Comments
Description
Transcript
PDF形式:2233KB
資料5-2 今後の産業技術政策の在り方 具体的検討のための事例集 目次 1.協調①'共通基盤技術の確立( .….p.3 2.協調①'ロードマップ、技術情報のオープン ソース化等( …p.19 3.競争①'出口を見据えたモジュールの再統合( …p.29 4.協調②'インターフェース情報等( ...p.34 5.競争②'鍵を握るコア技術( ….p.38 6.競争と協調を整理した研究開発支援の在り方…. p.40 競争① インターフェース情報 の公開による市場の パイの拡大 協調② ビジネスモデルの鍵 を握るコア技術で勝 つ戦略 システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D A社 B社 C社 大学 国研 出口を見据えたモジュールの再統 合'オープンイノベーション( 競争② 参加者の拡大による イノベーションの加速 (オープンイノベーション) 協調① ・共通基盤技術の確立 ・ロードマップ、・技術情報のオープンソース化 ・パテントの共有化、・国際標準 2 協調①:共通基盤技術の確立 競争① インターフェース情報 の公開による市場の パイの拡大 協調② ビジネスモデルの鍵 を握るコア技術で勝 つ戦略 システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D A社 B社 C社 大学 国研 出口を見据えたモジュールの再統 合'オープンイノベーション( 競争② 参加者の拡大による イノベーションの加速 (オープンイノベーション) 協調① ・共通基盤技術の確立 ・ロードマップ、・技術情報のオープンソース化 ・パテントの共有化、・国際標準 3 1.協調①'共通基盤技術の確立( '1(国際開放型のイノベーション拠点整備の在り方 ○世界から「知恵」が結集し、蓄積・高度化され、発信される拠点'グローバルなイノ ベーション好循環のハブ(となるための制度設計が必要ではないか。 <検討項目> • 国際開放型のイノベーション拠点に相応しいテーマ'日本として優位な魅力があり、かつ海 外の知恵を積極的に集めることが有効なテーマ(は何か。 '例えば、絶対的な魅力として、特徴のある施設、実験の「場」の提供等( • 拠点の場としての国研・大学の抱える課題への対応'何故、現在、民間から国研・大学への 委託研究・共同研究が海外に比して尐ないのか分析と対策が必要( • 民間ベースの「協調と競争」両立させるための、研究成果に関する知財管理の在り方'成果 の共有・公開等のルール等の整理(。 • 拠点を国内に有することのメリットを最大限享受するための仕掛けはどうあるべきか。 ①知の組み合わせイノベーションの活性化する仕組み'インテレクチュアルカフェなど(、 ②世界から結集した知恵を国内に効率良く吸収できる仕組み'例えば、拠点における高度専 門人材育成など、スピンオフベンチャー支援、国内企業就職など優秀な海外人材を国内定 着を促す仕組みなど( ③技術流出を防止する仕組み'例えば、研究者レベルでの秘密管理ルールの整備など( ↓ 以降、参考資料 4 我が国のR&D活動における海外の知恵の活用状況 • 我が国の研究開発は、地理的、言語的条件の違いはあるものの、国際性が低い。 • 海外の「知」の活用不足は、国内イノベーション活動の効率低下の原因の一つではないか。 ●日本のR&D活動の低い国際開放性 '出典:OECD、STI Outlook 2006( ●世界合計に対する国際共著論文の割合 2005年 ・日本に進出している外資企業によるR&D支出は、1995年から2 003年にかけて倍以上の伸びを示しているものの、対民間R&D支 出のシェアで見るOECD諸国中最下位。 ・外国とのコラボレーションの度合いを示す指標として、例えば、特 許の共同出願数を見ると、日本は最も低い水準。 ●米国特許におけるサイエンスリンケージの推移 米国 44% ドイツ 20% イギリス 19% フランス 14% 日本 10% 中国 8% インド 3% 出典: NSF、「Science and Engineering Indicators 2008」 日本の技術'特許(は世界中の科学'論文(の成果を有効活用できてない可能性。 4.5 米国 4.0 サ イ エ ン ス ・ リ ン ケ ー ジ イギリス 3.5 出所:科学技術政策研究所「科学技術指標-第5版に基 づく2007年改訂版」 3.0 全世界 注:サイエンスリンケージとは、特許出願1件当たりの科 学論文引用回数である。 2.5 フランス 2.0 1.5 ドイツ 1.0 日本 0.5 0.0 1983 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 2006年 5 外国企業のR&D活動が国内に与える効果 • 外国企業の研究開発活動は、国内経済へプラスの効果をもたらすことが指摘されており、 積極的に海外の研究開発を国内誘致しようとする動きもある。 ナショナルイノベーションシステムの“開国”に向けて '出典:伊藤萬里氏'日本学術振興会、経済産業研究所(資 料、2007年4月より(( 外国企業のR&D活動が国内にもたらすスピルオーバー効果 ・R&D活動では、既存特許の公開による技術知識の移転や研究者の移動及び交流、あるいは生産物の Reverse Engineering等のルートを通じて、R&D成果が漏れ伝わり、他者のR&Dの生産性を高める効果 がある。 ・更に、最近の研究では、外国企業のR&Dストックが国内企業の生産性へ与えるプラスの効果は国内企 業のR&Dが与える効果より大きいことが報告されている(Todo、2006(。 R&D活動を目的とした多国籍企業を誘致する政策等の検討の余地 例えば、オーストラリアでは、オーストラリア投資庁がSIC'Strategic Investment Cordination(プログ ラムで、1997年以降、9つのプロジェクトにおいて海外からのR&Dを目的とした直接投資に対し投資奨励 金が支給されている例'OECD、STI Outlook 2006(がある。 アジア諸国における、技術面に着目した外国企業誘致策 シンガポールでは、最大十五年の法人所得税の免除'パイオニアステータス(、上海では、政府が定める 先進技術型企業の拠点立地に対して、8年間の法人税減免措置、韓国では、ハイテク産業の拠点立地に 対する7年間の法人税減免措置。 6 外国企業の日本国内におけるR&D活動状況 • 外国企業の日本国内における研究開発活動は、90%近くの企業が製品開発を挙げ、そ のうち特に「日本市場向けの製品開発」を挙げた企業は75%と高い。'日本が画期的なイ ノベーションの拠点にはあまり位置づけられていない。( 外資系企業の日本の国内R&D活動のミッション 外資系企業の日本の国内R&D拠点のプロフィール '出典:平成18年度体内直接投資促進事業 外資系企業R&D実態調査 平成19年3月日本貿易振興機構より(( 7 世界の知を取り込む開放型の国際共同研究拠点の設置の例 :フュージョノポリス'情報・材料(、バイオポリス'医療( • IT・メディア分野を主な対象とする「フュージョノポリス」'2008年10月フェーズ1完了(、バイオ・メディカル分野の核機 能を目指す「バイオポリス」'2003年10月オープン(を整備し、多くの国内外の公的研究機関、民間研究組織に加え、 シンガポール国立大学、シンガポール国立大学病院も集積。 ●フュージョノポリス ●バイオポリス '特長( •科学技術庁を中心とした情報・通信・材料関連ハイテク融合研究拠点 •2008年10月までに3研究所が移転、総研究者800名 •2011年までに残りの3研究所を移転し2400名の研究者を確保予定 '連携( •国内33社、海外は米国Advanced Micro Devices、日本の日東電工など、日 米欧亜から32社が参加 •その他、米国スタンフォード、フランス国立科学研究センター、清華大学等2 6校がパートナーとして参加 '特長( •バイオ分野'主としてバイオ・メディカル(の研究拠点として世界中から招聘 された研究者が研究 •BTC(バイオプロセッシング技術研究所)、GIS'遺伝子研究所(など5つの公 的研究機関も入居 •第1期のみで2000以上の研究機関・企業等が入居しており、現在は第3 期施設を建設中 '連携( •公的研究機関で創出された知的財産を商業化に結びつけるため、Exploit Technologies Pte Ltdを産業界からのアクセス窓口として設置し、産学連携 を支援 •病院との連携により、医薬研究に必要な検体を比較的入手しやすい環境 Data Storage Institute (DSI) スピントロニクス、メカトロニクス、光学材 料・システム、ネットワークストレージ Institute of High-Performance Computing (IHPC) Institute for Infocomm Research (I2R) 高度コンピューティング、エレクトロ ニクスフォトニクス、大規模複合体シ ステム、材料科学・光学 通信、暗号・セキュリティ、データマイニン グ、RF科学 Institute of Materials Research and Engineering (IMRE) 材料分析、合成・機能化、パターン ニング、SERCナノファブリケーショ ン・特殊化 薬は人種によって効き方 が異なるため、中国人の 多いシンガポールでの データ収集は将来的に中 国市場で有効に活用でき る可能性大 Institute of Microelectronics (IME) 集積回路システム、半導体工程技 術、バイオエレクトロニクス、ナノエレ クトロニクス クリーンルーム 総面積5,200 m2 Institute of Manufacturing Technologies (SIMTech) 触媒の応用、プロセス科学、新合成 技術、工業バイオテクノロジー 出所:シンガポールASTAR(科学技術庁)-FUSIONOPOLIS ホームページ シンガポールにおける制度上のインフラの特長 1. 知的財産関連法の整備が進んでおり、知的財産の保護に 関してアジアの中で高い評価 2. 外国人就労者の受け入れ体制が整備されており、外国人 研究者が赴きやすい環境'人材確保が容易い( 3. 国民の97%が英語を理解 出所:社団法人大阪ビジネス振興協会IBO NEWS.200、みずほ総研「みずほアジアンサイト」(2005.4.18) 8 世界の知を取り込む開放型の国際共同研究拠点の設置の例 :ウォーターハブ'研究施設(、ニューウォータープラント'処理工場( • 水処理では、必要な水資源の約半分をマレーシアに依存し水確保に悩むシンガポール政府が水処理研究施設を設 置し、実証の「場」を提供することで、世界の水処理関連企業が集積。 世界からの水関連研究企業の集積 シンガポール公益事業庁、先端造水技術センター、シ ンガポール国立大学、南洋工科大学、GEウォーター&プ ロセステクノロジーズ'米(、シーメンス・ウォーターテクノ ロジーズ'独(、スエズ'仏(、マーモンウォーター'米(等 の研究センターや工場が集積。 ・日本からは、東レ、日東電工、三菱レイヨン、旭化成、 帝人等が相次いで研究プロジェクトを立ち上げ参入。 ナノテク技術を応用した水処理会社「ハイフラックス」 ・ 膜技術を中核に、設計、開発、資材製造、システム インテグレーション、プロジェクト管理、オペレーション、 保守までの一連のサービスを提供。 ・具体的には、①水処理'生水処理、海水淡水化、下 水再処理など(、②産業プロセス処理'他産業の製造 工程に対する膜技術の導入(、③プラントの建設・所 有・運営の受注等を実施。 ・中国、アルジェリア、ドバイ等に展開中。 ウォーター・ハブ ニューウォーター・プラント 出典:ジェトロセンサー'2005年12月号(、シンガポールの経済・産業事情'JETRO、2008年9月(、企業ホームページ等より作成。 9 世界の知を取り込む開放型の国際共同研究拠点の例:IMEC'次世代 半導体評価・研究拠点( 半導体産業'ロジック系(では、ベルギーに外部との協業により世界中の知恵を集めるオープンな研究開 発拠点の代表的例の一つとしてIMECがあり、次々世代'N+2(の半導体に関する評価設備・機能が大きな 牽引力。 世界の半導体開発拠点「IMEC」の例 IMECの仕組み • IMECでは、最先端の半導体評価機器を保有することで、次世代の半導体の材 料・装置のテスト環境を提供。 • IMECとの共同研究によって、知識'知財(がIMECを中心に蓄積されるとともに、 各社の研究を加速。'協調と競争( 企業A 企業F 共同研究 知識'知財(の蓄積 企業B IMEC IMEC 企業C 企業E 企業D 出典:一橋大学イノベーション研究センター 青島矢一の図を基に作成 10 IMECにおける各種仕組み • IMECでは、国内外の企業別にきめ細から研究開発プログラムを提供することで、約三分 の二の資金は、民間から得ている。 • 一方、地元政府も資金拠出しているため、地元企業への技術移転や、人材育成、ベン チャー化など、地元経済への還元を促す仕組みをセット。 • 米国の国立研究所でも、ベンチャー化等地元経済還元の仕組みがある模様。 産業界からの資金協力 IMEC の主な財源は、企業や公共機関との契約によって行う研究開発である。2000 年には 世界の約500 のパートナーと契約し、収入全体の68%にあたる7,050 万ユーロ'約80 億円( を得ている。うち、企業との契約額は約5,050 万ユーロ'約60 億円(に上り、フィリップスやソ ニーなどの大企業をはじめ、多くのグローバル企業と取引を行っている。 きめ細かい個別企業プログラム'IIAPプログラム(と成果管理 IMEC は民間企業との提携活動の一環として、IIAP'IMEC Industrial Affliation Program( という共同研究開発プログラムを展開している。IIAP に参加することで、企業の研究開発者は IMEC が所有する早期開発段階の技術を移転させ、自社での応用研究や商用化をすすめるこ ともできるほか、IMEC の研究チームと共同作業を行うことができる。IMEC は現在、加工技術 やデザイン技術など13 の分野でこのプログラムを実行しており、技術の開発状況や企業の ニーズなどによって柔軟に対応できるきめ細かな内容を設定している。知的所有権に関しては、 IMEC の持つバックグランド情報に基づいて完成された技術はパートナーとの共同所有とし、 より商用向けにパートナーが開発した成果については、独占的な所有を認めている。 出典:経済産業省近畿経済産業局調査報告資料より抜粋。 11 技術移転、ライセンスプログラム 企業はIMEC が開発した技術を、IIAP とは別に移転やライセンス契約することもできる。IMEC は知的所有権や特許な どを担当する専門のスタッフに加え、移転マネジャーと呼ばれる仲介役を置き、移転先の企業に出向いて移転作業を現 場で援護する体制を整えている。また、移転後も一定期間は移転マネジャーがアフターケアを提供する。2000 年には 0.25μmCMOSの技術をGmbH Micronas 社に、また特殊クリーニング技術の知的所有権を複数の企業へ移転するなど、 積極的な取り組みを行っている。 拠点附置型の人材育成プログラム'マイクロエレクトロニクス・トレーニング・センター'MTC( MTC はハイテク業界に求められる技術者を養成する目的で1999 年に設立された。多くのハイテク企業が優秀なエンジ ニアや科学者の不足に悩んでいる現状において、最新の技術を習得し、訓練を受けた技術者を育成することは、産業の 成長に大きな影響を与えるためである。MTC はマイクロエレクトロニクス、IT においてシステム・デザインから加工、パッ ケージ技術まで、分野ごとに細かく分かれたコース'主に1日から5 日(を各大学やIMEC 内で実施している。当初は学生 や院生などのトレーニングを想定していたが、現在では産業界からの参加が増加しており、全体の半数を占めるように なった。 また、IMEC は提携大学の院生に、IMEC での研究を単位に変えることができるPhD プログラムを実施している。IMEC は汎大学研究所として、ベルギーの教育機関と強力な連携を図り、総合的な高等教育の提供を使命としており、このプロ グラムはその一環として行っている。院生は一定期間、IMEC の準スタッフとして研究活動に加わり、IMEC はプログラム 参加者に奨学金を支給する。プログラムはIMEC に研究者の確保を可能にすると同時に、次世代の人材育成にも貢献し ている。また、院生は最新の施設で専門分野の研究に集中できる環境が与えられ、大学とは異なった経験を積むことがで きる。このようにプログラムは両者に多くのメリットを与えている。 拠点附置型のベンチャー化支援プログラム 技術が市場へ紹介できる段階に達したとき、IMEC は商用化を進めるパートナーを国内で探すが、技術に市場での将 来性があっても、パートナーを見つけることができない場合は、スピンオフという形で新たな会社を設立する。IMEC はこ れまでに、18 社のスピンオフ企業を誕生させたが'図表3-11 参照(、その中には提携大学との共同研究によって開発さ れた技術をベースにしたスピンオフも尐なくない。これらスピンオフ企業はフランダース発ベンチャーとして、地元のさまざ まな起業育成リソースへのアクセスが与えられている。IMEC はフランダース地域投資事務局'GIMV(やフランダース外 資管理局'FFIO(などの機関や民間の投資会社などとのネットワークを維持し、スピンオフ企業の支援に役立てている。 出典:経済産業省近畿経済産業局調査報告資料より抜粋。 12 米国国立研究所における出口強化'技術商業化(施策の仕組み ベンチャー企業に対する投資 •研究所内で開発された技術の商業化に取り 組むベンチャー企業に投資し、研究所内で開 発された技術の迅速な商業化を促進。 <具体例> •ロッキード・マーティン社'Lockheed Martin( 「技術ベンチャーズ・コーポレーション 'Technology Ventures Corporation: TVC(」。 サンディア国立研究所で開発された技術の商 業化に取り組む非営利団体として1993年に設 立。2002年までに資本投資総額3億ドル以上、 ベンチャー企業設立数55社、雇用創出数 5,600人以上の実績。 •再生可能エネルギー研究所'National Renewable Energy Laboratory: NREL(産業 成長フォーラム'Industrial Growth Forums: IGF(。クリーンエネルギーを専門とするベン チャーの起業を促進。VCによる投資、NRELに よる資金提供を元手として、企業立ち上げが行 われる。2006年末時点における投資件数は 85件、投資総額は6億6,000万ドル。このうち5 億7,100万ドル'86%(がVCからの資金提供。 出典:NEDOワシントン事務所作成。 起業休暇'entrepreneurial leave(プログラム •研究者が自身の開発した技術の商業製品化 を目指すことを奨励するプログラム。研究者が 数年間、国立研究所での職務から離れて技術 の商用化に取り組むことを認め、商用化'事業 化(に失敗した場合、一定年数内'サンディア 国立研究所の場合は最長3年以内(であれば 元の職場に復帰可能。 •技術開発に携わった本人が直接商業化に取 り組むことで、技術の不透明性を削減し、商業 化の可能性を高める。 •サンディア国立研究所「技術移転のための起 業休暇プログラム'Entrepreneurial Separation to Transfer Technology program(」:1994年の開始から2006年4月ま でに126人が同プログラムを利用、そのうち休 暇終了後に研究所に戻ったのはわずか46人。 13 我が国における大学等拠点候補への産業界資金拠出の尐なさ • 日本の大学等の研究資金は、財源別には自己資金の割合が高く、OECDの統計によれ ば、日本の大学財源の民間企業比率は、諸外国と比べて低い。 • 産業界を中心としたイノベーション拠点の構築には、海外の成功事例を参考に、研究テー マ設定や知財等成果の帰属等を見直すことで民間資金が集まる工夫が必要。 日本の大学等の財源の構成'2006年度('自然科学+人文・社会科学( 国・地方公共 団体から 8.8% 0.3兆円 民間から 3.7% 0.1兆円 大学の財源に関する国際比較'2004年('自然科学+人文・社会科学( '単位:百万ドル( 特殊法人・独立行 政法人から 3.4% 0.11兆円 総計 Total 企業 Business enterprise 総額3.4兆円 自己資金 84.1% 2.8兆円 政府 Sub-total government 政府直接投資 Direct government 一般大学財源 General Univ. funds 大学 Higher education 出典:総務省統計局「科学技術研究調査報告'平成19年版(」 注1 :財源は、自己資金と外部資金から成る。 注2 : 「国・地方公共団体から」には、国、地方公共団体、国・公立大学、 国・公営の研究機関、その他を含む。 注3 : 「特殊法人・独立行政法人から」には、研究所等、公庫・公団等、そ の他を含む。 注4 : 「民間から」には、会社、私立大学、非営利団体を含む。 注5 :外国からの財源については13億円と尐額のためグラフには記載さ れていない。 民間非営利 Private non-profit 外国から Funds from abroad 米 国 42,431.4 100.0% 2,134.9 5.0% 29,005.3 68.4% 29,005.3 68.4% … … 8,204.5 19.3% 3,086.7 7.3% 0.0 0.0% 日 本 15,396.9 100.0% 416.5 2.7% 7,797.9 50.6% 1,691.6 11.0% 6,106.2 39.7% 7,053.7 45.8% 123.6 0.8% 5.2 0.0% ドイツ フランス イギリス 9,586.0 7,606.5 7,211.0 100.0% 100.0% 100.0% 1,224.9 … 400.3 12.8% … 5.6% 8,148.1 … 4,715.9 85.0% … 65.4% 2,290.0 … 2,021.2 23.9% … 28.0% 5,858.1 … 2,694.7 61.1% … 37.4% … … 294.6 … … 4.1% … … 1,209.7 … … 16.8% 213.0 … 590.5 2.2% … 8.2% 韓 国 2,460.2 100.0% 333.9 13.6% 1,756.2 71.4% … … … … 320.8 13.0% 39.0 1.6% 10.3 0.4% 出典:OECD「Research and Development Statistics 2006/1'Table 1(」 注1 :日本、イギリス、韓国は2003年の数値である。また、韓国は人文・社会科学を除く。 注2 :フルタイム換算後の数値。 注3 :フランスの内訳は不明。 14 1.協調①'共通基盤技術の確立( '2(国の研究開発プロジェクトの在り方 ○拠点同様、国の研究開発プロジェクトについても、国際開放型の制度設計を検討 すべきではないか。 ○協調領域の成果'技術情報(のうち、積極的なオープン化を推進することで、ベン チャーと大企業等、企業間の連携・協業のための環境整備を図るべきではないか。 <検討項目> • 世界の英知を結集するためには、企画立案段階から海外勢の参画が必須であるが、企画 立案体制はどうあるべきか。 • 原資が税金であることを踏まえ、外国企業が参加する場合の参加要件'バイドール条件、海 外生産優先条件等(や国内還元促進の在り方 • 公的支援による研究成果のうち、インターフェース情報、調達技術情報等の公開が望ましい 情報の公開促進の在り方'別途「協調②」でも議論( 以降、参考資料 15 米国政府における海外知識の活用'米国DOC/NIST/ATP( • 米国では、自国のR&Dスキームにおいて、海外の知識を積極的に活用しているものもある。 •先進技術プログラム'Advanced Technology Program: ATP(は、商務省の国立標準技術研究所'NIST(によって1990年に開始 された、ハイリスク研究に対する支援プログラム。米国企業だけでなく、米国に支社を持つ海外企業も参加資格を持つ。 海外企業参加参加状況 参加要件 •米国企業単独または産業界主導のジョイントベン チャー。 •米国で法人格を有し、海外に親会社を持つ 外国企業 も参加資格有り。 •大学、研究所、非営利団体は下記の場合に参加可能 ①企業のコントラクター'再委託先(として ②ジョイントベンチャーの構成メンバーとして 出典: ATP Proposal Preparation Kit <http://www.atp.nist.gov/atp/kit-07/2007kit.pdf > •当該企業の参加が米国経済にも有益であること •海外企業の母国が下記の要件を満たすこと ① 政府のファンディングによる同様のプログラムにおいて、本 ATPと同程度に米国企業に参加機会を与えていること ② 米国企業に対して自国企業と同程度の投資活動が認めら れていること'外資系企業への投資制約が米国と同程度以 上無いこと( ③ 米国が外国企業に対して与えている知的財産権と同程度 に、米国企業に対する知的財産保護制度を有していること バイドール特許 1990年のプログラム開始から2003年までに採択されたプロジェク ト数は709件。内、 • ジョイントベンチャープロジェクト: 207件 →参加海外企業 49社 • 企業単独プロジェクト: 502件 →参加海外企業 15社 ● ヨーロッパの海外企業が大多数、日本勢は2社のみ。 注: 表では2度以上参加している企業でも1社とカウント。 順位 国名 参加社数 1位 イギリス 17社 2位 ドイツ 14社 3位 フランス 10社 4位 オランダ 7社 年度 企業名 プロジェクト名 2002・ 2003 帝人デュポン New Polymer Dielectrics for High Energy Density Film Capacitors 2002 住化電子材料 Advanced HBT Power Amplifier Technology for Broadband Communications Systems •NIHとNSFをはじめとするほとんどの省庁では、外国籍受給者にもバイ・ドール特許の取得を認めている。 •バイ・ドール法では、専用実施権の付与は、米国内で製造を行う機関に限定されている'国内優先条項(。しかし、この制限は担当省庁によ る許可により免除可能。 出典: ATPウェブサイト及び「ATP Eligibility Criteria for Foreign-Owned, U.S.-Incorporated or U.S. Organized Companies: Legislation, Implementation, and Results」より、 NEDOワシントン事務所作成 16 米国政府における海外知識の活用'米国DARPA( 1958年のスプートニク・ショックを受けて設置されたDARPAは、国防総省の1機関で、国家安全保障に寄与するハイリス ク・ハイリターン研究への資金提供を行っている。自由な発想から生まれたイノベーティブな研究開発を促進するため、 DARPAでは、グラントや賞金形式の外部プロジェクトへの支援においては、その参加対象者の国籍を制限していない。 DARPA参加要件 DARPA支援例 下記は、DARPAプログラムの公募用件の実例: アーバン・チャンレンジ'Urban Challenge) 無人自動車を市街地を模したコースで走らせ、6時 間以内に96キロを完走するという賞金形式のプログ ラム。優勝賞金は200万ドル、2位100万ドル、3位 50万ドル。2007年の本大会では、準決勝進出の36 チーム中4チームがドイツの団体であった。 • 本プログラムが求める研究活動を行うことが出 来る団体・個人であれば、誰でも応募可能。 •外国の参加者は、情報非開示合意、安全保障に 関する制限、輸出規制関連法を含む関連米国法 を遵守することを前提に応募可能。 プログラム参加後の研究結果は、DARPAの技 術情報担当職員'Technology Information Officer: TIO(による許可なしに一般公開すると は出来ない。 出典: DARPAウェブサイトより 出典:NEDOワシントン事務所作成。 チーム名 チーム構成 CarOLO 'ドイツ( Braunschweig工科大学を中心に、ド イツ産業コンソーシアムが支援 Team AnniWAY 'ドイツ( ドイツ研究財団'DFG(内、コラボラ ティブ研究センター Team Berlin 'ドイツ( Freieベルリン大学の研究者及び米 パートナーの学生 Team-LUX 'ドイツ( Ibeo社技術スタッフのグループ'表向 きのリーダーは米ビショップコンサル ティング社のリチャード・ビショップ氏( 出典: TEC Magazine, 2007年9月号 <http://www.tecmagazine.com/magazine/pdfContents/ITSS_Sept07_DARPA.pdf> 17 海外の国際共同研究の例'欧州( • 欧州でも、域内の国家間共同研究を促進。 EUREKAによる国際共同研究イメージ 欧州委員会 事務局機能'共通ルール、連絡網など( A国 政府機関A 助成せず 助成 B国 連絡しながらも 独立に審査 自国の担当機関 に独立に申請 企業研A • 市場志向型R&D (いわゆる産業技術) 政府機関B 助成 共同研究テーマ 研究所A <概要> • 政府機関はSenterNovem などNEDO的機関 • 資金負担は各国政府。ECは 事務局機能のみ提供 • 優先順位、判断も各国政府 研究所B • 審査基準などは共通。政府機 関同士の横のネットワークあり (TAFTIEメンバー※が中心) 企業研B • メンバー国はほぼ、FP7のASを 含む集合(+ロシア) ※ TAFTIEメンバー: 欧州各国のイノベーション推進組織(NEDO 的機関)の連合体。20国から21機関が参加。 出典:NEDOパリ事務所 18 協調①:ロードマップ等 競争① インターフェース情報 の公開による市場の パイの拡大 協調② ビジネスモデルの鍵 を握るコア技術で勝 つ戦略 システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D A社 B社 C社 大学 国研 出口を見据えたモジュールの再統 合'オープンイノベーション( 競争② 参加者の拡大による イノベーションの加速 (オープンイノベーション) 協調① ・共通基盤技術の確立 ・ロードマップ、・技術情報のオープンソース化 ・パテントの共有化、・国際標準 19 2.協調①:技術情報の共有'ロードマップ、技術情報のオープン化、パ テントの利用促進、国際標準等 ○従来、先端的な技術知識は秘密情報として内部に抱え込むことが主流であったが、 リニア型モデルの限界に伴い、外部と協調する技術戦略の重要性が増大。民間を中 心とした「協調」に対する公的支援の在り方について検討すべきではないか。 協調の類型:技術情報の共有'パテントコモンズ、オープンソース、ロードマップなど(、技術の 取引、技術の融合 <検討の方向性> • 現行の知的財産権制度は、技術の独占を前提に構築されているが、知的財産の利用促進 を円滑化する観点から、知的財産権制度の見直しが必要ではないか。 • 技術情報を外部と共同利用等する各種枠組み'パテントコモンズ、パテントプール、オープン ソースコンソーシアム、ロードマップ等( は、公益性'例えば、スピルオーバー効果や重複投資 の回避など(があるのではないか。そうであれば、一定の条件下で、国が支援することで、イノ ベーションを加速できないか。 • 技術取引を円滑化する取引環境整備'知財帰属等取引ルール整備等(や、多くの技術と人 材を保有する大企業からの技術・人材の流動を円滑化する方策が必要ではないか。 • 異分野の融合による新たな知の創発や新たなビジネス創成など、異分野融合のプラット フォーム整備が必要ではないか。 ↓ 以降、参考資料 20 研究開発における外部協業の類型 • 研究開発における外部との協業には、いくつか類型があり、オープン性も異なる。 1.系列 コ ン ソ ー シ ア ム 小 2.基盤技術開発型 超LSI研究組合やSEMATECなどに代表される、ある産業の基盤となる技術を共同 開発し、産業の促進を目的とする研究組合。通常、政府や大学が関与する。 3.規格制定型 ある規格を標準にしようと、複数の企業が集まって技術開発を行う。競争は非常 に厳しく消耗的であることも多い。リーダー格の数社以外は、保険的に参加する 企業も多い。 4.委託研究型 特定の研究テーマについて外部に研究委託を行う。 5.技術補完型 得意な技術を持ちよった複数の企業が、比較的明確に技術的分担を決めた共 同研究を行う場合が多い。ハードウェアとソフトウェアなど異なった分野の企業や 技術の組み合わせであることが多い。 6.協調型 技術補完はあるものの、技術補完型に比べ、部品レベルなど比較的上流から共 同開発を行う。同業他社同士・同分野の技術の組み合わせであることも多く、時 には互いの経営資源を共用するため企業の境界が曖昧になる。 7.インフラ技術開発型 技術分野は2、協力の形態は6に似ているが、2よりも小規模であり、主に企業 が主体となる。 8.技術公開型 一定の範囲に基礎的技術を公開し、主に周辺の技術を外部企業に開発してもら いながら、そのビジネスに必要な技術群を構成していく。技術公開が有償の場合 はパートナーは限定されるが、無償の場合は限定される場合'何らかの契約あ り(と限定されない場合がある。技術成果についての公開は通常求められない。 9.Open Source 型 社外の不特定多数からなるオープンソースlコミュニティと共同開発を行う。この 場合、テーマは企業側から提供されるが、コミュニティの各メンバが開発に参加 するかどうかは個人の意志に任される。 → (個 別 )共 同 研 究 関 係 の オ ー プ ン 性 系列企業内でのR&Dの分業 大 出典:『MOT イノベーションと技術経営』2005年「第8章研究開発のアライアンスとアウトソーシング」加藤みどり著より、一部改変 21 • 研究開発成果のオープン化には様々な類型がある。 エコパテントコモンズ 科学技術知識の公開・共有 持続可能な開発のための世界経済人会議'The World Business Council for Sustainable Development: WBCSD)のチームと15年連続で 最多年間米国特許取得件数を記録したIBMは 、ノキア、ピツニーボウズ、ソニーと協力して、エコ ・パテントコモンズ'Eco-Patent Commons)を設 立しました。開放された環境技術に関する特許共 有資産のポートフォリオを「エコ・パテントコモンズ 」と呼び、WBCSDが主催するエコ・パテントコモ ンズ専用のウェブサイトにて公開 最近では、遺伝子研究など膨大な研究対象領 域の拡大にと伴い、Merk社のGene Indexによ る遺伝子情報の公開、SNPConsortiumによる 解読遺伝子情報の公開、Broad Institute 'HarvardとMITの共同運営(による糖尿病の遺 伝子データの無料公開 出典:富士通総研研究レポート「企業の研究開発活動のオープ ン化」'2007.11( <その他、公開等外部協業によるイノベーション加速の仕掛けの例> ・IBM 「Global Technology outlook」、「Common Platform」、「Collaboratories」 ・GE 「Global Technology Partnership」 22 技術・R&D情報を共有するためのロードマップ • ロードマップには、共有者間で予見性を高めるものであるが、技術トレンドを示すもの、調達 方針を示すもの、特定プロジェクトの工程管理等、目的別に類型がある。 ○科学技術トレンドを示すロードマップ 応用物理学会「アカデミックロードマップ」'出所:応用物理学会HPより( 時間軸 技 術 分 野 X年に、技術がどの レベルまで高度化す るか記載 技術Aの高度化 技術Bの高度化 'フォワードキャスト型( 技術Cの高度化 ○調達方針を示すロードマップ ITRS2007'日本語訳版、JEITA半導体技術ロードマップ専門委員会資料より抜粋( 時間軸 技 術 分 野 ○年に△△レベル の技術が必要 ○年に××レベル の技術が必要 X年に、どのレベル の技術が必要か記 載 'バックキャスト型( ○出口を見据えた工程管理型ロードマップ 出 口 ま で の 工 程 を プ ロ ッ ト 水素社会実現のための米国ロードマップの例 時間軸 上市 試作 開発 応用研究 X年に出口に結びつ けるために、今、何を やるべきかを記載 'バックキャスト型( 基礎研究 23 公益信託制度を活用したオープン型のイノベーション基金の例 • 水素社会に向け、競争前段階の基礎研究支援'協調領域(を目的とする民間拠出の基金。 • 出資者は直接の見返りを得ることは出来ないが、助成によってアカデミア中心に水素研究の 裾野が拡大し水素社会実現に向けた仲間作りの基礎を提供。 • 公益信託制度を活用することで税制優遇措置を活用。 公益信託ENEOS水素基金 水素エネルギー供給に関する「独創的かつ先導的な基礎研究」に対し、年間総 額5,000万円の助成金を約30年にわたり安定的に支給するもの。 拠出'拠出につ いて損金参入の 税制優遇措置( 公益信託ENEOS水素基金 '信託財産:15億円( 公募し、運営委 員会にて審査。 水素エネルギーの製造・輸送・貯蔵並 びにCO2固定技術であって、独創的 かつ先導的な基礎研究へ助成 '一件1000万円上限( 大学、公的研究機関 の研究者 出典:企業ホームページより作成。 既存概念にとらわれない「新たな科学的原理」の構築や検証に向けた基礎研究 を促進し、技術革新の芽を育て、水素社会の早期実現に貢献することを目指す。 第2回 研究助成対象者一覧 '敬称略:所属、肩書は贈呈時のもの( <水素製造技術> ・ヒドロゲナーゼを用いる光水素発生システムの構築 大倉 一郎 '東京工業大学生命理工学研究科 教授( ・大容量酸素ストレージ物質による水素製造法の開拓 町田 正人 '熊本大学大学院自然科学研究科 教授(共同研究者池上 啓太 '熊本大学大学院自然科学研 究科( <水素貯蔵・輸送媒体に関する技術> ・クラスレートハイドレートへの水素貯蔵過程の高圧その場観測 奥地 拓生 '名古屋大学大学院環境学研究科 助教( ・量子揺らぎを考慮したナノ吸蔵空間への水素吸蔵機構・拡散過程に関する分子論的解明 立川 仁典 '横浜市立大学大学院国際総合科学研究科 教授(共同研究者高見澤 聡 '横浜市立大学大学 院国際総合科学研究科 准教授( ・高水素選択透過性シリカ膜を用いた有機ハイドライド脱水素反応用メンブレンリアクターの開発 中尾 真一 '東京大学大学院工学系研究科 教授(共同研究者赤松 憲樹 '東京大学大学院工学系研究科 助教( <CO2固定化技術> ・柔軟性金属錯体を用いた高効率CO2分離材料の開発 野呂真一郎 '北海道大学 電子科学研究所 助教( 24 欧米における組合を活用した共同研究開発 • 近年、欧米企業が知恵や人材を持ち寄って共同研究を行う場合、「LLC」等の組合法人を ビークルとする場合が多い。 • 我が国においても、鉱工業技術研究組合の活用拡大が有効ではないか。 ASML 米国企業の組織形態別増減 ○「半導体露光装置」を開発・製造するオランダの組合型法人。 米LLC:専門科学技術サービスは10万社。05年だけで6659社増加。 'IBM、AMD、PHILIPS( 日LLP:R&D目的は推計250社。07年は推計90社増加。 ○かつて日本企業が世界シェア8割を押さえていた市場を、 2007年にはASMLが65%を占めるまでに。 400,000 EUV- LLC ○1997年、次世代LSIに不可欠なEUV'極紫外線(の露光技術を 共同開発。'インテル、モトローラ、AMD( eLith LLC ○LSI大手と製造装置大手が露光技術「SCALPEL」 を共同開発。 '米 Lucent Technologies、Motorola、Texas Instruments、 Applied Materials(AMAT)、蘭ASML、韓Samsung Electronics( Iridium- LLC ○1997年5月から衛星を大量に打ち上げ、通話サービスを試行。 しかし1999年破綻。 ※そのほか、Segway-LLC、Dream Works LLC、Airbus、 Nokia等も同様の形態とされる 300,000 200,000 100,000 -1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 -100,000 -200,000 -300,000 C Corporations S Corporations General Partnership Limited Partnership LLC 出所(SOI Tax Stats - Integrated Business Data 25 技術取引<取引仲介事業者の例> • 技術取引において、技術情報特有の非対称性等の問題から、取引が円滑化していない。 • 仲介事業者や知財帰属等に関する取引ガイドラインの整備など、取引環境の整備が重要。 '2(空想生活の例 <顧客参加型仲介事業者> '1(ナインシグマ社の例 <研究開発仲介事業者> 「空想生活」 CUUSOO.com 日経ビジネス 2007.10.8号 ナインシグマ 紹介 期限 現在技術提案を応募中の案件テーマ名 3/7 3/7 3/7 3/7 3/11 次世代リチウムイオン二次電池用電極 低湿度でもプロトン伝導率が低下しない炭化水素系電解質膜 MBDによる自動車用ECU開発パートナー募集 3/11 3/14 3/14 3/14 3/17 3/17 3/17 3/17 3/19 3/21 3/21 3/21 3/21 3/21 3/24 3/24 3/24 3/28 3/28 3/28 3/29 オープンイノベーションを支援する基本プログラムスキーム 非破壊でステンレス鋼チューブの厚みを測る技術 常温常圧下での機能性膜形成技術 金属リチウム二次電池におけるデンドライト生成を制御する技術 ドライフルーツ用の食用保護フィルム オープンセル構造の発泡体募集 押出し形成よる結合層が出ないPMMAポリオレフィン接着 無機微粒子へのセラミックスコーティング技術 SUSあるいは銅の平板上に金属酸化物を堆積させる技術 ペースト化を目的とした、スズ合金微粉末の酸化防止 または酸化膜除去技術 微小空間における放電制御技術の共同パートナー募集 エレファントデザイン'株(提供。 インターネットを利用した消費者主導の商品開発'デザイン中心(を支援す るサービスを提供。 空想くるま'日産自動車'株((、でんきTV'東京電力(、ロボット等多数のカ テゴリー。 ほしいを「カタチ」に ユーザー ①製品アイデア を登録 ②人気投票/予約 空想生活 ③製造発注 メーカー ④販売 商品企画、デザイン、マーケティングまで全てがユーザー主導'メーカは製造のみ(。 水溶性材料のカプセル化技術 スチール板の限度線図作成方法 不燃性かつ不透明なポリエステル'メチルメタクリレート(化合物 食品向けの斬新なファイバーテクノロジー 透明導電性溶媒およびその成膜技術 普遍的に帯電しないポリメチルメタクリル樹脂 自動車のメンテナンス予知システム 明るい色で導電性の熱可塑性材料 石油貯蔵タンクのモニタリング技術 真鍮ターミナルへのアルミケーブルの接続改善技術 植物根の表面の成分吸着技術 澱粉を主成分とする次世代の増粘剤 高容量で耐久性のある不織布のフィルター媒体 エレファントデザイン'株(運営サイト「空想空間」より引用。 26 技術取引<大企業からの技術・人材の流動性> • 多くの技術・人材を保有する大企業・大学・国研からの流動性拡大が重要。 <検討の方向性> ・官'政府の研究開発制度や大学、研究所等(において、「技術」や「人材」の流動性を妨げ ているルールはないか'例えば、国費成果のバイドール運用における未活用問題など(。 ・民間'企業等(における自主的なルールであっても、社会全体の流動性向上の観点から望 ましい在り方を提示するガイドラインや優良事例の表彰等が有効ではないか。 技術の流動性の壁 人材の流動性の壁 企 業 揮内 でで きは な能 い力 人が 材十 分 発 (優 れ た 研企 究業 者 はの テ 残ー人 すマ 事 ) を 方 変 え針 ての で も壁 社 内 に ( 兼 運 用業 ル・ ー出 ル が向 明の 確 で運 な用 い 等の ) 壁 ( 退 職 後 一 定競 期 間業 同禁 業 他止 社契 へ の約 就 業 制 限 ) 組 織 外 で の 開 発 ・事 業 化 27 知の結集によるイノベーション創発の仕組みの例 'インテレクチュアルカフェ( 異分野間の知識や技術の融合により新たな価値の創造'イノベーション(につなげる自律的、自発的、効 率的な活動が促進されることが望まれるため、その手段たる「融合」の場として、イノベーションを促進させ るための異分野の技術・知識の融合活動の取組'組織や技術分野や経営といった垣根を越えた関係者が 集い、知的交流を深める契機となるものを「インテレクチャル・カフェ」と称し、この取組みを奨励中。 28 競争①:出口を見据えた再統合 競争① インターフェース情報 の公開による市場の パイの拡大 協調② ビジネスモデルの鍵 を握るコア技術で勝 つ戦略 システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D A社 B社 C社 大学 国研 出口を見据えたモジュールの再統合 'オープンイノベーション( 競争② 参加者の拡大による イノベーションの加速 (オープンイノベーション) 協調① ・共通基盤技術の確立 ・ロードマップ、・技術情報のオープンソース化 ・パテントの共有化、・国際標準 29 3.競争①:出口を見据えたモジュール再統合 チーム間競争 ○「競争領域」においては、出口を見据えた連携'モジュール統合(によるチーム間競争を促す観点から、 「ステージゲート方式」や「コンテスト方式」など、出口に向けた競争促進型の支援制度が有効ではないか。 ○出口'設定した目標(に向けて、国が技術仕様を決めるのではなく、どのような技術群で実現するか、 チーム毎の創造性発揮による画期的成果の実現が期待されている。 米国政府におけるコンテスト形式の研究支援制度の例 民間の先行的な取組: X プライズ財団 連邦機関における取り組み'例( DARPA: グランドチャレンジ'Grand Challenge( - 長距離無人走行車両の開発 '2004・2005年( - 最高賞金200万ドル - 142マイル'約229キロメートル(完走が目標 1996年、有人宇宙飛行を最初に成 功させた団体に対して1,000万ドル を与えるXプライズを実施した。6カ 国から26団体が競い、2004年10月 にカリフォルニア州上空にて規定さ れた飛行を達成したスペースシップ ワンが賞金を獲得している。 月着陸船開発を含む新たなコンテ ストが現在も行われている。 出典:NEDOワシントン事務所作成。 2004年は出場全チームリタイア。 2005年は4チームが完走。最速でゴールした スタンフォード 大学が優勝。 ターゲット 陸軍車両3分の1を 無人化 '2015年目標( NASA: センテニアルチャレンジ - ソーラーパワー人工 - ビーム出力チャレンジ '2005・2006年(: 衛星・宇宙エレベータ 賞金総額25万ドル の実用化 - テザーチャレンジ'2006年(: 賞金総額20万ドル - テザー強度の更なる - 月着陸船チャレンジ'2006年(: Xプライズ財団 強化など との共同計画、賞金総額200万ドル NSF及びDOEにおいてもコンテスト形式採用に向けた動きが見られる。 30 コンテストの例'ロボットコンテスト( • 米国では、月面のロボット探査実現に賞金総額3,000万ドル(約35億円)を提供するという「Google Lunar X PRIZE」※を発表。'民間主導によるコンテスト形式で世の中に技術革新をもたらそうと活 動する米国の非営利団体「X PRIZE財団」とインターネットの巨人、Googleが手を結び、大会を実 施。 (多額の賞金提供により、グローバルな技術競争を促進。 • 日本では、主として学生を対象としたロボットコンテストを開催。教育の意味合いが強い。 ※「Google Lunar X PRIZE」:民間の宇宙航空機を月に軟着陸させ、ロボットを使って月面を500m以上探査、ルールで定められた動 画やデータを地球に送信できた最初のチームには2,000万ドルが贈られる。準優勝や特別賞も用意されており、賞金はすべてグーグ ルが提供する。 史上最大のロボットコンテストが発表された 米ハイテク見本市「WIRED NextFest」 日本の創造アイデアロボット コンテスト全国中学生大会 -出典:同大会公式HPより 左は、韓国科学技術院(KAIST) がNextFestに出展した2足歩行ロボットの「アル バートHUBO」。右はアラブ首長国連邦を本拠とするPal Technology(パル・テクノロ ジー)の人型ロボット「Reem-A」。 -出典:Robot Watch HPより 31 チーム間競争による競争の例'ステージゲート方式( ナノテク・先端部材実用化開発制度の創設'H17~( ・出口を見据えた垂直連携型研究体制は必須'研究体制は尐数精鋭( ・技術シーズのみを設定し、提案公募により幅広い提案から優良案件を採択 ・ステージⅠに予算の重点を置き、「ラディカルイノベーション」が期待できるテーマも支援 ナノテク・先端部材実用化開発のスキーム 革新的ナノテクノロジー ナノ加工技術 トップダウンアプローチ ナノインプリント技術 精密ビーム加工技術 ボトムアップアプローチ 薄膜成長技術 自己組織化、自己集積化技術 ナノ空間技術 ナノファイバー技術 高度材料界面制御技術 高次組織制御技術 等 等 適 用 例 毎年中間 評価を実施 ナノ材料技術 その他 ナノ計測・評価技術 研究体制の構築 薄型ディスプレイ 'CNT-FED( システム メーカー ユーザー 電子放射源 デバイス デバイス メーカー デバイス メーカー CNT 材料 メーカー シーズ技術 大学 等 応募 新産業5分野への貢献 ス 他制度へ の応募 テ ー 絞ジ 採 100%委託 込ゲ 2/3助成 択 ステージⅠ みー ステージⅡ 決 評ト 定 価方 式 に 自主研究 よ る 川上・川下の垂直連携の研究体制が応募条件 採択案件は2社、2大学程度の研究体制が多数 先導的研究 ステージ 2~3年 燃料電池 ロボット 情報家電 健康・福祉・ 機器・サービス 環境・エネルギー・ 機器・サービス 実用化研究 ステージ 2~3年 ※ステージⅠを経由せず ステージⅡからの応募も可能 32 チーム間競争による競争の例'アワード'懸賞金(型研究開発制度( • 実社会の困難を克服し新たなイノベーションを創設する技術的課題をクリアした者を表彰し、 補助金を支払う制度'平成21年度予算要求(。 • 研究チーム間の競争を促し、失敗事例も公表することで得られた教訓を社会に還元。 経済産業省 アワード型研究開発制度で想定される研究課題 交付金 NEDO 補助金 イノベーション実用化助成事業 (課題設定開発競争型支援枠) ○実社会の困難を克服するための技術課題を設定 ↓ ○開発競争の参加者を公募により募集(大学・企業等) ↓ ○技術課題に対する開発競争を実施(1~2年) ↓ ○技術課題をクリアした者を表彰し補助金を支払い あらかじめ提出させた開発計画に基づき、費用の2/3 相当額が上限(支払総額は予算が上限) ◇失敗事例も公表 ◇課題クリアしなかった者でも失敗事例の公表などに関して 対価を支払い •既存の常識にとらわれない型破りなアプローチが期待できる •無名の大学や実績の無い企業であっても実力次第で補助金を獲得 ① 性能の大幅引き上げ等のため、複数社による競争的 な投資を必要とするケース 白金の使用を3割削減させる燃料電池の開発 競争 環境浄化型走行自動車の開発競争 ② 緊急課題を迅速に克服するため、知恵・資金の集中 を必要とするケース 環境規制強化に対応したPFOSの代替材料開発 競争 鳥インフルエンザ等感染症の手軽な検査キッ ト開発競争 ③ 難解な課題を解決するため、画期的なアイディアを 必要とするケース バイオインフォマティクス解読競争 ④ 技術の使い方や技術以外の要素の融合・組み合わせ を用いて解決するケース コンビニ等と連携し、店舗当たり電気利用料 又はCO2の半減に資する設備(冷蔵庫等) の開発競争 33 競争と協調の制度設計 「協調②」 競争① インターフェース情報 の公開による市場の パイの拡大 協調② ビジネスモデルの鍵 を握るコア技術で勝 つ戦略 システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D A社 B社 C社 大学 国研 出口を見据えたモジュールの再統 合'オープンイノベーション( 競争② 参加者の拡大による イノベーションの加速 (オープンイノベーション) 協調① ・共通基盤技術の確立 ・ロードマップ、・技術情報のオープンソース化 ・パテントの共有化、・国際標準 34 4.協調②:インターフェース情報の公開等 ユーザー本位と市場拡大、中小・ベンチャー企業連携 ○インターフェース情報の公開、標準化など、ユーザー本位かつ市場拡大に向けたイノベーション競争を 加速する新たな技術政策が必要ではないか。 特に、新たな需要を創造していく段階'新社会システム設計(においては、予めインタフェース領域の設 定・共有を行っていくことが有効ではないか。 ○また、従来、我が国企業の多くは、自社内に閉じた開発体制で製品全体の信頼性を確保する、摺り合 わせ型中心であったため、外部のベンチャー企業や中堅中小企業が独自に開発した技術製品を大企業 が取り込むことは困難であった。しかし、インターフェース情報や調達情報の公開は、ベンチャーや中堅中 小企業の活動領域を拡大し、公開した大企業とのWIN-WIN協業も拡大することが期待されるのではな いか。 <検討の方向性> • 本質的にプレイヤー間で競争すべき技術領域'例えば、性能などユーザーに与える付加価値の本質(で はなく、むしろ同一設定の方がユーザーのメリットが拡大する技術領域'例えば、インターフェース形状な ど(については、ユーザーの利便性の向上であり、ひいては市場全体パイの拡大という関係者全体のメ リットに繋がるのではないか。 例えば、乾電池では、基本的な物理的形状や電気特性などインターフェース条件が共有化されており寿命や安全性等ユーザー本位の付 加価値のためのイノベーション競争が加速しているが、一方、携帯用電池や太陽光発電パネルでは、物理形状等がメーカー毎に異なり互換 性がないため、ユーザー本位のメーカー間競争が促進されていない面があるのではないか。 • モジュール間の外部インターフェース情報や調達スペック情報などオープン領域の技術情報の公開・閲 覧が促進されるための施策はどうあるべきか。 • また、オープン領域の技術情報をベースとして、中小企業やベンチャーによる製品・サービス間の性能 評価や比較等が出来る環境整備'例えば、公的機関による技術力評価サービス等(が有効ではないか。 以降、参考資料 35 標準'インターフェース( JASPAR(Japan Automotive Software Platform and Architecture) 自動車の電子化に対応するために国内の自動車メーカーとサプライヤが協力して自動車のECU(電子制御ユニット)用 のソフトウェアや、車載ネットワーク規格の標準化推進団体'2004年に発足(。トヨタ自動車や日産自動車、豊通エレクトロ ニクス、本田技術研究所、デンソー等の国内の自動車メーカや自動車電子部品関連メーカで100社以上で組織。これま で、急速に進む自動車の電子化に対応するための車載LANやソフトウエアプラットフォームの標準化活動は、通信速度10 メガビット/秒の次世代車載LAN「FlexRay」の規格を策定する「FlexRayコンソーシアム」や、ソフトウエアの標準化を進める AUTOSARなど、欧州の自動車メーカーを中心とする組織が活動を先行してきた。 JASPAR の目的 車載電子制御システムのモジュラー化とインターフェイス標準によって、垂直統合的かつクローズドな製品アーキテク チャーの、水平分業的かつオープンなアーキテクチャへの転換 JASPARの標準化 主にECUのソフトウェアと車載LANプロトコルに関わる次の3つのインターフェイスを標準化の対象。 ①アプリケーション・ソフトウェアとプラットフォーム・ソフトウェア'OSやミドルウェア、デバイス・ドライバ(のインターフェイス であるAPI (application programming interface( ②ハードウェア'マイコン(とソフトウェアのインターフェイス ③複数のECUをつなぐ車載LANプロトコル 出典: JASPARウェブサイト等より作成 36 「家庭用燃料電池システム関連補機類の共通仕様リスト」の公表 '経済産業省、2005年12月(による新規企業参入の促進 米国における大企業とベンチャーが協業するためのロードマップ共有の事例 'NEDOワシントン事務所調査より( サ プライチェー ン ・ ロ ー ド マ ップ • • 製造企業が技術ロードマ ップを部 品供給業者に提供 部品供給業者は製造企業の ロード マップに合わせた技 術開発 を実施 イノ ベ ー シ ョ ン ・エコシ ステムにおけ る 技 術 的 課 題 の 共有 イン テ リ ジ ェン ト・ビル ディン グの ための 技 術 ロ ー ド マップ 照明やセキュリティなど、インテ リジェント・ビルディングを建設す るために必要な技術分野 を含 め たロードマップ 37 競争②:ビジネスモデルの鍵を握る コア技術 競争① インターフェース情報 の公開による市場の パイの拡大 協調② ビジネスモデルの鍵 を握るコア技術で勝 つ戦略 システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D システム のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D ユニット のR&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 部品の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D 材料の R&D A社 B社 C社 大学 国研 出口を見据えたモジュールの再統 合'オープンイノベーション( 競争② 参加者の拡大による イノベーションの加速 (オープンイノベーション) 協調① ・共通基盤技術の確立 ・ロードマップ、・技術情報のオープンソース化 ・パテントの共有化、・国際標準 38 5.競争②:出口のビジネスモデルの鍵を握るコア技術 出口を見据えた基幹素材・部材技術力の一層の強化 ○現在、例えば、基幹素材・基幹部材産業の育成の観点から、「ナノテク・部材イノベーションプログラム」 を実施しているが、出口のビジネスモデルの主役となるコア技術'基幹部品・部材(を育成・強化するため には、更に、何に取り組むべきか。 <検討の方向性> • 素材部材レベルでの独自技術力の強化と出口のビジネスモデルとのマッチングは、いかなる方法で高 めることができるのか'例えば、次世代産業ビジョンの共有(。 現在の我が国産業活動を支える基幹素材・部材 国際競争力のある 最終製品産業 自動車 家電・IT機器 生産規模:46兆円 生産規模:64兆円 写真は各社HPから 部品 部品、材料など 幅広い関連産業群 鉄鋼 電子部品 半導体 ナノテク・部材イノベーションプログラム概要 ナノテク・部材イノベーションプログラム Ⅰ .ナノテクノロジー の加速化領域 ナノテク・先端部材 実用化研究開発 (ナノテクチャレンジ) 36.4 ソフト 高度分析機器開発 2.6 製造装置 関連施策 半導体評価 光デバイス 次世代高度 部材開発評価基盤 1.45 ナノエレクトロニクス 低損失オプティカル ナノエレ 4.37 (窒化物系化合物半導体) ナノエレ 三次元光デバイス (新材料新構造) 5.0 (More Moore) スピントロニクス 3.6 5.2 5.0 ディスプレイ 超フレキシブル ディスプレイ 6.2 Ⅲ .ライフサイエンス・健康・医療領域 ナノバイオ 分子イメージング 9.6 Ⅳ .エネルギー・資源・環境領域 Ⅵ .共通基盤領域 素材 計測機器 Ⅱ .情報通信領域 次世代DDS 個別化医療 4.6 3.4 ナノ粒子特性評価 手法開発 3.7 センサ 【平成20年度予算額:184.5億円】 ○あらゆる分野に対して高度化・不連続な革新をもたらすナノテクノロジー・革新的部材技術を確立! ○我が国産業の国際競争力の維持・強化や解決困難な社会的課題の克服! ⅰ (エネルギー制約を乗り越える! サステナブル ハイパーコンポジット 3.2 CNTキャパシタ マルチセラミクス膜 4.0 断熱材料 省エネ 3.2 高機能チタン 革新的ガラス 新エネ 合金創製プロセス 溶融プロセス 0.80 3.5 セラミックリアクター 4.5 電力・電気 高温超電導 発電プラント用 ケーブル実証 高純度金属 3.9 1.6 ⅲ ( 環境制約を乗り越える! サステナブルプロセス技術 グリーンサステイナブル 革新的マイクロ 反応場利用 ケミカルプロセス 5.2 6.0 安全・安心 高信頼性 ガスセンサ 1.0 高感度 クリーン技術 光触媒 産業創成 革新的 8.8 膜分離技術 2.0 環境センサ 2.0 ⅱ (資源制約を乗り越える! 省資源 希少金属代替 材料開発 10.0 ○技術戦略マップの策定 ・ナノテクノロジー分野 Ⅴ .材料・部材領域 ・部材分野 高機能材料・部材 ・ファイバー分野 鉄鋼材料高強度 超ハイブリッド ナノファイバー ・GSC分野 など 次世代光波制御 金属ガラス マグネシウム 高機能化技術 部材技術 技術 ○ナノテクノロジー標準化 部材技術 10.0 6.2 材料・素子化技術 鍛造技術 7.1 ○人材育成 など 3.4 2.9 2.7 IPGの目標 世界に先駆けてナノテク ノロジーを活用した不連 続な技術革新を実現す る! 我が国部材産業の強みを 更に強化することで、他 国の追随を許さない競争 優位を確保するとともに、 部材産業の付加価値の 増大を図る! ナノテクノロジーや高機能 部材の革新を先導するこ とで、これら部材を活用し た情報通信、ライフサイエ ンス、環境、エネルギーな どの幅広い産業の付加 価値の増大を図る! 希尐金属などの資源制約 の打破、圧倒的な省エネ ルギー社会の実現など、 解決困難な社会的課題 の克服を目指す! 39 6.「競争と協調」を整理した研究開発支援の在り方 我が国が、戦略的に「連携や協調」を駆使しつつ次世代産業の「競争」で勝ち抜い ていくためには、 ○産業や分野毎に、「協調領域」と「競争領域」を整理した上で、国家支援を行うべき ではないか。 ○さらに、「競争」と「協調」の違いを踏まえた成果管理体制が重要ではないか。 ○より「競争」を加速する政策手法は。 ○より「協調」を加速する政策手法は。 <検討項目> • 戦略的に重要な次世代産業については、分野や業界、製品毎に、競争と協調の領域設定 の合意形成を戦略的に行うための場が必要ではないか。 • バイドールの適用によっては、協調が阻害されるケースもあるのではないか。 • 「協調領域」の成果管理体制'バイドール適用の在り方、知恵持ちだしとなる開発参加者の メリット、「一般公開」、利用促進のためのプール化/コモンズ化や標準化等(について、各社 の英知や人材が持ち寄りやすく、かつその成果を利用しやすい制度となっているか。 • 「協調領域」について、インターフェース情報、調達技術情報等の公開促進の在り方 • 「競争領域」には、護送船団型'コンソーシアム型(プロジェクトは適していないのではないか。 競争領域においては、「ステージゲート方式」や「コンテスト方式」など、競争促進型の支援制 度が有効ではないか。 • 「協調領域」について、知恵持ちだしとなる開発参加者へのメリット付与の在り方、利用促進 のためのプール化/コモンズ化や標準化等など、成果管理について、各社の英知や人材が持 ち寄りやすく、かつその成果を利用しやすい工夫が必要ではないか。 40 「競争と協調」を整理した研究開発支援の在り方 • 公的支援の研究開発対象が競争領域と協調領域によって、求められる制度設計や成果管 理方法が異なってくる可能性有り。 R&Dの競争と協調モデル 競 争 領 域 協 調 領 域 国によるR&D支援は 2タイプに分類される 競争促進 公的資金 業界、分野別の分析 公的資金 業界、分野毎に、競 争と協調のラインを設 定して公的R&D資金 を投入することが必要 ではないか。 ①:「競争と協調」 の線引き 技術領域毎に、 合意形成がなさ れているか。 民間資金 競 争 領 域 協調促進 ②:競争領域 企業間の競争促進になってい るか'後発企業支援などむし ろ阻害になっていないか。( 協 調 領 域 ③:協調領域 企業間で成果・知財を共有できる 仕組み'公開や標準化等(が用意 されているか'バイドール等によっ て単なる各社持ち帰りになってい ないか。( 41 「競争と協調」の例'冷延薄鋼板の2産業間'鉄鋼、自動車(共同開発( • 2産業間で、競争と協調の領域のライン設定を行い、基盤技術開発によるブレークスルー を達成するとともに、個別用途向けのチーム間競争を加速していった例。 背景 <鉄鋼業界側> • 造船業向け生産の低迷 • 新興国'韓国(との競争激化 <自動車業界側> • 打ち出し板金工を必要とする 生産技術から一体プレス成形 による大量生産ライン化へ →しかし、2業界間で「会話障 害」状態 深絞り技術の試験方法 の標準化 世界に冠たる 自動車用鋼板 特 定 2 社 間 共 同 研 究 特 定 2 社 間 共 同 研 究 競 争 領 域 ・・・・ <鉄鋼業界側> • 自動車需要の獲得 <自動車産業> • 自動車の高付加価値化 '軽量化、デザイン性等( 、生産コスト低減 個別の要求仕様に 合わせた共同開発 '材料成分組成等( プレス成形基盤技術の開発 研究会では、 •各企業内の試験結果や生産現場における不良及 びその対策等の報告 •技能工に依存していたプレス成形を工学的に解明 協 調 領 域 <全自動社メーカー、薄鋼板メーカーが参加> <コニカルカップテスト研究会> '1957年~( <薄鋼板成形技術研究会>'1964年~( 理化学研究所 吉田研究室 拠 点 大阪経大論集・第58巻第4号・2007年11月「我が社の鉄はオーダーメイド」中岡哲郎氏資料より、経済省作成 42 次回、以下を義論予定 ○出口とすべき戦略的次世代産業の絞り込みと具体的戦略 次世代産業の具体的候補の例 具体的候補分野において、出口を見据えた上で、競争と協調の技術戦略の実践方 法 次世代産業創造による、中堅中小企業'裾野産業(の牽引 プロジェクトの出口設定や評価の在り方'技術的スペックよりも、出口'課題解決(を ゴールとして設定し、評価するなど( 社会実現を加速する新政策手法'実証型等(の導入促進 上記実現のための政府全体の政策推進体制の在り方 ○出口に向けたイノベーション活動を支えるプレーヤー:「人材」「大学 ・国研」の役割 人材育成強化のための「産学」の具体的行動改革 次世代産業創造において、大学や国研が果たす役割の強化 43