は「社会の制度拡充」より女性管理職割合上昇に対し 3.8 倍強い影
響度を持っている。したがって、女性がより働きやすい職場環境を作っていくことが重要といえ
る。さらに、女性管理職割合が1%上昇した場合、売り上げ増加確率が 0.52%上昇する、という
関係性にあることが分かった。女性が活躍できる環境を社会・家庭・職場それぞれの分野で構築
していくことは、企業業績の改善に結びつく可能性を高めることを示している。
まとめ>>
安倍内閣による『
「日本再興戦略」改訂 2015』では、女性の活躍促進に対するKPIとして「2020
年に指導的地位に占める女性割合 30%」
「25 歳~44 歳の女性就業率 73%」「第1子出産前後の女
性の継続就業率 55%」「男性の育児休業取得率 13%」「男性の配偶者の出産直後の休暇取得率
80%」
「2017 年度末までに 46.3 万人の保育所勤務保育士の確保」などの目標を掲げている。
今回の調査によると、県内で課長職以上の管理職に占める女性の割合は平均 5.4%と前年比微増
にとどまっている。女性従業員割合が上昇していることは、今後の女性管理職割合が増加する一
助となり得る一方、役員は増加スピードがやや緩やかになっている可能性が示唆された。また、
女性の活用や登用を進めている企業は4割を超え、その効果は「男女にかかわらず有能な人材を
生かすことができた」をはじめ、幅広く及んでいることも明らかになっている。
女性の活躍が促進されるためのキーポイントは、「社会の制度拡充」「家庭の負担軽減」「職場
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特別企画:女性登用に対する長野県内企業の意識調査
の働き方見直し」
。さらに、女性が働きやすい環境を社会・家庭・職場において構築することで企
業の業績が改善する確率を高めることも示されている。日本が女性の活躍できる社会となるには、
女性の働き方だけでなく、社会制度や男性の働き方、職場の各種制度を整えていくことが重要と
なろう。
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