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1 「洲本高校一押し本 100 選 ~未来をつくる一冊」 以前、 「運命の本 」と

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1 「洲本高校一押し本 100 選 ~未来をつくる一冊」 以前、 「運命の本 」と
「洲本高校一押し本 100 選
~未来をつくる一冊」
以前、「運命の本」との知的な出会いを設定する「洲本高校セレンディピティ
(serendipity)作戦」、「一押し本 100 選」の取り組みの紹介をしました。今回はそれとの関
連で、「ものごとをより広くとらえ、より深く考えるため」の読書についての話です。
今(12 月 3 日)、私の手元に「洲本高校一押し本 100 選~未来をつくる一冊~」という小冊
子の原稿があります。「一押し本 100 選」は、今年度、県教育委員会が高校生の読書量を増
やすための「ひょうご読書活動充実事業」の一環として、図書委員会の生徒が、生徒はもち
ろん教職員、保護者、同窓会に呼びかけて推薦いただいた本を 100 冊に絞り込んだもので
す。最近本を読まなくなったと言われている中高生が、読書が好きになった「きっかけ」の
ほとんどが「たまたま読んだ本が面白くて」だといいます。そのたまたま読んだ本が、自分
の一生を左右する本になるかも知れません。それを「セレンディピティ(serendipity)」とい
います。ふとした偶然から閃(ひらめ)きを得て、成功に至る「能力」のことです。
今、世界と日本は、グローバル化や情報通信技術の進展、少子高齢化などにともなって
変化が激しく、先行きが不透明なものになっています。こういう時代に求められる力とは、
与えられた問題の解を、教えられた方法によって探し出す力では決してありません。与え
られた問題の解を、自ら編み出した方法によって導き出す力でも不十分です。自ら新たに
問題を設定し直して解を探っていく力、既存の社会や組織のシステムやフレーム、それ自
体を変えていく力が求められます。そのために必要とされるのが「教養」です。「教養」とは
英語で“liberal arts”といいます。“liberal”とは自由という意味で、誰かの指示でもな
く自分で判断して行動できる人間としての「自立」をいい、
“liberal arts”とは、そういう
自立した人間に必要な知識・技術のことです。その「教養」の一つが「思考・学びの教養」で
す。今、学んでいることが、その学問体系の中でどこに位置するのかを理解することです。
自分が、今、どういう「立ち位置」にいるのかを知るためには、自分と考え方や価値観を
異にする人と交わることが必要です。キーワードは「多様性」です。しかし、実際には、自
分と考え方や価値観を異にする人とそうそう交流できるものではありません。自分が直接
経験することには限りがあるからです。それを補ってくれるのが「本を読む」ということで
す。哲学者のショーペンハウエルは「読書とは、自分の頭ではなく、他人の頭でものごとを
考えることだ」と言っています。本来は「自分自身の頭で考えよ」という警句なのですが、私
は「こういう考え方もあるのか」「こういう論の展開もできるか」という発見につながると思
っています。ものごとをより広くとらえ、より深く考えるためヒントになるのです。それ
が本を読むまでは、自分自身も予想もしなかった「未来」につながることがあります。その
取り組みが「洲本高校一押し本 100 選」です。さあ「未来をつくる一冊」に出会いましょう。
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